説明

投影縞技法を用いた光学ナビゲーションのためのシステム及び方法

光学ナビゲーションデバイスとナビゲーション地形との間の相対動作を決定するための方法(300)は、2つの重複するコヒーレントな光ビーム(204,206,236a,236b)を生成すること(303)と、該2つの重複する光ビーム間における干渉縞(237)のパターンを生成すること(304)とを含む。前記方法は、干渉縞のパターンによってナビゲーション地形の表面部分(22,212)を照らすこと(305)と、縞を照射された表面部分を撮像すること(306)と、前記撮像された、縞が照射された表面部分に応答して、信号114のパターンを生成すること(306,307)とを更に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動作検出光学デバイスに関し、特に、投影縞技法を用いた光学ナビゲーションのためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、同時継続中で且つ共通に譲渡された、2003年5月16日にファイリングされた「INTERFEROMETER BASED NAVIGATION DEVICE」と題する米国特許出願シリアル番号第10/439,674号と、同時継続中で且つ共通に譲渡された、2003年7月30日にファイリングされた「METHOD AND DEVICE FOR OPTICAL NAVIGATION」と題する米国特許出願シリアル番号第10/630,169号と、同時継続中で且つ共通に譲渡された、2003年10月6日にファイリングされた「METHOD AND DEVICE FOR OPTICAL NAVIGATION」と題する米国一部継続特許出願シリアル番号第10/680,525号と、同時継続中で且つ共通に譲渡された、2003年10月30日にファイリングされた「LOW POWER CONSUMPTION,BROAD NAVIGABILITY OPTICAL MOUSE」と題する米国特許出願シリアル番号第10/697,421号とに関し、これらの開示は、本明細書内において参照により組み込まれる。
[本発明の背景]
相対的な動作を検出するための既存の光学デバイスは、該デバイスが表面上を通過する時に(又は等価的に、該表面が該デバイスを通過する時に)該表面を特徴付けたパターンを取り込むことにより、該デバイスと該表面との間の相対動作を決定するためのパターン相関技法を利用する。該デバイス動作の距離と方向との両方が、1つのパターンフレームをその次のものと比較することによって決定される。この技法は、典型的には、表面上の影の強度変化を検出し、その感度と有用性とは、取り込まれた表面パターン内の強度コントラストに依存する。例えば、コンピュータのポインタ(例えば、マウス)制御に対して、相対動作センサが用いられる。そのようなポインタは、典型的には、コンピュータ画面上のポインタの位置を制御するための光学部品を用いる。更に一般的には、光学ナビゲーション情報を、走査経路に沿った走査デバイスの曲線及び回転の動作の歪みアーチファクトを補償するために使用することができる。
【特許文献1】米国特許出願第10/439,674号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/630,169号明細書
【特許文献3】米国一部継続特許出願第10/680,525号明細書
【特許文献4】米国特許出願第10/697,421号明細書
【特許文献5】米国特許第5,786,804号明細書
【特許文献6】米国特許第5,578,813号明細書
【特許文献7】米国特許第5,644,139号明細書
【特許文献8】米国特許第6,442,725号明細書
【特許文献9】米国特許第6,281,882号明細書
【特許文献10】米国特許第6,433,780号明細書
【非特許文献1】Snadden他著、Optics Letters, Vol.22, No.12, 892〜894頁,1997年6月15日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許第5,786,804号、第5,578,813号、第5,644,139号、第6,442,725号、第6,281,882号、及び第6,433,780号には、光学マウス、他の手持ち式ナビゲーションデバイス、及び手持ち式スキャナーの例が記載されている。典型的な既存のデバイスは、鏡面上又は光沢面上か、均一な表面上か、又は浅い特徴(shallow feature)を有する表面上(例えばガラスか又はホワイトボード)においてうまく機能しない。このようなデバイスにおいて、画像コントラストを改善するためには、鏡面反射が通常、阻止されて、前記表面からの拡散された光放射だけが取り込まれる。典型的には使用される該表面は、投影することが可能でなければならない。一般的には、このことは、観測される該表面の特徴が、使用される光放射の波長に対して幾何学的な光学範囲内における寸法(dimension)を有する必要があることを意味する。従って、特定の表面タイプに対する制限が、現在の光学マウス設計の典型的な欠点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による、ナビゲーション地形(navigation terrain)に対する動作を決定するための光学ナビゲーションシステムが提供される。該システムは、コヒーレントな光放射における2つの重複するビームを生成するために動作可能な光学ナビゲーションデバイスを含む。該2つの重複するビームは、干渉縞のパターンを生成するよう動作可能である。これにより、縞パターンを有する該2つの重複するビームが、ナビゲーション地形の表面部分を照らすよう動作可能となる。光学ナビゲーションデバイスは、入力光学画像パターンに応答して信号の出力パターンを生成するために動作可能な検出器アレイと、前記2つの重複するビームによって照らされたナビゲーション地形表面部分を該検出器アレイ上へと撮像するために配置された撮像素子とを更に備える。
【0005】
更に本発明による、光学ナビゲーションデバイスとナビゲーション地形との間の相対動作を決定するための方法が提供される。該方法は、2つの重複するコヒーレントな光ビームを生成することと、該2つの重複する光ビーム間の干渉縞のパターンを生成することとを含む。前記方法は、前記干渉縞のパターンによってナビゲーション地形の表面部分を照らすことと、縞が照らされた表面部分を撮像することと、前記撮像された、縞が照らされた表面部分に応答して、信号のパターンを生成することとを更に含む。
【実施例】
【0006】
本発明をより完全に理解するために、添付図面と連携して下記説明に対する参照が次に行われる。
【0007】
図1は、本発明の実施形態による、光学ナビゲーションのためのシステム10を示す上位レベルのブロック図である。光学ナビゲーションシステム10は、光学デバイス101(例えば光学マウス)と、ナビゲーション地形102との間の相対的な位置を決定する。該ナビゲーション地形は、光学デバイス101に対する任意の方向における(矢印107、108によって表されるような)運動中の可能性がある。下記において用いられるようなナビゲーション地形102は、移動する、すなわち光学デバイス101に対して位置が変動する、物体(対象物)である。これにより、相対動作(相対運動)か、又は光学デバイス101とナビゲーション地形102との間の位置が、出力信号を決定することになる。
【0008】
動作中、ナビゲーション地形102は、光学デバイス101の光源モジュール103からの光放射110によって照らされる。光放射110は、ナビゲーション地形102との相互作用によって処理される。これにより、放射する光放射110におけるパターンが、ナビゲーション地形102から(例えば、透過されるか又は反射されて)伝搬される、出口の光放射(exit optical radiation)112において修正される。本発明のいくつかの実施形態において、出口光放射112におけるパターンが、ナビゲーション地形102の表面106と、照射する光放射110との相互作用(例えば、反射か又は拡散)によって修正される。代替的には、例えば、ナビゲーション地形102のボリュームによる光放射110の伝送中に生じる相互作用を介して前記パターンを修正することができる。
【0009】
検出器(例えば、検出器アレイ104)は、パターン化された出口光放射112を取り込み、信号114を生成する。出口光放射112において存在する縞パターンは、照射する光放射110の2つの入射波面の干渉と、ナビゲーション地形102によるそれらの互いの相互作用との結果から生じる。これらの縞パターンは、ナビゲーション地形102の表面106における表面の高さ変動に直接的に対応する出口光放射112の空間強度特性における明と暗との変調である。取り込みを、検出器アレイ(例えば、CCDか、CMOSか、GaAsか、アモルファスシリコンか、又は任意の他の適合可能な検出器アレイ)を用いて実施することができる。典型的には、光源モジュール103から放射される光放射110における波長スペクトラムは、信号効率を最適化するために、検出器アレイ104に応答する波長に一致させられる。信号114は、次いで、プロセッサ105に伝達される。該プロセッサ105において、信号114は、更に処理されて、信号114に応答して出力信号116が生成される。例えば、プロセッサ105において、相対動作を決定するために処理することを、従来から使用されている相関アルゴリズムを用いて実施することができる。該相関アルゴリズムは、取り込まれたフレームの連続的なペアを比較する。本発明のいくつかの実施形態において、タイミング信号を、相対速度を決定するために提供することができる。出力信号116を、例えば、コンピュータ画面上のポインタの位置を駆動するために構成することができる。
【0010】
光源モジュール103と検出器アレイ104とが、構造上の完全性のために、光学デバイス101内において典型的には一緒にパッケージ化される。オプションで、プロセッサ105もまた、光学デバイス(例えば、光学デバイス101)内においてパッケージ化されることが可能であるが、代替的には、光学ナビゲーションシステム10内のどこか異なる場所に配置されることも可能である。本発明のいくつかの実施形態において、光学デバイス101は、コンピュータシステムのための光学マウスを表し、オプションで、オペレータによって手動で動かすことができる。
【0011】
図2Aは、本発明の実施形態による、投影縞技法を用いた光学ナビゲーションのためのシステム実施例200を示す光学的な概略図である。システム200は、マイケルソン/トワイマン−グリーン(Michelson/Twyman-Green)干渉計構成が組み込まれ、分光器24と反射器25〜26とを含む。該分光器と該反射器とが、コヒーレントな光源21からの光を、2つの重複するコヒーレントな光ビーム(平面波)204、206へと、分光し、再方向付けする。該光ビーム204、206が、ナビゲーション面22を照らす。コヒーレントな光源21(例えば、VCSELレーザ光源)からの光は、拡散する光ビーム201として放射される。該拡散する光ビーム201は次いで、例えば平行素子23を用いて平行化されて、平行光ビーム202が形成される。分光器(スプリッタ)24において、平行光ビーム202が、反射ビーム203aとして部分的に反射され、且つ、伝送ビーム205として部分的に伝達される。反射ビーム203aは、反射器25から反射ビーム203bへと反射され、それが次いで、照射ビーム204へと部分的に分光器24を透過する。同様に、伝送ビーム205aは、反射ビーム205bとして反射され、それが次いで、分光器24から照射ビーム206へと部分的に反射される。
【0012】
反射器26は、反射器25に対して通常、小さなウェッジ(wedge)角度において傾けられている。これにより、添付の詳細部の照射ビーム204の波ベクトル
【0013】
【数1】

【0014】
と(以下、この波ベクトルを[k]と記載する)、照射ビーム206の波ベクトル
【0015】
【数2】

【0016】
と(以下、この波ベクトルを[k]と記載する)に示されるように、照射ビーム204及び206が、互いに対して角度シータ(θ)で重複する。その2つの平面波204、206は、損失の大部分が無く、等しい強度をとることができ、干渉して、縞間隔で、ナビゲーション面22上において交互に現われる明暗の縞の投影パターンを生成する。
【0017】
d2=(波長/2)/(sin(θ/2)) (1)
ここで、縞間隔d2は、暗い縞の中心から、その次の近傍の明るい縞の中心までが測定され、ここで、θは、波ベクトル[k]と波ベクトル[k]との間の角度である。これは、モアレ測定学の周知の技法である。これにより、表面の変形、表面の振動、及び表面輪郭(surface contour)を測定することができる。簡単化のため、反射ビーム203bの部分的な反射によって、及び、反射ビーム205bの部分的な伝達によって、分光器24において形成されたビームは、図示されていない。後者の部分的に伝達されるビームは、光源21の空洞(キャビティ)に再入力される可能性があり、悪影響を受ける可能性があるレーザモード性能であるが、このことは、該ビームが再入力されるのを防ぐために分光器をわずかに回転させることによって避けることができる。代替として、アイソレータ(例えば、ファラデー回転子)を、レーザと分光器との間に配置することができる。
【0018】
表面(例えば、ナビゲーション面22)が、2つのコヒーレントな平面波(例えば、照射ビーム204、206)によって照らされる場合には、それらビームは、干渉することとなり、前記表面が投影縞を交差させる、一連の交互に現われる明暗の輪郭(コンター)パターンが形成されることとなる。照射された表面が、検出器アレイ28(例えば、CMOSアレイイメージャか、又はカメラ)上へと撮像される場合には、表面輪郭(すなわち、表面の高さの変動)の恒久的な記録が生成される。例えば、拡散する光線207を取り込んで、光線208を、対応する検出器アレイ28のピクセル上へと、撮像素子27を用いて再集束させることによって、ナビゲーション面22上の点は、検出器アレイ28上へと撮像(イメージ化)されることが可能である。ナビゲーション面22の各点は、これにより、検出器アレイ28上におけるユニークな点に撮像(イメージ化)される。
【0019】
図2Bは、本発明の実施形態による、投影縞技法を用いた光学ナビゲーションのための代替のシステム実施例220を示す光学的な概略図である。コヒーレントな光源21(例えば、VCSELレーザ光源)からの光は、誘導された光路(例えば、光ファイバ221)上へと放射される。分光器213において、光は、複数の誘導された光路内へと分光される。該光路は、簡単化のために、デュアル光ファイバ222及び223によって示されており、それぞれのコヒーレントな点光源A及びBに導かれる。該点光源A及びBは、距離d1だけ空間的に分離されている。デュアルコヒーレント点光源A及びBの各々からの光は、異なる光路長の異なる非誘導経路を、ナビゲーション面212へと伝搬する。例えば、点光源Aからの、ナビゲーション面212の点P(226)上の光入射は、光路長
【0020】
【数3】

【0021】
の非誘導光路224を伝搬するのに対し、点光源Bからの、ナビゲーション面212の点P(226)上の光入射は、光路長
【0022】
【数4】

【0023】
の非誘導光路225を伝搬する。
【0024】
図2Aに関連して提供される解析に従って、近接して隔置されたコヒーレントな点光源A及びBからナビゲーション面212に導かれる光は、重なり合って、干渉パターンが生成される。該干渉パターンは、ナビゲーション面212上に入射し、該ナビゲーション面212において、ナビゲーション面212の表面トポグラフィによって、それが更に変調され、表面の高さの変動のユニークな光学表現が生成される。図2Bにおいて、表面212上の点P(226)からの拡散光227は、集束光228により撮像素子214によって、検出器アレイ215の素子又はピクセル216上へと撮像されるように示されている。同様に、組み合わされたコヒーレント点光源A及びBからの重複光は、ナビゲーション面212上の点の連続体(continuum)を照らす。ナビゲーション面を画定する、この点の連続体は、反射された光の空間的な強度特性(intensity profile)を変調する。該点の連続体は次々に、検出器アレイ215の対応するピクセル上へと撮像される。ナビゲーション面212上の各点は、これにより、検出器アレイ215上のユニークな位置へと撮像(イメージ化)される。検出器アレイ215において、信号は、2つの経路から到来する光の干渉に応答して生成される。2次元の相対動作(例えば、図2Bの詳細部の速度軸において示されるv、v速度成分)が、従来の空間的な相関アルゴリズムから決定される。
【0025】
図2A及び図2Bに関連して説明された技法は、光学ナビゲーション技術としての用途を(例えば、光学マウスにおいて)有する。光源と検出器とが、コンピュータのマウスのようなハウジング内において、互いに対して寸法的に固定されている。これにより、前記光源と検出器とが、ナビゲーション面22に対する1つのユニットとして変換する。該ナビゲーション面を変換する場合には、検出器アレイにおいて見られる縞パターン(強度変動)が変化する。
【0026】
図2Aにおいて、縞間隔d2は、ビーム204と206とが重なり且つ干渉するボリューム全体にわたる3次元空間の縞パターンを画定する。従って、この3次元の縞パターンは、それが交差する任意の横方向か又は縦方向の面上における2次元の縞画像パターンを投影することとなる。具体的には、ビーム204と206との重複によって生成された干渉パターンは、縞画像パターンをナビゲーション面22上へと投影することとなる。
【0027】
図2Cは、本発明の実施形態による、投影縞技法を用いた光学ナビゲーションのための更に別の代替のシステム実施例220を示す光学的な概略図である。光学ナビゲーションデバイス231は、光源233a、233bと、検出器アレイ215と、構造用支持部材(複数可)232に実装された光学素子214、235a、235bとを提供する。交差するコヒーレントな光ビーム236aと236bとは、重なり合って、干渉(又はモアレ)縞パターン237を生成する。該干渉縞パターン237は、ナビゲーション地形を照らす。干渉パターン237は、ナビゲーション地形のトポグラフィによって更に変調され、撮像素子214によって検出器アレイ215上へと撮像される。図2A及び2Bにおけるように、光学ナビゲーションデバイス231とナビゲーション地形212との間の相対動作が、撮像された変調された干渉パターンの変化として検出される。
【0028】
図2Cにおいて示されるように、重複するコヒーレントな光ビーム236a及び236bは、別個のコヒーレントな光源233a、233bによってそれぞれ生成される。該光源を、例えば、ダイオード放射、レーザダイオード、レーザ、及び面発光レーザ(vertical-cavity surface emitting laser:VCSEL)から選択することができる。縞パターンを安定させることが必要とされる場合には、2つの別個のレーザ源間のコヒーレンスを、任意の多くの従来の技法(例えば、Snadden他著、Optics Letters, Vol.22, No.12, 892〜894頁,1997年6月15日、及び本明細書内において引用される参考文献を参照のこと)を用いて、該レーザ源を互いに対して位相ロックする(位相同期させる)ことによって、達成且つ維持することができる。代替として、図2A及び図2B内において示された手法と類似の手法において、コヒーレントなビームを単一光源から分光することによって、重複するコヒーレントな光ビーム236a及び236bを生成することができる。波長可変光源を、本発明の任意の実施形態において、所望のように使用することができる。図2Cにおいて示されるように、各拡散ビーム235a、235bは、従って、回折素子234a、234bによって平行化され且つ再方向付けがなされて、重複するコヒーレントな光ビーム236a、236bが提供される。代替として、拡散ビーム235a、235bが、単一か又は複数の非回折光学素子を用いて、平行化され且つ再方向付けされることが可能である。
【0029】
ナビゲーション面22上か又は212上において投影された縞の、検出された画像信号を、電気的に処理することによって(連続的な画像フレーム上において相関計算を実施)、ナビゲーション面の、相対的な2次元の内面(in-plane)動作(変位、速度)が得られる。プロセッサ出力信号を、次いで、コンピュータ画面上のポインタの位置を制御するために使用することができる。
【0030】
連続的な格納されたフレームを比較することによって、プロセッサ105(図1を参照)は、相対動作を決定することができる。これにより、連続的なフレームの相関計算は、相対的な内面動作の距離と方向とを決定するために使用されることが可能となる。取り込まれたフレームは、連続的な取り込まれたフレームと部分的に重なり合う。従って、ナビゲーションソフトウェアのアルゴリズムは、2フレーム以上における特定の識別可能な点において、「注目する(look)」ことができ、次いで、各々が移動した距離と方向とを計算する。連続的なフレーム対を格納することによって、重複した特徴を、プロセッサ105において従来の相関アルゴリズムを用いて決定することができる。これにより、移動の方向と大きさとがもたらされる。このプロセスは、米国特許第5,786,804号において、詳細に記載されており、連続的な面フレームの比較に依存した光学ポインティングデバイスのために広く用いられている。ここで、該面フレームは、従来の技術に従って(例えば、表面から反射された光放射によって生成された影によって)生成される。
【0031】
図3は、本発明の実施形態による、ナビゲーションデバイスに対するナビゲーション面の2次元動作を光学的に決定するための動作シーケンス300を示すフローチャートである。動作302において、コヒーレントな光ビーム(例えば、ビーム202)が、提供される。該コヒーレントな光ビームは、動作303において、2つの重複する(交差する)コヒーレントなビーム(例えば、ビーム204及び206)へと分光され且つ再方向付けられる。代替として、動作302及び303において、2つの重複するコヒーレントなビームはそれぞれ、別個のコヒーレントな光源から生成される。後者の場合には、2つの光源の互いに対する位相ロック(位相同期)を使用して、必要とされるならばコヒーレンスを維持することができる。別個に生成されたビームを、次いで、単一か又は複数の回折及び/又は非回折光学素子を用いて、平行にし且つ再方向付けることができる。動作304において、2つの重複するコヒーレントなビームは、干渉パターンを生成する。該干渉パターンは、動作305において、ナビゲーション面(例えば、ナビゲーション面22)上へと投影される。動作306において、その投影された干渉パターンは、検出器アレイ(例えば、検出器アレイ28)上へと撮像(イメージ化)される。該検出器アレイは、動作307において処理した信号を提供する。動作308において、該処理した信号は、ナビゲーション面22と検出器アレイ28との2次元動作を決定するために連続的なフレーム対において相関がとられる。2次元の位置出力及び/又は速度出力が、動作309において提供される。
【0032】
上記の説明は、2次元の投影縞パターンを用いて、ナビゲーション面に対する検出器の内面動作を決定することによって提供された。この2次元の技法は、光学マウスと共に用いることに高い有用可能性がある。
【0033】
図4は、本発明の実施形態による、コンピュータシステム400を示す概略図である。光学マウス410は、固定されたナビゲーション面420に対して移動し、典型的には、図1内の光源モジュール103に類似したコヒーレントな光源と、図1内の検出器アレイ104に類似した検出器とを含む。連続的な位置画像が処理されて、表示のためにCPU430へとワイヤを介してか又はワイヤレスに送られて、通常、コンピュータ表示画面440上の小さな矢印、すなわちポインタの位置が制御される。典型的には、位置的な処理は、例えば、図1内の画像プロセッサ105に類似したプロセッサによって、光学マウス410の内部において実行される。代替として、処理するためにワイヤを介してか又はワイヤレスに、光学マウス410からCPU430へと生(raw)画像データ(又は他の中間データ)を送ることが可能である。光学マウス410は、オプションで、オペレータによって手動で動かすことができる。CPU430は、典型的には、ユーザ入力デバイス(例えば、キーボード)と相互接続される。
【0034】
本発明は、特定の実施形態に関連して説明されてきたが、多くの代替、修正、及び変形形態が、上述の説明と照らし合わせて明らかにされるであろうことが当業者であれば明白である。従って、本発明は、その原理内及び添付の特許請求の範囲内にある全ての他のそのような代替、修正、及び変形形態を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態による、光学ナビゲーションのためのシステムを示す上位レベルのブロック図である。
【図2A】本発明の実施形態による、投影縞技法を用いた光学ナビゲーションのためのシステム実施例を示す光学的な概略図である。
【図2B】本発明の実施形態による、投影縞技法を用いた光学ナビゲーションのための代替のシステム実施例を示す光学的な概略図である。
【図2C】本発明の実施形態による、投影縞技法を用いた光学ナビゲーションのための更に別の代替のシステム実施例を示す光学的な概略図である。
【図3】本発明の実施形態による、ナビゲーションデバイスに対するナビゲーション面の2次元動作を光学的に決定するための動作シーケンスを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態による、コンピュータシステムを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション地形(102)に対する動作(107、108)を決定するための光学ナビゲーションシステム(10)であって、
コヒーレントな光放射の2つの重複するビーム(204、206)を生成するために動作可能な光学ナビゲーションデバイス(101)であって、前記2つの重複するビームが、干渉縞パターン(237)を生成するよう動作可能であり、これにより、前記縞パターンを有する前記2つの重複するビームが、前記ナビゲーション地形(102)の表面部分(22,212)を照らすよう動作可能であることからなる、光学ナビゲーションデバイスと、
入力光学画像パターン(207、208)に応答して、信号(114)の出力パターンを生成するために動作可能な検出器アレイ(215)と、
前記2つの重複するビームによって照らされた前記ナビゲーション地形表面の一部分を前記検出器アレイ上へと撮像するために配置された、撮像素子(27、214)
とを備える、システム。
【請求項2】
コヒーレントな光放射の第1のビーム(201、221)を生成するために動作可能な第1の光源(21、103)と、
前記コヒーレントな光放射の前記第1のビームを、前記コヒーレントな光放射の2つの重複するビームへと分光するために動作可能なビーム分光素子(24、213)であって、前記重複するビームの各々は、前記第1のビームと実施的には同程度のコヒーレンスを有することからなる、ビーム分光素子
とを更に備えることからなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ビーム分光素子は、実質的にはマイケルソン干渉計(24〜26)として構成され、
前記重複するビームは、互いに対して角度θにおいて伝搬することからなる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記検出器アレイ(28、104、215)からの信号(114)の前記パターンを処理するために且つ前記干渉縞パターンに対する前記ナビゲーション地形位置(22、102、212)の2次元動作(107、108)を表す出力を生成するために動作可能なプロセッサ(105)を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
コヒーレントな光放射の2つの別個の光源(233a、233b)を更に備え、前記別個の光源の各々は、前記コヒーレントな光放射の2つの重複するビーム(236a、236b)のうちの1つを生成するよう動作可能であることからなる、請求項1に記載のシステム(230)。
【請求項6】
前記2つの別個の光源は、互いに対して位相ロック(237)されるよう動作可能である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
2つの重複するコヒーレントな光ビームを生成し(303)、
前記2つの重複する光ビーム間の干渉縞(304)パターンを生成し、
前記干渉縞パターンによって前記ナビゲーション地形の表面部分を照らし(305)、
縞が照らされた前記表面部分を撮像し(306)、及び、
前記撮像された、縞が照らされた前記表面部分に応答して、信号のパターンを生成する(306〜307)
ことを含む、光学ナビゲーションデバイスとナビゲーション地形との間の相対動作を決定するための方法(300)。
【請求項8】
前記2つの重複するコヒーレントな光ビームを生成することは、
単一光源からのコヒーレントな光放射の第1のビーム(302)を生成し、及び、
前記第1のビーム(302)を、2つの重複するコヒーレントな光ビームに分光(303)する
ことを含み、
前記重複する光ビームは、前記第1のビームと実質的には同程度のコヒーレンスを有することからなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記干渉縞パターンに対する前記ナビゲーション地形部分の2次元動作を表す出力信号(309)を生成するために、信号の前記パターンを処理すること(307、308)を追加的に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記2つの重複するコヒーレントな光ビーム(236a、236b)を生成することは、別個の光源(233a、233b)から、前記重複するコヒーレントな光ビームの各々を生成することを含むことからなる、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−517198(P2007−517198A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545355(P2006−545355)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/042011
【国際公開番号】WO2005/065178
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(506076606)アバゴ・テクノロジーズ・ジェネラル・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (129)
【Fターム(参考)】