説明

抗炎症活性を有するマクロライドコンジュゲート

本発明は、式(I)(式中、Mは、部分構造II、すなわち式(II)を有するマクロライドサブユニットを示し、Lは、部分構造III、すなわち式(III)の鎖を示し、Dは、抗炎症活性を有するステロイド系薬物または非ステロイド系(NSAID)薬物から誘導されるステロイドサブユニットまたは非ステロイドサブユニットを示す)によって示される新しい化合物に関する。本発明はまた、これら調製された化合物の医薬的に許容される塩および溶媒和化合物、それらを調製するための方法および中間体、ならびに、ヒトおよび動物における炎症性の疾患および状態の治療におけるより良い治療作用および使用にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張:本明細書は、その全体を参照により本明細書に組み込む2003年4月24日に出願されたクロアチア特許出願HR P20030324に対して優先権を主張する。
【0002】
本発明は、a)構造I
【0003】
【化1】

【0004】
によって示される新しい化合物(式中、Mは、炎症細胞で蓄積する性質を有する、マクロライドから誘導されるマクロライドサブユニットを示し、Dは、ステロイドサブユニット、または非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)から誘導される非ステロイドサブユニットを示し、Lは、MおよびDを連結する鎖を示す)、b)それらの薬理学的に許容される塩および溶媒和化合物、c)それらを調製するための方法および中間体、ならびに、d)ヒトおよび動物における炎症性の疾患および状態の治療におけるそれらの活性および使用に関する。詳細には、マクロライドサブユニットは、アジスロマイシンのアグリコンサブユニットであり、リンカーLを介し、アグリコンサブユニットの9a位の窒素を通してDに結合されている。
【背景技術】
【0005】
抗炎症性医薬品は、ステロイド系、および非ステロイド型の医薬品に分類することができる。抗炎症性ステロイド化合物は、今なお、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎や鼻ポリープなどの炎症性鼻疾患、クローン病、大腸炎、潰瘍性大腸炎などの腸疾患、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、そう痒症などの皮膚炎症、結膜炎、ならびに関節リウマチなど炎症性の疾患および状態の治療において最も有効なものである。優れた効力および有効性に加えて、このタイプの医薬品は、多数の望ましくない副作用(例えば、糖質代謝の障害、カルシウム再吸収の低下、内因性コルチコステロイド分泌の低下、ならびに、脳下垂体、副腎皮質、および胸腺の生理機能の障害)も有している。市販されているステロイドは、炎症状態および炎症過程に対して極めて有効である一方、それらの全身性副作用は低減されている。国際公開第94/13690号、国際公開第94/14834号、国際公開第92/13872号、および国際公開第92/13873号は、炎症部位に局所適用するために設計されたいわゆる「ソフト」ステロイドまたは加水分解性コルチコステロイドを記載しているが、それらの全身性副作用は血清中での加水分解により低減されており、活性なステロイドは極めて迅速に加水分解して不活性型となる。しかし、喘息やクローン病などの疾患を制御するために必要とされる、長期間で連続的な治療において望ましくない作用が無い理想的なステロイドはまだ発見されておらず、そのため、より良い治療プロファイルを有するステロイドの発見および開発に対して熱心な取り組みがなされている。
【0006】
マクロライド抗生物質は、被験者の様々な細胞内で、特に、末梢血単核細胞、腹腔マクロファージ、および肺胞マクロファージなどの食細胞内で優先的に蓄積する。(Gladue, R. P. 他、Antimicrob. Agents Chemother.、1989年、33、277〜282頁; Olsen、 K. M.他、Antimicrob. Agents Chemother.、1996年、40、2582〜2585頁)。いくつかのマクロライドの炎症性作用が文献で記載されているが、それらの作用は比較的弱い。例えば、エリスロマイシン誘導体(J. Antimicrob. Chemother.、1998年、41、37〜46頁;国際公開第00/42055号)およびアジスロマイシン誘導体の抗炎症作用が記載されている(欧州特許Br. 0283055)。いくつかのマクロライドの抗炎症作用は、ザイモサンで誘導したマウスの腹膜炎(J.Antimicrob. Chemother.、1992年、30、339〜348頁)やエンドトキシンで誘導したラット気管での好中球蓄積(J. Immunol.、1997年、159、3395〜4005頁)など実験動物モデルでのin vitroおよびin vivoの研究からも分かっている。インターロイキン8(IL-8)(Am. J. Respir. Crit. Care. Med.、1997年、156、266〜271頁)やインターロイキン5(IL-5)(欧州特許Br. 0775489および欧州特許Br. 771564)などのサイトカインに対するマクロライドの調節作用も、同様に知られている。
【0007】
その全体を参照により本明細書に組み込むクロアチア特許出願HR 20010018、国際公開第04/005309号、国際公開第04/005310号、および国際公開第02/05531号は、以下の形
【0008】
【化2】

【0009】
の化合物(式中、Mは、炎症細胞で蓄積する性質を有するマクロライドサブユニットを示し、Aは、ステロイド系でも非ステロイド系でもよい抗炎症性サブユニットを示し、Lは、MおよびAを連結する鎖を示す)、ならびに、炎症性の疾患および状態の治療におけるこれらの化合物のより良い治療作用を記載している。コンジュゲートのマクロライド部分は、常に1つまたは2つの糖部分を有している。
【0010】
ステロイドサブユニットまたは非ステロイドサブユニットがマクロライドの窒素を介してマクロライドサブユニットに結合されており、アグリコン部分のみを有し、C/3位にもC/5位にも糖の置換基が無く、また、前述の治療作用も有する化合物はこれまでに記載されていない。
【特許文献1】クロアチア特許出願HR P20030324
【特許文献2】国際公開第94/13690号
【特許文献3】国際公開第94/14834号
【特許文献4】国際公開第92/13872号
【特許文献5】国際公開第92/13873号
【特許文献6】国際公開第00/42055号
【特許文献7】欧州特許Br. 0283055
【特許文献8】欧州特許Br. 0775489
【特許文献9】欧州特許Br. 771564
【特許文献10】クロアチア特許出願HR 20010018
【特許文献11】国際公開第04/005309号
【特許文献12】国際公開第04/005310号
【特許文献13】国際公開第02/05531号
【特許文献14】米国特許第6297260号
【特許文献15】国際公開第01/87890号
【特許文献16】国際公開第02/055531号
【特許文献17】米国特許第6402733号
【特許文献18】米国特許第6273086号
【特許文献19】米国特許第6228346号
【非特許文献1】Gladue, R. P. 他、Antimicrob. Agents Chemother.、1989年、33、277〜282頁
【非特許文献2】Olsen、 K. M.他、Antimicrob. Agents Chemother.、1996年、40、2582〜2585頁
【非特許文献3】J. Antimicrob. Chemother.、1998年、41、37〜46頁
【非特許文献4】J.Antimicrob. Chemother.、1992年、30、339〜348頁
【非特許文献5】J. Immunol.、1997年、159、3395〜4005頁
【非特許文献6】Am J. Respir. Crit. Care. Med.、1997年、156、266〜271頁
【非特許文献7】Berge S. M.他、「Pharmaceutical Salts」、J.of Pharma. Sci.、1977年、66:1頁
【非特許文献8】米国薬局方
【非特許文献9】E.W.Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」第18版
【非特許文献10】Costa, A. M.他、Tetrahedron Letters、2000年、41、3371〜3375頁
【非特許文献11】Huang C.M.他、Chem.&Biol、2000年、7、453〜461頁、
【非特許文献12】Hess S.他、Bioorg.&Med. Chem.、2001年、9、1279〜1291頁)
【非特許文献13】Pandori M. W.他、Chem.&Biol.、2002年、9、567〜573頁
【非特許文献14】Protective Groups in Organic Synthesis 第2版、John Wiley & Son, Inc 、1991年の中のT.W. GreeneおよびP.G.M Wuts
【非特許文献15】Protecting Groups、Georg Thieme Verlag、1994年の中のP.J. Kocienski
【非特許文献16】Newman他、Thorax、1985年、40:61〜676頁
【非特許文献17】Berenberg, M., J.、Asthma USA、1985年、22:87〜92頁
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
式Iによって示される化合物の特徴は、前述した炎症性の疾患および状態の標的器官および標的細胞中で選択的に蓄積することである。これらの薬物動態学的性質により、式Iによって示される化合物が炎症メディエータの産生を阻害することによって、炎症細胞の炎症部位で作用することが可能になる。このような方法では、コルチコステロイドまたは非ステロイド系の抗炎症性分子の望ましくない全身性副作用が回避され、ステロイドまたはNSAID成分の治療作用が最も必要とされている領域に標的化される。局所投与または全身投与後、分子は迅速に炎症細胞中で蓄積し、そこで、サイトカインおよびケモカイン、ならびに/または他の炎症メディエータの産生を阻害することにより作用し、それにより炎症を鎮める。
【0012】
既知の確立された現況技術によれば、本発明の目的である式Iによって示される化合物、薬理学的に許容されるそれらの塩、それらを含む医薬組成物、およびそれらを生成するための方法はこれまで記述されていない。発明の目的である化合物のうちのどれも、抗炎症性物質としても炎症組織での好酸球蓄積の阻害剤としても記述されていない。
【0013】
一態様では、本発明は、
a)式I
【0014】
【化3】

【0015】
[式中、Mは、部分構造II
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、互いに独立しており、水素、あるいは、C1〜C4アルキル(好ましくはメチル)、アルカノイル(好ましくはアセチル)、アルコキシカルボニル(好ましくはメトキシカルボニルまたはtert-ブトキシカルボニル)、アリールメトキシカルボニル(好ましくはベンジルオキシカルボニル)、アロイル(好ましくはベンゾイル)、アリールアルキル(好ましくはベンジル)、アルキルシリル(好ましくはトリメチルシリル)、アルキルシリルアルコキシアルキル(好ましくはトリメチルシリルエトキシメチル)などの基である)を有するマクロライドサブユニットを示す]
によって示される化合物に関する。
【0018】
別の態様では、R1、R2、R3、R4およびR5は、C1〜C4アルキルおよび水素からなる群からそれぞれ独立に選択される。
【0019】
別の態様では、R1、R2、R3、R4およびR5は、メチルおよび水素からなる群からそれぞれ独立に選択される。
【0020】
RNは、L鎖のX1との共有結合を示し、
Lは、部分構造III
-X1-(CH2)m-Q-(CH2)n-X2-
III
(式中、X1は-CH2-または-C(O)-であり、
X2は、-NH-または-O-であり、
Qは、-NH-または-CH2-であり、
mおよびnは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、ただし、Qが-NHのときは、nは0にはなることができない)
を有するリンカー鎖を示す。
【0021】
別の態様では、X1はCH2であり、X2はNHである。
【0022】
本発明の別の態様では、m=1、n=1、Q=CH2である。
【0023】
この結合基の定義は、非ステロイド系化合物と式IIのマクロライドのコンジュゲートに対してだけではなく、式Iの示す範囲内の任意のコンジュゲートにも適用されることが好ましい。当技術分野で公知であるように、必要なスペーサーを提供し、式Iの1つのサブユニットを別のサブユニットと結合する助けとなることができるものであるならば、他の結合基を使用することができる。例えば、その全体を参照により本明細書に組み込む米国特許第6297260号において、請求項1およびそこに含まれているNSAIDの具体的なリストで記載されている。
【0024】
Dは、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)から誘導される非ステロイドサブユニット、またはステロイドサブユニット、好ましくは部分構造IV
【0025】
【化5】

【0026】
(式中、RaおよびRbは、それぞれ独立に、水素またはハロゲンであり、
Rfは、水素、ヒドロキシル基、またはハロゲン(好ましくは塩素)であり、あるいは、結合している炭素原子と共にC=O(カルボニル)基を形成し、
Rcは、L鎖のX2との共有結合であり、
RdおよびReは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシ、メチルまたはC1〜C4アルコキシ(好ましくはメトキシまたはn-プロポキシ)であり、あるいは、付随するC原子とともに、さらにアルキルまたはアルケニルで一置換または二置換することができる1,3-ジオキソラン環(好ましくは2,2-ジメチル環、2-モノプロピル環、またはtrans-プロペニル環)を示し、
Rjは、水素またはハロゲン(好ましくは塩素)である)
を有するステロイドサブユニットを示す。
【0027】
別の態様では、本発明は、
【0028】
【化6】

【0029】
からなる群から選択される式IVの化合物に関する。
【0030】
別の態様では、本発明は、前述の化合物を調製するための方法、およびそのような調製で使用できる中間体に関する。
【0031】
第3の態様では、本発明は、前述の化合物のうちの1種または複数を炎症過程を抑制するのに十分な量で組み合わせることに関する(例えば、本発明の2種以上のNSAIDコンジュゲート、本発明の2種以上のステロイドコンジュゲート、少なくとも1種が本発明のNSAIDコンジュゲートであり、少なくとも1種が本発明のステロイドコンジュゲートである、本発明の2種以上の化合物)。これらの組合せは、必要な場合は、炎症性の疾患および状態を治療するためのより強い抗炎症性活性を与える。
【0032】
さらに別の態様では、本発明は、炎症過程によって引き起こされる障害および状態の治療において前述の化合物を使用するための方法、あるいは、前述の障害の治療またはこのような治療用の医薬品の製造における本発明の化合物の使用を対象とする。
【0033】
本発明のさらに別の態様では、医薬的に許容される希釈剤または担体を含めて、本発明の化合物を含む医薬組成物、および医薬的に許容されるその塩または溶媒和化合物が企図されている。例として、それだけには限らないが、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシビニルポリマーおよびその塩、アルギン酸およびその塩、アルギン酸プロピレングリコール、、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、N-ビニルアセトアミドポリマー、ポリビニルメタクリレート、ポリエチレングリコール、プルロニック、ゼラチン、メチルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体、デンプン、可溶性デンプンクロスカレムロース(croscaremlose)、プルラン、アクリル酸メチルとアクリル酸2-エチルヘキシルレシチンの共重合体、レシチン誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルポリオキシエチレン水和ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ならびにプルロニックが含まれる。希釈剤を使用する場合に適切な緩衝液系は、pH範囲が4〜8であり、タオールおよびイソプロパノールのような低分子量のアルコールを含むものである。保存剤およびマスキング剤の使用が適切である。
【0034】
本発明のさらに別の態様では、望ましくない炎症性の免疫応答を特徴とするか、またはそれに関連する炎症性の疾患、障害、および状態、ならびに、TNF-αおよびIL-1の過剰分泌によって誘発されるか、またはそれに関連するすべての疾患および状態を治療する方法であって、本発明の化合物の治療有効量を被験者に投与することを含む方法が提供される。
【0035】
本発明のさらに別の態様では、治療を必要とする被験者において炎症を起こした組織中への白血球の浸潤に関連する炎症性の状態および免疫異常またはアナフィラキシー性の障害を治療する方法であって、本発明の化合物の治療有効量を前記被験者に投与することを含む方法が提供される。
【0036】
本発明のさらに別の態様では、本発明の化合物によって治療する炎症性の状態および免疫異常は、喘息、成人呼吸窮迫症候群、気管支炎、嚢胞性線維症、関節リウマチ、脊椎リウマチ、変形関節炎、痛風関節炎、ブドウ膜炎、結膜炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、遠位直腸炎、乾癬、湿疹、皮膚炎、心筋梗塞損傷、慢性炎症、エンドトキシンショック、および平滑筋増殖異常からなる群から選択される。
【0037】
本発明のさらに別の態様では、本発明の化合物によって治療する炎症性の状態および免疫異常は、喘息、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患、クローン病、気管支炎、および嚢胞性線維症からなる群から選択される。
【0038】
本発明のさらに別の態様では、サイトカインまたは炎症メディエータの非調節な過剰産生を特徴とするか、またはそれに関連する炎症性の疾患、障害、および状態を治療する方法であって、本発明の化合物の治療有効量を被験者に投与することを含む方法が提供される。
【0039】
記号M、LおよびDは、式Iの化合物の異なる3種のサブユニットを示す。記号Mは、マクロライドサブユニットを示し、記号Dは、L鎖を介してマクロライドサブユニットMに結合されているステロイドサブユニットまたは非ステロイドサブユニットを示す。
【0040】
式Iにおいて、Dは、非ステロイド系抗炎症性サブユニット、すなわち、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の部分を示す。適切なNSAIDには、それだけには限らないが、様々なシクロオキシゲナーゼのイソ酵素(それだけには限らないが、シクロオキシゲナーゼ-1およびシクロオキシゲナーゼ-2を含む)の阻害剤を含めて、シクロオキシゲナーゼ、すなわち、プロスタグランジンおよびある種のオートイド(autocoid)阻害剤の生合成を司る酵素を阻害するものが含まれる。これらは、シクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼの双方の阻害剤として、市販のNSAIDアセクロフェナク、アセメタシン、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセチルサリチル酸、アセチル-サリチル-2-アミノ-4-ピコリン酸、5-アミノアセチルサリチル酸、アルクロフェナック、アミノプロフェン、アンフェナク、アンピロン、アンピロキシカム、アニレニジン、ベンダザック、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、α-ビサボロール、ブロムフェナク、5-ブロモサリチル酸アセテート、ブロモサリゲニン、ブクロキス酸、ブチブフェン、カルプロフェン、セレコキシブ、クロモグリケート、シンメタシン、クリンダナック(clindanac)、クロピラック、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、ジタゾール、ドロキシカム、エンフェナム酸、エトドラク、エトフェナメート、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロズ酸、フェンドサル、フェノプロフェン、フェンチアザク、フェプラジノール、フルフェナック(flufenac)、フルフェナム酸、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、グルタメタシン(glutametacin)、サリチル酸グリコール、イブフェナック、イブプロフェン、イブプロキサム、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラク、イソキセパック、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メサラミン、メシアジン酸、モフェゾラク、モンテルカスト、ミコフェノール酸、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルム酸、ニメスリド、オルサラジン、オキサセプロール、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、パラセタモール、パルサルミド、ペリソキサール、アセチルサリチル酸フェニル、フェニルブタゾン、サリチル酸フェニル、ピラゾラク、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、レセルベラトール(reserveratol)、サラセタミド、サリチルアミド、サリチルアミド-O-アセチル酸、サリチル硫酸、サリシン、サリチルアミド、サルサレート、スリンダク、スプロフェン、スキシブタゾン、タモキシフェン、テノキシカム、テオフィリン、チアプロフェン酸、チアラミド、チクロプリジン(ticlopridine)、チノリジン、トルフェナム酸、トルメチン、トロペシン、キセンブシン、キモプロフェン、ザルトプロフェン、ゾメピラク、トモキシプロール、ザフィルルカスト、シクロスポリンなど非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)に関係する。さらなるNSAID類および個々のNSAID化合物は、参照によりその全体を組み込む米国特許第6297260号で(特に、その請求項1の一般式、およびそこに含まれているNSAIDの具体的なリスト、ならびに請求項3において)開示されており、また、チアズリデン(thiazulidene)NSAIDが、参照によりその全体を本明細書に組み込む国際公開第01/87890号で開示されている。インドメタシン、フルフェナム酸、フルニキシンおよびテオフィリンが好ましい。インドメタシンが最も好ましい。一部の実施形態では、NSAIDサブユニットは、アセチルサリチル酸でもミコフェノール酸でもない。
【0041】
式Iでは、Dは、それだけには限らないが、コルチコステロイド(糖質コルチコイドや鉱質コルチコイドなど)およびアンドロゲンを含めて、ステロイドサブユニットを示してもよい。コルチコステロイドの非限定的な例には、コルチゾール、コルチゾン、クロベタゾール、ヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロン、フルオシノニド、フルオコルトロン、フルオロメトロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6-α-メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、アルクロメタゾン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、アムシノニド、コルチバゾール、デソニド、デスオキシメタゾンジフルコルトロン、ジフルプレドナート、フルクロロロン、ジクロリゾン、フルペリニデン(fluperinidene)、フルチカゾン、ハルシノニド、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、パラメサゾン、プレドナゾリン、プレドニリデン、チキソコルトール、トリアムシノロン、ならびにそれらの酸誘導体、例えば、酢酸誘導体、プロピオン酸誘導体、ジプロピオン酸誘導体、吉草酸誘導体、リン酸誘導体、イソニコチン酸誘導体、メタスルホ安息香酸誘導体、テブテート誘導体、およびヘミコハク酸誘導体が含まれる。
【0042】
別段の記載が無い限り、以下の用語は、以下に示す意味を有する。
【0043】
「ハロゲン」とは、好ましくはフッ素、塩素または臭素(最も好ましくはフッ素または塩素)でよいハロゲン原子を意味する。
【0044】
「アルキル」とは、1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝の飽和一価炭化水素基を意味する。好ましい直鎖または分枝鎖のアルキルには、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル、ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルが含まれる。C1〜C4アルキルが好ましい。メチルが最も好ましい。アルキル基は、ハロゲン(好ましくはフッ素または塩素)、ヒドロキシ、アルコキシ(好ましくはメトキシまたはエトキシ)、アシル、アシルアミノシアノ、アミノ、N-(C1〜C4)アルキルアミノ(好ましくはN-メチルアミノまたはN-エチルアミノ)、N,N-ジ(C1〜C4アルキル)アミノ(好ましくはジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、アリール(好ましくはフェニル)、ヘテロアリール、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アリールオキシアリール、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルアルキル、カルボキシル置換アルキル、カルボキシルシクロアルキル、カルボキシル置換シクロアルキル、カルボキシルアリール、カルボキシル置換アリール、カルボキシルヘテロアリール、カルボキシル置換ヘテロアリール、カルボキシル複素環、カルボキシル置換複素環、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、およびオキシカルボニルアミノを含めて、1〜最大5つの置換基で置換されてよい。これらの置換アルキル基は、本発明の「アルキル」の定義の範囲内である。本発明の定義のアルキルは、アルコキシやアルカノイルなどのアルキル部分を有する他の基も含む。
【0045】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝の一価炭化水素基を意味する。アルケニル基は、アルキルの場合と同じ基で置換されてよく、このような任意選択で置換されたアルケニル基は、用語「アルケニル」の範囲に含まれる。エテニル、プロペニル、ブテニル、およびシクロヘキセニルが好ましい。
【0046】
「アルキニル」とは、2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖を有し、少なくとも1つ、好ましくは3つ以下の炭素-炭素三重結合を含有している直鎖または分枝の一価炭化水素基を意味する。アルキニル基は、アルキルの場合と同じ基で置換することができ、置換された基は、本発明の定義のアルキニルの範囲に含まれる。エチニル基、プロピニル基、およびブチニル基が好ましい。
【0047】
「シクロアルキル」とは、3〜8個の炭素原子を有し、任意選択でアリール基またはヘテロアリール基と縮合された単環を有する環状の基を意味する。シクロアルキル基は、下記に「アリール」に関して指定するように置換することができ、置換シクロアルキル基は、本発明の定義の「シクロアルキル」の範囲に含まれる。好ましいシクロアルキルは、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0048】
「アリール」とは、6〜14個の炭素原子を有し、フェニルなどの単環またはナフチルなど複数の縮合環を有する不飽和芳香族炭素環基を意味する。アリールは、任意選択で、脂肪族基またはアリール基とさらに縮合されてもよく、あるいは、ハロゲン(フッ素、塩素および/または臭素)、ヒドロキシ、C1〜C7アルキル、C1〜C7アルコキシもしくはアリールオキシ、C1〜C7アルキルチオもしくはアリールチオ、アルキルスルフォニル、シアノ、または第1級もしくはそれ以外のアミノなど1種または複数の置換基で置換することができる。
【0049】
「ヘテロアリール」とは、2〜10個の炭素原子およびO、SまたはNなど1〜4個のヘテロ原子を有する、単環または二環の芳香族炭化水素環を意味する。ヘテロアリール環は、任意選択で、別のヘテロアリール基、アリール基、または環状脂肪族基と縮合されてよい。このタイプの例は、フラン、チオフェン、イミダゾール、インドール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、ピロール、ピラゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピラジン、およびトリアジンであり、フラン、ピロール、ピリジン、およびインドールが好ましい。この用語は、上記にアリールに関して指定したのと同じ置換基で置換される基を含む。
【0050】
「複素環」とは、単一または複数の環、ならびに1〜10個の炭素原子、および窒素、硫黄または酸素から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の基であって、縮合環系では、他の環または環がアリールまたはヘテロアリールでよい基を意味する。複素環基は、アルキル基に関して指定したように置換することができ、そうして置換された複素環基は本発明の定義の範囲に含まれる。
【0051】
Rcが共有結合を示すとき、非ステロイドサブユニットまたはステロイドサブユニットのDは、Rcを介してL鎖と結合し、マクロライドサブユニットMに結合している。
【0052】
RNが共有結合を示すとき、マクロライドサブユニットMは、RNを介してL鎖と結合し、非ステロイドサブユニットまたはステロイドサブユニットのDに結合している。
【0053】
指定した薬理活性を有する、式Iによって示される化合物の調製において、本発明では、薬理学的に活性な化合物を調製する際の中間体として、いくつかの新しい化合物を調製した。本発明は、このような中間体にも関する。
【0054】
「塩」という用語は、酸付加塩も遊離塩基の付加塩も含むことができる。医薬的に許容される酸付加塩を形成させるのに使用してよい酸の例には、それだけには限らないが、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸など無毒性の無機酸から誘導される塩、ならびに、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシルアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸など無毒性の有機酸から誘導される塩が含まれる。これらの塩の非限定的な例には、ナパジシル酸塩、ベシル酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などが含まれる。アルギン酸などのアミノ酸、および グルコン酸、ガラクチロン酸の塩も企図される(例えば、Berge S. M.他、「Pharmaceutical Salts」、J.of Pharma. Sci.、1977年、66:1頁を参照のこと)。
【0055】
前記塩基性化合物の酸付加塩は、従来の方法で、その遊離塩基型を十分な量の所望の酸と接触させて塩を生成させることによって調製する。従来の方法でその塩型を塩基と接触させ、遊離塩基を単離することによって、遊離塩基型を再生させることができる。この遊離塩基型は、極性溶媒への溶解性など一部の物理的性質においてそれらの個々の塩型といくらか異なるが、その他の点では、この塩は、本発明の目的のためのそれらの個々の遊離塩基と等価である。
【0056】
医薬的に許容される塩基付加塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、有機アミンなどの金属またはアミンとともに形成される。陽イオンとして使用する金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどである。適切なアミンの例は、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、およびプロカインである。
【0057】
前記酸性化合物の塩基付加塩は、従来の方法で、その遊離酸型を十分な量の所望の塩基と接触させて塩を生成させることによって調製する。従来の方法でその塩型を酸と接触させ、遊離酸を単離することによって、遊離酸型を再生させることができる。
【0058】
「医薬的に許容される」という句は、本発明の組成物に関して使用するとき、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与されたときに、生理的に許容され、通常は有害反応を生じないような組成物の分子実体および他の成分を意味する。好ましくは、本明細書では、「医薬的に許容される」という用語は、連邦または州政府の規制機関に認可されていること、あるいは、米国薬局方、または哺乳動物、より具体的にはヒトでの使用に関する他の一般に認められている薬局方に記載されていることを意味する。
【0059】
本発明の医薬組成物に使用される「担体」という用語は、活性化合物がそれとともに投与される希釈剤、賦形剤、またはビヒクルを意味する。このような製薬用の担体は、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油など石油、動物、植物、または合成起源の油を含めて、水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、グリセロール水溶液、および油など滅菌した液体とすることができる。しかし、メマンチンは可溶性が高いため、水溶液が好ましい。適切な製薬用の担体は、E.W.Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」第18版に記載されている。即時放出、すなわち、60分以下など短期間での有効成分の大半またはすべての放出に適し、薬物の迅速な吸収を可能にする担体が本発明には特に好ましい。
【0060】
本発明は、式Iにより示される化合物によって形成される溶媒和化合物(好ましくは水和物)またはそれらの塩も含む。
【0061】
本発明は、式Iの個々の化合物によって形成され得るすべての生じうる互変異性体にも関する。
【0062】
本発明は、式Iの化合物のプロドラッグ、すなわち、哺乳動物の対象に投与するとin vivoで式(I)の活性な親ドラッグを放出する化合物も含む。式Iの化合物のプロドラッグは、修飾物質がin vivoで切断されて親化合物を放出できるように式Iの化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製する。プロドラッグは、式Iの化合物のヒドロキシ基、アミノ基、またはカルボキシ基が、in vivoで切断されて遊離のヒドロキシル基、アミノ基、またはカルボキシ基をそれぞれ再生できる任意の基に結合されている、式Iの化合物を含む。プロドラッグの例には、それだけには限らないが、式Iの化合物のエステル(例えば、酢酸エステル、ギ酸エステル、および安息香酸エステルの誘導体)が含まれる。
【0063】
式Iの化合物は、1つまたは複数のキラル中心を有し、また、個々の置換基の性質に応じて、幾何異性体も有することができる。空間内のそれらの原子の配列が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれている。互いに鏡像ではない立体異性体は「ジアステレオマー」と呼ばれ、重ねることが出来ない互いの鏡像であるものは、「鏡像異性体」と呼ばれている。化合物が1つのキラル中心を有するとき、1対の鏡像異性体が生じ得る。鏡像異性体は、その不斉中心の絶対配置によって特徴付けることができ、カーンおよびプレローグのR,S順位則により、または、その分子に偏光面を回転させ、右旋性または左旋性(すなわち、それぞれ(+)異性体または(-)異性体)と名付ける方法によって、記述される。キラル化合物は、個々の鏡像異性体として、または鏡像異性体の混合物として存在することができる。等しい比率の鏡像異性体を含有している混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれている。本発明は、式Iの化合物の個々の異性体すべてを含む。本明細書および特許請求の範囲における個々の化合物の記述または呼称は、個々の鏡像異性体も、その混合物、ないしはラセミ体も含むものとする。立体化学の決定および立体異性体の分離のための方法は、当技術分野で公知である。
【0064】
「医薬的に許容される賦形剤」とは、一般に安全で、非毒性で、生物学的にもその他の点でも望ましくない性質のない医薬組成物の調製に有用な賦形剤を意味し、動物への使用、ならびにヒト用薬剤への使用に対して許容される賦形剤を含む。本出願で使用する「医薬的に許容される賦形剤」は、1種および複数のこのような賦形剤のいずれも含む。
【0065】
ある状況、障害、または状態を「治療すること」または「治療」は、以下のことを含む。
(1)その状況、障害、または状態に苦しんでいる、または罹患しやすいが、その状況、障害、または状態の臨床症状または不顕性徴候をまだ経験しておらず示していない哺乳動物において生じるその状況、障害、または状態の臨床症状の出現を防ぐことまたは遅らせること、
(2)その状況、障害、または状態を抑制すること、すなわち、その疾患、または少なくとも1種のその臨床症状もしくは不顕性徴候の発現を阻止することまたは軽減すること、あるいは、
(3)その疾患を緩和すること、すなわち、その状況、障害、もしくは状態、またはその臨床症状もしくは不顕性徴候のうちの少なくとも1種を軽減すること。
【0066】
治療対象の被験者への利益は、静的に有意であり、または、少なくとも患者もしくは医師が認知できるほどである。
【0067】
「治療有効量」とは、ある状況、障害、または状態を治療するために哺乳動物に投与されたときに、そのような治療を実施するのに十分である化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患およびその重症度、年齢、体重、身体状態、ならびに治療対象の哺乳動物の応答性に応じて変わる。
【0068】
急性炎症の4種の典型的な症状は、発赤、温度上昇である。患部の腫脹および疼痛、ならびに患部器官の機能喪失である。
【0069】
個々の状態に関連する炎症の症状および徴候には、以下のものが挙げられる。
・関節リウマチ-関係する関節の疼痛、腫脹、熱感および圧痛;全身のこわばり、朝のこわばり
・インシュリン依存性糖尿病-インスリン炎;この状態により、網膜症、神経障害、腎症、冠動脈疾患、末梢血管疾患、および脳血管疾患を含めて、炎症性の要素を伴う様々な合併症が生じ得る。
・自己免疫性甲状腺炎-虚弱、便秘、息切れ、顔、手および足の腫れ、末梢性浮腫、徐脈
・多発性硬化症-痙縮、視覚異常、めまい、四肢の衰弱、感覚異常
・ブドウ膜網膜炎-夜間視力の減退、周辺視力の喪失
・エリテマトーデス-関節痛、皮疹、光過敏症、発熱、筋肉痛、手および足の腫れ、尿検査結果の異常(血尿、円柱尿、タンパク尿)、糸球体腎炎、認知機能障害、血栓症、心膜炎
・強皮症-レイノー病;手、腕、下肢および顔の腫脹、皮膚肥厚、指および膝の疼痛、腫脹、および硬直、胃腸管機能障害、拘束性肺疾患;心膜炎;腎不全
・脊椎リウマチ、変形関節炎、敗血症関節炎、多発関節炎など、炎症性の要素を有する他の関節炎状態-発熱、疼痛、腫脹、圧痛
・髄膜炎、アルツハイマー病、AIDS認知症脳炎など他の炎症性脳障害、-光恐怖症、認知機能障害、記憶喪失
・網膜炎など他の炎症性眼炎症-視力減退
・湿疹、他の皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎)、乾癬、紫外線(太陽光線および類似のUV源)によって誘発された日焼けなどの炎症性皮膚障害-紅斑、疼痛、落屑、腫脹、圧痛
・クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患-疼痛、下痢、便秘、直腸出血、発熱、関節炎
・喘息-息切れ、喘鳴
・アレルギー性鼻炎など他のアレルギー障害-くしゃみ、そう痒、鼻水
・脳卒中後の大脳損傷など急性外傷に関連した状態-知覚喪失、運動性喪失、認知喪失
・心筋虚血が原因の心臓組織損傷-疼痛、息切れ
・成人呼吸窮迫症候群で起こるものなどの肺損傷-息切れ、過換気、酸素化の低減、肺浸潤
・敗血症、敗血症ショック、毒素ショック症候群など炎症を伴う感染症-発熱、呼吸不全、頻脈、低血圧、白血球増加
・特定の器官または組織に関連した他の炎症性疾患の例は以下のとおりである。
腎炎(例えば、糸球体腎炎)-乏尿、尿検査結果の異常;
虫垂炎-発熱、疼痛、圧痛、白血球増加;
痛風-関連した関節の疼痛、圧痛、腫脹および紅斑、血清および/または尿中の尿酸上昇;
胆嚢炎-腹痛、圧痛、発熱、悪心、白血球増加;
慢性閉塞性肺疾患-息切れ、喘鳴;
うっ血性心不全-息切れ、ラ音、末梢性浮腫;
II型糖尿病-心血管疾患、眼疾患、腎臓疾患、および末梢血管疾患を含む末端器官合併症;

肺線維症-過換気、息切れ、酸素化の低減;
アテローム性動脈硬化症や再狭窄などの血管疾患、-疼痛、感覚喪失、脈拍減少、機能喪失
移植片拒絶を生じる同種免疫-疼痛、圧痛、発熱。
【0070】
不顕性徴候には、それだけに限らないが、その出現が臨床症状の徴候に先行する可能性がある炎症の診断マーカーが含まれる。不顕性徴候のうちの1クラスは、ある器官または組織で炎症誘発性のリンパ球が浸潤または蓄積すること、あるいはその器官または組織に特異的な病原体または抗原を認識する活性化炎症促進性リンパ球が局所または周辺に存在することなどの免疫学的症状である。リンパ球の活性化は、当技術分野で既知の技術によって測定することができる。
【0071】
宿主内の特定の位置に治療有効量の有効成分を「送達する」ということは、その特定の位置に治療上有効な血中濃度の有効成分を与えることを意味する。これは、例えば、宿主に有効成分を局所投与または全身投与することによって実現することができる。
【0072】
本明細書では、それを必要とする宿主または被験者という用語は、哺乳動物、好ましくはヒトを意味する。
【0073】
脱離基という用語は、求核剤によって置換されることができる化学基を意味する。このような基の例には、それだけには限らないが、ハロゲン基、メシレート基、トシレート基、およびエステル基が含まれる。
【0074】
(調製方法)
本発明の別の態様は、
a)X2が-NH-である式Iの化合物では、部分構造V
【0075】
【化7】

【0076】
(式中、L1は、ヒドロキシなどの脱離基を示す)のステロイドサブユニットまたは非ステロイドサブユニットと、部分構造VIa
【0077】
【化8】

【0078】
のマクロライドサブユニットのアミノ基との反応を含み、
X2が-O-を示す式Iの化合物では、部分構造V(L1は、ヒドロキシなどの脱離基を示す)のステロイドサブユニットまたは非ステロイドサブユニットと、部分構造VIb
【0079】
【化9】

【0080】
のマクロライドサブユニットのヒドロキシル基との反応を含む、
式I中の化合物の調製方法に関する。
【0081】
調製方法
a)式I中の化合物は、部分構造Vのステロイドサブユニットまたは非ステロイドサブユニットのカルボン酸と部分構造VIaのマクロライドサブユニットのアミノ基とを反応させ、それによってアミド結合を形成させ、また、混成無水物、特にカルボジイミドまたはベンゾトリアゾールなどカルボン酸に対して活性化作用を有する通常の誘導体を用いて調製する。この反応は、塩基(好ましくは有機塩基)、例えばトリエチルアミンの存在下、室温にて、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気またはアルゴン雰囲気下で、数時間〜数日間にわたって行う。
【0082】
部分構造Vのステロイドサブユニットまたは非ステロイドサブユニットは、市販の製品を入手し、あるいは、部分構造VIaの出発物質マクロライドサブユニットと同様に、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、本発明者らの以前の特許出願(クロアチア特許出願HR 20010018;国際公開第02/055531号)、国際公開第04/005309号、国際公開第04/005310号で記載されている類似化合物を調製する方法によって得た。
【0083】
反応は、一般に、ハロゲン化物、混成無水物、特にカルボジイミド((3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミド(EDC)など)およびベンゾトリアゾールなど、ステロイド系抗炎症性サブユニットのカルボン酸基を活性化する能力を有する酸誘導体を用いて実施する。この反応は、有機塩基(例えばトリエチルアミン)などの塩基の存在下、室温にて、窒素またはアルゴンなど不活性雰囲気下で行う。この反応は、完了までに数時間〜数日間要することがある。
【0084】
例えば、Lが-K-NH-(Kは、L分子のマクロライドに結合した部分である)であるとき、式Iの化合物は、マクロライド環上のNH基を-N-K-(NH2)-基に誘導体化し、誘導体化したマクロライドを式Vによって示されるステロイド系または非ステロイド系の抗炎症性サブユニットと反応させることによって、形成させることができる。
【0085】
【化10】

【0086】
b)式Iの化合物の調製は、部分構造Vのステロイドサブユニットまたは非ステロイドサブユニットのカルボン酸と部分構造VIbのマクロライドサブユニットのヒドロキシル基とを反応させ、それによってエステル結合を形成させることによって行う。
【0087】
この反応は、混成無水物、特にカルボジイミドなどのカルボン酸活性化剤を用いて行う。この反応は、低温(好ましくは-5℃)にて、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気またはアルゴン雰囲気下で、数時間〜数日間にわたって行う。
【0088】
部分構造VIbの出発物質マクロライドサブユニットは、文献に記載されている化合物であり、または、類似化合物の調製について記載されている手順によって調製することができる(Costa, A. M.他、Tetrahedron Letters、2000年、41、3371〜3375頁)。例えば、式CH2=CH(CH2)mC(O)O-アルキルを有するアルケノイル誘導体(好ましくはアクリル酸メチル)をマクロライドサブユニットの第2級窒素原子と反応させると、末端にエステル基を有する鎖を生じる。次に、そのエステル基を低温(好ましくは0℃)、無水有機溶媒中で金属水素化物(好ましくはLiAlH4)を用いて還元し、部分構造VIbのアルコール誘導体を得る。
【0089】
例えば、連結部Lが-K-O-であるとき、式Iの化合物は、(1)マクロライド上のNH基をN-K-OH基に誘導体化すること、および(2)誘導体化したマクロライドをステロイドサブユニットまたは非ステロイドサブユニット上の遊離カルボン酸基と反応させることによって形成させることができる。
【0090】
【化11】

【0091】
非ステロイド系抗炎症性サブユニットDは、-C(O)L1基(遊離カルボン酸基など)を含んでもよく、当技術分野で既知の方法によって誘導体化してもよい。
【0092】
(スキームI)
【0093】
【化12】

【0094】
スキームIに従い、別法として、ピリジンの存在下で無水コハク酸の作用によってヒドロキシル基を有するNSAID化合物を誘導体化し、続いてこうして得た中間体を塩化メチレン中でトリエチルアミン、4-ピロロピリジンと反応させて、遊離カルボン酸基を有するNSAIDを得てもよい(Huang C.M.他、Chem.&Biol、2000年、7、453〜461頁、Hess S.他、Bioorg.&Med. Chem.、2001年、9、1279〜1291頁)。こうして得たNSAID誘導体を、式VIaやVIbなどのリンカーマクロライド化合物に結合させてもよい。
【0095】
(スキームII)
【0096】
【化13】

【0097】
スキームIIに従い、別法として、N,N-ジメチルホルムアミド中で、水素化ナトリウムおよびtert-ブチルヨードアセテートの作用によって、アミノ基を有するNSAID化合物を誘導体化してNSAIDのブトキシカルボニル誘導体を得、次にこれを塩化メチレン中でトリフルオロ酢酸と反応させて、遊離カルボン酸基を有するNSAIDを得てもよい(Hess S.他、Bioorg.&Med. Chem.、2001年、9、1279〜1291頁)。こうして得たNSAID誘導体を、式VIaやVIbなどのリンカーマクロライド化合物に結合させてもよい。
【0098】
(スキームIII)
【0099】
【化14】

【0100】
スキームIIIに従い、別法として、ジメチルホルムアミド中で、ジメチルアミノピリジン、N,N'-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で無水コハク酸の作用によって、アミノ基を有するNSAID化合物を誘導体化して、遊離カルボン酸基を有するNSAIDを得てもよい(Pandori M. W.他、Chem.&Biol.、2002年、9、567〜573頁)。こうして得たNSAID誘導体を、式VIaやVIbなどのリンカーマクロライド化合物に結合させてもよい。
【0101】
式Iの化合物は、一般に、次のようにして得ることができる。すなわち、まずL鎖の一端をマクロライドサブユニットMに結合させ、次に、鎖のもう一方の端を非ステロイドサブユニットまたはステロイドサブユニットDに結合させる。あるいは、まずL鎖の一端を非ステロイドサブユニットまたはステロイドサブユニットDに結合させ、次に、鎖のもう一方の端をマクロライドサブユニットMに結合させる。また、最後の方法としては、未形成の鎖の一端をマクロライドサブユニットMに結合させ、同じく未形成の鎖の別の端を非ステロイドサブユニットまたはステロイドサブユニットDに結合させ、続いて、それらの端を化学結合させてL鎖を形成させる。
【0102】
望ましくない副反応を防ぐために、例えばヒドロキシ基やアミノ基などある種の基を保護することがしばしば必要となる。これらの基を保護できる方法および得られる保護した誘導体を切断する方法に関する包括的な考察は、例えば、参照により本明細書に組み込む、Protective Groups in Organic Synthesis 第2版、John Wiley & Son, Inc 、1991年の中のT.W. GreeneおよびP.G.M Wuts、ならびにProtecting Groups、Georg Thieme Verlag、1994年の中のP.J. Kocienskiにより示されている。適切なアミノ保護基の例には、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチル、およびアセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、置換型Cbz、および9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc))、脂肪族ウレタン型保護基(例えば、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニル、およびシクロヘキシルオキシカルボニル)、ならびにアルキル型保護基(例えば、ベンジル、トリチル、およびクロロトリチル)が含まれる。適切な酸素保護基の例には、例えば、トリメチルシリルやtert-ブチルジメチルシリルなどのアルキルシリル基、テトラヒドロピラニルやtert-ブチルなどのアルキルエーテル、または、酢酸エステルなどのエステルが含まれてよい。非プロトン性溶媒中で、例えば、無水酢酸、無水安息香酸、または塩化トリアルキルシリルなどを反応させることによって、ヒドロキシ基を保護してよい。非プロトン性溶媒の例として、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0103】
例えば、アミノ基を保護するために使用し得る1つの物質はフタルイミドである。ヒドラジンを用いた脱保護は、実施例に記述する。
【0104】
アミノ基およびアルキルアミノ基に対する対応する保護基は、アルカノイル基(アセチル)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、またはtert-ブトキシカルボニル)、アリールメトキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニル)、アロイル基(ベンゾイル)、アルキルシリル基(トリメチルシリルまたはトリメチルシリルエトキシメチル)などの基である。保護基の脱離条件は、その基の選択および性質によって異なる。したがって、例えば、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、アロイル基などのアシル基は、塩基(水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)の存在下で加水分解することにより除去することができ、tert-ブトキシカルボニル基またはアルキルシリル(トリメチルシリル)基は、対応する酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、もしくはトリフルオロ酢酸)を用いて除去することができ、一方、アリールメトキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニル)は、チャコール上パラジウムなどの触媒の存在下で水素化分解することにより除去することができる。
【0105】
本発明の別の態様は、炎症部位に応じて様々な方法で、例えば、経皮的に、経口的に、口腔内に、直腸内に、非経口的に、または気道内への適用を期するときには吸入によって投与することができる抗炎症性薬剤、抗アナフィラキシー薬剤、および免疫調節薬剤として、式Iの化合物を使用するための方法に関する。
【0106】
本発明の別の態様は、炎症部位に応じて様々な方法で投与することができる抗炎症性薬剤、抗アナフィラキシー薬剤、および免疫調節薬剤として、式Iの化合物を使用するための方法に関する。さらに、本発明は、有効量の本発明の化合物、ならびに担体や希釈剤など医薬的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物にも関する。
【0107】
本発明の医薬組成物の調製は、成分の混合、顆粒化、錠剤化、および溶解を含むことができる。化学的担体は、固体でも液体でもよい。固体担体は、それだけには限らないが、ラクトース、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、ステアリン酸マグネシウム、脂肪酸でよい。液体担体は、それだけには限らないが、シロップ、およびオリーブ油、ヒマワリ種子油、ダイズ油などの油、水、または生理的食塩水でよい。同様に、担体は、モノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリルなど有効成分を徐放出するための成分も含有してよい。いくつかの形態の医薬組成物を調製することができる。固形担体を使用する場合は、これらの形態として、それだけには限らないが、経口的に投与できる錠剤、カプレット、硬ゼラチンカプセル剤、散剤、または顆粒剤を挙げることができる。固形担体の量は様々であるが、主に25mg〜1gの範囲である。液体担体を使用する場合は、製剤は、局所的または全身的に、例えば、経口的に、非経口的に、経皮的に、経粘膜的に、例えば、口腔内、鼻腔内、直腸内、腟内に投与するシロップ、乳剤、軟ゼラチンカプセル剤、無菌注射剤、または非水性懸濁剤の形態となることができる。「非経口的に」とは、静脈内経路、筋肉内経路、または皮下経路によることを意味する。本発明の化合物の対応する調製物は、それだけには限らないがTNF-αおよびIL-1βを含めて、炎症性サイトカインまたは他の炎症メディエータの産生を伴う異常なまたは望ましくない(過度、未調節、もしくは異常調節の)炎症性の免疫応答によって引き起こされる、またはそれに関連するいくつかの障害(疾患および他の炎症性の病理状態)の予防ならびに治療処置(防止、遅延、抑制、もしくは軽減)で使用することができる。これらの障害には、関節リウマチ、インシュリン依存性糖尿病、自己免疫性甲状腺炎、多発性硬化症、ブドウ膜網膜炎、エリテマトーデス、強皮症などの自己免疫疾患;脊椎リウマチ、変形関節炎、敗血症関節炎、多発関節炎など炎症性の要素を有する他の関節炎状態;髄膜炎、アルツハイマー病、AIDS認知症脳炎など他の炎症性脳障害;網膜炎など他の炎症性眼炎症;湿疹、他の皮膚炎(例えば、アトピー性、接触性)、乾癬、UV照射(太陽光線および類似のUV源)によって誘発された日焼けなどの炎症性皮膚障害;クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患;喘息;アレルギー性鼻炎など他のアレルギー障害;脳卒中後の大脳損傷など急性外傷に関連した状態;心筋虚血が原因の心臓組織損傷;成人呼吸窮迫症候群で起こるものなどの肺損傷;敗血症、敗血症ショック、毒素ショック症候群など炎症を伴う感染症;腎炎(例えば、糸球体腎炎)、虫垂炎、痛風、胆嚢炎、慢性閉塞性肺疾患、うっ血性心不全、II型糖尿病、肺線維症、アテローム性動脈硬化症や再狭窄などの血管疾患、移植片拒絶を生じる同種免疫など特定の器官または組織に関連した他の炎症性疾患が含まれる。化合物は、気道内への適用を期するときには吸入によって投与することもできる。本発明の別の目的は、式Iの活性化合物の最適な生物学的利用能を実現するために様々な薬剤形態の化合物を調製することに関する。
【0108】
経皮的または経粘膜的に体外投与する場合は、式Iの化合物は、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、またはローション剤の形態で調製することができる。軟膏剤、クリーム剤およびゲル剤は、水または油性基剤を用い、適切な乳化剤またはゲル化剤を加えて配合することができる。本発明の化合物の製剤は、呼吸吸入に特に有意義であり、この場合、式Iの化合物は、加圧下でエアロゾルの形態で送達されることになる。式Iの化合物を均質化した後、大多数の粒子の微粒子サイズを5μm以下にするために、例えば、ラクトース、グルコース、高級脂肪酸、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩中で、または、最も好ましくは、カルボキシメチルセルロース中でそれを超微粉砕することが好ましい。吸入製剤の場合、エアロゾルは、作用物質を投与するためのガスまたは液状噴霧剤と混合することができる。吸入器、アトマイザー、またはネブライザーを使用してよい。これらの装置は既知である。例えば、Newman他、Thorax、1985年、40:61〜676頁、Berenberg, M., J.、Asthma USA、1985年、22:87〜92頁を参照のこと。バード(Bird)ネブライザーも使用することができる。米国特許第6402733号、米国特許第6273086号、および米国特許第6228346号も参照のこと。
【0109】
吸入用の構造Iの化合物は、本明細書で記述するように、超微粉砕した粒子を含む乾燥散剤の形態で整えることが好ましい。
【0110】
化合物は、器官または組織に局在する炎症、例えば、クローン病を治療するための製剤中に組み込むこともでき、この場合、その製剤を経口投与することも直腸投与することもできる。経口投与用の製剤は、炎症部位で化合物の生物学的利用能を有効にする賦形剤を組み込むができる。これは、腸溶剤および放出遅延剤を様々に組み合わせることにより実現することができる。式Iの化合物は、浣腸の形態で適用する場合は、クローン病および腸炎症疾患の治療で使用することもでき、当技術分野で公知のように、適切な製剤をそのために使用することができる。
【0111】
本発明の化合物の治療有効量は、当技術分野で既知の方法によって決定することができる。本発明の化合物の方が、対応する抗炎症性のステロイド系薬物またはNSAID薬物の単体より効率的に所望の部位に送達されるため、ステロイド系薬物またはNSAID抗炎症薬よりモル基準でより少量の化合物を投与し、なお同じ治療効果を実現することができる。さらに、この化合物の投与により生じる副作用は、対応するステロイド系薬物またはNSAID抗炎症薬による副作用より少ないため、ステロイド系薬物またはNSAIDの量を増やすことができる。したがって、以下の表は、単なる指針にすぎない。この化合物、薬剤としてのその塩、その溶媒和化合物、またはそのプロドラッグの治療有効量の閾値は、一般に、モル基準で非ステロイド系抗炎症薬の治療有効量以下である。この化合物、薬剤としてのその塩、その溶媒和化合物、またはそのプロドラッグの一般的有効量および好ましい有効量を以下の表に示す。
【0112】
【表1】

【0113】
例えば、プレドニゾンの好ましい量の範囲が1〜50mg/日である場合、これは、1日当たり2.79μmol〜139.5μmolの範囲に相当する。本発明による合成物ステロイド-マクロライドコンジュゲートの初期量の範囲も、1日当たり2.79μmol〜139.5μmolのコンジュゲートとなる。この投与量は、本明細書に照らして、当技術分野の通常の技術を用いて微調整することができる。
【0114】
本発明の化合物の効力は、炎症または抗炎症性作用を評価するための任意の方法によって評価することができる。それだけには限らないが、微小気泡注入とコントラスト超音波の併用使用、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1、IFN-γなど)の測定、活性化免疫系細胞(活性化T細胞、炎症組織または移植組織を特異的に認識する細胞傷害性T細胞)の測定、観察(水腫の低減、紅斑の低減、そう痒または灼熱感の低減、体温の低下、罹患器官の機能改善)、以下に提供する方法のうちの任意のもの、ならびに以下に提供する方法のうちの任意のものを含めて、この目的に対する多くの既知の方法がある。
【0115】
以下のようなin vitro実験およびin vivo実験で、本発明の化合物の治療効果を測定した。
【0116】
以下のin vitro実験およびin vivo実験で、本発明の化合物の有益な抗炎症性作用を測定した。
【0117】
経口投与製剤は、腸の炎症部位で化合物の生物学的利用能を有効にするように設計することができる。これは、放出遅延剤を様々に組み合わせることにより実現することができる。式Iの化合物は、浣腸の形態で適用する場合は、クローン病および腸炎症疾患の治療で使用することもでき、適切な製剤をそれらに使用することができる。
【0118】
本発明の化合物の対応する調製物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎や鼻ポリープなどの炎症性鼻疾患、クローン病、大腸炎、腸炎、潰瘍性大腸炎などの腸疾患、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、そう痒症などの皮膚炎症、結膜炎、関節リウマチを含めて、いくつかの疾患および炎症性の病理状態の予防(それだけには限らないが、上記の「治療」の定義に関連して論じ、定義した臨床症状または不顕性徴候のうちの1種または複数の防止、遅延、または再発の抑制を含める)ならびに治療処置で使用することができる。
【0119】
以下のin vitro実験およびin vivo実験で、本発明の化合物の生物学的作用を測定した。
【実施例】
【0120】
(ヒト糖質コルチコイド受容体への結合性のアッセイ)
逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法によってヒト糖質コルチコイド受容体のαイソフォームの遺伝子をクローン化した。製造業者の取扱い説明書(Qiagen社)に従い、ヒト末梢血リンパ球から全RNAを単離し、AMV逆転写酵素(Roche社)を用いてcDNAへと転写させ、その遺伝子を特異的プライマー1)5'ATATGGATCCCTGATGGACTCCAAAGAATCATTAACTCC3'および2)5'ATAT-CTCGAGGGCAGTCACTTTTGATGAAACAGAAG3'を用いて増幅した。得られた反応産物を、ブルースクリプトKSプラスミド(Stratagene社)のXhoI/BamHI部位にクローニングし、M13プライマーおよびMl3リバースプライマー(Microsynth社)を用いて蛍光ジデオキシ法により配列決定を施し、次に、pcDNA3.1 Hygro(+)プラスミド(Invitrogen社)のXhoI/BamHI部位にクローニングした。10%FBS(Biowhitaker社)含有DMEM培地(Life Technologies社)を入れた12ウェルプレート(Falcon社)上に1X105個のCOS-l細胞を蒔き、37℃、5%CO2雰囲気中で、70%の集密度まで培養した。培地を除去し、ウェル1つにつきDMEM500μ1中に溶かしたDNA1μg、PLUS試薬7μ1、リポフェクタミン2μl(Life Technologies社)を加えた。この細胞を37℃、5%CO2雰囲気中でインキュベートし、5時間後に、同体積量の20%FBS/DMEMを加えた。24時間後に、培地を完全に変更した。トランスフェクションの48時間後に、様々な濃度の試験化合物およびDMEM培地中24nM[3H]デキサメタゾン(Pharmacia社)を加えた。この細胞を37℃、5%CO2雰囲気中で90分間インキュベートし、4℃に冷却したPBS緩衝液(pH 7.4)(Sigma社)で3回洗浄し、次に、0.2%SDS(Sigma社)含有トリス緩衝液(pH=8.0)(Sigma社)中に溶解した。Ultima Gold XR (Packard社)シンチレーション液を添加後、残留放射能をTricarb(Packard社)β-シンチレーションカウンター中で読み取った。
【0121】
化合物1および2は、このアッセイにおいて糖質コルチコイド受容体の放射性デキサメタゾンに置き換わるため、糖質コルチコイド受容体に対する親和性を有している。
【0122】
(アポトーシス誘導によるマウスT細胞ハイブリドーマ13増殖の阻害作用のアッセイ)
96ウェルプレート中で、10%FBS含有RPMI培地(免疫学研究所(Institute of Immunology)、ザグレブ)中に溶かした試験用ステロイド希釈液を3通り作った。化合物の溶液にウェル当たり20000個の細胞を加え、37℃、5%CO2雰囲気中で一晩インキュベートし、次に、1μCiの[3H]チミジン(Pharmacia社)を加え、この混合物をさらに3時間インキュベートした。GF/Cフィルター(Packard社)上で真空ろ過し、細胞を回収した。各ウェル上に、30μlのMicroscynt O シンチレーション液(Packard社)を加え、取り込まれた放射能をβ-シンチレーションカウンター(Packard社)で測定した。糖質コルチコイドによるアポトーシス誘導の特異性は、ミフェプリストーン(Sigma社)による増殖阻害に拮抗することにより証明された。
【0123】
化合物1〜5、6、および8は、1μM〜1nMの濃度で、T細胞ハイブリドーマ13の増殖の阻害作用を示す。
【0124】
(γコンカナバリンAにより誘導したマウス脾細胞によるインターロイキン4、インターロイキン5、およびインターフェロン産生の阻害作用の測定)
チオペンタール注射(Pliva社)により屠殺したBalb/Cマウスの脾臓から脾細胞を単離した。脾臓を細かく刻み、単核細胞をHistopaque 1083(Sigma Diagnostics社、カタログNo.1083-1)を用いて分離した。同じ培地に10%胎児ウシ血清(Biowhittaker社)および細胞(ウェル当たり200000個)を含むRPMI培地(免疫学研究所)中で希釈した化合物を96ウェルプレート中にピペットで移し、コンカナバリンA刺激物質(Sigma社、カタログNo C5275)を最終濃度5μg/mlで加えた。陽性対照は、化合物の希釈液の代わりに、10%胎児ウシ血清および同濃度のコンカナバリンAを含むRPMI培地からなるものとした。37℃、5%CO2雰囲気、湿度95%で、細胞を72時間インキュベートした。サイトカインを測定するまで、細胞を-70℃で凍結した。
【0125】
サイトカインのインターロイキン4、インターロイキン5、およびインターフェロンγを製造業者の推奨基準(R&D社)に従い、特異的ELISA法によって測定した。以下の式を用いて阻害率(パーセンテージとして)を計算した。
阻害率(%)=(1-サンプル中のサイトカイン濃度/陽性対照中のサイトカイン濃度)×100
【0126】
化合物1〜5、6、および8は、1μM〜1nMの濃度で、サイトカインの産生を阻害する。
【0127】
(マウスの肺好酸球増加症モデル)
体重20〜25gの雄のBalb/Cマウスを無作為にグループに分け、0日および14日目に卵白アルブミン(OVA、Sigma社)を腹腔内注射することによって感作した。20日目に、OVA(陽性対照または試験グループ)またはPBS(陰性対照)をi.n.(鼻腔内)投与することにより、マウスを誘発試験にかけた。OVAの鼻腔内投与48時間後に、動物を麻酔し、肺を1mLのPBSで洗浄した。サイトスピン(Cytospin)3細胞遠心機(Shandon社)を用いて細胞を分離した。Diff-Quick(Dade社)中で細胞を染色し、少なくとも100個の細胞を示差的に計数することにより、好酸球のパーセンテージを測定した。
【0128】
陽性対照および陰性対照とともに、フルチカゾン(Glaxo Wellcome社)およびベクロメタゾン(Pliva d.d.社)を標準物質として使用した。
【0129】
誘発試験の2日前から最長では試験完了まで、様々な用量で毎日、化合物を鼻腔内投与または腹腔内投与した。
【0130】
化合物1および2は、陽性対照については、肺洗浄液中の好酸球数を統計学的に有意に(t検定、p<0.05)減少させた。
【0131】
(寒冷ストレスモデル)
体重200〜250gの雄のウィスターラット(本発明者ら自身が飼育)を無作為にグループに分けた。0.5mL/100gの体積の担体(ラクトース)を陰性対照群および陽性対照群に皮下投与した。1日1回、3日間、2mg/kgの用量、0.5mL/100g体重の体積で、試験物質および標準物質を投与した。1mg/kgの用量、0.5mL/100g体重の体積で、標準物質を投与した。
【0132】
3日目、最終処置の2時間後に、陰性対照群を除いて、すべての動物に4℃で1時間、寒冷ストレスを与えた。ストレス後、チオペンタール (Pliva d.d社)で動物を麻酔し、すべての動物の血液をK2 EDTAを入れた試験管中に抜き取った。血漿サンプルを-70 ℃で凍結した。コルチコステロンレベルを、Silberによる蛍光定量法によって測定した。胸腺を動物から取り出し、計量し、それらの重量を陰性対照および陽性対照と比較した。標準物質のフルチカゾン(Glaxo Wellcome社)およびブデソニド(Steraloids社)は、コルチコステロンの血漿レベルおよび胸腺の重量を統計学的に有意に減少させた(p<0.05、t検定)。化合物1でのコルチコステロンレベルおよび胸腺重量は、ストレスをかけた動物の対照群の値と同等であった。
【0133】
(合成方法および実施例)
【0134】
〈前駆体〉
以下の調製方法の実施例で、マクロライド前駆体M1〜M5とステロイド系前駆体D1〜D9および非ステロイド系前駆体D10、D11、D12、D13とからの式Iの化合物の合成を記述する。これらの実施例は、本発明の独自性を決して限定しない。
【0135】
(マクロライドサブユニット)
マクロライドサブユニットM1〜M5は、以下の一般構造
【0136】
【化15】

【0137】
【表2】

【0138】
によって示される化合物である。
【0139】
方法A
a)アクリロニトリル10mL中に化合物M1(480mg、1.1mmol)を溶解し、この反応混合物を95℃で24時間加熱した。続いて、溶媒を減圧蒸発させた。500mgの化合物M2を得、これを予め精製せずに次の合成に使用した。
b)無水エタノール20mL中に化合物M2(500mg)を溶解し、触媒PtO2(60mg)を用い、圧力40atmで2日間水和(hydrated)した。シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、この混合物を精製した。193mgの化合物M4を得た。
化合物M1、M2およびM4の性質は表1に示している。
【0140】
方法B
a)アクリル酸メチル30mL中に化合物M1(1g、2.4mmol)を溶解した。この反応混合物を温度90℃で一晩加熱した。次に、溶媒を減圧蒸発させた。1.08gの原化合物M3を得た。
b)乾燥THF30mL中に水素化アルミニウムリチウム(225mg)を加え、THF10mL中に溶解した1gの化合物M3をアルゴン気流下で加えた。この反応混合物を0〜5℃の温度で1時間攪拌した。次に、混合物に水を加えて、過剰な水素化アルミニウムリチウムを破壊した(色が白色に変わるまで)。次に、反応混合物をろ過し、ろ液を減圧蒸発させた。784mgの生成物M5を得た。シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、得られた混合物を精製した。
化合物M3およびM5の性質は表1に示している。
【0141】
(ステロイドサブユニット)
ステロイドサブユニットD1〜D9は、以下の一般構造
【0142】
【化16】

【0143】
【表3】

【0144】
によって示される化合物である。
【0145】
(非ステロイドサブユニット)
合成のための前駆体は、アセクロフェナク、アセメタシン、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセチルサリチル酸、アセチル-サリチル-2-アミノ-4-ピコリン酸、5-アミノアセチルサリチル酸、アルクロフェナック、アミノプロフェン、アンフェナク、アニレニジン、ベンダザック、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、α-ビサボロール、ブロムフェナク、5-ブロモサリチル酸アセテート、ブロモサリゲニン、ブクロキス酸、ブチブフェン、カルプロフェン、クロモグリケート、シンメタシン、クリンダナック(clindanac)、クロピラック、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、ジタゾール、エンフェナム酸、エトドラク、エトフェナメート、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロズ酸、フェンドサル、フェノプロフェン、フェンチアザク、フェプラジノール、フルフェナム酸、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、グルタメタシン(glutametacin)、サリチル酸グリコール、イブフェナック、イブプロフェン、イブプロキサム、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラク、イソキセパック、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メサラミン、メシアジン酸、モフェゾラク、モンテルカスト、ナプロキセン、ニフルム酸、オルサラジン、オキサセプロール、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、パルサルミド、ペリソキサール、アセチルサリチル酸フェニル、フェニルブタゾン、サリチル酸フェニル、ピラゾラク、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、サラセタミド、サリチルアミド-O-アセチル酸、サリチル硫酸、サリシン、サリチルアミド、サルサレート、スリンダク、スプロフェン、スキシブタゾン、テノキシカム、チアプロフェン酸、チアラミド、チノリジン、トルフェナム酸、トルメチン、トロペシン、キセンブシン、キモプロフェン、ザルトプロフェン、ゾメピラク、トモキシプロール、ザフィルルカストなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)であり、前駆体のいくつかの例として、インドメタシン(D10)、フルフェナミン酸(D11)、フルニキシン(D12)、および2-メトキシカルボニルエチルテオフィリン(D13)
【0146】
【化17】

【0147】
が挙げられる。
【0148】
(実施例1:化合物1:(I;M=M4、D=D1))
【0149】
【化18】

【0150】
アルゴン気流下で乾燥ジクロルメタン15mL中に化合物D1(825mg、2.18mmol)を溶解した。続いて、トリエチルアミン2.86mL、ヒドロキシベンゾトリアゾール601mg、マクロライドM4 1.82g(2.18mmol)、および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩3.1gを溶液中に加えた。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧蒸発させた。シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、得られた混合物を精製した。1.44gの化合物1を得た。MS (m/z): 837.5 [MH]+。IR (KBr) cm-1: 3422、2938、2874、1710、1663、1624、1560、1528、1458、1376、1302、1245、1176、1139、1089、1052、1036、1012、959、929、894、816、754、706、669。
【0151】
(実施例2:化合物2:(I;M=M4、D=D5))
【0152】
【化19】

【0153】
アルゴン気流下で乾燥ジクロルメタン5mL中に化合物D5(57.8mg、0.16mmol)を溶解した。トリエチルアミン0.209mLを溶液に加え、清澄にした。続いて、ヒドロキシベンゾトリアゾール43.9mg、マクロライドM4(76mg、0.1595mmol)、および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩129.2gを加えた。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧蒸発させた。シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、得られた混合物を精製した。32mgの化合物2を得た。MS (m/z): 821.4 [MH]+。IR (KBr) cm-1: 3423、2939、2876、1718、1664、1625、1560、1541、1458、1376、1353、1296、1249、1178、1089、1054、975、959、928、889、828、811、750、669。
【0154】
(実施例3:化合物3:(I;M=M4、D=D3))
【0155】
【化20】

【0156】
乾燥ジクロルメタン10mL中に化合物D3(165mg、0.453mmol)を溶解した。トリエチルアミン0.595mLを溶液に加えた。続いて、ヒドロキシベンゾトリアゾール125mg、マクロライドM4(216mg、0.453mmol)、および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩644mgを反応混合物に加えた。この反応混合物を室温で24時間攪拌した。溶媒を減圧蒸発させた。シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、得られた混合物を精製した。241mgの化合物3を得た;MS(m/z):823.7[MH]+
【0157】
(実施例4:化合物4:(I;M=M4、D=D2))
【0158】
【化21】

【0159】
乾燥ジクロルメタン15mL中に化合物D2(337mg、0.936mmol)を溶解した。トリエチルアミン1.228mL、ヒドロキシベンゾトリアゾール258mg、マクロライドM4 445.7mg(0.936mmol)、および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩1.331gを溶液に加えた。この反応混合物を室温で24時間攪拌した。溶媒を減圧蒸発させた。シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、得られた生成物を精製した。490mgの化合物4を得た。MS (m/z): 819.7 [MH]+。IR (KBr) cm-1: 3423、2969、2919、2850、2819、2779、1719、1701、1655、1642、1561、1523、1460、1375、1347、1263、1212、1161、1098、1071、1040、959、939、888。
【0160】
(実施例5:化合物5:(I;M=M4、D=D4))
【0161】
【化22】

【0162】
アルゴン気流下で乾燥ジクロルメタン15mL中に446mgのD4(1.28mmol)の酸を溶解した。トリエチルアミン1.68mL、ヒドロキシベンゾトリアゾール353.2mg、マクロライドM4 610.2mg(1.281mmol)、および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩1.822gを溶液に加えた。この反応混合物を室温で24時間攪拌した。溶媒を減圧蒸発させた。シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、得られた混合物を精製した。516mgの化合物5を得た。MS (m/z): 807.5 [MH]+。IR (KBr) cm-1: 3414、2936、2874、2129、1703、1655、1560、1541、1535、1458、1357、1322、1238、1186、1162、1120、1092、1049、998、964、936、897、871、753、703。
【0163】
(実施例6:化合物6:(I;M=M4、D=D7))
【0164】
【化23】

【0165】
ジメチルホルムアミド20mL中に化合物D7(570mg、0.57mmol)を溶解した。ジイソプロピルエチルアミン0.755mLおよび1-ヒドロキシベンゾトリアゾール154mg(2当量)を加えた。続いて、化合物M4(271mg、0.57mmol)および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(391mg、4当量)を加えた。この反応混合物を不活性雰囲気下、還流しながら100℃で24時間攪拌した。次に、溶媒を蒸発させ、シリカゲルカラムで溶媒系CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、この化合物を精製した。220mgの化合物6を単離した;MS(m/z):897.5[MH]+
【0166】
(実施例7:化合物7:(I;M=M4、D=D10))
【0167】
【化24】

【0168】
ジクロルメタン20mL中にインドメタシンD10(165.2mg、0.4618mmol)を溶解した。トリエチルアミン0.501mL(3.602mmol)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール124.8mg(0.9236mmol)を加えた。続いて、化合物M4(220mg、0.4618mmol)および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(317mg、1.8472mmol)を加えた。この反応混合物を不活性雰囲気下、室温で24時間攪拌した。次に、溶媒を蒸発させ、シリカゲルカラムで溶媒系CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、この化合物を精製した。190mgの化合物7を単離した。MS (m/z): 816.4 [MH]+。IR (KBr) cm-1: 3422、2972、2935、2876、1655、1560、1542、1535、1478、1458、1400、1372、1352、1323、1290、1260、1226、1179、1150、1090、1053、1037、1015、958、926、911、833、804、755、664。
【0169】
(実施例8:化合物8:(I;M=M5、D=D5))
【0170】
【化25】

【0171】
アルゴン気流下で乾燥DMF5mL中に化合物D5(32.6mg、0.09mmol)を溶解した。この溶液を-10℃まで冷却し、次に、乾燥DMF3mL中に溶解した1,1-カルボニルジイミダゾール(30mg、0.18mmol)を加えた。この反応混合物を-5℃の温度で一晩攪拌した。続いて、乾燥DMF3mL中に溶解した化合物M5(43mg、0.09mmol)を加えた。この反応混合物を100℃で2日間、加熱した。DMFを減圧蒸発させ、シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、残留物を精製した。22mgの化合物8を得た;MS(m/z):822.6[MH]+
【0172】
(実施例9:化合物9:(I;M=M5、D=D1O))
【0173】
【化26】

【0174】
アルゴン気流下で、乾燥DMF(5mL)中にインドメタシンD10(32.1mg、0.09mmol)を溶解した。この溶液を-10℃まで冷却し、次に、乾燥DMF3mL中に溶解した1,1-カルボニルジイミダゾール(30mg、0.18mmol)を加えた。この反応混合物を-5℃の温度で一晩攪拌した。続いて、乾燥DMF3mL中に溶解した化合物M5(43mg、0.09mmol)を加えた。この反応混合物を100℃で2日間、加熱した。DMFを減圧蒸発させ、シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、残留物を精製した。25mgの化合物9を得た;MS(m/z):817.7[MH]+
7[MH]+
【0175】
(実施例10:化合物10:(I;M=M4、D=D6))
【0176】
【化27】

【0177】
アルゴン気流下で、乾燥ジクロロメタン15mL中にD6の酸115mg(0.29mmol)を溶解した。トリエチルアミ0.38mL、ヒドロキシベンゾトリアゾール80mg、マクロライドM4 138mg(0.29mmol)、および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩235mgを溶液に加えた。この反応混合物を室温で24時間攪拌した。溶媒を減圧蒸発させ、シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、残留物を精製した。70mgの化合物10を得た;MS(m/z):857.8[MH]+
【0178】
(実施例11:化合物11:(I;M=M4、D=D8))
【0179】
【化28】

【0180】
アルゴン気流下で、乾燥ジクロロメタン5mL中に化合物D8(100mg、0.25mmol)を溶解した。続いて、トリエチルアミン0.12mL、ヒドロキシベンゾトリアゾール69.6mg、マクロライドM4 120.1mg(0.25mmol)、および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩204.5mgを溶液に加えた。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧蒸発させた。シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、得られた混合物を精製した。70mgの化合物11を得た。MS (m/z): 855.4 [MH]+。IR (KBr) cm-1: 3422、2963、2930、2875、2855、1734、1718、1693、1665、1624、1544、1459、1376、1262、1205、1167、1093、1049、1030、958、901、864、802、737、702。
【0181】
(実施例12:化合物12:(I;M=M4、D=D9))
【0182】
【化29】

【0183】
アルゴン気流下で、乾燥ジクロロメタン5mL中に化合物D9(100mg、0.30mmol)を溶解した。続いて、トリエチルアミン0.394mL、ヒドロキシベンゾトリアゾール83mg、マクロライドM4 143.3mg(0.30mmol)、および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩244mgを溶液に加えた。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧蒸発させた。シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、得られた混合物を精製した。107.5mgの化合物12を得た。MS (m/z): 791.6 [MH]+。IR (KBr) cm-1: 3440、3367、2967、2938、2877、1706、1668、1656、1619、1545、1532、1510、1459、1379、1367、1351、1273、1257、1239、1185、1163、1087、1057、1033、973、957、930、897、869、812、736、704。
【0184】
(実施例13:化合物13:(I;M=M4、D=D11))
【0185】
【化30】

【0186】
アルゴン気流下で、乾燥ジクロロメタン5mL中に化合物D11(82mg、0.29mmol)を溶解した。続いて、トリエチルアミン0.380mL、ヒドロキシベンゾトリアゾール80mg、マクロライドM4 138mg(0.29mmol)、および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩235mgを溶液に加えた。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧蒸発させた。シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=90:9:1.5を用いて、得られた混合物を精製した。112mgの化合物13を得た;MS(m/z):740.4[MH]+
【0187】
(実施例14:化合物14:(I;M=M4、D=D12))
【0188】
【化31】

【0189】
アルゴン気流下で、乾燥ジクロロメタン5mL中に化合物D12(86mg、0.29mmol)を溶解した。続いて、トリエチルアミン0.38mL、ヒドロキシベンゾトリアゾール80mg、マクロライドM4 138mg(0.29mmol)、および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩235mgを溶液に加えた。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧蒸発させた。シリカゲルカラムで溶離液CHCl3:MeOH:NH4OH=90:9:1.5を用いて、得られた混合物を精製した。100mgの化合物14を得た;MS(m/z):755.4[MH]+
【0190】
(実施例15:化合物15:(I;M=M4、D=D13))
【0191】
【化32】

【0192】
D13a D13メチルエステル
【0193】
【化33】

【0194】
テオフィリン(1.80g、10mmol)、アクリル酸メチル(30mL)、およびtBuOH(0.96mL、10mmol)のTHF(200mL)溶液をKOtBu(56.1mg、0.5mmol)で処理し、130℃で24時間加熱し、冷却し、CH2Cl2で希釈し、H2Oで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、蒸発させ、シリカゲルカラムで溶媒系CH2Cl2:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて精製した。1.4gの化合物D13aを得た。
MS(m/z):267.3[MH]+
【0195】
2-メトキシカルボニルエチルテオフィリン(D13)
【0196】
【化34】

【0197】
D13a(717mg、2.70mmol)のTHF溶液を、LiOH(226.6mg、5.40mmol)の水(5mL)溶液で処理し、5分間勢いよく攪拌した。HCl(1.0N、8mL)、続いてさらに水(10mL)を加えた。THFを減圧除去し、得られた固体をろ過により単離して、450mgのD13を得た。
MS(m/z):253.3[MH]+
【0198】
D13(187mg、0.744mmole)のジクロロメタン10mLの溶液をトリエチルアミン0.828mLおよび1-ヒドロキシベンゾトリアゾール201mgで処理した。化合物M4(354.4mg、0.744mmole)および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(511mg)を加えた。この反応混合物を不活性雰囲気下、室温で24時間攪拌した。次に、溶媒を蒸発させ、シリカゲルカラムで溶媒系CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、この化合物を精製した。200mgの化合物D15を単離した。MS (m/z): 711,9 [MH]+。IR (cm-1)/KBr: 3450、3111、2974、2877、1706、1659、1604、1550、1475、1459、1409、1376、1353、1240、1225、1184、1164、1140、1089、1053、1035、976、958、929、898、850、810、751、706、666、621。
【0199】
(実施例16:化合物18)
【0200】
【化35】

【0201】
化合物M1(1g、2.384mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.054ml、23.84mmol)のアセトニトリル60mlの溶液に、N-(4-ブロモブチル)-フタルイミド(6.726g、23.84mmol)を加えた。この反応混合物を80℃で38時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、EtOAcおよび水で混合物を希釈した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧蒸発させ、シリカゲルカラムで溶離液CH2Cl2:MeOH:NH4OH=90:8:1を用いて、得られた混合物を精製した。580mgの化合物16を得た。MS (m/z): 621,80 [MH]+。IR (cm-1)/KBr: 3483、3061、2973、2937、2876、1773、1713、1612、1467、1439、1398、1372、1356、1267、1174、1137、1089、1053、999、958、933、902、863、809、721、623。
【0202】
【化36】

【0203】
化合物16(250mg、0.403mmol)のメタノール25mlの溶液に、ヒドラジン水和物(0.043ml、0.886mmol)を加えた。反応混合物を65℃で3時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、EtOAcおよび水で混合物を希釈した。有機層をNa2SO4で乾燥した。溶媒を減圧蒸発させ、シリカゲルカラムで溶離液CH2Cl2:MeOH:NH4OH=6:1:0.1を用いて、得られた混合物を精製した。151mgの化合物17を得た。MS (m/z): 491,66 [MH]+。IR (cm-1)/KBr: 3415、2974、2937、2876、1720、1599、1459、1376、1352、1308、1268、1176、1139、1090、1055、1038、958、900、850、810、737、705、671。
【0204】
乾燥ジクロロメタン10mL中にインドメタシンD10(73mg、0.204mmole)を溶解した。トリエチルアミン(0.222mL)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール55mgを加え、次に、化合物17(100mg、0.204mmole)および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミド塩酸塩(156mg)を加えた。この反応混合物を不活性雰囲気下、室温で24時間攪拌した。次に、溶媒を減圧蒸発させ、シリカゲルカラムで溶離液CH2Cl2:MeOH:NH4OH=90:9:1.5を用いて、この化合物を精製した。140mgの化合物18を得た。MS (m/z): 830,91 [MH]+。IR (cm-1)/KBr: 3417、3087、2972、2935、2876、1709、1681、1658、1596、1529、1478、1457、1400、1372、1357、1322、1289、1261、1226、1179、1150、1090、1054、1037、1015、958、926、912、833、805、755、736、702、664。
【0205】
(実施例17:化合物22)
【0206】
【化37】

【0207】
化合物M1(2g、4.767mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(8.10ml、47.67mmol)のアセトニトリル(80ml)溶液に、6-ブロモヘキサンニトリル(6.32ml、47.67mmol)を加えた。反応混合物を80℃で21時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、ジクロルメタンおよび水で希釈した。有機層をNa2SO4で乾燥した。次に、溶媒を減圧蒸発させ、シリカゲルカラムで溶離液CH2Cl2:MeOH:NH4OH=90:9:1.5を用いて、この化合物を精製した。532mgの化合物19を得た。MS (m/z): 515,70 [MH]+。IR (cm-1)/KBr: 3444、2973、2937、2875、2247 (C≡N)、1712、1637、1459、1375、1352、1307、1265、1179、1139、1090、1052、1004、958、901、860、810、773、750、705、670。
【0208】
【化38】

【0209】
無水エタノール25mL中にマクロライド19(532mg、1.034mmole)溶解し、触媒PtO2(53mg)を用い、40atmの水素圧下、24時間、反応器中で水素化した。この反応混合物をろ過し、溶媒を減圧蒸発させた。463mgの混合物を得た。シリカゲルカラムで溶離液CH2Cl2:MeOH: NH4OH=6:1:0.1を用いて、この混合物を精製した。180mgのアミン21を得た。MS(m/z):519.74[MH]+
【0210】
乾燥ジクロロメタン10mL中にインドメタシンD10(62mg、0.174mmole)を溶解した。トリエチルアミン(0.189mL)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール47mg、化合物21(90mg、0.174mmole)、および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミド塩酸塩(133mg)を加えた。この反応混合物を不活性雰囲気下、室温で24時間攪拌した。次に、溶媒を減圧蒸発させ、シリカゲルカラムで溶媒系CH2Cl2:MeOH:NH4OH=90:8:1を用いて、この化合物を精製した。105mgの化合物22を得た;MS(m/z):858.81[MH]+
【0211】
(実施例18:化合物23)
【0212】
【化39】

【0213】
乾燥ジクロロメタン10mL中にデスオキシメタゾン酸D5(63mg、0.174mmole)を溶解した。トリエチルアミン(0.189mL)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール47mg、化合物21(90mg、0.174mmole)、および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(133mg)を加えた。この反応混合物を不活性雰囲気下、室温で24時間攪拌した。次に、溶媒を減圧蒸発させ、シリカゲルカラムで溶媒系CH2Cl2:MeOH:NH4OH=90:8:1を用いて、この化合物を精製した。98mgの化合物23を得た;MS(m/z):863.77[MH]。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、Mは、部分構造II:
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、水素、C1〜C4アルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アリールメトキシカルボニル、アロイル、アリールアルキル、アルキルシリル、アルキルシリルアルコキシアルキルからなる群から互いに独立に選択され;
RNは、L鎖のX1との共有結合を示す)
のマクロライドサブユニットを示し、
Lは、部分構造III:
-X1-(CH2)m-Q-(CH2)n-X2-
III
(式中、X1は-CH2-または-C(O)-であり;
X2は、-NH-または-O-であり;
Qは、-NH-または-CH2-であり;
記号mおよびnは、独立に0〜4の整数であり;ただし、QがNHのときは、nは0にはなることができない)
の鎖を示し、
Dは、非ステロイド系抗炎症性サブユニットまたはステロイドサブユニットを示す)
によって示される化合物、および医薬的に許容される前記化合物の塩、および前記の化合物を含有する医薬的に許容される組成物。
【請求項2】
Dが、部分構造IV:
【化3】

(式中、RaおよびRbは、水素およびハロゲンからなる群から互いに独立に選択され、
Rfは、水素、ヒドロキシル基、ハロゲンからなる群から選択され、あるいは、結合している炭素原子と共にカルボニル(C=O)基を形成し、
Rcは、L鎖のX2との共有結合であり、
RdおよびReは、水素、ヒドロキシ、メチル、C1〜C4アルコキシからなる群からそれぞれ独立に選択され、あるいは、付随するC原子と共に、さらにアルキルまたはアルケニルで一置換または二置換することができる1,3-ジオキソラン環を示し、
Rjは、水素および塩素からなる群から選択される)
のステロイドである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1、R2、R3、R4およびR5が、水素およびC1〜C4アルキルからなる群からそれぞれ独立に選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R1、R2、R3、R4およびR5が、水素およびメチルからなる群から独立に選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
X1がCH2であり、X2がNHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
部分構造IIIがm=1、n=1、Q=CH2のものである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
部分構造IVが以下からなる群:
【化4】

から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
部分構造IVが以下のもの:
【化5】

である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
以下の構造:
【化6】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
以下の構造:
【化7】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
以下の構造:
【化8】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
以下の構造:
【化9】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項13】
以下の構造:
【化10】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項14】
以下の構造:
【化11】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項15】
以下の構造:
【化12】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項16】
以下の構造:
【化13】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項17】
以下の構造:
【化14】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項18】
以下の構造:
【化15】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項19】
以下の構造:
【化16】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項20】
前記Dが非ステロイド系抗炎症性(NSAID)サブユニットである、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
前記NSAIDサブユニットが、アセクロフェナク、アセメタシン、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセチルサリチル酸、アセチル-サリチル-2-アミノ-4-ピコリン酸、5-アミノアセチルサリチル酸、アルクロフェナック、アミノプロフェン、アンフェナク、アンピロン、アンピロキシカム、アニレニジン、ベンダザック、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、α-ビサボロール、ブロムフェナク、5-ブロモサリチル酸アセテート、ブロモサリゲニン、ブクロキス酸、ブチブフェン、カルプロフェン、セレコキシブ、クロモグリケート、シンメタシン、クリンダナック、クロピラック、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、ジタゾール、ドロキシカム、エンフェナム酸、エトドラク、エトフェナメート、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロズ酸、フェンドサル、フェノプロフェン、フェンチアザク、フェプラジノール、フルフェナック、フルフェナム酸、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、グルタメタシン、サリチル酸グリコール、イブフェナック、イブプロフェン、イブプロキサム、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラク、イソキセパック、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メサラミン、メシアジン酸、モフェゾラク、モンテルカスト、ミコフェノール酸、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルム酸、ニメスリド、オルサラジン、オキサセプロール、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、パラセタモール、パルサルミド、ペリソキサール、アセチルサリチル酸フェニル、フェニルブタゾン、サリチル酸フェニル、ピラゾラク、ピロキシカム、ピルフロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、レセルベラトール、サラセタミド、サリチルアミド、サリチルアミド-O-アセチル酸、サリチル硫酸、サリシン、サリチルアミド、サルサレート、スリンダク、スプロフェン、スキシブタゾン、タモキシフェン、テノキシカム、テオフィリン、チアプロフェン酸、チアラミド、チクロプリジン、チノリジン、トルフェナム酸、トルメチン、トロペシン、キセンブシン、キモプロフェン、ザルトプロフェン、ゾメピラク、トモキシプロール、ザフィルルカスト、およびシクロスポリンのサブユニットからなる群から選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
前記NSAIDサブユニットがアセチルサリチル酸でもミコフェノール酸でもない、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
前記NSAIDサブユニットが、インドメタシンフルフェナム酸、フルニキシン、およびテオフィリンからなる群から選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
前記NSAIDサブユニットが、インドメタシンである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
以下の構造:
【化17】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
以下の構造:
【化18】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
以下の構造:
【化19】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
以下の構造:
【化20】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
以下の構造:
【化21】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
以下の構造:
【化22】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
以下の構造:
【化23】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
請求項1または2または20に記載の化合物、および医薬的に許容されるその塩または溶媒和化合物、ならびに医薬的に許容される希釈剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項33】
望ましくない炎症性の免疫応答を特徴とするか、またはそれに関連する炎症性の疾患、障害、および状態、ならびに、TNF-αおよびIL-1の過剰分泌によって誘発されるか、またはそれに関連するすべての疾患および状態を治療する方法であって、請求項1または2または20に記載の化合物の治療有効量を被験者に投与することを含む方法。
【請求項34】
治療を必要とする被験者において炎症を起こした組織中への白血球の浸潤に関連する炎症性の状態および免疫異常またはアナフィラキシー性の障害を治療する方法であって、請求項1または2または20に記載の化合物の治療有効量を前記被験者に投与することを含む方法。
【請求項35】
炎症性の状態および免疫異常が、喘息、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患、クローン病、気管支炎、および嚢胞性線維症からなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記炎症性の状態および免疫異常が、肺、関節、眼、腸、皮膚、および心臓の炎症性の状態または免疫異常からなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記炎症性の状態および免疫異常が、喘息、成人呼吸窮迫症候群、気管支炎、嚢胞性線維症、関節リウマチ、脊椎リウマチ、変形関節炎、痛風関節炎、ブドウ膜炎、結膜炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、遠位直腸炎、乾癬、湿疹、皮膚炎、心筋梗塞損傷、慢性炎症、エンドトキシンショック、および平滑筋増殖異常からなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
サイトカインまたは炎症メディエータの非調節な過剰産生を特徴とするか、またはそれに関連する炎症性の疾患、障害、および状態を治療する方法であって、請求項1または2または20に記載の化合物の治療有効量を被験者に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2006−524221(P2006−524221A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506511(P2006−506511)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001235
【国際公開番号】WO2004/094449
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505011361)プリヴァ−イストラジヴァキ・インスティトゥ・ディー・オー・オー (3)
【Fターム(参考)】