説明

排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法

【課題】圧力損失の増加が少なく、エンジン始動直後でも排ガスを高効率で浄化できると共に、粒子状物質を高効率で捕集できる排ガス浄化装置を提供すること。
【解決手段】第一のハニカム構造体及び三元触媒を備えたハニカム触媒体10と、ハニカムフィルタ20と、筒状の缶体30と、から構成されてなり、ハニカム触媒体10及びハニカムフィルタ20は、ハニカム触媒体10の流入側の端面15が缶体30の流入口31に面し、ハニカムフィルタ20の流出側の端面26が缶体30の流出口32に面するように、缶体30の内部に配置され、且つ、ハニカム触媒体10の長さが、ハニカムフィルタ20の長さに対して2.0〜10.0倍であり、ハニカムフィルタ20の長さが、ハニカムフィルタ20の外径に対して0.1〜0.5倍であり、ハニカム触媒体10のセル密度がハニカムフィルタ20のセル密度より大である排ガス浄化装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法に関し、更に詳しくは、直噴ガソリンエンジンの排ガスの浄化に好適に用いることが可能な排ガス浄化装置及びそれを用いた排ガス浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境保護や資源節約の観点から自動車の燃費低減が求められている。乗用車において主として用いられるガソリンエンジンについては、燃費改善のために燃料を直接噴射する直噴ガソリンエンジンの使用が進められている。
【0003】
従来、ガソリンエンジンから排出される排ガスは、三元触媒やNO吸蔵還元触媒等を使用した排ガス浄化装置により処理されている。また、従来のガソリンエンジンでは、吸気ポート燃料噴射方式を採用していたため、煤等の粒子状物質(Particulate Matter:PM)があまり発生せず、粒子状物質を捕集するための特別な処理はほとんど必要とされていなかった。しかし、直噴ガソリンエンジンの場合、吸気ポート燃料噴射式のガソリンエンジンと比較して粒子状物質の発生量が多く、発生した粒子状物質を大気に放出しないための対策が必要であった。
【0004】
一方、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質を除去するための捕集フィルタとして、ハニカム構造体が用いられている。このようなハニカム構造体として、例えば、両端面の所定の位置に目封止部を備えた目封止ハニカム構造体(ウォールフロー型フィルタ)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、目封止ハニカム構造体とは、流体(排ガス、浄化ガス)の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と最外周に位置する外周壁とを有するハニカム構造部と、当該ハニカム構造部における、「流体(排ガス)の入口側の端面における所定のセルの開口部」及び「流体(浄化ガス)の出口側の端面における残余のセルの開口部」に配設された目封止部とを備えるものである。このようなハニカム構造体によれば、排ガスの入口側の端面からセル内に排ガスが流入し、セル内に流入した排ガスが隔壁を通過し、隔壁を通過した排ガス(浄化ガス)が排ガスの出口側の端面から排出される。そして、排ガスが隔壁を通過する際に、排ガス中に含まれる粒子状物質が隔壁により捕集され、排ガスが浄化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−254034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の直噴ガソリンエンジンから排出される粒子状物質を除去する方法として、上述のようなディーゼルエンジンから排出される粒子状物質を除去するために使用されるウォールフロー型フィルタを使用する方法が考えられる。しかしながら、従来の三元触媒、NO吸蔵還元触媒等を使用する排ガス浄化装置を搭載した上に、更にウォールフロー型フィルタを搭載すると、排気系の圧力損失が増加し、エンジン出力の低下等の問題が発生することが考えられる。
【0007】
上述の圧力損失増大の問題を解消するために、従来の排ガス浄化装置を、三元触媒を担持させたウォールフロー型フィルタで置き換えることが考えられる。しかしながら、必要量の三元触媒をウォールフロー型フィルタの隔壁に担持させると、隔壁の細孔が閉塞してしまうことにより、圧力損失が過大となってしまう問題がある。
【0008】
また、ウォールフロー型フィルタは、両端部に目封止部を有するため、両端部の熱容量が大きく、両端部では温度上昇が遅い。このため、エンジン始動直後では触媒活性温度まで到達することができず、三元触媒による排ガスの浄化が不十分となってしまう問題もある。
【0009】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、圧力損失の増加が少なく、且つ、エンジン始動直後でも排ガスを高効率で浄化することができると共に、粒子状物質を高効率で捕集することができる排ガス浄化装置及びそれを用いた排ガス浄化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、三元触媒が担持されたフロースルー型のハニカム構造体の下流側に特定の長さのハニカムフィルタが配置された排ガス浄化装置をエンジン直下に設置することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明によれば、以下に示す排ガス浄化装置及びそれを用いた排ガス浄化方法が提供される。
【0012】
[1]排ガスの流路となる流入側の端面から流出側の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する第一のハニカム構造体、及び前記第一のハニカム構造体の前記隔壁に担持された三元触媒を備えたハニカム触媒体と、排ガスの流路となる流入側の端面から流出側の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する第二のハニカム構造体、及び流入側の開口端部が封止されたセルと流出側の開口端部が封止されたセルとが交互に配置されるように前記第二のハニカム構造体の前記セルの開口端部を互い違いに封止する目封止部を備えたハニカムフィルタと、エンジン排気マニホルドの出口側に接続される流入口、及び前記流入口から流入した排ガスを流出する流出口を有し、前記ハニカム触媒体及び前記ハニカムフィルタをその内部のガス通路内に保持する筒状の缶体と、から構成されてなり、前記ハニカム触媒体が前記缶体の前記流入口側に位置し、前記ハニカムフィルタが前記缶体の前記流出口側に位置すると共に、前記ハニカム触媒体の前記流入側の端面が前記缶体の前記流入口側を向き、前記ハニカムフィルタの前記流出側の端面が前記缶体の前記流出口側を向くように、前記缶体の内部に配置され、且つ、前記ハニカム触媒体の前記セルの延びる方向の長さが、前記ハニカムフィルタの前記セルの延びる方向の長さに対して2.0〜10.0倍の長さであり、前記ハニカムフィルタの前記セルの延びる方向の長さが、前記ハニカムフィルタの外径に対して0.1〜0.5倍の長さであり、前記ハニカム触媒体のセル密度が前記ハニカムフィルタのセル密度より大である排ガス浄化装置。
【0013】
[2]前記ハニカム触媒体及び前記ハニカムフィルタが、前記ハニカム触媒体の前記セルの延びる方向の中心軸と前記ハニカムフィルタの前記セルの延びる方向の中心軸とが同一直線上となるように、前記缶体の内部に配置された前記[1]に記載の排ガス浄化装置。
【0014】
[3]前記ハニカム触媒体が、前記ハニカム触媒体1Lあたりに、100〜400gの前記三元触媒が担持されたものであり、且つ、前記ハニカムフィルタが、前記ハニカムフィルタ1Lあたりに、0〜60gの酸化触媒が担持されたものである前記[1]又は[2]に記載の排ガス浄化装置。
【0015】
[4]前記ハニカム触媒体が、前記隔壁の厚さが0.051〜0.102mmであると共に、セル密度が62.0〜186セル/cmである前記第一のハニカム構造体を有し、且つ、前記ハニカムフィルタが、前記隔壁の厚さが0.127〜0.508mmであると共に、セル密度が7.75〜46.5セル/cmである前記第二のハニカム構造体を有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の排ガス浄化装置。
【0016】
[5]前記ハニカム触媒体が、前記隔壁の気孔率が20〜50%である前記第一のハニカム構造体を有し、且つ、前記ハニカムフィルタが、前記隔壁の気孔率が35〜80%であると共に、前記隔壁の平均細孔径が7〜40μmである前記第二のハニカム構造体を有する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の排ガス浄化装置。
【0017】
[6]前記ハニカム触媒体の前記セルの延びる方向の長さが、前記ハニカム触媒体の外径に対して、0.5〜1.5倍の長さである前記[1]〜[5]のいずれかに記載の排ガス浄化装置。
【0018】
[7]前記ハニカム触媒体と前記ハニカムフィルタとの間に1〜30mmの隙間が設けられている前記[1]〜[6]のいずれかに記載の排ガス浄化装置。
【0019】
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の排ガス浄化装置を、前記エンジン排気マニホルドの出口から、前記缶体の下流側に配置された前記ハニカムフィルタの前記流出側の端面までの距離が1m以下となるように設置して、前記エンジン排気マニホルドから排出された排ガスを浄化する排ガス浄化方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の排ガス浄化装置によれば、三元触媒を担持させたフロースルー型のハニカム触媒体が缶体の流入口側に位置し、ウォールフロー型のハニカムフィルタが缶体の流出口側に位置すると共に、ハニカム触媒体の流入側の端面が缶体の流入口側を向き、ハニカムフィルタの流出側の端面が缶体の流出口側を向くように缶体内に配置され、且つ、ハニカム触媒体の長さが、ハニカムフィルタの長さに対して2.0〜10.0倍の長さであり、ハニカムフィルタの長さが外形に対して0.1〜0.5倍の長さであり、ハニカム触媒体のセル密度がハニカムフィルタのセル密度より大であることにより、圧力損失の増加が少なく、且つ、直噴ガソリンエンジンの始動直後でも排ガスを高効率で浄化することができると共に、粒子状物質を高効率で捕集することができる。
【0021】
また、本発明の排ガス浄化装置を直噴ガソリンエンジンの排気マニホルド下流の近接位置(排気マニホルド直下)に設置した本発明の排ガス浄化方法によれば、圧力損失の増加が少なく、且つ、直噴ガソリンエンジンの始動直後でも排ガスを高効率で浄化することができると共に、粒子状物質を高効率で捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の排ガス浄化装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図であり、ハニカム触媒体及びハニカムフィルタのセルの延びる方向の中心軸を含む断面を示す。
【図2】本発明の排ガス浄化装置の一実施形態を構成するハニカム触媒体を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の排ガス浄化装置の一実施形態を構成するハニカムフィルタを模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の排ガス浄化方法の一実施形態を説明する模式図であり、排ガス浄化装置を構成するハニカム触媒体及びハニカムフィルタのセルの延びる方向の中心軸を含む断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0024】
[1]排ガス浄化装置:
図1は、本発明の排ガス浄化装置の一実施形態のセルの延びる方向の中心軸を含む断面を模式的に示す断面図である。図2は、本発明の排ガス浄化装置の一実施形態を構成するハニカム触媒体を模式的に示す斜視図である。図3は、本発明の排ガス浄化装置の一実施形態を構成するハニカムフィルタを模式的に示す斜視図である。
【0025】
本発明の排ガス浄化装置の一実施形態は、図2に示すような、排ガスの流路となる流入側の端面15から流出側の端面16まで延びる複数のセル12を区画形成する隔壁11を有する第一のハニカム構造体13、及び第一のハニカム構造体13の隔壁11に担持された三元触媒を備えたハニカム触媒体10と、図3に示すような、排ガスの流路となる流入側の端面25から流出側の端面26まで延びる複数のセル22を区画形成する隔壁21を有する第二のハニカム構造体23、及び流入側の開口端部が封止されたセル(流出セル22b)と流出側の開口端部が封止されたセル(流入セル22a)とが交互に配置されるように第二のハニカム構造体23のセル22の開口端部を互い違いに封止する目封止部24を備えたハニカムフィルタ20と、図1に示すような、エンジン排気マニホルドの出口側に接続される流入口32、及び流入口32から流入した排ガスを流出する流出口33を有し、ハニカム触媒体10及びハニカムフィルタ20をその内部のガス通路内に保持する筒状の缶体30と、から構成されてなる排ガス浄化装置1である。
【0026】
そして、図1に示すように、本実施形態の排ガス浄化装置1を構成するハニカム触媒体10が缶体30の流入口31側に位置し、ハニカムフィルタ20が缶体30の流出口32側に位置すると共に、ハニカム触媒体10の流入側の端面15が缶体30の流入口31側を向き、ハニカムフィルタ20の流出側の端面26が缶体30の流出口32側を向くように、缶体30の内部に配置されている。
【0027】
また、本実施形態の排ガス浄化装置においては、ハニカム触媒体10のセル12の延びる方向の長さ(以下、単に「ハニカム触媒体の長さ」ともいう)が、ハニカムフィルタ20のセル22の延びる方向の長さ(以下、単に「ハニカムフィルタの長さ」ともいう)に対して2.0〜10.0倍の長さであり、ハニカムフィルタ20の長さが、ハニカムフィルタ20の外径に対して0.1〜0.5倍の長さであり、ハニカム触媒体10のセル密度がハニカムフィルタ20のセル密度より大である。
【0028】
本実施形態の排ガス浄化装置1は、上述のような構成を有することにより、圧力損失の増加が少なく、且つ、直噴ガソリンエンジンの始動直後でも排ガスを高効率で浄化することができると共に、粒子状物質を高効率で捕集することができる。特に、エンジン排気マニホルドの出口から1m以内、即ち、エンジン直下に設置されることにより、エンジン始動直後でも高温の排ガスが本実施形態の排ガス浄化装置1に流入するため、ハニカムフィルタ20で捕集される粒子状物質は燃焼され易く、ハニカムフィルタ20内に堆積し難い。そのため、ハニカムフィルタ20は粒子状物質の堆積による圧力損失の増大が少なく、更に、粒子状物質が継続的に燃焼されることから、粒子状物質を長期間保持する必要が無いため、ハニカムフィルタ20のセル22の延びる方向の長さを短くすることができ、初期圧力損失を低減することができる。
【0029】
本実施形態の排ガス浄化装置1において、ハニカム触媒体10の長さは、ハニカムフィルタ20の長さに対して、2.0〜10.0倍の長さであり、2.0〜5.0倍の長さであることが好ましく、2.0〜3.0倍の長さであることが更に好ましく、2.0〜2.5倍の長さであることが特に好ましい。ハニカム触媒体及びハニカムフィルタの長さが上述の数値範囲内であることにより、本実施形態の排ガス浄化装置1は、直噴ガソリンエンジンの排気系に設置した場合でも、圧力損失の増加が少なく、且つ、エンジン始動直後でも排ガスを高効率で浄化することができると共に、粒子状物質を高効率で捕集することができる。ハニカム触媒体10の長さが、ハニカムフィルタ20の長さに対して、2.0倍未満であると、即ち、ハニカム触媒体10の長さが短すぎるか、又はハニカムフィルタ20の長さが長すぎると、ハニカム触媒体10の長さが短いために、排ガスが十分に浄化されず、また、ハニカムフィルタ20が長いために、初期圧力損失が増加してしまうおそれがある。一方、ハニカム触媒体10の長さが、ハニカムフィルタ20の長さに対して、10.0倍超であると、即ち、ハニカム触媒体10の長さが長すぎるか、又はハニカムフィルタ20の長さが短すぎると、ハニカム触媒体10の長さが長いために、初期圧力損失が増加し、また、ハニカムフィルタ20の長さが短すぎるために、粒子状物質が燃焼される前にハニカムフィルタ20内に堆積し圧力損失が増大してしまうおそれがある。
【0030】
また、ハニカム触媒体10のセル密度をハニカムフィルタ20のセル密度より大とすることにより、排ガスの流路の上流側のハニカム触媒体10では、排ガスがハニカム触媒体10の三元触媒と接触する面積を大きくすることができるため、より多くの三元触媒を活性化させることができ、排ガスを効率的に浄化することができる。一方、排ガスの流路の下流側のハニカムフィルタ20は、初期圧力損失が比較的大きいウォールフロー型のフィルタであるが、セル密度を小さくすることにより、初期圧力損失を低減させることができる。
【0031】
なお、本明細書中、ハニカム構造体(ハニカム触媒体及びハニカムフィルタを含む)の「外径」とは、ハニカム構造体の底面内に描くことができる線分のうち最も長い線分の長さ(最長径)のことを意味する。即ち、「ハニカム構造体の外径」とは、例えば、ハニカム構造体の全体形状が円筒形状である場合は、円(底面)の直径を意味し、ハニカム構造体の全体形状が正四角柱状である場合は、正方形(底面)の対角線の長さを意味し、ハニカム構造体の全体形状が六角柱状である場合は、六角形(底面)の最も長い対角線の長さを意味する。
【0032】
また、本明細書中、「初期圧力損失」とは、ハニカム構造体に粒子状物質が堆積していない状態での圧力損失を意味する。ここでいう「ハニカム構造体」には、後述する第一及び第二のハニカム構造体、並びにハニカム触媒体及びハニカムフィルタが含まれるものとする。以下、単に「ハニカム構造体」というときも同様である。
【0033】
本実施形態の排ガス浄化装置1においては、ハニカム触媒体10の外径はハニカムフィルタ20の外径以下であることが好ましく、ハニカム触媒体10の外径とハニカムフィルタ20の外径が等しいことがより好ましい。本実施形態の排ガス浄化装置1においては、このように構成されることによって、缶体内の排ガスの流路が狭められることなく浄化対象となる排ガスが通過でき、初期圧力損失の増加を良好に抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態の排ガス浄化装置1においては、ハニカム触媒体10が缶体30の流入口31側に位置し、ハニカムフィルタ20が缶体30の流出口32側に位置すると共に、ハニカム触媒体10の流入側の端面15が缶体30の流入口31側を向き、ハニカムフィルタ20の流出側の端面26が缶体30の流出口32側を向くように、缶体の内部に配置されていれば良いが、ハニカム触媒体10の流出側の端面16の少なくとも一部がハニカムフィルタ20の流入側の端面25の少なくとも一部と対向していることが好ましく、ハニカム触媒体10の流出側の端面16の全部がハニカムフィルタ20の流入側の端面25と対向していることがより好ましい。本実施形態の排ガス浄化装置1は、このように構成されることによって、ハニカム触媒体10の流出側の端面16から排出されたより多くの排ガスが、流路を曲げることなく直接ハニカムフィルタ20の流入側の端面25へ到達することができるため、ハニカム触媒体10とハニカムフィルタ20の間での圧力損失を抑制することができる。
【0035】
なお、端面同士が「対向する」とは、端面同士が平行(ハニカム触媒体及びハニカムフィルタのセルの延びる方向が平行)な状態で端面同士が向かい合うことのみを意味するものではなく、端面同士が平行でない状態で端面同士が向かい合うことも含まれる。即ち、それぞれのセルの延びる方向を含む平面において、互いのセルの延びる方向が、60°未満で傾いた状態であっても、端面同士が向かい合っている場合には、端面同士が対向しているものとする。そして、「ハニカム触媒体の流出側の端面の少なくとも一部がハニカムフィルタの流入側の端面の少なくとも一部と対向している」とは、ハニカムフィルタの流入側の端面の少なくとも一部が、ハニカム触媒体の流出側の端面をセルの延びる方向に平行移動した際の軌跡と重なるように、ハニカム触媒体及びハニカムフィルタが配置されている状態を意味する。更に、「ハニカム触媒体の流出側の端面の全部がハニカムフィルタの流入側の端面と対向している」とは、ハニカムフィルタの流入側の端面の全部が、ハニカム触媒体の流出側の端面をセルの延びる方向に平行移動した際の軌跡と重なるように、ハニカム触媒体及びハニカムフィルタが配置されている状態を意味する。
【0036】
更に、本実施形態の排ガス浄化装置1においては、ハニカム触媒体10のセル12の延びる方向とハニカムフィルタ20のセル22の延びる方向とが平行であることが更に好ましく、ハニカム触媒体10のセル12の延びる方向の中心軸(以下、単に「ハニカム触媒体の中心軸」ともいう)とハニカムフィルタ20のセル22の延びる方向の中心軸(以下、単に「ハニカムフィルタの中心軸」ともいう)とが同一直線上に位置することが特に好ましい。本実施形態の排ガス浄化装置1は、このように構成されることによって、ハニカム触媒体10の流出側の端面16から排出された排ガスが、ハニカムフィルタ20の流入側の端面25に開口した流入セル22aの内部へ、流路を曲げることなく侵入することができるため、ハニカムフィルタ20流入時の圧力損失を良好に抑制することができる。特に、ハニカム触媒体の中心軸とハニカムフィルタの中心軸とが同一直線上にある場合、前述のハニカム触媒体10とハニカムフィルタ20の間での圧力損失だけでなく、ハニカムフィルタ20流入時の圧力損失をも抑制することができるため、ハニカム触媒体10とハニカムフィルタ20との位置関係により生じる圧力損失を、最も効果的に抑制することができる。また、排ガスがハニカム触媒体10を通過する際、炭化水素や一酸化炭素の酸化反応により排ガスの温度が上昇し、且つ、この高温の排ガスが缶体30の内壁に衝突せずに直接ハニカムフィルタ20内へ流入するため、熱が缶体30へ逃げることを防ぐことができると共に、ハニカムフィルタ20内の温度を上昇させ、堆積した粒子状物質を効率よく燃焼させることができる。
【0037】
また、本実施形態の排ガス浄化装置1は、ハニカム触媒体10とハニカムフィルタ20との間に1〜30mmの隙間が設けられていることが好ましく、2〜20mmの隙間が設けられていることが更に好ましく、2〜10mmの隙間が設けられていることが特に好ましい。ハニカム触媒体10とハニカムフィルタ20との間の隙間が1mm未満であると、本実施形態の排ガス浄化装置1は、自動車に搭載された際、走行中の振動や、エンジンから伝わる振動等により、ハニカム触媒体10の流出側の端面16とハニカムフィルタ20の流入側の端面25とが接触し、ハニカム触媒体10、ハニカムフィルタ20、又はその両方が破損、磨耗等してしまうことがある。一方、隙間が30mm超であると、ハニカム触媒体10の流出側の端面16から排出された排ガスの温度が、この隙間を通過している間に下がってしまい、ハニカムフィルタ20内の粒子状物質を十分に燃焼させることができず、圧力損失が増大してしまうおそれがある。
【0038】
以下、本実施形態の排ガス浄化装置の各構成要素について、更に具体的に説明する。
【0039】
[1−1]ハニカム触媒体:
本実施形態の排ガス浄化装置を構成するハニカム触媒体は、図2に示すように、第一のハニカム構造体13、及び第一のハニカム構造体13の隔壁11に担持された三元触媒を備えたものである。
【0040】
[1−1−1]第一のハニカム構造体:
第一のハニカム構造体(ハニカム触媒体用のハニカム構造体)は、図2に示すように、排ガスの流路となる流入側の端面15から流出側の端面16まで延びる複数のセル12を区画形成する隔壁11を有するものである。なお、図2に示す第一のハニカム構造体は、最外周に位置する外周壁17を有するものである。
【0041】
第一のハニカム構造体の全体形状としては、特に制限はなく、例えば、図2に示すような円筒(円柱)形状や楕円筒(楕円柱)形状の他、三角柱、四角柱、六角柱等の多角柱形状、底面が不定形である柱形状等を挙げることができる。
【0042】
第一のハニカム構造体の長さは、60〜160mmであることが好ましく、70〜150mmであることが更に好ましく、80〜140mmであることが特に好ましい。第一のハニカム構造体の長さが、60mm未満であると、ハニカム触媒体として排ガスを十分に浄化することができないおそれがある。一方、第一のハニカム構造体の長さが160mm超であると、初期圧力損失が増加してしまう傾向にある。
【0043】
第一のハニカム構造体の外径としては、特に制限はないが、80〜180mmであることが好ましく、80〜150mmであることが更に好ましく、100〜150mmであることが特に好ましい。第一のハニカム構造体の外径が80mm未満であると、排ガス処理装置のハニカム触媒体部分の排ガスの通路が狭く、初期圧力損失が増加してしまい好ましくない。一方、第一のハニカム構造体の外径が180mm超であると、排ガス処理装置(缶体)自体も大きくなるため、質量が増加すると共に設計上の問題も生じてしまい好ましくない。
【0044】
第一のハニカム構造体の外径に対する、第一のハニカム構造体の長さの比の値(長さ/外径)は、0.5〜1.5であることが好ましく、0.7〜1.4であることが更に好ましく、1.0〜1.2であることが特に好ましい。第一のハニカム構造体の長さ/外径の比の値が上述の数値範囲内であることにより、本実施形態の排ガス浄化装置のハニカム触媒体として好ましいサイズ及び形状とすることができる。
【0045】
第一のハニカム構造体に形成されたセルの形状(セルの延びる方向に対して垂直な断面の形状)としては、特に制限なく従来公知のセルの形状を用いることができ、例えば、四角形、五角形、六角形、八角形、三角形、円形、楕円形等の形状が好ましく、その他不定形であってもよい。これらの形状の中でも、円形又は四角以上の多角形の形状がより好ましい。このようなセルの形状であると、角の部分に触媒が厚付きすることを抑制することができ、隔壁に触媒を均一に担持させることができる。また、セル密度、開口率等を考慮すると、セルの形状としては、四角形、六角形が好ましい。なお、セルの形状は、一種類だけでなく、複数種の形状が組み合わされていても良い。
【0046】
第一のハニカム構造体のセル密度は、62.0〜186セル/cmであることが好ましく、62.0〜100セル/cmであることが更に好ましく、62.0〜80.0セル/cmであることが特に好ましい。第一のハニカム構造体のセル密度が上述の数値範囲内であると、排ガスと第一のハニカム構造体の隔壁及びこの隔壁に担持される三元触媒との接触面積を大きくすることができると共に、第一のハニカム構造体の圧力損失が過度に増加することを抑制することができる。このため、排ガスの温度を更に上げて触媒活性温度へより早く到達させることができ、排ガスを効率的に浄化することができる。
【0047】
第一のハニカム構造体の隔壁の厚さは、0.051〜0.102mmであることが好ましく、0.051〜0.095mmであることが更に好ましく、0.051〜0.080mmであることが特に好ましい。第一のハニカム構造体の隔壁の厚さを上述の数値範囲内とすることにより、後述する三元触媒を担持(コート)させた場合でも、十分な排ガスの流路を確保することができ、初期圧力損失の増加を抑制することができる。また、第一のハニカム構造体の隔壁の厚さを上述の数値範囲内とすることにより、第一のハニカム構造体の全熱容量を低減させることができるため、排ガスが持つ熱や触媒反応の反応熱により第一のハニカム構造体の温度が上昇し易く、触媒活性温度により早く到達させることができる。
【0048】
第一のハニカム構造体の材質としては、コージェライト、ムライト、アルミナ、炭化珪素、及びチタン酸アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種を含んでいることが好ましい。
【0049】
第一のハニカム構造体の隔壁の気孔率は、20〜50%であることが好ましく、第一のハニカム構造体の隔壁の平均気孔径は1〜6μmであることが好ましい。第一のハニカム構造体の隔壁の気孔率及び平均気孔径を、上述の数値範囲内とすることにより、隔壁表面への触媒の密着性を向上させ、触媒を剥がれ難くすることができる。なお、本明細書中、「気孔率」及び「平均細孔径」は、水銀圧入法により測定した気孔率及び平均細孔径を意味するものとする。
【0050】
〔第一のハニカム構造体の製造方法〕
以下、第一のハニカム構造体の製造方法について説明する。
【0051】
第一のハニカム構造体の製造方法においては、まず、セラミック原料を含有するセラミック成形原料を調製することが好ましい。セラミック成形原料に含有されるセラミック原料としては、コージェライト化原料、コージェライト、ムライト、アルミナ、炭化珪素、及びチタン酸アルミニウムからなる群から選択された少なくとも1種を含むものであることが好ましく、コージェライト化原料、コージェライト、ムライト、アルミナ、炭化珪素、及びチタン酸アルミニウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが更に好ましく、コージェライト化原料、コージェライト、ムライト、アルミナ、炭化珪素、及びチタン酸アルミニウムからなる群から選択された1種であることが特に好ましい。なお、コージェライト化原料とは、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミックス原料であって、焼成されてコージェライトになるものである。
【0052】
コージェライト化原料としては、具体的には、シリカ源成分、マグネシア源成分、及びアルミナ源成分を用いることが好ましい。
【0053】
シリカ源成分としては、石英、カオリン、溶融シリカ等を挙げることができる。また、シリカ源成分の粒径は100〜150μmであることが好ましい。
【0054】
マグネシア(MgO)源成分としては、タルク、マグネサイト等を挙げることができる。これらの中でも、タルクが好ましい。タルクは、コージェライト化原料中37〜43質量%含有させることが好ましい。タルクの平均粒子径は、5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることが更に好ましい。また、マグネシア源成分は、不純物としてFe、CaO、NaO、KO等を含有していてもよい。
【0055】
アルミナ源成分としては、不純物が少ないという点で、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。水酸化アルミニウムを用いる場合、水酸化アルミニウムは、コージェライト化原料中、10〜30質量%含有されることが好ましい。また、酸化アルミニウムを用いる場合、酸化アルミニウムは、コージェライト化原料中、1〜45質量%含有されることが好ましい。また、水酸化アルミニウムと酸化アルミニウムとを混合して使用する場合、コージェライト化原料中、水酸化アルミニウムは5〜25質量%含有され、酸化アルミニウムは10〜40質量%含有されることが好ましい。
【0056】
セラミック成形原料は、上記セラミック原料に、分散媒、造孔材、有機バインダ、分散剤、界面活性剤等を混合して調製することが好ましい。それぞれの原料の混合比は、セラミック原料100質量部に対して、分散媒10〜40質量部、造孔材0〜40質量部、有機バインダ3〜8質量部、分散剤0.1〜2質量部、界面活性剤0.1〜2質量部であることが好ましい。
【0057】
分散媒としては、水を挙げることができる。造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル、炭素(コークス)等を挙げることができる。有機バインダとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。分散剤としては、デキストリンや、エチレングリコール等のポリアルコール等を挙げることができる。界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸等を挙げることができる。
【0058】
次に、調製したセラミック成形原料を、ニーダー、真空土練機等を用いて混練し、坏土を形成することが好ましい。
【0059】
次に、坏土を成形して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁と最外周に位置する外周壁とを備える筒状のハニカム成形体を成形することが好ましい。坏土を成形する方法としては、押出成形法、射出成形法、プレス成形法等を挙げることができる。これらの中では、連続成形が容易であり、また、例えばコージェライト結晶を配向させることができるという特徴を有していることより、押出成形法が好ましい。押出成形法は、真空土練機、ラム式押出成形機、2軸スクリュー式連続押出成形機等の装置を用いて実施することができる。例えば、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて押出成形してハニカム成形体を形成することが好ましい。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。
【0060】
上記成形後に、得られたハニカム成形体を乾燥させてもよい。乾燥方法は、特に限定されないが、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥を挙げることができ、なかでも、誘電乾燥、マイクロ波乾燥又は熱風乾燥を単独で又はこれらを組合せて行うことが好ましい。また、乾燥条件としては、乾燥温度80〜150℃、乾燥時間5分〜2時間とすることが好ましい。
【0061】
次に、得られたハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体(第一のハニカム構造体)を得ることが好ましい。
【0062】
また、ハニカム成形体を焼成(本焼成)する前には、そのハニカム成形体を仮焼することが好ましい。仮焼は、脱脂のために行うものであり、その方法は、特に限定されるものではなく、ハニカム成形体中の有機物(有機バインダ、分散剤、造孔材等)を除去することができればよい。一般に、有機バインダの燃焼温度は100〜300℃程度、造孔材の燃焼温度は200〜800℃程度であるので、仮焼の条件としては、酸化雰囲気において、200〜1000℃程度で、3〜100時間程度加熱することが好ましい。
【0063】
ハニカム成形体の焼成(本焼成)は、仮焼したハニカム成形体を構成する成形原料を焼結させて緻密化し、所定の強度を確保するために行われる。焼成条件(温度、時間、雰囲気)は、成形原料の種類により異なるため、その種類に応じて適当な条件を選択すればよい。例えば、コージェライト化原料を使用している場合には、焼成温度は、1410〜1440℃が好ましい。また、焼成時間は、3〜15時間が好ましい。
【0064】
第一のハニカム構造体の外周壁は、成形時に第一のハニカム構造体と一体的に形成される外周壁(成形一体壁)であっても良く、成形後に、第一のハニカム構造体の外周を研削して所定形状とし、セメント等で形成された外周壁(セメントコート壁)であっても良い。外周壁が成形一体壁である場合、外周壁の材質は第一のハニカム構造体の材質と同じ材質であることが好ましい。また、外周壁がセメントコート壁である場合、セメントコート壁の材質としては、共素地にガラス等のフラックス成分を加えた材料等を挙げることができる。また、外周壁の厚さは、0.5〜1.5mmであることが好ましい。
【0065】
[1−1−2]三元触媒:
三元触媒は、排ガス中に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)を主に浄化する触媒である。
【0066】
ハニカムフィルタの隔壁に担持される三元触媒としては、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属を、例えば、アルミナ、チタニア、シリカ、酸化セリウム、ジルコニア、酸化タングステン、ゼオライト、遷移金属酸化物、希土類酸化物、又はこれらの混合物等の耐熱性無機酸化物からなる担体に担持させたものを用いることができる。
【0067】
ハニカム触媒体の隔壁に担持される三元触媒の量(三元触媒コート量)としては、100〜400g/Lであることが好ましく、120〜300g/Lであることが更に好ましく、150〜250g/Lであることが特に好ましい。三元触媒のコート量が400g/L超であると、ハニカム触媒体が排ガスを浄化する性能が向上することが期待できるが、排ガスの流路であるセルの断面積が小さくなり、初期圧力損失が増大してしまうため好ましくない。一方、三元触媒のコート量が100g/L未満であると、ハニカム触媒体が排ガスを十分に浄化することができなくなるおそれがある。なお、本明細書中、触媒コート量(g/L)は、ハニカム構造体の単位体積(1L)あたりに担持される触媒の量(g)を示す。
【0068】
三元触媒をハニカム触媒体へ担持(コート)させる方法としては、特に制限はないが、例えば、第一のハニカム構造体の隔壁に対して、三元触媒を含む触媒液をウォッシュコートした後、高温で熱処理して焼き付ける方法、ディッピング法等の従来公知のセラミック膜形成方法を利用して、三元触媒コート用スラリーを第一のハニカム構造体の隔壁に付着させ、乾燥、焼成する方法等によって三元触媒を担持させることができる。
【0069】
[1−2]ハニカムフィルタ:
本実施形態の排ガス浄化装置を構成するハニカムフィルタは、図3に示すように、第二のハニカム構造体23、及び第二のハニカム構造体23のセル22の開口端部を互い違いに封止する目封止部24を備えたものである。
【0070】
[1−2−1]第二のハニカム構造体:
第二のハニカム構造体(ハニカムフィルタ用のハニカム構造体)は、排ガスの流路となる流入側の端面25から流出側の端面26まで延びる複数のセル22を区画形成する隔壁21を有するものである。なお、図3に示す第二のハニカム構造体は、最外周に位置する外周壁27を有するものである。なお、第二のハニカム構造体は、第一のハニカム構造体の製造方法と同様の方法により製造することができる。
【0071】
なお、上述したように、第二のハニカム構造体の長さ(ハニカムフィルタの長さ)に対して、第一のハニカム構造体の長さ(ハニカム触媒体の長さ)は、2.0〜10.0倍である。第一及び第二のハニカム構造体の長さが上述の関係にあることにより、本実施形態の排ガス浄化装置は、直噴ガソリンエンジンの排気系に設置した場合でも、圧力損失の増加が少なく、且つ、エンジン始動直後でも排ガスを高効率で浄化することができると共に、粒子状物質を高効率で捕集することができる。
【0072】
第二のハニカム構造体の全体形状としては、第一のハニカム構造体と同様に、特に制限はなく、例えば、図2に示すような円筒(円柱)形状や楕円筒(楕円柱)形状の他、三角柱、四角柱、六角柱等の多角柱形状、底面が不定形である柱形状等を挙げることができる。なお、第一のハニカム構造体の端面の形状と第二のハニカム構造体の端面の形状は同じであることが好ましい。
【0073】
第二のハニカム構造体の長さは、15〜50mmであることが好ましく、20〜50mmであることが更に好ましく、30〜50mmであることが特に好ましい。第二のハニカム構造体の長さが上述の数値範囲内であることにより、排ガス中の粒子状物質を効率的に捕集することができると共に、圧力損失の増加を抑制することができる。特に、直噴ガソリンエンジンの排ガスを浄化するために本実施形態の排ガス浄化装置を使用する場合には、ディーゼルエンジンの排ガスを浄化するために使用する場合と比較して、第二のハニカム構造体(ハニカムフィルタ)の長さを短くすることができ、圧力損失の増加を抑制することができる。なお、第二のハニカム構造体の長さが50mm超であると、ハニカムフィルタの初期圧力損失が増大してしまうため好ましくない。一方、第二のハニカム構造体の長さが15mm未満であると、粒子状物質が燃焼される前にハニカムフィルタ内に堆積してしまい、圧力損失が増大してしまうおそれがある。
【0074】
第二のハニカム構造体の外径としては、特に制限はないが、80〜180mmであることが好ましく、80〜150mmであることが更に好ましく、100〜150mmであることが特に好ましい。第二のハニカム構造体の外径が80mm未満であると、排ガス処理装置のハニカム触媒体部分の排ガスの通路が狭く、初期圧力損失が増加してしまい好ましくない。一方、第二のハニカム構造体の外径が180mm超であると、排ガス処理装置(缶体)自体も大きくなるため、質量が増加すると共に設計上の問題も生じてしまい好ましくない。
【0075】
第二のハニカム構造体の外径に対する、第二のハニカム構造体の長さの比の値(長さ/外径)は、0.1〜0.5であり、0.2〜0.5であることが好ましく、0.2〜0.4であることが更に好ましく、0.2〜0.3であることが特に好ましい。第二のハニカム構造体の長さ/外径の比の値が上述の数値範囲内であることにより、本実施形態の排ガス浄化装置のハニカムフィルタとして好ましいサイズ及び形状とすることができる。
【0076】
第二のハニカム構造体に形成されたセルの形状(セルの延びる方向に対して垂直な断面の形状)としては、特に制限なく従来公知のセルの形状を用いることができ、例えば、四角形、五角形、六角形、八角形、三角形、円形、楕円形等の形状が好ましく、その他不定形であってもよい。これらの形状の中でも、円形又は四角以上の多角形の形状がより好ましい。このようなセルの形状であると、セルの内部に、粒子状物質を含む排ガスが流入した場合に、セルを区画形成する隔壁によって、上記粒子状物質を良好に捕集することができる。また、セル密度、開口率等を考慮すると、セルの形状としては、四角形、六角形が好ましい。なお、セルの形状は、一種類だけでなく、複数種の形状が組み合わされていても良い。
【0077】
第二のハニカム構造体のセル密度は、7.75〜46.5セル/cmであることが好ましく、20.0〜46.5セル/cmであることが更に好ましく、30.0〜46.5セル/cmであることが特に好ましい。第二のハニカム構造体のセル密度が上述の数値範囲内であると、粒子状物質の捕集効率を下げることなく、初期圧力損失を低減させることができる。なお、第二のハニカム構造体(ハニカムフィルタ用のハニカム構造体)のセル密度は、第一のハニカム構造体(ハニカム触媒体用のハニカム構造体)のセル密度より小である。
【0078】
第二のハニカム構造体の隔壁の厚さは、0.100〜0.508mmであることが好ましく、0.127〜0.300mmであることが更に好ましく、0.127〜0.200mmであることが特に好ましい。第二のハニカム構造体の隔壁の厚さを上述の数値範囲内とすることにより、後述する酸化触媒を担持(コート)させた場合でも、十分な排ガスの流路を確保することができ、初期圧力損失の増加を抑制することができる。
【0079】
第二のハニカム構造体の材質については、第一のハニカム構造体の材質と同様の材質とすることができる。
【0080】
第二のハニカム構造体の隔壁の気孔率は、35〜80%であることが好ましく、第二のハニカム構造体の隔壁の平均気孔径は7〜40μmであることが好ましい。第二のハニカム構造体の隔壁の気孔率及び平均気孔径を、上述の数値範囲内とすることにより、排ガスが隔壁を通過する際の抵抗を低くし、初期圧力損失が増加することを抑制すると共に、粒子状物質の捕集効率を高くすることができる。
【0081】
第二のハニカム構造体の外周壁は、第一のハニカム構造体の外周壁と同様に構成されたものとすることができる。
【0082】
[1−2−2]目封止部:
ハニカムフィルタ20に形成される目封止部24は、流入側の開口端部が封止されたセル(流出セル22b)と流出側の開口端部が封止されたセル(流入セル22a)とが交互に配置されるように第二のハニカム構造体23のセル22の開口端部を互い違いに封止するものである。
【0083】
セルの開口端部を封止するように配置された目封止部としては、従来公知のハニカムフィルタにおいて用いられる目封止部と同様に構成されたものを用いることができる。なお、目封止部は、第二のハニカム構造体と同様の材質のセラミック原料を用いて形成されたものであることが好ましい。
【0084】
目封止部を形成するための目封止材は、第二のハニカム構造体と同様の材質のセラミック原料と共に、例えば、界面活性剤、水、焼結助剤等を混合し、必要に応じて気孔率を高めるために造孔材を添加して、スラリー状にし、その後、ミキサー等を使用して混練することにより調製することができる。
【0085】
第二のハニカム構造体のセルの開口端部を封止して目封止部を形成する方法としては、まず、例えば、従来公知の製造方法によって作製した第二のハニカム構造体の流入側の端面において、流入セルの開口部に市松模様状にマスクをし、この流入側の端面を、上述の目封止材が貯留された貯留容器中に浸漬して、マスクをしていない流出セルに目封止材を挿入し、市松模様状に目封止部を形成する。
【0086】
その後、第二のハニカム構造体の流出側の端面において、流出セルの開口部に市松模様状にマスクをし、この流出側の端面を、上述の目封止材が貯留された貯留容器中に浸漬して、マスクをしていない流入セルに目封止材を挿入し、市松模様状に目封止部を形成する。
【0087】
セルの開口部をマスクする方法としては、特に制限はないが、例えば、第二のハニカム構造体の端面全体に粘着性フィルムを貼着し、その粘着性フィルムを部分的に孔開けする方法等を挙げることができる。例えば、第二のハニカム構造体の端面全体に粘着性フィルムを貼着した後に、目封止部を形成したいセルに相当する部分のみにレーザにより孔を開ける方法等を好適例として挙げることができる。粘着性フィルムとしては、ポリエステル、ポリエチレン、熱硬化性樹脂等の樹脂からなるフィルムの一方の表面に粘着剤が塗布されたもの等を好適に用いることができる。
【0088】
最後に、目封止部が形成された第二のハニカム構造体を、例えば、40〜250℃で、2分〜2時間かけて乾燥させることによって目封止部を乾燥させることができる。
【0089】
なお、目封止部は、第二のハニカム構造体の製造方法において、焼成を行う前に形成し、その後、第二のハニカム構造体と共に焼成してもよい。
【0090】
[1−2−3]酸化触媒:
ハニカムフィルタは、その隔壁に、粒子状物質を燃焼させるため、酸化触媒が更に担持されていても良い。ハニカムフィルタの隔壁に酸化触媒が担持されることにより、ハニカムフィルタ内の粒子状物質を更に燃焼し易くし、圧力損失の増大を抑制することができる。
【0091】
ハニカムフィルタの隔壁に担持され、特に煤(粒子状物質)の酸化を促進させる酸化触媒としては、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の貴金属を、例えば、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、酸化セリウム、酸化タングステン、ゼオライト、遷移金属酸化物、希土類酸化物、又はこれらの混合物等の耐熱性無機酸化物からなる担体に担持させたものを用いることができる。なお、ハニカムフィルタには、三元触媒を担持させても良く、その場合、煤(粒子状物質)の酸化及び排ガスの浄化の両方の機能を有するハニカムフィルタとすることができる。このような三元触媒としては、ハニカム触媒体に用いられる三元触媒と同様のものを用いることができる。
【0092】
ハニカムフィルタの隔壁に担持される酸化触媒の量(酸化触媒コート量)としては、0〜60g/Lであることが好ましく、10〜60g/Lであることが更に好ましく、15〜25g/Lであることが特に好ましい。酸化触媒のコート量が60g/L超であると、隔壁の細孔が閉塞され、初期圧力損失が増大してしまうため好ましくない。
【0093】
ハニカムフィルタの隔壁に酸化触媒を担持させる方法としては、ハニカム触媒体に三元触媒を担持させる方法と同様の方法を挙げることができる。また、ハニカムフィルタの一方の端部を触媒コート用スラリーに浸漬し、もう一方の端部から吸引することにより隔壁の細孔内部と隔壁表面の両方へ触媒コート用スラリーをコートし、その後乾燥させる方法等を挙げることもできる。
【0094】
[1−3]缶体:
本実施形態の排ガス浄化装置1を構成する缶体30は、図1に示すように、エンジン排気マニホルドの出口側に接続される流入口31、及び流入口31から流入した排ガスを流出する流出口32を有し、ハニカム触媒体10及びハニカムフィルタ20をその内部のガス通路内に保持する筒状のものである。なお、図示はしないが、通常、缶体30の流入口31には、エンジン排気マニホルドの出口に接続された排気管が接続されており、流出口32には、マフラー等が接続された別の排気管が接続されている。
【0095】
缶体の内部には、ハニカム触媒体が、缶体の流入口側(以下、「上流側」ともいう)に位置し、ハニカムフィルタが、缶体の流出口側(以下、「下流側」ともいう)に位置するように、ハニカム触媒体とハニカムフィルタとが直列状に配置されている。このようにハニカム触媒体とハニカムフィルタとを、缶体の内部に直列状に配置することにより、缶体に導入された排ガスを二段階で浄化することができる。
【0096】
即ち、直噴ガソリンエンジンから排出された排ガスは、エンジン排気マニホルドの出口及び排気管を通過し、本実施形態の排ガス浄化装置の缶体内の上流側に配置されたハニカム触媒体の流入側の端面に導かれ、このハニカム触媒体によって最初の浄化が行われる(以下、このハニカム触媒体による浄化を「第一の浄化」ともいう)。
【0097】
次に、ハニカム触媒体の流出側の端面から排出された排ガス(第一の浄化済みの排ガス)は、ハニカムフィルタの流入側の端面に導かれ、ハニカムフィルタによって更に浄化が行われる(以下、このハニカムフィルタによる浄化を「第二の浄化」ともいう)。
【0098】
なお、上記第一の浄化においては、ハニカム触媒体の三元触媒によって、排ガス中に含まれる、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)が主に浄化され、上記第二の浄化においては、ハニカムフィルタによって、第一の浄化済み排ガス中に含まれる粒子状物質が主に浄化(除去)される。このため、本実施形態の排ガス処理装置においては、排ガスを浄化することができると共に、粒子状物質を捕集することができる。
【0099】
缶体は、ハニカム触媒体とハニカムフィルタを、その内部に保持するための胴部を有している。図1に示す缶体は、エンジン排気マニホルドの口径、及び浄化済みの排ガスが排出される排気系の口径(例えば、上記の排気管、マフラー等の口径)に適合するように、流入口及び流出口が形成されているため、缶体の胴部と、缶体の流入口及び流出口とは、流入口から口径が漸増する拡管部と、流出口に向けて口径が漸減する狭管部とを更に有している。なお、例えば、エンジン排気マニホルドや排気管、マフラー等の口径と、缶体の胴部の口径が同一の場合には、上述の拡管部や狭管部については特に有していなくても良い。
【0100】
上述の胴部は、ハニカム触媒体とハニカムフィルタとのそれぞれの外周面を覆うようにして、その内部にハニカム触媒体及びハニカムフィルタを保持することができるように、胴部の内径が、ハニカム触媒体及びハニカムフィルタのそれぞれよりも一定割合で大きく形成された筒状体であることが好ましい。
【0101】
また、本実施形態の排ガス浄化装置に用いられる缶体の胴部は、上流側に配置されたハニカム触媒体の流入側の端面から、下流側に配置されたハニカムフィルタの流出側の端面までの内径が、ハニカム触媒体及びハニカムフィルタのそれぞれの外径よりも一定割合で大きくなるように構成されたものであることが更に好ましい。即ち、上記胴部は、ハニカム触媒体とハニカムフィルタとの間の隙間部分において、胴部の一部がくぼんだり、くびれたりすることがない形状であることがより好ましい。胴部の一部がくぼんだり、くびれたりしていると、胴部を排ガスが通過する際に、圧力損失が増加してしまうことがある。
【0102】
特に、ハニカム触媒体及びハニカムフィルタの全体形状が円筒形であると共に外径(底面の直径)が等しく、且つ、それぞれの中心軸が同一直線上にある場合、本実施形態の排ガス浄化装置に用いられる缶体の胴部は、上流側に配置されたハニカム触媒体の流入側の端面から、下流側に配置されたハニカムフィルタの流出側の端面までの内径が、ハニカム触媒体及びハニカムフィルタのそれぞれの外径よりも一定割合で大きい円筒となることが好ましい。本実施形態の排ガス浄化装置は、このように構成されることによって、圧力損失の増加を極めて良好に抑制することができる。
【0103】
缶体の材質としては、例えば、ステンレス製であることが好ましく、クロム系、クロム・ニッケル系のステンレス製であることが特に好ましい。
【0104】
ハニカム触媒体10及びハニカムフィルタ20を缶体30の内部に保持する方法としては、例えば、ハニカム触媒体10及びハニカムフィルタ20の外周面の周囲をセラミック繊維製マット等の把持材33で包み、ハニカム触媒体10が缶体30の流入口31側に位置し、ハニカムフィルタ20が缶体30の流出口32側に位置すると共に、ハニカム触媒体10の流入側の端面15が缶体30の流入口31側を向き、ハニカムフィルタ20の流出側の端面26が缶体30の流出口32側を向くようにして、缶体30の内部に圧入する方法等を挙げることができる。この方法では、ハニカム触媒体10と缶体30との隙間、及びハニカムフィルタと缶体30との隙間にセラミック繊維製マットを詰めることにより、ハニカム触媒体10及びハニカムフィルタ20を外部からの衝撃から守ると共に、断熱することができる。
【0105】
また、上述の方法でハニカム触媒体10及びハニカムフィルタ20を缶体30の内部に配置した後、更に、ハニカム触媒体10、ハニカムフィルタ20、又はその両方の一部分と缶体30の内面とを溶接して固定しても良い。
【0106】
ハニカム触媒体10及びハニカムフィルタ20を缶体30の内部に保持する方法で把持材33として用いられるセラミック繊維製マットは、その入手や加工が容易であると共に、十分な耐熱性及びクッション性を有するものが好ましい。セラミック繊維製マットとしては、バーミュキュライトを実質上含まない無膨張性マット、又は少量のバーミュキュライトを含む低膨張性マット等であり、アルミナ、高アルミナ、ムライト、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、チタニア又はこれらの複合物からなるセラミック繊維を主成分とするものが好ましく、中でもバーミュキュライトを実質上含まずアルミナ又はムライトを主成分とする無膨張性マットが更に好ましい。
【0107】
[2]排ガス浄化方法:
以下、本発明の排ガス浄化方法の一実施形態について、図4を参照し、詳細に説明する。なお、図4は、本発明の排ガス浄化方法の一実施形態を説明する模式図であり、排ガス浄化装置を構成するハニカム触媒体及びハニカムフィルタのセルの延びる方向の中心軸を含む断面を示す図である。
【0108】
本発明の排ガス浄化方法の一実施形態は、本発明の排ガス浄化装置をエンジン排気マニホルドの出口3から、缶体の下流側に配置されたハニカムフィルタの流出側の端面までの距離(以下、「距離L」ともいう)が1m以下となるように設置して、エンジン排気マニホルドから排出された排ガスを浄化する方法である。
【0109】
直噴ガソリンエンジンから排出された排ガスは、エンジン排気マニホルド2の出口3及び排気管4を通過し、本発明の排ガス浄化装置1の缶体30の流入口31から流入する。流入した排ガスは缶体30内の上流側に配置されたハニカム触媒体10の流入側の端面15に導かれ、ハニカム触媒体10のセル内に流入する。ハニカム触媒体10のセル内に流入した排ガスは、ハニカム触媒体10に担持された三元触媒と接触することによって、排ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)が浄化される(第一の浄化)。
【0110】
次いで、ハニカム触媒体10で浄化(第一の浄化)された排ガスは、ハニカム触媒体10の流出側の端面16から排出され、ハニカムフィルタ20の流入側の端面25に導かれ、ハニカムフィルタ20の流入セルの流入側の開口端部内に流入する。ハニカムフィルタ20の流入セル内に流入した排ガスは、隔壁の細孔へ侵入し、流出セル側の細孔から流出する。こうして隔壁を通過する際、排ガス中の粒子状物質が隔壁の細孔内や隔壁の表面上に付着・堆積して、排ガスから除去されることにより、排ガスは浄化される(第二の浄化)。なお、隔壁の細孔内や隔壁の表面上に付着・堆積した粒子状物質は、排ガスの温度が高いために、比較的速やかに燃焼され、二酸化炭素等のガスとして排ガスと共に排出される。また、この粒子状物質の燃焼を促進させるため、ハニカムフィルタ20の隔壁には酸化触媒が担持されている場合には、更に速やかに粒子状物質を燃焼させることができる。
【0111】
ハニカムフィルタ20で浄化(第二の浄化)された排ガスは、ハニカムフィルタ20の流出セル22bの流出側の開口端部から排出され、缶体30の流出口32へ導かれる。缶体30の流出口32から排出された排ガスは、例えば、排気管4、及びマフラー等を通過し、大気中へ排出される。
【0112】
本実施形態の排ガス浄化方法においては、距離Lが1m以下となるように、即ち、エンジン直下に設置されることにより、エンジン始動直後でも高温の排ガスが本発明の排ガス浄化装置の内部へ流入するため、圧力損失の増加が少なく、且つ、直噴ガソリンエンジンの始動直後でも排ガスを高効率で浄化することができると共に、粒子状物質を高効率で捕集することができる。
【0113】
エンジン排気マニホルド2の出口3から、缶体30の下流側に配置されたハニカムフィルタ20の流出側の端面26までの距離(距離L)は、当然ながら、缶体30の流入口31からハニカムフィルタ20の流出側の端面26までの距離よりも長い。そのため、距離Lは、1m以下であり、0.2〜0.8mであることが好ましく、0.3〜0.6mであることが更に好ましく、0.3〜0.5mであることが特に好ましい。距離Lが1m超であると、エンジン排気マニホルド2から排出され、本発明の排ガス浄化装置1に流入するまでの間に、排ガスの温度が低下するため、ハニカム触媒体10においては、触媒活性温度に到達する時間が長くなり、排ガスの浄化率が低下し、ハニカムフィルタ20においては、粒子状物質が燃焼されにくく、圧力損失が増大してしまうおそれがある。
【実施例】
【0114】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0115】
(実施例1)
〔ハニカム触媒体(A)の作製方法〕
セラミックス原料として、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、及びシリカを混合したコージェライト化原料100質量部に対して、分散媒として水35質量部、有機バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース6質量部、分散剤としてエチレングリコール0.5質量部をそれぞれ添加し、混合、混練して坏土を調製した。
【0116】
次に、所定の口金を用いて坏土を押出成形し、ハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥し、更に熱風乾燥機で完全に乾燥させた後、ハニカム成形体の両端面を切断し、所定の寸法に整えた。その後、このハニカム成形体を1410〜1440℃で5時間焼成することによって、第一のハニカム構造体を得た。
【0117】
得られた第一のハニカム構造体は、外径(底面の直径)が110mmであり、長さが110mmの円筒形状であり、セル密度が62.0セル/cmであり、隔壁の厚さが0.102mmであり、隔壁の気孔率が28.0%であり、平均細孔径は4μmであった。これらの値を表1に示した。
【0118】
一方で、平均粒子径が100μmであるγAlとCeOとの混合粒子(比表面積50m/g)をボールミルで湿式粉砕し、平均粒子径5μmの解砕粒子とした。この解砕粒子を、白金(Pt)及びロジウム(Rh)を含む溶液に浸清して、解砕粒子の細孔内にPt及びRhを担持させた。このPt及びRhを担持させた解砕粒子に、酢酸及び水を加えて三元触媒コート用スラリーを調製した。
【0119】
次に、貯留させた三元触媒コート用スラリーに、上述の第一のハニカム構造体の流入側の端部を浸漬し、流出側の端部より真空吸引することにより、三元触媒を隔壁表面にコートした。この三元触媒をコートした第一のハニカム構造体を乾燥させ、600℃で3時間焼成することにより、ハニカム触媒体(A)を作製した。
【0120】
ハニカム触媒体(A)にコートされた酸化物(γAlとCeO)の量(「三元触媒コート量」)は、「220(g/L)」であり、Pt及びRhのコート量(「貴金属コート量」)は、「2(g/L)」であった。なお、Ptのコート量は、1.66g/Lであり、Rhのコート量は、0.34g/Lであった。
【0121】
〔ハニカムフィルタ(B)の作製方法〕
坏土の原材料に、造孔材として平均粒子径15μmのコークス13質量部を更に添加したこと以外は、ハニカム触媒体の場合と同様にして坏土を調製した。
【0122】
次に、所定の口金を用いて坏土を押出成形し、ハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥し、更に熱風乾燥機で完全に乾燥させた後、ハニカム成形体の両端面を切断し、所定の寸法に整えた。
【0123】
次に、ハニカム成形体の流入セルの流入側の開口部に、市松模様状に交互にマスクを施し、ハニカム成形体の流入側の端部を、コージェライト化原料を含有する目封止材スラリーに浸漬し、市松模様状に交互に配列された目封止部を形成した。流出端部については、同様にして、流入セルの流出側の端部に目封止部を形成した。
【0124】
その後、目封止部を形成したハニカム成形体を熱風乾燥機で乾燥させ、更に、1410〜1440℃で5時間焼成することによって、ハニカムフィルタ(B)を作製した。
【0125】
得られたハニカムフィルタ(B)は、「外径D」(底面の直径)が「110(mm)」であり、「長さL」が「30(mm)」の円筒形状であり、「セル密度ρ」が「7.8(セル/cm)」であり、「隔壁の厚さ」が「0.356(mm)」であり、隔壁の「気孔率」は「40.0(%)」であり、「平均細孔径」は「8(μm)」であった。これらの値を表2に示した。
【0126】
〔排ガス浄化装置の作製〕
上述の作製方法で作製したハニカム触媒体(A)及びハニカムフィルタ(B)を、ハニカム触媒体(A)が上流側となるように配置すると共に、セラミック繊維製マットを把持材として、缶体に圧入し、固定することによって、実施例1の排ガス浄化装置を作製した。
【0127】
作製した実施例1の排ガス浄化装置のハニカムフィルタ(B)の長さLに対するハニカム触媒体(A)の長さLの比「L/L」の値は「3.0」であり、ハニカムフィルタ(B)の外径Dに対する長さLの比「L/D」の値は「0.27」であり、ハニカム触媒体(A)とハニカムフィルタ(B)の「セル密度ρ:ρ」の関係は、「ρ>ρ」であり、「AとBの配置」は「同一缶体内」であり、「距離L」は「500(mm)」であった。また、作製した実施例1の排ガス浄化装置について、各特性の評価を実施した。浄化率の評価は合格「合」であり、粒子状物質排出個数(個/km)の評価は合格「合」であり、圧力損失の評価は合格「合」であり、総合判定は合格「合」であった。なお、上述の各種物性値の測定方法及び各特性の評価方法を以下に示す。また、それらの結果を表3に示した。
【0128】
[気孔率(%)及び平均細孔径(μm)]
ハニカム触媒体及びハニカムフィルタの隔壁の気孔率及び平均細孔径は、水銀ポロシメータ(商品名「Auto Pore III 型式9405」、Micromeritics社製)を使用して測定した。
【0129】
[浄化率の評価]
各実施例の排ガス浄化装置を、2.0L直噴ガソリンエンジンを搭載した乗用車の排気系に装着した。この乗用車を使用し、シャシダイナモによる車両試験として、欧州規制運転モードで運転した際の、排ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)の排出量を測定した。測定したこれらの排出量が全てEURO5規制値を下回った場合を合格と評価し、表中「合」で示し、それ以外の場合を不合格と評価し、表中「否」で示した。
【0130】
[粒子状物質排出個数(個/km)の評価]
上述の「浄化率の評価」における車両試験と同様の車両試験を行った際の、排ガス中の粒子状物質排出個数(個/km)をEURO6規制案に沿った方法で測定した。測定した粒子状物質排出個数が6×1011個/km以下であった場合を合格と評価し、表中「合」で示し、それ以外の場合を不合格と評価し、表中「否」で示した。
【0131】
[圧力損失の評価]
上述の「浄化率の評価」において使用した乗用車の排気系に、セル密度が93セル/cmであり、隔壁の厚さが0.076mmであり、底面の直径が105.7mmであり、長さが114mmである円筒形状のフロースルー型ハニカム構造体を装着した。この乗用車を使用し、シャシダイナモによる車両試験として、フルロード運転した際の圧力損失を測定し、この測定値を基準値とした。次に、各実施例の排ガス浄化装置を装着した乗用車を使用して、基準値を測定した方法と同様の方法で車両試験を行い、フルロード運転した際の圧力損失を測定した。各実施例の測定値の、基準値に対する増加量が10kPa未満である場合を合格と評価し、表中「合」で示し、増加量が10kPa以上である場合を不合格と評価し、表中「否」で示した。
【0132】
[総合判定]
「浄化率の評価」、「粒子状物質排出個数(個/km)の評価」、及び「圧力損失の評価」の評価が全て合格「合」であった場合を合格と判定し、表中「合」で示し、それ以外の場合を不合格と判定し、表中「否」で示した。
【0133】
【表1】

【0134】
【表2】

【0135】
【表3】

【0136】
(実施例2〜27、比較例1〜10)
表1に示す、ハニカム触媒体(A)の「外径」、「長さ」、「長さ/外径」、「セル密度」、「隔壁の厚さ」、「気孔率」、「平均細孔径」、「触媒コート量」、及び「貴金属量」、並びに表2に示す、ハニカムフィルタ(B)の「外径」、「長さ」、「長さ/外径」、「セル密度」、「隔壁の厚さ」、「気孔率」、「平均細孔径」、「触媒コート量」、及び「貴金属量」とすると共に、表3に示す「L/L」、「L/D」、「セル密度ρ:ρ」、「AとBの配置」、及び「距離L」としたこと以外は、実施例1と同様にして各実施例及び比較例の排ガス浄化装置を作製した。これらの排ガス浄化装置について、実施例1と同様の方法で各特性の評価をし、結果を表3に示した。
【0137】
但し、ハニカムフィルタ(B)の「触媒コート量」が「0(g/L)」以外の場合、下記の方法により酸化触媒を担持させたハニカムフィルタ(B)を作製した。
【0138】
平均粒子径が100μmであるγAlとCeOとの混合粒子(比表面積50m/g)をボールミルで湿式粉砕し、平均粒子径5μmの解砕粒子とした。この解砕粒子を、白金(Pt)を含む溶液に浸清して、解砕粒子の細孔内にPtを担持させた。このPtを担持させた解砕粒子に、酢酸及び水を加えて酸化触媒コート用スラリーを調製した。
次に、貯留させた酸化触媒コート用スラリーに、実施例1のハニカムフィルタ(B)の作製方法により作製したハニカムフィルタ(B)の流入側の端部を浸漬し、流出側の端部より真空吸引することにより、酸化触媒を隔壁表面にコートした。この酸化触媒をコートしたハニカムフィルタ(B)を乾燥させ、600℃で3時間焼成させることにより、酸化触媒を担持させたハニカムフィルタ(B)を作製した。
【0139】
表3より、実施例1〜27の排ガス浄化装置は、「浄化率」、「粒子状物質排出個数」、及び「圧力損失」の各評価において、いずれも合格「合」と評価されるものであった。
【0140】
比較例1は、ハニカム触媒体(A)の「セル密度ρ」が「31.0(セル/cm)」と小さく、「セル密度ρ:ρ」の関係が「ρ<ρ」であるため、ハニカム触媒体(A)による浄化能力が低下し、「浄化率」の評価は不合格「否」であった。
【0141】
比較例2及び6は、ハニカムフィルタ(B)の「長さL」が「10(mm)」と短く、「L/L」の比が「0.09」と小さ過ぎるため、隔壁単位面積当たりの粒子状物質通過量が大となる、即ち、隔壁の面積が低下してしまうため、スス捕集効率が低くなってしまい、「粒子状物質排出個数」が増加し、評価は不合格「否」であった。また、比較例6は、ハニカムフィルタ(B)の「セル密度ρ」が「93.0(セル/cm)」と大きく、「セル密度ρ:ρ」の関係が「ρ<ρ」であるため、初期圧力損失が増加し、「圧力損失」の評価が不合格「否」であった。
【0142】
比較例3及び7は、ハニカムフィルタ(B)の「長さL」が「60(mm)」と長く、「L/L」の比が「1.8」と小さいため、初期圧力損失が増加し、「圧力損失」の評価が不合格「否」であった。
【0143】
比較例4及び8は、ハニカム触媒体(A)の「長さL」が「55(mm)」又は「50(mm)」と短く、「L/L」の比が「1.8」又は「1.7」と小さいため、ハニカム触媒体(A)による浄化能力が低下し、「浄化率」の評価は不合格「否」であった。
【0144】
比較例5及び9は、ハニカム触媒体(A)の「長さL」が「330(mm)」又は「200(mm)」と長く、「L/L」の比が「11.0」又は「13.3」と大きいため、初期圧力損失が増加し、「圧力損失」の評価が不合格「否」であった。また、比較例9は、ハニカム触媒体(A)の「長さL」が「200(mm)」と長く、「L/L」の比が「13.3」と大きいため、ハニカム触媒体(A)の全熱容量が大きくなりすぎ、温度上昇に時間がかかりすぎるため、過度運転(トランジェント運転)において触媒活性温度に到達するまでの時間が長くなり、その間のガス浄化率が低下し、「浄化率」の評価は不合格「否」であった。
【0145】
比較例10では、ハニカム触媒体(A)とハニカムフィルタ(B)が排気管により連結された別々の缶体内に配置されたことにより、ハニカムフィルタ(B)へ流入する排ガスの温度が低下し、ハニカムフィルタ内の粒子状物質が燃焼されずに堆積してしまったため、圧力損失が増大し、「圧力損失」の評価は不合格「否」であった。
【0146】
(比較例11)
表4及び表5に示すように、排ガス浄化装置をエンジンからの「距離L」が「1200(mm)」となるように設置したこと以外は、実施例20と同様の排ガス浄化装置を使用して各評価を行った。これらの結果を表5に示した。
【0147】
【表4】

【0148】
【表5】

【0149】
比較例11では、「距離L」が「1200(mm)」と大きいため、エンジンから排出された排ガスの温度が、排ガス浄化装置に到達するまでに、低下してしまった。そのため、ハニカム触媒体(A)において、三元触媒が活性温度へ到達する時間が長くなり、排ガスが十分に浄化されずにハニカム触媒体(A)を通過してしまったため、「浄化率」の評価は不合格「否」であった。また、排ガスの温度が低下してしまっていたことにより、ハニカムフィルタ内の粒子状物質が燃焼されずに堆積してしまったため、圧力損失が増大し、「圧力損失」の評価は不合格「否」であった。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明の排ガス浄化装置は、直噴ガソリンエンジンの排ガス浄化装置として有用である。
【符号の説明】
【0151】
1:排ガス浄化装置、2:エンジン排気マニホルド、3:出口、4:排気管、10:ハニカム触媒体、20:ハニカムフィルタ、30:缶体、31:流入口、32:流出口、33:把持材、11,21:隔壁、12,22:セル、22a:流入セル、22b:流出セル、13:第一のハニカム構造体、15,25:流入側の端面、16,26:流出側の端面、17,27:外周壁、23:第二のハニカム構造体、24:目封止部、D:胴部分、L:距離L。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスの流路となる流入側の端面から流出側の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する第一のハニカム構造体、及び前記第一のハニカム構造体の前記隔壁に担持された三元触媒を備えたハニカム触媒体と、
排ガスの流路となる流入側の端面から流出側の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する第二のハニカム構造体、及び流入側の開口端部が封止されたセルと流出側の開口端部が封止されたセルとが交互に配置されるように前記第二のハニカム構造体の前記セルの開口端部を互い違いに封止する目封止部を備えたハニカムフィルタと、
エンジン排気マニホルドの出口側に接続される流入口、及び前記流入口から流入した排ガスを流出する流出口を有し、前記ハニカム触媒体及び前記ハニカムフィルタをその内部のガス通路内に保持する筒状の缶体と、から構成されてなり、
前記ハニカム触媒体が前記缶体の前記流入口側に位置し、前記ハニカムフィルタが前記缶体の前記流出口側に位置すると共に、前記ハニカム触媒体の前記流入側の端面が前記缶体の前記流入口側を向き、前記ハニカムフィルタの前記流出側の端面が前記缶体の前記流出口側を向くように、前記缶体の内部に配置され、且つ、
前記ハニカム触媒体の前記セルの延びる方向の長さが、前記ハニカムフィルタの前記セルの延びる方向の長さに対して2.0〜10.0倍の長さであり、前記ハニカムフィルタの前記セルの延びる方向の長さが、前記ハニカムフィルタの外径に対して0.1〜0.5倍の長さであり、前記ハニカム触媒体のセル密度が前記ハニカムフィルタのセル密度より大である排ガス浄化装置。
【請求項2】
前記ハニカム触媒体及び前記ハニカムフィルタが、前記ハニカム触媒体の前記セルの延びる方向の中心軸と前記ハニカムフィルタの前記セルの延びる方向の中心軸とが同一直線上となるように、前記缶体の内部に配置された請求項1に記載の排ガス浄化装置。
【請求項3】
前記ハニカム触媒体が、前記ハニカム触媒体1Lあたりに、100〜400gの前記三元触媒が担持されたものであり、且つ、前記ハニカムフィルタが、前記ハニカムフィルタ1Lあたりに、0〜60gの酸化触媒が担持されたものである請求項1又は2に記載の排ガス浄化装置。
【請求項4】
前記ハニカム触媒体が、前記隔壁の厚さが0.051〜0.102mmであると共に、セル密度が62.0〜186セル/cmである前記第一のハニカム構造体を有し、且つ、前記ハニカムフィルタが、前記隔壁の厚さが0.127〜0.508mmであると共に、セル密度が7.75〜46.5セル/cmである前記第二のハニカム構造体を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項5】
前記ハニカム触媒体が、前記隔壁の気孔率が20〜50%である前記第一のハニカム構造体を有し、且つ、前記ハニカムフィルタが、前記隔壁の気孔率が35〜80%であると共に、前記隔壁の平均細孔径が7〜40μmである前記第二のハニカム構造体を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項6】
前記ハニカム触媒体の前記セルの延びる方向の長さが、前記ハニカム触媒体の外径に対して、0.5〜1.5倍の長さである請求項1〜5のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項7】
前記ハニカム触媒体と前記ハニカムフィルタとの間に1〜30mmの隙間が設けられている請求項1〜6のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置を、前記エンジン排気マニホルドの出口から、前記缶体の下流側に配置された前記ハニカムフィルタの前記流出側の端面までの距離が1m以下となるように設置して、前記エンジン排気マニホルドから排出された排ガスを浄化する排ガス浄化方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−169155(P2011−169155A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30843(P2010−30843)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】