説明

接合対象物のアライメント方法、これを用いた部品接合方法および部品接合装置

【課題】接合部品と被接合部品との相互間で高精度にアライメントを行うことができる接合対象物のアライメント方法等を提供することを課題としている。
【解決手段】接合ワークAをアライメントマスクMに押圧した状態で、第1画像認識カメラ11により、アライメントマスクMの基準マークMa, Maおよび接合ワークAの接合位置決め基準Aa,Aaを同時に位置認識する第1認識工程と、第2画像認識カメラ12により、基準マークMa, Maを位置認識する第2認識工程と、アライメントマスクMに代えて被接合ワークBを導入し、第2画像認識カメラ12により、被接合位置決め基準Ba,Baを位置認識する第3認識工程と、これら認識結果に基づいて、接合ワークAと被接合ワークBとの位置ずれ量を取得するずれ量取得工程と、位置補正工程と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として不透明な接合部品と被接合部品とをアライメントとする接合対象物のアライメント方法、これを用いた部品接合方法および部品接合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の接合対象物のアライメント方法として、半導体チップをこれがボンディングされる基板に位置合せするものが知られている(特許文献1参照)。このアライメント方法(位置合わせ方法)は、ボンディングステージ上にセットした基板に、上側から基板認識カメラを臨ませて基板を画像認識すると共に、ボンディングツールに吸着した半導体チップを、上側から固定的に配置した半導体認識カメラに臨ませて半導体チップを画像認識し、これら基板の認識結果と半導体チップの認識結果とを合成して、基板に対する半導体チップの位置補正量を求め、この位置補正量に基づいて、半導体チップを基板に位置合せするようになっている。
【特許文献1】特開平9−232363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような、従来のアライメント方法では、例え高精度に位置補正量を求めても、半導体認識カメラの位置からボンディングステージに移動するボンディングツールの機械的な移動精度により、高精度のアライメントに限界が生ずる問題があった。また、基板に半導体チップをボンディングする場合に、一定の押圧力が作用し、この押圧力によりアライメント精度が損なわれる問題があった。
【0004】
本発明は、移動系の機械精度に関係なく、接合部品と被接合部品との相互間で高精度にアライメントを行うことができる接合対象物のアライメント方法、これを用いた部品接合方法および部品接合装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の接合対象物のアライメント方法は、第1画像認識手段および第2画像認識手段と、透光性のアライメントマスクとを用い、重ね合せ且つ押圧した状態で接合される接合部品と被接合部品とを、アライメントマスクの上面に形成した基準マーク、接合部品の下面に形成した接合位置決め基準および被接合部品の上面に形成した被接合位置決め基準に基づいて、アライメントする接合対象物のアライメント方法であって、接合部品を、上側からアライメントマスクに重ね合せ且つ押圧した状態で、第1画像認識手段により、下面側からアライメントマスクの基準マークおよび接合部品の接合位置決め基準を同時に位置認識する第1認識工程と、接合部品を上昇させ後、第2画像認識手段により、上面側からアライメントマスクの基準マークを位置認識する第2認識工程と、アライメントマスクの位置に、アライメントマスクに代えて被接合部品を導入し、第2画像認識手段により、上面側から被接合部品の被接合位置決め基準を位置認識する第3認識工程と、第1認識工程の認識結果、第2認識工程の認識結果および第3認識工程の認識結果に基づいて、接合位置決め基準と被接合位置決め基準との相互の位置ずれ量を取得するずれ量取得工程と、取得した位置ずれ量に基づいて、接合部品と被接合部品とを相対的に位置補正する位置補正工程と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この場合、第1認識工程、第2認識工程および第3認識工程が、接合部品を被接合部品に接合する接合位置で実施されることが、好ましい。
【0007】
これらの場合、接合部品と被接合部品とは、いずれも不透明であることが好ましい。
【0008】
一方、本発明の部品接合装置は、透光性のアライメントマスクを介して接合部品と被接合部品とを、アライメントマスクの上面に形成した基準マーク、接合部品の下面に形成した接合位置決め基準および被接合部品の上面に形成した被接合位置決め基準に基づいて、アライメントした後、接合部品を被接合部品に重ね合せ押圧した状態で接合する部品接合装置であって、接合姿勢の接合部品を保持する保持ヘッドと、保持ヘッドを介して、接合部品を接合位置と上昇待機位置との間で昇降させると共に接合位置において接合部品を被接合部品に押圧する昇降機構と、接合姿勢の被接合部品とアライメントマスクとがそれぞれセットされると共に、セットした被接合部品およびアライメントマスクをそれぞれ接合位置と移動待機位置との間で水平方向に交互に移動させる移動テーブルと、接合位置に移動したアライメントマスクの基準マーク、および接合位置に移動した接合部品の接合位置決め基準を、アライメントマスクの下面側からそれぞれ画像認識する第1画像認識手段と、接合位置に移動したアライメントマスクの基準マーク、および接合位置に移動した被接合部品の被接合位置決め基準を、それぞれ画像認識すると共に、接合位置の直上位置と退避位置との間で水平方向に移動自在に構成された第2画像認識手段と、水平面内において、接合部品に対し被接合部品を相対的に移動させて、位置補正を行う補正手段と、昇降機構、移動テーブル、第1画像認識手段、第2画像認識手段および補正手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、接合位置に移動させた接合部品を、接合位置に移動させたアライメントマスクに重ね合せ押圧した状態で、第1画像認識手段により、基準マークと接合位置決め基準とを同時に位置認識する第1認識動作と、接合部品を上昇待機位置に移動させた後、接合位置に移動させて第2画像認識手段により、基準マークを位置認識する第2認識動作と、アライメントマスクを移動待機位置に移動させると同時に被接合部品を接合位置に移動させ、前記第2画像認識手段により、被接合位置決め基準を位置認識する第3認識動作と、を実施し、第1認識動作の認識結果、第2認識動作の認識結果および第3認識動作の認識結果に基づいて、接合位置決め基準と被接合位置決め基準との相互の位置ずれ量を取得し、取得した位置ずれ量に基づいて、接合部品と被接合部品とを位置補正することを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、第1認識工程(第1認識動作)において、接合部品をアライメントマスクに重ね合せ押圧した状態で、第1画像認識手段により、基準マークと接合位置決め基準とを同時に位置認識しているため、この認識結果に接合部品を被接合部品に接合する条件を反映させることができる。次に、第2認識工程(第2認識動作)において、第2画像認識手段により、再度アライメントマスクの基準マークを位置認識する。これにより、第1認識工程の認識結果である接合部品の位置を、第1画像認識手段の座標系から第2画像認識手段の座標系に移すことができる。次に、第3認識工程(第3認識動作)において、第2画像認識手段により、被接合部品の被接合位置決め基準を位置認識する。これにより、第2画像認識手段の座標系に被接合部品を位置を取り込むことができる。したがって、最終的に第2画像認識手段の認識結果に基づいて、接合部品の位置と被接合部品を位置との間の位置ずれ量を精度良く把握することができる。また、これらの認識作業が、接合部品を被接合部品に接合する接合位置で行われるため、アライメントにおいて、接合部品および被接合部品の移動系における機械的な移動精度の影響を受けることがない。このように、押圧状態で相互に接合される接合部品と被接合部品とを、高精度にアライメントすることができる。
【0010】
これらの場合、基準マーク、接合位置決め基準および被接合位置決め基準は、いずも相互に離間して配設した一対のものでそれぞれ構成され、第1画像認識手段および第2画像認識手段は、いずれも相互に離間して配設した一対のものでそれぞれ構成されていることが、好ましい。
【0011】
これらの構成によれば、第1画像認識手段および第2画像認識手段による画像認識を短時間で簡単に行うことができると共に、キャリブレーションの狂いを抑制するができる。
【0012】
本発明の部品接合方法は、上記した接合対象物のアライメント方法と、位置補正工程の後、接合部品を被接合部品に対し重ね合せ且つ押圧した状態で接合する接合工程と、を備えることが好ましい。
【0013】
同様に、保持ヘッドには、ヒータおよび紫外線ランプのいずれかが組み込まれており、制御手段は、接合部品と被接合部品とを位置補正した後、接合部品を被接合部品に重ね合せ押圧した状態で、ヒータおよび紫外線ランプのいずれかを駆動し、接合部品を被接合部品に接合することが、好ましい。
【0014】
これらの構成によれば、高精度にアライメントした状態で、接合部品と被接合部品とを接合することができ、接合精度、ひいては接合対象物の歩留りを向上させることができる。
【0015】
これらの場合、補正手段は、被接合部品を、X軸方向に移動させるX軸テーブル、Y軸方向に移動させるY軸テーブルおよびθ方向にθテーブルから成り、移動テーブルが、X軸テーブルおよびY軸テーブルの一方を兼ねていることを特徴とする請求項5または6に記載の部品接合装置。
【0016】
これらの構成によれば、高い接合精度を維持しつつ、装置の構造を単純化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明のアライメント方法を適用した部品接合装置について説明する。この部品接合装置は、小型の液晶パネルに、異方性導電フィルム(AFC)を介してフレキシブル基板(FPC)を熱圧着により接合するものである。具体的には、液晶パネルおよびAFC付のフレキシブル基板をプリアライメントされた状態で給材し、装置上で両者をアライメントした後、液晶パネルの端子部に、フレキシブル基板のAFC付の端子部を重ねて熱圧着するものである。なお、説明を容易にするため以降の説明では、接合部材であるフレキシブル基板を接合ワーク、被接合部材である液晶パネルを被接合ワークと表示し、いずれも板状の部材として図示するものとする。
【0018】
ここで、部品接合装置を説明する前に、接合ワーク、被接合ワークおよびアライメントマスクについて、簡単に説明する。図2に示すように、アライメントマスクMは、石英ガラス等で構成された透明(透光性を有する)なガラスマスクであり、その上面(表面)には、相互に離間して一対の基準マークMaが形成されている(同図(a)参照)。各基準マークMaは、十字を為すように位置する4つのマーキングポイントMbで構成され、4つのマーキングポイントMbの中心位置(十字の中心位置)が実質上の基準マーク(基準点Mc)Maとなる。同様に、接合ワークAの下面には、アライメントマスクMの一対の基準点Mc,Mcに対応する、一対の接合位置決め基準Aa,Aaがマーキングされている(同図(b)参照)。さらに、被接合ワークBの上面には、アライメントマスクMの一対の基準点Mc,Mcに対応する、一対の被接合位置決め基準Ba,Baがマーキングされている(同図(c)参照)。
【0019】
すなわち、アライメントマスクMの一対の基準点Mc,Mc同士と、接合ワークAの一対の接合位置決め基準Aa,Aa同士と、被接合ワークBの一対の被接合位置決め基準Ba,Ba同士とは、同一の離間距離を存して設けられている。この場合、一対の接合位置決め基準Aa,Aaは、接合ワークAの下面、すなわち接合面に形成され、一対の被接合位置決め基準Ba,Baは、被接合ワークBの上面、すなわち接合面に形成されている。したがって、接合ワークAを被接合ワークBに重ね合わせ、一対の接合位置決め基準Aa,Aaと一対の被接合位置決め基準Ba,Baとを合致させることで、接合ワークAと被接合ワークBとがアライメントされることになる。しかし、接合ワークAおよび被接合ワークBは、不透明な部材であり、接合ワークAと被接合ワークBとを重ね合わせて直接、アライメントすることが不可能なため、アライメントマスクMを介在させてアライメントを行うようにしている。
【0020】
図1に示すように、部品接合装置1は、接合ワークAを吸着保持する保持ヘッド2と、保持ヘッド2を昇降させる昇降機構3と、アライメントマスクMがセットされるマスクステージ4と、被接合ワークBがセットされるθテーブル5と、θテーブル5が搭載されたY軸テーブル6と、これらマスクステージ4、θテーブル5およびY軸テーブル6を介して、アライメントマスクMおよび被接合ワークBを横並びに搭載するX軸テーブル(移動テーブル)7と、装置の軸線上(保持ヘッド2および昇降機構3と同軸線上)において、X軸テーブル7の下側からアライメントマスクMおよび接合ワークAを撮像する一対の第1画像認識カメラ(一方のみ図示:第1画像認識手段)11と、装置の側方から装置の軸線上に臨み、上側からアライメントマスクMおよび被接合ワークBを撮像する一対の第2画像認識カメラ(一方のみ図示:第2画像認識手段)12と、一対の第2画像認識カメラ12を軸線上に進退自在に臨ませる進退動機構13と、これら構成装置を統括制御する制御装置14と、を備えている。
【0021】
一対の第1画像認識カメラ11は、上記の一対の基準点Mc,Mc等の離間距離と同一の離間距離を存して配設されている。同様に、一対の第2画像認識カメラ12も、上記の一対の基準点Mc,Mc等の離間距離と同一の離間距離を存して配設されている。これにより、一方の基準マークMa、接合位置決め基準Aaおよび被接合位置決め基準Baが、一方の第1画像認識カメラ11および第2画像認識カメラ12で撮像され、他方の基準マークMa、接合位置決め基準Aaおよび被接合位置決め基準Baが、他方の第1画像認識カメラ11および第2画像認識カメラ12で撮像される。言うまでもないが、一対の第1画像認識カメラ11同士および一対の第2画像認識カメラ12同士は、それぞれ相互にキャリブレーションされている。
【0022】
保持ヘッド2はいわゆる吸着ヘッドであり、図示では省略したが、ヒータおよびばねを内蔵している。保持ヘッド2は、吸着した接合ワークAを被接合ワークBに熱圧着するが、ばねにより圧着力が維持され、ヒータにより熱接合が行われる。昇降機構3は、保持ヘッド2を支持し、保持ヘッド2介して接合ワークAを接合位置と上昇待機位置との間で昇降させる。詳細は後述するが、接合位置に移動した接合ワークAは、アライメント時にはアライメントマスクMに押圧され、接合時には被接合ワークBに押圧される。また、接合ワークAが上昇待機位置に移動した状態で、第2画像認識カメラ12が接合位置の直上位置に側方から臨むようになっている。
【0023】
マスクステージ4は、セットされたアライメントマスクMの上面と、θテーブル5にセットされた被接合ワークBの上面と、が同一水平面内に位置するように、アライメントマスクMを支持している。すなわち、マスクステージ4は、基準マークMaと被接合位置決め基準Baとが、同一高さに位置するようにアライメントマスクMを支持している。また、マスクステージ4には、下側から臨んだ第1画像認識カメラ11が、アライメントマスクMの基準マークMaを撮像することができるように中央部にステージ開口21が形成されている。
【0024】
θテーブル5は、セットした被接合ワークBを水平面内において微小角度回転させる。Y軸テーブル6は、θテーブル5を介して、被接合ワークBを水平面内のY軸方向に移動させる。同様に、X軸テーブル7は、θテーブル5およびY軸テーブル6を介して、被接合ワークBを水平面内のX軸方向に移動させる。被接合ワークBとアライメントマスクMとは、X軸テーブル7上において、X軸方向に横並びにセットされており、X軸テーブル7は、被接合ワークBおよびアライメントマスクMを接合位置とそれぞれの移動待機位置との間で交互にX軸方向に移動させる。なお、図1は、被接合ワークBが接合位置に、アライメントマスクMが移動待機位置に移動した状態を表している。
【0025】
一方、接合ワークAと被接合ワークBとの相互のアライメント(位置補正)は、接合ワークAに対し被接合ワークBを微小移動させることにより行われるが、この補正手段は、協働するθテーブル5、Y軸テーブル6およびX軸テーブル7により構成されている。そして、X軸テーブル7には、マスクステージ4と同様に第1画像認識カメラ11が基準マークMaを撮像できるように、上記のステージ開口21に合致するテーブル開口22が形成されている。
【0026】
各第1画像認識カメラ11は、いわゆるCCDカメラで構成され、X軸テーブル7の下方の軸線上において、上向きに且つ固定的に設けられている。詳細は後述するが、第1画像認識カメラ11は、接合位置に移動したアライメントマスクMに接合ワークAを押圧した状態で、アライメントマスクMの基準マークMaおよび接合ワークAの接合位置決め基準Aaを、下側から同時に位置認識する。接合ワークAをアライメントマスクMに押圧した状態では、アライメントマスクMの上面に形成した基準マークMaと、接合ワークAの下面に形成した接合位置決め基準Aaとは同一水平面内に位置しており、第1画像認識カメラ11は、基準マークMaおよび接合位置決め基準Aaを視野内に捉えてこれを撮像する。なお、接合ワークAをアライメントマスクMに押圧するときの押圧力は、熱圧着において、接合ワークAを被接合ワークBに押圧するときの押圧力と、同一とすることが好ましい。
【0027】
各第2画像認識カメラ12もCCDカメラで構成され、進退動機構13により上記の接合位置の直上位置と退避位置との間でX軸方向に移動自在に構成されている。 詳細は後述するが、第2画像認識カメラ12は、接合位置にあるアライメントマスクMの基準マークMaおよび接合位置に移動した被接合ワークBの被接合位置決め基準Baを、上側から位置認識する。直上位置に移動した第2画像認識カメラ12は、X軸テーブル7によりその直下に移動してくるアライメントマスクMおよび被接合ワークBに対し、個別に基準マークMaおよび被接合位置決め基準Ba視野内に捉えてこれを撮像する。なお、第1画像認識カメラ11および第2画像認識カメラ12を単一のものとし、移動機構によりこれをY軸方向に移動させる構成としてもよい。
【0028】
制御装置14は、特に図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等により主要部が構成され、第1画像認識カメラ11および第2画像認識カメラ12の他、保持ヘッド2、昇降機構3、θテーブル5、Y軸テーブル6、X軸テーブル7および進退動機構13の駆動を制御する。また、第1画像認識カメラ11および第2画像認識カメラ12による認識結果から、接合ワークAと被接合ワークBとの相互の位置ずれ量を算出する。
【0029】
次に、図3および図4を参照して、接合ワークAと被接合ワークBとのアライメント動作および接合動作について説明する。なお、このアライメント動作は、アライメントマスクMが装置の軸線上(保持ヘッド2(接合ワークA)、昇降機構3および一対の第1画像認識カメラ11と同軸線上)に臨むと共に、一対の第2画像認識カメラ12が、軸線上から退避(退避位置)している状態から開始される。
【0030】
まず、昇降機構3により保持ヘッド2を降下させて接合位置に移動すると共に、マスクステージ4上のアライメントマスクMに接合ワークAを押圧接触させる(図3(a))。アライメントマスクMが接触する際、アライメントマスクMの上面に位置する一対の基準マークMa,Maと、接合ワークAの下面に位置する一対の接合位置決め基準Aa,Aaとがほぼ同一位置に位置し、一対の第1画像認識カメラ11は、ステージ開口21およびテーブル開口22から、当該一対の基準マークMa,Maおよび一対の接合位置決め基準Aa,Aaを同時に画像認識する(第1画像認識工程)。図4(a)は、かかる際の画像認識結果の1例であり、各基準点Mcに対し各接合位置決め基準Aaが位置ズレしている。
【0031】
次に、昇降機構3により、保持ヘッド2を上昇させて上昇待機位置に移動させた後、進退動機構13により、一対の第2画像認識カメラ12を軸線上に臨ませる(図3(b))。これにより、一対の第2画像認識カメラ12がアライメントマスクMに臨み(直上位置)、アライメントマスクMの一対の基準マークMa,Maを撮像する(第2画像認識工程)。図4(b)は、かかる際の画像認識結果の1例であり、第1画像認識カメラ11で位置認識した一対の接合位置決め基準Aa,Aaを、データ上において第2画像認識カメラ12に取り込んだ状態(「+」で表示)である。
【0032】
その後、X軸テーブル7により、アライメントマスクMおよび被接合ワークBを移動して、被接合ワークBを軸線上に臨ませる(図3(c))。この際、一対の第2画像認識カメラ12が被接合ワークBに臨み、被接合ワークBの被接合位置決め基準Ba,Baを撮像する(第3画像認識工程)。図4(c)は、第2画像認識工程および第3画像認識工程に係る撮像画像を重ね合わせたものの1例である。
【0033】
これら第1画像認識工程における第1画像認識カメラ11の撮像画像と、第2画像認識工程および第3画像認識工程における第2画像認識カメラ12の撮像画像に基づいて、被接合ワークBの接合ワークAに対する位置ずれ量を算出する。
【0034】
まず、アライメントマスクMの一対の基準マークMa,Maを基準とし、第1画像認識工程における一対の第1画像認識カメラ11の撮像画像と、第2画像認識工程および第3画像認識工程における一対の第2画像認識カメラ12の撮像画像とを重ね合わせる(計算上の重ね合わせるのみで足りる)。図4(c)に基づいて、一対の接合位置決め基準Aa,Aaの中点と、一対の被接合位置決め基準Ba,Baの中点とのXY軸方向の位置ずれ(ΔX,ΔY)が算出され、一対の接合位置決め基準Aa,Aaの線分と、一対の被接合位置決め基準Ba,Baの線分との角度ずれ(Δθ)が算出される。この接合位置決め基準Aa,Aaおよび被接合位置決め基準Ba,Baの位置ずれ量(ΔX,ΔY, Δθ)が、そのまま、被接合ワークBの接合ワークAに対する位置ずれ量となる。そのため、X軸テーブル7、Y軸テーブル6およびθテーブル5により、被接合ワークBを、当該位置ずれ量分(XYθ方向で)位置補正する(アライメント)。
【0035】
その後、進退動機構13により、一対の第2画像認識カメラ12を退避させた後、昇降機構3により、保持ヘッド2を降下させて、接合ワークAを被接合ワークBに押圧接触させ、また、内蔵するヒータにより熱圧着する(図4(d))。これにより、接合ワークAが被接合ワークBに接合される。
【0036】
なお、上記のアライメント処理は、1回の接合処理につき1回行うことが好ましい。
【0037】
また、本実施形態においては、位置補正の後、接合ワークAと被接合ワークBとを押圧接触させたが、接合ワークAと被接合ワークBを接触(もしくは押圧接触)させた状態で、位置補正を行うようにしてもよい。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、部品接合装置1上であってその接合位置において、アライメントマスクMの基準マークMa、接合ワークAの接合位置決め基準Aaおよび被接合ワークBの被接合位置決め基準Baを位置認識するようにし、且つ接合ワークAをアライメントマスクMに押圧した状態で、位置認識するようにしている。すなわち、位置、環境および押圧条件等において熱圧着作業時と同一の条件で、接合ワークAおよび被接合ワークBの位置認識を行うようにしている。このため、接合ワークAと被接合ワークBとの相互のアライメントを極めて高精度に行うことができる。また、このアライメント方法は、不透明のワークのアライメントに好適である。
【0039】
なお、本実施形態では、フレキシブル基板と液晶パネルとの位置決めを例に説明したが、本願発明は、ICチップと回路基板との位置決め(マウント)、インクジェットヘッドとキャリッジとの位置決め等に、適用できることはいうまでもない。したがって、熱圧着に限らず、紫外線硬化接着剤を用いた紫外線接合やはんだ接合等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態に係る部品接合装置の全体模式図である。
【図2】アライメントマスクの平面図(a)、接合ワークの裏面図(b)および被接合ワーク(c)の平面図である。
【図3】部品接合装置におけるアライメント動作を示す説明図である。
【図4】撮像結果を表した説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1:部品接合装置、 2:保持ヘッド、 3:昇降機構、 5:θテーブル、 6:Y軸テーブル、 7;X軸テーブル、 11:第1画像認識カメラ、 12:第2画像認識カメラ、 14:制御装置、 A:接合ワーク、 Aa:接合位置決め基準、 B:被接合ワーク、 Ba:被接合位置決め基準、 M:アライメントマスク、 Ma:基準マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像認識手段および第2画像認識手段と、透光性のアライメントマスクとを用い、
重ね合せ且つ押圧した状態で接合される接合部品と被接合部品とを、前記アライメントマスクの上面に形成した基準マーク、前記接合部品の下面に形成した接合位置決め基準および前記被接合部品の上面に形成した被接合位置決め基準に基づいて、アライメントする接合対象物のアライメント方法であって、
前記接合部品を、上側から前記アライメントマスクに重ね合せ且つ押圧した状態で、前記第1画像認識手段により、下面側から前記アライメントマスクの前記基準マークおよび前記接合部品の前記接合位置決め基準を同時に位置認識する第1認識工程と、
前記接合部品を上昇させ後、前記第2画像認識手段により、上面側から前記アライメントマスクの前記基準マークを位置認識する第2認識工程と、
前記アライメントマスクの位置に、前記アライメントマスクに代えて前記被接合部品を導入し、前記第2画像認識手段により、上面側から前記被接合部品の前記被接合位置決め基準を位置認識する第3認識工程と、
前記第1認識工程の認識結果、前記第2認識工程の認識結果および前記第3認識工程の認識結果に基づいて、前記接合位置決め基準と前記被接合位置決め基準との相互の位置ずれ量を取得するずれ量取得工程と、
取得した前記位置ずれ量に基づいて、前記接合部品と前記被接合部品とを相対的に位置補正する位置補正工程と、を備えたことを特徴とする接合対象物のアライメント方法。
【請求項2】
前記第1認識工程、前記第2認識工程および前記第3認識工程が、前記接合部品を前記被接合部品に接合する接合位置で実施されることを特徴とする請求項1に記載の接合対象物のアライメント方法。
【請求項3】
前記接合部品と前記被接合部品とは、いずれも不透明であることを特徴とする請求項1または2に記載の接合対象物のアライメント方法。
【請求項4】
前記基準マーク、前記接合位置決め基準および前記被接合位置決め基準は、いずも相互に離間して配設した一対のものでそれぞれ構成され、
前記第1画像認識手段および前記第2画像認識手段は、いずれも相互に離間して配設した一対のものでそれぞれ構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の接合対象物のアライメント方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の接合対象物のアライメント方法と、
前記位置補正工程の後、前記接合部品を前記被接合部品に対し重ね合せ且つ押圧した状態で接合する接合工程と、を備えたことを特徴とする部品接合方法。
【請求項6】
透光性のアライメントマスクを介して接合部品と被接合部品とを、前記アライメントマスクの上面に形成した基準マーク、前記接合部品の下面に形成した接合位置決め基準および前記被接合部品の上面に形成した被接合位置決め基準に基づいて、アライメントした後、前記接合部品を前記被接合部品に重ね合せ押圧した状態で接合する部品接合装置であって、
接合姿勢の前記接合部品を保持する保持ヘッドと、
前記保持ヘッドを介して、前記接合部品を接合位置と上昇待機位置との間で昇降させると共に前記接合位置において前記接合部品を前記被接合部品に押圧する昇降機構と、
接合姿勢の前記被接合部品と前記アライメントマスクとがそれぞれセットされると共に、セットした前記被接合部品および前記アライメントマスクをそれぞれ接合位置と移動待機位置との間で水平方向に交互に移動させる移動テーブルと、
前記接合位置に移動した前記アライメントマスクの前記基準マーク、および前記接合位置に移動した前記接合部品の前記接合位置決め基準を、前記アライメントマスクの下面側からそれぞれ画像認識する第1画像認識手段と、
前記接合位置に移動した前記アライメントマスクの前記基準マーク、および前記接合位置に移動した前記被接合部品の前記被接合位置決め基準を、それぞれ画像認識すると共に、前記接合位置の直上位置と退避位置との間で水平方向に移動自在に構成された第2画像認識手段と、
水平面内において、前記接合部品に対し前記被接合部品を相対的に移動させて、位置補正を行う補正手段と、
前記昇降機構、前記移動テーブル、前記第1画像認識手段、前記第2画像認識手段および前記補正手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記接合位置に移動させた前記接合部品を、前記接合位置に移動させた前記アライメントマスクに重ね合せ押圧した状態で、前記第1画像認識手段により、前記基準マークと前記接合位置決め基準とを同時に位置認識する第1認識動作と、
前記接合部品を前記上昇待機位置に移動させた後、前記直上位置に移動した前記第2画像認識手段により、前記基準マークを位置認識する第2認識動作と、
前記アライメントマスクを移動待機位置に移動させると同時に前記被接合部品を前記接合位置に移動させ、前記第2画像認識手段により、前記被接合位置決め基準を位置認識する第3認識動作と、を実施し、
前記第1認識動作の認識結果、前記第2認識動作の認識結果および前記第3認識動作の認識結果に基づいて、前記接合位置決め基準と前記被接合位置決め基準との相互の位置ずれ量を取得し、取得した前記位置ずれ量に基づいて、前記接合部品と前記被接合部品とを位置補正することを特徴とする部品接合装置。
【請求項7】
前記保持ヘッドには、ヒータおよび紫外線ランプのいずれかが組み込まれており、
前記制御手段は、前記接合部品と前記被接合部品とを位置補正した後、前記接合部品を前記被接合部品に重ね合せ押圧した状態で、ヒータおよび紫外線ランプのいずれかを駆動し、前記接合部品を前記被接合部品に接合することを特徴とする請求項6に記載の部品接合装置。
【請求項8】
前記補正手段は、前記被接合部品を、X軸方向に移動させるX軸テーブル、Y軸方向に移動させるY軸テーブルおよびθ方向にθテーブルから成り、
前記移動テーブルが、前記X軸テーブルおよび前記Y軸テーブルの一方を兼ねていることを特徴とする請求項6または7に記載の部品接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−105196(P2009−105196A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275050(P2007−275050)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】