説明

接続手段

【課題】接続手段において、構成の簡素化を図り、製造コストの低減及び組付工数の削減を図る。
【解決手段】弁部108を有する弁軸74には、接続手段として機能するストッパプレート126が凹溝124を介して装着される。ストッパプレート126は、本体部128の略中央部に形成され、前記弁軸74が挿通される孔部130に臨む爪部132を有し、前記爪部132が凹溝124に係合されることによってストッパプレート126が弁軸74に固定されると共に、前記本体部128から突出した複数の脚部134によって保持スプリング112を保持可能な第3スプリングホルダ136が保持される。この保持スプリング112の弾発作用下にプランジャー90が弁軸74に対して保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸体と、該軸体に挿通された挿通部材とを互いに接続するための接続手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流路を流通する流体の流通状態を切り換えるための弁装置として、例えば、図11に示されるような排気ガス再循環バルブ1が知られている。この排気ガス再循環バルブ1は、通電作用下に励磁するコイル2を有するソレノイド部3と、前記コイル2の励磁作用下に軸線方向に沿って変位するアマーチャ4と、前記アマーチャ4と連結されて一体的に変位するシャフト5と、前記シャフト5の下端部に連結され、シート6に対して着座・離間自在なバルブヘッド7とを備える。このシャフト5の上端部には、ねじ部8が形成され、円盤状のシム9が前記シャフト5に挿通されて段部に係合された後、アマーチャ4の鍔部10が前記ねじ部8に挿通されてナット11が螺合されることによって前記鍔部10が前記ナット11とシム9との間に挟持され、前記アマーチャ4とシャフト5とが一体的に連結される。すなわち、シャフト5と該シャフト5の外周側に設けられたアマーチャ4とが、接続手段として機能するナット11によって互いに接続されている。また、アマーチャ4の下部には、前記アマーチャ4を上方へと付勢するコイルスプリング12が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5593132号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に係る従来技術では、シャフト5とアマーチャ4とを連結する際、前記シャフト5のねじ部8に対してナット11を螺合させ、前記シャフト5に係合されたシム9と前記ナット11との間に前記アマーチャ4を挟持する構成としているため、前記シャフト5に対してねじ加工を行う必要があると共に、ナット11をシャフト5のねじ部8に螺合させて締付工具で締め付ける際、前記シャフト5の回転を規制するために治具孔等を設ける必要がある。
【0005】
従って、シャフト5とアマーチャ4との組付作業が煩雑になると共に、加工工数が増大するため製造時間も増大することとなる。
【0006】
また、アマーチャ4とシャフト5は、ナット11を介して互いに相対変位が規制された状態で連結されているため、前記アマーチャ4、シャフト5及びシム9に寸法ばらつきが生じた場合には、組付誤差が発生することとなる。
【0007】
さらに、近年、上述したような排気ガス再循環バルブ1に用いられる接続手段の部品点数を削減し、製造コストの抑制を図ると共に、構成の簡素化を図ることによって組付工数の削減を図りたいという要請がある。
【0008】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、構成の簡素化を図り、製造コストの低減及び組付工数の削減を図ることが可能な接続手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、軸体と、該軸体に挿通される挿通部材とを接続する接続手段であって、
前記接続手段は、前記挿通部材との間に設けられた付勢部材により該軸体の軸方向に付勢され、該軸方向に突出して前記軸体の凹部に係合される爪部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、軸体と、該軸体に挿通される挿通部材とを接続可能な接続手段において、該接続手段の爪部を、前記軸体の凹部に係合させて前記接続手段を前記軸体に対して装着し、且つ、前記挿通部材を介して保持される付勢部材の付勢力によって前記挿通部材が前記軸体に対して保持される。従って、従来技術において接続手段として用いられていたナットが不要となる。
【0011】
その結果、上述した接続手段を用いることで、従来技術に係る接続手段の構造と比較し、部品点数及び加工工程を削減することが可能となり、構成を簡素化し且つ製造コストの削減を図ることができると共に、組み付け作業を簡便に行うことが可能となるため、その組付性を向上させることができる。
【0012】
また、接続手段は、爪部とは反対側となる方向に向かって突出し、スプリングからなる前記付勢部材の付勢力を受ける保持部を有し、
前記保持部は、前記付勢力を発生させる前記スプリングの端部を保持するスプリングホルダを保持することにより、前記スプリングホルダを介して挿通部材との間に付勢部材であるスプリングを保持することができると共に、前記スプリングの付勢力が付与されるスプリングホルダを、前記接続手段の保持部によって確実且つ好適に保持することが可能となる。
【0013】
さらに、保持部が、スプリングホルダに対して螺旋状に巻回されたスプリングの直径上又は前記直径に対して内周側に当接させることにより、前記スプリングの付勢力を前記保持部によって確実且つ好適に受け止めることが可能となるため、前記スプリングを変更した場合でも、接続手段を交換することなくスプリングホルダを保持することができ、それに伴って、挿通部材と軸体とが接続可能となる。
【0014】
さらにまた、爪部と、
付勢力を発生させるスプリングの端部を保持するベース部と、
該ベース部に対して前記爪部とは反対側に向かって突出した他の爪部と、
を備え、
前記爪部を前記凹部に係合させると共に、前記他の爪部を前記軸体に挿通されたガイド体の端部に当接させるとよい。
【0015】
これにより、ベース部でスプリングを保持することができるため、別個にスプリングを保持するためのホルダを設ける必要がなく、部品点数及び組付工数のさらなる削減を図ることが可能となる。
【0016】
また、挿通部材、スプリング及びガイド体に寸法ばらつきが生じた場合でも、他の爪部が傾動変位することによって軸体の軸線方向におけるばらつきを好適に吸収し、前記挿通部材を確実に軸体に対して保持して接続することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0018】
すなわち、接続手段の爪部を、軸体の凹部に係合させて前記接続手段を前記軸体に対して装着し、且つ、前記軸体に挿通される挿通部材を介して保持される付勢部材の付勢力によって前記挿通部材を前記軸体に対して接続することができるため、従来技術において接続手段として用いられていたナット、ねじ加工及び治具穴が不要となり、部品点数及び加工工程を削減することが可能となるため、構成を簡素化し且つ製造コストの削減を図ることができると共に組付性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る接続手段の適用された排気ガス再循環バルブの縦断面図である。
【図2】図1の排気ガス再循環バルブにおけるストッパプレート近傍を示す拡大断面図である。
【図3】図2に示すストッパプレートの外観斜視図である。
【図4】図3に示すストッパプレートの断面図である。
【図5】図3に示すストッパプレートの平面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る接続手段の適用された排気ガス再循環バルブの縦断面図である。
【図7】図6の排気ガス再循環バルブにおけるストッパプレート近傍を示す拡大断面図である。
【図8】図7に示すストッパプレートの外観斜視図である。
【図9】図8に示すストッパプレートの断面図である。
【図10】図8に示すストッパプレートの平面図である。
【図11】従来技術に係る接続手段の適用された排気ガス再循環バルブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る接続手段について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0021】
図1において、参照符号50は、本発明の第1の実施の形態に係る接続手段の適用された排気ガス再循環バルブを示す。
【0022】
この排気ガス再循環バルブ50は、図1〜図5に示されるように、図示しない内燃機関から循環される排気ガスの流通する通路68を有した弁ボディ52と、前記弁ボディ52に連結されたケーシング54の内部に配設され、通電作用下に励磁するコイル56を有したソレノイド部58と、前記ソレノイド部58の励磁作用下に変位する弁機構部60とを含む。
【0023】
弁ボディ52は、図示しない内燃機関の排気系と接続される入口ポート62が下部の中央部に形成され、前記入口ポート62から離間して前記内燃機関の吸気系に接続される出口ポート64が形成されている。なお、入口ポート62と出口ポート64は、前記入口ポート62の上部側に画成された弁孔66と、出口ポート64の上方に中央部に向かって断面円弧状に形成された通路68を介して互いに連通している。
【0024】
入口ポート62は、上方に向かって延在し、その途中には環状の弁座部70が配設され、前記弁座部70の略中央の連通孔72には、弁機構部60を構成する弁軸(軸体)74が挿通される。連通孔72は、弁孔66側(矢印A方向)に向かって徐々に拡径するテーパ状に形成されている。
【0025】
弁孔66には、板材から形成されたカバー部材76が設けられ、その外縁部が弁ボディ52の段部とガイド部材78との間に挟持されると共に、その中央部には、弁軸74の挿通される孔部が形成される。なお、カバー部材76は、孔部を有する中央部が外縁部に対して入口ポート62側(矢印B方向)に窪んで形成される。
【0026】
ケーシング54は、略円筒状に形成され、その下端部がプレート80を挟んで連結ボルト82によって弁ボディ52の上部に連結される。このケーシング54の側面には、複数の放熱孔84が形成され、前記ケーシング54の内部と外部とを連通させることにより、前記ケーシング54の内部が冷却される。また、ケーシング54の下部には、略中央部に筒状のガイド部材78が装着され、弁機構部60を構成する弁軸74を軸線方向(矢印A、B方向)に沿って変位自在に支持する。
【0027】
ソレノイド部58は、ケーシング54の内部に設けられ、電流により磁路が形成されるフレーム86と、前記フレーム86の外周側に設けられ、コイル56の巻回されたボビン88と、前記フレーム86の内周側に設けられ、前記コイル56の励磁作用下に軸線方向に沿って変位自在に設けられるプランジャー(挿通部材)90と、前記ケーシング54の上端部を閉塞するように配設されるカバーユニット92とを含む。
【0028】
フレーム86は、ケーシング54の上部に設けられる円筒状の第1壁部94と、弁ボディ52側に形成された円筒状の第2壁部96とからなり、前記第1及び第2壁部94、96の内周側にはスリーブ98が設けられる。このスリーブ98は、軸線方向に沿って略同一直径からなる有底円筒状に形成され、その内部にはプランジャー90が変位自在に設けられると共に、有底部位が下方となるように配設される。
【0029】
また、第1及び第2壁部94、96の端部には、半径外方向に拡径した鍔部100がそれぞれ設けられ、ケーシング54の内壁面に対して保持されると共に、前記第1壁部94の外周面にはボビン88が保持される。
【0030】
プランジャー90は、円筒状に形成され、その内周面には半径内方向に突出したフランジ部102が形成されると共に、前記フランジ部102の中央には弁軸74が挿通される挿通孔104が形成される。このプランジャー90は、コイル56の励磁作用下にスリーブ98の内周面に沿って摺動自在に設けられる。
【0031】
カバーユニット92は、例えば、樹脂製材料から形成され、ケーシング54の上部を閉塞するように装着されている。カバーユニット92には、側方に突出した接続部106を備え、前記接続部106の端子(図示せず)に電流が供給されることによりソレノイド部58のコイル56が通電される。
【0032】
弁機構部60は、弁ボディ52に設けられた弁座部70に着座する弁部108を有する連結される弁軸74と、前記弁軸74を軸線方向に沿って変位自在にガイドするガイド部材78と、前記弁部108を弁座部70側に向かって付勢するリターンスプリング110と、前記弁軸74に対してプランジャー90に対して保持する保持スプリング(付勢部材)112とを含む。
【0033】
弁部108は、弁ボディ52の入口ポート62の内部に配置され、弁軸74側に向かって徐々に縮径するテーパ状に形成される。そして、弁部108の外周面が弁座部70に着座することにより、入口ポート62と弁孔66との連通を遮断する。
【0034】
弁軸74は、軸線方向に沿って長尺に形成され、弁ボディ52及びケーシング54の内部に設けられる。詳細には、弁軸74は、カバー部材76、ガイド部材78、スリーブ98及びプランジャー90の挿通孔104の内部に挿通され、軸線方向(矢印A、B方向)に沿って変位自在に設けられている。
【0035】
この弁軸74は、弁ボディ52側(矢印B方向)となる一端部側に形成され、ガイド部材78に保持される大径部114と、カバーユニット92側(矢印A方向)となる他端部側に形成され、プランジャー90が保持される小径部116とを有し、前記大径部114の端部には弁部108が設けられる。
【0036】
小径部116は、プランジャー90の挿通孔104に挿通され、大径部114との境界部位となる段部に第1スプリングホルダ118が設けられ、前記第1スプリングホルダ118とスリーブ98の有底部位との間にリターンスプリング110が介装される。すなわち、スリーブ98の有底部位が、リターンスプリング110の一端部を保持するスプリング座として機能している。
【0037】
この第1スプリングホルダ118は、例えば、プレート材をプレス成形することによって円盤状に形成され、その周縁部が弁ボディ52側(矢印B方向)に向かって直角に折曲されると共に、プランジャー90におけるフランジ部102の下側に当接するように設けられる。
【0038】
また、小径部116には、プランジャー90におけるフランジ部102の上側に第2スプリングホルダ120が挿通される。この第2スプリングホルダ120は、第1スプリングホルダ118と略同一形状で形成され、直角に折曲された周縁部がカバーユニット92側(矢印A方向)となるように設けられると共に、保持スプリング112の一端部が保持されている。
【0039】
さらに、小径部116には、円筒状のスペーサ(ガイド体)122が挿通され、その一端部がプランジャー90のフランジ部102を挿通した後、第1スプリングホルダ118の上面に当接する。なお、スペーサ122の他端部は、接続手段として機能するストッパプレート(後述する)126によって保持される。
【0040】
このリターンスプリング110は、例えば、螺旋状に巻回されたコイルスプリングからなり、その弾発力は、スリーブ98の有底部位側が固定端となるため、プランジャー90側(矢印A方向)に向かって付勢される。すなわち、プランジャー90のフランジ部102が、第1スプリングホルダ118と第2スプリングホルダ120によって挟持される。
【0041】
さらに、小径部116の略中央部には、環状に窪んだ凹溝(凹部)124が設けられ、前記凹溝124には第3スプリングホルダ136を保持可能なストッパプレート126が装着される。
【0042】
このストッパプレート126は、例えば、一定厚さのプレート材からプレス加工等によって形成され、平面状の略矩形状に形成された本体部128と、前記本体部128の略中央部に形成され弁軸74が挿通される孔部130と、前記孔部130の周囲に設けられ、前記本体部128の一端面に対して所定角度傾斜して突出した爪部132と、前記本体部128の他端面側に所定角度傾斜して突出した複数の脚部134とを含む。
【0043】
爪部132は、孔部130を中心として複数(例えば、6枚)に分割されて設けられ、本体部128の一端面に対して前記本体部128から離間する方向に所定角度で傾斜し、且つ、孔部130の中心に向かって延在している。そして、ストッパプレート126が弁軸74の小径部116に挿通された際、爪部132が凹溝124に係合され、前記凹溝124の軸線方向に沿った長さ分だけ変位自在に設けられる。換言すれば、ストッパプレート126の弁軸74に対する変位が爪部132によって規制される。
【0044】
この爪部132の内周径は、弁軸74を構成する小径部116の外周径に対して小さく設定され、凹溝124の外周径と略同等若しくは若干だけ大きく設定される。
【0045】
脚部134は、本体部128の四辺からそれぞれ延在し、断面略三角形状に形成されると共に、弁軸74に装着された状態で弁ボディ52側(矢印B方向)に向かって所定角度だけ傾斜して拡幅するように形成される。そして、脚部134の先端には、保持スプリング112の介装された第3スプリングホルダ136が当接して保持される。
【0046】
この第3スプリングホルダ136は、第1及び第2スプリングホルダ118、120と略同一形状で形成され、その周縁部に形成された折曲部位が弁ボディ52側(矢印B方向)に向かうように配設される。そして、第3スプリングホルダ136が、ストッパプレート126の下部に設けられ、第2スプリングホルダ120との間に保持スプリング112が介装される。この保持スプリング112は、例えば、螺旋状に巻回されたコイルスプリングからなり、その弾発力(付勢力)は、第3スプリングホルダ136側が固定端となるため、プランジャー90側(矢印B方向)に向かって付勢される。
【0047】
すなわち、第3スプリングホルダ136は、弁軸74の小径部116に係合されたストッパプレート126によって上方への変位が規制されているため、保持スプリング112の弾発作用下に前記第2スプリングホルダ120と第1スプリングホルダ118との間にプランジャー90のフランジ部102が保持されることとなる。
【0048】
また、保持スプリング112の直径D1は、図2及び図5に示されるように、複数設けられた脚部134の先端を繋ぐ仮想円の直径D2と同等若しくは小さく設定される(D1≦D2)。換言すれば、保持スプリング112は、第3スプリングホルダ136に介装された際、脚部134の先端と同心円上若しくは内周側となるように設けられる。
【0049】
本発明の第1の実施の形態に係る接続手段の適用された排気ガス再循環バルブ50は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、弁軸74及びプランジャー90の組み付けについて簡単に説明する。なお、ここでは、ケーシング54の上部にカバーユニット92が装着されていない状態にある。
【0050】
先ず、弁軸74を弁ボディ52の入口ポート62からケーシング54側(矢印A方向)に挿入し、ガイド部材78、スペーサ122及びスリーブ98の内部に挿通させ、前記弁軸74の小径部116に第1スプリングホルダ118を挿通させる。そして、第1スプリングホルダ118とスリーブ98の底部との間にリターンスプリング110を介装させる。
【0051】
次に、弁軸74の小径部116に対して前記弁軸74の他端部側からプランジャー90を挿通させ、そのフランジ部102を第1スプリングホルダ118に当接させると共に、前記小径部116に対して第2スプリングホルダ120を挿通させて前記フランジ部102の上面に当接させる。これにより、プランジャー90のフランジ部102が、第1及び第2スプリングホルダ118、120によって挟持された状態となる。
【0052】
そして、小径部116に対して上方からスリーブ98を挿通させ、第1スプリングホルダ118の上面に当接させると共に、第2スプリングホルダ120の上方から保持スプリング112を配設し、第3スプリングホルダ136を小径部116に挿通させて前記第2スプリングホルダ120との間で前記保持スプリング112を保持する。
【0053】
最後に、弁軸74の他端部側から脚部134が第3スプリングホルダ136側となるようにストッパプレート126を挿通させ、その爪部132を小径部116に設けられた凹溝124に係合させる。これにより、弁軸74に対するストッパプレート126の軸線方向(矢印A、B方向)に沿った変位が爪部132を介して規制された状態となるため、前記第3スプリングホルダ136が弁軸74に対して保持される。
【0054】
すなわち、保持スプリング112が、ストッパプレート126によって弁軸74に保持された第3スプリングホルダ136と第2スプリングホルダ120との間で好適に保持される。それに伴って、プランジャー90のフランジ部102が、第2スプリングホルダ120を介して付勢される保持スプリング112の弾発力によって第1スプリングホルダ118との間に好適に保持される。この際、第3スプリングホルダ136が、スリーブ98の他端部に当接することにより、前記スリーブ98を介して第1スプリングホルダ118が大径部114と小径部116との境界部位に固定される。
【0055】
なお、排気ガス再循環バルブ50を構成する弁軸74及びプランジャー90の組付方法、組付順序は、上述した方法及び順序に限定されるものではない。
【0056】
このように、排気ガス再循環バルブ50を構成する弁軸74に対してプランジャー90を固定する際、前記弁軸74の小径部116に設けられた凹溝124にストッパプレート126の爪部132を係合させ前記ストッパプレート126を前記弁軸74に固定させ、前記ストッパプレート126によって保持スプリング112が介装される第3スプリングホルダ136が保持されるため、前記保持スプリング112の弾発作用下にリターンスプリング110との間にプランジャー90を保持可能としている。
【0057】
すなわち、接続手段として機能し、弁軸74に固定可能なストッパプレート126を設け、前記ストッパプレート126によって保持スプリング112をプランジャー90との間に簡便に介装させることができるため、従来技術に係る排気ガス再循環バルブで接続手段として用いられていたナットが不要となると共に、バルブステムに対して前記ナットを螺合させるためのねじ加工を行う必要もない。さらに、ナットをシャフトに螺合させる際、前記シャフトを支持するための治具が挿入される治具穴も不要となる。そのため、排気ガス再循環バルブ50における接続手段の部品点数及び加工工程を削減することが可能となり、製造コストの削減を図ることができると共に、組み付け作業を簡便に行うことが可能となるため、その組付性を向上させることができる。
【0058】
また、プランジャー90は、保持スプリング112の弾発力によって弁軸74に対して保持され、且つ、ストッパプレート126が凹溝124に対して所定距離だけ変位自在に設けられているため、前記プランジャー90及び保持スプリング112の寸法ばらつきを前記ストッパプレート126を変位させることによって好適に吸収することが可能となる。その結果、接続手段であるストッパプレート126によってプランジャー90及び保持スプリング112等の寸法ばらつきに関わらず、弁部108を含む弁軸74を高精度に開閉させて排気ガスの流量制御を行うことができる。
【0059】
さらに、保持スプリング112の直径D1に応じてストッパプレート126を交換する必要がなく、単一のストッパプレート126によって対応することが可能となる。すなわち、保持スプリング112の直径D1に応じて前記保持スプリング112が介装される第3スプリングホルダ136のみを交換すればよく、ストッパプレート126を交換することなく、前記第3スプリングホルダ136を保持することが可能となる。
【0060】
次に、上述したように組み付けられた排気ガス再循環バルブ50の動作並びに作用効果について説明する。なお、ここでは、図1に示される弁部108が弁座部70に着座して、入口ポート62と出口ポート64との連通が遮断された弁閉状態を初期位置として説明する。
【0061】
このような弁閉状態にある排気ガス再循環バルブ50の初期位置において、図示しない電源に接続された接続部106を介してソレノイド部58のコイル56に電流を供給することにより、その通電作用下に前記コイル56が励磁して磁界が発生し、プランジャー90がリターンスプリング110の弾発力に抗してスリーブ98の内周面に沿って弁ボディ52側(矢印B方向)へと変位する。
【0062】
これにより、プランジャー90が、第1及び第2スプリングホルダ118、120を介して弁軸74と共に変位し、前記弁軸74の一端部に設けられた弁部108が弁座部70から離間し、入口ポート62と出口ポート64とが弁孔66を介して連通した弁開状態となる。この際、プランジャー90は、コイル56の励磁作用下に発生した電磁力とリターンスプリング110の弾発力が釣り合う位置で停止する。すなわち、弁部108の開閉量は、コイル56に供給される電流の強弱によって決定される。
【0063】
そして、内燃機関の排気系から排出された排気ガスが、入口ポート62から弁孔66を通じて出口ポート64へと流通し、前記内燃機関の吸気系へと供給される。
【0064】
次に、ソレノイド部58を構成するコイル56への電流の供給を停止すると、プランジャー90を弁ボディ52側に向かって付勢する電磁力が滅勢され、前記プランジャー90がリターンスプリング110の弾発作用下に第2スプリングホルダ120を介して弁ボディ52から離間する方向(矢印A方向)へと押圧される。
【0065】
これにより、プランジャー90と共に弁軸74がカバーユニット92側(矢印A方向)へと変位し、弁部108が弁座部70に対して着座する。そのため、入口ポート62と出口ポート64との連通が弁部108によって遮断された弁閉状態となる。
【0066】
次に、第2の実施の形態に係る接続手段が適用された排気ガス再循環バルブ150を図6〜図10に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係る接続手段の適用された排気ガス再循環バルブ50と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0067】
この第2の実施の形態に係る接続手段が適用された排気ガス再循環バルブ150では、保持スプリング112の一端部が介装される第3スプリングホルダ136とストッパプレート126とが一体的に形成されている点で、第1の実施の形態に係る接続手段が適用された排気ガス再循環バルブ50と相違している。
【0068】
この排気ガス再循環バルブ150を構成するストッパプレート152は、接続手段として機能し、円盤状に設けられた本体部154と、前記本体部154の周縁部に設けられ直角に折曲した折曲部156と、前記本体部154の中心に設けられ弁軸74が挿通される孔部158と、前記孔部158に臨むように設けられ、前記本体部154に対して折曲部156とは反対方向に向かって突出した第1爪部(爪部)160と、前記第1爪部160と隣接して反対方向に突出した第2爪部(他の爪部)162とを含む。
【0069】
本体部154は平面状に形成され、その中心部には孔部158が形成されると共に、前記孔部158を中心として周状に複数の第1及び第2爪部160、162が設けられる。
【0070】
第1爪部160は、断面略台形状に形成され、孔部158の中心に対して互いに所定間隔離間するように配置され、本体部154に対して徐々に離間するように所定角度傾斜して形成される。また、第1爪部160の内周径は、弁軸74の小径部116に対して小さく設定されると共に、凹溝124の外周径と略同等若しくは若干だけ大きく設定される。
【0071】
そして、孔部158を通じてストッパプレート152を弁軸74の小径部116に挿通させた際、第1爪部160が凹溝124に挿入されて係合される。
【0072】
第2爪部162は、断面略矩形状に形成され、孔部158の中心に対して互いに所定間隔離間するように配置されると共に、第1爪部160に隣接するように交互に設けられる。
【0073】
また、第2爪部162は、本体部154から徐々に離間するように折曲部156側に向かって所定角度傾斜して形成される。なお、第1及び第2爪部160、162は、例えば、それぞれ3個ずつ設けられる。
【0074】
この第2爪部162は、本体部154側(矢印A方向)に向かって撓曲自在に設けられ、前記第2爪部162の先端部に押圧力が付与された際、前記本体部154側に向かうように傾動する。
【0075】
さらに、第2爪部162の内周径は、弁軸74の小径部116に対して略同等若しくは若干だけ大きく設定されている。すなわち、ストッパプレート152が弁軸74の小径部116に挿通された際、第2爪部162が凹溝124に挿入されることがない。
【0076】
一方、弁軸74の小径部116には、円筒状のスペーサ122が挿通され、前記スペーサ122の一端部が大径部114と小径部116との境界に設けられた段部に係合されると共に、その他端部がストッパプレート152の第2爪部162によって保持される。これにより、スペーサ122は、ストッパプレート152によって弁軸74の軸線方向(矢印A、B方向)に沿った変位が規制され、第1スプリングホルダ118を前記弁軸74に対して保持する。
【0077】
なお、排気ガス再循環バルブ150の動作については、第1の実施の形態に係る排気ガス再循環バルブ50と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0078】
以上のように、第2の実施の形態では、接続手段として機能し、弁軸74に対して固定可能なストッパプレート152を設け、前記ストッパプレート152によって保持スプリング112をプランジャー90との間に簡便に介装させることができるため、従来技術に係る排気ガス再循環バルブで接続手段として用いられていたナットが不要となると共に、バルブステムに対して前記ナットを螺合させるためのねじ加工を行う必要もない。さらに、ナットをシャフトに螺合させる際、前記シャフトを支持するための治具が挿入される治具穴も不要となる。そのため、排気ガス再循環バルブ150における接続手段の部品点数及び加工工程を削減することが可能となり、製造コストの削減を図ることができると共に、組み付け作業を簡便に行うことが可能となるため、その組付性を向上させることができる。
【0079】
また、第1の実施の形態に係る排気ガス再循環バルブ50の接続手段と比較し、ストッパプレート152が保持スプリング112の端部を保持可能なスプリングホルダを兼ね備えているため、部品点数の削減を図ることができると共に、組付工数の削減を図ることができる。
【0080】
さらに、ストッパプレート152の第2爪部162によってスペーサ122の端部を保持する構成としているため、前記スペーサ122、保持スプリング112、プランジャー90に寸法ばらつきが生じた場合でも、本体部154に対して第2爪部162が弾発作用下に傾動することによって弁軸74の軸線方向(矢印A、B方向)に沿ったばらつきを好適に吸収し、前記ストッパプレート152からなる接続手段によって前記プランジャー90を確実に保持することができる。その結果、プランジャー90を介して弁部108を含む弁軸74を円滑且つ高精度に変位させることが可能となる。換言すれば、第2爪部162の弾発力によって弁軸74の軸線方向に沿った寸法ばらつきを好適に吸収することができる。
【0081】
なお、本発明に係る接続手段は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0082】
50、150…排気ガス再循環バルブ 52…弁ボディ
54…ケーシング 56…コイル
58…ソレノイド部 60…弁機構部
62…入口ポート 64…出口ポート
70…弁座部 74…弁軸
90…プランジャー 102…フランジ部
108…弁部 110…リターンスプリング
112…保持スプリング 116…小径部
118…第1スプリングホルダ 120…第2スプリングホルダ
122…スペーサ 124…凹溝
126、152…ストッパプレート 132…爪部
134…脚部 136…第3スプリングホルダ
160…第1爪部 162…第2爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と、該軸体に挿通される挿通部材とを接続する接続手段であって、
前記接続手段は、前記挿通部材との間に設けられた付勢部材により該軸体の軸方向に付勢され、該軸方向に突出して前記軸体の凹部に係合される爪部を有することを特徴とする接続手段。
【請求項2】
請求項1記載の接続手段において、
前記接続手段は、前記爪部とは反対側となる方向に向かって突出し、スプリングからなる前記付勢部材の付勢力を受ける保持部を有し、
前記保持部は、前記付勢力を発生させる前記スプリングの端部を保持するスプリングホルダを保持することを特徴とする接続手段。
【請求項3】
請求項2記載の接続手段において、
前記保持部が、前記スプリングホルダに対して螺旋状に巻回されたスプリングの直径上又は前記直径に対して内周側に当接することを特徴とする接続手段。
【請求項4】
請求項1記載の接続手段であって、
前記爪部と、
前記付勢力を発生させるスプリングの端部を保持するベース部と、
該ベース部に対して前記爪部とは反対側に向かって突出した他の爪部と、
を備え、
前記爪部が前記凹部に係合されると共に、前記他の爪部が前記軸体に挿通されたガイド体の端部に当接することを特徴とする接続手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−237447(P2012−237447A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145396(P2012−145396)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2008−92394(P2008−92394)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】