説明

携帯ナビゲーション端末およびプログラム

【課題】 移動速度に対応して適切な地図を選択して表示する携帯ナビゲーション端末において、地図停止操作を行うことにより表示部に表示されている地図に固定することができる携帯ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 携帯ナビゲーション端末10を、その移動速度を検出する速度検出手段104と、速度検出手段で検出した移動速度に応じて異なる種類の地図デ―タを前記情報配信サーバに要求し、取得する地図データ要求/取得部105と、移動中の任意の時点で前記表示手段に表示する地図の種類の変更を停止するための地図停止ボタンを有する操作部とから構成する。マニュアルスクロール手段164およびズームインボタン162、ズームアウトボタン163が地図停止ボタンの機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯ナビゲーション端末およびプログラムに関するものであり、特に、携帯ナビゲーション端末が高速で移動中に、現在位置を含む詳細地図にズームイン(拡大)操作が行われた場合に、自動スクロール機能を停止して前記の現在位置を含む詳細地図を表示する状態に固定できるようにした携帯ナビゲーション端末およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、見知らぬ土地において目的地となる場所を訪れる場合、地図帳等を頼りに当該地図に描かれた道路やランドマーク及び住所を確認しながら到達していた。また、カーナビゲーションシステム(以後単にカーナビと言う)を搭載した自動車においては、該カーナビを起動して目的地を入力することによりナビゲーションシステムからモニター画面に表示される案内や音声出力される案内(ナビゲーション情報)を得ながら目的地に到達していた。
【0003】
上記カーナビは、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)を利用したものであり、地球上を飛行している複数のGPS衛星から送信されるGPS信号をGPSアンテナで受信し、該GPS信号に含まれる衛星位置や衛星と受信機間の距離情報及び時計情報等を解析して位置の特定化を行うものである。該複数のGPS衛星の個数は少なくとも4個以上必要である。GPSの単独測位精度は一般的に10m強であるが、DGPS(Differential GPS:ディファレンシャルGPS)を採用することにより5m以下に向上する。
【0004】
近年、携帯電話、PHS等の携帯通信端末機器の性能は飛躍的に向上し、また、多機能化が進んでいる。特に通話機能の他にデータ通信機能が強化され、ユーザに対してインターネットを介した種々のデータ通信サービスが提供されている。ナビゲーションサービスもその1つであり、自動車の運転者のみならず携帯電話ユーザに対して現在位置から目的地までの経路案内を提供する試みがなされ始めている。
【0005】
例えば、下記の特許文献1(特開2003−28662号公報)には、GPS機能付き携帯電話によるナビゲーションシステムが開示されている。このナビゲーションシステムは、GPS受信部とGPS制御部及びGPSアンテナを携帯電話に内蔵したGPS機能付き携帯電話にて複数のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信する手段と、該複数のGPS信号に含まれる衛星位置や衛星受信機間距離情報及び時計情報等を解析して得られた位置情報と当該GPS機能付き携帯電話の電話番号及び探索情報等のデータをパケット送信する手段と、該データを受信して当該GPS機能付き携帯電話及び目的地の位置を検出し適正尺度の地図情報やルート情報及び距離等の地図データを当該GPS機能付き携帯電話に送信することができる手段を有した地図サービスセンターを配設して構成したものである。
【0006】
また、本出願人は既に下記特許文献2(特開2003−214860号公報)に携帯電話を端末として用いたナビゲーションシステムを開示した。このナビゲーションシステムは、図10に示すように、移動体通信網2に接続される携帯端末(携帯電話)1とデータ通信サービスセンター(情報配信コンピュータシステム)3とから構成され、携帯端末1はデータ通信サービスセンター3と接続して所望のデータ通信サービスを受けるものである。携帯端末1が携帯電話、PHSである場合には移動体通信網2を経由して移動体通信基地局、電話回線網を通して所望の相手方(固定電話、携帯電話、PHSなど)と通話することができる。データ通信サービスセンター3は以下により携帯端末1の要求に応じて経路のナビゲーションサービスを行うように構成されている。
【0007】
すなわち、携帯端末1から出発地と目的地の位置情報を含む経路探索要求が発せられると、データ通信サービスセンター3の情報配信コンピュータシステムは、蓄積手段に蓄積された道路データを用いて出発地から目的地までを結ぶ最適経路を探索し、探索した経路データを案内経路データとして蓄積手段に一時記憶する。携帯端末1から、位置座標と案内経路を指定した表示地図情報が要求されると、データ通信サービスセンター3の情報配信コンピュータシステムは、蓄積手段から指定された位置座標周辺のベクトル形式の地図表示用の地図データと、指定された案内経路データを読み出し、案内経路データを特定色で道路を描画するためのベクトルデータに変え、地図データに組み込んだ後、要求元の携帯端末1宛に送信するものである。
【0008】
携帯端末1には、図示されていないが、移動に伴って現在位置を測位するためのGPS受信機が備えられており、所定の周期でGPS測位を行っている。携帯端末1は、GPS測位の結果表示地図情報に不足が生じるとデータ通信サービスセンター3の情報配信コンピュータシステムに表示地図情報の要求を出す。また、データ通信サービスセンター3の情報配信コンピュータシステムには蓄積手段が設けられており、道路データ(地図データ)や地図上の各所の建物等のランドマーク、交差点名、道路名などのデータが蓄積されている。これらのデータはインターネット網4を介して地図の配信を行う情報配信コンピュータシステム5、6等から最新のデータを取得してメンテナンスされる。
【0009】
ナビゲーションシステムやカーナビにおいて表示する地図情報には、広域をカバーする地図情報から市街地など小さな領域の詳細情報をカバーする地図情報があり、例えば、自動車で高速に移動しながら携帯ナビゲーション装置を利用する場合は広域をカバーする地図情報を使用し、徒歩で移動しながら携帯ナビゲーション装置を利用する場合は市街地など小さな領域の詳細情報をカバーする地図情報を使用するようになされるのが一般的である。広域をカバーする地図情報は鉄道、幹線道路、主要な建物などの情報から構成され、市街地をカバーする地図情報は広域地図の情報に加えて、カバーする範囲内の細かな道路、交差点、店舗などの情報が加えられ構成されている。これらの内容が異なる複数の地図情報を地図の階層(レイヤ)と称しており、状況に応じて複数の地図から適切な地図を選択して利用するように構成されている。
【0010】
従って、ナビゲーション装置の利用状況にあった地図情報が自動的に選択できると便利である。このような要求を満たすため、例えば、下記の特許文献3(特開2002−5670号公報)に開示された移動体用ナビゲーション装置がある。この移動体用ナビゲーション装置は、地図センターに、複数の縮尺の地図情報を蓄積管理する地図情報記憶手段と、地図情報記憶手段より必要な地図情報を抽出する地図情報検索手段とを設け、ナビゲーション装置は、移動速度検出手段及び現在位置検出手段により検出した移動速度及び現在位置情報を地図センターに送信するものである。そして地図センターは、ナビゲーション装置より受信した現在位置情報と移動速度とから、対応する縮尺の地図情報を地図情報検索手段にて地図情報記憶手段より抽出し、ナビゲーション装置に送信し、ナビゲーション装置は、地図センターより受信した地図情報を現在位置と共にモニターに表示するように構成したものである。
【0011】
また、上記特許文献3のようにナビゲーション装置と地図センターによる通信型のナビゲーションシステムではないが、速度に応じて対応する道路データに基づく地図を表示する車載用ナビゲーション装置が下記の特許文献4(特許第2782760号公報)に開示されている。このナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、車両の走行速度を検出する速度検出手段と、位置検出手段により検出された現在位置により自車位置マークが表示の中心となるように道路地図をスクロール表示する地図表示手段を備えたものである。そして、スクロール表示に必要とされる情報量が所定量以上の場合に、速度検出手段で検出される走行速度が所定の速度域であれば、その速度域に対応した道路データに基づいた地図を表示するものであり、道路データは速度域に応じて別々に保存するようにしたナビゲーション装置である。
【0012】
更に、下記の特許文献5(特開平10−222062号公報)には、移動体の移動速度に対応した縮尺で周辺の地図を表示する移動体用ナビゲーション装置が開示されている。このナビゲーション装置は、位置検出手段、速度検出手段、移動速度に対応した地図の縮尺を選択する選択手段、地図データ記憶手段、演算処理手段、表示手段等から構成されている。そして、選択手段は、速度検出手段が検出した自移動体の移動速度に対応した地図の縮尺を選択し、演算処理手段は、地図データ記憶手段から読出した地図データを基に、選択手段が選択した縮尺で、位置検出手段が検出した移動体位置周辺の地図画面の表示データを作成し、表示手段に該地図を表示するようにしたナビゲーション装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−28662号公報(図1)
【特許文献2】特開2003−214860号公報(図1)
【特許文献3】特開2002−5670号公報(図1)
【特許文献4】特許第2782760号公報(第1図)
【特許文献5】特開平10−222062号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記特許文献2に開示されているような携帯電話をナビゲーション端末として使用し、データ通信サービスセンターから地図、経路案内の配信を受ける通信型のナビゲーションシステムにあっては、その利用態様は様々である。すなわち、利用者が携帯電話(携帯ナビゲーション端末)を所持し、電車や徒歩で目的地までの経路案内を受ける場合、利用者が自動車で移動しながら目的地までの経路案内を受ける場合、あるいは、利用者が新幹線等の高速移動手段に乗車した状態で地図データの配信を受ける場合等、利用方法は状況に応じて様々に変わることが想定される。
【0015】
一般的なナビゲーション装置には、地図の拡大・縮小表示を行う機能(ズーム機能)と表示された地図をスクロールする機能とを有している。また、これらの機能が、自動的に作動するオートモードと、ユーザの操作により作動するマニュアルモードとを選択することにより、これらの機能を、自動、または、マニュアルで操作することができるように構成した装置も提案されている。オートスクロールでは、ナビゲーション装置の現在位置が表示画面の中央になるように表示地図がスクロール制御され、マニュアルスクロールでは操作部から指示された方向とスクロール量に基づいて表示地図をスクロール制御する。またオートズームではナビゲーション装置の移動速度に応じた適切な大きさの地図が選択され、マニュアルズームでは、操作部から指示されたズーム量に基づいて表示地図が選択される。
【0016】
従って、情報配信サーバから地図情報の配信を受ける通信型のナビゲーションシステムにあっては、ズーム機能とスクロール機能の作動により、ナビゲーション装置の移動速度および/または現在位置によって新たに表示地図のデータが必要になった場合には情報配信サーバから該当する地図データの配信を受け、地図表示を行うことが必要になる。
【0017】
先に述べたように、携帯ナビゲーション端末の移動速度が速い場合には、広域の地図を用い、徒歩など移動速度が遅い場合には市街地の地図を用いて経路や携帯ナビゲーション端末の現在地を表示することが好ましい。そこで、上記特許文献3ないし特許文献5に開示されているナビゲーション装置のように、ナビゲーション装置の移動速度に対応して適切な地図を選択して表示できる構成であると便利である。
これらの特許文献に開示されたナビゲーション装置のように移動速度に対応して使用する地図を自動的に切換える構成をとる場合、次のような不都合が生じる。すなわち、高速で移動する新幹線などに乗車中にある地域にさしかかり、その場所に興味を引く建物やイベント案内があることに気づき、当該場所を含む地図を携帯ナビゲーション端末に表示させたいという場合も生じる。ところが、上記特許文献3ないし5に開示されたナビゲーション装置においては、移動速度に対応して表示される地図が自動的に切換えられ、またナビゲーション機能により、表示される地図は移動に伴って変化していく現在地に追従して切換えられていくため、既に通過したある地点の地図を表示装置に表示し続けることができないという不都合が生じる。
【0018】
また、通信型のナビゲーション装置においては、情報配信サーバと携帯ナビゲーション端末との間で地図情報や経路データ等のパケット通信が生じる。従って、携帯ナビゲーション端末が高速で移動している場合には、現在位置の移動に伴い、情報配信サーバから携帯ナビゲーション端末に送信する地図の単位時間当たりの送信量が増大する。特に、高速移動中に地図の拡大表示を要求した際には、新規な地図のダウンロードに続いて、すぐにスクロールのための地図のダウンロードが生じるため、通信負荷が増大するという問題がある。従って、ユーザ数が多いと情報配信サーバ側の処理が追いつかなくなるという問題点を生じる。
【0019】
本願の発明者等は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、現在位置情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバから地図情報、経路情報を受信して地図および経路を表示手段に表示する携帯ナビゲーション端末において、携帯ナビゲーション端末の操作に応じて、当該操作時点で表示している地図を固定するようになせば、上記の問題点を解消できることに着目して本発明を完成するに至ったものである。
また、地図情報をベクター形式で作成することにより、携帯ナビゲーション端末側で各階層の地図情報から所定の拡縮率で拡縮処理してズームイン、ズームアウト操作に対応するようになせば通信負荷の問題を解消できることに着目して本発明を完成するに至ったものである。
【0020】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解決することを課題とし、移動速度に対応して適切な地図を選択して表示する携帯ナジゲーション端末において、地図停止操作を行うことにより当該操作が行われた地点の近傍において表示部に表示されていた地図に固定することができる携帯ナビゲーション装置および地図表示方法ならびにプログラムを提供することを第1の目的とする。また、情報配信サーバと携帯ナビケーション端末との間の通信負荷を軽減することができる携帯ナビゲーション装置および地図表示方法ならびにプログラムを提供することを第2の目的とする。
【0021】
ここで、本発明における地図の固定(停止)とは、「携帯ナビゲーション端末の現在位置を含む所定の緯度、経度で区分されたメッシュを範囲とする地図データの配信を受け、表示手段に表示している状態から、携帯ナビゲーション端末の現在位置とは関係なく地図停止操作が行われた時点で表示手段に表示されていた地図、またはその地図のメッシュの範囲内での拡大地図もしくは縮小地図を表示し、携帯ナビゲーション端末の現在位置が変わっても現在位置を含む新たな地図データに変更しない」ということを意味し、また、「オートまたはマニュアルスクロールの処理によって新たな地図データの配信要求が生じないようにする(配信を受けた地図のメッシュを超えるスクロールの停止)」制御を含むものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
GPSシステムから得た現在位置情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバから地図情報、経路情報を受信して地図および経路を表示手段に表示する携帯ナビゲーション端末において、
携帯ナビゲーション端末は、その移動速度を検出する速度検出手段と、
速度検出手段で検出した移動速度に応じて異なる種別の地図データを前記情報配信サーバに要求し、取得する地図データ要求/取得部と、
移動中の任意の時点で前記表示手段に表示する地図の種別の変更を停止するための地図停止ボタンを有する操作部と、
地図停止ボタンの操作に応じて前記表示手段に表示されている地図の種別を切換える処理を禁止する地図変更禁止手段と、を備え、
前記地図停止ボタンが操作された場合、地図変更禁止手段により、前記速度検出手段で検出する速度に対応した地図に切換える処理を禁止し、移動速度にかかわらず前記表示手段に表示中の地図を他の種別の地図に切換えることなく表示を継続することを特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項2にかかる発明は、
速度検出手段と、地図データ要求/取得部と、を備え、GPSシステムから得た現在位置情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバから地図情報、経路情報を受信して地図および経路を表示手段に表示する携帯ナビゲーション端末を構成するコンピュータに、
携帯ナビゲーション端末の移動速度を検出する速度検出手段としての処理と、
速度検出手段で検出した移動速度に応じて異なる種別の地図データを前記情報配信サーバに要求し、取得する地図データ要求/取得部としての処理と、
地図停止ボタンが操作された場合、前記速度検出手段で検出する速度にかかわらず、前記表示手段に表示されている地図の種別を切換える処理を禁止する処理と、
を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0024】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1の携帯ナビゲーション端末において、前記携帯ナビゲーション端末は、GPS受信機と速度検出手段とを備え、前記速度検出手段は、GPSシステムから取得した2地点間における携帯ナビゲーション端末の平均移動速度から前記移動速度を検出することを特徴とする。
【0025】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1の携帯ナビゲーション端末において、前記携帯ナビゲーション端末は、加速度センサと速度検出手段とを備え、前記速度検出手段は加速度センサの出力を積分して前記移動速度を検出することを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1にかかる発明においては、移動速度に応じて適切な地図(広域図〜市街地図の何れか)を自動的に切換えて表示する携帯ナビゲーション端末において、移動中のある地点において地図停止操作を行うことにより地図変更動作を禁止してその時点で表示している地図を停止させることができるため、高速移動中に特定の地点についての詳細地図を観察することができるようになる。
【0027】
また、請求項2にかかる発明においては、携帯ナビゲーション端末を構成するコンピュータに、移動中のある地点において地図停止操作を行うことにより地図変更動作を禁止してその時点で表示している地図を停止させる処理を実行させるプログラムを提供することができ、高速移動中に特定の地点についての詳細地図を観察することができる携帯ナビゲーション端末を提供することができるようになる。
【0028】
また、請求項3にかかる発明においては、GPS受信機を用いて2地点間の平均移動速度から携帯ナビゲーション端末の移動速度を算出することができるようになる。また、請求項4にかかる発明においては、携帯ナビゲーション端末が加速度センサを備え、加速度センサの出力を積分して携帯ナビゲーション端末の移動速度を検出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施態様にかかる携帯ナビゲーション端末の構成を示すブロック図である。
【図2】地図の種別と移動速度範囲の対応関係を記憶した地図データ管理テーブルの構成を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施態様にかかる携帯ナビゲーション端末の構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施態様における地図データ管理テーブルの構成とオートズーム、オートスクロール設定記憶部の構成を示す図である。
【図5】携帯ナビゲーション端末10の操作部の外観を示す図である。
【図6】携帯ナビゲーション端末10の操作部の外観を示す図である。
【図7】表示モード制御の手順を示すフローチャートである。
【図8】地図描画の手順を示すフローチャートである。
【図9】地図選択の手順を示すフローチャートである。
【図10】従来の携帯電話をナビゲーション端末として用いた携帯ナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施態様にかかる携帯ナビゲーション端末の構成を示すブロック図である。図2は、地図の種別と移動速度範囲の対応関係を記憶した地図データ管理テーブルの構成を示す図である。図3は、本発明の第2の実施態様にかかる携帯ナビゲーション端末の構成を示すブロック図である。図4は、第2の実施態様における地図データ管理テーブルの構成とオートズーム、オートスクロール設定記憶部の構成を示す図である。図5は、携帯ナビゲーション端末10の操作部の外観を示す図、図6は表示手段に表示される地図の1例を示す図である。図7は、携帯ナビゲーション端末における表示モード制御の手順を示すフローチャート、図8は、地図描画の手順を示すフローチャート、図9は、地図選択の手順を示すフローチャートである。
【実施例1】
【0031】
本発明の実施例1にかかる携帯ナビゲーション端末10は、GPS衛星14からGPS信号を受信するGPS受信部102とインターネット網12を介して情報配信サーバ20と通信するための通信部101を備えている。なお、携帯ナビゲーション端末10は具体的には携帯電話で構成され、通信部101はインターネット網12を介したパケット通信の他、携帯電話基地局との無線通信も行うように構成されている。携帯ナビゲーション端末10は、マイクロコンピュータ等から構成され各部の動作を制御する主制御部107を備えており、GPS受信部102によってGPS衛星信号を受信し、これに基づいて現在位置算出手段103で現在位置を算出する。現在位置算出手段103で算出された携帯ナビゲーション端末の現在位置情報は通信部101を介して情報配信サーバ20に送られる。また、携帯ナビゲーション端末10は操作部16を有しており、操作部16を操作して出発地、目的地の情報を入力して経路案内(ナビゲーション)要求を情報配信サーバ20に送るように構成されている。
【0032】
情報配信サーバ20は、地図データ配信部22、地図データ記憶部24、経路探索部26を備えており、携帯ナビゲーション端末10から送信される出発地、目的地と現在位置の情報に基づいて、経路探索部26において出発地から目的地までの経路探索を行い、現在位置を含む地図データを地図データ記憶部24から読出し、経路探索部26により探索した案内経路データを地図データに埋込み、地図データ配信部20により携帯ナビゲーション端末10に配信する。携帯ナビゲーション端末10は、情報配信サーバ20から配信された地図データ(経路案内データを含む)を通信部101、地図データ要求/取得部105を介して受信し、地図データ記憶部106に記憶する。表示制御部111は、地図データ記憶部106に記憶された地図データを読出し、表示手段112に地図を表示する制御を行う。
【0033】
携帯ナビゲーション端末10は、速度検出手段104を備えており、当該携帯ナビゲーション端末10の移動速度を検出する。携帯ナビゲーション端末10の移動速度は、例えば、GPSシステムから取得した2地点間における当該携帯ナビゲーション端末10の平均移動速度を求めて検出することができ、あるいは、携帯ナビゲーション端末10に加速度センサを設け、該加速度センサの出力を積分することによって検出することができる。速度検出手段104で検出した移動速度は地図データ要求/取得部105に送られ、地図データ要求/取得部105は、移動速度に対応した地図データの取得を情報配信サーバ20に要求する。移動速度と情報配信サーバ20に要求する地図の対応付けは、例えば、速度範囲と地図データ種別(広域地図〜市街地図)とをテーブル化した図2に示す地図データ管理テーブルによって容易に行える。
【0034】
図2は、地図の種別と移動速度範囲の対応関係を記憶した地図データ管理テーブルの構成を示す図であり、この地図データ管理テーブルは、広域図1〜市街地図1の4階層の地図データについて、携帯ナビゲーション端末10の移動速度がどの速度範囲にあるときに対応する地図データがどの種別の地図データとなるかを記憶したものである。図2に示す地図データ管理テーブルの場合、携帯ナビゲーション端末10の移動速度が時速100km以上の場合には広域図1を選択し、時速60km以上、100km以下の場合には中域図1を選択し、時速20km以上、60km以下の場合には詳細図1を選択し、時速20km以下の場合には市街地図1を選択するように対応付けられている。従って、地図データ要求/取得部105は、移動速度に基づいて地図データ管理テーブルを参照して対応する地図データ種別を決定し、情報配信サーバに地図データ種別を送信すればよい。
【0035】
操作部16には、表示手段112に表示される地図をズーム(拡大、縮小)するためのオートズーム手段108と地図を自動的にスクロールして現在位置を表示画面の中央に維持するためのオートスクロール手段109とを有効にするオートボタン161、オートボタン161の操作に基づく指示を無効とし、移動速度にかかわらず表示手段に表示されている地図を停止させるとともに、マニュアル(手動)でズームイン(拡大)、ズームアウト(縮小)するためのズームインボタン162、ズームアウトボタン163、マニュアルスクロール(手動)に切換えるためのマニュアルスクロール手段164(上下左右の矢印キー)が設けられている。
【0036】
これらのボタン、キーは、表示手段112に表示された地図を操作するためのものであり、例えば、オートボタン161が操作されると、オートズーム手段108、オートスクロール手段109が有効にされ、携帯ナビゲーション端末の移動速度に応じた地図が選択され表示手段112に表示されるとともに、携帯ナビゲーション端末の現在位置が表示手段112の画面中央に位置するように地図が自動的にスクロール表示される。ズームインボタン162およびズームアウトボタン163は、表示手段112に表示されている地図を拡大または縮小して表示するためのマニュアル操作ボタンである。また、参照符号164で示す上下左右キーは、マニュアルスクロール操作の機能を持ち、このキーが操作されると表示手段112に表示されている地図は操作されたキーに応じた方向にスクロールされる。
【0037】
また、この上下左右キー(マニュアルスクロール手段164)、および、ズームインボタン162、ズームアウトボタン163等は、同時に地図停止ボタンの機能を持ち、上下左右キーの何れかが操作された場合、携帯ナビゲーション端末の移動速度にかかわらず、速度に応じた地図への切換えは地図変更禁止手段110によって禁止される。また、ズームインボタン162またはズームアウトボタン163が操作されると、オートズーム手段108、オートスクロール手段109が無効とされ、地図変更禁止手段110が作動して、携帯ナビゲーション端末10の現在位置とは関係なく地図停止操作が行われた時点で表示手段112に表示されていた地図、またはその地図のメッシュの範囲内での拡大地図もしくは縮小地図を表示し、携帯ナビゲーション端末の現在位置が変わっても現在位置を含む新たな地図データに変更しないよう制御し、また、オートまたはマニュアルスクロールの処理によって新たな地図データの配信要求が生じないように制御する。
【0038】
利用者が新幹線等の高速移動手段に乗車中に携帯ナビゲーション端末10を使用しオートボタン161を操作して情報配信サーバ20から現在位置の地図データ、経路データの配信を受けて、表示手段112に地図を表示しており、移動途中の車窓に興味を引かれる建物などを発見しその地点の地図データをズームインして詳細に地図を観察したいという場合に、ズームインボタン162、ズームアウトボタン163あるいはマニュアルスクロールボタン164等の地図停止ボタンを操作すると、地図変更禁止手段110が作動し、表示手段112に表示中の地図の変更が禁止される。従って、利用者は、移動している状態で、移動途中の位置における地図データを固定して表示手段112に表示して観察することができるようになる。
【0039】
情報配信サーバ20の地図データ記憶部24に記憶される地図データは、ベクター形式で作成されている。一般に地図データは、ビットマップ形式で作成される場合とベクター形式で作成される場合がある。地図データの内容が同一であり、単に当該地図を縮小、拡大する場合、ビットマップ形式で作成された地図データは、所望の縮小率、拡大率で縮小、拡大したビットマップデータを予め作成しておく必要がある。このため、各階層の地図データの他に、縮小、拡大した地図データを予め作成しておくことになる。これに対して、ベクター形式で作成された地図データは、地図を構成する各要素ベクターの大きさを所望の長さを縮小率、拡大率で演算することによって容易に拡縮処理することができ、ある階層の地図データに基づいて異なる縮小率、拡大率に拡縮した地図データを得ることができる。
【0040】
従って、図2の地図データ管理テーブルに示すように、情報配信サーバ20には広域図1、中域図1、詳細図1、市街地図1のように地図データが持つ情報量が異なる、すなわち、種類の異なる4階層(A〜D)の地図データを保存しておき、階層が異なる地図データが必要になった時点で情報配信サーバ20から携帯ナビゲーション端末10に地図データを配信すればよい。そして、携帯ナビゲーション端末10側で、配信された地図データから所定の比率で縮小、拡大演算を行うことによって容易に拡大、縮小した地図データを生成することができる。すなわち、ある階層の地図データから所定の比率で拡大、縮小した地図データを容易に作成できる。例えば、階層Aの広域図1の地図データから所定の比率で拡大した広域図2、広域図3という地図データを作成することができる。他の階層の地図データについても同様である。これによって、情報配信サーバ20と携帯ナビゲーション端末10との間の地図データの通信負荷を軽減することができるようになる。この具体例については、後述の実施例2において詳細に説明する。
【実施例2】
【0041】
図3は、本発明の第2の実施態様にかかる携帯ナビゲーション端末の構成を示すブロック図である。図4は、第2の実施態様における地図データ管理テーブルの構成とオートズーム、オートスクロール設定記憶部の構成を示す図である。図3においては、図1の構成要素と同一の構成要素には図1と同一の参照符号を付してある。図3に示すように、第2の実施態様にかかる携帯ナビゲーション端末10、情報配信サーバ20は、基本的には図1に示す第1の実施態様と同様に構成されている。携帯ナビゲーション端末10において、通信部101、GPS受信部102、現在位置算出手段103、速度検出手段104、地図データ要求/取得部105、地図データ記憶部106、オートズーム手段108、オートスクロール手段109、地図変更禁止手段110、表示制御部111、表示手段112の各部は、それぞれ図1と同様の機能を有している。また、情報配信サーバ20において、地図データ配信部22、地図データ記憶部24、経路探索部26もそれぞれ図1と同様の機能を有している。
【0042】
図3に示す携帯ナビゲーション端末10および情報配信サーバ20において、図1と相違する点は、地図データ拡縮処理手段115が設けられている点、図4に示す地図データ管理テーブル114の構成において、地図の種類が増加している点、地図と移動速度との対応にヒステリシスを持たせた点、各地図に対してオートズーム表示を行うか否かを設定するオートズーム設定記憶部44とオートスクロール表示を行うか否か設定するオートスクロール設定記憶部46を有する点が異なり、また、操作部16の操作ボタン、操作キーが一部異なることである。
【0043】
図4には、図2と同様の地図データ管理テーブルの構成が示されている。情報配信サーバ20の地図データ記憶部24に記憶される地図データはベクター形式で作成された地図データであり、A〜Dの4階層(レイヤ)、すなわち、広域図〜市街地図のそれぞれ異なる情報から構成される地図データである。例えば、地図データ記憶部24には、広域図1、中域図1、詳細図1、市街地図1の4地図データのみが記憶されている。他の広域図2〜市街地図2、詳細図3、市街地図3は、携帯ナビゲーション端末10の地図データ拡縮処理手段115(図3参照)によって、広域図1〜市街地図1の地図データ(ベクターデータ)から所定の拡縮率で拡縮処理して作成するものである。従って、情報配信サーバ20と携帯ナビゲーション端末10との間の地図データの通信は、階層の異なる地図が必要になった時だけに行えばよくなり、通信負荷を軽減することができる。
【0044】
広域図1〜市街地図3までの各地図種別に対して、携帯ナビゲーション端末10の移動速度との対応がオートズーム要因移動速度の欄に設定されている。例えば、広域図1は時速200km以上に設定されている。この設定に従って移動速度に応じて地図を切換えた場合、切換えの域値前後で移動速度が増加または減少を繰り返した時に、表示される地図の切換えが頻繁に生じ観察しづらいものになり、また、通信負荷の増大をもたらす。例えば、時速100kmでは中域図1を表示しているが、時速101kmになると広域図2に切換えられる。この時、情報配信サーバからは広域図1の地図データか携帯ナビゲーション端末10に配信され、この地図データから広域図2の地図データを作成する。時速が99kmに減少すると中域図1に切換えられるが、この時に情報配信サーバからは中域図1の地図データか携帯ナビゲーション端末10に配信される。従って時速100kmの前後で移動速度が頻繁に変化した場合、その都度地図が切換えられ、地図データの通信が必要になる場合が生じる。
【0045】
このため、図4の地図データ管理テーブルには、ヒステリシス設定欄42に示すように1つの地図に対して移動速度が増加方向で切換える際の域値と、移動速度が減少方向で切換える際域値を異ならせて設定している。例えば、詳細図1と中域図2についてみると、移動速度が増加方向の場合は、時速100kmを超えると詳細図1から中域図2に切換え、時速120kmを超えると中域図2から中域図1に切換え、移動速度が減少方向の場合には、時速80kmを下回ると中域図2から詳細図1に切換え、時速60kmを下回ると詳細図1から詳細図2に切換えるように設定されている。
【0046】
また、この地図データ管理テーブル114には、各地図毎にオートズーム手段108におけるオートズーム処理の対象とするか否かを設定するオートズーム設定記憶部(オートズーム設定記憶手段)44、オートスクロール手段109におけるオートスクロール処理の対象とするか否かを設定するオートスクロール設定記憶部(オートスクロール設定記憶手段)46が設けられており、利用者が操作部16のズーム/スクロール設定手段166から設定することができる。従って利用者は、オートズーム、オートスクロールにおいてズーム処理、スクロール処理の対象とする地図を任意に設定することができる。
【0047】
例えば、図4のオートズーム設定記憶部44には中域図1、詳細図1、詳細図3、市街地図2をオートズーム処理の対象とする設定がされており、オートズームの処理は設定された地図データを対象に行われる。同様にオートスクロール設定記憶部46には広域図1〜市街地図1をオートスクロール処理の対象とする設定がされており、オートスクロール処理は設定された地図を対象に行われる。このオートスクロール設定は携帯ナビケーション端末10が移動中に地図を停止する際にも利用される。この動作の詳細については後述する。
【0048】
操作部16には、表示手段112に表示されている地図を、マニュアル(手動)でズームイン(拡大)、ズームアウト(縮小)するためのマニュアルズーム手段であるズームインボタン162、ズームアウトボタン163が設けられている。ズームインボタン162、ズームアウトボタン163の操作により、オートズーム手段108が停止し、移動速度にかかわらず表示手段112に表示されている地図が停止し、その後は、ズームインボタン162、ズームアウトボタン163の操作により手動で地図を拡大、縮小していくことができる。
【0049】
また、ズームインボタン162、ズームアウトボタン163と同様に、移動速度にかかわらず、表示手段112に表示されている地図に停止させる機能と、マニュアルスクロール(手動)に切換える機能を有するマニュアルスクロール手段164(上下左右の矢印キー)が設けられている。更に、オートスクロール動作に戻すためのクリアボタン165が設けられている。ズーム/スクロール設定手段166は、地図毎にオートズーム表示の対象とするか否かを、また、地図毎にオートスクロール表示の対象とするか否かを設定するための操作部である。
【0050】
ズームインボタン162またはズームアウトボタン163(マニュアルズーム手段)が操作された場合、オートズーム手段108は無効にされ、ボタンが操作される毎に1段階縮小または拡大された地図に切換えて表示手段112に表示が行われる。これ以上縮小あるいは拡大地図がない場合にもう一度ズームインボタン162またはズームアウトボタン163が操作された場合にはオートズーム手段108が有効に戻るように構成されている。
【0051】
ズームインボタン162またはズームアウトボタン163が操作されていない状態で、マニュアルスクロール手段164が操作された場合、オートスクロール手段109、オートズーム手段108はいずれも無効とされ、地図変更禁止手段110が有効となり、マニュアルスクロール手段164が操作された時点に表示手段112に表示されている地図が固定される。以後はマニュアルスクロール手段164の操作によりスクロールが可能であるが新たなエリアの地図データを必要とするスクロール処理は地図変更禁止手段110により禁止される。
【0052】
例えば、新幹線で高速移動中に移動速度に応じた地図(広域図1)が表示手段112に表示されており、移動に伴ってオートズーム手段により移動先の広域図1に自動的に切換え表示がなされている状態で、ある地点の建物等に興味を引かれ、地図を停止して詳細図あるいは市街地図に拡大して観察したいという場合には、ズームインボタン162、ズームアウトボタン163あるいはマニュアルスクロール手段164を操作し、その時点で表示されていた広域図1で一旦地図を停止し、その後ズームイン手段162を操作して中域図、詳細図、市街地図に表示を切換えていけばよい。
【0053】
この状態から復帰する場合は、マニュアルスクロール手段164が操作されていない状態でクリアボタン165を操作することによりオートスクロール手段109が有効な状態に復帰する。
【0054】
図5は携帯ナビゲーション端末10(携帯電話)の操作部16の外観を示す図である。図5にはマニュアルでズームインするためのボタンであるズームインボタン162(マニュアルズーム手段)およびズームアウトボタン163(マニュアルズーム手段)がボタン群の上側左右に設けられ、また上部中央にマニュアルスクロールボタン164(上下左右キー)が設けられている。ズームインボタン162、ズームアウトボタン163、マニュアルスクロールボタン164は先に述べたように、地図を停止するための地図停止ボタンとしての機能を有している。図6は、携帯ナビゲーション端末10の表示画面に表示された地図の1例を示す図である。図に示すように、表示画面には市街地図が表示され、また、経路案内(ナビゲーション)が表示され、ズームインボタン、ズームアウトボタンの各ボタンが下方、左右に設定されていることが表示されている。この操作部の基本構成、表示画面の構成は、図1、図2の実施態様1においても同様の構成とすることができる。必要に応じて種々の変形、変更が可能である。
【0055】
次に、図3、図4で説明した本発明の第2の実施態様にかかる携帯ナビゲーション端末10における地図表示の制御手順について詳細に説明する。図7は、携帯ナビゲーション端末10における表示モード制御の手順を示すフローチャートである。表示モード制御においては、先ずステップS101でズームインボタン162あるいはズームアウトボタン163が操作されてマニュアルズームの制御モードになっているかをチェックする。ズームインボタン162が操作されていれば、表示手段122に表示されている地図が市街地図3であるかをステップS102でチェックする。市街地図3でなければステップS105において、表示する地図を1段階拡大する。例えば、表示中の地図が詳細図3の場合、市街地図1に拡大する。この場合、階層の異なる地図データとなるため情報配信サーバ20から該当する地図データの配信を受ける。
【0056】
ステップS102のチェックで表示中の地図が市街地図3である場合はこれ以上拡大した地図は用意されていないため、マニュアルズーム操作を終了してステップS108においてオートズーム手段108、オートスクロール手段109を有効(ON)にしてオートズーム、オートスクロールの表示モードに戻る。
【0057】
前記のステップS101におけるチェックで、ズームアウトボタン163が操作されている場合は、表示手段122に表示されている地図が広域図1であるかをステップS103でチェックする。広域図1でなければステップS106において、表示する地図を1段階縮小する。例えば、表示中の地図が詳細図1の場合、中域図1に縮小する。この場合、階層の異なる地図データとなるため情報配信サーバ20から該当する地図データの配信を受ける。そしてステップS109において、オートズーム処理手段108を無効(OFF)にしてステップS112でオートスクロール設定記憶部46の設定をチェックする。中域図1の場合、オートスクロール設定は「有効」(図4参照)であるから処理を終了してリターンする。「有効」の設定がされていない場合は,ステップS114においてオートスクロール処理手段109を無効(OFF)にして処理を終了し、リターンする。
【0058】
一方、ステップS103のチェックで表示中の地図が広域図1である場合はこれ以上縮小した地図は用意されていないため、ステップS107でクリアボタン165が操作されているかをチェックし、クリアボタン165が操作されていなければ、処理を終了してリターンする。クリアボタン165が操作されていれば、ステップS110でオートスクロール手段109を有効(ON)にして処理を終了してリターンする。
【0059】
上記のステップS101のチェックでズームインボタン162、ズームアウトボタン163の何れもが操作されていない場合、ステップS104でマニュアルスクロールボタン164が操作された場合には、ステップS111でオートズーム手段108およびオートスクロール手段109が無効(OFF)にされ、地図変更禁止手段110が作動して地図か停止し、ステップS113で手動スクロール処理を行うことができるようになる。
【0060】
ここで、図4のオートスクロール設定記憶部46の「有効」「無効」の設定の意味について述べる。この設定は、マニュアルスクロール手段164(上下左右キー)には一切触れずに、ズームインボタン162だけを操作して行ったときに、どこでオートスクロール手段109を停止するかを意味するものであり、オートスクロール設定記憶部46に「無効」と設定されている地図まで拡大していったときにオートスクロール手段109が無効(OFF)になる(ステップS114)。すなわち、本発明にかかる携帯ナビゲーション端末10においては、マニュアルスクロール手段164(上下左右キー)をちょっと押して
地図を止めてから、ズームインボタン162を操作して地図を拡大していくことも可能であり、また、操作に不慣れな人でも、ズームインボタン162だけの操作で、オートスクロール手段109を無効にして地図を停止させることができる。
【0061】
次に、本発明の第2の実施態様にかかる携帯ナビゲーション端末10における地図描画の処理手順について説明する。図8は、図3、図4に示す携帯ナビゲーション端末10の地図描画手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS201でオートズーム手段108が有効か否か(ONかOFFか)、すなわち、オートズーム処理中か否かが判定される。オートズーム手段108が有効(ON)である場合、ステップS202で携帯ナビゲーション端末10の移動速度から対応する地図が選択されステップS203に進む。移動速度と地図データの対応は図4の地図データ管理テーブルで説明したとおりであり、また、移動速度に対応した地図選択の詳細は、図9に示すフローチャートを用いて後に詳細に説明する。オートズーム手段108が無効(OFF)である場合はステップS203に進む。
【0062】
次に、ステップS203でオートスクロール処理手段109が有効か否か(ONかOFFか)、すなわち、オートスクロール処理中か否かが判定される。オートスクロール手段109が有効(ON)である場合、ステップS204で携帯ナビゲーション端末10の現在位置情報に基づいて現在位置を表示画面の中央に位置するように、表示手段122に描画する地図のエリアを決定してステップS206に進む。オートスクロール手段109が無効(OFF)である場合、ステップS205で携帯ナビゲーション端末10の操作部16のマニュアルスクロールボタン164の操作で指定されている指定位置(任意にマニュアルスクロールボタン164で移動させた地点)に基づいて表示手段122に描画する地図のエリアを決定してステップS206に進む。
【0063】
ステップS206では、携帯ナビゲーション端末10の地図データ記憶部106に前記ステップS202で決定した地図データが記憶されているかを判断する。地図データ記憶部106に該当する地図データがなければ、ステップS207で携帯ナビゲーション端末10は情報配信サーバ20に該当する地図データを要求して取得する。地図データ記憶部106に該当する地図データがあればステップS204またはステップS205で決定した描画エリアに従ってステップS208で表示手段112に地図を表示(描画)し、リターン(1回の処理を終了)する。
【0064】
次に、本発明の第2の実施態様にかかる携帯ナビゲーション端末10における地図選択の処理手順について説明する。図9は、図3、図4に示す携帯ナビゲーション端末10の地図選択手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS301で携帯ナビゲーション端末10の速度検出手段104によって移動速度を検出する。またステップS301においては、現在選択されている地図の選択情報を退避する。退避先は主制御部107のRAM等の一時記憶装置(図示せず)であってよい。次いで、ステップS302において携帯ナビゲーション端末10の移動速度が、現在選択されている地図に対する上限速度を超えているかを調べる。例えば、現在選択されている地図が市街地図2であった時に、携帯ナビゲーション端末10の移動速度が時速15km以上の速度であれば、ステップS303に進み、1段階縮小地図である市街地図1を仮選択する。
【0065】
そして、仮選択した市街地図1についてステップS304でオートズームの対象であるかをチェックする。このチェックは、図4に示すオートズーム設定記憶手段の設定を参照することによって行われる。図4に示す例では、市街地図1はオートズームの対象として設定されていないため判定はNOとなり、ステップS302に戻って再度移動速度を調べる。移動速度が時速25km以上の速度であれば、ステップS303で詳細図3が仮選択され、詳細図3はオートズーム対象に設定されているため判定はOKとなり、ステップS305で地図が決定(選択)される。
【0066】
ステップS302において携帯ナビゲーション端末10の移動速度が上限速度を超えていない場合には、ステップS306に進み、下限速度以下であるかを調べる。下限速度をチェックする処理のステップS306から地図決定の処理のステップS309までの処理は、上限速度をチェックする処理のステップS302から地図決定の処理のステップS305における処理の手順と同様である。
【0067】
ステップS306で移動速度が下限速度を下回っていない場合は、ステップS310に進み、退避してあった地図選択情報を復元してその地図を選択する。すなわち、この場合は地図が切換わらない場合となる。また、携帯ナビゲーション端末10の移動速度に対応する地図にオートズーム設定がなされていない場合も同様に、ステップS310に飛び、退避してあった地図選択情報を復元してその地図を選択することになる。
【0068】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかる携帯ナビゲーション端末によれば、移動速度に応じて適切な地図(広域図〜市街地図の何れか)を自動的に切換えて表示する携帯ナビゲーション端末において、移動中のある地点において地図停止操作を行うことにより地図変更動作を禁止してその時点で表示している地図を停止させることができるため、高速移動中に特定の地点についての詳細地図を観察することができるようになる。
【符号の説明】
【0069】
10・・・携帯ナビゲーション端末
12・・・インターネット網
14・・・GPS衛星
20・・・情報配信サーバ
16・・・操作部
161・・オートボタン
162・・ズームインボタン(マニュアルズーム手段)
163・・ズームアウトボタン(マニュアルズーム手段)
164・・マニュアルスクロール手段
101・・通信部
102・・GPS受信部
103・・現在位置算出手段
104・・速度検出手段
105・・地図データ要求/取得部
106・・地図データ記憶部
107・・主制御部
108・・オートズーム手段
109・・オートスクロール手段
110・・地図変更禁止手段
111・・表示制御部
112・・表示手段
22・・・地図データ配信部
24・・・地図データ記憶部
26・・・経路探索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPSシステムから得た現在位置情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバから地図情報、経路情報を受信して地図および経路を表示手段に表示する携帯ナビゲーション端末において、
携帯ナビゲーション端末は、その移動速度を検出する速度検出手段と、
速度検出手段で検出した移動速度に応じて異なる種別の地図データを前記情報配信サーバに要求し、取得する地図データ要求/取得部と、
移動中の任意の時点で前記表示手段に表示する地図の種別の変更を停止するための地図停止ボタンを有する操作部と、
地図停止ボタンの操作に応じて前記表示手段に表示されている地図の種別を切換える処理を禁止する地図変更禁止手段と、を備え、
前記地図停止ボタンが操作された場合、地図変更禁止手段により、前記速度検出手段で検出する速度に対応した地図に切換える処理を禁止し、移動速度にかかわらず前記表示手段に表示中の地図を他の種別の地図に切換えることなく表示を継続することを特徴とする携帯ナビゲーション端末。
【請求項2】
速度検出手段と、地図データ要求/取得部と、を備え、GPSシステムから得た現在位置情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバから地図情報、経路情報を受信して地図および経路を表示手段に表示する携帯ナビゲーション端末を構成するコンピュータに、
携帯ナビゲーション端末の移動速度を検出する速度検出手段としての処理と、
速度検出手段で検出した移動速度に応じて異なる種別の地図データを前記情報配信サーバに要求し、取得する地図データ要求/取得部としての処理と、
地図停止ボタンが操作された場合、前記速度検出手段で検出する速度にかかわらず、前記表示手段に表示されている地図の種別を切換える処理を禁止する処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項3】
前記携帯ナビゲーション端末は、GPS受信機と速度検出手段とを備え、前記速度検出手段は、GPSシステムから取得した2地点間における携帯ナビゲーション端末の平均移動速度から前記移動速度を検出することを特徴とする請求項1に記載の携帯ナビゲーション端末。
【請求項4】
前記携帯ナビゲーション端末は、加速度センサと速度検出手段とを備え、前記速度検出手段は加速度センサの出力を積分して前記移動速度を検出することを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の携帯ナビゲーション端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−288807(P2009−288807A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206129(P2009−206129)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【分割の表示】特願2004−139125(P2004−139125)の分割
【原出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】