説明

携帯型電子機器

【課題】携帯型電子機器において、ユーザが他の携帯型電子機器に自己の状況や場所等を知らせることができ、かつ、他の携帯型電子機器から非常用の情報を受信して表示する。
【解決手段】ユーザが、操作部15を操作し、非常用信号発光モードを選択すると、制御部17は、非常用信号格納メモリ16に格納されている「SOS」、「怪我をしています」、「動けません」、及び「山岳頂上」などの状況や場所を示す信号をLCD14に出力する。ユーザは、LCD14に出力されたものの中から発光したい信号を選択する。制御部17は、ユーザが選択したものに対応する信号を非常用信号格納メモリ16から読み取り、読み取った信号を用いてスポット光発生装置12を発光する。また、制御部17は、受光装置13を用いて非常用の光信号の受光を行い、この光信号の内容を非常用信号格納メモリ16を参照してLCD14に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポット光発生装置付き携帯電話、及び撮像装置等の携帯型電子機器に関し、特に非常用の光信号の発光、及び受光に関する。
【背景技術】
【0002】
遭難等の非常時に、遭難者は、自己の状況や場所等の情報を早急に救急隊員等に知らせることが必要である。近年、携帯電話の普及に伴い、遭難者が、携帯電話を用いて救急隊員等に知らせることも考えられる。しかし、携帯電話による通話が、未だ不能である地域が多数存在することが現状である。すなわち、遭難者は、自己の場所や状況等の情報を救急隊員等に知らせることが困難な場合があるという問題がある。また、遭難者は、救助隊員等からの情報を受け取ることができない。
【0003】
上記問題に対して、特許文献1は、水中撮像などの最中に、携帯型電子機器を手放すと、携帯型電子機器本体が、放置された状態であることを検出し、警告信号を発するものである。しかし、この文献には、携帯型電子機器の所有者の状況や場所等を知らせる概念は示されていない。また、特許文献2は、携帯電話システムと携帯電話端末を用いて、遭難者の特定と、遭難者の正確な場所の特定を行うものである。しかし、携帯電話の電波が届かない場合、この発明を用いることができない。
【0004】
また、特許文献3は、非常ボタンを押すとフラッシュライトが点灯し、フラッシュライトを防犯機能として利用する携帯電話である。しかし、この文献には、携帯電話の所有者の場所や状況等を知らせる概念は示されていない。そのため、上記特許文献1乃至3に記載された発明では、上記問題を解決できない。
【特許文献1】実開平5−52835号公報
【特許文献2】特開2002―314634号公報
【特許文献3】特開2003−219062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、遭難時等の非常時に、他の携帯型電子機器に、自己の状況や場所等の情報を送信することができ、かつ、他の携帯型電子機器から送信された上記の情報を受信して表示することができる携帯型電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、夜間や屋内を明るく照らし出すためのスポット光を発光するスポット光発生装置と、各種のメッセージ等を表示するための表示手段と、操作用のボタン等を有する操作手段と、前記スポット光発生装置によるスポット光の発光等を制御する制御手段とを備えた携帯型電子機器において、非常用の光信号を受光する受光手段と、所定の状況や場所を示す信号が格納された非常用信号格納メモリとをさらに備え、前記操作手段は、非常用の光信号の発光を行う非常用信号発光モードと、非常用の光信号の受光を行う非常用信号受光モードとの切り換えに用いることができ、ユーザが前記操作手段を操作して、前記非常用信号発光モードの選択と、前記非常用信号格納メモリに記録されている所定の状況や場所の選択を行なうと、前記制御手段は、前記スポット光発生装置がユーザにより選択された所定の状況や場所を示す信号を発光するように制御し、また、ユーザが前記操作手段を操作し、前記非常用信号受光モードを選択すると、前記制御手段は、前記受光手段が非常用の光信号を受光し、受光した非常用の光信号の内容を前記表示部に表示するように制御するものである。
【0007】
請求項2の発明は、夜間や屋内で撮像を行う際に、ストロボ光を発光するストロボ装置と、撮像した画像や各種のメッセージ等を表示するための表示手段と、操作用のボタン等を有する操作手段と、前記ストロボ装置によるストロボ光の発光等を制御する制御手段とを備えた携帯型電子機器において、非常用の光信号を受光する受光手段と、所定の状況や場所を示す信号が格納された非常用信号格納メモリとをさらに備え、前記操作手段は、非常用の光信号の発光を行う非常用信号発光モードと、非常用の光信号の受光を行う非常用信号受光モードとの切り換えに用いることができ、ユーザが前記操作手段を操作して、前記非常用信号発光モードの選択と、前記非常用信号格納メモリに記録されている所定の状況や場所の選択を行なうと、前記制御手段は、前記ストロボ装置がユーザにより選択された所定の状況や場所を示す信号を発光するように制御し、また、ユーザが前記操作手段を操作し、前記非常用信号受光モードを選択すると、前記制御手段は、前記受光手段が非常用の光信号を受光し、受光した非常用の光信号の内容を前記表示部に表示するように制御するものである。
【0008】
請求項3の発明は、夜間や屋内で撮影を行う際に、スポット光又はストロボ光を発光する発光手段と、撮像した画像や各種のメッセージ等を表示するための表示手段と、前記発光手段によるスポット光又はストロボ光の発光等を制御する制御手段とを備えた携帯型電子機器において、非常用の光信号を受光する受光手段をさらに備え、前記制御手段は、前記発光手段が、非常時に、非常用の光信号を発光するように制御し、また、前記受光手段が、非常用の光信号を受光すると、受光した非常用の光信号の内容を前記表示部に表示するように制御するものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の携帯型電子機器において、所定の状況や場所を示す信号が格納された緊急信号格納メモリをさらに備え、前記制御手段は、前記発光手段が、前記非常用信号格納メモリに格納された信号を発光するように制御するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザが携帯型電子機器を用いて、遭難時等の非常時に、所定の状況や場所等を示す光信号を発光することができる。また、受光手段が、他の携帯型電子機器から非常用の光信号を受光すると、受光した非常用の光信号の内容を表示部に表示するので、ユーザは、受光した非常用の光信号の内容を知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る折りたたみ式携帯電話(以下、携帯電話と略す:請求項における携帯型電子機器)の閉じた状態の前面を示す。
【0012】
携帯電話1は、被写体を撮像するための撮像ユニット11と、夜間や屋内を明るく照らし出すためのスポット光を発光するスポット光発生装置12(発光手段)と、各種のメッセージ等を表示するためのLCD14(表示手段)と、スポット光発生装置12等を操作するための操作部15(操作手段)と、電波を受信するためのアンテナ18と、装置各部を制御する制御部17(制御手段)と、非常用の光信号を受光する受光装置13(受光手段)と、「SOS」等の状況や「山岳地帯」等の場所などを示す信号が格納された非常用信号格納メモリ16とを備えている。
【0013】
携帯電話1は、非常用の光信号の発光を行う非常用信号発光モードと、非常用の光信号の受光を行う非常用信号受光モードとを有している。ユーザは、操作部15を操作することにより、制御部17による制御を、非常用信号発光モード又は非常用信号受光モードに切り換えることができる。非常用信号格納メモリ16に格納されている信号は、「SOS」という状況を示す場合、「・・・―――・・・」(トントントンツーツーツートントントン)のようにモールス信号に相当するものである。なお、非常用信号格納メモリ16に格納される信号は、これに限られず、光信号を発光する側と受光する側の双方が理解できるものであればよく、例えば、双方の取り決めにより独自に定めたものであってもよい。
【0014】
携帯電話1は、通常、ユーザに持ち運ばれ、ユーザが外出先で電話を掛けるために用いられるものである。しかし、ユーザが、例えば山岳で遭難した等の非常時の場合、ユーザは、必ずしも携帯電話1の通話機能を用いることができないことがある。しかし、ユーザは、携帯電話1を使用して、非常用の信号を発光することができるため、ユーザの状況や場所等を示すことができる。以下、携帯電話1における非常用信号発光処理について説明する。
【0015】
ユーザが、操作部15を操作し、非常用信号発光モードを選択すると、制御部17は、非常用信号格納メモリ16に格納されている「SOS」、「怪我をしています」、「動けません」、及び「山岳頂上」などの状況や場所を示す信号をLCD14に出力する。ユーザは、LCD14に出力されたものの中から発光したい信号を選択する。制御部17は、ユーザが選択したものに対応する信号を非常用信号格納メモリ16から読み取り、読み取った信号を用いてスポット光発生装置12を発光する。そして、ユーザが、操作部15を操作し、非常用信号発光の停止を選択すると、制御部17は、非常用信号発光処理を終了する。
【0016】
また、携帯電話1は、受光装置13を用いて非常用の光信号を受光することができる。以下、非常用信号受光処理について説明する。ユーザが、操作部15を操作し、非常用信号受光モードを選択すると、制御部17は、受光装置13を用いて非常用の光信号の受光を行う。制御部17は、受光装置13が非常用の光信号を受光すると、受光した非常用の光信号の内容を非常用信号格納メモリ16を参照してLCD14に表示する。ユーザが、操作部15を操作し、非常用信号受光の停止を選択すると、制御部17は、非常用信号受光処理を終了する。
【0017】
上記のように、第1の実施形態による携帯電話1によれば、ユーザは、携帯電話1を用いて、状況や場所等を示す光信号を送信することができる。また、受光装置13が、非常用の光信号を受光すると、受光した非常用の光信号の内容をLCD14に表示するので、ユーザは、非常用の光信号の内容を知ることができる。
【0018】
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。第2の実施形態は、本発明を撮像装置に適用したものである。図2(a)(b)は、第2の実施形態に係る撮像装置(携帯型電子機器)の前面と背面を示し、図3は、同撮像装置の内部構成を示す。この撮像装置2は、被写体を撮像するための撮像ユニット23と、夜間や屋内で撮像を行うことができるようにストロボ光を発光するストロボ装置21(発光手段)と、撮像した画像や各種のメッセージ等を表示するためのLCD24(表示手段)と、操作用のボタン等を有する操作部25(操作手段)と、ストロボ装置21によるストロボ光の発光等を制御する制御部26(制御手段)と、非常用の光信号を受光する受光装置22(受光手段)と、「SOS」等の状況や「山岳地帯」等の場所などを示す信号が格納された非常用信号格納メモリ27とを備えている。
【0019】
撮像装置2は、図1に示した携帯電話1と同様に、非常用の光信号の発光を行う非常用信号発光モードと、非常用の光信号の受光を行う非常用信号受光モードとを有している。ユーザは、操作部25を操作することにより、制御部26による制御を、非常用信号発光モード又は非常用信号受光モードに切り換えることができる。非常用信号格納メモリ27に格納されている信号は、「SOS」という状況を示す場合、「・・・―――・・・」(トントントンツーツーツートントントン)のようにモールス信号に相当するものである。なお、非常用信号格納メモリ27に格納される信号は、これに限られず、光信号を発光する側と受光する側の双方が理解できるものであればよく、例えば、双方の取り決めにより独自に定めたものであってもよい。
【0020】
撮像装置2は、通常、ユーザに持ち運ばれる。撮像装置2は、被写体を撮影するために用いられるものである。しかし、ユーザが、撮像装置2を携帯している場合、例えば山岳で遭難した等の非常時の場合、ユーザは、撮像装置2を使用して、ユーザの状況や場所等を示す非常用の信号を発光することができる。以下、撮像装置2における非常用信号発光処理について図4を参照して説明する。
【0021】
ユーザが、操作部25を操作し、非常用信号発光モードを選択すると(S1)、制御部26は、非常用信号格納メモリ8に格納されている「SOS」、「怪我をしています」、「動けません」、及び「山岳頂上」などの状況や場所を示す信号をLCD24に出力する(S2)。ユーザは、LCD23に出力されたものの中から発光したい信号を選択する(S3)。
【0022】
制御部26は、S3の処理でユーザが選択したものに対応する信号を非常用信号格納メモリ27から読み取り、読み取った信号を用いてストロボ装置21を発光する(S4)。ユーザが、操作部25を操作し、非常用信号発光の停止を選択すると(S5)、制御部26は、非常用信号発光処理を終了する。
【0023】
また、撮像装置2は、受光装置22を用いて非常用の光信号を受光することができる。以下、非常用信号受光処理について図5を参照して説明する。
【0024】
ユーザが、操作部25を操作し、非常用信号受光モードを選択すると(S11)、制御部26は、受光装置22を用いて非常用の光信号の受光を行う(S12)。制御部26は、受光装置22が非常用の光信号を受光すると、受光した非常用の光信号の内容を非常用信号格納メモリ27を参照してLCD24に表示する(S13)。ユーザが、操作部25を操作し、非常用信号受光の停止を選択すると(S14)、制御部26は、非常用信号受光処理を終了する。
【0025】
上記のように、第2の実施形態による撮像装置2によれば、ユーザは、撮像装置2を用いて、状況や場所等を示す光信号を送信することができる。また、受光装置22が、非常用の光信号を受光すると、受光した非常用の光信号の内容をLCD24に表示するので、ユーザは、非常用の光信号の内容を知ることができる。
【0026】
なお、上記第2の実施形態では、本発明を静止画を撮像する撮像装置2に適用した場合の例を示したが、これに限られず、スポット光源を備えた動画を撮像する装置に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話の前面図。
【図2】(a)と(b)とは、本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の正面図と背面図。
【図3】上記撮像装置の内部構成を示すブロック図。
【図4】上記撮像装置における非常用信号発光処理のフローチャート。
【図5】上記撮像装置における非常用信号受光処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0028】
1 携帯電話(携帯型電子機器)
2 撮像装置(携帯型電子機器)
11 撮像ユニット
12 スポット光発生装置(発光手段)
13 受光装置(受光手段)
14 LCD(表示手段)
15 操作部(操作手段)
16 非常用信号格納メモリ
17 制御部(制御手段)
21 ストロボ装置(発光手段)
22 受光装置(受光手段)
23 撮像ユニット
24 LCD(表示手段)
25 操作部(操作手段)
26 制御部(制御手段)
27 非常用信号格納メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
夜間や屋内を明るく照らし出すためのスポット光を発光するスポット光発生装置と、
各種のメッセージ等を表示するための表示手段と、
操作用のボタン等を有する操作手段と、
前記スポット光発生装置によるスポット光の発光等を制御する制御手段とを備えた携帯型電子機器において、
非常用の光信号を受光する受光手段と、
所定の状況や場所を示す信号が格納された非常用信号格納メモリとをさらに備え、
前記操作手段は、非常用の光信号の発光を行う非常用信号発光モードと、非常用の光信号の受光を行う非常用信号受光モードとの切り換えに用いることができ、
ユーザが前記操作手段を操作して、前記非常用信号発光モードの選択と、前記非常用信号格納メモリに記録されている所定の状況や場所の選択を行なうと、前記制御手段は、前記スポット光発生装置がユーザにより選択された所定の状況や場所を示す信号を発光するように制御し、また、ユーザが前記操作手段を操作し、前記非常用信号受光モードを選択すると、前記制御手段は、前記受光手段が非常用の光信号を受光し、受光した非常用の光信号の内容を前記表示部に表示するように制御することを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
夜間や屋内で撮像を行う際に、ストロボ光を発光するストロボ装置と、
撮像した画像や各種のメッセージ等を表示するための表示手段と、
操作用のボタン等を有する操作手段と、
前記ストロボ装置によるストロボ光の発光等を制御する制御手段とを備えた携帯型電子機器において、
非常用の光信号を受光する受光手段と、
所定の状況や場所を示す信号が格納された非常用信号格納メモリとをさらに備え、
前記操作手段は、非常用の光信号の発光を行う非常用信号発光モードと、非常用の光信号の受光を行う非常用信号受光モードとの切り換えに用いることができ、
ユーザが前記操作手段を操作して、前記非常用信号発光モードの選択と、前記非常用信号格納メモリに記録されている所定の状況や場所の選択を行なうと、前記制御手段は、前記ストロボ装置がユーザにより選択された所定の状況や場所を示す信号を発光するように制御し、また、ユーザが前記操作手段を操作し、前記非常用信号受光モードを選択すると、前記制御手段は、前記受光手段が非常用の光信号を受光し、受光した非常用の光信号の内容を前記表示部に表示するように制御することを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項3】
夜間や屋内で撮影を行う際に、スポット光又はストロボ光を発光する発光手段と、
撮像した画像や各種のメッセージ等を表示するための表示手段と、
前記発光手段によるスポット光又はストロボ光の発光等を制御する制御手段とを備えた携帯型電子機器において、
非常用の光信号を受光する受光手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記発光手段が、非常時に、非常用の光信号を発光するように制御し、また、前記受光手段が、非常用の光信号を受光すると、受光した非常用の光信号の内容を前記表示部に表示するように制御することを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項4】
所定の状況や場所を示す信号が格納された緊急信号格納メモリをさらに備え、
前記制御手段は、前記発光手段が、前記非常用信号格納メモリに格納された信号を発光するように制御することを特徴とする請求項3に記載の携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−213259(P2007−213259A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31608(P2006−31608)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】