説明

携帯電話

【課題】複数の電子部品を一括被覆する樹脂部にシールド性が得られるとともに、基板に対する電子部品の実装強度を確保できる基板構造および電子機器を提供する。
【解決手段】基板構造10は、基板11と、基板11に沿って実装された複数の電子部品12と、各電子部品12を樹脂18により被覆するとともに基板11に密着する樹脂部13とを備える。この基板構造10は、各電子部品12を囲うとともに基板11に密着する枠体15と、枠体15の開口16を閉鎖する蓋部17とを備え、樹脂18が枠体15の内部に充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に沿って複数の電子部品を実装し、各電子部品を樹脂部で被覆するとともに樹脂部を基板に密着させた基板構造と、その基板構造を用いた携帯電話等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板に実装された電子部品を防水処理するために、電子部品を樹脂部により被覆する基板構造が広く知られている。
この基板構造に用いられる樹脂は、例えば熱可塑性樹脂やゲル状のシリコーン樹脂等が多用される。これらの樹脂は、固化後の弾性率が比較的低いことが知られている。
従って、このような基板構造は、落下試験等の衝撃に固化した後の樹脂が耐えられず、基板に対する電子部品の実装強度の確保が難しいという不都合がある。
【0003】
一方、側面部および上面部を備えた補強フレームによりマザーボードに実装されたICパッケージを覆い、補強フレーム内に樹脂を充填するICパッケージの補強構造が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1によれば、補強フレーム内における必要な個所に最小限の樹脂を注入するだけで、補強フレームとICパッケージとをマザーボードに対して強固に固定できるとされている。
【特許文献1】特許第3241669号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、基板に実装される電子部品としては、電気的なシールド性が求められる電子部品が知られている。
ところが、前述した特許文献1は、補強フレームに複数の切欠きが設けられているため、充分なシールド性が得られないという問題がある。
【0006】
さらに、前述した特許文献1は、補強フレームの切欠きから内部に樹脂が充填されるが、補強フレームが障害となるため、電子部品に対してアンダーフィル程度の補強しか行えず、基板に対する電子部品の実装強度が不充分となる虞がある。
【0007】
本発明は、上述した従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の電子部品を一括被覆する樹脂部にシールド性が得られるとともに、基板に対する電子部品の実装強度を確保できる基板構造および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基板構造は、基板と、前記基板に実装された複数の電子部品と、前記各電子部品を樹脂により被覆するとともに前記基板に接する樹脂部とを備える基板構造であって、前記各電子部品を囲うとともに前記基板に実装される枠体と、前記枠体の開口を閉鎖する蓋部とを備え、前記樹脂が前記枠体の内部に充填されていることを特徴とする。
【0009】
枠体の開口を閉鎖する蓋部を備えることで、枠体および蓋部で枠体の内部を密閉空間とする。そして、枠体の内部に樹脂を充填する。
これにより、基板に対する電子部品の実装強度を従来に比較して向上できる。
さらに、例えば枠体と蓋部とを金属性にしたり、シールド性が得られるような金属フィラーを樹脂に添加することで、複数の電子部品を被覆する樹脂部にシールド性が得られる。
【0010】
また、本発明の基板構造は、前記蓋部の周部にリブが設けられているとともに、前記リブと前記枠体とが重複していることを特徴とする。
【0011】
蓋部の周部にリブを設け、リブと枠体とを重複させることで、蓋部と枠体との隙間を抑えることが可能になり、確実なシールド性が得られる。
【0012】
さらに、本発明の基板構造は、基板と、前記基板に実装された複数の電子部品と、前記各電子部品を樹脂により被覆するとともに前記基板に接する樹脂部とを備える基板構造であって、前記各電子部品を囲うとともに前記基板に実装される枠体と、前記枠体の開口を閉鎖する蓋部とを備え、前記樹脂に誘電性フィラーが含まれるとともに、前記樹脂が前記枠体の内部に充填されていることを特徴とする。
【0013】
樹脂に誘電性フィラーあるいは金属フィラーを添加し、この樹脂を枠体の内部に充填することで、複数の電子部品を被覆する樹脂部にシールド性が得られる。
【0014】
また、本発明の基板構造は、基板と、前記基板に実装された複数の電子部品と、前記各電子部品を樹脂により被覆するとともに前記基板に接する樹脂部とを備える基板構造であって、前記各電子部品を囲うとともに前記基板に実装される枠体と、前記枠体の開口を閉鎖する蓋部とを備え、前記樹脂が前記枠体の内部に充填されているとともに、前記樹脂の表面に配線が設けられていることを特徴とする。
【0015】
樹脂を枠体の内部に充填するとともに、樹脂の表面に蓋体として配線を設けた。これにより、枠体の開口に配線を臨ませることが可能になり、配線で複数の電子部品に対するシールド性を確保できる。
さらに、蓋部として配線を用いることで、蓋部の厚さ寸法を薄くでき、基板構造の薄型化が図れる。
【0016】
また、本発明の電子機器は、前述した基板構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、枠体および蓋部で枠体の内部を密閉空間とし、枠体の内部に樹脂を充填することで、複数の電子部品を一括被覆する樹脂部にシールド性が得られるとともに、基板に対する電子部品の実装強度を確保できるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る基板構造について、図面を参照して説明する。
図1、図2に示すように、第1実施形態の基板構造10は、基板11と、基板11に沿って実装された複数の電子部品12と、各電子部品12を樹脂により被覆するとともに基板11に密着する樹脂部13とを備え、携帯電話等の電子機器の筐体に収容される。
樹脂部13は、各電子部品12を囲うとともに基板11に密着する枠体15と、枠体15の開口16を閉鎖する蓋部17とを備え、樹脂18が枠体15の内部に充填されている。
【0019】
枠体15は、外枠21が略矩形状に形成され、外枠21の下部が基板11に密着され、上部が開口されている。外枠21の内部には、第1、第2の仕切枠体22,23が設けられている。第1、第2の仕切枠体22,23は、それぞれの下部が基板11に密着されている。
【0020】
外枠21の上部、および第1、第2の仕切枠体22,23の上部は、面一になるように、それぞれの高さが決められている。
第1仕切枠体22の上部には、第1仕切枠体22の両側の空間を連通する第1連通溝24が形成されている。第2仕切枠体23の上部には、第2仕切枠体23の両側の空間を連通する第2連通溝25が形成されている。
【0021】
枠体15の開口16は蓋部17で閉鎖されている。蓋部17は、外枠21の上部より一回り大きく形成された略矩形状のプレートである。
蓋体15は、角部27に切欠き28が形成されている。この蓋部17で枠体15の開口16を閉鎖した際に、切欠き28と外枠21とで連通孔29を形成する。また、第1連通溝24と蓋体15とで第1連通孔を形成する。さらに、第2連通溝25と蓋体15とで第2連通孔を形成する。
これにより、枠体15の内部が連通孔29を経て枠体15の外部と連通する。
【0022】
枠体15の内部には、樹脂18が充填されている。具体的には、樹脂18のうち、殆どの樹脂18Aが外枠21の内部に充填され、残りの少量の樹脂18Bが外枠21の外部に沿って設けられる。
【0023】
第1実施形態の基板構造10によれば、枠体15の開口16を閉鎖する蓋部17を備えることで、枠体15および蓋部17で枠体15の内部を密閉空間とする。そして、枠体15の内部に樹脂18を充填する。
これにより、基板11に対する複数の電子部品12の実装強度を従来に比較して向上できる。
【0024】
さらに、例えば枠体15と蓋部17とを金属性にしたり、シールド性が得られるような金属フィラーを樹脂18に添加することで、複数の電子部品12を被覆する樹脂18にシールド性が得られる。
【0025】
つぎに、第1実施形態の基板構造10を製造する工程を図3〜図4に基づいて説明する。
図3に示すように、基板11に複数の電子部品12を実装し、樹脂部13のうち、枠体15および蓋部17を設ける。
この状態で、金型30、すなわち上型31、下型32間に配置する。上型31と蓋部17との間に離型フィルム33を配置する。
【0026】
離型フィルム33は、ロール状に巻き付けたものを巻き戻した状態で、上型31と蓋部17との間に配置される。
配置した離型フィルム33を、上型31の成形面31Aに真空吸着し、この状態で金型30を型締めする。
【0027】
図4に示すように、図1に示す樹脂18用の溶融樹脂を、上型31のゲート31Bから連通孔29を経て外枠21の内部、および外枠21の外側に射出する。
溶融樹脂が凝固することにより、樹脂18を得る。
溶融樹脂が凝固した後、金型30を型開きする。
これにより、基板構造10の製造工程が完了する。
【0028】
以下、第2〜第7実施形態を図5〜図22に基づいて説明する。なお、第2〜第7実施形態において、第1実施形態の基板構造10と同一類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0029】
第2実施形態
図5に示す第2実施形態の基板構造40は、第1実施形態の樹脂18を樹脂41に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の基板構造10と同様である。
樹脂41は、フィラー42を添加した樹脂を射出形成したもので、枠体15の内部に充填されている。
フィラー42は、一例としてシリカフィラー(SiO)が用いられ、粒径としては、例えば平均8μm以上、または最大40μm以下のものを用いることが好ましい。
【0030】
また、樹脂41にフィラー42として金属フィラー、一例としてフェライト粒子を添加した場合、枠体15の内部に充填することで、複数の電子部品12を被覆する樹脂41にシールド性が得られる。
特に、樹脂41を射出成形の際に、フィラー42が自重で沈降する。よって、フィラー42が電子部品12の周辺に集まり、高濃度のシールド層が形成される。
さらに、第2実施形態の基板構造40によれば、第1実施形態の基板構造10と同様の効果が得られる。
【0031】
第2実施形態の変形例
第2実施形態の基板構造40では、フィラー42を自重で沈降させる例について説明したが、樹脂41を射出成形の際に、遠心力を作用させることで、フィラー42が電子部品12の周辺に集めることも可能である。
遠心力を利用することで、フィラー42を、時間をかけないで効率よく電子部品12の周辺に集めることが可能になり、より一層高濃度のシールド層が得られるとともに、生産性の向上が図れる。
【0032】
第3実施形態
図6〜図7に示す第3実施形態の基板構造50は、第1実施形態の蓋部17を蓋部51に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の基板構造10と同様である。
蓋部51は、複数の注入口52が形成されている。複数の注入口52は、外枠21の内部(すなわち、枠体15の内部)に連通している。
これにより、枠体15の内部が複数の注入口52を経て枠体15の外部と連通する。
【0033】
つぎに、第3実施形態の基板構造50を製造する工程を図8〜図11に基づいて説明する。
図8に示すように、基板11に複数の電子部品12を実装し、樹脂部13のうち、枠体15および蓋部51を設ける。この状態で、蓋部51の上方から、図6に示す樹脂18用の溶融樹脂53を供給して、蓋部51の注入口52から枠体15の内部に注入する。
枠体15の内部に溶融樹脂53が完全に充填する前に、溶融樹脂53の注入を停止する。すなわち、枠体15の内部への注入量が、図8に示す状態で、溶融樹脂の注入を停止する。
図9に示すように、蓋部51の上部に溶融樹脂53を盛り上げる。
【0034】
この状態で、図10に示すように、金型55、すなわち上型56、下型57間に配置する。上型56と溶融樹脂53との間に離型フィルム33を配置する。
配置した離型フィルム33を、上型56の成形面56Aに真空吸着し、この状態で金型55を型締めする。
【0035】
図11に示すように、金型55を型締めすることで、蓋部51の上部に盛り上げた溶融樹脂53を、複数の注入口52から枠体15の内部へ注入する。枠体15の内部に溶融樹脂53が充填される。
溶融樹脂53が凝固することにより、樹脂18を得る。溶融樹脂が凝固した後、金型55を型開きする。
これにより、基板構造50の製造工程が完了する。
【0036】
第3実施形態の基板構造50によれば、蓋部51に盛り上げた溶融樹脂53を、金型55を型締めすることで枠体15の内部に注入するので、枠体15の内部に溶融樹脂53を注入する際に、枠体15の上部から蓋部51が浮き上がることを確実に防いで、枠体15と蓋部51との接触性を一層良好に確保できる。
さらに、第3実施形態の基板構造50によれば、第1実施形態の基板構造10と同様の効果が得られる。
【0037】
第4実施形態
図12(A)〜(C)に示す第4実施形態の基板構造60は、第3実施形態の基板構造50の製造方法を変えて、枠体15に蓋部51を設ける前に、枠体15の内部に溶融樹脂53を注入したもので、構成は第3実施形態の基板構造50と同様である。
【0038】
第4実施形態の基板構造60を製造する工程を図12(A)〜(C)に基づいて説明する。
図12(A)に示すように、基板11に複数の電子部品12を実装し、樹脂部13の枠体15を設ける。この状態で、枠体15の上方から、図6に示す樹脂18用の溶融樹脂53を供給して枠体15の内部に注入する。
枠体15の内部に溶融樹脂53を完全に充填する前に、溶融樹脂53の注入を停止する。すなわち、枠体15の内部への注入量が、図12(A)に示す状態で、溶融樹脂53の注入を停止する。
【0039】
図12(B)に示すように、枠体15の上部に蓋部51を設ける。この状態で、図12(C)に示すように、蓋部51の上部に溶融樹脂53を盛り上げる。
【0040】
この状態で、図10に示すように、金型55、すなわち上型56、下型57間に配置する。上型56と溶融樹脂53との間に離型フィルム33を配置する。
配置した離型フィルム33を、上型56の成形面56Aに真空吸着し、この状態で金型55を型締めする。
【0041】
図11に示すように、金型55を型締めすることで、蓋部51の上部に盛り上げた溶融樹脂53を、複数の注入口52から枠体15の内部へ注入する。枠体15の内部に溶融樹脂53が充填される。
溶融樹脂53が凝固することにより、樹脂18を得る。溶融樹脂が凝固した後、金型55を型開きする。
これにより、基板構造60の製造工程が完了する。
【0042】
第4実施形態の基板構造60によれば、枠体15に蓋部51を設ける前に、枠体15に溶融樹脂53を注入するので、枠体15の上部から蓋部51が浮き上がることを確実に防いで、枠体15と蓋部51との接触性をより一層良好に確保できる。
さらに、第4実施形態の基板構造60によれば、第3実施形態の基板構造50と同様の効果が得られる。
【0043】
第5実施形態
図13〜図14に示す第5実施形態の基板構造70は、第1実施形態の蓋部17に代えて蓋部71を備えたもので、その他の構成は第1実施形態の基板構造10と同様である。 蓋部71は、線状の導体71Aが複数本並列にシート状に配索された配線である。この蓋部71は、離型フィルムの表面に配索された配線が、樹脂18の頂部表面(表面)18Cに転写されたものである。
【0044】
蓋部71は、平面状の頂部72と、頂部72の外形部に設けられた側壁73と、側壁73の下部に設けられた基端部74とを備える。
頂部72は、枠体15の開口16に臨ませて設けられ、枠体15の内部に充填された樹脂18Aの頂部表面18Cに転写されている。
側壁73は、樹脂18Bの表面18Dに転写されている。樹脂18Bは、外枠21の外部に設けられている。
【0045】
また、基端部74は、基板11に接触されている。基端部74が、基板11に接触しているので、枠体15は金属性の部材でなくともよい。
基端部74が基板11に接触していない場合には、枠体15を金属性にする必要がある。
【0046】
なお、蓋部71は、線状の導体を複数本並列に配索した配線に代えて、線状の導体を一本蛇行状に配索した配線を用いることも可能である。
【0047】
つぎに、第5実施形態の基板構造70を製造する工程を図15〜図16に基づいて説明する。
図15に示すように、基板11に複数の電子部品12を実装し、枠体15を設ける。この状態で、金型75、すなわち上型76、下型77間に配置する。上型76と枠体15との間に配線シート78を配置する。
配線シート78は、離型フィルム79の下面に、配線状の蓋部71が設けられている。 この配線シート78を、上型76の成形面76Aに真空吸着し、この状態で金型75を型締めする。
【0048】
図16に示すように、金型75を型締めした後、上型76のゲート76Bから、図13に示す樹脂18用の溶融樹脂を枠体15の内部へ注入する。枠体15の内部に溶融樹脂が充填される。
溶融樹脂が凝固することにより、樹脂18を得る。溶融樹脂が凝固した後、金型75を型開きする。
これにより、基板構造70の製造工程が完了する。
【0049】
第5実施形態の基板構造70によれば、樹脂を枠体の内部に充填するとともに、樹脂の表面に配線を設けた。これにより、枠体の開口に配線を臨ませることが可能になり、配線で複数の電子部品に対するシールド性を確保できる。
また、第5実施形態の基板構造70によれば、蓋部71として配線を用いることで、蓋部71の厚さ寸法を薄くでき、基板構造70の薄型化が図れる。
加えて、第5実施形態の基板構造70によれば、第1実施形態の基板構造10と同様の効果が得られる。
【0050】
第6実施形態
図17〜図18に示す第6実施形態の基板構造80は、第1実施形態の蓋部17に代えて蓋部81を備えたもので、その他の構成は第1実施形態の基板構造10と同様である。 蓋部81は、開口16に臨む頂部82を備え、頂部82の周部83にリブ84が設けられている。
【0051】
このリブ84は、枠体15を構成する外枠21の上部21Aに重複するように、外枠21より一回り大きく形成されている。
加えて、リブ84は、リブ84が徐々に大きく開くようにテーパ状に形成されている。一方、外枠21の上部21Aもテーパ状に形成されている。これにより、外枠21の上部21Aにリブ84が接触し、蓋部81で開口16が閉鎖される。
【0052】
つぎに、第6実施形態の基板構造80を製造する工程を図19〜図21に基づいて説明する。
図19に示すように、基板11に複数の電子部品12を実装し、枠体15を設ける。
この状態で、金型85、すなわち上型86、下型87間に配置する。上型86と枠体15との間に離型フィルム33を配置する。
この離型フィルム33を、上型86の成形面86Aに真空吸着し、この状態で金型85を型締めする。
【0053】
図20に示すように、金型85を型締めした後、上型86のゲート86Bから枠体15の内部へ、図17に示す樹脂18用の溶融樹脂を注入する。枠体15の内部に溶融樹脂が充填される。
溶融樹脂が凝固することにより樹脂18を得る。溶融樹脂が凝固した後、金型85を型開きする。
【0054】
この状態で、外枠21の上部21Aが露出されている。露出されている外枠21の上部21Aに蓋部81を被せる。
ここで、リブ84が徐々に大きく開くようにテーパ状に形成され、加えて、リブ84の端縁84Aが徐々に大きく開くようにテーパ状に形成されている。
【0055】
これにより、外枠21の上部21Aにリブ84を容易に嵌め込むことができ、蓋部81を簡単に被せることができる。
外枠21の上部21Aに蓋部81を被せることで、外枠21の上部21Aとリブ84とが接触した状態で重複する。
これにより、基板構造80の製造工程が完了する。
【0056】
第6実施形態の基板構造80によれば、蓋部81の周部にリブ84を設け、外枠21の上部21Aに重複させることで、蓋部81と枠体15との隙間を抑えることが可能になり、確実なシールド性が得られる。
さらに、第7実施形態の基板構造80によれば、第1実施形態の基板構造10と同様の効果が得られる。
【0057】
第7実施形態
図22に示す第7実施形態の基板構造90は、第1実施形態の蓋部17に代えて蓋部91を備えたもので、その他の構成は第1実施形態の基板構造10と同様である。
蓋部91は、縁部92を上向きのテーパ状に形成したもので、その他の構造は第1実施形態の蓋部17と同様である。
【0058】
蓋部91の縁部92を上向きのテーパ状に形成したので、金型33で型締めした際に、上型の押圧力が矢印で示すように斜め向きになる。
この斜め向きの押圧力で溶融樹脂を注入する際に、溶融樹脂が蓋部91の表面91A側に回り込むことを防止する。
これにより、蓋部91表面91Aの印字や刻印を樹脂で覆って判読不能になることを防止できる。
【0059】
なお、前記第1〜第7実施形態で例示した樹脂部、枠体、蓋部、樹脂、リブの形状や寸法は適宜変更が可能である。
【0060】
本出願は、2005年8月30日出願の日本特許出願(特願2005-250201)に基づくも
のであり、それらの内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、基板に沿って複数の電子部品を実装し、各電子部品を樹脂部で被覆するとともに樹脂部を基板に密着させた基板構造および電子機器への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る基板構造の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】第1実施形態に係る基板構造を示す分解斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る基板構造の製造工程において金型を型締めする例を説明する図である。
【図4】第1実施形態に係る基板構造の製造工程において溶融樹脂を注入する例を説明する図である。
【図5】本発明に係る基板構造の第2実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る基板構造の第3実施形態を示す断面図である。
【図7】第3実施形態に係る基板構造を示す分解斜視図である。
【図8】第3実施形態に係る基板構造の製造工程において溶融樹脂を一定量注入する例を説明する図である。
【図9】第3実施形態に係る基板構造の製造工程において蓋部に溶融樹脂を盛り上げる例を説明する図である。
【図10】第3実施形態に係る基板構造の製造工程において金型内にセットした例を説明する図である。
【図11】第3実施形態に係る基板構造の製造工程において金型を型締めすることにより溶融樹脂を注入する例を説明する図である。
【図12】図12(A)〜(B)は本発明に係る第4実施形態の基板構造を製造する工程について説明する図である。
【図13】本発明に係る基板構造の第5実施形態を示す断面図である。
【図14】第5実施形態に係る基板構造を示す分解斜視図である。
【図15】第5実施形態に係る基板構造の製造工程において金型を型締めする例を説明する図である。
【図16】第5実施形態に係る基板構造の製造工程において溶融樹脂を注入する例を説明する図である。
【図17】本発明に係る基板構造の第6実施形態を示す断面図である。
【図18】第6実施形態に係る基板構造を示す分解斜視図である。
【図19】第6実施形態に係る基板構造の製造工程において金型を型締めする例を説明する図である。
【図20】第6実施形態に係る基板構造の製造工程において溶融樹脂を注入する例を説明する図である。
【図21】第6実施形態に係る基板構造の製造工程において蓋部を被せる例を説明する図である。
【図22】本発明に係る基板構造の第7実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0063】
10,40,50,60,70,80,90 基板構造
11 基板
12 電子部品
13 樹脂部
15 枠体
16 開口
17,71,81 蓋部
18,41 樹脂
18C 樹脂の表面
42 フィラー
71A 線状の導体
84 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置された基板と、
前記基板に実装された複数の電子部品と、
前記複数の電子部品を囲い、前記基板に密着する金属性の枠体と、
前記枠体の開口を閉鎖する金属性の蓋部と、
前記蓋部の周部に設けられ、前記枠体の側面と重複し接触するリブと、
前記枠体の内部に充填され、前記複数の電子部品を被覆する樹脂部と、
下部が前記基板に密着され、前記複数の電子部品を仕切る仕切枠体と、
を備えた携帯電話。
【請求項2】
請求項1記載の携帯電話であって、
前記枠体の上部と前記仕切枠体の上部とが同一面上にあることを特徴とする携帯電話。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の携帯電話であって、
前記枠体と前記仕切枠体が一体であることを特徴とする携帯電話。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の携帯電話であって、
前記樹脂部が金属性フィラーを含むことを特徴とする携帯電話。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−27191(P2009−27191A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261535(P2008−261535)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【分割の表示】特願2007−533148(P2007−533148)の分割
【原出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】