説明

撮像装置および管理装置

【課題】撮像装置を失った場合に記憶された画像を取り戻し、当該画像が閲覧されることを抑制するための技術を提供する。
【解決手段】LOST登録依頼受信部102は、監視対象となる撮像装置20の識別情報をユーザ端末装置30から受けつける。機器情報受信部106は、撮像装置20から、識別情報を受けつける。機器情報判断部108は、機器情報受信部106において受けつけた識別情報が、LOST登録依頼受信部102において受けつけた識別情報に一致した場合に、撮像装置20に対して、記憶している画像を送信させた後に、記憶している画像を削除させる。撮影データ受信部112は、撮像装置20から、画像を受けつける。撮影データ記憶部114は、受けつけた画像を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像技術に関し、特に撮像された画像を管理する撮像装置および管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが携帯電話端末装置などの携帯情報端末装置を紛失したり、盗難された場合、第三者による携帯情報端末装置の使用の防止が望まれる。これに対応するために、例えば、遠隔操作によって操作ロックがなされたり、記憶されているデータの消去がなされる。また、平文データを記憶している場合に、これを暗号化させてから記憶させた後に、平文データを消去することもなされる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−237881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デジタルカメラもユーザによって携帯されることが多く、携帯電話端末装置と同様に紛失や盗難の危険性が高い。また、デジタルカメラでは、既に撮像した画像がメモリカード等の記憶媒体に記憶されている。そのため、紛失や盗難によって、記憶した画像を第三者に閲覧されてしまうおそれがある。さらに、ユーザにとっては、失ったデジタルカメラ自体よりも画像の方が重要である場合もある。つまり、デジタルカメラを取り戻せなくても、記憶した画像だけは取り戻したいという要望がある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、撮像装置を失った場合に記憶された画像を取り戻すとともに、当該画像が閲覧されることを抑制する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の管理装置は、通信機能が搭載された撮像装置であって、かつ監視対象となる撮像装置の識別情報を通信装置からネットワークを介して受けつける第1入力部と、通信機能が搭載された撮像装置からネットワークを介して、当該撮像装置の識別情報を受けつける第2入力部と、第2入力部において受けつけた識別情報が、第1入力部において受けつけた識別情報に一致した場合に、第2入力部において識別情報を受けつけた撮像装置に対して、記憶している画像を送信させた後に、記憶している画像を削除させる指示出力部と、指示出力部が画像を送信させた撮像装置から、画像を受けつける画像入力部と、画像入力部において受けつけた画像を記憶媒体に記憶させる記憶制御部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、撮像装置である。この装置は、通信機能が搭載された撮像装置であって、撮像部と、ネットワークを介して管理装置へ、所定のタイミングで本撮像装置の識別情報を出力する情報出力部と、情報出力部が識別情報を出力した管理装置から、撮像部において撮像した画像であって、かつ記憶している画像を送信してから削除する旨の指示を受けつける指示入力部と、指示入力部において受けつけた指示に応じて、記憶している画像を管理装置へ送信する画像出力部と、画像出力部から画像を送信した後に、記憶している画像を削除する削除部と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮像装置を失った場合に記憶された画像を取り戻すことができ、当該画像が閲覧されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例に係る管理システムの構成を示す図である。
【図2】図1の管理装置、撮像装置、ユーザ端末装置の構成を示す図である。
【図3】図2のLOST登録管理部において記憶されているテーブルのデータ構造を示す図である。
【図4】図1の管理システムによる紛失時処理の手順を示すシーケンス図である。
【図5】図2のユーザ端末装置による紛失時処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図2の管理装置による紛失時処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図2の撮像装置による紛失時処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、ユーザ端末装置、管理装置、撮像装置がそれぞれネットワークを介して通信する管理システムに関する。カメラのような撮像装置は、撮像した画像をメモリカードに記憶する。このような撮像装置が紛失や盗難された場合、ユーザは、一般的に、メモリの画像を取り戻したいと思うとともに、メモリの画像を第三者に閲覧されたくないと考える。これに対応するために、本発明の実施例に係る管理システムは、次の処理を実行する。撮像装置を紛失した場合、ユーザは、ユーザ端末装置を操作することによって、撮像装置を紛失した旨(以下、「LOST情報」という)を管理装置に送信する。なお、LOST情報には、撮像装置の識別情報(以下、「ID」という)が含まれる。
【0012】
管理装置は、LOST情報を受信することによって、撮像装置を監視の対象として登録(以下、「LOST登録」という)する。撮像装置は、起動する際に、ネットワークを介して管理装置へIDを送信する。管理装置は、IDを受信すると、当該IDをLOST登録しているかを確認する。LOST登録している場合、管理装置は、撮像装置へ、紛失時動作の実行を指示する。撮像装置は、指示を受けつけると、既に撮像して記憶している画像を管理装置へ送信する。管理装置は、撮像装置からの画像を受信すると、画像を記憶する。また、撮像装置は、画像の送信を終了すると、記憶している画像を削除する。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る管理システム60の構成を示す。管理システム60は、管理装置10、撮像装置20、ユーザ端末装置30、基地局装置40、ネットワーク50を含む。撮像装置20は、デジタルカメラのように、静止画像や動画像(以下、「画像」と総称する)を撮像する装置である。以下では、撮像した画像そのもの、あるいは画像のデジタルデータを区別せずに「画像」という。また、本明細書において、画像は、撮影データとも同様の意味で使用される。さらに、撮像装置20は、通信機能を搭載する。ここで、通信機能とは、例えば、無線通信を実行するための機能であり、以下では、無線LAN(Local Area Network)を説明の対象にする。
【0014】
撮像装置20は、後述の基地局装置40を介して、ネットワーク50に接続する。また、このような接続によって、撮像装置20は、撮像した画像を管理装置10にアップロードする。また、撮像装置20は、管理装置10からの制御指示も受信する。撮像装置20は、管理装置10に画像をアップロードする際の設定として、アップロードした画像を管理システム60全体に公開する「公開」と、特定のユーザ端末装置30にのみ公開する「限定的」のいずれかを使用する。また、撮像装置20は、起動時に、管理装置10へ接続し、自身の機器情報(以下、前述の通り「ID」という)を通知する。
【0015】
基地局装置40は、一端に無線通信にて撮像装置20を接続し、他端に有線通信にてネットワーク50を接続する。基地局装置40は、無線LANのAP(Access Point)であるとする。また、基地局装置40は、撮像装置20とネットワーク50との間の通信を中継する。ネットワーク50は、例えばIP(Internet Protocol)に対応する。ネットワーク50および基地局装置40の構成として、公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0016】
管理装置10は、ネットワーク50に接続され、ネットワーク50を介して撮像装置20やユーザ端末装置30と通信する。管理装置10は、例えば、サーバによって構成される。管理装置10は、基地局装置40を介して撮像装置20からの画像を取得し、ユーザ端末装置30からの要求に応じて、取得した画像をユーザ端末装置30へ送信する。また、取得した画像には、「公開」や「限定的」の設定がなされており、「限定的」に設定された画像に関しては、特定のユーザ端末装置30からの要求にのみ応じて送信される。また、管理装置10は、撮像装置20に対して、制御指示を送信する。
【0017】
管理装置10は、ユーザ端末装置30からの依頼に基づいて、ユーザ所有の撮像装置20を監視の対象として登録するための処理、つまりLOST登録を実行する。LOST登録では、ユーザが紛失した撮像装置20のIDを保持する。管理装置10は、撮像装置20から通知されたIDがLOST登録されているかを判定し、LOST登録されている撮像装置20からのIDを受けつけた場合に、当該撮像装置20に紛失時動作を実行するさせる。
【0018】
ユーザ端末装置30は、ネットワーク50を介して管理装置10と通信する。ユーザ端末装置30は、管理装置10に蓄積されている画像の送信を管理装置10に要求する。また、管理装置10から画像を取得した場合、ユーザ端末装置30は、これを表示する。なお、画像が「限定的」に設定されている場合、ユーザ端末装置30は、本ユーザ端末装置30の識別情報を管理装置10へ送信する。その結果、管理装置10では、ユーザ認証がなされる。なお、ユーザ認証には、ユーザID等が使用されてもよい。また、撮像装置20を紛失したユーザは、ユーザ端末装置30を操作することによって、管理装置10へLOST登録を依頼する。
【0019】
以下では、紛失時動作の概要を説明する。まず、ユーザが、撮像装置20を紛失する。なお、以下では、盗難も紛失に含まれるとする。ユーザは、紛失した撮像装置20のIDをユーザ端末装置30に入力し、ユーザ端末装置30は、ネットワーク50を介して、管理装置10へLOST登録を依頼する。管理装置10は、取得したIDに対してLOST登録を実行する。撮像装置20は、紛失した場合であるか否かにかかわらず、起動時に管理装置10へ接続することによって、管理装置10へIDを通知する。
【0020】
管理装置10は、通知されたIDがLOST登録されているかを確認する。管理装置10は、LOST登録がなされているIDを通知した撮像装置20へ、ネットワーク50を介して紛失時動作を指示する。撮像装置20は、指示を受けつけると、紛失時動作として、アップロード時の画像を「限定的」に設定する。さらに、撮像装置20は、ネットワーク50を介して、記憶している画像を管理装置10へアップロードする。アップロードの終了後、撮像装置20は、記憶している画像を削除する。管理装置10は、撮像装置20から受けつけた画像を記憶する。
【0021】
図2は、管理装置10、撮像装置20、ユーザ端末装置30の構成を示す。管理装置10は、LOST登録依頼受信部102、LOST登録管理部104、機器情報受信部106、機器情報判断部108、紛失時動作指示部110、撮影データ受信部112、撮影データ記憶部114、撮影データ要求受信部116、ユーザ認証部118、撮影データ送信部120を含む。撮像装置20は、操作検知部202、電源制御部204、機器情報送信部206、機器情報記憶部208、紛失時動作指示受信部210、紛失時動作実行部212、アップロード設定管理部214、撮像部216、撮影データ送信部218、撮影データ記憶部220を含む。ユーザ端末装置30は、操作検知部302、LOST登録依頼部304、撮影データ要求送信部306、撮影データ受信部308、表示部310を含む。
【0022】
なお、図2では、説明を明瞭にするために、図1から、基地局装置40、ネットワーク50を省略する。LOST登録依頼受信部102は、ユーザ端末装置30からのLOST登録を依頼する旨の通知(以下、「LOST情報」という)を受信する。また、LOST情報には、前述のID、つまり撮像装置20の識別情報が含まれている。このようなLOST情報は、撮像装置20に対して、記憶している画像を送信させた後に、記憶している画像を削除させる指示に相当し、IDは、通信機能が搭載され、かつ監視対象となる撮像装置20の識別情報といえる。LOST登録依頼受信部102は、取得したIDをLOST登録管理部104に送信することによって、LOST登録管理部104にLOST登録を依頼する。また、LOST情報では、LOST登録からのIDの削除が指示されている場合もある。その際、LOST登録依頼受信部102は、LOST情報の送信元が、対応した撮像装置20の所有者であることを確認した後、LOST登録管理部104に、LOST登録の削除を依頼する。
【0023】
LOST登録管理部104は、LOST登録依頼受信部102からの依頼をもとに、LOST管理テーブルへIDを登録する。また、LOST登録管理部104は、LOST登録依頼受信部102からの依頼をもとに、LOST管理テーブルからIDを削除する。このようにLOST登録管理部104は、LOST管理テーブルを管理する。LOST管理テーブルは、後述の機器情報判断部108によって参照される。図3は、LOST登録管理部104において記憶されているテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、ユーザ端末装置欄400、アドレス欄402、撮像装置欄404が含まれる。ユーザ端末装置欄400には、LOST登録を依頼したユーザ端末装置30の識別情報が格納される。なお、ユーザ端末装置欄400には、ユーザIDが格納されてもよい。また、アドレス欄402には、対応したユーザ端末装置30のIPアドレスが格納される。撮像装置欄404には、監視対象となる撮像装置20のIDが格納される。図2に戻る。
【0024】
機器情報受信部106は、撮像装置20から通知されるIDを受信する。これは、当該撮像装置20の識別情報である。なお、機器情報受信部106は、さまざまな撮像装置20からのIDを適宜受信している。機器情報受信部106は、機器情報判断部108へIDを出力する。機器情報判断部108は、機器情報受信部106からのIDを入力する。機器情報判断部108は、LOST登録管理部104に管理されたLOST管理テーブルを参照して、LOST管理テーブルに当該IDが登録されているかを判定する。IDがLOST管理テーブルに登録されている場合、つまり、LOST登録依頼受信部102において受けつけたIDと、機器情報受信部106において受けつけたIDとが一致している場合に、機器情報判断部108は、その旨を紛失時動作指示部110へ通知する。
【0025】
紛失時動作指示部110は、機器情報判断部108から、LOST管理テーブルに登録されたIDを通知される。紛失時動作指示部110は、当該IDの送信元である撮像装置20に対して、紛失時動作を実行するように指示する(以下、当該指示を「紛失時動作指示」という)。つまり、紛失時動作指示部110は、機器情報受信部106においてIDを受けつけた撮像装置20に対して、記憶している画像を送信させた後に、記憶している画像を削除させることを指示する。
【0026】
撮影データ受信部112は、撮像装置20からの画像を受信する。受信した画像には、「公開」あるいは「限定的」の指定に関する情報、「限定的」の場合の送信許可条件が含まれている。例えば、送信許可条件として、ユーザ端末装置30の識別情報が含まれる。また、送信許可条件として、ユーザIDが含まれてもよい。なお、紛失時動作を指示した撮像装置20からの画像を受信する場合、当該画像には、「限定的」の設定がなされている。撮影データ受信部112は、画像に付加された情報とともに、画像を撮影データ記憶部114に記憶させる。撮影データ記憶部114は、撮影データ受信部112からの指示をもとに、画像と、当該画像に付加された情報とを記憶する。撮影データ記憶部114に記憶された画像は、撮影データ送信部120により参照される。
【0027】
撮影データ要求受信部116は、ユーザ端末装置30から、画像の送信要求を受信する。撮影データ要求受信部116は、撮影データ記憶部114を参照することによって、要求された画像が「限定的」に設定されていれば、送信許可条件に合致しているかの判断をユーザ認証部118に依頼する。ユーザ認証部118が送信許可条件に合致していると判断した場合、あるいは要求された撮影データが「公開」に設定されている場合、撮影データ要求受信部116は、要求された画像の送信を撮影データ送信部120に依頼する。
【0028】
ユーザ認証部118は、撮影データ要求受信部116からの依頼に応じて、画像の送信を要求したユーザ端末装置30が、送信許可条件に合致しているかを判断する。具体的に説明すると、ユーザ認証部118は、撮影データ記憶部114を参照することによって、対象となる画像に対応した送信許可条件、例えばユーザ端末装置30の識別情報を抽出する。これはLOST登録を要求したユーザ端末装置30の識別情報に相当する。なお、送信許可条件として、ユーザIDが抽出されてもよい。また、ユーザ認証部118は、抽出した識別情報と、送信要求に含まれた識別情報とが一致する場合に、送信許可条件を満たすとして、その結果を撮影データ要求受信部116へ出力する。撮影データ送信部120は、撮影データ要求受信部116からの依頼に応じて、撮影データ記憶部114に記憶された画像をユーザ端末装置30へ送信する。
【0029】
操作検知部202は、ボタン等によって構成されており、操作者による操作を検知する。操作とは、例えば、起動、切断、撮像の指示に相当する。検知した操作が電源に関する操作であった場合、その検知内容を電源制御部204へ通知する。電源に関する操作は、起動、切断に相当する。電源制御部204は、操作検知部202から、電源に関する操作の検知内容を入力し、当該検知内容に応じて、電源を起動させたり、電源を切断させたりする。また、電源制御部204は、起動の際に、IDの送信を機器情報送信部206へ依頼する。
【0030】
機器情報送信部206は、電源制御部204からの依頼をもとに、機器情報記憶部208が保持しているIDを管理装置10へ送信する。つまり、機器情報送信部206は、管理装置10へ、起動のタイミングでIDを送信する。なお、機器情報送信部206は、起動タイミングだけではなく、所定のタイミングでIDを送信してもよい。機器情報記憶部208は、本撮像装置20のIDを保持する。また、機器情報記憶部208は、アップロードの設定が「限定的」である場合の送信許可条件に関する送信許可情報も保持する。IDは機器情報送信部206によって参照され、送信許可情報は撮影データ送信部218によって参照される。
【0031】
紛失時動作指示受信部210は、管理装置10からの紛失時動作指示を受信する。紛失時動作指示受信部210は、紛失時動作実行部212に紛失時動作の実行を依頼する。つまり、紛失時動作指示受信部210は、機器情報送信部206がIDを送信した管理装置10から、撮像部216において撮像した画像であって、かつ撮影データ記憶部220に記憶している画像を送信してから削除する旨の指示を受けつける。ここで、前述のごとく、紛失時動作指示は、管理装置10において、画像の撮像を希望する撮像装置20のIDと、機器情報送信部206が送信したIDとが、一致した場合に生成されている。
【0032】
紛失時動作実行部212は、紛失時動作指示受信部210からの依頼に応じて、紛失時動作を実行する。紛失時動作とは、次のように規定される。アップロードの設定は、強制的に「限定的」とされる。なお、通常の動作においてアップロードの設定として、「公開」あるいは「限定的」が選択される。また、撮影データ記憶部220に記憶されている画像が管理装置10にアップロードされる。アップロード後、撮影データ記憶部220に記憶されている画像が削除される。さらに、操作検知部202において検知される操作内容、つまり操作者から受けつける操作が無効とされてもよい。紛失時動作実行部212は、このような動作の実行をアップロード設定管理部214および撮影データ記憶部220へ指示する。
【0033】
アップロード設定管理部214は、アップロードの設定として、「公開」あるいは「限定的」を管理する。ここで、アップロードの設定とは、管理装置10にアップロードした画像をユーザ端末装置30に送信する際に使用される設定であり、「公開」とすると、画像は、基本的にすべてのユーザ端末装置30へ送信可能となる。一方、「非公開」とすると、画像は、一部の許可されたユーザ端末装置30のみへ送信可能となる。この許可されたユーザ端末装置30の条件を示したものが、送信許可情報である。前述のごとく、通常動作時において、アップロード設定管理部214は、「公開」あるいは「限定的」を設定するが、紛失時動作実行部212からの依頼を受けつけた場合において「限定的」のみを設定する。「限定的」に設定された場合、画像の最終的な出力先は、画像の撮像の希望元、つまりLOST登録を依頼したユーザ端末装置30に限定される。ここで、ユーザIDが使用される場合、ユーザIDでログインしているユーザ端末装置30に限定されるようにしてもよい。アップロード設定管理部214において管理しているアップロードの設定は、撮影データ送信部218が画像を送信する際に参照される。
【0034】
撮像部216は、操作検知部202からの撮像の操作を受けつけた場合に、画像を撮像する。撮像部216は、撮像した画像を撮影データ記憶部220に記憶させる。撮影データ記憶部220は、撮像部216から受けつけた画像を記憶するための記憶媒体である。なお、撮影データ記憶部220は、メモリカードのように撮像装置20から着脱可能に構成されていてもよい。撮影データ記憶部220に記憶されている画像は、撮影データ送信部218により参照される。また、撮影データ記憶部220は、紛失時動作実行部212からの依頼をもとに、画像を削除する。
【0035】
撮影データ送信部218は、撮影データ記憶部220から画像を入力し、入力した画像を管理装置10へ送信する。その際、撮影データ送信部218は、アップロード設定管理部214において管理されているアップロードの設定を確認する。アップロードの設定が「公開」である場合、撮影データ送信部218は、アップロードの設定を「公開」として送信する。一方、アップロードの設定が「限定的」である場合、撮影データ送信部218は、機器情報記憶部208が保持している送信許可情報を画像に付加してから、管理装置10へ送信する。なお、紛失時動作の場合に、撮影データ送信部218は、アップロードの設定を「限定的」に設定し、撮影データ記憶部220に記憶された画像を自動的に管理装置10へ送信する。また、紛失時動作実行部212は、紛失時動作の場合に、撮影データ送信部218からの画像の送信が終了した後、撮影データ記憶部220に記憶している画像を削除させる。
【0036】
操作検知部302は、ユーザからの操作を検知する。例えば、撮像装置20の所有者が撮像装置20を紛失した場合に、操作検知部302は、LOST登録に関する操作を検知する。操作検知部302は、LOST登録に関する操作を検知した場合、その内容をLOST登録依頼部304へ出力し、画像の送信を要求する操作を検知した場合、その内容を撮影データ要求送信部306へ出力する。LOST登録依頼部304は、操作検知部302から、LOST登録に関する操作を受けつけた場合、管理装置10へLOST登録の依頼を送信する。LOST登録の依頼には、対象となる撮像装置20のIDおよびユーザID、パスワード等のユーザ情報が含まれる。なお、LOST登録の依頼には、LOST登録からの削除も含まれる。
【0037】
撮影データ要求送信部306は、操作検知部302から、画像の送信を要求する操作を受けつけた場合、管理装置10へ画像の送信を要求する。撮影データ受信部308は、撮影データ要求送信部306が送信した要求に応じて、管理装置10から送信された画像を受信する。撮影データ受信部308は、画像を表示部310へ出力する。表示部310は、撮影データ受信部308において受信した画像を表示する。
【0038】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0039】
以上の構成による管理システム60の動作概要を説明する。図4は、管理システム60による紛失時処理の手順を示すシーケンス図である。ユーザ端末装置30は、LOST情報の入力を受けつける(S10)。ユーザ端末装置30は、管理装置10へLOST情報を送信する(S12)。管理装置10は、LOST情報をもとにLOST登録を実行する(S14)。撮像装置20は、拾得者によって起動される(S16)。撮像装置20は、管理装置10へIDを通知する(S18)。管理装置10は、IDがLOST登録されているかを確認する(S20)。管理装置10は、撮像装置20へ紛失時動作を指示する(S22)。撮像装置20は、記憶している画像をアップロードする(S24)。管理装置10は、撮像装置20からの画像を記憶する(S26)。アップロード後、撮像装置20は、記憶している画像を削除する(S28)。
【0040】
図5は、ユーザ端末装置30による紛失時処理の手順を示すフローチャートである。操作検知部302が、LOST情報の入力を受けつけると(S50のY)、LOST登録依頼部304は、管理装置10へLOST情報を送信する(S52)。一方、操作検知部302が、LOST情報の入力を受けつけなければ(S50のN)、ステップ52はスキップされる。操作検知部302が、画像の送信要求を受けつければ(S54のY)、撮影データ要求送信部306は、管理装置10へ送信要求を送信する(S56)。一方、操作検知部302が、画像の送信要求を受けつけなければ(S54のN)、ステップ56はスキップされる。撮影データ受信部308が、管理装置10からの画像を受信すれば(S58のY)、表示部310は、画像を表示する(S60)。一方、撮影データ受信部308が、管理装置10からの画像を受信しなければ(S58のN)、ステップ60はスキップされる。終了でなければ(S62のN)、ステップ50に戻る。終了であれば(S62のY)、処理は終了される。
【0041】
図6は、管理装置10による紛失時処理の手順を示すフローチャートである。LOST登録依頼受信部102がユーザ端末装置30からのLOST情報を受信すれば(S80のY)、LOST登録管理部104は、LOST情報を登録する(S82)。なお、LOST登録依頼の送信元となるユーザ端末装置30が適切なユーザでない場合、LOST登録はなされない。一方、LOST登録依頼受信部102がユーザ端末装置30からのLOST情報を受信しなければ(S80のN)、ステップ82はスキップされる。機器情報受信部106が撮像装置20からのIDを受信し(S84のY)、当該IDがLOST登録されていれば(S86のY)、紛失時動作指示部110は、紛失時動作指示を送信する(S88)。一方、機器情報受信部106が撮像装置20からのIDを受信していない場合(S84のN)、あるいはIDがLOST登録されていない場合(S86のN)、ステップ88はスキップされる。撮影データ受信部112が撮像装置20からの画像を受信すれば(S90のY)、撮影データ記憶部114は、画像を格納する(S92)。
【0042】
撮影データ受信部112が撮像装置20からの画像を受信しなければ(S90のN)、ステップ92はスキップされる。撮影データ要求受信部116は、ユーザ端末装置30からの送信要求を受信する(S94)。ユーザ認証部118は、送信要求の送信元が許可された正当なユーザであるかをユーザ認証する(S96)。正当なユーザからの要求であった場合(S98のY)、撮影データ送信部120は、ユーザ端末装置30へ画像を送信する(S100)。一方、正当なユーザからの要求でなかった場合(S98のN)、ステップ100はスキップされる。終了でなければ(S102のN)、ステップ80に戻る。終了であれば(S102のY)、処理は終了される。
【0043】
図7は、撮像装置20による紛失時処理の手順を示すフローチャートである。電源制御部204が起動を検出すると(S120)、機器情報送信部206は、管理装置10へIDを送信する(S122)。紛失時動作指示受信部210が管理装置10からの紛失時動作指示を受信すれば(S124のY)、紛失時動作実行部212は、動作を紛失時モードに変更する(S126)。アップロード設定管理部214は、アップロード設定を「限定的」に変更する(S128)。撮影データ送信部218は、撮影データ記憶部220に記憶されている画像を管理装置10へ送信する(S132)。撮影データ記憶部220は、記憶している画像を削除する(S134)。紛失時動作指示受信部210が管理装置10からの紛失時動作指示を受信しなければ(S124のN)、ステップ126から134はスキップされる。終了でなければ(S136のN)、ステップ124に戻る。終了であれば(S136のY)、処理は終了される。
【0044】
本発明の実施例によれば、撮像装置に記憶された画像を送信させるので、撮像装置を失った場合に記憶された画像を取り戻すことができる。また、画像を送信させた後に当該画像を削除させるので、当該画像が閲覧されることを抑制できる。また、撮像装置にIDを送信させるので、監視対象となる撮像装置を容易かつ正確に特定できる。また、画像の最終的な出力先を、画像の所有者の希望元や撮像装置20の本来の所有者の希望元に限定するので、画像の内容を不特定多数の人へ公開することを抑制できる。また、画像の最終的な出力先が限定されていても、画像の撮像の希望元には画像が送信されるので、画像を閲覧させることができる。
【0045】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0046】
10 管理装置、 20 撮像装置、 30 ユーザ端末装置、 40 基地局装置、 50 ネットワーク、 60 管理システム、 102 LOST登録依頼受信部、 104 LOST登録管理部、 106 機器情報受信部、 108 機器情報判断部、 110 紛失時動作指示部、 112 撮影データ受信部、 114 撮影データ記憶部、 202 操作検知部、 204 電源制御部、 206 機器情報送信部、 208 機器情報記憶部、 210 紛失時動作指示受信部、 212 紛失時動作実行部、 214 アップロード設定管理部、 216 撮像部、 218 撮影データ送信部、 220 撮影データ記憶部、 302 操作検知部、 304 LOST登録依頼部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能が搭載された撮像装置であって、かつ監視対象となる撮像装置の識別情報を通信装置からネットワークを介して受けつける第1入力部と、
通信機能が搭載された撮像装置からネットワークを介して、当該撮像装置の識別情報を受けつける第2入力部と、
前記第2入力部において受けつけた識別情報が、前記第1入力部において受けつけた識別情報に一致した場合に、前記第2入力部において識別情報を受けつけた撮像装置に対して、記憶している画像を送信させた後に、記憶している画像を削除させる指示出力部と、
前記指示出力部が画像を送信させた撮像装置から、画像を受けつける画像入力部と、
前記画像入力部において受けつけた画像を記憶媒体に記憶させる記憶制御部と、
を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項2】
通信機能が搭載された撮像装置であって、
撮像部と、
ネットワークを介して管理装置へ、所定のタイミングで本撮像装置の識別情報を出力する情報出力部と、
前記情報出力部が識別情報を出力した管理装置から、前記撮像部において撮像した画像であって、かつ記憶している画像を送信してから削除する旨の指示を受けつける指示入力部と、
前記指示入力部において受けつけた指示に応じて、記憶している画像を前記管理装置へ送信する画像出力部と、
前記画像出力部から画像を送信した後に、記憶している画像を削除する削除部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−178230(P2010−178230A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20967(P2009−20967)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】