説明

撮像装置

【課題】被写体に適した色合を、ユーザがより容易に選択できる撮像装置を提供すること。
【解決手段】撮像装置は、被写体像を撮像して画像を生成する撮像センサと、生成された画像に基づいて、ホワイトバランス調整の際の基準色温度を判定する判定部と、判定結果に基づいて、画像にホワイトバランス調整を施すホワイトバランス調整部と、ユーザによる指定操作に応じて、判定部が、第一の色温度範囲から基準色温度を判定するか、第一の色温度範囲とは異なる第二の色温度範囲から基準色温度を判定するか、を制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関し、特にホワイトバランス調節が可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影画像が最適なホワイトバランスになるように、被写体の色温度の測定結果に基づいて、オートホワイトバランス処理を行なうデジタルカメラが知られている。例えば、特許文献1は、マニュアルホワイトバランスモードと、オートホワイトバランスモードを有するデジタルカメラを開示している。特許文献1のデジタルカメラによれば、ユーザは、マニュアルホワイトバランスモードと、オートホワイトバランスモードのいずれかに設定して、撮影を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−101420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オートホワイトバランスモードは、被写体の照明条件に合わせて、所定の色温度範囲の中から適切な色温度を自動で設定するモードである。オートホワイトバランスモードでは、自動で色温度を設定するため、同じ照明条件においては、同様な色温度設定となる。そのため、同じ照明条件のときは、他の色温度を設定することが難しく、ユーザが表現したい色合によっては、被写体が期待する色合にならない撮影画像が得られることがあった。一方、マニュアルホワイトバランスモードによれば、所望の色合を表現するために、マニュアルにより色温度を設定することができるが、ホワイトバランスの知識がない撮影者にとっては、扱いが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、被写体に適した色合を、ユーザがより容易に選択できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の撮像装置は、被写体像を撮像して画像を生成する撮像センサと、生成された画像に基づいて、ホワイトバランス調整の際の基準色温度を判定する判定部と、判定結果に基づいて、画像にホワイトバランス調整を施すホワイトバランス調整部と、ユーザによる指定操作に応じて、判定部が、第一の色温度範囲から基準色温度を判定するか、第一の色温度範囲とは異なる第二の色温度範囲から基準色温度を判定するか、を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被写体に適した色合を、ユーザがより容易に選択できる撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の前面構成図
【図2】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の背面構成図
【図3】実施の形態1に係るデジタルカメラ100の電気的構成図
【図4】BM積算回路170の機能の概要を説明するための図
【図5】実施の形態1に係るWB制御回路180の構成図
【図6】実施の形態1に係る色調整動作フローチャート
【図7】AWBモード選択画面のイメージ図
【図8】BMデータのプロット結果に基づく光源推定を説明するための図
【図9】AWBモードに応じた、ホワイトバランス制御値の追従範囲と光源毎の重み付けを説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施の形態1〕
実施の形態1のデジタルカメラ100は、CCDイメージセンサ120により生成された画像情報に対してユーザーの選択したオートホワイトバランスモード(以下、AWBモード)に従ってホワイトバランス制御値を算出し、ホワイトバランス調節をする。ここで、デジタルカメラ100は、設定可能な色温度範囲の異なるオートホワイトバランスモードを複数有している。従って、ユーザーの好みに応じた適切な色の画像になるようホワイトバランス制御値を決定することが可能なデジタルカメラ100を提供することができる。以下、デジタルカメラ100の構成および動作を説明する。
【0010】
〔1.構成〕
以下図を用いてデジタルカメラ100の構成を説明する。
【0011】
〔1−1.デジタルカメラ100の構成〕
図1は、デジタルカメラ100の前面構成図である。デジタルカメラ100は前面に光学系110を納める鏡筒や、フラッシュ160を備える。また、デジタルカメラ100は上面にレリーズ釦201やズームレバー202、電源203などの操作釦を備える。
【0012】
図2は、デジタルカメラ100の背面構成図である。デジタルカメラ100は背面に液晶モニタ123や、中央釦203や十字釦204などの操作釦を備える。
【0013】
図3は、デジタルカメラ100の電気的構成図である。デジタルカメラ100は、光学系110を介して形成された被写体像をCCDイメージセンサ120で撮像する。CCDイメージセンサ120は撮像した被写体像に基づく画像情報を生成する。撮像により生成された画像情報は、AFE(アナログ・フロント・エンド)121や画像処理部122において各種処理が施される。生成された画像情報はフラッシュメモリ142やメモリカード140に記録される。フラッシュメモリ142やメモリカード140に記録された画像情報は、使用者による操作部150の操作を受け付けて液晶モニタ123上に表示される。以下で、図1から図3に示す各構成の詳細を説明する。
【0014】
光学系110は、フォーカスレンズ111やズームレンズ112、絞り113、シャッタ114等により構成される。図示していないが、光学系110は、光学式手ぶれ補正レンズOIS(Optical Image Stabilizer)を含んでいてもよい。なお、光学系110を構成する各種レンズは何枚から構成されるものでも、何群から構成されるものでもよい。
【0015】
フォーカスレンズ111は被写体のフォーカス状態の調節に用いられる。ズームレンズ112は被写体の画角の調節に用いられる。絞り113は、CCDイメージセンサ120に入射する光量の調節に用いられる。シャッタ114は、CCDイメージセンサ120に入射する光の露出時間を調節する。フォーカスレンズ111、ズームレンズ112、絞り113、シャッタ114は、それぞれに対応したDCモータやステッピングモータ等の駆動手段により、コントローラ130から通知された制御信号に従って駆動される。
【0016】
CCDイメージセンサ120は、光学系110を通して形成された被写体像を撮像して画像情報を生成する。CCDイメージセンサ120の受光面には多数のフォトダイオードが2次元的に配列されている。また、各フォトダイオードに対応してR、G、Bの原色カラーフィルタが所定の配列構造で配置されている。撮像対象となる被写体からの光は、光学系110を通過した後に、CCDイメージセンサ120の受光面に結像される。結像された被写体像は、各フォトダイオードへ入射した光量に応じてR、G、Bに仕分けられたそれぞれ色情報に変換される。その結果、被写体像を示す全体の画像情報が生成される。各フォトダイオードは、CCDイメージセンサ120の画素に対応する。しかし、各フォトダイオードから実際に出力される色情報は、R、G、Bのいずれかの原色情報である。そのため、各画素のそれぞれで発現させるべき色は、後段の画像処理部122において、各画素に対応するフォトダイオードおよび、その周辺のフォトダイオードから出力される原色情報(色、光量)に基づき生成される。以下の説明において、各画素のそれぞれで発現すべき色を構成するR、G、Bの組合せを(R、G、B)と表記することにする。このとき、(R,G,B)の各成分のR、G,Bは、それぞれの原色の組合せ度合を示す。なお、CCDイメージセンサ120は、デジタルカメラ100が撮影モードにあるとき、一定時間ごとに新しいフレームの画像情報を生成することができる。
【0017】
AFE121では、CCDイメージセンサ120から読み出された画像情報に対して相関二重サンプリングによる雑音抑圧、アナログゲインコントローラによるADコンバータ133の入力レンジ幅への増幅、ADコンバータによるAD変換が施される。その後、AFE121は画像情報を画像処理部122に出力する。
【0018】
画像処理部122は、AFE121から出力された画像情報に対して各種の処理を施す。各種処理としては、BM(ブロックメモリ)積算、スミア補正、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、YC変換処理、電子ズーム処理、圧縮処理、伸張処理等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。画像処理部122は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータなどで構成してもよい。またコントローラ130などとともに1つの半導体チップで構成してもよい。
【0019】
BM積算回路170は、入力された画像情報に対してBMデータを生成するために、画像処理部122に有する回路である。図4は、BM積算回路170の機能の概要を説明する図である。図4(a)に示すように、BM積算回路170は、入力された同一フレームの画像情報を、例えば、縦12×横12の144個のブロックに分割する。ここで、図4(b)に示すように、分割された各ブロックは、R,G,Bの各原色情報をブロック内に含まれる画素数分有する。続いて、BM積算回路170は、各ブロックにおいて、ブロック内に含まれる画素数分のR,G,Bの各チャネルの値を積算し、ブロック内のR,G、Bの平均値を算出する。この算出されたブロック内のR,G、Bの平均値を、以下の説明においてBMデータと呼ぶことにする。算出されたBMデータは、ブロック毎にメモリ(不図示)に格納され、必要に応じて取り出される。以上のようにして、BM積算回路170は、分割した144個のブロックのそれぞれにおいてBMデータを生成する。
【0020】
ホワイトバランス制御回路180(以下WB制御回路180と呼ぶことにする)は、入力された画像情報に対してホワイトバランス調節をするために、画像処理部122に有する回路である。図5にWB制御回路180の構成を示す。WB制御回路180は、入力端子181、光源推定部182、追従制御部183、出力端子184により構成され、コントローラ130に有するAWBモード設定部131からAWBモード設定情報を受ける。AWBモード設定情報は、複数のAWBモードのうち、ユーザがいずれのAWBモードを選択したかを示す情報である。光源推定部182と、追従制御部183は、AWBモード設定情報を受けることで、ユーザが選択したAWBモードに応じた制御を行なうことができる。入力端子181は、入力されたBMデータや画像情報を、光源推定部182と、追従制御部183にそれぞれ供給する。光源推定部182、追従制御部183のそれぞれの機能の詳細については、実施の形態1の動作の項で説明する。出力端子184は、光源推定部182、追従制御部183によって適切な色に調節された画像情報を出力する。WB制御回路180から出力された画像情報は、画像処理部122による他の画像処理が施される。
【0021】
液晶モニタ123は、デジタルカメラ100の背面に備わる。液晶モニタ123は使用者が設定可能なデジタルカメラ100の設定をアイコンで表示する。使用者が操作部150を操作すると、操作内容に応じて液晶モニタ123に表示するアイコンが変化し、使用者は液晶モニタ123で確認しながらデジタルカメラ100の設定を選択、決定することが出来きる。液晶モニタ123は、画像処理部122にて処理された画像情報に基づく画像を表示する。液晶モニタ123が表示する画像には、スルー画像や記録画像がある。スルー画像は、CCDイメージセンサ120により一定時間ごとに生成される新しいフレームの画像を連続して表示する画像である。通常は、デジタルカメラ100が撮影モードにあるときに、画像処理部122がCCDイメージセンサ120の生成した画像情報からスルー画像を生成する。使用者は、液晶モニタ123に表示されるスルー画像を参照することにより、被写体の構図を確認しながら撮影できる。記録画像は、デジタルカメラ100が再生モードにあるときに、メモリカード140等に記録された高画素の画像を液晶モニタ123に表示するために低画素に縮小した画像である。メモリカード140に記録される高画素の画像情報は、使用者によるレリーズ釦201の操作を受け付けた後に、CCDイメージセンサ120が生成した画像情報に基づいて画像処理部122により生成される。
【0022】
コントローラ130は、デジタルカメラ100全体の動作を統括制御する。コントローラ130は、AWBモード設定部131を有している。AWBモード設定部131は、操作部150からの入力に基づいてAWBモードを設定する。AWBモード設定部131の機能の詳細については、実施の形態1の動作の項で説明する。コントローラ130は、プログラム等の情報を格納するROMや、プログラム等の情報を処理するCPUなどにより構成される。ROMは、オートフォーカス制御(AF制御)や自動露出制御(AE制御)、フラッシュ160の発光制御に関するプログラムの他、図9に示すようなAWBモードに応じた、ホワイトバランス制御値の追従範囲と光源毎の重み付けの情報を格納している。また、ROMは、デジタルカメラ100全体の動作を統括制御するためのプログラムを格納している。
【0023】
コントローラ130は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、マイクロコンピュータなどで構成してもよい。また、画像処理部122などと共に1つの半導体チップで構成してもよい。また、ROMはコントローラ130の内部構成である必要はなく、コントローラ130の外部に備わったものでもよい。
【0024】
バッファメモリ124は、画像処理部122やコントローラ130のワークメモリとして機能する記憶手段である。バッファメモリ124はDRAM(Dynamic Random Access Memory)などで実現できる。また、フラッシュメモリ142は、画像情報等を記録するための内部メモリとして機能する。
【0025】
カードスロット141は、メモリカード140を着脱可能な接続手段である。カードスロット141は、メモリカード140を電気的及び機械的に接続可能である。また、カードスロット141は、メモリカード120を制御する機能を備えてもよい。
【0026】
メモリカード140は、内部にフラッシュメモリ等の記録部を備えた外部メモリである。メモリカード140は、画像処理部122で処理される画像情報などのデータを記録可能である。
【0027】
操作部150は、デジタルカメラ100の外装に備わっている操作釦や操作ダイヤルの総称であり、使用者による操作を受け付ける。例えば図1や図2に示したレリーズ釦201や、ズームレバー202、電源釦203、中央釦204、十字釦205などがこれにあたる。操作部150は使用者による操作を受け付けると、コントローラ130に種々の動作指示信号を通知する。
【0028】
レリーズ釦201は、半押し状態と全押し状態の二段階押下式釦である。レリーズ釦201が使用者により半押しされると、コントローラ130は、AF(Auto Focus)制御や、AE(Auto Exposure)制御を実行し撮影条件を決定する。続いて、レリーズ釦201が、使用者により全押しされると、コントローラ130は、全押しのタイミングに撮像された画像情報を記録画像としてメモリカード140等に記録する。
【0029】
ズームレバー202は画角調節についての広角端と望遠端を有する中央位置自己復帰式のレバーである。ズームレバー202は、使用者により操作されるとコントローラ130にズームレンズ112を駆動するための動作指示信号を通知する。すわなち、ズームレバー202が広角端に操作されると、コントローラ130は、被写体を広角で捉えられるようにズームレンズ112を駆動する。同様に、ズームレバー201が望遠端に操作されると、コントローラ130は、被写体を望遠で捉えられるようにズームレンズ112を駆動する。
【0030】
電源釦203は、デジタルカメラ100を構成する各部への電力供給をON/OFFするための押下式釦である。電源OFF時に電源釦203が使用者により押下されると、コントローラ130はデジタルカメラ100を構成する各部に電力を供給し、起動させる。また、電源ON時に電源釦203が使用者により押下されると、コントローラ130は各部への電力供給を停止する。
【0031】
中央釦204は、押下式釦である。デジタルカメラ100が撮影モードあるいは再生モードにあるときに、中央釦204が使用者により押下されると、コントローラ130は液晶モニタ123にメニュー画面を表示する。メニュー画面は、撮影/再生のための各種条件を設定するための画面である。各種条件の設定項目が選択されているときに押下されると、中央釦204は決定釦としても機能する。
【0032】
十字釦205は、上下左右方向に設けられた押下式釦である。使用者は、十字釦205のいずれかの方向を押下することにより、液晶モニタ123に表示される各種条件項目を選択することができる。
【0033】
フラッシュ160は、キセノン管と、コンデンサと、昇圧回路と、発光トリガ回路などから構成される。昇圧回路は、コントローラ130からの制御信号に従って、コンデンサに高電圧を印加する。発光トリガ回路は、コントローラ130からの制御信号に従って、印加充電されたコンデンサの高電圧を放電させて、キセノン管内のキセノンガスを瞬間的に発光させる。発光トリガ回路は、コンデンサの高電圧を撮影と同期して放電させる。これにより、デジタルカメラ100は、発光された被写体を撮影することができる。すなわち、フラッシュ113が被写体に対して撮像時に瞬間的に発光することによって、被写体の明るさを補った撮影ができる。なお、フラッシュ160の発光には、プリ発光と本発光がある。プリ発光は、フラッシュ発光による被写体からの反射光量の度合(以下、反射レベルと称す)に基づいて被写体までの距離を判定し、判定結果に応じて撮影時のフラッシュ113の発光量を求めるための、撮影事前の発光である。本発光は、プリ発光により求められた発光量により、撮影のタイミングと同期して実行される発光である。
【0034】
〔1−2.本発明との対応関係〕
CCDイメージセンサ120は、本発明の撮像センサの一例である。光源推定部182は、本発明の判定部の一例である。追従制御部183は、本発明のホワイトバランス調整部の一例である。コントローラ130は、本発明の制御部の一例である。デジタルカメラ100は、本発明の撮像装置の一例である。
【0035】
〔2.動作〕
以下図6を用いてデジタルカメラ100の色調整動作を説明する。図6は、実施の形態1に係るデジタルカメラ100の色調整動作フローチャートである。
【0036】
液晶モニタ123にメニュー画面を表示しているとき、ユーザの操作を受け付けて、コントローラ130は、AWBモード選択画面に移行するよう表示制御することができる。図7は、AWBモード選択画面のイメージ図である。AWBモード選択画面において、ユーザは、複数のAWBモードからいずれか一つを選択できる。図7の例では、液晶モニタ123は、AWBモード選択画面において、ノーマルAWBモードを示すアイコン、風景AWBモードを示すアイコン、夜景AWBモードを示すアイコン、パーティーAWBモードを示すアイコン、カスタムAWBモードを示すアイコンを表示している。ユーザは、十字釦および決定釦を操作することにより、いずれのアイコン(すなわち、いずれのAWBモード)を選択するかを決定することができる。ユーザにより、いずれかのAWBモードが選択されると、コントローラ130内のAWBモード設定部131は、ユーザが操作部150を操作した入力に基づいてAWBモードを設定する(S301)。
【0037】
デジタルカメラ100が撮影モードにあるとき、CCDイメージセンサ120は、被写体像を撮像して画像情報を生成する(S302)。コントローラ130は、CCDイメージセンサ120が生成した画像情報を、AFE121において各種の処理が施した後、画像処理部122に出力する。続いて、コントローラ130は、画像処理部122に入力された画像情報から、上述のとおり、BM積算回路170にて、分割されたブロックのそれぞれのBMデータを生成する(S303)。コントローラ130は、生成された画像情報および、BMデータをWB制御回路180に出力する。
【0038】
コントローラ130は、分割されたブロックのそれぞれのBMデータをWB制御回路180内の光源推定部182に出力する。図8は、BMデータのプロット結果に基づく光源推定を説明するための図である。図8において、個々のBMデータは、RゲインとBゲインの座標にプロットされている。この座標の左上にプロットされるほど、そのBMデータは高色温度に属し、この座標の右下にプロットされるほど、そのBMデータは低色温度に属することを意味する。本実施の形態においては、144個のBMデータが存在するが、図8においては、説明の都合上、数個のBMデータのプロット状況のみを示している。図8に示すように、RゲインとBゲインの座標上において、複数の光源推定範囲が設定されている。図8に示す例では、日陰、晴天、蛍光灯、白熱灯の光源推定範囲が設定されている。光源推定部182は、入力されたBMデータのプロットが、いずれの光源推定範囲に分布しているかに基づいて、ホワイトバランス調整のために基準とする光源を推定することができる。
【0039】
AWBモード設定部131は使用者が選択したAWBモード設定情報を光源推定部182と追従制御部183に出力する。光源推定部182は、入力されたBMデータに基づいて、各BMデータに対するWB制御値(ゲイン)をそれぞれ算出する。このとき、光源推定部182は、設定されているAWBモードに従ってROMから読み出した重み付け情報に基づいて、算出したWB制御値に重み付けを行なう。AWBモードに従って読み出した重み付け情報は、光源毎の重み度合いが記述された情報である。具体的には、日陰、晴天、蛍光灯、白熱灯のそれぞれの光源に対して、設定されているAWBモードにおける重み付けの度合が記述されている。図9は、AWBモードに応じた、ホワイトバランス制御値の追従範囲と光源毎の重み付けを説明するための図である。図9(A)に示すように、ノーマルAWBモードのときは、日陰、晴天、蛍光灯、白熱灯のそれぞれの光源に対する重み付け度合いが同等になるようにしている。図9(B)に示すように、風景AWBモードのときは、屋外を示す日陰や晴天の重み付けが、屋内を示す蛍光灯や白熱灯の重み付けよりも大きくなるようにしている。図9(C)に示すように、夜景AWBモードのときは、夜景の色を強調できるように、日陰と白熱灯の重み度合は、晴天と蛍光灯の重み度合よりも小さくなるようにしている。図9(D)に示すように、パーティーAWBモードのときは、暖色の光源(白熱灯)の重み度合を大きくするようにしている。以上のように、光源推定部182は、各光源推定範囲における重み付け後のWB制御値を加算平均して、基準色温度を算出する(S304)。光源推定部182は、算出した基準色温度を追従制御部183に通知する。
【0040】
このとき、追従制御部183は、設定されているAWBモードに従ってROMから色温度制御の追従範囲情報を読み出して、このAWBモードに対応する色温度制御の追従範囲を設定する(S305)。AWBモードに従って読み出した色温度制御の追従範囲情報には、AWBモードごとの色温度の追従範囲が記述されている。図9(A)に示すように、ノーマルAWBモードのときは、一般的な撮影シーンに適すると想定される8000Kから2800Kの色温度の追従範囲が記述されている。図9(B)に示すように、風景AWBモードのときは、ノーマルAWBモードにおける色温度の追従範囲よりも、高色温度側に色温度の追従範囲を限定するよう記述されている。図9(C)に示すように、夜景AWBモードのときは、ノーマルAWBモードにおける色温度の追従範囲に対して、夜景の色を印象的に表現するために、低色温度側はやや高い色温度に設定され、高色温度側は低めの色温度に設定するように記述されている。図9(D)に示すように、パーティーAWBモードのときは、低色温度の光源が存在すると想定され、この低色温度の光源下での撮影画像に対する光源の色合の影響を少なくするために、ノーマルAWBモードにおける色温度の追従範囲よりも、低色温度側をより低色温度になるよう記述している。以上のように、追従制御部183は、AWBモードに対応する色温度制御の追従範囲を設定する。
【0041】
追従制御部183は、設定した色温度制御の追従範囲と、S304にて算出した基準色温度とを比較する(S306)。設定した色温度制御の追従範囲内に、算出した基準色温度が含まれる場合(S306におけるYes)、追従制御部183は、算出したWB制御値(基準色温度)を採用し、ホワイトバランス調整を行なう(S307)。一方、設定した色温度制御の追従範囲内に、算出した基準色温度が含まれない場合(S306におけるNo)、追従制御部183は、追従範囲端でクリップしたWB制御値を採用し、ホワイトバランス調整を行なう(S308)。すなわち、基準色温度が追従範囲外であった場合には、WB制御値として基準色温度ではなく、追従範囲端における色温度を示すWB制御値が採用される。
【0042】
以上のように、デジタルカメラ100は、色温度制御の追従範囲の異なる複数のAWBモードを有しており、ユーザが選択したAWBモードに従って、ホワイトバランス処理を行なう。これにより、ユーザの好みに応じた適切な色の画像を撮影することができる。
【0043】
続いて、S301において、カスタムAWBモードが選択された場合について説明する。カスタムAWBモードでは、ユーザは、自分の好みの色温度制御の追従範囲となるように、上限色温度又は下限色温度を自由に指定することができる。例えば、色温度制御の追従範囲の上限色温度として9000Kを指定し、下限色温度として2000Kを指定したとする。このとき、追従制御部183は、9000Kから2000Kの色温度範囲を追従範囲として設定する。これにより、ユーザは、自分の好みに合わせて自由にオートホワイトバランスの色温度範囲を設定することができる。
【0044】
〔3.まとめ〕
以上のように、実施の形態1に係るデジタルカメラ100は、被写体像を撮像して画像を生成するCCDイメージセンサ120と、生成された画像に基づいて、ホワイトバランス調整の際の基準色温度を判定する光源推定部182と、判定結果に基づいて、画像にホワイトバランス調整を施す追従制御部183と、ユーザによる指定操作に応じて、光源推定部182が、ノーマルAWBモードの色温度範囲から基準色温度を判定するか、ノーマルAWBモード色温度範囲とは異なる他のAWBモード(風景AWBモード、夜景AWBモード、パーティーAWBモード、カスタムAWBモード)の色温度範囲から前記基準色温度を判定するか、を制御するコントローラ130と、を備える。これにより、デジタルカメラ100は、ユーザによる指定操作に応じて、互いに異なる複数の色温度範囲からホワイトバランス調整のための色温度範囲を選択して、ホワイトバランス調整を行なうことができる。デジタルカメラ100によれば、ユーザは、被写体に適した色合をより容易に選択することができる。
【0045】
上記実施の形態に係るデジタルカメラ100は更に、液晶モニタ123と、ノーマルAWBモードの色温度範囲を指定するためのアイコンと、他のAWBモード(風景AWBモード、夜景AWBモード、パーティーAWBモード、カスタムAWBモード)の色温度を指定するためのアイコンとを、合わせて表示するよう液晶モニタ123を制御するコントローラ130と、を備える。このとき、コントローラ130は、ノーマルAWBモードを示すアイコンと、他のAWBモード(風景AWBモード、夜景AWBモード、パーティーAWBモード、カスタムAWBモード)のアイコンとのいずれをユーザが指定操作したかに応じて、光源推定部182が、ノーマルAWBモードの色温度範囲から基準色温度を判定するか、ノーマルAWBモードの色温度範囲とは異なる他のAWBモード(風景AWBモード、夜景AWBモード、パーティーAWBモード、カスタムAWBモード)の色温度範囲から基準色温度を判定するか、を制御する。従って、液晶モニタ123に合わせて表示されたアイコンの選択することにより、ユーザは、互いに異なる色温度範囲を示すAWBモードを選択することができる。これにより、ユーザは、被写体に適した色合をより容易に選択することができる。また、それぞれのアイコンは、特定の撮影シーンを示しているため、ユーザは、被写体の撮影シーンに適した色合をより容易に選択することができる。
【0046】
上記実施の形態にかかるデジタルカメラ100は、生成された画像に、互いに異なる色温度の光源色が存在すると判定された場合、ノーマルAWBモードの色温度範囲と、他のAWBモード(風景AWBモード、夜景AWBモード、パーティーAWBモード、カスタムAWBモード)の色温度範囲とで、光源推定部182が基準色温度を判定する際の光源色それぞれの重み付けを変更する画像処理部122を更に備える。これにより、デジタルカメラ100は、ユーザにより選択された撮影シーンに応じて、光源の重み付けを変更することができる。これにより、ユーザは、被写体の撮影シーンに適した色合をより容易に選択することができる。
【0047】
また、上記実施の形態にかかるデジタルカメラ100は、被写体像を撮像して画像を生成するCCDイメージセンサ120と、生成された画像に基づいて、ホワイトバランス調整の際の基準色温度を判定する光源推定部182と、判定結果に基づいて、画像にホワイトバランス調整を施す追従制御部183と、ユーザによる指定操作を受け付けて、光源推定部182が基準色温度を判定するときの色温度範囲を設定するコントローラ130と、を備える。これにより、ユーザは自分の好みの色温度範囲に基づいて、ホワイトバランス調整を行なうことができる。
【0048】
また、上記実施の形態にかかるデジタルカメラ100において、コントローラ130は、ユーザから色温度範囲の上限値および下限値を指定されることにより、色温度範囲を設定する。これにより、ユーザは、ホワイトバランス調整を行なうときに参照する色温度範囲を指定することができる。
【0049】
〔他の実施の形態〕
本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の実施形態が考えられる。以下、本発明の他の実施の形態についてまとめて記載する。
【0050】
上記実施の形態において、CCDイメージセンサ120を、撮像部の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、CMOSイメージセンサや、NMOSイメージセンサなど他の撮像素子であっても本発明に適用可能である。また上記実施の形態において、色分離のためのフィルタ構成を、RGBの原色フィルタとしたが、CMY等の補色フィルタでも良い。また、RGBそれぞれについて撮像素子を持つ3板式か、それ以上でも良い。
【0051】
上記実施の形態において、光源推定部182、追従制御部183を、WB制御回路180を構成する回路の一部として説明したが本発明はこれに限定されない。すなわち、光源推定部182、追従制御部183と同様の機能を、コントローラ130や画像処理部122が所定のプログラムを実行することにより実現するようにしてもよい。
【0052】
上記実施の形態において、アイコンにより、ユーザはAWBモードを選択するようにしたが、これに限定されない。例えば、AWBモードを示す文字列を表示した表示体により、ユーザはAWBモードを選択するようにしてもよい。
【0053】
上記実施の形態において、ユーザが選択可能なAWBモードは、ノーマルAWBモード、風景AWBモード、夜景AWBモード、パーティーAWBモードに限定されない。すなわち、撮影シーンの種類に応じて、好適な重み付け条件や、色温度制御の追従範囲が設定された他のAWBモードを有していてもよい。
【0054】
以上のように、本発明によれば、被写体に適した色合を、ユーザがより容易に選択できる撮像装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明はデジタルカメラ100への実施に限定されない。すなわち、ムービーカメラやカメラ付き携帯電話など、撮像時にホワイトバランス調節を行う撮像装置に本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
100 デジタルカメラ
111 フォーカスレンズ
112 ズームレンズ
113 絞り
114 シャッタ
120 CCDイメージセンサ
121 AFE(アナログ・フロント・エンド)
122 画像処理部
123 液晶モニタ
124 バッファメモリ
130 コントローラ
131 AWBモード設定部
140 メモリカード
141 カードスロット
142 フラッシュメモリ
150 操作部
160 フラッシュ
170 BM積算回路
180 WB制御回路
181 入力端子
182 光源推定部
183 追従制御部
184 出力端子
201 レリーズ釦
202 ズームレバー
203 電源釦
204 中央釦
205 十字釦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像して画像を生成する撮像センサと、
前記生成された画像に基づいて、ホワイトバランス調整の際の基準色温度を判定する判定部と、
前記判定結果に基づいて、前記画像にホワイトバランス調整を施すホワイトバランス調整部と、
ユーザによる指定操作に応じて、前記判定部が、第一の色温度範囲から前記基準色温度を判定するか、前記第一の色温度範囲とは異なる第二の色温度範囲から前記基準色温度を判定するか、を制御する制御部と、
を備えた撮像装置。
【請求項2】
表示部と、
前記第一の色温度範囲を指定するための第一の表示体と、前記第二の色温度を指定するための第二の表示体とを、合わせて表示するよう前記表示部を制御する表示制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第一の表示体と、前記第二の表示体とのいずれをユーザが指定操作したかに応じて、前記判定部が、第一の色温度範囲から前記基準色温度を判定するか、前記第一の色温度範囲とは異なる第二の色温度範囲から前記基準色温度を判定するか、を制御する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
撮影シーンに応じた好適な撮影条件が設定された複数の撮影シーンモードを有し、
前記第一の表示体は、第一の撮影シーンを示す表示体であり、
前記第二の表示体は、前記第一の撮影シーンとは異なる第二の撮影シーンを示す表示体である、
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記生成された画像に、互いに異なる色温度の光源色が存在すると判定された場合、前記第一の色温度範囲と、前記第二の色温度範囲とで、前記判定部が前記基準色温度を判定する際の前記光源色それぞれの重み付けを変更する変更部を更に備えた、
請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
被写体像を撮像して画像を生成する撮像センサと、
前記生成された画像に基づいて、ホワイトバランス調整の際の基準色温度を判定する判定部と、
前記判定結果に基づいて、前記画像にホワイトバランス調整を施すホワイトバランス調整部と、
ユーザによる指定操作を受け付けて、前記判定部が前記基準色温度を判定するときの色温度範囲を設定する設定部と、を備えた、
撮像装置。
【請求項6】
前記設定部は、ユーザから前記色温度範囲の上限値および下限値を指定されることにより、前記色温度範囲を設定する、
請求項5に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−227744(P2012−227744A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93759(P2011−93759)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】