説明

撮影モード自動設定カメラ

【課題】 被写体及び撮影シーンを認識して、複数の撮影モードの中から最適な撮影モードを自動的に設定する事によって、撮影者が特別な撮影知識を持たなくとも被写体やシーンにあった良好な写真を撮影する事ができる。
【解決手段】 少なくとも被写体が顔を含むかを認識する顔認識手段と被写体の状態を検知する手段を備え、両手段の出力情報に基づいてカメラの撮影モードを設定する。被写体の状態:被写体の動き、被写体の位置、被写体輝度、撮影時間。撮影モードの設定:Tv値、Av値、プログラム、線図、露出(調光補正)、ストロボ発光、ズームAFモード、給送モード、測光モードなど。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は撮影する被写体を認識する、特に顔を認識することが可能な手段を備え、複数の撮影モードの中から最適な撮影モードを自動的に設定する撮影モード自動設定カメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近のカメラは機能の自動化が進み、例えば図9に示すように撮影モードダイヤルに複数の撮影モードを持たせ、撮影者が撮影したいシーンに応じてそれに対応した絵表示の位置にダイヤルをセットすればカメラがあらかじめプログラミングしていた制御方法でカメラを動作させるさせることができるようになっている(図9:ピクチャーセレクターモードが相当する)。したがってユーザーは特にカメラの機能の知識がなくとも、撮りたい撮影シーンや状況に応じて絵表示の中から一つを選べば後はシャッターを押すだけという簡便なものであった。しかしながら撮影シーンに応じて適切な制御をやろうとすればするほど選択する撮影モードの数が多くなり、選択するのが煩わしいとともにあまり多くなるとどれを選択していいのか分からなくなってしまうという問題が生じていた。また一度選択してもその後の被写体や背景の変化などで設定し直しをする必要が生じたりして、速写性に欠けるものとなってしまっていた。
【0003】そこで撮影シーンに応じて最適な握影モードを自動選択するカメラが望まれてきていた。従来この種の発明もなされていて例えば特開平10−161174号公報にて撮影モード自動選択装置を備えたカメラ提案されている。ここでの撮影モード自動選択はプログラム露出モードをノーマルモード、人物モード、風景モード、マクロモード、動体モードの中から撮影レンズの撮影距離及び焦点距離情報に基づいてカメラが自動選択を行うというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのような撮影距離や焦点距離情報だけでは正確な撮影シーンを判別することはできず、誤った選択を実際には行ってしまう場合が容易に想定できる。特に同じような位置や撮影倍率にある被写体に対して人物が物体であるかは判断できないものであり、撮影者は所望する写真が撮れないことになってしまう。また同じ人物シーンや、風景シーンであっても実際にはさまざまなシーンが存在し、これらのシーンに応じてさらに高度に制御することは不可能であった。
【0005】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、本出願に関わる第一の発明の目的は正確に撮影者の撮影するシーンを認識して複数の撮影モードの中から最適な撮影モードを自動的に設定する撮影モード自動設定カメラを提供する事にある。
【0006】本出願に関わる第二の発明の目的は同じ人物シーンや風景シーンであってもさらに高度に撮影モードを制御し、良好な写真を提供できる撮影モード自動設定カメラを提供する事にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する為に請求項1に記載の撮影モード自動設定カメラは被写体を撮像する複数の画素からなるエリアセンサーと前記エリアセンサーの出力をもとに少なくとも被写体が顔を含むかを認識する顔認識手段と被写体の状態を検出する被写体状態検出手段とを備えたカメラにおいて前記顔認識手段と状態検出手段の出力情報に基づいてカメラの撮影モードを設定する事を特徴とする。
【0008】上記構成において、正確に撮影者の撮影するシーンを認識して複数の撮影モードの中から最適な撮影モードを自動的に設定するようにしている。
【0009】又、前記目的を達成する為に請求6に記載の撮影モード自動設定カメラは被写体を撮像する複数の画素からなるエリアセンサーと前記エリアセンサーの出力をもとに少なくとも被写体が顔を含むみかつ顔の数を認識する顔認識手段とを備えたカメラにおいて前記顔認識手段の出力情報に基づいてカメラの撮影モードを設定する事を特徴とする。
【0010】上記構成において同じ人物シーンや、風景シーンであってもさらに高度に撮影モードを制御し、良好な写真を提供できるようにしている。
【0011】
【発明の実施の形態】<第1の実施形態>以下本発明を図示の実施形態をもとに詳細に説明する。
【0012】図1は本発明を一眼レフカメラに適用した際の要部構成図である。
【0013】図1において1は撮影レンズ(簡略して4枚のみで図示)でその構成レンズの一部1aは焦点位置を調節するフォーカス用レンズ、1bはぶれ補正用レンズで図面上の垂直な平面において移動することが可能となっており、それによってレンズの結像面内で結像位置が変化させることによって公知の手ぶれ補正を行えるようになっている。2は主ミラーでファインダー系による被写体像の観察状態と被写体像の撮影状態に応じて撮影光路へ斜設されあるいは待避される。3はサブミラーで主ミラー2を透過した光束をカメラボディの下方の後述する焦点検出装置6へ向けて反射する。4はシャッター、5はレンズ1の焦点面に位置するフィルムないし固体撮像素子である画像記録部材。6は焦点検出装置で結像面近傍に配置された視野マスク61、フィールドレンズ62、反射ミラー63,66、二次結像レンズ65、絞り64、公知の位相差検出方式の焦点検出用ラインセンサー67等から構成されている。焦点検出装置は最近では画面の中央だけでなくその周辺においても複数の焦点検出点を設けたものが実現されている。本実施形態においてもこのような複数の焦点検出点を備えた集点検出装置を想定しているが、公知な技術であり詳細な説明は省略する。7は撮影レンズ1の予定結像面に配置されたピント板、8はペンタブリズム、9と10はそれぞれファインダー観察面内の被写体輝度を測定するための結像レンズと測光センサーで、測光センサー10は画面内の複数の領域を測光できるように複数のフォトダイオードから構成されている。11はファインダー光路内に設けた半透過ミラーでファインダー光の一部は図面上方に反射され、結像レンズ12によって公知のエリアセンサー13にピント板7に結像している被写体像を再結像する。一方透過したファインダー光は接眼レンズ14に導かれ、撮影者が被写体像を拡大しできるようになっている。15はペンタブリズム8の前面に配置したストロボユニットで発光時にはポップアップするリトラクタブルし機構を備えている。16は撮影者の手ぶれを検出するために光軸に対してピッチ方向とヨー方向の角速度を検出するように配置された振動ジャイロなどのぶれ演出センサー、31は最影レンズ1内に設けた絞り、32は絞り駆動装置、33はフォーカスレンズ駆動用モーター、34は駆動ギヤ等からなるフォーカスレンズ駆動装置、35はフォトカプラとフォーカスレンズ駆動装置34に取り付けたパルス板からなるエンコーダーでフォーカスレンズ駆動装置34の駆動量を検知してレンズ制御回路104に伝えており、レンズ制御回路104はこの情報とカメラからフォーカスレンズ駆動量の情報に基づいてレンズ駆動用モーター33を所定量駆動させフォーカスレンズ1aを合焦位置に移動させるようになっている。
【0014】36は撮影レンズ1の絶対位置を検出しカメラから被写体までの距離を得るために設けた被写体距離検出手段であり、例えば至近位置から無限遠までを4bit程度のコードパターンからなり、不図示のブラシ接点を用いて合焦位置での被写距離が検出できるようになっている。37は撮影レンズの焦点距離を検知する焦点距離検出手段であり不図示のブラシ接点を用いてズーミングするレンズに応じた焦点距離情報が検出できるようになっている。
【0015】38はぶれ補正用レンズを図面上の垂直な平面において移動させることを可能とするシフトレンズ駆動装置である。
【0016】39は公知のカメラとレンズとの電気的インターフェイスとなるマウント接点である。
【0017】図2は上記構成よりなる一眼レフカメラの上面図である。41はレリーズボタン、42は外部モニター用LCD、43はカメラのメインスイッチと撮影モードの選択を行うモードダイヤルである。従来例でのモードダイヤルと異なるのは絵文字の位置で設定するようにしていた複数の撮影プログラムモードは廃止され、その機能はすべて全自動モード43aで行うように組み込まれポジション数が大幅に削減されていることにある。
【0018】図3は上記構成の一眼レフカメラに内蔵された電気回路の構成を示すブロック図であり、図1と同一のものは同じ番号をつけている。
【0019】カメラ本体に内蔵されたマイクロコンピュータのカメラ制御用中央処理装置(以下CPUと略す)101はその内部に本発明での特徴である撮影モード設定回路101aを備えている。
【0020】CPU101にはカメラの諸機能を制御するために各種制御回路が接続されている。
【0021】測光回路102は測光センサー10からの信号を増幅後、対数圧縮、A/D変換し、画面内の複数の領域に対応する各センサーの輝度情報としてCPU101に送信する。
【0022】焦点検出回路103は画面内の複数の位置で位相差方式の焦点検出が行えるように複数組からなるラインセンサー67からの出力をAD変換し、CPU101に送信する。
【0023】レンズ1に配置されたレンズ制御回路104はマウント接点39を介してCPU101からの制御情報をもとにフォーカスレンズ駆動モーター33を制御すること、絞り駆動装置31を制御すること、シフトレンズ駆動装置38を制御することをつかさどっている。
【0024】ストロボ制御回路105はCPU101からのストロボ発光の信号を受けるとストロボ15をポップアップさせるとともにレリーズに同期してストロボを発光させ、調光センサー55からの信号を受けてストロボ発光量を制御する。
【0025】SW−1はレリーズ釦41の第一ストロークでONし、測光、AF及び本発明の特徴である撮影モード設定動作を開始させるためのスイッチ、SW−2はレリーズ釦41の第二ストロークでONするカメラのレリーズスイッチである。SW−DIALはモードダイヤル43内に設けたダイヤルスイッチである。これらのスイッチ及び図示しないカメラに配置された各種スイッチの状態信号がSW信号入力回路106に入力され、データバスによってCPU101に送信される。
【0026】LCD駆動回路107はLCDを表示駆動させるための公知の構成よりなるもので、CPU101からの信号に従い、絞り値、シャッター秒時、設定した撮影モード等の表示をモニター用LCD42や図示しないファインダー内表示用LCDに表示させる。
【0027】シャッター制御回路108は通電すると先幕を走行させるシャッターマグネットMg−1と後幕を走行させるシャッターマグネットMg−2を制御し、感光部材に所定光量を露光させる。
【0028】モーター制御回路109はフィルムの巻き上げ、巻き戻しを行うモーターM1と主ミラー2、シャッター4のチャージを行うモーターM2を制御すためのものである。これらシャッター制御回路108とモーター制御回路109によって一連のカメラのレリーズシーケンスが動作する。
【0029】ぶれセンサー16はカメラの手ぶれによる角速度を出力し、検出検出回路111はこの角速度を実際のぶれ量に変換して撮影モード設定回路101aに送る。それとともに手ぶれ補正回路101aに送り、実際に手ぶれの補正量に相当するシフトレンズの駆動量を算出してCPU101に送信する。これを受けてCPU101は前述のようにレンズ制御回路104に制御情報を送りシフトレンズ駆動装置38を制御し手ぶれ補正を行う。
【0030】ここで説明をわかりやすくするために記載したCPU101の内部で構成される撮影モード設定回路101aへの接続を説明する。
【0031】まず前述のぶれ検出回路111が接続されており、手ぶれ量が情報信号として入力される。次にレンズ内に設けた被写体距離検出手段36、焦点距離検出手段37の信号からレンズ位置検出回路112によって被写体距離情報と撮影レンズの焦点距離が入力されるようになっている。
【0032】エリアセンサー13は主に被写体の顔情報を検出するために必要な画素数(約数10万画素)を備えたカラーエリアセンサーで公知のCCDやC−MOSセンサーからなりセンサー制御回路113にて公知の駆動方法で制御されている。センサー制御回路113に出力された被写体画像は画像処理回路114に送られAD変換し、必要に応じて記憶するとともに顔認識回路115と被写体像動きベクトル検出回路116にそれぞれ必要とする画像データを供給する。顔認識回路115には複数の焦点検出点とその周囲を含む領域の画像データ、被写体像動きベクトル検出回路116には所定の時間差を持った画像情報が出力される。
【0033】顔認識回路115では被写体像に顔があるかどうかを認識検出するもので、これについてはすでにかなりの手法が顔認識技術として実現されている。例えば撮影画像からから人の顔を抽出する手法として原画像から肌色データを抽出し、肌色範囲と判断された測光点のクラスタを顔とする方法が知られている。特開昭52−156624号公報、特開昭53−145621号公報、特開昭53−145622号公報などである。さらに特開平4−346333号公報では測光データを色相と彩度に変換し、この二次元ヒストグラムを作成、解析することで顔領域を判断する方法が開示されている。
【0034】特開平8−063597号公報においては、人の顔の形状に相当する顔候補領域を抽出し、その領域内の特徴量から顔領域を決定する。また別の方法では画像から人の顔の輪郭を抽出し、顔領域を決定する。さらに別の方法では複数の顔の形状をしたテンプレートを用意して、そのテンプレートと画像の相関を計算し、この相関値より顔候補領域とすることで人の顔を抽出する。
【0035】被写体像動きベクトル検出回路116では複数の領域ごとの時間差のある画像データから2次元の相関演算を行い動きベクトルを検出する。この場合も複数の焦点検出点を中心とした焦点検出点近傍の画像データを用い、その中で動きベクトルの平均値が最大となる領域の動きベクトルを主被写体の動きベクトルとすることが効果的である。また画像データを2次元相関演算を行わせる計算量を削減させるために、水平垂直それぞれの方向の射影像を求め、その重心位置の移動量によって動きベクトルを求めることも可能である。最近ではこのような1次元射影等の画像処理の前処理機能をC−MOSプロセスでセンサーと同一チップ上で実現した機能性光ディバイスなども開発されている(例えばOplus E No209 P107〜112に記載)。
【0036】117は撮影時の時刻を知るために、世界中どこでもわかる世界時計である。一般には撮影者がいる場所の時刻をあらかじめ入力して置くことになるが、GPS機能を持っていれば自動的に設定することも可能である。
【0037】以上のようにぶれ検出回路111、レンズ位置検出回路112、顔認識回路115、動きベクトル検出回路116、世界時計117がCPU101に接続され、撮影モード設定回路101aにカメラぶれ情報、レンズの焦点距離情報、被写体定距離情報、顔認識情報、被写体像の動きベクト情報、時間情報が入力されるようになっている。
【0038】次に上記のように構成された一眼レフカメラの動作について説明する。
【0039】図4は本実施形態の撮影動作までを示すフローチャートである。
【0040】ステップ101にてモードダイヤル42を全自動モードに設定すると電源が供給され、撮影準備状態となる。次にステップ102にてレリーズ釦41の第一ストロークでONするSW−1がONしているかを検出し、ONしていれば103へ進み、OFFであれば102の検出を繰り返す。ステップ103にて焦点検出用ラインセンサー66の出力を取り込み、各焦点検出点のディフォーカス量を算出する。そして公知の自動選択アルゴリズムによって主被写体があると思われる焦点検出点を1つ決定する。これは一般的には「中央重視」、「近点優先」「大ディフォーカスの至近点排除」といった従来実現されているアルゴリズムで構成されている。次にステップ104に進み、CPU101はレンズ制御回路104に信号を送ってフォーカスレンズを該デイフォーカス量に応じて所定量だけ駆動させ、レンズの焦点調節を行う。次にステップ105に進み、CPU101は測光回路102に測光を行わせる。そして全測光領域の輝度を検出するとともに合焦した焦点検出点を含む測光領域を中心として重み付けを行う測光演算を行い、CPU101に人力する。次にステップ106ではぶれセンサー16がカメラの手ぶれによる角速度を出力し、前述のように検出回路111この角速度を実際のぶれ量に変換して撮影モード設定回路101aに送る。それとともに手ぶれ補正回路110に送り、実際に手ぶれの補正量に相当するシフトレンズの駆動量を算出してCPU101に送信する。次にステップ107にてCPU101はシフトレンズ駆動量をもとにレンズ制御回路104に制御情報を送りシフトレンズ駆動装置38を制御し、手ぶれ補正を行う。
【0041】次にステップ108にてレンズ位置検出回路112からレンズ位置情報として焦点距離情報と被写体距離情報を取り込む。次にステップ109にてエリアセンサー13が被写体像を所定のフレームレートで順次取り込む。次にステップ110にて取り込んだ被写体から顔認識回路115が顔認識処理を行い、被写体像に顔が含まれるかどうかを撮影モード設定回路101aに出力する。次にステップ111にて同じくステップ110にて取り込んだ被写体画像から被写体動き検出回路が被写体の動きベクトルを検出し、撮影モード設定回路101aに出力する。以上で撮影モードを自動設定を行うための情報入力がすべて完了し、ステップ112にて複数の撮影モードの中から被写体に一番適した撮影モードを決定する撮影モード自動設定を実行する。
【0042】この撮影モード自動設定アルゴリズムについて図6にて後述詳細に説明する。
【0043】撮影モードが設定されるとステップ113にてステップ105にて演算した測光値と設定された撮影モードをもとに決定された露出値、すなわちシャッター秒時と絞り値をLCD駆動回路107がモニター用LCD42に表示する。
【0044】次にステップ114にて選択した撮影モードによってストロボ撮影を必要とする状況であるかを判断し、必要であれればステップ115にて内臓ストロボ15をポップアップさせる。
【0045】次にステップ116にてレリーズ釦41の第二ストロークでONするSW2がONしているかを検出する。OFFしていればステップ102にもどり、前述の動作を繰り返すこONしていればステップ117に進み、カメラのレリーズシーケンスを実行する。まずモーター制御回路109がモーターM2に通電して、主ミラー2をアップさせ、レンズ御回路103が絞り駆動装置31を駆動して所定の開口まで絞り込む。次にシャッター制御回路108にて所定のシャッター秒時でシャッターを走行させ、必要であれば先幕が走行完了した時点で、ストロボ制御回路105は内臓ストロボ15を発光させ、画像記録部材への露光を終了させる。その後モーターM2に再度通電し、ミラーダウン、シャッターチャージを行うとともにモーターM1にも通電して、フィルムの駒送りを行い一連のレリーズシーケンスが終了する。
【0046】次に撮影モード自動設定について説明する。
【0047】図5はカメラの全自動モードにおいてプログラムされている複数の撮影モードのそれぞれの機能において設定されて内容を示したものである。設定されている機能はAEプログラム線図(シャッタースピード、絞り値)、AFモード、フィルム給迭モード、測光モード、露出補正、ストロボ発光、調光補正である。内容は従来のカメラの機能に準じたものであるため特に詳細な説明は省略するが、たとえばポートレイトモードではAEプログラム線図は撮影レンズの開放絞り値による絞り優先プログラム、AF動作モードは一度ピントを合わせると再度レリーズボタンを押すまでロックされるワンショットAF、フィルム給送モードは一コマずつ給送する1コマ撮りモード、測光モードは画面中央、ないし焦点検出点を含む小領域のみを測光する部分測、露出補正はプラス0.3段、ストロボ発光は強制発光させその調光補正はマイナス1段としている。ここで被写体輝度に関わらず強制発光するのは被写体の瞳にキャッチライトを発生させるために行うものである。
【0048】次に撮影モード自動設定アルゴリズムについて図6のフローチャートにて詳細に説明する。
【0049】ステップ112の撮影モード自動設定においては、まずステップ201において被写体像動きベクトル検出回路116から得た被写体画像の動きベクトル情報からぶれ検出回路111から得た手ぶれ情報を差し引き、実際の被写体の動き量を算出する。これは前者の動きベクトルは撮影者の手ぶれ量も含んで検出されるためである。
【0050】次にステップ202にてレンズ位置検出回路112から得た被写体距離情報と焦点距離情報とで撮影倍率を算出する。
【0051】次にステップ203に進み算出した被写体の動き量が予め決めておいた値Aよりも小さいかを判断し、大きければ動きのある被写体と判断しステップ204に進み、小さければ動きのほとんどない被写体と判断してステップ205に進む。ステップ204では被写体距離が予め決めておいた値Bよりも近いかどうか判断し、近ければ撮影モードを『スポーツモード』に設定し、動体撮影に適した撮影モードにカメラを設定する。近くなければ遠くに早く動く物体を検出したり、これ自体は主被写体とはみなせないと判断して『ノーマルモード』に設定する。
【0052】ステップ205では顔認識情報より人の顔が検出できたか否かを判断し、検出できればポステップ206に進み、検出できなければステップ207に進む。ステップ206にて算出した撮影倍率が予め決められた値Cよりも大きいか判断し、大きければ『ポートレイトモード』に設定し、人物撮影に適した撮影モードにカメラを設定する。小さければポートレイト的な被写体ではないと判断して『ノーマルモード』に設定する。
【0053】ステップ207では被写体距離が予め決めた値Dよりも遠いかどうかを判断しする。なお前述の204での被写体距離BよりもDは小さな値で具体的には1m程度に設定している。ここで遠ければ209に進み、近ければ208に進む。ステップ208では撮影倍率が予め決められた値Eよりも大きいか判断し、大きければ『クローズアップモード』に設定し、接写撮影に適した撮影モードに設定する。小さければ『ノーマルモード』に設定する。
【0054】ステップ209では世界時計117によって現在が夜間であるかを判断し、夜間であればステップ210に進み、夜間でなく昼間であれば『風景モード』に設定し、風景や静止物体の撮影に適した撮影モードに設定する。ステップ210では測光値が予め決められた値Eよりも大きいか小さいか、すなわち明るいか暗いかを判断し、明るければ『風景モード』に設定し、暗ければ『夜景モード』に設定する。
【0055】以上にて図に示した複数の撮影モードの中からいずれかの撮影モードが自動設定されたことになる。
【0056】<第2の実施形態>本究明の第2の実施形態について図7のフローチャートと図8の撮影モード機能説明図をもちいて説明する。
【0057】図7は第一の実施列の図6の撮影モード自動設定のフローチャートにおいて人の顔が検出された場合以降の内容についてが異なっており、それ以外の所は図6とおなじであるのでその部分に相当するステップ301〜305及び308〜311の説明は省略する。ステップ305で人の顔があると検出されるとステップ306に進み、人の数が一名かどうかを判断する、一人であれば『ポートレイトモード』に設定し、これは第一の実施形態と同じ撮影モードとなる。二人以上であればステップ307に進み、人の数が3名以下かどうかを判断する。3名以下であれば(すなわち人の数が2名か3名)『複数人物モード』に設定し、いわゆるポートレイト写真で他ないが、人物中心に捉えた撮影モードを設定する。また4名以上であれば『集合写真モード』に設定し、いわゆる全体的に人物も背景も調和の取れた写真が撮れるような撮影モードに設定する。図8は第2の実施形態で新たに示した二つの撮影モードの機能について説明したもので特徴的なものは『複数人物モード』ではAEプログラムがそれぞれの人物のいずれにもピントが合いそれ以外の遠方の背景は極力ぼかすようにしたもので、複数の焦点検出点間でのディフォーカス量に応じていずれもが被写界深度内に入るような絞りを設定し、その絞り値優先のプログラムとしている。また『集合写真モード』は人物も背景もいずれもシャープに写るようにある程度絞り込んだ設定にしかつ焦点距離に応じて長焦点になるほど絞り込むようにしている。また両者とも『ポートレイトモード』のようにキャッチライトを発生させる為の強制ストロボ発光は行わず、『複数人物モード』では低輝度及び逆光時自動的に発光させ、『集合写真モード』も低輝度時に自動発光するように設定されている。
【0058】このように顔の認識において認識した人物の数が判ればそれに応じて適切な人物写真が撮影できる撮影モードを第一の実施形態よりも細かく設定する事ができる。
【0059】(発明と実施形態の対応)上記実施形態において、顔認識回路115が本発明の顔認識手段に相当し、被写体像動きベクトル検出手段116、ぶれセンサー16、ぶれ検出回路111、撮影モード設定回路101aとが動体検出手段に相当し、被写体距離検出回路36、焦点距離検出回路37、レンズ位置検出回路112、撮影モード設定回路101aとが倍率検出手段に相当する。
【0060】なお本発明はこれらの実施形態の構成に限定されるものではなく、請求項で示した機能、または実施形態がもつ機能が達成できる構成であれば、どのようなものであっても良いことは言うまでもない。
【0061】また本発明は、一眼レフカメラに適用した例を述べているが、ビデオカメラや電子スティルカメラなどの種々の形態の撮像装置に対しても適用できるものである。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、被写体を撮像するエリアセンサーの出力をもとに少なくとも被写体が顔を含むかを認識するとともに被写体の状態を検出するようにしている。
【0063】よって撮影モードを全自動モードに設定するだけで正確に撮影者の撮影するシーンを認識して複数の撮影モードの中から最適な撮影モードを自動的に設定でき、撮影者はシャッターチャンスや画面の構図取りに専念する事が出来、より良好な写真が撮影できるといった効果がある。
【0064】又、本発明によれば被写体を撮像するエリアセンサーの出力をもとに少なくとも被写体が顔を含みかつ顔の数を認識するようにしている。
【0065】よって同じ人物シーンであってもさらに高度に撮影モードを制御し、初心者においても良好な写真を提供できるといった効果がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被写体を撮像する複数の画素からなるエリアセンサーと前記エリアセンサーの出力をもとに少なくとも被写体が顔を含むかを認識する顔認識手段と被写体の状態を検出する被写体状態検出手段とを備えたカメラにおいて前記顔認識手段と状態検出手段の出力情報に基づいてカメラの撮影モードを設定する事を特徴とする撮影モード自動設定カメラ。
【請求項2】 前記被写体状態検出手段は被写体が動いているかを検出する動体検出手段であり、前記顔認識手段と動体検出手段の出力情報に基づいてカメラの撮影モードを設定する事を特徴とする請求項1記載の撮影モード自動設定カメラ。
【請求項3】 前記被写体状態検出手段は被写体の撮像倍率を検出する倍率検出手段であり、前記顔認識手段と倍率検出手段の出力情報に基づいてカメラの撮影モードを設定する事を特徴とする請求項1記載の撮影モード自動設定カメラ。
【請求項4】 前記被写体状態検出手段は被写体とカメラとの距離を検出する被写体距離検出手段であり、前記顔認識手段と被写体距離検出手段の出力情報に基づいてカメラの撮影モードを設定する事を特徴とする請求項1記載の撮影モード自動設定カメラ。
【請求項5】 被写体を撮像する複数の画素からなるエリアセンサーと前記エリアセンサーの出力をもとに少なくとも被写体が顔を含むかを認識する顔認識手段と被写体が動いているかを検出する動体検出手段と被写体の最影倍率を検出する倍率検出手段を備えたカメラにおいて前記顔認識手段と動体検出手段と倍率検出手段の出力情報に基づいてカメラの撮影モードを設定する事を特徴とする撮影モード自動設定カメラ。
【請求項6】 被写体を撮像する複数の画素からなるエリアセンサーと前記エリアセンサーの出力をもとに少なくとも被写体が顔を含むみかつ顔の数を認識する顔認識手段とを備えたカメラにおいて前記顔認識手段の出力情報に基づいてカメラの撮影モードを設定する事を特徴とする撮影モード自動設定カメラ。
【請求項7】 前記カメラの撮影モードは露出に関する制御モード、自動焦点検出モード、撮影コマ送りモード、被写体の輝度を測る測光モード、ストロボを発光し発光量を制御するストロボ発光モードの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1〜6記載の撮影モード自動設定カメラ。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2003−344891(P2003−344891A)
【公開日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−148988(P2002−148988)
【出願日】平成14年5月23日(2002.5.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】