説明

改良型ナノインプリント方法

【解決手段】本発明は、基板(6,16)の表面上に、パターン形成されたレジスト(2a,12a)のコーティングを塗布する方法に関する。前記方法は、流動性を有するレジスト(2,12)がスタンプの表面に構築されたレジストコーティング(2,12)を与えるために、前記スタンプ(1,11)の構築された表面と支持物(3,13)との間で押印される、少なくとも1つの印ステップと、それぞれに、前記構築されたレジストコーティングの第1の部分(2a,12a)を備える前記スタンプと、前記レジストコーティングの第2の部分(2b,12b)を備える前記支持物と、が互いから分離される次に続く分離ステップと、前記構築されたレジストコーティング(2a,12a)を前記基板(6,16)の表面上に転写するために、前記スタンプ(1,11)の表面上の、前記パターン形成されたレジストコーティングの前記第1の部分(2a,12a)が、前記基板(6,16)の表面に押圧される、次に続く転写ステップと、前記構築されたレジストコーティング(2a,12a)の前記第1の部分(2a,12a)が硬化される、硬化ステップと、前記スタンプ(1,11)が前記構築されたレジストコーティングの前記第1の部分(2a,12a)から分離される、離型ステップと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンボス加工と基板上への転写によって、基板上にマイクロ或いはナノパターンを形成するための方法と組立体に関する。
【0002】
迅速で、実用的で、複写できる、ナノ或いはマイクロスケールのパターンの製品に対する需要は、ナノテクノロジーの発展における、主要なモチベーションの1つとなっている。
【背景技術】
【0003】
ナノエレクトロニクス,フォトニクス,およびバイオテクノロジーの分野におけるナノスケールのパターンを加工する最近のリトグラフィーの技術は、いわゆるナノインプリントと呼ばれるもので、費用効率の高い方法である。基本的な発想は、基板表面上の硬化可能な流動性を有する低粘性レジストに、このパターン形成されたスタンプの表面を押圧することで、スタンプに塗布、例えばエッチングされるパターンを複製することにあり、この押圧は言い換えれば、同時に行われるレジストのエンボス加工と基板への塗布(インプリント)による。前記パターン形成されたスタンプの表面のすべての空洞をレジストで満たした後、ラッカー層が熱および/または紫外線光によって硬化される。最終ステップにおいて、前記スタンプは取り去られ、前記パターンの3次元複製が前記基板上の前記レジストコーティングに残る。このナノパターンはその後で、さらにエッチングによって、他の基板に転写され得る。この方法は、例えば特許文献1に記載されている。
【0004】
まだエンボス加工されていないレジストコーティングを、スタンプの表面上か基板上に塗布する別の方法が知られている。これは上記特許文献1において、スピンコーティングを用いて、パターン形成されたスタンプの表面にレジストを塗布することで達成される。
【0005】
特許文献2は、結果として前記パターン形成されたスタンプの表面によって基板のレジスト表面をエンボス加工するために、基板上へのレジストラッカーの流し込みが開示されている。前記流し込みは、比較的時間がかかり、レジストの滴下限界は硬化後のエンボス加工されたレジストの不良につながりかねない。
【0006】
パターン形成されたロール表面を有し、レジストコーティングをエンボス加工するために、そのレジストコーティングを備えた基板上を転がるロール型スタンプが、特許文献3に開示されている。前記レジストコーティングは、紫外線照射によって、間隙(ニップ)領域でほとんど同時に硬化される。
【0007】
それ自体の表面に自己組織化単分子膜(SAM)を形成するために、ポリジメチルシロキサンのスタンプが有機液体で濡らされる方法が特許文献4に開示されており、ここでは基板にSAMを転写するために、SAMを有する前記スタンプが前記基板に押圧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/059497号明細書
【特許文献2】米国特許第6334960号明細書
【特許文献3】米国特許第5425848号明細書
【特許文献4】国際公開第02/03142号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術のナノインプリントでは、前記パターン形成されたスタンプの表面への一定した均質注入を実現する一方で、残余するレジスト厚さは以下に説明するように、後工程での基板のエッチング処理に影響を及ぼす遅れを生じないように、できる限り薄く塗布されなければならないという二つの課題すなわち目標に直面している。
【0010】
これらの目標は互いに競合するが、その理由は、一定した注入は、通常は過剰な量のレジストによって実現するので、パターン形成されずに残っているレジストの厚み(パターンの下の硬化したレジストの厚み)が常に存在し、さらに層の厚さを不均質にする可能性があるからである。
【0011】
もしも、スタンプの表面上のパターンが繰り返されず不規則であるならば、この不均質さはより大きくなり得る。なぜなら、より大きなパターン量を注入するときに、より少ないパターン量よりも、注入のためにより多くのレジストが消費され、それによりラッカーの不足と注入の不良を生じる可能性があるからである。但し、たとえより粘性の高いラッカーが使用されたとしても、前記パターンに注入するためのラッカー濃度の高いラッカー、すなわちより粘度の高いラッカー層を使用することで、この均質性が縮小することもあり得る。しかし、そのようなラッカーの使用は、半導体産業において通常に用いられているような、パターンを基板に転写する後工程のエッチング処理をより難しいものにする。
【0012】
不均質さを縮小するために、エンボス加工中により高い圧力を使用することができるとはいえ、これはしかしながら、弾力性のあるスタンプの場合には正常に機能せず、また一般に前記残余するレジストの厚さを僅かに減少させるだけである。
【0013】
前記残余するレジストの厚さを最小化すると同時に、均質さを増大させるために、滴下注入中において、局部的に滴の濃度とサイズをパターンに適合させることによって、そのパターンに適合したコーティング処理を実施することが知られている。これはパターンの緻密な分析を必要とし、ひいては比較的複雑で時間がかかる。また器具の使用手順は比較的複雑であり、上述のレジストの滴の境界における欠点の問題が存在する。
【0014】
それ故に、本発明は従来技術を改善して、より均質で残余するレジストの厚さがより低く、レジストコーティングを有する基板表面上に、レジストのパターン形成されたコーティングを塗布する方法を提供し、その方法がより容易に、より速く、よりコスト効率よく実施できるという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は請求項1の方法によって達成される。好適な各実施例はいずれも、従属請求項の主題である。特許請求項のそれぞれに記載された特徴は、技術的に意味のある如何なるやり方にも、また本発明の現状のどの別の実施例にも組み込めることに注意すべきである。ここでの記載、とりわけ図面に関連するものは、本発明をさらに特徴付け、特定する。
【0016】
本発明は、基板表面上にパターン形成されたレジストのコーティングを塗布する方法に関する。
【0017】
前記方法は、前記スタンプの表面に対応して、流動性を有するレジストにパターン形成された表面を与えるために、スタンプのパターン形成された表面とキャリアの間で、前記流動性を有するレジストがそれぞれエンボス加工される、少なくとも1つのエンボス加工ステップを備える。
【0018】
前記方法は、前記パターン形成されたレジストコーティングが付随する前記スタンプと前記キャリアが分離され、このパターン形成されたレジストコーティングは、まだ硬化していないレジストからなる、前記エンボス加工ステップに続く分離ステップをそれぞれに備える。
【0019】
前記パターン形成されたレジストコーティングの第1の部分が付随する前記スタンプと、前記パターン形成されたレジストコーティングの第2の部分が付随する前記キャリアとを分離することによって、前記スタンプの表面に近接する前記レジストコーティングが、前記スタンプの表面に平行な切断線に沿って二つの部分に分割され、それにより前記分離ステップの後に、前記スタンプの表面上に存在する前記レジストコーティングの残余するレジスト厚さが、例えばおおよそ半分に縮小される。
【0020】
前記エンボス加工ステップおよびそれに関連する前記分離ステップは、好適には前記レジストコーティングの残余するレジスト厚さを、意図的に縮小することに応じて、前記スタンプ上に位置する前記レジストコーティングの第1の部分の残余する厚さが、所望の寸法まで連続的に縮小されるまで、繰り返し実施される。
【0021】
本発明における方法はさらに、前記パターン形成されたレジストコーティングを前記基板の表面に転写するために、前記スタンプの表面上の前記パターン形成されたレジストコーティング、すなわち前記第1の部分が前記基板の表面に対して押圧される、分離ステップに続く転写ステップと、前記基板の表面に配置された前記パターン形成されたレジストコーティングの第1の部分が硬化される、硬化ステップと、を備える。
【0022】
その後、あるいは時間的に重複して、前記スタンプが前記基板上に位置する前記パターン形成されたレジストコーティングの第1の部分から分離される、離型ステップが行われる。
【0023】
本発明は、例えば圧力や温度等の処理パラメータに関して制限されず、それらの処理パラメータはレジスト,基板またはキャリアに選択された材料に従って選択されるだろう。一の実施例において、少なくとも前記エンボス加工ステップと前記転写ステップは真空下で行われる。好適には、それらのステップはISO−14644−1(クリーンルーム環境)に規定される浮遊微小粒子の濃度の環境下で行われる。温度は、例えば、レジストのガラス転移温度よりも約30度から約90度上の範囲にある。
【0024】
前記エンボス加工ステップと前記転写ステップは上述のように、前記スタンプの表面のパターンの高さと幅の情報を、最終的には前記基板上に位置する前記レジストコーティングに転写するのに役立つ。
【0025】
本発明における方法は、前記エンボス加工ステップと前記分離ステップを含む(各)シークエンスによって特徴づけられ、それによって前記基板上に転写されるべき前記レジストコーティングの層の厚みであって、とりわけ前記残余部の厚み、すなわち前記パターンの深さを上回るレジストコーティングの層の厚みを減少することができ、前記スタンプのパターンの均質な注入が同時に達成される。
【0026】
前記スタンプのパターンをエンボス加工あるいは注入するステップ以降、分離による層の厚みの減少と基板上への転写は、切り離して実施されるが、例えば圧力,温度,時間,および/または一方では前記キャリアの表面特性であって、他方では前記基板の表面特性であるようなプロセス条件を、各ステップで独自に設定することで、それらのステップは、注入,薄い残余部の層,前記残余部の層と注入の均質化,および前記パターンの複製品における良好な分解能に関して、より容易に、そしてその都度別々に最適化することができる。コーティングを部分的に取り除くために、例えばナイフやドクターブレードのような機械装置の利用は必要としない。本発明の方法においては、それらの装置により前記コーティングあるいは前記スタンプの表面さえも傷つける可能性は排除される。
【0027】
本発明における方法においては、前記スタンプをレジストで覆うことができる。しかしながら好適には、前記エンボス加工ステップに先行するコーティングステップにおいて、前記キャリアが流動性を有するレジストで覆われる。前記キャリアは、パターニングされていない概してなめらかな表面を有するので、前記パターン形成されたスタンプの表面上よりも前記キャリア上に、均質な配分を達成するのがより簡単になる。前記コーティングステップにおいては、前記キャリアは好適にはスピンコーティング処理を用いて前記流動性を有するレジストで覆われる。
【0028】
前記パターンへの注入を改善するために、本発明に基づく方法の一実施例におけるキャリアは、基板と比べて界面活性の、例えば粘着性を低減したコーティングを有するか、または適切な材料からなる。
【0029】
別の好適な実施例において、前記スタンプ上に位置する前記レジストコーティングの第1の部分は、前記分離ステップの後に、レジストに関して活性な溶媒で濡らされるが、これはその後の基板表面上への転写中に基板の接着性を増加させ、前記レジストの粘度を低下させるためのものであって、それにより例えばトルエン,キシロール,テトラヒドロフランのような溶媒は、均一なレジストコーティングを、とりわけ界面活性の物質でコーティングされたスタンプ上に提供することができる。
【0030】
本発明における方法の別の有利な実施例によれば、より均一な配分を果たすために、前記分離ステップの後に、前記スタンプはスピニングステップにおいて、前記パターン形成されたレジストコーティングの前記第1の部分と共に回転させられる。
【0031】
好適には、前記スピニングステップは先行するレジストを上述の溶媒で湿らすステップと組み合わせて実施される。
【0032】
前記レジストは、熱的すなわち温度の上昇によって、硬化が行われてもよい。好適には、それは紫外線光の下で硬化するレジストであって、レジストはその後、硬化ステップ時に紫外線光によって硬化される。
【0033】
別の有利な実施例によれば、前記硬化ステップと前記転写ステップは、同時にまたは時間的に重なって実行される。基板への結合は硬化中に強くなるので、残余部を残すことなく前記スタンプから前記基板上に前記コーティングを転写でき、またさらに、前記転写されたパターンの外形を3次元の全てにおいて監視できる。
【0034】
好適には、前記パターン形成されたスタンプの表面の前記パターンは、マイクロからナノパターンである。本発明の要旨の範囲内のナノパターンは、数ナノメートル以下の方位分解能を有するパターンである。
【0035】
基板材料は好適には、シリコン,砒化ガリウム,リン化インジウムのような少なくとも1つの半導体と、石英ガラスのような少なくとも1つの誘電体と、少なくとも1つの金属と、それらの組み合わせと、からなるグループから選択される。前記基板は、例えば、研磨されたシリコンウェハーである。しかしながら本発明は、硬質で平らな基板に限定されるものではなく、本発明における方法は、基板としての、コーティングされた弾力性を有するポリイミドフィルムにも適している。
【0036】
本発明の要旨の範囲内におけるレジストという用語は、広範に解釈されるべきであり、通常それはラッカーのような流動性を有する物質であって、その物質が硬化後に基板上に塗布されるマスクを形成して、局所的に変化するカバーを提供することで、当該マスクによるマスキングに対応して、パターンがその後の処理中に基板の表面に組み入れられる。
【0037】
前記パターン、より具体的にはパターンの深さは、基板の続く処理ステップ(エッチング)において、前記レジストコーティングの最低限必要な耐久性が与えられるように、前記パターン形成されたレジストコーティングから得られた前記マスクの厚みが選択されるのに伴い、通常選択されるだろう。
【0038】
一般に、前記スタンプと比較すると、前記レジストの材料は、流動性を有する状態から硬化した状態へ転移できる比較的柔軟な材料であり、これは放射(紫外線放射)を用いて熱硬化可能な熱可塑性ポリマーまたはプレポリマーのようなポリマーや、例えばポリメタクリル酸メチル樹脂或いはモノマーであって、好適には純粋な有機モノマーか有機/無機混合モノマーを含んでいる。例えばそれは、メタクリル樹脂ベースのレジストである。好適には、流動性を有するレジストの粘度は50ミリパスカル秒未満である。
【0039】
本発明における方法のスタンプは硬質であってもよく、例えば、半導体,誘電体,金属,および、それらの合成物から形成される。そのパターン形成された表面のパターンは、例えば、電子ビームリトグラフィーとそれに続くドライエッチングによって適用される。前記離型ステップにおける前記スタンプと前記コーティングされた基板との分離を促進するために、前記スタンプの表面は、1H,1H,2H,2H−パーフロロデシルトリクロロシラン等の表面活性物質で処理されてもよい。
【0040】
好適には、本発明における前記スタンプは弾力性を有する材料製である。平らではない表面を有する基板へのパターンの転写が、上述のように可能となる。さらに、弾力性を有するスタンプはレジストに対し極めて粘着力が低く、レジストの硬化後において非常に容易な離型を促進し、それにより高い処理能力が達成できる。
【0041】
より好適には、前記スタンプはポリマー製である。シンプルで費用効率の高い、“マスター”スタンプからのパターン複写が、上に述べたように成し遂げられる。
【0042】
本発明における方法の1つの実施例において、前記基板の表面は、いくつかの連続するステップのなかで、いくつかの各転写ステップ(ステップおよび繰り返し)中に引き続いて、前記パターン形成されたレジスト表面でコーティングされる。別の有利な実施例によれば、前記キャリアおよび/または前記スタンプは、本発明における方法の関連するステップを連続的に実施できるようにするために、ローラーまたはコンベアベルトとして構成される。
【0043】
好適には、前記キャリアおよび/または前記スタンプはローラーまたはコンベアベルトとして構成され、少なくとも1つの前記エンボス加工ステップが、それに関連する前記分離ステップと、前記押圧ステップと、前記離型ステップと共に連続的なローラー群のプロセスで実施される。そのため、例えば大きな基板の表面を素早く効率的にコーティングすることができる。エンボス加工とレジストコーティングの転写とが連結されないことによって、従来技術のような基板の事前処理は必要ない。
【0044】
別の有利な実施例によれば、基板の向かい合う各基板表面が同時に転写ステップを受ける。向かい合う各基板表面を同時にコーティングすることによって、徐々に進行するコーティング処理と比べて処理能力は上昇する。
【0045】
別の有利な実施例によれば、前記パターン形成されたレジストの表面でコーティングされる前記基板表面は、例えば、微小機械ユニットの部品を製造するために、前記離型ステップに続くエッチングステップにおいて、例えば異方性エッチングでエッチングされる。好適には、前記離型ステップに続くエッチングステップの方法が、例えばCMOS技術を有するナノスケールのFinFETトランジスタのような、半導体パターンを製造するために利用され、その場合、前記エッチングステップの後にドーピングステップを随意的に実施してもよい。
【0046】
本発明はまた、上述の実施例のうちの1つの方法を実行するための装置にも関連しており、その装置は少なくとも1つのスタンプと少なくとも1つのキャリアとを備えて、少なくとも1つのキャリア上のレジストコーティングをエンボス加工しており、前記スタンプは後に続くエンボス加工された前記レジストコーティングの前記基板上への転写に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明と同様に技術環境についても、図面を参照してさらに詳細に説明する。
【0048】
図面は本発明の望ましい実施例を詳細に描いているが、そのことにより制限されないことに注意しなければならない。
【図1】本発明におけるコーティングステップを概略的に示す。
【図2】本発明におけるエンボス加工ステップを概略的に示す。
【図3】本発明における分離ステップを概略的に示す。
【図4】本発明における転写ステップを概略的に示す。
【図5】本発明における硬化ステップを概略的に示す。
【図6】本発明における離型ステップを概略的に示す。
【図7】別の実施例における、本発明の方法を実施するための装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0049】
図1は、流動性を有するレジスト2でキャリア3をコーティングするプロセスを示す。スピニング加工(図示せず)を、このプロセスに使用することができる。ポリマー製の弾力性を有するスタンプ1は、図2に示すエンボス加工ステップにおいて、前記キャリア3と前記スタンプ1のパターン形成された表面との間の前記レジスト層2をエンボス加工するために、輪郭線の矢印で示すように近づけられる。残余部の厚さ4が、最も深くまでエンボス加工された部分と前記キャリア3の間に依然として存在する。
【0050】
前記キャリアのレジストコーティング2の層の厚さを減らすために、前記スタンプ1は図3に示す分離ステップにおいて、前記キャリア3から切り離される。このプロセスにおいて、パターン形成されたレジストコーティングの第1の部分2aは前記スタンプ1に付着するのに対し、パターン形成されていない第2の部分2bは依然として前記キャリア3の上に留まる。この分離ステップによって、前記レジストコーティング2の層の厚さと、とりわけ、前記スタンプ1に置かれた第1の部分2aにおける残余部の厚さは、前記エンボス加工ステップ中の状態と比べて減少する。
【0051】
図4において、レジストコーティングの第1の部分2aは、このレジストコーティングの第1の部分2aを備えたスタンプ1を基板6に近づけ、基板6の表面上に第1の部分2aを押し付けることによって、基板6上に転写される。
【0052】
図4に示すように、前記レジストコーティングの前記第1の部分2aを紫外線照射7によって硬化する硬化ステップが実施される。この目的のために、例えば、前記スタンプ1は紫外線を透過するポリマー製でもよい。
【0053】
図6に示される次に続く離型ステップにおいて、前記スタンプ1が前記硬化されたレジストコーティングの第1の部分2aから取り去られることで、基板6は、基板6の表面に前記パターンを転写するために、次に続くエッチングプロセス(図示せず)のためのマスクとしての機能を果たすパターン形成されたレジストコーティング2aを得る。
【実施例2】
【0054】
本発明に基づく方法を実施するための別な実施例の装置が、図7に示される。これは転写プロセスを行なうものであって、そのプロセスでは、それぞれ一組のローラーに導かれ、且つその周囲を回る途切れないコンベアベルトとして、スタンプ11とキャリア13が構成される。
【0055】
流動性を有するレジスト12は、配給装置19を用いて前記キャリアコンベアベルト13に塗布され、前記キャリア13のレジストコーティングは、均等化ロール18によって、一定の厚みに整えられる。そのキャリアコンベアベルト13の反対側では、コンベアベルトとして構成され、パターン形成された輪郭表面を有するスタンプ11によって、前記レジストコーティング12がエンボス加工される。
【0056】
前記二つのコンベアベルトの接触部すなわちエンボス加工部から外側の搬送部で、前記レジストコーティング12はスタンプコンベアベルト11に一部分だけが付着し続ける。第2の部分12bは、前記キャリアコンベアベルト13に引っ張られていく。
【0057】
前記コンベアベルトの接触部において、前記スタンプ11のパターン形成された表面によって、その表面をエンボス加工された第1の部分12aは、スタンプコンベアベルト11と平行に動かされる基板16の表面に転写される。同時に、前記レジストコーティングは、紫外線ランプ17による紫外線照射で硬化される。この目的のために、スタンプコンベアベルト11の材料は、紫外線放射を透過する弾力性のあるポリマー素材からなる。
【0058】
硬化後、前記パターン形成されたレジストコーティングの第1の部分12aは基板16に付着し、その外側の搬送領域でスタンプコンベアベルト11の離型が行われる。
【0059】
本発明における方法は、上述の装置を用いて継続的に実施されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(6,16)の表面上に、パターン形成されたレジストコーティング(2a,12a)を塗布する方法であって、
スタンプの表面にパターン形成されたレジスト表面(2,12)を与えるために、前記スタンプ(1,11)のパターン形成された表面とキャリア(3,13)の間で、流動性を有するレジスト(2,12)がそれぞれエンボス加工される、少なくとも1つのエンボス加工ステップと、
前記パターン形成されたレジストコーティングの第1の部分(2a,12a)が付随する前記スタンプと、前記レジストコーティングの第2の部分(2b,12b)が付随する前記キャリアが互いに分離される、前記エンボス加工ステップにそれぞれ続く分離ステップと、
前記パターン形成されたレジストコーティング(2a,12a)を前記基板(6,16)の表面上に転写するために、前記スタンプ(1,11)の表面上の前記パターン形成されたレジストコーティングの第1の部分(2a,12a)が、前記基板(6,16)の表面に対して押圧される、前記分離ステップに続く転写ステップと、
前記パターン形成されたレジストコーティングの第1の部分(2a,12a)が硬化される、硬化ステップと、
前記スタンプ(1,11)が前記パターン形成されたレジストコーティングの第1の部分(2a,12a)から分離される、離型ステップと、を備える方法。
【請求項2】
前記エンボス加工ステップと、このエンボス加工ステップにそれぞれ関連する前記分離ステップが数回実施されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記キャリア(3,13)が、前記エンボス加工ステップに先立つコーティングステップにおいて、前記流動性を有するレジスト(2,12)でコーティングされることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記コーティングステップにおいて、前記キャリア(3,13)が、スピンコーティングプロセスによって、前記流動性を有するレジスト(2,12)でコーティングされることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記分離ステップの後、前記レジストコーティングの第1の部分(2a,12a)が溶媒で濡らされることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記分離ステップの後、前記レジストコーティングの前記第1の部分(2a,12a)の付着した前記スタンプが、スピニングステップにおいて回転されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記硬化ステップにおいて、前記レジストコーティングの前記第1の部分(2a,12a)が、紫外線光(7,17)によって硬化されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記硬化ステップと前記転写ステップが、同時にまたは時間的に重なって実行されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記スタンプ(1,11)の前記パターン形成された表面の前記パターンが、マイクロパターンからナノパターンであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記基板(6,16)の材質が、シリコン,砒化ガリウム,リン化インジウムのような少なくとも1つの半導体と、石英ガラスのような少なくとも1つの誘電体と、少なくとも1つの金属と、それらの組み合わせと、からなるグループから選択されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記レジスト(2,2a,2b,12,12a,12b)がポリマーかモノマーであって、好適には純粋な有機モノマーか有機/無機混合モノマーであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記スタンプ(1,11)が弾力性を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記スタンプ(1,11)がポリマー製であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記キャリア(13)および/または前記スタンプ(11)がローラーまたはコンベアベルトとして構成されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法
【請求項15】
前記キャリア(13)および前記スタンプ(11)がローラーまたはコンベアベルトとして構成され、少なくとも1つの前記エンボス加工ステップが、それに関連する前記分離ステップと、前記押圧ステップと、前記離型ステップと共に連続的なローラー群のプロセスで実施されることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記基板(6,16)の向かい合う各表面が同時に前記転写ステップを受けることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
前記離型ステップに続くエッチングステップと随意のドープステップにおいて、前記パターン形成されたレジスト表面(2a,12a)でコーティングされる前記基板(6,16)の表面がエッチングされ、随意的にドープされることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
半導体パターンの製造のために、請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法を使用する方法。
【請求項19】
少なくとも1つのスタンプ(1,11)と少なくとも1つのキャリア(3,13)を備えたことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法を実施する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−501084(P2012−501084A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524367(P2011−524367)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061005
【国際公開番号】WO2010/023227
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(511051926)エーエムオー ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】