説明

放射性廃棄物汚染検査装置およびその制御方法

【課題】放射性廃棄物汚染検査装置の暴走を抑制する。
【解決手段】放射性廃棄物汚染検査装置に、複数の可動要素と、可動要素に設けられて検知手段の取り付け部と、可動要素を移動させるモータ3などの駆動手段と、可動要素の相対的な位置を検知して位置信号として出力するエンコーダ4などのセンサと、を有する多関節移動機構12と、位置信号に基づいて可動要素のそれぞれの位置を算出する現在位置算出部21と、可動要素の位置を記憶する位置記憶部22と、取り付け部の目標位置と現在の位置とに基づいてモータ3などを駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成部23と、可動要素の前回の前記動作ステップでの位置と現在の位置との変化が所定の最大位置変化量より大きい場合に多関節移動機構12の動作を停止させるインターロック部24と、を有するコントローラ16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃棄物汚染検査装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、容器に格納された放射性廃棄物が建屋から搬出される際や、埋蔵される際には、廃棄物の線量率や放射能量の測定、その廃棄物容器の外観の確認、表面汚染状況の確認などが行われ、その廃棄物容器に問題がないことが確認される(たとえば特許文献1参照)。線量率や放射能量は、放射線検出器を廃棄物にスキャンすることにより測定される。また、外観については、カメラによる外観測定が行われる。表面汚染検査は、ろ紙で表面をふき取り、そのろ紙の放射能量を測定することにより行われる。表面汚染検査に用いる装置には、放射性廃棄物の表面をふき取るためのろ紙や放射線検出器、あるいは、外観測定を行うためのカメラをハンドリングする駆動装置が必要となる(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平4−353796号公報
【特許文献2】特開2007−51928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、放射性廃棄物汚染検査装置は、複数の動作軸を持つ。これらの軸位置は、駆動軸に連結されたエンコーダやレゾルバなどの位置検知センサによって検知される。また、放射性廃棄物の表面をふき取る際のろ紙の押し付け力は、力センサによって検知される。
【0004】
このようにして検知された信号は、制御コントローラにフィードバックされ、駆動軸位置の制御、あるいは、ろ紙の押し付け力の制御に用いられる。しかし、信号線の断線などによって、これらの位置情報や押し付け力情報が、誤った信号でコントローラに入力された場合、装置を制御することができないおそれがある。放射性廃棄物汚染検査装置を制御できないと、この装置が暴走することによって、放射性廃棄物を転倒、損傷させるなどして大事故に繋がる可能性もある。
【0005】
そこで、本発明は、放射性廃棄物汚染検査装置の暴走を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、検知手段を用いて放射性廃棄物の汚染を検査する放射性廃棄物汚染検査装置において、互いに連結されて相対的に移動可能な複数の可動要素と、前記可動要素のいずれかに設けられて前記検知手段を取り付け可能な取り付け部と、前記可動要素のそれぞれに対して設けられて前記可動要素を移動させる駆動手段と、前記可動要素のそれぞれに対して設けられて前記可動要素の相対的な位置を検知して位置信号として出力するセンサと、を備えた多関節移動機構と、動作ステップごとに前記位置信号に基づいて前記可動要素のそれぞれの位置を算出する現在位置算出部と、前記動作ステップごとに前記可動要素の位置を記憶する位置記憶部と、前記動作ステップごとに前記取り付け部の目標位置と前記現在位置算出部で算出された現在の位置とに基づいて前記駆動手段を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記動作ステップごとに前記可動要素の前記位置記憶部に記憶された前回の前記動作ステップでの位置と前記現在位置算出部で算出された位置との変化が所定の最大位置変化量より大きい場合に前記多関節移動機構の動作を停止させるインターロック部と、を備えたコントローラと、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、互いに連結されて相対的に移動可能な複数の可動要素と、前記可動要素のいずれかに設けられて検知手段を取り付け可能な取り付け部と、前記可動要素のそれぞれに対して設けられて前記可動要素を移動させる駆動手段と、を備えた多関節移動機構と、前記可動要素のそれぞれに対して設けられて前記可動要素の位置を検知して位置信号として出力するセンサと、を備えて、前記取り付け部に取り付けられた検知手段を用いて放射性廃棄物の汚染を検査する放射性廃棄物汚染検査装置の制御方法において、動作ステップごとに前記位置信号に基づいて前記取り付け部の位置を算出する現在位置算出工程と、前記動作ステップごとに前記現在位置算出部で算出された前記取り付け部の位置を記憶する位置記憶工程と、前記動作ステップごとに前記取り付け部の目標位置と前記現在位置とに基づいて前記駆動手段を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成工程と、前記動作ステップごとに前記位置記憶部に記憶された前回の前記動作ステップでの前記取り付け部の位置と前記現在位置算出部で算出された前記取り付け部の位置との変化を所定の最大位置変化量と比較する判定工程と、前記判定工程で、前記変化が前記最大位置変化量より大きいと判定された場合に前記多関節移動機構の動作を停止させる停止工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、放射性廃棄物汚染検査装置の暴走を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る放射性廃棄物汚染検査装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、以下の実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれに限定されない。
【0010】
図2は、本発明に係る放射性廃棄物汚染検査装置の第1の実施の形態における斜視図である。この図には、汚染拭き取り状況を示すために、拭き取り対象物である円柱状の放射性廃棄物15も併せて示している。
【0011】
本実施の形態の放射性廃棄物汚染検査装置は、放射性廃棄物15の表面をろ紙10で拭き取る装置である。拭き取り後のろ紙10は、たとえばこの放射性廃棄物検査装置から取り外され、付着した放射能量が測定される。このようにして、放射性廃棄物15の汚染が検査される。
【0012】
この放射性廃棄物汚染検査装置は、汚染の検知手段であるろ紙10を移動させるための多関節移動機構12を有している。多関節移動機構12は、放射性廃棄物15を載置する表面検査台14の横に配置されている。
【0013】
この多関節移動機構12は、互いに連結された複数の可動要素を有している。この可動要素は、相対的に移動可能に形成されている。多関節移動機構12は可動要素として、放射性廃棄物15に向かって水平方向に延びる水平アーム81と、水平アーム81を支持する支柱82と、水平方向に延びる走行レール83を有している。
【0014】
水平アーム81は水平方向に延びるリニアガイドレール(図示せず)を有している。一方、支柱82は、鉛直方向に延びるリニアガイドレール(図示せず)を有している。また、支柱82は、下端に走行機構84を有している。支柱82は、走行機構84によって走行レール83上を水平に走行できるようになっている。
【0015】
さらに、水平アーム81の一端には、回転機構86を介してスミヤヘッド11が取り付けられている。スミヤヘッド11は、その先端にろ紙10を取り付け可能な取り付け部となっている。
【0016】
水平アーム81、支柱82、走行機構84および回転機構86は、それぞれ可動要素を移動させるための駆動手段として内部にモータ3(図1参照)を有している。さらに、水平アーム81と支柱82には減速機およびボールねじが取り付けられており、水平アーム81はリニアガイドレールに沿って、放射性廃棄物15に向かう方向(伸縮方向)および昇降方向に移動できるようになっている。走行機構84にも同様に、減速機およびボールねじが取り付けられており、支柱82は走行レール83に沿って移動できるようになっている。また、回転機構86には減速機が取り付けられており、スミヤヘッド11の押し付け方向を水平方向から上下にそれぞれ90度回転できるように組み立てられている。
【0017】
図1は、本実施の形態におけるシステムブロック図である。
【0018】
放射性廃棄物汚染検査装置は、多関節移動機構12と、多関節移動機構12の可動要素の相対的な位置を検知して位置信号として出力するセンサと、コントローラ16とを有している。センサとは、可動要素の駆動手段であるモータ3のそれぞれに対して設けられて、可動要素の相対的な位置をエンコーダ信号として出力するエンコーダ4である。また、スミヤヘッド11の放射性廃棄物15の表面への押し付け力を検知する力センサ5も有している。
【0019】
コントローラ16は、現在位置算出部21と、位置記憶部22と、駆動信号生成部23と、インターロック部24と、を有している。コントローラ16は、サーボループステップを動作ステップとして、多関節移動機構12を制御する。
【0020】
現在位置算出部21は、エンコーダ4から伝達されるエンコーダ信号に基づいて、可動要素のそれぞれの位置を算出する。つまり、モータ3の回転角度など、可動要素の相対的な位置を示すエンコーダ信号から、可動要素のそれぞれの絶対的な位置を算出する。位置記憶部22は、現在位置算出部21で算出された可動要素の位置を記憶する。
【0021】
駆動信号生成部23は、ろ紙10の取り付け部の目標位置と、現在位置算出部21で算出された現在の位置とに基づいて、モータ3を駆動させる駆動信号を生成する。また、駆動信号生成部23は、ろ紙10の取り付け部が放射性廃棄物15の表面に押し付けられている場合には、その押し付け力が目標の押し付け力となるように駆動信号を生成する。
【0022】
ろ紙10の取り付け部の目標位置は、ろ紙10の取り付け部の移動開始点から目標点までの間の補間処理を行うことにより算出する。
【0023】
インターロック部24は、位置記憶部22に記憶された前回の動作ステップでの可動要素の位置と現在位置算出部21で算出された位置との変化が、所定の最大位置変化量以上の場合に、多関節移動機構12の動作を停止させる。つまり、前回の動作ステップからの位置変化が最大位置変化量より小さい場合には、駆動信号をモータ指令出力としてモータ3に出力し、最大位置変化量以上の場合には、モータ指令出力を出力せずに多関節移動機構12の動作を停止させる。
【0024】
また、コントローラ16は、押し付け力判定部25、押し付け力記憶部26および押し付け力インターロック部27を有している。押し付け力判定部25は、力センサ5から出力される押し付け力を示す信号を受信し、スミヤヘッド11が放射性廃棄物15へ押し付けられているか否かを判定する。一般的に、力センサ5から出力される信号にはノイズ成分も含まれるため、サンプリングを複数回行い、いずれのサンプリングでも押し付け力が規定値を超えている場合に、押し付け力が検知されていると判断する。この規定値としては、ノイズ成分よりも大きく、できるだけ小さい値が好ましい。押し付け力は、押し付け力記憶部26に記憶される。
【0025】
押し付け力インターロック部27は、現在の押し付け力と前回の動作ステップでの押し付け力との差が所定の最大力変化量より大きい場合に多関節移動機構の動作を停止させる。また、押し付け力インターロック部27は、ろ紙10の取り付け部の現在の位置が放射性廃棄物15の表面に位置している場合であって、押し付け力を検知していない場合には、正常に動作しているかどうかを確認するために、確認動作を行わせる。
【0026】
確認動作とは、ろ紙10を微小移動させて押し付け力を検知するかどうかを確認する動作である。確認動作では、ろ紙10の取り付け部を放射性廃棄物15の表面に向かってごくわずかな量だけ動かし、押し付け力を検知するかどうかを確認する。この動作を所定の回数繰り返しても押し付け力が検知されない場合には、力センサ5の信号がコントローラ16に適切に入力されていないと判断し、多関節移動機構12の動作を停止させる。
【0027】
さらに、たとえば水平アーム81の先端など、放射性廃棄物15を配置する領域に移動可能な可動要素に、感圧ゴムなどの接触センサ87を設けてもよい。また、コントローラ16には、接触センサ87から信号を受け取る接触インターロック部28を設けておく。この接触センサ87が接触を検知した場合に、接触インターロック部28は多関節移動機構12の動作を停止させる。また、各可動要素の駆動手段には、所定の大きさ以上の負荷が加えられた場合に駆動軸を滑らせるトルクリミッター88を設けてもよい。
【0028】
次に、放射性廃棄物汚染検査装置の制御方法について説明する。
【0029】
図3は、本実施の形態における制御フロー図である。
【0030】
検査を開始したら、サーボループステップごとに、スミヤヘッド11の位置の目標値(手先目標位置)を求める(工程S1)。つまり、現在位置算出部21が可動要素のそれぞれの位置を算出し、駆動信号生成部23がろ紙10の取り付け部の目標位置と現在の位置とに基づいて手先目標位置を決定し、モータ3を駆動させる駆動信号を生成する。
【0031】
次に、ろ紙10を放射性廃棄物15に押し付ける状態か否かを判定する(工程S2)。この判定では、押し付け力インターロック部27が、ろ紙10の取り付け部の現在の位置が放射性廃棄物15の表面に位置しているか否かを判定する。押し付ける状態の場合には、力制御工程(工程S3)に進む。押し付ける状態ではない場合には、力制御を行う必要がないため、工程S4に進む。
【0032】
力制御工程(工程S3)では、ろ紙10の押し付け力信号と目標押し付け力との差から、この差が小さくなるように、手先目標位置の補正値を算出する。その後、工程S4に進む。工程S4では、逆運動学演算を用いて、手先目標位置を各軸の目標位置に分解する。
【0033】
次に、各軸のエンコーダ4から得られた各軸の位置情報と各軸の目標位置との差から、各軸の駆動指令出力値を算出し、モータ3に出力する(工程S5)。この処理をサーボ制御処理と呼ぶ。また、その後、順運動学演算を行って、その時点でのスミヤヘッド11の位置を算出しておく(工程S6)。その後、次のサーボループステップに進むために工程S1に戻り、工程S1ないし工程S6を繰り返す。
【0034】
図4は、本実施の形態におけるサーボ制御処理のフロー図である。
【0035】
この処理は、サーボ制御処理(工程S5)で行う。まず、インターロック部24が、現在の可動要素の位置を現在位置算出部21から取得する(工程S51)。次に、インターロック部24は、位置記憶部22から前回の動作ステップでの可動要素の位置を取得し、前回の動作ステップでの可動要素の位置と現在の位置との変化が、所定の最大位置変化量以上か否かを判定する(工程S52)。
【0036】
変化が最大位置変化量以上の場合は、異常処理(工程S55)に進み、インターロック部24が多関節移動機構12の動作を停止させる。異常処理とは、インターロック部24は、駆動信号を出力しないようにして多関節移動機構12の動作を停止させる処理である。
【0037】
一方、変化が最大位置変化量よりも小さい場合には、サーボ演算(工程S53)に進む。サーボ演算(工程S53)とは、駆動信号生成部23は、ろ紙10の取り付け部の目標位置と、現在位置算出部21で算出された現在の位置とに基づいて、モータ3を駆動させる駆動信号を生成する処理である。生成された駆動信号は、駆動信号生成部23からモータ3に出力される(工程S54)。
【0038】
なお、最大位置変化量は、動作の軌道ごと、すなわちそれぞれの可動要素を移動させるモータ3などの駆動手段ごとに設定してもよい。この場合、可動要素を放射性廃棄物15に衝突する方向に移動させる駆動手段については、最大位置変化量を小さくしておくと、衝突の可能性をさらに小さくすることができる。
【0039】
図5は、本実施の形態における力制御演算処理のフロー図である。
【0040】
力制御演算処理は、力制御工程(工程S3)で行われる処理である。力制御を開始する点は、通常、放射性廃棄物15の表面に接触する点である。そこで、たとえば工程S1ないし工程S6を繰り返し行うことによって、まずろ紙10の取り付け部を放射性廃棄物15の表面まで移動させる(工程S61)。
【0041】
ろ紙10の取り付け部が放射性廃棄物15の表面に接触しているはずの位置に移動したら、押し付け力判定部25は、押し付け力が規定値Amin以上か否かを判定する(工程S62)。規定値以上の場合には、押し付けが開始されていて、かつ、センサなどが適切に動作していると考えられるため、力制御を開始する(工程S63)。
【0042】
押し付け力が規定値より小さい場合には、確認動作を行わせる。つまり、微小ステップ動作が既定の回数X以上となるまで判定(工程S64)しながら、ろ紙10の取り付け部を放射性廃棄物15の表面に向かってごくわずかな量だけ動かす微小ステップ動作(工程S66)を繰り返す。この微小ステップ動作では、それぞれの可動要素は、ごくわずかな量だけ動かすものとする。
【0043】
微小ステップ動作を規定の回数X繰り返した後でも、押し付け力が検知されない場合には、力センサ5の信号が適切に取り込まれていないと考えられるため、異常処理として動作を停止させる(工程S65)。
【0044】
図6は、本実施の形態における力制御動作中のインターロック処理の流れ図である。
【0045】
この処理は、力制御処理(工程S3)で行われる処理であり、より具体的には、工程S62の判定により工程S63に進んだ場合におこなわれる。まず、押し付け力インターロック部27が、現在の押し付け力を押し付け力判定部25から取得する(工程S31)。次に、押し付け力インターロック部27は、押し付け力記憶部26から前回の動作ステップでの押し付け力を取得し、前回の動作ステップでの押し付け力と現在の押し付け力との変化が、所定の最大力変化量以上か否かを判定する(工程S32)。
【0046】
変化が最大力変化量以上の場合は、異常処理(工程S35)に進み、押し付け力インターロック部27が多関節移動機構12の動作を停止させる。異常処理とは、押し付け力インターロック部27が、駆動信号を出力しないようにして多関節移動機構12の動作を停止させる処理である。
【0047】
一方、変化が最大力変化量よりも小さい場合には、力制御演算(工程S33)に進む。力制御演算(工程S33)とは、駆動信号生成部23が、ろ紙10の取り付け部の目標位置と、現在位置算出部21で算出された現在の位置とに基づいて、モータ3を駆動させる駆動信号を生成する処理である。この際、押し付け力が目標の押し付け力となるような駆動信号の補正値が生成される(工程S54)。
【0048】
このように本実施の形態では、エンコーダ4や力センサ5から、断線などによって適切ではない信号がコントローラ16に伝達された場合であっても、それらの信号を誤った信号として認識することができる。このため、不適切な信号を受信した場合には、放射性廃棄物汚染検査装置が暴走する前に、安全に停止することができる。
【0049】
また、放射性廃棄物15を配置する領域に移動可能な可動要素に接触センサ87を設けることにより、可動要素が放射性廃棄物15に接触した場合に多関節移動機構12は動作を停止する。このため、予期しない接触の後にさらに多関節移動機構12が動いて放射性廃棄物15を倒したりするおそれが低減される。また、トルクリミッターを設けることにより、予期しない接触によって駆動手段に想定外の負荷が加わった場合に、可動要素を無理に動かして放射性廃棄物15を倒すおそれが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る放射性廃棄物汚染検査装置の一実施の形態におけるシステムブロック図である。
【図2】本発明に係る放射性廃棄物汚染検査装置の一実施の形態における斜視図である。
【図3】本発明に係る放射性廃棄物汚染検査装置の一実施の形態における制御フロー図である。
【図4】本発明に係る放射性廃棄物汚染検査装置の一実施の形態におけるサーボ制御処理のフロー図である。
【図5】本発明に係る放射性廃棄物汚染検査装置の一実施の形態における力制御演算処理のフロー図である。
【図6】本発明に係る放射性廃棄物汚染検査装置の一実施の形態における力制御動作中のインターロック処理の流れ図である。
【符号の説明】
【0051】
3…モータ、4…エンコーダ、5…力センサ、10…ろ紙、11…スミヤヘッド、12…多関節移動機構、14…表面検査台、15…放射性廃棄物、16…コントローラ、21…現在位置算出部、22…位置記憶部、23…駆動信号生成部、24…インターロック部、25…押し付け力判定部、26…押し付け力記憶部、27…押し付け力インターロック部、28…接触インターロック部、81…水平アーム、82…支柱、83…走行レール、84…走行機構、86…回転機構、87…接触センサ、88…トルクリミッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知手段を用いて放射性廃棄物の汚染を検査する放射性廃棄物汚染検査装置において、
互いに連結されて相対的に移動可能な複数の可動要素と、前記可動要素のいずれかに設けられて前記検知手段を取り付け可能な取り付け部と、前記可動要素のそれぞれに対して設けられて前記可動要素を移動させる駆動手段と、前記可動要素のそれぞれに対して設けられて前記可動要素の相対的な位置を検知して位置信号として出力するセンサと、を備えた多関節移動機構と、
動作ステップごとに前記位置信号に基づいて前記可動要素のそれぞれの位置を算出する現在位置算出部と、前記動作ステップごとに前記可動要素の位置を記憶する位置記憶部と、前記動作ステップごとに前記取り付け部の目標位置と前記現在位置算出部で算出された現在の位置とに基づいて前記駆動手段を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記動作ステップごとに前記可動要素の前記位置記憶部に記憶された前回の前記動作ステップでの位置と前記現在位置算出部で算出された位置との変化が所定の最大位置変化量より大きい場合に前記多関節移動機構の動作を停止させるインターロック部と、を備えたコントローラと、
を有することを特徴とする放射性廃棄物汚染検査装置。
【請求項2】
前記検知手段は前記放射性廃棄物の表面に接触して汚染を検査するものであって、
前記検知手段の前記放射性廃棄物の表面への押し付け力を検知する力センサを有し、
前記コントローラは、前記動作ステップごとに前記押し付け力を記憶する押し付け力記憶部と、前記動作ステップごとに現在の前記押し付け力と前回の前記動作ステップでの前記押し付け力との差が所定の最大力変化量より大きい場合に前記多関節移動機構の動作を停止させる押し付け力インターロック部と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の放射性廃棄物汚染検査装置。
【請求項3】
前記駆動手段に所定の大きさ以上の負荷が加えられた場合に駆動軸を滑らせるトルクリミッターを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射性廃棄物汚染検査装置。
【請求項4】
前記放射性廃棄物を配置する領域に移動可能な可動要素に設けられた接触センサを有し、
前記コントローラは、前記接触センサが接触を検知すると前記多関節移動機構の動作を停止させる接触インターロック部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の放射性廃棄物汚染検査装置。
【請求項5】
互いに連結されて相対的に移動可能な複数の可動要素と、前記可動要素のいずれかに設けられて検知手段を取り付け可能な取り付け部と、前記可動要素のそれぞれに対して設けられて前記可動要素を移動させる駆動手段と、を備えた多関節移動機構と、前記可動要素のそれぞれに対して設けられて前記可動要素の位置を検知して位置信号として出力するセンサと、を備えて、前記取り付け部に取り付けられた検知手段を用いて放射性廃棄物の汚染を検査する放射性廃棄物汚染検査装置の制御方法において、
動作ステップごとに前記位置信号に基づいて前記取り付け部の位置を算出する現在位置算出工程と、
前記動作ステップごとに前記現在位置算出部で算出された前記取り付け部の位置を記憶する位置記憶工程と、
前記動作ステップごとに前記取り付け部の目標位置と前記現在位置とに基づいて前記駆動手段を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成工程と、
前記動作ステップごとに前記位置記憶部に記憶された前回の前記動作ステップでの前記取り付け部の位置と前記現在位置算出部で算出された前記取り付け部の位置との変化を所定の最大位置変化量と比較する判定工程と、
前記判定工程で、前記変化が前記最大位置変化量より大きいと判定された場合に前記多関節移動機構の動作を停止させる停止工程と、
を有することを特徴とする放射性廃棄物汚染検査装置の制御方法。
【請求項6】
前記検知手段は前記放射性廃棄物の表面に接触して汚染を検査するものであって、
前記検知手段の前記放射性廃棄物の表面への押し付け力を検知する工程と、前記押し付け力を記憶する工程とを有し、
前記判定工程では、さらに、現在の前記押し付け力と前回の前記動作ステップでの前記押し付け力とを比較し、前記停止工程では、現在の前記押し付け力と前回の前記動作ステップでの前記押し付け力との差が所定の最大力変化量よりも大きい場合にも前記多関節移動機構の動作を停止させることを特徴とする請求項5に記載の放射性廃棄物汚染検査装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−162704(P2009−162704A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2819(P2008−2819)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】