説明

新生物を治療するための併用治療

本発明は、新生物を治療するための組成物、方法、およびキットを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌のような新生物の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
癌は、異常な細胞の制御されない増殖を特徴とする疾患である。癌細胞は、有限の寿命を有する正常細胞に対して課せられた障害を克服して、無限に増殖する。癌細胞の増殖が持続すると、癌様細胞がより攻撃的な増殖表現型を追求するように明白になるまで遺伝的変化が持続する可能性がある。無処置のまま放置すると、転移、すなわちリンパ系または血流によって体内の離れた領域への癌細胞の散布がその後に起こり、健康な組織を破壊する可能性がある。
【0003】
最近の米国癌学会の研究により、2001年だけでも米国において新規癌症例約1,268,000例が診断されると予想された。肺癌は、男性および女性における最も一般的な癌関連死因であり、全ての癌関連死の28%より多くを占める。これは男性および女性における最も一般的に起こる癌の第二位であり;2001年では、米国において肺癌の新規症例は169,000例より多いと推定され、これは全ての新規癌診断の13%を占める。肺癌症例の発生率は、米国の男性では減少しつつあるが、女性では増加し続けている。米国癌学会によれば、2001年に推定でアメリカ人157,400人が肺癌のために死亡すると予想された。
【0004】
肺において始まる癌は、顕微鏡下で細胞がどのように見えるかに応じて二つの主要なタイプ、すなわち肺の非小細胞癌および肺の小細胞癌に分けられる。肺の非小細胞癌(扁平上皮癌、腺癌、および大細胞癌)は一般的に、他の臓器への転移が肺の小細胞癌より遅い。肺の小細胞癌はあまり一般的でないタイプであり、全ての肺癌に占める割合は約20%である。
【0005】
他の癌には、脳の癌、乳癌、子宮頚癌、結腸癌、胃癌、腎臓癌、白血病、肝臓癌、リンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、皮膚癌、精巣癌、および子宮癌が含まれる。これらの癌は、肺癌と同様に、時に化学療法によって治療される。
【0006】
現在使用されている、または臨床試験中である抗増殖剤には、パクリタキセル、ドセタキセル、タモキシフェン、ビノレルビン、ゲンシタビン、シスプラチン、エトポシド、トポテカン、イリノテカン、アナストロゾール、リツキシマブ、トラスツズマブ、フルダラビン、シクロホスファミド、ゲンツズマブ、カルボプラチン、インターフェロン、およびドキソルビシンが含まれる。最も一般的に用いられる抗癌剤は、パクリタキセルであり、これは単独で、または5-フルオロウラシル、ドキソルビシン、ビノレルビン、サイトキサン、およびシスプラチンのような他の化学療法剤と併用して用いられる。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明者らは、アゾールとHMG-CoAレダクターゼ阻害剤との併用が、いずれかの物質単独より新生物細胞の増殖を減少させるために有効であることを発見した。このように、これらの物質は、その構造または機能的類似体と同様に、本発明の抗新生物併用において用いることができる。
【0008】
したがって、一つの局面において、本発明は、化合物が、新生物の増殖を阻害または防止するために十分な量で同時にまたは互いに28日以内に投与される、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤とアゾールとを患者に投与することによって、新生物(例えば、癌)を有する、または新生物を発症するリスクを有する患者を治療する方法を特徴とする。適したHMG-CoAレダクターゼ阻害剤には、シンバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、モナコリンM、モナコリンX、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、フルインドスタチン、ベロスタチン、コンパクチン、ジヒドロコンパクチン、リバスタチン、ダルバスタチン、およびピタバスタチンが含まれるがこれらに限定されない。適したアゾールには、フルコナゾール、イトラコナゾール、ヒドロキシイトラコナゾール、ポサコナゾール、サペルコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、テルコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、ブトコナゾール、およびミコナゾールが含まれるがこれらに限定されない。
【0009】
前述の方法の特定の態様において、投与される化合物の一つまたは双方は、ヒトへの投与のために、米国食品医薬品局(USFDA)のような国の製薬規制当局によって承認される。望ましくは、化合物は、互いに14または7日以内、互いに24時間以内、互いに1時間以内、または同時に投与される。最も望ましくは、化合物は同じ薬学的製剤で投与される。各化合物を、同じまたは異なる投与経路のいずれかによって、個々に投与することが好ましいかも知れない。それぞれの化合物は、静脈内、筋肉内、皮下、直腸内、経口、局所、膣内、点眼、および吸入投与によって、独立して投与してもよい。
【0010】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤は、望ましくは0.1〜100 mg/日の量、より望ましくは0.1〜50 mg/日、および最も望ましくは0.1〜5 mg/日で投与される。アゾールは、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤の有効性を測定可能に増強する量、回数、および期間で投与され、これは典型的に0.1〜400 mg/日、0.1〜200 mg/日、または0.1〜100 mg/日の量である。二つの化合物は望ましくは、アゾール対HMG-CoAレダクターゼ阻害剤の比率が約4:1〜約20:1で投与される。または、アゾールおよび/またはHMG-CoAレダクターゼ阻害剤は、0.5%〜25%w/v局所製剤として投与することができる。そのような局所製剤は、皮膚ならびに真皮および表皮の腺(すなわち、汗腺および皮脂腺)の癌を治療するために特に有用である。
【0011】
化合物は、薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含む薬学的組成物と共に提供することができる。本発明の方法において用いられる化合物は、キットの成分として提供することができる。そのようなキットには典型的に、本発明の方法において化合物を使用する説明書が含まれてもよい。これらのキットにおいて、化合物は、共にまたは個別に、個々の投与量で調製することができる。
【0012】
本発明はまた、前述の方法が手術、放射線療法、化学療法、免疫療法、抗血管新生療法、または遺伝子治療のような癌のさらなる治療と併用して用いられる、癌を有する患者を治療する方法を特徴とする。二つの処置は典型的に、互いに6ヶ月以内に、かつ同時に行ってよい。好ましくは、さらなる治療は化学療法である。最も好ましくは、さらなる治療には、患者にシスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エトポシド、メソトレキセート、メルカプトプリン、5-フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、ビンブラスチン、ビンクリスチン、パクリタキセル、またはその任意の組み合わせを患者に投与することが含まれる。
【0013】
本発明の方法に従って治療することができる癌には、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄球性白血病、慢性リンパ球性白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、ならびに肉腫および癌腫のような固形腫瘍(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝腫、胆管癌、絨毛上皮腫、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、子宮癌、精巣癌、肺癌、肺の小細胞癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、および網膜芽腫)が含まれる。好ましくは、治療される癌は、肺癌、特に扁平上皮癌、腺癌、台細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、特に卵巣腺癌、または前立腺癌である。
【0014】
本発明の特定の態様において、アゾールは、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤および新生物の増殖を阻害するために十分な量および回数の一つ、二つ、三つ、またはそれ以上の抗増殖剤との併用によって投与される。典型的に、それぞれの物質は28日間のあいだに少なくとも1回投与され、新生物の増殖を阻害するために必要であれば、2回、3回、4回、または28日間の間、毎日(28回)個々に投与してもよい。
【0015】
本発明はまた、そのような治療を必要とする患者における新生物を治療または予防するために有用である化合物の組み合わせを同定する方法を特徴とする。方法には、(a)細胞をインビトロで(i)アゾールまたはHMG-CoAレダクターゼ阻害剤、および(ii)候補化合物に接触させること、ならびに(b)アゾールもしくはHMG-CoAレダクターゼ阻害剤およびに候補化合物の併用が、アゾールもしくはHMG-CoAレダクターゼ阻害剤に接触させたが、候補化合物には接触させていない細胞、または候補化合物に接触させたが、アゾールもしくはHMG-CoAレダクターゼ阻害剤に接触させていない細胞と関連して、細胞増殖を減少させるか否かを決定することが含まれる。細胞増殖が減少すれば、その組み合わせはそのような治療を必要とする患者を治療するために有用であると同定される。
【0016】
「癌」、「新生物」、または「新生物細胞」とは、異常なように増幅する細胞の集団を意味する。癌の増殖は制御されずに進行性であり、正常な細胞であれば複製を誘発しない、または中止を引き起こすであろう条件で起こる。
【0017】
「HMG-CoAレダクターゼ阻害剤」とは、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-補酵素A(HMG-CoA)レダクターゼの酵素活性を少なくとも約10%阻害する化合物である。HMG-CoAレダクターゼ阻害剤には、シンバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、モナコリンM、モナコリンX、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、フルインドスタチン、ベロスタチン、コンパクチン、ジヒドロコンパクチン、リバスタチン、ダルバスタチン、およびピタバスタチンと共にその薬学的に許容される塩(例えば、シンバスタチンナトリウム、ロバスタチンナトリウム、フルバスタチンナトリウム等)が含まれるがこれらに限定されない。
【0018】
「アゾール」は、真菌の増殖を阻害することができる炭素原子3個と窒素原子2個(例えば、イミダゾール)、または炭素原子2個と窒素原子3個(例えば、トリアゾール)の五員環を有する抗真菌化合物の任意のクラスのメンバーを意味する。化合物は、それがインビトロである種の真菌の増殖を少なくとも25%阻害する場合、「抗真菌剤」であると見なされる。典型的に、アゾールは、抗真菌剤として用いた場合に200 mg/日より多い用量で投与される。本発明の方法および組成物において用いられるアゾールの例を本明細書に記述する。
【0019】
「抗増殖剤」とは、新生物の増殖を個々に阻害する化合物を意味する。抗増殖剤には、微小管阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プラチン類、アルキル化剤、および抗代謝剤が含まれるがこれらに限定されない。特定の抗増殖剤には、パクリタキセル、ゲンシタビン、ドキソルビシン、ビンブラスチン、エトポシド、5-フルオロウラシル、カルボプラチン、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ブスルファン、カルムスチン、クロラムブシル、2-クロロデオキシアデノシン、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン、シトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、燐酸セストラムスチン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲンツズマブ、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシウレア、イフォスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メソトレキセート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ペントスタチン、プロカルバジン、リツキシマブ、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、6-チオグアニン、トポテカン、トラスツズマブ、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビンが含まれる。
【0020】
「新生物の増殖を阻害する」とは、インビトロまたはインビボで新生物または新生物細胞の増殖速度を測定可能に遅らせる、停止させる、または逆転させることを意味する。望ましくは、増殖速度を遅らせることは、細胞増殖速度を決定するための適したアッセイ(例えば、本明細書に記述の細胞増殖アッセイ)を用いて決定した場合に、少なくとも20%、30%、50%、または70%遅らせることである。典型的に、増殖速度の逆転は、新生物細胞において細胞死に関する壊死またはアポトーシスメカニズムを開始または加速して、それによって新生物の退縮を引き起こすことによって得られる。
【0021】
「新生物を治療するための有効量」とは、インビボで新生物の増殖を阻害するために必要な、本発明に従う単独または併用した化合物の量を意味する。新生物(例えば、癌)の治療的治療のために本発明を実践するために用いられる活性化合物の有効量は、投与方法、被験者の年齢、体重、および全身健康に応じて変化する。最終的に、主治医または獣医師は、適当な量および投与レジメを決定するであろう。そのような量は、「有効」量であると呼ばれる。
【0022】
新生物を治療するためのアゾール化合物とHMG-CoAレダクターゼ阻害剤との併用によって、各化合物のより低用量を投与することができ、いずれかの化合物単独の投与と比較して類似の有効性または増加した有効性を提供する。方法によってまた、それぞれの化合物の標準用量を投与することができ、それによっていずれかの化合物の単独の投与と比較して改善された有効性を提供する。
【0023】
「低用量」とは、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤またはアゾールの最低の標準推奨用量より少なくとも10%少ないことを意味する。「高用量」は、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤またはアゾールの最高の標準推奨用量より少なくとも5%多いことを意味する。「中等度の用量」は、低用量と高用量のあいだの用量を意味する。
【0024】
「治療する」とは、炎症疾患を治療または予防するための薬学的組成物を投与または処方することを意味する。
【0025】
「患者」は任意の動物(例えば、ヒト)を意味する。
【0026】
本発明において有用である化合物には、そのジアステレオマーおよびエナンチオマーのような異性体、塩、溶媒和化合物、多形と共に、本明細書に記述の化合物のラセミ混合物および純粋な異性体を含む、その薬学的に許容される任意の剤形の本明細書に記述の化合物が含まれる。
【0027】
本発明の他の特徴および長所は以下の詳細な説明および請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0028】
詳細な説明
本発明者らは、アゾールがインビトロで癌細胞に対するHMG-CoAレダクターゼ阻害剤の抗増殖活性を増強することを発見した。このように、アゾールは、癌および他の新生物の治療のためにHMG-CoAレダクターゼ阻害剤との併用において有用である。この発見は、癌および他の新生物の治療にとって有用である併用治療を提供する。HMG-CoAレダクターゼ阻害剤/アゾールの併用治療は、癌の治療にとって有用な通常の薬剤と共に投与してもよい。HMG-CoAレダクターゼ阻害剤およびアゾールの双方を投与する場合には、一つまたはそれ以上の化合物のより低用量を投与してもよい。
【0029】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤において、およびアゾールにおいて共有される既知の特性に基づいて、構造または機能的に関連する化合物を本発明の抗新生物併用において置換することができる。
【0030】
それぞれの化合物、その類似体および代謝物に関する情報を下記に提供する。
【0031】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤には、シンバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、モナコリンM、モナコリンX、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、フルインドスタチン、ベロスタチン、コンパクチン、ジヒドロコンパクチン、リバスタチン、ダルバスタチン、およびピタバスタチンが含まれる。典型的に、高コレステロールの治療の場合、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤の用量は、患者の状態に応じて変化するが、標準推奨用量は以下の通りである:シンバスタチン−5〜80 mg/日;ロバスタチン−10〜80 mg/日;フルバスタチン−20〜40 mg/日;アトルバスタチン−10〜80 mg/日;セリバスタチン−0.2〜0.4 mg;プラバスタチン−10〜80 mg/日;ロスバスタチン−5〜80 mg/日;およびピタバスタチン−2〜4 mg/日。
【0032】
本発明の方法および組成物において有用なさらなるHMG-CoAレダクターゼ阻害剤およびその類似体は、

【0033】
アゾール
本発明の方法および組成物において用いることができるアゾールには、フルコナゾール、イトラコナゾール、ヒドロキシイトラコナゾール、ポサコナゾール、サペルコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、テルコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、ブトコナゾール、およびミコナゾールが含まれる。典型的に、真菌感染症の治療の場合、アゾールは患者の状態に応じた量で投与されるが、標準推奨用量を下記に提供する。
【0034】
フルコナゾールは、典型的に膣内酵母感染症を治療するために1回経口用量150 mgとして投与される。他のタイプの真菌感染症の場合、100 mg〜400 mg/日の標準推奨用量を経口または注射によって投与する。イトラコナゾールの標準推奨用量は、100〜400 mg/日である。投与は、カプセル剤、注射剤、または経口溶液によって行ってもよい。ケトコナゾールは、経口懸濁液または錠剤の形で200〜400 mg/日の標準推奨用量で投与される。
【0035】
本発明の方法および組成物において有用なさらなるアゾールおよびその類似体は、米国特許第

に記述される。
【0036】
薬学的組成物の調製
適した投与様式には、経口、直腸内、静脈内、筋肉内、皮下、吸入、局所、または経皮、膣内、腹腔内(IP)、関節内、および点眼が含まれる。
【0037】
併用した各化合物の投与は、他の成分と併用した場合に、標的領域に達すると抗新生物作用を有する化合物の濃度が得られる任意の適した手段であってもよい。化合物は、適した担体物質と混合して、一般的に、組成物の総重量の重量で約1〜95%で存在する。組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、皮下)、直腸内、経皮、鼻腔内、膣内、吸入、または点眼投与に適した投与剤形で提供してもよい。このように、組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、溶液、ハイドロゲルを含むゲル、パスタ剤、軟膏、クリーム、硬膏、飲薬、輸送装置、坐剤、浣腸、注射剤、インプラント、スプレー、またはエアロゾルの剤形であってもよい。薬学的組成物は、通常の薬学の実践に従って調製してもよい(例えば、Rmington:「The Science and Practice of Pharmacy」、(第20版)、A.R. Gennaro編、2000、Lippincott Williams & Wilkins、フィラデルフィア、ペンシルバニア州および「Encyclopedia of Pharmaceutical Technology」、J. Swarbrick and J.C. Boylan編、1988〜2002、Marcel Dekker、ニューヨークを参照されたい)。
【0038】
治療
本発明の化合物の併用は、新生物の治療にとって有用である。併用治療は単独で行ってもよく、またはもう一つの治療(例えば、手術、放射線療法、化学療法、生物療法)と併用して行ってもよい。さらに、新生物を発症するリスクがより大きい人(例えば、遺伝的に素因を有する人または新生物をこれまでに有したことがある人)は、新生物の形成を阻害または遅らせるために予防治療を受けてもよい。併用治療の期間は、治療される疾患または障害のタイプ、患者の年齢および状態、患者の疾患の進行期およびタイプ、ならびに患者が治療に対してどのように反応するかに依存する。
【0039】
併用療法は化学療法が行われる場所ではどこでも提供してもよい:自宅、医師の診察室、診療所、病院の外来診療部門、または病院。治療は一般的に、医師が治療効果を厳密に観察して必要な如何なる調整も行うことができるように、病院で開始される。併用治療の期間は、治療される癌の種類、患者の年齢および状態、患者の疾患の進行期およびタイプ、ならびに患者の体が治療に対してどのように反応するかに依存する。薬物投与は、異なる間隔(例えば、毎日、毎週、または毎月)で行ってもよく、各物質の投与は個別に決定してもよい。併用治療は、患者の体が健康な新しい細胞を構築して、その強さを回復する機会を有するように、休止期を含むオン&オフサイクルで行ってもよい。
【0040】
癌のタイプおよびその進行期に応じて、癌を治療するために、癌の散布を遅らせるために、癌の増殖を遅らせるために、原発腫瘍から体の他の部分へと広がる可能性がある癌細胞を殺すまたは停止させるために、癌によって引き起こされる症状を軽減するために、または癌を最初の場所で予防するために、併用治療を用いることができる。併用治療はまた、疼痛または不快感を引き起こす癌細胞を消失させることによって、人々がより快適に生活できるように助けることができる。
【0041】
併用する各成分の投与量、投与回数、および投与様式は、独立して制御することができる。例えば、一つの化合物を1日3回局所投与してもよく、第二の化合物を1日1回経口投与してもよい。併用治療は患者の体がなお予測できない副作用から回復する機会が得られるように、休止期を含むオン&オフサイクルで行ってもよい。化合物はまた、一回の投与によって双方の化合物が輸送されるように、共に調製してもよい。
【0042】
癌および他の新生物の例には、白血病(例えば急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、ならびに肉腫および癌腫のような固形腫瘍(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝腫、胆管癌、絨毛上皮腫、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、子宮癌、精巣癌、肺癌、肺の小細胞癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、および網膜芽腫)が含まれるがこれらに限定されない。
【0043】
用量
請求の併用治療に関するそれぞれの化合物の用量は、以下を含むいくつかの要因に依存する:投与法、治療される新生物、新生物の重症度、新生物が治療または予防されるか否か、ならびに治療される患者の年齢、体重、および健康。
【0044】
併用される化合物は、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、もしくはシロップ剤の剤形で経口投与、または坐剤の形で直腸内投与してもよい。化合物の非経口投与は、例えば生理食塩液溶液の剤形で、または化合物をリポソームに組み入れて適切に行われる。化合物そのものが溶解するために十分に溶解性でない場合、エタノールのような溶解剤を加えることができる。当業者は、もう一つの化合物をブピカバカイン類似体またはジブカイン類似体、またはいずれか一つの抗増殖剤のいずれかの代わりに用いる場合、細胞増殖アッセイにおける化合物の有効性を調べることによって、正確な用量を決定することができることを認識するであろう。局所投与の場合、アゾールまたはHMG-CoAレダクターゼ阻害剤は通常、0.1%〜25%w/v溶液、クリーム、またはゲルとして提供される。アゾールおよびHMG-CoAレダクターゼ阻害剤は通常、そのような化合物を輸送するために有効であることが公知である同じ投与経路によって投与される。本発明の方法に従う併用治療において用いる場合、アゾールまたはHMG-CoAレダクターゼ阻害剤は通常、その化合物を用いる有効な抗癌単剤療法が得られる量および回数と同等またはそれより少ない量および回数で投与される。
【0045】
実施例1:肺の非小細胞癌A549細胞に対するシンバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
増殖の阻害は、試験化合物と共に72時間インキュベートした後に、下記のような抗増殖アッセイによって測定した。様々な濃度のシンバスタチン、イトラコナゾール、またはシンバスタチンとイトラコナゾールの併用の効果を対照ウェル(A549を播種したが、シンバスタチンまたはイトラコナゾールのいずれともインキュベートしない)と比較した。
【0046】
本実験の結果を表1に示す。物質の単独および併用の効果を細胞増殖の阻害の割合(%)として示す。
【0047】
データは、本アッセイにおいて、シンバスタチンが48 μMの濃度で細胞増殖を最大で95.4%阻害することを示している。7μMイトラコナゾールを加えると、ほぼ最大阻害に必要なシンバスタチンの濃度は12μMまで減少し、シンバスタチンの濃度は4倍減少した。
【0048】
(表1)A549細胞におけるアラマーブルー代謝の阻害の割合(%)

【0049】
実施例2:HCT116ヒト結腸直腸癌細胞に対するシンバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
表2は、シンバスタチン、イトラコナゾール、またはシンバスタチンとイトラコナゾールの併用によって処置したHCT116細胞を用いた抗増殖アッセイの結果を示す。本アッセイにおいて、シンバスタチンは、48μMで81.2%の最大阻害を示す。7μMイトラコナゾールおよび12μMシンバスタチンの存在下では、シンバスタチンの有効性は増強され、シンバスタチン単独の最大阻害を超えて92.7%阻害を示し、濃度は4倍減少する。
【0050】
(表2)HCT116細胞におけるアラマーブルー代謝の阻害の割合(%)

【0051】
実施例3:ヒトHCT116ヒト結腸直腸癌細胞に対するシンバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
HCT116細胞増殖に及ぼすシンバスタチンナトリウム(Calbiochem)およびイトラコナゾールの併用の連続2倍希釈液の結果を表3に示す。本アッセイにおいて、シンバスタチンは、22μMで69.8%の最大阻害を示す。7μMイトラコナゾールおよび5.5μMシンバスタチンの存在下では、併用は、シンバスタチン単独の最大阻害を超えて89.9%の阻害を示し、シンバスタチンの濃度は4倍減少する。
【0052】
(表3)HCT116細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0053】
実施例4:PANC1ヒト膵臓癌細胞に対するシンバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
PANC1細胞増殖に及ぼすシンバスタチンおよびイトラコナゾールの併用の連続2倍希釈液の結果を表4に示す。本アッセイにおいて、シンバスタチンは、48μMで43.3%の最大阻害を示す。7μMイトラコナゾールを加えると、ほぼ最大阻害に必要なシンバスタチンの濃度は12μMに減少し、シンバスタチンの濃度は4倍減少する。
【0054】
(表4)PANC1細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0055】
実施例5:SKMEL-28ヒト黒色腫細胞に対するシンバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
SKMEL-28細胞増殖に及ぼすシンバスタチンおよびイトラコナゾールの併用の連続2倍希釈液の結果を表5に示す。本アッセイにおいて、シンバスタチンは、48μMで40.7%の最大阻害を示す。7μMイトラコナゾールおよび6μMシンバスタチンの存在下では、併用は最大阻害を超えて58.5%の阻害に達し、シンバスタチンの濃度は8倍減少する。
【0056】
(表5)SKMEL-28細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0057】
実施例6:DU145ヒト前立腺癌細胞株に対するアトルバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
DU145細胞増殖に及ぼすアトルバスタチンおよびイトラコナゾールの併用の連続2倍希釈液の結果を表6に示す。本アッセイにおいて、アトルバスタチンは、36μMで25.6%の最大阻害を示す。28μMイトラコナゾールの存在下では、アトルバスタチンの有効性は増強され、55.6%の阻害を示す。
【0058】
(表6)DU145細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0059】
実施例7:HCT116ヒト結腸直腸癌細胞に対するアトルバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
HCT116細胞増殖に及ぼすアトルバスタチンおよびイトラコナゾールの単独または併用の連続2倍希釈液の結果を表7に示す。本アッセイにおいて、アトルバスタチンは、36μMで69.0%の最大阻害を示す。7μMイトラコナゾールおよび9μMアトルバスタチンの存在下では、併用は、アトルバスタチンの最大阻害を超えて82.9%の阻害を示し、アトルバスタチンの量は4分の1に過ぎない。
【0060】
(表7)HCT116細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0061】
実施例8:PANC1ヒト前立腺細胞株に対するアトルバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
PANC1細胞増殖に及ぼすアトルバスタチンおよびイトラコナゾールの連続2倍希釈液の結果を表8に示す。本アッセイにおいて、アトルバスタチンは、36μMで37.5%の最大阻害を示す。イトラコナゾールの非存在下では、9μMアトルバスタチンは6.8%阻害を示すが、7μMイトラコナゾールの存在下では、同じ量のアトルバスタチンが36%阻害を示し、最大増殖阻害をほぼ回復する。
【0062】
(表8)PANC1細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0063】
実施例9:SKMEL-28ヒト黒色腫細胞に対するアトルバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
SKMEL-28細胞増殖に及ぼすアトルバスタチンおよびイトラコナゾール併用の連続2倍希釈液の結果を表9に示す。本アッセイにおいて、アトルバスタチンは、36μMで45.9%の最大阻害を示す。イトラコナゾールの非存在下では、9μMシンバスタチンは24.0%阻害を示すが、7μMイトラコナゾールの存在下では、細胞増殖の阻害は、アトルバスタチン単独による最大阻害を超えて61.8%となる。
【0064】
(表9)SKMEL-28細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0065】
実施例10:DU145ヒト前立腺癌細胞に対するフルバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
DU145細胞増殖に及ぼすフルバスタチンおよびイトラコナゾールの単独または併用の連続2倍希釈液の結果を表10に示す。本アッセイにおいて、フルバスタチンは、49μMで58.3%の最大阻害を示す。非存在下では、12μMフルバスタチンは15.5%の阻害を示すが、14μMイトラコナゾールの存在下では、フルバスタチンの有効性は増強し、40.3%の阻害を示す。
【0066】
(表10)DU145細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0067】
実施例11:HCT116ヒト結腸直腸癌細胞に対するフルバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
HCT116細胞増殖に及ぼすフルバスタチンおよびイトラコナゾール併用の連続2倍希釈液の結果を表11に示す。本アッセイにおいて、フルバスタチンは、49μMで93.1%の最大阻害を示す。6.1μMフルバスタチンは、7μMイトラコナゾールの存在下では、91.9%阻害を示し、フルバスタチンの8倍少ない濃度でほぼ最大阻害を可能にする用量節約作用を提供する。
【0068】
(表11)HCT116細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0069】
実施例12:PANC1ヒト膵臓癌細胞に対するフルバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
PANC1細胞増殖に及ぼすフルバスタチンおよびイトラコナゾール併用の連続2倍希釈液の結果を表12に示す。本アッセイにおいて、フルバスタチンは、49μMで59.9%の最大阻害を示す。しかし、12μMフルバスタチンを7μMイトラコナゾールと併用すると56.8%の阻害を示し、フルバスタチンの4分の1の量でなおもほぼ最大阻害を得ることができる。
【0070】
(表12)PANC1細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0071】
実施例13:SKMEL-28ヒト黒色腫細胞に対するフルバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
SKMEL-28細胞増殖に及ぼすフルバスタチンおよびイトラコナゾール併用の連続2倍希釈液の結果を表13に示す。本アッセイにおいて、フルバスタチンは、49μMで27.8%の最大阻害を示す。7μMイトラコナゾールおよびフルバスタチン濃度の16倍少ない3μMフルバスタチンの存在下では、併用は59.5%の阻害を示し、フルバスタチン単独の最大阻害の2倍より多い。
【0072】
(表13)SKMEL-28細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0073】
実施例14:HCT116ヒト結腸直腸癌細胞に対するロバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
HCT116細胞増殖に及ぼすフルバスタチンおよびイトラコナゾールの単独または併用の連続2倍希釈液の結果を表15に示す。本アッセイにおいて、ロバスタチンは、48μMで55.0%の最大阻害を示す。3.5μMイトラコナゾールの存在下では、6μMロバスタチンは83.4%の阻害を示す。このように、ロバスタチンの8倍少ない濃度で、併用はロバスタチン単独によって示される最大阻害を超える。
【0074】
(表14)HCT116細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0075】
実施例15:HCT116ヒト結腸直腸癌細胞に対するロバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
HCT116細胞増殖に及ぼすロバスタチンナトリウム(Calbiochem)およびイトラコナゾール併用の連続2倍希釈液の結果を表15に示す。本アッセイにおいて、ロバスタチンは、22μMで58.9%の最大阻害を示す。7μMイトラコナゾールの存在下では、2.8μMロバスタチンは82.0%の阻害を示し、ロバスタチンの8倍少ない濃度で、併用はロバスタチン単独によって示される最大阻害を超える。
【0076】
(表15)HCT116細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0077】
実施例16:HCT116ヒト結腸直腸癌細胞に対するセリバスタチンおよびイトラコナゾールの抗増殖活性
HCT116細胞増殖に及ぼすセリバスタチンおよびイトラコナゾール併用の連続4倍希釈液の結果を表16に示す。本アッセイにおいて、セリバスタチンは、22μMで85.5%の最大阻害を示す。1.7μMイトラコナゾールの存在下では、1.4μMセリバスタチンは84.1%阻害を示す。このように、セリバスタチンの8倍少ない濃度は、イトラコナゾールとの併用においてほぼ最大阻害を示す。
【0078】
(表16)HCT116細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0079】
実施例17:HCT116ヒト結腸直腸癌細胞に対するアトルバスタチンおよびクロトリマゾールの抗増殖活性
HCT116細胞増殖に及ぼすアトルバスタチンおよびクロトリマゾールの併用の連続2倍希釈液の結果を表17に示す。本アッセイにおいて、アトルバスタチンは、36μMで89.3%の最大阻害を示す。7.3μMクロトリマゾールおよび18μMアトルバスタチンの存在下では、併用は82.7%の阻害を示す。
【0080】
(表17)HCT116細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0081】
実施例18:HCT116ヒト結腸直腸癌細胞に対するアトルバスタチンおよびエコナゾールの抗増殖活性
HCT116細胞増殖に及ぼすアトルバスタチンおよびエコナゾールの併用の連続2倍希釈液の結果を表18に示す。本アッセイにおいて、エコナゾールは、36μMで83.1%の最大阻害を示す。11.0μMエコナゾールおよび18μMアトルバスタチンの存在下では、併用は80.9%の阻害を示す。
【0082】
(表18)HCT116細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0083】
実施例19:HCT116ヒト結腸直腸癌細胞に対するアトルバスタチンおよびケトコナゾールの抗増殖活性
HCT116細胞増殖に及ぼすアトルバスタチンおよびケトコナゾールの併用の連続2倍希釈液の結果を表19に示す。本アッセイにおいて、アトルバスタチンは、36μMで73.7%の最大阻害を示す。4.7μMケトコナゾールおよび18μMアトルバスタチンの存在下では、併用は68.3%の阻害を示す。
【0084】
(表19)HCT116細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0085】
実施例20:HCT116ヒト結腸直腸癌細胞に対するロバスタチンおよびエコナゾールの抗増殖活性
HCT116細胞増殖に及ぼすロバスタチンおよびエコナゾールの併用の連続2倍希釈液の結果を表20に示す。本アッセイにおいて、ロバスタチンは、36μMで95.6%の最大阻害を示す。12.0μMエコナゾールおよび18μMロバスタチンの存在下では、併用は84.5%の阻害を示す。
【0086】
(表20)HCT116細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0087】
実施例21:HCT116ヒト結腸直腸癌細胞に対するアトルバスタチンおよびテルコナゾールの抗増殖活性
HCT116細胞増殖に及ぼすアトルバスタチンおよびテルコナゾールの併用の連続2倍希釈液の結果を表21に示す。本アッセイにおいて、アトルバスタチンは、36μMで66.4%の最大阻害を示す。19.0μMテルコナゾールおよび18μMアトルバスタチンの存在下では、併用は78.4%の阻害を示す。
【0088】
(表21)HCT116細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0089】
実施例22:HCT116ヒト結腸直腸癌細胞に対するロバスタチンおよびチオコナゾールの抗増殖活性
HCT116細胞増殖に及ぼすロバスタチンおよびチオコナゾールの併用の連続2倍希釈液の結果を表22に示す。本アッセイにおいて、ロバスタチンは、24μMで61.9%の最大阻害を示す。9.0μMチオコナゾールおよび6.0μMロバスタチンの存在下では、併用は70.1%の阻害を示す。
【0090】
(表22)HCT116細胞におけるアラマー・ブルー代謝の阻害の割合(%)

【0091】
材料および方法
前述の結果は以下の材料および方法から得た。
【0092】
腫瘍細胞培養
ヒト膵臓癌PANC1細胞(ATCC #CRL-1469)、ヒト結腸直腸癌HCT116細胞(ATCC #CCL-247)、ヒト肺の非小細胞癌A549細胞(ATCC #CCL-185)、ヒト前立腺癌DU145細胞(ATCC #HTB-81)、およびヒト黒色腫SKMEL-28細胞(ATCC #HTB-72)は、10%FBS、2 mMグルタミン、1%ペニシリン、および1%ストレプトマイシンを添加したRPMI 1640培地において37±0.5℃、および5%CO2において増殖させた。
【0093】
試験化合物
クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、ロバスタチン、およびシンバスタチンは、Sigma Chemical Co(セントルイス、ミズーリ州)から得た。アトルバスタチン、イトラコナゾール、およびテルコナゾールはIntrachem(パラムス、ニュージャージー州)から得た。セリバスタチンおよびフルバスタチンは、Sequoia Research Products(オックスフォード、イギリス)から得た。ロバスタチンナトリウムおよびシンバスタチンナトリウムはCalbiochem(サンジエゴ、カリフォルニア州)から得た。各化合物の保存液(1000×)をDMSOにおいて調製して-20℃で保存した。個々の化合物の連続2倍または4倍希釈液のマスターストックプレートを384ウェルプレートにおいて調製した。試験化合物の併用行列を、上記の増殖培地に希釈することによってこれらのマスターストックプレートから調製した。併用行列における試験化合物の最終濃度は、アッセイにおいて用いた濃度より10倍高い。併用行列は直ちに使用して廃棄した。
【0094】
抗増殖アッセイ
抗増殖アッセイは、384ウェルプレートにおいて行った。0.25%トリプシン溶液を用いて培養フラスコから腫瘍細胞を剥がした。SKMEL細胞3,000個、または他の全ての細胞株に関して1,500個が、各アッセイウェルにおいて培地35μl中に加えられるように、細胞を培養培地において希釈した。アッセイプレートを、37℃±0.5℃、5%CO2で16〜24時間インキュベートした。インキュベーションの後、併用行列から10×保存溶液4.5μlを培養培地40μlに加えた。アッセイプレートを37℃±0.5℃で5%CO2でさらに72時間インキュベートした。インキュベーション期間の後に、37℃±0.5℃に加温した10.5%アラマーブルー40μlをアッセイウェルに加えた。アラマーブルーの代謝は、添加後3.5〜5.0時間の蛍光強度の量によって定量した。LJLアナリストADリーダー(LJL Biosystems)を用いた定量は、ウェルの中心において高い減衰、読み取り時間100 msec、励起フィルター530 nm、および放射フィルター575 nmで行った。いくつかの実験に関して、定量は、Wallac Victor2リーダーを用いて行った。測定は、安定化したエネルギーランプ対照によってウェルの上段で行った;読み取り時間100 m秒、励起フィルター530 nm、および放射フィルター590 nm。プレートリーダー間に有意差は測定されなかった。
【0095】
以下の式を用いて各ウェルの阻害の割合(%I)を計算した:
%I=[(無処置ウェルの平均値−処置ウェル)/(無処置ウェルの平均値)]×100
無処置ウェルの平均値(avg.無処置ウェル)は、溶媒対照によって処置した同じアッセイプレートからのウェル40個の相加平均である。負の阻害値は、無処置ウェルと比較して処置ウェルにおける局所変動に起因する。
【0096】
他の態様
本明細書において用いられる腫瘍細胞株について証明された抗増殖作用は、NSC肺癌、MCF7乳腺腺癌、PA-1卵巣奇形癌、HT29結腸直腸腺癌、H1299大細胞癌、U-2 OS骨原性肉腫、U-373 MG神経膠芽腫、Hep-3B肝細胞癌、BT-549乳癌、T-24膀胱癌、C-33A子宮頚癌、HT-3転移性子宮頚癌、SiHa扁平上皮癌、CaSki類表皮子宮頚癌、NCI-H292粘膜表皮肺癌、NCI-2030、肺の非小細胞癌、HeLa、上皮性頚部腺癌、KB上皮性口腔癌、HT1080上皮線維肉腫、Saos-2上皮骨原性肉腫、PC3上皮前立腺腺癌、SW480結腸直腸癌、CCL-228、MS-751類上皮子宮頚癌、LOX IMVI黒色腫、MALME-3M黒色腫、M14黒色腫、SK-MEL-2黒色腫、SK-MEL-28黒色腫、SK-MEL-5黒色腫、UACC-257黒色腫、およびUACC-62黒色腫細胞株のような他の癌細胞株を用いて同様に証明することができる。特異性は、対照細胞として、NHLF肺線維芽細胞、NHDF皮膚線維芽細胞、HMEC乳腺上皮細胞、PrEC前立腺上皮細胞、HRE腎上皮細胞、NHBE気管支上皮細胞、CoSmC結腸平滑筋細胞、CoEC結腸内皮細胞、NHEK上皮ケラチノサイト、および骨髄細胞のような細胞を用いて試験することができる。
【0097】
上記の明細書において言及した全ての出版物および特許は、参照として本明細書に組み入れられる。本発明の記述の方法および系の様々な改変および変更が当業者に明らかであり、それらも本発明の範囲および趣旨に含まれる。本発明は、特定の好ましい態様に関連して記述してきたが、請求の本発明は、そのような特定の態様に不当に限定されてはならないと理解すべきである。実際に、腫瘍学または関連分野の当業者に明白な、本発明を行うために記述された様式の様々な改変が本発明の範囲に含まれると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新生物の治療にとって有効な量で存在するHMG-CoAレダクターゼ阻害剤とアゾールとを含む組成物。
【請求項2】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤が、シンバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、モナコリンM、モナコリンX、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、フルインドスタチン、ベロスタチン、コンパクチン、ジヒドロコンパクチン、リバスタチン、ダルバスタチン、およびピタバスタチンからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
アゾールが、フルコナゾール、イトラコナゾール、ヒドロキシイトラコナゾール、ポサコナゾール、サペルコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、テルコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、ブトコナゾール、およびミコナゾールからなる群より選択される、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物を患者に投与する段階を含む、新生物を有する、または新生物を発症するリスクを有する患者を治療する方法。
【請求項5】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤とアゾールとを、患者を治療するために十分な量で該患者に同時に、または互いに28日以内に投与することを含む、新生物を有する、または新生物を発症するリスクを有する患者を治療する方法。
【請求項6】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤が、シンバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、モナコリンM、モナコリンX、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、フルインドスタチン、ベロスタチン、コンパクチン、ジヒドロコンパクチン、リバスタチン、ダルバスタチン、およびピタバスタチンからなる群より選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
アゾールが、フルコナゾール、イトラコナゾール、ヒドロキシイトラコナゾール、ポサコナゾール、サペルコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、テルコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、ブトコナゾール、およびミコナゾールからなる群より選択される、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
新生物が結腸癌、肺癌、非小細胞癌、卵巣癌、前立腺癌、および白血病からなる群より選択される、請求項5〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤とアゾールとが互いに14日以内に投与される、請求項5〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤とアゾールとが互いに7日以内に投与される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤とアゾールとが互いに24時間以内に投与される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤とアゾールとが互いに1時間以内に投与される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤とアゾールとが同時に投与される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤が0.1 mg〜100 mg/日の量で投与される、請求項5〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤が0.1 mg〜50 mg/日の量で投与される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤が0.1 mg〜5 mg/日の量で投与される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
アゾールが0.1 mg〜400 mg/日の量で投与される、請求項5〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
アゾールが0.1 mg〜200 mg/日の量で投与される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
アゾールが0.1 mg〜100 mg/日の量で投与される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
投与されるアゾール対HMG-CoAレダクターゼ阻害剤の比率が少なくとも4:1である、請求項5〜19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
投与されるアゾール対HMG-CoAレダクターゼ阻害剤の比率が少なくとも20:1である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
アゾールの低用量が投与される、請求項5〜21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
HMG-CoAレダクターゼ阻害剤の低用量が投与される、請求項5〜22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
手術、放射線療法、化学療法、免疫療法、抗血管新生療法、および遺伝子治療からなる群より選択される一つまたはそれ以上のさらなる癌治療を患者に投与する段階をさらに含む、請求項4〜23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
以下を含むキット:
(i)HMG-CoAレダクターゼ阻害剤とアゾールとを含む組成物;および
(ii)新生物を治療するために患者に組成物を投与するための説明書。
【請求項26】
以下を含むキット:
(i)HMG-CoAレダクターゼ阻害剤;
(ii)アゾール;および
(iii)新生物を有すると診断された、または新生物を発症するリスクを有する患者に該HMG-CoAレダクターゼ阻害剤と該アゾールとを投与するための説明書。
【請求項27】
以下を含むキット:
(i)HMG-CoAレダクターゼ阻害剤;および
(ii)新生物を有すると診断された、または新生物を発症するリスクを有する患者に該HMG-CoAレダクターゼ阻害剤とアゾールとを投与するための説明書。
【請求項28】
以下を含むキット:
(i)アゾール;および
(ii)新生物を有すると診断された、または新生物を発症するリスクを有する患者に該アゾールとHMG-CoAレダクターゼ阻害剤とを投与するための説明書。
【請求項29】
以下の段階を含む、そのような治療を必要とする患者において、新生物を治療するために有用な化合物の組み合わせを同定するための方法:
(a)インビトロで細胞に(i)HMG-CoAレダクターゼ阻害剤またはアゾール、および(ii)候補化合物を接触させる段階;ならびに
(b)HMG-CoAレダクターゼ阻害剤もしくはアゾールと候補化合物との組み合わせが、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤もしくはアゾールに接触させたが候補化合物に接触していない細胞、または該候補化合物に接触させたがHMG-CoAレダクターゼ阻害剤もしくはアゾールに接触させていない細胞と比較して、細胞増殖を減少させるか否かを決定する段階であって、ここで細胞増殖が減少すれば、その組み合わせがそのような治療を必要とする患者を治療するために有用な組み合わせであると同定される段階。

【公表番号】特表2006−526640(P2006−526640A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514978(P2006−514978)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/016653
【国際公開番号】WO2005/000208
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(501273808)コンビナトアールエックス インコーポレーティッド (21)
【Fターム(参考)】