説明

旅行支援計画システム、旅行支援計画方法及びナビゲーション装置

【課題】旅行計画支援サーバとナビゲーション装置とで使用する地図データが異なる場合に有効なルートを設定する旅行計画支援システムを提供すること。
【解決手段】旅行計画支援サーバ3は、入力された出発地及び目的地に基づいて、出発地から目的地までのルートを探索し、ルート上の特徴ノードを抽出し、特徴ノードに対応する名称データ及び進行方向と、特徴リンクに対応する名称データ及び走行距離とを含むルート特徴情報に変換して記憶する制御部31とを備え、ナビゲーション装置1は、旅行計画支援サーバ3に記憶されるルート特徴情報を受け取り、ルート特徴情報に含まれる名称データ、進行方向及び走行距離からナビゲーション装置1に使うルートを復元する制御部11を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部のクライアント端末から旅行計画支援サーバに接続し、ナビゲーション装置で使用するルートの設定を行う旅行計画支援システムに係り、特に、旅行計画支援サーバとナビゲーション装置とで使用する地図データが異なる場合に有効なルートの設定を行う旅行支援計画システム、それに用いる旅行支援計画方法及びナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置は、表示画面が狭く、操作性が悪いため、複雑な設定を行うことが困難であった。このため、例えば、ナビゲーション装置の外部にあるPC(Personal Computer)のようなクライアント端末からインターネットを通じて旅行計画支援サーバに接続し、ユーザ認証を行って、対応するナビゲーション装置の複雑な設定を行う機能が開発されている。このような機能は、ナビゲーション装置のユーザを対象にした専用サービスとして提供されることが多い。
【0003】
一方、一般のユーザを対象にしたサービスとして、インターネットを通じて地図情報を検索する、Google(登録商標)MapsやYahoo!(登録商標)Mapsのようなサービスが多数存在し、位置情報とコンテンツが対応付けられて提供されている。最近のナビゲーション装置は、このようなサービスによって提供されるタグデータを解釈する機能を備え、現在地が指定された地域に近づくと、その地域のコンテンツを提示するといったサービスが提供されるようになってきている。
【0004】
従来のナビゲーション装置のユーザを対象にした専用サービスにおいて、旅行計画支援サーバは、クライアント端末で設定される出発地及び目的地と、必要に応じて設定される複数の経由地を受け取り、出発地から複数の経由地を経由して目的地に至るルートを探索して、結果を地図上に表示する機能を備えている。一般に、ルート探索に使う道路の接続データは、交差点に対応するノードと交差点間を接続する道路に対応するリンクによって記述され、ルート探索の結果はリンクID列として提供される。
【0005】
旅行計画支援サーバとナビゲーション装置とでは、使用される地図データのバージョンが異なる可能性があるため、旅行計画支援サーバで設定したルートをリンクID列のまま渡すことはできない。そこで、旅行計画支援サーバは、出発地及び目的地と、必要に応じて複数の経由地をナビゲーション装置に転送し、ナビゲーション装置は、出発地から複数の経由地を経由して目的地に至るルートを探索して、ナビゲーションに使うルートとして設定する手段が取られている。
【0006】
また、クライアント端末で確認したルートに近づけるため、経由地以外のルート上の座標点をいくつか選択してナビゲーション装置に渡す手段が提供されている(以下、「形状データによる転送方式」という)。
【0007】
また、例えば、特許文献1では、ユーザが端末上で所望の出発地及び目的地を指定すると、それに基づいてルート計算サーバでルートの計算がなされ、計算されたルート表示を含む地図画像を端末に送信し、端末上で見ることができる技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−296074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、旅行計画支援サーバとナビゲーション装置とでは、地図データのバージョンが違っていたり、ルート探索に使うコストなどの設定が違っていたりする可能性がある。このため、クライアント端末で確認したルートと異なるルートがナビゲーション装置に設定されるという問題があった。
【0010】
また、形状データによる転送方式では、ルートを再現するためには多数の座標点を渡さなければならず、データ量が膨大になるという問題があった。
【0011】
また、特許文献1に記載の技術は、ルート計算サーバで計算したルート情報に基づき、地図サーバで作成されたルート表示を含む地図画像をGIFデータに変換してユーザの端末に送るためデータ量が膨大になるという問題があった。
【0012】
また、インターネット上の地図検索サービスを旅行計画支援サーバとして利用する場合、旅行計画支援サーバとナビゲーション装置では、使用される地図データのバージョンだけでなく、地図データそのものが異なり、リンクの切り方やリンクIDの付け方が違っていたり、座標がずれていたりする可能性がある。旅行計画支援サーバで設定したルート上の座標点をすべて渡したとしても、ナビゲーション装置では座標がずれてしまうため、マップマッチングにより位置合わせをする必要がある。ルート上のすべての座標点をナビゲーション装置に渡す場合、データ量が膨大になる上、マップマッチングによる計算負荷が大きくなるという問題があった。
【0013】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、特に、旅行計画支援サーバとナビゲーション装置とで使用する地図データが異なる場合に有効なルートを設定する旅行計画支援システム、旅行計画支援方法及びナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明による旅行計画支援システムは、移動体のナビゲーションに関わる処理を実行するナビゲーション装置と、通信ネットワークに接続され、前記移動体向けの旅行計画作成を支援する旅行計画支援サーバとを備える旅行計画支援システムであって、旅行計画支援サーバは、入力された出発地及び目的地に基づいて、出発地から目的地までのルートを探索し、前記ルート上の特徴ノードを抽出し、特徴ノードに対応する名称データ及び進行方向と、特徴ノード間の特徴リンクに対応する名称データ及び走行距離とを含むルート特徴情報に変換して記憶する制御部を備え、ナビゲーション装置は、旅行計画支援サーバからルート特徴情報を受け取り、ルート特徴情報に含まれる名称データ、進行方向及び走行距離からナビゲーション装置に使うルートを復元する制御部を備える。
【0015】
さらに、本発明による旅行計画支援システムは、旅行計画支援サーバの制御部が、更に1以上の経由地を受け取り、出発地から経由地を経由して目的地に至るルートを探索する。
【0016】
さらに、本発明による旅行計画支援システムは、ルート特徴情報が特徴ノードの座標を含む。
【0017】
さらに、本発明による旅行計画支援システムは、旅行計画支援サーバの制御部が、ルート上にナビゲーション装置の地図データにない新しく開設した道路が含まれる場合には、ルート特徴情報に、新しく開設した道路に対応する特徴リンクの座標を含める。
【0018】
さらに、本発明による旅行計画支援システムは、出発地及び目的地が、通信ネットワークを通じて旅行計画支援サーバに接続されるクライアント端末により入力される。
【0019】
さらに、本発明では、上記旅行計画支援システムに用いる旅行計画支援方法及びナビゲーション装置を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、旅行計画支援サーバからナビゲーション装置にルートを送信する場合のデータ形式として、ルート上の曲がり角などの特徴ノードと特徴ノード間のリンクによって記述されるルート特徴情報を用いるので、ルート上の座標点を転送する場合に比べてデータ量を削減する旅行計画支援システムを提供でき、当該システムに用いる旅行計画支援方法を提供できる。
【0021】
また、ナビゲーション装置では、ルート特徴情報に含まれる名称データと進行方向と走行距離とからナビゲーションに使うルートを復元するので、旅行計画支援サーバとナビゲーション装置とで、地図データが異なり、座標がずれている場合であっても、有効なルート設定が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した旅行計画支援システムの一実施例を示す図である。旅行計画支援システムは、移動体のナビゲーションに関わる処理を実行するナビゲーション装置1と、通信ネットワーク4に接続され、移動体向けの旅行計画作成を支援する旅行計画支援サーバ3と、旅行計画支援サーバ3と通信ネットワーク4を通じて接続し、ユーザが操作するクライアント端末2とからなる。旅行計画支援サーバ3が接続する通信ネットワーク4には、複数の無線基地局5が接続し、さらに無線通信網6を介してナビゲーション装置1と接続する。また、クライアント端末2は外部記憶媒体7を介してナビゲーション装置1にデータを渡すこともできる。ここで、外部記憶媒体7は、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、あるいは、フラッシュメモリのような記憶媒体によって構成される。
【0023】
ナビゲーション装置1は、装置全体の制御を行う制御部11と、地図データなどを格納するデータ記憶部12と、GPS(Global Positioning System)センサ等により移動体の現在地を取得する現在地取得部13と、ユーザからの入力を受け付ける入力部14と、ユーザ操作画面や地図を表示する表示部15と、無線通信網6、無線基地局5、通信ネットワーク4を介して旅行計画支援サーバ3と接続するための無線通信部16と、外部記憶媒体7を介してクライアント端末2からデータを受け取るための外部記憶媒体I/F(インターフェース)17とからなる。
【0024】
クライアント端末2は、本体、ディスプレイ、マウス、キーボードなどによって構成されるPC21と、通信ネットワーク4を介して旅行計画支援サーバ3と接続するための通信部22とからなる。
【0025】
また、旅行計画支援サーバ3は、サーバ全体の制御を行う制御部31と、地図データなどを格納するデータ記憶部32と、通信ネットワーク4を介してクライアント端末2と接続するための通信部33とからなる。
【0026】
図2は、旅行計画支援サーバ3の構成を示す図である。制御部31は、プロセッサ301とメモリ302とからなり、メモリ302には、プロセッサ301で実行されるプログラムが格納されている。メモリ302には、クライアント端末2やナビゲーション装置1からの接続を受け付ける際に、ユーザのIDやパスワードを受け取り、データ記憶部32に記憶される認証データ309と照合して認証を行うユーザ認証部303と、データ記憶部32から必要な地図データ308などを検索するデータ検索部304と、クライアント端末2で設定される出発地及び目的地と、必要に応じて設定される複数の経由地を受け取り、出発地から複数の経由地を経由して目的地に至るルートを探索するルート探索部305と、探索結果のルート上の特徴を抽出して後述するルート特徴情報に変換してデータ記憶部32のパーソナルデータ310に登録するルート登録部306と、クライアント端末2またはナビゲーション装置1からの要求に応じてルート特徴情報を配信するルート配信部307とを備える。メモリ302は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)からなり、実行プログラムの他に、データ記憶部32から読み出した地図データ308などを格納する。
【0027】
図3は、ナビゲーション装置1の構成を示す図である。制御部11は、プロセッサ101とメモリ102とからなり、メモリ102にはプロセッサ101で実行されるプログラムが格納されている。メモリ102には、データ記憶部12から必要な地図データ107などを検索するデータ検索部103と、指定された出発地から目的地までのルート探索を実行するルート探索部104と、ルートに沿ったナビゲーションを行うルート案内部105と、旅行計画支援サーバ3から受け取ったルート特徴情報に基づいてルートを復元して設定するルート設定部106とを備える。メモリ102は、ROMとRAMからなり、実行プログラムの他に、データ記憶部12から読み出した地図データや旅行計画支援サーバ3から受け取ったルート特徴情報などを格納する。
【0028】
ここで、ルート特徴情報などを受信する受信部は、外部と無線により通信を行う無線通信部16と、外部記憶媒体7を介してクライアント端末2からデータを受け取るための外部記憶媒体I/F(インターフェース)17とからなる。
【0029】
データ記憶部12は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリのような比較的大容量の記憶媒体によって構成される。データ記憶部12には、地図表示やルート探索に使う地図データ107と、クライアント端末2から旅行計画支援サーバ3に接続して設定したルートなどのパーソナルデータ108を格納する。入力部14は、タッチパネルや操作ボタンからなり、さらに、音声入力のためのマイク等を備えてもよい。表示部15は、液晶ディスプレイ等の表示画面からなり、さらに、音声出力のためのスピーカ等を備えてもよい。
【0030】
ここで、上記地図データについて詳細に説明する。
【0031】
図4は、上記地図データの構成例を示す図である。地図データは、旅行計画支援サーバ及びナビゲーション装置に各々格納され、地図表示用データ41と経路計算用データ42が格納されている。地図表示用データ41は、表示部15に地図を表示するためのデータであり、道路データ41a、背景データ41b及び名称データ41cにより構成される。道路データ41aは道路地図を表示するための道路形状のデータを含み、背景データ41bは鉄道、河川、建物などのような道路地図の背景となるデータを含む。また、名称データ41cは地名、道路名や交差点名などのような注記文字列のデータを含む。さらに、経路計算用データ42は、ルート探索部104及び305でルート探索を行うためのデータであり、接続データ42aによって構成される。
【0032】
図5は、地図表示用データ41の構成例を示す図である。道路は、交差点などに対応するノードと、ノード間を結ぶリンクを基本としたデータ構造で管理されることが多い。道路データ41aは図5(a)に示すように、リンクIDと、道路種別、道路名称、座標点数及び座標点列とを対応付けている。座標点数nのうち、(X座標1、Y座標1)は、道路の始点となる交差点を表し、(X座標n、Y座標n)は、道路の終点となる交差点を表す。(X座標2、Y座標2)から(X座標n−1、Y座標n−1)で表される座標は、道路のうち曲がりくねった地点を形状的に補間する形状補間点を表している。背景データ41bは図5(b)に示すように、背景IDと、背景種別、背景名称、座標点数及び座標点列とを対応付けて記述している。また、名称データ41cは図5(c)に示すように、名称IDと、名称種別、文字情報、中心座標とを対応付けて記述している。
【0033】
ここで、旅行計画支援サーバ3は、旅行計画支援サーバ3とナビゲーション装置1とが有する各々の地図データ107、308間の名称データの対応関係を記憶し、ナビゲーション装置1で使用する地図データ107に応じて上記ルート特徴情報に含まれる名称データを変換する。さらに、ルート上にナビゲーション装置1の地図データ308にない新しく開設した道路が含まれる場合には、ルート特徴情報に、新しく開設した道路に対応する特徴リンクの座標を含める。
【0034】
図6は、経路計算用データ42の構成例を示す図である。接続データ42aは、ルート探索を行うためのデータで、図6に示すように、あるノードにおけるリンクの接続関係と、リンクコストなどをリンクIDやノードIDと対応付けて記述している。すなわち、上記ノードに隣接する隣接ノード数をkとすると、隣接ノードは接続ノードID1、、、接続ノードIDkとして記述され、例えば、上記ノードと接続ノードID1とはリンクID1で接続され、リンクID1におけるコストはリンクコスト1と記述している。
【0035】
図7は、旅行計画支援システムにおけるクライアント端末2と旅行計画支援サーバ3との間で実施される処理の流れを示す図である。
【0036】
まず、クライアント端末2から旅行計画支援サーバ3に通信接続が要求されると(S1)、旅行計画支援サーバ3とクライアント端末の通信接続が確立される(S2)。次に、クライアント端末2から旅行計画支援サーバ3にIDとパスワードが送信されると(S3)、旅行計画支援サーバ3は、受信したIDとパスワードを認証データ309と照合する(S4)。照合が完了すると、旅行計画支援サーバ3は、データ編集画面を生成してクライアント端末2に送信する(S5)。次に、クライアント端末2をユーザが操作することによって、出発地及び目的地に対応する地点リストが図9に示す地点リストデータとして設定される(S6)。さらに、複数の経由地を地点リストデータに含めて設定することも可能である。ユーザによるクライアント端末の操作により、設定された地点リストデータに基づくルート探索が要求されると(S7)、ユーザが設定した地点リストデータが旅行計画支援サーバ3に送信される(S8)。地点リストデータを受信すると(S9)、旅行計画支援サーバ3は、ルート探索処理を実施し(S10)、探索結果をルートとして地図上に表示した画面を生成してクライアント端末2に送信する(S11)。ユーザによるクライアント端末の操作により、このルートを登録するルート登録が要求されると(S12)、旅行計画支援サーバ3は、ルート上の特徴を抽出してルート特徴情報に変換し(S13)、ルート登録処理(S14)のため、後述する図8に示すルートデータ43としてパーソナルデータ310に格納する。
【0037】
外部記憶媒体7を利用するか否か(S15)に応じて、利用する場合には、ユーザによるクライアント端末2の操作により、ダウンロードが要求されると(S16)、旅行計画支援サーバ3はクライアント端末2にルートデータを送信する(S17)。クライアント端末2は、ルートデータを受信し(S18)、外部記憶媒体7にルートデータを保存する(S19)。最後に、クライアント端末2から旅行計画支援サーバ3に通信切断が要求されると(S20)、旅行計画支援サーバ3とクライアント端末2の通信接続が切断される(S21)。
【0038】
このようにして、ユーザにより選択されたルートの特徴を抽出し、ルート特徴情報に変換されてパーソナルデータ310として格納されることにより、同一のルート特徴情報を旅行計画支援サーバ3とクライアント端末2とで共有することが可能になる。
【0039】
図8〜図10は、上述したルート特徴情報を含むデータの構成例を示す図である。
【0040】
図8は、ルートデータの構成例を示す図である。図8に示すように、ルートデータ43は、登録したルートを区別するために付与するルート名称43a、ユーザが設定した出発地及び目的地と複数の経由地を含む地点リストデータ43b、旅行計画支援サーバ3で使用するベース地図バージョン43c、ルート探索バージョン43d、ルート探索条件43e、及び、旅行計画支援サーバ3での探索結果に対応するルート補間データ43fによって記述される。
【0041】
図9は、地点リストデータ43bの構成例を示す図である。地点リストデータ43bは、図9(a)に示すように、出発地データ、目的地データ及び複数の経由地点データによって構成される。さらに、これらの個々のデータは、地点データとして定義され、図9(b)に示すように、地点名称、住所及び座標によって記述される。
【0042】
図10は、ルート補間データ43fの構成例を示す図である。ルート補間データ43fは、図10(a)に示すように、出発地から目的地までのルートを経由地で分割した区間ルートデータによって構成される。区間ルートデータは、ルート上の曲がり角などに対応する特徴ノードを抽出した結果であり、図10(b)に示すように、特徴ノードデータと特徴リンクデータによって構成される。特徴リンクデータは、図10(c)に示すように、リンクID列、道路種別、道路名称及び走行距離によって記述される。また、特徴ノードデータは、図10(d)に示すように、座標、交差点種別、交差点名称及び進行方向によって記述される。ここで、進行方向は特徴ノードにおける進行方向を表し、例えば、直進方向との角度差で記述し、右折方向か左折方向かの区別は符号で記述するようにしてもよい。あるいは、特徴ノードの周囲を例えば8方向に分類し、コードを割り当てて記述するようにしてもよい。
【0043】
図11は、ルート探索結果の経由地Aから経由地Bまでの区間ルートデータを説明するための図である。ここで、N1からN5はノード(交差点)、L1からL6はリンク(道路)を表し、Pは、交差点ではないが曲がりくねったルートの形状を補間して表示するための形状補間点を表している。また、Rはルート上の道路であり、Qはルート以外の道路を表している。
【0044】
図12は、図11に対応する経由地Aから経由地Bまでの区間ルートデータを使って、ルート特徴情報を抽出する処理を説明するための図である。図11では、N2とN4がルート上の交差点における曲がり角に対応する特徴ノードとして抽出される。図12では、これらの特徴ノードをそれぞれN1*とN2*と記述し、特徴リンクをL1*からL4*によって記述している。
【0045】
図13は、特徴ノード判定の処理の流れを示す図である。特徴ノード判定は、ルート上の各ノードに対して実施する。まず、ノードにおける分岐数が2以下の場合には特徴ノードとしない。次に、ノードにおける進行方向が道なりでない場合には特徴ノードとする。道なりの場合であっても、道路名称や道路種別などの道路属性が変化する場合には特徴ノードとする。
【0046】
図14にノードにおける分岐数を説明するための図を示す。すなわち、図14(a)に示すような一本道は分岐数2、図14(b)に示すような三差路は分岐数3、図14(c)に示すような四差路は分岐数4とそれぞれ判断する。
【0047】
図15にノードにおける道なり判定を説明するための図である。図15(a)に示すように、進行方向との角度差が閾値以下のとき道なりと判断し、図15(b)に示すように、進行方向との角度差が閾値以下であっても、そのような道路が複数存在する場合には道なりでないと判断する。また、図15(c)に示すように、進行方向との角度差が閾値以上のときには道なりでないと判断する。
【0048】
図16は旅行計画支援システムにおいて、ナビゲーション装置1と旅行計画支援サーバ3が無線通信網6を介して接続する場合に実施される処理の流れを示す図である。
【0049】
まず、ナビゲーション装置1から旅行計画支援サーバ3に通信接続が要求されると(S31)、無線通信網6を介した旅行計画支援サーバ3とナビゲーション装置1の通信接続が確立される(S32)。次に、ナビゲーション装置1から旅行計画支援サーバ3にIDとパスワードが送信されると(S33)、旅行計画支援サーバ3は、受信したIDとパスワードを認証データ309と照合する(S34)。照合が完了すると、旅行計画支援サーバ3は、パーソナルデータ310からユーザがクライアント端末2により登録したルートリストのインデクスを読み出し(S35)、ルート選択画面を生成してナビゲーション装置1に送信する(S36)。ナビゲーション装置1で、ユーザ操作によって一つのルートが選択されると(S37)、旅行計画支援サーバ3では、ユーザが指定したルートデータをパーソナルデータ310から読み出し(S38)、ルートデータを地図上に表示した画面を生成してナビゲーション装置1に送信する(S39)。さらに、ユーザによるナビゲーション装置の操作によってダウンロードが要求されると(S40)、旅行計画支援サーバ3はナビゲーション装置1にルートデータを送信する(S41)。ナビゲーション装置1は、ルートデータを受信すると(S42)、旅行計画支援サーバ3に通信切断を要求し(S43)、無線通信網6を介した旅行計画支援サーバ3とナビゲーション装置1の通信接続が切断される(S44)。
【0050】
さらに、ナビゲーション装置1は、受信したルートデータに基づいてナビゲーションに使うルートを設定し(S45)、ルートデータを地図上に表示することで(S46)、ユーザに確認させた上で、ルート案内を開始する(S47)。
【0051】
このように、ナビゲーション装置は、旅行計画支援サーバ3より受信した名称データ及び距離を含むルート特徴情報を用いることにより、地図上にルート表示をすることが可能になる。
【0052】
次に、外部記憶媒体7を利用した場合のナビゲーション装置1の処理を説明する。図17は、外部記憶媒体7を利用してルートデータを設定する場合にナビゲーション装置で実施される処理の流れを示す図である。
【0053】
まず、外部記憶媒体7からルートリストのインデクスを読み出し(S51)、ルート選択画面を表示する(S52)。ユーザによるナビゲーション装置の操作によって一つのルートが選択されると(S53)、ユーザが指定した、図8に示すルートデータを外部記憶媒体7から読み出し(S54)、ルートデータに基づいてナビゲーションで使うルートを設定する(S55)。さらに、ルートを地図上に表示することで(S56)、ユーザに確認させた上で、ルート案内を開始する(S57)。
【0054】
このように、外部記憶媒体を用いることにより、通信不能状態に陥った場合でも、ナビゲーション装置においてルートの復元が可能になる。
【0055】
図18は、ナビゲーション装置1におけるルート設定処理の流れを示す図である。まず、図9に示す地点リストデータ43bの各地点データを、ナビゲーション装置1の地図データ107と対応付けて設定する(S71)。次に、図10に示す区間ルートデータの特徴リンクデータ及び特徴ノードデータを基に、地図データ107との対応付けによってルートを復元する(S72)。本実施の形態では、出発地または経由地を開始点として、区間ルートデータに対応するリンクを辿ることによってルートを復元する。図10に示す特徴リンクデータの情報から、道路種別及び道路名称が一致するリンクを走行距離分だけ抽出する。また、図10に示す特徴ノードデータの情報から、交差点種別及び交差点名称の一致を確認し、進行方向のリンクを抽出する。このような復元方法は、鈴木祥宏、他2名、「電子情報通信学会論文誌、1998/12、Vol.J81−D−II、No.12、3.2道路ネットワーク上の経路の同定」に記載されている。このような操作を繰り返し、区間ルートデータに対応するルートを部分的にでも復元していく。最後に、ルートを復元できなかった区間について、ルート探索を実施してルートを補間する(S73)。
【0056】
このようにして、旅行計画支援サーバとナビゲーション装置とが有する地図データが異なり、座標がずれている場合でも、ナビゲーション装置はルート特徴情報に含まれる名称データ、進行方向及び走行距離からルートを復元することができる。
【0057】
次に、本発明に係る旅行計画支援システムの実施例と従来方式とを比較をする。従来方式は、形状データによる転送方式(始点及び終点と補間点による記述)であり、一方、本発明に係る旅行計画支援システムの実施例は、上述したように、特徴点及び属性による転送方式(特徴点の座標及び種別と名称からなる属性の記述)である。
【0058】
評価は、旅行計画支援サーバからカーナビゲーション装置へのデータ転送サイズ(速度)
を比較して行った。
【0059】
従来方式の形状データによる転送方式では、各リンクの形状は、始点及び終点と補間点によって記述され、各点の座標は1点あたり約8Byteと見積もられる。座標は、メッシュコードとメッシュ内座標によって記述される。メッシュコード約4Byte、メッシュ内座標はx、y約2Byteずつとすると、1点あたり約8Byteと見積もられる。 市街地においてリンク毎の補間点は1点程度なので、リンク当りのデータサイズは約16Byte、田舎や山間部ではそれ以上と見積もられる。
【0060】
転送するデータサイズは、50km程度の経路(一般道路)を想定した場合、リンク数は約500本程度なので、データサイズは約8kByteとなり、田舎や山間部ではそれ以上になると予想される。
【0061】
一方、本実施例による特徴点及び属性による転送方式では、特徴点の座標は、従来方式と同様に1点当たり約8Byteと見積もられる。属性は種別と名称によって記述され、名称の長さによって異なるが、約20Byte程度と見積もられる。データサイズは、特徴点間のリンク列当り約50Byte程度と見積もられる。
【0062】
転送するデータサイズは、50km程度の経路(一般道路)を想定した場合の特徴点は、出発地及び目的地付近の特徴点の集中を考慮すると約10点程度であるので、約500Byte程度となる。
【0063】
以上により、本実施例と従来例とを比較すると、本実施例の転送速度は従来例より約1/10程度になっている。さらに、山道など補間点が多く含まれる形状では、転送速度は従来例より約1/100程度になることも十分に考えられ、本実施例の効果を十分に確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施例に係る旅行計画支援システムのブロック図である。
【図2】上記システムにおける旅行計画支援サーバの構成を示すブロック図である。
【図3】上記システムにおけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図4】上記システムにおけるクライアント端末と旅行計画支援サーバとの間で実施される処理の流れを示す図である。
【図5】上記システムにおけるナビゲーション装置と旅行計画支援サーバとの間で実施される処理の流れを示す図である。
【図6】外部記憶媒体を用いて上記ナビゲーション装置で実施される処理の流れを示す図である。
【図7】上記システムにおける地図データの構成例を示す図である。
【図8】上記システムにおける地図表示用データの構成例を示す図である。
【図9】上記システムにおける経路計算用データの構成例を示す図である。
【図10】上記システムにおけるルートデータの構成例を示す図である。
【図11】上記システムにおける地点リストデータの構成例を示す図である。
【図12】上記システムにおけるルート補間データの構成例を示す図である。
【図13】上記システムにおける区間ルートデータを説明するための図である。
【図14】上記システムにおけるルート特徴情報を抽出する処理を説明するための図である。
【図15】上記システムにおける特徴ノード判定の処理の流れを示す図である。
【図16】上記システムにおけるノードの分岐数を説明するための図である。
【図17】上記システムにおけるノードの道なり判定を説明するための図である。
【図18】上記システムにおけるナビゲーション装置のルート設定処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1…ナビゲーション装置、2…クライアント端末、3…旅行計画支援サーバ、4…通信ネットワーク、5…無線基地局、6…無線通信網、7…外部記憶媒体、11…制御部、12…データ記憶部、13…現在地取得部、14…入力部、15…表示部、16…無線通信部、17…外部記憶媒体I/F、21…PC、22…:通信部、31…制御部、32…データ記憶部、33…通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体のナビゲーションに関わる処理を実行するナビゲーション装置と、通信ネットワークに接続され、前記移動体向けの旅行計画作成を支援する旅行計画支援サーバとを備える旅行計画支援システムであって、
前記旅行計画支援サーバは、入力された出発地及び目的地に基づいて、前記出発地から前記目的地までのルートを探索し、前記ルート上の特徴ノードを抽出し、前記特徴ノードに対応する名称データ及び進行方向と、前記特徴ノード間の特徴リンクに対応する名称データ及び走行距離とを含むルート特徴情報に変換して記憶する制御部を備え、
前記ナビゲーション装置は、前記旅行計画支援サーバから前記ルート特徴情報を受け取り、前記ルート特徴情報に基づいて、ナビゲーションに使うルートを復元する制御部を備える
ことを特徴とする旅行計画支援システム。
【請求項2】
前記旅行計画支援サーバの制御部は、更に1以上の経由地を受け取り、前記出発地から前記経由地を経由して前記目的地に至るルートを探索する
ことを特徴とする請求項1記載の旅行計画支援システム。
【請求項3】
前記ルート特徴情報は、前記特徴ノードの座標を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の旅行計画支援システム。
【請求項4】
前記旅行計画支援サーバの制御部は、前記ルート上に前記ナビゲーション装置の地図データにない新しく開設した道路が含まれる場合には、前記ルート特徴情報に、新しく開設した道路に対応する特徴リンクの座標を含める
ことを特徴とする請求項1に記載の旅行計画支援システム。
【請求項5】
前記出発地及び目的地は、前記通信ネットワークを通じて前記旅行計画支援サーバに接続されるクライアント端末により入力される
ことを特徴とする請求項1に記載の旅行計画支援システム。
【請求項6】
移動体のナビゲーションに関わる処理を実行するナビゲーション装置と、通信ネットワークに接続され、前記移動体向けの旅行計画作成を支援する旅行計画支援サーバとを備える旅行計画支援方法であって、
前記旅行計画支援サーバは、入力された出発地及び目的地に基づいて、前記出発地から前記目的地までのルートを探索し、前記ルート上の特徴ノードを抽出し、前記特徴ノードに対応する名称データ及び進行方向と、前記特徴ノード間の特徴リンクに対応する名称データ及び走行距離とを含むルート特徴情報に変換して記憶し、
前記ナビゲーション装置は、前記旅行計画支援サーバから前記ルート特徴情報を受け取り、前記ルート特徴情報に基づいて、ナビゲーションに使うルートを復元する
ことを特徴とする旅行計画支援方法。
【請求項7】
前記旅行計画支援サーバの制御部は、更に1以上の経由地を受け取り、前記出発地から前記経由地を経由して前記目的地に至るルートを探索する
ことを特徴とする請求項6に記載の旅行計画支援方法。
【請求項8】
前記ルート特徴情報は、前記特徴ノードの座標を含む
ことを特徴とする請求項6に記載の旅行計画支援方法。
【請求項9】
前記旅行計画支援サーバの制御部は、前記ルート上に前記ナビゲーション装置の地図データにない新しく開設した道路が含まれる場合には、前記ルート特徴情報に、新しく開設した道路に対応する特徴リンクの座標を含める
ことを特徴とする請求項6に記載の旅行計画支援方法。
【請求項10】
前記出発地及び目的地は、前記通信ネットワークを通じて前記旅行計画支援サーバに接続されるクライアント端末により入力される
ことを特徴とする請求項6に記載の旅行計画支援方法。
【請求項11】
移動体のナビゲーションに関わる処理を実行するナビゲーション装置であって、
出発地から目的地までのルート上の特徴ノードと、前記特徴ノードに対応する名称データ及び進行方向と、前記特徴ノード間の特徴リンクに対応する名称データ及び走行距離とを含むルート特徴情報を受信する受信部と、
前記ルート特徴情報に基づいて、ナビゲーションに使うルートを復元する制御部と、
前記ルートを表示する表示部とを備える
ことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−133763(P2009−133763A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311024(P2007−311024)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】