説明

有機酸化ケイ素微粒子及びその製造方法、多孔質膜形成用組成物、多孔質膜及びその形成方法、並びに半導体装置

【課題】高性能多孔性絶縁膜を得るために、期待される誘電率、機械強度を満たし、化学的安定性に優れる多孔質膜を形成できる有機酸化ケイ素微粒子等を提供する。
【解決手段】無機酸化ケイ素、又はケイ素原子に直接結合した炭素原子を有する有機基を含有する第1有機酸化ケイ素からなる内核と、内核の外周に、ケイ素原子に直接結合した炭素原子を有する有機基を含有する有機基含有加水分解性シラン、又は有機基含有加水分解性シランと前記有機基を含有しない有機基非含有加水分解性シランの混合物からなる外殻形成用成分を塩基触媒の存在下で加水分解性縮合して得られる、第1有機酸化ケイ素とは異なる第2有機酸化ケイ素からなる外殻とを備えてなる有機酸化ケイ素微粒子であって、全炭素原子数[C]と全ケイ素原子数[Si]との比[C]/[Si]が、内核では0以上1未満であり、外殻では1以上である有機酸化ケイ素微粒子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布成膜可能な、誘電特性、機械強度及び化学的安定性に優れた多孔質膜を形成しうる有機酸化ケイ素微粒子、膜形成用組成物、多孔膜の製造方法及び製造された多孔質膜、並びに多孔質膜を内蔵する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の形成においてはその高集積化に伴い、金属配線間の寄生容量である配線間容量の増加に起因する配線遅延時間の増大が半導体回路の高性能化の妨げになっている。配線遅延時間は、金属配線の電気抵抗と配線間の静電容量の積に比例する所謂RC遅延と呼ばれるものである。この配線遅延時間を小さくするためには、金属配線の抵抗を小さくするか又は配線間の容量を小さくすることが必要である。このようにして配線金属の抵抗及び配線間容量を小さくする事によって、半導体装置は高集積化しても配線遅延を引き起こさなくなるため、半導体装置の微細化と高速化が可能になり、さらに消費電力も小さく抑えることが可能になる。
【0003】
金属配線の抵抗を小さくするために、最近では従来適用されてきたアルミニウムによる配線に対し、金属銅を配線として用いる半導体装置構造が採用されるようになってきた。
しかしこれのみでは高性能化に限界があり、配線間容量の低減が半導体のさらなる高性能化にとって急務となってきている。
【0004】
配線間容量を小さくする方法としては、金属配線同士の間に形成される層間絶縁膜の比誘電率を低くすることが考えられる。このような低比誘電率の絶縁膜としては、従来用いられてきたシリコン酸化膜に代えて多孔質膜の検討が行われている。特に、層間絶縁膜に適した比誘電率が2.5以下の材料としては多孔質膜が唯一実用的であるため、種々の多孔質膜の形成方法が提案されている。しかしながら、多孔質化は機械強度の低下や水分の吸着による劣化を招き易く、空孔の導入によるk値の低減と,機械強度や疎水性の確保が非常に大きな問題となっている。
【0005】
有機酸化ケイ素膜の機械強度を高める方法としては、膜を構成するケイ素ユニットとして4官能性のケイ素ユニットの割合を高めることにより、密なシロキサン架橋構造を構築し、硬い粒子を形成する方法がある。実際、4官能性の TEOS のプラズマ重合膜はバルク(多孔性を持たない状態)の強度で80GPaと非常に高い値を示す。一方、メチル基を1つ持つ3官能性のアルコキシシランの加水分解縮合物より調整した場合、バルク体でも20GPa以下の強度しか示さない(非特許文献1)。低誘電率化を達成するために、上記膜に空孔の導入を行った場合も、バルク体での強度の関係が反映され、4官能性のユニットの割合が大きくなるほど、高強度は得られやすくなることは周知である。
一方、化学的性質については、Si−C結合と、Si−O結合の結合エネルギー自体は、Si−O結合の方が大きく、熱分解しにくい構造を与える。しかし、洗浄液などの化学物質との反応性に関しては、Si−C結合とSi−O結合の大きな分極率の差に由来し、より分極の大きな Si−O 結合の方が化学物の攻撃(求核攻撃)を受けやすくなる。同様に、4官能性のケイ素と3官能性のケイ素の分極を比較すると、分極の大きなSi−O結合の数に従い、4官能性のケイ素中心の電子密度は低下しており、(=δ+性が大きい)求核攻撃を受けやすくなっている。
一方、アッシングや wetエッチングプロセスでのダメージは絶縁膜表面の親水化から広がり、Si−O結合を持つSiへの求核攻撃によって膜の持つ誘電率が上昇してしまうことになる。そこでアルキル基に代表される非極性有機成分を導入することにより、膜表面に有機成分由来の疎水性がダメージへの耐性を向上することが期待される。
【0006】
半導体装置の層間絶縁膜に多孔質シリカ系皮膜を用いた場合、エッチング工程や洗浄工程でのプロセスダメージが問題になっている。特に洗浄液処理後の多孔質シリカ系皮膜表面の親水化と、吸湿は、半導体装置の信頼性低下に繋がり、改善が求められていた。
CVD−LK膜(LKはlow−kの略である。)においては、このようなプロセスダメージの受けやすさは、炭素含有率が多くなるほど抑制されてくる傾向が認められており、塗布型のLK膜についてもカルボシラン骨格を導入するなどして、炭素含有率を高める検討がされている(特許文献1等)。
【特許文献1】特開2007−262257号公報
【特許文献2】特開平10−81839号公報
【特許文献3】特開2005−216895号公報
【特許文献4】特開2004−161535号公報
【非特許文献1】「65nm及び45nm世代以降のLow−k材料とプロセスインテグレーション」、柴田栄毅、電子ジャーナル社主催 講演予稿集 2006年4月18日 東京・お茶の水
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、塗布成膜による高性能多孔性絶縁膜を得るために、工業的に好ましい材料を用いて、期待される誘電率、機械強度を満たし、化学的安定性に優れる多孔質膜を形成できる、有機酸化ケイ素微粒子を提供し、それを含有する膜形成用組成物、多孔質膜の形成方法及び形成された多孔質膜を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記有利な材料による多孔質膜を内蔵する高性能かつ高信頼性を備えた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の通り、膜全体として見た場合には、膜材料として使用する有機酸化ケイ素微粒子を得るために使用する加水分解性シラン化合物にアルキル、あるいはアルキレン等のケイ素と直接結合を持つ炭素を含む置換基を持たせ、炭素含有量を上げることで化学的安定性を得ることと、機械強度を確保することはトレードオフの関係にある。そこで、もし機械強度の高い材料と化学的安定性の高い材料を単純にブレンドするだけであれば、想定通りの材料が出来上がることになるであろうが、その方法によっては期待される材料は得られない。
【0009】
そこで、本発明者らは、有機酸化ケイ素微粒子を利用する多孔質膜形成用塗布液の性能を向上させるために、次のような作業仮説をなした。
まず、物性を単純な平均値にならないようにするためには、それぞれの機能を持ったパーツを必要な位置にのみ配置することが好ましい。さらに、均一系の塗付用液からそのような制御された配置を行うためには、潜在的に必要な材料を必要な量だけ適正に配置された材料を用いることが好ましいと考えられた。そのような特定の配置を与える方法としては、シリカ粒子の芯の部分とそれの外周を覆う外周膜が異なる材料になっていれば、そのような有機酸化ケイ素微粒子を塗布、成膜による積層だけで、芯の部分を構成する材料と外周膜を構成する材料が規則を持って並んだ膜が得られることになる。つまり内核と外殻が異なる材料による複合型有機酸化ケイ素微粒子は有用な材料と考えられる。
【0010】
さらに、内核に機械的強度の高い材料を用い、外殻に化学的安定性を与える材料を用いて内核を完全に覆った複合型有機酸化ケイ素微粒子を調製できれば、それを用いて膜を形成した際、外部と接触する界面の疎水性は常に高くなっていることから化学的安定性が確保され、かつ、内核は外部が作る間隔で並べられることから、機械強度の低い材料が局在化することが防止され、高い機械強度が得られると考えた。さらに外殻が柔らかければ、有機酸化ケイ素微粒子が接触する際に広い面積で接触し、焼結によってその広い面積による粒子間の結合が形成され、機械強度の高いマトリックスが形成されることが期待できると考えた。
【0011】
シリカ粒子やゼオライト粒子の改質のための表面修飾は、すでに重合性官能基への結合形成能を与えるためメルカプト基を持つ側鎖を修飾する方法(特許文献2)が知られている。この方法では、表面修飾された官能基に自由度を持たせて反応活性を付与するため、置換基を持つシランは縮合度が上がらない方が有利であることから、特許文献で実際に行われている修飾操作は酸触媒によるものである。しかし、今回の課題であるケイ素が求核的な反応を受けることを防止するということからは、外周膜は密な架橋を持つことで、求核種の内部への侵入を防止する機能が要求され、酸触媒で得られるようなものは好ましくない。
【0012】
また、本発明者らによる塩基触媒を用いて有機酸化ケイ素微粒子に架橋性側鎖を修飾して、粒子間の結合力を向上させる方法(特許文献3)も知られており、ここでは架橋基の活性の凍結を行うため、触媒として塩基を用いている。しかし表面修飾によって化学的な安定性を得る概念は含まれていなかった。
【0013】
そこで、本発明者らは上記作業仮説の下に鋭意検討を行った結果、塩基触媒によって4価の加水分解性シランを主要成分とする材料より内核である有機酸化ケイ素微粒子を調整し、次いで、その内核の外周を覆う炭化水素置換基を持つ3価の加水分解性シランを主要成分とする外殻の形成を行って複合型シリカ微粒子を合成したところ、それを含む多孔質膜形成用組成物を用いて成膜した多孔質膜に機械強度と化学的安定性を与えることに成功し、さらに半導体製造プロセスに適用可能な物性にまで改良できる塗布用組成物の製造方法に到達し、本発明を完成した。さらにこの技術は、内核として無機あるいは有機シリカ微粒子だけではなく、ゼオライト微粒子を適用することも可能であり、内核の更なる高強度化が可能である。
【0014】
すなわち、本発明は、無機酸化ケイ素、又はケイ素原子に直接結合した炭素原子を有する有機基を含有する第1有機酸化ケイ素からなる内核と、
前記内核の外周に、ケイ素原子に直接結合した炭素原子を有する有機基を含有する有機基含有加水分解性シラン、又は該有機基含有加水分解性シランと前記有機基を含有しない有機基非含有加水分解性シランの混合物からなる外殻形成用成分を塩基触媒の存在下で加水分解性縮合して得られる、前記第1有機酸化ケイ素とは異なる第2有機酸化ケイ素からなる外殻とを備えてなる有機酸化ケイ素微粒子であって、
前記内核の第1有機酸化ケイ素の有機基又は前記外殻の第2有機酸化ケイ素の有機基に含まれる炭素原子の総数である全炭素原子数[C]と、前記内核又は前記外殻に含まれるケイ素原子の総数である全ケイ素原子数[Si]との比[C]/[Si]が、前記内核では0以上1未満であり、前記外殻では1以上である有機酸化ケイ素微粒子を提供する。
また、本発明は、ケイ素原子に直接結合する炭素原子を有する有機基を含有する第1有機基含有加水分解性シラン又は前記有機基を含有しない第1有機基非含有加水分解性シランからなる内核形成用成分であって、該有機基に含まれる炭素原子の総数である全炭素原子数[C]と、該内核形成用成分に含まれるケイ素原子の総数である全ケイ素原子数[Si]との比[C]/[Si]が0以上1未満である内核形成用成分を、塩基触媒の存在下で水又は水とアルコールの混合溶液中で加水分解縮合を行って内核を形成し、得られた反応混合物中に、ケイ素原子に直接結合する炭素原子を有する有機基を含有する第2有機基含有加水分解性シラン又は該第2有機基含有加水分解性シランと第2有機基非含有加水分解性シランの混合物である外殻形成用成分であって、前記第2有機基含有加水分解性シランの有機基に含まれる炭素原子の総数である全炭素原子数[C]と、該外殻形成用成分に含まれるケイ素原子の総数である全ケイ素原子数[Si]との比[C]/[Si]が1以上である外殻形成用成分を添加して外殻を形成する、有機酸化ケイ素微粒子の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、この有機酸化ケイ素微粒子と、有機溶剤とを少なくとも含有する多孔質膜形成用組成物、及びこの多孔質膜形成用組成物を用いて成膜した多孔質膜を提供する。
また、本発明は、この多孔質膜形成用組成物を塗布して膜を形成する工程と、得られた膜を加熱する工程、又は得られた膜に電子線若しくは光を照射する工程を含む多孔質膜の形成方法を提供する。
さらに、本発明は、この多孔質膜を絶縁膜として含む半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
例えば、メチルトリメトキシシランからCVD法で調製した膜はゼオライト膜に匹敵する低誘電特性を持つが、上述のような機械強度の低下の問題を有する。一方、機械的強度を確保しようとした場合、上述のように化学的安定性に問題が生じる。そこで、まず現実的に有効な低誘電率を得ようとする場合、用いる材料としては有機酸化ケイ素材料をどのように利用するかということが基本的課題となる。
本発明の複合型有機酸化ケイ素微粒子によれば、内核の[C]/[Si]を0以上で1より小さくする、即ち0≦[C]/[Si](内核)<1として、なるべく有効な低誘電性を確保するとともにSi−O−Si結合密度を高く取ることで高い機械強度を与え、外殻の[C]/[Si]を1以上とする、即ち1≦[C]/[Si](外殻)とし、かつ塩基触媒による縮合を外殻形成に適用することで、縮合度の高い疎水性外皮を持ち、洗浄液等からの化学的安定性が付与される。外殻は、[C]/[Si]が1以上であることから空間的自由度が高く、変形しやすいことで、成膜された膜中で、粒子間の空間的相互作用面積を増価させる働きもある。
本発明の有機酸化ケイ素微粒子の製造方法を用いることで、機械強度の高い内核の外周上に化学的安定性の高い有機酸化ケイ素微粒子を容易に得ることができる。
本発明の多孔質形膜成用組成物を用いることで、容易に高い機械強度と高い化学的安定性を併せ持つ多孔質膜を得ることができる。
本発明の多孔質膜は、機械強度が高く、また化学的安定性も高いことから、それらを同時に満たすことを要求される用途、特に半導体中に用いる低誘電率膜に好ましく用いることができる。
本発明の多孔質膜の形成方法によれば、上記多孔質膜形成用組成物を塗布成膜する工程と加熱工程を経ることにより、機械強度が高く、化学的安定性の高い多孔質膜が得られる。
本発明の半導体装置は、製造工程中で上記多孔質膜を絶縁膜として用いることで、高い信頼性を持った半導体装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、炭素含有量が低い、あるいは零であることから機械強度に優れる酸化ケイ素材料による内核と、縮合度の高く、炭素含有量が大きいことから疎水性が高い酸化ケイ素材料による外殻をもつ有機酸化ケイ素微粒子に関するものであり、それぞれを構成する材料が異なることによって、それを用いて成膜をすることで、ミクロな規則的配列が得られ、それぞれの材料を単に混合あるいは結合して用いた場合に比べて、それぞれの望ましい物性を共に発現させることを目的とするものである。
【0017】
本発明の有機酸化ケイ素系微粒子の平均粒経は、好ましくは50nm以下、より好ましくは、5nm以下である。有機酸化ケイ素系微粒子の平均粒経が50nmを超えるとスピン塗布した際に、ストリエーションが発生するという悪影響がある場合がある。また、粒径の下限であるが、微粒子の粒経は、例えばサブミクロン粒度分布測定装置N4Plus(コールター社製)によって測定することができるが、測定下限は 2nmであり、それ以下の粒径に関しては有効な測定手段がない。そこで好ましい粒径の下限は理論的に考察すると次のようになる。すなわち、内核の平均粒経が0.5nm未満であると内核成分に対して後述の外殻成分の割合が高くなり過ぎ、内核成分の担うべき物理的強度の不足という悪影響がある場合がある。また、外殻の厚さは、好ましくは0.025〜0.5nm、より好ましくは0.05〜0.2nmである。外殻が0.025nmより薄いと粒子表面の被覆が不十分であり、期待する化学的安定性が損なわれ、0.5nmより厚いと内核成分に対しての外殻成分の割合が高くなり過ぎ、物理的強度の不足に繋がる懸念があるからである。
【0018】
炭素含有量は、上述のテトラエトキシシラン由来のバルク膜とメチル基が置換されたアルコキシシラン由来のバルク膜の比較のように、アルキル基の置換によって一定体積中のSi−O−Si結合数が下がると共に、アルキル基が占める空間には他の原子との結合がないため、その空間を占める酸化ケイ素骨格の自由度が上がり、誘電率を下げる方向にはあるものの、機械強度が下がることを意味する。そこで、材料のSi−C結合でケイ素に置換した全置換基に含まれる全炭素原子数と全ケイ素原子数の比[C]/[Si]を用いて、その材料が持つ機械強度の議論が可能である。
【0019】
有機酸化ケイ素材料が上記[C]/[Si]が1より小さい場合には、必ずSi−O−Si結合を持つ数が最大、即ち4つの結合が全て酸素との結合であるケイ素原子を含むことを意味し、強度が高いものの指標とすることができる。一方、酸化ケイ素材料の上記[C]/[Si]が大きい場合には、高い疎水性を意味することは明らかである。
本発明者らにより見いだされた機械強度と化学的安定性を併せ持つ有機酸化ケイ素微粒子は、上記[C]/[Si]が1より小さく機械強度を担う硬い内核を、上記[C]/[Si]が1以上である化学的安定性を担う外殻が、縮合状態が高い形で覆う構造を持つ材料である。
【0020】
内核は、無機酸化ケイ素、又はケイ素原子に直接結合した炭素原子を有する有機基を含有する有機酸化ケイ素を用いることができる。例えば、無機あるいは有機シリカ微粒子だけではなく、ゼオライト微粒子を適用することも可能であり、内核の更なる高強度化が可能である。ゼオライト微粒子は、例えばテトラエトキシシランを原料とし、水酸化テトラプロピルアンモニウムを触媒とする水熱反応により形成できる。
【0021】
内核は、低誘電率を得るために有機材料を含有するものの、機械強度を高く得られるものが選択される必要があり、内核に使用される有機酸化ケイ素微粒子は、従来用いられてきた有機酸化ケイ素微粒子の中でも、高いSi−O−Si密度を持つものが得られる下記一般式(1)
Si(OR (1)
(上式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、Rは各々独立して互いに同じでも異なってもよい。)
で表される化合物を含有する加水分解性シラン化合物の混合物を用いて有機酸化ケイ素微粒子を調製することが好ましい。
【0022】
組み合わされる炭化水素側鎖を持つ加水分解性シラン化合物の好ましい例としては下記一般式(2)を挙げることができる。
Si(OR4−n (2)
(上式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、各々独立して互いに同じでも異なってもよい。Rは置換基を含んでも良い炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、各々独立して互いに同じでも異なってもよい。nは1〜3の整数を示す。)
【0023】
本発明に好ましく用いられる一般式(1)に示すシラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトライソブトキシシラン、トリエトキシメトキシシラン、トリプロポキシメトキシシラン、トリブトキシメトキシシラン、トリメトキシエトキシシラン、トリメトキシプロポキシシラン、トリメトキシブトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
一般式(2)に示すシラン化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−s−ブトキシシラン、メチルトリ−i−ブトキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−i−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−s−ブトキシシラン、エチルトリ−i−ブトキシシラン、エチルトリ−t−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−i−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−s−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−i−ブトキシシラン、n−プロピルトリ-t-ブトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−i−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−s−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−i−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−t−ブトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−i−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−s−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−i−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−t−ブトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン、i−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、i−ブチルトリ−i−プロポキシシラン、i−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、i−ブチルトリ−s−ブトキシシラン、i−ブチルトリ−i−ブトキシシラン、i−ブチルトリ−t−ブトキシシラン、s−ブチルトリメトキシシラン、s−ブチルトリエトキシシラン、s−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、s−ブチルトリ−i−プロポキシシラン、s−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、s−ブチルトリ−s−ブトキシシラン、s−ブチルトリ−i−ブトキシシラン、s−ブチルトリ−t−ブトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−i−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−s−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−i−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−t−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジ−i−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−s−ブトキシシラン、ジメチルジ−i−ブトキシシラン、ジメチルジ−t−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジ−i−プロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−s−ブトキシシラン、ジエチルジ−i−ブトキシシラン、ジエチルジ−t−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−i−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−s−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−i−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−t−ブトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−i−プロピルジ−i−プロポキシシラン、ジ−i−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−i−プロピルジ−s−ブトキシシラン、ジ−i−プロピルジ−i−ブトキシシラン、ジ−i−プロピルジ−t−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n− プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−i−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−s−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−i−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−t−ブトキシシラン、ジ−i−ブチルジメトキシシラン、ジ−i−ブチルジエトキシシラン、ジ−i−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−i−ブチルジ−i−プロポキシシラン、ジ−i−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−i−ブチルジ−s−ブトキシシラン、ジ−i−ブチルジ−i−ブトキシシラン、ジ−i−ブチルジ−t−ブトキシシラン、ジ−s−ブチルジメトキシシラン、ジ−s−ブチルジエトキシシラン、ジ−s−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−s−ブチルジ−i−プロポキシシラン、ジ−s−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−s−ブチルジ−s−ブトキシシラン、ジ−s−ブチルジ−i−ブトキシシラン、ジ−s−ブチルジ−t−ブトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジエトキシシラン、ジ−t−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−t−ブチルジ−i−プロポキシシラン、ジ−t−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−t−ブチルジ−s−ブトキシシラン、ジ−t−ブチルジ−i−ブトキシシラン、ジ−t−ブチルジ−t−ブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル−n−プロポキシシラン、トリメチル−i−プロポキシシラン、トリメチル−n−ブトキシシラン、トリメチル−s−ブトキシシラン、トリメチル−i−ブトキシシラン、トリメチル−t−ブトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチル−n−プロポキシシラン、トリエチル−i−プロポキシシラン、トリエチル−n−ブトキシシラン、トリエチル−s−ブトキシシラン、トリエチル−i−ブトキシシラン、トリエチル−t−ブトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−n−プロピルエトキシシラン、トリ−n−プロピル−n−プロポキシシラン、トリ−n−プロピル−i−プロポキシシラン、トリ−n−プロピル−n−ブトキシシラン、トリ−n−プロピル−s−ブトキシシラン、トリ−n−プロピル−i−ブトキシシラン、トリ−n−プロピル−t−ブトキシシラン、トリ−i−プロピルメトキシシラン、トリ−i−プロピルエトキシシラン、トリ−i−プロピル−n− プロポキシシラン、トリ−i−プロピル−i−プロポキシシラン、トリ−i−プロピル−n−ブトキシシラン、トリ−i−プロピル−s−ブトキシシラン、トリ−i−プロピル−i−ブトキシシラン、トリ−i−プロピル−t−ブトキシシラン、トリ−n−ブチルメトキシシラン、トリ−n−ブチルエトキシシラン、トリ−n−ブチル−n−プロポキシシラン、トリ−n−ブチル−i−プロポキシシラン、トリ−n−ブチル−n−ブトキシシラン、トリ−n−ブチル−s−ブトキシシラン、トリ−n−ブチル−i−ブトキシシラン、トリ−n−ブチル−t−ブトキシシラン、トリ−i−ブチルメトキシシラン、トリ−i−ブチルエトキシシラン、トリ−i−ブチル−n−プロポキシシラン、トリ−i−ブチル−i−プロポキシシラン、トリ−i−ブチル−n−ブトキシシラン、トリ−i−ブチル−s−ブトキシシラン、トリ−i−ブチル−i−ブトキシシラン、トリ−i−ブチル−t−ブトキシシラン、トリ−s−ブチルメトキシシラン、トリ−s−ブチルエトキシシラン、トリ−s−ブチル−n−プロポキシシラン、トリ−s−ブチル−i−プロポキシシラン、トリ−s−ブチル−n−ブトキシシラン、トリ−s−ブチル−s−ブトキシシラン、トリ−s−ブチル−i−ブトキシシラン、トリ−s−ブチル−t−ブトキシシラン、トリ−t−ブチルメトキシシラン、トリ−t−ブチルエトキシシラン、トリ−t−ブチル−n−プロポキシシラン、トリ−t−ブチル−i−プロポキシシラン、トリ−t−ブチル−n−ブトキシシラン、トリ−t−ブチル−s−ブトキシシラン、トリ−t−ブチル−i−ブトキシシラン、トリ−t−ブチル−t−ブトキシシラン、等が挙げられる。
【0025】
本発明の方法によれば、上記一般式(1)及び一般式(2)で表されるシラン化合物それぞれについて1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
上記一般式(2)で表わされる加水分解性シランの適度な添加は、多孔性膜とした際、誘電率を下げる傾向を示すことから好ましいものであるが、上記一般式(1)及び(2)で表されるシラン化合物の混合物を内核の合成の原料として使用する場合、十分な強度を得るためには内核の内部のSi−O−Si密度が高いことが好ましく、一般式(1)で表されるシラン化合物が、内核を得るための加水分解縮合されるシラン化合物中の50モル%以上を占めていることが好ましく、有機基を導入する効果を得るためには一般式(1)で表されるシラン化合物が、内核を得るための加水分解縮合されるシラン化合物中の95モル%以下であることが好ましい。一般式(2)で表されるシラン化合物は、内核を得るための加水分解縮合されるシラン化合物中の50モル%以下を占めていることが好ましく、5モル%以上であることが好ましい。
【0026】
上記加水分解性シラン類を、酸あるいは塩基触媒を用いて加水分解縮合することにより、上記内核となる有機酸化ケイ素微粒子を得ることができる。内核は、加水分解性シランを塩基触媒によって加水分解縮合することにより調製されたものであることが好ましい。加水分解性シランの加水分解縮合は、塩基触媒を用いることでSi−O−Si結合の密度(縮合度)を上げることができ、これによって高い機械強度を得ることができるからである。
【0027】
酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸及びリン酸等が挙げられる。
酸触媒の添加量は、上記の加水分解性シラン化合物の総質量に対して上記の加水分解性シラン化合物の総量(モル数)に対して、好ましくは1〜50mol%である。
【0028】
塩基触媒としては、アルカリ金属水酸化物や有機アンモニウム水酸化物、アミン類が多数公知となっており、それらを単独または混合して使用することができる。好ましい化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物、あるいは水酸化テトラメチルアンモニウム、コリン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウムなどのアンモニウム塩、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン)、DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等のアミン類を挙げることができる。
使用する塩基触媒の量は、上記の加水分解性シラン化合物の総量(ケイ素原子のモル数)に対して、好ましくは1〜50mol%、より好ましくは、5〜30mol%、さらに好ましくは、10〜20mol%である。触媒の量が多すぎると、生成する有機酸化ケイ素微粒子の成長が阻害され、十分に進行しない為、k値の低い膜を得ることが困難になる場合があり、また触媒量が少なすぎるとシロキサンの縮合が不十分になり、目的とする強度を得ることができない場合がある。
【0029】
より機械強度の高い微粒子を得る方法として、好ましくは、下記のような疎水性四級アンモニウム水酸化物と親水性四級アンモニウム水酸化物を組み合わせて塩基触媒として用いる方法を挙げることができる。
親水性塩基触媒は、アルカリ金属水酸化物及び下記一般式(3)
(ROH(3)
{上式中、Rは酸素原子を含んでもよい炭素数1〜2の炭化水素基であり、各々独立して互いに同じでも異なっていてもよい。また、カチオン部[(R]は、下記式(A)
(N+O)/(N+O+C)≧ 1/5 (A)
(上式中、N、O、Cは、それぞれ該カチオン部に含まれる窒素、酸素、炭素の原子数である。)を満たす。}
で表される四級アンモニウム水酸化物である。
また、疎水性塩基触媒は、下記一般式(4)
(ROH(4)
{上式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基を表し、各々独立して互い
に同じでも異なってもよいが、すべてのRが同時にメチル基ではない。また、カチオン部[(R]は、下記式(B)
(N+O)/(N+O+C)< 1/5 (B)
(上式中、N、O、Cは、それぞれ該カチオン部に含まれる窒素、酸素、炭素の原子数である。)を満たす。}
で示されるものを用いることが好ましい。
このような方法を用いて調製した有機酸化ケイ素微粒子は通常の方法で調製したものに対して高い強度を示す。
【0030】
疎水性塩基触媒と親水性塩基触媒を組み合わせて縮合を行う際の、各触媒の配合比率は疎水性塩基触媒1molに対して、親水性塩基触媒を0.2〜2.0mol配合することが望ましい。疎水性塩基触媒と親水性塩基触媒の合計量は、上述の塩基触媒の量と同様であり、加水分解性シラン化合物の総量(モル数)に対して、好ましくは1〜50mol%、より好ましくは、3〜30mol%、さらに好ましくは、5〜20mol%である。
【0031】
上記加水分解性シラン類の加水分解縮合反応には、さらに加水分解のための水が添加されるが、反応系に添加される水は、シラン化合物を完全に加水分解するために必要なモル数の好ましくは、0.5〜100倍量、より好ましくは1〜10倍量が用いられる。
【0032】
なお、上記加水分解性シラン化合物を加水分解縮合して重合体溶液とする場合、水以外にもシラン化合物のアルコキシ基に対応するアルコール等の溶媒を含むことができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、乳酸エチル、シクロヘキサノン等が挙げられる。水以外の溶媒の添加量は、シラン化合物の質量に対して、好ましくは0.1〜500倍質量、より好ましくは1〜100倍質量である。
【0033】
シランの加水分解縮合反応は通常の加水分解縮合反応に用いられる条件下で行われるが、反応温度としては通常0℃から加水分解縮合によって生成するアルコールの沸点の範囲であり、好ましくは室温から80℃である。
【0034】
より簡便な反応方法は、上記反応温度に調整した上記塩基触媒の水溶液、場合によってはさらに上記有機溶剤を混合した反応溶液中に、加水分解性シラン化合物を直接あるいは上記溶剤に溶解して添加することで、シリカ微粒子を形成、成長させる。なお、添加操作は通常滴下あるいは間歇添加により行われ、添加時間は通常10分から24時間であり、さらに好ましくは30分から8時間程度行われる。
【0035】
詳しくは後述するが、引き続き外殻部分の形成反応を連続して行うことができる。無機あるいは有機シリカによる内核に対する外殻の形成は、内核部分の形成のための加水分解性シランの添加終了後5分〜4時間、より好ましくは10分〜1時間、加水分解縮合反応条件が進行する条件を維持、いわゆる熟成反応を行った後に開始しても良い。また、内核形成用の原料の組成から、暫時外殻形成用原料の組成に変化、あるいは内核形成用の原料と外殻形成用の原料の添加を一部重複させながら反応を行うことにより、連続的に組成を変化させてもよい。
【0036】
次に、上記で得た内核となる有機酸化ケイ素微粒子の外周を覆う外殻の形成を行う。
外殻は、機械強度は高いが親水性が高いために化学的安定性が低い内核の物理的特性を改良するため、ここでは内核の持つ物性に対し、高い疎水性を与える材料を用いる。この疎水性を与えるための外殻材料は、内在するSi−C結合でケイ素に置換した全置換基に含まれる全炭素原子数と全ケイ素原子数の比[C]/[Si]が[C]/[Si]≧1である加水分解性シランの単体あるいは混合物を外殻形成に用いることにより得られる。またこの外殻材料を用いることによる、もう一つの異なる期待される効果として、成膜時に粒子間結合を強くするため接触面積を上げる目的で、粒子表面に変形し易い物性を与えるために用いるものであり、ここでは内核に対して変形し易い表面物性を与える材料を用いるという意味も持つ。
【0037】
上述のように内核の形成が終了した後、場合によっては熟成工程を経た後、引き続いて外殻の形成を行うことが好ましい。内核の単離や、長時間の放置を行うと、内核微粒子の凝集等が起こる危険がある。また、内核微粒子の調製直後は、微粒子表面のシラノール基が非常に活性な状態になっているため、そのまま、あるいは反応条件の再調整を行った後に、直ちに外殻の形成を行うことで、外殻を形成するための材料が内核微粒子表面に効率的に反応し、密度の高い外殻が得られる。また、外殻を形成するための材料だけによる新たな微粒子の生成を抑制する効果もある。
【0038】
上述のゼオライト形成を行って得た、内核ゼオライト微粒子溶液に、引き続き外殻成分の原料を含む溶液を滴下することにより、内核ゼオライト表面への外殻の形成を行うことができる。この際、適宜アルコール溶媒を添加しても良いし、さらに親水性の高い塩基触媒を加えても良い。外殻形成操作中にゲル化が起こるような場合にはアルコールを添加してやることによってゲル化を有効に防止することができる。また、親水性の高い塩基触媒は、架橋密度が高く、化学的安定性の高い外殻を形成させることに有効である。
【0039】
酸触媒を用いて形成した有機酸化ケイ素を内核とする場合には、化学的安定性を得るための密度の高い外殻を得るためには触媒系を酸から塩基に変える必要がある。
塩基触媒を用いて形成した有機酸化ケイ素を内核として外殻を形成する場合には、外殻の形成に原料としてアルコキシシランを用いると、新たな触媒の追加等、反応液の実質的な再調整を行うことなく外殻を形成することが可能である。特に、機械強度の高い内核を得るための触媒設計と、高い化学的安定性を与える架橋密度の高い外殻を得るための触媒設計は同一であり、内核を形成した反応系に引き続き外殻を形成するための材料を滴下して反応させる方法は好ましい方法である。
【0040】
外殻の成分は内核の成分に比べて基本的な骨格そのものは分極率が低く、その分低誘電率になる性質を持っている。しかし、機械強度が低くつぶれやすいために、粒子間の空隙を主要因とする空孔の形成には不利になり、結果として得られる膜の誘電率が高くなってしまうか、誘電率が低くなったとしても、機械強度が極めて弱いものとなることが多い。従って、同一の内核成分/外殻成分の組み合わせであっても、膜全体としては、微粒子の大きさと外殻の厚み関係から、誘電率がと強度がバランスする組み合わせがあり、目的によって適宜最適化される。
【0041】
内核に含まれるケイ素原子数は、外殻に含まれるケイ素原子数よりも多いことが好ましい。内核に含まれるケイ素原子数が外殻に含まれるケイ素原子数よりも多いことで、内核の持つ機械強度特性が好ましく発揮されるからである。
【0042】
同一の内核より誘導する場合、より低い誘電率を得るためには、外殻の膜厚は余り厚くない方が好ましく、このようなものを必要とする場合には、内核の形成工程で内核を形成する材料の添加操作が終了した後、上述した熟成工程を行った後に外殻形成用材料の添加操作を開始することが好ましい。他方、ある程度の厚みのある外殻を用いると、誘電率は若干上がるものの、外殻の変形のし易さに由来して粒子間の接触面積が増加し、焼結後の膜強度を高くすることができる。そこで、ある程度の厚みを持つ外殻を用いたい場合には、上述のように、内核形成用の材料の滴下終了前に外殻形成用の材料の滴下を開始し、組成が傾斜した中間層を形成しても良い。また、内核形成用の材料の滴下が終了した後に、中間層用の材料を別途滴下して中間層を形成し、その外層として外殻を形成しても良い。
【0043】
本発明によれば、内核と外殻を持つ有機酸化ケイ素微粒子は、実質的に内核と外殻のみからなるものでも良いが、さらに内核と外殻の間に両者の中間的組成を持つ中間層を備えているものでも良い。中間層を持たせることにより、外殻の比をやや高くとる必要が起こることから内核に由来する機械強度の効果はやや減じることになるが、成膜時の粒子間の接触面積を上げられることから、膜自体の機械強度を大きく下げることなく、高い化学的安定性を付与することができる。
例えば、内核を形成するための[C]/[Si]<1である加水分解性シランの単一物あるいは混合物全量の添加が完了する前に、前記外殻を形成するための[C]/[Si]≧1である加水分解性シランの単一物あるいは混合物の添加を開始することができる。このような方法を用いると、容易に内核と外殻の間に両者の中間組成を持つ中間層を形成することができ、膜自体の機械強度を大きく下げることなく、化学的安定性を付与することができる。
【0044】
また、本発明によれば、内核を形成するための[C]/[Si]<1である加水分解性シランの単一物あるいは混合物の全量が添加された後、加水分解性シランの加水分解縮合が進行する反応条件を維持する操作を行い、その後に前記外殻を形成するための[C]/[Si]≧1である加水分解性シランの単一物あるいは混合物の添加を開始することができる。このように内核の原料となる加水分解性シランを添加後、それを十分に反応させた後に、外殻の原料となる加水分解性シランを添加することで、該外殻の原料を添加開始直後に[C]/[Si]≧1である層の形成が開始され、より薄い層によって[C]/[Si]≧1である外殻の形成を行うことができる。
【0045】
外殻の形成に好ましく用いられるシラン化合物としては、下記一般式(2)、(5)、(6)及び(7)
Si(OR4−n (2)
(RO)3−mSi−(−Y−SiR(OR2−L−Y−SiR10(OR123−j (5)
(Z−SiR13(OR142−i (6)
15−A(SiR16(OR173−f (7)
(但し、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17はそれぞれ独立に炭素数1〜6の炭化水素基、YとZはそれぞれ独立にして酸素原子、炭素数1〜6のアルキレン鎖、又は置換基(例えば、アルキル基、フロロアルキル基)を含有しても良い2価の芳香族基、mとjは0〜2の整数を、Lとiは1〜2の整数、kは0〜20の整数、hは3〜6の整数、gは0〜4の整数、fは0〜2の整数、eは2〜6の整数を表す。)
を挙げることができる。
【0046】
一般式(2)で表わされる加水分解性シランは、上述の内核形成の際、補助的に加えることができるものとして挙げたものを用いることができる。
【0047】
一般式(5)で表わされる加水分解性シランの具体的な骨格例を以下に示す。
【0048】
【化1】

【0049】
一般式(5)で表わされる加水分解性シランの具体例は、鎖状シロキサン類として、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラメトキシジジロキサン、1,1,3−トリメチル−1,3,3−トリメトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジメトキシジシロキサン、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラエトキシジジロキサン、1,1,3−トリメチル−1,3,3−トリエトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシジシロキサン、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラプロポキシジジロキサン、1,1,3−トリメチル−1,3,3−トリプロポキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジプロポキシジシロキサン、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラブトキシジジロキサン、1,1,3−トリメチル−1,3,3−トリブトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジブトキシジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,1,3,5,5−ペンタメトキシトリシロキサン、1,1,3,5−テトラメチル−1,3,5,5−テトラメトキシトリシロキサン、1,1,3,5,5−ペンタメチル−1,3,5−トリメトキシトリシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,1,3,5,5−ペンタエトキシトリシロキサン、1,1,3,5−テトラメチル−1,3,5,5−テトラエトキシトリシロキサン、1,1,3,5,5−ペンタメチル−1,3,5−トリエトキシトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,1,3,5,7,7−ヘキサメトキシテトラシロキサン、1,1,3,5,7,7−ヘキサメチル−1,3,5,7−テトラメトキシテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,1,3,5,7,7−ヘキサエトキシテトラシロキサン、1,1,3,5,7,7−ヘキサメチル−1,3,5,7−テトラエトキシテトラシロキサン等が挙げられ、その他に、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(メチルジメトキシシリル)メタン、ビス(メチルジエトキシシリル)メタン、ビス(ジメチルメトキシシリル)メタン、ビス(ジメチルエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(メチルジメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(メチルジエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチルメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチルエトキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(メチルジメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(メチルジエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(ジメチルメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(ジメチルエトキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ブタン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ブタン、1,4−ビス(メチルジメトキシシリル)ブタン、1,4−ビス(メチルジエトキシシリル)ブタン、1,4−ビス(ジメチルメトキシシリル)ブタン、1,4−ビス(ジメチルエトキシシリル)ブタン、1,5−ビス(トリメトキシシリル)ペンタン、1,5−ビス(トリエトキシシリル)ペンタン、1,5−ビス(メチルジメトキシシリル)ペンタン、1,5−ビス(メチルジエトキシシリル)ペンタン、1,5−ビス(ジメチルメトキシシリル)ペンタン、1,5−ビス(ジメチルエトキシシリル)ヘキサン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,6−ビス(メチルジメトキシシリル)ヘキサン、1,6−ビス(メチルジエトキシシリル)ヘキサン、1,6−ビス(ジメチルメトキシシリル)ヘキサン、1,6−ビス(ジメチルエトキシシリル)ヘキサン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(メチルジメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(メチルジエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(ジメチルメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(ジメチルエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,3−ビス(メチルジメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(メチルジエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(ジメチルメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(ジメチルエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(メチルジメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(メチルジエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルエトキシシリル)ベンゼン等を挙げることができる。
【0050】
これらの化合物は、ユニットの両端に架橋基を持ち、中間部分はフレキシブルな構造になっているため、単純なシラン化合物に比べて、構造化が容易で製膜性が向上している。特に中間成分がアルキレン鎖やフェニレン鎖で結合している化合物の場合は、シロキサン結合を持つ化合物やシラン化合物の加水分解縮合物に比べて疎水性の高い外殻を形成する。
【0051】
一般式(6)で表わされる加水分解性シランの具体的な骨格例を以下に示す。
【0052】
【化2】

【0053】
一般式(6)で表わされる加水分解性シランの具体例としては、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリメトキシシクロトリシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリエトキシシクロトリシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリプロポキシシクロトリシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリブトキシシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラメトキシシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラエトキシシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラプロポキシシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラブトキシシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリメトキシ−1,3,5−トリシラシクロヘキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリエトキシ−1,3,5−トリシラシクロヘキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリプロポキシ−1,3,5−トリシラシクロヘキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリブトキシ−1,3,5−トリシラシクロヘキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラメトキシ−1,3,5,7−テトラシラシクロオクタン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラシラシクロオクタン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラプロポキシ−1,3,5,7−テトラシラシクロオクタン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラブトキシ−1,3,5,7−テトラシラシクロオクタン等を挙げることができる。
【0054】
化学式(7)の加水分解性シランの具体的な骨格例を以下に示す。
【0055】
【化3】

【0056】
なお、上記に例示した加水分解性シランには芳香族環を含むものがあるが、芳香族環の導入は、耐熱性を劣化すること無く炭素濃度を向上するのに有効である。また、芳香族ラジカルはシリルラジカルとともに安定であるので、Siと芳香族との結合が起こりやすく、高強度化に有効である
【0057】
外殻を形成するために用いる加水分解性シランは、内在するSi−C結合でケイ素に置換した全置換基に含まれる全炭素原子数と全ケイ素原子数の比[C]/[Si]が[C]/[Si]≧1である加水分解性シランの単一物あるいは混合物とすることにより、本発明の疎水性の付与による化学的安定性を持つ外殻が得られる。
より高い安定性を得るためには局部的に安定性の低い部分がない方が好ましいため、外殻を形成するための加水分解性シランの単一物あるいは混合物は、実質的にケイ素に直接結合した炭素原子を持つ置換基で置換された加水分解性シランのみからなるものであることが好ましい。ここで実質的にとは、ケイ素基準で95モル%以上が、より好ましくは98モル%以上が、さらに好ましくは全てのケイ素原子が、直接結合した炭素原子を持つ置換基の少なくとも一つを有する加水分解性シランである。このようにすることで、外殻全体に疎水性が確保され、確実に外殻表面に化学的安定性の弱い部分ができることが防止され、微粒子全体の高い化学的安定性を付与することができる。すなわち、局部的に親水性が非常に高いことから化学的安定性が低くなる部分が形成されて、そこからSi−O結合を切断するような求核種が侵入することが防止され、微粒子全体の高い化学的安定性を付与することができる。
【0058】
加水分解性シラン化合物の滴下による外殻の形成では、添加、通常滴下されたシラン化合物は速やかに反応するため、滴下後のいわゆる熟成時間は特に長くとる必要はないが、熟成時間を長くとることで際立った劣化はない。但し、滴下終了後4時間より長い熟成後に中和反応停止を行ったものは、得られた膜の強度は低下傾向にあり、また、1時間以内に停止したものの方が高強度を得られる傾向にあった。
【0059】
外殻の層厚は、内核を完全に覆うことを目的とすると、平均で0.025nm以上の厚さとなるように設計することで最低必要量が求められる。直径2nmのシリカ微粒子を製造する条件で、内核/外殻の原料(加水分解性シラン化合物)のケイ素基準モル当量比を変化させて製造を行ったところ、内核/外殻=90/10より外殻の材料のケイ素基準モル当量比を高くした範囲で、外殻の化学的性質に依存する粒子の形成が認められた。そこで、内核/外殻の密度を同じとした時に計算される最低必要な外殻の層の厚さは0.025nmと見積もられた。また、それぞれの部分を形成するために用いる加水分解性シラン化合物の量をケイ素基準で見た場合、内核に用いられるモル当量数以下の加水分解性シラン化合物が用いられることが好ましい。内核に用いられるモル当量数を超えるシラン化合物を外殻に用いた場合、内核の持つ高い機械強度という物性が、シリカ微粒子全体の物性として十分に反映されなくなる危険があるからである。外殻に使用する加水分解性シランのより好ましい使用量は、目標とする微粒子の大きさにもよるが、平均粒径2nm程度の微粒子であれば、内核と外殻の形成に用いられる加水分解性シランのケイ素基準モル当量比は、好ましくは90/10から50/50の範囲である。
【0060】
なお、外殻の形成のためのシラン化合物の加水分解縮合反応を終了した時点で,表面の活性シラノールを保護する工程を導入することが好ましく。具体的には、塩基触媒の中和反応後、架橋活性が失われる以前に、より好ましくは直後に2価以上のカルボン酸化合物を添加することにより活性シラノールの保護を行う、あるいは中和反応そのものを2価以上のカルボン酸で行うことにより中和とシラノール保護を同時に行うことによりシラノールの保護を行い、成膜時、上記カルボン酸化合物を分解させるまで架橋活性を凍結することができる。
【0061】
好ましく使用できる、少なくとも二つのカルボキシル基を分子中に有するカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、マロン酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、グルタル酸、グルタル酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸、イタコン酸無水物又はアジピン酸などを挙げることができ、これらの添加量は、シラン化合物のモル量に対して、好ましくは0.05mol%から10mol%、より好ましくは0.5mol%から5mol%の範囲で有効に作用する。
【0062】
上記本発明の有機酸化ケイ素微粒子を用いた膜形成用組成物の調製は、従来の有機酸化ケイ素微粒子を含有する膜形成用組成物の調製法(例えば特許文献3、4)に準じ、膜形成用組成物とすることができる。
【0063】
後述の半導体絶縁膜材料用途とする場合で、上記親水性塩基触媒にアルカリ金属水酸化物を使用した場合には、上述の反応を停止する段階から、塗布組成物溶液とするまでの何れかの段階で必ず脱金属処理が行われる。脱金属処理についてはすでに多くの例があるが、一般的にはイオン交換樹脂による方法や、有機溶剤溶液の水洗処理により脱金属される。また、反応時に金属不純物を含有しないアンモニウム触媒のみの組み合わせでシリカゾルを調製した場合には、このような脱金属処理は必須ではないが、通常脱金属処理工程が同様に加えられる。
【0064】
また、通常、上記有機酸化ケイ素微粒子含有液は、調製反応に使用された水等の溶剤と後述の塗布用の溶剤との交換処理がなされる。この方法についても多数の公知例があるが、本発明の有機酸化ケイ素微粒子は上述のような安定化処理を施した場合においても、溶剤を完全に除いて単離するような操作は好ましくない。
【0065】
膜形成用塗布組成物溶液とするために使用される溶剤についても多数が公知であるが、本発明の膜形成用組成物についても同様な溶剤を使用することができる。具体的には、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、2,2,2−トリメチルペンタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、n−アミルナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチオンなどのケトン系溶媒、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ジエチルカーボネート、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジn−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどのエステル系溶媒、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドN−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンなどの含窒素系溶媒、硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトンなどの含硫黄系溶媒などを挙げることができる。
これらは1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0066】
また、場合によってはポリエーテルや長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩などのミセル形成性のある化合物や、単純に空孔を形成するための熱分解性化合物を混合して塗布液を調製することができる。熱分解性化合物の例としては、糖類、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、沸点を250℃〜400℃に持つ炭化水素化合物などが好ましい。
【0067】
また、最終的には希釈により目的の膜を得るための組成物とするが、希釈の程度としては、粘度や目的とする膜厚等により異なるが、通常、溶媒が、膜組成物中に、好ましくは50〜99質量%、より好ましくは75〜98質量%となる量である。
【0068】
さらに、膜形成用組成物に添加する材料としては界面活性剤を初めとする多数の成膜補助成分が公知であるが、本発明の膜形成用組成物にも基本的にはいずれも適用可能である。
【0069】
本発明の膜形成用組成物には、ケイ素重合体成分として、他の方法で作ったポリシロキサン類を混合して用いることもできる。本発明の効果を達成するためには、他の方法で作ったポリシロキサンの混合比は、内核と外殻を少なくとも備える有機酸化ケイ素微粒子の質量に対して50質量%以下であることが好ましく、さらに20質量%以下であることが好ましい。
【0070】
このようにして多孔質膜形成用組成物を調製した後、多孔質膜形成用組成物の溶質濃度を制御しかつ適当な回転数を用いて、被成膜基板に好ましくはスピン塗布することで、任意の膜厚の薄膜を形成することが可能になる。
実際の膜厚としては、通常0.1〜1.0μm程度の膜厚の薄膜が形成されるがこれに限定されるものではなく、例えば複数回塗布することでさらに大きな膜厚の薄膜形成も可能である。
塗布方法としては、スピンコーティングに限らず、スキャン塗布等の他の方法も可能である。
【0071】
このようにして形成された薄膜は、公知の方法により多孔質膜とすることができる。例えば、乾燥工程(通常、半導体プロセスでプリベークと呼ばれる工程)でオーブン等を用いることにより、好ましくは、50〜150℃に数分加熱することで溶媒を除去し、さらに350℃〜450℃で1〜60分間の焼結工程を経て、最終的に多孔質膜が得られる。加熱工程(焼結工程)後、紫外線や電子線等のキュア工程のような追加工程を加えても良い。加熱工程(焼結工程)に換えて電子線若しくは光を照射する工程を含んでいても良い。電子線もしくは光を照射することによって効率的にSi−O−Si結合を増加させることができ、より高い強度を得ることができる。
【実施例】
【0072】
合成例1
25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液8.26g、超純水34.97g、エタノール376.80gの混合物を60℃に加熱しておき、テトラメトキシシラン19.48gメチルトリメトキシシラン17.44gの混合物を1時間かけて滴下し、滴下終了後時間をおかずにそのままの条件で1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン4.33g、メチルトリメトキシシラン4.36gの混合物を15分かけて滴下した。滴下終了後、40℃以下に冷却し、マレイン酸水溶液で中和し、150gのプロピレングリコールプロピルエーテルを加えた後減圧下40℃以下の温度で濃縮し、エタノールを留去し、酢酸エチルを300ml加えた後、超純水 200mlで3回水洗する。さらにプロピレングリコールプロピルエーテル200mlを加え、減圧下40℃以下の温度で再濃縮し、得られた溶液を0.05μのフィルターで濾過して塗布液1を得た。
【0073】
合成例2
合成例1と同様に25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液8.26g、超純水34.97g、エタノール376.80gの混合物を60℃に加熱しておき、テトラメトキシシラン17.05gメチルトリメトキシシラン15.26gの混合物を53分かけて滴下し引き続き1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン6.49g、メチルトリメトキシシラン6.54gの混合物を22分かけて滴下した。その後合成例1と同様に中和、濃縮、水洗、再濃縮、濾過を行い塗布液2を得た。
【0074】
合成例3
合成例1と同様に25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液8.26g、超純水34.97g、エタノール376.80gの混合物を60℃に加熱しておき、テトラメトキシシラン21.92gメチルトリメトキシシラン19.62gの混合物を68分かけて滴下し引き続き1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン2.16g、メチルトリメトキシシラン2.20gの混合物を8分かけて滴下した。その後合成例1と同様に中和、濃縮、水洗、再濃縮、濾過を行い塗布液3を得た。
【0075】
合成例4
合成例1と同様に25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液8.26g、超純水34.97g、エタノール376.80gの混合物を60℃に加熱しておき、テトラメトキシシラン19.48gメチルトリメトキシシラン17.44gの混合物を1時間かけて滴下し引き続き1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン5.10g、メチルトリメトキシシラン4.36gの混合物を15分かけて滴下した。その後合成例1と同様に中和、濃縮、水洗、再濃縮、濾過を行い塗布液4を得た。
【0076】
合成例5(内核調製後、中間熟成を行った酸化ケイ素誘導体)
合成例1と同様に25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液8.26g、超純水34.97g、エタノール376.80gの混合物を60℃に加熱しておき、テトラメトキシシラン19.48gメチルトリメトキシシラン17.44gの混合物を1時間かけて滴下し、滴下終了後そのままの温度で1時間熟成した。次いで1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン4.33g、メチルトリメトキシシラン4.36gの混合物を15分かけて滴下した。その後合成例1と同様に中和、濃縮、水洗、再濃縮、濾過を行い塗布液5を得た。
【0077】
合成例6(中間層を有する酸化ケイ素誘導体)
合成例1と同様に25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液8.26g、超純水34.97g、エタノール376.80gの混合物を60℃に加熱しておき、テトラメトキシシラン17.05gメチルトリメトキシシラン15.26gの混合物を60分かけて滴下した。滴下開始後、45分を経たところで滴下速度を半分とし、同時に1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン6.49g、メチルトリメトキシシラン6.54gの混合物の滴下を開始し、15分後にテトラメトキシシラン及びメチルトリメトキシシランの滴下が終了したところで滴下速度を2倍にし、合計30分かけて滴下した。その後合成例1と同様に中和、濃縮、水洗、再濃縮、濾過を行い塗布液6を得た。
【0078】
比較合成例1
合成例1と同様に25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液8.26g、超純水34.97g、エタノール376.80gの混合物を60℃に加熱しておき、テトラメトキシシラン24.36g メチルトリメトキシシラン21.80gの混合物を1時間かけて滴下した。その後合成例1と同様に中和、濃縮、水洗、再濃縮、濾過を行い塗布液7を得た。
【0079】
比較合成例2
合成例1と同様に25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液8.26g、超純水34.97g、エタノール376.80gの混合物を60℃に加熱しておき、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン21.63g、メチルトリメトキシシラン21.80gの混合物を1時間かけて滴下した。その後合成例1と同様に中和、濃縮、水洗、再濃縮、濾過を行い塗布液8を得た。
【0080】
実施例1〜6および比較例1〜2
塗布液1〜6(実施例1〜6)及び塗布液7〜8(比較例1〜2)を用いてSiウェハー上にスピン塗布、120℃2分、200℃2分のソフトベークの後、焼成炉にて400℃1時間の焼成を行った。
得られた多孔質膜の比誘電率を、多孔質膜の洗浄前(初期)及び洗浄後において測定した。多孔質膜の洗浄処理として、具体的には、EKC‐520(デュポン社製)を用いて、室温で10分間、多孔質膜を浸漬することにより行った。比誘電率は、495−CVシステム(日本SSM社製)を使用し、自動水銀プローブを用いたCV法で測定した。弾性率(モデュラス)は、ナノイデンター(ナノインスツルメンツ社製)を使って測定した。結果を表1に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
実施例1〜6では、高いSi−O結合密度を持たない比較例2に対して、初期値の物性において内核成分の強度を反映した高強度化が達成された。また洗浄液処理後の物性は、実施例1〜6では、C/Si比が高い外殻を持たない比較例1に対して、外殻成分の安定性を反映して、劣化は大きく低減化されていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機酸化ケイ素、又はケイ素原子に直接結合した炭素原子を有する有機基を含有する第1有機酸化ケイ素からなる内核と、
前記内核の外周に、ケイ素原子に直接結合した炭素原子を有する有機基を含有する有機基含有加水分解性シラン、又は該有機基含有加水分解性シランと前記有機基を含有しない有機基非含有加水分解性シランの混合物からなる外殻形成用成分を塩基触媒の存在下で加水分解性縮合して得られる、前記第1有機酸化ケイ素とは異なる第2有機酸化ケイ素からなる外殻と
を備えてなる有機酸化ケイ素微粒子であって、
前記内核の第1有機酸化ケイ素の有機基又は前記外殻の第2有機酸化ケイ素の有機基に含まれる炭素原子の総数である全炭素原子数[C]と、前記内核又は前記外殻に含まれるケイ素原子の総数である全ケイ素原子数[Si]との比[C]/[Si]が、前記内核では0以上1未満であり、前記外殻では1以上である有機酸化ケイ素微粒子。
【請求項2】
前記内核に含まれるケイ素原子の数が、前記外殻に含まれるケイ素原子の数よりも多い請求項1に記載の有機酸化ケイ素微粒子。
【請求項3】
前記内核が、ケイ素原子に直接結合する炭素原子を有する有機基を含有する有機基含有加水分解性シラン及び/又は前記有機基を含有しない有機基非含有加水分解性シランからなる内核形成用成分を塩基触媒の存在下で加水分解縮合して形成されたものである請求項1又は請求項2に記載の有機酸化ケイ素微粒子。
【請求項4】
前記内核と上記外殻の間に中間層を備える請求項1〜3のいずれかに記載の有機酸化ケイ素微粒子。
【請求項5】
前記外殻形成用成分が、前記有機基含有加水分解性シランのみからなる請求項1〜4のいずれかに記載の有機酸化ケイ素微粒子。
【請求項6】
ケイ素原子に直接結合する炭素原子を有する有機基を含有する第1有機基含有加水分解性シラン又は前記有機基を含有しない第1有機基非含有加水分解性シランからなる内核形成用成分であって、該有機基に含まれる炭素原子の総数である全炭素原子数[C]と、該内核形成用成分に含まれるケイ素原子の総数である全ケイ素原子数[Si]との比[C]/[Si]が0以上1未満である内核形成用成分を、塩基触媒の存在下で水又は水とアルコールの混合溶液中で加水分解縮合を行って内核を形成し、得られた反応混合物中に、ケイ素原子に直接結合する炭素原子を有する有機基を含有する第2有機基含有加水分解性シラン又は該第2有機基含有加水分解性シランと第2有機基非含有加水分解性シランの混合物である外殻形成用成分であって、前記第2有機基含有加水分解性シランの有機基に含まれる炭素原子の総数である全炭素原子数[C]と、該外殻形成用成分に含まれるケイ素原子の総数である全ケイ素原子数[Si]との比[C]/[Si]が1以上である外殻形成用成分を添加して外殻を形成する、有機酸化ケイ素微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記内核形成用成分の全量が添加された後、該内核形成用成分の加水分解縮合が進行する反応条件を維持し、その後に外殻形成用成分の添加を開始する請求項6に記載の有機酸化ケイ素微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記内核形成用成分の全量の添加が完了する前に、前記外殻形成用成分の添加を開始する請求項6に記載の有機酸化ケイ素微粒子の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載の有機酸化ケイ素微粒子と、有機溶剤とを少なくとも含有する多孔質膜形成用組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の多孔質膜形成用組成物を用いて成膜した多孔質膜。
【請求項11】
請求項9に記載の多孔質膜形成用組成物を塗布して膜を形成する工程と、得られた膜を加熱する工程、又は得られた膜に電子線若しくは光を照射する工程を含む多孔質膜の形成方法。
【請求項12】
前記加熱する工程の後、電子線若しくは光を照射する工程を含む請求項11に記載の多孔質膜の形成方法。
【請求項13】
請求項10に記載の多孔質膜を絶縁膜として含む半導体装置。

【公開番号】特開2009−286935(P2009−286935A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142343(P2008−142343)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】