有機電子素子用電極、有機トランジスタ素子、インクジェットインク
【課題】接触抵抗を低減した有機電子素子用電極、及びこれを利用した有機トランジスタ素子を提供することを課題とする。
【解決手段】カーボンナノホーンを含んで構成された有機電子素子用電極、及び当該電極を、ソース電極18、及びドレイン電極20として適用した有機トランジスタ素子。
【解決手段】カーボンナノホーンを含んで構成された有機電子素子用電極、及び当該電極を、ソース電極18、及びドレイン電極20として適用した有機トランジスタ素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電子素子用電極、有機トランジスタ素子、インクジェットインクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブについては、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、パターニングできるカーボンナノチューブ膜が提案されている。
また、特許文献2には、「基材と、基材の表面に形成された極細導電繊維を含む導電層と、を有し、前記極細導電繊維が前記導電層に1.0〜450mg/m2の目付け量で含有され、少なくとも前記極細導電繊維の一部が前記基材に固定され、少なくとも前記極細導電繊維の他の一部が前記導電層の最表面から突出しており、前記極細導電繊維が互いに電気的に接触していることを特徴とする導電性成形体」が提案されている。
また、特許文献3には、「少なくとも片面が導電性材料で構成された基板における導電性材料の面に、この導電性材料よりも酸化物標準生成自由エネルギーが小さい元素の酸化物からなる保護膜が形成され、この保護膜の上に上記の導電性材料よりも融点の低い低融点金属を用いてカーボンナノチューブの成長を促進する作用を有する触媒金属を含む微粒子が形成され、この微粒子の上にカーボンナノチューブが形成されてなることを特徴とするカーボンナノチューブ電極」が提案されている。
【0003】
また、特許文献4には、「カーボンナノチューブを溶剤に分散させてなるカーボンナノチューブ分散液であって、直径10〜50nmのカーボンナノチューブと、塩基性官能基を含む化合物と、分子量15000以下の化合物と、ケトン系溶剤とを含有していることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液」が提案されている。
また、特許文献5には、「ナノカーボン及び分散剤を含むナノカーボン分散液を用いて前記ナノカーボン及び前記分散剤を含む膜を形成した後に、前記膜に外部刺激を与えて該膜に含まれる前記分散剤の少なくとも一部を分解させたことを特徴とするナノカーボン膜」が提案されている。
また、特許文献6には、「炭素6員環を有する有機材料と接触するためのカーボンナノチューブと、当該カーボンナノチューブの一部と接触する金属とからなる、有機材料用の端子」が提案されている。
【0004】
一方で、カーボンナノホーンは、触媒の担持体として電池の電極に用いられている(例えば特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2003−154114
【特許文献2】特開2007−112133号公報
【特許文献3】特開2007−230832号公報
【特許文献4】特開2008−024568号公報
【特許文献5】特開2009−203118号公報
【特許文献6】特開2004−356530号公報
【特許文献7】特開2010−205500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、接触抵抗を低減した有機電子素子用電極を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
カーボンナノホーンを含んで構成された有機電子素子用電極。
【0008】
請求項2に係る発明は、
カーボンナノホーンを含んで構成されたソース電極と、
前記ソース電極と間隔を持って配置されるドレイン電極であって、カーボンナノホーンを含んで構成されたドレイン電極と、
前記ソース電極及びドレイン電極に接続して配置されるチャネル層であって、有機半導体を含んで構成されたチャネル層と、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極間に流れる電流を制御するためのゲート電極と、
前記チャネル層と前記ゲート電極とを絶縁するためのゲート絶縁層と、
を備える有機トランジスタ素子。
【0009】
請求項3に係る発明は、
カーボンナノホーンと、前記カーボンナノホーンを分散させる分散媒と、を含むインクジェットインク。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、電極材料としてカーボンナノホーンを適用しない場合に比べ、接触抵抗を低減した有機電子素子用電極を提供できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、電極材料としてカーボンナノホーンを適用しない場合に比べ、駆動電圧が低減した有機トランジスタ素子を提供できる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、カーボンナノチューブを適用した場合に比べ、ノズルの目詰まりが抑制されたインクジェットインクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係るトランジスタ素子を示す概略断面図である。
【図2】本実施形態に係るトランジスタ素子の製造方法を示す工程図である。
【図3】本実施形態に係るトランジスタ素子の他の一例を示す概略断面図である。
【図4】本実施形態に係るトランジスタ素子の他の一例を示す概略断面図である。
【図5】本実施形態に係るトランジスタ素子の他の一例を示す概略断面図である。
【図6】実施例1の有機トランジスタ素子の出力特性を示す図である。
【図7】実施例1の有機トランジスタ素子の伝達特性(Vds=−20V)を示す図である。
【図8】実施例1の有機トランジスタ素子のソース電極及びドレイン電極の実体顕微鏡写真を示す図である。
【図9】実施例1の有機トランジスタ素子のソース電極及びドレイン電極のSEM写真を示す図である。
【図10】実施例1の有機トランジスタ素子のソース電極及びドレイン電極のSEM写真を示す図である。
【図11】比較例1の有機トランジスタ素子の出力特性を示す図である。
【図12】実施例2の有機トランジスタ素子の出力特性を示す図である。
【図13】実施例2の有機トランジスタ素子の伝達特性(Vds=−20V)を示す図である。
【図14】比較例2の有機トランジスタ素子の出力特性を示す図である。
【図15】比較例2の有機トランジスタ素子の出力特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るトランジスタ素子を示す概略断面図である。
【0016】
本実施形態に係るトランジスタ素子10は、例えば、図1に示すように、基板12上に、ゲート電極14が設けられ、このゲート電極14の設けられた基板12上にゲート絶縁層16が設けられている。このゲート絶縁層16上には、ソース電極18及びドレイン電極20が間隔を隔てて設けられており、これらのソース電極18及びドレイン電極20の間には、例えば、有機半導体を含んで構成されたチャネル層22が設けられている。
【0017】
チャネル層22は、ソース電極18及びドレイン電極20の双方に接すると共に、これらのソース電極18及びドレイン電極20を導通するように設けられている。ゲート電極14は、ゲート絶縁層16によってソース電極18及びドレイン電極20に対して絶縁されている。
【0018】
ゲート絶縁層16がゲート電極14上に設けられることによって、ゲート電極14が後工程で形成されるソース電極18及びドレイン電極20の双方から絶縁された状態となる。すなわち、ゲート絶縁層16を設けることによって、ゲート電極14に電圧を印加することでソース電極18及びドレイン電極20間に流れる電流が制御される。
【0019】
なお、ソース電極18及びドレイン電極20は、電極14に電圧が印加されることで、ソース電極18とドレイン電極20との間に有機半導体を含んで構成されたチャネル層22を介して電流が流れる位置に設けられていればよい。
ゲート電極14に印加する電圧の電圧値を調整することで、ソース電極18とドレイン電極20との間(その間のチャネル層22)に流れる電流が制御される。
【0020】
本実施形態に係るトランジスタ素子10における各要素について詳細に説明する。
【0021】
−ソース電極・ドレイン電極−
ソース電極18・ドレイン電極20は、カーボンナノホーンを含んで構成された有機電子素子用電極を適用している。
【0022】
ここで、カーボンナノホーンは,複数のカーボンナノホーンが集まり,100nm規模の二次粒子(凝集体)を形成している。
カーボンナノホーンは、カーボンナノチューブと同様に炭素構造体であるが、その一方の先端が円錐状に閉じでおり、ホーン(牛などの角)のような形状になっていることから、このように呼称されているものである。
具体的には、カーボンナノホーンは、2つの部分からなり、一方の円錐部分(円錐状の頂点以外の部分)が六員環からなり、平面のグラフェン構造を曲げた構造を成しており、他方の頂点部分(円錐状に閉じた先端部分)には5つの五員環が互いの間に六員環を挟んで存在し、直径2nm以上3nm以下のフラーレン構造の一部で成している。
そして、カーボンナノホーンは、複数のカーボンナノホーンが集まり、例えば、100nm規模の二次粒子(凝集体)の状態で存在している。
【0023】
なお、頂点部分(円錐状に閉じた先端部分)の五員環の数は、幾何学的には1つから5つまでのいずれでも円錐形となるが、実際に得られるのは5つのものであり、その結果、先端が円錐状に閉じており,ホーン(牛などの角)のような形状となる。
【0024】
ソース電極18・ドレイン電極20(有機電子素子用電極)は、カーボンナノホーンを含んで構成されるが、具体的には、例えば、複数のカーボンナノホーンが相互に接触して、互いに電気的接続をした状態のカーボンナノホーン構造体で構成される。
【0025】
ソース電極18・ドレイン電極20(有機電子素子用電極)を構成するカーボンナノホーン構造体は、複数のカーボンナノホーン同士が非結合状態で相互に接触して、互いに電気的接続をした状態で構成されていてもよいが、カーボンナノホーン同士が化学結合により互いが電気的に接続されたネットワーク構造を形成していることが、カーボンナノホーン自体の電気伝導性や機械的強度、及び電極強度を向上させる観点からよい。
このようなカーボンナノホーン構造体として、具体的には、例えば、官能基で修飾したカーボンナノホーンを用い、当該官能基間を化学結合させて相互に網目構造を構成する架橋カーボンナノホーン構造体が挙げられる。
【0026】
架橋カーボンナノホーン構造体は、複数のカーボンナノホーンの官能基間を化学結合させた架橋部位を有することになるが、この架橋部位としては、架橋剤により複数の官能基間を架橋した第1の構造、複数の官能基同士を化学結合により形成された第2の構造が好適に挙げられる。
【0027】
第1の構造は、官能基の架橋反応後に残存する残基同士を、架橋剤の架橋反応後に残存する残基である連結基で連結した架橋構造となる。
【0028】
架橋剤は、その特性として架橋剤同士が重合反応をするような性質(自己重合性)を有するよりも、非自己重合性を有することがよい。
架橋剤が非自己重合性を有すると、カーボンナノホーン相互の間隔を、使用した架橋剤の残基のサイズに制御され易く、目的とするカーボンナノホーンのネットワーク構造が得られ易くなる。さらに、架橋剤の残基のサイズを小さくすれば、電気的にも物理的にも近接した状態に、カーボンナノホーン相互の間隔を狭められ、構造体中のカーボンナノホーンが密化した構造体が得られ易くなる。
【0029】
なお、本実施形態において、「自己重合性」とは、架橋剤同士が、水分等他の成分の存在の下、あるいは他の成分の存在なしに、相互に重合反応を生じ得る性質をいい、「非自己重合性」とは、そのような性質を有しないことを言う。
【0030】
ここで、架橋剤として非自己重合性のものを選択すれば、カーボンナノホーン同士が架橋する架橋部位が、主として同一の架橋構造となり易い。また、連結基としては、例えば、炭化水素を骨格とするものがよく、その炭素数としては2個以上10個以下とすることがよい。この炭素数を少なくすることで、架橋部位の長さが短くなり、カーボンナノホーン相互の間隙をカーボンナノホーン自体の長さと比較して近接し、実質的にカーボンナノホーンのみから構成される網目構造の架橋カーボンナノホーン構造体が得られ易くなる。
【0031】
第1の構造において、カーボンナノホーンに修飾させる官能基としては、例えば、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換又は未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2及びNCOを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することがよくその場合、架橋剤として、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得るものを選択する。
【0032】
また、架橋剤としては、例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミド及びポリイソシアネートが挙げられ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤を選択することがよく、その場合、前記官能基として、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得るものを選択する。
【0033】
カーボンナノホーンに修飾させる官能基として例示された群、及び、架橋剤として例示された群より、それぞれ少なくとも1つの官能基及び架橋剤を、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することがよい。
【0034】
第1の構造において、カーボンナノホーンに修飾させる官能基としては、−COOR(Rは、置換又は未置換の炭化水素基)が特に好適である。カーボンナノホーンにカルボキシル基を導入することは、比較的容易であり、しかも得られる物質(カーボンナノホーンカルボン酸)は、反応性に富むため、その後エステル化して官能基を−COOR(Rは、置換又は未置換の炭化水素基)とすることは比較的容易である。この官能基は架橋反応しやすく、塗布膜の形成に適している。
【0035】
また、当該好適な官能基に対応する架橋剤として、ポリオールがよい。ポリオールは、−COOR(Rは、置換又は未置換の炭化水素基)との反応により硬化し、容易に強固な架橋体を形成する。ポリオールの中でも、グリセリンやエチレングリコールがよい。これは。上記官能基との反応性が富むと共に、それ自体生分解性を有し、環境に対する負荷が小さいからである。
【0036】
第1の構造において、架橋部位は、官能基が−COOR(Rは、置換又は未置換の炭化水素基)であり、架橋剤としてエチレングリコールを用いた場合、−COO(CH2)2OCO−となり、架橋剤としてグリセリンを用いた場合、OH基2つが架橋に寄与すれば−COOCH2CHOHCH2OCO−あるいは−COOCH2CH(OCO−)CH2OHとなり、OH基3つが架橋に寄与すれば−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−となる。架橋部位の化学構造は上記4つからなる群より選ばれるいずれかの化学構造であっても構わない。
【0037】
一方、第2の構造は、複数のカーボンナノホーンの官能基同士を化学結合により形成されている構造であるが、この化学結合を生ずる反応は脱水縮合、置換反応、付加反応及び酸化反応のいずれかであることがよい。
【0038】
第2の構造を有する架橋カーボンナノホーン構造体は、カーボンナノホーンに結合された同官能基同士を化学結合により架橋部位を形成して網目状の構造体を形成しているため、結合させる官能基によってカーボンナノホーン間を結合させる架橋部位のサイズが一定となり易い。カーボンナノホーンは安定な化学構造であるため、修飾させようとした官能基以外の官能基等が結合する可能性は低く、この官能基同士を化学結合させた場合は、目的とした構造の架橋部位となり易く、架橋カーボンナノホーン構造体を均質なものとし易い。
【0039】
第2の構造は官能基同士の化学結合であることから、官能基間を架橋剤により架橋した場合に比べて、カーボンナノホーン間の架橋部位の長さを短くなり、架橋カーボンナノホーン構造体が密となり易い。
【0040】
第2の構造において、官能基同士の化学結合としては、縮合反応では、−COOCO−、−O−、−NHCO−、−COO−及びNCH−から選ばれる一つ、置換反応では−NH−、−S−及びO−から選ばれる少なくとも一つ、付加反応では−NHCOO−、酸化反応では、−S−S−であることがよい。
【0041】
また、反応前にカーボンナノホーンに修飾(結合)させる官能基としては、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換又は未置換の炭化水素基)、−X、−COX(Xはハロゲン原子)、−SH、−CHO、−OSO2CH3、−OSO2(C6H4)CH3−NH2及びNCOを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することがよい。
【0042】
これらの中でも、カーボンナノホーンに修飾(結合)させる官能基としては、−COOHが特によい。カーボンナノホーンにカルボキシル基を導入することは、比較的容易である。しかも得られる物質(カーボンナノホーンカルボン酸)は、反応性に富み、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等の脱水縮合剤を利用することで、容易に縮合反応を起し、層形成に適する。
【0043】
このように、第1の構造、及び第2の構造のいずれの架橋部位を有する架橋カーボンナノホーン構造体は、複数のカーボンナノホーンが複数の架橋部位を介して網目構造の状態となっているので、単なるカーボンナノホーン同士が偶発的に接触しているカーボンナノホーン構造体に比べ、カーボンナノホーン自体の電気伝導性や機械的強度、及び電極強度が向上する。
【0044】
ソース電極18・ドレイン電極20の厚みは、例えば、0.1μm以上1.0μm以下の範囲内であることがよい。
【0045】
−ゲート電極−
ゲート電極14は、例えば、導電層で構成されており、具体的には、例えば、導電材料を含んで構成される。
導電材料としては、例えば、金属、金属酸化物、導電性高分子等が挙げられる。
金属としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、タンタル、インジウム、パラジウム、リチウム、カルシウムおよびこれらの合金が挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛等が挙げられる。
導電性高分子としては、例えば、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノホーン、グラフェン、グラファイト等の炭素構造体の他、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール、ポリピリジン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等が挙げられる。
【0046】
ゲート電極14の層さは、例えば、0.1μm以上1.0μm以下の範囲内であることがよい。
【0047】
−チャネル層−
チャネル層22は、例えば、有機半導体を含んで構成される。
有機半導体としては、例えば低分子有機半導体材料(例えば、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、フタロシアニン、ペリレン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、ジフェニルメタン、スチルベン、アリールビニル、ピラゾリン、トリフェニルアミン、トリアリールアミン、オリゴチオフェン、フタロシアニン、又はこれらの誘導体等)、高分子有機半導体材料(例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ポリアリールアミン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂、フルオレン−ブチオフェン共重合体、フルオレン−アリールアミン共重合体、又はこれらの誘導体等)等が挙げられるが、これに限るものではない。
【0048】
チャネル層22の厚みは、例えば、50nm以上1μm以下の範囲内であることがよい。
【0049】
−ゲート絶縁層16−
ゲート絶縁層16は、例えば、絶縁層で構成されており、具体的には、例えば、絶縁性樹脂を含んで構成される。
絶縁性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート等の縮合樹脂や、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミドのようなビニル重合体等が挙げられる。また、それらの前駆体を用いてもよい。
これらの絶縁性樹脂の中でも、例えば、ポリイミド、ポリエステル、エポキシ樹脂がよく、望ましくはポリイミドである。
絶縁性樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0050】
ゲート絶縁層16の厚さは、例えば、0.1μm以上4μm以下の範囲内であることがよい。
【0051】
−基板−
基板12としては、絶縁性(体積抵抗で1012Ωcm以上、以下これに準ずる)を有し、その上に作製されるゲート電極14、ゲート絶縁層16、ソース電極18、ドレイン電極20、及び有機半導体を含んで構成されたチャネル層22等を支持可能な材料から構成されていればよい。
【0052】
基板12としては、具体的には、ガラス、シリコンウェハ、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリススチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレンブタジエン共重合体、塩化ビニルデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、又はシリコン樹脂等のプラスチック基板等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0053】
なお、本実施形態に係る有機トランジスタ素子10の構成の場合、導電性を持つ基板12をゲート電極14を兼ねて適用してもよい。
【0054】
−トランジスタ素子の製造方法−
以下、本実施形態に係るトランジスタ素子10の製造方法について説明する。
図2は、本実施形態に係るトランジスタ素子の製造方法を示す工程図である。
【0055】
まず、図2(A)に示すように、基板12を用意する。
【0056】
次に、図2(B)に示すように、この基板12上にゲート電極14を形成する。
ゲート電極14の形成方法としては、例えば、上記電極材料を蒸着法、スパッタ法によりパターニングして成膜する方法、上記電極材料を含む溶液を各種塗布法(インクジェット法、ディスペンサー法、スピンコート法、マイクロシリンジにより滴下する方法等)等を利用してパターニングして成膜する方法が挙げられるが、これらの方法に限られない。
【0057】
次に、図2(C)に示すように、ゲート電極14の形成された基板12上に、ゲート電極14及び基板12の表面を覆うように、ゲート絶縁層16を形成する。
ゲート絶縁層16を形成する方法としては。例えば、上記電極材料を蒸着法、スパッタ法によりパターニングして成膜する方法、上記電極材料を含む溶液を各種塗布法(インクジェット法、ディスペンサー法、スピンコート法、マイクロシリンジにより滴下する方法等)等を利用してパターニングして成膜する方法が挙げられるが、これらの方法に限られない。
【0058】
次に、図2(D)に示すように、ゲート絶縁層16上に、ソース電極18及びドレイン電極20が間隔を隔てて形成する。
ソース電極18及びドレイン電極20の形成方法としては、例えば、上記電極材料を含む溶液(カーボンナノホーン組成物)を各種塗布法(インクジェット法、ディスペンサー法、スピンコート法、マイクロシリンジにより滴下する方法等)等を利用してパターニングして成膜する方法が挙げられるが、これらの方法に限られない。
【0059】
ここで、ソース電極18及びドレイン電極20を形成するためのカーボンナノホーン組成物は、例えば、カーボンナノホーンとカーボンナノホーンを分散する分散媒を少なくとも含んで構成される。
分散媒としては、例えば、水、アルコール系溶媒、又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
但し、架橋剤が液状物(例えば、グリセリン、エチレングリコール等のポリオール)の場合、これを分散媒としてもよい。
【0060】
カーボンナノホーン組成物は、カーボンナノホーンと分散媒の他、架橋剤等その他の添加剤を含んでもよい。
架橋剤以外のその他の添加剤としては、例えば、溶剤、粘度調整剤、分散剤、架橋促進剤等が挙げられる。
【0061】
溶剤は、架橋剤のみでは塗布適性が十分で無い場合に添加する。
溶剤としては、特に制限は無く、架橋剤の種類に応じて選択すればよい。溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等の有機溶剤や水、酸水溶液、アルカリ水溶液等が挙げられる。
溶剤の添加量としては、塗布適性を考慮して設定すればよいが、特に制限は無い。
【0062】
粘度調整剤も、架橋剤のみでは塗布適性が十分で無い場合に添加する。
粘度調整剤としては、特に制限は無く、架橋剤の種類に応じて選択すればよい。粘度調整剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、THF等が挙げられる。
これら粘度調整剤の中には、その添加量によっては溶剤としての機能を有するものがあるが、両者を明確に区別することに意義は無い。
粘度調整剤の添加量としては、塗布適性を考慮して設定すればよいが、特に制限は無い。
【0063】
分散剤は、カーボンナノホーン組成物中でのカーボンナノホーンないし架橋剤の分散安定性を保持するために添加するものであり、従来公知の各種界面活性剤、水溶性有機溶剤、水、酸水溶液やアルカリ水溶液等が挙げられる。ただし、カーボンナノホーン組成物の成分は、それ自体分散安定性が高いため、分散剤は必ずしも必要ではない。また、カーボンナノホーンを含む電極を形成した後は、分散剤等の不純物が含まれないことが好まれる場合が多く、その場合には勿論、分散剤は、添加しないか、極力少ない量で添加する。
【0064】
カーボンナノホーン組成物における、カーボンナノホーン濃度は、例えば1質量%以上50質量%以下であることがよく、望ましくは5質量%以上20質量%以下である。
カーボンナノホーン濃度は、電極の抵抗を決める一要因となることから、低い電極抵抗を得るためには高めることがよい。
【0065】
カーボンナノホーン組成物の粘度は、成膜性、インクの吐出(滴下)特性の観点から、例えば、2cps以上30cps以下(望ましくは10cps以上12cps以下)であることがよく、表面張力は10dyn/cm以上60dyn/cm以下(望ましくは28dyn/cm以上33dyn/cm以下)であることがよい。
【0066】
カーボンナノホーン組成物は、例えば、分散媒(又は分散媒となる架橋剤)に、カーボンナノホーンと共に、必要に応じて、その他添加剤を添加した後、分散器(例えば超音波分散器)により分散させることで得られる。
【0067】
そして、カーボンナノホーン組成物を被塗布面(ゲート絶縁層16)に塗布(吐出や滴下)した後、加熱(例えば100℃程度)することで乾燥することで、カーボンナノホーンが含まれるソース電極18及びドレイン電極20が形成される。
なお、官能基修飾されたカーボンナノホーンを適用する場合(架橋カーボンナノホーン構造体を形成する場合)、例えば、100℃以上200℃以下に加熱して、架橋反応を進行させて、ソース電極18及びドレイン電極20を形成することがよい。
【0068】
次に、図2(E)に示すように、ソース電極18及びドレイン電極20の間のゲート絶縁層16上であって、ソース電極18及びドレイン電極20と接触するようにチャネル層22を形成する。
チャネル層22を形成する方法としては、例えば、上記半導体を蒸着法、スパッタ法によりパターニングして成膜する方法、上記半導体を含む溶液を各種塗布法(インクジェット法、ディスペンサー法、スピンコート法、マイクロシリンジにより滴下する方法等)等を利用してパターニングして成膜する方法が挙げられるが、これらの方法に限られない。
【0069】
これら工程を経て、本実施形態に係るトランジスタ素子10が製造される。
【0070】
以上説明した本実施形態に係る有機トランジスタ素子10では、カーボンナノホーンを含んで構成される有機ディバイス用電極をソース電極18及びドレイン電極20として適用している。
本有機電子素子用電極は、カーボンナノホーンを含んで構成されていることから、その表面の表面積が大きくなる。これは、複数のカーボンナノホーンが例えば100nm規模の二次粒子(凝集体)の状態で存在し、さらに当該二次粒子(凝集体)が集合して電極を構成すると考えられるからである。
このため、本有機電子素子用電極は、接触抵抗が低減される。
【0071】
そして、本本有機電子素子用電極をソース電極18及びドレイン電極20として適用すると、有機半導体を含んで構成されたチャネル層22との接触抵抗が低減される、つまりソース電極18及びドレイン電極20とチャネル層22とのオーミック接合が図れるため、キャリアの注入効率が向上する。
その結果、本実施形態に係る有機トランジスタ素子10では、駆動電圧が低減される。
また、有機トランジスタの場合、通常、チャネル層22を構成する有機半導体の極性(n型、p型)の種類に応じて、ソース電極18及びドレイン電極20の材料を変更しなければならないが、n型及びp型のいずれ極性の有機半導体を含んで構成されたチャネル層22であっても、カーボンナノホーンを含んで構成される有機ディバイス用電極はソース電極18及びドレイン電極20として適用し得る。
【0072】
また、本実施形態に係る有機トランジスタ素子10では、ソース電極18及びドレイン電極20(有機ディバイス用電極)を形成するためのカーボンナノホーン組成物として、カーボンナノホーンと分散媒とを含むものと適用している。
本カーボンナノホーン組成物は、複数のカーボンナノホーンがカーボンナノチューブの長さよりも小さい例えば100nm規模の二次粒子(凝集体)の状態で分散されることから、ノズルの目詰まりが抑制され、インクジェット法に適用、つまりインクジェットインクとして適している。
【0073】
なお、本実施形態に係るトランジスタ素子10の構成は、上記に限られず、他の構成のトランジスタ素子であってもよい。
他の一例である本実施形態に係るトランジスタ素子101としては、例えば、図3に示すように、例えば、基板12上にゲート電極14、ゲート絶縁層16、チャネル層22がこの順に設けられ、このチャネル層22上にソース電極18及びドレイン電極20が離間して設けられた形態が挙げられる。
【0074】
また、他の一例である本実施形態に係るトランジスタ素子102としては、例えば、図4に示すように、基板12上にゲート電極14、ゲート絶縁層16がこの順に設けられ、このゲート絶縁層16上にソース電極18が設けられ、そして、ソース電極18のゲート絶縁層16と接する側と反対側の面をチャネル層22の一端が覆うように、チャネル層22が設けられ、さらに、チャネル層22のソース電極18を覆う一端と反対側の端において、チャネル層22の上にドレイン電極20が設けられた形態が挙げられる。
【0075】
また、他の一例である本実施形態に係るトランジスタ素子103としては、例えば、図5に示すように、基板12上にソース電極18及びドレイン電極20が離間した位置に設けられると共に、ソース電極18及びドレイン電極20を被覆するようにチャネル層22が設けられ、そして、このチャネル層22上に、ゲート絶縁層16、ゲート電極14がこの順に設けられた形態が挙げられる。
【0076】
また、本実施形態に係るトランジスタ素子10において、ソース電極18及びドレイン電極20として適用した、カーボンナノホーンを含んで構成される有機電子素子用電極は、例えば、有機EL素子、複数の有機トランジスタからなるドライバー、IC、不揮発性メモリ等の有機電子素子(有機電子デバイス)の電極として適用し得る。
これらの有機電子素子においても、電極の接触抵抗が低減され、素子機能が向上されると考えられる。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0078】
[実施例1]
(有機トランジスタ素子の作製)
カーボンナノホーンインクを、以下の方法で調製した。
まず、グリセリン(関東化学製)と1−ブタノール(アルドリッチ社製)を、質量比で1:4で混合、攪拌した。その後、この溶液にカーボンナノホーン(戸田工業株式会社製)を10mg/mlの割合で混合した。
次に、その混合溶液を超音波ホモジナイザー(VibraCell、Sonics&Materials Inc製)で5分間、攪拌して、カーボンナノホーンインク(粘度:6cps 、表面張力30dyn/cm)を調製した。
なお、この超音波分散工程の目的は、カーボンナノホーンを100nm程度の二次凝集体にすることと、それらを均一に分散させることである。
【0079】
次に、3インチn型Si基板(シリコン基板の表層に厚み100nmの熱酸化膜を形成した基板)をゲート電極(基板を兼ねるシリコン部分)及びゲート絶縁膜(熱酸化膜部分)として利用し、その基板に、得られたカーボンナノホーンインクをインクジェット法(装置:Dimatix社:マテリアルプリンター)によりパターニングして吐出した後、ホットプレート(100℃、10分)で乾燥させ、ソース電極及びドレイン電極を作製した。ソース電極及びドレイン電極は、有機トランジスタ素子のチャネル長L200μm、チャネル幅W2000μmになるようにパターニングした。
【0080】
次に、p型の有機半導体としてTIPS−ペンタセン(6,13−bis(triisopropyl−silylethynyl) pentacene)をトルエンに3質量%溶解させた溶液を、ソース電極・ドレイン電極間に0.1μl滴下し、その後、60℃で30分間、真空乾燥して、チャネル層を形成した。
【0081】
以上の工程を経て、実施例1の有機トランジスタ素子を作製した。
【0082】
(評価)
−有機トランジスタ素子のFET特性−
実施例1の有機トランジスタ素子のFET特性(Field Effect Transistor特性)を、半導体パラメータアナライザ(アジレントテクノロジー製4156B)を用いて、大気中で測定した。本測定により、出力特性、及び伝達特性(Vds=−20V)を調べた。
図6に、実施例1の有機トランジスタ素子の出力特性を示し、図7に、実施例1の有機トランジスタ素子の伝達特性(Vds=−20V)を示す。
図6及び図7の結果から、実施例1の有機トランジスタ素子は、良好な動作していることがわかる。さらに、実施例1の有機トランジスタ素子は、出力特性でVgsが−10VのときVdsが−5V程度で飽和領域に達しており、電荷注入性も向上していることがわかる。
【0083】
なお、図6に示す出力特性において、縦軸は、ドレイン−ソース間の電流(Ids)〔A〕を表し、横軸はドレイン−ソース間の電圧(Vds)〔V〕を表す。また、図6に示す出力特性では、目的とするドレイン電圧VgsでのIds−Vds曲線を示している。
また、図7に示す伝達特性において、黒丸(●)で示されるプロット及び黒四角(■)で示されるプロットの横軸は、共に、)〔V〕であるが、黒丸(●)で示されるプロットの縦軸はドレイン−ソース間の電流の絶対値((abs(Ids))〔A〕であり、黒四角(■)で示されるプロットの縦軸は、その絶対値の平方根の値(sqrt(abs(Ids)))である。
【0084】
−有機トランジスタ素子のソース電極及びドレイン電極の表面観察−
得られた有機トランジスタ素子のソース電極及びドレイン電極を実体顕微鏡により観察した。その写真を図8に示す。
また、得られた有機トランジスタ素子のソース電極及びドレイン電極を切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。その写真を図9及び図10に示す。
図8〜図10から、カーボンナノホーンの100nm程度(以下)に凝集した二次粒子(凝集体)が集合して、ソース電極及びドレイン電極を構成していることがわかる。
【0085】
[比較例1]
(有機トランジスタ素子の作製)
3インチn型Si基板(シリコン基板の表層に厚み100nmの熱酸化膜を形成した基板)をゲート電極(基板を兼ねるシリコン部分)及びゲート絶縁膜(熱酸化膜部分)として利用し、その基板に、その基板に.Ti及びAuをEB蒸着装置(昭和真空製)により、それぞれ、厚さ10nm、厚さ100nmで、メタルマスクでパターニングして蒸着し、ソース電極及びドレイン電極を形成した。その際、ソース電極及びドレイン電極は、有機トランジスタ素子のゲート長L200μm、ゲート幅W2000μmになるようにパターニングした。
【0086】
次に、p型の有機半導体としてTIPS−ペンタセン(6,13−bis(triisopropyl−silylethynyl) pentacene)をトルエンに3質量%溶解させた溶液を、ソース・ドレイン電極間に0.1μl滴下し、その後、60℃で30分間、真空乾燥して、チャネル層を形成した。
【0087】
以上の工程を経て、比較例1の有機トランジスタ素子を作製した。
【0088】
(評価)
実施例1と同様にして、比較例1の有機トランジスタ素子のFET特性を測定した。
本測定により、出力特性を調べた。
図11に、比較例1の有機トランジスタ素子の出力特性を示す。
図11の結果から、比較例1の有機トランジスタ素子は、実施例1の有機トランジスタ素子のように、明確な飽和領域が現れていないことがわかる。すなわち、比較例1の有機トランジスタ素子は、飽和領域が−40Vまでに観測されなかったことがわかる。
つまり、このことから、実施例1の有機トランジスタ素子においてソース電極及びドレイン電極に適用したカーボンナノホーンで構成される電極は、電荷注入性に優れていることがわかる。
【0089】
[実施例2]
(有機トランジスタ素子の作製)
3インチn型Si基板(シリコン基板の表層に厚み100nmの熱酸化膜を形成した基板)をゲート電極(基板を兼ねるシリコン部分)及びゲート絶縁膜(熱酸化膜部分)として利用し、その基板に、得られたカーボンナノホーンインクをインクジェット法(装置:Dimatix社:マテリアルプリンター)によりパターニングして吐出した後、ホットプレート(100℃、10分)で乾燥させ、ソース電極及びドレイン電極を作製した。ソース電極及びドレイン電極は、有機トランジスタ素子のゲート長L200μm、ゲート幅W2000μmになるようにパターニングした。
【0090】
n型の有機半導体として[6,6]−Phenyl−C61 butyric acid (3−ethylthiophene) ester(PCBM誘導体)をトルエンに3wt%溶解した溶液をソース電極・ドレイン電極間に0.1μl滴下し、その後、130℃で4時間、真空乾燥して、チャネル層を形成した。
【0091】
以上の工程を経て、実施例2の有機トランジスタ素子を作製した。
【0092】
(評価)
実施例1と同様にして、実施例2の有機トランジスタ素子のFET特性を測定した。
本測定により、出力特性、及び伝達特性(Vds=−20V)を調べた。ただし、測定雰囲気は真空中である。
図12に、実施例2の有機トランジスタ素子の出力特性を示し、図13に、実施例2の有機トランジスタ素子の伝達特性(Vds=−20V)を示す。
図12及び図13の結果から、実施例2の有機トランジスタ素子は、良好な動作していることがわかる。さらに、実施例2の有機トランジスタ素子は、出力特性でVgsが30VのときVdsが7V程度で飽和領域に達しており、電荷注入性も向上していることがわかる。
そして、実施例1及び実施例2での結果から、実施例1及び実施例2の有機トランジスタ素子においてソース電極及びドレイン電極に適用したカーボンナノホーンで構成される電極は、チャネル層を構成する有機半導体の極性によらず、良好な動作が実現されることもわかる。
【0093】
[比較例2]
(有機トランジスタ素子の作製)
3インチn型Si基板(シリコン基板の表層に厚み100nmの熱酸化膜を形成した基板)をゲート電極(基板を兼ねるシリコン部分)及びゲート絶縁膜(熱酸化膜部分)として利用し、その基板に、その基板に.Ti及びAuをEB蒸着装置(昭和真空製)により、それぞれ、厚さ10nm、厚さ100nmで、メタルマスクでパターニングして蒸着し、ソース電極及びドレイン電極を形成した。その際、ソース電極及びドレイン電極は、有機トランジスタ素子のゲート長L200μm、ゲート幅W2000μmになるようにパターニングした。
【0094】
n型の有機半導体として[6,6]−Phenyl−C61 butyric acid (3−ethylthiophene) ester(PCBM誘導体)をトルエンに3wt%溶解した溶液をソース電極・ドレイン電極間に0.1μl滴下し、その後、130℃で4時間、真空乾燥して、チャネル層を形成した。
【0095】
以上の工程を経て、比較例2の有機トランジスタ素子を作製した。
【0096】
(評価)
実施例2と同様にして、比較例2の有機トランジスタ素子のFET特性を測定した。
本測定により、出力特性を調べた。
図14に、比較例2の有機トランジスタ素子の出力特性を示す。
図14の結果から、比較例2の有機トランジスタ素子は、実施例2の有機トランジスタ素子のように、明確な飽和領域が現れていないことがわかる。
また、比較例2の有機トランジスタ素子は、立ち上がりのVdsが20V程度で、実施例2の有機トランジスタ素子よりも明らかに悪くなっていることがわかる。
つまり、このことから、実施例2の有機トランジスタ素子においてソース電極及びドレイン電極に適用したカーボンナノホーンで構成される電極は、電荷注入性に優れていることがわかる。
【0097】
[比較例3]
(有機トランジスタ素子の作製)
カーボンナノチューブインクを、以下の方法で調製した。
まず、グリセリン(関東化学製)と1−ブタノール(アルドリッチ社製)を、質量比で1:4で混合、攪拌した。その後、この溶液に多層カーボンナノチューブ(アルドリッチ製)を10mg/mlの割合で混合した。
次に、その混合溶液を超音波ホモジナイザー(VibraCell、Sonics&Materials Inc製)で5分間、攪拌して、カーボンナノチューブインク(粘度:6.5cps、表面張力32dyn/cm)を調製した。
【0098】
次に、3インチn型Si基板(シリコン基板の表層に厚み100nmの熱酸化膜を形成した基板)をゲート電極(基板を兼ねるシリコン部分)及びゲート絶縁膜(熱酸化膜部分)として利用し、その基板に、得られたカーボンナノホーンインクをインクジェット法(装置:Dimatix社:マテリアルプリンター)によりパターニングして吐出して、ソース電極及びドレイン電極を形成しようとしたところ、途中でノゾルの目詰まりを起こし、ソース電極及びドレイン電極を形成することができなかった。
この結果から、実施例1及び2で使用したカーボンナノホーンインク(カーボンナノホーン組成物)は、ノゾルの目詰まりを生じさせず、インクジェットインクに適していることがわかる。
【0099】
[比較例4]
(有機トランジスタ素子の作製)
比較例3で作製したカーボンナノチューブインクを、以下の方法で有機トランジスタを作製した。
まず、3インチn型Si基板(シリコン基板の表層に厚み100nmの熱酸化膜を形成した基板)をゲート電極(基板を兼ねるシリコン部分)及びゲート絶縁膜(熱酸化膜部分)として利用し、その基板に、得られたカーボンナノチューブインクをマイクロピペッターにより滴下して、ソース電極及びドレイン電極を形成した。本比較例では、実施例1にあるような精密なパターニングはできなかったが、形成した有機トランジスタ素子のチャネル長Lは場所によって150〜400μm、チャネル幅Wは2300μmであった。
【0100】
次に、p型の有機半導体としてTIPS−ペンタセン(6,13−bis(triisopropyl−silylethynyl) pentacene)をトルエンに3質量%溶解させた溶液を、ソース・ドレイン電極間に0.1μl滴下し、その後、60℃で30分間、真空乾燥して、チャネル層を形成した。
以上の工程を経て、比較例4の有機トランジスタ素子を作製した。
【0101】
(評価)
実施例1と同様にして、比較例1の有機トランジスタ素子のFET特性を測定した。
本測定により、出力特性を調べた。
図15に、比較例4の有機トランジスタ素子の出力特性を示す。
図15の結果から、比較例4の有機トランジスタ素子は、実施例1の有機トランジスタ素子同様の良好な特性を示している。
つまり、このことから、比較例4の有機トランジスタ素子においてソース電極及びドレイン電極に適用したカーボンナノチューブで構成される電極は、カーボンナノホーン同様、金属電極より電荷注入性に優れていることがわかる。しかし、比較例3にあるようにインクとしてはインクジェットには不適で、かつ精度よくパターニングもできないので、有機半導体素子の電極としてはカーボンナノホーンの方が適している。
【0102】
[実施例3]
(有機EL素子の作製)
実施例1同様に、カーボンナノホーンインクを作製した。
次に、洗浄済みのITO付きガラス基板をUV/O3処理を5分行った後、正孔注入層としてPEDOT/PSS(アルドリッチ製、Poly(3,4−ethylenedioxythiophene) poly(styrenesulfonate))をスピンコートで10nmの膜厚になるように成膜し、乾燥させた。続いて発光層として、NPB(N,N−di(naphthalene−1−yl)−N,N−diphenyl−benzidene)、正孔素子層としてTAZ(アルドリッチ製、3−[biphenyl−4−yl]−4−phenyl−5−[4−tert−butyl] phenyl−1,2,4−triazole)、電子注入層としてBCP(アルドリッチ製、2,9−dimethyl−4,7−diphenyl−1, 10−phenanthroline)をそれぞれ、60、30、30nmの厚みで真空蒸着した。
最後に、カーボンナノインクを、インクジェット法で1mm角になるよう電子注入層の上にパターニングし、100℃で大気中で10分乾燥させた。カーボンナノホーン層を有機EL素子の陰極とする。今回は保護層は成膜せず、素子が発光するかどうかを確認した。
以上の工程を経て、実施例3の有機EL素子を作製した。
【0103】
(評価)
この有機EL素子に直流電源(ケースレー製、デジタルソースメータ2400)を接続し、電圧を徐々に印加していった。電圧が3.1Vから発光が始まり、青色の光を出した。そのときの最高発光輝度は約240cd/m2(6V)であった。
この結果は、有機トランジスタ用のソース・ドレイン電極以外にも、有機EL素子の陰極としても、カーボンナノホーンを含む電極が利用できることを示している。
【符号の説明】
【0104】
10 トランジスタ素子
12 基板
14 ゲート電極
16 ゲート絶縁層
18 ソース電極
20 ドレイン電極
101 トランジスタ素子
102 トランジスタ素子
103 トランジスタ素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電子素子用電極、有機トランジスタ素子、インクジェットインクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブについては、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、パターニングできるカーボンナノチューブ膜が提案されている。
また、特許文献2には、「基材と、基材の表面に形成された極細導電繊維を含む導電層と、を有し、前記極細導電繊維が前記導電層に1.0〜450mg/m2の目付け量で含有され、少なくとも前記極細導電繊維の一部が前記基材に固定され、少なくとも前記極細導電繊維の他の一部が前記導電層の最表面から突出しており、前記極細導電繊維が互いに電気的に接触していることを特徴とする導電性成形体」が提案されている。
また、特許文献3には、「少なくとも片面が導電性材料で構成された基板における導電性材料の面に、この導電性材料よりも酸化物標準生成自由エネルギーが小さい元素の酸化物からなる保護膜が形成され、この保護膜の上に上記の導電性材料よりも融点の低い低融点金属を用いてカーボンナノチューブの成長を促進する作用を有する触媒金属を含む微粒子が形成され、この微粒子の上にカーボンナノチューブが形成されてなることを特徴とするカーボンナノチューブ電極」が提案されている。
【0003】
また、特許文献4には、「カーボンナノチューブを溶剤に分散させてなるカーボンナノチューブ分散液であって、直径10〜50nmのカーボンナノチューブと、塩基性官能基を含む化合物と、分子量15000以下の化合物と、ケトン系溶剤とを含有していることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液」が提案されている。
また、特許文献5には、「ナノカーボン及び分散剤を含むナノカーボン分散液を用いて前記ナノカーボン及び前記分散剤を含む膜を形成した後に、前記膜に外部刺激を与えて該膜に含まれる前記分散剤の少なくとも一部を分解させたことを特徴とするナノカーボン膜」が提案されている。
また、特許文献6には、「炭素6員環を有する有機材料と接触するためのカーボンナノチューブと、当該カーボンナノチューブの一部と接触する金属とからなる、有機材料用の端子」が提案されている。
【0004】
一方で、カーボンナノホーンは、触媒の担持体として電池の電極に用いられている(例えば特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2003−154114
【特許文献2】特開2007−112133号公報
【特許文献3】特開2007−230832号公報
【特許文献4】特開2008−024568号公報
【特許文献5】特開2009−203118号公報
【特許文献6】特開2004−356530号公報
【特許文献7】特開2010−205500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、接触抵抗を低減した有機電子素子用電極を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
カーボンナノホーンを含んで構成された有機電子素子用電極。
【0008】
請求項2に係る発明は、
カーボンナノホーンを含んで構成されたソース電極と、
前記ソース電極と間隔を持って配置されるドレイン電極であって、カーボンナノホーンを含んで構成されたドレイン電極と、
前記ソース電極及びドレイン電極に接続して配置されるチャネル層であって、有機半導体を含んで構成されたチャネル層と、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極間に流れる電流を制御するためのゲート電極と、
前記チャネル層と前記ゲート電極とを絶縁するためのゲート絶縁層と、
を備える有機トランジスタ素子。
【0009】
請求項3に係る発明は、
カーボンナノホーンと、前記カーボンナノホーンを分散させる分散媒と、を含むインクジェットインク。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、電極材料としてカーボンナノホーンを適用しない場合に比べ、接触抵抗を低減した有機電子素子用電極を提供できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、電極材料としてカーボンナノホーンを適用しない場合に比べ、駆動電圧が低減した有機トランジスタ素子を提供できる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、カーボンナノチューブを適用した場合に比べ、ノズルの目詰まりが抑制されたインクジェットインクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係るトランジスタ素子を示す概略断面図である。
【図2】本実施形態に係るトランジスタ素子の製造方法を示す工程図である。
【図3】本実施形態に係るトランジスタ素子の他の一例を示す概略断面図である。
【図4】本実施形態に係るトランジスタ素子の他の一例を示す概略断面図である。
【図5】本実施形態に係るトランジスタ素子の他の一例を示す概略断面図である。
【図6】実施例1の有機トランジスタ素子の出力特性を示す図である。
【図7】実施例1の有機トランジスタ素子の伝達特性(Vds=−20V)を示す図である。
【図8】実施例1の有機トランジスタ素子のソース電極及びドレイン電極の実体顕微鏡写真を示す図である。
【図9】実施例1の有機トランジスタ素子のソース電極及びドレイン電極のSEM写真を示す図である。
【図10】実施例1の有機トランジスタ素子のソース電極及びドレイン電極のSEM写真を示す図である。
【図11】比較例1の有機トランジスタ素子の出力特性を示す図である。
【図12】実施例2の有機トランジスタ素子の出力特性を示す図である。
【図13】実施例2の有機トランジスタ素子の伝達特性(Vds=−20V)を示す図である。
【図14】比較例2の有機トランジスタ素子の出力特性を示す図である。
【図15】比較例2の有機トランジスタ素子の出力特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るトランジスタ素子を示す概略断面図である。
【0016】
本実施形態に係るトランジスタ素子10は、例えば、図1に示すように、基板12上に、ゲート電極14が設けられ、このゲート電極14の設けられた基板12上にゲート絶縁層16が設けられている。このゲート絶縁層16上には、ソース電極18及びドレイン電極20が間隔を隔てて設けられており、これらのソース電極18及びドレイン電極20の間には、例えば、有機半導体を含んで構成されたチャネル層22が設けられている。
【0017】
チャネル層22は、ソース電極18及びドレイン電極20の双方に接すると共に、これらのソース電極18及びドレイン電極20を導通するように設けられている。ゲート電極14は、ゲート絶縁層16によってソース電極18及びドレイン電極20に対して絶縁されている。
【0018】
ゲート絶縁層16がゲート電極14上に設けられることによって、ゲート電極14が後工程で形成されるソース電極18及びドレイン電極20の双方から絶縁された状態となる。すなわち、ゲート絶縁層16を設けることによって、ゲート電極14に電圧を印加することでソース電極18及びドレイン電極20間に流れる電流が制御される。
【0019】
なお、ソース電極18及びドレイン電極20は、電極14に電圧が印加されることで、ソース電極18とドレイン電極20との間に有機半導体を含んで構成されたチャネル層22を介して電流が流れる位置に設けられていればよい。
ゲート電極14に印加する電圧の電圧値を調整することで、ソース電極18とドレイン電極20との間(その間のチャネル層22)に流れる電流が制御される。
【0020】
本実施形態に係るトランジスタ素子10における各要素について詳細に説明する。
【0021】
−ソース電極・ドレイン電極−
ソース電極18・ドレイン電極20は、カーボンナノホーンを含んで構成された有機電子素子用電極を適用している。
【0022】
ここで、カーボンナノホーンは,複数のカーボンナノホーンが集まり,100nm規模の二次粒子(凝集体)を形成している。
カーボンナノホーンは、カーボンナノチューブと同様に炭素構造体であるが、その一方の先端が円錐状に閉じでおり、ホーン(牛などの角)のような形状になっていることから、このように呼称されているものである。
具体的には、カーボンナノホーンは、2つの部分からなり、一方の円錐部分(円錐状の頂点以外の部分)が六員環からなり、平面のグラフェン構造を曲げた構造を成しており、他方の頂点部分(円錐状に閉じた先端部分)には5つの五員環が互いの間に六員環を挟んで存在し、直径2nm以上3nm以下のフラーレン構造の一部で成している。
そして、カーボンナノホーンは、複数のカーボンナノホーンが集まり、例えば、100nm規模の二次粒子(凝集体)の状態で存在している。
【0023】
なお、頂点部分(円錐状に閉じた先端部分)の五員環の数は、幾何学的には1つから5つまでのいずれでも円錐形となるが、実際に得られるのは5つのものであり、その結果、先端が円錐状に閉じており,ホーン(牛などの角)のような形状となる。
【0024】
ソース電極18・ドレイン電極20(有機電子素子用電極)は、カーボンナノホーンを含んで構成されるが、具体的には、例えば、複数のカーボンナノホーンが相互に接触して、互いに電気的接続をした状態のカーボンナノホーン構造体で構成される。
【0025】
ソース電極18・ドレイン電極20(有機電子素子用電極)を構成するカーボンナノホーン構造体は、複数のカーボンナノホーン同士が非結合状態で相互に接触して、互いに電気的接続をした状態で構成されていてもよいが、カーボンナノホーン同士が化学結合により互いが電気的に接続されたネットワーク構造を形成していることが、カーボンナノホーン自体の電気伝導性や機械的強度、及び電極強度を向上させる観点からよい。
このようなカーボンナノホーン構造体として、具体的には、例えば、官能基で修飾したカーボンナノホーンを用い、当該官能基間を化学結合させて相互に網目構造を構成する架橋カーボンナノホーン構造体が挙げられる。
【0026】
架橋カーボンナノホーン構造体は、複数のカーボンナノホーンの官能基間を化学結合させた架橋部位を有することになるが、この架橋部位としては、架橋剤により複数の官能基間を架橋した第1の構造、複数の官能基同士を化学結合により形成された第2の構造が好適に挙げられる。
【0027】
第1の構造は、官能基の架橋反応後に残存する残基同士を、架橋剤の架橋反応後に残存する残基である連結基で連結した架橋構造となる。
【0028】
架橋剤は、その特性として架橋剤同士が重合反応をするような性質(自己重合性)を有するよりも、非自己重合性を有することがよい。
架橋剤が非自己重合性を有すると、カーボンナノホーン相互の間隔を、使用した架橋剤の残基のサイズに制御され易く、目的とするカーボンナノホーンのネットワーク構造が得られ易くなる。さらに、架橋剤の残基のサイズを小さくすれば、電気的にも物理的にも近接した状態に、カーボンナノホーン相互の間隔を狭められ、構造体中のカーボンナノホーンが密化した構造体が得られ易くなる。
【0029】
なお、本実施形態において、「自己重合性」とは、架橋剤同士が、水分等他の成分の存在の下、あるいは他の成分の存在なしに、相互に重合反応を生じ得る性質をいい、「非自己重合性」とは、そのような性質を有しないことを言う。
【0030】
ここで、架橋剤として非自己重合性のものを選択すれば、カーボンナノホーン同士が架橋する架橋部位が、主として同一の架橋構造となり易い。また、連結基としては、例えば、炭化水素を骨格とするものがよく、その炭素数としては2個以上10個以下とすることがよい。この炭素数を少なくすることで、架橋部位の長さが短くなり、カーボンナノホーン相互の間隙をカーボンナノホーン自体の長さと比較して近接し、実質的にカーボンナノホーンのみから構成される網目構造の架橋カーボンナノホーン構造体が得られ易くなる。
【0031】
第1の構造において、カーボンナノホーンに修飾させる官能基としては、例えば、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換又は未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2及びNCOを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することがよくその場合、架橋剤として、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得るものを選択する。
【0032】
また、架橋剤としては、例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミド及びポリイソシアネートが挙げられ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤を選択することがよく、その場合、前記官能基として、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得るものを選択する。
【0033】
カーボンナノホーンに修飾させる官能基として例示された群、及び、架橋剤として例示された群より、それぞれ少なくとも1つの官能基及び架橋剤を、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することがよい。
【0034】
第1の構造において、カーボンナノホーンに修飾させる官能基としては、−COOR(Rは、置換又は未置換の炭化水素基)が特に好適である。カーボンナノホーンにカルボキシル基を導入することは、比較的容易であり、しかも得られる物質(カーボンナノホーンカルボン酸)は、反応性に富むため、その後エステル化して官能基を−COOR(Rは、置換又は未置換の炭化水素基)とすることは比較的容易である。この官能基は架橋反応しやすく、塗布膜の形成に適している。
【0035】
また、当該好適な官能基に対応する架橋剤として、ポリオールがよい。ポリオールは、−COOR(Rは、置換又は未置換の炭化水素基)との反応により硬化し、容易に強固な架橋体を形成する。ポリオールの中でも、グリセリンやエチレングリコールがよい。これは。上記官能基との反応性が富むと共に、それ自体生分解性を有し、環境に対する負荷が小さいからである。
【0036】
第1の構造において、架橋部位は、官能基が−COOR(Rは、置換又は未置換の炭化水素基)であり、架橋剤としてエチレングリコールを用いた場合、−COO(CH2)2OCO−となり、架橋剤としてグリセリンを用いた場合、OH基2つが架橋に寄与すれば−COOCH2CHOHCH2OCO−あるいは−COOCH2CH(OCO−)CH2OHとなり、OH基3つが架橋に寄与すれば−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−となる。架橋部位の化学構造は上記4つからなる群より選ばれるいずれかの化学構造であっても構わない。
【0037】
一方、第2の構造は、複数のカーボンナノホーンの官能基同士を化学結合により形成されている構造であるが、この化学結合を生ずる反応は脱水縮合、置換反応、付加反応及び酸化反応のいずれかであることがよい。
【0038】
第2の構造を有する架橋カーボンナノホーン構造体は、カーボンナノホーンに結合された同官能基同士を化学結合により架橋部位を形成して網目状の構造体を形成しているため、結合させる官能基によってカーボンナノホーン間を結合させる架橋部位のサイズが一定となり易い。カーボンナノホーンは安定な化学構造であるため、修飾させようとした官能基以外の官能基等が結合する可能性は低く、この官能基同士を化学結合させた場合は、目的とした構造の架橋部位となり易く、架橋カーボンナノホーン構造体を均質なものとし易い。
【0039】
第2の構造は官能基同士の化学結合であることから、官能基間を架橋剤により架橋した場合に比べて、カーボンナノホーン間の架橋部位の長さを短くなり、架橋カーボンナノホーン構造体が密となり易い。
【0040】
第2の構造において、官能基同士の化学結合としては、縮合反応では、−COOCO−、−O−、−NHCO−、−COO−及びNCH−から選ばれる一つ、置換反応では−NH−、−S−及びO−から選ばれる少なくとも一つ、付加反応では−NHCOO−、酸化反応では、−S−S−であることがよい。
【0041】
また、反応前にカーボンナノホーンに修飾(結合)させる官能基としては、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換又は未置換の炭化水素基)、−X、−COX(Xはハロゲン原子)、−SH、−CHO、−OSO2CH3、−OSO2(C6H4)CH3−NH2及びNCOを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することがよい。
【0042】
これらの中でも、カーボンナノホーンに修飾(結合)させる官能基としては、−COOHが特によい。カーボンナノホーンにカルボキシル基を導入することは、比較的容易である。しかも得られる物質(カーボンナノホーンカルボン酸)は、反応性に富み、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等の脱水縮合剤を利用することで、容易に縮合反応を起し、層形成に適する。
【0043】
このように、第1の構造、及び第2の構造のいずれの架橋部位を有する架橋カーボンナノホーン構造体は、複数のカーボンナノホーンが複数の架橋部位を介して網目構造の状態となっているので、単なるカーボンナノホーン同士が偶発的に接触しているカーボンナノホーン構造体に比べ、カーボンナノホーン自体の電気伝導性や機械的強度、及び電極強度が向上する。
【0044】
ソース電極18・ドレイン電極20の厚みは、例えば、0.1μm以上1.0μm以下の範囲内であることがよい。
【0045】
−ゲート電極−
ゲート電極14は、例えば、導電層で構成されており、具体的には、例えば、導電材料を含んで構成される。
導電材料としては、例えば、金属、金属酸化物、導電性高分子等が挙げられる。
金属としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、タンタル、インジウム、パラジウム、リチウム、カルシウムおよびこれらの合金が挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛等が挙げられる。
導電性高分子としては、例えば、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノホーン、グラフェン、グラファイト等の炭素構造体の他、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール、ポリピリジン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等が挙げられる。
【0046】
ゲート電極14の層さは、例えば、0.1μm以上1.0μm以下の範囲内であることがよい。
【0047】
−チャネル層−
チャネル層22は、例えば、有機半導体を含んで構成される。
有機半導体としては、例えば低分子有機半導体材料(例えば、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、フタロシアニン、ペリレン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、ジフェニルメタン、スチルベン、アリールビニル、ピラゾリン、トリフェニルアミン、トリアリールアミン、オリゴチオフェン、フタロシアニン、又はこれらの誘導体等)、高分子有機半導体材料(例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ポリアリールアミン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂、フルオレン−ブチオフェン共重合体、フルオレン−アリールアミン共重合体、又はこれらの誘導体等)等が挙げられるが、これに限るものではない。
【0048】
チャネル層22の厚みは、例えば、50nm以上1μm以下の範囲内であることがよい。
【0049】
−ゲート絶縁層16−
ゲート絶縁層16は、例えば、絶縁層で構成されており、具体的には、例えば、絶縁性樹脂を含んで構成される。
絶縁性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート等の縮合樹脂や、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミドのようなビニル重合体等が挙げられる。また、それらの前駆体を用いてもよい。
これらの絶縁性樹脂の中でも、例えば、ポリイミド、ポリエステル、エポキシ樹脂がよく、望ましくはポリイミドである。
絶縁性樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0050】
ゲート絶縁層16の厚さは、例えば、0.1μm以上4μm以下の範囲内であることがよい。
【0051】
−基板−
基板12としては、絶縁性(体積抵抗で1012Ωcm以上、以下これに準ずる)を有し、その上に作製されるゲート電極14、ゲート絶縁層16、ソース電極18、ドレイン電極20、及び有機半導体を含んで構成されたチャネル層22等を支持可能な材料から構成されていればよい。
【0052】
基板12としては、具体的には、ガラス、シリコンウェハ、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリススチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレンブタジエン共重合体、塩化ビニルデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、又はシリコン樹脂等のプラスチック基板等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0053】
なお、本実施形態に係る有機トランジスタ素子10の構成の場合、導電性を持つ基板12をゲート電極14を兼ねて適用してもよい。
【0054】
−トランジスタ素子の製造方法−
以下、本実施形態に係るトランジスタ素子10の製造方法について説明する。
図2は、本実施形態に係るトランジスタ素子の製造方法を示す工程図である。
【0055】
まず、図2(A)に示すように、基板12を用意する。
【0056】
次に、図2(B)に示すように、この基板12上にゲート電極14を形成する。
ゲート電極14の形成方法としては、例えば、上記電極材料を蒸着法、スパッタ法によりパターニングして成膜する方法、上記電極材料を含む溶液を各種塗布法(インクジェット法、ディスペンサー法、スピンコート法、マイクロシリンジにより滴下する方法等)等を利用してパターニングして成膜する方法が挙げられるが、これらの方法に限られない。
【0057】
次に、図2(C)に示すように、ゲート電極14の形成された基板12上に、ゲート電極14及び基板12の表面を覆うように、ゲート絶縁層16を形成する。
ゲート絶縁層16を形成する方法としては。例えば、上記電極材料を蒸着法、スパッタ法によりパターニングして成膜する方法、上記電極材料を含む溶液を各種塗布法(インクジェット法、ディスペンサー法、スピンコート法、マイクロシリンジにより滴下する方法等)等を利用してパターニングして成膜する方法が挙げられるが、これらの方法に限られない。
【0058】
次に、図2(D)に示すように、ゲート絶縁層16上に、ソース電極18及びドレイン電極20が間隔を隔てて形成する。
ソース電極18及びドレイン電極20の形成方法としては、例えば、上記電極材料を含む溶液(カーボンナノホーン組成物)を各種塗布法(インクジェット法、ディスペンサー法、スピンコート法、マイクロシリンジにより滴下する方法等)等を利用してパターニングして成膜する方法が挙げられるが、これらの方法に限られない。
【0059】
ここで、ソース電極18及びドレイン電極20を形成するためのカーボンナノホーン組成物は、例えば、カーボンナノホーンとカーボンナノホーンを分散する分散媒を少なくとも含んで構成される。
分散媒としては、例えば、水、アルコール系溶媒、又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
但し、架橋剤が液状物(例えば、グリセリン、エチレングリコール等のポリオール)の場合、これを分散媒としてもよい。
【0060】
カーボンナノホーン組成物は、カーボンナノホーンと分散媒の他、架橋剤等その他の添加剤を含んでもよい。
架橋剤以外のその他の添加剤としては、例えば、溶剤、粘度調整剤、分散剤、架橋促進剤等が挙げられる。
【0061】
溶剤は、架橋剤のみでは塗布適性が十分で無い場合に添加する。
溶剤としては、特に制限は無く、架橋剤の種類に応じて選択すればよい。溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等の有機溶剤や水、酸水溶液、アルカリ水溶液等が挙げられる。
溶剤の添加量としては、塗布適性を考慮して設定すればよいが、特に制限は無い。
【0062】
粘度調整剤も、架橋剤のみでは塗布適性が十分で無い場合に添加する。
粘度調整剤としては、特に制限は無く、架橋剤の種類に応じて選択すればよい。粘度調整剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、THF等が挙げられる。
これら粘度調整剤の中には、その添加量によっては溶剤としての機能を有するものがあるが、両者を明確に区別することに意義は無い。
粘度調整剤の添加量としては、塗布適性を考慮して設定すればよいが、特に制限は無い。
【0063】
分散剤は、カーボンナノホーン組成物中でのカーボンナノホーンないし架橋剤の分散安定性を保持するために添加するものであり、従来公知の各種界面活性剤、水溶性有機溶剤、水、酸水溶液やアルカリ水溶液等が挙げられる。ただし、カーボンナノホーン組成物の成分は、それ自体分散安定性が高いため、分散剤は必ずしも必要ではない。また、カーボンナノホーンを含む電極を形成した後は、分散剤等の不純物が含まれないことが好まれる場合が多く、その場合には勿論、分散剤は、添加しないか、極力少ない量で添加する。
【0064】
カーボンナノホーン組成物における、カーボンナノホーン濃度は、例えば1質量%以上50質量%以下であることがよく、望ましくは5質量%以上20質量%以下である。
カーボンナノホーン濃度は、電極の抵抗を決める一要因となることから、低い電極抵抗を得るためには高めることがよい。
【0065】
カーボンナノホーン組成物の粘度は、成膜性、インクの吐出(滴下)特性の観点から、例えば、2cps以上30cps以下(望ましくは10cps以上12cps以下)であることがよく、表面張力は10dyn/cm以上60dyn/cm以下(望ましくは28dyn/cm以上33dyn/cm以下)であることがよい。
【0066】
カーボンナノホーン組成物は、例えば、分散媒(又は分散媒となる架橋剤)に、カーボンナノホーンと共に、必要に応じて、その他添加剤を添加した後、分散器(例えば超音波分散器)により分散させることで得られる。
【0067】
そして、カーボンナノホーン組成物を被塗布面(ゲート絶縁層16)に塗布(吐出や滴下)した後、加熱(例えば100℃程度)することで乾燥することで、カーボンナノホーンが含まれるソース電極18及びドレイン電極20が形成される。
なお、官能基修飾されたカーボンナノホーンを適用する場合(架橋カーボンナノホーン構造体を形成する場合)、例えば、100℃以上200℃以下に加熱して、架橋反応を進行させて、ソース電極18及びドレイン電極20を形成することがよい。
【0068】
次に、図2(E)に示すように、ソース電極18及びドレイン電極20の間のゲート絶縁層16上であって、ソース電極18及びドレイン電極20と接触するようにチャネル層22を形成する。
チャネル層22を形成する方法としては、例えば、上記半導体を蒸着法、スパッタ法によりパターニングして成膜する方法、上記半導体を含む溶液を各種塗布法(インクジェット法、ディスペンサー法、スピンコート法、マイクロシリンジにより滴下する方法等)等を利用してパターニングして成膜する方法が挙げられるが、これらの方法に限られない。
【0069】
これら工程を経て、本実施形態に係るトランジスタ素子10が製造される。
【0070】
以上説明した本実施形態に係る有機トランジスタ素子10では、カーボンナノホーンを含んで構成される有機ディバイス用電極をソース電極18及びドレイン電極20として適用している。
本有機電子素子用電極は、カーボンナノホーンを含んで構成されていることから、その表面の表面積が大きくなる。これは、複数のカーボンナノホーンが例えば100nm規模の二次粒子(凝集体)の状態で存在し、さらに当該二次粒子(凝集体)が集合して電極を構成すると考えられるからである。
このため、本有機電子素子用電極は、接触抵抗が低減される。
【0071】
そして、本本有機電子素子用電極をソース電極18及びドレイン電極20として適用すると、有機半導体を含んで構成されたチャネル層22との接触抵抗が低減される、つまりソース電極18及びドレイン電極20とチャネル層22とのオーミック接合が図れるため、キャリアの注入効率が向上する。
その結果、本実施形態に係る有機トランジスタ素子10では、駆動電圧が低減される。
また、有機トランジスタの場合、通常、チャネル層22を構成する有機半導体の極性(n型、p型)の種類に応じて、ソース電極18及びドレイン電極20の材料を変更しなければならないが、n型及びp型のいずれ極性の有機半導体を含んで構成されたチャネル層22であっても、カーボンナノホーンを含んで構成される有機ディバイス用電極はソース電極18及びドレイン電極20として適用し得る。
【0072】
また、本実施形態に係る有機トランジスタ素子10では、ソース電極18及びドレイン電極20(有機ディバイス用電極)を形成するためのカーボンナノホーン組成物として、カーボンナノホーンと分散媒とを含むものと適用している。
本カーボンナノホーン組成物は、複数のカーボンナノホーンがカーボンナノチューブの長さよりも小さい例えば100nm規模の二次粒子(凝集体)の状態で分散されることから、ノズルの目詰まりが抑制され、インクジェット法に適用、つまりインクジェットインクとして適している。
【0073】
なお、本実施形態に係るトランジスタ素子10の構成は、上記に限られず、他の構成のトランジスタ素子であってもよい。
他の一例である本実施形態に係るトランジスタ素子101としては、例えば、図3に示すように、例えば、基板12上にゲート電極14、ゲート絶縁層16、チャネル層22がこの順に設けられ、このチャネル層22上にソース電極18及びドレイン電極20が離間して設けられた形態が挙げられる。
【0074】
また、他の一例である本実施形態に係るトランジスタ素子102としては、例えば、図4に示すように、基板12上にゲート電極14、ゲート絶縁層16がこの順に設けられ、このゲート絶縁層16上にソース電極18が設けられ、そして、ソース電極18のゲート絶縁層16と接する側と反対側の面をチャネル層22の一端が覆うように、チャネル層22が設けられ、さらに、チャネル層22のソース電極18を覆う一端と反対側の端において、チャネル層22の上にドレイン電極20が設けられた形態が挙げられる。
【0075】
また、他の一例である本実施形態に係るトランジスタ素子103としては、例えば、図5に示すように、基板12上にソース電極18及びドレイン電極20が離間した位置に設けられると共に、ソース電極18及びドレイン電極20を被覆するようにチャネル層22が設けられ、そして、このチャネル層22上に、ゲート絶縁層16、ゲート電極14がこの順に設けられた形態が挙げられる。
【0076】
また、本実施形態に係るトランジスタ素子10において、ソース電極18及びドレイン電極20として適用した、カーボンナノホーンを含んで構成される有機電子素子用電極は、例えば、有機EL素子、複数の有機トランジスタからなるドライバー、IC、不揮発性メモリ等の有機電子素子(有機電子デバイス)の電極として適用し得る。
これらの有機電子素子においても、電極の接触抵抗が低減され、素子機能が向上されると考えられる。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0078】
[実施例1]
(有機トランジスタ素子の作製)
カーボンナノホーンインクを、以下の方法で調製した。
まず、グリセリン(関東化学製)と1−ブタノール(アルドリッチ社製)を、質量比で1:4で混合、攪拌した。その後、この溶液にカーボンナノホーン(戸田工業株式会社製)を10mg/mlの割合で混合した。
次に、その混合溶液を超音波ホモジナイザー(VibraCell、Sonics&Materials Inc製)で5分間、攪拌して、カーボンナノホーンインク(粘度:6cps 、表面張力30dyn/cm)を調製した。
なお、この超音波分散工程の目的は、カーボンナノホーンを100nm程度の二次凝集体にすることと、それらを均一に分散させることである。
【0079】
次に、3インチn型Si基板(シリコン基板の表層に厚み100nmの熱酸化膜を形成した基板)をゲート電極(基板を兼ねるシリコン部分)及びゲート絶縁膜(熱酸化膜部分)として利用し、その基板に、得られたカーボンナノホーンインクをインクジェット法(装置:Dimatix社:マテリアルプリンター)によりパターニングして吐出した後、ホットプレート(100℃、10分)で乾燥させ、ソース電極及びドレイン電極を作製した。ソース電極及びドレイン電極は、有機トランジスタ素子のチャネル長L200μm、チャネル幅W2000μmになるようにパターニングした。
【0080】
次に、p型の有機半導体としてTIPS−ペンタセン(6,13−bis(triisopropyl−silylethynyl) pentacene)をトルエンに3質量%溶解させた溶液を、ソース電極・ドレイン電極間に0.1μl滴下し、その後、60℃で30分間、真空乾燥して、チャネル層を形成した。
【0081】
以上の工程を経て、実施例1の有機トランジスタ素子を作製した。
【0082】
(評価)
−有機トランジスタ素子のFET特性−
実施例1の有機トランジスタ素子のFET特性(Field Effect Transistor特性)を、半導体パラメータアナライザ(アジレントテクノロジー製4156B)を用いて、大気中で測定した。本測定により、出力特性、及び伝達特性(Vds=−20V)を調べた。
図6に、実施例1の有機トランジスタ素子の出力特性を示し、図7に、実施例1の有機トランジスタ素子の伝達特性(Vds=−20V)を示す。
図6及び図7の結果から、実施例1の有機トランジスタ素子は、良好な動作していることがわかる。さらに、実施例1の有機トランジスタ素子は、出力特性でVgsが−10VのときVdsが−5V程度で飽和領域に達しており、電荷注入性も向上していることがわかる。
【0083】
なお、図6に示す出力特性において、縦軸は、ドレイン−ソース間の電流(Ids)〔A〕を表し、横軸はドレイン−ソース間の電圧(Vds)〔V〕を表す。また、図6に示す出力特性では、目的とするドレイン電圧VgsでのIds−Vds曲線を示している。
また、図7に示す伝達特性において、黒丸(●)で示されるプロット及び黒四角(■)で示されるプロットの横軸は、共に、)〔V〕であるが、黒丸(●)で示されるプロットの縦軸はドレイン−ソース間の電流の絶対値((abs(Ids))〔A〕であり、黒四角(■)で示されるプロットの縦軸は、その絶対値の平方根の値(sqrt(abs(Ids)))である。
【0084】
−有機トランジスタ素子のソース電極及びドレイン電極の表面観察−
得られた有機トランジスタ素子のソース電極及びドレイン電極を実体顕微鏡により観察した。その写真を図8に示す。
また、得られた有機トランジスタ素子のソース電極及びドレイン電極を切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。その写真を図9及び図10に示す。
図8〜図10から、カーボンナノホーンの100nm程度(以下)に凝集した二次粒子(凝集体)が集合して、ソース電極及びドレイン電極を構成していることがわかる。
【0085】
[比較例1]
(有機トランジスタ素子の作製)
3インチn型Si基板(シリコン基板の表層に厚み100nmの熱酸化膜を形成した基板)をゲート電極(基板を兼ねるシリコン部分)及びゲート絶縁膜(熱酸化膜部分)として利用し、その基板に、その基板に.Ti及びAuをEB蒸着装置(昭和真空製)により、それぞれ、厚さ10nm、厚さ100nmで、メタルマスクでパターニングして蒸着し、ソース電極及びドレイン電極を形成した。その際、ソース電極及びドレイン電極は、有機トランジスタ素子のゲート長L200μm、ゲート幅W2000μmになるようにパターニングした。
【0086】
次に、p型の有機半導体としてTIPS−ペンタセン(6,13−bis(triisopropyl−silylethynyl) pentacene)をトルエンに3質量%溶解させた溶液を、ソース・ドレイン電極間に0.1μl滴下し、その後、60℃で30分間、真空乾燥して、チャネル層を形成した。
【0087】
以上の工程を経て、比較例1の有機トランジスタ素子を作製した。
【0088】
(評価)
実施例1と同様にして、比較例1の有機トランジスタ素子のFET特性を測定した。
本測定により、出力特性を調べた。
図11に、比較例1の有機トランジスタ素子の出力特性を示す。
図11の結果から、比較例1の有機トランジスタ素子は、実施例1の有機トランジスタ素子のように、明確な飽和領域が現れていないことがわかる。すなわち、比較例1の有機トランジスタ素子は、飽和領域が−40Vまでに観測されなかったことがわかる。
つまり、このことから、実施例1の有機トランジスタ素子においてソース電極及びドレイン電極に適用したカーボンナノホーンで構成される電極は、電荷注入性に優れていることがわかる。
【0089】
[実施例2]
(有機トランジスタ素子の作製)
3インチn型Si基板(シリコン基板の表層に厚み100nmの熱酸化膜を形成した基板)をゲート電極(基板を兼ねるシリコン部分)及びゲート絶縁膜(熱酸化膜部分)として利用し、その基板に、得られたカーボンナノホーンインクをインクジェット法(装置:Dimatix社:マテリアルプリンター)によりパターニングして吐出した後、ホットプレート(100℃、10分)で乾燥させ、ソース電極及びドレイン電極を作製した。ソース電極及びドレイン電極は、有機トランジスタ素子のゲート長L200μm、ゲート幅W2000μmになるようにパターニングした。
【0090】
n型の有機半導体として[6,6]−Phenyl−C61 butyric acid (3−ethylthiophene) ester(PCBM誘導体)をトルエンに3wt%溶解した溶液をソース電極・ドレイン電極間に0.1μl滴下し、その後、130℃で4時間、真空乾燥して、チャネル層を形成した。
【0091】
以上の工程を経て、実施例2の有機トランジスタ素子を作製した。
【0092】
(評価)
実施例1と同様にして、実施例2の有機トランジスタ素子のFET特性を測定した。
本測定により、出力特性、及び伝達特性(Vds=−20V)を調べた。ただし、測定雰囲気は真空中である。
図12に、実施例2の有機トランジスタ素子の出力特性を示し、図13に、実施例2の有機トランジスタ素子の伝達特性(Vds=−20V)を示す。
図12及び図13の結果から、実施例2の有機トランジスタ素子は、良好な動作していることがわかる。さらに、実施例2の有機トランジスタ素子は、出力特性でVgsが30VのときVdsが7V程度で飽和領域に達しており、電荷注入性も向上していることがわかる。
そして、実施例1及び実施例2での結果から、実施例1及び実施例2の有機トランジスタ素子においてソース電極及びドレイン電極に適用したカーボンナノホーンで構成される電極は、チャネル層を構成する有機半導体の極性によらず、良好な動作が実現されることもわかる。
【0093】
[比較例2]
(有機トランジスタ素子の作製)
3インチn型Si基板(シリコン基板の表層に厚み100nmの熱酸化膜を形成した基板)をゲート電極(基板を兼ねるシリコン部分)及びゲート絶縁膜(熱酸化膜部分)として利用し、その基板に、その基板に.Ti及びAuをEB蒸着装置(昭和真空製)により、それぞれ、厚さ10nm、厚さ100nmで、メタルマスクでパターニングして蒸着し、ソース電極及びドレイン電極を形成した。その際、ソース電極及びドレイン電極は、有機トランジスタ素子のゲート長L200μm、ゲート幅W2000μmになるようにパターニングした。
【0094】
n型の有機半導体として[6,6]−Phenyl−C61 butyric acid (3−ethylthiophene) ester(PCBM誘導体)をトルエンに3wt%溶解した溶液をソース電極・ドレイン電極間に0.1μl滴下し、その後、130℃で4時間、真空乾燥して、チャネル層を形成した。
【0095】
以上の工程を経て、比較例2の有機トランジスタ素子を作製した。
【0096】
(評価)
実施例2と同様にして、比較例2の有機トランジスタ素子のFET特性を測定した。
本測定により、出力特性を調べた。
図14に、比較例2の有機トランジスタ素子の出力特性を示す。
図14の結果から、比較例2の有機トランジスタ素子は、実施例2の有機トランジスタ素子のように、明確な飽和領域が現れていないことがわかる。
また、比較例2の有機トランジスタ素子は、立ち上がりのVdsが20V程度で、実施例2の有機トランジスタ素子よりも明らかに悪くなっていることがわかる。
つまり、このことから、実施例2の有機トランジスタ素子においてソース電極及びドレイン電極に適用したカーボンナノホーンで構成される電極は、電荷注入性に優れていることがわかる。
【0097】
[比較例3]
(有機トランジスタ素子の作製)
カーボンナノチューブインクを、以下の方法で調製した。
まず、グリセリン(関東化学製)と1−ブタノール(アルドリッチ社製)を、質量比で1:4で混合、攪拌した。その後、この溶液に多層カーボンナノチューブ(アルドリッチ製)を10mg/mlの割合で混合した。
次に、その混合溶液を超音波ホモジナイザー(VibraCell、Sonics&Materials Inc製)で5分間、攪拌して、カーボンナノチューブインク(粘度:6.5cps、表面張力32dyn/cm)を調製した。
【0098】
次に、3インチn型Si基板(シリコン基板の表層に厚み100nmの熱酸化膜を形成した基板)をゲート電極(基板を兼ねるシリコン部分)及びゲート絶縁膜(熱酸化膜部分)として利用し、その基板に、得られたカーボンナノホーンインクをインクジェット法(装置:Dimatix社:マテリアルプリンター)によりパターニングして吐出して、ソース電極及びドレイン電極を形成しようとしたところ、途中でノゾルの目詰まりを起こし、ソース電極及びドレイン電極を形成することができなかった。
この結果から、実施例1及び2で使用したカーボンナノホーンインク(カーボンナノホーン組成物)は、ノゾルの目詰まりを生じさせず、インクジェットインクに適していることがわかる。
【0099】
[比較例4]
(有機トランジスタ素子の作製)
比較例3で作製したカーボンナノチューブインクを、以下の方法で有機トランジスタを作製した。
まず、3インチn型Si基板(シリコン基板の表層に厚み100nmの熱酸化膜を形成した基板)をゲート電極(基板を兼ねるシリコン部分)及びゲート絶縁膜(熱酸化膜部分)として利用し、その基板に、得られたカーボンナノチューブインクをマイクロピペッターにより滴下して、ソース電極及びドレイン電極を形成した。本比較例では、実施例1にあるような精密なパターニングはできなかったが、形成した有機トランジスタ素子のチャネル長Lは場所によって150〜400μm、チャネル幅Wは2300μmであった。
【0100】
次に、p型の有機半導体としてTIPS−ペンタセン(6,13−bis(triisopropyl−silylethynyl) pentacene)をトルエンに3質量%溶解させた溶液を、ソース・ドレイン電極間に0.1μl滴下し、その後、60℃で30分間、真空乾燥して、チャネル層を形成した。
以上の工程を経て、比較例4の有機トランジスタ素子を作製した。
【0101】
(評価)
実施例1と同様にして、比較例1の有機トランジスタ素子のFET特性を測定した。
本測定により、出力特性を調べた。
図15に、比較例4の有機トランジスタ素子の出力特性を示す。
図15の結果から、比較例4の有機トランジスタ素子は、実施例1の有機トランジスタ素子同様の良好な特性を示している。
つまり、このことから、比較例4の有機トランジスタ素子においてソース電極及びドレイン電極に適用したカーボンナノチューブで構成される電極は、カーボンナノホーン同様、金属電極より電荷注入性に優れていることがわかる。しかし、比較例3にあるようにインクとしてはインクジェットには不適で、かつ精度よくパターニングもできないので、有機半導体素子の電極としてはカーボンナノホーンの方が適している。
【0102】
[実施例3]
(有機EL素子の作製)
実施例1同様に、カーボンナノホーンインクを作製した。
次に、洗浄済みのITO付きガラス基板をUV/O3処理を5分行った後、正孔注入層としてPEDOT/PSS(アルドリッチ製、Poly(3,4−ethylenedioxythiophene) poly(styrenesulfonate))をスピンコートで10nmの膜厚になるように成膜し、乾燥させた。続いて発光層として、NPB(N,N−di(naphthalene−1−yl)−N,N−diphenyl−benzidene)、正孔素子層としてTAZ(アルドリッチ製、3−[biphenyl−4−yl]−4−phenyl−5−[4−tert−butyl] phenyl−1,2,4−triazole)、電子注入層としてBCP(アルドリッチ製、2,9−dimethyl−4,7−diphenyl−1, 10−phenanthroline)をそれぞれ、60、30、30nmの厚みで真空蒸着した。
最後に、カーボンナノインクを、インクジェット法で1mm角になるよう電子注入層の上にパターニングし、100℃で大気中で10分乾燥させた。カーボンナノホーン層を有機EL素子の陰極とする。今回は保護層は成膜せず、素子が発光するかどうかを確認した。
以上の工程を経て、実施例3の有機EL素子を作製した。
【0103】
(評価)
この有機EL素子に直流電源(ケースレー製、デジタルソースメータ2400)を接続し、電圧を徐々に印加していった。電圧が3.1Vから発光が始まり、青色の光を出した。そのときの最高発光輝度は約240cd/m2(6V)であった。
この結果は、有機トランジスタ用のソース・ドレイン電極以外にも、有機EL素子の陰極としても、カーボンナノホーンを含む電極が利用できることを示している。
【符号の説明】
【0104】
10 トランジスタ素子
12 基板
14 ゲート電極
16 ゲート絶縁層
18 ソース電極
20 ドレイン電極
101 トランジスタ素子
102 トランジスタ素子
103 トランジスタ素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノホーンを含んで構成された有機電子素子用電極。
【請求項2】
カーボンナノホーンを含んで構成されたソース電極と、
前記ソース電極と間隔を持って配置されるドレイン電極であって、カーボンナノホーンを含んで構成されたドレイン電極と、
前記ソース電極及びドレイン電極に接続して配置されるチャネル層であって、有機半導体を含んで構成されたチャネル層と、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極間に流れる電流を制御するためのゲート電極と、
前記チャネル層と前記ゲート電極とを絶縁するためのゲート絶縁層と、
を備える有機トランジスタ素子。
【請求項3】
カーボンナノホーンと、前記カーボンナノホーンを分散させる分散媒と、を含むインクジェットインク。
【請求項1】
カーボンナノホーンを含んで構成された有機電子素子用電極。
【請求項2】
カーボンナノホーンを含んで構成されたソース電極と、
前記ソース電極と間隔を持って配置されるドレイン電極であって、カーボンナノホーンを含んで構成されたドレイン電極と、
前記ソース電極及びドレイン電極に接続して配置されるチャネル層であって、有機半導体を含んで構成されたチャネル層と、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極間に流れる電流を制御するためのゲート電極と、
前記チャネル層と前記ゲート電極とを絶縁するためのゲート絶縁層と、
を備える有機トランジスタ素子。
【請求項3】
カーボンナノホーンと、前記カーボンナノホーンを分散させる分散媒と、を含むインクジェットインク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−186381(P2012−186381A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49475(P2011−49475)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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