材料層の分離方法
リフトオフ工程を用いて、材料層と基板との間の界面を照射することによって基板から材料層を分離する。一実施例では、層を、基板上のダイに対応する複数のセクションに分離し、均一なビームスポットを整数の数のセクションをカバーするような形状にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料層を分離する方法に関し、特に層間の界面を照射することによって、基板及び基板上に成長した膜等の材料層を分離する方法に関するものである。
本願は、2004年3月29日に出願された、同時係属中の米国仮出願シリアル番号60/557,450であって、その内容が全てここに組み込まれたものの優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
“青色LED”として知られているGaN/InGaNベース発光ダイオード(LED)は高い将来性を有する。これらGaN/InGaNベースLEDについての応用は拡大し、携帯電話キーパッド、LCDバックライト、信号、業務用サイン、自動車用ライト、アウトドア用フルカラーディスプレイパネル、家庭用照明装置等の製品を含むようになっている。これらやその他の用途では、これらの高輝度LEDは、白熱光や蛍光のような従来の光源に置き換わるだろう。青色LEDは、従来の光源より低エネルギー入力で高い光出力を出すこと(エネルギー節約、高効率)とより長い作動寿命とによって特徴づけられる。このような高パフォーマンス及び高信頼性は従来の光源にうまく置き換わるという裏付けを与えている;しかしながら、現在の公知の限界及び固有の欠点を克服するために現在のLEDの構成を改良する必要がある。より良好でかつより精密な製造技術は、無駄をカットし、歩留まりを上げ、より高度化し、複雑若しくは改良型構造を可能にし、デザイン・フォー・マニュファクチャビリティ(DFM)におけるより高いフレキシビリティを介して技術を進めることで青色LEDの構成を高度化している。このような改良された製造技術によって製造を単純化し、製造コストを低減している。
【0003】
青色LEDは、サファイア基板上にGaN/InGaN層を堆積することによって作成されてもよい。一度LED装置が製造されると、ウェハーは個々のダイに分離される。現在の一ダイ分離工程は以下の段階を含む。まず、サファイアウェハーを研削及びウェハーの裏側のラッピングによって厚さを100μm以下にまで薄くする。次に、ウェハーをダイシングテープに載せ(マウントし)、次いで、ダイヤモンドけがき探針若しくはUVレーザービームによってダイ間のストリート(路)に沿って罫書く。最後に、ウェハーを破砕ツールによって罫書き線に沿って割る。割った後、次の自動ピックアップ及び配置操作を実施できるように、ダイシングテープを、一のダイから他のダイを物理的に分離するために伸ばす。この工程は“スクライブ・アンド・ブレイク”ダイ分離と称される。
【0004】
LEDの主要コストはサファイア薄化とスクライブ・アンド・ブレイク作業である。LDFリフトオフとして知られる工程はLED作製工程の時間とコストを劇的に低減できる。LEDリフトオフはメーカーが例えば、サファイアウェハー上にGaNLED膜装置を成長させられることによってウェハーけがき(スクライビング)を排除して、次いで、薄膜装置を熱浴電気的相互接続に移動してもよい。この工程では、レーザービームプロファイルはサファイアウェハーの背面を介して照射して、GaNLED装置をはずして、熱浴及び/又は光反射器上にパッキングし得る基板に移動する。特別なウェハーを用いて、サファイア成長基板を再使用してもよく、LED製造のコストを低減し得る。さらに、この方法は高速であり、向上するLED光出力を実現し、UVレーザー上の低ストレスのため作動コストが低い。
【0005】
GaNLEDの現在の構成はファフォーマンス及び信頼性を改善する努力を妨げる固有の限界を有する。構成は静電気放電問題に関わってもきた。図1A及び図1Bに示したように、青色LEDは、シリコンカーバイド若しくはサファイアウェハー基板14上にヘテロエピタキシャル成長した多重のInGaN及びGaNベースの層12a、12b、12cを含んでもよい。サファイアウェハーは天然の絶縁体なので、電流は水平な電極構成によって供給される。p型GaN層12aの高抵抗のために、Ni/Au薄膜16をp型GaN前面に堆積して、電流分散拡がりを促進する。しかしながら、水平構成に関連した欠点がある。
【0006】
まず第1に、Ni/Au膜16はLED光出力のかなりの部分を吸収する。Ni/Au膜16は放出光に対して透過性が制限されているので、LED光に対して透明にさせるために非常に薄い(通常、100Å以下)。LED自体から発光される光の約25%はNi/Au膜16に吸収される。さらに、かなりの割合の放出光はサファイアの透過の際に失われる。サファイア基板14は向かう光のいくらかは、サファイアウェハーとその周囲との間の屈折率の差に起因して、正面へ反射される。Ni/Au薄膜16は同様に、この反射された出力光の大部分を吸収する。
【0007】
第2に、Ni/Au膜16は湿気に対して敏感で、経時的にパフォーマンスが低下する。膜の透明性を維持するために、薄いNi/Auを金属蒸着によって堆積し、次いで、大気中で又は酸素雰囲気で熱処理する。Ni/Au膜16はAuリッチ構造と共に酸化化合物NiOxを形成する。湿気は長期間の作動で酸化物膜に貫通すると、LED装置10はダメージを受ける。
【0008】
第3に、Ni/Au膜16は、電流集中効果に起因してInGaNMQW発光層12bのパフォーマンス効率が低下する。電流拡がりNi/Au膜16はn型(−)GaN層12cより低抵抗を有するので、電流はn型電極20近傍の領域18に集中する(図1A参照)。電流集中減少は、活性InGaN領域の均一な使用を妨害して、活性領域の不均一な使用のために光出力の効率を低下させ、信頼性を下げる。
【0009】
第4に、水平型電極構成は電流のボトルネック効果を形成して信頼性を下げる。p型(+)電極22を介して供給された電流はNi/Au膜16を横切って拡がり、p型GaN12aからInGaN12bを介してn型GaN層12cへ流れる。n型(−)電極20はn型GaN層12cに水平方向に配置するので、電流は電極20の領域24にボトルネックを生ずる(図1A及び図1B)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
垂直型電極構成を有するLED構造は水平型電極構成の欠点の多くを克服する。図2に示したように、垂直構造を有するLED30は、サファイア基板からシリコンウェハーのような導電性基板34へGaN層32a,32b,32cの移動を含む。垂直型電極構成は、光出力を実質的に増大するNi/Au膜を用いなくてもよい。垂直型電極構成は、水平構造のサファイアを介した光の損失を最小にする金属反射層36の堆積を可能にする。垂直型電極構成はさらに、電流集中及びボトルネックを低減若しくは排除することによって信頼性及びパフォーマンスを改善する。垂直型LED構造を構築する要因としてエピタキシャルサファイアウェハーから導電性シリコンウェハーへのGaN層のリフトオフ工程の成功がある。
【0011】
高輝度垂直型LEDの構成の一例を図3に示す。まず、GaN層32a,32cはサファイアウェハー38上に堆積する。金属薄膜反射部36をp型GaN上に堆積し、次いでSi基板等の導電性基板34(GaAs基板及び金属厚膜を含む)は金属薄膜反射部是面に結合される。サファイアウェハーは後述するようにUVレーザーリフトオフによって除去される。n型(−)電極をn型GaN層上に堆積し、p型(+)電極をSiウェハー上に堆積する。n型GaN層はp型GaN層より低い抵抗を有し、Ni/Au薄膜はもはや必要はない。従って、電流は集中あるいはボトルネック効果なしにより均一に拡がる。問題のNi/Au薄膜の除去によって、垂直型構造を有するLEDのパフォーマンス及び信頼性が向上する。
【0012】
垂直型構造はUVレーザーリフトオフ工程を用いて形成してもよい。UVレーザーリフトオフへの一アプローチは、GaN(高吸収)薄膜層とサファイア基板との間のUV光の吸収の差を利用して、UVレーザーパルスを用いてGaN/サファイア界面の選択的な照射を含む。一般に、GaN層はサファイア基板上にヘテロエピタキシャル成長する。GaN結晶成長を容易にするために、バッファ層は比較的低温、300℃近傍で堆積されてもよい。バッファ層は高温でGaN層が成長するのを助けるが、バッファ層は大きな格子ミスマッチのために非常に高密度の種々の欠陥を含む。転位、ナノパイプ、反転領域等の結晶欠陥は表面エネルギーを高め、結果として入射UV光の吸収が増大する。リフトオフ工程についての入射レーザービームは、サファイアウェハーの吸収しきい値より十分下のエネルギーみつ度を有し、それがダメージを生ずることなく透過可能とする。これに対して、レーザーエネルギー密度は十分高いので、界面での光誘起分解を引く起こし、界面の分離を生じさせることもある。
【0013】
UVレーザーリフトオフプロセスについて研究されてきた。ケリー(Kelly)らは、355nmのQスイッチNd:YAGレーザーを用いて透明サファイアを介したレーザー照射によるGaNの分解を立証した(ケリー(Kelly)、アンバチャー(Ambacher)、ダルハイマー(Dalheimer)、グロース(Groos)、ディミトロフ(Dimitrov)、アンガラー(Angerer)、スタッツマン(Stutzmann)によるApplied Physics Lettersの論文(第69巻、第1749頁、1996年)参照)。また、ワン(Wong)らは、248nmのエキシマレーザーを用いてサファイアウェハーから〜5μm厚のGaN薄膜を成長させた(ワン(Wong)、サンズ(Sands)、チュン(Cheung)によるApplied Physics Lettersの論文(第72巻、第599頁、1997年)参照)。ワン(Wong)らはさらに、248nmのエキシマレーザーを用いてGaNLED上にリフトオフプロセスを開発した(ワン(Wong)、サンズ(Sands)、チュン(Cheung)、クライスル(Kneissl)、ボウアー(Bour)、メイ(Mei)、ロマノ(Romano)、ジョンソン(Johnson)によるApplied Physics Lettersの論文(第75巻、第1360頁、1999年)参照)。ケリー(Kelly)らは、Qスイッチ355nmNd:YAGレーザーのラスタースキャンを用いて275μm厚の自由定在GaN膜のリフトオフも立証した(ケリー(Kelly)、バウド(Vaudo)、ファンセ(Phanse)、ゴルゲン(Gorgens)、アンバチャー(Ambacher)、スタッツマン(Stutzmann)によるJapanese Journal of Applied Physicsの論文(第38巻、第L217頁、1999年)参照)。ケリー(Kelly)らはまた、GaN−サファイアウェハーからの高残留応力のために、レーザーリフトオフプロセスの際のGaN厚膜の広範囲の割れ(裂け)を克服することの困難性を報告した。この研究では、著書らはGaN/サファイアウェハーを600℃まで加熱しなければならなかったが、著者らは残留応力に起因した割れ問題を完全に排除できなかった。
【0014】
UVレーザーリフトオフによる利点にかかわらず、GaNLED製造は低工程歩留まりによる低生産性のために制限されてきた。低歩留まりは部分的には、金属−有機化学気相堆積(MOCVD)工程による、GaNサファイアウェハー内の高残留応力に起因する。MOCVD工程は600℃を越える活性温度を要する。図4Aに示したように、MOCVD工程によって、サファイアウェハー38上にGaN及びInGaN層32を堆積する。GaN(5.59×10−6/K)とサファイア(7.50×10−6/K)との間で熱膨張係数(CTE)に実質的な差はあるが(表1参照)、図4Bに示したように、GaN/サファイアウェハーのMOCVD工程の高温から常温まで冷却の時に高レベルの残留応力が存在する。残留応力はGaN上の圧縮残留応力40とサファイア上の引張残留応力42とを含む。
【表1】
【0015】
十分なエネルギーを有する入射レーザーパルスがGaN/サファイア界面に当たると、照射は界面の瞬時の分離を引き起こす。入射レーザーパルスはサイズを制限するので(通常1cm2よりはるかに小さい)、結合/分離の境界での応力集中を形成し、その結果、境界が割れる。この残留応力に関連した割れはUVリフトオフ工程の障害の一つである。
【0016】
現在、GaN/サファイアウェハー上でレーザーリフトオフ工程を実施する異なる方法がある。一方法はQスイッチ355nmNd:YAGレーザーのラスタースキャン(ケリー(Kelly)、バウド(Vaudo)、ファンセ(Phanse)、ゴルゲン(Gorgens)、アンバチャー(Ambacher)、スタッツマン(Stutzmann)によるJapanese Journal of Applied Physicsの論文(第38巻、第L217頁、1999年)参照)を含む。固体レーザーを用いたこのレーザーリフトオフ工程を図5Aに示す。他の方法は248nmエキシマレーザーを用いる(ワン(Wong)、サンズ(Sands)、チュン(Cheung)、クライスル(Kneissl)、ボウアー(Bour)、メイ(Mei)、ロマノ(Romano)、ジョンソン(Johnson)によるApplied Physics Lettersの論文(第75巻、第1360頁、1999年)参照)。このエキシマレーザーを用いたリフトオフ工程を図5Bに示す。
【0017】
両工程はレーザービーム44の転換、GaN/サファイアウェハー46のターゲットのいずれかを含む図6に示すようなラスタースキャンを用いる。ラスタースキャン法に関連する問題は、所望の領域をカバーするような重なり照射を要し、これによって、位置によっては多重的な照射48となる。上述のいずれの方法でも、GaN/サファイアのレーザーリフトオフは単一パルス工程である。局所領域における不要な多重照射は、膜上に過剰な応力を含むことによって割れの可能性を増大する。
【0018】
図7に示すように、ラスタースキャンは、一端から他端へのレーザービーム44のスキャンを含み、一側面から他側面へのGaN/サファイア界面を漸進的に分離する。この材料応力の側部から側部への緩和は、分離した領域と分離していない領域との間の界面50すなわち、スキャンされた領域とスキャンしていない領域との間の界面での応力レベルの大きな差を生ずる。界面50での残留応力レベルの不均衡は、モードI及びモードIIクラックの進行の可能性を増大する。図6及び図7に示した図は固体レーザーを用いた工程に基づいているが、エキシマレーザーのラスタースキャンは同様の結果を生ずる。
【0019】
現在、サファイアウェハーの通常のサイズは直径2インチであるが、他のサイズ(例えば、3インチ、4インチウェハー)もGaNのヘテロエピタキシャル成長に用いられる。GaN/サファイアウェハー用としては、残留応力レベルはウェハー内で変化しており、全残留応力及び引っ張り残留応力は共に存在する。残留応力の存在はウェハーゆがみ又は曲がりによって観察され得る。レーザーリフトオフプロセスは広範囲の連続するGaN/サファイア界面を緩和するとき、結合していない界面と結合している界面との間の境界に大きな応力勾配が成長する。この応力勾配はGaN層の広範囲の割れを引き起こす。
【0020】
ターゲット材料を強いレーザーパルスで照射すると、ターゲット材料は瞬間的に蒸発して高温高圧の表面プラズマになる。この現象をアブレーションという。アブレーションにより生じたプラズマは次いで周囲に拡がっていく。表面プラズマの拡がりは衝撃波(ショックウェイブ)を誘起し、衝撃(インパルス)をターゲット材料に移動する。アブレーションは、レーザーがターゲット上方に配置した透明材料を介して方向付けられると、2つの材料間に閉じ込められる。アブレーションが閉じ込められている間、界面に捕捉されたプラズマは大きな衝撃波を形成し、インパルス圧力をエンハンスする。GaN/サファイア界面に閉じ込められたアブレーションからの爆発衝撃波は、サファイア基板からGaN層を分離させるだけでなく、レーザービームスポット近傍のGaN層を割り得る(例えば、Journal of Laser Applicationsの1996年第8巻第135-141頁のパイレ(Peyre)らの論文を参照)。
【課題を解決するための手段】
【0021】
従って、剥離した薄膜の割れに起因した低歩留まりにつながる、残留応力に関連した問題を克服することによってサファイアウェハーからGaN薄膜の剥離の方法を改善する必要性が存在する。また、上述した1又は2以上の問題を克服するためにリフトオフ用途へ拡張し得る工程が必要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
これら及び他の特徴・利点は以下の詳細な説明を図面を合わせて読むことにより、さらによく理解されるだろう。
【0023】
この詳細な説明は、現存のリフトオフ工程に関連する問題を克服し、生産性を向上する本発明の工程の実施形態を示すものである。本発明の用途は以下の実施形態に限定されない。実施形態はGaN、サファイア及びGaN/サファイア界面について記載するが、当業者に公知の他の種類の基板及び他の材料層を用いてもよい。また、GaN(又は他の層若しくは材料)とサファイア(又は他の種類の基板)との間に犠牲層を備えてもよい。
【0024】
図8を参照すると、レーザーは、材料102と104を分離するために、少なくとも1つの基板材料102を介して少なくとも1つのターゲット材料104に向けられる。この実施形態では、基板材料102、104の分離は、ターゲット材料104と基板材料102との間の界面106での衝撃波を誘起するのに十分なレーザーエネルギー密度を用いて達成してもよく、これによって、基板材料102からターゲット材料104を瞬時に切り離される。衝撃波は、プラズマ温度を急峻に上昇させるイオン化蒸気の増大した密度の結果として界面でのプラズマ108の爆発的な膨張によって形成されてもよい。レーザーエネルギー密度は、ターゲット材料104上で割れなしで分離を生じさせる力Faを誘起するのに十分な範囲であってもよい。印加される力Faは以下のように表される:
【数1】
【数2】
ここで、Ppは爆発衝撃波によって誘起されるピーク圧力、Cは効率幾何学(ジオメトリ)因子、Irは入射レーザービームの放射照度、Faは印加した力、Arは放射面積である。
【0025】
図9に示したようにプラズマ108が膨張すると、レーザーが露光された領域はレーザーが露光された領域の端部でピボットとして曲がりアームとして作用する。例えば、破裂又は割れに要する力(Fr)は2点曲がりテストで可視化され、以下のように表されてもよい:
【数3】
ここで、dはターゲット材料104の厚さ、wは印加する力の幅若しくはレーザーパルスの幅、Lは印加したアームの長さ若しくはレーザーパルスの長さの1/2、σrはGaNの破裂若しくは割れの応力係数である。力(Fr)を増大するために、レーザーパルスの幅wは増大し、レーザーパルスの長さの1/2であるLは減少して、ライン状ビームを形成してもよい。ライン状ビームは照射の際の曲がりモーメントを最小にするためにターゲット材料104を横切って走査してもよい。
【0026】
例えば、GaNのアブレーションしきい値のレーザーエネルギー密度で(248nmで〜0.3J/cm2)では、図10Aに示すように、GaN/サファイア界面106の瞬間剥離は宇なくいかない。アブレーションしきい値でGaNの分解が起こりえるが、これ単独では、界面106の瞬間剥離は生じ得ない。というのも、駆動力すなわち、アブレーションなしでは膨張プラズマからの衝撃波がないからである。逆に、過大なレーザーエネルギー密度を印加することによって、過大な爆発応力波伝搬を形成し、図10Cに示すように、ターゲット材料104上にクラックや割れを生ずる。照射レーザーエネルギー密度を最適化すると、衝撃波によって形成される力は界面106で層102,104を分離するのに十分であるが、ターゲット材料104に割れを誘起するのには十分ではない。GaNとサファイアとを用いた一実施形態については、レーザーエネルギー密度の最適範囲は約0.60J/cm2〜1.5J/cm2の間である。
【0027】
波長、エネルギー密度等のレーザー照射のパラメータは分離(剥離)される材料の種類に依存する。例えば、サファイアからGaNを分離する最適のレーザーエネルギー密度は上述した通りである。レーザー波長248nmはサファイアからGaNを分離するのに望ましい。248nm(5eV)の光エネルギーはGaNのバンドギャップ(3.4eV)とサファイアのバンドギャップ(9.9eV)の間である。これは、248nm照射がサファイア内よりGaN内でより多く吸収され、選択的な吸収が分離につながるアブレーションを引き起こすことを示している。
【0028】
当業者は、他のレーザー波長を他の種類の材料を分離するのに用いてもよいことを認識するだろう。例えば、バッファ層をサファイア基板とGaN層との間に設けてGaNのエピタキシャル成長を促進してもよい。バッファ層の例としてはGaNバッファ層や窒化アルミニウム(AlN)バッファ層を含む。AlNバッファ層を用いる場合は、193nmレーザー光の光エネルギー(6.4eV)がサファイアのバンドギャップ(9.9eV)とAlNのバンドギャップ(6.1eV)の間なので、193nmのレーザーを用いてもよい。
【0029】
本発明の一実施形態では、図11に示したように、分離される一又は二以上の層(例えば、GaN膜若しくは層)は、サファイアウェハー等の基板110からのリフトオフ若しくは分離前に、より小さな領域若しくはセクション112に形成してもよい。一実施形態では、セクション112は例えば、LEDダイに対応するように分離されてもよい。セクション112の形成は、リフトオフ工程中は界面での残留応力及び衝撃波によって誘起された割れを低減する。GaN膜のセクション112は、誘起された残留応力によってその周囲から受ける影響は少ない。さらに、セクション112はわずかな残留応力及び張力を有するに過ぎず、これによりこれらのセクション112におけるGaN薄膜は耐えられる。
【0030】
実施例では、GaN/サファイアLEDウェハー116は一般には数100ミクロンの方形若しくは矩形サイズである同サイズのLEDダイを形成するため、対称かつ繰り返しパターンのセクション112を含む。対称繰り返しパターンセクション112は、例えばLEDダイのための境界を決定し、例えばけがき及び割り工程を用いてダイ分離用の犠牲スペースを提供するためのストリート114によって分離されてもよい。実施例におけるセクション112は個々の方形ダイに対応するが、当業者は矩形等の他の構成・形状が形成されるのを認識するだろう。
【0031】
GaN膜は、ストリート114上のGaN層の選択的除去若しくはエッチングを介してセクション112に分離できる。ストリート114上のGaN層の選択的除去の一方法は、当業者に周知の反応性イオンエッチングを用いるものである。この工程は、エッチング速度が遅い、有害化学物質の取り扱いを避けられない等のいくつかの欠点を有する。他の方法としては、ここに参考として完全に組み込まれている米国特許出願シリアル番号10/782,741号明細書に開示されているようなアナモルフィックビームデリバリシステムによって形成される可変非点収差合焦ビームスポットを用いた固体UVレーザーによる選択的エッチングを含む。可変非点収差合焦ビームスポットはそのサイズを、サファイア基板に影響を与えないで、ストリート114上のGaN層を選択的にアブレート(切除)する最適レーザーエネルギー密度に効果的に調整することができる(図11参照)。この選択的アブレーションは、GaN(248nmで0.3J/cm2)とサファイア(248nmで2J/cm2以上)との間のアブレーションしきい値の大きな差を利用する。
【0032】
他の方法では、エッチングをパターン化されたレーザー投影(例えば、エキシマレーザー)を用いて実施できる。パターン化されたエキシマレーザービームを、GaNストリート若しくは装置を成形へとパターンにするため、又は、ITO,メタライゼーション、若しくは誘電絶縁体層等の他の薄膜にパターンにするため、又は、他の装置若しくは導電層あるいは絶縁層のために乾燥するためにも用いることができる。セクション112及びストリート114を形成するためにGaN連続膜の一部を除去する他の手法としては、GaNをセクション112及びストリート114として基板110上に形成(例えば、成長)することができる。しかしながら、GaN連続膜の成長は、ストリート114及びセクション112のパターンをGaN層の成長に比較してより経済的かもしれない。
【0033】
他の方法では、セクション112間のストリート114は基板110を除去後に、例えば、反応性イオンエッチングを用いて広げてもよい。ストリート114の再エッチングは、例えばn型GaNとp型GaNの接合部でセクション112の側壁での電流リークの可能性を低減若しくは除去する。
【0034】
リフトオフ工程を、基板110とセクション112との間の界面を照射することによって、基板110(例えば、サファイアウェハー)からセクション112(例えば、GaN層)を分離するために用いてもよい。実施例のレーザーリフトオフ工程は、均一ビームスポットでかつ上述のような衝撃波を誘起するのに十分なエネルギー密度の単パルス工程を用いてもよい。単パルス工程は、基板110とセクション112との間の界面での露光の重なりを回避して割れを最小にする。均一ビームスポットは分離される層間の界面を照射して実質的に密度勾配を排除し、これによって効果的なリフトオフを容易にするために用いられてもよい。UV固体レーザー及びエキシマレーザーのいずれも、リフトオフ工程のために均一ビームスポットを生成するために、ビームホモジェナイザーと共に用いることができる。一実施形態では248nmのKrFエキシマレーザーを用いる。放電を有する気体レーザー媒体は大きなロー(加工なし)ビームサイズの高平均パワーを生成する。エキシマレーザーの大サイズの高強度ロービームビームと共にホモジェナイザーを適用するのは非常に効果的である。また、ビームスポットに均一に分布するレーザーエネルギー密度を提供することは、単パルス照射を用いた領域における効果的なリフトオフを生成するのに好都合である。
【0035】
図12は、ニアフィールドイメージングによる均一ビームの投影の一例であり、ビーム経路に沿った代表的なビームプロファイルを示している。エキシマレーザー120からのロービームは長軸方向に短軸/トップ平面分布においてガウシアン分布を有する。(例えば、マルチアレイ配置の)ビームホモジェナイザー122はロービーム勾配プロファイルを方形トップ平面プロファイルにする。均一化されたビームはマスク124(例えば、矩形可変アパーチャ)によって刈り込まれて、例えば、ビームイメージングレンズ126を用いてニアフィールドイメージングによってLEDターゲットウェハー116に投影されるビームの最良部を用いる。従って、LEDウェハー116での均一ビームスポットのエッジ解像度はシャープになる。ビームデリバリーシステム用の一構成をこの実施形態では示しているが、当業者は他の構成を用いて均一ビームを形成し、投影してもよいことは認識するだろう。実施形態は矩形アパーチャーのマスク124を示しているが、ニアフィールドイメージングについていかなる形状のマスクも用いることができる。
【0036】
一実施形態では、リフトオフ露光をステップアンドリピート工程を用いて実施する。均一化されたビームスポット130は、図13に示すように、整数の分離されたセクション112(例えば、整数のLEDに対応)を含むように形作られる。ビームスポット130のサイズは、3×3アレイ等のマルチ分離セクション112を含むように、分離されたセクション112のサイズに基づいて精密に形作られる。基板と整数のセクション112との間の界面は単パルス露光を用いて照射されてもよく、工程は各セクション群ごとに(例えば、ダイ)繰り返されてもよい。図13の符号はステップステップアンドリピート工程のための例示のシーケンスを示すものである。照射を各セクション群ごとに繰り返されるので、ビームスポット130のステッチを実施してもよい。ステッチはストリート114内で実施して、アクティブLED領域で生じ得る損傷を回避すると好都合である。実施例の工程はビームスポット130のステッチを約5μm以内に保持している。
【0037】
図14は248nmのエキシマレーザーによるLEDリフトオフウェハー上の単パルスの例を示す。図14では、均一化されたビームスポットが9個のLEDダイをカバーしており、分離されたGaN/サファイア界面は明るく見えている。
【0038】
小領域における単パルスを用いた精確に制御された露光のため、実施例のレーザーリフトオフ露光は残留応力のオフセットのためのLEDウェハーの加熱を要しない。露光は室温で実施されてもよい。リフトオフ露光のレーザー光がサファイアウェハーを通って進行するので、サファイアの表面上の損傷又は破損はGaN/サファイア界面でのシャドウ(影)を作ることになり、リフトオフ界面上の欠陥の原因になる。サファイアの表面はいかなる破損若しくは粒子を除去するために研磨してもよい。リフトオフ露光は、シャドウ効果を低減若しくは排除する異なる角度の範囲のターゲットに行ってもよい。
【0039】
上述の実施例の工程は、成功した工業的応用についてのUVレーザーリフトオフ工程の生産性及び歩留まりを改善し得る。本発明に対応する例示の方法は、LEDウェハー上の残留応力の分離と均一ビームレーザー露光とを組み合わせる。ストリート上のGaN層の選択的エッチングは膜を小領域に分断して、周囲からの残留応力による影響を最小にする。また、小領域自体は最小の残留応力しか有さないので、リフトオフ露光の際にGaN膜にあまり影響を与えない。
【0040】
図15はリフトオフ工程の例を示す。一又は二以上のGaN層132をサファイア基板110上に形成した後、保護コーティング135を、レーザースクライビングの跡においてGaN層上にレーザー生成された破損の堆積を防止するために付けることができる。ストリート114及びセクション112を形成するためのGaN層132の選択的除去はレーザースクライビング若しくは反応性イオンエッチングによって行うことができる。保護コーティング135を除去後に、導電性基板134をGaN層132上に結合することができる。導電性基板134を、限定されないがSi,Ge,GaAs、GaP,銅、銅タングステン、及びモリブデンを含む導電性セラミック及び金属であり得る。GaN層132と導電性基板134との間に(図示しない)反射層を形成してもよい。次いで、サファイア基板110をレーザーリフトオフ工程によって除去できる。レーザーリフトオフ後、GaN表面を、電極金属膜の堆積又は他の必要な段階のために処理し得る。最後に、ウェハーを例えば、個々のLEDダイを形成するために、セクション112巻で分離することができる。
【0041】
実際のウェハー上のGaN層の選択的除去の例を図16に示す。これは、可変非点焦点ビームスポットを用いた高速レーザーカットを提供する固体UVレーザーをGaNの除去に用いたものである。この例では、ダイ若しくはストリートパターンを含まないモノリシックGaN層を最初にサファイアウェハー上に形成した。LEDダイサイズはレーザーによってカットされたラインによって画定される。この例では、選択的除去若しくはレーザーカットの幅は約5μmに過ぎず、ウェハー資産の損失を最小にする。
【0042】
リフトオフ用の導電性基板の中で、モリブデンは、熱膨張のマッチング係数(CTE)、青色スペクトルの高反射性、及び、低延性でかつ高強度等の所望の特性を有する。モリブデンは、GaN(5.6×10-6/K)のCTEに比較的近いCTE(4.8×10-6/K)を有する。PdIn及びSnAu等の金属化合物をGaN上の導電性基板の結合に用いてもよい。これらの結合材料を用いるときは、GaN及び基板は例えば、400℃近傍まで加熱される。GaN層とリフトオフ基板との間のCTEの大きなミスマッチは結合工程に不利な他の高レベルの残留応力を引き起こす。例えば、Cuは高い熱伝導性及び電気伝導性を有するが、高CTE(16.5×10-6/K)のため、2インチGaN/サファイアウェハーを有するリフトオフ基板ほど望ましくはない。
【0043】
モリブデンは、350nmから450nmの範囲の青色スペクトルは約55%の反射率を有する。この値は他の金属に匹敵する。例えば、410nmでの主要金属の反射率は以下の通りである:金(37%)、銅(51%)、ニッケル(50%)、白金(57%)、鉄(58%)、クロム(70%)、銀(86)、アルミニウム(92%)。匹敵する反射率はモリブデンを反射体として直接用いることを可能にするが(すなわち、独立の反射層なしで)、光出力はアルミニウム及び銅等の高反射率を有する金属膜の堆積によって最大化できる。GaNとモリブデン間の高反射膜層は例えば、高レベルの残留応力を導入することなしで、青色LEDのパファーマンスを増大できる。例えば、アルミニウムはGaN表面上に堆積して反射層を形成できる。アルミニウム膜の酸化はモリブデン基板への結合に不利なので、他の金属膜層を酸化を防止し、結合をエンハンスするために堆積できる。酸化せず、モリブデンに対してアルミニウム膜に付着可能にする金属膜の例として限定的ではないが、すず、亜鉛、鉛及び金を含む。
【0044】
モリブデンはまた、ダイ分離工程中にも利点を有する。従来のダイヤモンド鋸若しくはダイヤモンドけがきは主にその高延性に起因して、金属膜の分離用に用いることは困難である。しかしながら、機械的破壊は延性基板上では困難なので、銅等の高延性の金属膜は分離のために100%スルーカットを要する。カット後は小さなダイの統合性(結合性)を維持しないのでレーザースルーカットは取り扱いの問題が生ずる。モリブデンは高強度と低延性を有する。モリブデンのこれらの独特の機械的特性は、厚さの約90%についてのレーザースクライビングされるときさえ、機械的破壊を容易にする。
【0045】
他の例示的な方法では、レーザーオフ露光を、生産性を最大にするために、高速移動制御の方法と組み合わされてもよい。レーザーリフトオフが精確な設計ビームステッチを伴うステップアンドリピートを利用するとき、レーザーのトリガーについてターゲット上で精確にするのが望ましい。ステップアンドリピート工程の最速可能速度が生産性の向上には望ましい。移動ステージの位置を比較するために移動制御の特別な機能を用いて、所定の位置のレーザーにトリガー信号を送ることができる。この技術は“位置比較及びトリガー”又は“ファイアオンフライ(はえ上のファイア)”と称される。移動ステージが連続移動をしている間、運動コントローラ内のプロセッサはエンコーダーのカウンタを絶えずユーザーがプログラムした値と比較し、トリガー信号をマッチング値を有するレーザーに送り出す。移動ステージはステップアンドリピートの際に停止する必要はないが、連続移動で移動してもよい、すなわちレーザーのファイアオンフライであってもよい。例えば、リフトオフ工程がファイアオンフライ技術を用いるとき、200Hzのレーザーのパルス繰り返し速度で1×1mm2の均一のビームスポットサイズは、約1分内で2インチ直径LEDウェハーのリフトオフ工程を実施できる。
【0046】
例示の実施形態はリフトオフ工程を実施する前にストリート114及びセクション112を形成することを含むが、ここに記載の技術は最初に層をセクションに分離することなしで連続層を分離するために用いてもよい。連続層の効果的な分離を可能にするが、レーザーパルスが重なる所に形成された微小クラックがある。
【0047】
他の実施例の方法はリフトオフ露光のためにレーザービームを走査して例えば、同心パターンで照射するために、独自の技術を用いてもよい。このような技術を用いて、基板上に一若しくは二以上の分離層又は一若しくは二以上の連続層のリフトオフを実施してもよい。GaN/サファイアLEDウェハー内の残留応力は張力と圧縮とが両方存在するところに同心状に分布する。ウェハー中心をクロスするとき、レーザー露光は分離された領域と分離されていない領域との間の界面すなわち、走査される領域と走査されない領域との間の界面における応力レベルの大きな差異を生じる。異なる方法では、ビームは同じレベルの応力で位置に沿って残留応力を緩和するために円形、螺旋、若しくはヘリカル露光で走査してもよい。この方法は走査される領域と走査されない領域との間の界面で応力勾配を低減する。代替として、照射の際の曲がりモーメントを最小にするための寸法のラインビームは上述のように界面を走査してもよい。
【0048】
図17は方形ビームスポット150の同心状リフトオフ露光を示す。図18は円形ビーム152の同心状リフトオフ露光を示す。一方法では、ウェハーが露光のために同心状に(例えば、円形又はヘリカルパターンで)並進する間、レーザービームは固定である。他の方法では、ビームは固定ウェハー上で(例えば、円形又はヘリカルパターンで)移動してもよい。
【0049】
円形ビームを移動する一方法は、回転モーターによる移動において2個のミラーを精密に制御する。当業者に公知の他のビームスポット形状例えば、三角、六角、他の多角形状を用いてもよい。多角形状ダイを照射する多角形状レーザーパターンの場合には、ビームはダイ又はダイ群を覆い、制御されたパターンで基板から膜を分離して制御された態様で応力を緩和するために、円形若しくは螺旋状移動で動いてもよい。
【0050】
他の代替では可変環状ビームスポットを用いて同心状の走査を実現する。図19に示したように、可変環状ビームスポットはその直径を漸進的に減少して、ウェハーの外側エッジから中心へ同心状に走査する。同心状に移動する可変環状ビームスポットは、レーザーリフトオフ露光の際に残留応力の安定な緩和を提供する。
【0051】
図20は、さらなる実施形態に対応する、電気メッキ基板を分離するためのレーザーリフトオフ工程を示す。GaNのセクション112を有するサファイアウェハー若しくは基板110は金属若しくは金属合金で電気メッキして金属基板160を形成してもよい。ニッケル、銅若しくはその合金は電気メッキに用いてもよい。次いで、金属基板160は例えば、UVレーザーを用いてセクション112巻の位置162で切断してもよい。支持膜164を金属基板160上に載置して、上述のようなレーザーリフトオフ工程を用いてサファイア基板110を分離してもよい。コンタクトメタライゼーション等のポストレーザーリフトオフ工程を用いて、金属基板160の部分を除去してダイ166を形成してもよい。次いで、ダイ166を分離してもよい。レーザーリフトオフの前に金属基板160を切断することによって、サファイア基板110に結合することによってダイ166の統合性を維持することができる。当業者はこの工程が他の材料を用いて実施してもよいことは認識する。
【0052】
まとめると、本発明の一態様に一致する方法によれば、第1及び第2基板を基板間の少なくとも一材料層を備える。この材料層はストリートによって分離される複数のセクションに分離されるものである。ビームスポットはレーザーを用いて形成され、整数のセクションをカバーするような形状にされている。第1基板とセクションとの間の界面はビームスポットを用いて照射される。照射は、第1基板を全セクションから分離するまで、各整数のセクションについて繰り返し実施される。
【0053】
他の方法では、少なくとも一材料層をその上に有する基板を備え、均一ビームスポットを少なくともレーザーとビームホモジェナイザーとを用いて形成される。層と基板との界面は、均一ビームスポットの単パルスを用いて実質的に一様に分布されたレーザーエネルギー密度で照射され、基板から層が分離される。
【0054】
他の方法では、少なくとも一材料層をその上に有する第1基板を備え、材料層をエッチングして、第1基板上で層をストリートによって複数のセクションに分離する。第2の基板をセクションに付け、均一ビームスポットをレーザーを用いて形成する。均一ビームスポットは整数のセクションをカバーするような形状とされる。第1の基板とセクションとの間の界面は均一ビームスポットを用いて照射する。照射を、整数の各セクション毎に繰り返し実施する。第1基板を全セクションから分離する。
【0055】
他の方法では、少なくとも一のGaN層をその上に有する第1基板を備え、少なくとも一の膜をGaN層上に形成する。膜は反射膜を含んでもよい。モリブデンを含む第2基板を膜に付け、第1基板とGaN層との間の界面を照射して、GaN層から第1基板を分離する。
【0056】
本発明の原理をここに記載したが、以上の説明は例示としてだけであり、本発明の範囲を限定するものではないことは当業者は理解されたい。ここに示した実施形態以外に、他の実施形態も本発明の範囲内で考えてもよい。当業者による変形、置換は特許請求の範囲以外で限定されることはなく、本発明の範囲内で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】水平型電極配置を有する従来のGaNLEDの断面を示す概略図である。
【図1B】図1Aで示したGaNLEDの平面図である。
【図2】垂直型電極配置を有するGaNLEDの断面を示す概略図である。
【図3】垂直型電極配置を有するGaNLEDの製造工程を示すフロー図である。
【図4A】MOCVD工程中のGaN/サファイアウェハーを示す概略図である。
【図4B】MOCVD工程後のGaN/サファイアウェハー上の残留応力の形成を模式的に図である。
【図5A】Qスイッチ355nmNd:YAGレーザーを用いてGaN/サファイアウェハー上のレーザーリフトオフの従来方法を示す概略図である。
【図5B】248nmエキシマレーザーを用いてGaN/サファイアウェハー上のレーザーリフトオフの従来方法を示す概略図である。
【図6】GaN/サファイアLEDウェハー上のQスイッチ355nmNd:YAGレーザーのラスタースキャンを示す概略図である。
【図7】界面での高確率のモデルI型及びII型クラックを形成する、GaN/サファイアLEDウェハー上のラスタースキャンを示す概略図である。
【図8】本発明の一実施形態に対応する、層を剥離するための衝撃波を誘起するレーザーパルスの使用の模式図である。
【図9】本発明の一実施形態に対応する、レーザー露出領域と層の剥離の断面を示す概略図である。
【図10A】異なるレーザーエネルギー密度の効果を示す概略図である。
【図10B】異なるレーザーエネルギー密度の効果を示す概略図である。
【図10C】異なるレーザーエネルギー密度の効果を示す概略図である。
【図11】本発明の一実施形態に対応する、サファイアウェハーを無傷のままGaN層を複数のダイに分離するためにストリート上にGaN層の選択的アブレーションを描くウェハーの概略図である。
【図12】本発明の他の実施形態に対応する、ビームパスに沿って示した一様なビーム及び代表的なビームプロファイルの投影を示すビームデリバリーシステムを示す概略図である。
【図13】本発明の他の実施形態に対応する、ステップ・アンド・リピート工程を用いたレーザーリフトオフ露光を示すウェハーの概略図である。
【図14】ステップ・アンド・リピートリフトオフ工程を用いた3×3個のLEDアレイ上の単パルス露光を示すウェハーの写真である。
【図15】本発明の他の実施形態に対応する、残留応力の分離と精確なステップ・アンド・リピートレーザービーム露光を組み合わせたレーザーリフトオフ工程を示す概略図である。
【図16】可変非点焦点ビームスポットを有する固体UVレーザーによるGaNの選択的除去を示すウェハーの概略図である。
【図17】本発明の他の実施形態に対応する、矩形ビームを用いた同心若しくはヘリカルレーザーリフトオフ露光を示す概略図である。
【図18】本発明の他の実施形態に対応する、円形ビームを用いた同心若しくはヘリカルレーザーリフトオフ露光を示す概略図である。
【図19】本発明の他の実施形態に対応する、可変環状ビームを用いた同心レーザーリフトオフ露光を示す概略図である。
【図20】本発明の他の実施形態に対応する、レーザーリフトオフ工程を示す概略図である。
【符号の説明】
【0058】
102 基板材料
104 ターゲット材料
106 界面
110 基板
112 セクション
114 ストリート
【技術分野】
【0001】
本発明は材料層を分離する方法に関し、特に層間の界面を照射することによって、基板及び基板上に成長した膜等の材料層を分離する方法に関するものである。
本願は、2004年3月29日に出願された、同時係属中の米国仮出願シリアル番号60/557,450であって、その内容が全てここに組み込まれたものの優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
“青色LED”として知られているGaN/InGaNベース発光ダイオード(LED)は高い将来性を有する。これらGaN/InGaNベースLEDについての応用は拡大し、携帯電話キーパッド、LCDバックライト、信号、業務用サイン、自動車用ライト、アウトドア用フルカラーディスプレイパネル、家庭用照明装置等の製品を含むようになっている。これらやその他の用途では、これらの高輝度LEDは、白熱光や蛍光のような従来の光源に置き換わるだろう。青色LEDは、従来の光源より低エネルギー入力で高い光出力を出すこと(エネルギー節約、高効率)とより長い作動寿命とによって特徴づけられる。このような高パフォーマンス及び高信頼性は従来の光源にうまく置き換わるという裏付けを与えている;しかしながら、現在の公知の限界及び固有の欠点を克服するために現在のLEDの構成を改良する必要がある。より良好でかつより精密な製造技術は、無駄をカットし、歩留まりを上げ、より高度化し、複雑若しくは改良型構造を可能にし、デザイン・フォー・マニュファクチャビリティ(DFM)におけるより高いフレキシビリティを介して技術を進めることで青色LEDの構成を高度化している。このような改良された製造技術によって製造を単純化し、製造コストを低減している。
【0003】
青色LEDは、サファイア基板上にGaN/InGaN層を堆積することによって作成されてもよい。一度LED装置が製造されると、ウェハーは個々のダイに分離される。現在の一ダイ分離工程は以下の段階を含む。まず、サファイアウェハーを研削及びウェハーの裏側のラッピングによって厚さを100μm以下にまで薄くする。次に、ウェハーをダイシングテープに載せ(マウントし)、次いで、ダイヤモンドけがき探針若しくはUVレーザービームによってダイ間のストリート(路)に沿って罫書く。最後に、ウェハーを破砕ツールによって罫書き線に沿って割る。割った後、次の自動ピックアップ及び配置操作を実施できるように、ダイシングテープを、一のダイから他のダイを物理的に分離するために伸ばす。この工程は“スクライブ・アンド・ブレイク”ダイ分離と称される。
【0004】
LEDの主要コストはサファイア薄化とスクライブ・アンド・ブレイク作業である。LDFリフトオフとして知られる工程はLED作製工程の時間とコストを劇的に低減できる。LEDリフトオフはメーカーが例えば、サファイアウェハー上にGaNLED膜装置を成長させられることによってウェハーけがき(スクライビング)を排除して、次いで、薄膜装置を熱浴電気的相互接続に移動してもよい。この工程では、レーザービームプロファイルはサファイアウェハーの背面を介して照射して、GaNLED装置をはずして、熱浴及び/又は光反射器上にパッキングし得る基板に移動する。特別なウェハーを用いて、サファイア成長基板を再使用してもよく、LED製造のコストを低減し得る。さらに、この方法は高速であり、向上するLED光出力を実現し、UVレーザー上の低ストレスのため作動コストが低い。
【0005】
GaNLEDの現在の構成はファフォーマンス及び信頼性を改善する努力を妨げる固有の限界を有する。構成は静電気放電問題に関わってもきた。図1A及び図1Bに示したように、青色LEDは、シリコンカーバイド若しくはサファイアウェハー基板14上にヘテロエピタキシャル成長した多重のInGaN及びGaNベースの層12a、12b、12cを含んでもよい。サファイアウェハーは天然の絶縁体なので、電流は水平な電極構成によって供給される。p型GaN層12aの高抵抗のために、Ni/Au薄膜16をp型GaN前面に堆積して、電流分散拡がりを促進する。しかしながら、水平構成に関連した欠点がある。
【0006】
まず第1に、Ni/Au膜16はLED光出力のかなりの部分を吸収する。Ni/Au膜16は放出光に対して透過性が制限されているので、LED光に対して透明にさせるために非常に薄い(通常、100Å以下)。LED自体から発光される光の約25%はNi/Au膜16に吸収される。さらに、かなりの割合の放出光はサファイアの透過の際に失われる。サファイア基板14は向かう光のいくらかは、サファイアウェハーとその周囲との間の屈折率の差に起因して、正面へ反射される。Ni/Au薄膜16は同様に、この反射された出力光の大部分を吸収する。
【0007】
第2に、Ni/Au膜16は湿気に対して敏感で、経時的にパフォーマンスが低下する。膜の透明性を維持するために、薄いNi/Auを金属蒸着によって堆積し、次いで、大気中で又は酸素雰囲気で熱処理する。Ni/Au膜16はAuリッチ構造と共に酸化化合物NiOxを形成する。湿気は長期間の作動で酸化物膜に貫通すると、LED装置10はダメージを受ける。
【0008】
第3に、Ni/Au膜16は、電流集中効果に起因してInGaNMQW発光層12bのパフォーマンス効率が低下する。電流拡がりNi/Au膜16はn型(−)GaN層12cより低抵抗を有するので、電流はn型電極20近傍の領域18に集中する(図1A参照)。電流集中減少は、活性InGaN領域の均一な使用を妨害して、活性領域の不均一な使用のために光出力の効率を低下させ、信頼性を下げる。
【0009】
第4に、水平型電極構成は電流のボトルネック効果を形成して信頼性を下げる。p型(+)電極22を介して供給された電流はNi/Au膜16を横切って拡がり、p型GaN12aからInGaN12bを介してn型GaN層12cへ流れる。n型(−)電極20はn型GaN層12cに水平方向に配置するので、電流は電極20の領域24にボトルネックを生ずる(図1A及び図1B)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
垂直型電極構成を有するLED構造は水平型電極構成の欠点の多くを克服する。図2に示したように、垂直構造を有するLED30は、サファイア基板からシリコンウェハーのような導電性基板34へGaN層32a,32b,32cの移動を含む。垂直型電極構成は、光出力を実質的に増大するNi/Au膜を用いなくてもよい。垂直型電極構成は、水平構造のサファイアを介した光の損失を最小にする金属反射層36の堆積を可能にする。垂直型電極構成はさらに、電流集中及びボトルネックを低減若しくは排除することによって信頼性及びパフォーマンスを改善する。垂直型LED構造を構築する要因としてエピタキシャルサファイアウェハーから導電性シリコンウェハーへのGaN層のリフトオフ工程の成功がある。
【0011】
高輝度垂直型LEDの構成の一例を図3に示す。まず、GaN層32a,32cはサファイアウェハー38上に堆積する。金属薄膜反射部36をp型GaN上に堆積し、次いでSi基板等の導電性基板34(GaAs基板及び金属厚膜を含む)は金属薄膜反射部是面に結合される。サファイアウェハーは後述するようにUVレーザーリフトオフによって除去される。n型(−)電極をn型GaN層上に堆積し、p型(+)電極をSiウェハー上に堆積する。n型GaN層はp型GaN層より低い抵抗を有し、Ni/Au薄膜はもはや必要はない。従って、電流は集中あるいはボトルネック効果なしにより均一に拡がる。問題のNi/Au薄膜の除去によって、垂直型構造を有するLEDのパフォーマンス及び信頼性が向上する。
【0012】
垂直型構造はUVレーザーリフトオフ工程を用いて形成してもよい。UVレーザーリフトオフへの一アプローチは、GaN(高吸収)薄膜層とサファイア基板との間のUV光の吸収の差を利用して、UVレーザーパルスを用いてGaN/サファイア界面の選択的な照射を含む。一般に、GaN層はサファイア基板上にヘテロエピタキシャル成長する。GaN結晶成長を容易にするために、バッファ層は比較的低温、300℃近傍で堆積されてもよい。バッファ層は高温でGaN層が成長するのを助けるが、バッファ層は大きな格子ミスマッチのために非常に高密度の種々の欠陥を含む。転位、ナノパイプ、反転領域等の結晶欠陥は表面エネルギーを高め、結果として入射UV光の吸収が増大する。リフトオフ工程についての入射レーザービームは、サファイアウェハーの吸収しきい値より十分下のエネルギーみつ度を有し、それがダメージを生ずることなく透過可能とする。これに対して、レーザーエネルギー密度は十分高いので、界面での光誘起分解を引く起こし、界面の分離を生じさせることもある。
【0013】
UVレーザーリフトオフプロセスについて研究されてきた。ケリー(Kelly)らは、355nmのQスイッチNd:YAGレーザーを用いて透明サファイアを介したレーザー照射によるGaNの分解を立証した(ケリー(Kelly)、アンバチャー(Ambacher)、ダルハイマー(Dalheimer)、グロース(Groos)、ディミトロフ(Dimitrov)、アンガラー(Angerer)、スタッツマン(Stutzmann)によるApplied Physics Lettersの論文(第69巻、第1749頁、1996年)参照)。また、ワン(Wong)らは、248nmのエキシマレーザーを用いてサファイアウェハーから〜5μm厚のGaN薄膜を成長させた(ワン(Wong)、サンズ(Sands)、チュン(Cheung)によるApplied Physics Lettersの論文(第72巻、第599頁、1997年)参照)。ワン(Wong)らはさらに、248nmのエキシマレーザーを用いてGaNLED上にリフトオフプロセスを開発した(ワン(Wong)、サンズ(Sands)、チュン(Cheung)、クライスル(Kneissl)、ボウアー(Bour)、メイ(Mei)、ロマノ(Romano)、ジョンソン(Johnson)によるApplied Physics Lettersの論文(第75巻、第1360頁、1999年)参照)。ケリー(Kelly)らは、Qスイッチ355nmNd:YAGレーザーのラスタースキャンを用いて275μm厚の自由定在GaN膜のリフトオフも立証した(ケリー(Kelly)、バウド(Vaudo)、ファンセ(Phanse)、ゴルゲン(Gorgens)、アンバチャー(Ambacher)、スタッツマン(Stutzmann)によるJapanese Journal of Applied Physicsの論文(第38巻、第L217頁、1999年)参照)。ケリー(Kelly)らはまた、GaN−サファイアウェハーからの高残留応力のために、レーザーリフトオフプロセスの際のGaN厚膜の広範囲の割れ(裂け)を克服することの困難性を報告した。この研究では、著書らはGaN/サファイアウェハーを600℃まで加熱しなければならなかったが、著者らは残留応力に起因した割れ問題を完全に排除できなかった。
【0014】
UVレーザーリフトオフによる利点にかかわらず、GaNLED製造は低工程歩留まりによる低生産性のために制限されてきた。低歩留まりは部分的には、金属−有機化学気相堆積(MOCVD)工程による、GaNサファイアウェハー内の高残留応力に起因する。MOCVD工程は600℃を越える活性温度を要する。図4Aに示したように、MOCVD工程によって、サファイアウェハー38上にGaN及びInGaN層32を堆積する。GaN(5.59×10−6/K)とサファイア(7.50×10−6/K)との間で熱膨張係数(CTE)に実質的な差はあるが(表1参照)、図4Bに示したように、GaN/サファイアウェハーのMOCVD工程の高温から常温まで冷却の時に高レベルの残留応力が存在する。残留応力はGaN上の圧縮残留応力40とサファイア上の引張残留応力42とを含む。
【表1】
【0015】
十分なエネルギーを有する入射レーザーパルスがGaN/サファイア界面に当たると、照射は界面の瞬時の分離を引き起こす。入射レーザーパルスはサイズを制限するので(通常1cm2よりはるかに小さい)、結合/分離の境界での応力集中を形成し、その結果、境界が割れる。この残留応力に関連した割れはUVリフトオフ工程の障害の一つである。
【0016】
現在、GaN/サファイアウェハー上でレーザーリフトオフ工程を実施する異なる方法がある。一方法はQスイッチ355nmNd:YAGレーザーのラスタースキャン(ケリー(Kelly)、バウド(Vaudo)、ファンセ(Phanse)、ゴルゲン(Gorgens)、アンバチャー(Ambacher)、スタッツマン(Stutzmann)によるJapanese Journal of Applied Physicsの論文(第38巻、第L217頁、1999年)参照)を含む。固体レーザーを用いたこのレーザーリフトオフ工程を図5Aに示す。他の方法は248nmエキシマレーザーを用いる(ワン(Wong)、サンズ(Sands)、チュン(Cheung)、クライスル(Kneissl)、ボウアー(Bour)、メイ(Mei)、ロマノ(Romano)、ジョンソン(Johnson)によるApplied Physics Lettersの論文(第75巻、第1360頁、1999年)参照)。このエキシマレーザーを用いたリフトオフ工程を図5Bに示す。
【0017】
両工程はレーザービーム44の転換、GaN/サファイアウェハー46のターゲットのいずれかを含む図6に示すようなラスタースキャンを用いる。ラスタースキャン法に関連する問題は、所望の領域をカバーするような重なり照射を要し、これによって、位置によっては多重的な照射48となる。上述のいずれの方法でも、GaN/サファイアのレーザーリフトオフは単一パルス工程である。局所領域における不要な多重照射は、膜上に過剰な応力を含むことによって割れの可能性を増大する。
【0018】
図7に示すように、ラスタースキャンは、一端から他端へのレーザービーム44のスキャンを含み、一側面から他側面へのGaN/サファイア界面を漸進的に分離する。この材料応力の側部から側部への緩和は、分離した領域と分離していない領域との間の界面50すなわち、スキャンされた領域とスキャンしていない領域との間の界面での応力レベルの大きな差を生ずる。界面50での残留応力レベルの不均衡は、モードI及びモードIIクラックの進行の可能性を増大する。図6及び図7に示した図は固体レーザーを用いた工程に基づいているが、エキシマレーザーのラスタースキャンは同様の結果を生ずる。
【0019】
現在、サファイアウェハーの通常のサイズは直径2インチであるが、他のサイズ(例えば、3インチ、4インチウェハー)もGaNのヘテロエピタキシャル成長に用いられる。GaN/サファイアウェハー用としては、残留応力レベルはウェハー内で変化しており、全残留応力及び引っ張り残留応力は共に存在する。残留応力の存在はウェハーゆがみ又は曲がりによって観察され得る。レーザーリフトオフプロセスは広範囲の連続するGaN/サファイア界面を緩和するとき、結合していない界面と結合している界面との間の境界に大きな応力勾配が成長する。この応力勾配はGaN層の広範囲の割れを引き起こす。
【0020】
ターゲット材料を強いレーザーパルスで照射すると、ターゲット材料は瞬間的に蒸発して高温高圧の表面プラズマになる。この現象をアブレーションという。アブレーションにより生じたプラズマは次いで周囲に拡がっていく。表面プラズマの拡がりは衝撃波(ショックウェイブ)を誘起し、衝撃(インパルス)をターゲット材料に移動する。アブレーションは、レーザーがターゲット上方に配置した透明材料を介して方向付けられると、2つの材料間に閉じ込められる。アブレーションが閉じ込められている間、界面に捕捉されたプラズマは大きな衝撃波を形成し、インパルス圧力をエンハンスする。GaN/サファイア界面に閉じ込められたアブレーションからの爆発衝撃波は、サファイア基板からGaN層を分離させるだけでなく、レーザービームスポット近傍のGaN層を割り得る(例えば、Journal of Laser Applicationsの1996年第8巻第135-141頁のパイレ(Peyre)らの論文を参照)。
【課題を解決するための手段】
【0021】
従って、剥離した薄膜の割れに起因した低歩留まりにつながる、残留応力に関連した問題を克服することによってサファイアウェハーからGaN薄膜の剥離の方法を改善する必要性が存在する。また、上述した1又は2以上の問題を克服するためにリフトオフ用途へ拡張し得る工程が必要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
これら及び他の特徴・利点は以下の詳細な説明を図面を合わせて読むことにより、さらによく理解されるだろう。
【0023】
この詳細な説明は、現存のリフトオフ工程に関連する問題を克服し、生産性を向上する本発明の工程の実施形態を示すものである。本発明の用途は以下の実施形態に限定されない。実施形態はGaN、サファイア及びGaN/サファイア界面について記載するが、当業者に公知の他の種類の基板及び他の材料層を用いてもよい。また、GaN(又は他の層若しくは材料)とサファイア(又は他の種類の基板)との間に犠牲層を備えてもよい。
【0024】
図8を参照すると、レーザーは、材料102と104を分離するために、少なくとも1つの基板材料102を介して少なくとも1つのターゲット材料104に向けられる。この実施形態では、基板材料102、104の分離は、ターゲット材料104と基板材料102との間の界面106での衝撃波を誘起するのに十分なレーザーエネルギー密度を用いて達成してもよく、これによって、基板材料102からターゲット材料104を瞬時に切り離される。衝撃波は、プラズマ温度を急峻に上昇させるイオン化蒸気の増大した密度の結果として界面でのプラズマ108の爆発的な膨張によって形成されてもよい。レーザーエネルギー密度は、ターゲット材料104上で割れなしで分離を生じさせる力Faを誘起するのに十分な範囲であってもよい。印加される力Faは以下のように表される:
【数1】
【数2】
ここで、Ppは爆発衝撃波によって誘起されるピーク圧力、Cは効率幾何学(ジオメトリ)因子、Irは入射レーザービームの放射照度、Faは印加した力、Arは放射面積である。
【0025】
図9に示したようにプラズマ108が膨張すると、レーザーが露光された領域はレーザーが露光された領域の端部でピボットとして曲がりアームとして作用する。例えば、破裂又は割れに要する力(Fr)は2点曲がりテストで可視化され、以下のように表されてもよい:
【数3】
ここで、dはターゲット材料104の厚さ、wは印加する力の幅若しくはレーザーパルスの幅、Lは印加したアームの長さ若しくはレーザーパルスの長さの1/2、σrはGaNの破裂若しくは割れの応力係数である。力(Fr)を増大するために、レーザーパルスの幅wは増大し、レーザーパルスの長さの1/2であるLは減少して、ライン状ビームを形成してもよい。ライン状ビームは照射の際の曲がりモーメントを最小にするためにターゲット材料104を横切って走査してもよい。
【0026】
例えば、GaNのアブレーションしきい値のレーザーエネルギー密度で(248nmで〜0.3J/cm2)では、図10Aに示すように、GaN/サファイア界面106の瞬間剥離は宇なくいかない。アブレーションしきい値でGaNの分解が起こりえるが、これ単独では、界面106の瞬間剥離は生じ得ない。というのも、駆動力すなわち、アブレーションなしでは膨張プラズマからの衝撃波がないからである。逆に、過大なレーザーエネルギー密度を印加することによって、過大な爆発応力波伝搬を形成し、図10Cに示すように、ターゲット材料104上にクラックや割れを生ずる。照射レーザーエネルギー密度を最適化すると、衝撃波によって形成される力は界面106で層102,104を分離するのに十分であるが、ターゲット材料104に割れを誘起するのには十分ではない。GaNとサファイアとを用いた一実施形態については、レーザーエネルギー密度の最適範囲は約0.60J/cm2〜1.5J/cm2の間である。
【0027】
波長、エネルギー密度等のレーザー照射のパラメータは分離(剥離)される材料の種類に依存する。例えば、サファイアからGaNを分離する最適のレーザーエネルギー密度は上述した通りである。レーザー波長248nmはサファイアからGaNを分離するのに望ましい。248nm(5eV)の光エネルギーはGaNのバンドギャップ(3.4eV)とサファイアのバンドギャップ(9.9eV)の間である。これは、248nm照射がサファイア内よりGaN内でより多く吸収され、選択的な吸収が分離につながるアブレーションを引き起こすことを示している。
【0028】
当業者は、他のレーザー波長を他の種類の材料を分離するのに用いてもよいことを認識するだろう。例えば、バッファ層をサファイア基板とGaN層との間に設けてGaNのエピタキシャル成長を促進してもよい。バッファ層の例としてはGaNバッファ層や窒化アルミニウム(AlN)バッファ層を含む。AlNバッファ層を用いる場合は、193nmレーザー光の光エネルギー(6.4eV)がサファイアのバンドギャップ(9.9eV)とAlNのバンドギャップ(6.1eV)の間なので、193nmのレーザーを用いてもよい。
【0029】
本発明の一実施形態では、図11に示したように、分離される一又は二以上の層(例えば、GaN膜若しくは層)は、サファイアウェハー等の基板110からのリフトオフ若しくは分離前に、より小さな領域若しくはセクション112に形成してもよい。一実施形態では、セクション112は例えば、LEDダイに対応するように分離されてもよい。セクション112の形成は、リフトオフ工程中は界面での残留応力及び衝撃波によって誘起された割れを低減する。GaN膜のセクション112は、誘起された残留応力によってその周囲から受ける影響は少ない。さらに、セクション112はわずかな残留応力及び張力を有するに過ぎず、これによりこれらのセクション112におけるGaN薄膜は耐えられる。
【0030】
実施例では、GaN/サファイアLEDウェハー116は一般には数100ミクロンの方形若しくは矩形サイズである同サイズのLEDダイを形成するため、対称かつ繰り返しパターンのセクション112を含む。対称繰り返しパターンセクション112は、例えばLEDダイのための境界を決定し、例えばけがき及び割り工程を用いてダイ分離用の犠牲スペースを提供するためのストリート114によって分離されてもよい。実施例におけるセクション112は個々の方形ダイに対応するが、当業者は矩形等の他の構成・形状が形成されるのを認識するだろう。
【0031】
GaN膜は、ストリート114上のGaN層の選択的除去若しくはエッチングを介してセクション112に分離できる。ストリート114上のGaN層の選択的除去の一方法は、当業者に周知の反応性イオンエッチングを用いるものである。この工程は、エッチング速度が遅い、有害化学物質の取り扱いを避けられない等のいくつかの欠点を有する。他の方法としては、ここに参考として完全に組み込まれている米国特許出願シリアル番号10/782,741号明細書に開示されているようなアナモルフィックビームデリバリシステムによって形成される可変非点収差合焦ビームスポットを用いた固体UVレーザーによる選択的エッチングを含む。可変非点収差合焦ビームスポットはそのサイズを、サファイア基板に影響を与えないで、ストリート114上のGaN層を選択的にアブレート(切除)する最適レーザーエネルギー密度に効果的に調整することができる(図11参照)。この選択的アブレーションは、GaN(248nmで0.3J/cm2)とサファイア(248nmで2J/cm2以上)との間のアブレーションしきい値の大きな差を利用する。
【0032】
他の方法では、エッチングをパターン化されたレーザー投影(例えば、エキシマレーザー)を用いて実施できる。パターン化されたエキシマレーザービームを、GaNストリート若しくは装置を成形へとパターンにするため、又は、ITO,メタライゼーション、若しくは誘電絶縁体層等の他の薄膜にパターンにするため、又は、他の装置若しくは導電層あるいは絶縁層のために乾燥するためにも用いることができる。セクション112及びストリート114を形成するためにGaN連続膜の一部を除去する他の手法としては、GaNをセクション112及びストリート114として基板110上に形成(例えば、成長)することができる。しかしながら、GaN連続膜の成長は、ストリート114及びセクション112のパターンをGaN層の成長に比較してより経済的かもしれない。
【0033】
他の方法では、セクション112間のストリート114は基板110を除去後に、例えば、反応性イオンエッチングを用いて広げてもよい。ストリート114の再エッチングは、例えばn型GaNとp型GaNの接合部でセクション112の側壁での電流リークの可能性を低減若しくは除去する。
【0034】
リフトオフ工程を、基板110とセクション112との間の界面を照射することによって、基板110(例えば、サファイアウェハー)からセクション112(例えば、GaN層)を分離するために用いてもよい。実施例のレーザーリフトオフ工程は、均一ビームスポットでかつ上述のような衝撃波を誘起するのに十分なエネルギー密度の単パルス工程を用いてもよい。単パルス工程は、基板110とセクション112との間の界面での露光の重なりを回避して割れを最小にする。均一ビームスポットは分離される層間の界面を照射して実質的に密度勾配を排除し、これによって効果的なリフトオフを容易にするために用いられてもよい。UV固体レーザー及びエキシマレーザーのいずれも、リフトオフ工程のために均一ビームスポットを生成するために、ビームホモジェナイザーと共に用いることができる。一実施形態では248nmのKrFエキシマレーザーを用いる。放電を有する気体レーザー媒体は大きなロー(加工なし)ビームサイズの高平均パワーを生成する。エキシマレーザーの大サイズの高強度ロービームビームと共にホモジェナイザーを適用するのは非常に効果的である。また、ビームスポットに均一に分布するレーザーエネルギー密度を提供することは、単パルス照射を用いた領域における効果的なリフトオフを生成するのに好都合である。
【0035】
図12は、ニアフィールドイメージングによる均一ビームの投影の一例であり、ビーム経路に沿った代表的なビームプロファイルを示している。エキシマレーザー120からのロービームは長軸方向に短軸/トップ平面分布においてガウシアン分布を有する。(例えば、マルチアレイ配置の)ビームホモジェナイザー122はロービーム勾配プロファイルを方形トップ平面プロファイルにする。均一化されたビームはマスク124(例えば、矩形可変アパーチャ)によって刈り込まれて、例えば、ビームイメージングレンズ126を用いてニアフィールドイメージングによってLEDターゲットウェハー116に投影されるビームの最良部を用いる。従って、LEDウェハー116での均一ビームスポットのエッジ解像度はシャープになる。ビームデリバリーシステム用の一構成をこの実施形態では示しているが、当業者は他の構成を用いて均一ビームを形成し、投影してもよいことは認識するだろう。実施形態は矩形アパーチャーのマスク124を示しているが、ニアフィールドイメージングについていかなる形状のマスクも用いることができる。
【0036】
一実施形態では、リフトオフ露光をステップアンドリピート工程を用いて実施する。均一化されたビームスポット130は、図13に示すように、整数の分離されたセクション112(例えば、整数のLEDに対応)を含むように形作られる。ビームスポット130のサイズは、3×3アレイ等のマルチ分離セクション112を含むように、分離されたセクション112のサイズに基づいて精密に形作られる。基板と整数のセクション112との間の界面は単パルス露光を用いて照射されてもよく、工程は各セクション群ごとに(例えば、ダイ)繰り返されてもよい。図13の符号はステップステップアンドリピート工程のための例示のシーケンスを示すものである。照射を各セクション群ごとに繰り返されるので、ビームスポット130のステッチを実施してもよい。ステッチはストリート114内で実施して、アクティブLED領域で生じ得る損傷を回避すると好都合である。実施例の工程はビームスポット130のステッチを約5μm以内に保持している。
【0037】
図14は248nmのエキシマレーザーによるLEDリフトオフウェハー上の単パルスの例を示す。図14では、均一化されたビームスポットが9個のLEDダイをカバーしており、分離されたGaN/サファイア界面は明るく見えている。
【0038】
小領域における単パルスを用いた精確に制御された露光のため、実施例のレーザーリフトオフ露光は残留応力のオフセットのためのLEDウェハーの加熱を要しない。露光は室温で実施されてもよい。リフトオフ露光のレーザー光がサファイアウェハーを通って進行するので、サファイアの表面上の損傷又は破損はGaN/サファイア界面でのシャドウ(影)を作ることになり、リフトオフ界面上の欠陥の原因になる。サファイアの表面はいかなる破損若しくは粒子を除去するために研磨してもよい。リフトオフ露光は、シャドウ効果を低減若しくは排除する異なる角度の範囲のターゲットに行ってもよい。
【0039】
上述の実施例の工程は、成功した工業的応用についてのUVレーザーリフトオフ工程の生産性及び歩留まりを改善し得る。本発明に対応する例示の方法は、LEDウェハー上の残留応力の分離と均一ビームレーザー露光とを組み合わせる。ストリート上のGaN層の選択的エッチングは膜を小領域に分断して、周囲からの残留応力による影響を最小にする。また、小領域自体は最小の残留応力しか有さないので、リフトオフ露光の際にGaN膜にあまり影響を与えない。
【0040】
図15はリフトオフ工程の例を示す。一又は二以上のGaN層132をサファイア基板110上に形成した後、保護コーティング135を、レーザースクライビングの跡においてGaN層上にレーザー生成された破損の堆積を防止するために付けることができる。ストリート114及びセクション112を形成するためのGaN層132の選択的除去はレーザースクライビング若しくは反応性イオンエッチングによって行うことができる。保護コーティング135を除去後に、導電性基板134をGaN層132上に結合することができる。導電性基板134を、限定されないがSi,Ge,GaAs、GaP,銅、銅タングステン、及びモリブデンを含む導電性セラミック及び金属であり得る。GaN層132と導電性基板134との間に(図示しない)反射層を形成してもよい。次いで、サファイア基板110をレーザーリフトオフ工程によって除去できる。レーザーリフトオフ後、GaN表面を、電極金属膜の堆積又は他の必要な段階のために処理し得る。最後に、ウェハーを例えば、個々のLEDダイを形成するために、セクション112巻で分離することができる。
【0041】
実際のウェハー上のGaN層の選択的除去の例を図16に示す。これは、可変非点焦点ビームスポットを用いた高速レーザーカットを提供する固体UVレーザーをGaNの除去に用いたものである。この例では、ダイ若しくはストリートパターンを含まないモノリシックGaN層を最初にサファイアウェハー上に形成した。LEDダイサイズはレーザーによってカットされたラインによって画定される。この例では、選択的除去若しくはレーザーカットの幅は約5μmに過ぎず、ウェハー資産の損失を最小にする。
【0042】
リフトオフ用の導電性基板の中で、モリブデンは、熱膨張のマッチング係数(CTE)、青色スペクトルの高反射性、及び、低延性でかつ高強度等の所望の特性を有する。モリブデンは、GaN(5.6×10-6/K)のCTEに比較的近いCTE(4.8×10-6/K)を有する。PdIn及びSnAu等の金属化合物をGaN上の導電性基板の結合に用いてもよい。これらの結合材料を用いるときは、GaN及び基板は例えば、400℃近傍まで加熱される。GaN層とリフトオフ基板との間のCTEの大きなミスマッチは結合工程に不利な他の高レベルの残留応力を引き起こす。例えば、Cuは高い熱伝導性及び電気伝導性を有するが、高CTE(16.5×10-6/K)のため、2インチGaN/サファイアウェハーを有するリフトオフ基板ほど望ましくはない。
【0043】
モリブデンは、350nmから450nmの範囲の青色スペクトルは約55%の反射率を有する。この値は他の金属に匹敵する。例えば、410nmでの主要金属の反射率は以下の通りである:金(37%)、銅(51%)、ニッケル(50%)、白金(57%)、鉄(58%)、クロム(70%)、銀(86)、アルミニウム(92%)。匹敵する反射率はモリブデンを反射体として直接用いることを可能にするが(すなわち、独立の反射層なしで)、光出力はアルミニウム及び銅等の高反射率を有する金属膜の堆積によって最大化できる。GaNとモリブデン間の高反射膜層は例えば、高レベルの残留応力を導入することなしで、青色LEDのパファーマンスを増大できる。例えば、アルミニウムはGaN表面上に堆積して反射層を形成できる。アルミニウム膜の酸化はモリブデン基板への結合に不利なので、他の金属膜層を酸化を防止し、結合をエンハンスするために堆積できる。酸化せず、モリブデンに対してアルミニウム膜に付着可能にする金属膜の例として限定的ではないが、すず、亜鉛、鉛及び金を含む。
【0044】
モリブデンはまた、ダイ分離工程中にも利点を有する。従来のダイヤモンド鋸若しくはダイヤモンドけがきは主にその高延性に起因して、金属膜の分離用に用いることは困難である。しかしながら、機械的破壊は延性基板上では困難なので、銅等の高延性の金属膜は分離のために100%スルーカットを要する。カット後は小さなダイの統合性(結合性)を維持しないのでレーザースルーカットは取り扱いの問題が生ずる。モリブデンは高強度と低延性を有する。モリブデンのこれらの独特の機械的特性は、厚さの約90%についてのレーザースクライビングされるときさえ、機械的破壊を容易にする。
【0045】
他の例示的な方法では、レーザーオフ露光を、生産性を最大にするために、高速移動制御の方法と組み合わされてもよい。レーザーリフトオフが精確な設計ビームステッチを伴うステップアンドリピートを利用するとき、レーザーのトリガーについてターゲット上で精確にするのが望ましい。ステップアンドリピート工程の最速可能速度が生産性の向上には望ましい。移動ステージの位置を比較するために移動制御の特別な機能を用いて、所定の位置のレーザーにトリガー信号を送ることができる。この技術は“位置比較及びトリガー”又は“ファイアオンフライ(はえ上のファイア)”と称される。移動ステージが連続移動をしている間、運動コントローラ内のプロセッサはエンコーダーのカウンタを絶えずユーザーがプログラムした値と比較し、トリガー信号をマッチング値を有するレーザーに送り出す。移動ステージはステップアンドリピートの際に停止する必要はないが、連続移動で移動してもよい、すなわちレーザーのファイアオンフライであってもよい。例えば、リフトオフ工程がファイアオンフライ技術を用いるとき、200Hzのレーザーのパルス繰り返し速度で1×1mm2の均一のビームスポットサイズは、約1分内で2インチ直径LEDウェハーのリフトオフ工程を実施できる。
【0046】
例示の実施形態はリフトオフ工程を実施する前にストリート114及びセクション112を形成することを含むが、ここに記載の技術は最初に層をセクションに分離することなしで連続層を分離するために用いてもよい。連続層の効果的な分離を可能にするが、レーザーパルスが重なる所に形成された微小クラックがある。
【0047】
他の実施例の方法はリフトオフ露光のためにレーザービームを走査して例えば、同心パターンで照射するために、独自の技術を用いてもよい。このような技術を用いて、基板上に一若しくは二以上の分離層又は一若しくは二以上の連続層のリフトオフを実施してもよい。GaN/サファイアLEDウェハー内の残留応力は張力と圧縮とが両方存在するところに同心状に分布する。ウェハー中心をクロスするとき、レーザー露光は分離された領域と分離されていない領域との間の界面すなわち、走査される領域と走査されない領域との間の界面における応力レベルの大きな差異を生じる。異なる方法では、ビームは同じレベルの応力で位置に沿って残留応力を緩和するために円形、螺旋、若しくはヘリカル露光で走査してもよい。この方法は走査される領域と走査されない領域との間の界面で応力勾配を低減する。代替として、照射の際の曲がりモーメントを最小にするための寸法のラインビームは上述のように界面を走査してもよい。
【0048】
図17は方形ビームスポット150の同心状リフトオフ露光を示す。図18は円形ビーム152の同心状リフトオフ露光を示す。一方法では、ウェハーが露光のために同心状に(例えば、円形又はヘリカルパターンで)並進する間、レーザービームは固定である。他の方法では、ビームは固定ウェハー上で(例えば、円形又はヘリカルパターンで)移動してもよい。
【0049】
円形ビームを移動する一方法は、回転モーターによる移動において2個のミラーを精密に制御する。当業者に公知の他のビームスポット形状例えば、三角、六角、他の多角形状を用いてもよい。多角形状ダイを照射する多角形状レーザーパターンの場合には、ビームはダイ又はダイ群を覆い、制御されたパターンで基板から膜を分離して制御された態様で応力を緩和するために、円形若しくは螺旋状移動で動いてもよい。
【0050】
他の代替では可変環状ビームスポットを用いて同心状の走査を実現する。図19に示したように、可変環状ビームスポットはその直径を漸進的に減少して、ウェハーの外側エッジから中心へ同心状に走査する。同心状に移動する可変環状ビームスポットは、レーザーリフトオフ露光の際に残留応力の安定な緩和を提供する。
【0051】
図20は、さらなる実施形態に対応する、電気メッキ基板を分離するためのレーザーリフトオフ工程を示す。GaNのセクション112を有するサファイアウェハー若しくは基板110は金属若しくは金属合金で電気メッキして金属基板160を形成してもよい。ニッケル、銅若しくはその合金は電気メッキに用いてもよい。次いで、金属基板160は例えば、UVレーザーを用いてセクション112巻の位置162で切断してもよい。支持膜164を金属基板160上に載置して、上述のようなレーザーリフトオフ工程を用いてサファイア基板110を分離してもよい。コンタクトメタライゼーション等のポストレーザーリフトオフ工程を用いて、金属基板160の部分を除去してダイ166を形成してもよい。次いで、ダイ166を分離してもよい。レーザーリフトオフの前に金属基板160を切断することによって、サファイア基板110に結合することによってダイ166の統合性を維持することができる。当業者はこの工程が他の材料を用いて実施してもよいことは認識する。
【0052】
まとめると、本発明の一態様に一致する方法によれば、第1及び第2基板を基板間の少なくとも一材料層を備える。この材料層はストリートによって分離される複数のセクションに分離されるものである。ビームスポットはレーザーを用いて形成され、整数のセクションをカバーするような形状にされている。第1基板とセクションとの間の界面はビームスポットを用いて照射される。照射は、第1基板を全セクションから分離するまで、各整数のセクションについて繰り返し実施される。
【0053】
他の方法では、少なくとも一材料層をその上に有する基板を備え、均一ビームスポットを少なくともレーザーとビームホモジェナイザーとを用いて形成される。層と基板との界面は、均一ビームスポットの単パルスを用いて実質的に一様に分布されたレーザーエネルギー密度で照射され、基板から層が分離される。
【0054】
他の方法では、少なくとも一材料層をその上に有する第1基板を備え、材料層をエッチングして、第1基板上で層をストリートによって複数のセクションに分離する。第2の基板をセクションに付け、均一ビームスポットをレーザーを用いて形成する。均一ビームスポットは整数のセクションをカバーするような形状とされる。第1の基板とセクションとの間の界面は均一ビームスポットを用いて照射する。照射を、整数の各セクション毎に繰り返し実施する。第1基板を全セクションから分離する。
【0055】
他の方法では、少なくとも一のGaN層をその上に有する第1基板を備え、少なくとも一の膜をGaN層上に形成する。膜は反射膜を含んでもよい。モリブデンを含む第2基板を膜に付け、第1基板とGaN層との間の界面を照射して、GaN層から第1基板を分離する。
【0056】
本発明の原理をここに記載したが、以上の説明は例示としてだけであり、本発明の範囲を限定するものではないことは当業者は理解されたい。ここに示した実施形態以外に、他の実施形態も本発明の範囲内で考えてもよい。当業者による変形、置換は特許請求の範囲以外で限定されることはなく、本発明の範囲内で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】水平型電極配置を有する従来のGaNLEDの断面を示す概略図である。
【図1B】図1Aで示したGaNLEDの平面図である。
【図2】垂直型電極配置を有するGaNLEDの断面を示す概略図である。
【図3】垂直型電極配置を有するGaNLEDの製造工程を示すフロー図である。
【図4A】MOCVD工程中のGaN/サファイアウェハーを示す概略図である。
【図4B】MOCVD工程後のGaN/サファイアウェハー上の残留応力の形成を模式的に図である。
【図5A】Qスイッチ355nmNd:YAGレーザーを用いてGaN/サファイアウェハー上のレーザーリフトオフの従来方法を示す概略図である。
【図5B】248nmエキシマレーザーを用いてGaN/サファイアウェハー上のレーザーリフトオフの従来方法を示す概略図である。
【図6】GaN/サファイアLEDウェハー上のQスイッチ355nmNd:YAGレーザーのラスタースキャンを示す概略図である。
【図7】界面での高確率のモデルI型及びII型クラックを形成する、GaN/サファイアLEDウェハー上のラスタースキャンを示す概略図である。
【図8】本発明の一実施形態に対応する、層を剥離するための衝撃波を誘起するレーザーパルスの使用の模式図である。
【図9】本発明の一実施形態に対応する、レーザー露出領域と層の剥離の断面を示す概略図である。
【図10A】異なるレーザーエネルギー密度の効果を示す概略図である。
【図10B】異なるレーザーエネルギー密度の効果を示す概略図である。
【図10C】異なるレーザーエネルギー密度の効果を示す概略図である。
【図11】本発明の一実施形態に対応する、サファイアウェハーを無傷のままGaN層を複数のダイに分離するためにストリート上にGaN層の選択的アブレーションを描くウェハーの概略図である。
【図12】本発明の他の実施形態に対応する、ビームパスに沿って示した一様なビーム及び代表的なビームプロファイルの投影を示すビームデリバリーシステムを示す概略図である。
【図13】本発明の他の実施形態に対応する、ステップ・アンド・リピート工程を用いたレーザーリフトオフ露光を示すウェハーの概略図である。
【図14】ステップ・アンド・リピートリフトオフ工程を用いた3×3個のLEDアレイ上の単パルス露光を示すウェハーの写真である。
【図15】本発明の他の実施形態に対応する、残留応力の分離と精確なステップ・アンド・リピートレーザービーム露光を組み合わせたレーザーリフトオフ工程を示す概略図である。
【図16】可変非点焦点ビームスポットを有する固体UVレーザーによるGaNの選択的除去を示すウェハーの概略図である。
【図17】本発明の他の実施形態に対応する、矩形ビームを用いた同心若しくはヘリカルレーザーリフトオフ露光を示す概略図である。
【図18】本発明の他の実施形態に対応する、円形ビームを用いた同心若しくはヘリカルレーザーリフトオフ露光を示す概略図である。
【図19】本発明の他の実施形態に対応する、可変環状ビームを用いた同心レーザーリフトオフ露光を示す概略図である。
【図20】本発明の他の実施形態に対応する、レーザーリフトオフ工程を示す概略図である。
【符号の説明】
【0058】
102 基板材料
104 ターゲット材料
106 界面
110 基板
112 セクション
114 ストリート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板と前記基板間に少なくとも一の材料層とを備る段階であって、前記少なくとも一の材料層はストリートによって複数のセクションに分離されるところの段階と;
レーザーを用いてビームスポットを形成する段階であって、前記ビームスポットは整数の数の前記セクションをカバーするような形状にされている段階と;
前記ビームスポットを用いて前記第1基板と前記第2基板との間の界面を照射する段階であって、該照射は、前記第1基板が前記セクション全てから分離されるまで前記整数の数のセクションの各々ごとに実施するところの段階と;を備えた基板から少なくとも一の材料層を分離する方法。
【請求項2】
前記照射段階は、前記ビームスポットのステッチを前記セクション間の前記ストリート内だけに生ずるように、前記整数の数のセクションの各々ごとに対して実施する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板と前記層をステージ上に移動する段階と;
前記ステージの位置を所定の値と比較する段階であって、前記レーザーは前記ビームスポットを形成するために前記位置に基づいてトリガーされ、前記第1基板と前記整数の数のセクションの各々との間の前記界面を照射するところの段階と;をさらに備えた請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステージは実質的に連続的に移動する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記セクションはほぼ矩形であり、前記ビームスポットはほぼ矩形である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに、前記複数のセクションを形成するために、前記少なくとも一の材料層をエッチングする段階をさらに備えた請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも一の材料層をエッチングする前記段階は、レーザーを用いて前記ストリートにおける前記少なくとも一の材料層の一部を選択的に除去することを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも一の材料層をエッチングする前記段階は、エキシマレーザーを用いてパターン化レーザー投影を付与することを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも一の材料層をエッチングする前記段階は、UVダイオードポンプされる固体レーザーを用いてダイシングすることを含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記基板が半導体ウェハーであり、前記少なくとも一の材料層の前記セクションがダイに対応する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1基板と前記セクションとの間の前記界面を、ビームホモジェナイザーを用いて形成された均一ビームスポットを用いて照射する請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記界面を照射する段階は、前記界面を、前記界面に対して角度を有してレーザー光に露光する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記レーザーはエキシマレーザーであり、前記界面を照射する段階は、前記界面を、前記整数の数のセクションの各々について前記エキシマレーザーの単パルスに露光することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記照射段階は、前記界面に爆発衝撃波を誘起するのに十分なレーザーエネルギー密度を用いて実施し、前記爆発衝撃波は前記第1基板を前記セクションから分離する請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記照射段階は、約0.60J/cm2から1.6J/cm2の範囲のレーザーエネルギー密度を用いて実施する請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記セクションと前記ストリートを他の材料層によってカバーする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも一の材料層を上に有する基板を備える段階と;
少なくともレーザーとビームホモジェナイザーとを用いて均一なビームスポットを形成する段階と;
前記層と前記基板との間の界面を、実質的に一様に分布するレーザーエネルギー密度を有する前記均一なビームスポットの単パルスを用いて照射して前記層を前記基板から分離する段階と;を備えた基板から少なくとも一の材料層を分離する方法。
【請求項18】
前記均一なビームスポットを形成する段階は、ロービームを前記ビームホモジェナイザーを通過させ、次いで可変アパーチャーを通過させることを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記可変アパーチャーはほぼ方形形状を有する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記レーザーはエキシマレーザーを含む請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記界面を照射する段階は、ほぼ円形方向に前記層を有する前記基板を移動することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記層を前記基板上でダイアレイに分割し、前記均一なビームスポットを整数の数の前記ダイを含むような形状にされる請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記界面を照射する段階は、前記界面を、前記界面に対して角度を有してレーザー光に露光する段階を含む請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記基板はサファイアウェハーであり、前記少なくとも一の材料層は少なくとも一のGaN層を含む請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも一の層はGaNバッファ層を含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記均一なビームスポットは248nmエキシマレーザーを用いて形成される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも一の層はAlNバッファ層を含む請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記均一なビームスポットは193nmエキシマレーザーを用いて形成される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記照射は、前記界面に爆発衝撃波を誘起するのに十分なレーザーエネルギー密度を用いて実施し、前記爆発衝撃波は前記第1基板を前記セクションから分離する請求項17に記載の方法。
【請求項30】
前記レーザーエネルギー密度は、約0.60J/cm2から1.6J/cm2の範囲である請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記均一なビームスポットは細長ライン形状であり、前記照射段階は前記界面を前記細長ラインで走査することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも一の材料層を上に有する基板を備える段階と;
レーザーを用いて
ビームスポットを形成する段階と;
前記第1基板と前記層との間の界面を、前記ビームスポットを用いて照射する段階であって、前記界面はほぼ同心パターンで照射して前記層を前記基板から分離する段階と;を備えた基板から少なくとも一の材料層を分離する方法。
【請求項33】
前記ビームスポットはほぼ多角形形状であり、前記同心パターンは螺旋パターンである請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ビームスポットはほぼ円形であり、前記同心パターンは螺旋パターンである請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記ビームスポットは均一なビームスポットである32に記載の方法。
【請求項36】
前記ビームスポットは可変環状ビームスポットであり、前記可変環状ビームスポットの直径は前記第1基板と前記層との間の前記界面は同心状に走査するように縮小している請求項32に記載の方法。
【請求項37】
同心状に前記界面を前記照射する段階は、前記ビームスポットが前記基板に対して螺旋方向に移動するように、前記層を有する前記基板を保持するステージを移動することを含む請求項32に記載した方法。
【請求項38】
少なくとも一の材料層を上に有する第1基板を備える段階と;
前記少なくとも一の材料層をエッチングして、前記少なくとも一の層を前記第1基板上にストリートによって分離された複数のセクションに分割する段階であって、前記セクションはダイに対応するところの段階と;
第2基板を前記セクションにつける段階と;
レーザーを用いて均一なビームスポットを形成する段階であって、前記均一なビームスポットは整数の数の前記セクションをカバーするような形状にされている段階と;
前記均一なビームスポットを用いて前記第1基板と前記セクションとの間の界面を照射する段階であって、前記照射は前記整数の数のセクションの各々に対して実施する段階と;
前記第1基板を前記セクションの全てから分離する段階と;を備えた基板から少なくとも一の材料層を分離する方法。
【請求項39】
前記第1基板を分離した後、前記セクションを分離して前記ダイを形成する段階をさらに備えた請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記セクションを分離する段階は、前記セクション間の前記ストリート上の前記第2基板をけがくことを含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1基板はサファイアウェハーである請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも一の層はGaNを含む請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記第2基板はモリブデン又はその合金を含む請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも一の材料層を上に有する第1基板を備える前記段階は、サファイア基板上に多重モノリシックGaN層を成長させることを含む請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも一の層に保護コーティングをつける段階と、前記少なくとも一の層をエッチング後であってかつ前記第2基板をつける前に前記保護コーティングを除去する段階とをさらに備えた請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記均一なビームスポットは、前記レーザーによって生成されたロービームをホモジェナイザー及びアパーチャーを通すことによって形成する請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記基板をステージ上に移動する段階と;
前記ステージの位置を所定の値と比較する段階であって、前記レーザーは前記位置に基づいてトリガーされて前記ビームスポットを形成し、前記第1基板と前記整数の数のセクションの各々との間の界面を照射する段階と;をさらに備えた請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記レーザーはエキシマレーザーであり、前記界面を照射する段階は、前記整数の数のセクションの各々について前記界面を前記エキシマレーザーの単パルスに露光する段階を含む請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記照射は、前記界面に爆発衝撃波を誘起するのに十分なレーザーエネルギー密度を用いて実施し、前記爆発衝撃波は前記第1基板を前記セクションから分離する請求項38に記載の方法。
【請求項50】
前記エネルギー密度は約0.60J/cm2〜1.6J/cm2の範囲である請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第2基板をつける前に、前記セクション及び前記ストリート上に金属基板を形成する段階と;
前記セクション間の位置に少なくとも前記金属基板をカットする段階と;
前記第1基板を前記セクションから分離した後に前記金属基板の少なくとも一部を除去する段階と;をさらに備えた請求項38に記載の方法。
【請求項52】
少なくとも一のGaN層を上に有する第1基板を備える段階と;
前記GaN層上に反射膜を含む少なくとも一の膜を形成する段階と;
前記少なくとも一の膜にモリブデンを含む第2基板をつける段階と;
前記第1基板と前記GaN層との間の界面を照射して、前記第1基板を前記GaN層から分離する段階と;を備えた基板から少なくとも一の材料層を分離する方法。
【請求項53】
前記反射膜はアルミニウム膜である請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記少なくとも一の層はさらに、前記アルミニウム膜上に金属膜を含み、第2基板は前記金属膜につけられた前記モリブデンを含む請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記第2基板をつける前に、前記少なくとも一のGaN層及び前記少なくとも一の膜をエッチングして前記第1基板上にストリートによって分離された複数のダイを形成する請求項請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記照射段階は、前記界面を、前記界面に対して角度を有してレーザー光に露光する段階を含む請求項52に記載の方法。
【請求項57】
少なくとも一の材料層を上に有する第1基板を備える段階と;
前記少なくとも一の材料層に第2基板をつける段階と;
前記界面を前記界面に対して角度を有してレーザー光に露光することによって、前記第1基板と前記材料層との間の界面を照射して、前記第1基板を前記材料層から分離する段階と;を備えた基板から少なくとも一の材料層を分離する方法。
【請求項1】
第1基板と第2基板と前記基板間に少なくとも一の材料層とを備る段階であって、前記少なくとも一の材料層はストリートによって複数のセクションに分離されるところの段階と;
レーザーを用いてビームスポットを形成する段階であって、前記ビームスポットは整数の数の前記セクションをカバーするような形状にされている段階と;
前記ビームスポットを用いて前記第1基板と前記第2基板との間の界面を照射する段階であって、該照射は、前記第1基板が前記セクション全てから分離されるまで前記整数の数のセクションの各々ごとに実施するところの段階と;を備えた基板から少なくとも一の材料層を分離する方法。
【請求項2】
前記照射段階は、前記ビームスポットのステッチを前記セクション間の前記ストリート内だけに生ずるように、前記整数の数のセクションの各々ごとに対して実施する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板と前記層をステージ上に移動する段階と;
前記ステージの位置を所定の値と比較する段階であって、前記レーザーは前記ビームスポットを形成するために前記位置に基づいてトリガーされ、前記第1基板と前記整数の数のセクションの各々との間の前記界面を照射するところの段階と;をさらに備えた請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステージは実質的に連続的に移動する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記セクションはほぼ矩形であり、前記ビームスポットはほぼ矩形である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに、前記複数のセクションを形成するために、前記少なくとも一の材料層をエッチングする段階をさらに備えた請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも一の材料層をエッチングする前記段階は、レーザーを用いて前記ストリートにおける前記少なくとも一の材料層の一部を選択的に除去することを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも一の材料層をエッチングする前記段階は、エキシマレーザーを用いてパターン化レーザー投影を付与することを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも一の材料層をエッチングする前記段階は、UVダイオードポンプされる固体レーザーを用いてダイシングすることを含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記基板が半導体ウェハーであり、前記少なくとも一の材料層の前記セクションがダイに対応する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1基板と前記セクションとの間の前記界面を、ビームホモジェナイザーを用いて形成された均一ビームスポットを用いて照射する請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記界面を照射する段階は、前記界面を、前記界面に対して角度を有してレーザー光に露光する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記レーザーはエキシマレーザーであり、前記界面を照射する段階は、前記界面を、前記整数の数のセクションの各々について前記エキシマレーザーの単パルスに露光することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記照射段階は、前記界面に爆発衝撃波を誘起するのに十分なレーザーエネルギー密度を用いて実施し、前記爆発衝撃波は前記第1基板を前記セクションから分離する請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記照射段階は、約0.60J/cm2から1.6J/cm2の範囲のレーザーエネルギー密度を用いて実施する請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記セクションと前記ストリートを他の材料層によってカバーする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも一の材料層を上に有する基板を備える段階と;
少なくともレーザーとビームホモジェナイザーとを用いて均一なビームスポットを形成する段階と;
前記層と前記基板との間の界面を、実質的に一様に分布するレーザーエネルギー密度を有する前記均一なビームスポットの単パルスを用いて照射して前記層を前記基板から分離する段階と;を備えた基板から少なくとも一の材料層を分離する方法。
【請求項18】
前記均一なビームスポットを形成する段階は、ロービームを前記ビームホモジェナイザーを通過させ、次いで可変アパーチャーを通過させることを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記可変アパーチャーはほぼ方形形状を有する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記レーザーはエキシマレーザーを含む請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記界面を照射する段階は、ほぼ円形方向に前記層を有する前記基板を移動することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記層を前記基板上でダイアレイに分割し、前記均一なビームスポットを整数の数の前記ダイを含むような形状にされる請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記界面を照射する段階は、前記界面を、前記界面に対して角度を有してレーザー光に露光する段階を含む請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記基板はサファイアウェハーであり、前記少なくとも一の材料層は少なくとも一のGaN層を含む請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも一の層はGaNバッファ層を含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記均一なビームスポットは248nmエキシマレーザーを用いて形成される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも一の層はAlNバッファ層を含む請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記均一なビームスポットは193nmエキシマレーザーを用いて形成される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記照射は、前記界面に爆発衝撃波を誘起するのに十分なレーザーエネルギー密度を用いて実施し、前記爆発衝撃波は前記第1基板を前記セクションから分離する請求項17に記載の方法。
【請求項30】
前記レーザーエネルギー密度は、約0.60J/cm2から1.6J/cm2の範囲である請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記均一なビームスポットは細長ライン形状であり、前記照射段階は前記界面を前記細長ラインで走査することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも一の材料層を上に有する基板を備える段階と;
レーザーを用いて
ビームスポットを形成する段階と;
前記第1基板と前記層との間の界面を、前記ビームスポットを用いて照射する段階であって、前記界面はほぼ同心パターンで照射して前記層を前記基板から分離する段階と;を備えた基板から少なくとも一の材料層を分離する方法。
【請求項33】
前記ビームスポットはほぼ多角形形状であり、前記同心パターンは螺旋パターンである請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ビームスポットはほぼ円形であり、前記同心パターンは螺旋パターンである請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記ビームスポットは均一なビームスポットである32に記載の方法。
【請求項36】
前記ビームスポットは可変環状ビームスポットであり、前記可変環状ビームスポットの直径は前記第1基板と前記層との間の前記界面は同心状に走査するように縮小している請求項32に記載の方法。
【請求項37】
同心状に前記界面を前記照射する段階は、前記ビームスポットが前記基板に対して螺旋方向に移動するように、前記層を有する前記基板を保持するステージを移動することを含む請求項32に記載した方法。
【請求項38】
少なくとも一の材料層を上に有する第1基板を備える段階と;
前記少なくとも一の材料層をエッチングして、前記少なくとも一の層を前記第1基板上にストリートによって分離された複数のセクションに分割する段階であって、前記セクションはダイに対応するところの段階と;
第2基板を前記セクションにつける段階と;
レーザーを用いて均一なビームスポットを形成する段階であって、前記均一なビームスポットは整数の数の前記セクションをカバーするような形状にされている段階と;
前記均一なビームスポットを用いて前記第1基板と前記セクションとの間の界面を照射する段階であって、前記照射は前記整数の数のセクションの各々に対して実施する段階と;
前記第1基板を前記セクションの全てから分離する段階と;を備えた基板から少なくとも一の材料層を分離する方法。
【請求項39】
前記第1基板を分離した後、前記セクションを分離して前記ダイを形成する段階をさらに備えた請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記セクションを分離する段階は、前記セクション間の前記ストリート上の前記第2基板をけがくことを含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1基板はサファイアウェハーである請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも一の層はGaNを含む請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記第2基板はモリブデン又はその合金を含む請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも一の材料層を上に有する第1基板を備える前記段階は、サファイア基板上に多重モノリシックGaN層を成長させることを含む請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも一の層に保護コーティングをつける段階と、前記少なくとも一の層をエッチング後であってかつ前記第2基板をつける前に前記保護コーティングを除去する段階とをさらに備えた請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記均一なビームスポットは、前記レーザーによって生成されたロービームをホモジェナイザー及びアパーチャーを通すことによって形成する請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記基板をステージ上に移動する段階と;
前記ステージの位置を所定の値と比較する段階であって、前記レーザーは前記位置に基づいてトリガーされて前記ビームスポットを形成し、前記第1基板と前記整数の数のセクションの各々との間の界面を照射する段階と;をさらに備えた請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記レーザーはエキシマレーザーであり、前記界面を照射する段階は、前記整数の数のセクションの各々について前記界面を前記エキシマレーザーの単パルスに露光する段階を含む請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記照射は、前記界面に爆発衝撃波を誘起するのに十分なレーザーエネルギー密度を用いて実施し、前記爆発衝撃波は前記第1基板を前記セクションから分離する請求項38に記載の方法。
【請求項50】
前記エネルギー密度は約0.60J/cm2〜1.6J/cm2の範囲である請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第2基板をつける前に、前記セクション及び前記ストリート上に金属基板を形成する段階と;
前記セクション間の位置に少なくとも前記金属基板をカットする段階と;
前記第1基板を前記セクションから分離した後に前記金属基板の少なくとも一部を除去する段階と;をさらに備えた請求項38に記載の方法。
【請求項52】
少なくとも一のGaN層を上に有する第1基板を備える段階と;
前記GaN層上に反射膜を含む少なくとも一の膜を形成する段階と;
前記少なくとも一の膜にモリブデンを含む第2基板をつける段階と;
前記第1基板と前記GaN層との間の界面を照射して、前記第1基板を前記GaN層から分離する段階と;を備えた基板から少なくとも一の材料層を分離する方法。
【請求項53】
前記反射膜はアルミニウム膜である請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記少なくとも一の層はさらに、前記アルミニウム膜上に金属膜を含み、第2基板は前記金属膜につけられた前記モリブデンを含む請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記第2基板をつける前に、前記少なくとも一のGaN層及び前記少なくとも一の膜をエッチングして前記第1基板上にストリートによって分離された複数のダイを形成する請求項請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記照射段階は、前記界面を、前記界面に対して角度を有してレーザー光に露光する段階を含む請求項52に記載の方法。
【請求項57】
少なくとも一の材料層を上に有する第1基板を備える段階と;
前記少なくとも一の材料層に第2基板をつける段階と;
前記界面を前記界面に対して角度を有してレーザー光に露光することによって、前記第1基板と前記材料層との間の界面を照射して、前記第1基板を前記材料層から分離する段階と;を備えた基板から少なくとも一の材料層を分離する方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2007−534164(P2007−534164A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506445(P2007−506445)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/010412
【国際公開番号】WO2005/094320
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(505312202)ジェイピー・サーセル・アソシエイツ・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/010412
【国際公開番号】WO2005/094320
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(505312202)ジェイピー・サーセル・アソシエイツ・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
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