説明

架橋ポリシロキサン、その製造方法および油中水型乳化物のための乳化剤システムにおける架橋ポリシロキサンの使用

【課題】架橋有機ポリシロキサンを含む乳化剤系を提供する。
【解決手段】本発明は、ポリエーテルビルディングブロックによってSi原子を介して結合した架橋有機ポリシロキサン、これらの架橋有機ポリシロキサンを有する乳化剤系、および架橋有機ポリシロキサンまたはこれらを含む乳化剤系を含む化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエーテルビルディングブロックによってSi原子を介して結合した架橋有機ポリシロキサン、これらの架橋有機ポリシロキサンを有する乳化剤システム、および架橋有機ポリシロキサンまたはこれらを含む乳化剤システムを含む化粧用製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
有機変性シロキサンは多種多様な用途に用いられている。その性質は、目的に応じて、とりわけ、変性のタイプによって、および変性量(modification density)によって調整することができる。
【0003】
よって、例えば、アリルポリエーテルを用いて有機物親和性または非イオン性親水性基をシロキサン主鎖に結合させてもよい。よって、例えばDE102005001041は、官能化ポリ有機シロキサンおよびその燃料用消泡剤としての使用を記載する。ここでのシロキサン中のアリルポリエーテルは、適切な場合、合成を変更することによって炭化水素基で置換することができる。
【0004】
一般に、シロキサンは、例えばα−オレフィンと反応させることによって、親油性基と結合することができる。こうして得られたシリコーンワックスは、例えば、パーソナルケア用途における添加剤としての役割を果たす。
【0005】
シロキサンの効果は、対応する処方との相溶性に決定的に依存することが、多くの適用分野において見出されている。
【0006】
好ましい化粧用乳化剤は、例えば、α−オレフィンをベースとする脂肪族基に加えてポリエーテルも有するシロキサンである。ここで認識されるべき典型的な例は、Evonik Goldschmidt GmbH(独国)から市販品されているABIL(登録商標)EM90であり、これは油中水型(W/O)乳化物の優れた安定化によって特に特徴付けられる(US4698178)。
【0007】
この油中水型乳化剤の不都合な点は、シリコーン油の割合の高い(>15重量%)製剤、特にシクロペンタシロキサンの割合の高い製剤を、長期間、場合によっては高い温度で、安定な乳化物とすることができない点である。それでもなおこの製剤を可能とするために、例えばABIL(登録商標)EM90のような既知の乳化剤に、更なる共乳化剤または乳化剤システムをしばしば添加しなければならないか、またはシリコーン油の割合の低い製剤を用いる必要がある。更なる共乳化剤/安定化剤は、例えばUV吸収剤やワックスのような結晶質の成分を含む乳化物の安定化にもしばしば必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の目的は、比較的高い割合のシリコーン油の処方で製造される乳化物も安定化させることができる、別の油中水型乳化剤を提供することである。さらに、油中水型乳化剤は好ましくは結晶性成分を有する安定な乳化物に到達するのに適していなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、アルキルポリエーテルビルディングブロックによって結合された有機ポリシロキサンユニットを有する、請求項1の架橋有機ポリシロキサンを有する乳化剤システムの使用により、シリコーン油、特にシクロペンタシロキサンの割合が質量で15%超の製剤であっても、数ヶ月間安定な乳化物を製造することができることが見出された。
【0010】
従って、本発明は、請求の範囲および以下の記載による架橋有機ポリシロキサン、乳化剤システムの製造のための本発明の架橋有機ポリシロキサンの使用、および本発明の架橋有機ポリシロキサンを有する乳化剤システム、および油中水型乳化物または分散物の製造のための、少なくとも1つの本発明の乳化剤システムの使用も提供する。
【0011】
本発明は、同様に、少なくとも1つの本発明の乳化剤システムを含む、化粧用または医薬用の油中水型乳化物または分散物を提供する。
【0012】
本発明は、さらに、本発明の架橋有機ポリシロキサンまたは本発明の乳化剤システムの、化粧品製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤の製造のための使用、ならびに対応する化粧品製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤自体も提供する。
【0013】
本発明の架橋有機ポリシロキサンは、それら自体または好ましくは非架橋有機ポリシロキサンと混合して、シリコーン油の割合の高い製剤および好ましくは上述した他の要件の1つ以上を満たす製剤の製造のための乳化剤として適しているという利点がある。
【0014】
本発明の架橋有機ポリシロキサンは、従来技術で用いられている非架橋有機ポリシロキサンよりもかなり粘度が高い。このことは、乳化物の製造中においても、より高い粘度が生じるという利点がある。これにより、乳化物形成の間、より効果的にせん断力をかけることができる。
【0015】
本発明の架橋有機ポリシロキサンおよび/またはそれから製造された乳化剤システムは、さらに、良好な長期安定性を有する乳化物をもたらすという利点もある。
【0016】
本発明の架橋有機ポリシロキサンおよび/またはそれから製造された乳化剤システムのさらなる利点は、結晶化する傾向がある液体であっても安定化できるという点である。したがって、本発明の架橋有機ポリシロキサンおよび/またはそれから製造された乳化剤システムは、結晶の形成を抑制する。
【0017】
本発明の乳化剤は、80重量%を超える水相および1重量%以下の乳化剤を含有する油中水型乳化物を製造することができるという利点がある。
【0018】
本発明の乳化剤によれば、皮膚に適用した直後に壊れ、際立った目に見える保湿効果を提供する、クイックブレーク油中水型乳化物を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による物質、混合物および製剤を、例を用いて以下に説明するが、本発明をこれらの例示的な実施形態に限定することを意図するものではない。範囲、一般式または化合物のクラスを以下に示す場合、これらは明示した対応する範囲または化合物群のみならず、個々の値(範囲)または化合物を抜き出すことによって得ることができるあらゆる部分範囲および化合物の部分群も包含することを意図する。本明細書の文脈中に文書を引用する場合は、これらの内容全体が本発明の開示内容に属するものと見なされる。本発明の文脈内で、化合物、例えば、複数の異なる構成ユニットを有し得る有機変性ポリシロキサン等が記載される場合、これらはこの化合物中でランダムに分布していてもよいし(ランダムオリゴマー)、または配列していてもよい(ブロックオリゴマー)。このような化合物中の構成単位の数に関するデータは、対応する化合物全体で平均した平均値を意味するものと理解すべきである。特筆しない限り、パーセント(%)で示すデータは質量%である。特筆しない限り、記載される平均値は数平均である。
【0020】
本発明の架橋有機ポリシロキサンは、式(I)
−CH−CH−(G)O(EO)(PO)(XO)− (I)
(式中、
Gは、二価有機基であり、好ましくはCH、C=O、CRまたはCHRであり、好ましくはCHであり、
EOは、COであり、
POは、CO(プロピレンオキシドユニット)であり、
XOは、COであり、
nは、1〜16であり、好ましくは1〜9であり、より好ましくは1であり、
xは、2〜50であり、好ましくは5〜30であり、より好ましくは6〜15であり、
yは、0〜50であり、好ましくは0または0より大〜15であり、好ましくは0であり、
zは、0〜10であり、好ましくは0または0より大〜2であり、好ましくは0であり、
は、互いに独立に、2〜16個の炭素原子を有するアルキル素基(エーテル官能基が割り込んでいてもよい)、7〜18個の炭素原子を有するアルカリル基および6〜16個の炭素原子を有するアリール基を含む群から選択される、同一または異なる基であり、好ましくはエチルまたはフェニルである)
のビルディングブロックによって結合した有機ポリシロキサンユニットを有することを特徴とし、ここで、式(I)のビルディングブロックは両方の結合点でSi原子に直接結合する。
【0021】
本発明の化合物は、混合物の形態で存在し、その分布は実質的には統計的法則に制御される。したがって、添字x、yおよびzの値は、平均値である。添字x、yおよびzで特徴付けられるユニットは、式IIの化合物において、ランダム分布、ブロック様または任意の他の望ましい順に配列して存在していてもよい。
【0022】
好ましくは、各架橋有機ポリシロキサン1ユニットは、平均して、1以上、好ましくは1〜10、好ましくは1.1〜5、特に好ましくは1.5〜4つの、式(I)のビルディングブロックへの結合点を有する。
【0023】
本発明の架橋有機ポリシロキサンにおいて、有機ポリシロキサンユニットは、好ましくは、同一または異なる式(II)のユニット
2+c+2dD’ (II)
(式中、
Mは、(RSiO1/2)であり、
Dは、(RSiO2/2)であり、
D’は、(RSiO2/2)であり、
Tは、(RSiO3/2)であり、
Qは、(SiO4/2)であり
aは、30〜800であり、好ましくは40〜500であり、好ましくは50〜400であり、特に好ましくは75〜150であり、
bは、1〜40であり、好ましくは3〜35であり、好ましくは20〜30であり、
cは、0〜2であり、好ましくは0または0より大〜1であり、好ましくは0.05〜0.2であり、特に好ましくは約0.1であり、
dは、0〜2であり、好ましくは0または0より大〜1であり、好ましくは0であり、
は、RまたはRであり、
は、互いに独立に、VあるいはHあるいは、同一または異なる、直鎖または分岐の(場合により芳香族である)1〜32個(好ましくは6〜25個)の炭素原子を有する炭化水素基(場合によりOHまたはエステル官能基を有する)であり、好ましくはC−、C12−、C16−もしくはC22−炭化水素基またはメチル基またはフェニル基であり、特にメチル基であり、
は、互いに独立に、同一または異なる、一般式(III)のポリエーテル基であり、
−CH−CH−(G)O(EO)(PO)(XO) (III)
(式中、
Gは、二価有機基であり、好ましくはCH、C=O、CRまたはCHRであり、好ましくはCHであり、
EOは、(−CO−)であり、
POは、(−CO−)であり、
XOは、(CO)であり、
nは、1〜16であり、好ましくは1〜9であり、より好ましくは1であり、
xは、2〜50であり、好ましくは5〜30であり、より好ましくは6〜15であり、
yは、0〜50であり、好ましくは0または0より大〜15であり、好ましくは0であり、
zは、0〜10であり、好ましくは0または0より大〜2であり、好ましくは0であり、
は、互いに独立に、H、1〜16個の炭素原子を有するアルキル基またはカルボキシレート基(好ましくは2〜22個の炭素原子を有する)を含む群から選択される同一または異なる基であり、
は、互いに独立に、2〜16個の炭素原子を有するアルキル基(エーテル官能基が割り込んでいてもよい)、7〜18個の炭素原子を有するアルカリル基および6〜16個の炭素原子を有するアリール基を含む群から選択される同一または異なる基であり、好ましくはエチルまたはフェニルである)、
Vは、式Iのビルディングブロックへの結合(結合点)であり、
ここで、1つの有機ポリシロキサンユニット(II)あたり、少なくとも1つのVが存在する)
である。好ましくは、R基は、ユニットMおよびDにおいてのみ、結合Vである。R基は、好ましくは水素原子ではない。
【0024】
式(II)のユニット1つあたりの結合点Vの平均数は、好ましくは1またはそれ以上、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜2である。
【0025】
本発明の架橋有機ポリシロキサンにおいて、式(II)の有機ポリシロキサン1ユニットあたり、平均して、少なくとも1つのビルディングブロック(I)がSiOC結合を介して接続することが有利であり得る。本発明の架橋有機ポリシロキサンにおいて、式(II)の有機ポリシロキサン1ユニットあたり、平均して、少なくとも1つのビルディングブロック(I)がSiC結合を介して接続することが有利であり得る。本発明の架橋有機ポリシロキサンにおいて、式(II)の有機ポリシロキサン1ユニットあたり、平均して、少なくとも1つのビルディングブロック(I)がSiOC結合を介して接続し、少なくとも1つのビルディングブロック(I)がSiC結合を介して接続することが特に有利であり得、ここで、ビルディングブロック(I)は好ましくは同一ではなく、すなわち、ビルディングブロック(I)は、式(II)の有機ポリシロキサン1ユニットのみにおいてSiOC結合およびSiC結合と結合するものではない。
【0026】
本発明の架橋有機ポリシロキサンおよび/または本発明の乳化剤システムは、4〜10、好ましくは6〜8のHLB値を有することが好ましい。
【0027】
本発明の架橋有機ポリシロキサンは、広範な様々な手法で製造することが出来る。好ましくは、出発物質は、同一または異なる式(IIa)の有機ポリシロキサンであり、
2+c+2dD’ (IIa)
式中、略号は式(II)について上述した意味を有し、ただし、RはVの代わりに水素であり得る。好ましくは、R基はユニットMおよび/またはD中のみで水素である。
【0028】
好ましくは、本発明の架橋有機ポリシロキサンの製造は、同一または異なる式(IIa)の有機ポリシロキサン(ここで、添字および略号は式(II)について記載した意味を有し、ただし、Rは、Vの代わりに水素であることができ、かつ/またはRは少なくとも1つの水素である)を、少なくとも1つのヒドロキシ基を有し少なくとも1つの多重結合を有する化合物と、場合により少なくとも1つの多重結合を有しOH基を有さない化合物と、ヒドロシリル化反応で反応させることを特徴とする、架橋有機ポリシロキサンの製造のための本発明の方法に伴って起こる。好ましくは、反応条件は、ヒドロシリル化の後、Si−H結合のいくつかはさらに反応生成物に存在し、得られる反応生成物において脱水縮合が実施されるよう選択される。
【0029】
式(IIa)の有機ポリシロキサン1つあたりのSiH結合の平均数は、好ましくは1以上であり、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜2である。
【0030】
本発明の方法において、式(IIa)のSiH−官能シロキサンとして用いることができる化合物は、例えば、様々なシロキサン塩基体の平衡化によって得ることができる。平衡化のための方法は、例えば、EP1439200およびDE102005001039の特許明細書中に記載されており、これらは明示的に参照され、従って、本願の開示の一部分である。工業的スケールでは、SiH基−保有有機ポリシロキサンの合成には、好ましくは容易に入手可能なシロキサン化合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリ(メチル水素)シロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンまたはヘキサメチルジシロキサンを、適切な触媒の存在下、反応させる。好ましい触媒は、例えばトリフルオロメタンスルホン酸のような強酸である。このプロセス中に、対応する平衡化物が形成される。SiH官能基は、用いる触媒に応じて、シロキサン主鎖にランダム分布で存在することもできるし、ブロック様に生じてもよい。個別のポリマー分子の官能化の程度も、分布に左右される。本発明の文脈で用いられるシロキサンの添字a、b、cおよびdは、従って、平均値である。添字a、b、cおよびdによって特徴付けられるユニットは、式IIaの化合物中、ランダム分布、ブロック様または任意の他の望ましい順序に配列して存在してもよい。
【0031】
式(IIa)の有機ポリシロキサンを、少なくとも1つのヒドロキシ基および少なくとも1つの(好ましくは末端の)多重結合(特に二重結合)を有する化合物と反応させる。好適には、式(IIIa)の化合物
CH=CH−(CHO(EO)(PO)(XO)H (IIIa)
(式中、符号、略号および添字は、式(III)について記載した意味を有する)
を用いる。
【0032】
式(IIIa)の化合物は、少なくとも1つのビニル基を有する単官能性アルコールへのアルコキシドの付加反応によって製造することができる。良好な市販入手可能性に基づき、ポリエーテルの合成に適切なものは、特にアルコキシド:エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはスチレンオキシドである。
【0033】
ポリエーテルの製造に異なるモノマーを用いる場合、例えば、生成物の親水性を目的に応じて調整する場合、定量付加の順序によって、および様々な反応パラメーターの調整によって、ポリエーテル主鎖でのモノマーユニットの分布を制御し、例えば、異なるモノマーユニットを、ブロック様とするかまたは漸増および/またはランダム分布で存在させることが可能である。
【0034】
式(IIa)の有機ポリシロキサンを、同時にまたは連続して、好ましくは同時に、少なくとも1つのヒドロキシ基および少なくとも1つの(好ましくは末端の)多重結合(特に二重結合)を有する化合物(好ましくは式(IIIa)の化合物)と、少なくとも1つの(好ましくは少なくとも1つの末端の)多重結合(特に二重結合)を有し、OH基を有さない化合物と、反応させることが有利であり得る。好ましく用いられる化合物は、式(IIId)の化合物
CH2=CR−R (IIId)
(式中、
は、Hまたは分岐もしくは非分岐の(好ましくは非分岐の)1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、好ましくはHであり、
は、Hあるいは分岐もしくは非分岐の(好ましくは非分岐の)それぞれ1〜30個の炭素原子を有する、アルキル基またはアリール基アリールアルキル基またはアルカリル基である。好ましい式(IIId)の化合物は、平均して2〜32個、好ましくは6〜25個、そして好ましくは9、12、16または22個の炭素原子を有する、アルファ−オレフィンである。
【0035】
反応において、式(IIa)の化合物の、特定の化合物(特に、式(IIIa)および場合により(IIId)の化合物)に対する比は、好ましくは、式(IIIa)および(IIId)の化合物中のOH等価物と二重結合等価物との和が、式IIaの化合物中のSi−H結合等価物の数を上回るように選択される。好ましくは、OH等価物と二重結合等価物との和の、Si−H結合等価物に対する比は、6:1〜1.1:1であり、特に好ましくは2:1〜1.2:1である。しかしながら、1:1以下の比で反応を実施することも可能である。
【0036】
反応において、ビニル結合とSi−H結合の反応によりSiC結合の形成をもたらす少なくとも1つのヒドロシリル化と、OH基とSiH結合の反応によりSiOC結合が形成される1つの脱水素縮合が実施される。2つの反応による変換は、1ステップまたは複数のステップで実施することができる。好ましくは、変換は複数のステップ、特に2ステップで実施される。2ステップの変換において、ヒドロシリル化を最初に実施し、次いで脱水素縮合を実施することもできるし、その逆でもよい。好ましくは、ヒドロシリル化を最初に実施し、次いで脱水素縮合を実施する。
【0037】
ヒドロシリル化および脱水素縮合は、当業者に公知の手法で実施することができる。
【0038】
用いることができるヒドロシリル化プロセスは、例えば、Bodgan Marciniec, “Comprehensive Handbook on Hydrosilylation”, Pergamon Press 1992:Iwao Ojima, “The chemistry of organic silicon compounds”中の“The hydrosilation reaction” (S. PataiおよびZ. Rappoport編), Wiley 1989中、EP1754740中、”Chemie und Technoligie der Silicone [Chemistry and Technoligy of Silicones]”, Verlag Chemie, 1960, page 43 ff., およびDE2646726、US3775452およびEP1520870中、ならびにIwao Ojimaら、“The chemistry of organic silicon compounds, Vol. 2”中の“Recent advances in the hydrosilation and related reactions” (Z. RappoportおよびY. Apeloig編), Wiley 1998に記載され、これらは明示的に参照され、その内容は本願明細書の開示の一部を形成する。
【0039】
ヒドロシリル化反応に用いる触媒は、好ましくは、白金およびその化合物である。ここで、白金は、金属が担体上に固定された金属形態または場合によって可溶性の白金錯体の形態のいずれかで用いる。今日まで、工業的に実施されるヒドロシリル化反応の大半は、US3715334およびUS3775452で公知のいわゆるカルステッド(Karstedt)触媒を用いて実施され、これは本発明のヒドロシリル化反応においても好ましい触媒である。
【0040】
好ましくは、触媒は、白金またはロジウム触媒(全混合物の質量を基準とした貴金属の質量分率)の質量で5〜20ppmの量、使用される。触媒は、特に好ましくはヘキサクロロ白金酸、シス白金、ジ−μ−クロロ−ビス[クロロ(シクロヘキサン)白金(II)]またはカルステッド触媒(場合により、溶媒中に溶解)、または酸化アルミニウム、シリカゲルもしくは活性炭素のような担体材料上の微細に分割された元素白金の形態で使用される。ヒドロシリル化は、60〜200℃、好ましくは70〜130℃の温度で好ましく実施される。好ましくは、ヒドロシリル化は、0.9〜20bar、好ましくは0.980〜2barの圧力で実施される。
【0041】
ヒドロシリル化反応は、溶媒無しでまたは溶媒の存在下で実施することができる。しかしながら、使用される式IIIaのポリエーテル化合物は式IIaの化合物と非混和性であるか、混和性が低いため、溶媒の存在下でヒドロシリル化反応を実施することが有利であり得る。式IIIaの化合物および式IIaの化合物の両方が少なくとも部分的に可溶な適切な溶媒を選択することにより、より迅速な反応の開始および/またはより速い反応速度を達成することができる。例えばキシレンまたはトルエンのような、不活性溶媒の使用が好ましい。ヒドロシリル化反応は、特に好ましくは溶媒無しに実施される。
【0042】
ポリエーテルシロキサンの製造のための技術的手順は、特に複数の異なるポリエーテル基が付加される場合、生産物の性質に影響を与えることができる。ヒドロシリル化は、非連続、半連続または連続して実施することができる。ヒドロシリル化は、好ましくは、不連続で実施される。
【0043】
脱水素縮合は、例えば、書籍”Silicone Chemie und Technoligie [Silicone Chemistry and Technoligy]”, Vulkan-Verlag Essen, 1989中、およびEP1 460 098、DE103 12 636、DE103 59 764、DE10 2005 051 939およびEP1 627 892およびUS5,147,965が参照するJP48−19941の明細書中に記載されている。引用明細書の内容はは明示的に参照され、引用明細書の内容は本願の開示の一部を形成する。
【0044】
脱水素縮合は、好ましくは触媒の存在下で実施される。脱水素縮合のための適切な触媒は、例えば、NaOH、KOH、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、ホウ素触媒(例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)、カルボン酸、トリフラート(例えば、スカンジウムトリフラート)、および/またはカルボン酸塩またはそれらの混合物である。好ましい触媒は、例えばDE103 12 636およびUS6,482,912中に記載されたものである。
【0045】
用いられる触媒は、好ましくは主族IIIの元素化合物および/または第三亜群の元素化合物である。好ましい触媒は、ホウ素−および/またはアルミニウム−含有触媒ならびに/あるいはスカンジウム−、イットリウム−、ランタニウム−および/またはランタノイド−含有触媒である。
【0046】
用いられるホウ素触媒は、好ましくは(C)(CB;(CB;(C)BF;BF(C;B(C;BCl(C);BCl(C;B(C)(C;B(Ph)(C);[C(mCF)]B;[C(pOCF)]B;(C)B(OH);(CBOH;(CBH;(C)BH;(C11)B(C;(C14B)(C);(CB(OC);(CB−CHCHSi(CH
【化1】

であり、特に、トリス(パーフルオロトリフェニルボラン)、三フッ化ホウ素エーテル、ボラントリフェニルホスフィン複合体、トリフェニルボラン、トリエチルボランおよび三塩化ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロキシン(9Cl)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(ペンタフルオロフェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(9Cl)、2−(ペンタフルオロフェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(9Cl)、ビス(ペンタフルオロフェニル)シクロヘキシルボラン、ジ−2,4−シクロペンタジエン−1−イル(ペンタフルオロフェニル)ボラン(9Cl)、(ヘキサヒドロ−3a(1H)−ペンタレニル)ビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(9Cl)、1,3−[2−[ビス(ペンタフルオロフェニル)ボリル]エチル]テトラメチルジシロキサン、2,4,6−トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラジン(7Cl、8Cl、9Cl)、1,2−ジヒドロ−2−(ペンタフルオロフェニル)−1,2−アザボリン(9Cl)、2−(ペンタフルオロフェニル)−1,3,2−ベンゾジオキサボロール(9Cl)、トリス(4−トリフルオロメトキシフェニル)ボラン、トリス(3−トリフルオロメチルフェニル)−ボラン、トリス(4−フルオロフェニル)ボラン、トリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、メチリウムトリフェニル−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およびそれらの混合物である。
【0047】
ホウ素を含まない、好ましい触媒は、以下のものから選択される:AlCl、アルミニウムアセチルアセトネート、AlF、アルミニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジ−イソブチルアルミニウムヒドリド、トリエチルアルミニウム、塩化スカンジウム(III)、フッ化スカンジウム(III)、スカンジウム(III)ヘキサフルオロアセチルアセトネート、スカンジウム(III)トリフルオロメタンスルホネート、トリス(シクロペンタジエニル)スカンジウム、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム、塩化イットリウム(III)、フッ化イットリウム(III)、イットリウム(III)ヘキサフルオロアセチルアセトネート、イットリウム(III)ナフテネート、塩化ランタン(III)、フッ化ランタン(III)、ヨウ化ランタン(III)、ランタン(III)トリフルオロメタンスルホネート、トリス(シクロペンタジエニル)ランタン、臭化セリウム(III)、塩化セリウム(III)、フッ化セリウム(III)、フッ化セリウム(IV)、セリウム(III)トリフルオロアセチルアセトネート、トリス(シクロペンタジエニル)セリウム、フッ化ユーロピウム(III)、塩化ユーロピウム(III)、プラセオジム(III)ヘキサフルオロアセチルアセトネート、フッ化プラセオジム(III)、プラセオジム(III)トリフルオロアセチルアセトネート、塩化サマリウム(III)、フッ化サマリウム(III)、サマリウム(III)ナフテネート、サマリウム(III)トリフルオロアセチルアセトネート、フッ化イッテルビウム(III)、イッテルビウム(III)トリフルオロメタンスルホネートおよびトリス(シクロペンタジエニル)イッテルビウムならびにそれらの混合物。
【0048】
ヒドロシリル化で用いた触媒の存在下で脱水素縮合を実施することもまた可能であり、このケースでは非常に低い反応速度のみが達成される。特に好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランまたはスカンジウム(III)トリフルオロメタンスルホネートを触媒として使用する。
【0049】
脱水素縮合は、不連続的、半連続的、または連続的に実施することができる。脱水素縮合は、好ましくは不連続的に実施される。脱水素縮合は、好ましくは溶媒を使用せずに、95〜130℃の温度、好ましくは約110℃の温度で実施される。反応の進行は、反応混合物の粘度を連続的に測定することによって行うことができる(製造過程の粘度測定)。
【0050】
脱水素縮合は、好ましくはヒドロシリル化の後に実施される。脱水素縮合の実施に先立って、反応混合物からヒドロシリル化触媒を除去することが有利であり得る。しかしながら、消費を最小限に維持するためには、ヒドロシリル化触媒は、好ましくは反応混合物中に維持され、脱水素縮合のための触媒のみが補充される。
【0051】
脱水素縮合を実施する前に、ヒドロシリル化からの反応混合物が、脱臭、水和および/または濾過により処理されるのであれば、有益であろう。これらの準備ステップは、先行技術に、たとえば独国特許第102007012241号または欧州特許第0513645号に、記載されている通りに実施することができる。
【0052】
脱水素縮合の進行は、好ましくは、上記反応混合物の粘度を測定することにより決定される。脱水素縮合は、様々な方法で終結させることができる。たとえばテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが触媒として使用されるのであれば、上記反応混合物を一定時間、高温に導くことにより終結させることができる(これに関するさらなる詳細は、独国特許第102005051939号にある)。ホウ素触媒、たとえばトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等を使用するのであれば、その時は上記反応混合物を、たとえば希釈して、反応を終結させることができる。反応を終結させるためには、上記反応混合物を、好ましくは少なくとも50容量%、好ましくは75〜150容量%、特に好ましくは約100容量%、希釈する。使用される希釈剤は、好ましくはヒドロシリル化反応中に得られる化合物(式(IIb)の化合物)である。上記ヒドロシリル化に使用される触媒が、脱水素縮合でも使用されるのであれば、そのときは、上記反応を終結させるために、好適な化合物、たとえばトリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、またはメチルジエタノールアミン等のアミン化合物類を、上記反応混合物に加えることができる。アミン化合物の添加によって反応を終結させるためには、好ましくは10〜1000容量ppm(wppm)、好ましくは25〜100wppm、特に好ましくは約50wppmの、アミン化合物を反応混合物に加える。
【0053】
好ましくは、ホウ素触媒、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが、脱水素縮合に使用される。ホウ素触媒の含量は、上記反応混合物の総重量を基準にして、好ましくは10〜5000容量ppm(wppm)、好ましくは25〜1000wppmであり、特に好ましくは50〜250wppmである。ホウ素触媒を使用するとき、反応時間は、好ましくは1〜20時間、好ましくは2〜17時間であり、特に好ましくは3〜15時間である。
【0054】
脱水素縮合からの反応混合物から、たとえばフィルタープレート上で、濾過により粗不純物を除去することは有益であろう。
【0055】
本発明による好ましい乳化剤システムを得るために、好ましくは、まず第一に、式(IIa)の化合物を、式(IIIa)の化合物および場合により化合物(IIId)と、ヒドロシリル化反応で反応させ(その場合、存在するSiH官能基の最大限でも99%、好ましくは80〜98%、好ましくは85〜96%、特に好ましくは92〜96%を、式IIIaの化合物および場合により化合物(IIId)の多重結合と反応させる)、次いで、残存SiH官能基の一部または全部を、付着した式IIIaの化合物のOH官能基と反応させる、という具合に、本反応は行われる。SiH官能基上に前述の基を得るためには、存在するSiH官能基数に対して不足した式IIIaの化合物を使用すること、またはヒドロシリル化反応を終結させることが有益であろう。
【0056】
脱水素縮合の間、その反応条件は、好ましくは、ヒドロシリル化後に存在するSi−H結合の少なくとも10%、好ましくは20〜75%、好ましくは30〜50%が、脱水素縮合の完了後にまだ存在するように選択される。
【0057】
本発明による架橋オルガノポリシロキサンは、たとえば乳化剤または乳化剤システムとして、および/または乳化剤システムの製造用に、特に油中水型乳化物を製造するための乳化剤および/または乳化剤システムとして、使用することができる。従って、本発明はまたこれらの乳化剤システムも提供する。
【0058】
本発明による乳化剤システム、特に、化粧用および医薬用の油中水型乳化物用の乳化剤システムは、好ましくは、本発明による架橋オルガノポリシロキサン類を含む。
【0059】
この架橋ポリシロキサン類に加えて、本発明による乳化剤システムはまた、好ましくは式(IIb)、
2+c+2d D’ (IIb)
の非架橋ポリシロキサン類も含む。
式中、添字の意味は、式IIについて示したものに相当するが、但し、RはVではない。Rは、その代わりに、水素または基
CH=CH−(CHO(EO)(PO)(XO) (IIIb)、または
−CH−CH−(CHO(EO)(PO)(XO)H (IIIc)
(式中、添字および記号の意味は、式IIIについて記したものに相当する)であってもよい。好ましくは、式IIbの化合物は、分子当たり、平均で5未満、好ましくは2未満の、ケイ素原子に直接結合した水素原子を有する。非架橋ポリシロキサン類IIbは、好ましくは混合炭化水素−ポリエーテルシロキサン類である。
【0060】
本発明による乳化剤システムで、架橋ポリシロキサン類IIと、非架橋ポリシロキサン類IIbとの質量比は、好ましくは1:0〜0.001:0.999、好ましくは0.99:0.01〜0.01:0.99、より好ましくは0.8:0.2〜0.2:0.8、特に好ましくは0.6:0.4〜0.4:0.6である。
【0061】
本発明による乳化剤システムが、もっぱら架橋ポリシロキサン類および式IIbの非架橋ポリシロキサン類IIbおよび場合により製造に使用される触媒システムで構成されるとき、それらは、800〜15000mPas、好ましくは900〜10000mPas、特に好ましくは1000〜8000mPasの粘度を有する。
【0062】
x/(1+y+z)が1より大きい、好ましくは2〜100である、特に好ましくは5〜30である、式Iまたは式IIIのポリエーテル基またはビルディングブロックが、本発明による乳化剤システムの式IIおよび/または式IIbの化合物中に、好ましくは存在し、好ましくは排他的に存在する。
【0063】
使用されるポリエーテルシロキサン類中の非修飾Dユニット(Si(CH)1/2)の割合が、修飾されたD’ユニットの割合より著しく大きいのであれば、乳化性および肌触りに有益であろう。式IIおよび/または式IIbの化合物で、比率a/bはしたがって、好ましくは1より大きく、好ましくは>1.5であり、特に好ましくは>2〜<10である。
【0064】
ポリエーテルの割合が比較的低いポリエーテルシロキサン類が使用されるのであれば、肌触りに特に有益であろう。したがって、本発明による乳化剤システムにおいて、平均で、少なくとも3つのポリエーテル基が式IIおよび/または式IIbの化合物に存在し、かつその分子に結合したポリエーテル基Rの最大数がb以下であれば、有益であろう。
【0065】
本発明による乳化剤システムは、好ましくは>10、好ましくは15〜250、好ましくは50〜250の多分散性を有する。
【0066】
多分散性Dは、ポリシロキサン類の分子量分布の重量平均Mwを数平均Mnで割った商である。多分散性は、広く認められた分子質量分布の幅の尺度である。ポリシロキサン類、特に非架橋ポリシロキサン類は、一般に、15未満の多分散性Dを有する。
【0067】
分子量分布を確認するための通例の方法は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)である。
【0068】
基準DIN 55672−1/ISO 13885−1に従ってGPC法を使用した。オートサンプラーおよびRI検出器を備えたAgilent 100システムおよび以下のパラメーターを用いて、GPCデータを得た:
カラム:SDV 1000/10000Å およびプレカラム
長さ:65.00cm
内径:0.80cm
温度:30℃
移動相:THF
流速:1.00ml/分
試料濃度:10.00g/l
較正:対PS[162―2057000g/mol]。
【0069】
クロマトグラムを評価するために、Polymer Standards Service,Mainz,Germanyから販売されている評価ソフトウェアWinGPC Unityを使用した。
【0070】
本データに関して、GPCクロマトグラムにおける生成物シグナルのみを考慮した。ポリシロキサン類が、ヒドロシリル化により製造されたポリエーテルシロキサン類であれば、これらは通常、二次成分として、一定の割合の、遊離のポリエーテルおよび/または不飽和炭化水素類および/または有機化合物を含む。GPCで、これらは、時により生成物ピークと重なるシグナルを生じる。したがって、HPLC評価に似た標準的多重ピーク評価を使用して、(ヒドロシリル化により生じた生成物の)生成物シグナルのみを考慮した。比較的低分子質量の他のシグナルがこの生成物シグナルと重なり合う場合、評価ソフトウェアを使用してシグナル間の最小値を決定し、基線までのドロップを実施したため、最小値の分子量以上のものだけが、評価した比較的大きい分子質量に関するクロマトグラムであった。
【0071】
本発明による、特に化粧用および医薬用油中水型乳化物に好ましい一つの乳化剤システムは、4〜10、好ましくは6〜8のHLB値、>50、好ましくは60〜250の多分散性、および0.01:0.99〜0.99:0.01、好ましくは0.8:0.2〜0.2:0.8という、架橋ポリシロキサン類、好ましくは式IIの架橋ポリシロキサン類と、非架橋ポリシロキサン類、好ましくは式IIbの非架橋ポリシロキサン類との質量比を有することを特徴とする。
【0072】
本発明による乳化剤システムを化粧品用途で使用するためには、これらが室温で液体であり、またポンプ操作可能であれば有益である。
【0073】
したがって、好適な液化剤を添加することによって、本発明による高粘性乳化剤システムを、ポンプ操作可能な、液体型に変換することは有益である。一般に、この種のポンプ操作可能なシステムは、<10000mPasの粘度(25℃で、剪断速度10s−1)を有する。これらのポンプ操作可能な液化剤含有乳化剤システムは、好ましくは透明から半透明−不透明である。
【0074】
使用できる適切な液化剤は、通常、全てのタイプの化粧用エモリエント剤である。使用できる化粧用エモリエント剤は、全ての化粧用油、特に、炭素数2〜44の直鎖および/または分岐鎖モノ−および/またはジカルボン酸と、炭素数1〜22の直鎖および/または分岐鎖の飽和または不飽和アルコールとの、モノエステルまたはジエステルである。炭素数2〜36の脂肪族二官能性アルコールと、炭素数1〜22の単官能性脂肪族カルボン酸とのエステル化生成物も、同様に適切である。また、例えば、安息香酸のエステル(例えば、炭素数1〜22の直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和アルコールの安息香酸エステル、または、他に安息香酸イソステアリルまたは安息香酸オクチルドデシル)などの長鎖アリール酸エステルも適している。エモリエント剤および油性成分として適しているさらなるモノエステルは、例えば、炭素数12〜22の脂肪酸のメチルエステルおよびイソプロピルエステル、例えば、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピルなどである。他の好適なモノエステルは、例えば、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシルである。好適なジカルボン酸エステルは、例えば、アジピン酸ジ−n−ブチル、セバシン酸ジ−n−ブチルまたはアジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)である。エモリエント剤として使用できるさらなる脂肪酸エステルは、例えば、C12−15アルキルベンゾエート、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルへキシルである。同様に使用し得るエモリエント剤および油性成分は、比較的長鎖のトリグリセリド、即ち、グリセロールと3つの酸分子(そのうち少なくとも1つは比較的長鎖である)とのトリエステルである。ここで、脂肪酸トリグリセリドの例として;天然の植物油、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油または大豆油ならびにカプリル酸/カプリン酸混合物の合成トリグリセリド、工業用グレードのオレイン酸のトリグリセリド、イソステアリン酸とのトリグリセリド、または、パルミチン酸/オレイン酸混合物からのトリグリセリドが、エモリエント剤および油性成分として使用され得る。更に、炭化水素、特に、液体パラフィンおよびイソパラフィンも使用することができる。使用できる炭化水素の例は、パラフィン油、イソヘキサデカン、ポリデセン、ワセリン、流動パラフィン(Paraffinum perliquidum)、スクアラン、セレシンである。
【0075】
モノ−またはポリ水性(polyhydric)アルコールを液化剤として使用することもできる。そのようなアルコールは、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールである。ここで、好適なポリオールは、2〜15個の炭素原子および少なくとも2つのヒドロキシル基を有することができる。典型的な例は:
グリセロール、アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール等である。
【0076】
本発明は、従って、液化剤を追加の成分として含む、液体のポンプ操作可能な乳化剤システムを更に提供する。
【0077】
これらの乳化剤システムは、好ましくは透明〜半不透明−不透明である。
【0078】
本発明の乳化剤システムは、化粧用および医薬用の油中水型乳化物の製造のための、油中水型乳化剤として使用することができる。従って、これらは、粒子および顔料のため、そして分散物の製造のための分散助剤としても使用することができる。
【0079】
分散させる好適な粒子および顔料は、例えば、微分散金属酸化物および塩(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウム、およびステアリン酸亜鉛など)である。ここで、粒子の平均直径は、1000nm未満でなければならず、好ましくは100nm未満であり、例えば、5〜50nm、特に15〜30nmである。それらは、球状の形状を有してもよいが、楕円体の形状または球状の形状から何らかの点で逸脱した形状を有する粒子を使用することもできる。粒子および顔料は、微粉化有機顔料、例えば、<200nmの粒子サイズを有する2,2’−メチレンビス{6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール}であることもできる。さらに、ナイロン−12、窒化ホウ素、ポリマー粒子(例えば、ポリアクリレートまたはポリメチルアクリレート粒子)またはシリコーンエラストマーのような、特別な感触効果を与える粒子および顔料を分散させることもできる。
【0080】
本発明の乳化剤システムは、油中水型乳化物または分散物の製造に使用することができる。従って、対応する化粧用または医薬用の油中水型乳化物または分散物は、本発明の乳化剤システムを少なくとも1つ含む。
【0081】
本発明の架橋有機ポリシロキサンおよび本発明の乳化剤システムは、化粧品製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤の製造に使用することができる。架橋有機ポリシロキサンおよび/または乳化剤システムを有する、対応する化粧品製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤も同様に、本発明により提供される。
【0082】
本発明の化粧用および医薬用の乳化物および分散物は、全質量を基準として、乳化剤および場合により共乳化剤の合計質量パーセントよりも多い質量パーセントの油成分を含有する。
【0083】
本発明はさらに、化粧品製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤の製造のための、本発明の乳化剤システムの使用も提供する。従って、少なくとも1つの本発明の乳化剤システムまたは少なくとも1つの本発明の乳化物または分散物を含む、化粧品製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤も同様に、本発明により提供される。
【0084】
化粧品製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤ならびにケア組成物および洗浄用組成物は、例えば、以下の群から選択される追加成分の少なくとも1つを含むことができる:
エモリエント剤、
乳化剤および界面活性剤、
増粘剤/粘度調整剤/安定剤、
UV光防護遮蔽剤(UV photoprotective filter)、
UV光防護粒子材料、
酸化防止剤、
ハイドロトロープ剤
ポリオール、
固体およびフィラー、
皮膜形成剤、
真珠光沢剤、
防臭および制汗有効成分、
昆虫忌避剤、
セルフタンニング剤、
防腐剤、
コンディショニング剤、
香料、
染料、
化粧有効成分、
ケア成分(care additive)、
過脂肪剤、
溶媒。
【0085】
個々の群の代表例として使用してもよい物質は、独国特許出願第102008001788.4号に見ることができる。当該特許出願を本明細書に参考として組み込み、したがって本開示内容の一部を構成するものとする。
【0086】
使用できるエモリエント剤は、全ての化粧用油、特に、炭素数2〜44の直鎖および/または分岐鎖モノ−および/またはジカルボン酸と、炭素数1〜22の直鎖および/または分岐鎖飽和または不飽和アルコールとのモノエステルまたはジエステルである。同様に、炭素数2〜36の脂肪族二官能性アルコールと、炭素数1〜22の単官能性脂肪族カルボン酸とのエステル化生成物を使用することもできる。また、例えば、安息香酸のエステル(例えば、炭素数1〜22の直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和アルコールの安息香酸エステル、または、他に安息香酸イソステアリルまたは安息香酸オクチルドデシルまたは例えばC12〜15アルキルベンゾエートまたは直鎖若しくは分岐鎖C〜C22アルコールと安息香酸のエステル)などの長鎖アリール酸エステルも適している。エモリエント剤および油性成分として適しているさらなるモノエステルは、例えば、炭素数12〜22の脂肪酸のメチルエステルおよびイソプロピルエステル、例えば、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピルなどである。他の好適なモノエステルは、例えば、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、パルミチン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、および工業用グレードの脂肪族アルコール留分と工業用グレードの脂肪族カルボン酸混合物から得られるエステル、例えば、動物性および植物性脂肪から得られるような炭素数12〜22の不飽和脂肪アルコールと炭素数12〜22の飽和および不飽和脂肪酸とのエステルである。また、例えば、ホホバ油中にまたはマッコウ鯨油中に存在するような、天然のモノエステルおよび/またはワックスエステル混合物も適している。好適なジカルボン酸エステルは、例えば、アジピン酸ジ−n−ブチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、コハク酸ジ(2−ヘキシルデシル)、アゼライン酸ジイソトリデシルである。好適なジオールエステルは、例えば、エチレングリコールジオレエート、エチレングリコールジイソトリデカノエート、プロピレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、ブタンジオールジイソステアレート、ブタンジオールジカプリレート/カプレート、およびネオペンチルグリコールジカプリレートである。使用できるさらなるエモリエント剤は、例えば炭酸ジカプリリルまたは炭酸ジエチルへキシルのような炭酸塩である。同様に使用できるエモリエント剤および油性成分は、比較的長鎖のトリグリセリド、即ち、グリセロールと3つの酸分子(そのうち少なくとも1つは比較的長鎖である)とのトリエステルである。ここで、例として、脂肪酸トリグリセリドが挙げられ;このようなものとして、例えば、天然の植物油、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、落花生油、菜種油、アーモンド油、ゴマ油、アボカド油、ひまし油、カカオ脂、パーム油、また、ヤシ油のまたはパーム核油の液体留分、また、動物性油(例えば、さめ肝油、タラ肝油、鯨油、牛脂、およびバター脂肪など)を使用することができる。さらに、蝋(蜜蝋、カルナウバパーム蝋、鯨蝋、ラノリン、および爪油(claw oil)など)、牛脂の液体留分、また、カプリル酸/カプリン酸混合物の合成トリグリセリド、工業用グレードのオレイン酸のトリグリセリド、イソステアリン酸とのトリグリセリド、または、パルミチン酸/オレイン酸混合物からのトリグリセリドを、エモリエント剤および油性成分として使用することができる。更に、炭化水素、特に、液体パラフィンおよびイソパラフィンも使用することができる。使用できる炭化水素の例は、パラフィン油、イソヘキサデカン、ポリデセン、ワセリン、流動パラフィン(Paraffinum perliquidum)、スクアラン、セレシンである。更に、直鎖または分岐鎖脂肪アルコール(オレイルアルコールまたはオクチルドデカノールなど)、また、脂肪アルコールエーテル(ジカプリリルエーテルなど)を使用することもできる。好適なシリコーン油およびシリコーンワックスは、例えば、ポリジメチルシロキサン、シクロメチルシロキサン、また、アリール置換またはアルキル置換またはアルコキシ置換のポリメチルシロキサンまたはシクロメチルシロキサンである。他の好適な油体は、例えば、炭素数6〜18、好ましくは8〜10の脂肪アルコールをベースにしたゲルベアルコール、直鎖C〜C22脂肪酸と直鎖C〜C22脂肪アルコールとのエステル、分岐鎖C〜C13カルボン酸と直鎖C〜C22脂肪アルコールとのエステル、直鎖C〜C22脂肪酸と分岐鎖C〜C18アルコール(特に2−エチルヘキサノールまたはイソノナノール)とのエステル、分岐鎖C〜C13カルボン酸と分岐鎖アルコール(特に2−エチルヘキサノールまたはイソノナノール)とのエステル、直鎖および/または分岐鎖脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオール、トリマートリオールなど)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C〜C10脂肪酸をベースにしたトリグリセリド、C〜C18脂肪酸をベースにした液体モノ−/ジ−/トリグリセリド混合物、C〜C22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(特に安息香酸)とのエステル、植物油、分岐鎖第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖C〜C22脂肪アルコールカーボネート、ゲルベカーボネート、ジアルキルエーテル、ポリオールを用いたエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物である。
【0087】
使用できる紫外線防御剤は、例えば、紫外線を吸収することができ、吸収したエネルギーを再びより長波長の放射線、例えば、熱の形態で放出する有機物質である。UVB防御剤は、油溶性であってもまたは水溶性であってもよい。油溶性UVB防御剤の例は:
3−ベンジリデンカンファーおよびその誘導体、例えば、3−(4−メチル−ベンジリデン)カンファー、
4−アミノ安息香酸誘導体、例えば、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル、および4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルなど、
ケイ皮酸のエステル、例えば、4−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−メトキシケイ皮酸イソペンチル、2−シアノ−3−フェニルケイ皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)など、
サリチル酸のエステル、例えば、サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸4−イソプロピルベンジル、サリチル酸ホモメンチルなど、
ベンゾフェノンの誘導体、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど、
ベンザルマロン酸のエステル、例えば、4−メトキシベンザルマロン酸ジ−2−エチルへキシルなど、
トリアジン誘導体、例えば、2,4,6−トリアニリノ(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジンおよびオクチルトリアゾンなど、
プロパン−1,3−ジオン、例えば、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンなどである。
【0088】
好適な水溶性UVB防御剤は:
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、並びにそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルカンモニウム(glucammonium)塩、
ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびその塩など、
3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば、4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデン)スルホン酸並びにこれらの塩などである。
【0089】
好適な典型的なUVA防御剤は、特に、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば、1−(4’−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、または1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオンなどである。もちろん、UV−A防御剤とUV−B防御剤を混合して使用することもできる。
【0090】
明記された可溶性物質の他に、不溶性顔料、即ち、微分散金属酸化物または塩(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウム、およびステアリン酸亜鉛など)もこの目的に適している。ここで、粒子の平均直径は、100nm未満、例えば、5〜50nm、特に15〜30nmでなければならない。それらは、球状の形状を有してもよいが、楕円体の形状または球状の形状から何らかの点で逸脱した形状を有する粒子を使用することもできる。比較的新しい種類の紫外線防御剤は、微粉化有機顔料、例えば、50%の濃度の水性分散体として得られうる、例えば、<200nmの粒子サイズを有する2,2’−メチレンビス{6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール}などである。
【0091】
他の好適な紫外線防御剤は、SOFW-Journal 122, 543(1996)のP.Finkelによる概要に見出すことができる。
【0092】
前述の2つの主要な紫外線防御剤群の他に、紫外線が皮膚に侵入したときに起こる光化学連鎖反応を妨げる酸化防止剤タイプの副次的光防御剤を使用することもできる。
【0093】
使用できる酸化防止剤およびビタミンは、例えば、スーパーオキシドジスムターゼ、トコフェロール(ビタミンE)、ジブチルヒドロキシトルエンおよびアスコルビン酸(ビタミンC)である。
【0094】
好ましい一態様において、本発明の化粧品製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤は、追加の成分として、好ましくは、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸塩(タルク)、およびステアリン酸亜鉛、ナイロン−12、窒化ホウ素、ポリアクリレートまたはポリメチルアクリレート、またはシリコーンエラストマーの群から選択される粒子または顔料を含有する。
【0095】
同様に好ましい一態様において、本発明の化粧品製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤は、追加の成分として、好ましくは、フィトスフィンゴシン(およびフィトスフィンゴシン誘導体)、スフィンゴシン(およびスフィンゴシン誘導体)、スフィンゴ脂質、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、ポリフェノール、デオキシリボ核酸、コエンザイムQ10、レチノール、AHA酸、アミノ酸、ヒアルロン酸、α−ヒドロキシ酸、フラボン。イソフラボン、スチルベン、カテキン、ポリグルタミン酸、クレアチン(およびクレアチン誘導体)、グアニジン(およびグアニジン誘導体)、疑似セラミド、精油および脂肪酸、ペプチド(好ましくは2〜10個のアミノ酸を含むペプチド)、オリゴペプチド、タンパク質加水分解物、植物抽出物、ビサボロール、アラントイン、パンテノール、フィタントリオール、イデベノン、カンゾウ抽出物、植物抽出物、グリチルリチンおよびイデベノン、スクレログルカン、β−グルカン、サンタルビン酸およびビタミン複合体の群から選択される化粧用活性物質または生理活性物質を含有する。
【0096】
植物抽出物の例は、マロニエ抽出物、カミツレ抽出物、ローズマリー抽出物、クロフサスグリおよびアカフサスグリ抽出物、樺抽出物、ローズヒップ抽出物、カンゾウ抽出物、海藻抽出物、緑茶抽出物、アロエ抽出物、生姜抽出物、チョウセンニンジン抽出物、イチョウ抽出物、グレープフルーツ抽出物、キンセンカ抽出物、カンファー、クルクマ抽出物、タイム抽出物、マンゴスチン抽出物、アムラ抽出物、シスタス(cystus)抽出物、ターミナリア・アルジュナ(terminalia arjuna)抽出物、オート麦抽出物、オレガノ抽出物、ラズベリー抽出物、ストロベリー抽出物などである。
【0097】
生理活性成分としては、いわゆるバリア脂質も挙げられ、その例としては、セラミド、フィトスフィンゴシンおよび誘導体、スフィンゴシンおよび誘導体、スフィンガニンおよび誘導体、疑似セラミド、リン脂質、リゾリン脂質、コレステロールおよび誘導体、コレステリルエステル、遊離脂肪酸、ラノリンおよび誘導体、スクアラン、スクアレンおよび関連物質がある。
【0098】
本発明の文脈では、生理活性成分としては、また、抗アクネ成分(例えば、過酸化ベンジル、フィトスフィンゴシンおよび誘導体、ヒドロキシ安息香酸ナイアシンアミド、ニコチンアルデヒド、レチノール酸および誘導体、サリチル酸および誘導体、シトロネル酸など)、および、抗セルライト成分(例えば、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、およびアミノフィリンなどのキサンチン化合物、カルニチン、カルノシン、サリチロイルフィトスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、サンタルビン酸など)、並びにフケ防止剤(例えば、サリチル酸および誘導体、ジンクピリチオン、硫化セレン、イオウ、シクロピロクスオラミン、ビフォナゾール、クリンバゾール、オクトピロックスおよびアクチロックスなど)、並びに、収斂剤(例えば、アルコール、アルミニウム誘導体、没食子酸、サリチル酸ピリドキシン、亜鉛塩、例えば、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、乳酸亜鉛など、クロルヒドロキシジルコニウムなど)も挙げられる。こうじ酸、アルブチン、ビタミンCおよび誘導体、ハイドロキノン、ターメリック油、クレアチニン、スフィンゴ脂質、オキシレスベラトロル、ナイアシンアミドなどの漂白剤も同様に、生理活性成分に挙げられる。
【0099】
本発明の皮膚外用製剤または医薬製剤は、制汗剤またはデオドラント用途のための活性成分、例えば、制汗剤、エステラーゼ阻害剤、殺菌剤または静菌剤、汗吸収剤および/または香料を、単独で、または上述の活性成分の1以上と組み合わせて含んでもよい。これらの活性成分の例は、例えば米国特許出願2003053970号にある。
【0100】
本発明の乳化剤システムを含む乳化物および分散物の、可能な適用形態は、したがって、スプレー、ローション、クリーム、軟膏、ならびに水のようなものから重いペースト状まで(極端な場合には固体まで)の非常に広い粘度範囲の使用が含まれる。
【0101】
したがって、乳化剤システムは、例えば顔用、身体用および手用のケアクリームおよびローションとして、日焼け止め乳化物として、メークアップ剤として、エアゾール、ロールオン、ポンプスプレー、スティック(例えば制汗/デオドラント用)として、ベビーケア製品として、陰部ケア製品、フットケア製品、ヘアケア製品、ネイルケア製品、デンタルケア製品または口腔ケア製品として、また皮膚外用軟膏として使用することができる。
【0102】
以下に列挙する実施例において本発明の一例を説明するが、本発明およびその適用範囲を実施例に具体的に述べる実施形態に限定することを意図するものではない。
【0103】
変換(SiH値)は、ガス体積SiH決定法によって決定した(ナトリウムブタノレートによるSiH官能基の分解)。
【実施例】
【0104】
以下に列記する実施例中の粘度は、DIN53015に従って、落下球粘度計により決定した。
【0105】
分子量比の決定には、上記のGPC法を用いた。GPCデータは、HP RI検出器および上述のパラメーターで、ヒューレット・パッカードHP1100機器により取得した。
【0106】
実施例中に記載の、ABIL(登録商標)、TEGO(登録商標)およびTEGOSOFT(登録商標)で始まる商品名の化合物は、全てEvonik Goldschmidt GmbHから入手可能である。
【0107】
実施例1:EP−B−1 520 870の実施例5に従う、アルキルシロキサン−ポリエーテルシロキサンコポリマーの製造
【0108】
実施例1a:ヒドロシリル化
精密ガラス撹拌機、滴下漏斗および環流冷却器を備え、アルゴンで不活性化状態にした多口フラスコ内で、ペンダントSiH基を有し、平均組成MD75(DH)25M(SiH含有量:3.6モル/kg)のシロキサン1675gを、EP−B−1 520 870に記載の触媒溶液5.025ml(12wppm Pt)と、21℃で混合した。
40分間にわたり、586.7gの1−ヘキサデカンを滴下し、反応熱により、初発温度は66℃に上昇した。次いで、平均組成CH=CH−CHO−(CO)(ヨウ素数:62gヨウ素/100g)のポリエーテル993.6gを30分間にわたりすばやく滴下し、その間反応温度は最高56℃に保持した。添加完了後、さらに304.8gの1−ヘキサデカンを20分間にわたり滴下した。EP−B−1 520 870の実施例5と異なり、計量添加後、混合物を速やかに20℃に冷却した。計量添加後の直接の速やかな冷却による変換は92.7%であった(SiH価:0.12)。粘度は1165mPasであり、Mw/Mnの比は10.2であった(表1)。
【0109】
実施例1b:Hv処理(高粘度処理)
上記反応からの生成物(1.8kg)を110℃まで加熱し、125ppmのトリスペンタフルオロフェニルボラン(アリルポリエーテル溶液中に溶解)と混合し、1時間攪拌した。次いで、得られた反応生成物を出発物質(上記反応からの生成物)で希釈し(1:1)、冷却した。50ppmのトリイソプロパノールアミンの添加後、混合物をさらに30分間攪拌し、次いで高粘度化合物を取り除いた。粘度は3636mPasであり、Mw/Mnの比は64.18であった(表2)。
【0110】
実施例2〜14:炭化水素置換シロキサン−ポリエーテルシロキサンコポリマー類の調製
実施例2a〜14a:ヒドロシリル化:
実施例1aに従ってヒドロシリル化を実施した。実施例1aとは異なり、表1に記載の化合物を使用した。さらに、ヒドロシリル化後に、独国特許第102007012241号に記載の通りに脱臭(水和)を実施した。
【0111】
このために、<90℃の温度で、炭素上のパラジウム2.2g、Tonsil(登録商標)(Sued-Chemie AG)1.6gおよび水22gを、実施例2〜14によるアルキルシロキサン−ポリエーテルシロキサンコポリマー3.5kgに加えた。
【0112】
次いで、その混合物を120℃まで加熱し、水中のチューブを介して1時間当たり約6lの水素を導入し、その間、操作圧力は大気圧であった。要するに、勢いよく3時間撹拌しながら、混合物中を、水素を通過させた。次いで、水中のチューブを介して15分間、窒素(6l/時間)を導入した。次いで、窒素(約2l/時間)を導入しながら、5mbar、140℃で1時間、この反応混合物から全ての揮発性成分を除去した。
【0113】
脱臭後、結果として得られた生成物に、2重量%のトリグリセロル−4イソステアレートを加えた。試料の冷却後、0.2重量%の濾過助剤(Lehmann and Vossから販売されているHarborlite 900)を加え、次いで試料を深層フィルタープレート(Seitz-Schenkから販売されているHS1600)で濾過した。次いで濾液をHV処理(高粘度処理)に進めた。脱臭生成物の粘度およびMw/Mn比を、表1に示す。
【0114】
実施例2b〜14b:HV処理(高粘度処理)
いずれの場合にも、実施例2〜14で得られた生成物1.8kgを110℃に加熱し、触媒として表2に記載の化合物(アリルポリエーテル溶液中に溶解)を表2に示した量(縮合される現材料に基づく)混合し、この反応混合物を、110℃で、表2に示した反応時間、撹拌した。次いで、結果として得られた反応生成物を、出発材料(それぞれ実施例2a〜14aからの生成物)で希釈し(質量比1:1)、次いで冷却した。50ppmのトリイソプロパノールアミンを加えた後、この混合物をさらに30分間撹拌し、この高粘度生成物を取り出した。
【0115】
このようにして調製された高粘度の、透き通った修飾シロキサン類を、粘度およびMw/Mn比を用いて特性化した。結果を、表2に示す。
【0116】
【表1】

【表2】

【0117】
実施例15:環状シロキサン高乳化物の長期安定性に関する実験
基本的なシステムとして、表3に示す処方に従って乳化物を調製した。本発明の乳化剤を、市販の最先端の乳化剤セチル PEG/PPG 10/1 ジメチコン(ABIL(登録商標) EM 90,Evonik Goldschmidt GmbH)およびラウリル PEG/PPG−18/18 メチコン(Dow Corning 5200 Formulation Aid)と比較した。
【表3】

【0118】
乳化物の調製を、以下の様式で実施した:
乳化剤、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(Evonik Goldschmidt GmbHから販売されているTEGOSOFT(登録商標) CT)、パルミチン酸エチルヘキシル(Evonik Goldschmidt GmbHから販売されているTEGOSOFT(登録商標) OP)、および二酸化チタン;トリメトキシカプリリルシラン(Evonik Goldschmidt GmbHから販売されているTEGO(登録商標) Sun T 805)を使用して、油相の一部をブレンドした。次いで、この混合物を、3ローラーミルを3回通過させた。最終粒径は、ヘグマン(Hegman)ゲージを使用して測定し、約7μmであると決定された。
【0119】
油相の残りの成分(シクロペンタシロキサン、タルクおよび酸化鉄)を、予め粉砕された混合物に添加した。これらの添加が完了したら、均質になるまでその混合物をブレンドした。
【0120】
分液ロートを使用して、制御された速度(約1時間)で、水相(水、塩化ナトリウム、プロピレングリコールおよびプロピレングリコール;ジアゾリジニル尿素;メチルパラベン;プロピルパラベン)を分配した。徹底的ではあるが、強すぎない撹拌を使用して、油相への完全混和を確実にした。カフラモ(Caframo)オーバーヘッドミキサーを使用して、約1500rpmの速度で5分間、均質化を実施した。
【0121】
この乳化物を、室温(25℃)、40℃、45℃および50℃で保存し、その状態を一週間間隔で観察した。相分離または分離が明白であった乳化物を−で示し、欠点のない乳化物を+で示した。表2の実施例番号1bとして、本発明による乳化剤システムを含む乳化剤をE、ABIL(登録商標)EM 90を含むものをA、Dow Corning DC 5200 Formulation Aidを含むものをDと呼んだ。結果を表4に示す。
【表4】

【0122】
表4から明らかに分かる通り、本発明による乳化剤システムは、長期安定性に関して、従来の乳化剤システムと比較して明らかな利点を示した。
【0123】
実施例16:高温安定性に関する実験
シリコーン乳化剤を使用して、表2の構造物1bを70℃で試験したところ、2カ月以上、安定であった:
【表5】

【0124】
本発明は、ラウリル PEG/PPG−18/18 メチコンと比較して、高温で予期せぬ安定性を示した。本発明を2カ月試験したところ、乳化物破損の兆候を全く示さなかったが、最先端の乳化剤を含むシステムは安定ではなく、24時間以内に分離した。
【0125】
実施例17:急速に破壊する乳化物
【表6】

【0126】
本発明は、乳化物が不安定になることなく、空気圧でポンプ操作することができた。ABIL EM 90またはDow Corning DC 5200 Formulation Aidを使って乳化された最先端のシステムは、ポンプ操作されたときに極度の分離を示した。
【0127】
実施例18;サンスクリーンローションW/O結晶阻止性
【表7】

【0128】
本発明の乳化剤は、明らかに結晶形成を阻止することができた。このことは、1カ月に、顕微鏡下で、40倍および100倍に拡大して確認された。
【0129】
実施例19:エタノールを含む臨界処方
【表8】

【0130】
本発明の乳化剤は、最先端のABIL EM 90およびDow Corning DC 5200 Formulation Aidよりサイズが小型で一様な水小滴を形成した。ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーとシクロテトラシロキサン(信越KSG-17)の混合物は、乳化物を形成することができなかった。
【0131】
実施例20〜35:異なる用途のための幾つかの処方
以下の実施例は、対照を使用せず、本発明の乳化剤を使用した、さらなる可能性を示す:
【表9】

【0132】
実施例20:さらさらした肌触りの、陽イオン性成分を含む処方
【表10】

【0133】
実施例21:低極性油を含む処方
【表11】

【0134】
実施例22:高極性油を含む処方
【表12】

【0135】
実施例23:低温処理可能な処方
【表13】

【0136】
実施例24:カラー化粧品用途のための処方
【表14】

【0137】
この実施例の処方は、以下の手順に従って作られた:
1.相Aの成分を混合して80℃に加熱する。
2.70℃に冷却する。相Bを加える。
3.相Cの成分を加える。高剪断混合する。
4.相Dを混合して70℃に加熱する。相Dを相ABCに加える。
5.短時間均質化してオーバーヘッドミキサーに移す。
6.混合しながら<30℃に冷却して均質化する。
【0138】
実施例25:カラー化粧品マスカラ処方
【表15】

【0139】
実施例26:バリアクリ−ム処方
【表16】

【0140】
実施例27:アフターシェーブローション
【表17】

【0141】
実施例28:セルフタナー処方
【表18】

【0142】
実施例29:ジェル処方
【表19】

【0143】
実施例30:ジェル処方
【表20】

【0144】
実施例31:ジェル処方
【表21】

【0145】
実施例32:アルコールを含むローション
【表22】

【0146】
実施例33:皮膚保護用バリアクリ−ム
【表23】

【0147】
実施例34:カラー化粧品:口紅処方
【表24】

【0148】
実施例35:サンスクリーン処方
【0149】
【表25】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
−CH−CH−(G)O(EO)(PO)(XO)− (I)
(式中、
Gは、二価有機基であり、
EOは、(CO)であり、
POは、(CO)であり、
XOは、(CO)であり、
nは、1〜16であり、
xは、2〜50であり、
yは、0〜50であり、
zは、0〜10であり、
は、互いに独立に、2〜16個の炭素原子を有するアルキル基(エーテル官能基が割り込んでいてもよい)、7〜18個の炭素原子を有するアルカリル基および6〜16個の炭素原子を有するアリール基を含む群から選択される、同一または異なる基である)
のビルディングブロックによって結合した有機ポリシロキサンユニットを有することを特徴とする架橋有機ポリシロキサンであって、
式(I)のビルディングブロックが両方の結合点でSi原子に直接結合した架橋有機ポリシロキサン。
【請求項2】
有機ポリシロキサンユニットが、同一または異なる、式(II)のユニット
2+c+2dD’ (II)
(式中、
Mは、(RSiO1/2)であり、
Dは、(RSiO2/2)であり、
D’は、(RSiO2/2)であり、
Tは、(RSiO3/2)であり、
Qは、(SiO4/2)であり
aは、30〜800であり、
bは、1〜40であり、
cは、0〜2であり、
dは、0〜2であり、
は、RはまたはRであり、
は、互いに独立に、VあるいはHあるいは、同一または異なる、直鎖または分岐の(場合により芳香族である)1〜32個の炭素原子を有する炭化水素基(場合によりOHまたはエステル官能基を有する)であり、
は、互いに独立に、同一または異なる、一般式(III)のポリエーテル基
−CH−CH−(CHO(EO)(PO)(XO)(III)
(式中、
EOは、(−CO−)であり、
POは、(−CO−)であり、
XOは、(CO)であり、
nは、1〜16であり、
xは、2〜50であり、
yは、0〜50であり、
zは、0〜10であり、
は、互いに独立に、H、1〜16個の炭素原子を有するアルキル基またはカルボキシレート基を含む群から選択される同一または異なる基であり、
は、互いに独立に、2〜16個の炭素原子を有するアルキル基(エーテル官能基が割り込んでいてもよい)、7〜18個の炭素原子を有するアルカリル基および6〜16個の炭素原子を有するアリール基を含む群から選択される、同一または異なる基である)であり、
Vは、式(I)のビルディングブロックへの結合であり、
ここで、1つの有機ポリシロキサンユニット(II)あたり、少なくとも1つのVが存在する)、
であることを特徴とする、請求項1に記載の架橋有機ポリシロキサン。
【請求項3】
式(II)の有機ポリシロキサン1ユニットあたり、平均して、少なくとも1つのビルディングブロック(I)がSiOC結合を介して接続することを特徴とする、請求項2に記載の架橋有機ポリシロキサン。
【請求項4】
式(II)の有機ポリシロキサン1ユニットあたり、平均して、少なくとも1つのビルディングブロック(I)がSiC結合を介して接続することを特徴とする、請求項2または3に記載の架橋有機ポリシロキサン。
【請求項5】
6〜8のHLB値を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋有機ポリシロキサン。
【請求項6】
同一または異なる式(IIa)の有機ポリシロキサン
2+c+2dD’ (IIa)
(式中、添字および略号は式(II)について記載した意味を有し、ただし、Rは少なくとも部分的にVの代わりに水素である)を、少なくとも1つのヒドロキシ基および少なくとも1つの多重結合を有する化合物と、ならびに場合により少なくとも1つの多重結合を有しOH基を有さない化合物と、ヒドロシリル化反応で反応させることを特徴とし、ここで、ヒドロシリル化の後、Si−H結合のいくつかはさらに反応生成物に存在し、得られる反応生成物において脱水縮合が実施されるよう反応条件が選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の架橋有機ポリシロキサンの製造。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の架橋有機ポリシロキサンまたは請求項6により製造される架橋有機ポリシロキサンの、乳化剤、特に油中水型乳化剤としての使用。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の架橋有機ポリシロキサンまたは請求項6により製造される架橋有機ポリシロキサンを含む、化粧用および医薬用の油中水型乳化物のための乳化剤システム。
【請求項9】
架橋ポリシロキサンのほかに、式IIbの非架橋ポリシロキサン
2+c+2dD’ (IIb)
(式中の定義は式IIについての定義に対応し、ただし、RはVではない)
も有することを特徴とする、請求項8に記載の乳化剤システム。
【請求項10】
50より大きい多分散度を有することを特徴とする、請求項8または9に記載の乳化剤システム。
【請求項11】
架橋ポリシロキサンIIの非架橋ポリシロキサンIIbに対する質量比が0.8:0.2〜0.2:0.8であること、ならびに/あるいは
式IIおよび/またはIIbの化合物において、式IまたはIIIのポリエーテル基またはビルディングブロックが、それぞれのケースでx/(1+y+z)>1で存在すること、ならびに/あるいは
式IIおよび/またはIIbの化合物において、比a/b>2であること、ならびに/あるいは
式IIおよび/またはIIbの化合物において、平均して、少なくとも3つのポリエーテル基が存在し、分子に結合したポリエーテル基Rの最大数がb以下であること
を特徴とする、
請求項9または10に記載の乳化剤システム。
【請求項12】
4〜10のHLB値、50より大きい多分散度、および架橋ポリシロキサンの非架橋ポリシロキサンに対する質量比0.8:0.2〜0.2:0.8を有することを特徴とする、化粧用および医薬用の油中水型乳化物のための乳化剤系。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか1項に記載の乳化剤システムの、油中水型乳化物または分散物の製造のための使用。
【請求項14】
請求項8〜12のいずれか1項に記載の乳化剤システムを少なくとも1つ含む、化粧用または医薬用の油中水型乳化物または分散物。
【請求項15】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の架橋有機ポリシロキサンまたは請求項8〜12のいずれか1項に記載の乳化剤システムの、化粧品製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤の製造のための使用。
【請求項16】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の架橋有機ポリシロキサンまたは請求項8〜12のいずれか1項に記載の乳化剤システムを含む、化粧品製剤、皮膚外用製剤または医薬製剤。

【公開番号】特開2011−74383(P2011−74383A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−211606(P2010−211606)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】