説明

検査方法及び装置

【課題】検査対象の電気特性を測定する場合に、検査対象の電気特性に影響を与えることなく、SEM画像の高倍率化、高分解能化及びリアルタイム性を実現する。
【解決手段】試料上の検査対象における目標位置の像を含む高画質且つ高倍率の第1の画像を取得する。次に、試料上の検査対象における目標位置の像とプローブの像を含む低画質且つ低倍率の第2の画像を取得する。次に、第2の画像に第1の画像データを組み込むことによって、第2の画像の倍率と同一の倍率の粗寄せ観察用の画像を生成する。プローブが検査対象における目標位置に近接するまで、粗寄せ観察用画像の生成を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象にプローブを接触させることにより検査対象を検査する検査方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体素子の配線の欠陥を検出するために、プローブを半導体素子に接触させ、その電気特性を測定する技術が記載されている。半導体素子の電気特性を正確に測定するには、プローブを半導体素子の所定の位置に正確に接触させる必要がある。そこで、走査型電子顕微鏡(SEM)によるSEM画像が用いられる。
【0003】
近年、30nm、20nmデバイスのように、半導体素子の配線パターンの微細化が進んでいる。例えば、最先端の半導体素子では、2〜3万倍の倍率でないとトランジスタのコンタクトの観察することができない。そのために、高倍率及び高分解能のSEM画像が必要である。
【0004】
SEM画像の高倍率化及び高分解能化には、電子光学条件(電子線の加速電圧、エミッション電流等)の変更が必要である。しかしながら、電子光学条件を変更すると、試料がダメージを受け、半導体素子の電気特性に影響を与えることがある。従って、SEM画像の高倍率化及び高分解能化と同時に、半導体素子の電気特性に影響を与えることは避けなければならない。しかしながら、これらの2つの課題は、トレードオフの関係にある。
【0005】
プローブを半導体素子に接触させる工程(プローブの針当て)では、プローブの現在位置を取得する必要がある。即ち、SEM画像のリアルタイム性が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−343843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、プローブを半導体素子に接触させる工程(プローブの針当て)では、SEM画像の高倍率化及び高分解能化ばかりでなく、リアルタイム性が必要である。しかしながら、従来の技術では、半導体素子の電気特性に影響を与えることなく、SEM画像の高倍率化、高分解能化及びリアルタイム性を同時に満たすことは困難であった。
【0008】
本発明の目的は、検査対象の電気特性を測定する場合に、検査対象の電気特性に影響を与えることなく、SEM画像の高倍率化、高分解能化及びリアルタイム性を満たすことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、先ず、試料上の検査対象における目標位置の像を含む高画質且つ高倍率の第1の画像を取得する。次に、試料上の検査対象における目標位置の像とプローブの像を含む低画質且つ低倍率の第2の画像を取得する。次に、第2の画像に第1の画像データを組み込むことによって、第2の画像の倍率と同一の倍率の粗寄せ観察用の画像を生成する。プローブが検査対象における目標位置に近接するまで、粗寄せ観察用画像の生成を繰り返す。
【0010】
更に、試料上の検査対象における目標位置の像とプローブの像を含む低画質且つ低倍率の第3の画像を取得する。次に、第3の画像データと第1の画像を合成することによって、第1の画像の倍率と同一の倍率の精密寄せ観察用の画像を生成する。プローブが検査対象における目標位置に接触するまで、精密寄せ観察用画像の生成を繰り返す。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、検査対象の電気特性を測定する場合に、検査対象の電気特性に影響を与えることなく、SEM画像の高倍率化、高分解能化及びリアルタイム性を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の検査装置の構成例を示す図である。
【図2】半導体素子内のトランジスタに対する電子線照射の影響を表す図である。
【図3】本発明の検査方法におけるプローブの移動方法を説明する図である。
【図4】本発明の検査方法において低倍率の粗寄せモード観察用のSEM画像を生成する方法を説明する図である。
【図5】本発明の検査方法において高倍率の精密寄せモード観察用のSEM画像の生成方法の第1の例を説明する図である。
【図6】本発明の検査方法において高倍率の精密寄せモード観察用のSEM画像の生成方法の第2の例を説明する図である。
【図7】本発明の検査方法において高倍率の精密寄せモード観察用のSEM画像の生成方法の第3の例を説明する図である。
【図8】本発明の検査方法において高画質且つ高倍率のSEM画像の再取得(リフレッシュ)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、本発明による検査装置の例として半導体検査装置を説明する。半導体検査装置では、試料である半導体素子上に形成された回路パターンに直接プローブを触針させ、回路の論理的な動作や電気特性を測定する。試料とプローブの間の接触状態及び接触位置を確認するために、走査型顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)が設けられている。ここでは、走査型顕微鏡を備えたSEM式半導体検査装置の例を説明するが、本発明の半導体検査装置は、他の荷電粒子線装置を用いた半導体検査装置であってもよい。
【0014】
本例の半導体検査装置は、電子ビーム光学系118と試料室105を有する。電子ビーム光学系118は試料室105の筐体に設けられている。試料室105には、試料103を載置する試料台124と、試料台124を駆動する試料台駆動装置123と、プローブ127A、127Bを支持するプローブ用アタッチメント126A、126Bと、プローブ用アタッチメント126A、126Bを駆動するプローブ駆動装置125A、125Bと、試料台駆動装置123及びプローブ駆動装置125A、125Bを支持する大ステージ122と、大ステージ122を支持するベース121が設けられている。試料室105の筐体には更に、検出器104が設けられている。
【0015】
本例のSEM式半導体検査装置は、更に、画像処理装置131、記憶装置132、表示装置133、及び、制御コンピュータ134を有する。画像処理装置131によって、以下に説明するように、粗寄せモード観察用のSEM画像及び精密寄せモード観察用のSEM画像を生成する。
【0016】
制御コンピュータ134は、画像処理装置131、記憶装置132、表示装置133を利用して、倍率切り替え、ステージ移動、SEM画像の生成等、半導体検査装置全体の動作制御を行う。
【0017】
本例のSEM式半導体検査装置は、プローブ127A、127Bを自動的に移動させて試料103に接触させる自動プロービング機能が設けられてよい。しかしながら、手動により、プローブ127A、127Bを移動させて試料103に接触させてもよい。
【0018】
電子ビーム光学系118は、電子銃111、コンデンサレンズ112、113、絞り114、スキャン偏向器115、イメージシフト偏向器116、及び、対物レンズ117を有する。スキャン偏向器115によって、スキャンの方向や倍率を決められる。コンデンサレンズは1つであってもよい。
【0019】
本例の半導体検査装置の動作を説明する。先ず、制御コンピュータ134からの制御信号は、試料台駆動装置123及びプローブ駆動装置125A、125Bに送信される。それによって、プローブ127A、127Bと試料103の間の相対的位置が変化し、プローブ127A、127Bが試料103に接触する。プローブ127A、127Bからの電気信号は制御コンピュータ134へ送られる。制御コンピュータ134はプローブからの信号を解析する。表示装置133は、解析結果を示すグラフ又は表を表示する。
【0020】
一方、電子ビーム光学系118では、電子銃111からの1次電子ビーム101は、コンデンサレンズ112、113、絞り114、スキャン偏向器115、イメージシフト偏向器116、及び、対物レンズ117を経由して試料103に照射される。試料103からの2次電子信号又は反射電子信号は、検出器104によって検出され、画像処理装置131によってSEM画像が生成される。このSEM画像は、表示装置133によって表示され、記憶装置132に記憶される。このSE画像は、試料103にプローブ127A、127Bを接触させるときに利用する。
【0021】
本発明によると、2次電子信号又は反射電子信号によって生成した画像を用いて、プローブの針当てを行なうが、プローブによる吸収電流画像を用いることもできる。それにより、材質の違いを顕在化することができる。また、内部の電気的な導通性を示す画像を用いて、プローブの針当てを行なうことも可能である。
【0022】
本例の半導体検査装置は、電子ビーム光学系118を用いるが、荷電粒子ビーム光学系を用いる場合には、イオン画像を用いてプローブの針当てを行なうことができる。それによって、プローブの針当ての操作性が向上する。
【0023】
本発明による半導体検査装置は、基本的には1次粒子ビームの加速電圧を変更することが可能であり、且つ、プローブ電流量の変更が可能であり、画像の編集ができるプローブ付きの検査装置であればよい。
【0024】
図2を参照して、試料103の例として、一般的な半導体素子の場合を説明する。半導体素子は、基板203とその上の酸化膜204を有する。尚、半導体素子の表面は研磨され、酸化膜204の最上層部は削られている。半導体素子には、トランジスタの構成要素であるドレイン205、ソース206、及び、ゲート207が形成され、それぞれコンタクト208が接続されている。コンタクト208の上端は、酸化膜204を介して露出している。コンタクト208にプローブを接触させることにより、トランジスタの電気特性を検査することできる。それによって、どのトランジスタが不良であるのか判る。
【0025】
走査型顕微鏡において半導体素子の表面に1次電子ビーム101を照射すると、半導体素子の内部の所定の領域209まで電子ビームが進入する。この電子線侵入領域209内に、ドレイン205、ソース206、ゲート207の一部が存在すると、トランジスタの電気特性に影響を与える。即ち、トランジスタの不良の検出に誤差が生じる。例えば、トランジスタでは、ゲート電圧がある値Vthを超えると急激にドレイン電流が流れる現象がある。電子線侵入領域209が存在すると、このVth特性の立ち上がりに影響を与える。近年、半導体素子の微細化が進み、コンタクト間の距離が短くなっている。更に、酸化膜204の厚さも、徐々に薄くなっている。従って、電子線侵入領域が同一の大きさであっても、酸化膜204が薄くなると、ドレイン205、ソース206、ゲート207に対する影響を与え易くなってきている。
【0026】
ドレイン205、ソース206、ゲート207に対する1次電子ビーム101の影響を小さくするには、電子線侵入領域209をできるだけ小さくすればよい。電子線侵入領域209を小さくするには、1次電子ビーム101の加速電圧を(例えば、1.0kV以下に)下げるか、又は、1次電子ビーム101のエミッション電流を(例えば5μA以下に)下げればよい。
【0027】
更に、できるだけ低倍率で観察し、できるだけ焦点を半導体素子の表面に合わせないことでもよい。更に、スキャン速度(走査速度)を大きくすることにより、半導体素子の表面に電荷が蓄積することを回避してもよい。また、できるだけ短い時間内に観察を行うことも有効である。更に、半導体素子の前処理において、酸化膜を削る量を少なくし、酸化膜をできるだけ残すとよい。
【0028】
しかしながら、これらの対策は、SEM画像の画質又は分解能を低下させる。従って、半導体素子の表面にプローブを正確に且つ確実に接触させるために有効ではない。SEM画像の画質を高品質化すると、プローブの針当てを正確に且つ確実に行なうことができるが、電子線侵入領域209が大きくなり、半導体素子の電気特性に影響を与える。したがって、不良検査に誤差が生じ易くなる。
【0029】
一般に、電子線侵入領域209を小さくすることと、高画質のSEM画像を得ることは、トレードオフの関係にある。即ち、半導体素子の電気特性の評価を正確に行なうことと、高品質のSEM画像を得ることは、トレードオフの関係にある。
【0030】
そこで、本発明によると、高画質且つ高倍率の画像と低画質且つ低倍率の画像の2種類の像を使ってプローブの針当ての操作性を向上させ、同時に、電子線によるダメージの発生を回避する。尚、低画質の画像を得るのは、電子線によるダメージの発生を回避するためである。従って、スキャン速度(走査速度)を大きくする。
【0031】
高画質の画像を得る条件として、様々なパラメータの選択が可能である。これらのパラメータには、電子線の加速電圧、電子線の照射電流、プローブ電流、スキャン時間、フレームの積算回数、画素数、倍率、等がある。更に、2次電子像の代わりに荷電粒子像、反射電子像等を用いても、高画質の画像を得ることはできる。
【0032】
プローブの針当てにおいて、試料の表面についての情報が必要な場合は、加速電圧を比較的低くすればよく、試料の下部の情報が必要な場合には、加速電圧を比較的大きくすればよい。更に、プローブ電流量を変化させることにより、ボルテージコントラストのある画像を取得することができる。いずれにしても、高画質の画像を得る条件を選択することにより、所望の情報が得られるから、それを利用してプローブの針当てを行なえばよい。
【0033】
図3を参照して、本発明による半導体素子の検査方法におけるプローブの移動方法を説明する。検査対象は半導体素子のトランジスタであるとして説明する。トランジスタの電気的特性を検査するには、トランジスタのコンタクトにプローブを接触させる。
【0034】
走査電子顕微鏡の視野に、トランジスタの目標のコンタクト像が現れると、視野の中心に、目標のコンタクト像が配置されるように、試料ステージを移動させる。それ以後は、試料ステージを移動させない。以後、試料は移動させないが、プローブは移動させる。従って、目標のコンタクト像を観察するには、高画質の静止画でよいが、プローブ像を観察するには、リアルタイム画像が必要である。
【0035】
プローブの移動方法は、粗寄せモードと精密モードの2つのモードを含む。粗寄せモードでは、プローブが目標のコンタクトより比較的離れている場合に、低倍率のSEM画像によってプローブの位置を確認しながら、プローブを移動させる。精密モードでは、プローブが目標のコンタクトより比較的接近している場合に、高倍率のSEM画像によってプローブの位置を確認しながら、プローブを移動させる。プローブの移動方法は、自動でもよいが手動でもよい。粗寄せモードでは、プローブの移動速度、又は、移動ストロークを比較的大きくし、精密モードでは、プローブの移動速度、又は、移動ストロークを比較的小さくするとよい。
【0036】
本例によると、ステップS101にて、高画質且つ高倍率の第1のSEM画像を取得し、それを記憶装置132に保存する。高画質のSEM画像を得るには、上述のように、電子線の加速電圧又は照射電流を上げてもよいが、スキャン速度を小さくしてもよい。この時点では、移動対象のプローブは目標のコンタクトより比較的離れている。従って、第1のSEM画像には、目標のコンタクト像が表示されているが、移動対象のプローブ像は表示されていない。ステップS102にて粗寄せモードを開始する。即ち、粗寄せモードにて、プローブを移動させる。
【0037】
ステップS103にて、低画質且つ低倍率の第2のSEM画像を取得し、それを記憶装置132に保存する。低画質のSEM画像を得るには、例えば、スキャン速度を大きくすればよい。第2のSEM画像には、目標のコンタクト像と移動中のプローブ像の双方が表示されている。高画質の第1のSEM画像では、試料上に焦点が合わされていたが、低画質の第2のSEM画像では、プローブに焦点を合わせてもよい。それによって、目標のコンタクト像は不鮮明となるが、プローブ像は鮮明に表示される。
【0038】
ステップS104にて、低倍率の粗寄せモード観察用のSEM画像を生成する。粗寄せモード観察用のSEM画像は、ステップS101にて取得した第1のSEM画像をステップS103にて取得した第2のSEM画像に組み込むことにより生成する。粗寄せモード観察用のSEM画像の生成方法は、後に図4を参照して詳細に説明する。粗寄せモード観察用のSEM画像には、目標のコンタクト像と移動対象のプローブ像の双方が表示されている。
【0039】
ステップS105にて、粗寄せモードを終了させるか否かを判定する。粗寄せモード観察用のSEM画像を観察して、プローブ像が目標のコンタクト像に近接していないと判定できる場合には、粗寄せモードを継続させるために、ステップS103に戻る。プローブ像が目標のコンタクト像に近接している判定できるまで、ステップS103〜ステップS104を繰り返す。粗寄せモード観察用のSEM画像を観察して、プローブ像が目標のコンタクト像に近接していると判定できる場合には、粗寄せモードを終了させる。この場合、ステップS106にて、精密寄せモードを開始する。即ち、精密寄せモードにて、プローブを移動させる。
【0040】
ステップS107にて、低画質且つ低倍率の第3のSEM画像を取得し、それを記憶装置132に保存する。第3のSEM画像には、目標のコンタクト像と移動対象のプローブ像の双方が表示されている。尚、ステップS107の第3のSEM画像の取得における走査電子顕微鏡の光学条件は、ステップS103の第2のSEM画像の取得における走査電子顕微鏡の光学条件と同一である。即ち、粗寄せモードにおける走査電子顕微鏡の光学条件は、精密寄せモードでもそのまま維持されている。
【0041】
ステップS108にて、高倍率の精密寄せモード観察用のSEM画像を生成する。精密寄せモード観察用のSEM画像は、ステップS101にて取得した第1のSEM画像とステップS107にて取得した第3のSEM画像を合成することにより生成する。尚、精密寄せモード観察用のSEM画像の生成方法は、後に図5、図6及び図7を参照して詳細に説明する。精密寄せモード観察用のSEM画像には、目標のコンタクト像と移動対象のプローブ像の双方が表示されている。
【0042】
ステップS109にて、精密寄せモードを終了させるか否かを判定する。精密寄せモード観察用のSEM画像を見て、プローブ像が目標のコンタクト像に接触していないと判定できる場合には、精密寄せモードを継続させるために、ステップS107に戻る。プローブ像が目標のコンタクト像に接触したと判定できるまで、ステップS107〜ステップS108を繰り返す。精密寄せモード観察用のSEM画像を観察して、プローブ像が目標のコンタクト像に接触したと判定できる場合には、精密寄せモードを終了させる。即ち、プローブの移動を停止する。
【0043】
尚、ステップS105及びステップS109の判定は、ユーザが目視によって行なってよいが、画像処理装置131が画像処理によって自動的に行なってもよい。例えば、ステップS105の処理では、プローブ像と目標のコンタクト像の間の距離が所定の距離より小さくなったときに、粗寄せモードを終了させる。ステップS109の処理では、プローブ像の先端の位置と目標のコンタクト像の位置が略一致したときに、精密寄せモードを終了させる。
【0044】
本例では、低倍率の粗寄せモード観察用のSEM画像を生成する毎に、ステップS103にて第2のSEM画像を取得する。高倍率の精密寄せモード観察用のSEM画像を生成する毎に、ステップS107にて第3のSEM画像を取得する。しかしながら、第2及び第3のSEM画像を繰り返し生成しても、これらの画像は、低画質且つ低倍率であるから、試料の表面にダメージを与える可能性は低い。一方、第1のSEM画像を取得するのは、ステップS101の1回のみである。第1のSEM画像は高画質且つ高倍率であるが、それを取得するのは1回のみであるから、試料の表面にダメージを与える可能性は低い。
【0045】
更に、第2及び第3のSEM画像を取得する場合、コンタクトではなくプローブに電子線の焦点を合わせる。従って、試料である半導体素子の表面では、電子線の焦点が合っていない。そのため、電子線の照射により、試料に与えるダメージを減少させることができる。
【0046】
ステップS101にて取得した第1のSEM画像と、ステップS103及びステップS107にて取得した第2及び第3のSEM画像を識別するために、SEM画面に対して、コントラスト強調、カラー表示、輪郭強調等の画像編集を行なってよい。それによって、ユーザは、表示装置に表示されたSEM画像を見て、それが当初に取得した第1のSEM画像であるか、後に取得した第2又は第3のSEM画像であるかが容易に判る。
【0047】
このような画像編集は、第1のSEM画像に対して行なうとよい。画像編集を行なった後の第1のSEM画像を記憶装置132に保存する。第1のSEM画像と第2及び第3のSEM画像を合成する場合には、記憶装置132に保存された画像編集を行なった後の第1のSEM画像を利用すればよい。
【0048】
また、粗寄せモード観察用のSEM画像、及び、精密寄せモード観察用のSEM画像において、最新の位置にあるプローブ像を強調表示し、過去の位置にあるプローブ像を強調表示しないように画像編集を行なってもよい。
【0049】
トランジスタのコンタクトは、高画質且つ高倍率のSEM画像でなければ、正確に観察することはできない。従って、ステップS101にて、目標のコンタクトの位置情報を得るために、高画質且つ高倍率のSEM画像を取得している。しかしながら、プローブの針当て中に試料ステージ移動する必要はないから、この高画質且つ高倍率のSEM画像を取得するのは1回のみであってもよい。
【0050】
一方、プローブは大きいため低画質且つ低倍率のSEM画像でも観察が可能である。しかしながら、針当て時にはプローブが移動するため、リアルタイムにて観察しないと、隣のプローブと衝突してプローブが損傷する可能性がある。従って、プローブの位置情報を得るために、低画質且つ低倍率の第2及び第3のSEM画像は、所定に時間間隔にて定期的に取得する。従って、第2及び第3のSEM画像はリアルタイム像である。
【0051】
半導体素子の検査では、プローブの針当て工程にて、電子線の照射により、試料にダメージを与える可能性がある。しかしながら、本発明によると、電子線の照射による試料へのダメージが最小化される。更に、本発明によると、粗寄せモードの後に精密寄せモードを行なうから、プロービング時間の短縮化が可能となる。
【0052】
図4を参照して、図3のステップS104の低倍率の粗寄せモード観察用のSEM画像の生成方法を説明する。図4の左上のSEM画像2010は、図3のステップS103にて取得した、低画質且つ低倍率の第2のSEM画像2010の例を示す。図4の右上のSEM画像1010は、図3のステップS101にて取得した高画質且つ高倍率の第1のSEM画像1010の例を示す。
【0053】
第1のSEM画像1010において、整列して配置された複数の円形は、トランジスタのコンタクト像を表す。第1のSEM画像1010は、高画質であるから、目標のコンタクト像1020が鮮明に表示されている。第1のプローブ像1030は既に所定の位置に配置されており、この位置に静止している。移動対象の第2のプローブ像は、このSEM画像1010には現れていない。
【0054】
第2のSEM画像2010は、低倍率であるから、2つのプローブ像2030、2040が表示されている。第1のSEM画像1010では、試料上に焦点が合わされていたが、第2のSEM画像2010では、プローブに焦点を合わせてもよい。それによって、第2のSEM画像2010では、プローブ像2030、2040が比較的鮮明に表示される。一方、第2のSEM画像2010では、全てのコンタクト像を特定することが困難である。また、目標のコンタクト像2020は不鮮明であり、その位置を正確に特定することができない。粗寄せモードにて、第2のプローブ像2040は矢印方向に移動する。
【0055】
先ず、第1のSEM画像1010を縮小することによって、第2のSEM画像2010の倍率と同一倍率の高画質の縮小画像1010aを生成する。ここで、第1のSEM画像1010の倍率は、第2のSEM画像2010の倍率の整数倍であると都合がよい。
【0056】
この高画質の縮小画像1010aに含まれる目標のコンタクト像1020a及び第1のプローブ像1030aの画像上の寸法は、第2のSEM画像2010に含まれる目標のコンタクト像2020及び第1のプローブ像2030の画像上の寸法と同一となる。
【0057】
次に高画質の縮小画像1010aを第2のSEM画像2010に組み込むことにより、低倍率の粗寄せモード観察用のSEM画像2201が生成される。縮小画像1010aを第2のSEM画像2010に組み込むには、例えば、両画像の対応する画素値を積算してよい。
【0058】
粗寄せモード観察用のSEM画像2201では、目標のコンタクト像2102a及び第1のプローブ像2203(2103a)ばかりでなく、第2のプローブ像2204も表示されている。粗寄せモード観察用のSEM画像2201のうち中心領域2101aでは、鮮明な像が表示され、中心領域2101aの外側では不鮮明な像が表示されている。目標のコンタクト像2102aは、中心領域2101a内にあるため鮮明である。第1のプローブ像のうち、中心領域2101a内にある部分2103aは鮮明であるが、中心領域2101aの外側にある部分2203は不鮮明である。また、第2のプローブ像2204は中心領域2101aの外側にあるため不鮮明である。しかしながら、第2のSEM画像2010では、第1及び第2のプローブに焦点が合っている。そのため、第1及び第2のプローブ像2030、2040は比較的鮮明に表示されているはずである。更に、第2のSEM画像2010を取得した時点では、第2のプローブ像2204は、目標のコンタクト像2102aより離れている。従って、第2のプローブ像2204が多少不鮮明であっても、それが目標のコンタクト像2102aに接近しているか否かを判定するには、不都合はない。
【0059】
粗寄せモード観察用のSEM画像2201では、第1のプローブ像2203(2103a)は、完全に正確に表示されているわけではない。しかしながら、粗寄せモード観察用のSEM画像2201では、第2のプローブ像2204が目標のコンタクト像2102aに近接していることを正確に確認することができればよく、必ずしも、第1のプローブ像が正確に表示される必要はない。
【0060】
本例では、所定の周期にて、第2のSEM画像2010を取得し、低倍率の粗寄せモード観察用のSEM画像2201を生成する。それによって、第2のプローブ像2204が目標のコンタクト像2102aに近接していることを確認することができる。
【0061】
図5を参照して、図3のステップS108の高倍率の精密寄せモード観察用のSEM画像の生成方法の第1の例を説明する。図5の左上のSEM画像301は、図3のステップS107にて取得した、第3のSEM画像301の例を示す。第3のSEM画像301では、図4の左上に示す第2のSEM画像2010を比較すると、第2のプローブ像304の先端は、第3のSEM画像301の中心領域305内まで移動している。
【0062】
図5の右上のSEM画像1010は、図3のステップS101にて取得した第1のSEM画像1010の例を示す。
【0063】
先ず、第3のSEM画像301の所定の領域305を切り取って拡大する。又は、第3のSEM画像301を拡大して、それより所定の領域305に相当する部分を切り取ってもよい。こうして、切り取り及び拡大を組み合わせることによって、第1のSEM画像1010の倍率と同一倍率の低画質の拡大画像3305を生成する。ここで、第1のSEM画像1010の倍率は、第3のSEM画像301の倍率の整数倍であると都合がよい。
【0064】
この低画質の拡大画像3305には、目標のコンタクト像3302及び第1のプローブ像3303ばかりでなく、第2のプローブ像3304も表示されている。この低画質の拡大画像3305に含まれる目標のコンタクト像3302及び第1のプローブ像3303の画像上の寸法は、第1のSEM画像1010に含まれる目標のコンタクト像1020及び第1のプローブ像1030の画像上の寸法と同一となる。
【0065】
次に低画質の拡大画像3305と第1のSEM画像1010を合成することにより、高倍率の精密寄せモード観察用のSEM画像1101が生成される。2つの画像の合成では、例えば、両画像の対応する画素値を積算してよい。
【0066】
精密寄せモード観察用のSEM画像1101では、目標のコンタクト像1102及び第1のプローブ像1103ばかりでなく、第2のプローブ像1304も表示されている。目標のコンタクト像1102及び第1のプローブ像1103は、第1のSEM画像1010の画素データによって生成されたものであり、鮮明である。第2のプローブ像1304は、低画質の拡大画像3305の画素データによって生成されたものであり、少々不鮮明である。しかしながら、上述のように、第3のSEM画像301では、プローブに焦点が合っている。そのため、第2のプローブ像3304は比較的鮮明である。従って、精密寄せモード観察用のSEM画像1101の第2のプローブ像1304は比較的鮮明である。
【0067】
本例では、所定の周期にて、第3のSEM画像301を取得し、高倍率の精密寄せモード観察用のSEM画像1101を生成する。それによって、第2のプローブ像1304が目標のコンタクト像1102に接触したことを確認することができる。
【0068】
図6を参照して、図3のステップS108の高倍率の精密寄せモード観察用のSEM画像の生成方法の第2の例を説明する。図6の左上のSEM画像301は、図3のステップS107にて取得した第3のSEM画像301の例を示す。図6の右上のSEM画像1010は、図3のステップS101にて取得した第1のSEM画像1010の例を示す。
【0069】
先ず、第3のSEM画像301において、第2のプローブ像304の先端304Aの位置を特定し、その座標を検出する。この処理は、画像処理装置131による画像処理によって行なわれる。画像処理装置131は、先ず、画像処理によって、第2のプローブ像304の外形を検出し、その先端の位置を特定する。こうして、低倍率画像の座標系における、第2のプローブ像304の先端の座標(x1、y1)が得られる。
【0070】
次に、画像処理装置131は、低倍率画像の座標系における座標(x1、y1)を第1のSEM画像1010の座標系の座標(x2、y2)に変換する。それによって、高画質且つ高倍率の座標系における、第2のプローブ像の先端の座標(x2、y2)が得られる。
【0071】
次に、第1のSEM画像1010の倍率と同一の高倍率画面401を生成する。高倍率画面401の生成方法は、ここでは詳細に説明しないが、例えば、図5に示したSEM画像3305を生成する方法と同一の方法を用いてもよい。この高倍率画面401において、第2のプローブ像404を付加する。高倍率画面401の座標系の座標(x2、y2)に相当する位置405に、プローブ像404の先端が配置されるように、付加すればよい。
【0072】
プローブ像404は、画像処理装置131によって予め用意されたプローブの像であってもよいし、第3のSEM画像301のプローブ像304を切り出して生成したものであってもよい。
【0073】
最後に、プローブ像404を有する高倍率画面401と第1のSEM画像1010を合成して、高倍率の精密寄せモード観察用のSEM画像1101を生成する。この精密寄せモード観察用のSEM画像1101には、目標のコンタクト像1102、第1のプローブ像1103及び第2のプローブ像1404が表示される。
【0074】
図7を参照して、図3のステップS108の高倍率の精密寄せモード観察用のSEM画像の生成方法の第3の例を説明する。本例では、高倍率画面401を生成し、高倍率座標系における第2のプローブ像304の先端304Aの座標(x2、y2)を取得するまでは、図6の例と同様である。本例では、高倍率画面401に第2のプローブ像を表示する代わりにマーカー406を生成する。第1のSEM画像1010において、第2のプローブ像を表示する代わりに、第2のプローブ像を表すマーカー1406を表示する。
【0075】
マーカー1406を用いることによって、様々な利点が得られる。先ず、2つのSEM画像を合成する処理を省ける。一般に、2つの画像を合成する場合には、画像の歪を回避し、画像の質の低下を防止するために、2つの画像の倍率は整数倍であることが好ましい。即ち、2つの画像の倍率に制限がある。しかしながら、マーカー1406を用いると、2つの画像を合成する工程が無いため、2つのSEM画像1010、301の倍率を自由に選択することができる。
【0076】
尚、マーカー1406を用いる場合には、プローブの先端の位置を特定することはできるが、プローブの外形は不明確となる。そのため、プローブ同士の接触によるプローブの破損が起きる可能性がある。それを防止するには、マーカー1406をプローブの外形と同一の形状にすればよい。プローブの外形は、2本の直線によって簡単に表すことができる。従って、プローブの外形と同様な形状のマーカーを生成することは容易である。
【0077】
ここでは、説明を簡単化するために、第1のプローブは移動させないで第2のプローブのみを移動させる場合を説明した。しかしながら、複数本のプローブを移動させる場合も同様である。
【0078】
図8を参照して、本発明による半導体検査装置における高画質且つ高倍率のSEM画像の再取得(リフレッシュ)を説明する。荷電粒子線画像やSEM画像は、時間の経過とともにドリフトにより変化する可能性がある。従って、図3のステップS101において、高画質且つ高倍率のSEM画像を取得してから所定の時間が経過すると、新たに高画質且つ高倍率のSEM画像を再取得することが好ましい。
【0079】
図8は、高画質且つ高倍率のSEM画像を再取得(リフレッシュ)する時の、ユーザの選択バリエーションを表示する。半導体検査装置に設けられた再取得(リフレッシュ)機能801は、リフレッシュをするか否かの選択802と、リフレッシュをする場合には、自動で行なうか手動で行なうかの選択803が可能である。更に、リフレッシュを自動で行なう場合には、リフレッシュ時間間隔を設定することが可能である。リフレッシュする間隔は、高画質且つ高倍率のSEM画像の種類や試料の種類により変化させる必要がある。更に、リフレッシュ時に事前警告を行なうように設定できる。これらの設定は、試料毎にユーザが選択することができる。
【0080】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0081】
101…1次電子ビーム、103…試料、104…2次電子検出器、105…試料室、118…電子ビーム光学系、111…電子銃、112、113…コンデンサレンズ、114…絞り、115…スキャン偏向器、116…イメージシフト偏向器、117…対物レンズ、121…ベース、122…大ステージ、123…試料台駆動装置、124…試料台、125A、125B…プローブ駆動装置、126A、126B…プローブ用アタッチメント、127A、127B…プローブ、131…画像処理装置、132…記憶装置、133…表示装置、134…制御コンピュータ、203…基板、204…酸化膜、205…ドレイン、206…ソース、207…ゲート、208…コンタクト、209…電子線侵入領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料上の検査対象における目標位置にプローブを接触させることにより該検査対象の電気的特性を検査する検査方法において、
走査電子顕微鏡によって前記試料上の検査対象における目標位置の像を含む高画質且つ高倍率の第1の画像を取得する第1の画像取得ステップと、
走査電子顕微鏡によって前記試料上の検査対象における目標位置の像とプローブの像を含む低画質且つ低倍率の第2の画像を取得する第2の画像取得ステップと、
前記第2の画像の倍率と同一の倍率になるように、前記第1の画像を縮小させて縮小画像を生成する第1の画像縮小ステップと、
前記縮小画像と前記第2の画像を合成することによって、前記縮小画像に含まれる前記目標位置の像と前記第2の画像に含まれる前記プローブの像を含み前記第2の画像の倍率と同一の倍率の粗寄せ観察用の画像を生成する粗寄せ観察用画像生成ステップと、
を有し、
前記粗寄せ観察用の画像において、前記検査対象における目標位置の像と前記プローブの像の間の距離が所定の値より小さくなったと判定されるまで、前記第2の画像取得ステップ、前記第1の画像縮小ステップ、及び、前記粗寄せ観察用画像生成ステップを繰り返すことを特徴とする検査方法。
【請求項2】
請求項1記載の検査方法において、
前記第1の画像は前記試料上の検査対象における目標位置に焦点を合わせて取得され、前記第2の画像は前記プローブに焦点を合わせて取得されることを特徴とする検査方法。
【請求項3】
請求項1記載の検査方法において、
走査電子顕微鏡によって前記試料上の検査対象における目標位置の像とプローブの像を含む低画質且つ低倍率の第3の画像を取得する第3の画像取得ステップと、
前記第3の画像より、前記目標位置の像と前記プローブ像を含む領域を切り取り、更に、前記第1の画像の倍率と同一の倍率になるように、拡大させて拡大画像を生成する第3の画像拡大ステップと、
前記拡大画像と前記第1の画像を合成することによって、前記第1の画像に含まれる前記目標位置の像と前記拡大画像に含まれる前記プローブの像を含み前記第1の画像の倍率と同一の倍率の精密寄せ観察用の画像を生成する精密寄せ観察用画像生成ステップと、
を有し、
前記精密寄せ観察用の画像において、前記プローブが前記検査対象における目標位置に接触したと判定されるまで、前記第3の画像取得ステップ、前記第3の画像拡大ステップ、及び、前記精密寄せ観察用画像生成ステップを繰り返すことを特徴とする検査方法。
【請求項4】
請求項1記載の検査方法において、
走査電子顕微鏡によって前記試料上の検査対象における目標位置の像とプローブの像を含む低画質且つ低倍率の第3の画像を取得する第3の画像取得ステップと、
画像処理によって前記第3の画像より前記プローブ像の位置を検出し、前記第1の画像の座標系における、前記プローブの像の位置を検出する位置検出ステップと、
前記第1の画像の倍率と同一の倍率の高倍率画像を生成する高倍率画像生成ステップと、
前記高倍率画像に前記プローブの像を合成するプローブ像合成ステップと、
前記プローブ像が合成された前記高倍率画像と前記第1の画像を合成することによって、前記第1の画像に含まれる前記目標位置の像と前記高倍率画像に含まれる前記プローブの像を含み前記第1の画像の倍率と同一の倍率の精密寄せ観察用の画像を生成する精密寄せ観察用画像生成ステップと、
を有し、
前記精密寄せ観察用の画像において、前記プローブが前記検査対象における目標位置に接触したと判定されるまで、前記第3の画像取得ステップ、前記位置検出ステップ、前記プローブ像合成ステップ、及び、前記精密寄せ観察用画像生成ステップを繰り返すことを特徴とする検査方法。
【請求項5】
請求項4記載の検査方法において、
前記プローブ像合成ステップにおいて、前記高倍率画像に合成する前記プローブの像は、前記第3の画像に含まれる前記プローブの像を切り出すことによって生成されるか、又は、画像処理によって予め作られたものか、いずれかであることを特徴とする検査方法。
【請求項6】
請求項1記載の検査方法において、
走査電子顕微鏡によって前記試料上の検査対象における目標位置の像とプローブの像を含む低画質且つ低倍率の第3の画像を取得する第3の画像取得ステップと、
画像処理によって前記第3の画像より前記プローブ像の位置を検出し、前記第1の画像の座標系における、前記プローブの像の位置を検出する位置検出ステップと、
前記第1の画像における前記プローブの像の位置にマーカーを表示することによって前記第1の画像に含まれる前記目標位置の像と前記マーカーを含み前記第1の画像の倍率と同一の倍率の精密寄せ観察用の画像を生成する精密寄せ観察用画像生成ステップと、
を有し、
前記精密寄せ観察用の画像において、前記プローブが前記検査対象における目標位置に接触したと判定されるまで、前記第3の画像取得ステップ、前記位置検出ステップ、及び、前記精密寄せ観察用画像生成ステップを繰り返すことを特徴とする検査方法。
【請求項7】
請求項3、4、6のいずれか1項記載の検査方法において、
前記第1の画像は前記試料上の検査対象における目標位置に焦点を合わせて取得され、前記第3の画像は前記プローブに焦点を合わせて取得されることを特徴とする検査方法。
【請求項8】
請求項1記載の検査方法において、
前記第1の画像は、所定の期間が経過後に再取得されることを特徴とする検査方法。
【請求項9】
請求項1記載の検査方法において、
前記高画質の画像は、電子線の加速電圧、照射電流、プローブ電流、スキャン速度、フレーム積算回数、及び、画素数、の少なくとも1つを変更することによって、又は、2次電子像、反射電子像又は粒子ビーム像から1つを選択することによって、取得することを特徴とする検査方法。
【請求項10】
請求項1記載の検査方法において、
前記粗寄せ観察用の画像に含まれる像のうち前記第1の画像に由来する像を他の画像と識別できるように、前記第1の画像に対して画像編集処理を行なうステップを有することを特徴とする検査方法。
【請求項11】
試料上の検査対象における目標位置にプローブを接触させることにより該検査対象の電気的特性を検査する検査方法において、
走査電子顕微鏡によって前記試料上の検査対象における目標位置の像を含む高画質且つ高倍率の第1の画像を取得する第1の画像取得ステップと、
前記プローブを第1の移動速度又は移動ストロークにて移動させる粗寄せモードを開始するステップと、
走査電子顕微鏡によって前記試料上の検査対象における目標位置の像とプローブの像を含む低画質且つ低倍率の第2の画像を取得する第2の画像取得ステップと、
前記第1の画像データを前記第2の画像に組み込むことによって、前記目標位置の像と前記プローブの像を含み前記第2の画像の倍率と同一の倍率の粗寄せ観察用の画像を生成する粗寄せ観察用画像生成ステップと、
前記プローブを第2の移動速度又は移動ストロークにて移動させる精密寄せモードを開始するステップと、
走査電子顕微鏡によって前記試料上の検査対象における目標位置の像とプローブの像を含む低画質且つ低倍率の第3の画像を取得する第3の画像取得ステップと、
前記第3の画像データを前記第1の画像に組み込むことによって、前記第1の画像に含まれる前記目標位置の像と前記第3の画像データにより得られた前記プローブの像を含み、前記第1の画像の倍率と同一の倍率の精密寄せ観察用の画像を生成する精密寄せ観察用画像生成ステップと、
を有する検査方法。
【請求項12】
請求項11記載の検査方法において、
前記粗寄せ観察用の画像において、前記検査対象における目標位置の像と前記プローブの像の間の距離が所定の値より小さくなったと判定されるまで、前記第2の画像取得ステップ、及び、前記粗寄せ観察用画像生成ステップを繰り返すことを特徴とする検査方法。
【請求項13】
請求項11記載の検査方法において、
前記精密寄せ観察用の画像において、前記プローブが前記検査対象における目標位置に接触したと判定されるまで、前記第3の画像取得ステップ、及び、前記精密寄せ観察用画像生成ステップを繰り返すことを特徴とする検査方法。
【請求項14】
請求項11載の検査方法において、
前記第1の画像は前記試料上の検査対象における目標位置に焦点を合わせて取得され、前記第2及び第3の画像は前記プローブに焦点を合わせて取得されてものであることを特徴とする検査方法。
【請求項15】
請求項11載の検査方法において、
前記第1の画像は、所定の期間が経過後に再取得されることを特徴とする検査方法。
【請求項16】
試料を載置する試料台と、該試料に電子線を照射する電子線照射光学系と、前記試料から発生する二次電子又は反射電子を検出する検出器と、前記検出器からの信号に基づいて試料像を生成する画像処理装置と、該試料像を保存する記憶装置と、前記試料像を表示する表示装置と、前記試料像の倍率を変更するための偏向コイルと、前記試料に接触させる1本以上のプローブと、該プローブを駆動するプローブ駆動装置と、を有し、試料上の検査対象における目標位置にプローブを接触させることにより該検査対象の電気的特性を検査する検査装置において、
前記試料上の検査対象における目標位置の像を含む高画質且つ高倍率の第1の画像を取得し、前記試料上の検査対象における目標位置の像とプローブの像を含む低画質且つ低倍率の第2の画像を取得し、前記第2の画像の倍率と同一の倍率になるように、前記第1の画像を縮小させて縮小画像を生成し、前記縮小画像と前記第2の画像を合成することによって、前記縮小画像に含まれる前記目標位置の像と前記第2の画像に含まれる前記プローブの像を含み前記第2の画像の倍率と同一の倍率の粗寄せ観察用の画像を生成し、
前記粗寄せ観察用の画像において、前記検査対象における目標位置の像と前記プローブの像の間の距離が所定の値より小さくなったと判定されるまで、前記第2の画像の取得、前記縮小画像の生成、及び、前記粗寄せ観察用の画像の生成を繰り返すことを特徴とする検査装置。
【請求項17】
請求項16記載の検査装置において、
前記試料上の検査対象における目標位置の像とプローブの像を含む低画質且つ低倍率の第3の画像を取得し、前記第3の画像より、前記目標位置の像と前記プローブ像を含む領域を切り取り、更に、前記第1の画像の倍率と同一の倍率になるように、拡大させて拡大画像を生成し、前記拡大画像と前記第1の画像を合成することによって、前記第1の画像に含まれる前記目標位置の像と前記拡大画像に含まれる前記プローブの像を含み前記第1の画像の倍率と同一の倍率の精密寄せ観察用の画像を生成し、
前記精密寄せ観察用の画像において、前記プローブが前記検査対象における目標位置に接触したと判定されるまで、前記第3の画像の取得、前記拡大画像の生成、及び、前記精密寄せ観察用の画像の生成を繰り返すことを特徴とする検査装置。
【請求項18】
請求項16載の検査装置において、
前記第1の画像は前記試料上の検査対象における目標位置に焦点を合わせて取得され、前記第2及び第3の画像は前記プローブに焦点を合わせて取得されてものであることを特徴とする検査装置。
【請求項19】
請求項16記載の検査装置において、
前記第1の画像は、所定の期間が経過後に再取得されることを特徴とする検査装置。
【請求項20】
請求項16記載の検査装置において、
前記高画質の画像は、電子線の加速電圧、照射電流、プローブ電流、スキャン速度、フレーム積算回数、画素数、の少なくとも1つを変更することによって、又は、2次電子像、反射電子像又は粒子ビーム像から1つを選択することによって、取得することを特徴とする検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−32205(P2012−32205A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170177(P2010−170177)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】