樹脂封止用金型、樹脂封止装置及び半導体装置の製造方法
【課題】キャビティへ良好に樹脂を流入するための樹脂封止用金型を提供する。
【解決手段】凹状に形成されるキャビティ下部8aを有する下金型1と、下金型1に形成されて樹脂載置領域を有するポット2と、ポット2に挿通されるプランジャ3と、下金型1のうちキャビティ下部8aとポット2の間のランナー領域4とゲート領域6の少なくとも一方に形成されるホール4a、6a内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部5b、7bを有する少なくとも1つの摺動ピン5,7と、キャビティ下部8aに合わさせられる凹状のキャビティ上部8bを有する上金型11とを有する。
【解決手段】凹状に形成されるキャビティ下部8aを有する下金型1と、下金型1に形成されて樹脂載置領域を有するポット2と、ポット2に挿通されるプランジャ3と、下金型1のうちキャビティ下部8aとポット2の間のランナー領域4とゲート領域6の少なくとも一方に形成されるホール4a、6a内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部5b、7bを有する少なくとも1つの摺動ピン5,7と、キャビティ下部8aに合わさせられる凹状のキャビティ上部8bを有する上金型11とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止用金型、樹脂封止装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体のパッケージには、金属リードフレームを使用するクワッドフラットパッケージ(QFP)及びスモールアウトラインパッケージ(SOP)や、下面にはんだボールを接続した配線基板を使用するボールグリッドアレイ(BGA)パッケージや、複数の半導体チップを封止するシステムインパッケージ(SIP)などがある。
【0003】
それらのパッケージは、衝撃、汚染等から半導体チップを保護するために、半導体チップをモールド樹脂で封止した構造を有している。樹脂の封止は、金型を使用して行われる。
金型は、整形前のモールド樹脂を入れるポットと、半導体チップ等を配置するキャビティとを有している。ポットとキャビティのそれぞれの空間は、溶融されたモールド樹脂を通過させるランナーを介して接続されている。
【0004】
ランナーには、ポットからキャビティに樹脂を安定して流すために、絞りを設ける構造が知られている。
また、ランナーとキャビティの境界部分には、キャビティ内に流し込まれた樹脂を他の領域から切り離すシャッターを設ける構造も知られている。
モールド樹脂として、エポキシ樹脂等の樹脂主剤に硬化剤、溶融シリカ等のフィラー、触媒、着色剤等が含有された材料が用いられている。
【0005】
フィラーが多く含まれている樹脂は、微粉化処理時に粉砕部品等の導電性の異物が混入し易い。そのような異物がパッケージに含まれると、パッケージ対象の半導体チップや配線基板で電気的な短絡が発生し易くなる。
【0006】
そのような導電性の異物がパッケージに混入することを防止するために、樹脂整形用の金型に異物滞留部を設ける構造が知られている。異物滞留部は、下側の金型においてランナーとポットの境界部分に形成される凹部と、その凹部の下に配置される磁石とを有している。これにより、導電性の異物がキャビティに流入することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3107022号公報
【特許文献2】特許第2838981号公報
【特許文献3】特開2007−273551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
金型では、キャビティ内でのモールド樹脂の整形を終える毎に、集塵クリーナーで取り除く操作が行われている。
しかし、集塵クリーナーでは完全に取り除けず、樹脂の塊がランナーに残ることがあり、その塊が存在すると、溶融樹脂をキャビティに向けて流す際に、塊がキャビティ入り口に移動して詰まりを生させ、溶融樹脂をキャビティ内に充填できず、或いはキャビティ内に溶融樹脂の充填不足が生じる。
【0009】
本発明の目的は、キャビティへ良好に樹脂を流入するための樹脂封止用金型、樹脂封止装置及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの観点によれば、凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型と、前記下金型に形成されて樹脂載置領域を有するポットと、前記ポットに挿通されるプランジャと、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に形成されるホール内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部を有する少なくとも1つの摺動ピンと、前記キャビティ下部に合わさせられる凹状のキャビティ上部を有する上金型と、を有することを特徴とする樹脂封止用金型が提供される。
別の観点によれば、凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型と、前記下金型に形成されて樹脂載置領域を有するポットと、前記ポットに挿通されるプランジャと、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に形成されるホール内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部を有する少なくとも1つの摺動ピンと、前記キャビティ下部に合わさせられる凹状のキャビティ上部を有する上金型とを有する樹脂封止用金型と、複数の前記摺動ピンを下から支持するプレートと、前記プレートを上下動させる駆動装置と、を有することを特徴とする樹脂封止装置が提供される。
さらに別の観点によれば、凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型に開口されたポットにプランジャを挿通し、前記ポット内の上部に樹脂を入れる空間の下に前記プランジャを位置させる工程と、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域及びゲート領域に形成される少なくとも一方のホール内に少なくとも1つの摺動ピンを挿通するとともに、前記摺動ピンの位置を調整することにより前記摺動ピン上面の凹状の異物捕捉部を前記下金型の上面と同じ高さ以下に設定する工程と、前記下金型のうち前記キャビティ下部の底に形成されるピン貫通孔にイジェクトピンを挿通するとともに、前記イジェクトピンの上端を調整する工程と、前記下金型の前記キャビティ下部の上に、リードフレームに取り付けられた半導体チップを載置する工程と、前記下金型及び前記リードフレームの上に上金型を重ねる工程と、前記ポット内の前記樹脂を加熱して軟化しつつ前記プランジャを上昇させることにより、前記ランナー領域及び前記ゲート領域を通して前記樹脂を前記キャビティ下部と前記キャビティ上部の間の空間に注入し、前記半導体チップを前記樹脂により封止する工程と、前記樹脂を固化する工程と、前記上金型と前記下金型を離す工程と、前記プランジャ、前記摺動ピン及び前記イジェクトピンを前記下金型の上面よりも上に上昇することにより前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを持ち上げる工程と、前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを前記下金型と前記上金型の間から外部に取り出す工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、下金型におけるランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に上下動可能な摺動ピンを取り付け、さらに摺動ピンの上面に凹状の異物捕捉部を設けている。
ポット内で軟化された樹脂をプランジャの上昇によりランナー領域、ゲート領域を経てキャビティに注入する場合に、摺動ピンを下金型の上面よりも低く配置すると、樹脂は流れ初めに下金型上面の下方にある摺動ピン上に流れ込む。
このため、プランジャ、摺動ピンの上に残存する異物は、摺動ピンの異物捕捉部に停滞し、さらにその周囲の壁部に引っかかり、キャビティの樹脂流入口に辿りつきにくくなる。この結果、キャビティ内で樹脂未充填の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1Aは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の下金型を示す上面図、図1Bは、図1Aにおいて一点鎖線で囲んだ領域の部分拡大平面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置に使用する金型の断面図である。
【図3】図3A、3Bは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の金型に用いられる部品を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の上金型を示す上面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係る樹脂封止装置の金型に取り付けられるピンの上下動を制御する構造を示す側断面図である。
【図6】図6Aは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置により樹脂封止される半導体装置の平面図、図6Bは、図6Aに示した半導体装置の側面図である。
【図7A】図7Aは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その1)である。
【図7B】図7B、図7Cは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その2,3)である。
【図7D】図7D、図7Eは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その4,5)である。
【図7F】図7F、図7Gは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その6、7)である。
【図7H】図7H、図7Iは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その8、9)である。
【図8】図8A〜図8Dは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の金型のクリーニング工程を示す平面図である。
【図9】図9Aは、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の下金型を示す上面図、図9Bは、図9Aにおいて一点鎖線で囲んだ領域の部分拡大平面図である。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置に使用する金型の断面図である。
【図11】図11は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の金型に用いられる部品を示す斜視図である。
【図12】図12は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の上金型を示す上面図である。
【図13】図13は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の金型に取り付けられるピンの上下動を制御する構造を示す側面図である。
【図14A】図14A、図14Bは、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その1,2)である。
【図14C】図14C、図14Dは、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その3,4)である。
【図14E】図14E、図14Fは、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その5、6)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解すべきである。
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
(第1の実施の形態)
図1A、図1Bは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の下金型を示す上面図とその部分拡大平面図、図2は、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の金型の図1Aと図4に示すI−I線から見た断面図である。また、図3A、3Bは、本発明の第1実施
形態に係る樹脂封止装置の金型に用いられる部品を示す斜視図、図4は、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の上金型を示す上面図である。
【0014】
本実施形態に係る樹脂封止装置は、図2に示すように、下金型1と上金型11を有している。
下金型1は、図1Aに示すように平面が四角形状を有し、その中央の列には、複数のポット2がほぼ等間隔で形成されている。ポット2は、下金型1を上下方向に貫通するホール、例えば円柱状のホールで、その上部は樹脂載置領域であり、その中には図1Bに示すようにプランジャ3が上下方向に移動可能に挿入される。
【0015】
ポット2の両側にはそれぞれランナー4が形成され、それらの間には図2に示すように第1の仕切部1aが介在している。ランナー4は、下金型1を上下方向に貫通する略四角柱状のホール4aと、そのホール4a内の空間で上下動可能に取り付けられる略四角柱状のランナー摺動ピン5を有している。
【0016】
ランナー摺動ピン5の上面には、図3Aに示すように、周囲が壁部5aに囲まれた凹状の異物捕捉部5bが形成されている。異物捕捉部5bの底面に対する壁部5aは、その内部に残される後述の異物38の移動を妨げる高さ、例えば約1mmの高さを有する。また、壁部5aの上部内面と異物捕捉部5bの底面のなす角度は、異物が乗り上げ難い角度、即ち約90度又はそれ以下の角度となることが好ましい。
【0017】
ランナー4のうちポット2と反対側の端部にはゲート6が接続され、それらの間には図2に示すように第2の仕切部1bが介在している。ゲート6は、下金型1を上下方向に貫通する略四角柱状のホール6aと、そのホール6a内の空間で上下動可能に取り付けられる略四角柱状のゲート摺動ピン7を有している。
【0018】
ゲート摺動ピン7の上面には、図3Bに示すように、周囲が壁部7aに囲まれた凹状の異物捕捉部7bが形成されている。異物捕捉部7bの底面に対する壁部7aは、その内部に残される異物38の移動を妨げる高さ、例えば約1mmの高さを有する。また、壁部7aの上部内面と異物捕捉部7bの底面のなす角度は、異物が乗り上げ難い角度、即ち約90度又はそれ以下の角度となることが好ましい。
【0019】
ゲート6は、図1Aに示す下金型1の上面において、ランナー4に対して屈曲した向きに形成される。また、ポッド2の両側方のゲート6は、互いに反対向きであって略平行になる位置に形成されている。
【0020】
各ゲート6のうち下金型1の側縁部に近い先端は先細りの形状を有し、その先端は、下金型1の両側縁寄りに形成されるキャビティ下部8aの四隅の1つに接続されている。キャビティ下部8aの平面形状は例えば略四角形である。また、ゲート6は、その先端がキャビティ下部8aのほぼ中央に向いた形状に形成される。
【0021】
キャビティ下部8aは、下金型1に凹状に形成され、その底部のうちの四隅のそれぞれの近傍の下にはピン貫通孔1cが形成され、ピン貫通孔1c内にはイジェクトピン9が上下動可能に挿入されている。
【0022】
下金型1の上に重ねられる上金型11の下面には、図2、図4に示すように、樹脂整形時にポット2の上に位置するカル部12が凹状に形成され、さらに、キャビティ下部8aに重ねられるキャビティ上部8bが凹状に形成されている。
【0023】
キャビティ下部8aとキャビティ上部8bは、互いに重ねられた状態でキャビティ8と
なり、例えば半導体パッケージの外形となる形状を有している。キャビティ下部8bとキャビティ上部8bのそれぞれの大きさは、半導体パッケージの種類によって異なるが、その厚さは例えば1.6mm程度である。
【0024】
また、上金型11の縁部には、キャビティ上部8bの一部に繋がるエアベント8cが凹状に形成されている。
なお、下金型1、ランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7及び上金型11は、例えば、マルテンサイト系のステンレス鋼、さらに詳しくはAISI420〜440系列のマルテンサイト系ステンレス鋼、またはこれらの鋼から形成される。
なお、第1、第2の仕切部1a、1bのうち少なくとも一方は形成されない構造であってもよい。
【0025】
図5は、図1AのII−II線断面図であり、下金型1の下方には第1次プレート台15が配置され、その上には複数のランナー摺動ピン5と複数のゲート摺動ピン7が支持されている。さらに、第1次プレート台15は、その下方で第2次プレート台17上に取り付けられた複数の支柱16により支えられている。また、第2次プレート台17は、上下動変換機構19を介して第1のサーボモータ18の回転軸に駆動される駆動機構に取り付けられている。上下動変換機構19として、例えば、第1のサーボモータ18の回転軸に取り付けられるウォームギヤとラック歯車とを組み合わせた機構を蛇腹で囲んだ構造を有している。
【0026】
これにより、第1次プレート台15、支柱16及び第2次プレート台17を介して上下動変換機構19の上下動を複数のランナー摺動ピン5と複数のゲート摺動ピン7に均一に伝達することができる。
【0027】
また、複数のイジェクトピン9はイジェクトピン用プレート台20上に支持され、イジェクトピン用プレート台20は、上下動変換機構22を介して第2のサーボモータ21の回転軸により駆動される駆動機構に接続されている。上下動変換機構22として、例えば、第2のサーボモータ20の回転軸に取り付けられるウォームギヤとラック歯車とを組み合わせた機構が使用される。
【0028】
ところで、ポット2に挿通されるプランジャ3は、特に図示しないが、第3のサーボモータにより駆動される上下動変換機構に接続される別のプレート上に取り付けられる。また、第1、第2のサーボモータ18、20と第3のサーボモータの回転は、それぞれ制御装置23によって制御される。
なお、図5において符号24は、樹脂封止装置の筐体を示している。
【0029】
次に、上記した樹脂封止装置により半導体装置のパッケージを形成する方法について説明する。
パッケージ形成前の状態の半導体装置は、図6Aの上面図と図6Bの側断面図に示すように、リードフレーム30のダイステージ31上面に銀ペースト35により接着される半導体チップ33を有している。銀ペースト35は接着後に例えば150℃、3時間でキュアされる。
【0030】
リードフレーム30は、ダイステージ31の周囲に配置されるインナーリード32を有している。インナーリード32は、ワイヤー36を介して半導体チップ35上面の電極パッド34に電気的に接続されている。半導体チップ33には、例えば半導体集積回路が形成されている。
【0031】
リードフレーム30に取り付けられた半導体チップ33は、図7A〜図7Iに示す工程
によりパッケージに覆われる。
まず、図7Aに示すように、ランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7の位置を調整することにより、それらの壁部5a、7aの上端が下金型1上面、第1、第2の仕切部1a、1bに対して例えば最大約2mm下方に位置させる。
【0032】
ランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7の位置は、図5に示した制御装置23による第1のサーボモータ18の回転制御により調整される。即ち、第1のサーボモータ18の回転を制御することにより上下動変換器19の高さを変え、これによって第1、第2のプレート台17、16及び支柱16の高さを調整し、ランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7の位置を変える。
【0033】
この状態で、イジェクトピン9は、その上端がキャビティ下部8aの底面に一致する位置に調整される。イジェクトピン9の位置は、図5に示した制御装置23による第2のサーボモータ21の回転制御により調整される。即ち、第2のサーボモータ21の回転を制御することにより上下動変換器22の高さを変え、これによってイジェクトピン用プレート台20の高さを変え、イジェクトピン9の位置を調整する。
【0034】
さらに、下金型1のポット2内のプランジャ3を下げ、その中にタブレット状の樹脂37を充填する。プランジャ3の位置は、ランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7と同様に、図示しない第3のサーボモータ、上下動変換機構及びプレートにより調整される。
樹脂37として、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂主剤に硬化剤、フィラー、触媒、着色剤等が含有された材料を用いる。
【0035】
続いて、下金型1のキャビティ下部8aの中央にダイステージ31及び半導体チップ33が位置するように、リードフレーム30を下金型1上に載置し、その後に、上金型11の下面と下金型1の上面を合わせる。この場合、インナーリード32の外側部分とリードフレーム30の枠体(不図示)は下金型1と上金型11の間に挟まれ、また、ゲート6の先端とインナーリード32の間又はインナーリード32の周囲には、図示しない樹脂流入用隙間が形成される。
【0036】
次に、少なくとも下金型1を加熱器(不図示)により加熱することにより樹脂37に熱を伝達し、樹脂37を軟化させる。
続いて、図7Bに示すように、樹脂37が軟化した状態で、制御装置23により第3のサーボモータ(不図示)を制御することによりプランジャ3を上昇させと、樹脂37はポット2からランナー4、ゲート6を経由してキャビティ8に注入される。これにより、半導体チップ33、ダイステージ31とインナーリード32内側部分は樹脂37により封止され、その部分の樹脂37はパッケージとなる。なお、キャビティ8内の空間に樹脂37を流入させる場合には、エアベント8cを通してその空間を脱気する。
【0037】
次に、下金型1と上金型11の温度を常温に戻し、樹脂37を固化した後に、図7Cに示すように、下金型1と上金型11を開く。さらに、制御装置23の指令によりプランジャ3、イジェクトピン9、ランナー摺動ピン5及びゲート摺動ピン7を持ち上げて固化した樹脂37を下金型1から離す。
【0038】
その後に、樹脂37により封止された半導体チップ33、及びリードフレーム30を外部に取り出し、不要な部分の樹脂37を除去し、リードフレーム30の不要部を切断する。これにより、樹脂37に封止された半導体チップ33及びインナーリード32を有する半導体装置を完成させる。
【0039】
樹脂37が取り出された後には、下金型1、プランジャ3、ランナー4及びゲート6の
上には、図7Dに示すように、樹脂カスのような異物38が付着残存することがある。その異物38が付着したままで次の樹脂封止を行えば、軟化した樹脂37がインナー4、ゲート6を流入する際に異物38がゲート6の先端で詰まり、キャビティ下部8a及びキャビティ上部8b内で未充填部分が発生し易くなる。
【0040】
そこで、プランジャ3、ランナー摺動ピン5及びゲート摺動ピン7の位置を保持した状態で、図7Eに示すように、下金型1と上金型11の間に集塵クリーナー39を入れて、下金型1と上金型11の対向面に付着した異物38を吸引、除去する。
【0041】
集塵クリーナー39は、平板状本体の内部に形成された空間39aと、その上面と下面に形成された複数の吸引孔39bを有している。また、空間39aのほぼ中央には、吸引ホース接続口39cが配置され、図8Aに示す吸引ホース40の一端が取り付けられている。吸引ホース40の他端は、制御装置23により制御される吸引ポンプ(不図示)に接続されている。
【0042】
集塵クリーナー39による異物38の除去は、例えば図8A〜図8Cに示すように、集塵クリーナー39を下金型1の上の一端から他端に向けて移動した後に、図8Dに示すように、他端から一端に向けて折り返す。
なお、集塵クリーナー39に対する下金型1、上金型11のそれぞれの距離を例えば2mm〜3mmとする。
【0043】
これにより、下金型1の上面と上金型11の下面の吸引口39bを通して異物38が集塵クリーナー39により吸引除去されることになるが、除去しきれずにプランジャ3、ランナー4及びゲート6の領域に残存することがある。
【0044】
集塵クリーナー39を下金型1と上金型11の間から取り除いた後に、図7Fに示すように、制御装置32の制御により、プランジャ3、ランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7及びイジェクトピン9をホームポジションに下げる。
これにより、プランジャ3の上でタブレット状の樹脂37を入れるスペースを確保し、また、下金型1の上面と同じ高さの第1、第2の仕切部1a、1bの上面と同じ位置又はそれより低い位置、例えば最大で約2mm下方にランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7の上端を位置させる。さらに、イジェクトピン9の上端をキャビティ下部8aの底面と実質的に同じ高さになるように調整する。
【0045】
続いて、図7Gに示すように、プランジャ3上のポット2内にタブレット状の樹脂37を供給する。プランジャ3の位置は、図示しない第3のサーボモータ、上下動変換機構及びプレートにより調整される。
【0046】
さらに、リードフレーム30を下金型1上に載置し、ダイステージ31及び半導体チップ33をキャビティ下部8aの中央に位置させる。その後に、上金型11の下面と下金型1の上面を合わせる。この場合、インナーリード32の外側部分とリードフレーム30の枠体(不図示)は下金型1と上金型11の間に挟まれ、また、ランナー4とインナーリード32の間又はインナーリード32の周囲には、図示しない樹脂流入用隙間が形成される。
【0047】
次に、少なくとも下金型1を加熱器(不図示)により加熱することにより樹脂37に熱を伝達し、樹脂37を軟化させる。
続いて、図7Hに示すように、樹脂37が軟化した状態で、制御装置23による第3のサーボモータ(不図示)の制御によりプランジャ3を上昇させ、ポット2内の樹脂37をランナー4、ゲート6を経由してキャビティ下部8aとキャビティ上部8bの間の空間に
注入する。
流れ初めの樹脂37は下側に流れるので、プランジャ3、ランナー4、ゲート6上に残存している異物38は樹脂37とともに移動し、下方にあるランナー摺動ピン5及びゲート摺動ピン7の異物捕捉部4a、7a内を移動する。
【0048】
さらに、図7Iに示すように、樹脂37が移動してキャビティ8内を完全に充填する。樹脂37の移動とともに異物38は異物捕捉部5b、7b上をさらに移動するが、その移動は最終的に壁部5a、7aにより妨げられるので、異物38はキャビティ8に辿り着き難い。
これにより、半導体チップ、ダイステージ31とインナーリード32内側部分は樹脂37により封止され、その中に異物が混入することが防止される。
【0049】
以上のように本実施形態によれば、樹脂37を充填するポット2からキャビティ8に樹脂が流れる流路において、凹状の異物捕捉部5b、7bを上面に有するランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7を上下動可能に配置したので、樹脂の流路に残存する異物38がキャビティ8の樹脂注入口に到達することを抑制し、キャビティ8内での樹脂未充填の発生を防止することができる。
そのようなランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7を有しない構造では、異物38がそのまま樹脂注入口に達し易いので、キャビティ8内での樹脂未充填の発生原因となり易い。
【0050】
また、本実施形態では、ランナー4のホール4a内にランナー摺動ピン5を上下動可能に取り付け、また、ゲート6のホール6a内にゲート摺動ピン7を上下動可能に取り付けている。これにより、下金型1をクリーニングする際に、樹脂封止工程に比べ、ランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7の位置を高い位置に設定することにより、異物捕捉部5b、7b上に存在する異物38を除去し易くなる。
【0051】
ところで、樹脂封止時には、ランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7に高低差をつけて配置してもよい。ランナー摺動ピン5をゲート摺動ピン7よりも下方に位置させて高低差をつけると、異物38は上方に移動しにくい傾向から、ランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7の境界で異物38はさらに移動しにくくなる。
これにより、異物38はキャビティ8の樹脂流入口から入る前に移動が妨げられるので、キャビティ8内での樹脂の充填不足が極めて発生しにくくなる。
なお、ランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7のいずれか一方を省略してもよい。この場合、一方のホール4a、6aは形成されず、その部分に樹脂37を通過させる凹部を形成する。
【0052】
(第2の実施の形態)
図9A、図9Bは、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の下金型を示す上面図とその部分拡大平面図、図10は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の金型の図9A及び図12に示すIII-III線から見た断面図である。また、図11は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の金型に用いられる部品を示す斜視図、図12は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の上金型を示す上面図である。
【0053】
図9A、9Bに示すように、平面形状が四角の下金型41の中央の列には、複数のポット42がほぼ等間隔で形成されている。ポット42は、下金型41を上下方向に貫通するホール、例えば円柱状のホールで、その上部は樹脂載置領域であり、その中にはプランジャ43が上下方向に移動可能に挿入される。
【0054】
ポット42の両側にはそれぞれランナー兼ゲート44が形成され、それらの間には図1
0に示すように仕切部41aが介在している。ランナー兼ゲート44は、下金型41を上下方向に貫通する略四角柱状のホール44aと、そのホール44a内の空間で上下動可能な略四角柱状のランナー兼ゲート摺動ピン45を有している。ここで、ランナー兼ゲート44は、ゲートを兼用するランナーであり、ランナー兼ゲート摺動ピン45は、ゲート摺動ピンを兼用するランナー摺動ピンである。なお、仕切部41aは形成されなくてもよい。
【0055】
ランナー兼ゲート摺動ピン45の上面には、図11に示すように、周囲が壁部45aに囲まれた凹状の異物捕捉部45bが形成されている。異物捕捉部45bの底面に対する壁部45aは、その内部に残される異物38の移動を停止できる高さ、例えば約1mmの高さを有する。また、壁部45aの上部内面と異物捕捉部45bの底面のなす角度は、異物が乗り上げ難い角度、即ち約90度又はそれ以下の角度となることが好ましい。
【0056】
下金型41の両側縁寄りには、凹状のキャビティ下部48aが形成され、その底部のうち両側端寄りにはピン貫通孔41cが形成され、ピン貫通孔41c内にはイジェクトピン49が上下動可能に挿入されている。
【0057】
下金型41の上に重ねられる上金型51の下面には、図10、図12に示すように、樹脂整形時にポット42の上に位置する凹状のカル部52が形成され、さらにその下面には、キャビティ下部48aに重ねられる凹状のキャビティ上部48bが形成されている。
【0058】
キャビティ下部48aとキャビティ上部48bは、互いに重ねられた状態でキャビティ48となり、例えば半導体パッケージの外形となる形状を有している。キャビティ下部48bとキャビティ上部48bのそれぞれの大きさは、半導体パッケージの種類によって異なるが、厚さは例えば1.6mm程度である。
【0059】
また、上金型51の縁部には、キャビティ上部48bの一部に繋がるエアベント48cが凹状に形成されている。
なお、下金型41、ランナー兼ゲート摺動ピン45及び上金型51は、例えば、マルテンサイト系のステンレス鋼、さらに詳しくはAISI420〜440系列のマルテンサイト系ステンレス鋼、またはこれらの鋼から形成される。
【0060】
図13は、図9AのIV−IV線断面図であり、下金型41の下方には第1実施形態と同様に第1次プレート台15が配置され、その上には複数のランナー兼ゲート摺動ピン45が支持されている。これにより、第1次プレート台15、支柱16及び第2次プレート台17を介して上下動変換機構19の上下動を複数のランナー兼ゲート摺動ピン45に均一に伝達することができる。
【0061】
また、複数のイジェクトピン49は、イジェクトピン用プレート台20上に支持されている。また、イジェクトピン用プレート台20は、第1実施形態と同様に、第2のサーボモータ21の回転軸により上下動する上下動変換機構22に取り付けられている。
【0062】
ポット42に挿通されるプランジャ43は、特に図示しないが、第1実施形態と同様に、第3のサーボモータにより駆動される上下動変換機構に接続される別のプレート上に取り付けられる。
なお、図13において、図5と同じ符号は同じ要素を示している。
【0063】
次に、上記した樹脂封止装置により半導体装置のパッケージを形成する方法について説明する。
パッケージ形成前の状態の半導体装置は、例えば図6A、図6Bに示した構造を有して
いる。そして、リードフレーム30に取り付けられた半導体チップ33は、図14A〜図14Fに示す工程によりパッケージに覆われる。
次に、図14Aに示す状態になるまでの工程を説明する。
まず、ランナー兼ゲート摺動ピン45の位置を調整することにより、その上端を下金型41上面及び仕切部41aに対して最大約2mmの下方の位置に配置する。
【0064】
ランナー兼ゲート摺動ピン45の位置は、図13に示した制御装置23による第1のサーボモータ18の回転を制御することにより調整される。即ち、第1のサーボモータ18の回転を制御することにより上下動変換器19の高さを変え、これによって第1、第2のプレート台17、16及び支柱16の高さを調整し、ランナー兼ゲート摺動ピン45の位置を変える。
【0065】
この状態で、イジェクトピン49は、その上端がキャビティ下部48aの底面に一致する位置に調整される。イジェクトピン49の位置は、第1実施形態と同様に、制御装置23による第2のサーボモータ21の回転を制御することにより調整される。
【0066】
さらに、下金型41のポット42内のプランジャ43を下げ、その中にタブレット状の樹脂37を充填する。プランジャ43の位置は、図示しない第3のサーボモータ、上下動変換機構及びプレートにより調整される。
【0067】
続いて、下金型41のキャビティ下部48aの中央に半導体装置のダイステージ31及び半導体チップ33が位置するように、リードフレーム30を下金型41上に載置し、その後に、上金型51の下面と下金型41の上面を合わせる。
この場合、インナーリード32の外側部分とリードフレーム30の枠体(不図示)は下金型41と上金型51の間に挟まれ、また、ランナー兼ゲート44とインナーリード32の間又はインナーリード32の周囲には、図示しない樹脂流入用隙間が形成されている。
【0068】
次に、少なくとも下金型41を加熱器(不図示)により加熱することにより樹脂37に熱を伝達し、樹脂37を軟化させる。
続いて、樹脂37が軟化した状態で、制御装置23による第3のサーボモータ(不図示)の制御によりプランジャ43を上昇させ、ポット42内の樹脂37をランナー兼ゲート45経由でキャビティ48の空間に注入する。
【0069】
これにより、半導体チップ33、ダイステージ31及びインナーリード32内側部分は樹脂37により封止され、その部分の樹脂37はパッケージとなる。なお、キャビティ下部48aとキャビティ上部48bの間の空間に樹脂37を流入させる場合には、エアベント48cを通してその空間を脱気する。
【0070】
次に、下金型41と上金型51の温度を常温に戻し、樹脂37を固化した後に、図14Bに示すように、下金型41と上金型51を開く。さらに、制御装置23の指令によりプランジャ43、イジェクトピン49及びランナー兼ゲート摺動ピン45を持ち上げて固化した樹脂37を下金型41から離す。
【0071】
その後に、固化した樹脂37とこれにより封止された半導体チップ33、及びリードフレーム30を外部に取り出し、不要な部分の樹脂37を除去し、リードフレーム30の不要部を切断する。これにより、樹脂37に封止された半導体チップ33及びインナーリード32を有する半導体装置が完成する。
【0072】
樹脂37が取り出された下金型41のうちプランジャ43、ランナー兼ゲート44の上には、第1実施形態と同様に、図14Cに示す樹脂カスのような異物38が付着残存する
ことがある。異物38によりキャビティ48の樹脂流入口が詰まると、キャビティ48内で未充填部分が発生する。
【0073】
そこで、プランジャ43、ランナー兼ゲート摺動ピン45の位置を保持したままで、図14Dに示すように、下金型41と上金型51の間に集塵クリーナー39を入れて、下金型41と上金型51の表面に付着した異物38を吸引、除去する。なお、集塵クリーナー39は、第1実施形態に示したと同様な構造を有している。
【0074】
集塵クリーナー39は、第1実施形態に示したと同様に、集塵クリーナー39を下金型41の上の一端から他端に向けて移動した後に、他端から一端に向けて折り返される。
なお、集塵クリーナー39に対する下金型41と上金型51の距離はそれぞれ例えば2mm〜3mmとする。
これにより、異物38は集塵クリーナー39により吸引除去されことになるが、除去しきれずにランジャ3、ランナー兼ゲート44が残存することがある。
【0075】
下金型41と上金型51の間から集塵クリーナー39を外した後に、図14Eに示すように、制御装置32の制御により、プランジャ43、ランナー兼ゲート摺動ピン45及びイジェクトピン49を下げる。これにより、プランジャ43の上でタブレット状の樹脂37を入れるスペースを確保する。また、下金型41の上面と同じ位置又はそれより低い位置、例えば最大で約2mm下方にランナー兼ゲート摺動ピン45の上端を位置させる。さらに、イジェクトピン49の上端をキャビティ下部48aの底面と実質的に同じ高さになるように調整する。
【0076】
続いて、プランジャ43上のポット42内にタブレット状の樹脂37を充填する。プランジャ43の位置は、図示しない第3のサーボモータ、上下動変換機構及びプレートにより調整される。
さらに、ダイステージ31及び半導体チップ33がキャビティ下部48aの中央に位置するように、リードフレーム30を下金型1上に載置し、その後に、上金型51の下面と下金型41の上面を合わせる。
この場合、インナーリード32の外側部分とリードフレーム30の枠体(不図示)は下金型41と上金型51の間に挟まれ、また、ランナー4とインナーリード32の間又はインナーリード32の周囲には、図示しない樹脂流入用隙間が形成される。
【0077】
次に、少なくとも下金型41を加熱器(不図示)により加熱することにより樹脂37に熱を伝達し、樹脂37を軟化させる。
続いて、樹脂37が軟化した状態で、制御装置23による第3のサーボモータ(不図示)の制御によりプランジャ3を上昇させると、ポット2内の樹脂37はランナー兼ゲート44を経由してキャビティ48内の空間に注入される。
【0078】
流れ初めの樹脂37は下側に流れるので、プランジャ43、ランナー兼ゲート44上に残存している異物38は樹脂37とともに移動し、下方にあるランナー兼ゲート摺動ピン45の異物捕捉部45aを移動する。
【0079】
この場合、プランジャ3、ランナー兼ゲート摺動ピン45上に残存している異物38は、樹脂37とともに移動し、ランナー兼ゲート摺動ピン45の異物捕捉部4a、7a内を移動する。
そして、異物38は、最終的には壁部45aにより移動が妨げられ、キャビティ48に辿りつき難くなる。
これにより、図14Fに示すように、半導体チップ33、ダイステージ31及びインナーリード32内側部分は樹脂37により封止され、その中に異物38が混入することが防
止される。
【0080】
以上の実施形態によれば、樹脂37を充填するポット2からキャビティ48に樹脂が流れる流路にあるランナー兼ゲート44において、凹状の異物捕捉部45bを上面に有するランナー兼ゲート摺動ピン45を上下動可能に配置している。これにより、樹脂流路に残存する異物38はランナー兼ゲート摺動ピン45によりキャビティ48への移動が妨げられるので、キャビティ48内での樹脂未充填の発生を防止することができる。
【0081】
また、ランナー兼ゲート44のホール44a内でランナー兼ゲート摺動ピン45は上下動可能に取り付けられているので、下金型41をクリーニングする際に、ランナー兼ゲート摺動ピン45を樹脂封止時よりも上に位置させることにより、異物捕捉部45b上に存在する異物38を除去し易くなる。
ランナー兼ゲート摺動ピン45は、第1実施形態に示したランナー4からゲート6までの間が直線型である領域に用いられる。また、第1実施形態ではランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7を別な部品としているが、流路が長く複雑な屈曲な流路に合わせて本実施形態のように一体型にしてもよい。
【0082】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈すべきであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変 更、置換および変形を施すことができると理解すべきである。
【0083】
次に、本発明の実施形態について特徴を付記する。
(付記1)凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型と、前記下金型に形成されて樹脂載置領域を有するポットと、前記ポットに挿通されるプランジャと、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に形成されるホール内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部を有する少なくとも1つの摺動ピンと、前記キャビティ下部に合わさせられる凹状のキャビティ上部を有する上金型と、を有することを特徴とする樹脂封止用金型。
(付記2)前記下金型において、前記摺動ピンは、前記ランナー領域と前記ゲート領域に渡って一体に形成されることを特徴とする付記1に記載の樹脂封止用金型。
(付記3)前記下金型のうち前記キャビティ下部の底から下に形成されるピン貫通孔と、前記ピン貫通孔に上下動可能に挿通されるイジェクトピンとを有することを特徴とする付記1又は付記2に記載の樹脂封止用金型。
(付記4)前記キャビティ上部、前記キャビティ下部、前記ランナー領域及び前記ゲート領域は、前記ポットの両側に設けられることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか1つに記載の樹脂封止用金型。
(付記5)凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型と、前記下金型に形成されて樹脂載置領域を有するポットと、前記ポットに挿通されるプランジャと、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に形成されるホール内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部を有する少なくとも1つの摺動ピンと、前記キャビティ下部に合わさせられる凹状のキャビティ上部を有する上金型とを有する樹脂封止用金型と、複数の前記摺動ピンを下から支持するプレートと、前記プレートを上下動させる駆動装置と、を有することを特徴とする樹脂封止装置。
(付記6)凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型に開口されたポットにプランジャを挿通し、前記ポット内の上部に樹脂を入れる空間の下に前記プランジャを位置させる工程と、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域及びゲート領域に形成される少なくとも一方のホール内に少なくとも1つの摺動ピンを挿通する
とともに、前記摺動ピンの位置を調整することにより前記摺動ピン上面の凹状の異物捕捉部を前記下金型の上面と同じ高さ以下に設定する工程と、前記下金型のうち前記キャビティ下部の底に形成されるピン貫通孔にイジェクトピンを挿通するとともに、前記イジェクトピンの上端を調整する工程と、前記下金型の前記キャビティ下部の上に、リードフレームに取り付けられた半導体チップを載置する工程と、前記下金型及び前記リードフレームの上に上金型を重ねる工程と、前記ポット内の前記樹脂を加熱して軟化しつつ前記プランジャを上昇させることにより、前記ランナー領域及び前記ゲート領域を通して前記樹脂を前記キャビティ下部と前記キャビティ上部の間の空間に注入し、前記半導体チップを前記樹脂により封止する工程と、前記樹脂を固化する工程と、前記上金型と前記下金型を離す工程と、前記プランジャ、前記摺動ピン及び前記イジェクトピンを前記下金型の上面よりも上に上昇することにより前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを持ち上げる工程と、前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを前記下金型と前記上金型の間から外部に取り出す工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。(付記7)前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを前記下金型と前記上金型の間から外部に取り出した後に、前記プランジャ、前記摺動ピン及び前記イジェクトピンを前記下金型の前記上面よりも上に位置させた状態を保持しつつ、前記下金型と前記上金型の互いの対向領域をクリーニングする工程を有することを特徴とする付記6に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8)前記下金型において、前記摺動ピンは前記ランナー領域と前記ゲート領域で一体に形成されていることを特徴とする付記5又は付記6に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0084】
1 下金型
2 ポット
3 プランジャ
4 ランナー
5 ランナー摺動ピン
6 ゲート
7 ゲート摺動ピン
8 キャビティ
8a キャビティ下部
8b キャビティ上部
9 イジェクトピン
11 上金型
41 下金型
42 ポット
43 プランジャ
44 ランナー兼ゲート(ランナー)
45 ランナー兼ゲート摺動ピン(ランナー摺動ピン)
48 キャビティ
48a キャビティ下部
48b キャビティ上部
49 イジェクトピン
51 上金型
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止用金型、樹脂封止装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体のパッケージには、金属リードフレームを使用するクワッドフラットパッケージ(QFP)及びスモールアウトラインパッケージ(SOP)や、下面にはんだボールを接続した配線基板を使用するボールグリッドアレイ(BGA)パッケージや、複数の半導体チップを封止するシステムインパッケージ(SIP)などがある。
【0003】
それらのパッケージは、衝撃、汚染等から半導体チップを保護するために、半導体チップをモールド樹脂で封止した構造を有している。樹脂の封止は、金型を使用して行われる。
金型は、整形前のモールド樹脂を入れるポットと、半導体チップ等を配置するキャビティとを有している。ポットとキャビティのそれぞれの空間は、溶融されたモールド樹脂を通過させるランナーを介して接続されている。
【0004】
ランナーには、ポットからキャビティに樹脂を安定して流すために、絞りを設ける構造が知られている。
また、ランナーとキャビティの境界部分には、キャビティ内に流し込まれた樹脂を他の領域から切り離すシャッターを設ける構造も知られている。
モールド樹脂として、エポキシ樹脂等の樹脂主剤に硬化剤、溶融シリカ等のフィラー、触媒、着色剤等が含有された材料が用いられている。
【0005】
フィラーが多く含まれている樹脂は、微粉化処理時に粉砕部品等の導電性の異物が混入し易い。そのような異物がパッケージに含まれると、パッケージ対象の半導体チップや配線基板で電気的な短絡が発生し易くなる。
【0006】
そのような導電性の異物がパッケージに混入することを防止するために、樹脂整形用の金型に異物滞留部を設ける構造が知られている。異物滞留部は、下側の金型においてランナーとポットの境界部分に形成される凹部と、その凹部の下に配置される磁石とを有している。これにより、導電性の異物がキャビティに流入することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3107022号公報
【特許文献2】特許第2838981号公報
【特許文献3】特開2007−273551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
金型では、キャビティ内でのモールド樹脂の整形を終える毎に、集塵クリーナーで取り除く操作が行われている。
しかし、集塵クリーナーでは完全に取り除けず、樹脂の塊がランナーに残ることがあり、その塊が存在すると、溶融樹脂をキャビティに向けて流す際に、塊がキャビティ入り口に移動して詰まりを生させ、溶融樹脂をキャビティ内に充填できず、或いはキャビティ内に溶融樹脂の充填不足が生じる。
【0009】
本発明の目的は、キャビティへ良好に樹脂を流入するための樹脂封止用金型、樹脂封止装置及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの観点によれば、凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型と、前記下金型に形成されて樹脂載置領域を有するポットと、前記ポットに挿通されるプランジャと、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に形成されるホール内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部を有する少なくとも1つの摺動ピンと、前記キャビティ下部に合わさせられる凹状のキャビティ上部を有する上金型と、を有することを特徴とする樹脂封止用金型が提供される。
別の観点によれば、凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型と、前記下金型に形成されて樹脂載置領域を有するポットと、前記ポットに挿通されるプランジャと、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に形成されるホール内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部を有する少なくとも1つの摺動ピンと、前記キャビティ下部に合わさせられる凹状のキャビティ上部を有する上金型とを有する樹脂封止用金型と、複数の前記摺動ピンを下から支持するプレートと、前記プレートを上下動させる駆動装置と、を有することを特徴とする樹脂封止装置が提供される。
さらに別の観点によれば、凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型に開口されたポットにプランジャを挿通し、前記ポット内の上部に樹脂を入れる空間の下に前記プランジャを位置させる工程と、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域及びゲート領域に形成される少なくとも一方のホール内に少なくとも1つの摺動ピンを挿通するとともに、前記摺動ピンの位置を調整することにより前記摺動ピン上面の凹状の異物捕捉部を前記下金型の上面と同じ高さ以下に設定する工程と、前記下金型のうち前記キャビティ下部の底に形成されるピン貫通孔にイジェクトピンを挿通するとともに、前記イジェクトピンの上端を調整する工程と、前記下金型の前記キャビティ下部の上に、リードフレームに取り付けられた半導体チップを載置する工程と、前記下金型及び前記リードフレームの上に上金型を重ねる工程と、前記ポット内の前記樹脂を加熱して軟化しつつ前記プランジャを上昇させることにより、前記ランナー領域及び前記ゲート領域を通して前記樹脂を前記キャビティ下部と前記キャビティ上部の間の空間に注入し、前記半導体チップを前記樹脂により封止する工程と、前記樹脂を固化する工程と、前記上金型と前記下金型を離す工程と、前記プランジャ、前記摺動ピン及び前記イジェクトピンを前記下金型の上面よりも上に上昇することにより前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを持ち上げる工程と、前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを前記下金型と前記上金型の間から外部に取り出す工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、下金型におけるランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に上下動可能な摺動ピンを取り付け、さらに摺動ピンの上面に凹状の異物捕捉部を設けている。
ポット内で軟化された樹脂をプランジャの上昇によりランナー領域、ゲート領域を経てキャビティに注入する場合に、摺動ピンを下金型の上面よりも低く配置すると、樹脂は流れ初めに下金型上面の下方にある摺動ピン上に流れ込む。
このため、プランジャ、摺動ピンの上に残存する異物は、摺動ピンの異物捕捉部に停滞し、さらにその周囲の壁部に引っかかり、キャビティの樹脂流入口に辿りつきにくくなる。この結果、キャビティ内で樹脂未充填の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1Aは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の下金型を示す上面図、図1Bは、図1Aにおいて一点鎖線で囲んだ領域の部分拡大平面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置に使用する金型の断面図である。
【図3】図3A、3Bは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の金型に用いられる部品を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の上金型を示す上面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係る樹脂封止装置の金型に取り付けられるピンの上下動を制御する構造を示す側断面図である。
【図6】図6Aは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置により樹脂封止される半導体装置の平面図、図6Bは、図6Aに示した半導体装置の側面図である。
【図7A】図7Aは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その1)である。
【図7B】図7B、図7Cは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その2,3)である。
【図7D】図7D、図7Eは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その4,5)である。
【図7F】図7F、図7Gは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その6、7)である。
【図7H】図7H、図7Iは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その8、9)である。
【図8】図8A〜図8Dは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の金型のクリーニング工程を示す平面図である。
【図9】図9Aは、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の下金型を示す上面図、図9Bは、図9Aにおいて一点鎖線で囲んだ領域の部分拡大平面図である。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置に使用する金型の断面図である。
【図11】図11は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の金型に用いられる部品を示す斜視図である。
【図12】図12は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の上金型を示す上面図である。
【図13】図13は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の金型に取り付けられるピンの上下動を制御する構造を示す側面図である。
【図14A】図14A、図14Bは、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その1,2)である。
【図14C】図14C、図14Dは、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その3,4)である。
【図14E】図14E、図14Fは、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置による樹脂封止工程を示す断面図(その5、6)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解すべきである。
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
(第1の実施の形態)
図1A、図1Bは、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の下金型を示す上面図とその部分拡大平面図、図2は、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の金型の図1Aと図4に示すI−I線から見た断面図である。また、図3A、3Bは、本発明の第1実施
形態に係る樹脂封止装置の金型に用いられる部品を示す斜視図、図4は、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止装置の上金型を示す上面図である。
【0014】
本実施形態に係る樹脂封止装置は、図2に示すように、下金型1と上金型11を有している。
下金型1は、図1Aに示すように平面が四角形状を有し、その中央の列には、複数のポット2がほぼ等間隔で形成されている。ポット2は、下金型1を上下方向に貫通するホール、例えば円柱状のホールで、その上部は樹脂載置領域であり、その中には図1Bに示すようにプランジャ3が上下方向に移動可能に挿入される。
【0015】
ポット2の両側にはそれぞれランナー4が形成され、それらの間には図2に示すように第1の仕切部1aが介在している。ランナー4は、下金型1を上下方向に貫通する略四角柱状のホール4aと、そのホール4a内の空間で上下動可能に取り付けられる略四角柱状のランナー摺動ピン5を有している。
【0016】
ランナー摺動ピン5の上面には、図3Aに示すように、周囲が壁部5aに囲まれた凹状の異物捕捉部5bが形成されている。異物捕捉部5bの底面に対する壁部5aは、その内部に残される後述の異物38の移動を妨げる高さ、例えば約1mmの高さを有する。また、壁部5aの上部内面と異物捕捉部5bの底面のなす角度は、異物が乗り上げ難い角度、即ち約90度又はそれ以下の角度となることが好ましい。
【0017】
ランナー4のうちポット2と反対側の端部にはゲート6が接続され、それらの間には図2に示すように第2の仕切部1bが介在している。ゲート6は、下金型1を上下方向に貫通する略四角柱状のホール6aと、そのホール6a内の空間で上下動可能に取り付けられる略四角柱状のゲート摺動ピン7を有している。
【0018】
ゲート摺動ピン7の上面には、図3Bに示すように、周囲が壁部7aに囲まれた凹状の異物捕捉部7bが形成されている。異物捕捉部7bの底面に対する壁部7aは、その内部に残される異物38の移動を妨げる高さ、例えば約1mmの高さを有する。また、壁部7aの上部内面と異物捕捉部7bの底面のなす角度は、異物が乗り上げ難い角度、即ち約90度又はそれ以下の角度となることが好ましい。
【0019】
ゲート6は、図1Aに示す下金型1の上面において、ランナー4に対して屈曲した向きに形成される。また、ポッド2の両側方のゲート6は、互いに反対向きであって略平行になる位置に形成されている。
【0020】
各ゲート6のうち下金型1の側縁部に近い先端は先細りの形状を有し、その先端は、下金型1の両側縁寄りに形成されるキャビティ下部8aの四隅の1つに接続されている。キャビティ下部8aの平面形状は例えば略四角形である。また、ゲート6は、その先端がキャビティ下部8aのほぼ中央に向いた形状に形成される。
【0021】
キャビティ下部8aは、下金型1に凹状に形成され、その底部のうちの四隅のそれぞれの近傍の下にはピン貫通孔1cが形成され、ピン貫通孔1c内にはイジェクトピン9が上下動可能に挿入されている。
【0022】
下金型1の上に重ねられる上金型11の下面には、図2、図4に示すように、樹脂整形時にポット2の上に位置するカル部12が凹状に形成され、さらに、キャビティ下部8aに重ねられるキャビティ上部8bが凹状に形成されている。
【0023】
キャビティ下部8aとキャビティ上部8bは、互いに重ねられた状態でキャビティ8と
なり、例えば半導体パッケージの外形となる形状を有している。キャビティ下部8bとキャビティ上部8bのそれぞれの大きさは、半導体パッケージの種類によって異なるが、その厚さは例えば1.6mm程度である。
【0024】
また、上金型11の縁部には、キャビティ上部8bの一部に繋がるエアベント8cが凹状に形成されている。
なお、下金型1、ランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7及び上金型11は、例えば、マルテンサイト系のステンレス鋼、さらに詳しくはAISI420〜440系列のマルテンサイト系ステンレス鋼、またはこれらの鋼から形成される。
なお、第1、第2の仕切部1a、1bのうち少なくとも一方は形成されない構造であってもよい。
【0025】
図5は、図1AのII−II線断面図であり、下金型1の下方には第1次プレート台15が配置され、その上には複数のランナー摺動ピン5と複数のゲート摺動ピン7が支持されている。さらに、第1次プレート台15は、その下方で第2次プレート台17上に取り付けられた複数の支柱16により支えられている。また、第2次プレート台17は、上下動変換機構19を介して第1のサーボモータ18の回転軸に駆動される駆動機構に取り付けられている。上下動変換機構19として、例えば、第1のサーボモータ18の回転軸に取り付けられるウォームギヤとラック歯車とを組み合わせた機構を蛇腹で囲んだ構造を有している。
【0026】
これにより、第1次プレート台15、支柱16及び第2次プレート台17を介して上下動変換機構19の上下動を複数のランナー摺動ピン5と複数のゲート摺動ピン7に均一に伝達することができる。
【0027】
また、複数のイジェクトピン9はイジェクトピン用プレート台20上に支持され、イジェクトピン用プレート台20は、上下動変換機構22を介して第2のサーボモータ21の回転軸により駆動される駆動機構に接続されている。上下動変換機構22として、例えば、第2のサーボモータ20の回転軸に取り付けられるウォームギヤとラック歯車とを組み合わせた機構が使用される。
【0028】
ところで、ポット2に挿通されるプランジャ3は、特に図示しないが、第3のサーボモータにより駆動される上下動変換機構に接続される別のプレート上に取り付けられる。また、第1、第2のサーボモータ18、20と第3のサーボモータの回転は、それぞれ制御装置23によって制御される。
なお、図5において符号24は、樹脂封止装置の筐体を示している。
【0029】
次に、上記した樹脂封止装置により半導体装置のパッケージを形成する方法について説明する。
パッケージ形成前の状態の半導体装置は、図6Aの上面図と図6Bの側断面図に示すように、リードフレーム30のダイステージ31上面に銀ペースト35により接着される半導体チップ33を有している。銀ペースト35は接着後に例えば150℃、3時間でキュアされる。
【0030】
リードフレーム30は、ダイステージ31の周囲に配置されるインナーリード32を有している。インナーリード32は、ワイヤー36を介して半導体チップ35上面の電極パッド34に電気的に接続されている。半導体チップ33には、例えば半導体集積回路が形成されている。
【0031】
リードフレーム30に取り付けられた半導体チップ33は、図7A〜図7Iに示す工程
によりパッケージに覆われる。
まず、図7Aに示すように、ランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7の位置を調整することにより、それらの壁部5a、7aの上端が下金型1上面、第1、第2の仕切部1a、1bに対して例えば最大約2mm下方に位置させる。
【0032】
ランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7の位置は、図5に示した制御装置23による第1のサーボモータ18の回転制御により調整される。即ち、第1のサーボモータ18の回転を制御することにより上下動変換器19の高さを変え、これによって第1、第2のプレート台17、16及び支柱16の高さを調整し、ランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7の位置を変える。
【0033】
この状態で、イジェクトピン9は、その上端がキャビティ下部8aの底面に一致する位置に調整される。イジェクトピン9の位置は、図5に示した制御装置23による第2のサーボモータ21の回転制御により調整される。即ち、第2のサーボモータ21の回転を制御することにより上下動変換器22の高さを変え、これによってイジェクトピン用プレート台20の高さを変え、イジェクトピン9の位置を調整する。
【0034】
さらに、下金型1のポット2内のプランジャ3を下げ、その中にタブレット状の樹脂37を充填する。プランジャ3の位置は、ランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7と同様に、図示しない第3のサーボモータ、上下動変換機構及びプレートにより調整される。
樹脂37として、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂主剤に硬化剤、フィラー、触媒、着色剤等が含有された材料を用いる。
【0035】
続いて、下金型1のキャビティ下部8aの中央にダイステージ31及び半導体チップ33が位置するように、リードフレーム30を下金型1上に載置し、その後に、上金型11の下面と下金型1の上面を合わせる。この場合、インナーリード32の外側部分とリードフレーム30の枠体(不図示)は下金型1と上金型11の間に挟まれ、また、ゲート6の先端とインナーリード32の間又はインナーリード32の周囲には、図示しない樹脂流入用隙間が形成される。
【0036】
次に、少なくとも下金型1を加熱器(不図示)により加熱することにより樹脂37に熱を伝達し、樹脂37を軟化させる。
続いて、図7Bに示すように、樹脂37が軟化した状態で、制御装置23により第3のサーボモータ(不図示)を制御することによりプランジャ3を上昇させと、樹脂37はポット2からランナー4、ゲート6を経由してキャビティ8に注入される。これにより、半導体チップ33、ダイステージ31とインナーリード32内側部分は樹脂37により封止され、その部分の樹脂37はパッケージとなる。なお、キャビティ8内の空間に樹脂37を流入させる場合には、エアベント8cを通してその空間を脱気する。
【0037】
次に、下金型1と上金型11の温度を常温に戻し、樹脂37を固化した後に、図7Cに示すように、下金型1と上金型11を開く。さらに、制御装置23の指令によりプランジャ3、イジェクトピン9、ランナー摺動ピン5及びゲート摺動ピン7を持ち上げて固化した樹脂37を下金型1から離す。
【0038】
その後に、樹脂37により封止された半導体チップ33、及びリードフレーム30を外部に取り出し、不要な部分の樹脂37を除去し、リードフレーム30の不要部を切断する。これにより、樹脂37に封止された半導体チップ33及びインナーリード32を有する半導体装置を完成させる。
【0039】
樹脂37が取り出された後には、下金型1、プランジャ3、ランナー4及びゲート6の
上には、図7Dに示すように、樹脂カスのような異物38が付着残存することがある。その異物38が付着したままで次の樹脂封止を行えば、軟化した樹脂37がインナー4、ゲート6を流入する際に異物38がゲート6の先端で詰まり、キャビティ下部8a及びキャビティ上部8b内で未充填部分が発生し易くなる。
【0040】
そこで、プランジャ3、ランナー摺動ピン5及びゲート摺動ピン7の位置を保持した状態で、図7Eに示すように、下金型1と上金型11の間に集塵クリーナー39を入れて、下金型1と上金型11の対向面に付着した異物38を吸引、除去する。
【0041】
集塵クリーナー39は、平板状本体の内部に形成された空間39aと、その上面と下面に形成された複数の吸引孔39bを有している。また、空間39aのほぼ中央には、吸引ホース接続口39cが配置され、図8Aに示す吸引ホース40の一端が取り付けられている。吸引ホース40の他端は、制御装置23により制御される吸引ポンプ(不図示)に接続されている。
【0042】
集塵クリーナー39による異物38の除去は、例えば図8A〜図8Cに示すように、集塵クリーナー39を下金型1の上の一端から他端に向けて移動した後に、図8Dに示すように、他端から一端に向けて折り返す。
なお、集塵クリーナー39に対する下金型1、上金型11のそれぞれの距離を例えば2mm〜3mmとする。
【0043】
これにより、下金型1の上面と上金型11の下面の吸引口39bを通して異物38が集塵クリーナー39により吸引除去されることになるが、除去しきれずにプランジャ3、ランナー4及びゲート6の領域に残存することがある。
【0044】
集塵クリーナー39を下金型1と上金型11の間から取り除いた後に、図7Fに示すように、制御装置32の制御により、プランジャ3、ランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7及びイジェクトピン9をホームポジションに下げる。
これにより、プランジャ3の上でタブレット状の樹脂37を入れるスペースを確保し、また、下金型1の上面と同じ高さの第1、第2の仕切部1a、1bの上面と同じ位置又はそれより低い位置、例えば最大で約2mm下方にランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7の上端を位置させる。さらに、イジェクトピン9の上端をキャビティ下部8aの底面と実質的に同じ高さになるように調整する。
【0045】
続いて、図7Gに示すように、プランジャ3上のポット2内にタブレット状の樹脂37を供給する。プランジャ3の位置は、図示しない第3のサーボモータ、上下動変換機構及びプレートにより調整される。
【0046】
さらに、リードフレーム30を下金型1上に載置し、ダイステージ31及び半導体チップ33をキャビティ下部8aの中央に位置させる。その後に、上金型11の下面と下金型1の上面を合わせる。この場合、インナーリード32の外側部分とリードフレーム30の枠体(不図示)は下金型1と上金型11の間に挟まれ、また、ランナー4とインナーリード32の間又はインナーリード32の周囲には、図示しない樹脂流入用隙間が形成される。
【0047】
次に、少なくとも下金型1を加熱器(不図示)により加熱することにより樹脂37に熱を伝達し、樹脂37を軟化させる。
続いて、図7Hに示すように、樹脂37が軟化した状態で、制御装置23による第3のサーボモータ(不図示)の制御によりプランジャ3を上昇させ、ポット2内の樹脂37をランナー4、ゲート6を経由してキャビティ下部8aとキャビティ上部8bの間の空間に
注入する。
流れ初めの樹脂37は下側に流れるので、プランジャ3、ランナー4、ゲート6上に残存している異物38は樹脂37とともに移動し、下方にあるランナー摺動ピン5及びゲート摺動ピン7の異物捕捉部4a、7a内を移動する。
【0048】
さらに、図7Iに示すように、樹脂37が移動してキャビティ8内を完全に充填する。樹脂37の移動とともに異物38は異物捕捉部5b、7b上をさらに移動するが、その移動は最終的に壁部5a、7aにより妨げられるので、異物38はキャビティ8に辿り着き難い。
これにより、半導体チップ、ダイステージ31とインナーリード32内側部分は樹脂37により封止され、その中に異物が混入することが防止される。
【0049】
以上のように本実施形態によれば、樹脂37を充填するポット2からキャビティ8に樹脂が流れる流路において、凹状の異物捕捉部5b、7bを上面に有するランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7を上下動可能に配置したので、樹脂の流路に残存する異物38がキャビティ8の樹脂注入口に到達することを抑制し、キャビティ8内での樹脂未充填の発生を防止することができる。
そのようなランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7を有しない構造では、異物38がそのまま樹脂注入口に達し易いので、キャビティ8内での樹脂未充填の発生原因となり易い。
【0050】
また、本実施形態では、ランナー4のホール4a内にランナー摺動ピン5を上下動可能に取り付け、また、ゲート6のホール6a内にゲート摺動ピン7を上下動可能に取り付けている。これにより、下金型1をクリーニングする際に、樹脂封止工程に比べ、ランナー摺動ピン5、ゲート摺動ピン7の位置を高い位置に設定することにより、異物捕捉部5b、7b上に存在する異物38を除去し易くなる。
【0051】
ところで、樹脂封止時には、ランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7に高低差をつけて配置してもよい。ランナー摺動ピン5をゲート摺動ピン7よりも下方に位置させて高低差をつけると、異物38は上方に移動しにくい傾向から、ランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7の境界で異物38はさらに移動しにくくなる。
これにより、異物38はキャビティ8の樹脂流入口から入る前に移動が妨げられるので、キャビティ8内での樹脂の充填不足が極めて発生しにくくなる。
なお、ランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7のいずれか一方を省略してもよい。この場合、一方のホール4a、6aは形成されず、その部分に樹脂37を通過させる凹部を形成する。
【0052】
(第2の実施の形態)
図9A、図9Bは、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の下金型を示す上面図とその部分拡大平面図、図10は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の金型の図9A及び図12に示すIII-III線から見た断面図である。また、図11は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の金型に用いられる部品を示す斜視図、図12は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止装置の上金型を示す上面図である。
【0053】
図9A、9Bに示すように、平面形状が四角の下金型41の中央の列には、複数のポット42がほぼ等間隔で形成されている。ポット42は、下金型41を上下方向に貫通するホール、例えば円柱状のホールで、その上部は樹脂載置領域であり、その中にはプランジャ43が上下方向に移動可能に挿入される。
【0054】
ポット42の両側にはそれぞれランナー兼ゲート44が形成され、それらの間には図1
0に示すように仕切部41aが介在している。ランナー兼ゲート44は、下金型41を上下方向に貫通する略四角柱状のホール44aと、そのホール44a内の空間で上下動可能な略四角柱状のランナー兼ゲート摺動ピン45を有している。ここで、ランナー兼ゲート44は、ゲートを兼用するランナーであり、ランナー兼ゲート摺動ピン45は、ゲート摺動ピンを兼用するランナー摺動ピンである。なお、仕切部41aは形成されなくてもよい。
【0055】
ランナー兼ゲート摺動ピン45の上面には、図11に示すように、周囲が壁部45aに囲まれた凹状の異物捕捉部45bが形成されている。異物捕捉部45bの底面に対する壁部45aは、その内部に残される異物38の移動を停止できる高さ、例えば約1mmの高さを有する。また、壁部45aの上部内面と異物捕捉部45bの底面のなす角度は、異物が乗り上げ難い角度、即ち約90度又はそれ以下の角度となることが好ましい。
【0056】
下金型41の両側縁寄りには、凹状のキャビティ下部48aが形成され、その底部のうち両側端寄りにはピン貫通孔41cが形成され、ピン貫通孔41c内にはイジェクトピン49が上下動可能に挿入されている。
【0057】
下金型41の上に重ねられる上金型51の下面には、図10、図12に示すように、樹脂整形時にポット42の上に位置する凹状のカル部52が形成され、さらにその下面には、キャビティ下部48aに重ねられる凹状のキャビティ上部48bが形成されている。
【0058】
キャビティ下部48aとキャビティ上部48bは、互いに重ねられた状態でキャビティ48となり、例えば半導体パッケージの外形となる形状を有している。キャビティ下部48bとキャビティ上部48bのそれぞれの大きさは、半導体パッケージの種類によって異なるが、厚さは例えば1.6mm程度である。
【0059】
また、上金型51の縁部には、キャビティ上部48bの一部に繋がるエアベント48cが凹状に形成されている。
なお、下金型41、ランナー兼ゲート摺動ピン45及び上金型51は、例えば、マルテンサイト系のステンレス鋼、さらに詳しくはAISI420〜440系列のマルテンサイト系ステンレス鋼、またはこれらの鋼から形成される。
【0060】
図13は、図9AのIV−IV線断面図であり、下金型41の下方には第1実施形態と同様に第1次プレート台15が配置され、その上には複数のランナー兼ゲート摺動ピン45が支持されている。これにより、第1次プレート台15、支柱16及び第2次プレート台17を介して上下動変換機構19の上下動を複数のランナー兼ゲート摺動ピン45に均一に伝達することができる。
【0061】
また、複数のイジェクトピン49は、イジェクトピン用プレート台20上に支持されている。また、イジェクトピン用プレート台20は、第1実施形態と同様に、第2のサーボモータ21の回転軸により上下動する上下動変換機構22に取り付けられている。
【0062】
ポット42に挿通されるプランジャ43は、特に図示しないが、第1実施形態と同様に、第3のサーボモータにより駆動される上下動変換機構に接続される別のプレート上に取り付けられる。
なお、図13において、図5と同じ符号は同じ要素を示している。
【0063】
次に、上記した樹脂封止装置により半導体装置のパッケージを形成する方法について説明する。
パッケージ形成前の状態の半導体装置は、例えば図6A、図6Bに示した構造を有して
いる。そして、リードフレーム30に取り付けられた半導体チップ33は、図14A〜図14Fに示す工程によりパッケージに覆われる。
次に、図14Aに示す状態になるまでの工程を説明する。
まず、ランナー兼ゲート摺動ピン45の位置を調整することにより、その上端を下金型41上面及び仕切部41aに対して最大約2mmの下方の位置に配置する。
【0064】
ランナー兼ゲート摺動ピン45の位置は、図13に示した制御装置23による第1のサーボモータ18の回転を制御することにより調整される。即ち、第1のサーボモータ18の回転を制御することにより上下動変換器19の高さを変え、これによって第1、第2のプレート台17、16及び支柱16の高さを調整し、ランナー兼ゲート摺動ピン45の位置を変える。
【0065】
この状態で、イジェクトピン49は、その上端がキャビティ下部48aの底面に一致する位置に調整される。イジェクトピン49の位置は、第1実施形態と同様に、制御装置23による第2のサーボモータ21の回転を制御することにより調整される。
【0066】
さらに、下金型41のポット42内のプランジャ43を下げ、その中にタブレット状の樹脂37を充填する。プランジャ43の位置は、図示しない第3のサーボモータ、上下動変換機構及びプレートにより調整される。
【0067】
続いて、下金型41のキャビティ下部48aの中央に半導体装置のダイステージ31及び半導体チップ33が位置するように、リードフレーム30を下金型41上に載置し、その後に、上金型51の下面と下金型41の上面を合わせる。
この場合、インナーリード32の外側部分とリードフレーム30の枠体(不図示)は下金型41と上金型51の間に挟まれ、また、ランナー兼ゲート44とインナーリード32の間又はインナーリード32の周囲には、図示しない樹脂流入用隙間が形成されている。
【0068】
次に、少なくとも下金型41を加熱器(不図示)により加熱することにより樹脂37に熱を伝達し、樹脂37を軟化させる。
続いて、樹脂37が軟化した状態で、制御装置23による第3のサーボモータ(不図示)の制御によりプランジャ43を上昇させ、ポット42内の樹脂37をランナー兼ゲート45経由でキャビティ48の空間に注入する。
【0069】
これにより、半導体チップ33、ダイステージ31及びインナーリード32内側部分は樹脂37により封止され、その部分の樹脂37はパッケージとなる。なお、キャビティ下部48aとキャビティ上部48bの間の空間に樹脂37を流入させる場合には、エアベント48cを通してその空間を脱気する。
【0070】
次に、下金型41と上金型51の温度を常温に戻し、樹脂37を固化した後に、図14Bに示すように、下金型41と上金型51を開く。さらに、制御装置23の指令によりプランジャ43、イジェクトピン49及びランナー兼ゲート摺動ピン45を持ち上げて固化した樹脂37を下金型41から離す。
【0071】
その後に、固化した樹脂37とこれにより封止された半導体チップ33、及びリードフレーム30を外部に取り出し、不要な部分の樹脂37を除去し、リードフレーム30の不要部を切断する。これにより、樹脂37に封止された半導体チップ33及びインナーリード32を有する半導体装置が完成する。
【0072】
樹脂37が取り出された下金型41のうちプランジャ43、ランナー兼ゲート44の上には、第1実施形態と同様に、図14Cに示す樹脂カスのような異物38が付着残存する
ことがある。異物38によりキャビティ48の樹脂流入口が詰まると、キャビティ48内で未充填部分が発生する。
【0073】
そこで、プランジャ43、ランナー兼ゲート摺動ピン45の位置を保持したままで、図14Dに示すように、下金型41と上金型51の間に集塵クリーナー39を入れて、下金型41と上金型51の表面に付着した異物38を吸引、除去する。なお、集塵クリーナー39は、第1実施形態に示したと同様な構造を有している。
【0074】
集塵クリーナー39は、第1実施形態に示したと同様に、集塵クリーナー39を下金型41の上の一端から他端に向けて移動した後に、他端から一端に向けて折り返される。
なお、集塵クリーナー39に対する下金型41と上金型51の距離はそれぞれ例えば2mm〜3mmとする。
これにより、異物38は集塵クリーナー39により吸引除去されことになるが、除去しきれずにランジャ3、ランナー兼ゲート44が残存することがある。
【0075】
下金型41と上金型51の間から集塵クリーナー39を外した後に、図14Eに示すように、制御装置32の制御により、プランジャ43、ランナー兼ゲート摺動ピン45及びイジェクトピン49を下げる。これにより、プランジャ43の上でタブレット状の樹脂37を入れるスペースを確保する。また、下金型41の上面と同じ位置又はそれより低い位置、例えば最大で約2mm下方にランナー兼ゲート摺動ピン45の上端を位置させる。さらに、イジェクトピン49の上端をキャビティ下部48aの底面と実質的に同じ高さになるように調整する。
【0076】
続いて、プランジャ43上のポット42内にタブレット状の樹脂37を充填する。プランジャ43の位置は、図示しない第3のサーボモータ、上下動変換機構及びプレートにより調整される。
さらに、ダイステージ31及び半導体チップ33がキャビティ下部48aの中央に位置するように、リードフレーム30を下金型1上に載置し、その後に、上金型51の下面と下金型41の上面を合わせる。
この場合、インナーリード32の外側部分とリードフレーム30の枠体(不図示)は下金型41と上金型51の間に挟まれ、また、ランナー4とインナーリード32の間又はインナーリード32の周囲には、図示しない樹脂流入用隙間が形成される。
【0077】
次に、少なくとも下金型41を加熱器(不図示)により加熱することにより樹脂37に熱を伝達し、樹脂37を軟化させる。
続いて、樹脂37が軟化した状態で、制御装置23による第3のサーボモータ(不図示)の制御によりプランジャ3を上昇させると、ポット2内の樹脂37はランナー兼ゲート44を経由してキャビティ48内の空間に注入される。
【0078】
流れ初めの樹脂37は下側に流れるので、プランジャ43、ランナー兼ゲート44上に残存している異物38は樹脂37とともに移動し、下方にあるランナー兼ゲート摺動ピン45の異物捕捉部45aを移動する。
【0079】
この場合、プランジャ3、ランナー兼ゲート摺動ピン45上に残存している異物38は、樹脂37とともに移動し、ランナー兼ゲート摺動ピン45の異物捕捉部4a、7a内を移動する。
そして、異物38は、最終的には壁部45aにより移動が妨げられ、キャビティ48に辿りつき難くなる。
これにより、図14Fに示すように、半導体チップ33、ダイステージ31及びインナーリード32内側部分は樹脂37により封止され、その中に異物38が混入することが防
止される。
【0080】
以上の実施形態によれば、樹脂37を充填するポット2からキャビティ48に樹脂が流れる流路にあるランナー兼ゲート44において、凹状の異物捕捉部45bを上面に有するランナー兼ゲート摺動ピン45を上下動可能に配置している。これにより、樹脂流路に残存する異物38はランナー兼ゲート摺動ピン45によりキャビティ48への移動が妨げられるので、キャビティ48内での樹脂未充填の発生を防止することができる。
【0081】
また、ランナー兼ゲート44のホール44a内でランナー兼ゲート摺動ピン45は上下動可能に取り付けられているので、下金型41をクリーニングする際に、ランナー兼ゲート摺動ピン45を樹脂封止時よりも上に位置させることにより、異物捕捉部45b上に存在する異物38を除去し易くなる。
ランナー兼ゲート摺動ピン45は、第1実施形態に示したランナー4からゲート6までの間が直線型である領域に用いられる。また、第1実施形態ではランナー摺動ピン5とゲート摺動ピン7を別な部品としているが、流路が長く複雑な屈曲な流路に合わせて本実施形態のように一体型にしてもよい。
【0082】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈すべきであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変 更、置換および変形を施すことができると理解すべきである。
【0083】
次に、本発明の実施形態について特徴を付記する。
(付記1)凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型と、前記下金型に形成されて樹脂載置領域を有するポットと、前記ポットに挿通されるプランジャと、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に形成されるホール内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部を有する少なくとも1つの摺動ピンと、前記キャビティ下部に合わさせられる凹状のキャビティ上部を有する上金型と、を有することを特徴とする樹脂封止用金型。
(付記2)前記下金型において、前記摺動ピンは、前記ランナー領域と前記ゲート領域に渡って一体に形成されることを特徴とする付記1に記載の樹脂封止用金型。
(付記3)前記下金型のうち前記キャビティ下部の底から下に形成されるピン貫通孔と、前記ピン貫通孔に上下動可能に挿通されるイジェクトピンとを有することを特徴とする付記1又は付記2に記載の樹脂封止用金型。
(付記4)前記キャビティ上部、前記キャビティ下部、前記ランナー領域及び前記ゲート領域は、前記ポットの両側に設けられることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか1つに記載の樹脂封止用金型。
(付記5)凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型と、前記下金型に形成されて樹脂載置領域を有するポットと、前記ポットに挿通されるプランジャと、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に形成されるホール内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部を有する少なくとも1つの摺動ピンと、前記キャビティ下部に合わさせられる凹状のキャビティ上部を有する上金型とを有する樹脂封止用金型と、複数の前記摺動ピンを下から支持するプレートと、前記プレートを上下動させる駆動装置と、を有することを特徴とする樹脂封止装置。
(付記6)凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型に開口されたポットにプランジャを挿通し、前記ポット内の上部に樹脂を入れる空間の下に前記プランジャを位置させる工程と、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域及びゲート領域に形成される少なくとも一方のホール内に少なくとも1つの摺動ピンを挿通する
とともに、前記摺動ピンの位置を調整することにより前記摺動ピン上面の凹状の異物捕捉部を前記下金型の上面と同じ高さ以下に設定する工程と、前記下金型のうち前記キャビティ下部の底に形成されるピン貫通孔にイジェクトピンを挿通するとともに、前記イジェクトピンの上端を調整する工程と、前記下金型の前記キャビティ下部の上に、リードフレームに取り付けられた半導体チップを載置する工程と、前記下金型及び前記リードフレームの上に上金型を重ねる工程と、前記ポット内の前記樹脂を加熱して軟化しつつ前記プランジャを上昇させることにより、前記ランナー領域及び前記ゲート領域を通して前記樹脂を前記キャビティ下部と前記キャビティ上部の間の空間に注入し、前記半導体チップを前記樹脂により封止する工程と、前記樹脂を固化する工程と、前記上金型と前記下金型を離す工程と、前記プランジャ、前記摺動ピン及び前記イジェクトピンを前記下金型の上面よりも上に上昇することにより前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを持ち上げる工程と、前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを前記下金型と前記上金型の間から外部に取り出す工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。(付記7)前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを前記下金型と前記上金型の間から外部に取り出した後に、前記プランジャ、前記摺動ピン及び前記イジェクトピンを前記下金型の前記上面よりも上に位置させた状態を保持しつつ、前記下金型と前記上金型の互いの対向領域をクリーニングする工程を有することを特徴とする付記6に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8)前記下金型において、前記摺動ピンは前記ランナー領域と前記ゲート領域で一体に形成されていることを特徴とする付記5又は付記6に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0084】
1 下金型
2 ポット
3 プランジャ
4 ランナー
5 ランナー摺動ピン
6 ゲート
7 ゲート摺動ピン
8 キャビティ
8a キャビティ下部
8b キャビティ上部
9 イジェクトピン
11 上金型
41 下金型
42 ポット
43 プランジャ
44 ランナー兼ゲート(ランナー)
45 ランナー兼ゲート摺動ピン(ランナー摺動ピン)
48 キャビティ
48a キャビティ下部
48b キャビティ上部
49 イジェクトピン
51 上金型
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型と、
前記下金型に形成されて樹脂載置領域を有するポットと、
前記ポットに挿通されるプランジャと、
前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に形成されるホール内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部を有する少なくとも1つの摺動ピンと、
前記キャビティ下部に合わさせられる凹状のキャビティ上部を有する上金型と、
を有することを特徴とする樹脂封止用金型。
【請求項2】
前記下金型において、前記摺動ピンは前記ランナー領域と前記ゲート領域に渡って一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂封止用金型。
【請求項3】
凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型と、前記下金型に形成されて樹脂載置領域を有するポットと、前記ポットに挿通されるプランジャと、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に形成されるホール内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部を有する少なくとも1つの摺動ピンと、前記キャビティ下部に合わさせられる凹状のキャビティ上部を有する上金型とを有する樹脂封止用金型と、
複数の前記摺動ピンを下から支持するプレートと、
前記プレートを上下動させる駆動装置と、
を有することを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項4】
凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型に開口されたポットにプランジャを挿通し、前記ポット内の上部に樹脂を入れる空間の下に前記プランジャを位置させる工程と、
前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域及びゲート領域に形成される少なくとも一方のホール内に少なくとも1つの摺動ピンを挿通するとともに、前記摺動ピンの位置を調整することにより前記摺動ピン上面の凹状の異物捕捉部を前記下金型の上面と同じ高さ以下に設定する工程と、
前記下金型のうち前記キャビティ下部の底に形成されるピン貫通孔にイジェクトピンを挿通するとともに、前記イジェクトピンの上端を調整する工程と、
前記下金型の前記キャビティ下部の上に、リードフレームに取り付けられた半導体チップを載置する工程と、
前記下金型及び前記リードフレームの上に上金型を重ねる工程と、
前記ポット内の前記樹脂を加熱して軟化しつつ前記プランジャを上昇させることにより、前記ランナー領域及び前記ゲート領域を通して前記樹脂を前記キャビティ下部と前記キャビティ上部の間の空間に注入し、前記半導体チップを前記樹脂により封止する工程と、
前記樹脂を固化する工程と、
前記上金型と前記下金型を離す工程と、
前記プランジャ、前記摺動ピン及び前記イジェクトピンを前記下金型の上面よりも上に上昇することにより前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを持ち上げる工程と、
前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを前記下金型と前記上金型の間から外部に取り出す工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを前記下金型と前記上金型の間から外部に取り出した後に、前記プランジャ、前記摺動ピン及び前記イジェクトピンを前記
下金型の前記上面よりも上に位置させた状態を保持しつつ、前記下金型と前記上金型の互いの対向領域をクリーニングする工程を有することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型と、
前記下金型に形成されて樹脂載置領域を有するポットと、
前記ポットに挿通されるプランジャと、
前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に形成されるホール内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部を有する少なくとも1つの摺動ピンと、
前記キャビティ下部に合わさせられる凹状のキャビティ上部を有する上金型と、
を有することを特徴とする樹脂封止用金型。
【請求項2】
前記下金型において、前記摺動ピンは前記ランナー領域と前記ゲート領域に渡って一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂封止用金型。
【請求項3】
凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型と、前記下金型に形成されて樹脂載置領域を有するポットと、前記ポットに挿通されるプランジャと、前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域とゲート領域の少なくとも一方に形成されるホール内に上下動可能に挿通され、上面に凹状の異物捕捉部を有する少なくとも1つの摺動ピンと、前記キャビティ下部に合わさせられる凹状のキャビティ上部を有する上金型とを有する樹脂封止用金型と、
複数の前記摺動ピンを下から支持するプレートと、
前記プレートを上下動させる駆動装置と、
を有することを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項4】
凹状に形成されるキャビティ下部を有する下金型に開口されたポットにプランジャを挿通し、前記ポット内の上部に樹脂を入れる空間の下に前記プランジャを位置させる工程と、
前記下金型のうち前記キャビティ下部と前記ポットの間のランナー領域及びゲート領域に形成される少なくとも一方のホール内に少なくとも1つの摺動ピンを挿通するとともに、前記摺動ピンの位置を調整することにより前記摺動ピン上面の凹状の異物捕捉部を前記下金型の上面と同じ高さ以下に設定する工程と、
前記下金型のうち前記キャビティ下部の底に形成されるピン貫通孔にイジェクトピンを挿通するとともに、前記イジェクトピンの上端を調整する工程と、
前記下金型の前記キャビティ下部の上に、リードフレームに取り付けられた半導体チップを載置する工程と、
前記下金型及び前記リードフレームの上に上金型を重ねる工程と、
前記ポット内の前記樹脂を加熱して軟化しつつ前記プランジャを上昇させることにより、前記ランナー領域及び前記ゲート領域を通して前記樹脂を前記キャビティ下部と前記キャビティ上部の間の空間に注入し、前記半導体チップを前記樹脂により封止する工程と、
前記樹脂を固化する工程と、
前記上金型と前記下金型を離す工程と、
前記プランジャ、前記摺動ピン及び前記イジェクトピンを前記下金型の上面よりも上に上昇することにより前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを持ち上げる工程と、
前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを前記下金型と前記上金型の間から外部に取り出す工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂、前記リードフレーム及び前記半導体チップを前記下金型と前記上金型の間から外部に取り出した後に、前記プランジャ、前記摺動ピン及び前記イジェクトピンを前記
下金型の前記上面よりも上に位置させた状態を保持しつつ、前記下金型と前記上金型の互いの対向領域をクリーニングする工程を有することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7D】
【図7F】
【図7H】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14C】
【図14E】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7D】
【図7F】
【図7H】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14C】
【図14E】
【公開番号】特開2011−104926(P2011−104926A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263969(P2009−263969)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
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