説明

樹脂封止装置及び樹脂封止方法

【課題】溶解した樹脂中の異物を低減して、半導体装置の歩留を向上させることができる樹脂封止装置および樹脂封止方法を提供する
【解決手段】本発明に係る樹脂封止装置1は、上下に対をなす上金型2と下金型3との間に形成され、半導体チップ41を樹脂封止するためのキャビティ部17,18と、上金型2及び下金型3のいずれか一方の金型に形成され、溶解樹脂を供給するポット部10と、上金型2と下金型3との間に形成され、キャビティ部17,18とポット部10とを連通する樹脂流路14と、この樹脂流路14の中途部に設けられ、樹脂流路14を通過する溶解樹脂に含有される異物を除去するフィルタ20と、を備え、このフィルタ20をメッシュ材で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止装置及び樹脂封止方法に関する。さらに詳しくは、半導体チップを樹脂封止する樹脂封止装置及び樹脂封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、外界からの保護を目的として、一般的にはトランスファーモールド法によって半導体チップを樹脂封止して製品化されている。このトランスファーモールド法による樹脂封止を行うには、樹脂封止金型を有する樹脂封止装置が用いられる。
【0003】
図12に示すように、樹脂封止金型101は、上下に対をなす上金型102と下金型103を有している。この樹脂封止金型101には、半導体チップ141を載置するキャビティ部117と、溶解樹脂Rを供給するポット部110と、カル部111、ランナー部112及びゲート部113とからなる樹脂流路114とが形成される。
【0004】
この樹脂封止金型101を用いた半導体チップの樹脂封止は、次のように行われる。まず、キャビティ部117にリードフレーム144上に組み立てた半導体チップ141を搭載し、予熱されたタブレット状の樹脂Rをポット部110に投入する。次に、上金型102を降下して下金型103と密着させる。樹脂封止金型101は加熱されており、樹脂Rは樹脂封止金型101から熱を受けてポット部110内で溶解する。この溶解した樹脂Rが、ブランジャ119によりポット部110内から押し出されて、樹脂流路114を介してキャビティ部117内に充填される。そして、キャビティ部117内の溶解樹脂Rが硬化すると樹脂パッケージが形成される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−58573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記樹脂封止で使用する樹脂は、樹脂メーカーで製造され十分な品質検査を実施したのちに樹脂成形を行うメーカーに出荷されている。
【0006】
しかしながら、樹脂メーカーで製造された樹脂のうちに異物が混入した状態で出荷される場合があった。その場合、溶解した樹脂Rと異物170とが一体となって樹脂流路114を介してキャビティ部117内に注入されることになる。そのため、同異物170が半導体チップ141のパッド同士の間、或いはリードフレームの端子同士の間に付着して短絡するといった不具合を生じていた。
【0007】
しかも、半導体チップの微細化プロセスの進展により、積層した半導体チップ141間がボンディングワイヤー143で接続されるようになり、ボンディングワイヤー143,143間のピッチがさらに狭ピッチとなってきている。従って、従来は問題とならなかった大きさの異物であっても、積層した半導体チップ141を樹脂封止する場合には、異物170が狭ピッチのボンディングワイヤー143,143同士の間に付着し短絡してしまうことになる(図13参照)。
【0008】
その結果、樹脂封止された半導体装置は不良品となってしまい、歩留を低下させるおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明は、溶解した樹脂中の異物を低減して、半導体装置の歩留を向上させることができる樹脂封止装置および樹脂封止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、請求項1に係る発明は、上下に対をなす上金型と下金型との間に形成され、半導体チップを樹脂封止するためのキャビティ部と、前記上金型及び下金型のいずれか一方の金型に形成され、溶解樹脂を供給するポット部と、上金型と下金型との間に形成され、前記キャビティ部と前記ポット部とを連通する樹脂流路と、前記樹脂流路の中途部に設けられ、前記樹脂流路を通過する前記溶解樹脂に含有される異物を除去するフィルタと、を備え、前記フィルタをメッシュ材で構成した樹脂封止装置とした。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の樹脂封止装置において、前記樹脂流路は前記ポット部に連通したカル部と、前記カル部に連通して前記ポット部から供給される樹脂を前記キャビティ部に導くランナー部とからなり、前記フィルタは、帽子形状に形成され、前記ポット部の樹脂供給口を覆うように前記カル部に配置することとした。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の樹脂封止装置において、前記樹脂流路は前記ポット部に連通したカル部と、前記カル部に連通して前記ポット部から供給される樹脂を前記キャビティ部に導くランナー部とからなり、前記フィルタは、前記ランナー部に、前記溶解樹脂の流路方向に直交するように配置することとした。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂封止装置において、前記メッシュ材は、炭素繊維で形成することとした。
【0014】
請求項5に係る発明は、上下に対をなす上金型と下金型とを備える金型本体に形成されたポット部の空間に樹脂を装填する樹脂装填工程と、前記金型本体に形成されたキャビティ部内に、半導体チップを載置する半導体チップ載置工程と、前記ポット部から溶解樹脂を前記金型本体に形成された樹脂流路へ供給し、当該樹脂流路の中途部に設けられメッシュ材で形成されるフィルタで前記溶解樹脂に含有された異物を除去した後、当該溶解樹脂を前記キャビティ部に注入する樹脂注入工程とを有する樹脂封止方法とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溶解樹脂に含有した異物をメッシュ材で形成されたフィルタ部により除去した後に溶解樹脂をキャビティ部に注入しているために、異物が原因による短絡の発生が抑制され半導体装置の歩留を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.樹脂封止装置
2.樹脂封止方法
3.その他の樹脂封止装置及び樹脂封止方法
【0017】
[1.樹脂封止装置]
図1は本実施形態に係る樹脂封止装置を示す断面図である。図2は本実施形態に係る樹脂封止装置に備えるフィルタを示す斜視図である。
【0018】
本実施形態に係る樹脂封止装置1は、図1に示すように、上下に対をなす上金型2と下金型3を備える金型本体4で構成している。
【0019】
金型本体4は、樹脂を投入可能な空間S1を設けたポット部10を下金型3に形成し、ポット部10に連通し断面視凹部状の空間S2を設けたカル部11を形成し、カル部11に連通し所定の空間S3,S4を設けたランナー部12,13をそれぞれ形成している。
【0020】
さらに、金型本体4には、各ランナー部12,13の両終端部12e,13eに樹脂の注入口となるゲート部15,16をそれぞれ形成し、各ゲート部15,16に連通し断面視六角形状の空間S5,S6を設けたキャビティ部17,18をそれぞれ形成している。
【0021】
この金型本体4に形成したカル部11、ランナー部12,13からなる樹脂流路14は、ポット部10からキャビティ部17,18に溶解樹脂を流すための通路となる。また、上記カル部11は、連通した両ランナー部12,13に溶解した樹脂を供給する分岐路として機能する。上記ランナー部12,13は、カル部11から供給される溶解樹脂をキャビティ部17,18に供給する通路として機能する。
【0022】
そして、この金型本体4には、溶解樹脂を通過させる一方でこの溶解樹脂に含有する異物を除去するフィルタ20を備えており、このフィルタ20は、樹脂流路14の中途部に設けられる。
【0023】
フィルタ20は、図2に示すように、網の目状のメッシュ材で帽子形状に構成されており、上面を平坦な円形状に形成した上部21と、上部21から下部22に向って断面視テーパー形状に形成した周縁部23と、下部22の周縁を鍔形状に形成した鍔部24とを有している。
【0024】
また、フィルタ20は、非導電性の材料、例えば、炭素繊維などのようにインターポーザーの基材などに用いられる材料で構成される。
【0025】
メッシュ材のメッシュ間隔X1,Y1は、樹脂が通過できるように樹脂のフィラー径よりも大きく、かつボンディングワイヤー43,43の間隔よりも小さいことが望ましく、例えば、それぞれ20μmとすることが好ましい。
【0026】
そして、フィルタ20は、図1に示すように、カル部11の空間S2において、下金型3のポット部10の樹脂供給口10aを覆うように装着される。このとき、円形状の上部21の周縁21aは、カル部11内の上金型2側のカル凹部30の断面視テーパー面31に当接し、さらに、鍔部24は、ランナー部12,13内の下金型3側のランナー凹部32,33の内底面32a,33aに当接する。なお、周縁部23は、下金型3側のカル凸部34に接触しない傾斜角度に形成される。
【0027】
すなわち、樹脂封止装置1では、ポット部10の樹脂供給口10aを覆うようにフィルタ20を設けたので、溶解した樹脂を樹脂流路14を経てキャビティ部17,18に流入させる際に、溶解した樹脂に含有した導電性の異物を同フィルタ20であるメッシュ材で捕らえることが可能になる。
【0028】
そして、この異物を除去した溶解樹脂をフィルタ20であるメッシュ材を通過させてカル部11、ランナー部12,13に供給し、ゲート部15,16を介してキャビティ部17,18へ注入させることが可能になる。
【0029】
このように、本実施形態に係る樹脂封止装置1によれば、溶解した樹脂に含有した導電性の異物をフィルタ20で除去して、キャビティ部17,18に注入できる。
【0030】
[2.樹脂封止方法]
次に、上記樹脂封止装置1を用いた本実施形態に係る樹脂封止方法について、図3〜図7を用いて詳細に説明する。図3〜図6は、本実施形態に係る樹脂封止方法を示す製造工程図である。図7は樹脂流路を流れる樹脂の状態を示す製造工程図である。
【0031】
樹脂装填工程では、図3に示すように、下金型3のポット部10の空間S1にタブレット状の樹脂Rを装填する。次に、ポット部10の樹脂供給口10aを上方より被覆するように帽子形状のフィルタ20を装着する。
【0032】
次に、半導体チップ載置工程では、ボンディングワイヤー43を形成しリードフレーム44を取付けた半導体チップ41を下金型3の左右のキャビティ部17,18に載置する。
【0033】
そして、金型本体4を加熱して樹脂Rを溶解し、上金型2を下方に位置する下金型3に向けて降下する。
【0034】
次に、図4に示すように、上金型2と下金型3との間にリードフレーム44を挟み固定する。このとき、フィルタ20の円形状の上部21の周縁21aは、上金型2側のカル凹部30の断面視テーパー面31に当接した状態となる。
【0035】
次に、樹脂注入工程では、ポット部10内のプランジャ19を上方へ押し上げて、溶解した樹脂Rをカル部11内に注入する。
【0036】
このとき、ポット部10から供給される溶解樹脂Rはカル部11内の空間S2に充填され、カル部11内のフィルタ20を通過する。フィルタ20はメッシュ材で形成されていることから、ポット部10内から供給される溶解樹脂R自体はランナー部12,13に供給される一方、溶解樹脂Rに含有された導電性の異物は除去される。その後、カル部11で分流された溶解樹脂Rが左右のランナー部12,13に注入される(図7参照)。
【0037】
このとき、プランジャ19を介して樹脂圧が印加されるが、フィルタ20の円形状の上部21の周縁21aが上金型2の断面視テーパー面31に当接しているため、フィルタ20の下部22の鍔部24が浮き上がることを防止できる。
【0038】
次に、フィルタ20を通過した溶解樹脂Rが、ランナー部12,13内の空間S3,S4に充填されたのち、さらに、ゲート部15,16を介してキャビティ部17,18内の空間S5,S6に注入される。
【0039】
そして、図5に示すように、カル部11、ランナー部12,13、キャビティ部17,18内の各空間S2,S3,S4,S5,S6は、溶解樹脂Rが充填された状態となる。
【0040】
このとき、リードフレーム44を取付けた半導体チップ41は、溶解樹脂Rにより囲繞された状態となり、所望の形状に成形される。所定時間経過すると、前記各空間S2,S3,S4,S5,S6に充填した溶解樹脂Rは、重合して硬化する。
【0041】
図6に示すように、上金型2を上方に上げて、下金型3の押出し部9を上方へ突出させて成形された樹脂Rと一体の半導体装置40を取り出す。
【0042】
その後、ランナー部12,13やカル部11で硬化した不要な樹脂を除去した後、キュアを行って樹脂を安定化させる。
【0043】
なお、樹脂封止に使用したのちのフィルタ20は、金型本体4から取り外して、フィルタ20のメッシュ材に付着して硬化した樹脂を薬剤を用いて除去したのち再利用することができる。
【0044】
本実施形態の樹脂封入方法によれば、ポット部10を被覆するようにカル部11にフィルタ20としてのメッシュ材を設けるようにした。このとき、キャビティ部17,18内には異物が除去された溶解樹脂が注入されるため、異物が原因による短絡の発生が抑制され半導体装置40の歩留を向上することができる。
【0045】
[3.その他の樹脂封止装置及び樹脂封止方法]
上述した樹脂封止装置1の他の形態について以下説明する。図8は本実施形態に係る他の樹脂封止装置71を示す断面図である。図9は本実施形態に係る他の樹脂封止装置71のフィルタ50を示す正面図である。
【0046】
[その他の樹脂封止装置]
本実施形態に係る樹脂封止装置71は、図8に示すように、上下に対をなす上金型2と下金型3を備える金型本体4で構成している。
【0047】
金型本体4は、樹脂を投入可能な空間S1を設けたポット部10を下金型3に形成し、ポット部10に連通し断面視凹部状の空間S2を設けたカル部11を形成し、カル部11に連通し所定の空間S3,S4を設けたランナー部12,13をそれぞれ形成している。
【0048】
さらに、金型本体4には、各ランナー部12,13の終端部12e,13eに樹脂の注入口となるゲート部15,16をそれぞれ形成し、各ゲート部15,16に連通し断面視六角形状の空間S5,S6を設けたキャビティ部17,18をそれぞれ形成している。
【0049】
この金型本体4に形成したカル部11、ランナー部12,13からなる樹脂流路14は、ポット部10からキャビティ部17,18に溶解樹脂を流すため通路となる。
【0050】
さらに、金型本体4には、溶解樹脂を通過させる一方でこの溶解樹脂に含有する異物を除去する長方形状のフィルタ50を備えている。このフィルタ50は、網の目状のメッシュ材51を長方形状のフレーム部52に張架して構成されており、樹脂流路14のランナー部12,13の中途部に溶解樹脂の流路方向に直交するようそれぞれ形成される。
【0051】
詳細には、フィルタ50のフレーム部52は、上金型2のランナー凸部35,36の始端側の凹部35s,36sに装着される。
【0052】
また、このフィルタ50は、非導電性の材料、例えば、炭素繊維などのようにインターポーザーの基材などに用いられる材料で構成される。
【0053】
メッシュ材のメッシュ間隔X1,Y1は、樹脂が通過できるように樹脂のフィラー径よりも大きく、かつボンディングワイヤー43,43の間隔よりも小さいことが望ましく、例えば、それぞれ20μmとすることが好ましい。
【0054】
このように、樹脂封止装置71では、ランナー部12,13にフィルタ50を設けたので、溶解した樹脂をカル部11、ランナー部12,13からなる樹脂流路14を経てキャビティ部17,18に流入させる際に、溶融した樹脂に含有した導電性の異物を同フィルタ50,50であるメッシュ材51で捕らえることが可能になる。
【0055】
そして、この異物を除去した溶解樹脂をフィルタ50であるメッシュ材51を通過させてカル部11、ランナー部12,13に供給し、ゲート部15,16を介してキャビティ部17,18へ注入させることが可能になる。
【0056】
本実施形態に係る樹脂封止装置71によれば、溶解した樹脂に含有した導電性の異物を両フィルタ50,50で除去して、キャビティ部17,18に注入できる。
【0057】
なお、本実施形態に係る樹脂封止装置71のフィルタ50は、ランナー部12,13の始端側に設けたが、その他にリードフレーム44に接触しなければランナー部12,13の中間部や終端側に設けてもよい。
【0058】
フィルタ50はランナー凸部35,36の凹部35s,36sに配設したが、脱着自在な機構を設けるようにしてもよい。
【0059】
[その他の樹脂封止方法]
次に、上記樹脂封止装置71を用いた実施形態に係る他の樹脂封止方法について、図10〜図11を用いて詳細に説明する。図10〜図11は、本実施形態に係る他の樹脂封止方法を示す製造工程図である。
【0060】
樹脂装填工程では、下金型3のポット部10の空間S1にタブレット状の樹脂Rを装填する。このとき、上金型2のランナー部12,13の中途部に溶解樹脂の流路方向に直交するように長方形状のフィルタ50,50を装着している。
【0061】
次に、半導体チップ搭載工程では、ボンディングワイヤーを形成しリードフレーム44を取付けた半導体チップ41を下金型3の左右のキャビティ部17,18に載置する。
【0062】
そして、金型本体4を加熱して樹脂Rを溶解し、上金型2を下方に位置する下金型3に向けて降下する。
【0063】
次に、上金型2と下金型3との間にリードフレーム44の両端部を挟み固定する。このとき、フィルタ50,50の下部は、下金型3のランナー凹部32,33の両凹部32s,33sに係合した状態となる。
【0064】
次に、樹脂注入工程では、ポット部10内のプランジャ19を上方へ押し上げて、溶解した樹脂Rをカル部11内に注入する。溶解樹脂Rは、カル部11内の空間S2に充填され、フィルタ50,50を介して両ランナー部12,13内に注入される。フィルタ50,50のメッシュ材により、両ランナー部12,13内を溶解樹脂Rが通過可能とする一方で、溶解樹脂Rに含有した導電性の異物を除去することができる。
【0065】
次に、フィルタ50,50を通過した溶解樹脂Rが、ランナー部12,13内の空間S3,S4に充填されたのち、さらに、ゲート部15,16を介してキャビティ部17,18内の空間S5,S6に注入される。
【0066】
図10に示すように、ポット部10、カル部11、ランナー部12,13、キャビティ部17,18内の各空間には、溶解樹脂Rが充填された状態となる。このとき、リードフレーム44を取付けた半導体チップ41は、溶解樹脂Rにより囲繞された状態となり、所望の形状に成形される。
【0067】
そして、所定時間経過すると、前記各空間S2,S3,S4,S5,S6に充填した溶解樹脂Rは、重合して硬化する。
【0068】
図11に示すように、上金型2を上方に上げて、下金型3の押出し部9を上方へ突出させて成形された樹脂Rと一体の半導体装置40を取り出す。
【0069】
その後、ランナー部12,13やカル部11で硬化した不要な樹脂を除去した後、キュアを行って樹脂を安定化させる。
【0070】
本実施形態の樹脂封入方法によれば、ランナー部12,13にフィルタ50,50であるメッシュ材51をそれぞれ設けるようにした。このとき、キャビティ部17,18内には異物が除去された溶解樹脂のみが注入されるため、異物が原因による短絡の発生が抑制され半導体装置40の歩留を向上することができる。
【0071】
なお、本実施形態の樹脂封止装置において、フィルタは、カル部及びランナー部に形成したが、ポット部内に設けるようにしてもよい。
【0072】
本実施形態の樹脂封止装置は、下金型にプランジャを設ける構造であるが、上金型にプランジャを設ける構造の樹脂封止装置にも適用することができる。
【0073】
本発明に係る実施の一形態について具体的に説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施形態に係る樹脂封止装置を示す断面図である。
【図2】本実施形態に係る樹脂封止装置に備えるフィルタを示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係る樹脂封止方法を示す製造工程図である。
【図4】本実施形態に係る樹脂封止方法を示す製造工程図である。
【図5】本実施形態に係る樹脂封止方法を示す製造工程図である。
【図6】本実施形態に係る樹脂封止方法を示す製造工程図である。
【図7】樹脂流路を流れる樹脂の状態を示す製造工程図である。
【図8】本実施形態に係る樹脂封止装置を示す断面図である。
【図9】本実施形態に係る樹脂封止装置のフィルタを示す正面図である。
【図10】本実施形態に係る樹脂封止方法を示す製造工程図である。
【図11】本実施形態に係る樹脂封止方法を示す製造工程図である。
【図12】従来の樹脂封止金型を示す断面図である。
【図13】従来のボンディングワイヤー接続した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
・ 71 樹脂封止装置
2 上金型
3 下金型
4 金型本体
10 ポット部
11 カル部
12,13 ランナー部
14 樹脂流路
15,16 ゲート部
17,18 キャビティ部
19 プランジャ
20,50 フィルタ
21 上部
22 下部
23 周縁部
24 鍔部
40 半導体装置
41 半導体チップ
43 ボンディングワイヤー
44 リードフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に対をなす上金型と下金型との間に形成され、半導体チップを樹脂封止するためのキャビティ部と、
前記上金型及び下金型のいずれか一方の金型に形成され、溶解樹脂を供給するポット部と、
上金型と下金型との間に形成され、前記キャビティ部と前記ポット部とを連通する樹脂流路と、
前記樹脂流路の中途部に設けられ、前記樹脂流路を通過する前記溶解樹脂に含有される異物を除去するフィルタと、を備え、
前記フィルタをメッシュ材で構成した樹脂封止装置。
【請求項2】
前記樹脂流路は、前記ポット部に連通したカル部と、前記カル部に連通して前記ポット部から供給される樹脂を前記キャビティ部に導くランナー部とからなり、
前記フィルタは、帽子形状に形成され、前記ポット部の樹脂供給口を覆うように前記カル部に配置された請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記樹脂流路は、前記ポット部に連通したカル部と、前記カル部に連通して前記ポット部から供給される樹脂を前記キャビティ部に導くランナー部とからなり、
前記フィルタは、前記ランナー部に、前記溶解樹脂の流路方向に直交するように配置された請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記メッシュ材は、炭素繊維で形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂封止装置。
【請求項5】
上下に対をなす上金型と下金型とを備える金型本体に形成されたポット部の空間に樹脂を装填する樹脂装填工程と、
前記金型本体に形成されたキャビティ部内に、半導体チップを載置する半導体チップ載置工程と、
前記ポット部から溶解樹脂を前記金型本体に形成された樹脂流路へ供給し、当該樹脂流路の中途部に設けられメッシュ材で形成されるフィルタで前記溶解樹脂に含有された異物を除去した後、当該溶解樹脂を前記キャビティ部に注入する樹脂注入工程と、を有する樹脂封止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−147082(P2010−147082A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319805(P2008−319805)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】