機能性膜のパターン形成方法
【課題】高温プロセスを用いて機能性膜を形成することが可能であり、汎用性が高く、簡易で実用的な機能性膜のパターン形成方法を提供する。
【解決手段】この方法は、特定のエッチング液により選択的にエッチングされる第1の犠牲層を基板上に直接又は間接的に形成する工程と、熱又は物理的作用力に対する耐性が第1の犠牲層よりも弱い第2の犠牲層を第1の犠牲層上に形成する工程と、第1及び第2の犠牲層が形成された基板上に、機能性材料によって機能性膜を形成する工程と、第2の犠牲層に熱及び/又は物理的作用力を加えて第2の犠牲層を部分的に除去することにより、特定のエッチング液を第1の犠牲層に到達させる通過孔、クラック、又は隙間を形成する工程と、特定のエッチング液を用いて、通過孔等を介して第1の犠牲層をエッチングすることにより、第1及び第2の犠牲層と第2の犠牲層の上の機能性膜とを除去する工程とを具備する。
【解決手段】この方法は、特定のエッチング液により選択的にエッチングされる第1の犠牲層を基板上に直接又は間接的に形成する工程と、熱又は物理的作用力に対する耐性が第1の犠牲層よりも弱い第2の犠牲層を第1の犠牲層上に形成する工程と、第1及び第2の犠牲層が形成された基板上に、機能性材料によって機能性膜を形成する工程と、第2の犠牲層に熱及び/又は物理的作用力を加えて第2の犠牲層を部分的に除去することにより、特定のエッチング液を第1の犠牲層に到達させる通過孔、クラック、又は隙間を形成する工程と、特定のエッチング液を用いて、通過孔等を介して第1の犠牲層をエッチングすることにより、第1及び第2の犠牲層と第2の犠牲層の上の機能性膜とを除去する工程とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小電気機械システム(MEMS:micro electrical mechanical system)等の微細な機器において用いられる機能性膜のパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造プロセスを応用した微小電気機械システム(MEMS:micro electrical mechanical system)の研究開発が盛んに行われている。その中でも、機能性膜として圧電膜を用いる圧電MEMSは、高出力のアクチュエータとして注目されており、マイクロポンプ、マイクロカンチレバー、微小超音波トランスデューサ等に利用されている。ここで、機能性膜とは、積層コンデンサにおける誘電体膜や、圧電アクチュエータにおける圧電膜のように、素子の機能を発揮させる主要部分(通常、電極に挟まれた層)のことである。また、機能性膜を構成する機能性材料としては、誘電体、圧電体、磁性体、焦電体、半導体のように、電界や磁界を印加することにより所定の機能を発現する電子セラミックス等の材料が用いられる。
【0003】
このようなMEMSにおいては、機能性膜を精細にパターン形成することが重要である。しかしながら、従来においては、膜厚が5μm程度又はそれ以上の機能性膜に対して、精細にパターン形成できる適切な方法や、それに用いられる適切な材料はあまりなかった。例えば、エッチング法やイオンビーム法は、基板や周辺の素子にダメージを与えたり、プロセス時間が長い、製造コストが高いといったデメリットがあるので、機能性膜のパターン形成に適用するのはあまり実用的でない。また、リフトオフ法は、エッチング法に比較して材料依存度が少ないという点で汎用性は高いが、リフトオフ法において犠牲層として一般的に用いられるフォトレジストは、150℃程度で変形したり焦げ付いてしまうので、プロセス温度(成膜温度)がそれ以上になる場合には適用することができない。
【0004】
リフトオフ法においては、犠牲層として、レジスト以外にも、酸化シリコン(SiO2)や、ポリシリコンや、アルミニウム(Al)等が用いられ、その場合には、成膜温度に対する制約は緩和される。しかしながら、酸化シリコンを除去する際に用いられるフッ酸(フッ化水素酸)や、アルミニウムを除去する際に用いられる酸又はアルカリ溶液は、機能性膜にダメージを与えるおそれがある。また、ポリシリコンを除去する際に用いられるフッ化キセノン(XeF2)ガスは高価なので、製造コストが上昇してしまう。さらに、機能性膜が犠牲層よりも厚い場合には、エッチング液(エッチャント)の浸透が機能性膜に阻まれて犠牲層まで到達し難くなるので、犠牲層を除去するのが困難になる。
【0005】
関連する技術として、特許文献1には、シリコン層に所望の機能性膜よりも深い溝状または間隙状のパターンを刻設して型を形成する工程と、少なくとも上記型のパターンの溝または間隙に、上記シリコン層よりも薄い層厚に機能性材料を堆積させる工程と、上記型を除去して機能性膜のパターンを得る工程とを含む微細装置の製造方法が開示されている。即ち、特許文献1においては、犠牲層(Si層)の厚さを機能性膜(PZT層)よりも若干厚くすることにより、それらの段差によって形成される隙間を通じて、エッチングガスによる犠牲層の選択的なエッチングを進行させている(段落番号0027)。
【0006】
しかしながら、犠牲層を厚くすると、犠牲層の応力によって機能性膜が影響を受けるおそれがある。また、犠牲層の形成及び除去プロセスに長時間を要するようになるので、製造コストが増加してしまう。さらに、特許文献1においては、犠牲層として、耐熱性に乏しいフォトレジスト及び有機化合物フィルムを使用するので、機能性膜を形成する温度を低く抑えなければならないという制約がある。また、犠牲層としてシリコンが使用されているので、フッ化キセノン等の高価なエッチングガスが必要となり、製造コストが増加する。
【0007】
一方、特許文献2には、CMOS回路がダメージを受けて特性劣化することなく、エアーギャップの音響絶縁構造を形成するために、犠牲層の材料としてゲルマニウム(Ge)を用いること、及び、これを除去するために過酸化水素水(H2O2)を用いてエッチングすることを基本とした工程によって半導体集積回路上にエアーギャップ音響絶縁構造を有する圧電薄膜共振子を形成することが開示されている。しかしながら、ゲルマニウムを犠牲層として使う場合には、エッチャントの犠牲層への到達を確保するために、基板上に段差を形成する等の工程が必要となる。
【特許文献1】特開2001−347499号公報
【特許文献2】特開2004−282514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を解決し、高温プロセスを用いて機能性膜を形成することが可能であり、汎用性が高く、簡易で実用的な機能性膜のパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る機能性膜のパターン形成方法は、電界又は磁界を印加することにより所定の機能を発現する機能性材料によって構成される機能性膜のパターンを形成する方法であって、特定のエッチング液により選択的にエッチングされる第1の犠牲層を基板上に直接又は間接的に形成する工程(a)と、熱又は物理的作用力に対する耐性が第1の犠牲層よりも弱い第2の犠牲層を第1の犠牲層上に形成する工程(b)と、第1及び第2の犠牲層が形成された基板上に、機能性材料によって機能性膜を形成する工程(c)と、第2の犠牲層に熱及び/又は物理的作用力を加えて第2の犠牲層を部分的に除去することにより、特定のエッチング液を第1の犠牲層に到達させる通過孔、クラック、又は隙間を形成する工程(d)と、特定のエッチング液を用いて、工程(d)において形成された通過孔、クラック、又は隙間を介して第1の犠牲層をエッチングすることにより、第1の犠牲層と第2の犠牲層及び第2の犠牲層上に形成された機能性膜とを除去する工程(e)とを具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第2の犠牲層に熱又は物理的作用力を加えて第2の犠牲層を部分的に除去することにより特定のエッチング液を第1の犠牲層に到達させる通過孔を形成するので、第1の犠牲層として、特定のエッチング液にはエッチングされるが耐熱性の高い無機材料を用いることができる。従って、高温プロセスを用いて機能性膜を形成することが可能であり、汎用性が高く、簡易で実用的な機能性膜のパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
本発明の各実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法においては、基板上に耐熱性を有する犠牲層が形成され、犠牲層上に機能性膜が形成され、機能性薄膜がリフトオフ法によって加工される。犠牲層は、互いに異なる特性を有する少なくとも第1の犠牲層と第2の犠牲層とを含んでいる。
【0012】
第1の犠牲層は、高温で機能性膜や基板と反応しないように融点が高く、例えば、200℃以上、より好ましくは500℃以上の耐熱性を有する。第1の犠牲層の材料としては、機能性薄膜や基板と比較して第1の犠牲層に対して選択性の高いエッチング液が存在するものが選択される。そのエッチング液は、機能性薄膜や基板に対してほとんど不活性であることが望ましい。例えば、好適な例として、第1の犠牲層と機能性薄膜とに対するエッチング選択比が50対1以上であるエッチング液が使用される。選択比が50対1以上であれば、第1の犠牲層と機能性膜との厚み比が例えば1:2である場合に、エッチングによる機能性膜の膜厚減小を1%以下に抑えることができる。通常の典型的例では、第1の犠牲層と機能性膜との厚み比はこれ以上であるので、選択比が50対1以上であれば充分に機能性膜に対するダメージを抑えられる。好適な例として、第1の犠牲層と機能性薄膜とに対するエッチング選択比が50対1以上であるエッチング液について説明したが、エッチング選択比が10対1以上であるエッチング液を用いても良く、選択比が10対1以上あれば機能性膜に対するダメージを抑えることが可能である。
【0013】
また、第2の犠牲層は、第1の犠牲層と同様に、高温で機能性膜や基板と反応しないように融点が高く、例えば、200℃以上、より好ましくは500℃以上の耐熱性を有するが、熱又は物理的作用力に対する耐性が第1の犠牲層よりも弱い。第2の犠牲層の材料としては、熱又は物理的作用力を加えると、部分剥離を起こしたり貫通孔が形成されることにより、エッチング液を第1の犠牲層まで到達させるものが選択される。
【0014】
以上の条件を満たす材料の例としては、第1の犠牲層の材料として、ゲルマニウム(Ge)が存在し、第2の犠牲層の材料として、カーボン(C)、より好ましくはDLC(ダイアモンドライクカーボン、硬質カーボン)が存在する。ゲルマニウムとDLCは、共に融点が高く、圧電膜等の機能性膜を形成するための高温プロセスに充分に耐えることができる。また、ゲルマニウムには、ゲルマニウムを溶解できる過酸化水素水(H202)というエッチング液が存在し、過酸化水素水は、ほとんどの機能性膜や基板に対して不活性である。
【0015】
DLCは、大気雰囲気中において600℃の高温で熱処理(アニール)されると、ガス化して炭酸ガス(CO2)となり、DLC上に形成された機能性膜を部分的に剥離する。このアニール、及び、アニール後に行われる超音波洗浄や綿棒等による擦りなどの物理的作用により、DLC上に形成された機能性膜が部分的に除去される。アニール及び超音波洗浄後に、機能性膜が形成されている基板をエッチング液である過酸化水素水に入れると、過酸化水素水がDLCの剥離部分から下層に入り込んで、第1の犠牲層であるゲルマニウムの表面に到達し、ゲルマニウムが溶解されて完全に除去される。これにより、第2の犠牲層の残渣及びその上に形成された機能性膜も完全に除去される。
【0016】
また、この効果により、機能性膜の膜厚が犠牲層の膜厚より厚くて通常のリフトオフ法ではパターン加工が困難な場合でも、機能性膜をパターン加工することが可能である。機能性膜の膜厚がさらに厚い場合には、基板に段差を設けて、機能性膜をそれぞれ個別化することにより、リフトオフ・プロセスをより確実に実行して、機能性膜をパターン加工することが可能である。
【0017】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法について説明する。第1の実施形態においては、第1の犠牲層の材料としてゲルマニウムが用いられ、第2の犠牲層の材料としてDLCが用いられる。
【0018】
図1A〜図1Hは、本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。まず、図1Aに示されるように、基板1の上に下部電極層2が形成される。基板1の材料としては、シリコン(Si)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ガリウム砒素(GaAs)、酸化アルミニウム(Al2O3)、ステンレス鋼(SUS)の内の少なくとも1つを含む材料が用いられる。酸化アルミニウム(Al2O3)としてサファイヤが用いられても良い。下部電極層2は、1種類の金属によって形成されても良いし、隣接する層との整合性を高めるために配置される密着層と高い導電率を有する導電層とを含む多層構造として形成されても良い。本実施形態においては、例えば、シリコンの基板1の上に、スパッタ法を用いて、密着層として20nm厚のチタンと導電層として200nm厚のプラチナとにより構成されるTi/Pt下部電極層2が形成される。
【0019】
次に、図1Bに示されるように、下部電極層2が形成された基板1上に、通常のリソグラフィ法によって、所定のパターンを有するレジスト層3が形成される。この工程において、最終的に機能性膜が形成される領域にレジストパターンが設けられる。
【0020】
図1Cに示されるように、下部電極層2及びレジスト層3が形成された基板1上に、例えば、スパッタ法を用いて、ゲルマニウムを材料とする200nm厚の第1の犠牲層4が形成される。ゲルマニウムは、耐熱性に優れ、機能性膜や基板に対して不活性であると共に、後の工程で過酸化水素水(H2O2)をエッチング液として使用した場合に、機能性膜や基板に対して高いエッチング選択比を有する。
【0021】
図1Dに示されるように、第1の犠牲層4の上に、例えば、スパッタ法を用いて、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を材料とする100nm厚の第2の犠牲層5が形成される。DLCは、真空中では耐熱性を有するが、後の工程で大気雰囲気中において高温(600℃)で熱処理(アニール)されると炭酸ガスを生じて、第2の犠牲層5上の機能性膜を部分的に剥離する。
【0022】
第1の犠牲層4及び第2の犠牲層5が形成された基板1は、アセトンに浸され、通常のリフトオフ法により、図1Eに示されるように、レジストパターン上の第1の犠牲層4及び第2の犠牲層5が除去される。その結果、第1の犠牲層4及び第2の犠牲層5がパターニングされ、最終的に機能性膜が形成される領域に、第1の犠牲層4及び第2の犠牲層5に囲まれた開口6が設けられる。
【0023】
図1Fに示されるように、第1の犠牲層4及び第2の犠牲層5がパターニングされた基板1上に、機能性膜7が形成される。機能性膜7は、誘電体、圧電体、磁性体、焦電体、半導体のように、電界又は磁界を印加することにより所定の機能を発現する機能性材料によって構成される。本実施形態においては、スパッタ法を用いて、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を材料とする3μm厚の圧電膜が形成される。機能性膜7としては、PZT以外の圧電体、誘電体、磁性体、焦電体、半導体、又は、超伝導材料を含む膜を形成しても良い。あるいは、スパッタ法の替りに、化学気相成長方法(CVD)や物理的気相成長方法(PVD)等の中から公知の方法を選択して、機能性膜を形成しても良い。公知の方法として、例えば、蒸着法又はMBE法を使用して機能性膜を形成しても良い。機能性膜を形成する際の温度は、約200℃以上、より好ましくは約500℃以上とされる。一般に、CVDによる成膜温度は300℃以上であり、スパッタ法による圧電膜等の成膜温度は500℃以上である。
【0024】
基板1を大気雰囲気中において600℃の温度で1時間アニールして、DLCをガス化して炭酸ガス(CO2)とすることにより、図1Gに示されるように、第2の犠牲層5及び機能性膜7が部分的に剥離される。その後、基板1をアセトンに浸し、超音波洗浄することにより、第2の犠牲層5及び機能性膜7がさらに部分的に剥離される。このようにして、次の工程において第1の犠牲層4をエッチングするエッチング液を第1の犠牲層4に到達させるための通過孔8、クラック、隙間(以下「通過孔8等」とも記載する。)が、この工程において形成される。図2は、図1Gにおける機能性膜を上からみた状態を示す平面図である。基板の下部電極の上に直接形成された機能性膜7が方形に示され、方形の機能性膜7の外側で、犠牲層の上に形成された機能性膜に、通過孔8、クラック、隙間が形成されている。
【0025】
次に、基板1を過酸化水素水のエッチング液に浸すことにより、第2の犠牲層5及び機能性膜7内に形成された通過孔8等を通して、過酸化水素水のエッチング液がゲルマニウムの第1の犠牲層4に到達し、第1の犠牲層4がエッチング液によってエッチングされる。この時のエッチング選択比はゲルマニウム100:PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)1以上でありPZTにダメージはなかった。その結果、図1Hに示されるように、第1の犠牲層4と、第1の犠牲層4上にある第2の犠牲層5及び機能性膜7の残渣が除去され、機能性膜7の所望のパターンが形成される。
【0026】
以上において、第1の犠牲層4の材料としてゲルマニウムを用いる場合について説明したが、第1の犠牲層4の材料としてゲルマニウムの替りに金(Au)を用いても良い。金の融点は約1064℃であるので、機能性膜を形成するためのほとんどの高温プロセスに十分に耐えることができる。さらに、金には、ほとんどの機能性材料や基板材料に対して不活性なエッチング液、又は、エッチング選択性が高いエッチング液(例えば、エッチング選択比が50対1以上)が存在する。具体的には、5重量%のヨウ素(I2)と、10重量%のヨウ化カリウム(KI)とを、85重量%の水(H2O)に溶解させたエッチング液は、PZTやシリコンに対して不活性である。また他に第1の犠牲層4の材料として、タングステン(W)も融点が高く(3422℃)、ゲルマニウムと同様、過酸化水素にエッチングされるので、用いることができる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法について説明する。第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法は、第1の実施形態におけるよりも機能性膜を更に厚くする場合により適している。なお、第2の実施形態において用いられる基板、第1及び第2の犠牲層、機能性膜の材料や、エッチング液の種類については、第1の実施形態におけるものと同様である。
【0028】
図3A〜図3Gは、本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための図である。まず、図3Aに示すように、基板21上にフォトリソグラフィ法によってレジスト層22が形成され、基板21上の所定の領域にレジストパターンが設けられる。基板21としては、シリコンウエハが用いられる。次に、基板21に対して異方性ドライエッチングが施され、その後、アセトン等によりレジスト層22が除去される。それにより、図3Bに示すように、基板21に凹凸パターンが形成される。
【0029】
本実施形態においては、凹凸パターンの内の凹部21aに機能性膜が形成される。なお、基板21の凹部21aはボッシュ法によって形成されても良く、その深さは、例えば、約15μmである。ここで、ボッシュ法とは、側壁をコーティングしながら底をエッチングする異方性ドライエッチング法であり、アスペクト比が高いパターンを形成できるという特徴を有している。なお、基板21に凹凸パターンを形成する際には、上記の方法以外にも、アルカリ溶液によるウェットエッチング法等の公知の方法を用いても良い。
【0030】
次に、図3Cに示されるように、公知のリソグラフィ法によって基板21の凹部にレジスト層23が形成された後に、基板の主面上に、第1の犠牲層24及び第2の犠牲層25が形成される。
【0031】
次に、図3Dに示されるように、一般的なリフトオフ法によって、凹部のレジスト層23上に形成された第1の犠牲層24及び第2の犠牲層25が除去され、基板21に形成された凸部パターン上に、第1の犠牲層24及び第2の犠牲層25が残される。
【0032】
次に、図3Eに示されるように、凸部パターン上に第1の犠牲層24及び第2の犠牲層25が残された基板21の主面上に、約500℃の高温の成膜温度で機能性膜26が形成される。
【0033】
図3Fに示されるように、基板21を大気雰囲気中において600℃の温度で1時間アニールして、DLCをガス化して炭酸ガス(CO2)とすることにより、DLCの第2の犠牲層25及びPZTの機能性膜26が部分的に剥離される。その後、基板をアセトンに浸し、超音波洗浄することにより、第2の犠牲層25及び機能性膜26がさらに部分的に剥離される。このようにして、通過孔8が形成される。
【0034】
次に、基板21を過酸化水素水に浸すことにより、第2の犠牲層25及び機能性膜26内に形成された通過孔8を通して、過酸化水素水のエッチング液がゲルマニウムの第1の犠牲層24に到達し、第1の犠牲層24がエッチング液によってエッチングされる。その結果、図3Gに示されるように、第1の犠牲層24と、第1の犠牲層24上にある第2の犠牲層25及び機能性膜26の残渣が除去され、機能性膜26の所望のパターンが形成される。
【0035】
このように、本実施形態によれば、基板に段差(凹凸パターン)を設けて、機能性膜が形成される領域を予め個別化しておくことにより、機能性膜がさらに厚い場合においても、犠牲層及びその上の機能性膜をより確実に剥離することが可能となる。
【0036】
以上説明したように、本発明の第1及び第2の実施形態によれば、高い耐熱性を有する犠牲層が用いられるので、従来のようにレジストを用いる場合には不可能であった温度(200℃以上、望ましくは500℃以上)で機能性膜を形成できるようになる。また、第2の犠牲層に熱及び/又は物理的作用力を加えることにより、第2の犠牲層内に第1の犠牲層に対するエッチング液の通過孔が形成されるので、機能性膜の厚さが犠牲層よりも厚い場合においても、第1及び第2の犠牲層及びその上の機能性膜を、容易且つ綺麗に除去することが可能となる。
【0037】
次に、本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法について説明する。
図4Hは、ダイアフラム(隔膜)型圧電アクチュエータを示す断面図である。ここで、ダイアフラム型圧電アクチュエータとは、下部電極層33と上部電極層39との間に電圧を印加して機能性膜(圧電膜)38を伸縮させることにより、ダイアフラム31b〜33を変位させるアクチュエータのことである。このようなアクチュエータは、マイクロポンプや、超音波トランスデューサや、インクジェットヘッド等に適用される。
【0038】
図4A〜図4Hに示されるように、ダイアフラム型圧電アクチュエータは、次のようにして製造される。まず、図4Aに示されるように、基板31が用意される。本実施形態においては、基板31として、厚さが0.4mmの支持層31aと、酸化シリコン層31bと、厚さが10μmの活性層31cとを含み、直径が4インチのSOIウエハが用いられる。そして、基板31を電気炉において熱処理することにより、活性層31c上に0.5μm厚の熱酸化膜32が形成される。
【0039】
次に、図4Bに示されるように、ボッシュ法等の異方性ドライエッチングにより、支持層31aに、開口部31dが形成される。
さらに、図4Cに示されるように、基板31に形成された熱酸化膜32の上に、下部電極層33が形成される。下部電極層33は、1種類の金属によって形成されていても良いし、隣接する層との接合性を高めるために配置される密着層と高い導電率を有する導電層とを含む2層構造としても良い。本実施形態において、下部電極層33は、密着層として10nm厚のチタン(Ti)層と、導電層として100nm厚の白金(Pt)層とを含んでいる。
【0040】
図4Dに示されるように、通常のリソグラフィ法によってレジスト層34が形成され、レジストパターンが設けられる。次に、レジストパターンが設けられた基板上に、例えば、スパッタ法を用いて、ゲルマニウム(Ge)を材料とする200nm厚の第1の犠牲層35が形成される。その後、第1の犠牲層35上に、例えば、スパッタ法を用いて、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を材料とする100nm厚の第2の犠牲層36が形成される。
【0041】
第1の犠牲層35及び第2の犠牲層36が形成された基板31は、アセトンに浸され、通常のリフトオフ法により、図4Eに示されるように、レジストパターン上の第1の犠牲層35及び第2の犠牲層36が除去される。その結果、最終的に機能性膜が形成される領域に、第1の犠牲層35及び第2の犠牲層36に囲まれた開口37が設けられる。
【0042】
図4Fに示されるように、機能性膜38が形成される。本実施形態においては、スパッタ法を用いて、機能性膜38として、3μm厚のPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を材料とする圧電膜が形成される。スパッタ法の替りに、化学気相成長方法(CVD)や物理的気相成長方法(PVD)等の中から公知の方法を選択して、機能性膜を形成するようにしても良い。
【0043】
図4Gに示されるように、基板31を大気雰囲気中において600℃の温度で1時間アニールして、DLCをガス化して炭酸ガスとすることにより、第2の犠牲層36及び機能性膜38が部分的に剥離される。その後、基板31をアセトンに浸し、超音波洗浄することにより、第2の犠牲層36及び機能性膜38がさらに部分的に剥離される。次の工程においてゲルマニウム(Ge)をエッチングする過酸化水素水エッチング液をゲルマニウム(Ge)第1の犠牲層に到達させるための通過孔8が、この工程において形成される。
【0044】
次に、基板31を過酸化水素水に浸すことにより、第2の犠牲層36及び機能性膜38内に形成された通過孔8等を通して、過酸化水素水のエッチング液がゲルマニウムの第1の犠牲層35に到達し、第1の犠牲層35がエッチング液によってエッチングされる。その結果、図4Hに示されるように、第1の犠牲層35と、第1の犠牲層35上にある第2の犠牲層36及び機能性膜38の残渣が除去されて、機能性膜(PZTの圧電膜)38の所望のパターンが形成される。
【0045】
そのように形成された機能性膜38のパターン上に、上部電極層39が形成される。即ち、フォトリソグラフィ法によって上部電極層39のレジストパターンが形成され、スパッタ法により20nm厚のチタン層及び150nm厚の白金層が形成される。さらに、アセトンによってレジストパターンが除去される。それにより、ダイアフラム型圧電アクチュエータが完成する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、微小電気機械システム等の微細な機器において用いられる機能性膜のパターン形成において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1A】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1B】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1C】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1D】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1E】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1F】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1G】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1H】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図2】図1Gにおける機能性膜を上から見た状態を示す平面図である。
【図3A】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3B】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3C】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3D】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3E】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3F】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3G】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図4A】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4B】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4C】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4D】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4E】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4F】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4G】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4H】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1、21、31 基板
2、33 下部電極層
3、22、23、34 レジスト層
4、24,35 第1の犠牲層
5、25、36 第2の犠牲層
6、37 開口
7、26、38 機能性膜
8 通過孔
21a 凹部
31a 支持層
31b 酸化シリコン層
31c 活性層
31d 開口
32 熱酸化膜
39 上部電極層
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小電気機械システム(MEMS:micro electrical mechanical system)等の微細な機器において用いられる機能性膜のパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造プロセスを応用した微小電気機械システム(MEMS:micro electrical mechanical system)の研究開発が盛んに行われている。その中でも、機能性膜として圧電膜を用いる圧電MEMSは、高出力のアクチュエータとして注目されており、マイクロポンプ、マイクロカンチレバー、微小超音波トランスデューサ等に利用されている。ここで、機能性膜とは、積層コンデンサにおける誘電体膜や、圧電アクチュエータにおける圧電膜のように、素子の機能を発揮させる主要部分(通常、電極に挟まれた層)のことである。また、機能性膜を構成する機能性材料としては、誘電体、圧電体、磁性体、焦電体、半導体のように、電界や磁界を印加することにより所定の機能を発現する電子セラミックス等の材料が用いられる。
【0003】
このようなMEMSにおいては、機能性膜を精細にパターン形成することが重要である。しかしながら、従来においては、膜厚が5μm程度又はそれ以上の機能性膜に対して、精細にパターン形成できる適切な方法や、それに用いられる適切な材料はあまりなかった。例えば、エッチング法やイオンビーム法は、基板や周辺の素子にダメージを与えたり、プロセス時間が長い、製造コストが高いといったデメリットがあるので、機能性膜のパターン形成に適用するのはあまり実用的でない。また、リフトオフ法は、エッチング法に比較して材料依存度が少ないという点で汎用性は高いが、リフトオフ法において犠牲層として一般的に用いられるフォトレジストは、150℃程度で変形したり焦げ付いてしまうので、プロセス温度(成膜温度)がそれ以上になる場合には適用することができない。
【0004】
リフトオフ法においては、犠牲層として、レジスト以外にも、酸化シリコン(SiO2)や、ポリシリコンや、アルミニウム(Al)等が用いられ、その場合には、成膜温度に対する制約は緩和される。しかしながら、酸化シリコンを除去する際に用いられるフッ酸(フッ化水素酸)や、アルミニウムを除去する際に用いられる酸又はアルカリ溶液は、機能性膜にダメージを与えるおそれがある。また、ポリシリコンを除去する際に用いられるフッ化キセノン(XeF2)ガスは高価なので、製造コストが上昇してしまう。さらに、機能性膜が犠牲層よりも厚い場合には、エッチング液(エッチャント)の浸透が機能性膜に阻まれて犠牲層まで到達し難くなるので、犠牲層を除去するのが困難になる。
【0005】
関連する技術として、特許文献1には、シリコン層に所望の機能性膜よりも深い溝状または間隙状のパターンを刻設して型を形成する工程と、少なくとも上記型のパターンの溝または間隙に、上記シリコン層よりも薄い層厚に機能性材料を堆積させる工程と、上記型を除去して機能性膜のパターンを得る工程とを含む微細装置の製造方法が開示されている。即ち、特許文献1においては、犠牲層(Si層)の厚さを機能性膜(PZT層)よりも若干厚くすることにより、それらの段差によって形成される隙間を通じて、エッチングガスによる犠牲層の選択的なエッチングを進行させている(段落番号0027)。
【0006】
しかしながら、犠牲層を厚くすると、犠牲層の応力によって機能性膜が影響を受けるおそれがある。また、犠牲層の形成及び除去プロセスに長時間を要するようになるので、製造コストが増加してしまう。さらに、特許文献1においては、犠牲層として、耐熱性に乏しいフォトレジスト及び有機化合物フィルムを使用するので、機能性膜を形成する温度を低く抑えなければならないという制約がある。また、犠牲層としてシリコンが使用されているので、フッ化キセノン等の高価なエッチングガスが必要となり、製造コストが増加する。
【0007】
一方、特許文献2には、CMOS回路がダメージを受けて特性劣化することなく、エアーギャップの音響絶縁構造を形成するために、犠牲層の材料としてゲルマニウム(Ge)を用いること、及び、これを除去するために過酸化水素水(H2O2)を用いてエッチングすることを基本とした工程によって半導体集積回路上にエアーギャップ音響絶縁構造を有する圧電薄膜共振子を形成することが開示されている。しかしながら、ゲルマニウムを犠牲層として使う場合には、エッチャントの犠牲層への到達を確保するために、基板上に段差を形成する等の工程が必要となる。
【特許文献1】特開2001−347499号公報
【特許文献2】特開2004−282514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を解決し、高温プロセスを用いて機能性膜を形成することが可能であり、汎用性が高く、簡易で実用的な機能性膜のパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る機能性膜のパターン形成方法は、電界又は磁界を印加することにより所定の機能を発現する機能性材料によって構成される機能性膜のパターンを形成する方法であって、特定のエッチング液により選択的にエッチングされる第1の犠牲層を基板上に直接又は間接的に形成する工程(a)と、熱又は物理的作用力に対する耐性が第1の犠牲層よりも弱い第2の犠牲層を第1の犠牲層上に形成する工程(b)と、第1及び第2の犠牲層が形成された基板上に、機能性材料によって機能性膜を形成する工程(c)と、第2の犠牲層に熱及び/又は物理的作用力を加えて第2の犠牲層を部分的に除去することにより、特定のエッチング液を第1の犠牲層に到達させる通過孔、クラック、又は隙間を形成する工程(d)と、特定のエッチング液を用いて、工程(d)において形成された通過孔、クラック、又は隙間を介して第1の犠牲層をエッチングすることにより、第1の犠牲層と第2の犠牲層及び第2の犠牲層上に形成された機能性膜とを除去する工程(e)とを具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第2の犠牲層に熱又は物理的作用力を加えて第2の犠牲層を部分的に除去することにより特定のエッチング液を第1の犠牲層に到達させる通過孔を形成するので、第1の犠牲層として、特定のエッチング液にはエッチングされるが耐熱性の高い無機材料を用いることができる。従って、高温プロセスを用いて機能性膜を形成することが可能であり、汎用性が高く、簡易で実用的な機能性膜のパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
本発明の各実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法においては、基板上に耐熱性を有する犠牲層が形成され、犠牲層上に機能性膜が形成され、機能性薄膜がリフトオフ法によって加工される。犠牲層は、互いに異なる特性を有する少なくとも第1の犠牲層と第2の犠牲層とを含んでいる。
【0012】
第1の犠牲層は、高温で機能性膜や基板と反応しないように融点が高く、例えば、200℃以上、より好ましくは500℃以上の耐熱性を有する。第1の犠牲層の材料としては、機能性薄膜や基板と比較して第1の犠牲層に対して選択性の高いエッチング液が存在するものが選択される。そのエッチング液は、機能性薄膜や基板に対してほとんど不活性であることが望ましい。例えば、好適な例として、第1の犠牲層と機能性薄膜とに対するエッチング選択比が50対1以上であるエッチング液が使用される。選択比が50対1以上であれば、第1の犠牲層と機能性膜との厚み比が例えば1:2である場合に、エッチングによる機能性膜の膜厚減小を1%以下に抑えることができる。通常の典型的例では、第1の犠牲層と機能性膜との厚み比はこれ以上であるので、選択比が50対1以上であれば充分に機能性膜に対するダメージを抑えられる。好適な例として、第1の犠牲層と機能性薄膜とに対するエッチング選択比が50対1以上であるエッチング液について説明したが、エッチング選択比が10対1以上であるエッチング液を用いても良く、選択比が10対1以上あれば機能性膜に対するダメージを抑えることが可能である。
【0013】
また、第2の犠牲層は、第1の犠牲層と同様に、高温で機能性膜や基板と反応しないように融点が高く、例えば、200℃以上、より好ましくは500℃以上の耐熱性を有するが、熱又は物理的作用力に対する耐性が第1の犠牲層よりも弱い。第2の犠牲層の材料としては、熱又は物理的作用力を加えると、部分剥離を起こしたり貫通孔が形成されることにより、エッチング液を第1の犠牲層まで到達させるものが選択される。
【0014】
以上の条件を満たす材料の例としては、第1の犠牲層の材料として、ゲルマニウム(Ge)が存在し、第2の犠牲層の材料として、カーボン(C)、より好ましくはDLC(ダイアモンドライクカーボン、硬質カーボン)が存在する。ゲルマニウムとDLCは、共に融点が高く、圧電膜等の機能性膜を形成するための高温プロセスに充分に耐えることができる。また、ゲルマニウムには、ゲルマニウムを溶解できる過酸化水素水(H202)というエッチング液が存在し、過酸化水素水は、ほとんどの機能性膜や基板に対して不活性である。
【0015】
DLCは、大気雰囲気中において600℃の高温で熱処理(アニール)されると、ガス化して炭酸ガス(CO2)となり、DLC上に形成された機能性膜を部分的に剥離する。このアニール、及び、アニール後に行われる超音波洗浄や綿棒等による擦りなどの物理的作用により、DLC上に形成された機能性膜が部分的に除去される。アニール及び超音波洗浄後に、機能性膜が形成されている基板をエッチング液である過酸化水素水に入れると、過酸化水素水がDLCの剥離部分から下層に入り込んで、第1の犠牲層であるゲルマニウムの表面に到達し、ゲルマニウムが溶解されて完全に除去される。これにより、第2の犠牲層の残渣及びその上に形成された機能性膜も完全に除去される。
【0016】
また、この効果により、機能性膜の膜厚が犠牲層の膜厚より厚くて通常のリフトオフ法ではパターン加工が困難な場合でも、機能性膜をパターン加工することが可能である。機能性膜の膜厚がさらに厚い場合には、基板に段差を設けて、機能性膜をそれぞれ個別化することにより、リフトオフ・プロセスをより確実に実行して、機能性膜をパターン加工することが可能である。
【0017】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法について説明する。第1の実施形態においては、第1の犠牲層の材料としてゲルマニウムが用いられ、第2の犠牲層の材料としてDLCが用いられる。
【0018】
図1A〜図1Hは、本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。まず、図1Aに示されるように、基板1の上に下部電極層2が形成される。基板1の材料としては、シリコン(Si)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ガリウム砒素(GaAs)、酸化アルミニウム(Al2O3)、ステンレス鋼(SUS)の内の少なくとも1つを含む材料が用いられる。酸化アルミニウム(Al2O3)としてサファイヤが用いられても良い。下部電極層2は、1種類の金属によって形成されても良いし、隣接する層との整合性を高めるために配置される密着層と高い導電率を有する導電層とを含む多層構造として形成されても良い。本実施形態においては、例えば、シリコンの基板1の上に、スパッタ法を用いて、密着層として20nm厚のチタンと導電層として200nm厚のプラチナとにより構成されるTi/Pt下部電極層2が形成される。
【0019】
次に、図1Bに示されるように、下部電極層2が形成された基板1上に、通常のリソグラフィ法によって、所定のパターンを有するレジスト層3が形成される。この工程において、最終的に機能性膜が形成される領域にレジストパターンが設けられる。
【0020】
図1Cに示されるように、下部電極層2及びレジスト層3が形成された基板1上に、例えば、スパッタ法を用いて、ゲルマニウムを材料とする200nm厚の第1の犠牲層4が形成される。ゲルマニウムは、耐熱性に優れ、機能性膜や基板に対して不活性であると共に、後の工程で過酸化水素水(H2O2)をエッチング液として使用した場合に、機能性膜や基板に対して高いエッチング選択比を有する。
【0021】
図1Dに示されるように、第1の犠牲層4の上に、例えば、スパッタ法を用いて、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を材料とする100nm厚の第2の犠牲層5が形成される。DLCは、真空中では耐熱性を有するが、後の工程で大気雰囲気中において高温(600℃)で熱処理(アニール)されると炭酸ガスを生じて、第2の犠牲層5上の機能性膜を部分的に剥離する。
【0022】
第1の犠牲層4及び第2の犠牲層5が形成された基板1は、アセトンに浸され、通常のリフトオフ法により、図1Eに示されるように、レジストパターン上の第1の犠牲層4及び第2の犠牲層5が除去される。その結果、第1の犠牲層4及び第2の犠牲層5がパターニングされ、最終的に機能性膜が形成される領域に、第1の犠牲層4及び第2の犠牲層5に囲まれた開口6が設けられる。
【0023】
図1Fに示されるように、第1の犠牲層4及び第2の犠牲層5がパターニングされた基板1上に、機能性膜7が形成される。機能性膜7は、誘電体、圧電体、磁性体、焦電体、半導体のように、電界又は磁界を印加することにより所定の機能を発現する機能性材料によって構成される。本実施形態においては、スパッタ法を用いて、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を材料とする3μm厚の圧電膜が形成される。機能性膜7としては、PZT以外の圧電体、誘電体、磁性体、焦電体、半導体、又は、超伝導材料を含む膜を形成しても良い。あるいは、スパッタ法の替りに、化学気相成長方法(CVD)や物理的気相成長方法(PVD)等の中から公知の方法を選択して、機能性膜を形成しても良い。公知の方法として、例えば、蒸着法又はMBE法を使用して機能性膜を形成しても良い。機能性膜を形成する際の温度は、約200℃以上、より好ましくは約500℃以上とされる。一般に、CVDによる成膜温度は300℃以上であり、スパッタ法による圧電膜等の成膜温度は500℃以上である。
【0024】
基板1を大気雰囲気中において600℃の温度で1時間アニールして、DLCをガス化して炭酸ガス(CO2)とすることにより、図1Gに示されるように、第2の犠牲層5及び機能性膜7が部分的に剥離される。その後、基板1をアセトンに浸し、超音波洗浄することにより、第2の犠牲層5及び機能性膜7がさらに部分的に剥離される。このようにして、次の工程において第1の犠牲層4をエッチングするエッチング液を第1の犠牲層4に到達させるための通過孔8、クラック、隙間(以下「通過孔8等」とも記載する。)が、この工程において形成される。図2は、図1Gにおける機能性膜を上からみた状態を示す平面図である。基板の下部電極の上に直接形成された機能性膜7が方形に示され、方形の機能性膜7の外側で、犠牲層の上に形成された機能性膜に、通過孔8、クラック、隙間が形成されている。
【0025】
次に、基板1を過酸化水素水のエッチング液に浸すことにより、第2の犠牲層5及び機能性膜7内に形成された通過孔8等を通して、過酸化水素水のエッチング液がゲルマニウムの第1の犠牲層4に到達し、第1の犠牲層4がエッチング液によってエッチングされる。この時のエッチング選択比はゲルマニウム100:PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)1以上でありPZTにダメージはなかった。その結果、図1Hに示されるように、第1の犠牲層4と、第1の犠牲層4上にある第2の犠牲層5及び機能性膜7の残渣が除去され、機能性膜7の所望のパターンが形成される。
【0026】
以上において、第1の犠牲層4の材料としてゲルマニウムを用いる場合について説明したが、第1の犠牲層4の材料としてゲルマニウムの替りに金(Au)を用いても良い。金の融点は約1064℃であるので、機能性膜を形成するためのほとんどの高温プロセスに十分に耐えることができる。さらに、金には、ほとんどの機能性材料や基板材料に対して不活性なエッチング液、又は、エッチング選択性が高いエッチング液(例えば、エッチング選択比が50対1以上)が存在する。具体的には、5重量%のヨウ素(I2)と、10重量%のヨウ化カリウム(KI)とを、85重量%の水(H2O)に溶解させたエッチング液は、PZTやシリコンに対して不活性である。また他に第1の犠牲層4の材料として、タングステン(W)も融点が高く(3422℃)、ゲルマニウムと同様、過酸化水素にエッチングされるので、用いることができる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法について説明する。第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法は、第1の実施形態におけるよりも機能性膜を更に厚くする場合により適している。なお、第2の実施形態において用いられる基板、第1及び第2の犠牲層、機能性膜の材料や、エッチング液の種類については、第1の実施形態におけるものと同様である。
【0028】
図3A〜図3Gは、本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための図である。まず、図3Aに示すように、基板21上にフォトリソグラフィ法によってレジスト層22が形成され、基板21上の所定の領域にレジストパターンが設けられる。基板21としては、シリコンウエハが用いられる。次に、基板21に対して異方性ドライエッチングが施され、その後、アセトン等によりレジスト層22が除去される。それにより、図3Bに示すように、基板21に凹凸パターンが形成される。
【0029】
本実施形態においては、凹凸パターンの内の凹部21aに機能性膜が形成される。なお、基板21の凹部21aはボッシュ法によって形成されても良く、その深さは、例えば、約15μmである。ここで、ボッシュ法とは、側壁をコーティングしながら底をエッチングする異方性ドライエッチング法であり、アスペクト比が高いパターンを形成できるという特徴を有している。なお、基板21に凹凸パターンを形成する際には、上記の方法以外にも、アルカリ溶液によるウェットエッチング法等の公知の方法を用いても良い。
【0030】
次に、図3Cに示されるように、公知のリソグラフィ法によって基板21の凹部にレジスト層23が形成された後に、基板の主面上に、第1の犠牲層24及び第2の犠牲層25が形成される。
【0031】
次に、図3Dに示されるように、一般的なリフトオフ法によって、凹部のレジスト層23上に形成された第1の犠牲層24及び第2の犠牲層25が除去され、基板21に形成された凸部パターン上に、第1の犠牲層24及び第2の犠牲層25が残される。
【0032】
次に、図3Eに示されるように、凸部パターン上に第1の犠牲層24及び第2の犠牲層25が残された基板21の主面上に、約500℃の高温の成膜温度で機能性膜26が形成される。
【0033】
図3Fに示されるように、基板21を大気雰囲気中において600℃の温度で1時間アニールして、DLCをガス化して炭酸ガス(CO2)とすることにより、DLCの第2の犠牲層25及びPZTの機能性膜26が部分的に剥離される。その後、基板をアセトンに浸し、超音波洗浄することにより、第2の犠牲層25及び機能性膜26がさらに部分的に剥離される。このようにして、通過孔8が形成される。
【0034】
次に、基板21を過酸化水素水に浸すことにより、第2の犠牲層25及び機能性膜26内に形成された通過孔8を通して、過酸化水素水のエッチング液がゲルマニウムの第1の犠牲層24に到達し、第1の犠牲層24がエッチング液によってエッチングされる。その結果、図3Gに示されるように、第1の犠牲層24と、第1の犠牲層24上にある第2の犠牲層25及び機能性膜26の残渣が除去され、機能性膜26の所望のパターンが形成される。
【0035】
このように、本実施形態によれば、基板に段差(凹凸パターン)を設けて、機能性膜が形成される領域を予め個別化しておくことにより、機能性膜がさらに厚い場合においても、犠牲層及びその上の機能性膜をより確実に剥離することが可能となる。
【0036】
以上説明したように、本発明の第1及び第2の実施形態によれば、高い耐熱性を有する犠牲層が用いられるので、従来のようにレジストを用いる場合には不可能であった温度(200℃以上、望ましくは500℃以上)で機能性膜を形成できるようになる。また、第2の犠牲層に熱及び/又は物理的作用力を加えることにより、第2の犠牲層内に第1の犠牲層に対するエッチング液の通過孔が形成されるので、機能性膜の厚さが犠牲層よりも厚い場合においても、第1及び第2の犠牲層及びその上の機能性膜を、容易且つ綺麗に除去することが可能となる。
【0037】
次に、本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法について説明する。
図4Hは、ダイアフラム(隔膜)型圧電アクチュエータを示す断面図である。ここで、ダイアフラム型圧電アクチュエータとは、下部電極層33と上部電極層39との間に電圧を印加して機能性膜(圧電膜)38を伸縮させることにより、ダイアフラム31b〜33を変位させるアクチュエータのことである。このようなアクチュエータは、マイクロポンプや、超音波トランスデューサや、インクジェットヘッド等に適用される。
【0038】
図4A〜図4Hに示されるように、ダイアフラム型圧電アクチュエータは、次のようにして製造される。まず、図4Aに示されるように、基板31が用意される。本実施形態においては、基板31として、厚さが0.4mmの支持層31aと、酸化シリコン層31bと、厚さが10μmの活性層31cとを含み、直径が4インチのSOIウエハが用いられる。そして、基板31を電気炉において熱処理することにより、活性層31c上に0.5μm厚の熱酸化膜32が形成される。
【0039】
次に、図4Bに示されるように、ボッシュ法等の異方性ドライエッチングにより、支持層31aに、開口部31dが形成される。
さらに、図4Cに示されるように、基板31に形成された熱酸化膜32の上に、下部電極層33が形成される。下部電極層33は、1種類の金属によって形成されていても良いし、隣接する層との接合性を高めるために配置される密着層と高い導電率を有する導電層とを含む2層構造としても良い。本実施形態において、下部電極層33は、密着層として10nm厚のチタン(Ti)層と、導電層として100nm厚の白金(Pt)層とを含んでいる。
【0040】
図4Dに示されるように、通常のリソグラフィ法によってレジスト層34が形成され、レジストパターンが設けられる。次に、レジストパターンが設けられた基板上に、例えば、スパッタ法を用いて、ゲルマニウム(Ge)を材料とする200nm厚の第1の犠牲層35が形成される。その後、第1の犠牲層35上に、例えば、スパッタ法を用いて、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を材料とする100nm厚の第2の犠牲層36が形成される。
【0041】
第1の犠牲層35及び第2の犠牲層36が形成された基板31は、アセトンに浸され、通常のリフトオフ法により、図4Eに示されるように、レジストパターン上の第1の犠牲層35及び第2の犠牲層36が除去される。その結果、最終的に機能性膜が形成される領域に、第1の犠牲層35及び第2の犠牲層36に囲まれた開口37が設けられる。
【0042】
図4Fに示されるように、機能性膜38が形成される。本実施形態においては、スパッタ法を用いて、機能性膜38として、3μm厚のPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を材料とする圧電膜が形成される。スパッタ法の替りに、化学気相成長方法(CVD)や物理的気相成長方法(PVD)等の中から公知の方法を選択して、機能性膜を形成するようにしても良い。
【0043】
図4Gに示されるように、基板31を大気雰囲気中において600℃の温度で1時間アニールして、DLCをガス化して炭酸ガスとすることにより、第2の犠牲層36及び機能性膜38が部分的に剥離される。その後、基板31をアセトンに浸し、超音波洗浄することにより、第2の犠牲層36及び機能性膜38がさらに部分的に剥離される。次の工程においてゲルマニウム(Ge)をエッチングする過酸化水素水エッチング液をゲルマニウム(Ge)第1の犠牲層に到達させるための通過孔8が、この工程において形成される。
【0044】
次に、基板31を過酸化水素水に浸すことにより、第2の犠牲層36及び機能性膜38内に形成された通過孔8等を通して、過酸化水素水のエッチング液がゲルマニウムの第1の犠牲層35に到達し、第1の犠牲層35がエッチング液によってエッチングされる。その結果、図4Hに示されるように、第1の犠牲層35と、第1の犠牲層35上にある第2の犠牲層36及び機能性膜38の残渣が除去されて、機能性膜(PZTの圧電膜)38の所望のパターンが形成される。
【0045】
そのように形成された機能性膜38のパターン上に、上部電極層39が形成される。即ち、フォトリソグラフィ法によって上部電極層39のレジストパターンが形成され、スパッタ法により20nm厚のチタン層及び150nm厚の白金層が形成される。さらに、アセトンによってレジストパターンが除去される。それにより、ダイアフラム型圧電アクチュエータが完成する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、微小電気機械システム等の微細な機器において用いられる機能性膜のパターン形成において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1A】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1B】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1C】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1D】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1E】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1F】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1G】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図1H】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図2】図1Gにおける機能性膜を上から見た状態を示す平面図である。
【図3A】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3B】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3C】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3D】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3E】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3F】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3G】本発明の第2の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図4A】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4B】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4C】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4D】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4E】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4F】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4G】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【図4H】本発明の第1の実施形態に係る機能性膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1、21、31 基板
2、33 下部電極層
3、22、23、34 レジスト層
4、24,35 第1の犠牲層
5、25、36 第2の犠牲層
6、37 開口
7、26、38 機能性膜
8 通過孔
21a 凹部
31a 支持層
31b 酸化シリコン層
31c 活性層
31d 開口
32 熱酸化膜
39 上部電極層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界又は磁界を印加することにより所定の機能を発現する機能性材料によって構成される機能性膜のパターンを形成する方法において、
特定のエッチング液により選択的にエッチングされる第1の犠牲層を基板上に直接又は間接的に形成する工程(a)と、
熱又は物理的作用力に対する耐性が前記第1の犠牲層よりも弱い第2の犠牲層を前記第1の犠牲層上に形成する工程(b)と、
前記第1及び第2の犠牲層が形成された基板上に、機能性材料によって機能性膜を形成する工程(c)と、
前記第2の犠牲層に熱及び/又は物理的作用力を加えて前記第2の犠牲層を部分的に除去することにより、前記特定のエッチング液を前記第1の犠牲層に到達させる通過孔、クラック、又は隙間を形成する工程(d)と、
前記特定のエッチング液を用いて、工程(d)において形成された通過孔、クラック、又は隙間を介して前記第1の犠牲層をエッチングすることにより、前記第1の犠牲層と前記第2の犠牲層及び前記第2の犠牲層上に形成された前記機能性膜とを除去する工程(e)と、
を具備する機能性膜のパターン形成方法。
【請求項2】
工程(c)が、200℃以上の成膜温度で前記機能性膜を形成することを含む、請求項1記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項3】
工程(c)が、前記第1の犠牲層と前記第2の犠牲層とを足した厚みよりも厚くなるように前記機能性膜を形成することを含む、請求項1又は2記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項4】
工程(c)が、蒸着法、MBE法、スパッタ法、化学気相成長法(CVD)、又は、物理気相成長法(PVD)により前記機能性膜を形成することを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項5】
工程(e)が、前記基板及び前記機能性膜に対して不活性なエッチング液、又は、前記第1の犠牲層と前記機能性膜とに対するエッチング選択比が10対1以上であるエッチング液を用いて、前記第1の犠牲層をウェットエッチングすることを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項6】
前記第1の犠牲層が、ゲルマニウム(Ge)を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項7】
前記第1の犠牲層が、金(Au)を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項8】
前記第2の犠牲層が、カーボン(C)を含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項9】
前記第2の犠牲層が、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含む、請求項8記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項10】
工程(d)が、前記第2の犠牲層に対して超音波洗浄を施し、及び/又は、磁場を印加することを含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項11】
前記基板が、シリコン(Si)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ガリウム砒素(GaAS)、酸化アルミニウム(Al2O3)、及び、ステンレス鋼の内の少なくとも1つを含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項1】
電界又は磁界を印加することにより所定の機能を発現する機能性材料によって構成される機能性膜のパターンを形成する方法において、
特定のエッチング液により選択的にエッチングされる第1の犠牲層を基板上に直接又は間接的に形成する工程(a)と、
熱又は物理的作用力に対する耐性が前記第1の犠牲層よりも弱い第2の犠牲層を前記第1の犠牲層上に形成する工程(b)と、
前記第1及び第2の犠牲層が形成された基板上に、機能性材料によって機能性膜を形成する工程(c)と、
前記第2の犠牲層に熱及び/又は物理的作用力を加えて前記第2の犠牲層を部分的に除去することにより、前記特定のエッチング液を前記第1の犠牲層に到達させる通過孔、クラック、又は隙間を形成する工程(d)と、
前記特定のエッチング液を用いて、工程(d)において形成された通過孔、クラック、又は隙間を介して前記第1の犠牲層をエッチングすることにより、前記第1の犠牲層と前記第2の犠牲層及び前記第2の犠牲層上に形成された前記機能性膜とを除去する工程(e)と、
を具備する機能性膜のパターン形成方法。
【請求項2】
工程(c)が、200℃以上の成膜温度で前記機能性膜を形成することを含む、請求項1記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項3】
工程(c)が、前記第1の犠牲層と前記第2の犠牲層とを足した厚みよりも厚くなるように前記機能性膜を形成することを含む、請求項1又は2記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項4】
工程(c)が、蒸着法、MBE法、スパッタ法、化学気相成長法(CVD)、又は、物理気相成長法(PVD)により前記機能性膜を形成することを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項5】
工程(e)が、前記基板及び前記機能性膜に対して不活性なエッチング液、又は、前記第1の犠牲層と前記機能性膜とに対するエッチング選択比が10対1以上であるエッチング液を用いて、前記第1の犠牲層をウェットエッチングすることを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項6】
前記第1の犠牲層が、ゲルマニウム(Ge)を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項7】
前記第1の犠牲層が、金(Au)を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項8】
前記第2の犠牲層が、カーボン(C)を含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項9】
前記第2の犠牲層が、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含む、請求項8記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項10】
工程(d)が、前記第2の犠牲層に対して超音波洗浄を施し、及び/又は、磁場を印加することを含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【請求項11】
前記基板が、シリコン(Si)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ガリウム砒素(GaAS)、酸化アルミニウム(Al2O3)、及び、ステンレス鋼の内の少なくとも1つを含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の機能性膜のパターン形成方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【公開番号】特開2009−21518(P2009−21518A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184734(P2007−184734)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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