歯車機構及び画像形成装置
【課題】 駆動歯車から駆動力を受けて回転する従動歯車等において、軸部と軸穴との潤滑性を保持する新規な構成を提供する。
【解決手段】 駆動歯車41から駆動力を受けて従動歯車42が回転するときに軸部42Aと軸穴44Bとが摺接する摺接部44Dに、摺接部44Dを潤滑する潤滑剤が充填される溝部44Eを設ける。これにより、接触面圧が高くなる摺接部44Dに潤滑剤を供給することが可能となり、軸部42Aと軸穴44Bとの潤滑性を保持する新規な構成を提供することができる。
【解決手段】 駆動歯車41から駆動力を受けて従動歯車42が回転するときに軸部42Aと軸穴44Bとが摺接する摺接部44Dに、摺接部44Dを潤滑する潤滑剤が充填される溝部44Eを設ける。これにより、接触面圧が高くなる摺接部44Dに潤滑剤を供給することが可能となり、軸部42Aと軸穴44Bとの潤滑性を保持する新規な構成を提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動歯車から駆動力を受けて回転する従動歯車と当該従動歯車を支持するベース部材とを有する歯車機構、並びにこの歯車機構を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
滑り軸受は、鋼球等の転動体がなく、軸部と軸穴(ブッシュ)とを摺接させるので、例えば特許文献1に記載の発明では、軸部と軸受スリーブ(ブッシュに相当)との間にグリース溜まりを設け、このグリース溜まりにグリース(潤滑剤)を充填することにより、摺接部の潤滑を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭64−39966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、歯車は、これを複数連結する歯車列として用いられるが、特許文献1に記載の発明では、歯車単体におけるグリース溜まりの構成が開示されているのみであり、駆動歯車から駆動力を受けて回転するような従動歯車に対して、具体的にどのような部位にグリース溜まりを設けるべきであるかは検討されていない。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、駆動歯車から駆動力を受けて回転する従動歯車等において、軸部と軸穴との潤滑性を保持する新規な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、駆動歯車(31、41)から駆動力を受けて回転する従動歯車(32、42)と、当該従動歯車(32、42)を支持するベース部材(34、44)とを有する歯車機構であって、軸部(32C、42A)とこの軸部(32C、42A)が回転可能に嵌り込む軸穴(34B、44B)とを有し、従動歯車(32、42)をベース部材(34、44)に回転可能に組み付ける軸受機構を備え、軸部(32C、42A)及び軸穴(34B、44B)のうちいずれか一方は従動歯車(32、42)に設けられ、他方はベース部材(34、44)に設けられており、さらに、駆動歯車(31、41)から駆動力を受けて従動歯車(32、42)が回転するときに軸部(32C、42A)と軸穴(34B、44B)とが摺接する摺接部(34D、44D)であって、軸部(32C、42A)及び軸穴(34B、44B)のうちベース部材(34、44)に設けられた部位には、摺接部(34D、44D)を潤滑する潤滑剤が充填される溝部(34E、44E)が設けられていることを特徴とする。
【0007】
これにより、本発明では、接触面圧が高くなる摺接部(34D、44D)に潤滑剤を供給することが可能となり、軸部(32C、42A)と軸穴(34B、44B)との潤滑性を保持する新規な構成を提供することができる。
【0008】
ところで、軸部(32C、42A)及び軸穴(34B、44B)のうちベース部材(34、44)に設けられた部位は回転しないので、常に同じ部分が摺接部(34D、44D)となり、この部分が早期に摩耗して偏摩耗してしまうおそれがある。
【0009】
これに対して、本発明では、軸部(32C、42A)及び軸穴(34B、44B)のうちベース部材(34、44)に設けられた部位に溝部(34E、44E)が設けられているので、この部分が早期に摩耗して偏摩耗してしまうことを抑制できる。
【0010】
なお、「摺接部(34D、44D)に溝部(34E、44E)を設ける」とは、溝部(34E、44E)の少なくとも一部が摺接部(34D、44D)に位置することを意味する。したがって、溝部(34E、44E)全体が摺接部(34D、44D)に位置する場合、又は溝部(34E、44E)の一部が摺接部(34D、44D)に位置する場合のいずれであってもよい。また、溝部(34E、44E)は少なくとも1本あれば十分である。
【0011】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概念図である。
【図2】(a)は本発明の第1実施形態に係る第1歯車機構30の説明図であり、(b)は本発明の第1実施形態に係る第1歯車機構30の分解図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る第1歯車機構30の軸部32C及び軸穴34Bの拡大図である。
【図4】(a)は本発明の第1実施形態に係る第2歯車機構40において、駆動力が伝達されているときを示す図であり、(b)は本発明の第1実施形態に係る第2歯車機構40において、駆動力が伝達されていないときを示す図である。
【図5】(a)は本発明の第1実施形態に係る第2歯車機構40において、駆動力が伝達されているときを示す図であり、(b)は本発明の第1実施形態に係る第2歯車機構40において、駆動力が伝達されていないときを示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る軸穴34Bの拡大図である。
【図7】(a)及び(b)は本発明の第3実施形態に係る軸部32Cの拡大図である。
【図8】(a)は本発明の第4実施形態に係る第1歯車機構30の分解斜視図であり、(b)は図8(a)のA−A断面図であり、(c)は図8(a)のB−B断面図であり、(d)は軸穴34B断面の拡大図である。
【図9】(a)は本発明の第5実施形態に係る第1歯車機構30の分解斜視図であり、(b)は図9(a)のA−A断面図であり、(c)は図9(a)のB−B断面図であり、(d)は軸穴34B断面の拡大図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る第1歯車機構30の分解斜視図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係る第1歯車機構30の分解斜視図である。
【図12】(a)及び(b)は本発明の第8実施形態に係る第1歯車機構30の分解斜視図である。
【図13】(a)及び(b)は本発明の第8実施形態に係る第1歯車機構30の分解断面図である。
【図14】(a)は本発明の第9実施形態に係る第1歯車機構30の断面図であり、(b)は本発明の第8実施形態に係る軸穴34Bの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態は、本発明に係る歯車機構を画像形成装置の駆動力伝達機構に適用したものであり、以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.画像形成装置の概略構成(図1参照)
本実施形態に係る画像形成装置1は、図1に示すように、現像剤を用紙やOHPシート等(以下、用紙という。)に転写することにより用紙に画像を形成する電子写真方式の作像部3を有しており、この作像部3は、現像剤像を担持する感光ドラム(図示せず。)や感光ドラムに静電潜像を形成する露光器(図示せず。)等から構成されている。
【0014】
用紙トレイ5は画像形成用の用紙が載置される載置部であり、この用紙トレイ5に載置されている用紙は、給紙ローラ7及び搬送ローラ9等により作像部3側に搬出された後、一対のレジストローラ11により斜行が矯正されて用紙搬送ベルト13上を搬送される。
【0015】
また、定着器15は、用紙に転写形成された現像剤像を加熱定着させる定着手段であり、定着が完了した用紙は、排紙ローラ17により排紙スタッカ(排紙トレイ)19に排出され、用紙への画像形成が終了する。
【0016】
また、用紙搬送ベルト13を駆動する駆動ローラ13A、定着器15の加熱ローラ15A、排紙ローラ17、給紙ローラ7、搬送ローラ9及びレジストローラ11等の用紙搬送用のローラには、本発明に係る第1歯車機構30又は第2歯車機構40を介して駆動源21から駆動力が伝達されている。なお、以下、給紙ローラ7等を総称するときは、「ローラ」と記す。
【0017】
そして、第1歯車機構30及び第2歯車機構40は、後述するように、複数枚の歯車からなる歯車列にて構成されているとともに、駆動源21から供給された駆動力を減速しながらローラ側に伝達する駆動力伝達機構である。特に、第2歯車機構40は、駆動源21から供給される駆動力と逆向きの駆動力が入力されたときに、歯車間の噛み合いが解除され、その駆動力の伝達を遮断することができる。
【0018】
なお、給紙ローラ7及びレジストローラ11への駆動力伝達経路には、駆動源21から駆動力が供給されているとき、つまり駆動源21をなす電動モータが回転しているときに、給紙ローラ7又はレジストローラ11への駆動力の伝達を遮断するクラッチ機構21A、21Bが設けられている。そして、駆動源21及びクラッチ機構21A、21B等は、マイクロコンピュータ等にて構成された制御部(図示せず。)により制御されている。
【0019】
2.歯車機構の詳細構造
2.1.第1歯車機構について
第1歯車機構30は、図2(a)に示すように、駆動源21から駆動力を受けて回転する駆動歯車31、駆動歯車31から駆動力を受けて回転する従動歯車32、従動歯車32から駆動力を受けてローラ側に駆動力を出力する出力歯車33、並びに駆動歯車31、従動歯車32及び出力歯車33を支持するベース部材34等を有して構成されている。
【0020】
なお、図2(a)に示す第1歯車機構30は、その一部を示すものであり、実際には、駆動源21と駆動歯車31との間、及び出力歯車33とローラとの間には、図2(a)に示される歯車列と同様な歯車列等にて構成された駆動力伝達機構が設けられている。
【0021】
因みに、本実施形態では、従動歯車32の大径歯車部32A及び小径歯車部32Bは、同軸状に配置されて一体化されているとともに、駆動歯車31は大径歯車部32Aに噛み合い、出力歯車33は小径歯車部23Bに噛み合っているので、駆動源21から伝達された駆動力は、第1歯車機構30にて減速されてローラ側に伝達される。
【0022】
また、駆動歯車31、従動歯車32及び出力歯車33それぞれには、図2(b)に示すように、各歯車31〜33に一体化された円柱状の軸部31A、32C、33Aが設けられ、一方、ベース部材34には、各軸部31A、32C、33Aが回転可能に嵌り込む軸穴34A〜34Cが設けられている。そして、これら軸部31A、32C、33A及び軸穴34A〜34C等によりを駆動歯車31、従動歯車32及び出力歯車33それぞれをベース部材34に回転可能に組み付ける軸受機構が構成されている。
【0023】
なお、本実施形態では、ベース部材34は、図2(b)に示すように、駆動歯車31、従動歯車32及び出力歯車33を挟んで軸方向両側に配設された状態で各軸部31A、32C、33Aを両端支持しているとともに、軸部31A、32C、33Aとの接触面積が所定以上となるように、軸穴34A〜34C部分がボス状に突出した形状となっている。
【0024】
また、軸穴34Bには、軸部32Cの外周面と軸穴34Bの内周面との摺接部34D(図3参照)を潤滑する潤滑剤が充填される溝部34Eが設けられている。ここで、摺接部34Dとは、図3に示すように、駆動歯車31から駆動力を受けて従動歯車32が回転するときに、軸部32Cと軸穴34Bとが摺動しながら接触する部位である。
【0025】
なお、図3では、軸部32C及び軸穴34Bの変形は考慮せず、幾何学的に軸部32Cと軸穴34Bとが接触する範囲を摺接部34Dとして示しているが、実際には、駆動歯車31から駆動力を受けて従動歯車32が回転するときには、軸部32C及び軸穴34Bは、ヘルツ応力の発生に伴って変形するので、摺接部34Dの範囲は、図3に示す範囲より広くなる。
【0026】
また、本実施形態に係る溝部34Eは、図2(b)に示すように、軸穴34Bの軸方向一端側から他端側に掛けて軸方向と平行に直線状に延び、かつ、図3に示すように、駆動歯車31から受ける噛み合い力及び出力歯車33から受ける噛み合い力の合力Foの作用線上に位置している。なお、溝部34Eは、その断面形状が略V字状に形成されているとともに、応力集中を緩和すべく、全体が滑らかな曲面にて構成されている。
【0027】
そして、本実形態では、軸部32C(従動歯車32)及び軸穴34B(ベース部材34)は樹脂製であるので、摺接部34Dを構成する軸部32Cの外周面及び軸穴34Bの内周面も樹脂製となる。因みに、本実施形態では、軸部32CはPOM等の樹脂製であり、軸穴34BはABS又はPS等の樹脂製である。
【0028】
2.2.第2歯車機構について
第1歯車機構30と第2歯車機構40との差異点は、第2歯車機構40の従動歯車42が、第2歯車機構40の駆動歯車41の回転中心を揺動中心として揺動変位可能となっている点であり、その他の構成及び材質等はほぼ同様である。
【0029】
すなわち、第2歯車機構40も、図4(a)及び図4(b)に示すように、駆動歯車41、従動歯車42及び出力歯車43、並びにこれらの歯車を支持するベース部材44等を有して構成されている。
【0030】
また、駆動歯車41、従動歯車42及び出力歯車43それぞれには、各歯車41〜43に一体化された円柱状の軸部41A、42A、43Aが設けられ、一方、ベース部材44には、各軸部31A〜43Aが回転可能に嵌り込む軸穴44A〜44Cが設けられている。
【0031】
そして、第1歯車機構30では、全ての軸穴34A〜34Cが円形断面であったのに対して、第2歯車機構40では、軸穴44A、44Cのみが円形断面であり、従動歯車42用の軸穴44Bは長穴状に形成されている。
【0032】
つまり、軸穴44Bは、長径方向の寸法が軸部42Aの直径寸法より大きく、かつ、長径方向が駆動歯車41の回転中心を中心として略円弧状に延びる長穴状に形成されているため、軸部42Aは軸穴44B内を長径方向に移動することができる。
【0033】
因みに、厳密には、軸穴44Bの短径方向の寸法も軸部42Aの直径寸法より大きいが、その寸法差は目視では判別が難しい。一方、軸穴44Bの長径方向寸法と軸部42Aの直径寸法との寸法差は、目視にて容易に判別することができる。つまり、「長径方向の寸法が軸部42Aの直径寸法より大きい」とは、一見してその寸法差を容易に判別することができる程度に「長径方向の寸法が軸部42Aの直径寸法より大きい」ことを意味する。
【0034】
なお、フリクションバネ45は、従動歯車42のうち軸部42Aを挟んで駆動歯車41と反対側の部位に接触して、従動歯車42の回転を阻害する抵抗力を作用させる抵抗付与部であり、本実施形態に係るフリクションバネ45は、ベース部材44に固定された円錐コイルバネにて構成されている。
【0035】
ところで、駆動歯車41が、図4(a)に示す紙面において、反時計回りの向き(以下、CCW(counter clockwise)方向という。)に回転すると、従動歯車42は、時計回りの向き(以下、CW(clockwise)方向という。)に回転しようとするが、従動歯車42は、フリクションバネ45から抵抗力を受けてCW方向への回転が阻害されるので、従動歯車42の軸部42Aが駆動歯車41と共に駆動歯車41の回転中心を中心としてCCW方向に移動する。
【0036】
このため、軸部42Aは、軸穴44Bに案内されて長径方向一端(図4(a)では、下端)に接触するまで移動するので、従動歯車42と出力歯車43とが噛み合って従動歯車42と出力歯車43とが接続される。
【0037】
そしてさらに、駆動歯車41がCCW方向に回転すると、軸部42Aが軸穴44Bの長径方向一端によって規制されてそれ以上移動できないため、フリクションバネ45に対して従動歯車42が滑り始め、従動歯車42が軸部42Aを中心として回転し、駆動歯車41の駆動力が出力歯車43に伝達される。
【0038】
すなわち、従動歯車42に駆動歯車41から駆動力が作用すると、図4(b)に示すように、駆動歯車41と従動歯車42との噛み合い部で発生する噛み合い圧力により、軸部42Aには、軸穴44Bの長径方向他端側から一端側に向かう向きの力(紙面、右上から左下に向かう向きの力)が作用する。
【0039】
そして、従動歯車42に駆動歯車41からの駆動力が作用し続けている間は、駆動歯車41から受ける噛み合い力と出力歯車43から受ける噛み合い力との合力Foにより、軸部42Aが軸穴44Bの長径方向一端側に押し付けられて位置決めされた状態となるので、従動歯車42は、軸部42Aが軸穴44Bの長径方向一端側に位置した状態で回転し続ける。
【0040】
そこで、第2歯車機構40においても、図5(a)及び図5(b)に示すように、軸穴44Bの長径方向一端側であって、駆動歯車41から駆動力を受けて従動歯車42が回転するときの摺接部44Dに潤滑剤が充填される溝部44Eが設けられている。
【0041】
なお、第2歯車機構40における摺接部44Dとは、第1歯車機構30における摺接部34Dと同様に、駆動歯車41から駆動力を受けて従動歯車42が回転するときに、軸部42Aと軸穴44Bとが摺動しながら接触する部位である。
【0042】
また、第2歯車機構40に係る溝部44Eも、第1歯車機構30に係る溝部34Eと同様に、軸穴44Bの軸方向一端側から他端側に掛けて軸方向と平行に直線状に延び、かつ、噛み合い力の合力Foの作用線上に位置しているとともに、応力集中を緩和すべく、全体が滑らかな曲面にて構成されたV溝にて形成されている。
【0043】
ところで、用紙搬送経路には、用紙の搬送を監視し、用紙が詰まった否かを検知するジャムセンサ(図示せず。)が設けられているとともに、このジャムセンサの検知信号が上述した制御部に入力されている。
【0044】
そして、ジャムセンサによって用紙詰まりが検知されると、駆動源21は制御部によって僅かに逆回転される。これにより、駆動歯車41が逆転されるので、従動歯車42は、図4(a)に示す噛み合い圧力の向きと逆向きの力を駆動歯車41から受ける。
【0045】
このとき、従動歯車42にはフリクションバネ45の抵抗力が作用しているので、従動歯車42はその回転を阻害され、図4(b)に示すように、駆動歯車41のピッチ円周上を駆動歯車41と回転の向きと同一の向きに移動しようとする力Fが従動歯車42に作用する。
【0046】
これにより、軸穴44Bの長径方向一端(図4(b)の下端)側から他端(図4(b)の上端)側に軸部42Aが移動するため、従動歯車32と出力歯車43との噛み合いが解除されて駆動歯車41と出力歯車43との接続が切断された状態となる。したがって、出力歯車43は、駆動源21と独立して自由に回転でき得る状態となるので、用紙搬送経路に詰まった用紙を簡単に除去することが可能となる。
【0047】
3.本実施形態に係る歯車機構の特徴
本実施形態では、駆動歯車31、41から駆動力を受けて従動歯車32、42が回転するときに軸部32C、42Aと軸穴34B、44Bとが摺接する摺接部34D、44Dには、摺接部34D、44Dを潤滑する潤滑剤が充填される溝部34E、44Eが設けられているので、接触面圧が高くなる摺接部34D、44Dに潤滑剤を供給することが可能となり、軸部32Cと軸穴34Bとの潤滑性、及び軸部42Aと軸穴44Bとの潤滑性を保持する新規な構成を提供することができる。
【0048】
ところで、ベース部材34、44に設けられた軸穴34B、44Bは回転しないので、常に同じ部分が摺接部34D、44Dとなり、この部分が早期に摩耗して偏摩耗してしまうおそれがある。
【0049】
これに対して、本実施形態では、ベース部材34、44に設けられた軸穴34B、44Bに溝部34E、44Eが設けられているので、この部分が早期に摩耗して偏摩耗してしまうことを抑制できる。
【0050】
ところで、第2歯車機構40では、軸部42Aが移動するための空間を確保すべく、軸穴44Bが長孔状に形成されているので、軸部42Aの外周面と軸穴44Bの内周面との間に大きな空間が存在し、潤滑剤を保持することが難しくなり、接触面圧が高くなる部位に潤滑剤を供給することが難しくなるおそれがある。
【0051】
しかし、本実施形態では、軸穴44Bの長径方向端部側であって、駆動歯車41から駆動力を受けて従動歯車42が回転するときの摺接部44Dに溝部44Eが設けられているので、軸部42Aが軸穴44B内を長径方向に移動可能な場合にあっても、駆動歯車41から駆動力を受けて従動歯車42が回転するときに接触面圧が高くなる部位に潤滑剤を供給することが可能となる。
【0052】
(第2実施形態)
第1実施形態では、溝部34E、44Eは、摺接部34D、44Dのうち合力Foの作用線上に1本のみ設けられていたが、本実施形態は、図6に示すように、摺接部34Dに複数の溝部34Eを設けたものである。
【0053】
なお、図6では、第1歯車機構30に係る軸穴34Bを例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40に係る軸穴44Bに複数の溝部44Eを設けてもよい。
【0054】
(第3実施形態)
上述の実施形態では、ベース部材34、44に軸穴34B、44Bが設けられ、従動歯車32、42に軸部32C、42Aが設けられていたが、本実施形態は、ベース部材34、44に軸部32C、42Aが設けられ、従動歯車32、42に軸穴34B、44Bが設けられた場合に本発明を適用したものである。
【0055】
したがって、本実施形態では、図7(a)及び図7(b)に示すように、摺接部34Dのうち軸部32C側に溝部34Eを設けている。なお、図7(a)は、摺接部34Dのうち合力Foの作用線上に1本のみ溝部34Eを設けた例であり、図7(b)は、摺接部34Dに複数の溝部34Eを設けた例である。
【0056】
因みに、図7(a)及び図7(b)では、第1歯車機構30を例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40も第1歯車機構30と同様な構成としてもよい。
【0057】
(第4実施形態)
本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、図8(a)〜図8(c)に示すように、ベース部材34に軸穴34Bを設けるとともに、溝部34Eを螺旋状したものである。
【0058】
これにより、本実施形態に係る溝部34Eは、図8(b)及び図8(c)に示すように、矢視方向D1に見て、軸方向L1に対して傾いた形状となる。なお、軸方向L1とは、軸部32C又は軸穴34Bの軸中心線と一致する方向であり、矢視方向D1とは、軸方向L1と直交する方向であって、軸方向L1に向かって溝部34Eを見得る方向をいう。
【0059】
したがって、本実施形態では、軸穴34Bに対して相対的に軸部32Cが回転する際に、ネジとナットとの関係のごとく、溝部34Eに充填されている潤滑剤を引き込むように流動させることができるので、潤滑剤が一所に滞留してしまうことを抑制して、潤滑剤を摺接部34D全域に行き渡らせることが可能となり、軸部32Cと軸穴34Bとの潤滑性を保持することができる。
【0060】
つまり、溝部34Eが軸方向L1に対して傾いているので、軸穴34Bに対して相対的に軸部32Cが回転すると、溝部34Eに充填されている潤滑剤のうち軸部32Cと接触する部分には、図8(d)に示すように、軸部32C(従動歯車32)の回転によって回転の向きの剪断力Fsが作用する。
【0061】
このため、潤滑剤は、軸部32Cの回転の向きに剪断変形するように流動しようとするが、潤滑剤は、溝部34Eを形成する側壁34Wが障害となって、図8(d)の破線で示す矢印のごとく側壁34Wに沿って流動するので、溝部34Eに充填されている潤滑剤は、摺接部34D全域に行き渡るように流動する。
【0062】
なお、本実施形態は、図8(a)〜図8(d)に示すもの限定されるものではなく、従動歯車32の回転の向きを図8に示すものに対して逆向きとした場合、溝部34Eの傾きを図8に示すものに対して逆向きにした場合、又は従動歯車32の回転の向き及び溝部34Eの傾きを共に図8に示すものに対して逆向きにした場合のいずれであってもよい。
【0063】
この場合、特に、溝部34Eに充填されている潤滑剤が、図8(d)の破線で示す矢印と反対向き、すなわち従動歯車32側に流動して摺接部34D全域に行き渡るような構成とすることが望ましい。
【0064】
ところで、本実施形態では、溝部34Eは螺旋状に形成されているので、軸方向L1と直交する方向であれば、360度いずれの方向であっても、溝部34Eを見ることができるので、「軸部32C又は軸穴34Bの軸中心線に向かって溝部34Eを見得る方向」とは、軸方向L1と直交する方向であれば、いずれの方向でもよい。
【0065】
しかし、本実施形態では、溝部34Eの少なくとも一部が摺接部34Dに位置し、かつ、合力Foの作用線上に溝部34Eの少なくとも一部が存在することを特徴としているので、本実施形態では、合力Foの作用線方向を矢視方向D1とすることが望ましい。そこで、以下、特に断りをした場合を除き、矢視方向D1とは、合力Foの作用線方向をいう。
【0066】
なお、図8(a)〜図8(d)では、第1歯車機構30を例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40も第1歯車機構30と同様な構成としてもよい。
【0067】
(第5実施形態)
第4実施形態では、矢視方向D1に見たときの溝部34Eと軸方向L1とのなす角(以下、この角を傾斜角θという。)が一定となるように、溝部34Eを軸方向L1に対して傾けて螺旋状とした。
【0068】
しかし、本実施形態は、図9(a)〜図9(c)に示すように、ベース部材34に軸穴34Bを設けるとともに、図9(d)に示すように、第1の傾斜角θ1を有する第1溝部34F、及び第1の傾斜角θ1と異なる第2の傾斜角θ2を有する第2溝部34Gから溝部34Eを構成したものである。
【0069】
また、本実施形態では、第1の傾斜角θ1が90度以上であり、かつ、第2の傾斜角θ2が90度未満であるので、溝部34E(第1溝部34F及び第2溝部34G)は、矢視方向D1から見ると、回転方向前進側(剪断力Fs1、Fs2の向き側)にずれるほど、両溝部34F、34Gが近づくように「く」の字状又は「ハ」の字状に形成されている。
【0070】
つまり、第1溝部34F及び第2溝部34Gは、矢視方向D1から見ると、軸方向L1の端部側(図9(d)では、上端側又は下端側)から軸方向L1中央部側に向かうほど、軸方向L1から従動歯車32の回転方向前進側にずれるように、軸方向L1に対して傾いた形状に形成されている。
【0071】
このため、軸部32C(従動歯車32)の回転によって回転の向きの剪断力Fs1、Fs2が潤滑剤に作用すると、図9(d)の破線で示す矢印のごとく、第1溝部34Fに充填されている潤滑剤は第2溝部34Gに近づくように流動し、一方、第2溝部34Gに充填されている潤滑剤は第1溝部34Fに近づくように流動する。
【0072】
したがって、本実施形態では、潤滑剤は、軸方向L1の端部側から軸方向中央部側に向かって流動することとなるので、潤滑剤を摺接部34D全域に行き渡らせつつ、軸方向端部に存在する潤滑剤が軸穴34B及び軸部32Cからなる軸受機構から漏れ出てしまうことを抑制できる。
【0073】
なお、図9(a)〜図9(d)では、第1歯車機構30を例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40も第1歯車機構30と同様な構成としてもよい。
【0074】
(第6実施形態)
第4実施形態では、ベース部材34に軸穴34Bが設けられ、従動歯車32に軸部32Cが設けられていたが、本実形態では、図10に示すように、ベース部材34に軸部32Cを設け、従動歯車32に軸穴34Bを設けるとともに、ベース部材34に設けられた軸部32Cに螺旋状の溝部34Eを設けたものである。そして、溝部34Eは、上述の実施形態と同様に、少なくとも溝部34Eの一部が軸部32Cの摺接部34Dに位置するように設けられている。
【0075】
これにより、本実施形態においても、第4実施形態と同様に、溝部34Eに充填されている潤滑剤を摺接部34D全域に行き渡るように流動させることができる。
なお、図10では、第1歯車機構30を例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40も第1歯車機構30と同様な構成としてもよい。
【0076】
(第7実施形態)
第4実施形態では、ベース部材34に軸穴34Bが設けられ、従動歯車32に軸部32Cが設けられていたが、本実形態では、図11に示すように、ベース部材34に軸部32Cを設け、従動歯車32に軸穴34Bを設けるとともに、ベース部材34に設けられた軸部32Cに第1溝部34F及び第2溝部34Gからなる溝部34Eを設けたものである。
【0077】
これにより、本実施形態においても、第5実施形態と同様に、潤滑剤を摺接部34D全域に行き渡らせつつ、軸方向端部に存在する潤滑剤が軸穴34B及び軸部32Cからなる軸受機構から漏れ出てしまうことを抑制できる。
【0078】
なお、図11では、第1歯車機構30を例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40も第1歯車機構30と同様な構成としてもよい。
【0079】
(第8実施形態)
上述の実施形態では、軸部32C及び軸穴34Bのうちベース部材34に設けられた部位に溝部34Eを形成したが、本実施形態は、図12(a)、図12(b)、図13(a)及び13(b)に示すように、軸部32C及び軸穴34Bのうち従動歯車32に設けられた部位に溝部34Eを形成するとともに、その溝部34Eを、矢視方向D1から見たとき、軸方向L1に対して傾くように、螺旋状又は「ハ」の字状もしくは「く」の字状としたものである。
【0080】
そして、図12(a)は、従動歯車32に軸部32Cを設け、ベース部材34に軸穴34Bを設けるとともに、螺旋状の溝部34Eを従動歯車32に軸部32Cに設けた例であり、図12(b)は、従動歯車32に軸部32Cを設け、ベース部材34に軸穴34Bを設けるとともに、「く」の字状又は「ハ」の字状の溝部34Eを従動歯車32に軸部32Cに設けた例である。
【0081】
また、図13(a)は、従動歯車32に軸穴34Bを設け、ベース部材34に軸部32Cを設けるとともに、螺旋状の溝部34Eを従動歯車32に軸穴34Bに設けた例であり、図13(b)は、従動歯車32に軸穴34Bを設け、ベース部材34に軸部32Cを設けるとともに、「く」の字状又は「ハ」の字状の溝部34Eを従動歯車32に軸穴34Bに設けた例である。
【0082】
したがって、本実施形態では、軸穴34Bに対して相対的に軸部32Cが回転する際に、溝部34Eに充填されている潤滑剤を引き込むように流動させることができるので、潤滑剤が一所に滞留してしまうことを抑制して、潤滑剤を摺接部34D全域に行き渡らせることが可能となり、軸部32Cと軸穴34Bとの潤滑性を保持することができる。
【0083】
なお、図12(a)、図12(b)、図13(a)及び13(b)では、第1歯車機構30を例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40も第1歯車機構30と同様な構成としてもよい。
【0084】
(第9実施形態)
上述の実施形態では、従動歯車32は、出力歯車33を介してローラ側に駆動力を伝達する歯車機構であったが、本実施形態は、図14(a)に示すように、従動歯車32の軸部32Cがローラ等の駆動シャフトを兼ねる構造に本発明を適用したものである。
【0085】
そして、本実施形態も第1実施形態と同様に、図14(b)に示すように、ベース部材34に設けられた軸穴34Bのうち駆動歯車31から駆動力を受けて従動歯車32が回転するときに、軸部32Cと軸穴34Bとが摺動しながら接触する部位(摺接部34D)に溝部34Eが設けられている。
【0086】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、電子写真方式の画像形成装置に本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、例えばオートドキュメントフィーダやインクジェット方式の画像形成装置の搬送ローラに駆動力を伝達する歯車機構に適用してもよい。
【0087】
また、上述の実施形態に係る歯車は平歯車であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ヘリカル歯車等のその他形式の歯車であってもよい。なお、ヘリカル歯車の場合には、スラスト荷重を受けるので、軸穴は単純な貫通穴ではなく、凹状の一端側が閉塞された軸穴からなるスラスト軸受穴であってもよい。
【0088】
また、上述の本実形態では、摺接部34Dを構成する軸部32Cの外周面及び軸穴34Bの内周面も含め全て樹脂製であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、軸部32Cの外周面及び軸穴34Bの内周面のみを樹脂製、又は金属製としてもよい。
【0089】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0090】
1…画像形成装置、3…作像部、5…用紙トレイ、7…給紙ローラ、9…搬送ローラ、
11…レジストローラ、13…用紙搬送ベルト、13A…駆動ローラ、
15…定着器、15A…加熱ローラ、17…排紙ローラ、21…駆動源、
21A…クラッチ機構、30…第1歯車機構、31…駆動歯車、31A…軸部、
32…従動歯車、32C…軸部、33…出力歯車、34…ベース部材、
34A〜34C…軸穴、34D…摺接部、34E…溝部、40…第2歯車機構、
41…駆動歯車、41A…軸部、42…従動歯車、42A…軸部、43…出力歯車、
44…ベース部材、44A〜44C…軸穴、44D…摺接部、44E…溝部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動歯車から駆動力を受けて回転する従動歯車と当該従動歯車を支持するベース部材とを有する歯車機構、並びにこの歯車機構を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
滑り軸受は、鋼球等の転動体がなく、軸部と軸穴(ブッシュ)とを摺接させるので、例えば特許文献1に記載の発明では、軸部と軸受スリーブ(ブッシュに相当)との間にグリース溜まりを設け、このグリース溜まりにグリース(潤滑剤)を充填することにより、摺接部の潤滑を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭64−39966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、歯車は、これを複数連結する歯車列として用いられるが、特許文献1に記載の発明では、歯車単体におけるグリース溜まりの構成が開示されているのみであり、駆動歯車から駆動力を受けて回転するような従動歯車に対して、具体的にどのような部位にグリース溜まりを設けるべきであるかは検討されていない。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、駆動歯車から駆動力を受けて回転する従動歯車等において、軸部と軸穴との潤滑性を保持する新規な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、駆動歯車(31、41)から駆動力を受けて回転する従動歯車(32、42)と、当該従動歯車(32、42)を支持するベース部材(34、44)とを有する歯車機構であって、軸部(32C、42A)とこの軸部(32C、42A)が回転可能に嵌り込む軸穴(34B、44B)とを有し、従動歯車(32、42)をベース部材(34、44)に回転可能に組み付ける軸受機構を備え、軸部(32C、42A)及び軸穴(34B、44B)のうちいずれか一方は従動歯車(32、42)に設けられ、他方はベース部材(34、44)に設けられており、さらに、駆動歯車(31、41)から駆動力を受けて従動歯車(32、42)が回転するときに軸部(32C、42A)と軸穴(34B、44B)とが摺接する摺接部(34D、44D)であって、軸部(32C、42A)及び軸穴(34B、44B)のうちベース部材(34、44)に設けられた部位には、摺接部(34D、44D)を潤滑する潤滑剤が充填される溝部(34E、44E)が設けられていることを特徴とする。
【0007】
これにより、本発明では、接触面圧が高くなる摺接部(34D、44D)に潤滑剤を供給することが可能となり、軸部(32C、42A)と軸穴(34B、44B)との潤滑性を保持する新規な構成を提供することができる。
【0008】
ところで、軸部(32C、42A)及び軸穴(34B、44B)のうちベース部材(34、44)に設けられた部位は回転しないので、常に同じ部分が摺接部(34D、44D)となり、この部分が早期に摩耗して偏摩耗してしまうおそれがある。
【0009】
これに対して、本発明では、軸部(32C、42A)及び軸穴(34B、44B)のうちベース部材(34、44)に設けられた部位に溝部(34E、44E)が設けられているので、この部分が早期に摩耗して偏摩耗してしまうことを抑制できる。
【0010】
なお、「摺接部(34D、44D)に溝部(34E、44E)を設ける」とは、溝部(34E、44E)の少なくとも一部が摺接部(34D、44D)に位置することを意味する。したがって、溝部(34E、44E)全体が摺接部(34D、44D)に位置する場合、又は溝部(34E、44E)の一部が摺接部(34D、44D)に位置する場合のいずれであってもよい。また、溝部(34E、44E)は少なくとも1本あれば十分である。
【0011】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概念図である。
【図2】(a)は本発明の第1実施形態に係る第1歯車機構30の説明図であり、(b)は本発明の第1実施形態に係る第1歯車機構30の分解図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る第1歯車機構30の軸部32C及び軸穴34Bの拡大図である。
【図4】(a)は本発明の第1実施形態に係る第2歯車機構40において、駆動力が伝達されているときを示す図であり、(b)は本発明の第1実施形態に係る第2歯車機構40において、駆動力が伝達されていないときを示す図である。
【図5】(a)は本発明の第1実施形態に係る第2歯車機構40において、駆動力が伝達されているときを示す図であり、(b)は本発明の第1実施形態に係る第2歯車機構40において、駆動力が伝達されていないときを示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る軸穴34Bの拡大図である。
【図7】(a)及び(b)は本発明の第3実施形態に係る軸部32Cの拡大図である。
【図8】(a)は本発明の第4実施形態に係る第1歯車機構30の分解斜視図であり、(b)は図8(a)のA−A断面図であり、(c)は図8(a)のB−B断面図であり、(d)は軸穴34B断面の拡大図である。
【図9】(a)は本発明の第5実施形態に係る第1歯車機構30の分解斜視図であり、(b)は図9(a)のA−A断面図であり、(c)は図9(a)のB−B断面図であり、(d)は軸穴34B断面の拡大図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る第1歯車機構30の分解斜視図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係る第1歯車機構30の分解斜視図である。
【図12】(a)及び(b)は本発明の第8実施形態に係る第1歯車機構30の分解斜視図である。
【図13】(a)及び(b)は本発明の第8実施形態に係る第1歯車機構30の分解断面図である。
【図14】(a)は本発明の第9実施形態に係る第1歯車機構30の断面図であり、(b)は本発明の第8実施形態に係る軸穴34Bの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態は、本発明に係る歯車機構を画像形成装置の駆動力伝達機構に適用したものであり、以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.画像形成装置の概略構成(図1参照)
本実施形態に係る画像形成装置1は、図1に示すように、現像剤を用紙やOHPシート等(以下、用紙という。)に転写することにより用紙に画像を形成する電子写真方式の作像部3を有しており、この作像部3は、現像剤像を担持する感光ドラム(図示せず。)や感光ドラムに静電潜像を形成する露光器(図示せず。)等から構成されている。
【0014】
用紙トレイ5は画像形成用の用紙が載置される載置部であり、この用紙トレイ5に載置されている用紙は、給紙ローラ7及び搬送ローラ9等により作像部3側に搬出された後、一対のレジストローラ11により斜行が矯正されて用紙搬送ベルト13上を搬送される。
【0015】
また、定着器15は、用紙に転写形成された現像剤像を加熱定着させる定着手段であり、定着が完了した用紙は、排紙ローラ17により排紙スタッカ(排紙トレイ)19に排出され、用紙への画像形成が終了する。
【0016】
また、用紙搬送ベルト13を駆動する駆動ローラ13A、定着器15の加熱ローラ15A、排紙ローラ17、給紙ローラ7、搬送ローラ9及びレジストローラ11等の用紙搬送用のローラには、本発明に係る第1歯車機構30又は第2歯車機構40を介して駆動源21から駆動力が伝達されている。なお、以下、給紙ローラ7等を総称するときは、「ローラ」と記す。
【0017】
そして、第1歯車機構30及び第2歯車機構40は、後述するように、複数枚の歯車からなる歯車列にて構成されているとともに、駆動源21から供給された駆動力を減速しながらローラ側に伝達する駆動力伝達機構である。特に、第2歯車機構40は、駆動源21から供給される駆動力と逆向きの駆動力が入力されたときに、歯車間の噛み合いが解除され、その駆動力の伝達を遮断することができる。
【0018】
なお、給紙ローラ7及びレジストローラ11への駆動力伝達経路には、駆動源21から駆動力が供給されているとき、つまり駆動源21をなす電動モータが回転しているときに、給紙ローラ7又はレジストローラ11への駆動力の伝達を遮断するクラッチ機構21A、21Bが設けられている。そして、駆動源21及びクラッチ機構21A、21B等は、マイクロコンピュータ等にて構成された制御部(図示せず。)により制御されている。
【0019】
2.歯車機構の詳細構造
2.1.第1歯車機構について
第1歯車機構30は、図2(a)に示すように、駆動源21から駆動力を受けて回転する駆動歯車31、駆動歯車31から駆動力を受けて回転する従動歯車32、従動歯車32から駆動力を受けてローラ側に駆動力を出力する出力歯車33、並びに駆動歯車31、従動歯車32及び出力歯車33を支持するベース部材34等を有して構成されている。
【0020】
なお、図2(a)に示す第1歯車機構30は、その一部を示すものであり、実際には、駆動源21と駆動歯車31との間、及び出力歯車33とローラとの間には、図2(a)に示される歯車列と同様な歯車列等にて構成された駆動力伝達機構が設けられている。
【0021】
因みに、本実施形態では、従動歯車32の大径歯車部32A及び小径歯車部32Bは、同軸状に配置されて一体化されているとともに、駆動歯車31は大径歯車部32Aに噛み合い、出力歯車33は小径歯車部23Bに噛み合っているので、駆動源21から伝達された駆動力は、第1歯車機構30にて減速されてローラ側に伝達される。
【0022】
また、駆動歯車31、従動歯車32及び出力歯車33それぞれには、図2(b)に示すように、各歯車31〜33に一体化された円柱状の軸部31A、32C、33Aが設けられ、一方、ベース部材34には、各軸部31A、32C、33Aが回転可能に嵌り込む軸穴34A〜34Cが設けられている。そして、これら軸部31A、32C、33A及び軸穴34A〜34C等によりを駆動歯車31、従動歯車32及び出力歯車33それぞれをベース部材34に回転可能に組み付ける軸受機構が構成されている。
【0023】
なお、本実施形態では、ベース部材34は、図2(b)に示すように、駆動歯車31、従動歯車32及び出力歯車33を挟んで軸方向両側に配設された状態で各軸部31A、32C、33Aを両端支持しているとともに、軸部31A、32C、33Aとの接触面積が所定以上となるように、軸穴34A〜34C部分がボス状に突出した形状となっている。
【0024】
また、軸穴34Bには、軸部32Cの外周面と軸穴34Bの内周面との摺接部34D(図3参照)を潤滑する潤滑剤が充填される溝部34Eが設けられている。ここで、摺接部34Dとは、図3に示すように、駆動歯車31から駆動力を受けて従動歯車32が回転するときに、軸部32Cと軸穴34Bとが摺動しながら接触する部位である。
【0025】
なお、図3では、軸部32C及び軸穴34Bの変形は考慮せず、幾何学的に軸部32Cと軸穴34Bとが接触する範囲を摺接部34Dとして示しているが、実際には、駆動歯車31から駆動力を受けて従動歯車32が回転するときには、軸部32C及び軸穴34Bは、ヘルツ応力の発生に伴って変形するので、摺接部34Dの範囲は、図3に示す範囲より広くなる。
【0026】
また、本実施形態に係る溝部34Eは、図2(b)に示すように、軸穴34Bの軸方向一端側から他端側に掛けて軸方向と平行に直線状に延び、かつ、図3に示すように、駆動歯車31から受ける噛み合い力及び出力歯車33から受ける噛み合い力の合力Foの作用線上に位置している。なお、溝部34Eは、その断面形状が略V字状に形成されているとともに、応力集中を緩和すべく、全体が滑らかな曲面にて構成されている。
【0027】
そして、本実形態では、軸部32C(従動歯車32)及び軸穴34B(ベース部材34)は樹脂製であるので、摺接部34Dを構成する軸部32Cの外周面及び軸穴34Bの内周面も樹脂製となる。因みに、本実施形態では、軸部32CはPOM等の樹脂製であり、軸穴34BはABS又はPS等の樹脂製である。
【0028】
2.2.第2歯車機構について
第1歯車機構30と第2歯車機構40との差異点は、第2歯車機構40の従動歯車42が、第2歯車機構40の駆動歯車41の回転中心を揺動中心として揺動変位可能となっている点であり、その他の構成及び材質等はほぼ同様である。
【0029】
すなわち、第2歯車機構40も、図4(a)及び図4(b)に示すように、駆動歯車41、従動歯車42及び出力歯車43、並びにこれらの歯車を支持するベース部材44等を有して構成されている。
【0030】
また、駆動歯車41、従動歯車42及び出力歯車43それぞれには、各歯車41〜43に一体化された円柱状の軸部41A、42A、43Aが設けられ、一方、ベース部材44には、各軸部31A〜43Aが回転可能に嵌り込む軸穴44A〜44Cが設けられている。
【0031】
そして、第1歯車機構30では、全ての軸穴34A〜34Cが円形断面であったのに対して、第2歯車機構40では、軸穴44A、44Cのみが円形断面であり、従動歯車42用の軸穴44Bは長穴状に形成されている。
【0032】
つまり、軸穴44Bは、長径方向の寸法が軸部42Aの直径寸法より大きく、かつ、長径方向が駆動歯車41の回転中心を中心として略円弧状に延びる長穴状に形成されているため、軸部42Aは軸穴44B内を長径方向に移動することができる。
【0033】
因みに、厳密には、軸穴44Bの短径方向の寸法も軸部42Aの直径寸法より大きいが、その寸法差は目視では判別が難しい。一方、軸穴44Bの長径方向寸法と軸部42Aの直径寸法との寸法差は、目視にて容易に判別することができる。つまり、「長径方向の寸法が軸部42Aの直径寸法より大きい」とは、一見してその寸法差を容易に判別することができる程度に「長径方向の寸法が軸部42Aの直径寸法より大きい」ことを意味する。
【0034】
なお、フリクションバネ45は、従動歯車42のうち軸部42Aを挟んで駆動歯車41と反対側の部位に接触して、従動歯車42の回転を阻害する抵抗力を作用させる抵抗付与部であり、本実施形態に係るフリクションバネ45は、ベース部材44に固定された円錐コイルバネにて構成されている。
【0035】
ところで、駆動歯車41が、図4(a)に示す紙面において、反時計回りの向き(以下、CCW(counter clockwise)方向という。)に回転すると、従動歯車42は、時計回りの向き(以下、CW(clockwise)方向という。)に回転しようとするが、従動歯車42は、フリクションバネ45から抵抗力を受けてCW方向への回転が阻害されるので、従動歯車42の軸部42Aが駆動歯車41と共に駆動歯車41の回転中心を中心としてCCW方向に移動する。
【0036】
このため、軸部42Aは、軸穴44Bに案内されて長径方向一端(図4(a)では、下端)に接触するまで移動するので、従動歯車42と出力歯車43とが噛み合って従動歯車42と出力歯車43とが接続される。
【0037】
そしてさらに、駆動歯車41がCCW方向に回転すると、軸部42Aが軸穴44Bの長径方向一端によって規制されてそれ以上移動できないため、フリクションバネ45に対して従動歯車42が滑り始め、従動歯車42が軸部42Aを中心として回転し、駆動歯車41の駆動力が出力歯車43に伝達される。
【0038】
すなわち、従動歯車42に駆動歯車41から駆動力が作用すると、図4(b)に示すように、駆動歯車41と従動歯車42との噛み合い部で発生する噛み合い圧力により、軸部42Aには、軸穴44Bの長径方向他端側から一端側に向かう向きの力(紙面、右上から左下に向かう向きの力)が作用する。
【0039】
そして、従動歯車42に駆動歯車41からの駆動力が作用し続けている間は、駆動歯車41から受ける噛み合い力と出力歯車43から受ける噛み合い力との合力Foにより、軸部42Aが軸穴44Bの長径方向一端側に押し付けられて位置決めされた状態となるので、従動歯車42は、軸部42Aが軸穴44Bの長径方向一端側に位置した状態で回転し続ける。
【0040】
そこで、第2歯車機構40においても、図5(a)及び図5(b)に示すように、軸穴44Bの長径方向一端側であって、駆動歯車41から駆動力を受けて従動歯車42が回転するときの摺接部44Dに潤滑剤が充填される溝部44Eが設けられている。
【0041】
なお、第2歯車機構40における摺接部44Dとは、第1歯車機構30における摺接部34Dと同様に、駆動歯車41から駆動力を受けて従動歯車42が回転するときに、軸部42Aと軸穴44Bとが摺動しながら接触する部位である。
【0042】
また、第2歯車機構40に係る溝部44Eも、第1歯車機構30に係る溝部34Eと同様に、軸穴44Bの軸方向一端側から他端側に掛けて軸方向と平行に直線状に延び、かつ、噛み合い力の合力Foの作用線上に位置しているとともに、応力集中を緩和すべく、全体が滑らかな曲面にて構成されたV溝にて形成されている。
【0043】
ところで、用紙搬送経路には、用紙の搬送を監視し、用紙が詰まった否かを検知するジャムセンサ(図示せず。)が設けられているとともに、このジャムセンサの検知信号が上述した制御部に入力されている。
【0044】
そして、ジャムセンサによって用紙詰まりが検知されると、駆動源21は制御部によって僅かに逆回転される。これにより、駆動歯車41が逆転されるので、従動歯車42は、図4(a)に示す噛み合い圧力の向きと逆向きの力を駆動歯車41から受ける。
【0045】
このとき、従動歯車42にはフリクションバネ45の抵抗力が作用しているので、従動歯車42はその回転を阻害され、図4(b)に示すように、駆動歯車41のピッチ円周上を駆動歯車41と回転の向きと同一の向きに移動しようとする力Fが従動歯車42に作用する。
【0046】
これにより、軸穴44Bの長径方向一端(図4(b)の下端)側から他端(図4(b)の上端)側に軸部42Aが移動するため、従動歯車32と出力歯車43との噛み合いが解除されて駆動歯車41と出力歯車43との接続が切断された状態となる。したがって、出力歯車43は、駆動源21と独立して自由に回転でき得る状態となるので、用紙搬送経路に詰まった用紙を簡単に除去することが可能となる。
【0047】
3.本実施形態に係る歯車機構の特徴
本実施形態では、駆動歯車31、41から駆動力を受けて従動歯車32、42が回転するときに軸部32C、42Aと軸穴34B、44Bとが摺接する摺接部34D、44Dには、摺接部34D、44Dを潤滑する潤滑剤が充填される溝部34E、44Eが設けられているので、接触面圧が高くなる摺接部34D、44Dに潤滑剤を供給することが可能となり、軸部32Cと軸穴34Bとの潤滑性、及び軸部42Aと軸穴44Bとの潤滑性を保持する新規な構成を提供することができる。
【0048】
ところで、ベース部材34、44に設けられた軸穴34B、44Bは回転しないので、常に同じ部分が摺接部34D、44Dとなり、この部分が早期に摩耗して偏摩耗してしまうおそれがある。
【0049】
これに対して、本実施形態では、ベース部材34、44に設けられた軸穴34B、44Bに溝部34E、44Eが設けられているので、この部分が早期に摩耗して偏摩耗してしまうことを抑制できる。
【0050】
ところで、第2歯車機構40では、軸部42Aが移動するための空間を確保すべく、軸穴44Bが長孔状に形成されているので、軸部42Aの外周面と軸穴44Bの内周面との間に大きな空間が存在し、潤滑剤を保持することが難しくなり、接触面圧が高くなる部位に潤滑剤を供給することが難しくなるおそれがある。
【0051】
しかし、本実施形態では、軸穴44Bの長径方向端部側であって、駆動歯車41から駆動力を受けて従動歯車42が回転するときの摺接部44Dに溝部44Eが設けられているので、軸部42Aが軸穴44B内を長径方向に移動可能な場合にあっても、駆動歯車41から駆動力を受けて従動歯車42が回転するときに接触面圧が高くなる部位に潤滑剤を供給することが可能となる。
【0052】
(第2実施形態)
第1実施形態では、溝部34E、44Eは、摺接部34D、44Dのうち合力Foの作用線上に1本のみ設けられていたが、本実施形態は、図6に示すように、摺接部34Dに複数の溝部34Eを設けたものである。
【0053】
なお、図6では、第1歯車機構30に係る軸穴34Bを例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40に係る軸穴44Bに複数の溝部44Eを設けてもよい。
【0054】
(第3実施形態)
上述の実施形態では、ベース部材34、44に軸穴34B、44Bが設けられ、従動歯車32、42に軸部32C、42Aが設けられていたが、本実施形態は、ベース部材34、44に軸部32C、42Aが設けられ、従動歯車32、42に軸穴34B、44Bが設けられた場合に本発明を適用したものである。
【0055】
したがって、本実施形態では、図7(a)及び図7(b)に示すように、摺接部34Dのうち軸部32C側に溝部34Eを設けている。なお、図7(a)は、摺接部34Dのうち合力Foの作用線上に1本のみ溝部34Eを設けた例であり、図7(b)は、摺接部34Dに複数の溝部34Eを設けた例である。
【0056】
因みに、図7(a)及び図7(b)では、第1歯車機構30を例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40も第1歯車機構30と同様な構成としてもよい。
【0057】
(第4実施形態)
本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、図8(a)〜図8(c)に示すように、ベース部材34に軸穴34Bを設けるとともに、溝部34Eを螺旋状したものである。
【0058】
これにより、本実施形態に係る溝部34Eは、図8(b)及び図8(c)に示すように、矢視方向D1に見て、軸方向L1に対して傾いた形状となる。なお、軸方向L1とは、軸部32C又は軸穴34Bの軸中心線と一致する方向であり、矢視方向D1とは、軸方向L1と直交する方向であって、軸方向L1に向かって溝部34Eを見得る方向をいう。
【0059】
したがって、本実施形態では、軸穴34Bに対して相対的に軸部32Cが回転する際に、ネジとナットとの関係のごとく、溝部34Eに充填されている潤滑剤を引き込むように流動させることができるので、潤滑剤が一所に滞留してしまうことを抑制して、潤滑剤を摺接部34D全域に行き渡らせることが可能となり、軸部32Cと軸穴34Bとの潤滑性を保持することができる。
【0060】
つまり、溝部34Eが軸方向L1に対して傾いているので、軸穴34Bに対して相対的に軸部32Cが回転すると、溝部34Eに充填されている潤滑剤のうち軸部32Cと接触する部分には、図8(d)に示すように、軸部32C(従動歯車32)の回転によって回転の向きの剪断力Fsが作用する。
【0061】
このため、潤滑剤は、軸部32Cの回転の向きに剪断変形するように流動しようとするが、潤滑剤は、溝部34Eを形成する側壁34Wが障害となって、図8(d)の破線で示す矢印のごとく側壁34Wに沿って流動するので、溝部34Eに充填されている潤滑剤は、摺接部34D全域に行き渡るように流動する。
【0062】
なお、本実施形態は、図8(a)〜図8(d)に示すもの限定されるものではなく、従動歯車32の回転の向きを図8に示すものに対して逆向きとした場合、溝部34Eの傾きを図8に示すものに対して逆向きにした場合、又は従動歯車32の回転の向き及び溝部34Eの傾きを共に図8に示すものに対して逆向きにした場合のいずれであってもよい。
【0063】
この場合、特に、溝部34Eに充填されている潤滑剤が、図8(d)の破線で示す矢印と反対向き、すなわち従動歯車32側に流動して摺接部34D全域に行き渡るような構成とすることが望ましい。
【0064】
ところで、本実施形態では、溝部34Eは螺旋状に形成されているので、軸方向L1と直交する方向であれば、360度いずれの方向であっても、溝部34Eを見ることができるので、「軸部32C又は軸穴34Bの軸中心線に向かって溝部34Eを見得る方向」とは、軸方向L1と直交する方向であれば、いずれの方向でもよい。
【0065】
しかし、本実施形態では、溝部34Eの少なくとも一部が摺接部34Dに位置し、かつ、合力Foの作用線上に溝部34Eの少なくとも一部が存在することを特徴としているので、本実施形態では、合力Foの作用線方向を矢視方向D1とすることが望ましい。そこで、以下、特に断りをした場合を除き、矢視方向D1とは、合力Foの作用線方向をいう。
【0066】
なお、図8(a)〜図8(d)では、第1歯車機構30を例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40も第1歯車機構30と同様な構成としてもよい。
【0067】
(第5実施形態)
第4実施形態では、矢視方向D1に見たときの溝部34Eと軸方向L1とのなす角(以下、この角を傾斜角θという。)が一定となるように、溝部34Eを軸方向L1に対して傾けて螺旋状とした。
【0068】
しかし、本実施形態は、図9(a)〜図9(c)に示すように、ベース部材34に軸穴34Bを設けるとともに、図9(d)に示すように、第1の傾斜角θ1を有する第1溝部34F、及び第1の傾斜角θ1と異なる第2の傾斜角θ2を有する第2溝部34Gから溝部34Eを構成したものである。
【0069】
また、本実施形態では、第1の傾斜角θ1が90度以上であり、かつ、第2の傾斜角θ2が90度未満であるので、溝部34E(第1溝部34F及び第2溝部34G)は、矢視方向D1から見ると、回転方向前進側(剪断力Fs1、Fs2の向き側)にずれるほど、両溝部34F、34Gが近づくように「く」の字状又は「ハ」の字状に形成されている。
【0070】
つまり、第1溝部34F及び第2溝部34Gは、矢視方向D1から見ると、軸方向L1の端部側(図9(d)では、上端側又は下端側)から軸方向L1中央部側に向かうほど、軸方向L1から従動歯車32の回転方向前進側にずれるように、軸方向L1に対して傾いた形状に形成されている。
【0071】
このため、軸部32C(従動歯車32)の回転によって回転の向きの剪断力Fs1、Fs2が潤滑剤に作用すると、図9(d)の破線で示す矢印のごとく、第1溝部34Fに充填されている潤滑剤は第2溝部34Gに近づくように流動し、一方、第2溝部34Gに充填されている潤滑剤は第1溝部34Fに近づくように流動する。
【0072】
したがって、本実施形態では、潤滑剤は、軸方向L1の端部側から軸方向中央部側に向かって流動することとなるので、潤滑剤を摺接部34D全域に行き渡らせつつ、軸方向端部に存在する潤滑剤が軸穴34B及び軸部32Cからなる軸受機構から漏れ出てしまうことを抑制できる。
【0073】
なお、図9(a)〜図9(d)では、第1歯車機構30を例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40も第1歯車機構30と同様な構成としてもよい。
【0074】
(第6実施形態)
第4実施形態では、ベース部材34に軸穴34Bが設けられ、従動歯車32に軸部32Cが設けられていたが、本実形態では、図10に示すように、ベース部材34に軸部32Cを設け、従動歯車32に軸穴34Bを設けるとともに、ベース部材34に設けられた軸部32Cに螺旋状の溝部34Eを設けたものである。そして、溝部34Eは、上述の実施形態と同様に、少なくとも溝部34Eの一部が軸部32Cの摺接部34Dに位置するように設けられている。
【0075】
これにより、本実施形態においても、第4実施形態と同様に、溝部34Eに充填されている潤滑剤を摺接部34D全域に行き渡るように流動させることができる。
なお、図10では、第1歯車機構30を例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40も第1歯車機構30と同様な構成としてもよい。
【0076】
(第7実施形態)
第4実施形態では、ベース部材34に軸穴34Bが設けられ、従動歯車32に軸部32Cが設けられていたが、本実形態では、図11に示すように、ベース部材34に軸部32Cを設け、従動歯車32に軸穴34Bを設けるとともに、ベース部材34に設けられた軸部32Cに第1溝部34F及び第2溝部34Gからなる溝部34Eを設けたものである。
【0077】
これにより、本実施形態においても、第5実施形態と同様に、潤滑剤を摺接部34D全域に行き渡らせつつ、軸方向端部に存在する潤滑剤が軸穴34B及び軸部32Cからなる軸受機構から漏れ出てしまうことを抑制できる。
【0078】
なお、図11では、第1歯車機構30を例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40も第1歯車機構30と同様な構成としてもよい。
【0079】
(第8実施形態)
上述の実施形態では、軸部32C及び軸穴34Bのうちベース部材34に設けられた部位に溝部34Eを形成したが、本実施形態は、図12(a)、図12(b)、図13(a)及び13(b)に示すように、軸部32C及び軸穴34Bのうち従動歯車32に設けられた部位に溝部34Eを形成するとともに、その溝部34Eを、矢視方向D1から見たとき、軸方向L1に対して傾くように、螺旋状又は「ハ」の字状もしくは「く」の字状としたものである。
【0080】
そして、図12(a)は、従動歯車32に軸部32Cを設け、ベース部材34に軸穴34Bを設けるとともに、螺旋状の溝部34Eを従動歯車32に軸部32Cに設けた例であり、図12(b)は、従動歯車32に軸部32Cを設け、ベース部材34に軸穴34Bを設けるとともに、「く」の字状又は「ハ」の字状の溝部34Eを従動歯車32に軸部32Cに設けた例である。
【0081】
また、図13(a)は、従動歯車32に軸穴34Bを設け、ベース部材34に軸部32Cを設けるとともに、螺旋状の溝部34Eを従動歯車32に軸穴34Bに設けた例であり、図13(b)は、従動歯車32に軸穴34Bを設け、ベース部材34に軸部32Cを設けるとともに、「く」の字状又は「ハ」の字状の溝部34Eを従動歯車32に軸穴34Bに設けた例である。
【0082】
したがって、本実施形態では、軸穴34Bに対して相対的に軸部32Cが回転する際に、溝部34Eに充填されている潤滑剤を引き込むように流動させることができるので、潤滑剤が一所に滞留してしまうことを抑制して、潤滑剤を摺接部34D全域に行き渡らせることが可能となり、軸部32Cと軸穴34Bとの潤滑性を保持することができる。
【0083】
なお、図12(a)、図12(b)、図13(a)及び13(b)では、第1歯車機構30を例に本実施形態の特徴を図示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2歯車機構40も第1歯車機構30と同様な構成としてもよい。
【0084】
(第9実施形態)
上述の実施形態では、従動歯車32は、出力歯車33を介してローラ側に駆動力を伝達する歯車機構であったが、本実施形態は、図14(a)に示すように、従動歯車32の軸部32Cがローラ等の駆動シャフトを兼ねる構造に本発明を適用したものである。
【0085】
そして、本実施形態も第1実施形態と同様に、図14(b)に示すように、ベース部材34に設けられた軸穴34Bのうち駆動歯車31から駆動力を受けて従動歯車32が回転するときに、軸部32Cと軸穴34Bとが摺動しながら接触する部位(摺接部34D)に溝部34Eが設けられている。
【0086】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、電子写真方式の画像形成装置に本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、例えばオートドキュメントフィーダやインクジェット方式の画像形成装置の搬送ローラに駆動力を伝達する歯車機構に適用してもよい。
【0087】
また、上述の実施形態に係る歯車は平歯車であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ヘリカル歯車等のその他形式の歯車であってもよい。なお、ヘリカル歯車の場合には、スラスト荷重を受けるので、軸穴は単純な貫通穴ではなく、凹状の一端側が閉塞された軸穴からなるスラスト軸受穴であってもよい。
【0088】
また、上述の本実形態では、摺接部34Dを構成する軸部32Cの外周面及び軸穴34Bの内周面も含め全て樹脂製であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、軸部32Cの外周面及び軸穴34Bの内周面のみを樹脂製、又は金属製としてもよい。
【0089】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0090】
1…画像形成装置、3…作像部、5…用紙トレイ、7…給紙ローラ、9…搬送ローラ、
11…レジストローラ、13…用紙搬送ベルト、13A…駆動ローラ、
15…定着器、15A…加熱ローラ、17…排紙ローラ、21…駆動源、
21A…クラッチ機構、30…第1歯車機構、31…駆動歯車、31A…軸部、
32…従動歯車、32C…軸部、33…出力歯車、34…ベース部材、
34A〜34C…軸穴、34D…摺接部、34E…溝部、40…第2歯車機構、
41…駆動歯車、41A…軸部、42…従動歯車、42A…軸部、43…出力歯車、
44…ベース部材、44A〜44C…軸穴、44D…摺接部、44E…溝部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動歯車から駆動力を受けて回転する従動歯車と、当該従動歯車を支持するベース部材とを有する歯車機構であって、
軸部とこの軸部が回転可能に嵌り込む軸穴とを有し、前記従動歯車を前記ベース部材に回転可能に組み付ける軸受機構を備え、
前記軸部及び前記軸穴のうちいずれか一方は前記従動歯車に設けられ、他方は前記ベース部材に設けられており、
さらに、前記駆動歯車から駆動力を受けて前記従動歯車が回転するときに前記軸部と前記軸穴とが摺接する摺接部であって、前記軸部及び前記軸穴のうち前記ベース部材に設けられた部位には、前記摺接部を潤滑する潤滑剤が充填される溝部が設けられていることを特徴とする歯車機構。
【請求項2】
前記軸穴は、長径方向の寸法が前記軸部の直径寸法より大きい長穴状に形成されており、
さらに、前記軸部は、前記軸穴内を前記長径方向に移動可能であって、前記駆動歯車から駆動力を受けて前記従動歯車が回転するときには、前記軸穴のうち長径方向一端側に位置し、当該一端側の前記摺接部に前記溝部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の歯車機構。
【請求項3】
前記軸部は前記従動歯車に設けられ、かつ、前記軸穴は前記ベース部材に設けられ、
前記軸穴のうち前記溝部が設けられた長径方向一端側に前記軸部が位置したときは、前記従動歯車は第2の従動歯車と噛み合って前記駆動歯車から受けた駆動力を前記第2の従動歯車に伝達し、
一方、前記軸穴のうち長径方向他端側に前記軸部が位置したときには、前記従動歯車は、前記第2の従動歯車から離間して両歯車の噛み合いが解除されることを特徴とする請求項2に記載の歯車機構。
【請求項4】
前記軸部又は前記軸穴の軸方向と直交する方向であって、前記軸部又は前記軸穴の軸中心線に向かって前記溝部を見得る方向を矢視方向と呼ぶとき、
前記溝部は、前記矢視方向に見て、前記軸方向に対して傾いていることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯車機構。
【請求項5】
前記矢視方向に見たときの前記溝部と前記軸方向とのなす角を傾斜角と呼ぶとき、
前記溝部は、少なくとも、第1の傾斜角を有する第1溝部及び前記第1の傾斜角と異なる第2の傾斜角を有する第2溝部を有して構成されていることを特徴とする請求項4に記載の歯車機構。
【請求項6】
前記溝部は、前記矢視方向に見て、前記軸方向の端部側から前記軸方向中央部側に向かうほど、前記従動歯車の回転方向前進側にずれるように前記軸方向に対して傾いていることを特徴とする請求項4又は5に記載の歯車機構。
【請求項7】
前記軸部の外周面及び前記軸穴の内周面は、樹脂製であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の歯車機構。
【請求項8】
駆動歯車から駆動力を受けて回転する従動歯車と、この前記従動歯車を支持するベース部材とを備える歯車機構であって、
軸部とこの軸部が回転可能に嵌り込む軸穴とを有し、前記従動歯車を前記ベース部材に回転可能に組み付ける軸受機構を備え、
前記軸部の外周面及び前記軸穴の内周面うち少なくとも一方には、前記軸部と前記軸穴との摺接部を潤滑する潤滑剤が充填される溝部が設けられており、
さらに、前記軸部又は前記軸穴の軸方向と直交する方向であって、前記軸部又は前記軸穴の軸中心線に向かって前記溝部を見得る方向を矢視方向と呼ぶとき、前記溝部は、前記矢視方向に見て、前記軸方向に対して傾いていることを特徴とする歯車機構。
【請求項9】
シートに画像形成する画像形成手段と、
回転体に駆動力を伝達する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の歯車機構と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
駆動歯車から駆動力を受けて回転する従動歯車と、当該従動歯車を支持するベース部材とを有する歯車機構であって、
軸部とこの軸部が回転可能に嵌り込む軸穴とを有し、前記従動歯車を前記ベース部材に回転可能に組み付ける軸受機構を備え、
前記軸部及び前記軸穴のうちいずれか一方は前記従動歯車に設けられ、他方は前記ベース部材に設けられており、
さらに、前記駆動歯車から駆動力を受けて前記従動歯車が回転するときに前記軸部と前記軸穴とが摺接する摺接部であって、前記軸部及び前記軸穴のうち前記ベース部材に設けられた部位には、前記摺接部を潤滑する潤滑剤が充填される溝部が設けられていることを特徴とする歯車機構。
【請求項2】
前記軸穴は、長径方向の寸法が前記軸部の直径寸法より大きい長穴状に形成されており、
さらに、前記軸部は、前記軸穴内を前記長径方向に移動可能であって、前記駆動歯車から駆動力を受けて前記従動歯車が回転するときには、前記軸穴のうち長径方向一端側に位置し、当該一端側の前記摺接部に前記溝部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の歯車機構。
【請求項3】
前記軸部は前記従動歯車に設けられ、かつ、前記軸穴は前記ベース部材に設けられ、
前記軸穴のうち前記溝部が設けられた長径方向一端側に前記軸部が位置したときは、前記従動歯車は第2の従動歯車と噛み合って前記駆動歯車から受けた駆動力を前記第2の従動歯車に伝達し、
一方、前記軸穴のうち長径方向他端側に前記軸部が位置したときには、前記従動歯車は、前記第2の従動歯車から離間して両歯車の噛み合いが解除されることを特徴とする請求項2に記載の歯車機構。
【請求項4】
前記軸部又は前記軸穴の軸方向と直交する方向であって、前記軸部又は前記軸穴の軸中心線に向かって前記溝部を見得る方向を矢視方向と呼ぶとき、
前記溝部は、前記矢視方向に見て、前記軸方向に対して傾いていることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯車機構。
【請求項5】
前記矢視方向に見たときの前記溝部と前記軸方向とのなす角を傾斜角と呼ぶとき、
前記溝部は、少なくとも、第1の傾斜角を有する第1溝部及び前記第1の傾斜角と異なる第2の傾斜角を有する第2溝部を有して構成されていることを特徴とする請求項4に記載の歯車機構。
【請求項6】
前記溝部は、前記矢視方向に見て、前記軸方向の端部側から前記軸方向中央部側に向かうほど、前記従動歯車の回転方向前進側にずれるように前記軸方向に対して傾いていることを特徴とする請求項4又は5に記載の歯車機構。
【請求項7】
前記軸部の外周面及び前記軸穴の内周面は、樹脂製であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の歯車機構。
【請求項8】
駆動歯車から駆動力を受けて回転する従動歯車と、この前記従動歯車を支持するベース部材とを備える歯車機構であって、
軸部とこの軸部が回転可能に嵌り込む軸穴とを有し、前記従動歯車を前記ベース部材に回転可能に組み付ける軸受機構を備え、
前記軸部の外周面及び前記軸穴の内周面うち少なくとも一方には、前記軸部と前記軸穴との摺接部を潤滑する潤滑剤が充填される溝部が設けられており、
さらに、前記軸部又は前記軸穴の軸方向と直交する方向であって、前記軸部又は前記軸穴の軸中心線に向かって前記溝部を見得る方向を矢視方向と呼ぶとき、前記溝部は、前記矢視方向に見て、前記軸方向に対して傾いていることを特徴とする歯車機構。
【請求項9】
シートに画像形成する画像形成手段と、
回転体に駆動力を伝達する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の歯車機構と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−174577(P2011−174577A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40497(P2010−40497)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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