説明

水陸両用車の懸架装置及び底部構造

【課題】陸上や海上の性能・信頼性を損なうことなく、海上抵抗を減少した水陸両用車の懸架装置を提供する。
【解決手段】サスペンションシリンダ6と、サスペンションシリンダ6の昇降をガイドするロアアーム13と、ピストンの上端支持部の外側面及びピストン本体の下部でシリンダの第1の油室側に開口部を各々有する第1の油穴と、上端支持部外側面及びピストンロッドの下部外周でシリンダの第2の油室側に開口部を有する第2の油穴と、第1、第2の油穴の上端支持部の開口部にパイプを介して並列に接続された開閉バルブ及びポンプと、タイヤハウス部3の下部の開口部をふさぐように設けられ、ロアアーム13に取り付けられた第1のふさぎ板15と、この第1のふさぎ板15の両側に設けられ、開口部の底部と側部に各々固定された第2、第3のふさぎ板16、17を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水陸両用車の懸架装置に関し、特に、陸上や海上の性能・信頼性を損なうことなく、海上抵抗を減少するようにしたストラット式のハイドロニューマチック懸架装置及び底部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水陸両用車の懸架装置は、車体に形成された懸架装置支持室内に、サスペンションシリンダの上端部を揺動自在に支持する支持ブラケットを設け、この懸架装置支持室の底板にサスペンションシリンダが遊嵌する貫通孔を形成するとともに、この貫通孔とサスペンションシリンダとの間を防水する弾性ブーツ材を設け、前記懸架装置支持室を外部および車体4内に対して防水構造としている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の車両用油圧式サスペンションストラットは、油圧液が入ったシリンダと、シリンダ内で可動でシリンダ内に第1チャンバ及び第2チャンバを定めるピストンと、第1チャンバと第2チャンバとの間の液の流れを制御する第1オン/オフ弁と、第1チャンバ及び前記第2チャンバの一方のみと連通する第2オン/オフ弁と、第1チャンバ及び第2チャンバの少なくとも一方と連通するガス充填油圧アキュムレータとを備えている。そして、ポンプ及び弁を用いて、ホイールのサスペンションアームを、通常の路上走行を超えて引き込むことが可能である(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、従来のハイドロニューマチックサスペンションは、窒素ガスなどによるスプリング作用と、油圧シリンダーのダンパー作用によってサスペンションとして機能させており、各輪のサスペンションシリンダー単体で機能させるものと、アキュムレーターを備えているものがある。単体で機能させる場合、サスペンションシリンダーは内部にガス室が設けられ、窒素ガスが満たされている。シリンダー側とロッド側がそれぞれアクスルとシャシーに接続され、アクスルが衝撃を受けると、窒素ガスが圧縮されてスプリング作用が得られる。アキュムレーターを使用する場合は、内部の油圧がアキュムレ一夕一に導かれており、アキュムレ一夕ーはシリンダーとピストンで構成され、ピストンの片側には油圧、もう片側には窒素ガスが満たされている。サスペンションシリンダーが圧縮されると、アキュムレーター内のピストンに油圧がかかるが、ピストン反対側の窒素ガスによってスプリング作用が得られる(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、従来の車高調整は、油圧ジャッキ式やハイドロニューマチックサスペンション式等があり、油圧ジャッキ式では車高を上昇させるには、ポンプを正転してで油をジャッキに送り、車高を低下させるときは、ポンプを逆転してで油をジャッキから排出している。ハイドロニューマチックサスペンション式では、車高を上昇させるには、モータでポンプを駆動し、レベリングバルブとゲートバルブを開いて、各シリンダに油を供給し、車高を低下させるときは、制御バルブとリターンバルブを開いてシリンダ内の油をリザーバーに排出している。(例えば、非特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】実開平5−26517号公報(段落0007〜0012、図1)
【特許文献2】特表2003−529487号公報(段落0032〜0035、図2、図3)
【非特許文献1】GP企画センター、「建設車両の仕組みと構造」、株式会社グランプリ出版、2001.2.12、P.186〜187
【非特許文献2】カヤバ工業株式会社、「自動車のサスペンション」、株式会社山海堂発行、2005.1.5、P.241〜244
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の懸架装置では、海上航走時はタイヤに荷重がなくなるので、サスペンションがストローク一杯まで伸びた状態になってしまい、タイヤが水陸両用車の底部から大きく出た状態になるため海上走行時の抵抗が大きいという問題があった。
また、タイヤハウス部の下面は開放されていたので、海上航走時はタイヤハウス部に海水が入り込んで生じる渦が抵抗になるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2の油圧式サスペンションストラットでは、アキュムレータはサスペンションと別置の構成であり、水陸両用車では、海上での抵抗や腐食を考えれば、サスペンションは車外、アキュムレータは船内に配置するのが望ましいが、その結果、サスペンションからアキュムレータまでの距離が長くなり陸上でのサスペンション性能に悪影響があるという問題があった。
また、この油圧式サスペンションストラットは、ダブルウイッシュボーン式の懸架装置を前提にしていると推察され、車体外側に設けられるリンクが多くあるので、海中では信頼性が低下し、また、グリス等の潤滑が用いられているのでグリス等による海洋汚染の恐れがあるという問題があった。
【0009】
また、非特許文献1のハイドロニューマチックサスペンションでは、車高調整機構を示すものであり、これはタイヤに荷重が加わっている場合のみ機能するもので、海水中の場合のようにタイヤに荷重がない場合は機能しないという問題があった。
【0010】
また、非特許文献2の油圧ジャッキ式の車高調整は、簡単な構成であるが、それ自身にはサスペンション能力はなく、ハイドロニューマチックサスペンション式の車高調整の構成は非常に複雑であり、特に、水陸両用車のように6輪もあると、従来の方法では、サスペンションのストロークまたは姿勢を検出してポンプあるいはバルブの制御を各車輪ごとに行う必要があり、複雑な装置となる問題があった。
【0011】
この発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、簡単な構成により、陸上や海上の性能・信頼性を損なうことなく、海上抵抗を減少し、また、陸上での車高調整ができる水陸両用車の懸架装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、下端部がタイヤの支持部材に連結されたシリンダ及び上端支持部が車体に支持され、前記シリンダ内を往復摺動可能に設けられたピストンからなるサスペンションシリンダを備え、前記ピストンは、内部にアキュムレータ部を有するピストンロッドと、
このピストンロッドに設けられ前記シリンダ内を第1、第2の油室に区分するピストン本体と、から構成され、前記第1、第2の油室を接続する連通路と、 この連通路に接続された開閉バルブと、この開閉バルブに並列接続された送油手段と、を備え、陸上の走行では、前記開閉バルブは開、前記油送手段は停止として懸架動作を行い、海上では、前記開閉バルブは閉とし、前記油送手段を作動させ、油が前記第1の油室から前記第2の油室に流れるようにして、前記サスペンションシリンダを縮ませて前記タイヤを持ち上げるものである。
【0013】
また、前記油送手段は、シリンダと、ポンプ室と駆動室に区分するピストンとからなる往復ポンプと、この往復ポンプを駆動させる切替弁と、を備え、前記タイヤを持ち上げるときは、前記切替弁から前記往復ポンプの駆動室に油圧を送ることにより、前記ピストンが押され、前記第1の油室から前記第2の油室に前記油が流れて、前記サスペンションシリンダを縮ませ、持ち上げた前記タイヤをもとに戻すときは、前記開閉バルブを開とし、前記切替弁から前記駆動室に油圧を送らないようにすると、前記アキュムレータ部のガス圧で前記ピストンが戻り、前記第1,第2の油室から前記油が前記往復ポンプの前記ポンプ室に流れて、前記サスペンションシリンダを伸ばすものである。
【0014】
また、前記油送手段は、シリンダと、ポンプ室と駆動室に区分するピストンとからなる往復ポンプと、この往復ポンプを駆動させる切替弁と、を備え、陸上走行状態で、車高を上げるときは、前記開閉バルブが開の状態で、前記切替弁から前記往復ポンプの駆動室に油圧を送ることにより、前記ピストンが押され、前記ポンプ室の油が前記第1,第2の油室に流し、車高を下げるときは、前記開閉バルブが開の状態で、前記切替弁から前記駆動室の油圧を排出して、前記ピストンを戻すことにより、前記第1,第2の油室からの油を前記ポンプ室に戻すものである。
【0015】
また、前記油送手段を回転ポンプとし、海上で持ち上げた前記タイヤをもとに戻すときは、前記開閉バルブを開とすれば、油が前記第2の油室から前記第1の油室に流れ、前記サスペンションシリンダを伸ばすものである。
【0016】
また、前記連通路は、前記ピストンロッドに設けられ、前記上端支持部の外側面及び前記ピストン本体の下部の前記第1の油室側に開口部を各々有する第1の油穴と、前記上端支持部外側面及び前記ピストンロッドの下部外周の前記第2の油室側に開口部を有する第2の油穴と、前記ピストンの前記第1、第2の油穴の開口部を接続するパイプと、を備えたものである。
【0017】
また、請求項1〜5のいずれかに記載の水陸両用車の懸架装置を備えた前記水陸両用車の底部構造において、後端部が前記車体の下部に、先端部が前記支持部材に上下方向に揺動自在に連結され前記サスペンションシリンダの昇降をガイドするロアアームと、前記タイヤ及び前記サスペンションシリンダを覆うタイヤハウス部の下部の開口部に、前記タイヤの背面側をふさぐように設けられたふさぎ板と、を備え、前記ふさぎ板は、前記ロアアームに取り付けられた第1のふさぎ板と、この第1のふさぎ板の両側に設けられ、前記開口部の底部と側部に各々固定された第2、第3のふさぎ板とから構成され、海上走行のときに、前記サスペンションシリンダによりタイヤが持ち上げられたときに連動して前記ロアアームの前記先端部が上昇すると、前記ロアアームに取り付けられた第1のふさぎ板が、第2、第3のふさぎ板と同じ高さになり、第1のふさぎ板と第2、第3のふさぎ板との隙間をふさぐようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、下端部がタイヤの支持部材に連結されたシリンダ及び上端支持部が車体に支持され、シリンダ内を往復摺動可能に設けられたピストンからなるサスペンションシリンダを備え、ピストンは、内部にアキュムレータ部を有するピストンロッドと、このピストンロッドに設けられシリンダ内を第1、第2の油室に区分するピストン本体と、から構成され、第1、第2の油室を接続する連通路と、この連通路に接続された開閉バルブと、この開閉バルブに並列接続された送油手段と、を備え、陸上の走行では、開閉バルブは開、油送手段は停止として懸架動作を行い、海上では、開閉バルブは閉とし、油送手段を作動させ、油が第1の油室から第2の油室に流れるようにして、サスペンションシリンダを縮ませてタイヤを持ち上げるので、従来のハイドロニューマチックサスペンションの油圧液の流路にタイヤ引き上げ駆動手段を設けるだけの簡単な構成により、陸上や海上の性能・信頼性を損なうことなく、海上抵抗を減少することができる。
【0019】
また、油送手段は、シリンダと、ポンプ室と駆動室に区分するピストンとからなる往復ポンプと、この往復ポンプを駆動させる切替弁と、を備え、タイヤを持ち上げるときは、切替弁から往復ポンプの駆動室に油圧を送ることにより、ピストンが押され、第1の油室から第2の油室に油が流れて、サスペンションシリンダを縮ませ、持ち上げたタイヤをもとに戻すときは、開閉バルブを開とし、切替弁から駆動室に油圧を送らないようにすると、アキュムレータ部のガス圧でピストンが戻り、第1,第2の油室から油が往復ポンプのポンプ室に流れて、サスペンションシリンダを伸ばすので、簡単な構成により、油の外部漏れをのほとんどなくすことができ、陸上や海上の性能・信頼性を損なうことなく、海上抵抗を減少することができる。
また、往復ポンプの戻りにアキュムレータ部のガス圧を利用したので、簡単なシステムとすることができる。
また、タイヤを持ち上げた後、アキュムレータ部のガス圧、第1、第2の油室内の油量は当初の状態のままで、特別な制御をしなくてももとの状態に戻すことができる。
【0020】
また、油送手段は、シリンダと、ポンプ室と駆動室に区分するピストンとからなる往復ポンプと、この往復ポンプを駆動させる切替弁と、を備え、陸上走行状態で、車高を上げるときは、開閉バルブが開の状態で、切替弁から往復ポンプの駆動室に油圧を送ることにより、ピストンが押され、ポンプ室の油が第1,第2の油室に流し、車高を戻すときは、開閉バルブが開の状態で、切替弁から駆動室の油圧を排出して、ピストンを戻すことにより、第1,第2の油室からの油をポンプ室に戻すので、往復ポンプのピストン本体のストロークを設定しておけば、特別な制御をしなくても、その分だけ車高を設定分だけ上下でき、もとの車高に戻すには、開閉バルブを開にして、切替弁により当初の状態にすることができる。
【0021】
また、油送手段を回転ポンプとし、海上で持ち上げたタイヤをもとに戻すときは、開閉バルブを開とすれば、油が第2の油室から第1の油室に流れ、サスペンションシリンダを伸ばすので、簡単な構成により、陸上や海上の性能・信頼性を損なうことなく、海上抵抗を減少することができる。
【0022】
また、連通路は、ピストンロッドに設けられ、上端支持部の外側面及びピストン本体の下部の第1の油室側に開口部を各々有する第1の油穴と、上端支持部外側面及びピストンロッドの下部外周の第2の油室側に開口部を有する第2の油穴と、ピストンの第1、第2の油穴の開口部を接続するパイプと、を備えたので、コンパクトな構成とすることができる。
【0023】
また、後端部が車体の下部に、先端部が支持部材に上下方向に揺動自在に連結されサスペンションシリンダの昇降をガイドするロアアームと、タイヤ及びサスペンションシリンダを覆うタイヤハウス部の下部の開口部に、タイヤの背面側をふさぐように設けられたふさぎ板と、を備え、ふさぎ板は、ロアアームに取り付けられた第1のふさぎ板と、この第1のふさぎ板の両側に設けられ、開口部の底部と側部に各々固定された第2、第3のふさぎ板とから構成され、海上走行のときに、サスペンションシリンダによりタイヤが持ち上げられたときに連動してロアアームの先端部が上昇すると、ロアアームに取り付けられた第1のふさぎ板が、第2、第3のふさぎ板と同じ高さになり、第1のふさぎ板と第2、第3のふさぎ板との隙間をふさぐようにしたので、付加機構なしで簡単な構成により、性能・信頼性を損なうことなく海水の渦を防ぎ、抵抗を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態を示す水陸両用車の懸架装置の陸上走行時の断面図と背面図、図2は図1の上面図、図3は図1の部分底面図斜視図である。
【0025】
水陸両用車は、図示してないが車体の前部および後部にはエンジンにより駆動される左右一対の走行用の前後のタイヤがそれぞれタイヤハウス部内に配置され、車体の後部には航行用のプロペラあるいはウオータージェット等が配置されている。
図1(a)は懸架装置の断面図、図1(b)は懸架装置の背面図である。図1(a)、(b)、図3において、懸架装置1は、ストラット式のハイドロニューマチック懸架装置であり、タイヤ2を覆うタイヤハウス部3の上部の車体4に設けられた懸架装置支持室5内に、サスペンションシリンダ6の上端支持部7が支持ピン21を介して支持ブラケット22に揺動自在に支持され、サスペンションシリンダ6の下端部8の取付部23が、最終減速機およびブレーキを内蔵した支持部材であるギヤケース9に連結されている。このギヤケース9は、アクスルシャフト10が車体4の中央に配置されたディファレンシャル装置11にユニバーサルジョイント12等を介して連結され、また、後端部13aがディファレンシャル装置11に回転可能に支持され、先端部13bがディファレンシャル装置11に上下方向に揺動自在に連結されたロアアーム13により昇降がガイドされている。
なお、懸架装置支持室5を区分するタイヤハウス部3上部に形成されたサスペンションシリンダ6遊嵌用の貫通孔20はサスペンションシリンダ6の周囲を環状の弾性ブーツ材33等が取り付けられ、貫通孔20が防水されている。
【0026】
タイヤハウス部3は、タイヤ2の上半分及びサスペンションシリンダ6を覆っているが、タイヤハウス部3の下部はコの字状に形成された開口部14をなし、この開口部14に沿った形状に形成された底板18の周縁部が接合されている。
また、タイヤハウス部3の車体の側板19側は、タイヤ2の外径より大きい略半円状に開口している。
そして、この開口部14にタイヤ2の背面側をふさぐ第1、第2、第3のふさぎ板15、16、17が設けられている。
第1のふさぎ板15はロアアーム13の下面に取り付けられ、第2、第3のふさぎ板16、17は、第1のふさぎ板15の両側に、第1のふさぎ板15の両端面と第2、第3のふさぎ板16、17の端面が各々滑らかに密接するようにして設けられ、タイヤハウス部3の下部の開口部14のタイヤ2の背面側と対向する側とタイヤ2のタイヤのトレッド部側に対向する側に各々下面が水陸両用車の底部の底板18の下面と滑らかな面で接続されるように固定されている。
【0027】
次に、サスペンションシリンダ6の構造について図4、5により説明する。
図4はこの発明の水陸両用車が陸上走行時に懸架装置のタイヤが上下に揺動するときのサスペンションシリンダの概略構成を示す断面図、図5は水陸両用車の懸架装置の海上航走時に、タイヤを持ち上げた時のサスペンションシリンダの概略構成を示す断面図である。
【0028】
図4において、サスペンションシリンダ6は、ハイドロニューマチック式であり、シリンダ24と、上端支持部7が車体4に揺動自在に支持され、サスペンションシリンダ6内を往復摺動可動に設けられ、内部にアキュムレータ部30を有するピストン29から構成される。
【0029】
シリンダ24は、下部が有底で筒状をなすシリンダ本体25及びシリンダ本体25の開口部を閉塞し、後述のピストンロッド31が挿入される穴を有する蓋26を有し、内部に第1の油室27と第2の油室28が設けられている。
ピストン29は、上部が有底で下部に開口した筒状の側壁内の上部に設けられたアキュムレータ部30を有するピストンロッド31と、このピストンロッド31の下端部の側壁外周に設けられ、シリンダ24内に往復摺動可能に収挿されるとともに、ピストンロッド31内の下部とシリンダ24内の下部を第1の油室27、シリンダ24内の上部でピストンロッド31の外周側を第2の油室28に区分するピストン本体32から構成される。
なお、アキュムレータ部30には窒素ガスが充填され、ピストンロッド31内の下部は油室でありシリンダ24の第1の油室27に連通しており第1の油室である。
また、ピストン29には、油室27から油室28へ通となるの逆止弁42が組込まれている。
【0030】
また、ピストンロッド31の側壁内に設けられ、側壁下端部の第1の油室27側に開口する下部開口部35a及びピストンロッド31の上端支持部7の外側面に開口する上部開口部35bを各々有する第1の油穴35と、ピストンロッド31の側壁内に設けられ、ピストン本体32の上面に近接したピストンロッド31の外周側面で第2の油室28側に開口する下部開口部36a及び上端支持部7の外側面に開口する上部開口部36bを各々有する第2の油穴36とが設けられている。また、上端支持部7にピン穴37が設けられている。
【0031】
さらに、ピストン29の第1、第2の油穴35、36の各々の上部開口部35b、36bにパイプ38を介して開閉バルブ39及び絞り弁43が接続され、開閉バルブ39にパイプ40を介して送油手段である回転ポンプ41が並列に接続されている。
【0032】
次に、この発明の水陸両用車の懸架装置の動作について図1、3〜6 により説明する。
まず、陸上走行時は、図4においてサスペンションシリンダ6の開閉バルブ39は開、回転ポンプ41は停止とする。
水陸両用車が、凹凸の道路を走行すると、タイヤ2からの振動あるいは衝撃等の荷重がタイヤ2が連結されたギヤケース9からサスペンションシリンダ6に作用するが、このときの荷重は、ピストンロッド31のアキュムレータ部30の窒素ガスとシリンダ24の第1の油室27の油で吸収され、シリンダ24は上下方向に摺動する。タイヤが道路の凸部を通過するときは、シリンダ24が上方向に摺動すると、図4の実線の矢印に示すように、シリンダ24の第1の油室27の油の一部は第1の油穴35の下部開口部35aから第1の油穴35に流入し、第1の油穴35、上部開口部35b、パイプ38、開閉バルブ39、パイプ38、上部開口部36b、第2の油穴36、下部開口部36aを介して第2の油室28に流れ込む。
また、急激にサスペンションシリンダ6が圧縮される場合は、逆止弁42で油室27
から油室28へ油を補給することで、油室28が負圧になるのを防止する。
【0033】
次に、タイヤが道路の凹部を通過するときは、タイヤ2からの荷重がサスペンションシリンダ6に作用せず、油が凸部とは逆に流れ、図4の点線の矢印に示すように、シリンダ24の第2の油室28の油の一部は第1の油室27に流れ込み、シリンダ24が下方向に摺動する。このようにサスペンションシリンダ6は上下に伸縮するが、アキュムレータ部30の窒素ガスや第2の絞り弁43の開口径の大きさで振動等が減衰され下部開口部36aの開口径の大きさで振動等が減衰され過度の振動(上下動)が防止される。
【0034】
また、陸上走行時は、タイヤハウス部3の下部の開口部14においては、図1、3に示すようにサスペンションシリンダ6の伸縮に連動してロアアーム13の先端部13bが揺動し、ロアアーム13に取り付けられた第1のふさぎ板15が上下に揺動するので、第1のふさぎ板15と第2、第3のふさぎ板16、17は段差が生じ隙間が生じる。
【0035】
次に、海上航走中は、図5において、サスペンションシリンダ6の開閉バルブ39は閉、回転ポンプ41は作動させる。海上では、タイヤ2に荷重がなくなり、シリンダ24が下方向に摺動しようとするが、第1の油室27の油を第2の油室28に送るように回転ポンプ41を作動させると、シリンダ24の第1の油室27の油は下部開口部35a、第1の油穴35、上部開口部35b、パイプ40、回転ポンプ41、パイプ40、上部開口部36b、第2の油穴36、下部開口部36aを介して第2の油室28に流れ込み、第2の油室28の油圧により、シリンダ24は上方に持ち上げられ、タイヤ2が上方に持ち上げられる。
【0036】
なお、海上航走時、座礁の危険がある場合は、開閉バルブ39を閉として、回転ポンプ41で第2の油室28から第1の油室27へ油を送ることでタイヤ2を出すことができる。
【0037】
次に、この発明の水陸両用車のタイヤハウスの下部の開口部をふさぐふさぎ板の動作について図1〜3、6により説明する。
図6はこの発明の実施の形態を示す水陸両用車の懸架装置の海上航走時に、タイヤを持ち上げた時の水陸両用車の懸架装置の断面図と背面図であり、図6(a)は懸架装置の断面図、図6(b)は懸架装置の背面図である。
陸上走行時は、図1〜3に示すようにサスペンションシリンダ6が伸縮しており、それに連動してロアアーム13の先端部13bが揺動し、第1のふさぎ板15が上下に揺動するので、第1のふさぎ板15と第2、第3のふさぎ板16、17は段差が生じ隙間が生じている。
【0038】
海上航走時は図6(a)、図6(b)に示すように、タイヤハウス部3の下部の開口部14においては、サスペンションシリンダ6によりタイヤ2が持ち上げられると、それに連動してロアアーム13の先端部13bが上昇することにより、ロアアームに取り付けられた第1のふさぎ板15が、第2、第3のふさぎ板16,17と同じ高さになり、第1のふさぎ板15と第2、第3のふさぎ板16,17との隙間をふさぐことができる。
第1のふさぎ板15の位置の調整は、サスペンションシリンダ6のストローク、取付位置、回転ポンプ41の作動時間などで行う。
【0039】
持ち上げたタイヤ2を陸上走行時の位置に戻すには、回転ポンプ41を逆回転させ、第2の油室28の油を第1の油室27に送ることによって行う。
または、開閉バルブ39を開、回転ポンプ41は停止させると、アキュムレータ部30の圧力とタイヤ2の重さでサスペンションシリンダ6が自重で下方向に摺動するにつれて、第2の油室28の油が第1の油室27に送られ陸上走行時の位置に戻すようにしてもよい。
【0040】
次に、上記のようにふさぎ板の有無と、サスペンションシリンダ6によるタイヤ2の持ち上げを行ったときの効果について実験した結果の概要について図7、8により説明する。図7はタイヤ位置による速力と有効馬力を水槽試験結果を示す図、図8はふさぎ板の有無による速力と有効馬力を水槽試験結果を示す図である。
【0041】
速力と有効馬力の関係は、海上では三次関数的に増加し、有る速力から急に有効馬力が上昇し目標速力V1付近では速力の変化に対する有効馬力の変化が大きい。
まず、タイヤ2の持ち上げについては、CASE1がタイヤが車両底部約500mm突出、CASE2が車両底部から約300mm突出、CASE3が車両底部とほぼ同一面として、ふさぎ板なしで速力と有効馬力について水槽試験結果を行った結果は、図7に示すように、目標速力V1付近では、CASE1、2の有効馬力の差Aは約7%であり、CASE1、3の有効馬力の差Bは約19%であり、タイヤが車両底部から突出すほど同一速度を出すのに有効馬力が大きくなる。
【0042】
次に、ふさぎ板の有無については、ふさぎ板の長さが800mm、幅が300mmでタイヤハウスの一部をふさいで速力と有効馬力について水槽試験結果を行った結果は、図8に示すように、目標速力V1付近ではCASE2のふさぎ板のあるものは、CASE1のふさぎ板のない場合に比べて有効馬力の差Cは約7%であり、ふさぎ板があると、同一速度を出すのに有効馬力を少なくすることができる。
【0043】
以上のように、内部にアキュムレータ部30を有するピストンロッド31と、このピストンロッド31に設けられシリンダ内を第1、第2の油室27,28に区分するピストン本体45と、から構成され、開閉バルブ39は閉とし、回転ポンプ41を作動させ、油が第1の油室27から第2の油室28に流れるようにして、サスペンションシリンダ6を縮ませてタイヤを持ち上げるので、簡単な構成により、陸上や海上の性能・信頼性を損なうことなく、海上抵抗を減少することができる。
また、海上走行のときに、サスペンションシリンダ6によりタイヤが持ち上げられたときに連動してロアアーム13の先端部が上昇すると、ロアアーム13に取り付けられた第1のふさぎ板15が、第2、第3のふさぎ板16,17と同じ高さになり、第1のふさぎ板15と第2、第3のふさぎ板16,17との隙間をふさぐようにしたので、性能・信頼性を損なうことなく海水の渦を防ぎ、抵抗を減少させることができる。
【0044】
実施の形態2.
実施の形態1では、ピストンの第1、第2の油穴35,36の上部開口部35b、36bにパイプ40を介して回転ポンプ41を接続したが、回転ポンプ41に内部漏れあるいは外部漏れがあるとサスペンションシリンダ6の特性や性能に影響が生じ、特に回転ポンプ41に外部漏れがあると油室27と油室28の総油量が変化してしまうのでサスペンションシリンダ6の特性や性能を維持できない恐れがある。一般の回転ポンプは、ある程度の外部漏れがあるので、本実施の形態では往復ポンプを用いたものである。
また、水陸両用車は車輪が多く、例えば、6輪もある場合があり、車高調整が複雑になるので、本実施の形態では往復ポンプを用いて簡単に行うものである。
【0045】
図9はこの発明の実施の形態2を示す水陸両用車の懸架装置に係り、水陸両用車が陸上走行時に懸架装置のタイヤが上下に揺動するときのサスペンションシリンダの概略構成を示す断面図、図10は、海上航走時に、タイヤを持ち上げた時のサスペンションシリンダの概略構成を示す断面図、図11は、水陸両用車が通常の陸上走行時、タイヤを持ち上げた時、車高を変更するときの開閉弁、切替弁及び往復弁のピストン本体の動作の説明図である。
図9、図10において、図4と同一または相当部分には同一の符号を付し説明を省略する。
【0046】
油送手段である往復ポンプ50は、シリンダ44と、このシリンダ44内に設けられ、シリンダ44をポンプ室51と駆動油室52に区画し、周縁シール53を有するピストン本体45と、ポンプ室51に設けられた吸入口54及び吐出口55とを備えている。
また、パイプ40には、吸入口54側と吐出口55側に各々逆止弁46,47が設けられている。
往復ポンプ50の動力源は、サスペンションシリンダ6内のアキュムレータ部30よりも高い圧が必要であり、例えば、ステアリング系統57の油圧が使用される。
ステアリング系統57の油圧を切換えて往復ポンプ50の駆動油室52に送り、往復ポンプ50を駆動する切替弁48は、4方向4ポート3位置の電磁弁であり、コイルa,bを備えている。切替弁48はコイルaの通電により、ステアリング系統57と往復ポンプ50の駆動油室52とが接続され、コイルbの通電により、駆動油室52と戻し路58を介してオイルタンク59に接続される。
このように、往復ポンプ50、逆止弁46,47、切替弁48は往復ポンプシステム56を構成している。
なお、上部開口部35b、36bにパイプ38を介して接続された開閉バルブ39も電磁弁である。
【0047】
次に、この発明の水陸両用車の懸架装置の動作について図9〜11 により説明する。
図11において、○印は、開閉弁39の場合は開を示し、切替弁48の場合は、コイルaでは、通電によりステアリング系統57の油圧が往復ポンプ50の駆動油室52に送られ、コイルbでは、通電により、戻し路58を介してオイルタンク59に油が戻る場合を示す。
×印は、開閉弁39の場合は閉を示し、切替弁48の場合は、コイルaでは、通電されず、油圧が往復ポンプ50の駆動油室52に送られず、コイルaでは、通電されず駆動油室52からオイルタンク59に油が戻らない場合を示す。
また、往復ポンプ50のピストン本体45の位置Nは通常の車高、Hは高い車高の場合を示す。
【0048】
陸上走行時は、図9においてサスペンションシリンダ6の開閉バルブ39は開とし、切替弁48の電磁弁a,bは通電せず往復ポンプ50は停止とする。
水陸両用車が、凹凸の道路を走行したときの、振動あるいは衝撃等の荷重は、ピストンロッド31のアキュムレータ部30の窒素ガスとシリンダ24の第1の油室27の油で吸収され、シリンダ24は上下方向に摺動する。タイヤが道路の凸部を通過するときは、シリンダ24が上方向に摺動すると、図4の実線の矢印に示すように、シリンダ24の第1の油室27の油の一部は第1の油穴35の下部開口部35aから第1の油穴35に流入し、第1の油穴35、上部開口部35b、パイプ38、開閉バルブ39、パイプ38、上部開口部36b、第2の油穴36、下部開口部36aを介して第2の油室28に流れ込む。
また、急激にサスペンションシリンダ6が圧縮される場合は、逆止弁42で油室27
から油室28へ油を補給することで、油室28が負圧になるのを防止する。
【0049】
次に、タイヤが道路の凹部を通過するときは、タイヤ2からの荷重がサスペンションシリンダ6に作用せず、油が凸部とは逆に流れ、図9の点線の矢印に示すように、シリンダ24の第2の油室28の油の一部は第1の油室27に流れ込み、シリンダ24が下方向に摺動する。このようにサスペンションシリンダ6は上下に伸縮するが、アキュムレータ部30の窒素ガスや第2の絞り弁43の開口径の大きさで振動等が減衰され過度の振動が防止される。
【0050】
次に、通常の走行状態から海上走行をするときに、タイヤを持ち上げる動作について図9〜11により説明する。
まず、図10に示すように、開閉バルブ39を閉とした後、切替弁48のコイルaに通電すると、ステアリング系統57の油圧が往復ポンプ50の駆動油室52に流れ、ピストン本体45を下方に押し、吐出口55から逆止弁47を介して油が吐出され、パイプ40、第2の油穴36を介して第2の油室28に流れ込み、第2の油室28の油圧により、シリンダ24は上方に持ち上げられ、タイヤ2が上方に持ち上げられる。
【0051】
次に、切替弁48のコイルbに通電すると、ステアリング系統57の油圧はピストン本体45に作用しなくなり、ピストン29のアキュムレータ部30のガス圧力でピストン本体45は上方のNに戻され、駆動油室52の油は戻し路58に送られる。そして、シリンダ44のポンプ室51にパイプ38を介して第1油室27からの油が補給される。このように、往復ポンプシステム56では、切替弁48のコイルaとコイルbを交互に通電することで、ピストン本体45が下方、上方に往復運動を繰り返して第1の油室27から第2の油室28に油が送られる。そして、最後は、コイルbを一旦通電し、ピストン本体45を上方の通常の車高位置Nに戻すようにする。
最終状態は図11に示すように、開閉バルブ39は閉、切替弁48のコイルa,bは通電なしで、ピストン本体45の位置は通常位置Nである。
なお、コイルaとコイルbはタイマで切り替えてもよい。
【0052】
通常の陸上走行状態に戻す場合は、開閉バルブ39は開とし、切替弁48のコイルa,bは通電なしのままとすれば、(アキュムレータ部30のガス圧力により)第2の油室28から第1の油室27に油が送られ、図9に示す通常の車高位置Nの陸上走行状態になる。このとき、ピストン本体45の位置は通常位置Nである。
ここで、サスペンションシリンダ6内の油量(第1,第2の油室の油量合計)は、タイヤを持ち上げた時と同じであり、常に一定である。
【0053】
次に、通常の車高位置から車高を高くする場合について説明する。
開閉バルブ39を開とし、切替弁48のコイルaに一定時間通電し、往復ポンプ50のピストン本体45を通常の車高位置Nから高い車高位置Hまで押せば、第1,第2の油室27,28の油量が増加して車高が上がる。車高の高さの調整は、ピストン本体45の高い車高位置Hを変えて行う。
【0054】
高い車高から通常の走行状態に戻すには、開閉バルブ39は開とし、切替弁48のコイルbに一定時間通電して、往復ポンプ50の駆動室油52の油圧を排出し、(アキュムレータ部30のガス圧力により)ピストン本体45を上方の通常の車高位置Nに戻す。
車高変更後の最終状態は、開閉バルブ39は開とし、切替弁48のコイルa、bは通電なしとすると、切替弁48の往復ポンプ50のシリンダ44側の回路は閉となり、車高を保持することができる。
【0055】
以上のように、実施の形態2では、内部にアキュムレータ部30を有するピストンロッド31と、このピストンロッド31に設けられシリンダ内を第1、第2の油室27,28に区分するピストン本体45と、から構成され、開閉バルブ39は閉とし、往復ポンプ50を作動させ、油が第1の油室27から第2の油室28に流れるようにして、サスペンションシリンダ6を縮ませてタイヤを持ち上げるので、簡単な構成により、陸上や海上の性能・信頼性を損なうことなく、海上抵抗を減少することができる。
また、油送手段を往復ポンプ50としたので、シンプルな構成で、且つ、往復ポンプ50から油の外部漏れをのほとんどなくすことができる。
往復ポンプ50とサスペンションシリンダ6内のアキュムレータ部30の窒素ガス圧を組み合わせたシステムとして、往復ポンプ50の戻りにアキュムレータ部30の窒素ガス圧を利用したので、簡単なシステムとすることができる。
また、タイヤを持ち上げた後、アキュムレータ部30のガス圧、サスペンションシリンダ6の第1、第2の油室27,28内の油量は当初の状態のままで、特別な制御をしなくてももとの状態に戻すことができ、開閉バルブ39を通にして、切替弁48のコイルaを一時通電するだけで当初の状態にすることができる。
【0056】
また、車高の高さ調整は、往復ポンプ50のピストン本体45の位置(ストローク)を設定しておけば、特別な制御をしなくても、その分だけ車高を設定分だけ上下でき、もとの車高に戻すには、開閉バルブ39を通にして、切替弁48のコイルbまたはコイルaを一定時間通電するだけで当初の状態にすることができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、タイヤを持ち上げる場合と、車高の変更について示したが、実施の形態1で示した水陸両用車が、道路を走行する場合の動作及び水陸両用車のタイヤハウスの下部の開口部をふさぐふさぎ板の動作は実施の形態1と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の実施の形態1を示す水陸両用車の懸架装置の陸上走行時の断面図と背面図である。
【図2】図1の上面図である。
【図3】図1の部分底面図斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態1を示す水陸両用車が陸上走行時に懸架装置のタイヤが上下に揺動するときのサスペンションの概略構成を示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態1を示す水陸両用車の懸架装置の海上航走時に、タイヤを持ち上げた時のサスペンションの概略構成を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1を示す水陸両用車の懸架装置の海上航走時に、タイヤを持ち上げた時の水陸両用車の懸架装置の断面図と背面図である。
【図7】この発明の実施の形態1、2を示す水陸両用車のタイヤ位置による速力と有効馬力を水槽試験結果を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態1、2を示す水陸両用車のふさぎ板の有無による速力と有効馬力を水槽試験結果を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態2を示す水陸両用車が陸上走行時に懸架装置のタイヤが上下に揺動するときのサスペンションの概略構成を示す断面図である。
【図10】この発明の実施の形態2を示す水陸両用車の懸架装置の海上航走時に、タイヤを持ち上げた時のサスペンションの概略構成を示す断面図である。
【図11】この発明の実施の形態2を示す水陸両用車の懸架装置の陸上走行時、タイヤを持ち上げた時、車高変更時の開閉弁、切替弁及び往復弁のピストン本体の動作の説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 懸架装置、2 タイヤ、3 タイヤハウス部、4 車体、6 サスペンションシリンダ、7 上端支持部、8 下端部、13 ロアアーム、13a 後端部、13b 先端部、14 開口部、15 第1のふさぎ板、16 第2のふさぎ板、17 第3のふさぎ板、18 底板、24 シリンダ、25 シリンダ本体、27 第1の油室、28 第2の油室、29 ピストン、30 アキュムレータ部、31 ピストンロッド、32 ピストン本体、35 第1の油穴、35a 下部開口部、35b 上部開口部、36 第2の油穴、36a 下部開口部、36b 上部開口部、39 開閉バルブ、40 パイプ、41 回転ポンプ、44 シリンダ、45 ピストン本体、48 切替弁、50 往復ポンプ、51 ポンプ室、52 駆動油室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部がタイヤの支持部材に連結されたシリンダ及び上端支持部が車体に支持され、前記シリンダ内を往復摺動可能に設けられたピストンからなるサスペンションシリンダを備え、
前記ピストンは、内部にアキュムレータ部を有するピストンロッドと、
このピストンロッドに設けられ前記シリンダ内を第1、第2の油室に区分するピストン本体と、から構成され、
前記第1、第2の油室を接続する連通路と、
この連通路に接続された開閉バルブと、
この開閉バルブに並列接続された送油手段と、
を備え、
陸上の走行では、前記開閉バルブは開、前記油送手段は停止として懸架動作を行い、海上では、前記開閉バルブは閉とし、前記油送手段を作動させ、油が前記第1の油室から前記第2の油室に流れるようにして、前記サスペンションシリンダを縮ませて前記タイヤを持ち上げることを特徴とする水陸両用車の懸架装置。
【請求項2】
前記油送手段は、
シリンダと、
ポンプ室と駆動室に区分するピストンとからなる往復ポンプと、
この往復ポンプを駆動させる切替弁と、
を備え、
前記タイヤを持ち上げるときは、前記切替弁から前記往復ポンプの駆動室に油圧を送ることにより、前記ピストンが押され、前記第1の油室から前記第2の油室に前記油が流れて、前記サスペンションシリンダを縮ませ、持ち上げた前記タイヤをもとに戻すときは、前記開閉バルブを開とし、前記切替弁から前記駆動室に油圧を送らないようにすると、前記アキュムレータ部のガス圧で前記ピストンが戻り、前記第1,第2の油室から前記油が前記往復ポンプの前記ポンプ室に流れて、前記サスペンションシリンダを伸ばすことを特徴とする請求項1記載の水陸両用車の懸架装置。
【請求項3】
前記油送手段は、
シリンダと、
ポンプ室と駆動室に区分するピストンとからなる往復ポンプと、
この往復ポンプを駆動させる切替弁と、
を備え、
陸上走行状態で、車高を上げるときは、前記開閉バルブが開の状態で、前記切替弁から前記往復ポンプの駆動室に油圧を送ることにより、前記ピストンが押され、前記ポンプ室の油が前記第1,第2の油室に流し、車高を下げるときは、前記開閉バルブが開の状態で、前記切替弁から前記駆動室の油圧を排出して、前記ピストンを戻すことにより、前記第1,第2の油室からの油を前記ポンプ室に戻すことを特徴とする請求項1記載の水陸両用車の懸架装置。
【請求項4】
前記油送手段を回転ポンプとし、海上で持ち上げた前記タイヤをもとに戻すときは、前記開閉バルブを開とすれば、油が前記第2の油室から前記第1の油室に流れ、前記サスペンションシリンダを伸ばすことを特徴とする請求項1記載の水陸両用車の懸架装置。
【請求項5】
前記連通路は、
前記ピストンロッドに設けられ、前記上端支持部の外側面及び前記ピストン本体の下部の前記第1の油室側に開口部を各々有する第1の油穴と、
前記上端支持部外側面及び前記ピストンロッドの下部外周の前記第2の油室側に開口部を有する第2の油穴と、
前記ピストンの前記第1、第2の油穴の開口部を接続するパイプと、
を備えたことを特徴とする請求項1〜4記載の水陸両用車の懸架装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の水陸両用車の懸架装置を備えた前記水陸両用車の底部構造において、
後端部が前記車体の下部に、先端部が前記支持部材に上下方向に揺動自在に連結され前記サスペンションシリンダの昇降をガイドするロアアームと、
前記タイヤ及び前記サスペンションシリンダを覆うタイヤハウス部の下部の開口部に、前記タイヤの背面側をふさぐように設けられたふさぎ板と、
を備え、
前記ふさぎ板は、前記ロアアームに取り付けられた第1のふさぎ板と、
この第1のふさぎ板の両側に設けられ、前記開口部の底部と側部に各々固定された第2、第3のふさぎ板とから構成され、
海上走行のときに、前記サスペンションシリンダによりタイヤが持ち上げられたときに連動して前記ロアアームの前記先端部が上昇すると、前記ロアアームに取り付けられた第1のふさぎ板が、第2、第3のふさぎ板と同じ高さになり、第1のふさぎ板と第2、第3のふさぎ板との隙間をふさぐようにしたことを特徴とする水陸両用車の底部構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−149238(P2009−149238A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330380(P2007−330380)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)
【Fターム(参考)】