説明

波長検出装置、圧力検出装置、除振装置、および露光装置

【課題】波長変化の検出精度を向上させる波長検出装置、圧力検出装置、除振装置、および露光装置を提供する。
【解決手段】前記光源部から射出される光を複数の光に分離し、当該分離した複数の光のうち少なくとも2つの光を干渉させる光学部と、前記干渉によって得られた干渉光を受光する受光部と、前記受光部によって受光された干渉光の干渉強度を検出する検出部とを備え、前記光学部は、前記干渉させる2つの光のうちいずれか一方の光を測定対象となる媒質に透過させる測定媒質部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長の変化を検出できる波長検出装置、圧力検出装置、除振装置、および露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中にレーザ光線を射出させる場合、空気(大気)の温度、気圧、湿度等が変動するとレーザ光線の光路上の空気の屈折率が変動し、レーザ光線の波長が変動する可能性がある。そこで、波長トラッカー等を用いて空気の屈折率の変動を検出し、屈折率の変動に基づく測定誤差を補正する干渉計測定装置がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−44506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したレーザ光線は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの半導体装置などを製造する場合の露光処理においても用いられている。
ところで、近年、半導体装置等における回路パターンの微細化に伴い、この半導体装置を製造する場合の露光処理に用いられるレーザ光線の精度は、より高いものが求められてきている。
そのため、上述した屈折率の変動によるレーザ光線の波長の変動を検出する装置にも、より高い精度のものが求められてきている。
しかしながら、従来の波長検出装置では十分な検出精度を実現することができず、高精度な波長検出装置への要求に対して十分に応えることができていないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題を考慮してなされたものであって、その目的は、波長変化の検出精度を向上させる波長検出装置、圧力検出装置、除振装置、および露光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の実施態様は、前記光源部から射出される光を複数の光に分離し、当該分離した複数の光のうち少なくとも2つの光を干渉させる光学部と、前記干渉によって得られた干渉光を受光する受光部と、前記受光部によって受光された干渉光の干渉強度を検出する検出部とを備え、前記光学部は、前記干渉させる2つの光のうちいずれか一方の光を測定対象となる媒質に透過させる測定媒質部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、波長検出の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の波長検出装置に係る第1の実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の波長検出装置に係る第2の実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明の波長検出装置に係る第3の実施形態を示す概略図である。
【図4】本発明の波長検出装置に係る第4の実施形態を示す概略図である。
【図5】本発明の波長検出装置に係る第5の実施形態を示す概略図である。
【図6】本発明の圧力検出装置に係る一実施形態を示す概略図である。
【図7】本発明の露光装置に係る一実施形態を示す概略斜視図である。
【図8】本発明の露光装置に係る制御系の一実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明に係る波長検出装置の一実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る波長検出装置の構成の一例を示す概略図である。なお、本実施形態に係る波長検出装置の位置関係を説明するため、紙面の右方向をX軸の正方向、紙面の下方に向かう方向をY軸の正方向、紙面の裏面から表面に向かう方向をZ軸の正方向として、以下説明する。
図1に示す通り、本実施形態に係る波長検出装置101は、光源部11、光学部材12と、ガラスブロック13と、偏向部14と、干渉用光学部材15と、受光素子16と、検出部17と、測定媒質部18と、基準媒質部19と、を備える。
【0010】
光源部11は、例えば波長λ(=850nm)のレーザ光を射出するレーザ素子であって、レーザ光を光学部材12に向けて射出する。
光学部材12は、例えば、X軸方向に所定のピッチで回折パターンが形成されたプレートからなる透過型の回折格子であって、光源部11から射出されたレーザ光を互いに光路が異なる複数の光に分離し、例えば、−1次回折光である第1の光L1と、+1次回折光である第2の光L2とに分離する。また、光学部材12は、入射した光を複数の光に分離する構成であればよく、回折格子(回折型の位相格子)のほか、ブレーズ型の位相格子、またはビームスプリッタ等が利用できる。
【0011】
ガラスブロック13は、光源部11と受光素子16との間に配置されており、光源部11と対向する側には光学部材12が、受光素子16と対向する側には干渉用光学部材15が設けられている。また、ガラスブロック13は、その内部に互いに向かい合うY−Z平面に平行な一対の偏向部14を備え、光学部材12によって分離された第1の光L1と第2の光L2を偏向部14で偏向して、干渉用光学部材15の干渉領域で第1の光L1と第2の光L2が重なるように干渉用光学部材15に入射させる。さらに、ガラスブロック13は、第1の光L1の光路上に測定媒質部18を、第2の光L2の光路上に基準媒質部19をそれぞれ備える。
また、ガラスブロック13は、光学部材12から干渉用光学部材15までの光路のうち、測定媒質部18および基準媒質部19に対応する部分を除いた光路において、第1の光L1の光路長と第2の光L2の光路長とが同一のなるように構成されており、例えば、一定の屈折率を有するガラスで構成されている。なお、ガラスブロック13は、上述の区間において第1の光L1の光路長と第2の光L2の光路長とが同一となる構成であればよく、屈折率が部分的に異なるものであってもよい。
偏向部14は、例えば、ガラスブロック13に設けられた反射部材であって、第1の光L1と第2の光L2とが干渉用光学部材15の干渉領域において重なるように、第1の光L1および第2の光L2の進行方向を変える。なお、偏向部14は、反射部材に限られず、位相格子やビームスプリッタ等であってもよい。
【0012】
干渉用光学部材15は、第1の光L1と第2の光L2とが重なるように入射する干渉領域を備え、第1の光L1と第2の光L2とに基づく干渉光L12を受光素子16に向けて射出する。また、干渉用光学部材15には、光学部材12と同様に、X軸方向に所定のピッチで回折パターンが形成されている回折格子が利用可能であって、位相格子やビームスプリッタ等も利用可能である。さらに、干渉用光学部材15は、例えば、光学部材12と平行に配置されている。そのため、光学部材12を射出されてから干渉用光学部材15に入射されるまでの第1の光L1が通過する光路に対応する物理的距離と、第2の光L2が通過する光路に対応する物理的距離とが同一となる。干渉用光学部材15としては、ブレーズ型の位相格子、あるいはビームスプリッタ等が利用可能である。
【0013】
受光素子16は、干渉用光学部材15から射出された干渉光L12を受光し、この干渉光L12を光電変換して干渉強度を示す光電変換信号を生成し、検出部17に出力する。
検出部17は、受光素子16から出力された光電変換信号に基づき干渉光L12の干渉強度を検出する。また、検出部17は、この干渉強度に基づき、第1の光L1と第2の光L2の光学的な距離の差(光路差)を算出し、測定媒質部18の屈折率の変化に応じた第1の光L1の波長の変化を検出する。
【0014】
測定媒質部18は、第1の光L1の光路上に配置され、第1の光L1を測定対象である媒質に透過させる。また、測定媒質部18は、第1の光L1の光路のうち物理的な距離Lにおいて第1の光L1が測定対象である媒質を透過するように、測定対象である媒質を収容する。例えば、測定媒質部18は、ガラスブロック13に形成された空洞であって、内部と外部とを媒質が出入りするための開口部を備える。なお、測定対象である媒質とは、第1の光L1の波動が伝播する場となる物質や物体のことであって、少なくとも流体を含むものである。また、本実施形態において、測定対象である媒質は、波長検出装置101が設置される場所の周囲の大気(空気)とする。
【0015】
基準媒質部19は、第2の光L2の光路上に配置され、測定媒質部18内の測定対象である媒質に対して基準となる媒質(以下、基準媒質という)に第2の光L2を透過させる。また、基準媒質部19は、圧力や湿度あるいは温度が安定した基準媒質を封入した状態で密閉されている。さらに、後述する管理環境において、第2の光L2が基準媒質を透過する物理的な距離が、第1の光L1が測定媒質部18を透過する物理的な距離Lと同一となるように、基準媒質部19は基準媒質を収容している。
ここで、基準媒質とは、光学部材12から干渉用光学部材15までの光路において、測定媒質部18を透過する第1の光L1の光路長と、基準媒質部19を透過する第2の光L2の光路長とを近づけるような屈折率を有する媒質である。例えば、波長検出装置101が、一定の温度、湿度および気圧に維持するように管理されている環境に置かれている場合(以下、このような環境を管理環境という)、この管理環境下で、測定対象である媒質の屈折率と同一となる媒質を基準媒質として基準媒質部19内に収容する。よって、基準媒質としては、管理環境下で、測定対象である空気と同じ屈折率を有する空気であってもよく、測定対象である媒質の屈折率と同一となるガラス等の媒質であってもよい。
なお、この基準媒質としては、波長検出装置101の置かれる環境に応じて屈折率が変動する場合であっても、一定の屈折率を有する媒質とすることが望ましい。
さらに、検出部17によって検出される波長の最大値と最小値に対応した、第1の光L1の屈折率の最大値と最小値が予め決まっている場合、この屈折率の最大値と最小値の中間値となる一定の屈折率を第2の光L2から得られるような媒質を基準媒質とするものであってもよい。
【0016】
以下、波長検出装置101の波長検出方法の一例について説明する。
光源部11から射出された光は、光学部材12で−1次回折光である第1の光L1と、+1次回折光である第2の光L2に分離される。この分離された第1の光L1は、Y軸の正方向に進みつつX軸の負方向に進み、偏向部14でX軸の正方向に偏向されて測定媒質部18を透過し、干渉用光学部材15に入射する。一方、分離された第2の光L2は、Y軸の正方向に進みつつX軸の正方向に進み、偏向部14でX軸の負方向に偏向されて基準媒質部19を透過し、第1の光L1と重なるように干渉用光学部材15の干渉領域に入射する。これにより、干渉用光学部材15の干渉領域において重なった第1の光L1と第2の光L2は干渉光L12として受光素子16に入射する。
受光素子16は、入射した干渉光L12を光電変換して干渉強度を示す光電変換信号(検出信号)を生成し、検出部17に出力する。検出部17は、受光素子16から出力された光電変換信号に基づき干渉光L12の干渉強度に基づき、第1の光L1と第2の光L2の光路差を算出して、測定媒質部18の屈折率の変化に応じた第1の光L1の波長の変化を検出する。
【0017】
以下、検出部17によって検出される第1の光L1の波長の変化について具体的に説明する。
ここで、受光素子16によって得られる第1の光L1の光強度Eと第2の光L2の光強度Eは、それぞれ以下に示す式1、式2で表わされる。
【0018】
【数1】

【0019】
【数2】

【0020】
なお、式1および式2において、Lは第1の光L1の光学的な距離(以下、光路長という)を、Lは第2の光L2の光路長をそれぞれ表わし、φは第1の光L1と第2の光L2の位相差を、kは波長(2π/レーザ光の波長)を表わしている。
そして、干渉光L12の干渉強度は、以下に示す式3で表わされる。
【0021】
【数3】

【0022】
この式3より、第1の光L1の光路長Lと第2の光L2の光路長Lとの光路差(L−L)が変化することがわかる。また、周期干渉強度は1波長毎に変化する。つまり、式3に示す干渉強度は、光路差の変化量に応じて変化するため、式3に示す干渉強度の変化を検出することで、光路差の変化量を検出することができる。
【0023】
上述の通り、本実施形態に係る波長検出装置101は、測定媒質部18に第1の光L1を透過させるとともに、第1の光L1と第2の光L2とを干渉させて干渉光L12を得るようにした。また、第1の光L1の光路と第2の光L2の光路を、光源部11から射出される光の光軸に対して線対称とすることで、第1の光L1の光路と第2の光L2の光路の物理的距離が同一となるようにした。以上により、干渉光L12の干渉強度の変化に基づき、分解能を向上させ、測定媒質部18の媒質の屈折率の変化に応じた第1の光L1の波長の変化を高精度に検出できる。
【0024】
また、第2の光L2が、基準媒質部19を介して一定の屈折率となる基準媒質を透過することによって、第2の光L2の干渉強度は、第1の光L1の光との関係において、相対的に一定となる基準値となる。よって、基準媒質部19内の基準媒質の屈折率を、例えば、管理環境下における測定対象である媒質の屈折率とすることによって、第1の光L1と第2の光L2の光路長を近づけることができる。
詳細には、図1に示す例において、光学部材12から干渉用光学部材15までの第1の光L1の光路に対応する物理的距離は、光学部材12から干渉用光学部材15までの第2の光L2の光路に対応する物理的距離と同一である。また、測定媒質部18および基準媒質部19は、それぞれ同じ距離Lだけ第1の光L1の光路上あるいは第2の光L2の光路上のそれぞれに位置されている。以上により、基準媒質部19の基準媒質の屈折率を、例えば、管理環境下の測定対象である媒質の屈折率と同一である場合、第1の光L1の光路長と第2の光L2の光路長とを一致させることができる。このため、測定媒質部18の屈折率が変化した場合であっても、第2の光L2の干渉強度は上述の通り一定の基準値であるため、第1の光L1の干渉強度は第2の光L1の干渉強度に近い値を変動することとなる。
【0025】
このため、光源部11として可干渉距離の小さいレーザダイオードを用いることができ、不要な迷光による干渉を防ぐことができる。また、分解能を向上させることができる。
さらに、光源部11から射出される光の光軸がドリフト(変動)した場合であっても測定値の変化を小さくすることができる。つまり、光源部11から射出される光の光軸がドリフトした場合、第1の光L1および第2の光L2がともに、このドリフトに応じた変化量だけ変動ことにより、検出部17は、このドリフトの影響を殆ど受けずに、第1の光L1と第2の光L2の光路差を検出して測定媒質部18における屈折率の変化に基づく波長変化を高精度に検出することができる。
【0026】
なお、本発明はこれに限られず、例えば以下のような構成であってもよい。光学部材12は、入射した光を複数の光に分離するものであればよくビームスプリッタであってもよい。また、ガラスブロック13は、測定媒質部18および基準媒質部19に対応する光路部分を除いて、第1の光L1と第2の光L2の光路上の屈折率が一定となる構成であればよく、例えば、内蔵するガラス部分に代えて内部を真空状態とする構成、あるいは、測定媒質部18に対応する部分を除いた光路だけを真空状態とするファイバー部材を備える構成であってもよい。さらに、光学部材12と、ガラスブロック13と、偏向部14と、干渉用光学部材15と、測定媒質部18と、基準媒質部19とは、一体的に光学部として形成されていてもよい。
また、本実施形態に係る波長検出装置101は、少なくとも第1の光L1の光路上に測定媒質部18を備えていればよく、基準媒質部19はなくてもよい。
【0027】
[第2実施形態]
次に、図2を参照して、第2実施形態に係る波長検出装置102の一例について説明する。図2は、第2実施形態に係る波長検出装置102の構成の一例を示す概略図である。なお、第1実施形態と同様の機能と構成を有する部材においては同一の名称を付して詳細な説明は省略する。
図2に示す通り、本実施形態に係る波長検出装置102は、光源部11、光学部材12と、ガラスブロック13と、一対の偏向部14と、干渉用光学部材15に加え、振動部材21と、駆動装置21Aと、コリメータレンズ22と、光学部材23と、干渉用光学部材24と、第1の受光素子25と、第2の受光素子26と、検出部27と、測定媒質部28と、基準媒質部29を備える。なお、ここでは、ガラスブロック13の干渉用光学部材24が設けられている一部が、干渉用光学部材24を透過する光の光路長を調整するため、凸状に形成されている。しかし、本発明に係るガラスブロック13はこの凸状部分を有する構成に限られず、凸状を有さないものであってもよい。
【0028】
振動部材21は、光源部11からの光を光学部材12に向けて反射する。振動部材21は、アクチュエータを有する駆動装置21Aによって、Z軸回りの回転方向に周期的に回転振動される。この回転振動により、振動部材21に入射した光の反射方向は、その反射面の向きによって異なることとなり、コリメータレンズ22に入射する光の角度が周期的に変調されるようになる。つまり、振動部材21は、駆動装置21Aによって制御されることにより光を変調する光変調部を構成する。
【0029】
コリメータレンズ22は、振動部材21で反射されたレーザ光を平行光に変換する。
光学部材23は、自身を透過した第1の光L21と第2の光L22とが干渉用光学部材15で重なるようにするとともに、第1の光L21から分離した第3の光L23と、第2の光L22から分離した第4の光L24とが干渉用光学部材24で重なるようにする光学部材であって、例えば、ハーフミラーが利用可能である。
【0030】
光学部材23は、光学部材12によって分離された第1の光L21と第2の光L22が干渉用光学部材15に入射するまでの第1の光L21と第2の光L22の光路上に配置され、第1の光L21の一部を透過して干渉用光学部材15に導くとともに、第1の光L21の一部(以下、第3の光L23という)を反射して干渉用光学部材24に導く。また、光学部材23は、第2の光L22の一部を透過して干渉用光学部材15に導くとともに、第2の光L22の一部(以下、第4の光L24という)を反射して干渉用光学部材24に導く。さらに、光学部材23は、第1の光L21と第2の光L22を干渉領域で重なるように干渉用光学部材15に導くとともに、第3の光L23と第4の光L24を干渉領域で重なるように干渉用光学部材24に導く。
光学部材23は、透過した第1の光L21と第2の光L22が干渉用光学部材15に入射するまでの光路と、反射した第3の光L23と第4の光L24が干渉用光学部材24に入射するまでの光路とが、光学的に共役となるような位置に配置されている。また、光学部材23は、光学部材12を射出してから干渉用光学部材15に入射するまでの第1の光L21の光路に対応する物理的距離と、光学部材12を射出してから干渉用光学部材24に入射するまでの第3の光L23の光路に対応する物理的距離とが同一であり、かつ、光学部材12を射出してから干渉用光学部材15に入射するまでの第2の光L22の光路に対応する物理的距離と、光学部材12を射出してから干渉用光学部材24に入射するまでの第4の光L24の光路に対応する物理的距離とが同一となる位置に位置されている。
【0031】
干渉用光学部材15は、第1の光L21と第2の光L22とが重なるように入射する干渉領域を備え、第1の光L21と第2の光L22に基づく干渉光L212を受光素子25に向けて射出する。
干渉用光学部材24は、第3の光L23と第4の光L24が入射して重なる干渉領域を備え、第3の光L23と第4の光L24に基づく干渉光L234を受光素子26に向けて射出する。また、干渉用光学部材24には、干渉用光学部材15と同様の回折パターンであって、Y軸方向に周期を有する回折パターンが形成されている。干渉用光学部材24は、X−Z方向の平面を有する干渉用光学部材15と直交するY−Z方向の平面を有し、ガラスブロック13の凸状部分に設けられている。
第1の受光素子25は、干渉用光学部材15から射出された干渉光L212を受光し、この干渉光L212を光電変換して干渉強度を示す光電変換信号(検出信号)を検出部27に出力する。
第2の受光素子26は、干渉用光学部材24から射出された干渉光L234を受光し、この干渉光L234を光電変換して干渉強度を示す光電変換信号(検出信号)を検出部27に出力する。
【0032】
検出部27は、第1の受光素子25から出力された光電変換信号に基づき干渉光L212の干渉強度を検出するとともに、第2の受光素子26から出力された光電変換信号に基づき干渉光L234の干渉強度を検出する。また、検出部27は、干渉光L212と干渉光L234に基づく検出結果に基づき、振動部材21および駆動装置21Aによって変調される変調周波数で干渉光L212、L234の干渉強度の信号を位相同期検波することによって、測定媒質部18内の測定対象である媒質の屈折率の変化を高分解能に検出する。
測定媒質部28は、第1の光L21の光路上に位置され、測定対象である媒質に第1の光L21を透過させ、測定媒質部18の内部と外部とを媒質が出入りする開口部とを備える。
基準媒質部29は、第3の光L23の光路上に配置され、測定媒質部28に含まれる測定対象である媒質に対して基準となる基準媒質に第3の光L23を透過させる。なお、基準媒質部29は、圧力や湿度あるいは温度が安定した媒質を封入した状態で密閉されている。
また、測定媒質部28は、第1の光L21の光路のうち物理的な距離Lに相当する光路において、測定対象である媒質を第1の光L21が透過するように位置されている。さらに、基準媒質部29も同様、物理的な距離Lに相当する光路において、基準媒質を第3の光L23が透過するように位置されている。
つまり、基準媒質部29は基準媒質部19と、測定媒質部28は測定媒質部18と、それぞれ対応している。
【0033】
以下、波長検出装置102の波長検出方法の一例について説明する。
光源部11から射出されたレーザ光は、振動部材21によって位相が変調されて、コリメータレンズ22に入射する。位相が変調されたレーザ光は、コリメータレンズ22によって平行光に変換され、光学部材12で第1の光L21と第2の光L22に分離される。分離された第1の光L21は、Y軸の正方向に進みつつX軸の負方向に進み、偏向部14でX軸の正方向に偏向されて光学部材23に入射し、一部が光学部材23を透過するとともに他の一部が光学部材23で干渉用光学部材24に向かって偏向される。光学部材23を透過した第1の光L21は、測定媒質部28を透過して、干渉用光学部材15に入射する。また、光学部材23で偏向された第3の光L23は、基準媒質部29を透過して干渉用光学部材24に入射する。
【0034】
一方、分離された第2の光L22は、Y軸の正方向に進みつつX軸の正方向に進み、偏向部14でX軸の負方向に偏向されて光学部材23に入射し、一部が光学部材23を透過するとともに他の一部が光学部材23で干渉用光学部材24に向かって偏向される。光学部材23を透過した第2の光L22は、第1の光L21と重なるように干渉用光学部材15の干渉領域に入射する。また、光学部材23から反射された第4の光L24は、第3の光L23と重なるように干渉用光学部材24の干渉領域に入射する。
これにより、干渉用光学部材15は、干渉領域において重なった第1の光L21と第2の光L22に基づく干渉光L212を、第1の受光素子25に向かって射出する。一方、干渉用光学部材24は、干渉領域において重なった第3の光L23と第4の光L24に基づく干渉光L234を、第2の受光素子26に向かって射出する。
そして、第1の受光素子25は、干渉用光学部材15から射出された干渉光L212を受光し、この干渉光L212を光電変換して干渉強度を示す光電変換信号(検出信号)を検出部27に出力する。また、第2の受光素子26は、干渉用光学部材24から射出された干渉光L234を受光し、この干渉光L234を光電変換して干渉強度を示す光電変換信号(検出信号)を検出部27に出力する。
検出部27は、第1の受光素子25から出力される干渉光L212および第2の受光素子26から出力される干渉光L234の検出結果に基づき、振動部材21および駆動装置21Aによって変調される変調周波数で干渉光L212、L234の干渉強度の信号を位相同期検波する。これにより、検出部27は、測定媒質部18内の測定対象である媒質の屈折率の変化を高分解能に検出することができる。
【0035】
このように、もともと同一の光であって、光学部材23を透過した一部(第1の光L21)を測定媒質部28に透過させ、光学部材23で偏向された一部(第3の光L23)を基準媒質部29に透過させるようにした。また、もともと同一の光であって光学部材23によって分離された第2の光L22と第4の光L24との光路長を一致させて、第2の光L22は第1の光L21と、第4の光L24は第3の光L23と、それぞれ干渉させるようにした。以上により、測定媒質部28にある媒質の屈折率と基準媒質部29に密閉されている媒質の屈率とが同一である場合、第1の受光素子25において得られる干渉光L212の干渉強度と、第2の受光素子26において得られる干渉光L234の干渉強度が一致する。よって、干渉光L212と干渉光L234の干渉強度の差を算出することによって基準媒質部29を基準とした測定媒質部28の屈折率の変化に基づく第1の光L21の波長変化を検出することができる。
【0036】
また、基準媒質部29を第3の光L23の光路上に設け、基準媒質部29内基準媒質の屈折率と測定媒質部28内の測定対象である媒質の屈折率とが近ければ、干渉光L212と干渉光L234の干渉強度を近づけることができる。これにより、検出部27は、振動部材21によるレーザ光の振動中心のドリフトの影響を殆ど受けずに、干渉光L212、L234の干渉強度の差を検出し、測定媒質部28における屈折率の変化に基づく波長変化をより精度よく検出することができる。つまり、光源部11から射出される光の振動中心がドリフト(変動)した場合であっても、第1の光L21〜第4の光L24はドリフトに応じた変動量で変動するため、干渉光L212、L234の差分を算出することによってドリフトによる影響を低減する又はキャンセルすることができる。
さらに、光源部11から射出されたレーザ光を光変調部21によって変調することにより、光学部材12の異なる位置から射出された光の位相差の変動範囲が大きくなるため、変調しない場合に比べて干渉用光学部材15あるいは干渉用光学部材24で形成される干渉光L212、L234の変調効率を向上することができる。これにより、検出部27は、第1の光L21と第2の光L22の光路差を精度よく検出し、測定媒質部18の媒質の屈折率の変化に基づく第1の光L21の波長変化を精度よく検出することができる。
また、検出部27によって干渉光L212、L234の干渉強度の信号が変調周波数で位相同期検波されることによって、光源部11から干渉用光学部材15、24までの光路長を短くすることができる。これにより、波長検出装置102のサイズを小型化し、軽量化することができる。例えば、波長変化を検出する波長トラッカーは、一般的に長手方向に10〜20cm程のサイズであったが、上記構成とすることによって、長手方向に3〜5cm程のサイズとすることができる。よって、狭いところや波長トラッカーでは設置が困難な場所であっても波長検出装置102を配置することができるようになり、波長変化の測定対象の近傍で波長の変化を検出することができる。
【0037】
[第3実施形態]
次に、図3を参照して、第3実施形態に係る波長検出装置103の一例について説明する。図3は、第3実施形態に係る波長検出装置103の構成の一例を示す概略図である。なお、上述の実施形態と同様の構成を有する部材においては同一の名称を付して詳細な説明は省略する。
図3に示す通り、本実施形態に係る波長検出装置103は、光源部31と、光変調部31Aと、コリメータレンズ32と、光学部材33と、ガラスブロック34と、干渉用光学部材35と、第1の受光素子25と、第2の受光素子26と、検出部27と、測定媒質部28と、基準媒質部29と、を備える。
【0038】
光源部31は、例えばレーザ光を射出するレーザ素子であって、光変調部31Aによって駆動されることにより波長が変調されたコヒーレントな光をコリメータレンズ32に向けて射出する。
光変調部31Aは、光源部31のレーザ素子に供給する電流の増減を制御することによって、850±50nmの範囲で波長が変調されたレーザ光を光源部31から射出させる。
コリメータレンズ32は、光源部31から射出された光を受光し、Y軸の正方向に平行な複数の平行光を光学部材33に向けて射出する。例えば、コリメータレンズ32は、光源部31から射出される光の光軸に対応する位置に第1の平行光L301を射出し、この第1の平行光L301よりも光軸の外側を通過する第2の平行光L302および第3の平行光L303を射出する。この第1〜3の平行光L301〜L303は、それぞれ光学部材33の異なる位置に入射する。
【0039】
光学部材33は、コリメータレンズ32から入射した第2の平行光L302に基づき、例えば+1次回折光である第1の光L31を干渉用光学部材35に向けて射出するとともに、光学部材33の異なる位置から入射した第1の平行光L301の−1次回折光である第2の光L32を干渉用光学部材35で第1の光L31と重なるように射出する。また、光学部材33は、コリメータレンズ32から入射した第3の平行光L303に基づく−1次回折光である第3の光L33を干渉用光学部材35に向けて射出するとともに、第2の平行光L302に基づく+1次回折光(つまり、第2の光L32と同一の光から回折された+1次回折光)である第4の光L34を干渉用光学部材35で第3の光L33と重なるように射出する。
ガラスブロック34には、第1の光L31の光路上に測定媒質部28が、第3の光L33の光路上に基準媒質部29が設けられている。
干渉用光学部材35は、第1の光L31と第2の光L32に基づく干渉光L312を第1の受光素子25に向けて射出するとともに、第3の光L33と第4の光L34に基づく干渉光L334を第2の受光素子26に向けて射出する。
【0040】
以下、波長検出装置103の波長検出方法の一例について説明する。
光変調部31Aによって波長が変調されて光源部11から射出された光は、コリメータレンズ32で平行光に偏向されて、Y軸の正方向に光学部材33に向かって射出される。コリメータレンズ33によって偏向された平行光のうち、光源部11から射出する光の光軸に沿って光学部材33に入射した光(例えば、第2の平行光L302)は、例えば、±1次回折光に回折されて、第2の光L32および第4の光L34となる。また、コリメータレンズ32によって偏向された平行光のうち、第2の光L32と第4の光L34のもとの光が光学部材33に入射した位置から距離RだけX軸の負方向に離れた位置に入射した平行光(例えば、第1の平行光L301)が光学部材33によって+1次回折光に回折されて第1の光L31となる。一方、コリメータレンズ32によって偏向された平行光のうち、第2の光L32と第4の光L34のもとの光が光学部材33に入射した位置から距離RだけX軸の正方向に離れた位置に入射した平行光(例えば、第3の平行光L303)が光学部材33によって−1次回折光に回折されて第3の光L33となる。
そして、光学部材33によって回折された第1の光L31は測定媒質部28を透過し、第2の光L32と干渉用光学部材35において干渉し、干渉光L312として第1の受光素子25に入射する。また、光学部材33によって回折された第3の光L33は基準媒質部29を透過し、第4の光L34と干渉用光学部材35において干渉し、干渉光L334として第2の受光素子26に入射する。
【0041】
このように、第2の光L32と第4の光L34は、同一の光に基づく例えば±1次回折光であって、光源部31から干渉用光学部材35までの光路長が一致する。また、第2の光L32は、干渉用光学部材35に対してX軸の負方向から入射し、一方、第4の光L34は、干渉用光学部材35に対してX軸の正方向から入射しており、第2の光L32と第4の光L34とは、それぞれ反対方向から異なる干渉領域に入射している。さらに、第1の光L31は測定媒質部28を透過してX軸の負方向から入射して第2の光L32と干渉用光学部材35で干渉している。また、第3の光L33は基準媒質部29を透過してX軸の正方向から入射して第4の光L34と干渉用光学部材35で干渉している。
以上により、第1の光L31と第2の光L32に基づく干渉光L312には光路差が生じるとともに、第3の光L33と第4の光L34に基づく干渉光L334にも光路差が生じ、それぞれ対応する光(第1の光L31と第2の光L32、第3の光L33と第4の光L34)がX軸に対して逆方向から干渉用光学部材35のそれぞれの干渉領域に入射することで、光源部31から射出されるレーザ光が変調された場合には、干渉光L312と干渉光334は、互いに反対位相(逆位相)で変調される。これにより、干渉光L312の干渉縞と干渉光L334の干渉縞は、光源部31から射出されるレーザ光の変調に応じて、干渉用光学部材35上で互いに反対方向に移動する。よって、検出部27は、干渉光L312および干渉光L334に基づき、同期位相検波によって位相信号に変換することができる。また、干渉光L312、L334のそれぞれに基づく干渉強度を加算することによって、変調による干渉強度の影響を互いに打ち消し合うことができる。
【0042】
検出部27は、第1の光L31と第2の光L32の光路差、および第3の光L33と第4の光L34の光路差を精度よく検出して、測定媒質部18の媒質の屈折率変化に基づく第1の光L31の波長の変化を精度よく検出することができる。
また、第2の実施例と同様、基準媒質部29内基準媒質の屈折率と測定媒質部28内の測定対象である媒質の屈折率とが近ければ、それぞれ干渉する第1の光L31と第2の光L32の光路長および光路差と、干渉する第3の光L33と第4の光L34の光路長および光路差とが、それぞれ近づく。これにより、検出部27は、レーザ光の振動中心のドリフトの影響を殆ど受けずに、干渉光L312、L334の干渉強度の差を検出して、測定媒質部28における屈折率の変化に基づく波長変化を精度よく検出することができる。つまり、光源部11から射出される光の振動中心がドリフト(変動)した場合であっても、このドリフトによる影響は左右共通に現れるため、干渉光L312、L334の和をとることによってドリフトによる影響を低減する又はキャンセルすることができる。
【0043】
[第4実施形態]
次に、図4を参照して、第4実施形態に係る波長検出装置104の一例について説明する。図4は、第4実施形態に係る波長検出装置104の構成の一例を示す概略図である。なお、本実施形態に係る波長検出装置104は、第1実施形態に係る波長検出装置101に電気光学素子41と光変調部41Aとをさらに備えた構成であって、同様の構成部材については同一の名称を付して詳細な説明は省略する。
図4に示す通り、本実施形態に係る波長検出装置104は、光源部11、光学部材12と、ガラスブロック13と、偏向部14と、干渉用光学部材15と、受光素子16と、検出部37と、測定媒質部18と、基準媒質部19と、電気光学素子41と光変調部41Aを備える。
電気光学素子41は、印加電圧に比例して屈折率が変化する光学素子であって、第2の光L42の光路上に配置されている。例えば、電気光学素子41は、EOM(Electro ‐ Optic Modulator)である。この電気光学素子41は、光変調部41Aから高周波電圧が印加されることによって、透過する第2の光L42の屈折率を変化させ、第1の光L41と第2の光L42の光路差を変調させることによって干渉光L412を変調させる。これにより、電気光学素子41は、第2の光L42のみを変調させることで、干渉用光学部材15で干渉する第1の光L41と第2の光L42の位相を相対的に変調させる。
【0044】
これにより、干渉用光学部材15において干渉する干渉光L412の位相差の変動範囲が大きくなるため、干渉光L412が変調していない場合に比べて干渉用光学部材15で形成される干渉光L412の変調効率を向上することができる。これにより、検出部37は、第1の光L41と第2の光L42の光路差を精度よく検出し、測定媒質部18の媒質の屈折率変化に基づく第1の光L41の波長変化を精度よく検出することができる。
なお、本実施形態に係る電気光学素子41は、電気光学素子に限られず、例えば、AOM(Acousto ‐ Optic Modulator)などからなる音響光学素子を用いるものであってもよい。また、光源部11として利用されるレーザ素子の温度を変化させることにより波長を周期的に変化させるものであってもよい。
【0045】
[第5実施形態]
次に、図5を参照して、第5実施形態に係る波長検出装置105の一例について説明する。図5は、第5実施形態に係る波長検出装置105の構成の一例を示す概略図である。なお、上述の実施形態と同様の機能と構成を有する部材においては同一の名称を付して詳細な説明は省略する。
図5に示す通り、本実施形態に係る波長検出装置105は、光源部11と、受光素子16と、測定媒質部18と、基準媒質部19と、検出部37と、電気光学素子41と、光変調部41Aと、ガラスブロック50と、光学部材51と、第1の偏向部52と、第2の偏向部53と、干渉用光学部材54と、を備える。
ガラスブロック50には、光源部11から射出されたレーザ光を第1の光L51と第2の光L52に分離する光学部材51と、第1の光L51を偏向する第1の偏向部52と、第2の光L52を偏向する第2の偏向部53と、第1の光L51と第2の光L52とが干渉される干渉用光学部材54とが設けられている。また、ガラスブロック50は、第1の光L1の光路上の一部が凹部状に形成されることによって、第1の光L1がガラスブロック50の外部の大気中を透過するように構成されている測定媒質部18を備える。さらに、ガラスブロック50は、第2の光L52の光路上に基準媒質部19を備える。
【0046】
光源部11からY軸の正方向に射出されたレーザ光は、例えばビームスプリッタである光学部材51を透過した一部の光が第1の光L51として第1の偏向部52に入射し、光学部材51で反射された他の一部の光が第2の光L52として第2の偏向部53に入射する。ここで、第1の光L51は光源部11から射出されたレーザ光の光軸と同じ方向(Y軸の正方向)に進み、第2の光L52は第1の光L51に対して垂直方向であるX軸の正方向に進む。この第1の偏向部52に入射した第1の光L51は垂直に偏向されてX軸の正方向に進み、干渉用光学部材54に入射する。一方、第2の偏向部53に入射した第2の光L52は垂直に偏向されてY軸の正方向に進み、電気光学素子41および基準媒質部19を透過して干渉用光学部材54に入射する。偏向された第1の光L51および第2の光L52は、例えばビームスプリッタである干渉用光学部材54の反射面(透過面でもある)で干渉して、干渉光L512として受光素子16に入射する。
【0047】
これにより、受光素子16は、相対的に位相が変調された干渉光L512に基づき、第1の光L51と第2の光L52の光路差の変化を精度よく検出することができ、測定媒質部18の媒質の屈折率変化に基づく第1の光L51の波長の変化を精度よく検出することができる。
また、上述の通り、第1の光L51と第2の光L52の光路が矩形状となるようなガラスブロック50を用いて、第1の光L51の光路に対応する一部分を凹部状に切り欠くことによって測定媒質部18を形成するようにした。これにより、第1の光L51と第2の光L52の光路に対応する物理的距離を一致させるとともに、測定媒質部18の媒質を透過する第1の光L51の距離Lと、基準媒質部19の基準媒質を透過する第2の光L52の距離Lを一致させる構成を容易に作成することができる。
【0048】
[第6実施形態]
次に、上述の波長検出装置101〜105を利用した圧力検出装置の一例について説明する。図6は、本実施形態に係る圧力検出装置の一例を示す概略図である。
図6に示す通り、圧力検出装置600は、上述の実施形態のいずれかひとつに係る波長検出装置601と、測定対象である媒質の温度を検出する温度検出部602と、測定対象である媒質の湿度を検出する湿度検出部603と、これらの検出結果に基づき測定対象である媒質の圧力を算出する圧力算出部604とを備える。
例えば、第1〜5実施形態に係る波長検出装置101〜105を波長検出装置601として利用した場合、媒質である空気の圧力(気圧)が変化すると、測定媒質部18を透過する第1の光(L1、L21、L31、L41、L51)の屈折率が変化する。
【0049】
ところで、波長λの相対変化量Δλ/λは近似的に以下に示す式4のように表わすことができる。
【0050】
【数4】

【0051】
この、式4において、ΔTは温度(℃)の変動量、ΔPは圧力(hPa)の変動量、ΔHは湿度(%RH)の変動量を表わしている。
【0052】
圧力算出部604には、波長検出装置601によって検出される波長の変化量(Δλ/λ)と、温度検出部602によって検出される温度の変化量(ΔT)と、湿度検出部603によって検出される湿度の変化量(ΔH)とが入力される。そして、圧力算出部604は、下記の式4に従って、これらの変化量に基づき、圧力の変化量(ΔP)を算出して、出力する。
このように、圧力検出装置800は、検出精度のよい波長検出装置601を利用することにより、圧力の検出精度も高めることができる。
【0053】
例えば、測定媒質部18および基準媒質部19における距離Lを5mmとした場合、例えば気圧が1hPa変化することによって、光路差(L−L)=ΔL=L×(Δλ/λ)より、1.39nmの光路差が生じたものとする。
ここで、光源部11から射出されるレーザ光の波長が850nmとすると、(1.39/850)周期に応じた干渉強度の変化量が得られる。よって、検出部17は、この干渉強度の変化量に基づき第1の光(L1、L21、L31、L41、L51)の波長の変化量を検出することができる。
【0054】
[第7実施形態]
次に、上述の波長検出装置や圧力検出装置を利用した除振装置および露光装置の一例について説明する。図7は、本実施の形態に係る除振装置700を搭載する露光装置800を示す概略斜視図である。
図7に示す通り、露光装置800は、例えば、ステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の投影露光装置であって、設置面となる床上には、長方形状のフレームキャスタ801が設置され、このフレームキャスタ801上面の四方の角部にマウント部802A〜802D(ただし、図7の紙面奥側に位置するマウント部802Dの図示を省略)が設置され、これらマウント部802A〜802Dの上部に正方形状の除振台803が設置されている。
ここで、本実施形態においては後述するように投影光学系PLが使用されるため、投影光学系PLの光軸と平行にZ軸をとり、Z軸に直交する平面内で除振台803の隣り合う辺方向にX軸、Y軸をとることとする。また、それぞれの軸回りの回転方向をZθ、Xθ、Yθ方向と定めることとする。なお、以下の説明においては、必要に応じて図7中のX、Y、Z軸を示す各矢印の示す方向を+X、+Y、+Z方向、これと反対の方向を−X、−Y、−Z方向と区別して用いるものとする。
【0055】
マウント部802A〜802Dは、それぞれ除振台803の下面の4角付近に配置されている。マウント部802Aは、アクチュエータ804Aとアクチュエータ804A上部に設置されたエアマウント805Aとを備えて構成されている。アクチュエータ804Aは、フレームキャスタ801の上面に固定された固定子816Aとエアマウント805Aの下部に固定された可動子817Aとから構成されており、メイン制御装置808(図7では図示を省略、図8参照)からの指示によりフレームキャスタ801から除振台803に対するZ方向の付勢力、または除振台803からフレームキャスタ801に向かう吸引力を発生させる。
他のエアマウント802B〜802Dも、エアマウント802Aと同様にアクチュエータ804B〜804Dと各アクチュエータの上にそれぞれ設置されたエアマウント805B〜805Dとから構成されており(但し、図7では紙面奥に位置するアクチュエータ804C、804Dの図示を省略)、これらのアクチュエータ804B〜804Dの付勢力または吸引力もそれぞれメイン制御装置808によって制御される。
【0056】
除振台803の下面には、図示しない駆動手段によってXYの2次元方向に駆動されるXYステージ811が載置されている。XYステージ811上には、Zレベリングステージ(不図示)、θステージ(不図示)およびウエハホルダ(不図示)を介して基板(ウエハ)Wが吸着保持されている。また、除振台803の上面中央部には、投影光学系PLが固定されるとともに投影光学系PLを囲むようにインバ812が立設されている。さらに、インバ812の上部には、レチクルステージ813を介してレチクル(マスク)Rが載置されている。
Zレベリングステージは、Z軸方向の駆動およびZ軸に対する傾斜が調整可能に構成され、θステージは、Z軸回りの微小回転が可能に構成されている。これにより、基板WはXYステージ811、Zレベリングステージおよびθステージによって3次元的に位置決めが可能となっている。レチクルステージ813は、レチクルRのY軸方向の微調整、および回転角の調整が可能に構成されている。
【0057】
レチクルRの上方には、投影光学系PLを介して基板Wを照射する照射部820が配置されている。照射部820は、照射制御部(図7では図示を省略、図8参照)825によって焦点検出系によるオートフォーカスが行われ、照明部820から露光用の照明光を出射する。これにより、レチクルRのパターンの投影光学系PLを介した像が基板Wの各ショット領域に順次露光される。
【0058】
フレームキャスタ801上面の−X方向の端部には支持フレーム814aが立設されており、支持フレーム814aと除振台803との間にはアクチュエータ815Aが取り付けられている。アクチュエータ815Aは、支持フレーム814aに固定された固定子816Aと、除振台803に固定された可動子817Aとから構成されており、制御装置808からの制御指示により除振台3に対して±Y方向に力を与えることができる。
同様に、フレームキャスタ801上面の+X方向の端部に立設された支持フレーム814bと除振台803との間にはアクチュエータ815Bが取り付けられている。アクチュエータ815Bは、アクチュエータ815Aと同様に、支持フレーム814bに固定された固定子816Bと、除振台803に固定された可動子817Bとから構成されており、制御装置808からの指示により除振台803に対して±Y方向に力を与えることができるようになっている。
また、支持フレーム814bと除振台803との間にはアクチュエータ815Cが取り付けられている。アクチュエータ815Cは、支持フレーム814bに固定された固定子816Cと、除振台803に固定された可動子817Cとから構成されており、制御装置808からの指示により除振台803に対して±X方向に力を与えることができる。
【0059】
除振台803上面の+Y方向の端部には、除振台803のX方向加速度ならびにZ方向加速度を検出する加速度センサ818aが振動センサとして取り付けられている。また、除振台3上面の−Y方向側の端部には、除振台3のY方向加速度ならびにZ方向加速度を検出する加速度センサ818b、818cが振動センサとして取り付けられている。これら加速度センサ818a、818b、818cには、例えば半導体式加速度センサが使用されており、各加速度センサの出力はメイン制御装置808(7では図示を省略、図8参照)に供給されるようになっている。
除振台3上面の−X方向の側面には、除振台803のX方向変位ならびにZ方向変位を検出する変位センサ819aと、除振台803のY方向変位ならびにZ方向変位を検出する変位センサ819bとが設けられている。また、除振台3の+X方向の側面には、除振台803のY方向変位ならびにZ方向変位を検出する変位センサ819cが設けられている。これら変位センサ819a、819b、819cには、例えば渦電流変位センサが使用されており、各変位センサの出力はメイン制御装置808に供給されるようになっている。なお、本実施形態では、除振台803、XYステージ811、インバ812、レチクルステージ813、投影光学系PLを含めて、露光装置本体部という。
【0060】
次に、露光装置800における除振装置700による除振のための制御系について説明する。図8は、除振装置700と露光装置800の制御系のブロック図の一例を示す。
メイン制御装置808では、例えばCPUで構成されており、加速度センサ818a、818b、818c(以下、これらをまとめて加速度センサ818と言う)ならびに変位センサ819a、819b、819c(以下、これらをまとめて変位センサ819と言う)の出力に基づき、除振台803を含む露光装置本体部821の振動を抑制するようにアクチュエータ804A、804B、804C、804D、815A、815B、815Cが駆動制御されるようになっている。
【0061】
メイン制御装置808は、変位センサ819の出力を、露光装置本体部の重心の6自由度(X、Y、Z、Xθ、Yθ、Zθ)における変位量(x、y、z、θx、θy、θz)に変換し、位置コントローラ881としてこの変位量に基づき6自由度のそれぞれの位置偏差を算出し、この位置偏差を動作信号として制御動作を行う。
また、メイン制御装置808は、加速度センサ818の出力を、露光装置本体部の重心の、6自由度のそれぞれの方向の加速度(x''、y''、z''、θx''、θy''、θz'')に変換し、速度コントローラ882として、6自由度方向のそれぞれの方向の速度偏差を算出し、この速度偏差を動作信号として制御動作を行い、6自由度のそれぞれの方向の速度制御を行う。
さらに、メイン制御装置808は、位置コントローラ881ならびに速度コントローラ882としての制御動作によって得られた制御信号を、各アクチュエータの位置で発生する速度指令値に変換するための非干渉化演算を行い、この速度指令値を各アクチュエータで発生する推力にそれぞれ変換する。
【0062】
また、メイン制御装置808は、エアマウント805A〜805Dに生じる推力を制御するためのエアマウント制御部(除振台制御系)883を備える。エアマウント制御部883は、変位センサ819で計測された除振台803のZ方向変位(高さ)に基づいて、除振台803の高さを予め設定されている値にするとともに水平レベルを維持するために各エアマウント805A〜805Dの高さが算出される。そして、エアマウント805A〜805Dの高さがそれぞれ算出された高さに設定され、除振台803の水平が維持されるようになっている。また、エアマウント制御部883は、圧力検出装置840A〜840Dによって検出されるエアマウント805A〜805Dの内圧に基づき、除振台803を支持するエアマウント805A〜805Dの推力を測定する。例えば、エアマウント制御部830は、エアマウント805A〜805Dの内圧に支持部面積(既知)を乗じることでエアマウント805A〜805Dの推力を測定することができる。
【0063】
本実施形態において、この圧力検出装置840A〜840Dとして、例えば、波長検出装置101を備える圧力検出装置600が利用可能である。この場合、波長検出装置101の検出部17は、例えば、電流電圧変換回路と波形整形回路等を含み、電流電圧変換回路によって変換された正弦波電圧信号を、波形整形回路が2値化あるいは内挿を行ったのち、2つの矩形波電圧信号(位相0°、90°)を得るものであってもよい。エアマウント制御部830は、この検出部17によって検出された2つの矩形波電圧信号に基づき、エアマウント805A〜805Dの内圧を検出することができる。さらに、エアマウント制御部830は、検出したエアマウント805A〜805Dの内圧に基づいて、エアマウント805A〜805Dの推力を測定することができる。
【0064】
空圧調整部831は、エアマウント805A〜805Dのそれぞれと供給系配管を介して空圧供給源832と接続されているとともに、排出系配管を介して排出口833と接続されている。また、空圧調整部831は、エアマウント制御部883によって制御され、空圧供給源832から供給される空圧が必要以上に大きい場合、排出口833に空圧を逃がして供給系配管内の圧力を所定の大きさに調節する。さらに、空圧調整部831は、エアマウントから空圧を逃がして供給系配管内の圧力を所定の大きさに調節する。また、空圧調整部831は、エアマウント制御部883の指示により排出系配管を開閉して空圧の排出経路を断続する。
また、各エアマウント805A〜805Dには、その内部の圧力を計測する圧力検出装置840A〜840Dがそれぞれ設けられている。
【0065】
上記のように構成された露光装置800の作動について説明する。エアマウント制御部883は、除振台803の水平維持制御を行うことに加え、空圧調整部831を介してエアマウント805A〜805Dの推力を制御する。エアマウント制御部883は、アクチュエータ804A〜804Dの推力として、ローパスフィルタLFによって検出されるアクチュエータ804A〜804Dの推力の低周波成分を検出する。そして、エアマウント制御部883は、検出された推力値に基づいてエアマウント805A〜805Dによる推力の要否を判定し、推力が必要と判定した場合にはそれぞれのエアマウント805A〜805Dに対して、空調調整部831の供給系配管を介して空圧供給部832からの空圧を供給し、エアマウントの内圧を高めることで推力を与える。これにより、エアマウントには空圧供給部832からの空圧が供給され内圧が高められることで+Z方向の推力が拡大される。
このとき、エアマウント805Aの推力は、圧力検出装置840Aによって検出されるエアマウント805Aの内圧に基づいて測定されており、エアマウント805Aの推力が、目標値(アクチュエータ804Aによる+Z方向の推力)の許容値に達した時点で、空圧調整部831の供給系配管が閉じられ、エアマウント805Aによる+Z方向の推力置換が完了する。
【0066】
エアマウント制御部830は、圧力検出装置840A〜840Dによってエアマウント805A〜805Dの内圧が検出されると、この内圧に基づきエアマウント805A〜805Dの推力を測定する。
圧力検出装置840A〜840Dは、それぞれ、エアマウント805A〜805Dの近傍、あるいはエアマウント805A〜805Dの内部に組み込まれている。また、圧力検出装置840A〜840Dは、エアマウント805A〜805Dごとに圧力を計測して、エアマウント制御部883に出力する。
これにより、エアマウント制御部883は、圧力検出装置840A〜840Dによる検出結果に基づき、エアマウント805A〜805Dに与える推力をフィードバック制御することができる。
このような構成により、エアマウント制御部883は、圧力検出装置840A〜840Dによって検出された検出結果に基づき、各エアマウント805A〜805Dを高感度に制御することができる。よって、アクチュエータが局部的に発熱してチャンバ内の空気の屈折率が変化した場合であっても、この空気の屈折率の変化を圧力検出装置840A〜840Dが精度よく検出することができるため、XYステージ811の精度よく制御することができる。
【0067】
また、上述の第1〜5の実施形態に係る波長検出装置101〜105のうちいずれか1つと同様の構成を有する波長検出装置821が、照射部820から射出される照射光の光軸の近傍に配置されている。これは、上述の通り、分解能が向上したことにより波長検出装置821が小型化したことにより、取り付けの自由度が向上したことによるものである。この波長検出装置821は、この光軸付近の屈折率の変化に基づく波長の変化を検出して、照射制御部825に出力する。照射制御部825は、波長検出装置821による検出結果に基づき、照射部820から射出される照射光の波長を変調する。
これにより、波長検出装置821は、照射部820から射出される光の波長の変化を精度よく検出することができる。
また、波長検出装置821の光源部11から射出される光と照射部820から射出される光は、同じ波長の光であることが好ましい。これにより、波長検出装置821は、照射部820から射出される光に相当する光を用いて波長の変化を検出することができるため、照射部820から射出される光の波長検出の精度をさらに高めることができる。
【0068】
なお、干渉用光学部材16は、透過型に限られず、例えば、反射型の回折格子であってもよく、この場合、第1の受光素子17と第2の受光素子18は、反射光を受光できる位置に配置されることになる。
また、検出部17、27は、米国特許第6,639,686の明細書に記載されている論理回路を用いて光路差を高分解能に検出するものであってもよい。
さらに、回折される回折光として、±1次回折光を例に説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、波長検出装置101の光学部材12は、−1次回折光である第1の光L1と、+2次回折光である第2の光L2とに分離する構成であってもよい。つまり、次数の異なる光同士を干渉させる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
11…光源部、 12…光学部材、 13…ガラスブロック、 14…偏向部、 15…干渉用光学部材、 16…受光素子、 17…検出部、 18…測定媒質部、 19…基準媒質部、 21…振動部材、 21A…駆動装置、 22…コリメータレンズ、 23…光学部材、 24…光学部材、 25…受光素子、 26…受光素子、27…検出部、 28…測定媒質部、 29…基準媒質部、 31…光源部、 31A…光変調部、 41…電気光学素子、 41A…光変調部、 600…圧力検出装置、 700…除振装置、 800…露光装置、 803…除振台、 820…照射部、 821…波長検出装置、 825…照射制御部、 831…空圧調整部、 832…空圧供給部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記光源部から射出される光を複数の光に分離し、当該分離した複数の光のうち少なくとも2つの光を干渉させる光学部と、
前記干渉によって得られた干渉光を受光する受光部と、
前記受光部によって受光された干渉光の干渉強度を検出する検出部とを備え、
前記光学部は、前記干渉させる2つの光のうちいずれか一方の光を測定対象となる媒質に透過させる測定媒質部を備えることを特徴とする波長検出装置。
【請求項2】
前記光学部は、
前記複数の光として、前記光源部から射出される光を互いに光路が異なる第1の光および第2の光に分離して、前記測定媒質部を透過した前記第1の光と、前記第2の光とを干渉させ、
前記受光部は、
前記第1の光および前記第2の光に基づく干渉光を受光することを特徴とする請求項1に記載の波長検出装置。
【請求項3】
前記光学部は、
前記光源部から射出される光のうち少なくとも前記第1の光および前記第2の光に分離する光学部材と、
前記第1の光と前記第2の光とが干渉用光学部材において重なるように、前記第1の光または前記第2の光の進行方向を変える偏向部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の波長検出装置。
【請求項4】
前記光学部材は、位相格子又はビームスプリッタを有することを特徴とする請求項3に記載の波長検出装置。
【請求項5】
前記干渉用光学部材は、位相格子又はビームスプリッタを有することを特徴とする請求項3あるいは4に記載の波長検出装置。
【請求項6】
前記第1の光の位相と前記第2の光の位相とを相対的に変調する光変調部を備えることを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の波長検出装置。
【請求項7】
前記光学部は、
前記測定対象となる媒質に対して基準となる媒質に前記第2の光を透過させる基準媒質部を備えることを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の波長検出装置。
【請求項8】
前記基準媒質部は、前記第2の光の光路に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の波長検出装置。
【請求項9】
前記光学部は、
前記複数の光として、前記光源部から射出される光を互いに光路が異なる第1の光と第2の光に分離して、前記測定媒質部を透過した前記第1の光と、前記第2の光とを第1の干渉領域で干渉させるとともに、
前記複数の光として前記光源部から射出される光を互いに光路が異なる第3の光と第4の光に分離して、前記第3の光と前記第4の光を前記第1の干渉領域と異なる第2の干渉領域で干渉させることを特徴とする請求項1に記載の波長検出装置。
【請求項10】
前記光学部は、
前記第1の干渉領域を有する第1の干渉用光学部材と、
前記第2の干渉領域を有する第2の干渉用光学部材と、
前記第1の光と前記第2の光とが前記第1の干渉用光学部材で重なるようにするとともに、前記第3の光と前記第4の光とが前記第2の干渉用光学部材で重なるようにする第2の光学部材と、
を備えることを特徴とする請求項9に記載の波長検出装置。
【請求項11】
前記光学部は、
前記第1の光と前記第2の光とが前記第1の干渉領域で重なるようにするとともに、前記第3の光と前記第4の光とが前記第2の干渉領域で重なるようにする第2の光学部材と、
前記第1の干渉領域と前記第2の干渉領域とを有する第1の干渉用光学部材と、
を備えることを特徴とする請求項9に記載の波長検出装置。
【請求項12】
少なくとも前記第1の干渉領域と前記第2の干渉領域とにそれぞれ生じる干渉縞をそれぞれ受光する少なくとも2つの前記受光部を備え、
前記光源部から射出される光を変調する光変調部による変調に伴って、前記少なくとも2つの干渉縞が前記第2の光学部材上で互いに反対方向に移動するように、前記光を前記第2の光学部材に入射させることを特徴とする請求項9あるいは11に記載の波長検出装置。
【請求項13】
前記干渉用光学部材は、位相格子を有することを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の波長検出装置。
【請求項14】
前記光学部によって前記複数の光に分離される前の光であって、前記光源部から射出された光を変調する光変調部を備えることを特徴とする請求項9から13のいずれか一項に記載の波長検出装置。
【請求項15】
前記第1の光と前記第3の光の光路長が同一であることを特徴とする請求項9から14のいずれか一項に記載の波長検出装置。
【請求項16】
前記光学部は、
前記測定対象となる媒質に対して基準となる媒質に前記第3の光を透過させる基準媒質部をさらに備えることを特徴とする請求項9から15のいずれか一項に記載の波長検出装置。
【請求項17】
前記基準媒質部は、前記第3の光の光路に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の波長検出装置。
【請求項18】
前記測定媒質部は、前記第1の光の光路に配置されていることを特徴とする請求項2から17のいずれか一項に記載の波長検出装置。
【請求項19】
前記検出部は、
前記光変調部によって変調された光の周波数を基本周波数として、前記干渉光の同期検波を行い、前記測定媒質部を透過する光の光路長の変化を検出することを特徴とする請求項6あるいは14に記載の波長検出装置。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の前記波長検出装置を備える圧力検出装置であって、
前記計測対象となる媒質が大気である場合、
前記検出部は、検出される大気の温度および湿度と前記干渉光の干渉強度とに基づき、前記測定対象となる媒質である大気の圧力の変化を検出することを特徴とする圧力検出装置。
【請求項21】
請求項20に記載の前記圧力検出装置を備える除振装置であって、
床面に配置された複数のエアマウントを介して支持された除振台と、
前記エアマウントに対して個別に空圧を供給し、前記除振台に対して支持方向に推力を発生させる空圧供給部と、
前記圧力検出装置によって検出された前記圧力の変化に基づき、前記空圧供給部によって供給される空圧を調整する空圧調整部と
を備えることを特徴とする除振装置。
【請求項22】
請求項1から19のいずれか一項に記載の前記波長検出装置を備える露光装置であって、
基板上に光を照射する照射部と、
前記波長検出装置によって検出された前記干渉光の干渉強度に基づき前記測定媒質部を透過する光の光路長の変化を検出して、当該光路長の変化に応じて前記照射部を制御する制御部と
を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項23】
前記波長検出装置の前記光源部から出射される光と、前記露光装置の前記照射部から出射される光は、同じ波長の光であることを特徴とする請求項22に記載の露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−53142(P2011−53142A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203698(P2009−203698)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】