説明

洗浄方法および洗浄システム

【課題】 少量の洗浄液で再汚染を防止する。
【解決手段】 洗浄システム100は、装置本体2、ワークWが載置される基板テーブル3、汚染物質Pに対して洗浄液を供給する洗浄液供給ユニット12、洗浄液に超音波を付与するホーン超音波発振器13、洗浄液を吸引する吸引ユニット14、位置検出ユニット15、および制御手段16で構成されている。ワークWを洗浄する際には、ワークWに存在する汚染物質Pに対して洗浄液供給ユニット12から液滴を供給し、この液滴にホーン超音波発振器13から超音波振動を付与して汚染物質Pを被洗浄物から脱離させる。また、吸引ユニット14を用いてワークWから脱離した汚染物質Pを液滴とともに吸引して除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄方法および洗浄システムに関し、特に半導体ウエハなどの被洗浄物を洗浄する洗浄方法および洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体ウエハなどの被洗浄物の生産工程等において、被洗浄物の表面に付着したレジスト等の汚染物質を洗浄する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
この技術としては、被洗浄物の全体を例えば、水、純水、洗剤、有機溶剤等の洗浄液で満たされた洗浄槽中に浸漬し、超音波等を付与して洗浄を行う方法や、気中で、汚染物質に対して超音波等を付与して洗浄を行うシャワー洗浄方法等が一般的に知られている。
【0004】
これらの洗浄方法の問題点として、洗浄により除去された汚染物質は、洗浄液中に分散または溶解されるため、元々汚染物質が付着していなかった部分にも行き渡り、洗浄により除去された汚染物質を含む洗浄液によって被洗浄物に再汚染が発生してしまう。
【0005】
また、気中でのシャワー洗浄でも、汚染物質を含む洗浄液が、既に洗浄を完了した部分に飛散し同様に再汚染が発生してしまう点が挙げられる。
汚染物質を含む洗浄液が付着した状態で被洗浄物の乾燥を行うと、水分が蒸発した後に汚染物質が乾燥シミとして残ってしまうため、被洗浄物が本来の機能を十分に発揮できない恐れがある。
【0006】
この被洗浄物の再汚染を抑制する方法として、多量の新しい洗浄液を常時供給することによって、洗浄槽内の液置換率を上げたり、洗浄槽を多段化し、上段の洗浄槽内の汚染濃度を下げたりして、洗浄液中に溶解または浮遊している汚染物質の拡散動作を抑制する方法が知られている。
【特許文献1】特開平6−79245号公報
【特許文献2】特許第3511441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような洗浄方法においては、洗浄槽内に洗浄液の淀みが発生し、効率的に新しい洗浄液への置換を行うことは難しいという問題があった。
また、多量の洗浄液を必要とするという問題があった。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、少量の洗浄液で再汚染を防止することができる洗浄方法および洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では上記問題を解決するために、被洗浄物を洗浄する洗浄方法において、被洗浄物に存在する汚染物質に対して液滴を供給し、前記液滴に超音波振動を付与して前記汚染物質を前記被洗浄物から脱離させることを特徴とする洗浄方法が提供される。
【0010】
このような洗浄方法によれば、被洗浄物に存在する汚染物質に対して液滴を供給し、この液滴に超音波振動を付与して汚染物質を被洗浄物から脱離させる。そのため、他のエリアに洗浄液が広がることを防止することができる。また、少量の洗浄液で容易かつ確実に汚染物質を被洗浄物から脱離させることができる。
【0011】
また、被洗浄物を洗浄する洗浄システムにおいて、被洗浄物を載置する載置部と、汚染物質に対して液滴を供給する供給ユニットと、前記液滴に超音波振動を付与する超音波ユニットと、前記汚染物質を含んだ液滴を吸引する吸引ユニットと、前記載置部と、前記供給ユニット、前記超音波ユニットおよび前記吸引ユニットとを相対的に移動させる移動機構と、前記汚染物質の位置の検出を行う位置検出ユニットと、前記位置検出ユニットの検出に基づいて、前記移動機構と、前記供給ユニットと、前記超音波ユニットと、前記吸引ユニットとの作動を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする洗浄システムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、被洗浄物上の汚染物質をエリア毎に洗浄するため、汚染物質のエリア外への拡散や飛散を防止することができ、再汚染を防止することができる。また、洗浄液の使用量を節減することができる。
【0013】
また、汚染物質を個別に洗浄することによって、常に新しい液滴を供給し洗浄後それを吸引するため、汚染物質を確実に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、第1の実施の形態の洗浄システムを示す平面図である。
なお、以下では、説明の便宜上、水平な一方向(図1中の左右方向に相当する方向)を「Y軸方向」と言い、このY軸方向に垂直であって水平な方向(図1中の上下方向に相当する方向)を「X軸方向」と言い、Y軸方向およびX軸方向に直交する方向(図1中の紙面に向かって手前、奥方向に相当する方向)を「Z軸方向」と言う。また、Y軸方向であって図1中の右方向への移動を「Y軸方向に前進」、Y軸方向であって図1中の左方向への移動を「Y軸方向に後退」と言い、X軸方向であって図1中の下方向への移動を「X軸方向に前進」、X軸方向であって図1中の上方向への移動を「X軸方向に後退」と言い、Z軸方向であって図1中紙面奥側への移動を「Z軸方向に下降」、Z軸方向であって図1中紙面手前側への移動を「Z軸方向に上昇」と言う。
【0015】
図1に示す洗浄システム(洗浄系)100は、被洗浄物であるワークWから、例えば、シリコンダスト、レジスト、研磨剤等の汚染物質Pを洗浄することにより除去するシステムである。
【0016】
この洗浄システム100は、装置本体2、ワークWが載置される基板テーブル3、汚染物質Pに対して洗浄液を供給する洗浄液供給ユニット12、洗浄液に超音波を付与するホーン超音波発振器13、洗浄液を吸引する吸引ユニット14、位置検出ユニット15、および制御手段16で構成されている。
【0017】
この洗浄液としては、例えば、水、超純水(18MΩ・cm程度)、洗剤、有機溶剤等が挙げられる。また、洗浄液の温度は、例えば、40℃程度が好ましい。
洗浄システム100が対象とするワークWの素材は、特に限定されず、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOSウエハ等の半導体ウエハ、プリント基板、リードフレーム、ガラス、フィルム、金属、宝石等を対象とすることができる。
【0018】
また、洗浄システム100が対象とする汚染物質Pの大きさは、特に限定されないが、例えば、1μm〜1mmを対象とすることができる。また、対象とする汚染物質Pの大きさに応じて、例えば吸引ユニット14の後述する吸引ノズルの口径等を変更してもよい。
【0019】
装置本体2は、床上に設置されており、洗浄液供給ユニット12、ホーン超音波発振器13、吸引ユニット14を、それぞれ支持する支持部22、23および24と、これら支持部22、23および24を、それぞれZ軸方向に昇降させる昇降機構(図示せず)とを有している。この昇降機構の駆動により、洗浄液供給ユニット12、ホーン超音波発振器13、吸引ユニット14が、それぞれワークW上においてZ軸方向に昇降する。
【0020】
支持部22には、洗浄液供給ユニット12に通じる洗浄液供給チューブ(図示せず)が接続されている。洗浄液供給チューブの他端には、洗浄液を貯留する洗浄液タンク(図示せず)が接続されている。
【0021】
洗浄液タンクから供給された洗浄液は、洗浄液供給チューブを通り、洗浄液供給ユニット12からワークW上に供給される。
また、洗浄液供給チューブの途中には、ろ過フィルターが設置されており、洗浄液は、このフィルターを通過することにより、ろ過される。
【0022】
このろ過フィルターのフィルター孔径は、一例として0.1μm程度である。
また、支持部24には、吸引ユニット14に通じる吸引チューブ(図示せず)が接続されており、吸引ユニット14から吸引された洗浄液は、この吸引チューブを通り、排液タンク(図示せず)に回収される。
【0023】
また、支持部22、23、24の内部には、それぞれ洗浄液供給ユニット12、ホーン超音波発振器13、吸引ユニット14と、制御装置16とを電気的に接続する配線ケーブル(図示せず)等が配設されている。
【0024】
洗浄液供給ユニット12としては、特に限定されないが、例えば、定量ポンプ、マイクロシリンジポンプ、ディスペンサー等を用いることができる。
また、洗浄液供給ユニット12が、1つの汚染物質Pに対して滴下する洗浄液の量は、できる限り少量であるのが好ましく、被洗浄物の構造や表面性状(濡れ性等)、存在する汚染物質Pの大きさ等に基づいて予め算出され設定されるため、特に限定されないが、例えば、0.5mL〜1mLであるのが好ましい。
【0025】
ホーン超音波発振器13は、電圧の印加により変位(変形)する圧電素子(後述)を有し、この圧電素子の変位(変形)を利用して、超音波ホーン(後述)に連通するように形成された圧力室(図示せず)内の圧力を変化させることよって超音波振動を超音波ホーンから発生させるように構成されたものである。
【0026】
ホーン超音波発振器13としては、特に限定されず、従来公知の物を用いることができる。
このホーン超音波発振器13から発生させる超音波の周波数は、70kHz〜400kHz程度であるのが好ましく、超音波出力は、一例として0.5W程度であり、超音波照射時間は、一例として2秒程度である。
【0027】
吸引ユニット14は、吸引ノズルを有しており、この吸引ノズルからワークW上の洗浄液等を吸引して除去する。
なお、後述する吸引動作時の洗浄液と吸引ノズルの先端との距離は、滴下した洗浄液等各種の条件により適宜調整されるが、例えば、10mm以下であるのが好ましい。
【0028】
また、吸引ユニット14としては、特に限定されないが、例えば、流量調整機能やレギュレータ等を備えた真空ポンプおよびエジェクター等を用いることができる。
これら、洗浄液供給ユニット12、ホーン超音波発振器13、吸引ユニット14は、それぞれ、支持部22、23、24に対して着脱可能となっている。
【0029】
この装置本体2の上には、基板テーブル3が設置されている。
基板テーブル3は、例えば、リニアモータ等の駆動機構(図示せず)の駆動により、それぞれX軸方向およびY軸方向に、前進・後退する。
【0030】
洗浄システム100では、基板テーブル3と同程度の大きさの比較的大型のワークWから、基板テーブル3より小さい比較的小型のワークWまで、様々な大きさおよび形状のワークWを対象にすることができる。ワークWは、基板テーブル3と中心を一致させるように位置決めした状態で洗浄動作を行ってもよいし、基板テーブル3の端に寄せた位置に位置決めして洗浄動作を行ってもよい。
【0031】
位置検出ユニット15は、支持部17と撮像素子18とを有している。
支持部17は、装置本体2の左右両端に架け渡されるようにして設置されている。この支持部17の基板テーブル3に対向する部位には、撮像素子18が配置されている。
【0032】
撮像素子18は、ワークWを撮影するものであり、例えばCCDなどで構成されている。汚染物質Pの位置検出を行う際には、基板テーブル3のX軸方向への移動に伴って撮影を行い、制御手段16は、その撮像を基に、汚染物質Pの有無および個所を検出する。
【0033】
制御手段16は、基板テーブル3の移動、昇降機構の昇降、洗浄液供給ユニット12、ホーン超音波発振器13および吸引ユニット14の作動、汚染物質Pの位置座標の算出、位置座標に基づいて、基板テーブル3のX軸方向およびY軸方向の移動距離の算出等、各部の作動を制御する。
【0034】
次に、制御手段16の制御による洗浄システム100の動作(作用)について図2に示すフローチャートを参照しつつ、要部を図3〜図5を用いて説明する。
図2は、洗浄システムの洗浄動作を示すフローチャートである。
【0035】
まず、洗浄システム100が備える基板位置決め装置(説明省略)の作動により、基板テーブル3上に載置(給材)されたワークWが所定の位置に位置決めされる。
次に、基板テーブル3が、X軸方向に移動することにより、ワークWが、撮像素子18上を通過する。この撮影結果に基づいて、制御手段16は、汚染物質Pの個数およびその各位置座標を検出する(ステップS11)。
【0036】
以上の動作が終了した後、制御手段16は、ワークW上の未洗浄の汚染物質Pの個数を判断し(ステップS12)、未洗浄の汚染物質Pが無い(全ての汚染物質Pを洗浄済みの)場合は(ステップS12のNo)、洗浄動作を終了する。
【0037】
一方、未洗浄の汚染物質Pがある場合は(ステップS12のYes)、位置座標に基づいて、汚染物質Pが洗浄液供給ユニット12の下部に位置するように基板テーブル3をX軸方向およびY軸方向に所定距離だけ移動させる(ステップS13)。
【0038】
図3は、洗浄液供給動作を示す側面図である。
次に、図3に示すように、洗浄液供給ユニット12を所定距離降下させた後に、洗浄液供給ユニット12からワークW上の汚染物質Pに対して一定量の限られた液滴状の洗浄液を供給する(ステップS14)。
【0039】
その後、昇降機構により、洗浄液供給ユニット12を上昇させ、所定の待機位置に退避させる(ステップS15)。
図4は、超音波洗浄動作を示す側面図である。
【0040】
次に、この汚染物質Pをホーン超音波発振器13の下部に移動させた後に、図4に示すように、昇降機構により、ホーン超音波発振器13の超音波ホーン132が洗浄液中に浸漬または洗浄液に接触させた状態になるまで下降させる(ステップS16)。
【0041】
次に、圧電素子131を駆動することにより超音波振動5を発生させて、この振動により、ワークWから汚染物質Pを脱離させて、洗浄液中に溶解または浮遊させる(ステップS17)。なお、図4では浮遊させた場合を示している。
【0042】
次に、昇降機構により、ホーン超音波発振器13を上昇させ、所定の待機位置に退避させる(ステップS18)。
図5は、吸引動作を示す側面図である。
【0043】
その後、この汚染物質Pを吸引ユニット14の下部に移動させた後に、図5に示すように、昇降機構により吸引ユニット14を洗浄液の近傍へ下降させる(ステップS19)。
そして、吸引ユニット14の吸引ノズル141を洗浄液中に浸漬または洗浄液に接触させた状態で洗浄液を吸引する(ステップS20)。この際、洗浄液がワークWに残らないように、一度に全ての洗浄液を吸引する。これにより、洗浄液とともに汚染物質Pが吸引され、ワークW上から除去される。
【0044】
その後、昇降機構により吸引ユニットを上昇させ、所定の待機位置に退避させる(ステップS21)。
その後、ステップS12に移行して、引き続き動作を行う。
【0045】
このようにして、洗浄システム100は、ワークW上から汚染物質Pを除去する。
なお、検出された全ての汚染物質Pの除去後にワークWを、空気中における浮遊微小粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理された温風乾燥ユニットに投入し、ワークW上に微量に残る水分を乾燥させてもよい。
【0046】
以上述べたように、本実施の形態の洗浄システム100によれば、滴状の洗浄液をワークW上に供給することによって限られたエリア毎に洗浄を行うことにより、他の汚染物質Pに影響を及ぼすことが無く、かつ、エリア外の汚染(再汚染)を防止することができ、また、洗浄液の使用量を低減させることができる。
【0047】
また、汚染物質Pを個別に洗浄することによって、各汚染物質Pに対して、常に新しい洗浄液が供給されるため、各汚染物質Pを確実に除去することができる。
また、吸引による洗浄液の除去を行うため、エアーブロー等による未洗浄エリアへの飛散による再汚染を防止することができる。
【0048】
なお、ステップS13〜ステップS21を行う順番は、前述したものに限らず、例えば、ステップS13〜ステップS15の動作を、予め全ての汚染物質Pに対して行った後に、ステップS16〜ステップS21の動作を各汚染物質Pに対して行ってもよい。
【0049】
また、本実施の形態では、位置検出ユニット15は、撮像素子18を用いてワークWを撮影することにより汚染物質Pの有無および位置を検出したが、これに限らず、例えば、位置検出ユニット15が、投光部および受光部を備え、被洗浄物に対して投光・受光を行って、汚染物質Pの有無および位置を光学的に検出するよう構成されていてもよい。
【0050】
次に、洗浄システムの第2の実施の形態について説明する。
図6は、洗浄システムの第2の実施の形態を模式的に示す平面図である。
以下、第2の実施の形態の洗浄システムについて、前述した第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0051】
図6に示す第2の実施の形態の洗浄システム200は、位置検出ユニット15が第1の実施の形態と異なっており、オペレータが、位置検出ユニット15を用いて手動で位置を検出する。
【0052】
図6に示すように、本実施の形態の位置検出ユニット15は、顕微鏡19と、座標記憶部20とで構成されている。
顕微鏡19のレンズの中央部には、例えば、指標となる十字型の目盛りが刻まれている。
【0053】
座標記憶部20は、顕微鏡19のレンズに映し出される測定対象の位置座標を格納し、制御手段16に伝達する。この位置座標は、例えば、基板テーブル3の端部3aからのX軸方向およびY軸方向の距離に対応した座標である。
【0054】
本実施の形態の洗浄システム200を用いる場合には、まず、オペレータが、基板テーブル3とは異なるステージ上に予め位置決めされたワークWに対して、顕微鏡19を用いてワークW上の汚染物質Pを目視検出する。
【0055】
座標記憶部20は、顕微鏡19のレンズに映し出された汚染物質Pの位置座標を格納し、制御手段16に伝達する。
その後、基板テーブル3にワークWが設置されると、制御手段16は、座標記憶部20から得られた汚染物質Pの位置座標を用いて第1の実施の形態のステップS12以降と同様の動作を行う。
【0056】
このような洗浄システム200においても第1の実施の形態の洗浄システム100と同様の効果が得られる。
以上、本発明の好適な実施の形態について詳述したが、本発明は、その特定の実施の形態に限定されるものではない。
【0057】
なお、図1に示す洗浄液供給ユニット12、ホーン超音波発振器13および吸引ユニット14の配列パターンは一例であり、例えば、洗浄液供給ユニット12、ホーン超音波発振器13および吸引ユニット14のうちのいずれか2つまたは3つの機能が一体に構成されていてもよい。これにより、昇降機構の簡素化によるシステムの小型化、除去作業の時間短縮による処理速度の向上を図ることができる。
【0058】
また、上記各実施の形態では、洗浄システム100の動作時に、基板テーブル3を移動させて、汚染物質Pを洗浄液供給ユニット12、ホーン超音波発振器13および吸引ユニット14の下部に位置させたが、これに限らず、洗浄液供給ユニット12、ホーン超音波発振器13および吸引ユニット14が、それぞれ移動して、汚染物質Pの上部に位置するよう構成されていてもよい。また、この場合、オペレータが、洗浄液供給ユニット12、ホーン超音波発振器13および吸引ユニット14を手動で、汚染物質Pの上部に案内し、洗浄液の供給、超音波の付与、洗浄液の吸引を行ってもよい。
【0059】
また、上記各実施の形態では、1つの汚染物質Pに対して洗浄液の供給、超音波振動の付与、洗浄液の除去をそれぞれ1回ずつ行ったが、これに限らず、例えば、汚染物質Pを含む洗浄液を除去した後に、この洗浄液を供給した箇所に対して再度、純水等のすすぎ液の供給・除去を行ってもよい。これにより、例えば、洗浄液として洗剤を用いた場合のワークW上の洗剤の残渣を、より確実に低減させることができる。
【0060】
また、勿論、洗浄液を滴下、吸引可能なエリア内に存在している複数の汚染物質を上記のような方法を用いて一括して除去することも可能である。
(付記1) 被洗浄物を洗浄する洗浄方法において、
被洗浄物に存在する汚染物質に対して液滴を供給し、前記液滴に超音波振動を付与して前記汚染物質を前記被洗浄物から脱離させることを特徴とする洗浄方法。
【0061】
(付記2) 前記被洗浄物から脱離した前記汚染物質を前記液滴とともに除去することを特徴とする付記1記載の洗浄方法。
(付記3) 前記液滴を吸引することにより除去することを特徴とする付記2記載の洗浄方法。
【0062】
(付記4) 前記超音波振動の付与は、超音波発振ホーンを前記液滴に接触または浸漬させることにより行うことを特徴とする付記1記載の洗浄方法。
(付記5) 前記汚染物質に対して予め算出された一定量の液滴を供給することを特徴とする付記1記載の洗浄方法。
【0063】
(付記6) 被洗浄物を洗浄する洗浄システムにおいて、
被洗浄物を載置する載置部と、
汚染物質に対して液滴を供給する供給ユニットと、
前記液滴に超音波振動を付与する超音波ユニットと、
前記汚染物質を含んだ液滴を吸引する吸引ユニットと、
前記載置部と、前記供給ユニット、前記超音波ユニットおよび前記吸引ユニットとを相対的に移動させる移動機構と、
前記汚染物質の位置の検出を行う位置検出ユニットと、
前記位置検出ユニットの検出に基づいて、前記移動機構と、前記供給ユニットと、前記超音波ユニットと、前記吸引ユニットとの作動を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする洗浄システム。
【0064】
(付記7) 前記位置検出ユニットは、オペレータが前記汚染物質の位置を目視により検出するものであることを特徴とする付記6記載の洗浄システム。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1の実施の形態の洗浄システムを示す平面図である。
【図2】洗浄システムの洗浄動作を示すフローチャートである。
【図3】洗浄液供給動作を示す側面図である。
【図4】超音波洗浄動作を示す側面図である。
【図5】吸引動作を示す側面図である。
【図6】第2の実施の形態の洗浄システムを示す平面図である。
【符号の説明】
【0066】
100、200 洗浄システム
3 基板テーブル
12 洗浄液供給ユニット
13 ホーン超音波発振器
14 吸引ユニット
15 位置検出ユニット
16 制御手段
P 汚染物質
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を洗浄する洗浄方法において、
被洗浄物に存在する汚染物質に対して液滴を供給し、前記液滴に超音波振動を付与して前記汚染物質を前記被洗浄物から脱離させることを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
前記被洗浄物から脱離した前記汚染物質を前記液滴とともに除去することを特徴とする請求項1記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記液滴を吸引することにより除去することを特徴とする請求項2記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記超音波振動の付与は、超音波発振ホーンを前記液滴に接触または浸漬させることにより行うことを特徴とする請求項1記載の洗浄方法。
【請求項5】
被洗浄物を洗浄する洗浄システムにおいて、
被洗浄物を載置する載置部と、
汚染物質に対して液滴を供給する供給ユニットと、
前記液滴に超音波振動を付与する超音波ユニットと、
前記汚染物質を含んだ液滴を吸引する吸引ユニットと、
前記載置部と、前記供給ユニット、前記超音波ユニットおよび前記吸引ユニットとを相対的に移動させる移動機構と、
前記汚染物質の位置の検出を行う位置検出ユニットと、
前記位置検出ユニットの検出に基づいて、前記移動機構と、前記供給ユニットと、前記超音波ユニットと、前記吸引ユニットとの作動を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする洗浄システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−231185(P2006−231185A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48554(P2005−48554)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000237570)富士通オートメーション株式会社 (10)
【Fターム(参考)】