活性剤デリバリー用化合物および組成物
【課題】広範囲の活性剤をデリバリー可能で、容易に調製される簡単で高価ではないシステムの技術を提供すること。
【解決手段】活性剤のデリバリーに有用な修飾アミノ酸化合物が提供される。活性剤は、ペプチド、たとえばrhGHであってもよい。投与方法、たとえば経口、皮下、舌下、および鼻内投与方法および修飾アミノ酸化合物の調製方法も提供される。
【解決手段】活性剤のデリバリーに有用な修飾アミノ酸化合物が提供される。活性剤は、ペプチド、たとえばrhGHであってもよい。投与方法、たとえば経口、皮下、舌下、および鼻内投与方法および修飾アミノ酸化合物の調製方法も提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性剤、特に生物学的または化学的活性剤、たとえば、バイオアクティブペプチドなどのデリバリー(移送)用化合物に関する。これらの化合物はカルゴのターゲットへのデリバリーを容易にするために、キャリアとして使用される。キャリアは修飾アミノ酸であり、動物への経口投与用生物学活性剤と非共有結合混合物を形成するのに非常に適している。このような化合物の調製方法および投与方法も開示する。
【背景技術】
【0002】
従来の活性剤のデリバリー手段はしばしば、生物学的、化学的、および物理的バリアによって厳しく制限される。典型的には、これらのバリアは、デリバリーが起こる環境、デリバリー用ターゲットの環境、またはターゲット自体に置かれている。
生物学的または化学的活性剤は特にこのようなバリアに影響を受けやすい。たとえば、薬理学的および治療剤の動物へのデリバリーにおいては、バリアは体に置かれている。物理的バリアの例は、ターゲットに達する前に通過しなければならない皮膚および種々の器官膜である。化学的なバリアとしては、pH変化、脂質の双層、および酵素の劣化などが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
【0003】
これらのバリアは特に、経口デリバリーシステムのデザインに重要である。多くの生物学的または化学的活性剤の経口デリバリーは、生物学的、化学的、および物理的バリア、たとえば胃腸(GI)管の種々のpH、活性剤の胃腸膜への不浸透性、および強力な消化酵素の存在がなければ優れているといえる。経口投与に典型的には適さない多くの薬剤の中でも例を挙げると特に、カルシトニンおよびインスリンなどの生物学的または化学的活性ペプチド類;多糖類、特にムコ多糖類、たとえば(これらに限定されるわけではないが)ヘパリン;ヘパリノイド類;抗生物質;および他の有機物質類が挙げられる。これらの薬剤は、早急に有効でなくなったり、酸加水分解、酵素等により胃腸管で破壊される。
【0004】
破壊されやすい薬剤を経口投与する従来の方法は、腸壁の透過性を人工的に増加させるために、添加剤(たとえばn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤およびレゾルシノール)との共投与、および、酵素劣化を避けるために酵素阻害剤(たとえばすい臓トリプシン阻害剤、ジイソプロピルフルオロホスファート(DFF)およびトラシロール)に依存するものであった。
リポソームもまた、インスリンおよびヘパリンの薬剤デリバリーシステムとして記載されている。たとえば、米国特許第4,239,754号;文献:Patel et al.(1976),FEBS Letters,Vol.62,page60;および文献:Hashimoto et al.(1979),Endocrinology,Japan,Vol.26,pages337参照。
【0005】
しかしながら、薬剤移送システムとして前記方法を広範囲に使用することは、以下の理由から妨げられている:(1)システムが添加剤または阻害剤を毒性量使用する;(2)適当な低い分子量のもの、すなわち活性剤がない;(3)システムの安定性が乏しく、保存期間が適当でない;(4)システムが製造困難である;(5)活性剤(カルゴ:cargo)を保護するためのシステムがない;(6)システムが活性剤を逆に変える;および(7)活性剤の吸収を促進するためのシステムがない。
特に最近は、混合アミノ酸類(プロテイノイド類)の人工ポリマー類の微球体が、薬剤のデリバリー用に使用されている。たとえば、米国特許第4,925,673号は、プロテイノイド微球体含有の薬剤とその製造および使用を開示している。これらのプロテイノイド微球体は、多くの活性剤のデリバリーに有用である。
【特許文献1】米国特許第4,239,754号
【特許文献2】米国特許第4,925,673号
【非特許文献1】Patel et al.(1976),FEBS Letters,Vol.62,page60
【非特許文献2】Hashimoto et al.(1979),Endocrinology,Japan,Vol.26,pages337
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
広範囲の活性剤をデリバリー可能で、容易に調製される簡単で高価ではないシステムの技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
活性剤のデリバリーに有用な組成物が提供される。これらの組成物は少なくとも1つの活性剤、好ましくは生物学的または化学的活性剤、および少なくとも1つの以下の化合物I−CXXIIIまたはこれらの塩を含有する。
【0008】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0009】
鎖中に、約4から約20の炭素数を有する親油性鎖と、芳香環のオルソ位に置換された水酸基を有し、芳香族アミド基を有する、有機酸化合物およびこれらの塩は、活性剤をデリバリーするためのキャリアとして有用である。好ましい形態では、親油性鎖は、5から20の炭素数を有する。
上記キャリア化合物と活性剤を含有する組成物は、活性剤を、選択された生物学的システムにデリバリーするのに有効である。これらの組成物は、好ましくは生物学または化学的活性剤である、少なくとも1つの活性剤と、以下の式の少なくとも1つのキャリアとを含有する。
【0010】
【化13】
【0011】
(式中、Arは置換または非置換フェニルまたはナフチルであり;
R7は、C4−C20アルキル、C4−C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C1−C10アルキル)フェニル、(C1−C10アルケニル)フェニル、(C1−C10アルキル)ナフチル、(C1−C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C1−C10アルキル)、フェニル(C1−C10アルケニル)、ナフチル(C1−C10アルキル)、およびナフチル(C1−C10アルケニル)からなる群から選択され;
R8は、H、C1−C4アルキル、C1−C4アルケニル、ヒドロキシ、およびC1−C4アルコキシからなる群から選択され;
R7は任意に、C1−C4アルキル、C1−C4アルケニル、C1−C4アルコキシ、−OH、−SH、および−CO2R9、またはこれらの組み合わせで置換されてもよく;
R9は、H、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルケニルであり;
R7には任意に、酸素、窒素、イオウ、またはこれらの組み合わせが介在してもよく;
ただし、該化合物は酸基のα位がアミノ基で置換されることはない)。
【0012】
好ましいR6基は、C4−C20アルキルおよびC4−C20アルケニルである。最も好ましいR6基は、C5−C20アルキルおよびC5−C20アルケニルでる。
好ましいキャリア化合物は、式:
【0013】
【化14】
【0014】
(式中、R7は上記と同様である)
で表わすことができる。
【0015】
さらに、本発明によれば、これらの組成物を含有する投与単位形態が提供される。
また、任意に投与ビヒクルと、少なくとも1つの上記化合物を少なくとも1つの活性剤と混合することを含有するこれらの組成物の調製方法も提供される。
【0016】
他の実施態様においては、これらの非毒性化合物は、投与前に活性剤と該化合物とを混合または配合することによって、デリバリーシステムの一部として動物に経口投与される。
さらに、式:
【0017】
【化15】
【0018】
(式中、YがC=OまたはSO2であり;
R1がC3−C24アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキン、シクロアルキル、または芳香族であり;
R2がH、C1−C4アルキル、またはC2−C4アルケニルであり;
R3がC1−C7アルキル、C3−C10シクロアルキル、アリール、チエニル、ピロロ、またはピリジルであり、R3は任意に1以上のC1−C5アルキル、C2−C4アルケニル、F、Cl、OH、SO2、COOH、またはSO3Hで置換されてもよい)
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(a)水中、塩基の存在下、式:
【0019】
【化16】
【0020】
の化合物を、式:R3−Y−X
(式中、Y、R1、R2、およびR3は、上記と同様の意味を有し、Xは脱離基である)と反応させることを含有する、調製方法が提供される。
【0021】
好ましい実施態様の記載
本発明の特別な組成物は、活性剤と修飾アミノ酸を含有する。これらの組成物は、種々の生物学的、化学的、および物理的バリアを通して種々の活性剤をデリバリーするのに使用可能であり、特に環境劣化にふされる活性剤をデリバリーするのに適当である。本発明の組成物は特に、生物学的活性剤を種々の動物、たとえばトリ類;哺乳類、たとえば霊長類、特にヒト;および虫類にデリバリーまたは投与するのに有用である。
【0022】
本発明の他の優位点は、容易に調製するために高価ではない出発原料を用いることを含有する。本発明の組成物および製剤方法は、コスト性、実施の容易性、および商業的製造用にスケールアップすることの可能性がある。
【0023】
活性剤
本発明において使用に適した活性剤としては、生物学的活性剤、化学的活性剤、たとえば(これらに限定されるわけではないが)香料、他の活性剤、たとえば化粧品が挙げられる。
【0024】
生物学的または化学的活性剤としては、殺虫剤、薬剤、および治療剤が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。たとえば、本発明において使用に適した生物学的または化学的活性剤としては、ペプチド、特にスモールペプチド;ホルモン、特にそれ自体、胃腸管膜を通過しないかまたはゆっくりのみ通過する、および/または、胃腸管中の酵素および酸によって化学開裂を受けやすいホルモン;多糖、特にムコ多糖の混合物;炭水化物;脂質;またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。さらに具体的には、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、インターフェロン、インターロイキン−II、インスリン、ヘパリン、特に低分子量ヘパリン、カルシトニン、エリスロポイエチン、心房性ナチュレティックファクタ(atrial naturetic factor)、抗原、モノクローナル抗体、ソマトスタチン、アドレノコルチコトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、オキシトシン、バソプレッシン、ナトリウムクロモリン(クロモグリカン酸ナトリウムまたはジナトリウム(sodium or disodium chromoglycate))、バンコマイシン、デスフェリオキサミン(DFO)、副甲状腺ホルモン、抗微生物剤、抗菌剤(これらに限定されるわけではない)、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0025】
修飾アミノ酸
修飾アミノ酸、修飾ポリアミノ酸、および修飾ペプチドの用語は、少なくとも1つのアミノ酸が、少なくとも1つのフリーアミン基において、少なくとも1つのフリーアミン基と反応するアシル化またはスルホン化剤でアシル化またはスルホン化することにより修飾されている、ペプチドおよびポリアミノ酸、または、修飾されたアミノ酸を意味する。
【0026】
修飾形態での、ペプチド、ポリアミノ酸、およびアミノ酸は、活性剤、たとえば、(これらの限定されるわけではないが)生物学的活性剤、たとえば薬理学的および治療剤を含有する活性剤をデリバリーするのに使用可能である。
アミノ酸は、少なくとも1つのフリーアミン基を有する種々のカルボン酸であり、天然および合成アミノ酸を含有する。
【0027】
ポリアミノ酸は、たとえばエステル、無水物、または無水物結合などの結合可能な他の基によって形成される結合で結合した2以上のアミノ酸またはペプチドのいずれかである。
【0028】
ペプチドはペプチド結合により結合した2以上のアミノ酸である。ペプチドは、2つのアミノ酸を有するジペプチドから数百のアミノ酸を有するポリペプチドまで、種々の長さのものであってもよい。文献:Peter M.B.Walker,Chambers Biological Dictionary,Cambridge,England:Chambers Cambridge,1989,page215参照。特に、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、およびペンタペプチドが挙げられる。
【0029】
上記化合物I−CXXIIIは、生物学的または化学的活性剤の経口デリバリー用キャリアとして作用することが知られており、特に、上記化合物I−XXXIが挙げられる。
修飾アミノ酸は典型的には、アミノ酸およびアミノ酸エステルを修飾することによって調製される。これらの化合物の多くは、以下の式の薬剤でアシル化またはスルホン化することによって調製される。
【0030】
【化17】
【0031】
(式中、R4は、最終生成物に示される修飾をおこなう適当な基であり、YはC=OまたはSO2であり、Xは脱離基である)。
【0032】
典型的な脱離基としては、ハロゲン、たとえばCl、Br、I等であるが、これらに限定されるわけではない。さらに、相当する無水物も修飾剤である。
【0033】
本発明の多くの化合物は、本発明の開示に基づいた当業技術内の方法で容易に調製および修飾可能である。たとえば、化合物I−VIIは、アミノ酪酸から誘導され;化合物VIII−XおよびXXXII−XXXVは、アミノカプロン酸から誘導され;化合物XI−XXVIおよびXXXVIは、アミノカプリル酸から誘導される。
たとえば、上記修飾アミノ酸化合物は、1つのアミノ酸を、アミドを形成すべく、アミノ酸に存在するフリーなアミノ部位と反応する適当な修飾剤と反応させることによって調製可能である。保護基は、当業者に公知の所望しない副作用をさけるために使用可能である。
【0034】
たとえば、アミノ酸を、金属水酸化物、たとえば水酸化ナトリウムまたはカリウムのアルカリ水溶液に溶解し、約1時間から約4時間で、好ましくは約2.5時間の範囲で、一般的には約5℃から約70℃までであり、好ましくは約10℃から約40℃までの範囲の温度に加熱する。アミノ酸におけるNH2基の1当量に対して使用されるアルカリの量は、一般的には約1.25から約3ミリモルまでの間で、好ましくは約1.5から約2.25ミリモルまでの間である。溶液のpHは、一般的には約pH8から約pH13までの間、好ましくは約pH10から約pH12までの間である。
【0035】
この後、適当なアミノ修飾剤を攪拌しながらアミノ酸溶液に添加する。該混合物の温度は、一般的には約5℃から約70℃までであり、好ましくは約10℃から約40℃までの範囲の温度で、約1時間から約4時間、保持される。アミノ酸の量に対して使用されるアミノ修飾剤の量は、アミノ酸における全フリーのNH2のモルに基づくものである。一般的には、アミノ修飾剤はアミノ酸における全NH2基のモル当量あたり、約0.5から約2.5モル当量、好ましくは約0.75から約1.25モル当量の量で使用される。
【0036】
該反応は、pHが約2から約3までの間に到達するまで、適当な酸、たとえば濃塩酸を用いて混合物のpHを調節することによって終了される。該混合物は、室温に放置すると分離し、透明な上層と白またはオフホワイトの沈殿を形成する。上層を捨て、修飾アミノ酸をろ過またはデカンテーションによって収集する。粗修飾アミノ酸を水に約9から約13、好ましくは約11から約13のpHで溶解する。不溶物質をろ過によって除去し、ろ液を真空乾燥する。修飾アミノ酸の収率は、約30%から約60%までの間であり、通常は約45%である。
【0037】
所望ならば、アミノ酸エステル、たとえばアミノ酸化合物のメチルまたはエチルエステルが、本発明の修飾アミノ酸を調製するのに使用可能である。ジメチルホルムアミド、ピリジン、またはテトラヒドロフランなどの適当な有機溶媒に溶解したアミノ酸エステルは、適当なアミノ修飾剤と、約5℃から約70℃までの間の温度で、好ましくは約25℃で、約7時間から約24時間までの間の時間反応させる。アミノ酸エステルに対して使用されるアミノ修飾剤の量は、上記アミノ酸の場合と同様である。該反応は、たとえばトリエチルアミンまたはジイソプロピルアミンなどの塩基を用いてまたは用いずに行うことが可能でる。
【0038】
この後、反応溶媒は、減圧下除去され、エステル官能基は適当なアルカリ溶液、たとえば1N水酸化ナトリウムを用いて、修飾アミノ酸エステルを、約50℃から約80℃までの間の温度で、好ましくは約70℃で、エステル基を加水分解してフリーのカルボキシル基を有する修飾アミノ酸を形成するのに十分な時間、加水分解する。加水分解混合物を次いで室温まで冷却し、たとえば25%塩酸水溶液で約2から約2.5までの範囲のpHまで酸性化する。修飾アミノ酸は溶液に沈殿し、ろ過またはデカンテーションなどの常法手段で回収される。ベンジルエステルは、遷移金属触媒を用いて有機溶媒中で水素化することによって除去可能である。
【0039】
修飾アミノ酸は、再結晶、または固体カラム分離によって精製可能である。適当な再結晶溶媒システムは、アセトニトリル、メタノール、およびテトラヒドロフランである。精製分離は、移動相としてメタノール/n−プロパノール混合物を用いて、アルミナなどの適当な固体カラムサポート上で;移動相としてトリフルオロ酢酸/アセトニトリル混合物を用いて逆相カラムサポート上で;および、移動相として水を用いてイオン交換クロマトグラフィで行ってもよい。アニオン交換クロマトグラフィが行われる場合には、好ましくは0−500mM塩化ナトリウム勾配が用いられる。
他の方法では、式:
【0040】
【化18】
【0041】
(式中、YがC=OまたはSO2であり;
R1がC3−C24アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキン、シクロアルキル、または芳香族であり;
R2がH、C1−C4アルキル、またはC2−C4アルケニルであり;
R3がC1−C7アルキル、C3−C10シクロアルキル、アリール、チエニル、ピロロ、またはピリジルであり、R3は任意に1以上のC1−C5アルキル、C2−C4アルケニル、F、Cl、OH、SO2、COOH、またはSO3Hで置換されてもよい)
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(a)水中、塩基の存在下、式:
【0042】
【化19】
【0043】
の化合物を、式:R3−Y−X
(式中、Y、R1、R2、およびR3は、上記と同様の意味を有し、Xは脱離基である)と反応させることによって調製可能である。
【0044】
化合物CXXVは、たとえば文献:Olah et al.,Synthesis,537−538(1979)に記載の方法に従って調製可能である。
化合物XXXIは、10−ウンデセン−1−オール、1から、反応式Iに示すように、3ステップで、全収率31%で調製された。ミツノブ条件下、アルカノール、1を用いたフタルアミドのアルキル化、これに次ぐヒドラジンとの反応によって、1−アミノウンデ−10セン、2が66%の収率で得られた。アミンを、塩化O−アセチルサリチロイルで誘導体化し、得られたアルケン、3を、過マンガン酸カリウムを用いて酸まで酸化した。アセタートを除去し、酸沈殿を行うと、アミン2に基づく収率が47%の化合物XXXIが得られた。
反応式I
【0045】
【化20】
【0046】
デリバリーシステム
本発明の組成物は1以上の活性剤を含有可能である。
【0047】
ある実施態様においては、化合物I−CXXIIIまたは少なくとも1つの該化合物を含有するポリアミノ酸またはペプチドが、投与前に活性剤と、1以上の化合物、ポリアミノ酸またはペプチドとを単に混合することによって、デリバリーキャリアとして直接使用可能である。
【0048】
他の実施態様においては、化合物、ポリアミノ酸、またはペプチドは、活性剤を含有する微球体を形成するのに使用可能である。該化合物、ポリアミノ酸、またはペプチドは、特に、それ自体、胃腸粘膜を通過しないか、または、投与された一部しか通過せず、および/または、胃腸管において酸および酵素で化学分解を受けやすい、ある種の生物学的活性剤、たとえばスモールペプチドホルモンを経口投与するのに有用である。
【0049】
修飾アミノ酸、ポリアミノ酸、またはペプチドは、微球体に変換すると、該混合物は任意に約20℃から約50℃までの間の温度、好ましくは約40℃で、修飾アミノ酸が溶解するまで加熱される。最終溶液は、溶液1mlあたり、約1mgから約2000mgまでの間、好ましくは約1mgから約500mgまでの間の化合物、ポリアミノ酸、またはペプチドを含有する。最終溶液中の活性剤の濃度は種々であり、処置に必要な投与量に依存するものである。必要ならば、抽出濃度はたとえば逆相HPLC分析で決定可能である。
【0050】
化合物、ポリアミノ酸またはペプチドが微球体を調製するのに使用される場合には、もう1つの有用な方法は、以下の様な方法である:化合物、ポリアミノ酸またはペプチドを脱イオン水に約75mg/mlから約200mg/mlまでの間の濃度、好ましくは約100mg/mlの濃度で、約25℃から約60℃までの間、好ましくは約40℃の温度で溶解される。溶液中に残存する粒子物質は、ろ過などの常法手段によって除去可能である。
【0051】
約40℃の温度に保持された化合物、ポリアミノ酸またはペプチド溶液は、1:1(V/V)で約0.05Nから約2Nまでの間の濃度、好ましくは約1.7Nの濃度を有する酸水溶液(約40℃)と混合する。得られた混合物はさらに40℃で、光顕微鏡で観察されるような微球体を形成するのに効果的な時間、培養された。本発明を実施するにあたり、好ましい添加順序は、化合物、ポリアミノ酸またはペプチド溶液を酸水溶液に添加するものである。
【0052】
微球体を形成するための好ましい酸は、
(a)修飾アミノ酸、ポリアミノ酸、またはペプチドに悪影響をあたえない、たとえば化学分解を起こしたり、増やしたりしない;
(b)微球体の形成に支障をきたさない;
(c)活性剤カルゴ(cargo)の微球体組み入れに支障をきたさない;および
(d)カルゴと悪相互作用をおこさないような酸であればどのような酸でもよい。
【0053】
本発明で使用される好ましい酸としては、酢酸、クエン酸、塩酸、リン酸、リンゴ酸、マレイン酸が挙げられる。
微球体安定化添加物が、微球体形成工程前に、酸水溶液に、または、化合物、カルゴ溶液に入れられてもよい。いくつかの薬剤の場合には、該添加物が存在すると、溶液中の微球体の安定性および/または分散性を促進する。
【0054】
安定化添加物は、約0.1から5%(w/v)、好ましくは約0.5%(w/v)の濃度で使用可能である。微球体安定化添加物としては、アカシアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、およびポリリジンが挙げられる。好ましい安定化添加物は、アカシアゴム、ゼラチン、およびメチルセルロースである。
【0055】
上記条件下では、化合物分子、ポリアミノ酸、またはペプチドは、中空または固形マトリックスタイプの微球体であり、カルゴが液体または固体カルゴを包接するキャリアマトリックスまたはカプセルタイプの微球体に分散されるものである。化合物、ポリアミノ酸またはペプチド微球体が前記酸水溶液に溶解可能な材料、たとえば薬剤の存在下形成される場合には、該材料は微球体内に包接される。このようにして、薬学的活性材料、たとえばペプチド、蛋白質、および多糖、ならびに電荷有機分子、たとえば抗微生物剤など、経口ルートではバイオアベイラビリティが悪いものを包接可能である。微球体により組み入れ可能な薬剤の量は、溶液中の薬剤濃度並びにキャリアへのカルゴの親和性を含む多くのファクタに依存する。
【0056】
化合物、ポリアミノ酸またはペプチド微球体は、活性剤の生理学的および生物学的特性を変えないものである。さらに、包接方法も活性剤の薬理学的特性を変えないものである。如何なる薬剤も微球体内に組み入れることが可能である。このシステムは特に、化学剤または物理剤が投与される動物の体内条件によって、微球体がターゲットゾーン(すなわち微球体の内容物が放出されるべき場所)に到達する前に破壊されたり効果が少なくなる化学剤または物理剤、および胃腸管で吸収されにくい薬剤をデリバリーするのに優位である。ターゲットゾーンは使用される薬剤に依存して種々かえることが可能である。
【0057】
微球体の粒子径は胃腸管のターゲットエリアにおける活性剤の放出決定をするのに重要な役割を果たす。好ましい微球体は、約<0.1ミクロンから約10ミクロンまでの、好ましくは約0.5ミクロンから約5ミクロンまでの粒子径を有する。微球体は、たとえば胃および空腸の間などの胃腸管内のターゲットエリアに効果的に活性剤を放出するのに十分なほど小さい。小さい微球体はまた、適当なキャリ流体(たとえば等張食塩水)に懸濁して循環システムに直接、筋肉内または皮下注射することによって非経口投与可能である。選択される投与モードは、無論、投与される活性剤の必要性に応じて種々変えられる。大きいアミノ酸微球体(>50ミクロン)は、経口デリバリーシステムとしてはあまり効果的ではない。
【0058】
化合物、ポリアミノ酸またはペプチドを活性剤を含有する水溶液または水と接触させることによって形成された微球体の粒子径は、物理的または化学的パラメータ、たとえば包接溶液のpH、浸透圧またはイオン強度、溶液中のイオンの大きさなどを種々操作することによって、および包接方法において使用する酸を選択することによって制御可能である。
【0059】
投与混合物は、投与の直前に、キャリアの水溶液を活性剤の水溶液と混合することによって調製される。または、キャリアおよび生物学的活性剤を製造工程中に混合することも可能である。溶液は任意に、リン酸緩衝塩、クエン酸、酢酸、ゼラチン、およびアカシアゴムなどの添加物を混合可能である。
【0060】
安定化添加物をキャリア溶液に導入可能である。ある種の薬剤を用いれば、このような添加物の存在によって、溶液中の薬剤の安定性および分散性が促進される。
安定化添加物は約0.1から5%(W/V)の範囲、好ましくは約0.5%(W/V)の濃度で使用可能である。安定化添加物としては、アカシアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、およびポリリジンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。好ましい安定化添加物は、アカシアゴム、ゼラチン、およびメチルセルロースである。
【0061】
活性剤の量は、その活性剤の目的を達成するのに有効な量である。組成物中の活性剤の量は、典型的には薬理学的または生物学的有効量である。しかしながら該量は、投与単位形態が多数のキャリア/生物学的活性剤組成物を含有可能であり、または薬理学的または生物学的活性剤有効量を分割して含有可能であるので、組成物がカプセル、錠剤または液剤などの投与単位形態で使用される場合には、薬理学的または生物学的有効量よりも少なくてもよい。全有効量は、生物学的または薬理学的活性剤の薬理学的または生物学的活性量を合計して、含有する累積単位で投与可能である。
【0062】
使用されるべき活性剤、特に生物活性剤の全量は、当業者により定めることが可能である。しかしながら驚くべきことに、ある種の生物学的活性剤とともに、ここに開示するキャリアを用いると、極めて有効なデリバリーが行われることが判明した。したがって、同等の血液レベルと治療効果を達成しつつ、以前に使用した投与単位形態またはデリバリーシステムよりも少ない量の生物学的活性剤が主体に投与可能である。
【0063】
本発明の組成物中のキャリアの量は、デリバリー有効量であり、特別なキャリアまたは生物活性剤を当業者に公知の方法で定めることが可能である。
投与単位形態はまた、種々の付形剤、希釈剤、分散剤、潤滑剤、可塑剤、着色剤、投与ビヒクル、たとえば水、1,2−プロパンジオール、エタノール、オリーブオイル、任意のこれらの組み合わせを含有可能であるが、これらに限定されるわけではない。
【0064】
本発明の組成物または投与単位形態の投与は好ましくは経口または十二指腸内注入である。
本発明のデリバリー組成物はまた、1以上の酵素インヒビタを含有可能である。このような酵素インヒビタは、アクチノニン(Actinonin)またはエピアクチノニン(Epiactinonin)およびこれらの誘導体等の化合物であるが、これらに限定されるわけではない。これらの化合物は、以下の式を有する。
【0065】
【化21】
【0066】
これらの化合物の誘導体は、米国特許番号第5,206,384号に開示されている。アクチノニン誘導体は、式:
【0067】
【化22】
【0068】
(式中、R5は、カルボキサミド、ヒドロキシアミノカルボニルおよびアルコキシカルボニル基から選択される置換カルボキシ基またはスルホキシメチル基またはカルボキシル基であり、R6は、ヒドロキシル、アルコキシ、ヒドロキシアミノまたはスルホキシアミノ基である。)
【0069】
他の酵素インヒビタとしては、アプロチニン(Trasylol)およびボウマン−バーク(Bowman−Birk)インヒビタが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
本発明の化合物および組成物は、生物学的活性剤を、鳥類;哺乳類、たとえば霊長類、特にヒト;および虫類などの種々の動物に投与するのに有用である。該システムは特に、化学的または生物学的活性剤が投与された動物の体内でおよびターゲットゾーン(すなわち、デリバリー組成物の活性剤が放出されるべきエリア)に活性剤が届く前の条件によって、破壊されたり、効果が小さくなったりする、化学的または生物学的活性剤をデリバリーするのに有効である。特に、本発明の化合物および組成物は、特に通常の経口デリバリーが不可能な薬剤を経口投与するのに有用である。
【0070】
実施例
好ましい実施態様の開示
本発明を以下の実施例を用いて例解するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0071】
実施例1
化合物XIXを以下のように調製した。
3Lの3口丸底フラスコに、オーバーヘッドメカニカルスターラーと温度計を装備し、該フラスコを氷浴中で冷却した。水酸化ナトリウム水溶液(2M、1.4L)中の8−アミノカプリル酸(100.0g、0.65mol)の溶液を、丸底フラスコに入れ、溶液の温度を約5℃に保持し、塩化O−アセチルサリチロイル(198.6g、0.76mol、1.2当量)を、7時間かけて少しずつ添加した。該混合物を12時間5℃で撹拌すると、黄色の均一な溶液が得られた。得られた溶液を塩酸水溶液(1M)でpH6.8まで酸性化し、酢酸エチル(2X600mL)で抽出した。水層のpHをpH6.3に再調節し、さらに、酢酸エチル(2X600mL)で抽出した。有機層を合わせて、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残さを最小量の2M水酸化ナトリウム水溶液に再溶解し、該溶液のpHを9.5から10までの間にした。該混合物を撹拌しながら1Mの塩酸で約pH6.2まで酸性にし、固体を形成させた。該固体をろ過して水(3X300mL)で洗浄し、55%メタノール/水(v/v)から再結晶したところ、化合物XVIIIがオフホワイトの固体(99.7g、57%)として得られた。
特性を以下に示す。
【0072】
【数1】
【0073】
類似の方法が、以下の化合物を製造するのに用いられた。
【0074】
【数2】
【0075】
特性を以下に示す。
【0076】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【0077】
実施例1A
化合物XIXの別の合成法を以下に示す。
5Lの3口丸底フラスコに、マントルヒーター、オーバーヘッドメカニカルスターラー、添加ロウト、および温度計を装備し、反応をアルゴン雰囲気下で行った。ヒドロキシルアミン−O−スルホン酸(196.7g、1.74mol、1.10当量)および蟻酸(1L)を該フラスコに入れ、撹拌すると、白いスラリーが形成された。蟻酸(600mL)中のシクロオクタノン(200.0g、1.58mol、1.0当量)の溶液を、該白いスラリーに添加ロウトを用いて滴下した。添加後、添加ロウトを還流冷却管に変え、反応を1時間、還流させた(内部温度、約105℃)ところ、茶色の溶液が得られた。溶液を室温まで冷却後、塩化アンモニウムの飽和水溶液(1.5L)および水(1.5L)の混合物に入れた。水性混合物をクロロホルム(3X1200mL)で抽出した。クロロホルム層を合わせてビーカーに移し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(2L)をゆっくり加えた。クロロホルム層を次いで分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮したところ、茶色のオイルが得られた。該オイルをマグネティックスターラーと共に500mLの丸底フラスコに入れ、シリコーンオイル浴に入れて、温度計を装備したショートパスバキューム蒸留ヘッドを装備した。カウタイプレシーバー(Cow−type receiver)を3つの250mLフラスコにつないだ。減圧蒸留(3.0から3.4mmHgの圧力、80から120℃の温度のフラクション)したところ、2−アザシクロノナノン(145g、65%、mp:64−69℃)が得られた。
【0078】
5Lの3口丸底フラスコに、マントルヒーター、オーバーヘッドメカニカルスターラー、還流冷却管、および29温度計を装備し、5Mの水酸化ナトリウム水溶液(650mL、3.23mol、5.5当量)中の2−アザシクロノナノン(83g、0.59mol、1.0当量)の懸濁液を該フラスコに入れた。該混合物を4時間、還流(内部温度:約110℃)すると、透明な黄色の溶液が得られた。マントルヒーターおよび還流冷却管を除去して、室温まで冷却後、水(650mL)で希釈して、さらに、氷浴で冷却した。細かく砕かれた塩化O−アセチルサリチロイル(114.7g、0.59mol、1.0当量)を、該溶液を撹拌しながら該溶液に少しずつ添加し、1時間冷却し続けた。さらに30分後、氷浴をはずし、21時間室温で撹拌し続けたことろ、茶黄色の溶液が得られた。撹拌した混合物を2M硫酸(約850mL)でpHを約1まで酸性化すると、黄色の固体が形成された。該固体をろかして収集し、暖めたメタノール(1.7L)に溶解した。活性炭(約5g)を該メタノールに添加し、10分間撹拌した。活性炭をろ過で除去して、さらに300mLのメタノールで洗浄した。水(2L)を該ろ液(すなわち2Lのメタノール)に加え、4℃で一昼夜放置すると、オフホワイトの沈殿が生じた。粗生成物をろ過し、65%メタノール/水(v/v)から再結晶したところ、化合物XIXがオフホワイトの固体(69.1g、42%)として得られた。
特性を以下に示す。
【0079】
【数7】
【0080】
実施例2
化合物XXXIを以下のように調製した。
1−アミノウンデ−10−セン。
10−ウンデセン−1−オール(5.00g、29.36mmol、1当量)、トリフェニルホスフィン(7.70g、29.36mmol、1当量)、およびフタルイミド(4.32g、29.36mmol、1当量)の無水テトラヒドロフラン(THF:30mL)中の混合物を、アルゴン雰囲気下、激しく撹拌した。ジエチル=アゾジカルボキシラート(DEAD、5.11g、29.36mmol、1当量)をTHF(12mL)で希釈し、シリンジで滴下後、反応混合物を室温で4時間撹拌した。溶媒を減圧下除去し、エーテル(30mL)を添加すると、トリフェニルホスフィンオキシドとヒドラジン=ジカルボキシラートが沈殿し、これらはろ過によって除去された。該沈殿をエーテル(2X30mL)ですすぎ、集めたろ液を濃縮すると、黄色の固体が得られた。該黄色の固体を暖めたヘキサン(3X50mL)と共にこね(triturate)、ろ過した。該ヘキサンを集めて濃縮したところ、黄色のワックスとして、1−フタルイミジルウンデ−10−センが得られた。
【0081】
該黄色のワックスをヒドラジンハイドラート(1.47g、29.36mmol、1当量)のエタノール(38mL)溶液に溶解した。該混合物を2時間還流し、室温まで冷却後、濃塩酸(30mL)を添加して固体をシンターガラスフィルターでろ過した。残さを水(50mL)で洗浄し、ろ液を集めて濃縮すると黄色の固体が得られた。該固体を1MのNaOH(100mL)に再溶解し、エーテル(2X50mL)で抽出した。該エーテルを乾燥して濃縮すると、黄色のオイルが得られた。該オイルをクーゲルロール(Kugelrohr)蒸留(約0.1mmHg、100℃)したところ、明黄色のオイルとして1−アミノウンデ−10−セン(2)が得られた。
特性を以下に示す。
【0082】
【数8】
【0083】
1−(O−アセチルサリチロイルアミノ)ウンデ−10−セン
THF(30mL)中の塩化O−アセチルサリチロイル(3.82g、19.25mmol、1当量)を氷浴中で冷却した。トリエチルアミン(1.95g、19.25mmol、1当量)、次いでTHF(10mL)中の1−アミノウンデ−10−セン(3.26g、19.25mmol、1当量)をシリンジで入れた。氷浴を除去して室温で3.5時間撹拌した。溶媒除去後、残さを酢酸エチル(50mL)に溶解し、水(2X30mL)で洗浄した。有機層を乾燥して濃縮すると、無色のオイルとして1−(O−アセチルサリチロイルアミノ)ウンデ−10−センが等量的に、6.59g得られた。
特性を以下に示す。
【0084】
【数9】
【0085】
ジクロロメタン(108mL)中の1−(O−アセチルサリチロイルアミノ)ウンデ−10−セン(6.59g、19.25mmol、1当量)を、水(108mL)、硫酸(9M、13mL)、氷酢酸(2.16mL)、および塩化メチルトリアルキル(C8−10)アンモニウム(0.32g)(Adogen 464、アルドリッチケミカル社から入手可能)の混合物に添加した。該混合物を氷浴中で激しく撹拌し、過マンガン酸カリウム(9.13g、57.75mmol、3当量)を少しずつ1.5時間かけて添加した。添加後、氷浴を除去し、得られた紫色の溶液を室温で20時間撹拌した。溶液を氷浴中で冷却し、重亜硫酸ナトリウム(6.8g)を添加して過剰の過マンガン酸塩を消失させた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(2X50mL)で抽出した。有機層を合わせて食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥後、濃縮した。水酸化ナトリウム(2M、50mL)を残さに添加し、30分官撹拌した。該溶液を水(50mL)で希釈し、エーテル(50mL)で洗浄して、2Mの塩酸でpH1まで酸性化した。固体が形成され、ろ過で収集した。該固体を65%メタノール/水から再結晶すると、黄褐色の固体(2.78g、アミンを基準に47%)としてXXXIが得られた。
特性を以下に示す。
【0086】
【数10】
【0087】
実施例3
化合物LXXXVIを以下のように調製した。
1Lの3口丸底フラスコに、マグネティックスターラーおよび還流冷却管を装備し、ジクロロメタン(300mL)中の3−(4−アミノフェニル)プロピオン酸(30g、0.182mol)を該フラスコに入れ、トリメチルシリルクロリド(46.2mL、0.364mol)を少しずつ添加した。該混合物を1.5時間、還流し、室温まで冷却し、次いで氷/水浴中に浸した。トリエチルアミン(76.2mL、0.546mol)を添加し、次いで2−メトキシシンナモイルクロリド(35.8g、0.182mol)を添加した。反応混合物を室温まで昇温し、48時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および酢酸エチルを該残さに加えた。層を分離し、水層を2Nの硫酸水溶液でpH1.4まで酸性化し、酢酸エチル(2X400mL)で抽出した。有機抽出層を合わせて、真空下濃縮し、残さを50%(v/v)メタノール水溶液から再結晶したところ、黄褐色の固体として生成物が得られた(48.57g、82%)。
特性を以下に示す。
【0088】
【数11】
【0089】
実施例4
化合物CXVIIを以下のように調製した。
3Lの3口丸底フラスコに、オーバーヘッドメカニカルスターラーおよび温度計を装備し、2Mの水酸化ナトリウム水溶液(1.4L)中の8−アミノカプリル酸(10.0g、0.054mol)を該フラスコに入れた。O−ニトロベンゾイルクロリド(12.0g、0.065mol、1.2当量)を少しずつ7時間かけて添加した。該混合物を25℃で12時間撹拌すると、黄色の均一な溶液が得られた。該溶液を1M塩酸でpHを約2まで酸性化すると、油性残さが分離し、デカンテーションした。該オイルを撹拌した水(300mL)中に溶解し、氷/水浴中で冷却した。生成物が白色の固体として沈殿した。該固体をろかして、水(3X300mL)で洗浄し、55%アセトニトリル/水(v/v)から再結晶したところ、化合物CXVIIがオフホワイトの固体(7.4g、47%)として得られた。mp 89−92℃。
特性を以下に示す。
【0090】
【数12】
【0091】
本発明による他の化合物は、実施例1−4に記載の方法にしたがって容易に調製可能である。
【0092】
実施例5−15:ラットにおける組み換えヒト成長ホルモン(rhGH)のインビボ評価
投与組成物を、以下の表1に挙げるように、約7〜8のpHのリン酸緩衝液中の修飾アミノ酸およびrhGHを用いて調製した。
ラットには、舌下、経口注入、十二指腸内投与、または結腸投与によって組成物が投与された。”Medix Biotech Inc.”社からのrhGHのエリーザアッセイにより、デリバリーを評価した。結腸投与用として、サンプルを調製し、断食したラットに、1mg/kgのrhGHおよびプロピレングリコール(0−50%)を含有する緩衝液中のキャリア25mg/kgを投与した。
結果を以下の表1に示す。
【0093】
比較例5A
rhGH(6mg/ml)をラットに経口注入させ、デリバリーを実施例5の方法にしたがって評価した。
結果を以下の表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
実施例16−27:ラットにおける組み換えヒト成長ホルモン(rhGH)のインビボ評価
投与溶液の調製
デリバリー薬剤を蒸留水で再構成し、塩酸水または水酸化ナトリウム水溶液のいずれかを用いてpH7.2−8.0に調節した。rhGHの株溶液を、rhGH、D−マンニトール、およびグリシンを混合し、該混合物を2%グリセロール/水中に溶解することによって調製した。株溶液を次いでデリバリー薬剤溶液に添加した。いくつかのデリバリー薬剤/活性剤比に関して調べた。
【0096】
インビボ実験
200−250gの体重のオスのスプラグ−ダウレイ(Sprague−Dawley)ラットを24時間断食させ、ケタミン(44mg/kg)およびクロルプロマジン(1.5mg/kg)を投与の15分前に投与した。ラットに上記投与溶液のうちの1つを、皮下注入、鼻内点滴、または舌下点滴によって投与した。
シーラムrhGH濃度またはシーラムカルシウム濃度決定するために、血液サンプルを尾の動脈から連続的に採取した。これらの実験で投与したrhGHの投与量は、0.1mg/kgであった。
【0097】
シーラムrhGH濃度は、rhGH酵素イムノアッセイテストキットによって定められた。結果を表2、図1および2に示す。
図2において、丸は、rhGHおよび化合物CXXIIIの水溶液のSL投与後のレスポンスを示す。四角は、rhGHおよび化合物CXXIIIの水溶液のIN投与後のレスポンスを示す。三角は、rhGHおよび化合物CXXIIIの水溶液のIC投与後のレスポンスを示す。化合物CXXIIIの投与量は、25mg/kgであり、rhGHの投与量は1mg/kgであった。
【0098】
比較例16A
rhGH(1mg/kg)をラットに経口注入させ、デリバリーを実施例16の方法にしたがって評価した。
結果を以下の表2に示す。
【0099】
【表2】
【0100】
実施例28−33:ラットにおけるインターフェロンのインビボ評価
投与組成物を、pHが約7〜8で”Trizma(登録商標)”塩酸塩緩衝液(Tris−HCl)中で、表3に挙げたように、修飾アミノ酸化合物とインターフェロンα2bを混合することによって調製した。プロピレングリコール(0−25%)を必要ならば溶解剤として添加した。
ラットに該投与組成物を経口注入、十二指腸投与、または結腸内投与し、”Biosource Inc.”社からのヒトインターフェロンαのエリーザアッセイにより、デリバリーを評価した。
結腸内投与の結果を以下の表3に示す。
【0101】
比較例28A
インターフェロンα2b(250μg/kg)をラットに結腸内投与し、デリバリーを実施例14の方法にしたがって評価した。
結果を以下の表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】
結果を以下の表4に示す。
実施例34−37:ラットにおけるサケカルシトニンのインビボ評価
以下の表4に挙げたように、修飾アミノ酸およびサケカルシトニンを混合して、投与組成物を調製した。400mgのキャリアを2.9mlの25%プロピレングリコール水溶液に添加した。得られた溶液を撹拌し、pHを水酸化ナトリウム(1.0N)を用いて7.2に調節した。水を添加して全容量を2.0mLとした。サンプルは、200mg/mLの最終キャリア濃度を有した。カルシトニン(10μg)を該溶液に添加した。全カルシトニン濃度は2.5μg/mLであった。
各サンプルに対して、断食したラットのグループが麻酔にかけられた。ラットに該投与組成物を経口注入、十二指腸投与、または結腸内点滴投与した。
血液サンプルを尾の動脈から連続して採集した。シーラムカルシウムは、”Calcium Kit”(シグマケミカルコーポレーション−セントルイス,ミッソーリ、米国)を用いてテストすることによって定めた。
結果を以下の表4に示す。
【0104】
【表4】
【0105】
実施例38−43:ラットにおけるサケカルシトニンのインビボ評価
投与溶液の調製
デリバリー薬剤を蒸留水で再構成し、塩酸水または水酸化ナトリウム水溶液のいずれかを用いてpH7.2−8.0に調節した。サケカルシトニン(sCT)の株溶液を、sCTをクエン酸に溶解する(0.085N)によって調製した。株溶液を次いでデリバリー薬剤溶液に添加した。いくつかのデリバリー薬剤/活性剤比に対して調べた。
【0106】
インビボ実験
200−250gの体重のオスのスプラグ−ダウレイ(Sprague−Dawley)ラットを24時間断食させ、ケタミン(44mg/kg)およびクロルプロマジン(1.5mg/kg)を投与の15分前に投与した。ラットに上記投与溶液のうちの1つを、皮下注入によって投与した。シーラムカルシウム濃度決定するために、血液サンプルを尾の動脈から連続採取した。
シーラムカルシウム濃度は、UV/VIS分光光度計(Perkin Elmer)を用いて、o−クレソールフタレインコンプレックスワン法(o−cresolphthalein complexone method)(Sigma)によって定められた。結果を表5に示す。
【0107】
実施例38A
サケカルシトニンをラットに経口注入によって投与し、デリバリーを実施例38の方法にしたがって評価した。結果を以下の表5に示す。
【0108】
【表5】
【0109】
実施例44−50:ラットにおけるヘパリンのインビボ評価
投与組成物を、表4に示すように、ヘパリンおよび修飾アミノ酸を混合することによって調製した。900mgのキャリアを3mLのプロピレングリコールに溶解し、0.299gのヘパリンナトリウムを3mLの水に溶解した。これら2つの溶液をボルテックスで混合した。水酸化ナトリウム(10M)を溶液が得られるまで上記混合物に添加した。pHを濃塩酸を用いて、7.4+0.5に調節した。最終溶液を40℃で30分間音波処理することによって、投与溶液が得られた。
該投与組成物を断食した意識のあるラットに経口注入して投与した。
ケタミン(44mg/kg)を投与後、血液サンプルを心臓(cardiac puncture)から採取した。ヘパリン活性を文献:Henry,J.B.,Clinical Diagnosis and Management by Laboratory Methods;Philadelphia,PA;WB Saunders(1979)記載の方法に従って、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を利用して定めた。結果を以下の表6に示す。
【0110】
比較例44A
ヘパリン(100mg/kg)をラットに経口摂取させて投与した。ヘパリン活性を実施例44の方法にしたがって定めた。
結果を以下の表6に示す。
【0111】
【表6】
【0112】
実施例51
実施例44の方法において、ヘパリンを低分子量ヘパリンに換えて、必要に応じて、溶解のための水およびプロピレングリコールの量を変えて、実施例44の方法をおこなった。
【0113】
実施例50−58:ラットにおける副甲状腺ホルモンのインビボ評価
投与溶液の調製
デリバリー薬剤を蒸留水および/またはプロピレングリコールで再構成し、塩酸水または水酸化ナトリウム水溶液のいずれかを用いてpH7.2−8.0に調節した。副甲状腺ホルモンの株溶液は、副甲状腺ホルモンを水に溶解するによって調製した。株溶液を次いでデリバリー薬剤溶液に添加した。いくつかのデリバリー薬剤/活性剤比に対して調べた。
【0114】
インビボ実験
200−250gの体重のオスのスプラグ−ダウレイ(Sprague−Dawley)ラットを24時間断食させ、ケタミン(44mg/kg)およびクロルプロマジン(1.5mg/kg)を投与の15分前に投与した。ラットに上記投与溶液のうちの1つを、経口注入または結腸内点滴によって投与した。副甲状腺ホルモン濃度のシーラム決定するために、血液サンプルを尾の動脈から練増採取した。
シーラム副甲状腺ホルモン濃度は、副甲状腺ホルモンラジオイムノアッセイテストキットによって定められた。
【0115】
インビボ経口実験
非−α−アミノ酸デリバリー薬剤および副甲状腺ホルモンを含有する溶液の経口投与を、ラットにおいてインビボでテストした。結果は、活性剤のみの投与の場合と比べると、副甲状腺ホルモンの経口バイオアベイラビリティが非常に増加することを示している。データを表7に示す。
【0116】
【表7】
【0117】
上記特許、特許出願、テスト方法、および文献は、ここに参照して組み入れられるものである。
本発明の種々の変形例は、上記詳細な説明から当業者ならば容易にわかるであろう。これらの明らかな変形例は、本願のクレームの範囲内にあるものである。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】図1は、rhGH組成物のラットへの皮下注射の結果を示すグラフである。
【図2】図2は、rhGHのラットへの舌下(SL)、鼻腔内(IN)、および腸内(IC)投与の結果を示すグラフである。
【図3】図3は、化合物XXXIキャリアを用いた、ヘパリンデリバリー腸内投与の結果を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性剤、特に生物学的または化学的活性剤、たとえば、バイオアクティブペプチドなどのデリバリー(移送)用化合物に関する。これらの化合物はカルゴのターゲットへのデリバリーを容易にするために、キャリアとして使用される。キャリアは修飾アミノ酸であり、動物への経口投与用生物学活性剤と非共有結合混合物を形成するのに非常に適している。このような化合物の調製方法および投与方法も開示する。
【背景技術】
【0002】
従来の活性剤のデリバリー手段はしばしば、生物学的、化学的、および物理的バリアによって厳しく制限される。典型的には、これらのバリアは、デリバリーが起こる環境、デリバリー用ターゲットの環境、またはターゲット自体に置かれている。
生物学的または化学的活性剤は特にこのようなバリアに影響を受けやすい。たとえば、薬理学的および治療剤の動物へのデリバリーにおいては、バリアは体に置かれている。物理的バリアの例は、ターゲットに達する前に通過しなければならない皮膚および種々の器官膜である。化学的なバリアとしては、pH変化、脂質の双層、および酵素の劣化などが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
【0003】
これらのバリアは特に、経口デリバリーシステムのデザインに重要である。多くの生物学的または化学的活性剤の経口デリバリーは、生物学的、化学的、および物理的バリア、たとえば胃腸(GI)管の種々のpH、活性剤の胃腸膜への不浸透性、および強力な消化酵素の存在がなければ優れているといえる。経口投与に典型的には適さない多くの薬剤の中でも例を挙げると特に、カルシトニンおよびインスリンなどの生物学的または化学的活性ペプチド類;多糖類、特にムコ多糖類、たとえば(これらに限定されるわけではないが)ヘパリン;ヘパリノイド類;抗生物質;および他の有機物質類が挙げられる。これらの薬剤は、早急に有効でなくなったり、酸加水分解、酵素等により胃腸管で破壊される。
【0004】
破壊されやすい薬剤を経口投与する従来の方法は、腸壁の透過性を人工的に増加させるために、添加剤(たとえばn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤およびレゾルシノール)との共投与、および、酵素劣化を避けるために酵素阻害剤(たとえばすい臓トリプシン阻害剤、ジイソプロピルフルオロホスファート(DFF)およびトラシロール)に依存するものであった。
リポソームもまた、インスリンおよびヘパリンの薬剤デリバリーシステムとして記載されている。たとえば、米国特許第4,239,754号;文献:Patel et al.(1976),FEBS Letters,Vol.62,page60;および文献:Hashimoto et al.(1979),Endocrinology,Japan,Vol.26,pages337参照。
【0005】
しかしながら、薬剤移送システムとして前記方法を広範囲に使用することは、以下の理由から妨げられている:(1)システムが添加剤または阻害剤を毒性量使用する;(2)適当な低い分子量のもの、すなわち活性剤がない;(3)システムの安定性が乏しく、保存期間が適当でない;(4)システムが製造困難である;(5)活性剤(カルゴ:cargo)を保護するためのシステムがない;(6)システムが活性剤を逆に変える;および(7)活性剤の吸収を促進するためのシステムがない。
特に最近は、混合アミノ酸類(プロテイノイド類)の人工ポリマー類の微球体が、薬剤のデリバリー用に使用されている。たとえば、米国特許第4,925,673号は、プロテイノイド微球体含有の薬剤とその製造および使用を開示している。これらのプロテイノイド微球体は、多くの活性剤のデリバリーに有用である。
【特許文献1】米国特許第4,239,754号
【特許文献2】米国特許第4,925,673号
【非特許文献1】Patel et al.(1976),FEBS Letters,Vol.62,page60
【非特許文献2】Hashimoto et al.(1979),Endocrinology,Japan,Vol.26,pages337
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
広範囲の活性剤をデリバリー可能で、容易に調製される簡単で高価ではないシステムの技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
活性剤のデリバリーに有用な組成物が提供される。これらの組成物は少なくとも1つの活性剤、好ましくは生物学的または化学的活性剤、および少なくとも1つの以下の化合物I−CXXIIIまたはこれらの塩を含有する。
【0008】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0009】
鎖中に、約4から約20の炭素数を有する親油性鎖と、芳香環のオルソ位に置換された水酸基を有し、芳香族アミド基を有する、有機酸化合物およびこれらの塩は、活性剤をデリバリーするためのキャリアとして有用である。好ましい形態では、親油性鎖は、5から20の炭素数を有する。
上記キャリア化合物と活性剤を含有する組成物は、活性剤を、選択された生物学的システムにデリバリーするのに有効である。これらの組成物は、好ましくは生物学または化学的活性剤である、少なくとも1つの活性剤と、以下の式の少なくとも1つのキャリアとを含有する。
【0010】
【化13】
【0011】
(式中、Arは置換または非置換フェニルまたはナフチルであり;
R7は、C4−C20アルキル、C4−C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C1−C10アルキル)フェニル、(C1−C10アルケニル)フェニル、(C1−C10アルキル)ナフチル、(C1−C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C1−C10アルキル)、フェニル(C1−C10アルケニル)、ナフチル(C1−C10アルキル)、およびナフチル(C1−C10アルケニル)からなる群から選択され;
R8は、H、C1−C4アルキル、C1−C4アルケニル、ヒドロキシ、およびC1−C4アルコキシからなる群から選択され;
R7は任意に、C1−C4アルキル、C1−C4アルケニル、C1−C4アルコキシ、−OH、−SH、および−CO2R9、またはこれらの組み合わせで置換されてもよく;
R9は、H、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルケニルであり;
R7には任意に、酸素、窒素、イオウ、またはこれらの組み合わせが介在してもよく;
ただし、該化合物は酸基のα位がアミノ基で置換されることはない)。
【0012】
好ましいR6基は、C4−C20アルキルおよびC4−C20アルケニルである。最も好ましいR6基は、C5−C20アルキルおよびC5−C20アルケニルでる。
好ましいキャリア化合物は、式:
【0013】
【化14】
【0014】
(式中、R7は上記と同様である)
で表わすことができる。
【0015】
さらに、本発明によれば、これらの組成物を含有する投与単位形態が提供される。
また、任意に投与ビヒクルと、少なくとも1つの上記化合物を少なくとも1つの活性剤と混合することを含有するこれらの組成物の調製方法も提供される。
【0016】
他の実施態様においては、これらの非毒性化合物は、投与前に活性剤と該化合物とを混合または配合することによって、デリバリーシステムの一部として動物に経口投与される。
さらに、式:
【0017】
【化15】
【0018】
(式中、YがC=OまたはSO2であり;
R1がC3−C24アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキン、シクロアルキル、または芳香族であり;
R2がH、C1−C4アルキル、またはC2−C4アルケニルであり;
R3がC1−C7アルキル、C3−C10シクロアルキル、アリール、チエニル、ピロロ、またはピリジルであり、R3は任意に1以上のC1−C5アルキル、C2−C4アルケニル、F、Cl、OH、SO2、COOH、またはSO3Hで置換されてもよい)
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(a)水中、塩基の存在下、式:
【0019】
【化16】
【0020】
の化合物を、式:R3−Y−X
(式中、Y、R1、R2、およびR3は、上記と同様の意味を有し、Xは脱離基である)と反応させることを含有する、調製方法が提供される。
【0021】
好ましい実施態様の記載
本発明の特別な組成物は、活性剤と修飾アミノ酸を含有する。これらの組成物は、種々の生物学的、化学的、および物理的バリアを通して種々の活性剤をデリバリーするのに使用可能であり、特に環境劣化にふされる活性剤をデリバリーするのに適当である。本発明の組成物は特に、生物学的活性剤を種々の動物、たとえばトリ類;哺乳類、たとえば霊長類、特にヒト;および虫類にデリバリーまたは投与するのに有用である。
【0022】
本発明の他の優位点は、容易に調製するために高価ではない出発原料を用いることを含有する。本発明の組成物および製剤方法は、コスト性、実施の容易性、および商業的製造用にスケールアップすることの可能性がある。
【0023】
活性剤
本発明において使用に適した活性剤としては、生物学的活性剤、化学的活性剤、たとえば(これらに限定されるわけではないが)香料、他の活性剤、たとえば化粧品が挙げられる。
【0024】
生物学的または化学的活性剤としては、殺虫剤、薬剤、および治療剤が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。たとえば、本発明において使用に適した生物学的または化学的活性剤としては、ペプチド、特にスモールペプチド;ホルモン、特にそれ自体、胃腸管膜を通過しないかまたはゆっくりのみ通過する、および/または、胃腸管中の酵素および酸によって化学開裂を受けやすいホルモン;多糖、特にムコ多糖の混合物;炭水化物;脂質;またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。さらに具体的には、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、インターフェロン、インターロイキン−II、インスリン、ヘパリン、特に低分子量ヘパリン、カルシトニン、エリスロポイエチン、心房性ナチュレティックファクタ(atrial naturetic factor)、抗原、モノクローナル抗体、ソマトスタチン、アドレノコルチコトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、オキシトシン、バソプレッシン、ナトリウムクロモリン(クロモグリカン酸ナトリウムまたはジナトリウム(sodium or disodium chromoglycate))、バンコマイシン、デスフェリオキサミン(DFO)、副甲状腺ホルモン、抗微生物剤、抗菌剤(これらに限定されるわけではない)、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0025】
修飾アミノ酸
修飾アミノ酸、修飾ポリアミノ酸、および修飾ペプチドの用語は、少なくとも1つのアミノ酸が、少なくとも1つのフリーアミン基において、少なくとも1つのフリーアミン基と反応するアシル化またはスルホン化剤でアシル化またはスルホン化することにより修飾されている、ペプチドおよびポリアミノ酸、または、修飾されたアミノ酸を意味する。
【0026】
修飾形態での、ペプチド、ポリアミノ酸、およびアミノ酸は、活性剤、たとえば、(これらの限定されるわけではないが)生物学的活性剤、たとえば薬理学的および治療剤を含有する活性剤をデリバリーするのに使用可能である。
アミノ酸は、少なくとも1つのフリーアミン基を有する種々のカルボン酸であり、天然および合成アミノ酸を含有する。
【0027】
ポリアミノ酸は、たとえばエステル、無水物、または無水物結合などの結合可能な他の基によって形成される結合で結合した2以上のアミノ酸またはペプチドのいずれかである。
【0028】
ペプチドはペプチド結合により結合した2以上のアミノ酸である。ペプチドは、2つのアミノ酸を有するジペプチドから数百のアミノ酸を有するポリペプチドまで、種々の長さのものであってもよい。文献:Peter M.B.Walker,Chambers Biological Dictionary,Cambridge,England:Chambers Cambridge,1989,page215参照。特に、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、およびペンタペプチドが挙げられる。
【0029】
上記化合物I−CXXIIIは、生物学的または化学的活性剤の経口デリバリー用キャリアとして作用することが知られており、特に、上記化合物I−XXXIが挙げられる。
修飾アミノ酸は典型的には、アミノ酸およびアミノ酸エステルを修飾することによって調製される。これらの化合物の多くは、以下の式の薬剤でアシル化またはスルホン化することによって調製される。
【0030】
【化17】
【0031】
(式中、R4は、最終生成物に示される修飾をおこなう適当な基であり、YはC=OまたはSO2であり、Xは脱離基である)。
【0032】
典型的な脱離基としては、ハロゲン、たとえばCl、Br、I等であるが、これらに限定されるわけではない。さらに、相当する無水物も修飾剤である。
【0033】
本発明の多くの化合物は、本発明の開示に基づいた当業技術内の方法で容易に調製および修飾可能である。たとえば、化合物I−VIIは、アミノ酪酸から誘導され;化合物VIII−XおよびXXXII−XXXVは、アミノカプロン酸から誘導され;化合物XI−XXVIおよびXXXVIは、アミノカプリル酸から誘導される。
たとえば、上記修飾アミノ酸化合物は、1つのアミノ酸を、アミドを形成すべく、アミノ酸に存在するフリーなアミノ部位と反応する適当な修飾剤と反応させることによって調製可能である。保護基は、当業者に公知の所望しない副作用をさけるために使用可能である。
【0034】
たとえば、アミノ酸を、金属水酸化物、たとえば水酸化ナトリウムまたはカリウムのアルカリ水溶液に溶解し、約1時間から約4時間で、好ましくは約2.5時間の範囲で、一般的には約5℃から約70℃までであり、好ましくは約10℃から約40℃までの範囲の温度に加熱する。アミノ酸におけるNH2基の1当量に対して使用されるアルカリの量は、一般的には約1.25から約3ミリモルまでの間で、好ましくは約1.5から約2.25ミリモルまでの間である。溶液のpHは、一般的には約pH8から約pH13までの間、好ましくは約pH10から約pH12までの間である。
【0035】
この後、適当なアミノ修飾剤を攪拌しながらアミノ酸溶液に添加する。該混合物の温度は、一般的には約5℃から約70℃までであり、好ましくは約10℃から約40℃までの範囲の温度で、約1時間から約4時間、保持される。アミノ酸の量に対して使用されるアミノ修飾剤の量は、アミノ酸における全フリーのNH2のモルに基づくものである。一般的には、アミノ修飾剤はアミノ酸における全NH2基のモル当量あたり、約0.5から約2.5モル当量、好ましくは約0.75から約1.25モル当量の量で使用される。
【0036】
該反応は、pHが約2から約3までの間に到達するまで、適当な酸、たとえば濃塩酸を用いて混合物のpHを調節することによって終了される。該混合物は、室温に放置すると分離し、透明な上層と白またはオフホワイトの沈殿を形成する。上層を捨て、修飾アミノ酸をろ過またはデカンテーションによって収集する。粗修飾アミノ酸を水に約9から約13、好ましくは約11から約13のpHで溶解する。不溶物質をろ過によって除去し、ろ液を真空乾燥する。修飾アミノ酸の収率は、約30%から約60%までの間であり、通常は約45%である。
【0037】
所望ならば、アミノ酸エステル、たとえばアミノ酸化合物のメチルまたはエチルエステルが、本発明の修飾アミノ酸を調製するのに使用可能である。ジメチルホルムアミド、ピリジン、またはテトラヒドロフランなどの適当な有機溶媒に溶解したアミノ酸エステルは、適当なアミノ修飾剤と、約5℃から約70℃までの間の温度で、好ましくは約25℃で、約7時間から約24時間までの間の時間反応させる。アミノ酸エステルに対して使用されるアミノ修飾剤の量は、上記アミノ酸の場合と同様である。該反応は、たとえばトリエチルアミンまたはジイソプロピルアミンなどの塩基を用いてまたは用いずに行うことが可能でる。
【0038】
この後、反応溶媒は、減圧下除去され、エステル官能基は適当なアルカリ溶液、たとえば1N水酸化ナトリウムを用いて、修飾アミノ酸エステルを、約50℃から約80℃までの間の温度で、好ましくは約70℃で、エステル基を加水分解してフリーのカルボキシル基を有する修飾アミノ酸を形成するのに十分な時間、加水分解する。加水分解混合物を次いで室温まで冷却し、たとえば25%塩酸水溶液で約2から約2.5までの範囲のpHまで酸性化する。修飾アミノ酸は溶液に沈殿し、ろ過またはデカンテーションなどの常法手段で回収される。ベンジルエステルは、遷移金属触媒を用いて有機溶媒中で水素化することによって除去可能である。
【0039】
修飾アミノ酸は、再結晶、または固体カラム分離によって精製可能である。適当な再結晶溶媒システムは、アセトニトリル、メタノール、およびテトラヒドロフランである。精製分離は、移動相としてメタノール/n−プロパノール混合物を用いて、アルミナなどの適当な固体カラムサポート上で;移動相としてトリフルオロ酢酸/アセトニトリル混合物を用いて逆相カラムサポート上で;および、移動相として水を用いてイオン交換クロマトグラフィで行ってもよい。アニオン交換クロマトグラフィが行われる場合には、好ましくは0−500mM塩化ナトリウム勾配が用いられる。
他の方法では、式:
【0040】
【化18】
【0041】
(式中、YがC=OまたはSO2であり;
R1がC3−C24アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキン、シクロアルキル、または芳香族であり;
R2がH、C1−C4アルキル、またはC2−C4アルケニルであり;
R3がC1−C7アルキル、C3−C10シクロアルキル、アリール、チエニル、ピロロ、またはピリジルであり、R3は任意に1以上のC1−C5アルキル、C2−C4アルケニル、F、Cl、OH、SO2、COOH、またはSO3Hで置換されてもよい)
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(a)水中、塩基の存在下、式:
【0042】
【化19】
【0043】
の化合物を、式:R3−Y−X
(式中、Y、R1、R2、およびR3は、上記と同様の意味を有し、Xは脱離基である)と反応させることによって調製可能である。
【0044】
化合物CXXVは、たとえば文献:Olah et al.,Synthesis,537−538(1979)に記載の方法に従って調製可能である。
化合物XXXIは、10−ウンデセン−1−オール、1から、反応式Iに示すように、3ステップで、全収率31%で調製された。ミツノブ条件下、アルカノール、1を用いたフタルアミドのアルキル化、これに次ぐヒドラジンとの反応によって、1−アミノウンデ−10セン、2が66%の収率で得られた。アミンを、塩化O−アセチルサリチロイルで誘導体化し、得られたアルケン、3を、過マンガン酸カリウムを用いて酸まで酸化した。アセタートを除去し、酸沈殿を行うと、アミン2に基づく収率が47%の化合物XXXIが得られた。
反応式I
【0045】
【化20】
【0046】
デリバリーシステム
本発明の組成物は1以上の活性剤を含有可能である。
【0047】
ある実施態様においては、化合物I−CXXIIIまたは少なくとも1つの該化合物を含有するポリアミノ酸またはペプチドが、投与前に活性剤と、1以上の化合物、ポリアミノ酸またはペプチドとを単に混合することによって、デリバリーキャリアとして直接使用可能である。
【0048】
他の実施態様においては、化合物、ポリアミノ酸、またはペプチドは、活性剤を含有する微球体を形成するのに使用可能である。該化合物、ポリアミノ酸、またはペプチドは、特に、それ自体、胃腸粘膜を通過しないか、または、投与された一部しか通過せず、および/または、胃腸管において酸および酵素で化学分解を受けやすい、ある種の生物学的活性剤、たとえばスモールペプチドホルモンを経口投与するのに有用である。
【0049】
修飾アミノ酸、ポリアミノ酸、またはペプチドは、微球体に変換すると、該混合物は任意に約20℃から約50℃までの間の温度、好ましくは約40℃で、修飾アミノ酸が溶解するまで加熱される。最終溶液は、溶液1mlあたり、約1mgから約2000mgまでの間、好ましくは約1mgから約500mgまでの間の化合物、ポリアミノ酸、またはペプチドを含有する。最終溶液中の活性剤の濃度は種々であり、処置に必要な投与量に依存するものである。必要ならば、抽出濃度はたとえば逆相HPLC分析で決定可能である。
【0050】
化合物、ポリアミノ酸またはペプチドが微球体を調製するのに使用される場合には、もう1つの有用な方法は、以下の様な方法である:化合物、ポリアミノ酸またはペプチドを脱イオン水に約75mg/mlから約200mg/mlまでの間の濃度、好ましくは約100mg/mlの濃度で、約25℃から約60℃までの間、好ましくは約40℃の温度で溶解される。溶液中に残存する粒子物質は、ろ過などの常法手段によって除去可能である。
【0051】
約40℃の温度に保持された化合物、ポリアミノ酸またはペプチド溶液は、1:1(V/V)で約0.05Nから約2Nまでの間の濃度、好ましくは約1.7Nの濃度を有する酸水溶液(約40℃)と混合する。得られた混合物はさらに40℃で、光顕微鏡で観察されるような微球体を形成するのに効果的な時間、培養された。本発明を実施するにあたり、好ましい添加順序は、化合物、ポリアミノ酸またはペプチド溶液を酸水溶液に添加するものである。
【0052】
微球体を形成するための好ましい酸は、
(a)修飾アミノ酸、ポリアミノ酸、またはペプチドに悪影響をあたえない、たとえば化学分解を起こしたり、増やしたりしない;
(b)微球体の形成に支障をきたさない;
(c)活性剤カルゴ(cargo)の微球体組み入れに支障をきたさない;および
(d)カルゴと悪相互作用をおこさないような酸であればどのような酸でもよい。
【0053】
本発明で使用される好ましい酸としては、酢酸、クエン酸、塩酸、リン酸、リンゴ酸、マレイン酸が挙げられる。
微球体安定化添加物が、微球体形成工程前に、酸水溶液に、または、化合物、カルゴ溶液に入れられてもよい。いくつかの薬剤の場合には、該添加物が存在すると、溶液中の微球体の安定性および/または分散性を促進する。
【0054】
安定化添加物は、約0.1から5%(w/v)、好ましくは約0.5%(w/v)の濃度で使用可能である。微球体安定化添加物としては、アカシアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、およびポリリジンが挙げられる。好ましい安定化添加物は、アカシアゴム、ゼラチン、およびメチルセルロースである。
【0055】
上記条件下では、化合物分子、ポリアミノ酸、またはペプチドは、中空または固形マトリックスタイプの微球体であり、カルゴが液体または固体カルゴを包接するキャリアマトリックスまたはカプセルタイプの微球体に分散されるものである。化合物、ポリアミノ酸またはペプチド微球体が前記酸水溶液に溶解可能な材料、たとえば薬剤の存在下形成される場合には、該材料は微球体内に包接される。このようにして、薬学的活性材料、たとえばペプチド、蛋白質、および多糖、ならびに電荷有機分子、たとえば抗微生物剤など、経口ルートではバイオアベイラビリティが悪いものを包接可能である。微球体により組み入れ可能な薬剤の量は、溶液中の薬剤濃度並びにキャリアへのカルゴの親和性を含む多くのファクタに依存する。
【0056】
化合物、ポリアミノ酸またはペプチド微球体は、活性剤の生理学的および生物学的特性を変えないものである。さらに、包接方法も活性剤の薬理学的特性を変えないものである。如何なる薬剤も微球体内に組み入れることが可能である。このシステムは特に、化学剤または物理剤が投与される動物の体内条件によって、微球体がターゲットゾーン(すなわち微球体の内容物が放出されるべき場所)に到達する前に破壊されたり効果が少なくなる化学剤または物理剤、および胃腸管で吸収されにくい薬剤をデリバリーするのに優位である。ターゲットゾーンは使用される薬剤に依存して種々かえることが可能である。
【0057】
微球体の粒子径は胃腸管のターゲットエリアにおける活性剤の放出決定をするのに重要な役割を果たす。好ましい微球体は、約<0.1ミクロンから約10ミクロンまでの、好ましくは約0.5ミクロンから約5ミクロンまでの粒子径を有する。微球体は、たとえば胃および空腸の間などの胃腸管内のターゲットエリアに効果的に活性剤を放出するのに十分なほど小さい。小さい微球体はまた、適当なキャリ流体(たとえば等張食塩水)に懸濁して循環システムに直接、筋肉内または皮下注射することによって非経口投与可能である。選択される投与モードは、無論、投与される活性剤の必要性に応じて種々変えられる。大きいアミノ酸微球体(>50ミクロン)は、経口デリバリーシステムとしてはあまり効果的ではない。
【0058】
化合物、ポリアミノ酸またはペプチドを活性剤を含有する水溶液または水と接触させることによって形成された微球体の粒子径は、物理的または化学的パラメータ、たとえば包接溶液のpH、浸透圧またはイオン強度、溶液中のイオンの大きさなどを種々操作することによって、および包接方法において使用する酸を選択することによって制御可能である。
【0059】
投与混合物は、投与の直前に、キャリアの水溶液を活性剤の水溶液と混合することによって調製される。または、キャリアおよび生物学的活性剤を製造工程中に混合することも可能である。溶液は任意に、リン酸緩衝塩、クエン酸、酢酸、ゼラチン、およびアカシアゴムなどの添加物を混合可能である。
【0060】
安定化添加物をキャリア溶液に導入可能である。ある種の薬剤を用いれば、このような添加物の存在によって、溶液中の薬剤の安定性および分散性が促進される。
安定化添加物は約0.1から5%(W/V)の範囲、好ましくは約0.5%(W/V)の濃度で使用可能である。安定化添加物としては、アカシアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、およびポリリジンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。好ましい安定化添加物は、アカシアゴム、ゼラチン、およびメチルセルロースである。
【0061】
活性剤の量は、その活性剤の目的を達成するのに有効な量である。組成物中の活性剤の量は、典型的には薬理学的または生物学的有効量である。しかしながら該量は、投与単位形態が多数のキャリア/生物学的活性剤組成物を含有可能であり、または薬理学的または生物学的活性剤有効量を分割して含有可能であるので、組成物がカプセル、錠剤または液剤などの投与単位形態で使用される場合には、薬理学的または生物学的有効量よりも少なくてもよい。全有効量は、生物学的または薬理学的活性剤の薬理学的または生物学的活性量を合計して、含有する累積単位で投与可能である。
【0062】
使用されるべき活性剤、特に生物活性剤の全量は、当業者により定めることが可能である。しかしながら驚くべきことに、ある種の生物学的活性剤とともに、ここに開示するキャリアを用いると、極めて有効なデリバリーが行われることが判明した。したがって、同等の血液レベルと治療効果を達成しつつ、以前に使用した投与単位形態またはデリバリーシステムよりも少ない量の生物学的活性剤が主体に投与可能である。
【0063】
本発明の組成物中のキャリアの量は、デリバリー有効量であり、特別なキャリアまたは生物活性剤を当業者に公知の方法で定めることが可能である。
投与単位形態はまた、種々の付形剤、希釈剤、分散剤、潤滑剤、可塑剤、着色剤、投与ビヒクル、たとえば水、1,2−プロパンジオール、エタノール、オリーブオイル、任意のこれらの組み合わせを含有可能であるが、これらに限定されるわけではない。
【0064】
本発明の組成物または投与単位形態の投与は好ましくは経口または十二指腸内注入である。
本発明のデリバリー組成物はまた、1以上の酵素インヒビタを含有可能である。このような酵素インヒビタは、アクチノニン(Actinonin)またはエピアクチノニン(Epiactinonin)およびこれらの誘導体等の化合物であるが、これらに限定されるわけではない。これらの化合物は、以下の式を有する。
【0065】
【化21】
【0066】
これらの化合物の誘導体は、米国特許番号第5,206,384号に開示されている。アクチノニン誘導体は、式:
【0067】
【化22】
【0068】
(式中、R5は、カルボキサミド、ヒドロキシアミノカルボニルおよびアルコキシカルボニル基から選択される置換カルボキシ基またはスルホキシメチル基またはカルボキシル基であり、R6は、ヒドロキシル、アルコキシ、ヒドロキシアミノまたはスルホキシアミノ基である。)
【0069】
他の酵素インヒビタとしては、アプロチニン(Trasylol)およびボウマン−バーク(Bowman−Birk)インヒビタが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
本発明の化合物および組成物は、生物学的活性剤を、鳥類;哺乳類、たとえば霊長類、特にヒト;および虫類などの種々の動物に投与するのに有用である。該システムは特に、化学的または生物学的活性剤が投与された動物の体内でおよびターゲットゾーン(すなわち、デリバリー組成物の活性剤が放出されるべきエリア)に活性剤が届く前の条件によって、破壊されたり、効果が小さくなったりする、化学的または生物学的活性剤をデリバリーするのに有効である。特に、本発明の化合物および組成物は、特に通常の経口デリバリーが不可能な薬剤を経口投与するのに有用である。
【0070】
実施例
好ましい実施態様の開示
本発明を以下の実施例を用いて例解するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0071】
実施例1
化合物XIXを以下のように調製した。
3Lの3口丸底フラスコに、オーバーヘッドメカニカルスターラーと温度計を装備し、該フラスコを氷浴中で冷却した。水酸化ナトリウム水溶液(2M、1.4L)中の8−アミノカプリル酸(100.0g、0.65mol)の溶液を、丸底フラスコに入れ、溶液の温度を約5℃に保持し、塩化O−アセチルサリチロイル(198.6g、0.76mol、1.2当量)を、7時間かけて少しずつ添加した。該混合物を12時間5℃で撹拌すると、黄色の均一な溶液が得られた。得られた溶液を塩酸水溶液(1M)でpH6.8まで酸性化し、酢酸エチル(2X600mL)で抽出した。水層のpHをpH6.3に再調節し、さらに、酢酸エチル(2X600mL)で抽出した。有機層を合わせて、無水の硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。残さを最小量の2M水酸化ナトリウム水溶液に再溶解し、該溶液のpHを9.5から10までの間にした。該混合物を撹拌しながら1Mの塩酸で約pH6.2まで酸性にし、固体を形成させた。該固体をろ過して水(3X300mL)で洗浄し、55%メタノール/水(v/v)から再結晶したところ、化合物XVIIIがオフホワイトの固体(99.7g、57%)として得られた。
特性を以下に示す。
【0072】
【数1】
【0073】
類似の方法が、以下の化合物を製造するのに用いられた。
【0074】
【数2】
【0075】
特性を以下に示す。
【0076】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【0077】
実施例1A
化合物XIXの別の合成法を以下に示す。
5Lの3口丸底フラスコに、マントルヒーター、オーバーヘッドメカニカルスターラー、添加ロウト、および温度計を装備し、反応をアルゴン雰囲気下で行った。ヒドロキシルアミン−O−スルホン酸(196.7g、1.74mol、1.10当量)および蟻酸(1L)を該フラスコに入れ、撹拌すると、白いスラリーが形成された。蟻酸(600mL)中のシクロオクタノン(200.0g、1.58mol、1.0当量)の溶液を、該白いスラリーに添加ロウトを用いて滴下した。添加後、添加ロウトを還流冷却管に変え、反応を1時間、還流させた(内部温度、約105℃)ところ、茶色の溶液が得られた。溶液を室温まで冷却後、塩化アンモニウムの飽和水溶液(1.5L)および水(1.5L)の混合物に入れた。水性混合物をクロロホルム(3X1200mL)で抽出した。クロロホルム層を合わせてビーカーに移し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(2L)をゆっくり加えた。クロロホルム層を次いで分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮したところ、茶色のオイルが得られた。該オイルをマグネティックスターラーと共に500mLの丸底フラスコに入れ、シリコーンオイル浴に入れて、温度計を装備したショートパスバキューム蒸留ヘッドを装備した。カウタイプレシーバー(Cow−type receiver)を3つの250mLフラスコにつないだ。減圧蒸留(3.0から3.4mmHgの圧力、80から120℃の温度のフラクション)したところ、2−アザシクロノナノン(145g、65%、mp:64−69℃)が得られた。
【0078】
5Lの3口丸底フラスコに、マントルヒーター、オーバーヘッドメカニカルスターラー、還流冷却管、および29温度計を装備し、5Mの水酸化ナトリウム水溶液(650mL、3.23mol、5.5当量)中の2−アザシクロノナノン(83g、0.59mol、1.0当量)の懸濁液を該フラスコに入れた。該混合物を4時間、還流(内部温度:約110℃)すると、透明な黄色の溶液が得られた。マントルヒーターおよび還流冷却管を除去して、室温まで冷却後、水(650mL)で希釈して、さらに、氷浴で冷却した。細かく砕かれた塩化O−アセチルサリチロイル(114.7g、0.59mol、1.0当量)を、該溶液を撹拌しながら該溶液に少しずつ添加し、1時間冷却し続けた。さらに30分後、氷浴をはずし、21時間室温で撹拌し続けたことろ、茶黄色の溶液が得られた。撹拌した混合物を2M硫酸(約850mL)でpHを約1まで酸性化すると、黄色の固体が形成された。該固体をろかして収集し、暖めたメタノール(1.7L)に溶解した。活性炭(約5g)を該メタノールに添加し、10分間撹拌した。活性炭をろ過で除去して、さらに300mLのメタノールで洗浄した。水(2L)を該ろ液(すなわち2Lのメタノール)に加え、4℃で一昼夜放置すると、オフホワイトの沈殿が生じた。粗生成物をろ過し、65%メタノール/水(v/v)から再結晶したところ、化合物XIXがオフホワイトの固体(69.1g、42%)として得られた。
特性を以下に示す。
【0079】
【数7】
【0080】
実施例2
化合物XXXIを以下のように調製した。
1−アミノウンデ−10−セン。
10−ウンデセン−1−オール(5.00g、29.36mmol、1当量)、トリフェニルホスフィン(7.70g、29.36mmol、1当量)、およびフタルイミド(4.32g、29.36mmol、1当量)の無水テトラヒドロフラン(THF:30mL)中の混合物を、アルゴン雰囲気下、激しく撹拌した。ジエチル=アゾジカルボキシラート(DEAD、5.11g、29.36mmol、1当量)をTHF(12mL)で希釈し、シリンジで滴下後、反応混合物を室温で4時間撹拌した。溶媒を減圧下除去し、エーテル(30mL)を添加すると、トリフェニルホスフィンオキシドとヒドラジン=ジカルボキシラートが沈殿し、これらはろ過によって除去された。該沈殿をエーテル(2X30mL)ですすぎ、集めたろ液を濃縮すると、黄色の固体が得られた。該黄色の固体を暖めたヘキサン(3X50mL)と共にこね(triturate)、ろ過した。該ヘキサンを集めて濃縮したところ、黄色のワックスとして、1−フタルイミジルウンデ−10−センが得られた。
【0081】
該黄色のワックスをヒドラジンハイドラート(1.47g、29.36mmol、1当量)のエタノール(38mL)溶液に溶解した。該混合物を2時間還流し、室温まで冷却後、濃塩酸(30mL)を添加して固体をシンターガラスフィルターでろ過した。残さを水(50mL)で洗浄し、ろ液を集めて濃縮すると黄色の固体が得られた。該固体を1MのNaOH(100mL)に再溶解し、エーテル(2X50mL)で抽出した。該エーテルを乾燥して濃縮すると、黄色のオイルが得られた。該オイルをクーゲルロール(Kugelrohr)蒸留(約0.1mmHg、100℃)したところ、明黄色のオイルとして1−アミノウンデ−10−セン(2)が得られた。
特性を以下に示す。
【0082】
【数8】
【0083】
1−(O−アセチルサリチロイルアミノ)ウンデ−10−セン
THF(30mL)中の塩化O−アセチルサリチロイル(3.82g、19.25mmol、1当量)を氷浴中で冷却した。トリエチルアミン(1.95g、19.25mmol、1当量)、次いでTHF(10mL)中の1−アミノウンデ−10−セン(3.26g、19.25mmol、1当量)をシリンジで入れた。氷浴を除去して室温で3.5時間撹拌した。溶媒除去後、残さを酢酸エチル(50mL)に溶解し、水(2X30mL)で洗浄した。有機層を乾燥して濃縮すると、無色のオイルとして1−(O−アセチルサリチロイルアミノ)ウンデ−10−センが等量的に、6.59g得られた。
特性を以下に示す。
【0084】
【数9】
【0085】
ジクロロメタン(108mL)中の1−(O−アセチルサリチロイルアミノ)ウンデ−10−セン(6.59g、19.25mmol、1当量)を、水(108mL)、硫酸(9M、13mL)、氷酢酸(2.16mL)、および塩化メチルトリアルキル(C8−10)アンモニウム(0.32g)(Adogen 464、アルドリッチケミカル社から入手可能)の混合物に添加した。該混合物を氷浴中で激しく撹拌し、過マンガン酸カリウム(9.13g、57.75mmol、3当量)を少しずつ1.5時間かけて添加した。添加後、氷浴を除去し、得られた紫色の溶液を室温で20時間撹拌した。溶液を氷浴中で冷却し、重亜硫酸ナトリウム(6.8g)を添加して過剰の過マンガン酸塩を消失させた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(2X50mL)で抽出した。有機層を合わせて食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥後、濃縮した。水酸化ナトリウム(2M、50mL)を残さに添加し、30分官撹拌した。該溶液を水(50mL)で希釈し、エーテル(50mL)で洗浄して、2Mの塩酸でpH1まで酸性化した。固体が形成され、ろ過で収集した。該固体を65%メタノール/水から再結晶すると、黄褐色の固体(2.78g、アミンを基準に47%)としてXXXIが得られた。
特性を以下に示す。
【0086】
【数10】
【0087】
実施例3
化合物LXXXVIを以下のように調製した。
1Lの3口丸底フラスコに、マグネティックスターラーおよび還流冷却管を装備し、ジクロロメタン(300mL)中の3−(4−アミノフェニル)プロピオン酸(30g、0.182mol)を該フラスコに入れ、トリメチルシリルクロリド(46.2mL、0.364mol)を少しずつ添加した。該混合物を1.5時間、還流し、室温まで冷却し、次いで氷/水浴中に浸した。トリエチルアミン(76.2mL、0.546mol)を添加し、次いで2−メトキシシンナモイルクロリド(35.8g、0.182mol)を添加した。反応混合物を室温まで昇温し、48時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および酢酸エチルを該残さに加えた。層を分離し、水層を2Nの硫酸水溶液でpH1.4まで酸性化し、酢酸エチル(2X400mL)で抽出した。有機抽出層を合わせて、真空下濃縮し、残さを50%(v/v)メタノール水溶液から再結晶したところ、黄褐色の固体として生成物が得られた(48.57g、82%)。
特性を以下に示す。
【0088】
【数11】
【0089】
実施例4
化合物CXVIIを以下のように調製した。
3Lの3口丸底フラスコに、オーバーヘッドメカニカルスターラーおよび温度計を装備し、2Mの水酸化ナトリウム水溶液(1.4L)中の8−アミノカプリル酸(10.0g、0.054mol)を該フラスコに入れた。O−ニトロベンゾイルクロリド(12.0g、0.065mol、1.2当量)を少しずつ7時間かけて添加した。該混合物を25℃で12時間撹拌すると、黄色の均一な溶液が得られた。該溶液を1M塩酸でpHを約2まで酸性化すると、油性残さが分離し、デカンテーションした。該オイルを撹拌した水(300mL)中に溶解し、氷/水浴中で冷却した。生成物が白色の固体として沈殿した。該固体をろかして、水(3X300mL)で洗浄し、55%アセトニトリル/水(v/v)から再結晶したところ、化合物CXVIIがオフホワイトの固体(7.4g、47%)として得られた。mp 89−92℃。
特性を以下に示す。
【0090】
【数12】
【0091】
本発明による他の化合物は、実施例1−4に記載の方法にしたがって容易に調製可能である。
【0092】
実施例5−15:ラットにおける組み換えヒト成長ホルモン(rhGH)のインビボ評価
投与組成物を、以下の表1に挙げるように、約7〜8のpHのリン酸緩衝液中の修飾アミノ酸およびrhGHを用いて調製した。
ラットには、舌下、経口注入、十二指腸内投与、または結腸投与によって組成物が投与された。”Medix Biotech Inc.”社からのrhGHのエリーザアッセイにより、デリバリーを評価した。結腸投与用として、サンプルを調製し、断食したラットに、1mg/kgのrhGHおよびプロピレングリコール(0−50%)を含有する緩衝液中のキャリア25mg/kgを投与した。
結果を以下の表1に示す。
【0093】
比較例5A
rhGH(6mg/ml)をラットに経口注入させ、デリバリーを実施例5の方法にしたがって評価した。
結果を以下の表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
実施例16−27:ラットにおける組み換えヒト成長ホルモン(rhGH)のインビボ評価
投与溶液の調製
デリバリー薬剤を蒸留水で再構成し、塩酸水または水酸化ナトリウム水溶液のいずれかを用いてpH7.2−8.0に調節した。rhGHの株溶液を、rhGH、D−マンニトール、およびグリシンを混合し、該混合物を2%グリセロール/水中に溶解することによって調製した。株溶液を次いでデリバリー薬剤溶液に添加した。いくつかのデリバリー薬剤/活性剤比に関して調べた。
【0096】
インビボ実験
200−250gの体重のオスのスプラグ−ダウレイ(Sprague−Dawley)ラットを24時間断食させ、ケタミン(44mg/kg)およびクロルプロマジン(1.5mg/kg)を投与の15分前に投与した。ラットに上記投与溶液のうちの1つを、皮下注入、鼻内点滴、または舌下点滴によって投与した。
シーラムrhGH濃度またはシーラムカルシウム濃度決定するために、血液サンプルを尾の動脈から連続的に採取した。これらの実験で投与したrhGHの投与量は、0.1mg/kgであった。
【0097】
シーラムrhGH濃度は、rhGH酵素イムノアッセイテストキットによって定められた。結果を表2、図1および2に示す。
図2において、丸は、rhGHおよび化合物CXXIIIの水溶液のSL投与後のレスポンスを示す。四角は、rhGHおよび化合物CXXIIIの水溶液のIN投与後のレスポンスを示す。三角は、rhGHおよび化合物CXXIIIの水溶液のIC投与後のレスポンスを示す。化合物CXXIIIの投与量は、25mg/kgであり、rhGHの投与量は1mg/kgであった。
【0098】
比較例16A
rhGH(1mg/kg)をラットに経口注入させ、デリバリーを実施例16の方法にしたがって評価した。
結果を以下の表2に示す。
【0099】
【表2】
【0100】
実施例28−33:ラットにおけるインターフェロンのインビボ評価
投与組成物を、pHが約7〜8で”Trizma(登録商標)”塩酸塩緩衝液(Tris−HCl)中で、表3に挙げたように、修飾アミノ酸化合物とインターフェロンα2bを混合することによって調製した。プロピレングリコール(0−25%)を必要ならば溶解剤として添加した。
ラットに該投与組成物を経口注入、十二指腸投与、または結腸内投与し、”Biosource Inc.”社からのヒトインターフェロンαのエリーザアッセイにより、デリバリーを評価した。
結腸内投与の結果を以下の表3に示す。
【0101】
比較例28A
インターフェロンα2b(250μg/kg)をラットに結腸内投与し、デリバリーを実施例14の方法にしたがって評価した。
結果を以下の表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】
結果を以下の表4に示す。
実施例34−37:ラットにおけるサケカルシトニンのインビボ評価
以下の表4に挙げたように、修飾アミノ酸およびサケカルシトニンを混合して、投与組成物を調製した。400mgのキャリアを2.9mlの25%プロピレングリコール水溶液に添加した。得られた溶液を撹拌し、pHを水酸化ナトリウム(1.0N)を用いて7.2に調節した。水を添加して全容量を2.0mLとした。サンプルは、200mg/mLの最終キャリア濃度を有した。カルシトニン(10μg)を該溶液に添加した。全カルシトニン濃度は2.5μg/mLであった。
各サンプルに対して、断食したラットのグループが麻酔にかけられた。ラットに該投与組成物を経口注入、十二指腸投与、または結腸内点滴投与した。
血液サンプルを尾の動脈から連続して採集した。シーラムカルシウムは、”Calcium Kit”(シグマケミカルコーポレーション−セントルイス,ミッソーリ、米国)を用いてテストすることによって定めた。
結果を以下の表4に示す。
【0104】
【表4】
【0105】
実施例38−43:ラットにおけるサケカルシトニンのインビボ評価
投与溶液の調製
デリバリー薬剤を蒸留水で再構成し、塩酸水または水酸化ナトリウム水溶液のいずれかを用いてpH7.2−8.0に調節した。サケカルシトニン(sCT)の株溶液を、sCTをクエン酸に溶解する(0.085N)によって調製した。株溶液を次いでデリバリー薬剤溶液に添加した。いくつかのデリバリー薬剤/活性剤比に対して調べた。
【0106】
インビボ実験
200−250gの体重のオスのスプラグ−ダウレイ(Sprague−Dawley)ラットを24時間断食させ、ケタミン(44mg/kg)およびクロルプロマジン(1.5mg/kg)を投与の15分前に投与した。ラットに上記投与溶液のうちの1つを、皮下注入によって投与した。シーラムカルシウム濃度決定するために、血液サンプルを尾の動脈から連続採取した。
シーラムカルシウム濃度は、UV/VIS分光光度計(Perkin Elmer)を用いて、o−クレソールフタレインコンプレックスワン法(o−cresolphthalein complexone method)(Sigma)によって定められた。結果を表5に示す。
【0107】
実施例38A
サケカルシトニンをラットに経口注入によって投与し、デリバリーを実施例38の方法にしたがって評価した。結果を以下の表5に示す。
【0108】
【表5】
【0109】
実施例44−50:ラットにおけるヘパリンのインビボ評価
投与組成物を、表4に示すように、ヘパリンおよび修飾アミノ酸を混合することによって調製した。900mgのキャリアを3mLのプロピレングリコールに溶解し、0.299gのヘパリンナトリウムを3mLの水に溶解した。これら2つの溶液をボルテックスで混合した。水酸化ナトリウム(10M)を溶液が得られるまで上記混合物に添加した。pHを濃塩酸を用いて、7.4+0.5に調節した。最終溶液を40℃で30分間音波処理することによって、投与溶液が得られた。
該投与組成物を断食した意識のあるラットに経口注入して投与した。
ケタミン(44mg/kg)を投与後、血液サンプルを心臓(cardiac puncture)から採取した。ヘパリン活性を文献:Henry,J.B.,Clinical Diagnosis and Management by Laboratory Methods;Philadelphia,PA;WB Saunders(1979)記載の方法に従って、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を利用して定めた。結果を以下の表6に示す。
【0110】
比較例44A
ヘパリン(100mg/kg)をラットに経口摂取させて投与した。ヘパリン活性を実施例44の方法にしたがって定めた。
結果を以下の表6に示す。
【0111】
【表6】
【0112】
実施例51
実施例44の方法において、ヘパリンを低分子量ヘパリンに換えて、必要に応じて、溶解のための水およびプロピレングリコールの量を変えて、実施例44の方法をおこなった。
【0113】
実施例50−58:ラットにおける副甲状腺ホルモンのインビボ評価
投与溶液の調製
デリバリー薬剤を蒸留水および/またはプロピレングリコールで再構成し、塩酸水または水酸化ナトリウム水溶液のいずれかを用いてpH7.2−8.0に調節した。副甲状腺ホルモンの株溶液は、副甲状腺ホルモンを水に溶解するによって調製した。株溶液を次いでデリバリー薬剤溶液に添加した。いくつかのデリバリー薬剤/活性剤比に対して調べた。
【0114】
インビボ実験
200−250gの体重のオスのスプラグ−ダウレイ(Sprague−Dawley)ラットを24時間断食させ、ケタミン(44mg/kg)およびクロルプロマジン(1.5mg/kg)を投与の15分前に投与した。ラットに上記投与溶液のうちの1つを、経口注入または結腸内点滴によって投与した。副甲状腺ホルモン濃度のシーラム決定するために、血液サンプルを尾の動脈から練増採取した。
シーラム副甲状腺ホルモン濃度は、副甲状腺ホルモンラジオイムノアッセイテストキットによって定められた。
【0115】
インビボ経口実験
非−α−アミノ酸デリバリー薬剤および副甲状腺ホルモンを含有する溶液の経口投与を、ラットにおいてインビボでテストした。結果は、活性剤のみの投与の場合と比べると、副甲状腺ホルモンの経口バイオアベイラビリティが非常に増加することを示している。データを表7に示す。
【0116】
【表7】
【0117】
上記特許、特許出願、テスト方法、および文献は、ここに参照して組み入れられるものである。
本発明の種々の変形例は、上記詳細な説明から当業者ならば容易にわかるであろう。これらの明らかな変形例は、本願のクレームの範囲内にあるものである。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】図1は、rhGH組成物のラットへの皮下注射の結果を示すグラフである。
【図2】図2は、rhGHのラットへの舌下(SL)、鼻腔内(IN)、および腸内(IC)投与の結果を示すグラフである。
【図3】図3は、化合物XXXIキャリアを用いた、ヘパリンデリバリー腸内投与の結果を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項2】
【化7】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項3】
【化8】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項4】
【化9】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項5】
【化10】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項6】
【化11】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項7】
【化12】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項8】
【化13】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項9】
【化14】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項10】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【請求項11】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化24】
【請求項12】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化25】
【請求項13】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化26】
【請求項14】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化27】
【請求項15】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化28】
【請求項16】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化29】
【請求項17】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化30】
【請求項18】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化31】
【請求項19】
前記活性剤が生物学的活性剤および化学的活性剤からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項20】
前記生物学的活性剤が、ペプチド、ムコ多糖、炭水化物、脂質、殺虫剤、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記生物学的活性剤が、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、インターフェロン、インターロイキン−II、インスリン、ヘパリン、カルシトニン、エリスロポイエチン、心房性ナチュレティックファクタ、抗原、モノクローナル抗体、ソマトスタチン、アドレノコルチコトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、オキシトシン、バソプレッシン、ナトリウムクロモリン、バンコマイシン、副甲状腺ホルモン、デスフェリオキサミン(DFO)、またはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
副甲状腺ホルモンおよび化合物CXXIIIまたはその塩を含有する、請求項18に記載の組成物。
【請求項23】
(A)請求項10に記載の組成物;および
(B)(a)付形剤、
(b)希釈剤、
(c)分散剤、
(d)潤滑剤、
(e)可塑剤、
(f)着色剤、
(g)投与ビヒクル、または
(h)これらの混合物
を含有する投与単位形態。
【請求項24】
錠剤、カプセル、または液剤を含有する、請求項23に記載の投与単位形態。
【請求項25】
生物学的活性剤を必要とする動物に、前記生物学的活性剤を投与する方法であって、前記動物に、請求項10に記載の組成物を経口投与することを含有する投与方法。
【請求項26】
組成物の調製方法であって、前記方法が、
(A)少なくとも1つの生物学的活性剤;
(B)請求項1に記載の少なくとも1つの化合物;および
(C)任意に投与ビヒクルを混合することを含有する、調製方法。
【請求項27】
活性剤を必要とする動物に、前記活性剤を投与する方法であって、前記方法が、前記動物に、請求項10に記載の組成物を、経口、鼻腔内、舌下、十二指腸内、筋肉内または皮下投与することを含有する投与方法。
【請求項28】
式:
【化32】
(式中、YがC=OまたはSO2であり;
R1がC3−C24アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキン、シクロアルキル、または芳香族であり;
R2がH、C1−C4アルキル、またはC2−C4アルケニルであり;
R3がC1−C7アルキル、C3−C10シクロアルキル、アリール、チエニル、ピロロ、またはピリジルであり、R3は任意に1以上のC1−C5アルキル、C2−C4アルケニル、F、Cl、OH、SO2、COOH、またはSO3Hで置換されてもよい)
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(a)水中、塩基の存在下、式:
【化33】
の化合物を、式:R3−Y−X
(式中、Y、R1、R2、およびR3は、上記と同様の意味を有し、Xは脱離基である)と反応させることを含有する、調製方法。
【請求項29】
(A)少なくとも1つの生物学的活性剤;および
(B)以下の式で表わされる少なくとも1つのキャリア化合物またはその塩を含有する、薬理学的組成物。
【化34】
(式中、Arは置換または非置換フェニルまたはナフチルであり;
R7は、C4−C20アルキル、C4−C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C1−C10アルキル)フェニル、(C1−C10アルケニル)フェニル、(C1−C10アルキル)ナフチル、(C1−C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C1−C10アルキル)、フェニル(C1−C10アルケニル)、ナフチル(C1−C10アルキル)、およびナフチル(C1−C10アルケニル)からなる群から選択され;
R8は、H、C1−C4アルキル、C1−C4アルケニル、C1−C4アルケニル、ヒドロキシ、およびC1−C4アルコキシからなる群から選択され;
R7は任意に、C1−C4アルキル、C1−C4アルケニル、C1−C4アルコキシ、−OH、−SH、および−CO2R9、またはこれらの組み合わせで置換されてもよく;
R9は、H、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルケニルであり;
R7には任意に、酸素、窒素、イオウ、またはこれらの組み合わせが介在してもよく;
ただし、該化合物は酸基のα位がアミノ基で置換されることはない)。
【請求項30】
Arが非置換フェニルであり且つR8が水素;である、請求項29に記載の薬理学的組成物。
【請求項31】
(a)活性剤;および
(b)
【化35】
およびそれらの塩からなる群から選択される化合物を含有する組成物。
【請求項32】
(a)ペプチド、ホルモン、多糖、ムコ多糖、炭水化物、脂質、殺虫剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される活性剤;および
(b)
【化36】
およびそれらの塩からなる群から選択される化合物を含む組成物。
【請求項33】
(a)ペプチド、ホルモン、多糖、ムコ多糖、炭水化物、脂質、殺虫剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される活性剤;
(b)
【化37】
およびそれらの塩からなる群から選択される、少なくとも1つの化合物;および、
(c)任意に、投与ビヒクル
を混合することを含む調製方法。
【請求項1】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項2】
【化7】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項3】
【化8】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項4】
【化9】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項5】
【化10】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項6】
【化11】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項7】
【化12】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項8】
【化13】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項9】
【化14】
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【請求項10】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【請求項11】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化24】
【請求項12】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化25】
【請求項13】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化26】
【請求項14】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化27】
【請求項15】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化28】
【請求項16】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化29】
【請求項17】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化30】
【請求項18】
(a)活性剤;および
(b)以下の化合物群から選択される化合物またはその塩を含有する組成物。
【化31】
【請求項19】
前記活性剤が生物学的活性剤および化学的活性剤からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項20】
前記生物学的活性剤が、ペプチド、ムコ多糖、炭水化物、脂質、殺虫剤、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記生物学的活性剤が、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、インターフェロン、インターロイキン−II、インスリン、ヘパリン、カルシトニン、エリスロポイエチン、心房性ナチュレティックファクタ、抗原、モノクローナル抗体、ソマトスタチン、アドレノコルチコトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、オキシトシン、バソプレッシン、ナトリウムクロモリン、バンコマイシン、副甲状腺ホルモン、デスフェリオキサミン(DFO)、またはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
副甲状腺ホルモンおよび化合物CXXIIIまたはその塩を含有する、請求項18に記載の組成物。
【請求項23】
(A)請求項10に記載の組成物;および
(B)(a)付形剤、
(b)希釈剤、
(c)分散剤、
(d)潤滑剤、
(e)可塑剤、
(f)着色剤、
(g)投与ビヒクル、または
(h)これらの混合物
を含有する投与単位形態。
【請求項24】
錠剤、カプセル、または液剤を含有する、請求項23に記載の投与単位形態。
【請求項25】
生物学的活性剤を必要とする動物に、前記生物学的活性剤を投与する方法であって、前記動物に、請求項10に記載の組成物を経口投与することを含有する投与方法。
【請求項26】
組成物の調製方法であって、前記方法が、
(A)少なくとも1つの生物学的活性剤;
(B)請求項1に記載の少なくとも1つの化合物;および
(C)任意に投与ビヒクルを混合することを含有する、調製方法。
【請求項27】
活性剤を必要とする動物に、前記活性剤を投与する方法であって、前記方法が、前記動物に、請求項10に記載の組成物を、経口、鼻腔内、舌下、十二指腸内、筋肉内または皮下投与することを含有する投与方法。
【請求項28】
式:
【化32】
(式中、YがC=OまたはSO2であり;
R1がC3−C24アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキン、シクロアルキル、または芳香族であり;
R2がH、C1−C4アルキル、またはC2−C4アルケニルであり;
R3がC1−C7アルキル、C3−C10シクロアルキル、アリール、チエニル、ピロロ、またはピリジルであり、R3は任意に1以上のC1−C5アルキル、C2−C4アルケニル、F、Cl、OH、SO2、COOH、またはSO3Hで置換されてもよい)
の化合物の調製方法であって、前記方法が、
(a)水中、塩基の存在下、式:
【化33】
の化合物を、式:R3−Y−X
(式中、Y、R1、R2、およびR3は、上記と同様の意味を有し、Xは脱離基である)と反応させることを含有する、調製方法。
【請求項29】
(A)少なくとも1つの生物学的活性剤;および
(B)以下の式で表わされる少なくとも1つのキャリア化合物またはその塩を含有する、薬理学的組成物。
【化34】
(式中、Arは置換または非置換フェニルまたはナフチルであり;
R7は、C4−C20アルキル、C4−C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C1−C10アルキル)フェニル、(C1−C10アルケニル)フェニル、(C1−C10アルキル)ナフチル、(C1−C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C1−C10アルキル)、フェニル(C1−C10アルケニル)、ナフチル(C1−C10アルキル)、およびナフチル(C1−C10アルケニル)からなる群から選択され;
R8は、H、C1−C4アルキル、C1−C4アルケニル、C1−C4アルケニル、ヒドロキシ、およびC1−C4アルコキシからなる群から選択され;
R7は任意に、C1−C4アルキル、C1−C4アルケニル、C1−C4アルコキシ、−OH、−SH、および−CO2R9、またはこれらの組み合わせで置換されてもよく;
R9は、H、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルケニルであり;
R7には任意に、酸素、窒素、イオウ、またはこれらの組み合わせが介在してもよく;
ただし、該化合物は酸基のα位がアミノ基で置換されることはない)。
【請求項30】
Arが非置換フェニルであり且つR8が水素;である、請求項29に記載の薬理学的組成物。
【請求項31】
(a)活性剤;および
(b)
【化35】
およびそれらの塩からなる群から選択される化合物を含有する組成物。
【請求項32】
(a)ペプチド、ホルモン、多糖、ムコ多糖、炭水化物、脂質、殺虫剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される活性剤;および
(b)
【化36】
およびそれらの塩からなる群から選択される化合物を含む組成物。
【請求項33】
(a)ペプチド、ホルモン、多糖、ムコ多糖、炭水化物、脂質、殺虫剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される活性剤;
(b)
【化37】
およびそれらの塩からなる群から選択される、少なくとも1つの化合物;および、
(c)任意に、投与ビヒクル
を混合することを含む調製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2007−77170(P2007−77170A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335831(P2006−335831)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【分割の表示】特願2003−140962(P2003−140962)の分割
【原出願日】平成8年4月1日(1996.4.1)
【出願人】(503179908)エミスフェアー・テクノロジーズ・インク (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【分割の表示】特願2003−140962(P2003−140962)の分割
【原出願日】平成8年4月1日(1996.4.1)
【出願人】(503179908)エミスフェアー・テクノロジーズ・インク (3)
【Fターム(参考)】
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