説明

液体供給装置及び燃料電池装置

【課題】実際に供給されている液体供給量を正確に得ることができる液体供給装置及び燃料電池装置を提供する。
【解決手段】燃料電池1と、該燃料電池1に燃料ガスを供給すべく水蒸気改質を行う改質器4と、該改質器4に水を供給するためのショットポンプ11と、該ショットポンプ11の駆動電流を検出する電流センサ26と、ショットポンプ11による1ショット当たりの吐出量の設定値及び電流センサ26からの信号に基づき単位時間当たりの水の供給量を算出する制御部14とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を供給源から供給先に供給するショットポンプを有する液体供給装置及び燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代エネルギーとして、燃料電池セルを複数配列してなる燃料電池スタックを収納容器内に収納した燃料電池やその運転方法が種々提案されている。
【0003】
この燃料電池において発電に用いる燃料ガスとしては水素ガスが用いられ、水素ガスと酸素含有ガス(通常、空気である)とを燃料電池セルに供給し、酸素含有ガスを燃料電池セル中の酸素極に接触させ、かつ水素ガスを燃料電池セル中の燃料極に接触させ、所定の電極反応を生じせしめることにより、発電が行われる。
【0004】
この燃料ガスである水素ガスの生成方法としては、例えば改質器に、原燃料供給手段より天然ガス等の炭化水素を供給するとともに、水供給手段により水蒸気を供給して、天然ガスと水蒸気とを反応させて水素を生成する水蒸気改質法等が知られている。
【0005】
ここで、改質器に供給される水は、改質器や燃料電池に対して影響が少ない純水を供給することが好ましい。したがって、例えば水道水等より供給される水を、水供給手段により改質器に供給するにあたっては、水道水等に含まれる不純物を除去すべく、各種フィルタを介した後に改質器に供給することが好ましく、そのような水供給方法が従来知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、家庭用の燃料電池では、改質器での水蒸気改質に使用される純水量は少ないため、少ない量の純水を供給できるポンプとしてショットポンプが用いられている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0007】
この特許文献3には、燃料を供給するポンプとしてショットポンプが用いられており、このショットポンプのショット数を制御部にてカウントして制御し、理論的に供給量を制御していた。
【特許文献1】特開2005−129334号公報
【特許文献2】特開2006−258057号公報
【特許文献3】特開2006−294471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ショットポンプは微量な水を供給する際に用いられるが、ごみが詰まったり、エアがショットポンプ内に入り水を押し出すことができない現象、いわゆるエア噛みが発生する虞がある。ごみは、例えば製造時から供給管内部に存在している場合があり、エアは、水処理装置で発生する場合がある。
【0009】
このようなごみ詰まりや、エア噛みの場合には、制御部から一定時間当たりのショット数指令が出されているにもかかわらず、現実にはショットポンプが制御部から指令されたショット数でショットすることができず、ショット数指令に対する理論的な水供給量(指令による所定時間当たりのショット回数に1ショット当たりの水量を乗じた値で定義される)よりも実際に流れる水供給量が少なくなり、正確な水供給量を得ることができないという問題があった。これにより、燃料電池の最適運転に影響を与えるという問題があった。
【0010】
特に、近年の家庭用燃料電池では、1kW以下の発電量であり、家庭の負荷に対して迅速に追従して、かつ最適量の発電が要求されており、そのためには、家庭の負荷に対して燃料電池に最適量の燃料ガス(H)を供給する必要があり、それには、改質器への水供給量を正確に制御する必要があった。
【0011】
本発明は、実際に供給されている液体供給量を正確に得ることができる液体供給装置及び燃料電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の液体供給装置は、液体を供給源から供給先に供給するショットポンプと、該ショットポンプの駆動電流を検出する電流検出部と、前記ショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値及び前記電流検出部からの信号に基づき単位時間当たりの液体の供給量を算出する制御部とを具備することを特徴とする。
【0013】
本発明では、液体を供給すべくショットポンプを駆動すると、このショットポンプの駆動電流が電流検出部にて検出され、例えば、ショットポンプの駆動に応じた駆動電流のパルス信号が検出され、制御部でショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値及び電流検出部からの信号に基づくパルス数から、定常状態における単位時間当たりの液体の供給量を正確に算出することができる。
【0014】
一方、ショットポンプでエア噛みが生じると、液体を押し出すことができないため、ショットポンプの駆動に応じた駆動電流のパルス信号は、駆動電流が小さくなり、液体を押し出す時の定常状態の駆動電流よりも小さい電流となる。従って、制御部で、定常状態の駆動電流のパルス信号だけを抽出し、このパルス信号数に、ショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値を乗ずることにより、ショットポンプによる正確な液体供給量を得ることができる。
【0015】
即ち、ショットポンプは微量な液体を安価に供給する際に用いられるが、ごみが詰まったり、エアがショットポンプ内に入り液体を押し出すことができない現象、いわゆるエア噛みが発生する虞があり、理論的な液体供給量よりも実際に流れる液体量が少なくなることがあったが、本発明では、ショットポンプの駆動電流を検出する電流検出部により、ショットポンプの駆動に応じた駆動電流のパルス信号が検出され、いわゆるエア噛み等が生じ、一時的に液体を供給することができない状況が生じたとしても、定常状態の駆動電流のパルス信号だけを抽出し、このパルス信号数に、ショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値を乗ずることにより、ショットポンプによる正確な液体供給量を得ることができる。
【0016】
本発明の燃料電池装置は、燃料電池と、該燃料電池に燃料ガスを供給すべく水蒸気改質を行う改質器と、該改質器に水を供給するためのショットポンプと、該ショットポンプの駆動電流を検出する電流検出部と、前記ショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値及び前記電流検出部からの信号に基づき単位時間当たりの水の供給量を算出する制御部とを具備することを特徴とする。
【0017】
本発明では、水を供給すべくショットポンプを駆動すると、このショットポンプの駆動電流が電流検出部にて検出され、例えば、ショットポンプの駆動に応じた駆動電流のパルス信号が検出され、制御部でショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値及び電流検出部からの信号に基づくパルス数から、定常状態における単位時間当たりの水の供給量を正確に算出することができる。これにより、改質器での水蒸気改質の条件を最適化することができ、発電性能を向上できる。
【0018】
一方、ショットポンプでエア噛みが生じると、水を押し出すことができないため、ショットポンプの駆動に応じた駆動電流のパルス信号は、駆動電流が小さくなり、水を押し出す時の定常状態の駆動電流よりも小さい電流となる。従って、制御部で、定常状態の駆動電流のパルス信号だけを抽出し、このパルス信号数に、ショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値を乗ずることにより、ショットポンプによる正確な水供給量を得ることができる。
【0019】
即ち、ショットポンプは微量な水を安価に供給する際に用いられるが、ごみが詰まったり、エアがショットポンプ内に入り水を押し出すことができない現象、いわゆるエア噛みが発生する虞があり、理論的な水供給量よりも実際に流れる水量が少なくなることがあったが、本発明では、ショットポンプの駆動電流を検出する電流検出部により、ショットポンプの駆動に応じた駆動電流のパルス信号が検出され、いわゆるエア噛み等が生じ、一時的に水を供給することができない状況が生じたとしても、定常状態の駆動電流のパルス信号だけを抽出し、このパルス信号数に、ショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値を乗ずることにより、ショットポンプによる正確な水供給量を得ることができる。これにより、改質器への水供給量を正確に制御することができ、負荷に対して迅速に追従して最適量の発電を行うことができる。従って、本発明は、特に家庭用の燃料電池装置として好適に用いることができる。
【0020】
本発明の燃料電池装置は、前記制御部は警報機能を具備するとともに、前記制御部からの指令に基づき前記ショットポンプから単位時間当たりに吐出される理論水供給量と、前記ショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値及び前記電流検出部からの信号に基づき算出された単位時間当たりの水供給量との差が一定値以上である場合に、前記制御部は警報を発することを特徴とする。
【0021】
このような燃料電池装置では、制御部からの指令に基づきショットポンプから単位時間当たりに吐出される理論水供給量と、ショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値及び電流検出部からの信号に基づき制御部で算出された単位時間当たりの水供給量との差が一定値以上である場合、言い換えれば、ショットポンプの指令ショット数よりも、電流検出部の信号から算出した実際のショット数が一定値以上少ない場合には、ショットポンプにごみが詰まりや、エア噛みが発生したと仮定し、制御部が警報を発するため、その後の適切な処理、例えば、ショットポンプの検査、修理、取替、或いは燃料電池装置の停止等を迅速に行うことができ、燃料電池装置に与える影響を最小源にすることができる。
【0022】
さらに、本発明の燃料電池装置は、前記制御部は警報機能を具備するとともに、前記制御部から前記ショットポンプに単位時間当たりのショット数指令が出されているにもかかわらず、前記電流検出部からの信号から求めた単位時間当たりのショット数が前記制御部からの単位時間当たりの指令ショット数よりも少ない場合に前記制御部は警報を発することを特徴とする。
【0023】
通常は、ショットポンプのショット数に対応して、電流検出部の駆動電流に基づくパルス信号が発生するはずであるが、上記したように、ごみが詰まりや、エア噛みが発生した場合にはショットポンプが水を押し出せないため、ショットポンプの単位時間当たりのショット数指令に対して、実際のショットポンプのショット数は少なくなる。このような状態になると、制御部が警報を発するため、その後の適切な処理、例えば、ショットポンプの検査、修理、取替、或いは燃料電池装置の停止等を迅速に行うことができ、燃料電池装置に与える影響を最小源にすることができる。
【0024】
さらにまた、本発明の燃料電池装置は、前記制御部から前記ショットポンプに単位時間当たりのショット数指令が出されているにもかかわらず、前記電流検出部からの信号から求めた単位時間当たりのショット数が前記制御部からの単位時間当たりの指令ショット数よりも少ない場合に、前記制御部は前記ショットポンプに対して単位時間当たりのショット数を増加させる増加ショット数指令を入力するように制御することを特徴とする。
【0025】
通常は、ショットポンプのショット数に対応して、電流検出部の駆動電流に基づくパルス信号が発生するはずであるが、上記したように、ごみが詰まりや、エア噛みが発生した場合にはショットポンプが水を押し出せないため、ショットポンプの単位時間当たりのショット数指令に対して、実際のショットポンプのショット数は少なくなる。このような状態になると、制御部がショットポンプに対して単位時間当たりのショット数を増加させた、例えば最大ショット数としたショット数指令を入力するように制御し、ごみが詰まりや、エア噛みが発生した場合でも、ごみやエアと共に水を強制的に押し出すことができる。
【0026】
また、本発明の燃料電池装置は、前記制御部は警報機能を具備するとともに、前記制御部から前記ショットポンプへの前記増加ショット数指令が一定時間継続した場合に、前記制御部は警報を発することを特徴とする。
【0027】
制御部がショットポンプに対して単位時間当たりのショット数を一定時間増加させた場合であっても、ショットポンプの単位時間当たりの指令ショット数に対応して、電流検出部の駆動電流に基づくパルス信号数が出されない場合、制御部が警報を発するため、その後の適切な処理、例えば、ショットポンプの検査、修理、取替、或いは燃料電池装置の停止等を迅速に行うことができ、燃料電池装置に与える影響を最小源にすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の液体供給装置は、液体を供給すべくショットポンプを駆動すると、このショットポンプの駆動電流が電流検出部にて検出され、例えば、ショットポンプの駆動に応じた駆動電流のパルス信号が検出され、制御部でショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値及び電流検出部からの信号に基づくパルス数から、定常状態における単位時間当たりの液体の供給量を正確に算出することができる。
【0029】
また、本発明の燃料電池装置は、水を供給すべくショットポンプを駆動すると、このショットポンプの駆動電流が電流検出部にて検出され、例えば、ショットポンプの駆動に応じた駆動電流のパルス信号が検出され、制御部でショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値及び電流検出部からの信号に基づくパルス数から、定常状態における単位時間当たりの水の供給量を正確に算出することができる。これにより、改質器での水蒸気改質の条件を最適化することができ、発電性能を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明の燃料電池装置の一例を示した構成図である。本発明の燃料電池装置は、発電を行なう発電ユニット、熱交換後の湯水を貯湯する貯湯ユニット、これらのユニット間を湯水が循環するための循環配管から構成されている。
【0031】
本発明の燃料電池装置は、燃料電池1、天然ガス等の原燃料を供給する原燃料供給装置2、空気等の酸素含有ガスを燃料電池1に供給するための酸素含有ガス供給装置3、燃料ガスと水蒸気により水蒸気改質する改質器4を具備している。
【0032】
ここで、改質器4に純水を供給する手段である水供給手段Xは、給水管5、給水管5より供給される水を調整する給水電磁弁6、活性炭フィルタ7、逆浸透膜8(以下、RO膜とする)、水タンク9、イオン交換樹脂10、ショットポンプ11、電流センサ(電流検出部)26により構成されている。給水電磁弁6、活性炭フィルタ7、RO膜8、水タンク9、イオン交換樹脂10、ショットポンプ11、電流センサ26、改質器4はそれぞれ配管にて接続されている。
【0033】
ショットポンプ11は、例えば、シリンダ内に設けたピストンがモータ駆動又は油圧駆動で上昇する際に水を入口からシリンダ内に吸い込み、ピストンの下降でシリンダの出口から吐出するように構成されており、これにより、配管内の水は間欠的に流れ、また、1ショット当たりの吐出量は、ピストンの移動量で決定されるように構成されている。ショットポンプ11は安価であるため、微少流量の液体を供給する際に好適に用いられている。尚、ショットポンプ11は上記構成に限定されるものではなく、1ショット毎に液体を圧送するものであれば良い。
【0034】
また、電流センサ26は、ショットポンプ11の駆動電流を検出するもので、検出した駆動電流の信号を発するように構成されている。このショットポンプ11の駆動電流は、図2に示すように、パルス信号とされており、間欠信号を発するように構成されている。
【0035】
そして、制御部14では、ショットポンプ11による1ショット当たりの吐出量の設定値、及び電流センサ26からの間欠信号から、単位時間当たりの水の供給量を算出する。即ち、例えばショットポンプ11からの1ショット当たりの吐出量が0.5ccであり、1分当たりの電流センサ26からの間欠信号が10回であると、5cc/分が水の供給量となる。
【0036】
電流センサ26からの間欠信号は、図2に示すように、ショットポンプ11の駆動に応じた駆動電流のパルス信号として検出され、制御部14でショットポンプ11による1ショット当たりの吐出量の設定値及び電流センサ26からの信号に基づくパルス数から、定常状態における単位時間当たりの液体の供給量を正確に算出することができる。
【0037】
燃料電池1、原燃料供給装置2、酸素含有ガス供給装置3、改質器4および水供給手段Xにて、主たる発電部が構成される。
【0038】
さらに、上記した主たる発電部に加え、燃料電池1にて発電された直流電力を交流電力に切り替え外部負荷に供給するためのパワーコンディショナ12、燃料電池1の発電により生じた排ガス(排熱)と水とで熱交換する熱交換器13、熱交換器13の出口に設けられ熱交換器13の出口を流れる水(循環水流)の水温を測定するための出口水温センサ15、水を循環させるための循環ポンプ16、循環ポンプ16の運転を制御する制御部14、により発電ユニットが構成されている。
【0039】
また貯湯ユニットは、熱交換後の湯水を貯湯するための貯湯タンク18を具備して構成されている。
【0040】
さらに、熱交換器13と貯湯タンク18との間で水を循環させるための循環配管17が設けられており、発電ユニット、貯湯ユニット、循環配管17をあわせて燃料電池装置が構成される。
【0041】
なお、図中の矢印は、燃料ガス、酸素含有ガス、水の流れ方向を示したものであり、また波線は制御部14に伝送される主な信号経路、または制御部14より伝送される主な信号経路を示している。また、同一の構成については同一の番号を付するものとし、以下同様である。さらに、図示していないが、原燃料供給装置2と改質器4の間に、燃料ガスを加湿するための燃料加湿器を設けることも可能である。
【0042】
ここで、図1に示した燃料電池装置の運転方法について説明する。
【0043】
燃料電池1の発電に用いられる改質ガスを得るための改質器4で使用される純水は、給水電磁弁6が開放され、給水管5を通して活性炭フィルタ7に給水される。活性炭フィルタ7を流通した水は、続いてRO膜8を流通して水タンク9に貯水される。水タンク9に貯水された水は、イオン交換樹脂10を流通して精製度の高い水(純水)とされ、ショットポンプ11により改質器4に供給される。
【0044】
改質器4においては、ショットポンプ11により供給され精製された水と、原燃料供給装置2より供給される原燃料(被改質ガス)とにより、水蒸気改質を行なう。改質器4にて生成された改質ガスは、燃料電池1に送られ、酸素含有ガス供給装置3より供給される酸素含有ガスと反応して、燃料電池1の発電が行なわれる。そして、燃料電池1の発電で生じた電力は、パワーコンディショナ12を通じて、外部負荷に供給される。
【0045】
一方、燃料電池1の発電により生じた排ガス(排熱)は、主に燃料電池1の温度を高めるもしくは維持するために使用されるが、余った排ガスが燃料電池1より熱交換器13に供給される。
【0046】
熱交換器13に供給された排ガスは、熱交換器13内を流通(循環)する水とで熱交換される。そして熱交換された水(湯水)は、循環配管17を循環して貯湯タンク18に貯湯される。
【0047】
そして、制御部14が、単位時間当たり所定回のショット数でショットポンプ11を駆動するが、本発明では、水を供給すべくショットポンプ11を駆動すると、このショットポンプ11の駆動電流が電流センサ26にて検出され、例えば、ショットポンプ11の駆動に応じた駆動電流のパルス信号が検出され、制御部14でショットポンプ11による1ショット当たりの吐出量の設定値及び電流センサ26からの信号に基づくパルス数から、定常状態における単位時間当たりの水の供給量を正確に算出することができる。これにより、改質器4での水蒸気改質の条件を最適化することができ、発電性能を向上できる。
【0048】
即ち、ショットポンプ11は、エアがショットポンプ11内に入り水を押し出すことができない現象、いわゆるエア噛みが発生する虞があり、ショット数に対する理論的な水量よりも実際に流れる水量が少なくなることがあったが、ショットポンプ11でエア噛みが生じると、水を押し出すことができないため、ショットポンプ11の駆動に応じた駆動電流のパルス信号は、図2に示すように駆動電流が小さくなり、水を押し出す時の定常状態の駆動電流よりも小さい電流となる。従って、制御部14で、定常状態の駆動電流のパルス信号だけを抽出し、このパルス信号数に、ショットポンプ11による1ショット当たりの吐出量の設定値を乗ずることにより、ショットポンプ11による正確な水供給量を得ることができる。
【0049】
そして、制御部14からの指令に基づきショットポンプ11から単位時間当たりに吐出される理論水供給量、言い換えれば、制御部14からのショットポンプ11への単位時間当たりのショット数指令による理論水供給量と、ショットポンプ11による1ショット当たりの吐出量の設定値、及び電流センサ26からの信号から、制御部14で算出された単位時間当たりの水供給量との差が一定値以上である場合には、制御部14が水供給量異常の信号等の警報を発する。即ち、電流センサ26の間欠信号を用いて制御部14で算出された水供給量が、制御部14からのショットポンプ11への単位時間当たりのショット数指令を用いた理論水供給量よりも一定値以上少ない場合には、エア噛みが発生したと仮定し、制御部14が警報を発し、これに基づき、その後の適切な処理、例えば、警告ランプの点灯、ショットポンプ11の検査、修理、取替、或いは燃料電池装置の停止等を迅速に行うことができ、燃料電池装置に与える影響を最小源にすることができる。
【0050】
また、単位時間当たりの理論水供給量と電流センサ26の間欠信号を用いて制御部14で算出された水供給量の差を算出して制御する方法に代えて、制御部14からショットポンプ11に単位時間当たりのショット数指令が出されている場合に、電流センサ26からの信号から求めた単位時間当たりのショット数が、制御部14からの単位時間当たりの指令ショット数よりも少ない場合には、制御部14が警報を発するようにすることもできる。
【0051】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。例えば、上記形態では、燃料電池装置の場合について説明したが、本発明では、他の液体の供給装置として、本発明の液体供給装置を適用しても良いことは勿論である。
【0052】
尚、上記形態では、実際の水供給量が理論水供給量よりも一定値以上少ない場合には、制御部14が警報を発する運転方法について説明したが、制御部14からショットポンプ11に単位時間当たりのショット数指令が出されているにもかかわらず、電流センサ26からの信号から求めた単位時間当たりのショット数が、制御部14からの単位時間当たりの指令ショット数よりも少ない場合(間欠信号がない場合も含む)には、例えば図2に破線で示すように、制御部14がショットポンプ11に対して単位時間当たりのショット数を増加させる増加ショット数指令が入力するように制御する。例えば最大ショット数となるように制御することにより、エア噛みが発生した場合でも、エアと共に水を強制的に押し出すことができる。
【0053】
この場合に、制御部14からショットポンプ11に単位時間当たりの増加ショット数指令、例えば最大ショット数指令が一定時間継続した場合には、制御部14が水供給量異常の信号を発する。一定時間以上最大ショット数で稼働した場合でも、エアと共に水を強制的に押し出すことができないため、制御部が水供給量異常の信号を発し、その後の適切な処理、例えば、ショットポンプの検査、修理、取替、或いは燃料電池装置の停止等を迅速に行うことができ、燃料電池装置に与える影響を最小源にすることができる。
【0054】
尚、本発明において、ショット数とは、原則としてショットポンプ11が実際に駆動したショット数であり、指令ショット数とは、制御部14からショットポンプ11に入力されたショット数指令に基づくショット数であり、ショット数指令とは、制御部14からショットポンプ11へのショット数に関する指令であり、増加ショット数指令とは、制御部14からショットポンプ11への単位時間当たりのショット数を増加する指令である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の燃料電池装置を示す構成図である。
【図2】電流センサによる駆動電流の検出状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1:燃料電池
4:改質器
11:ショットポンプ
14:制御部
26:電流センサ(電流検出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を供給源から供給先に供給するショットポンプと、該ショットポンプの駆動電流を検出する電流検出部と、前記ショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値及び前記電流検出部からの信号に基づき単位時間当たりの液体の供給量を算出する制御部とを具備することを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
燃料電池と、該燃料電池に燃料ガスを供給すべく水蒸気改質を行う改質器と、該改質器に水を供給するためのショットポンプと、該ショットポンプの駆動電流を検出する電流検出部と、前記ショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値及び前記電流検出部からの信号に基づき単位時間当たりの水の供給量を算出する制御部とを具備することを特徴とする燃料電池装置。
【請求項3】
前記制御部は警報機能を具備するとともに、前記制御部からの指令に基づき前記ショットポンプから単位時間当たりに吐出される理論水供給量と、前記ショットポンプによる1ショット当たりの吐出量の設定値及び前記電流検出部からの信号に基づき算出された単位時間当たりの水供給量との差が一定値以上である場合に、前記制御部は警報を発することを特徴とする請求項2記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記制御部は警報機能を具備するとともに、前記制御部から前記ショットポンプに単位時間当たりのショット数指令が出されているにもかかわらず、前記電流検出部からの信号から求めた単位時間当たりのショット数が前記制御部からの単位時間当たりの指令ショット数よりも少ない場合に前記制御部は警報を発することを特徴とする請求項2記載の燃料電池装置。
【請求項5】
前記制御部から前記ショットポンプに単位時間当たりのショット数指令が出されているにもかかわらず、前記電流検出部からの信号から求めた単位時間当たりのショット数が前記制御部からの単位時間当たりの指令ショット数よりも少ない場合には、前記制御部は前記ショットポンプに対して単位時間当たりのショット数を増加させる増加ショット数指令を入力するように制御することを特徴とする請求項2記載の燃料電池装置。
【請求項6】
前記制御部は警報機能を具備するとともに、前記制御部から前記ショットポンプへの前記増加ショット数指令が一定時間継続した場合に、前記制御部は警報を発することを特徴とする請求項5記載の燃料電池装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−243593(P2008−243593A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82468(P2007−82468)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】