液処理装置および液処理方法
【課題】ノズルを支持するノズル支持アームに付着した汚れにより処理室内の基板が汚れてしまうことを防止することができる液処理装置および液処理方法を提供する。
【解決手段】液処理装置10は、基板Wを保持する基板保持部21および当該基板保持部21の周囲に配設されるカップ40が内部に設けられた処理室20と、基板保持部21に保持された基板Wに対して流体を供給するためのノズル82aと、ノズル82aを支持するノズル支持アーム82とを備えている。液処理装置10には、ノズル支持アーム82の洗浄を行うためのアーム洗浄部88が設けられている。
【解決手段】液処理装置10は、基板Wを保持する基板保持部21および当該基板保持部21の周囲に配設されるカップ40が内部に設けられた処理室20と、基板保持部21に保持された基板Wに対して流体を供給するためのノズル82aと、ノズル82aを支持するノズル支持アーム82とを備えている。液処理装置10には、ノズル支持アーム82の洗浄を行うためのアーム洗浄部88が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を水平状態に保持した状態で回転させながら当該基板に処理液を供給することにより基板の洗浄処理やエッチング処理、メッキ処理、現像処理等の液処理を行う液処理装置および液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体ウエハ等の基板(以下、ウエハともいう)を水平状態に保持した状態で回転させながら当該基板の表面や裏面に処理液を供給することにより基板の洗浄処理やエッチング処理、メッキ処理、現像処理等の液処理を行う液処理装置として、様々な種類のものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。特許文献1には、基板をスピンチャックにより水平に保持して回転させ、スピンチャックにより保持されて回転する基板の表面に処理液を供給するような、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の液処理装置が開示されている。また、このような枚葉式の液処理装置において、処理室の上方にFFU(ファンフィルタユニット)を設け、このFFUからN2ガス(窒素ガス)やクリーンエア等のガスをダウンフローで処理室内に送るような技術が知られている。
【0003】
処理室の上方にFFUが設けられた液処理装置の構成について図14および図15を用いて説明する。図14は、従来の液処理装置の概略的な構成を示す側面図であり、図15は、図14に示す従来の液処理装置の上面図である。図14および図15に示すように、従来の液処理装置200は、ウエハWが収容され、この収容されたウエハWの液処理が行われる処理室(チャンバー)210を備えている。図14および図15に示すように、処理室210内には、ウエハWを保持して回転させるための保持部220が設けられており、この保持部220の周囲にはカップ230が配設されている。また、従来の液処理装置200では、保持部220に保持されたウエハWに対してカップ230の上方から処理液を供給するためのノズル240およびこのノズル240を支持するアーム241が処理室210内に設けられている。また、アーム241には略鉛直方向に延びるアーム支持部242が設けられており、このアーム支持部242によりアーム241が支持されている。
そして、アーム支持部242は図示しない駆動機構により正逆両方向に回転駆動させられるようになっている。このことにより、アーム241はアーム支持部242を中心として正逆両方向に回転可能となり、このアーム241は、保持部220により保持されたウエハWに処理液を供給する進出位置(図15の実線参照)とカップ230から退避した退避位置(図15の二点鎖線参照)との間でアーム支持部242を中心として回転移動を行うようになる(図15の矢印参照)。
【0004】
また、図14に示すように、処理室210の上方にはFFU(ファンフィルタユニット)250が設けられており、このFFU250からN2ガス(窒素ガス)やクリーンエア等のガスが常にダウンフローで処理室210内に送られるようになっている。また、処理室210の底部には排気部260が設けられており、この排気部260により処理室210内の雰囲気の排気が行われるようになっている。このように、FFU250から処理室210内にクリーンエア等のガスがダウンフローで送られ、このガスが排気部260により排気されることにより、処理室210内の雰囲気の置換が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−94525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図14および図15に示すような従来の液処理装置200では、ノズル240を支持するアーム241やこのアーム241を支持するアーム支持部242が処理室210内に設けられている。ここで、図14および図15に示すような従来の液処理装置200では、アーム241に付着した汚れが処理室210内のウエハWに落下して付着してしまうおそれがある。また、処理室210内でウエハWの液処理を行う際に薬液等が飛散してアーム241に付着すると、この薬液がアーム241に残存してしまい、その後のウエハWの処理においてこの残存した薬液の雰囲気によりウエハWが汚れてしまう等の悪影響を与えてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、ノズルを支持するノズル支持アームに付着した汚れにより処理室内の基板が汚れてしまうことを防止することができる液処理装置および液処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液処理装置は、基板を保持する基板保持部および当該基板保持部の周囲に配設されるカップが内部に設けられた処理室と、前記基板保持部に保持された基板に対して流体を供給するためのノズルと、前記ノズルを支持するノズル支持アームと、前記ノズル支持アームの洗浄を行うためのアーム洗浄部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このような液処理装置によれば、ノズル支持アームの洗浄を行うためのアーム洗浄部が設けられているので、アーム洗浄部によりノズル支持アームを洗浄することによって、ノズル支持アームに付着した汚れにより処理室内の基板が汚れてしまうことを防止することができる。
【0010】
本発明の液処理装置においては、前記アーム洗浄部は、前記ノズル支持アームが移動する際に当該ノズル支持アームの洗浄を行うようになっていてもよい。あるいは、前記アーム洗浄部は、前記ノズル支持アームが退避位置にあるときに当該ノズル支持アームの洗浄を行うようになっていてもよい。
【0011】
この際に、前記アーム洗浄部は、洗浄液が収容される収容部分を有し、前記アーム洗浄部において、前記収容部分に収容された洗浄液に前記ノズル支持アームの一部が接触しながら当該ノズル支持アームが移動することにより前記ノズル支持アームの洗浄が行われるようになっていてもよい。
【0012】
また、前記アーム洗浄部において、前記ノズル支持アームの移動方向における前記収容部分よりも前記処理室に近い前方位置および前記収容部分よりも前記処理室から遠い後方位置のうち少なくともいずれか一方の位置に吸引機構が設けられていてもよい。
前記アーム洗浄部は、前記ノズル支持アームの移動方向における前記収容部分よりも前記処理室から遠い後方位置に、前記ノズル支持アームに乾燥用ガスを吹き付ける乾燥ブロックを有していてもよい。
【0013】
また、前記ノズル支持アームは、前記ノズルに流体を送るための配管を内部に有し、前記アーム洗浄部において、前記ノズル支持アームの移動方向における前記収容部分よりも前記処理室に近い前方位置および前記収容部分よりも前記処理室から遠い後方位置のうち少なくともいずれか一方の位置に、前記ノズル支持アーム内の前記配管に残留した液体を排出するための排液部分が設けられており、前記ノズルが前記排液部分の真上に位置するよう前記ノズル支持アームが移動することにより、前記ノズル支持アーム内の前記配管に残留した液体が前記ノズルから前記排液部分に送られるようになっていてもよい。
【0014】
本発明の液処理装置においては、前記処理室に隣接して設けられ、当該処理室から退避した前記ノズル支持アームが待機するためのアーム待機部を更に備えていてもよい。
この際に、前記アーム洗浄部は、前記処理室における前記カップと前記アーム待機部との間の領域または前記アーム待機部に位置固定で設けられていてもよい。
また、前記処理室と前記アーム待機部との間には鉛直方向に延びる壁が設けられており、前記壁には、前記ノズル支持アームが通過可能な開口が設けられており、前記壁に前記アーム洗浄部が取り付けられていてもよい。
【0015】
本発明の液処理装置においては、前記処理室内において前記カップの周囲に配設され、上方位置と下方位置との間で昇降可能となっており、前記ノズル支持アームが通過可能な開口が設けられた円筒状のカップ外周筒を更に備え、前記アーム洗浄部は前記カップ外周筒の外側に設けられていてもよい。
【0016】
本発明の液処理装置は、下記のように構成することができる。すなわち、前記ノズル支持アームは、その長手方向に進退して、前記ノズルが前記基板保持部により保持された基板の上方に位置する進出位置と、当該進出位置から後退した退避位置をとることができるように設けられており、前記アーム洗浄部は、洗浄ボックスと、乾燥ブロックとを有しており、前記洗浄ボックスは、前記退避位置に位置する前記ノズル支持アームの外周を包囲するように構成され、前記洗浄ボックスに、前記洗浄ボックス内に位置する前記ノズル支持アームに向けて洗浄液を噴射する少なくとも1つの洗浄液ノズルが設けられており、前記乾燥ブロックは、前記洗浄ボックスに隣接して、前記ノズル支持アームの進退方向に関して前記洗浄ボックスよりも前方に設けられており、前記乾燥ブロックは、前記ノズル支持アームの外周面に向けて乾燥用ガスを噴射するガス噴射孔を有しており、前記ノズル支持アームを前記退避位置から前記進出位置に向けて前方に移動させながら前記ガス噴射孔から乾燥用ガスを前記ノズル支持アームに噴射することにより、前記ノズル支持アームを乾燥させることができるように構成されている。
【0017】
前記乾燥ブロックは、前記ガス噴射孔から噴射された乾燥用ガスが前記洗浄ボックス側に向けて流れるように構成されていてもよい。
前記洗浄ボックス内に、前記ノズル支持アームの上部に向けて洗浄液を噴射する第1の洗浄液ノズルと、前記ノズル支持アームの下部に向けて洗浄液を噴射する第2の洗浄液ノズルとが設けられていてもよい。
【0018】
本発明の液処理方法は、処理室の内部に設けられた基板保持部により基板を保持させる工程と、ノズルを支持するノズル支持アームを前記処理室内に進出させる工程と、前記処理室内に進出したノズル支持アームのノズルにより、前記基板保持部により保持された基板に流体を供給する工程と、アーム洗浄部により、前記ノズル支持アームが移動する際に当該ノズル支持アームの洗浄を行う工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明による別の液処理方法は、処理室の内部に設けられた基板保持部により基板を保持させる工程と、ノズルを支持するノズル支持アームを前記処理室内に進出させる工程と、前記処理室内に進出したノズル支持アームのノズルにより、前記基板保持部により保持された基板に流体を供給する工程と、アーム洗浄部により、前記ノズル支持アームが退避位置にあるときに当該ノズル支持アームの洗浄を行う工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の液処理装置および液処理方法によれば、ノズルを支持するノズル支持アームに付着した汚れにより処理室内の基板が汚れてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態による液処理装置を含む液処理システムを上方から見た上面図である。
【図2】本発明の実施の形態による液処理装置の概略的な構成を示す上面図である。
【図3】図2に示す液処理装置の側面図である。
【図4】図2に示す液処理装置の構成の詳細を示す縦断面図であって、カップ外周筒が下方位置にあるときの状態を示す図である。
【図5】図2に示す液処理装置の構成の詳細を示す縦断面図であって、カップ外周筒が上方位置にあるときの状態を示す図である。
【図6A】(a)は、図4等に示す液処理装置における保持プレートに設けられた保持部材の構成を示す拡大縦断面図であり、(b)は、(a)に示す状態からリフトピンプレートが下方に移動したときの状態を示す拡大縦断面図であり、(c)は、(b)に示す状態からリフトピンプレートが更に下方に移動したときの状態を示す拡大縦断面図である。
【図6B】図4等に示す液処理装置におけるカップ外周筒の構成を示す斜視図である。
【図7】図2等に示す液処理装置における処理室および6つのノズル支持アームを示す斜視図である。
【図8】図7に示すノズル支持アームの拡大斜視図である。
【図9】図7等に示す各ノズル支持アームを、これらのノズル支持アームの後方から処理室に向かって見たときの構成を示す図である。
【図10】図7等に示すノズル支持アームの構成の詳細を示す側断面図である。
【図11】アーム洗浄部の他の実施形態を示す側断面図および縦断面図である。
【図12】図11に示すアーム洗浄部の洗浄液供給ノズルの別の例を示す断面図である。
【図13】図10に示したアーム洗浄部の変形例を示す側断面図である。
【図14】従来の液処理装置の概略的な構成を示す側面図である。
【図15】図14に示す従来の液処理装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図10は、本実施の形態による液処理装置を示す図である。より詳細には、図1は、本発明の実施の形態による液処理装置を含む液処理システムを上方から見た上面図である。また、図2は、本発明の実施の形態による液処理装置の概略的な構成を示す上面図であり、図3は、図2に示す液処理装置の概略的な構成を示す側面図である。また、図4および図5は、図2に示す液処理装置の構成の詳細を示す縦断面図である。また、図6Aは、図4等に示す液処理装置における保持プレートに設けられた保持部材の構成を示す拡大縦断面図であり、図6Bは、図4等に示す液処理装置におけるカップ外周筒の構成を示す斜視図である。また、図7乃至図10は、図2等に示す液処理装置に設けられたノズル支持アームの構成を示す図である。
【0022】
まず、図1を用いて、本実施の形態による液処理装置を含む液処理システムについて説明する。図1に示すように、液処理システムは、外部から被処理基板としての半導体ウエハ等の基板W(以下、ウエハWともいう)を収容したキャリアを載置するための載置台101と、キャリアに収容されたウエハWを取り出すための搬送アーム102と、搬送アーム102によって取り出されたウエハWを載置するための棚ユニット103と、棚ユニット103に載置されたウエハWを受け取り、当該ウエハWを液処理装置10内に搬送する搬送アーム104と、を備えている。図1に示すように、液処理システムには、複数(図1に示す態様では4個)の液処理装置10が設けられている。
【0023】
次に、本実施の形態による液処理装置10の概略的な構成について図2および図3を用いて説明する。
【0024】
図2および図3に示すように、本実施の形態による液処理装置10は、ウエハWが収容され、この収容されたウエハWの液処理が行われる処理室(チャンバー)20を備えている。図3に示すように、処理室20内には、ウエハWを水平状態で保持して回転させるための保持部(基板保持部)21が設けられており、この保持部21の周囲にはリング状の回転カップ40が配設されている。また、図2および図3に示すように、処理室20内において回転カップ40の周囲には円筒状のカップ外周筒50が配設されている。後述するように、このカップ外周筒50はウエハWの処理状況に応じて昇降可能となっている。これらの保持部21、回転カップ40およびカップ外周筒50の構成の詳細については後述する。
【0025】
また、液処理装置10には、保持部21に保持されたウエハWに対してウエハWの上方から処理液やN2ガス等の流体を供給するためのノズル82aおよびこのノズル82aを支持するノズル支持アーム82が設けられている。図2に示すように、1つの液処理装置10には複数(具体的には例えば6つ)のノズル支持アーム82が設けられており、各ノズル支持アーム82の先端にノズル82aが設けられている。また、図3に示すように、各ノズル支持アーム82にはアーム支持部84が設けられており、各アーム支持部84は後述するアーム駆動機構85によって図3における左右方向に駆動されるようになっている。このことにより、各ノズル支持アーム82は、ノズル82aが処理室20内に進出した進出位置と、ノズル82aが処理室20から退避した退避位置との間で水平方向に直線運動を行うようになっている(図2および図3における各ノズル支持アーム82に設けられた矢印参照)。また、図3に示すように、各ノズル支持アーム82には表面処理液供給管82mが設けられており、各表面処理液供給管82mは表面処理液供給部89に接続されている。そして、表面処理液供給部89から各表面処理液供給管82mを介して各ノズル支持アーム82のノズル82aに処理液やN2ガス等の流体が供給されるようになっている。
【0026】
図2および図3に示すように、液処理装置10において、アーム待機部80が処理室20に隣接して設けられている。このアーム待機部80において、処理室20から退避したノズル支持アーム82が待機するようになっている。また、アーム待機部80と処理室20との間には鉛直方向に延びる壁90が設けられている。この壁90は、各ノズル支持アーム82が通過可能な開口88pが設けられたアーム洗浄部88を有している。このアーム洗浄部88により各ノズル支持アーム82の洗浄が行われるようになっている。アーム洗浄部88の構成の詳細については後述する。
【0027】
また、図3に示すように、処理室20の上方にはFFU(ファンフィルタユニット)70が設けられており、このFFU70からN2ガス(窒素ガス)やクリーンエア等のガスがダウンフローで処理室20内に送られるようになっている。また、図2および図3に示すように、処理室20の底部におけるカップ外周筒50の内側には排気部54が設けられており、この排気部54により処理室20内の雰囲気の排気が行われるようになっている。このように、FFU70から処理室20内にクリーンエア等のガスがダウンフローで送られ、このガスが排気部54により排気されることにより、処理室20内の雰囲気の置換が行われるようになっている。
【0028】
また、図2および図3に示すように、処理室20の底部におけるカップ外周筒50の外側には排気部56が設けられており、この排気部56により処理室20内の雰囲気の排気が行われるようになっている。この排気部56により、処理室20内におけるカップ外周筒50の外側の雰囲気の排気を行うことができるようになっている。具体的には、排気部56により、アーム待機部80内の雰囲気がカップ外周筒50内に入り込むことが抑止される。また、この排気部56により、カップ外周筒50内の雰囲気がアーム待機部80に出てしまうことが抑止される。
【0029】
また、図2および図3に示すように、アーム待機部80の底部には排気部58が設けられており、この排気部58によりアーム待機部80内の雰囲気の排気が行われるようになっている。具体的には、各ノズル支持アーム82を駆動するためのアーム駆動機構85(後述)から発生するパーティクルを排気部58により引くことができるようになっている。
【0030】
また、図2に示すように、液処理装置10の処理室20およびアーム待機部80の出入口にはそれぞれメンテナンス用のシャッター60、62が設けられている。処理室20およびアーム待機部80にそれぞれメンテナンス用のシャッター60、62が設けられていることにより、これらの処理室20内やアーム待機部80内の機器を個別にメンテナンスすることができる。また、処理室20内でウエハWを処理している最中でも、シャッター62を開くことによりアーム待機部80内の機器をメンテナンスすることができるようになる。
【0031】
また、図2に示すように、液処理装置10の側壁には、搬送アーム104により処理室20内へウエハWを搬入したり処理室20からウエハWを搬出したりするための開口94aが設けられており、この開口94aには、当該開口94aを開閉するためのシャッター94が設けられている。
【0032】
なお、図2に示す液処理装置10において、処理室20内におけるカップ外周筒50の内部の領域はクリーンルームに対して微陽圧となっており、一方、処理室20内におけるカップ外周筒50の外側の領域はクリーンルームに対して微陰圧となっている。このため、処理室20内において、カップ外周筒50の内部の領域の気圧はカップ外周筒50の外側の領域の気圧よりも大きくなっている。
【0033】
次に、図2および図3に示すような液処理装置10の構成の詳細について図4および図5を用いて説明する。
【0034】
図4および図5に示すように、保持部21は、ウエハWを保持するための円板形状の保持プレート26と、保持プレート26の上方に設けられた円板形状のリフトピンプレート22とを備えている。リフトピンプレート22の上面には、ウエハWを下方から支持するためのリフトピン23が周方向に等間隔で3つ設けられている。なお、図4および図5では2つのリフトピン23のみを表示している。また、リフトピンプレート22にはピストン機構24が設けられており、このピストン機構24によりリフトピンプレート22が昇降するようになっている。より具体的には、搬送アーム104(図1参照)によりウエハWをリフトピン23上に載置したりリフトピン23上からウエハWを取り出したりするときには、ピストン機構24によりリフトピンプレート22が図4等に示すような位置から上方に移動させられ、このリフトピンプレート22は回転カップ40よりも上方に位置するようになる。一方、処理室20内でウエハWの液処理を行う際には、ピストン機構24によりリフトピンプレート22が図4等に示すような下方位置に移動させられ、ウエハWの周囲に回転カップ40が位置するようになる。
【0035】
保持プレート26には、ウエハWを側方から支持するための保持部材25が周方向に等間隔で3つ設けられている。なお、図4および図5では2つの保持部材25のみを表示している。各保持部材25は、リフトピンプレート22が上方位置から図4および図5に示すような下方位置に移動したときにこのリフトピン23上のウエハWを支持し、このウエハWをリフトピン23からわずかに離間させるようになっている。
【0036】
リフトピンプレート22および保持プレート26の構成について、図6Aを用いてより詳細に説明する。図6Aにおいて、(a)は、リフトピンプレート22が上方位置から図4等に示すような下方位置に移動する途中での状態を示す図であり、(b)は、(a)に示す状態からリフトピンプレート22が下方に移動したときの状態を示す図であり、(c)は、(b)に示す状態からリフトピンプレート22が更に下方に移動し、リフトピンプレート22が図4等に示すような下方位置に到達したときの状態を示す図である。
【0037】
図6Aに示すように、保持部材25は軸25aを介して保持プレート26に軸支されている。より詳細には、図6Aに示すように、保持プレート26には軸受け部26aが取り付けられており、この軸受け部26aに設けられた軸受け孔26bに軸25aが受け入れられる。軸受け孔26bは水平方向に延びるような細長い孔からなり、保持部材25の軸25aはこの軸受け孔26bに沿って水平方向に移動することができる。このようにして、保持部材25は、軸受け部26aの軸受け孔26bに受け入れられた軸25aを中心として揺動することができる。
【0038】
保持部材25の軸25aには、ねじりバネ等のバネ部材25dが巻き掛けられている。
このバネ部材25dは、軸25aを中心として保持部材25を図6Aにおける時計回りの方向に回転させるような力を保持部材25に付勢するようになっている。これにより、保持部材25に何ら力が加えられていない場合には、保持部材25が保持プレート26に対して傾斜した状態となり、保持部材25におけるウエハWを側方から支持するための支持部分25b(後述)は保持プレート26の中心から遠ざかった状態となる。
【0039】
また、軸25aに巻き掛けられたバネ部材25dからは線状部分が伸び出しており、この線状部分は軸受け部26aの内壁面26cに係止されて、軸25aを保持プレート26の中心に向かって押し返す。このように、バネ部材25dの線状部分により、軸25aは保持プレート26の中心に向かって(すなわち、図6Aにおける左方向に向かって)常時押圧される。このため、比較的径が小さなウエハWが保持部材25により保持される場合には、軸25aは、図6Aに示すように、軸受け孔26bにおける保持プレート26の中心に近い位置(すなわち、図6Aにおける左側の位置)に位置する。一方、比較的径が大きなウエハWが保持部材25により支持される場合には、バネ部材25dの線状部分による力に抗して、軸25aは軸受け孔26bに沿って図6Aに示す位置から右方向に移動する。なお、ここでのウエハWの径の大小とは、許容寸法誤差内でのウエハWの径の大小を意味している。
【0040】
また、保持部材25は、ウエハWを側方から支持する支持部分25bと、軸25aに関して支持部分25bと反対側に設けられた被押圧部材25cとを有している。被押圧部材25cは、リフトピンプレート22と保持プレート26との間に設けられており、この被押圧部材25cは、図6Aに示すようにリフトピンプレート22が下方位置またはその近傍位置にあるときに当該リフトピンプレート22の下面により下方に向かって押圧される。
【0041】
図6Aに示すように、保持部材25は、リフトピンプレート22が上方位置から下方位置に移動したときに、当該リフトピンプレート22の下面により被押圧部材25cが下方に押圧されることにより軸25aを中心として図6Aにおける反時計回りの方向(図6Aにおける矢印方向)に回転する。そして、保持部材25が軸25aを中心として回転することにより、支持部分25bがウエハWに向かって当該ウエハWの側方から移動する。これにより、リフトピンプレート22が下方位置に到達したときに、図6A(c)に示すように、ウエハWが保持部材25により側方から支持される。ここで、図6A(c)に示すように、ウエハWが保持部材25により側方から支持されたときに、このウエハWはリフトピン23の先端から上方に離間し、リフトピン23から上方に浮いた状態となる。また、前述のように、ウエハWの大きさによっては、バネ部材25dの線状部分による力に抗して軸25aが軸受け孔26bに沿って図6Aに示す位置から右方向に移動する場合もある。このため、比較的大きなウエハWが保持部材25により支持される場合であっても、保持部材25が水平方向に移動可能となっているので、ウエハWを変形させたり破損させたりすることなくウエハWを側方から支持することができる。
【0042】
また、リフトピンプレート22および保持プレート26の中心部分にはそれぞれ貫通穴が形成されており、これらの貫通穴を通るよう処理液供給管28が設けられている。この処理液供給管28は、保持プレート26の各保持部材25により保持されたウエハWの裏面に薬液や純水等の処理液を供給するようになっている。また、処理液供給管28はリフトピンプレート22と連動して昇降するようになっている。処理液供給管28の上端には、リフトピンプレート22の貫通穴を塞ぐよう設けられたヘッド部分28aが形成されている。また、図4等に示すように、処理液供給管28には処理液供給部29が接続されており、この処理液供給部29により処理液供給管28に処理液が供給されるようになっている。
【0043】
図4および図5に示すように、保持部21の周囲にはリング状の回転カップ40が配設されている。この回転カップ40は保持プレート26に取り付けられており、保持プレート26と一体的に回転するようになっている。より詳細には、回転カップ40は、保持プレート26の各保持部材25により支持されたウエハWを側方から囲うよう設けられており、ウエハWの液処理を行う際にこのウエハWから側方に飛散した処理液を受けるようになっている。
【0044】
また、回転カップ40の周囲には、ドレインカップ42、第1案内カップ43、第2案内カップ44および第3案内カップ45が上方から順に設けられている。ドレインカップ42および各案内カップ43、44、45はそれぞれリング状に形成されている。ここで、ドレインカップ42は処理室20において固定されている。一方、各案内カップ43、44、45にはそれぞれ昇降シリンダ(図示せず)が連結されており、これらの案内カップ43、44、45は対応する昇降シリンダにより互いに独立して昇降自在となっている。
【0045】
図4および図5に示すように、ドレインカップ42や各案内カップ43、44、45の下方には、第1処理液回収用タンク46a、第2処理液回収用タンク46b、第3処理液回収用タンク46cおよび第4処理液回収用タンク46dがそれぞれ設けられている。そして、各案内カップ43、44、45の上下方向における位置により、ウエハWの液処理を行う際にこのウエハWから側方に飛散した処理液が、この処理液の種類に基づいて、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうちいずれか一つの処理液回収用タンクに選択的に送られるようになっている。具体的には、全ての案内カップ43、44、45が全て上方位置にあるときには(図4および図5に示すような状態)、ウエハWから側方に飛散した処理液は第4処理液回収用タンク46dに送られるようになっている。一方、第3案内カップ45のみが下方位置にあるときには、ウエハWから側方に飛散した処理液は第3処理液回収用タンク46cに送られるようになっている。また、第2案内カップ44および第3案内カップ45が下方位置にあるときには、ウエハWから側方に飛散した処理液は第2処理液回収用タンク46bに送られるようになっている。また、全ての案内カップ43、44、45が下方位置にあるときには、ウエハWから側方に飛散した処理液は第1処理液回収用タンク46aに送られるようになっている。
【0046】
また、図4および図5に示すように、第4処理液回収用タンク46dの内側には排気部48が設けられている。そして、各案内カップ43、44、45の上下方向における位置が所定の位置となることにより、ウエハWの周囲の雰囲気が、排気部48により排気されるようになっている。
【0047】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、処理室20内においてドレインカップ42や各案内カップ43、44、45の周囲にカップ外周筒50が設けられている。このカップ外周筒50は、図4に示すような下方位置と図5に示すような上方位置との間で昇降可能となっている。また、図2および図3に示すように、カップ外周筒50には、ノズル支持アーム82が通過可能な開口50mが設けられている。カップ外周筒50は、図5に示すような上方位置にあるときに、カップ外周筒50内の領域を外部に対して隔離するようになっている。
【0048】
このようなカップ外周筒50の構成の詳細について図6Bを用いて説明する。図6Bは、カップ外周筒50の構成を示す斜視図である。図6Bに示すように、カップ外周筒50の側面には、ノズル支持アーム82が通過可能な開口50mが、ノズル支持アーム82の本数に応じて設けられている(例えばノズル支持アーム82が6本の場合、6つの開口50mが設けられる)。また、カップ外周筒50の上部には、このカップ外周筒50を支持するための支持部材50aが連結されており、支持部材50aには当該支持部材50aを昇降させる駆動機構50bが設けられている。そして、駆動機構50bにより支持部材50aを昇降させることにより、この支持部材50aに支持されるカップ外周筒50も昇降するようになっている。
【0049】
また、図4および図5に示すように、FFU70にはガイド部材51が取り付けられている。このガイド部材51は、図5に示すようにカップ外周筒50が上方位置にあるときに、このカップ外周筒50から内側にわずかに距離を隔てて位置するよう配置されている。また、本実施の形態の液処理装置10においては、図5に示すようにカップ外周筒50が上方位置にあるときには、カップ外周筒50内の気圧はカップ外周筒50の外側の気圧よりも大きくなるようになっている。このため、カップ外周筒50が上方位置にあるときには、FFU70により生じる処理室20内のダウンフローのガスが、ガイド部材51によりカップ外周筒50の上端近傍において当該カップ外周筒50の内側から外側に案内されるようになっている。
【0050】
また、図4および図5に示すように、処理室20内には、カップ外周筒50を洗浄するための洗浄部52が設けられている。この洗浄部52は、純水等の洗浄液を貯留するための貯留部分52aを有しており、図4に示すようにカップ外周筒50が下方位置にあるときにこのカップ外周筒50が貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになっている。洗浄部52は、貯留部分52aに貯留された洗浄液にカップ外周筒50が浸されることにより、このカップ外周筒50の洗浄を行うようになっている。貯留部分52aに貯留される洗浄液としては、例えば室温以上の、好ましくは40℃以上の、更に好ましくは60℃以上の純水等が用いられる。貯留部分52aに貯留される洗浄液の温度が高い場合には、カップ外周筒50に対する洗浄効果がより大きくなる。
【0051】
図4に示すように、カップ外周筒50が下方位置にあるときにはこのカップ外周筒50の大部分が貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになる。また、図5に示すように、カップ外周筒50が上方位置にあるときにもこのカップ外周筒50の下部が貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになる。このため、カップ外周筒50が上方位置にあるときには、貯留部分52aに貯留された洗浄液とカップ外周筒50の下部との間で水シールを行うとともに、カップ外周筒50の上部とガイド部材51との間が狭くなるので、カップ外周筒50内の領域を外部から隔離することができるようになる。
【0052】
また、図4および図5に示すように、処理室20内において、洗浄部52の内側には処理室20内の雰囲気の排気を行うための排気部54が設けられており、また、洗浄部52の外側には処理室20内の雰囲気の排気を行うための排気部56が設けられている。このような排気部54および排気部56が設けられていることにより、カップ外周筒50が図4に示すような下方位置にあるときには、これらの排気部54および排気部56により処理室20内全体の雰囲気の排気を行うことができる。一方、カップ外周筒50が図5に示すような上方位置にあるときには、カップ外周筒50内の領域が外部から隔離されるので、排気部54によりカップ外周筒50の内部の雰囲気の排気を行うことができ、また、排気部56によりカップ外周筒50の外側の雰囲気の排気を行うことができる。
【0053】
前述のように、本実施の形態においては、1つの液処理装置10に複数(具体的には例えば6つ)のノズル支持アーム82が設けられており、各ノズル支持アーム82の先端にノズル82aが設けられている。具体的には、各ノズル82aは、それぞれ、第1の薬液(具体的には、例えば酸性の薬液)、第2の薬液(具体的には、例えばアルカリ性の薬液)、純水、N2ガス、IPA(イソプロピルアルコール)、純水のミストをウエハWの上面に供給するようになっている。
【0054】
以下、本実施の形態におけるノズル支持アーム82の構成について図7乃至図10を用いて詳述する。ここで、図7は、図2等に示す液処理装置10における処理室20および6つのノズル支持アーム82p〜82uを示す斜視図であり、図8は、図7に示す各ノズル支持アーム82p〜82uの拡大斜視図である。また、図9は、図7等に示す各ノズル支持アーム82p〜82uを、これらのノズル支持アーム82p〜82uの後方から処理室20に向かって見たときの構成を示す図であり、図10は、図7等に示す各ノズル支持アーム82p〜82uの構成の詳細を示す側断面図である。
【0055】
図7に示すように、6つのノズル支持アーム82は、例えば純水供給用アーム82p、第1の薬液供給用アーム82q、N2ガス供給用アーム82r、第2の薬液供給用アーム82s、純水のミスト供給用アーム82tおよびIPA供給用アーム82uから構成されている。前述のように、これらのアーム82p〜82uの先端にはノズル82aが設けられている。このようにして、純水供給用アーム82pの先端に設けられたノズル82aからは純水がウエハWの上面に供給され、第1の薬液供給用アーム82qの先端に設けられたノズル82aからは第1の薬液(具体的には、例えば酸性の薬液)がウエハWの上面に供給され、N2ガス供給用アーム82rの先端に設けられたノズル82aからはN2ガスがウエハの上面に供給されるようになっている。また、第2の薬液供給用アーム82sの先端に設けられたノズル82aからは第2の薬液(具体的には、例えばアルカリ性の薬液)がウエハWの上面に供給され、純水のミスト供給用アーム82tの先端に設けられたノズル82aからは純水のミストがウエハWの上面に供給され、IPA供給用アーム82uの先端に設けられたノズル82aからはIPAがウエハWの上面に供給されるようになっている。
【0056】
図8および図10に示すように、各ノズル支持アーム82には、当該ノズル支持アーム82を直進運動させるためのアーム駆動機構85が設けられている。アーム駆動機構85は、ベース部材85dに取り付けられ正逆両方向に回転するモータ85aと、モータ85aに対向するようベース部材85dに取り付けられたプーリ85bと、モータ85aおよびプーリ85bに巻き掛けられた循環ベルト85cと、循環ベルト85cに取り付けられたベルト取付部材85eとを有している。ここで、ベルト取付部材85eは、ノズル支持アーム82を支持するアーム支持部84の下部に取り付けられており、ベルト取付部材85eおよびアーム支持部84は一体的に移動するようになっている。そして、このようなアーム駆動機構85において、モータ85aが回転することにより循環ベルト85cが図10における右方向または左方向に移動し、この循環ベルト85cに取り付けられたベルト取付部材85eが図10における右方向または左方向に移動することにより、アーム支持部84が図10における左右方向に直進運動を行うようになる。このようにして、アーム支持部84に支持されるノズル支持アーム82も図10における左右方向に直進運動を行う。
【0057】
本実施の形態の液処理装置10においては、アーム駆動機構85が処理室20の外部に設けられていることにより、このアーム駆動機構85から発生するゴミ等が処理室20内に入ってしまうことを抑制することができる。また、処理室20内の雰囲気がアーム駆動機構85に到達してしまうことを抑制することができる。
【0058】
また、図9に示すように、上述した6つのアーム82p〜82uのうち、純水供給用アーム82p、N2ガス供給用アーム82rおよび純水のミスト供給用アーム82tは同じ高さレベルに設置されている。より具体的には、図9において、これらのアーム82p、82r、82tは、図9における二点鎖線Aで囲まれる領域の高さレベルに設置されている。一方、上述した6つのアーム82p〜82uのうち、第1の薬液供給用アーム82q、第2の薬液供給用アーム82sおよびIPA供給用アーム82uも同じ高さレベルに設置されている。より具体的には、図9において、これらのアーム82q、82s、82uは、図9における二点鎖線Bで囲まれる領域の高さレベルに設置されている。そして、図9に示すように、純水供給用アーム82p、N2ガス供給用アーム82rおよび純水のミスト供給用アーム82tは、それぞれ、第1の薬液供給用アーム82q、第2の薬液供給用アーム82sおよびIPA供給用アーム82uよりも高い位置に設置されている。
【0059】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、高さレベルが互いに異なる複数のアーム82p〜82uが同時に処理室20内に進出したときにアーム同士が衝突または干渉しないようになっている。
【0060】
本実施の形態の液処理装置10においては、ウエハWの乾燥処理を行うにあたり、処理室20内において保持部21により保持されたウエハWに対してIPAを供給した後、このウエハWにおけるIPAが供給された箇所にN2ガスを供給するようになっている。このような場合、N2ガス供給用アーム82rおよびIPA供給用アーム82uが同時に処理室20内に進出する。ここで、前述のように、N2ガス供給用アーム82rおよびIPA供給用アーム82uは互いに高さレベルが異なるようになっている。より詳細には、N2ガス供給用アーム82rは図9における二点鎖線Aで囲まれる領域の高さレベルに設置されているのに対し、IPA供給用アーム82uは図9における二点鎖線Bで囲まれる領域の高さレベルに設置されている。
【0061】
そして、処理室20内において、IPA供給用アーム82uに設けられたノズル82aからIPAが噴射されるウエハW上の領域に対して、N2ガス供給用アーム82rに設けられたノズル82aからN2が噴射されるウエハW上の領域が後を追うように、これらのIPA供給用アーム82uおよびN2ガス供給用アーム82rを処理室20内で移動させる。この際に、N2ガス供給用アーム82rおよびIPA供給用アーム82uは互いに高さレベルが異なるようになっているので、これらのアーム82r、82uが互いに干渉することはない。このようにして、処理室20内に進出したIPA供給用アーム82uに設けられたノズル82aからウエハWに対してIPAを供給した後に、このウエハWにおけるIPAが供給された箇所に対して処理室20内に進出したN2ガス供給用アーム82rに設けられたノズル82aからN2ガスを供給することができるようになる。
【0062】
また、他の例としては、ウエハWに対して酸性やアルカリ性の薬液により処理を行うにあたり、処理室20内において保持部21により保持されたウエハWに対して薬液を供給した後に中断することなく引き続きこのウエハWに純水を供給してリンス処理を行うようになっている。このような場合、第1の薬液供給用アーム82q(または第2の薬液供給用アーム82s)および純水供給用アーム82pが同時に処理室20内に進出する。ここで、前述のように、純水供給用アーム82pおよび第1の薬液供給用アーム82q(または第2の薬液供給用アーム82s)は互いに高さレベルが異なるようになっている。より詳細には、純水供給用アーム82pは図9における二点鎖線Aで囲まれる領域の高さレベルに設置されているのに対し、第1の薬液供給用アーム82q(または第2の薬液供給用アーム82s)は図9における二点鎖線Bで囲まれる領域の高さレベルに設置されている。
【0063】
そして、処理室20内において、保持部21により保持されたウエハWに対して薬液を供給した後に中断することなく引き続きこのウエハWに純水を供給するように、純水供給用アーム82pおよび第1の薬液供給用アーム82q(または第2の薬液供給用アーム82s)を処理室20内で移動させる。この際に、純水供給用アーム82pおよび第1の薬液供給用アーム82q(または第2の薬液供給用アーム82s)は互いに高さレベルが異なるようになっているので、これらのアーム82p、82q(またはアーム82p、82s)が互いに干渉することはない。このようにして、処理室20内に進出した第1の薬液供給用アーム82q(または第2の薬液供給用アーム82s)に設けられたノズル82aからウエハWに対して薬液を供給した後に、処理室20内に進出した純水供給用アーム82pに設けられたノズル82aから純水を中断することなく引き続き供給してリンス処理を行うことができるようになる。
【0064】
図10に示すように、各アーム82p〜82uは二重配管構造となっている。より詳細には、各アーム82p〜82uは内部配管82bおよび外部配管82cから構成されている。内部配管82bはノズル82aに連通しており、この内部配管82bからノズル82aに流体が送られるようになっている。内部配管82bは例えばフッ素系樹脂から構成されている。また、内部配管82bは外部配管82cに覆われるようになっており、この外部配管82cは例えばステンレス鋼パイプにフッ素系樹脂をコーティングしたものからなる。
【0065】
また、図8および図10等に示すように、各アーム82p〜82uの後端側におけるこれらのアーム82p〜82uの外側には、各内部配管82bに連通する渦巻き形状配管83p〜83uがそれぞれ設けられている。各渦巻き形状配管83p〜83uは可撓性材料から形成されている。具体的には、各渦巻き形状配管83p〜83uは例えばフッ素系樹脂等のチューブが渦巻き形状に曲げられたものから形成されている。図7、図8および図10に示すように、各渦巻き形状配管83p〜83uは、対応するアーム82p〜82uが退避位置にあるときに、これらのアーム82p〜82uの延びる方向に直交する平面(すなわち、鉛直方向に延びる平面)上で渦巻き形状となるよう構成されている。そして、各渦巻き形状配管83p〜83uに薬液等の流体が送られることにより、各アーム82p〜82uの内部に設けられた内部配管82bを経てノズル82aから流体が下方に噴射されるようになっている。また、各渦巻き形状配管83p〜83uは可撓性材料から形成されているため、対応するアーム82p〜82uが処理室20内に進出した場合には、渦巻き形状配管83p〜83uは図8に示すような渦巻き形状から変形して円錐螺旋形状(先端が徐々に細くなるような螺旋形状)となる。
【0066】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、各アーム82p〜82uは、当該アーム82p〜82uの移動方向に沿った長手方向軸を中心として回転可能となっている。具体的には、図8に示すように、各アーム82p〜82uには回転機構86が設けられており、この回転機構86により各アーム82p〜82uは図8における矢印方向に回転するようになっている。各アーム82p〜82uを回転させることにより、ノズル82aの向きを図10に示すような下向きから他の方向に変えることができるようになる。また、各渦巻き形状配管83p〜83uは渦巻き形状となっているとともに可撓性材料から形成されているため、回転機構86により各アーム82p〜82uを回転させた場合でも、対応する渦巻き形状配管83p〜83uはアーム82p〜82uの回転に合わせてスムーズに変形するようになり、アーム82p〜82uの回転が各渦巻き形状配管83p〜83uにより妨げられることはない。
【0067】
回転機構86は、保持部21に保持されたウエハWに対してノズル82aにより流体を供給する際に、このノズル82aを支持するアーム82p〜82uを選択的に長手方向軸を中心として回転させるようになっている。具体的には、保持部21に保持されたウエハWの周縁部にノズル82aが近づくと、このノズル82aの向きは下向きから斜めに傾斜するようアーム82p〜82uが回転するようになっている。このことにより、保持部21に保持されたウエハWの周縁部において、ノズル82aから斜め下方に流体が噴射されることによって、ノズル82aからウエハWに供給された流体、具体的には薬液等の液体について、ウエハWの周縁部上での液ハネを抑制することができるようになる。このように、回転機構86は、ノズル82aがウエハWの中心に位置する場合とノズル82aがウエハWの周縁部に位置する場合とで、ノズル82aの向きを変えることができるようになっている。
【0068】
また、回転機構86は、各アーム82p〜82uが進出位置と退避位置との間で移動する際に、ノズル82aが下向き以外の向き、具体的には例えば上向きとなるよう、長手方向軸を中心としてアーム82p〜82uを回転させるようになっている。このことにより、アーム82p〜82uを移動させる際にノズル82aから薬液等の液体がボタ落ちしてしまうことを防止することができる。
【0069】
また、図7および図10に示すように、各アーム82p〜82uには、これらのアーム82p〜82uの洗浄を行うためのアーム洗浄部88がアーム82p〜82u毎に位置固定で設けられている。各アーム洗浄部88は、それぞれ対応するアーム82p〜82uが移動する際に当該アーム82p〜82uの洗浄を行うようになっている。このような各アーム洗浄部88による各アーム82p〜82uの洗浄のタイミングは自由に設定できるようになっており、具体的には、各アーム82p〜82uの洗浄は例えば処理毎に、または一日一回、あるいは月に一回行われるようになっている。
【0070】
アーム洗浄部88の構成の詳細について図10を用いて説明する。図10に示すように、アーム洗浄部88には、ノズル支持アーム82(82p〜82u)が通過する貫通穴が水平方向(図10における左右方向)に延びるよう設けられている。この貫通穴の断面は、ノズル支持アーム82の断面よりもわずかに大きくなっている。また、この貫通穴には、洗浄液が収容される収容部分88aが設けられている。また、収容部分88aには洗浄液供給管88bが接続されており、洗浄液供給管88bから収容部分88aに洗浄液が供給されるようになっている。収容部分88aに洗浄液が供給されると、この収容部分88a内でノズル支持アーム82の外周面上に液膜が張られるようになる。そして、アーム洗浄部88において、収容部分88aに収容された洗浄液にノズル支持アーム82(82p〜82u)の一部が接触しながら当該ノズル支持アーム82が移動することによりノズル支持アーム82の洗浄が行われるようになっている。
【0071】
また、アーム洗浄部88において、ノズル支持アーム82の移動方向(図10における左右方向)における収容部分88aよりも処理室20に近い前方位置および収容部分88aよりも処理室20から遠い後方位置にはそれぞれ吸引機構88c、88dが設けられている。これらの吸引機構88c、88dは、収容部分88aに収容された洗浄液がこの収容部分88aから外部に漏れたときに漏れた分の洗浄液を吸引して排液するようになっている。なお、吸引機構は、必ずしもノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも前方位置および後方位置の両方に設ける必要はなく、代わりに、ノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも前方位置または後方位置のうちいずれか一方にのみ吸引機構が設けられるようになっていてもよい。
【0072】
また、吸引機構88c、88dは、ノズル支持アーム82が洗浄された後に、このノズル支持アーム82に付着した液滴を吸引することにより、ノズル支持アーム82の乾燥を行うようになっている。
【0073】
また、アーム洗浄部88において、ノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも後方位置には、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留した薬液等の液体を排出するための排液部分88eが設けられている。また、排液部分88eにはドレン管88fが接続されており、排液部分88eに送られた液体はドレン管88fにより排出されるようになっている。そして、ノズル82aが排液部分88eの真上に位置するようノズル支持アーム82が移動して、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留した薬液等の液体がノズル82aから排液部分88eに吐出されるようになっている。このような排液部分88eが設けられていることにより、ウエハWの液処理が終了した後、ノズル支持アーム82の内部配管82bに液体が残留してしまった場合でも、このノズル支持アーム82に設けられたノズル82aを用いて次の液処理を行う際に、内部配管82bに残留した液体を予めこの内部配管82bから排出することができるようになる。とりわけ、ウエハWに高温の薬液等をノズル82aから供給するときには、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留している液体は冷めている場合が多いため、この残留している冷めた液体を排液部分88eにより予め内部配管82bから排出することが望ましい。
【0074】
なお、排液部分88eは、ノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも後方位置ではなく収容部分88aよりも前方位置に設けられていてもよい。この場合でも、ノズル82aが排液部分88eの真上に位置するようノズル支持アーム82が移動し、ノズル82aから薬液を吐出することにより、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留した薬液等の液体がノズル82aから排液部分88eに送られるようになる。
【0075】
図7および図10に示すように、各アーム82p〜82uに対応する各アーム洗浄部88は、処理室20とアーム待機部80との間に設けられた壁90の外側に取り付けられるようになっている。このため、各アーム洗浄部88はカップ外周筒50の外側に設けられるようになる。なお、各アーム洗浄部88は壁90の外側に取り付けられる代わりに壁90の内側に取り付けられるようになっていてもよい。この場合には、各アーム洗浄部88は、回転カップ40とアーム待機部80との間の領域に位置するようになる。
【0076】
本実施の形態の液処理装置10においては、アーム洗浄部88はノズル支持アーム82の全体を洗浄するようになっていてもよく、あるいはノズル支持アーム82の一部分のみを洗浄するようになっていてもよい。また、アーム洗浄部88はノズル支持アーム82の全周を洗浄するようになっているが、このことに限定されることはない。
【0077】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、図2や図10に示すように、各アーム82p〜82uは、アーム待機部80で待機しているときに、処理室20とアーム待機部80との間に設けられた壁90のアーム洗浄部88の開口88pを塞ぐようになっている。このことにより、各アーム82p〜82uは、壁90のアーム洗浄部88の開口88pを塞ぐ蓋として機能するようになり、処理室20内の領域とアーム待機部80の領域とを隔離することができるようになる。
【0078】
また、各アーム82p〜82uは、図5に示すような上方位置にあるカップ外周筒50の開口50mも塞ぐことができるようになっている。このことにより、カップ外周筒50内の領域とアーム待機部80の領域とを隔離することができるようになる。
【0079】
次に、このような構成からなる液処理装置10の動作について説明する。
【0080】
まず、保持部21におけるリフトピンプレート22および処理液供給管28を図4に示す位置から上方に移動させることと、処理室20の開口94aに設けられたシャッター94をこの開口94aから退避させることにより開口94aを開くことを行う。そして、液処理装置10の外部からウエハWが搬送アーム104により開口94aを介して処理室20内に搬送され、このウエハWがリフトピンプレート22のリフトピン23上に載置され、その後、搬送アーム104は処理室20から退避する。この際に、カップ外周筒50は図4に示すような下方位置に位置している。また、各ノズル支持アーム82は処理室20から退避した退避位置に位置している。すなわち、各ノズル支持アーム82はアーム待機部80で待機している。また、FFU70から処理室20内にクリーンエア等のガスが常にダウンフローで送られ、このガスが排気部54により排気されることにより、処理室20内の雰囲気の置換が行われるようになっている。
【0081】
次に、リフトピンプレート22および処理液供給管28を下方に移動させ、これらのリフトピンプレート22および処理液供給管28を図4に示すような下方位置に位置させる。この際に、保持プレート26に設けられた各保持部材25が、リフトピン23上のウエハWを支持し、このウエハWをリフトピン23からわずかに離間させる。
【0082】
その後に、またはリフトピンプレート22の下降中に、カップ外周筒50に設けられた駆動機構50bにより、このカップ外周筒50を上方に移動させ、カップ外周筒50を図5に示すような上方位置に位置させる。そして、カップ外周筒50が上方位置に移動した後、アーム待機部80で待機している6つのノズル支持アーム82のうち一または複数のノズル支持アーム82が壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に進出する(図5の二点鎖線参照)。この際に、アーム駆動機構85によりノズル支持アーム82は直線運動を行う。
【0083】
そして、保持部21における保持プレート26およびリフトピンプレート22を回転させる。このことにより、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWも回転する。
【0084】
その後、まず、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対して酸性の薬液により処理を行い、その後引き続いてリンス処理を行う。具体的には、図5に示すような状態で、アーム待機部80で待機している6つのノズル支持アーム82のうち第1の薬液供給用アーム82qおよび純水供給用アーム82pがそれぞれ壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に同時に進出する。この際に、第1の薬液供給用アーム82qおよび純水供給用アーム82pは互いに高さレベルが異なるようになっているので、これらのアーム82q、82pが互いに干渉することはない。
【0085】
そして、ウエハWが回転した状態で、処理室20内に進出した第1の薬液供給用アーム82qのノズル82aからウエハWの上面に酸性の薬液を供給する。また、この際に、ウエハWの下面(裏面)に向かって処理液供給管28から酸性の薬液を供給してもよい。このようにして、ウエハWの少なくとも上面に酸性の薬液が供給され、ウエハWの薬液処理が行われる。ウエハWに供給された酸性の薬液は、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第1処理液回収用タンク46aに送られて回収される。また、上述のような薬液処理が行われる際に、純水供給用アーム82pは、第1の薬液供給用アーム82qのノズル82aによる酸性の薬液の吐出位置からわずかに後退した位置に当該純水供給用アーム82pのノズル82aが位置するよう、処理室20内で待機している。ここで、純水供給用アーム82pが待機しているときに、ノズル82aが下向き以外の向き、具体的には例えば上向きとなるように純水供給用アーム82pを回転させておけば、薬液処理中において純水供給用アーム82pのノズル82aからのボタ落ちを防止することができる。
【0086】
そして、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対して酸性の薬液が供給された後に中断することなく引き続きこのウエハWに純水が供給される。具体的には、処理室20内に進出した第1の薬液供給用アーム82qに設けられたノズル82aからウエハWに対して酸性の薬液を供給した後に、処理室20内に進出した純水供給用アーム82pに設けられたノズル82aから純水を中断することなく引き続きウエハWに供給する。ウエハWに供給された純水は、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第3処理液回収用タンク46cに送られて回収される。このようにして、カップ外周筒50内でウエハWに対して酸性の薬液により処理が行われ、その後引き続いてリンス処理が行われるようになる。この際に、処理室20内において純水供給用アーム82pと第1の薬液供給用アーム82qは互いに高さレベルが異なっているのでこれらのアーム82p、82qが互いに干渉することはない。そして、ウエハWに対する酸性の薬液による処理およびリンス処理が終了すると、処理室20に進出した第1の薬液供給用アーム82qはこの処理室20から退避してアーム待機部80で待機するようになる。一方、純水供給用アーム82pは処理室20内に残ったままとなる。また、リンス処理が行われる間に、第2の薬液供給用アーム82sが壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に進出する。より詳細には、上述のようなリンス処理が行われる際に、第2の薬液供給用アーム82sは、純水供給用アーム82pのノズル82aによる純水の吐出位置からわずかに後退した位置に当該第2の薬液供給用アーム82sのノズル82aが位置するよう、処理室20内で待機している。
【0087】
その後、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対してアルカリ性の薬液により処理を行い、その後引き続いてリンス処理を行う。具体的には、処理室20内に進出している第2の薬液供給用アーム82sおよび純水供給用アーム82pにより、ウエハWに対してアルカリ性の薬液による処理およびリンス処理が行われる。この際に、第2の薬液供給用アーム82sおよび純水供給用アーム82pは互いに高さレベルが異なるようになっているので、これらのアーム82s、82pが互いに干渉することはない。
【0088】
具体的に説明すると、ウエハWが回転した状態で、処理室20内に進出した第2の薬液供給用アーム82sのノズル82aからウエハWの上面にアルカリ性の薬液を供給する。また、この際に、ウエハWの下面(裏面)に向かって処理液供給管28からアルカリ性の薬液を供給してもよい。このようにして、ウエハWの少なくとも上面にアルカリ性の薬液が供給され、ウエハWの薬液処理が行われる。ウエハWに供給されたアルカリ性の薬液は、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第2処理液回収用タンク46bに送られて回収される。また、上述のような薬液処理が行われる際に、純水供給用アーム82pは、第2の薬液供給用アーム82sのノズル82aによるアルカリ性の薬液の吐出位置からわずかに後退した位置に当該純水供給用アーム82pのノズル82aが位置するよう、処理室20内で待機している。
【0089】
そして、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対してアルカリ性の薬液が供給された後に中断することなく引き続きこのウエハWに純水が供給される。具体的には、処理室20内に進出した第2の薬液供給用アーム82sに設けられたノズル82aからウエハWに対してアルカリ性の薬液を供給した後に、処理室20内に進出している純水供給用アーム82pに設けられたノズル82aから純水を中断することなく引き続きウエハWに供給する。ウエハWに供給された純水は、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第3処理液回収用タンク46cに送られて回収される。このようにして、カップ外周筒50内でウエハWに対してアルカリ性の薬液により処理が行われ、その後引き続いてリンス処理が行われるようになる。そして、ウエハWに対するアルカリ性の薬液による処理およびリンス処理が終了すると、処理室20に進出した第2の薬液供給用アーム82sおよび純水供給用アーム82pはこの処理室20から退避してアーム待機部80で待機するようになる。また、上述のようなリンス処理が行われる間に、IPA供給用アーム82uが壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に進出する。より詳細には、上述のようなリンス処理が行われる際に、IPA供給用アーム82uは、純水供給用アーム82pのノズル82aによる純水の吐出位置からわずかに後退した位置に当該IPA供給用アーム82uのノズル82aが位置するよう、処理室20内で待機している。
【0090】
その後、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対してIPAにより乾燥処理が行われる。具体的には、アーム待機部80で待機している6つのノズル支持アーム82のうちN2ガス供給用アーム82rが壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に進出する。このようにして、処理室20内にN2ガス供給用アーム82rおよびIPA供給用アーム82uがそれぞれ進出した状態となる。この際に、N2ガス供給用アーム82rおよびIPA供給用アーム82uは互いに高さレベルが異なるようになっているので、これらのアーム82r、82uが互いに干渉することはない。
【0091】
そして、ウエハWが回転した状態で、処理室20内に進出したIPA供給用アーム82uに設けられたノズル82aからウエハWに対してIPAを供給した後に、このウエハWにおけるIPAが供給された箇所に対して処理室20内に進出したN2ガス供給用アーム82rに設けられたノズル82aからN2ガスを供給する。具体的には、処理室20内において、IPA供給用アーム82uに設けられたノズル82aによりウエハWの中心にIPAが供給される。その後、IPA供給用アーム82uがウエハWの中心から周縁部に移動し、IPAが供給された後のウエハW上の領域に対して、N2ガス供給用アーム82rに設けられたノズル82aによりガスが噴射されるウエハW上の領域が後を追うように、これらのIPA供給用アーム82uおよびN2ガス供給用アーム82rをウエハW上で移動させる。このようにして、ウエハWの表面において、IPAが供給された箇所にN2ガスがすぐに供給されるようになり、ウエハWの乾燥処理を適切に行うことができるようになる。なお、ウエハWに供給されたIPAは、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第4処理液回収用タンク46dに送られて回収される。ウエハWの乾燥処理が終了すると、処理室20に進出したIPA供給用アーム82uおよびN2ガス供給用アーム82rはこの処理室20から退避してアーム待機部80で待機するようになる。
【0092】
ウエハの乾燥処理が終了すると、カップ外周筒50に設けられた駆動機構50bにより、このカップ外周筒50を下方に移動させ、カップ外周筒50を図4に示すような下方位置に位置させる。
【0093】
その後、保持部21におけるリフトピンプレート22および処理液供給管28を図4に示す位置から上方に移動させる。この際に、保持プレート26の保持部材25により支持されたウエハWがリフトピンプレート22のリフトピン23上に受け渡される。次に、処理室20の開口94aに設けられたシャッター94をこの開口94aから退避させることにより開口94aを開き、液処理装置10の外部から開口94aを介して搬送アーム104を処理室20内に進出させ、この搬送アーム104によりリフトピンプレート22のリフトピン23上のウエハWを取り出す。搬送アーム104により取り出されたウエハWは液処理装置10の外部に搬送される。このようにして、一連のウエハWの液処理が完了する。
【0094】
なお、各ノズル支持アーム82の洗浄は、ノズル支持アーム82が処理室20からアーム待機部80における退避位置に移動する際にアーム洗浄部88により行ってもよい。また、各ノズル支持アーム82の洗浄は、ウエハWに対する各処理後に行ってもよいし、あるいは定期的に行ってもよい。
【0095】
ここで、本実施の形態の液処理装置10によれば、アーム洗浄部88がアーム待機部80に位置固定で設けられており、このアーム洗浄部88は、ノズル支持アーム82が移動する際に当該ノズル支持アーム82の洗浄を行えるようになっている。このように、アーム洗浄部88によりノズル支持アーム82を洗浄することによって、汚れが付着していない状態でノズル支持アーム82が処理室20内に進入することができるようになり、ノズル支持アーム82に付着した汚れにより処理室20内のウエハWが汚れてしまうことを防止することができる。さらに、アーム洗浄部88が処理室20の外部に設けられることにより、処理室20内の気流が乱れてしまうことを防止することができる。
【0096】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、アーム洗浄部88は、洗浄液が収容される収容部分88aを有しており、アーム洗浄部88において、収容部分88aに収容された洗浄液にノズル支持アーム82の一部が接触しながらノズル支持アーム82が移動することによりノズル支持アーム82の洗浄が行われるようになっている。この場合には、アーム洗浄部88を移動させることなく、位置が固定された収容部分88aに収容された洗浄液によりノズル支持アーム82の洗浄を行うことができるので、アームの洗浄を行うための機構をシンプルなものとすることができる。
【0097】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、ノズル支持アーム82は、ノズル82aに流体を送るための内部配管82bを有しており、アーム洗浄部88において、ノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも後方位置に、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留した液体を排出するための排液部分88eが設けられている。そして、ノズル82aが排液部分88eの真上に位置するようノズル支持アーム82が移動することにより、ノズル支持アーム82の内部配管82bから排出された液体がノズル82aから排液部分88eに送られるようになっている。このことにより、ウエハWの液処理が終了した後、ノズル支持アーム82の内部配管82bに不要な液体が残留してしまった場合でも、このノズル支持アーム82に設けられたノズル82aを用いて次の液処理を行う際に、内部配管82bに残留した液体を予めこの内部配管82bから排出することができるようになる。とりわけ、ウエハWに高温の薬液等をノズル82aから供給するときには、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留している液体は冷めている場合が多いため、この残留している冷めた液体を排液部分88eにより予め内部配管82bから排出することが望ましい。
【0098】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、アーム洗浄部88はカップ外周筒50の外側に設けられている。このことにより、カップ外周筒50内の気流がアーム洗浄部88により乱れてしまうことを防止することができる。
【0099】
なお、本実施の形態による液処理装置は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、処理室20内に進出したノズル支持アーム82のノズル82aおよび処理液供給管28によりウエハWの上面および下面の両方に処理液を供給する必要はなく、ノズル支持アーム82のノズル82aによりウエハWの上面のみに処理液を供給するようになっていてもよい。
【0100】
また、一本のノズル支持アーム82に対して複数のノズル82aが設けられるようになっていてもよい。
【0101】
次に、図11を参照して、前述したアーム洗浄部88(図10参照)に代えて用いることができるアーム洗浄部120について説明する。アーム洗浄部120は、激しい汚染環境、例えば硫酸と過酸化水素水とを混合して得た高温のSPM(Sulfuric Acid Hydrogen Peroxide Mixture)液をレジスト剥離のためにウエハに供給するSPM処理等の薬液処理の行われた処理室から退避してきた後に、汚染されたノズル支持アーム82を洗浄するために特に適している。但し、アーム洗浄部120により洗浄されるノズル支持アーム82は、SPM液を吐出するためのノズル82aを有するノズル支持アーム82に限らず、別のノズル支持アーム82、例えばSPM処理直後のSPM雰囲気中でリンス液を吐出するためのノズル82aを有するノズル支持アーム82であってもよい。図11(a)は、図10左側に示されたアーム洗浄部88をアーム洗浄部120で置き換えた場合の、アーム洗浄部120近傍を拡大して示した軸方向断面図であり、図11(b)は、図11(a)中のB−B線に沿った断面図である。図11(a)には、ノズル支持アーム82の先端部のみが示されているが、ノズル支持アーム82およびこれに付随する構成部品(アーム支持部84、アーム駆動機構85、渦巻き形状配管83p〜83u)の構成は図10に示したものと同じでよい。図11において、図10に示した構成部品と同一部品については同一符号を付して、重複説明は省略する。
【0102】
アーム洗浄部120は、洗浄ボックス130と、乾燥ブロック140とを有している。洗浄ボックス130は、内部に洗浄空間を形成する天板132a、左右の側板132bおよび底板132cを有している。洗浄ボックス130の両側板132bの内面の上部に第1洗浄液ノズル133A(133)が設けられており、また、底部板132cの上面に第2洗浄液ノズル133B(133)が設けられている。なお、第1、第2洗浄液ノズル133A、133Bは同じ構成を有しており、両者を区別する必要が無い場合には、以下、単に「洗浄液ノズル133」とも記す。各洗浄液ノズル133の内部には、洗浄液供給路133aが洗浄ボックス130の長手方向(ノズル支持アーム82の長手方向と同じ)に沿って延びている。各洗浄液ノズル133のノズル支持アーム82を向いた面には、洗浄ボックス130の長手方向に沿って間隔を空けて配置された複数の洗浄液吐出口(ノズル孔)134が設けられている。洗浄液吐出口134は洗浄液供給路133aと連通している。各洗浄液ノズル133(133A,133B)の洗浄液供給路133aには、洗浄液供給源135からノズルアーム洗浄用の洗浄液としてDIW(純水)が供給され、これにより、矢印134a,134bで示すように複数の洗浄液吐出口134からノズル支持アーム82に向けて洗浄液が噴射されるようになっている。第1洗浄液ノズル133Aからは、ノズル支持アーム82の上部に向けて洗浄液が噴射され、第2洗浄液ノズル133Bからは、ノズル支持アーム82の下部に向けて洗浄液が噴射される。
【0103】
底板132cには1つまたは複数のドレン孔131が形成されており、洗浄液吐出口134から噴射された洗浄液によりノズル支持アーム82から洗い流された薬液及び反応生成物がドレン孔131を介して洗浄空間(天板132a、側板132bおよび底板132cにより囲まれた空間)から排出されるようになっている。ドレン孔131は適当な排液管を介して工場廃液系に接続されている。ドレン孔131への洗浄液の排出をスムーズに行うため、底板132cにドレン孔131に近づくに従って低くなるような傾斜を設けることが好ましい。洗浄ボックス130のカップ外周筒50から遠い側の端部には、後板136が設けられている。後板136の中央部には、ノズル支持アーム82を通すことが可能なサイズの穴が形成されている。この後板136により、洗浄空間内の液が後方に飛散することが防止または抑制される。
【0104】
なお、洗浄効率の向上およびクロスコンタミネーション防止の観点から、洗浄ボックス130は、洗浄中にノズル支持アーム82の洗浄対象部分(すなわち薬液処理時に薬液を浴びるカップ外周筒50内に浸入する部分およびその近傍)の全体を同時に洗浄ボックス130内に収容できる程度の長さを有している。
【0105】
乾燥ブロック140(ガス噴射部分)は、洗浄ボックス130の先端側に連結されている。乾燥ブロック140の中心には、ノズル支持アーム82の外径よりもやや大きい内径の貫通穴が形成されている。この貫通穴の内表面には、ノズル支持アーム82の外周面に乾燥用ガス、例えば清浄空気、N2ガスなどを噴射するための複数(例えば6〜12個)のガス噴射口142が、円周方向に間隔を空けて形成されている。乾燥ブロック140の内部には、円環状のガス通路143が形成されており、このガス通路143に各ガス噴射口142が連通している。ガス通路143には乾燥用ガス供給源144が接続されており、乾燥用ガス供給源144から乾燥用ガス(例えばN2ガス、ドライエア)を供給することにより、ガス噴射口142からノズル支持アーム82の外周面に乾燥用ガスを吹き付けて、ノズル支持アーム82を乾燥させることができるようになっている。なお、ノズル支持アーム82の外周面に吹き付けた乾燥用ガスは、主に洗浄ボックス130の方に流れることが望ましい。このため、図11(a)に示したようにガス噴射口142を洗浄ボックス130に向けて傾斜させることが好ましい。あるいは、ノズル支持アーム82の外周面と、ノズル支持アーム82が通される乾燥ブロック140の貫通孔の内表面との間の間隔を、カップ外周筒50側で狭くすることも好ましい。
【0106】
アーム洗浄部120の動作について説明する。ノズル支持アーム82が開口50mを通ってカップ外周筒50内に進入し、ノズル82aからウエハに所定時間SPM液を供給してレジスト剥離のためのSPM処理を行う。なお、各々に図11に示すアーム洗浄部120が付設された2つのノズル支持アーム82を同時にカップ外周筒50内に進入させて、一方のノズル支持アーム82のノズル82aから硫酸を、他方のノズル支持アーム82のノズル82aから過酸化水素水をウエハに供給することも考えられる。SPM処理において、気化または霧化した高温のSPM液および反応生成物(これらはヒューム(fume)と呼ばれる)がノズル支持アーム82に付着する。SPM処理が終了したら、ノズル支持アーム82はカップ外周筒50の外側に退出し、別のノズル支持アーム(図7などを参照)がカップ外周筒50内に進入し、次の液処理(リンス処理、他の薬液処理)がウエハに施される。カップ外周筒50の外側に退出したノズル支持アーム82は、次のウエハを処理するまで待機する。待機中に、ノズル支持アーム82に洗浄処理が施される。
【0107】
ノズル支持アーム82をカップ外周筒50の外側に退出させる際、まず、洗浄液供給源135から洗浄液(DIW)が供給されて洗浄液吐出口134から矢印134a,134bで示すようにノズル支持アーム82の上部及び下部に向けてDIWが噴射され、この状態で、ノズル支持アーム82を図中右側に向けてノズル支持アーム82の先端82wが完全に洗浄ボックス130内に入るまで後退させて、その位置でノズル支持アーム82を停止させ、ノズル支持アーム82の汚染された部分全体を十分に洗浄する。洗浄液の供給量は例えば2L/minとすることができる。洗浄中にノズル支持アーム82の洗浄対象部分は洗浄ボックス130内に収容されているので、洗浄液あるいは洗浄により除去された汚染物質が他のノズル支持アームおよびその駆動部に飛散してこれらを汚染することが防止される。また、SPM処理後にカップ外周筒50から退出したノズル支持アーム82からは、汚染物質の蒸気が立ち上っているが、内部にDIWが噴射された洗浄ボックス130内へとノズル支持アーム82を引き抜いていくことにより、汚染物質の蒸気によりアーム待機部80が汚染されることも防止される。洗浄が終了し、ノズル支持アーム82を再びカップ外周筒50内に進入させる際には、乾燥用ガス供給源144から乾燥用ガスを供給してガス噴射口142から乾燥用ガスをノズル支持アーム82の表面に吹きつけながらノズル支持アーム82をカップ外周筒50側に移動させてゆくことにより、ノズル支持アーム82の外周面上に残存している洗浄液は洗浄ボックス130内に向けて吹き飛ばされ、ノズル支持アーム82のうちの少なくともカップ外周筒50内に進入する部分からは、洗浄液が除去される。なお、洗浄終了後、ノズル支持アーム82を再びカップ外周筒50内に進入させるまでの間、ノズル支持アーム82を僅かに前進させ(図11(a)に示す位置まで)、ノズル支持アーム82の先端82wがカップ外周筒50の開口50mを塞ぐような位置に位置させておくことも、カップ外周筒50内の雰囲気がアーム待機部80内に浸入することを防止する意味において好ましい。
【0108】
アーム洗浄部120の構成は、図11に示したものに限定されるものではない。例えば、洗浄液ノズル133の位置は適宜変更することができる。具体的に例えば、洗浄液ノズル133を洗浄ボックス130の天板132aに設けて、その洗浄液ノズル133からノズル支持アーム82の上部に洗浄液を噴射してもよい。また、ノズル支持アーム82の斜め下方に(例えば図11(b)における左右対称位置)2つの洗浄液ノズル133を設けて、これらの洗浄液ノズル133からノズル支持アーム82の下部に洗浄液を噴射してもよい。
【0109】
また、洗浄中に、回転機構86(図8を参照)を用いて、ノズル支持アーム82を適宜回転させてもよい。これによれば、洗浄の均一性をより向上させることができる。
【0110】
複数の洗浄液ノズル133の少なくとも1つを、図12に示すような2流体ノズル133’として構成してもよい。以下に、2流体ノズル133’について説明するが、図12において、図11の洗浄液ノズル133の構成要素と類似の構成要素については、参照符号にダッシュを付けてある。図12に示す2流体ノズル133’内には、洗浄液供給路133a’と平行にガス供給路136が延びている。洗浄液供給路133a’と洗浄液吐出口134’とを接続する洗浄液流路137に、洗浄液吐出口134’の近傍位置でガス流路138が接続されている。洗浄液流路137を流れる洗浄液(ここではDIW)に霧化用ガス(ここではN2ガス)が洗浄液吐出口134’の直前で混合され、洗浄液はミスト化(霧化)された状態で洗浄液吐出口134’から噴射され、衝突のエネルギーによりノズル支持アーム82を効率良く洗浄する。なお、特にノズル支持アーム82の下部の方が激しく汚染されるため、2流体ノズル133’は図11の第2洗浄液ノズル133Bの位置に設けることが好ましい。
【0111】
図10に示したアーム洗浄部88は、図12に示したアーム洗浄部120の乾燥ブロック140を組み込むことにより、図13に示すように改変した構成とすることができる。図13に示すアーム洗浄部88’は、吸引機構88dと排液部分88eとの間に、図12に示した乾燥ブロック140が設けられている。乾燥ブロック140に設けられるガス噴射口142は、吸引機構88dに向けて傾斜している。その他の構成は、図10と同じである。図13において、図10に示す構成要素と同じ構成要素には同一符号を付している。図13に示す構成においては、ノズル支持アーム82を後退させながら収容部分88aに収容された洗浄液によりノズル支持アーム82を洗浄するときに、乾燥ブロック140のガス噴射口142から噴射されるガスによってノズル支持アーム82の表面に残存している洗浄液が吸引機構88dに向けて吹き飛ばされる。これにより、ノズル支持アーム82の表面を確実に乾燥させることができ、かつ、洗浄液が吸引機構88dによって確実に回収され、アーム待機部80内に洗浄液が垂れ落ちることが防止できる。
【符号の説明】
【0112】
10 液処理装置
20 処理室
21 基板保持部
40、42、43、44、45 カップ
82 ノズル支持アーム
82a ノズル
88、88’、120アーム洗浄部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を水平状態に保持した状態で回転させながら当該基板に処理液を供給することにより基板の洗浄処理やエッチング処理、メッキ処理、現像処理等の液処理を行う液処理装置および液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体ウエハ等の基板(以下、ウエハともいう)を水平状態に保持した状態で回転させながら当該基板の表面や裏面に処理液を供給することにより基板の洗浄処理やエッチング処理、メッキ処理、現像処理等の液処理を行う液処理装置として、様々な種類のものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。特許文献1には、基板をスピンチャックにより水平に保持して回転させ、スピンチャックにより保持されて回転する基板の表面に処理液を供給するような、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の液処理装置が開示されている。また、このような枚葉式の液処理装置において、処理室の上方にFFU(ファンフィルタユニット)を設け、このFFUからN2ガス(窒素ガス)やクリーンエア等のガスをダウンフローで処理室内に送るような技術が知られている。
【0003】
処理室の上方にFFUが設けられた液処理装置の構成について図14および図15を用いて説明する。図14は、従来の液処理装置の概略的な構成を示す側面図であり、図15は、図14に示す従来の液処理装置の上面図である。図14および図15に示すように、従来の液処理装置200は、ウエハWが収容され、この収容されたウエハWの液処理が行われる処理室(チャンバー)210を備えている。図14および図15に示すように、処理室210内には、ウエハWを保持して回転させるための保持部220が設けられており、この保持部220の周囲にはカップ230が配設されている。また、従来の液処理装置200では、保持部220に保持されたウエハWに対してカップ230の上方から処理液を供給するためのノズル240およびこのノズル240を支持するアーム241が処理室210内に設けられている。また、アーム241には略鉛直方向に延びるアーム支持部242が設けられており、このアーム支持部242によりアーム241が支持されている。
そして、アーム支持部242は図示しない駆動機構により正逆両方向に回転駆動させられるようになっている。このことにより、アーム241はアーム支持部242を中心として正逆両方向に回転可能となり、このアーム241は、保持部220により保持されたウエハWに処理液を供給する進出位置(図15の実線参照)とカップ230から退避した退避位置(図15の二点鎖線参照)との間でアーム支持部242を中心として回転移動を行うようになる(図15の矢印参照)。
【0004】
また、図14に示すように、処理室210の上方にはFFU(ファンフィルタユニット)250が設けられており、このFFU250からN2ガス(窒素ガス)やクリーンエア等のガスが常にダウンフローで処理室210内に送られるようになっている。また、処理室210の底部には排気部260が設けられており、この排気部260により処理室210内の雰囲気の排気が行われるようになっている。このように、FFU250から処理室210内にクリーンエア等のガスがダウンフローで送られ、このガスが排気部260により排気されることにより、処理室210内の雰囲気の置換が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−94525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図14および図15に示すような従来の液処理装置200では、ノズル240を支持するアーム241やこのアーム241を支持するアーム支持部242が処理室210内に設けられている。ここで、図14および図15に示すような従来の液処理装置200では、アーム241に付着した汚れが処理室210内のウエハWに落下して付着してしまうおそれがある。また、処理室210内でウエハWの液処理を行う際に薬液等が飛散してアーム241に付着すると、この薬液がアーム241に残存してしまい、その後のウエハWの処理においてこの残存した薬液の雰囲気によりウエハWが汚れてしまう等の悪影響を与えてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、ノズルを支持するノズル支持アームに付着した汚れにより処理室内の基板が汚れてしまうことを防止することができる液処理装置および液処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液処理装置は、基板を保持する基板保持部および当該基板保持部の周囲に配設されるカップが内部に設けられた処理室と、前記基板保持部に保持された基板に対して流体を供給するためのノズルと、前記ノズルを支持するノズル支持アームと、前記ノズル支持アームの洗浄を行うためのアーム洗浄部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このような液処理装置によれば、ノズル支持アームの洗浄を行うためのアーム洗浄部が設けられているので、アーム洗浄部によりノズル支持アームを洗浄することによって、ノズル支持アームに付着した汚れにより処理室内の基板が汚れてしまうことを防止することができる。
【0010】
本発明の液処理装置においては、前記アーム洗浄部は、前記ノズル支持アームが移動する際に当該ノズル支持アームの洗浄を行うようになっていてもよい。あるいは、前記アーム洗浄部は、前記ノズル支持アームが退避位置にあるときに当該ノズル支持アームの洗浄を行うようになっていてもよい。
【0011】
この際に、前記アーム洗浄部は、洗浄液が収容される収容部分を有し、前記アーム洗浄部において、前記収容部分に収容された洗浄液に前記ノズル支持アームの一部が接触しながら当該ノズル支持アームが移動することにより前記ノズル支持アームの洗浄が行われるようになっていてもよい。
【0012】
また、前記アーム洗浄部において、前記ノズル支持アームの移動方向における前記収容部分よりも前記処理室に近い前方位置および前記収容部分よりも前記処理室から遠い後方位置のうち少なくともいずれか一方の位置に吸引機構が設けられていてもよい。
前記アーム洗浄部は、前記ノズル支持アームの移動方向における前記収容部分よりも前記処理室から遠い後方位置に、前記ノズル支持アームに乾燥用ガスを吹き付ける乾燥ブロックを有していてもよい。
【0013】
また、前記ノズル支持アームは、前記ノズルに流体を送るための配管を内部に有し、前記アーム洗浄部において、前記ノズル支持アームの移動方向における前記収容部分よりも前記処理室に近い前方位置および前記収容部分よりも前記処理室から遠い後方位置のうち少なくともいずれか一方の位置に、前記ノズル支持アーム内の前記配管に残留した液体を排出するための排液部分が設けられており、前記ノズルが前記排液部分の真上に位置するよう前記ノズル支持アームが移動することにより、前記ノズル支持アーム内の前記配管に残留した液体が前記ノズルから前記排液部分に送られるようになっていてもよい。
【0014】
本発明の液処理装置においては、前記処理室に隣接して設けられ、当該処理室から退避した前記ノズル支持アームが待機するためのアーム待機部を更に備えていてもよい。
この際に、前記アーム洗浄部は、前記処理室における前記カップと前記アーム待機部との間の領域または前記アーム待機部に位置固定で設けられていてもよい。
また、前記処理室と前記アーム待機部との間には鉛直方向に延びる壁が設けられており、前記壁には、前記ノズル支持アームが通過可能な開口が設けられており、前記壁に前記アーム洗浄部が取り付けられていてもよい。
【0015】
本発明の液処理装置においては、前記処理室内において前記カップの周囲に配設され、上方位置と下方位置との間で昇降可能となっており、前記ノズル支持アームが通過可能な開口が設けられた円筒状のカップ外周筒を更に備え、前記アーム洗浄部は前記カップ外周筒の外側に設けられていてもよい。
【0016】
本発明の液処理装置は、下記のように構成することができる。すなわち、前記ノズル支持アームは、その長手方向に進退して、前記ノズルが前記基板保持部により保持された基板の上方に位置する進出位置と、当該進出位置から後退した退避位置をとることができるように設けられており、前記アーム洗浄部は、洗浄ボックスと、乾燥ブロックとを有しており、前記洗浄ボックスは、前記退避位置に位置する前記ノズル支持アームの外周を包囲するように構成され、前記洗浄ボックスに、前記洗浄ボックス内に位置する前記ノズル支持アームに向けて洗浄液を噴射する少なくとも1つの洗浄液ノズルが設けられており、前記乾燥ブロックは、前記洗浄ボックスに隣接して、前記ノズル支持アームの進退方向に関して前記洗浄ボックスよりも前方に設けられており、前記乾燥ブロックは、前記ノズル支持アームの外周面に向けて乾燥用ガスを噴射するガス噴射孔を有しており、前記ノズル支持アームを前記退避位置から前記進出位置に向けて前方に移動させながら前記ガス噴射孔から乾燥用ガスを前記ノズル支持アームに噴射することにより、前記ノズル支持アームを乾燥させることができるように構成されている。
【0017】
前記乾燥ブロックは、前記ガス噴射孔から噴射された乾燥用ガスが前記洗浄ボックス側に向けて流れるように構成されていてもよい。
前記洗浄ボックス内に、前記ノズル支持アームの上部に向けて洗浄液を噴射する第1の洗浄液ノズルと、前記ノズル支持アームの下部に向けて洗浄液を噴射する第2の洗浄液ノズルとが設けられていてもよい。
【0018】
本発明の液処理方法は、処理室の内部に設けられた基板保持部により基板を保持させる工程と、ノズルを支持するノズル支持アームを前記処理室内に進出させる工程と、前記処理室内に進出したノズル支持アームのノズルにより、前記基板保持部により保持された基板に流体を供給する工程と、アーム洗浄部により、前記ノズル支持アームが移動する際に当該ノズル支持アームの洗浄を行う工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明による別の液処理方法は、処理室の内部に設けられた基板保持部により基板を保持させる工程と、ノズルを支持するノズル支持アームを前記処理室内に進出させる工程と、前記処理室内に進出したノズル支持アームのノズルにより、前記基板保持部により保持された基板に流体を供給する工程と、アーム洗浄部により、前記ノズル支持アームが退避位置にあるときに当該ノズル支持アームの洗浄を行う工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の液処理装置および液処理方法によれば、ノズルを支持するノズル支持アームに付着した汚れにより処理室内の基板が汚れてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態による液処理装置を含む液処理システムを上方から見た上面図である。
【図2】本発明の実施の形態による液処理装置の概略的な構成を示す上面図である。
【図3】図2に示す液処理装置の側面図である。
【図4】図2に示す液処理装置の構成の詳細を示す縦断面図であって、カップ外周筒が下方位置にあるときの状態を示す図である。
【図5】図2に示す液処理装置の構成の詳細を示す縦断面図であって、カップ外周筒が上方位置にあるときの状態を示す図である。
【図6A】(a)は、図4等に示す液処理装置における保持プレートに設けられた保持部材の構成を示す拡大縦断面図であり、(b)は、(a)に示す状態からリフトピンプレートが下方に移動したときの状態を示す拡大縦断面図であり、(c)は、(b)に示す状態からリフトピンプレートが更に下方に移動したときの状態を示す拡大縦断面図である。
【図6B】図4等に示す液処理装置におけるカップ外周筒の構成を示す斜視図である。
【図7】図2等に示す液処理装置における処理室および6つのノズル支持アームを示す斜視図である。
【図8】図7に示すノズル支持アームの拡大斜視図である。
【図9】図7等に示す各ノズル支持アームを、これらのノズル支持アームの後方から処理室に向かって見たときの構成を示す図である。
【図10】図7等に示すノズル支持アームの構成の詳細を示す側断面図である。
【図11】アーム洗浄部の他の実施形態を示す側断面図および縦断面図である。
【図12】図11に示すアーム洗浄部の洗浄液供給ノズルの別の例を示す断面図である。
【図13】図10に示したアーム洗浄部の変形例を示す側断面図である。
【図14】従来の液処理装置の概略的な構成を示す側面図である。
【図15】図14に示す従来の液処理装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図10は、本実施の形態による液処理装置を示す図である。より詳細には、図1は、本発明の実施の形態による液処理装置を含む液処理システムを上方から見た上面図である。また、図2は、本発明の実施の形態による液処理装置の概略的な構成を示す上面図であり、図3は、図2に示す液処理装置の概略的な構成を示す側面図である。また、図4および図5は、図2に示す液処理装置の構成の詳細を示す縦断面図である。また、図6Aは、図4等に示す液処理装置における保持プレートに設けられた保持部材の構成を示す拡大縦断面図であり、図6Bは、図4等に示す液処理装置におけるカップ外周筒の構成を示す斜視図である。また、図7乃至図10は、図2等に示す液処理装置に設けられたノズル支持アームの構成を示す図である。
【0022】
まず、図1を用いて、本実施の形態による液処理装置を含む液処理システムについて説明する。図1に示すように、液処理システムは、外部から被処理基板としての半導体ウエハ等の基板W(以下、ウエハWともいう)を収容したキャリアを載置するための載置台101と、キャリアに収容されたウエハWを取り出すための搬送アーム102と、搬送アーム102によって取り出されたウエハWを載置するための棚ユニット103と、棚ユニット103に載置されたウエハWを受け取り、当該ウエハWを液処理装置10内に搬送する搬送アーム104と、を備えている。図1に示すように、液処理システムには、複数(図1に示す態様では4個)の液処理装置10が設けられている。
【0023】
次に、本実施の形態による液処理装置10の概略的な構成について図2および図3を用いて説明する。
【0024】
図2および図3に示すように、本実施の形態による液処理装置10は、ウエハWが収容され、この収容されたウエハWの液処理が行われる処理室(チャンバー)20を備えている。図3に示すように、処理室20内には、ウエハWを水平状態で保持して回転させるための保持部(基板保持部)21が設けられており、この保持部21の周囲にはリング状の回転カップ40が配設されている。また、図2および図3に示すように、処理室20内において回転カップ40の周囲には円筒状のカップ外周筒50が配設されている。後述するように、このカップ外周筒50はウエハWの処理状況に応じて昇降可能となっている。これらの保持部21、回転カップ40およびカップ外周筒50の構成の詳細については後述する。
【0025】
また、液処理装置10には、保持部21に保持されたウエハWに対してウエハWの上方から処理液やN2ガス等の流体を供給するためのノズル82aおよびこのノズル82aを支持するノズル支持アーム82が設けられている。図2に示すように、1つの液処理装置10には複数(具体的には例えば6つ)のノズル支持アーム82が設けられており、各ノズル支持アーム82の先端にノズル82aが設けられている。また、図3に示すように、各ノズル支持アーム82にはアーム支持部84が設けられており、各アーム支持部84は後述するアーム駆動機構85によって図3における左右方向に駆動されるようになっている。このことにより、各ノズル支持アーム82は、ノズル82aが処理室20内に進出した進出位置と、ノズル82aが処理室20から退避した退避位置との間で水平方向に直線運動を行うようになっている(図2および図3における各ノズル支持アーム82に設けられた矢印参照)。また、図3に示すように、各ノズル支持アーム82には表面処理液供給管82mが設けられており、各表面処理液供給管82mは表面処理液供給部89に接続されている。そして、表面処理液供給部89から各表面処理液供給管82mを介して各ノズル支持アーム82のノズル82aに処理液やN2ガス等の流体が供給されるようになっている。
【0026】
図2および図3に示すように、液処理装置10において、アーム待機部80が処理室20に隣接して設けられている。このアーム待機部80において、処理室20から退避したノズル支持アーム82が待機するようになっている。また、アーム待機部80と処理室20との間には鉛直方向に延びる壁90が設けられている。この壁90は、各ノズル支持アーム82が通過可能な開口88pが設けられたアーム洗浄部88を有している。このアーム洗浄部88により各ノズル支持アーム82の洗浄が行われるようになっている。アーム洗浄部88の構成の詳細については後述する。
【0027】
また、図3に示すように、処理室20の上方にはFFU(ファンフィルタユニット)70が設けられており、このFFU70からN2ガス(窒素ガス)やクリーンエア等のガスがダウンフローで処理室20内に送られるようになっている。また、図2および図3に示すように、処理室20の底部におけるカップ外周筒50の内側には排気部54が設けられており、この排気部54により処理室20内の雰囲気の排気が行われるようになっている。このように、FFU70から処理室20内にクリーンエア等のガスがダウンフローで送られ、このガスが排気部54により排気されることにより、処理室20内の雰囲気の置換が行われるようになっている。
【0028】
また、図2および図3に示すように、処理室20の底部におけるカップ外周筒50の外側には排気部56が設けられており、この排気部56により処理室20内の雰囲気の排気が行われるようになっている。この排気部56により、処理室20内におけるカップ外周筒50の外側の雰囲気の排気を行うことができるようになっている。具体的には、排気部56により、アーム待機部80内の雰囲気がカップ外周筒50内に入り込むことが抑止される。また、この排気部56により、カップ外周筒50内の雰囲気がアーム待機部80に出てしまうことが抑止される。
【0029】
また、図2および図3に示すように、アーム待機部80の底部には排気部58が設けられており、この排気部58によりアーム待機部80内の雰囲気の排気が行われるようになっている。具体的には、各ノズル支持アーム82を駆動するためのアーム駆動機構85(後述)から発生するパーティクルを排気部58により引くことができるようになっている。
【0030】
また、図2に示すように、液処理装置10の処理室20およびアーム待機部80の出入口にはそれぞれメンテナンス用のシャッター60、62が設けられている。処理室20およびアーム待機部80にそれぞれメンテナンス用のシャッター60、62が設けられていることにより、これらの処理室20内やアーム待機部80内の機器を個別にメンテナンスすることができる。また、処理室20内でウエハWを処理している最中でも、シャッター62を開くことによりアーム待機部80内の機器をメンテナンスすることができるようになる。
【0031】
また、図2に示すように、液処理装置10の側壁には、搬送アーム104により処理室20内へウエハWを搬入したり処理室20からウエハWを搬出したりするための開口94aが設けられており、この開口94aには、当該開口94aを開閉するためのシャッター94が設けられている。
【0032】
なお、図2に示す液処理装置10において、処理室20内におけるカップ外周筒50の内部の領域はクリーンルームに対して微陽圧となっており、一方、処理室20内におけるカップ外周筒50の外側の領域はクリーンルームに対して微陰圧となっている。このため、処理室20内において、カップ外周筒50の内部の領域の気圧はカップ外周筒50の外側の領域の気圧よりも大きくなっている。
【0033】
次に、図2および図3に示すような液処理装置10の構成の詳細について図4および図5を用いて説明する。
【0034】
図4および図5に示すように、保持部21は、ウエハWを保持するための円板形状の保持プレート26と、保持プレート26の上方に設けられた円板形状のリフトピンプレート22とを備えている。リフトピンプレート22の上面には、ウエハWを下方から支持するためのリフトピン23が周方向に等間隔で3つ設けられている。なお、図4および図5では2つのリフトピン23のみを表示している。また、リフトピンプレート22にはピストン機構24が設けられており、このピストン機構24によりリフトピンプレート22が昇降するようになっている。より具体的には、搬送アーム104(図1参照)によりウエハWをリフトピン23上に載置したりリフトピン23上からウエハWを取り出したりするときには、ピストン機構24によりリフトピンプレート22が図4等に示すような位置から上方に移動させられ、このリフトピンプレート22は回転カップ40よりも上方に位置するようになる。一方、処理室20内でウエハWの液処理を行う際には、ピストン機構24によりリフトピンプレート22が図4等に示すような下方位置に移動させられ、ウエハWの周囲に回転カップ40が位置するようになる。
【0035】
保持プレート26には、ウエハWを側方から支持するための保持部材25が周方向に等間隔で3つ設けられている。なお、図4および図5では2つの保持部材25のみを表示している。各保持部材25は、リフトピンプレート22が上方位置から図4および図5に示すような下方位置に移動したときにこのリフトピン23上のウエハWを支持し、このウエハWをリフトピン23からわずかに離間させるようになっている。
【0036】
リフトピンプレート22および保持プレート26の構成について、図6Aを用いてより詳細に説明する。図6Aにおいて、(a)は、リフトピンプレート22が上方位置から図4等に示すような下方位置に移動する途中での状態を示す図であり、(b)は、(a)に示す状態からリフトピンプレート22が下方に移動したときの状態を示す図であり、(c)は、(b)に示す状態からリフトピンプレート22が更に下方に移動し、リフトピンプレート22が図4等に示すような下方位置に到達したときの状態を示す図である。
【0037】
図6Aに示すように、保持部材25は軸25aを介して保持プレート26に軸支されている。より詳細には、図6Aに示すように、保持プレート26には軸受け部26aが取り付けられており、この軸受け部26aに設けられた軸受け孔26bに軸25aが受け入れられる。軸受け孔26bは水平方向に延びるような細長い孔からなり、保持部材25の軸25aはこの軸受け孔26bに沿って水平方向に移動することができる。このようにして、保持部材25は、軸受け部26aの軸受け孔26bに受け入れられた軸25aを中心として揺動することができる。
【0038】
保持部材25の軸25aには、ねじりバネ等のバネ部材25dが巻き掛けられている。
このバネ部材25dは、軸25aを中心として保持部材25を図6Aにおける時計回りの方向に回転させるような力を保持部材25に付勢するようになっている。これにより、保持部材25に何ら力が加えられていない場合には、保持部材25が保持プレート26に対して傾斜した状態となり、保持部材25におけるウエハWを側方から支持するための支持部分25b(後述)は保持プレート26の中心から遠ざかった状態となる。
【0039】
また、軸25aに巻き掛けられたバネ部材25dからは線状部分が伸び出しており、この線状部分は軸受け部26aの内壁面26cに係止されて、軸25aを保持プレート26の中心に向かって押し返す。このように、バネ部材25dの線状部分により、軸25aは保持プレート26の中心に向かって(すなわち、図6Aにおける左方向に向かって)常時押圧される。このため、比較的径が小さなウエハWが保持部材25により保持される場合には、軸25aは、図6Aに示すように、軸受け孔26bにおける保持プレート26の中心に近い位置(すなわち、図6Aにおける左側の位置)に位置する。一方、比較的径が大きなウエハWが保持部材25により支持される場合には、バネ部材25dの線状部分による力に抗して、軸25aは軸受け孔26bに沿って図6Aに示す位置から右方向に移動する。なお、ここでのウエハWの径の大小とは、許容寸法誤差内でのウエハWの径の大小を意味している。
【0040】
また、保持部材25は、ウエハWを側方から支持する支持部分25bと、軸25aに関して支持部分25bと反対側に設けられた被押圧部材25cとを有している。被押圧部材25cは、リフトピンプレート22と保持プレート26との間に設けられており、この被押圧部材25cは、図6Aに示すようにリフトピンプレート22が下方位置またはその近傍位置にあるときに当該リフトピンプレート22の下面により下方に向かって押圧される。
【0041】
図6Aに示すように、保持部材25は、リフトピンプレート22が上方位置から下方位置に移動したときに、当該リフトピンプレート22の下面により被押圧部材25cが下方に押圧されることにより軸25aを中心として図6Aにおける反時計回りの方向(図6Aにおける矢印方向)に回転する。そして、保持部材25が軸25aを中心として回転することにより、支持部分25bがウエハWに向かって当該ウエハWの側方から移動する。これにより、リフトピンプレート22が下方位置に到達したときに、図6A(c)に示すように、ウエハWが保持部材25により側方から支持される。ここで、図6A(c)に示すように、ウエハWが保持部材25により側方から支持されたときに、このウエハWはリフトピン23の先端から上方に離間し、リフトピン23から上方に浮いた状態となる。また、前述のように、ウエハWの大きさによっては、バネ部材25dの線状部分による力に抗して軸25aが軸受け孔26bに沿って図6Aに示す位置から右方向に移動する場合もある。このため、比較的大きなウエハWが保持部材25により支持される場合であっても、保持部材25が水平方向に移動可能となっているので、ウエハWを変形させたり破損させたりすることなくウエハWを側方から支持することができる。
【0042】
また、リフトピンプレート22および保持プレート26の中心部分にはそれぞれ貫通穴が形成されており、これらの貫通穴を通るよう処理液供給管28が設けられている。この処理液供給管28は、保持プレート26の各保持部材25により保持されたウエハWの裏面に薬液や純水等の処理液を供給するようになっている。また、処理液供給管28はリフトピンプレート22と連動して昇降するようになっている。処理液供給管28の上端には、リフトピンプレート22の貫通穴を塞ぐよう設けられたヘッド部分28aが形成されている。また、図4等に示すように、処理液供給管28には処理液供給部29が接続されており、この処理液供給部29により処理液供給管28に処理液が供給されるようになっている。
【0043】
図4および図5に示すように、保持部21の周囲にはリング状の回転カップ40が配設されている。この回転カップ40は保持プレート26に取り付けられており、保持プレート26と一体的に回転するようになっている。より詳細には、回転カップ40は、保持プレート26の各保持部材25により支持されたウエハWを側方から囲うよう設けられており、ウエハWの液処理を行う際にこのウエハWから側方に飛散した処理液を受けるようになっている。
【0044】
また、回転カップ40の周囲には、ドレインカップ42、第1案内カップ43、第2案内カップ44および第3案内カップ45が上方から順に設けられている。ドレインカップ42および各案内カップ43、44、45はそれぞれリング状に形成されている。ここで、ドレインカップ42は処理室20において固定されている。一方、各案内カップ43、44、45にはそれぞれ昇降シリンダ(図示せず)が連結されており、これらの案内カップ43、44、45は対応する昇降シリンダにより互いに独立して昇降自在となっている。
【0045】
図4および図5に示すように、ドレインカップ42や各案内カップ43、44、45の下方には、第1処理液回収用タンク46a、第2処理液回収用タンク46b、第3処理液回収用タンク46cおよび第4処理液回収用タンク46dがそれぞれ設けられている。そして、各案内カップ43、44、45の上下方向における位置により、ウエハWの液処理を行う際にこのウエハWから側方に飛散した処理液が、この処理液の種類に基づいて、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうちいずれか一つの処理液回収用タンクに選択的に送られるようになっている。具体的には、全ての案内カップ43、44、45が全て上方位置にあるときには(図4および図5に示すような状態)、ウエハWから側方に飛散した処理液は第4処理液回収用タンク46dに送られるようになっている。一方、第3案内カップ45のみが下方位置にあるときには、ウエハWから側方に飛散した処理液は第3処理液回収用タンク46cに送られるようになっている。また、第2案内カップ44および第3案内カップ45が下方位置にあるときには、ウエハWから側方に飛散した処理液は第2処理液回収用タンク46bに送られるようになっている。また、全ての案内カップ43、44、45が下方位置にあるときには、ウエハWから側方に飛散した処理液は第1処理液回収用タンク46aに送られるようになっている。
【0046】
また、図4および図5に示すように、第4処理液回収用タンク46dの内側には排気部48が設けられている。そして、各案内カップ43、44、45の上下方向における位置が所定の位置となることにより、ウエハWの周囲の雰囲気が、排気部48により排気されるようになっている。
【0047】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、処理室20内においてドレインカップ42や各案内カップ43、44、45の周囲にカップ外周筒50が設けられている。このカップ外周筒50は、図4に示すような下方位置と図5に示すような上方位置との間で昇降可能となっている。また、図2および図3に示すように、カップ外周筒50には、ノズル支持アーム82が通過可能な開口50mが設けられている。カップ外周筒50は、図5に示すような上方位置にあるときに、カップ外周筒50内の領域を外部に対して隔離するようになっている。
【0048】
このようなカップ外周筒50の構成の詳細について図6Bを用いて説明する。図6Bは、カップ外周筒50の構成を示す斜視図である。図6Bに示すように、カップ外周筒50の側面には、ノズル支持アーム82が通過可能な開口50mが、ノズル支持アーム82の本数に応じて設けられている(例えばノズル支持アーム82が6本の場合、6つの開口50mが設けられる)。また、カップ外周筒50の上部には、このカップ外周筒50を支持するための支持部材50aが連結されており、支持部材50aには当該支持部材50aを昇降させる駆動機構50bが設けられている。そして、駆動機構50bにより支持部材50aを昇降させることにより、この支持部材50aに支持されるカップ外周筒50も昇降するようになっている。
【0049】
また、図4および図5に示すように、FFU70にはガイド部材51が取り付けられている。このガイド部材51は、図5に示すようにカップ外周筒50が上方位置にあるときに、このカップ外周筒50から内側にわずかに距離を隔てて位置するよう配置されている。また、本実施の形態の液処理装置10においては、図5に示すようにカップ外周筒50が上方位置にあるときには、カップ外周筒50内の気圧はカップ外周筒50の外側の気圧よりも大きくなるようになっている。このため、カップ外周筒50が上方位置にあるときには、FFU70により生じる処理室20内のダウンフローのガスが、ガイド部材51によりカップ外周筒50の上端近傍において当該カップ外周筒50の内側から外側に案内されるようになっている。
【0050】
また、図4および図5に示すように、処理室20内には、カップ外周筒50を洗浄するための洗浄部52が設けられている。この洗浄部52は、純水等の洗浄液を貯留するための貯留部分52aを有しており、図4に示すようにカップ外周筒50が下方位置にあるときにこのカップ外周筒50が貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになっている。洗浄部52は、貯留部分52aに貯留された洗浄液にカップ外周筒50が浸されることにより、このカップ外周筒50の洗浄を行うようになっている。貯留部分52aに貯留される洗浄液としては、例えば室温以上の、好ましくは40℃以上の、更に好ましくは60℃以上の純水等が用いられる。貯留部分52aに貯留される洗浄液の温度が高い場合には、カップ外周筒50に対する洗浄効果がより大きくなる。
【0051】
図4に示すように、カップ外周筒50が下方位置にあるときにはこのカップ外周筒50の大部分が貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになる。また、図5に示すように、カップ外周筒50が上方位置にあるときにもこのカップ外周筒50の下部が貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになる。このため、カップ外周筒50が上方位置にあるときには、貯留部分52aに貯留された洗浄液とカップ外周筒50の下部との間で水シールを行うとともに、カップ外周筒50の上部とガイド部材51との間が狭くなるので、カップ外周筒50内の領域を外部から隔離することができるようになる。
【0052】
また、図4および図5に示すように、処理室20内において、洗浄部52の内側には処理室20内の雰囲気の排気を行うための排気部54が設けられており、また、洗浄部52の外側には処理室20内の雰囲気の排気を行うための排気部56が設けられている。このような排気部54および排気部56が設けられていることにより、カップ外周筒50が図4に示すような下方位置にあるときには、これらの排気部54および排気部56により処理室20内全体の雰囲気の排気を行うことができる。一方、カップ外周筒50が図5に示すような上方位置にあるときには、カップ外周筒50内の領域が外部から隔離されるので、排気部54によりカップ外周筒50の内部の雰囲気の排気を行うことができ、また、排気部56によりカップ外周筒50の外側の雰囲気の排気を行うことができる。
【0053】
前述のように、本実施の形態においては、1つの液処理装置10に複数(具体的には例えば6つ)のノズル支持アーム82が設けられており、各ノズル支持アーム82の先端にノズル82aが設けられている。具体的には、各ノズル82aは、それぞれ、第1の薬液(具体的には、例えば酸性の薬液)、第2の薬液(具体的には、例えばアルカリ性の薬液)、純水、N2ガス、IPA(イソプロピルアルコール)、純水のミストをウエハWの上面に供給するようになっている。
【0054】
以下、本実施の形態におけるノズル支持アーム82の構成について図7乃至図10を用いて詳述する。ここで、図7は、図2等に示す液処理装置10における処理室20および6つのノズル支持アーム82p〜82uを示す斜視図であり、図8は、図7に示す各ノズル支持アーム82p〜82uの拡大斜視図である。また、図9は、図7等に示す各ノズル支持アーム82p〜82uを、これらのノズル支持アーム82p〜82uの後方から処理室20に向かって見たときの構成を示す図であり、図10は、図7等に示す各ノズル支持アーム82p〜82uの構成の詳細を示す側断面図である。
【0055】
図7に示すように、6つのノズル支持アーム82は、例えば純水供給用アーム82p、第1の薬液供給用アーム82q、N2ガス供給用アーム82r、第2の薬液供給用アーム82s、純水のミスト供給用アーム82tおよびIPA供給用アーム82uから構成されている。前述のように、これらのアーム82p〜82uの先端にはノズル82aが設けられている。このようにして、純水供給用アーム82pの先端に設けられたノズル82aからは純水がウエハWの上面に供給され、第1の薬液供給用アーム82qの先端に設けられたノズル82aからは第1の薬液(具体的には、例えば酸性の薬液)がウエハWの上面に供給され、N2ガス供給用アーム82rの先端に設けられたノズル82aからはN2ガスがウエハの上面に供給されるようになっている。また、第2の薬液供給用アーム82sの先端に設けられたノズル82aからは第2の薬液(具体的には、例えばアルカリ性の薬液)がウエハWの上面に供給され、純水のミスト供給用アーム82tの先端に設けられたノズル82aからは純水のミストがウエハWの上面に供給され、IPA供給用アーム82uの先端に設けられたノズル82aからはIPAがウエハWの上面に供給されるようになっている。
【0056】
図8および図10に示すように、各ノズル支持アーム82には、当該ノズル支持アーム82を直進運動させるためのアーム駆動機構85が設けられている。アーム駆動機構85は、ベース部材85dに取り付けられ正逆両方向に回転するモータ85aと、モータ85aに対向するようベース部材85dに取り付けられたプーリ85bと、モータ85aおよびプーリ85bに巻き掛けられた循環ベルト85cと、循環ベルト85cに取り付けられたベルト取付部材85eとを有している。ここで、ベルト取付部材85eは、ノズル支持アーム82を支持するアーム支持部84の下部に取り付けられており、ベルト取付部材85eおよびアーム支持部84は一体的に移動するようになっている。そして、このようなアーム駆動機構85において、モータ85aが回転することにより循環ベルト85cが図10における右方向または左方向に移動し、この循環ベルト85cに取り付けられたベルト取付部材85eが図10における右方向または左方向に移動することにより、アーム支持部84が図10における左右方向に直進運動を行うようになる。このようにして、アーム支持部84に支持されるノズル支持アーム82も図10における左右方向に直進運動を行う。
【0057】
本実施の形態の液処理装置10においては、アーム駆動機構85が処理室20の外部に設けられていることにより、このアーム駆動機構85から発生するゴミ等が処理室20内に入ってしまうことを抑制することができる。また、処理室20内の雰囲気がアーム駆動機構85に到達してしまうことを抑制することができる。
【0058】
また、図9に示すように、上述した6つのアーム82p〜82uのうち、純水供給用アーム82p、N2ガス供給用アーム82rおよび純水のミスト供給用アーム82tは同じ高さレベルに設置されている。より具体的には、図9において、これらのアーム82p、82r、82tは、図9における二点鎖線Aで囲まれる領域の高さレベルに設置されている。一方、上述した6つのアーム82p〜82uのうち、第1の薬液供給用アーム82q、第2の薬液供給用アーム82sおよびIPA供給用アーム82uも同じ高さレベルに設置されている。より具体的には、図9において、これらのアーム82q、82s、82uは、図9における二点鎖線Bで囲まれる領域の高さレベルに設置されている。そして、図9に示すように、純水供給用アーム82p、N2ガス供給用アーム82rおよび純水のミスト供給用アーム82tは、それぞれ、第1の薬液供給用アーム82q、第2の薬液供給用アーム82sおよびIPA供給用アーム82uよりも高い位置に設置されている。
【0059】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、高さレベルが互いに異なる複数のアーム82p〜82uが同時に処理室20内に進出したときにアーム同士が衝突または干渉しないようになっている。
【0060】
本実施の形態の液処理装置10においては、ウエハWの乾燥処理を行うにあたり、処理室20内において保持部21により保持されたウエハWに対してIPAを供給した後、このウエハWにおけるIPAが供給された箇所にN2ガスを供給するようになっている。このような場合、N2ガス供給用アーム82rおよびIPA供給用アーム82uが同時に処理室20内に進出する。ここで、前述のように、N2ガス供給用アーム82rおよびIPA供給用アーム82uは互いに高さレベルが異なるようになっている。より詳細には、N2ガス供給用アーム82rは図9における二点鎖線Aで囲まれる領域の高さレベルに設置されているのに対し、IPA供給用アーム82uは図9における二点鎖線Bで囲まれる領域の高さレベルに設置されている。
【0061】
そして、処理室20内において、IPA供給用アーム82uに設けられたノズル82aからIPAが噴射されるウエハW上の領域に対して、N2ガス供給用アーム82rに設けられたノズル82aからN2が噴射されるウエハW上の領域が後を追うように、これらのIPA供給用アーム82uおよびN2ガス供給用アーム82rを処理室20内で移動させる。この際に、N2ガス供給用アーム82rおよびIPA供給用アーム82uは互いに高さレベルが異なるようになっているので、これらのアーム82r、82uが互いに干渉することはない。このようにして、処理室20内に進出したIPA供給用アーム82uに設けられたノズル82aからウエハWに対してIPAを供給した後に、このウエハWにおけるIPAが供給された箇所に対して処理室20内に進出したN2ガス供給用アーム82rに設けられたノズル82aからN2ガスを供給することができるようになる。
【0062】
また、他の例としては、ウエハWに対して酸性やアルカリ性の薬液により処理を行うにあたり、処理室20内において保持部21により保持されたウエハWに対して薬液を供給した後に中断することなく引き続きこのウエハWに純水を供給してリンス処理を行うようになっている。このような場合、第1の薬液供給用アーム82q(または第2の薬液供給用アーム82s)および純水供給用アーム82pが同時に処理室20内に進出する。ここで、前述のように、純水供給用アーム82pおよび第1の薬液供給用アーム82q(または第2の薬液供給用アーム82s)は互いに高さレベルが異なるようになっている。より詳細には、純水供給用アーム82pは図9における二点鎖線Aで囲まれる領域の高さレベルに設置されているのに対し、第1の薬液供給用アーム82q(または第2の薬液供給用アーム82s)は図9における二点鎖線Bで囲まれる領域の高さレベルに設置されている。
【0063】
そして、処理室20内において、保持部21により保持されたウエハWに対して薬液を供給した後に中断することなく引き続きこのウエハWに純水を供給するように、純水供給用アーム82pおよび第1の薬液供給用アーム82q(または第2の薬液供給用アーム82s)を処理室20内で移動させる。この際に、純水供給用アーム82pおよび第1の薬液供給用アーム82q(または第2の薬液供給用アーム82s)は互いに高さレベルが異なるようになっているので、これらのアーム82p、82q(またはアーム82p、82s)が互いに干渉することはない。このようにして、処理室20内に進出した第1の薬液供給用アーム82q(または第2の薬液供給用アーム82s)に設けられたノズル82aからウエハWに対して薬液を供給した後に、処理室20内に進出した純水供給用アーム82pに設けられたノズル82aから純水を中断することなく引き続き供給してリンス処理を行うことができるようになる。
【0064】
図10に示すように、各アーム82p〜82uは二重配管構造となっている。より詳細には、各アーム82p〜82uは内部配管82bおよび外部配管82cから構成されている。内部配管82bはノズル82aに連通しており、この内部配管82bからノズル82aに流体が送られるようになっている。内部配管82bは例えばフッ素系樹脂から構成されている。また、内部配管82bは外部配管82cに覆われるようになっており、この外部配管82cは例えばステンレス鋼パイプにフッ素系樹脂をコーティングしたものからなる。
【0065】
また、図8および図10等に示すように、各アーム82p〜82uの後端側におけるこれらのアーム82p〜82uの外側には、各内部配管82bに連通する渦巻き形状配管83p〜83uがそれぞれ設けられている。各渦巻き形状配管83p〜83uは可撓性材料から形成されている。具体的には、各渦巻き形状配管83p〜83uは例えばフッ素系樹脂等のチューブが渦巻き形状に曲げられたものから形成されている。図7、図8および図10に示すように、各渦巻き形状配管83p〜83uは、対応するアーム82p〜82uが退避位置にあるときに、これらのアーム82p〜82uの延びる方向に直交する平面(すなわち、鉛直方向に延びる平面)上で渦巻き形状となるよう構成されている。そして、各渦巻き形状配管83p〜83uに薬液等の流体が送られることにより、各アーム82p〜82uの内部に設けられた内部配管82bを経てノズル82aから流体が下方に噴射されるようになっている。また、各渦巻き形状配管83p〜83uは可撓性材料から形成されているため、対応するアーム82p〜82uが処理室20内に進出した場合には、渦巻き形状配管83p〜83uは図8に示すような渦巻き形状から変形して円錐螺旋形状(先端が徐々に細くなるような螺旋形状)となる。
【0066】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、各アーム82p〜82uは、当該アーム82p〜82uの移動方向に沿った長手方向軸を中心として回転可能となっている。具体的には、図8に示すように、各アーム82p〜82uには回転機構86が設けられており、この回転機構86により各アーム82p〜82uは図8における矢印方向に回転するようになっている。各アーム82p〜82uを回転させることにより、ノズル82aの向きを図10に示すような下向きから他の方向に変えることができるようになる。また、各渦巻き形状配管83p〜83uは渦巻き形状となっているとともに可撓性材料から形成されているため、回転機構86により各アーム82p〜82uを回転させた場合でも、対応する渦巻き形状配管83p〜83uはアーム82p〜82uの回転に合わせてスムーズに変形するようになり、アーム82p〜82uの回転が各渦巻き形状配管83p〜83uにより妨げられることはない。
【0067】
回転機構86は、保持部21に保持されたウエハWに対してノズル82aにより流体を供給する際に、このノズル82aを支持するアーム82p〜82uを選択的に長手方向軸を中心として回転させるようになっている。具体的には、保持部21に保持されたウエハWの周縁部にノズル82aが近づくと、このノズル82aの向きは下向きから斜めに傾斜するようアーム82p〜82uが回転するようになっている。このことにより、保持部21に保持されたウエハWの周縁部において、ノズル82aから斜め下方に流体が噴射されることによって、ノズル82aからウエハWに供給された流体、具体的には薬液等の液体について、ウエハWの周縁部上での液ハネを抑制することができるようになる。このように、回転機構86は、ノズル82aがウエハWの中心に位置する場合とノズル82aがウエハWの周縁部に位置する場合とで、ノズル82aの向きを変えることができるようになっている。
【0068】
また、回転機構86は、各アーム82p〜82uが進出位置と退避位置との間で移動する際に、ノズル82aが下向き以外の向き、具体的には例えば上向きとなるよう、長手方向軸を中心としてアーム82p〜82uを回転させるようになっている。このことにより、アーム82p〜82uを移動させる際にノズル82aから薬液等の液体がボタ落ちしてしまうことを防止することができる。
【0069】
また、図7および図10に示すように、各アーム82p〜82uには、これらのアーム82p〜82uの洗浄を行うためのアーム洗浄部88がアーム82p〜82u毎に位置固定で設けられている。各アーム洗浄部88は、それぞれ対応するアーム82p〜82uが移動する際に当該アーム82p〜82uの洗浄を行うようになっている。このような各アーム洗浄部88による各アーム82p〜82uの洗浄のタイミングは自由に設定できるようになっており、具体的には、各アーム82p〜82uの洗浄は例えば処理毎に、または一日一回、あるいは月に一回行われるようになっている。
【0070】
アーム洗浄部88の構成の詳細について図10を用いて説明する。図10に示すように、アーム洗浄部88には、ノズル支持アーム82(82p〜82u)が通過する貫通穴が水平方向(図10における左右方向)に延びるよう設けられている。この貫通穴の断面は、ノズル支持アーム82の断面よりもわずかに大きくなっている。また、この貫通穴には、洗浄液が収容される収容部分88aが設けられている。また、収容部分88aには洗浄液供給管88bが接続されており、洗浄液供給管88bから収容部分88aに洗浄液が供給されるようになっている。収容部分88aに洗浄液が供給されると、この収容部分88a内でノズル支持アーム82の外周面上に液膜が張られるようになる。そして、アーム洗浄部88において、収容部分88aに収容された洗浄液にノズル支持アーム82(82p〜82u)の一部が接触しながら当該ノズル支持アーム82が移動することによりノズル支持アーム82の洗浄が行われるようになっている。
【0071】
また、アーム洗浄部88において、ノズル支持アーム82の移動方向(図10における左右方向)における収容部分88aよりも処理室20に近い前方位置および収容部分88aよりも処理室20から遠い後方位置にはそれぞれ吸引機構88c、88dが設けられている。これらの吸引機構88c、88dは、収容部分88aに収容された洗浄液がこの収容部分88aから外部に漏れたときに漏れた分の洗浄液を吸引して排液するようになっている。なお、吸引機構は、必ずしもノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも前方位置および後方位置の両方に設ける必要はなく、代わりに、ノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも前方位置または後方位置のうちいずれか一方にのみ吸引機構が設けられるようになっていてもよい。
【0072】
また、吸引機構88c、88dは、ノズル支持アーム82が洗浄された後に、このノズル支持アーム82に付着した液滴を吸引することにより、ノズル支持アーム82の乾燥を行うようになっている。
【0073】
また、アーム洗浄部88において、ノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも後方位置には、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留した薬液等の液体を排出するための排液部分88eが設けられている。また、排液部分88eにはドレン管88fが接続されており、排液部分88eに送られた液体はドレン管88fにより排出されるようになっている。そして、ノズル82aが排液部分88eの真上に位置するようノズル支持アーム82が移動して、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留した薬液等の液体がノズル82aから排液部分88eに吐出されるようになっている。このような排液部分88eが設けられていることにより、ウエハWの液処理が終了した後、ノズル支持アーム82の内部配管82bに液体が残留してしまった場合でも、このノズル支持アーム82に設けられたノズル82aを用いて次の液処理を行う際に、内部配管82bに残留した液体を予めこの内部配管82bから排出することができるようになる。とりわけ、ウエハWに高温の薬液等をノズル82aから供給するときには、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留している液体は冷めている場合が多いため、この残留している冷めた液体を排液部分88eにより予め内部配管82bから排出することが望ましい。
【0074】
なお、排液部分88eは、ノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも後方位置ではなく収容部分88aよりも前方位置に設けられていてもよい。この場合でも、ノズル82aが排液部分88eの真上に位置するようノズル支持アーム82が移動し、ノズル82aから薬液を吐出することにより、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留した薬液等の液体がノズル82aから排液部分88eに送られるようになる。
【0075】
図7および図10に示すように、各アーム82p〜82uに対応する各アーム洗浄部88は、処理室20とアーム待機部80との間に設けられた壁90の外側に取り付けられるようになっている。このため、各アーム洗浄部88はカップ外周筒50の外側に設けられるようになる。なお、各アーム洗浄部88は壁90の外側に取り付けられる代わりに壁90の内側に取り付けられるようになっていてもよい。この場合には、各アーム洗浄部88は、回転カップ40とアーム待機部80との間の領域に位置するようになる。
【0076】
本実施の形態の液処理装置10においては、アーム洗浄部88はノズル支持アーム82の全体を洗浄するようになっていてもよく、あるいはノズル支持アーム82の一部分のみを洗浄するようになっていてもよい。また、アーム洗浄部88はノズル支持アーム82の全周を洗浄するようになっているが、このことに限定されることはない。
【0077】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、図2や図10に示すように、各アーム82p〜82uは、アーム待機部80で待機しているときに、処理室20とアーム待機部80との間に設けられた壁90のアーム洗浄部88の開口88pを塞ぐようになっている。このことにより、各アーム82p〜82uは、壁90のアーム洗浄部88の開口88pを塞ぐ蓋として機能するようになり、処理室20内の領域とアーム待機部80の領域とを隔離することができるようになる。
【0078】
また、各アーム82p〜82uは、図5に示すような上方位置にあるカップ外周筒50の開口50mも塞ぐことができるようになっている。このことにより、カップ外周筒50内の領域とアーム待機部80の領域とを隔離することができるようになる。
【0079】
次に、このような構成からなる液処理装置10の動作について説明する。
【0080】
まず、保持部21におけるリフトピンプレート22および処理液供給管28を図4に示す位置から上方に移動させることと、処理室20の開口94aに設けられたシャッター94をこの開口94aから退避させることにより開口94aを開くことを行う。そして、液処理装置10の外部からウエハWが搬送アーム104により開口94aを介して処理室20内に搬送され、このウエハWがリフトピンプレート22のリフトピン23上に載置され、その後、搬送アーム104は処理室20から退避する。この際に、カップ外周筒50は図4に示すような下方位置に位置している。また、各ノズル支持アーム82は処理室20から退避した退避位置に位置している。すなわち、各ノズル支持アーム82はアーム待機部80で待機している。また、FFU70から処理室20内にクリーンエア等のガスが常にダウンフローで送られ、このガスが排気部54により排気されることにより、処理室20内の雰囲気の置換が行われるようになっている。
【0081】
次に、リフトピンプレート22および処理液供給管28を下方に移動させ、これらのリフトピンプレート22および処理液供給管28を図4に示すような下方位置に位置させる。この際に、保持プレート26に設けられた各保持部材25が、リフトピン23上のウエハWを支持し、このウエハWをリフトピン23からわずかに離間させる。
【0082】
その後に、またはリフトピンプレート22の下降中に、カップ外周筒50に設けられた駆動機構50bにより、このカップ外周筒50を上方に移動させ、カップ外周筒50を図5に示すような上方位置に位置させる。そして、カップ外周筒50が上方位置に移動した後、アーム待機部80で待機している6つのノズル支持アーム82のうち一または複数のノズル支持アーム82が壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に進出する(図5の二点鎖線参照)。この際に、アーム駆動機構85によりノズル支持アーム82は直線運動を行う。
【0083】
そして、保持部21における保持プレート26およびリフトピンプレート22を回転させる。このことにより、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWも回転する。
【0084】
その後、まず、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対して酸性の薬液により処理を行い、その後引き続いてリンス処理を行う。具体的には、図5に示すような状態で、アーム待機部80で待機している6つのノズル支持アーム82のうち第1の薬液供給用アーム82qおよび純水供給用アーム82pがそれぞれ壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に同時に進出する。この際に、第1の薬液供給用アーム82qおよび純水供給用アーム82pは互いに高さレベルが異なるようになっているので、これらのアーム82q、82pが互いに干渉することはない。
【0085】
そして、ウエハWが回転した状態で、処理室20内に進出した第1の薬液供給用アーム82qのノズル82aからウエハWの上面に酸性の薬液を供給する。また、この際に、ウエハWの下面(裏面)に向かって処理液供給管28から酸性の薬液を供給してもよい。このようにして、ウエハWの少なくとも上面に酸性の薬液が供給され、ウエハWの薬液処理が行われる。ウエハWに供給された酸性の薬液は、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第1処理液回収用タンク46aに送られて回収される。また、上述のような薬液処理が行われる際に、純水供給用アーム82pは、第1の薬液供給用アーム82qのノズル82aによる酸性の薬液の吐出位置からわずかに後退した位置に当該純水供給用アーム82pのノズル82aが位置するよう、処理室20内で待機している。ここで、純水供給用アーム82pが待機しているときに、ノズル82aが下向き以外の向き、具体的には例えば上向きとなるように純水供給用アーム82pを回転させておけば、薬液処理中において純水供給用アーム82pのノズル82aからのボタ落ちを防止することができる。
【0086】
そして、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対して酸性の薬液が供給された後に中断することなく引き続きこのウエハWに純水が供給される。具体的には、処理室20内に進出した第1の薬液供給用アーム82qに設けられたノズル82aからウエハWに対して酸性の薬液を供給した後に、処理室20内に進出した純水供給用アーム82pに設けられたノズル82aから純水を中断することなく引き続きウエハWに供給する。ウエハWに供給された純水は、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第3処理液回収用タンク46cに送られて回収される。このようにして、カップ外周筒50内でウエハWに対して酸性の薬液により処理が行われ、その後引き続いてリンス処理が行われるようになる。この際に、処理室20内において純水供給用アーム82pと第1の薬液供給用アーム82qは互いに高さレベルが異なっているのでこれらのアーム82p、82qが互いに干渉することはない。そして、ウエハWに対する酸性の薬液による処理およびリンス処理が終了すると、処理室20に進出した第1の薬液供給用アーム82qはこの処理室20から退避してアーム待機部80で待機するようになる。一方、純水供給用アーム82pは処理室20内に残ったままとなる。また、リンス処理が行われる間に、第2の薬液供給用アーム82sが壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に進出する。より詳細には、上述のようなリンス処理が行われる際に、第2の薬液供給用アーム82sは、純水供給用アーム82pのノズル82aによる純水の吐出位置からわずかに後退した位置に当該第2の薬液供給用アーム82sのノズル82aが位置するよう、処理室20内で待機している。
【0087】
その後、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対してアルカリ性の薬液により処理を行い、その後引き続いてリンス処理を行う。具体的には、処理室20内に進出している第2の薬液供給用アーム82sおよび純水供給用アーム82pにより、ウエハWに対してアルカリ性の薬液による処理およびリンス処理が行われる。この際に、第2の薬液供給用アーム82sおよび純水供給用アーム82pは互いに高さレベルが異なるようになっているので、これらのアーム82s、82pが互いに干渉することはない。
【0088】
具体的に説明すると、ウエハWが回転した状態で、処理室20内に進出した第2の薬液供給用アーム82sのノズル82aからウエハWの上面にアルカリ性の薬液を供給する。また、この際に、ウエハWの下面(裏面)に向かって処理液供給管28からアルカリ性の薬液を供給してもよい。このようにして、ウエハWの少なくとも上面にアルカリ性の薬液が供給され、ウエハWの薬液処理が行われる。ウエハWに供給されたアルカリ性の薬液は、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第2処理液回収用タンク46bに送られて回収される。また、上述のような薬液処理が行われる際に、純水供給用アーム82pは、第2の薬液供給用アーム82sのノズル82aによるアルカリ性の薬液の吐出位置からわずかに後退した位置に当該純水供給用アーム82pのノズル82aが位置するよう、処理室20内で待機している。
【0089】
そして、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対してアルカリ性の薬液が供給された後に中断することなく引き続きこのウエハWに純水が供給される。具体的には、処理室20内に進出した第2の薬液供給用アーム82sに設けられたノズル82aからウエハWに対してアルカリ性の薬液を供給した後に、処理室20内に進出している純水供給用アーム82pに設けられたノズル82aから純水を中断することなく引き続きウエハWに供給する。ウエハWに供給された純水は、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第3処理液回収用タンク46cに送られて回収される。このようにして、カップ外周筒50内でウエハWに対してアルカリ性の薬液により処理が行われ、その後引き続いてリンス処理が行われるようになる。そして、ウエハWに対するアルカリ性の薬液による処理およびリンス処理が終了すると、処理室20に進出した第2の薬液供給用アーム82sおよび純水供給用アーム82pはこの処理室20から退避してアーム待機部80で待機するようになる。また、上述のようなリンス処理が行われる間に、IPA供給用アーム82uが壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に進出する。より詳細には、上述のようなリンス処理が行われる際に、IPA供給用アーム82uは、純水供給用アーム82pのノズル82aによる純水の吐出位置からわずかに後退した位置に当該IPA供給用アーム82uのノズル82aが位置するよう、処理室20内で待機している。
【0090】
その後、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWに対してIPAにより乾燥処理が行われる。具体的には、アーム待機部80で待機している6つのノズル支持アーム82のうちN2ガス供給用アーム82rが壁90のアーム洗浄部88の開口88pおよびカップ外周筒50の開口50mを介して処理室20内に進出する。このようにして、処理室20内にN2ガス供給用アーム82rおよびIPA供給用アーム82uがそれぞれ進出した状態となる。この際に、N2ガス供給用アーム82rおよびIPA供給用アーム82uは互いに高さレベルが異なるようになっているので、これらのアーム82r、82uが互いに干渉することはない。
【0091】
そして、ウエハWが回転した状態で、処理室20内に進出したIPA供給用アーム82uに設けられたノズル82aからウエハWに対してIPAを供給した後に、このウエハWにおけるIPAが供給された箇所に対して処理室20内に進出したN2ガス供給用アーム82rに設けられたノズル82aからN2ガスを供給する。具体的には、処理室20内において、IPA供給用アーム82uに設けられたノズル82aによりウエハWの中心にIPAが供給される。その後、IPA供給用アーム82uがウエハWの中心から周縁部に移動し、IPAが供給された後のウエハW上の領域に対して、N2ガス供給用アーム82rに設けられたノズル82aによりガスが噴射されるウエハW上の領域が後を追うように、これらのIPA供給用アーム82uおよびN2ガス供給用アーム82rをウエハW上で移動させる。このようにして、ウエハWの表面において、IPAが供給された箇所にN2ガスがすぐに供給されるようになり、ウエハWの乾燥処理を適切に行うことができるようになる。なお、ウエハWに供給されたIPAは、4つの処理液回収用タンク46a、46b、46c、46dのうち例えば第4処理液回収用タンク46dに送られて回収される。ウエハWの乾燥処理が終了すると、処理室20に進出したIPA供給用アーム82uおよびN2ガス供給用アーム82rはこの処理室20から退避してアーム待機部80で待機するようになる。
【0092】
ウエハの乾燥処理が終了すると、カップ外周筒50に設けられた駆動機構50bにより、このカップ外周筒50を下方に移動させ、カップ外周筒50を図4に示すような下方位置に位置させる。
【0093】
その後、保持部21におけるリフトピンプレート22および処理液供給管28を図4に示す位置から上方に移動させる。この際に、保持プレート26の保持部材25により支持されたウエハWがリフトピンプレート22のリフトピン23上に受け渡される。次に、処理室20の開口94aに設けられたシャッター94をこの開口94aから退避させることにより開口94aを開き、液処理装置10の外部から開口94aを介して搬送アーム104を処理室20内に進出させ、この搬送アーム104によりリフトピンプレート22のリフトピン23上のウエハWを取り出す。搬送アーム104により取り出されたウエハWは液処理装置10の外部に搬送される。このようにして、一連のウエハWの液処理が完了する。
【0094】
なお、各ノズル支持アーム82の洗浄は、ノズル支持アーム82が処理室20からアーム待機部80における退避位置に移動する際にアーム洗浄部88により行ってもよい。また、各ノズル支持アーム82の洗浄は、ウエハWに対する各処理後に行ってもよいし、あるいは定期的に行ってもよい。
【0095】
ここで、本実施の形態の液処理装置10によれば、アーム洗浄部88がアーム待機部80に位置固定で設けられており、このアーム洗浄部88は、ノズル支持アーム82が移動する際に当該ノズル支持アーム82の洗浄を行えるようになっている。このように、アーム洗浄部88によりノズル支持アーム82を洗浄することによって、汚れが付着していない状態でノズル支持アーム82が処理室20内に進入することができるようになり、ノズル支持アーム82に付着した汚れにより処理室20内のウエハWが汚れてしまうことを防止することができる。さらに、アーム洗浄部88が処理室20の外部に設けられることにより、処理室20内の気流が乱れてしまうことを防止することができる。
【0096】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、アーム洗浄部88は、洗浄液が収容される収容部分88aを有しており、アーム洗浄部88において、収容部分88aに収容された洗浄液にノズル支持アーム82の一部が接触しながらノズル支持アーム82が移動することによりノズル支持アーム82の洗浄が行われるようになっている。この場合には、アーム洗浄部88を移動させることなく、位置が固定された収容部分88aに収容された洗浄液によりノズル支持アーム82の洗浄を行うことができるので、アームの洗浄を行うための機構をシンプルなものとすることができる。
【0097】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、ノズル支持アーム82は、ノズル82aに流体を送るための内部配管82bを有しており、アーム洗浄部88において、ノズル支持アーム82の移動方向における収容部分88aよりも後方位置に、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留した液体を排出するための排液部分88eが設けられている。そして、ノズル82aが排液部分88eの真上に位置するようノズル支持アーム82が移動することにより、ノズル支持アーム82の内部配管82bから排出された液体がノズル82aから排液部分88eに送られるようになっている。このことにより、ウエハWの液処理が終了した後、ノズル支持アーム82の内部配管82bに不要な液体が残留してしまった場合でも、このノズル支持アーム82に設けられたノズル82aを用いて次の液処理を行う際に、内部配管82bに残留した液体を予めこの内部配管82bから排出することができるようになる。とりわけ、ウエハWに高温の薬液等をノズル82aから供給するときには、ノズル支持アーム82の内部配管82bに残留している液体は冷めている場合が多いため、この残留している冷めた液体を排液部分88eにより予め内部配管82bから排出することが望ましい。
【0098】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、アーム洗浄部88はカップ外周筒50の外側に設けられている。このことにより、カップ外周筒50内の気流がアーム洗浄部88により乱れてしまうことを防止することができる。
【0099】
なお、本実施の形態による液処理装置は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、処理室20内に進出したノズル支持アーム82のノズル82aおよび処理液供給管28によりウエハWの上面および下面の両方に処理液を供給する必要はなく、ノズル支持アーム82のノズル82aによりウエハWの上面のみに処理液を供給するようになっていてもよい。
【0100】
また、一本のノズル支持アーム82に対して複数のノズル82aが設けられるようになっていてもよい。
【0101】
次に、図11を参照して、前述したアーム洗浄部88(図10参照)に代えて用いることができるアーム洗浄部120について説明する。アーム洗浄部120は、激しい汚染環境、例えば硫酸と過酸化水素水とを混合して得た高温のSPM(Sulfuric Acid Hydrogen Peroxide Mixture)液をレジスト剥離のためにウエハに供給するSPM処理等の薬液処理の行われた処理室から退避してきた後に、汚染されたノズル支持アーム82を洗浄するために特に適している。但し、アーム洗浄部120により洗浄されるノズル支持アーム82は、SPM液を吐出するためのノズル82aを有するノズル支持アーム82に限らず、別のノズル支持アーム82、例えばSPM処理直後のSPM雰囲気中でリンス液を吐出するためのノズル82aを有するノズル支持アーム82であってもよい。図11(a)は、図10左側に示されたアーム洗浄部88をアーム洗浄部120で置き換えた場合の、アーム洗浄部120近傍を拡大して示した軸方向断面図であり、図11(b)は、図11(a)中のB−B線に沿った断面図である。図11(a)には、ノズル支持アーム82の先端部のみが示されているが、ノズル支持アーム82およびこれに付随する構成部品(アーム支持部84、アーム駆動機構85、渦巻き形状配管83p〜83u)の構成は図10に示したものと同じでよい。図11において、図10に示した構成部品と同一部品については同一符号を付して、重複説明は省略する。
【0102】
アーム洗浄部120は、洗浄ボックス130と、乾燥ブロック140とを有している。洗浄ボックス130は、内部に洗浄空間を形成する天板132a、左右の側板132bおよび底板132cを有している。洗浄ボックス130の両側板132bの内面の上部に第1洗浄液ノズル133A(133)が設けられており、また、底部板132cの上面に第2洗浄液ノズル133B(133)が設けられている。なお、第1、第2洗浄液ノズル133A、133Bは同じ構成を有しており、両者を区別する必要が無い場合には、以下、単に「洗浄液ノズル133」とも記す。各洗浄液ノズル133の内部には、洗浄液供給路133aが洗浄ボックス130の長手方向(ノズル支持アーム82の長手方向と同じ)に沿って延びている。各洗浄液ノズル133のノズル支持アーム82を向いた面には、洗浄ボックス130の長手方向に沿って間隔を空けて配置された複数の洗浄液吐出口(ノズル孔)134が設けられている。洗浄液吐出口134は洗浄液供給路133aと連通している。各洗浄液ノズル133(133A,133B)の洗浄液供給路133aには、洗浄液供給源135からノズルアーム洗浄用の洗浄液としてDIW(純水)が供給され、これにより、矢印134a,134bで示すように複数の洗浄液吐出口134からノズル支持アーム82に向けて洗浄液が噴射されるようになっている。第1洗浄液ノズル133Aからは、ノズル支持アーム82の上部に向けて洗浄液が噴射され、第2洗浄液ノズル133Bからは、ノズル支持アーム82の下部に向けて洗浄液が噴射される。
【0103】
底板132cには1つまたは複数のドレン孔131が形成されており、洗浄液吐出口134から噴射された洗浄液によりノズル支持アーム82から洗い流された薬液及び反応生成物がドレン孔131を介して洗浄空間(天板132a、側板132bおよび底板132cにより囲まれた空間)から排出されるようになっている。ドレン孔131は適当な排液管を介して工場廃液系に接続されている。ドレン孔131への洗浄液の排出をスムーズに行うため、底板132cにドレン孔131に近づくに従って低くなるような傾斜を設けることが好ましい。洗浄ボックス130のカップ外周筒50から遠い側の端部には、後板136が設けられている。後板136の中央部には、ノズル支持アーム82を通すことが可能なサイズの穴が形成されている。この後板136により、洗浄空間内の液が後方に飛散することが防止または抑制される。
【0104】
なお、洗浄効率の向上およびクロスコンタミネーション防止の観点から、洗浄ボックス130は、洗浄中にノズル支持アーム82の洗浄対象部分(すなわち薬液処理時に薬液を浴びるカップ外周筒50内に浸入する部分およびその近傍)の全体を同時に洗浄ボックス130内に収容できる程度の長さを有している。
【0105】
乾燥ブロック140(ガス噴射部分)は、洗浄ボックス130の先端側に連結されている。乾燥ブロック140の中心には、ノズル支持アーム82の外径よりもやや大きい内径の貫通穴が形成されている。この貫通穴の内表面には、ノズル支持アーム82の外周面に乾燥用ガス、例えば清浄空気、N2ガスなどを噴射するための複数(例えば6〜12個)のガス噴射口142が、円周方向に間隔を空けて形成されている。乾燥ブロック140の内部には、円環状のガス通路143が形成されており、このガス通路143に各ガス噴射口142が連通している。ガス通路143には乾燥用ガス供給源144が接続されており、乾燥用ガス供給源144から乾燥用ガス(例えばN2ガス、ドライエア)を供給することにより、ガス噴射口142からノズル支持アーム82の外周面に乾燥用ガスを吹き付けて、ノズル支持アーム82を乾燥させることができるようになっている。なお、ノズル支持アーム82の外周面に吹き付けた乾燥用ガスは、主に洗浄ボックス130の方に流れることが望ましい。このため、図11(a)に示したようにガス噴射口142を洗浄ボックス130に向けて傾斜させることが好ましい。あるいは、ノズル支持アーム82の外周面と、ノズル支持アーム82が通される乾燥ブロック140の貫通孔の内表面との間の間隔を、カップ外周筒50側で狭くすることも好ましい。
【0106】
アーム洗浄部120の動作について説明する。ノズル支持アーム82が開口50mを通ってカップ外周筒50内に進入し、ノズル82aからウエハに所定時間SPM液を供給してレジスト剥離のためのSPM処理を行う。なお、各々に図11に示すアーム洗浄部120が付設された2つのノズル支持アーム82を同時にカップ外周筒50内に進入させて、一方のノズル支持アーム82のノズル82aから硫酸を、他方のノズル支持アーム82のノズル82aから過酸化水素水をウエハに供給することも考えられる。SPM処理において、気化または霧化した高温のSPM液および反応生成物(これらはヒューム(fume)と呼ばれる)がノズル支持アーム82に付着する。SPM処理が終了したら、ノズル支持アーム82はカップ外周筒50の外側に退出し、別のノズル支持アーム(図7などを参照)がカップ外周筒50内に進入し、次の液処理(リンス処理、他の薬液処理)がウエハに施される。カップ外周筒50の外側に退出したノズル支持アーム82は、次のウエハを処理するまで待機する。待機中に、ノズル支持アーム82に洗浄処理が施される。
【0107】
ノズル支持アーム82をカップ外周筒50の外側に退出させる際、まず、洗浄液供給源135から洗浄液(DIW)が供給されて洗浄液吐出口134から矢印134a,134bで示すようにノズル支持アーム82の上部及び下部に向けてDIWが噴射され、この状態で、ノズル支持アーム82を図中右側に向けてノズル支持アーム82の先端82wが完全に洗浄ボックス130内に入るまで後退させて、その位置でノズル支持アーム82を停止させ、ノズル支持アーム82の汚染された部分全体を十分に洗浄する。洗浄液の供給量は例えば2L/minとすることができる。洗浄中にノズル支持アーム82の洗浄対象部分は洗浄ボックス130内に収容されているので、洗浄液あるいは洗浄により除去された汚染物質が他のノズル支持アームおよびその駆動部に飛散してこれらを汚染することが防止される。また、SPM処理後にカップ外周筒50から退出したノズル支持アーム82からは、汚染物質の蒸気が立ち上っているが、内部にDIWが噴射された洗浄ボックス130内へとノズル支持アーム82を引き抜いていくことにより、汚染物質の蒸気によりアーム待機部80が汚染されることも防止される。洗浄が終了し、ノズル支持アーム82を再びカップ外周筒50内に進入させる際には、乾燥用ガス供給源144から乾燥用ガスを供給してガス噴射口142から乾燥用ガスをノズル支持アーム82の表面に吹きつけながらノズル支持アーム82をカップ外周筒50側に移動させてゆくことにより、ノズル支持アーム82の外周面上に残存している洗浄液は洗浄ボックス130内に向けて吹き飛ばされ、ノズル支持アーム82のうちの少なくともカップ外周筒50内に進入する部分からは、洗浄液が除去される。なお、洗浄終了後、ノズル支持アーム82を再びカップ外周筒50内に進入させるまでの間、ノズル支持アーム82を僅かに前進させ(図11(a)に示す位置まで)、ノズル支持アーム82の先端82wがカップ外周筒50の開口50mを塞ぐような位置に位置させておくことも、カップ外周筒50内の雰囲気がアーム待機部80内に浸入することを防止する意味において好ましい。
【0108】
アーム洗浄部120の構成は、図11に示したものに限定されるものではない。例えば、洗浄液ノズル133の位置は適宜変更することができる。具体的に例えば、洗浄液ノズル133を洗浄ボックス130の天板132aに設けて、その洗浄液ノズル133からノズル支持アーム82の上部に洗浄液を噴射してもよい。また、ノズル支持アーム82の斜め下方に(例えば図11(b)における左右対称位置)2つの洗浄液ノズル133を設けて、これらの洗浄液ノズル133からノズル支持アーム82の下部に洗浄液を噴射してもよい。
【0109】
また、洗浄中に、回転機構86(図8を参照)を用いて、ノズル支持アーム82を適宜回転させてもよい。これによれば、洗浄の均一性をより向上させることができる。
【0110】
複数の洗浄液ノズル133の少なくとも1つを、図12に示すような2流体ノズル133’として構成してもよい。以下に、2流体ノズル133’について説明するが、図12において、図11の洗浄液ノズル133の構成要素と類似の構成要素については、参照符号にダッシュを付けてある。図12に示す2流体ノズル133’内には、洗浄液供給路133a’と平行にガス供給路136が延びている。洗浄液供給路133a’と洗浄液吐出口134’とを接続する洗浄液流路137に、洗浄液吐出口134’の近傍位置でガス流路138が接続されている。洗浄液流路137を流れる洗浄液(ここではDIW)に霧化用ガス(ここではN2ガス)が洗浄液吐出口134’の直前で混合され、洗浄液はミスト化(霧化)された状態で洗浄液吐出口134’から噴射され、衝突のエネルギーによりノズル支持アーム82を効率良く洗浄する。なお、特にノズル支持アーム82の下部の方が激しく汚染されるため、2流体ノズル133’は図11の第2洗浄液ノズル133Bの位置に設けることが好ましい。
【0111】
図10に示したアーム洗浄部88は、図12に示したアーム洗浄部120の乾燥ブロック140を組み込むことにより、図13に示すように改変した構成とすることができる。図13に示すアーム洗浄部88’は、吸引機構88dと排液部分88eとの間に、図12に示した乾燥ブロック140が設けられている。乾燥ブロック140に設けられるガス噴射口142は、吸引機構88dに向けて傾斜している。その他の構成は、図10と同じである。図13において、図10に示す構成要素と同じ構成要素には同一符号を付している。図13に示す構成においては、ノズル支持アーム82を後退させながら収容部分88aに収容された洗浄液によりノズル支持アーム82を洗浄するときに、乾燥ブロック140のガス噴射口142から噴射されるガスによってノズル支持アーム82の表面に残存している洗浄液が吸引機構88dに向けて吹き飛ばされる。これにより、ノズル支持アーム82の表面を確実に乾燥させることができ、かつ、洗浄液が吸引機構88dによって確実に回収され、アーム待機部80内に洗浄液が垂れ落ちることが防止できる。
【符号の説明】
【0112】
10 液処理装置
20 処理室
21 基板保持部
40、42、43、44、45 カップ
82 ノズル支持アーム
82a ノズル
88、88’、120アーム洗浄部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部および当該基板保持部の周囲に配設されるカップが内部に設けられた処理室と、
前記基板保持部に保持された基板に対して流体を供給するためのノズルと、
前記ノズルを支持するノズル支持アームと、
前記ノズル支持アームの洗浄を行うためのアーム洗浄部と、
を備えたことを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
前記アーム洗浄部は、前記ノズル支持アームが移動する際に当該ノズル支持アームの洗浄を行うようになっていることを特徴とする請求項1記載の液処理装置。
【請求項3】
前記アーム洗浄部は、前記ノズル支持アームが退避位置にあるときに当該ノズル支持アームの洗浄を行うようになっていることを特徴とする請求項1記載の液処理装置。
【請求項4】
前記アーム洗浄部は、洗浄液が収容される収容部分を有し、
前記アーム洗浄部において、前記収容部分に収容された洗浄液に前記ノズル支持アームの一部が接触しながら当該ノズル支持アームが移動することにより前記ノズル支持アームの洗浄が行われるようになっていることを特徴とする請求項2記載の液処理装置。
【請求項5】
前記アーム洗浄部において、前記ノズル支持アームの移動方向における前記収容部分よりも前記処理室に近い前方位置および前記収容部分よりも前記処理室から遠い後方位置のうち少なくともいずれか一方の位置に吸引機構が設けられていることを特徴とする請求項4記載の液処理装置。
【請求項6】
前記アーム洗浄部は、前記ノズル支持アームの移動方向における前記収容部分よりも前記処理室から遠い後方位置に、前記ノズル支持アームに乾燥用ガスを吹き付ける乾燥ブロックを有していることを特徴とする、請求項4記載の液処理装置。
【請求項7】
前記ノズル支持アームは、前記ノズルに流体を送るための配管を内部に有し、
前記アーム洗浄部において、前記ノズル支持アームの移動方向における前記収容部分よりも前記処理室に近い前方位置および前記収容部分よりも前記処理室から遠い後方位置のうち少なくともいずれか一方の位置に、前記ノズル支持アーム内の前記配管に残留した液体を排出するための排液部分が設けられており、
前記ノズルが前記排液部分の真上に位置するよう前記ノズル支持アームが移動することにより、前記ノズル支持アーム内の前記配管に残留した液体が前記ノズルから前記排液部分に送られるようになっていることを特徴とする請求項4または5記載の液処理装置。
【請求項8】
前記処理室に隣接して設けられ、当該処理室から退避した前記ノズル支持アームが待機するためのアーム待機部を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項9】
前記アーム洗浄部は、前記処理室における前記カップと前記アーム待機部との間の領域または前記アーム待機部に位置固定で設けられていることを特徴とする請求項8記載の液処理装置。
【請求項10】
前記処理室と前記アーム待機部との間には鉛直方向に延びる壁が設けられており、
前記壁には、前記ノズル支持アームが通過可能な開口が設けられており、
前記壁に前記アーム洗浄部が取り付けられていることを特徴とする請求項8または9記載の液処理装置。
【請求項11】
前記処理室内において前記カップの周囲に配設され、上方位置と下方位置との間で昇降可能となっており、前記ノズル支持アームが通過可能な開口が設けられた円筒状のカップ外周筒を更に備え、
前記アーム洗浄部は前記カップ外周筒の外側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項12】
前記ノズル支持アームは、その長手方向に進退して、前記ノズルが前記基板保持部により保持された基板の上方に位置する進出位置と、当該進出位置から後退した退避位置をとることができるように設けられており、
前記アーム洗浄部は、洗浄ボックスと、乾燥ブロックとを有しており、
前記洗浄ボックスは、前記退避位置に位置する前記ノズル支持アームの外周を包囲するように構成され、
前記洗浄ボックスに、前記洗浄ボックス内に位置する前記ノズル支持アームに向けて洗浄液を噴射する少なくとも1つの洗浄液ノズルが設けられており、
前記乾燥ブロックは、前記洗浄ボックスに隣接して、前記ノズル支持アームの進退方向に関して前記洗浄ボックスよりも前方に設けられており、
前記乾燥ブロックは、前記ノズル支持アームの外周面に向けて乾燥用ガスを噴射するガス噴射孔を有しており、前記ノズル支持アームを前記退避位置から前記進出位置に向けて前方に移動させながら前記ガス噴射孔から乾燥用ガスを前記ノズル支持アームに噴射することにより、前記ノズル支持アームを乾燥させることができるように構成されている
ことを特徴とする請求項3記載の液処理装置。
【請求項13】
前記乾燥ブロックは、前記ガス噴射孔から噴射された乾燥用ガスが前記洗浄ボックス側に向けて流れるように構成されている、請求項12記載の液処理装置。
【請求項14】
前記洗浄ボックス内に、前記ノズル支持アームの上部に向けて洗浄液を噴射する第1の洗浄液ノズルと、前記ノズル支持アームの下部に向けて洗浄液を噴射する第2の洗浄液ノズルとが設けられている、請求項12または13記載の液処理装置。
【請求項15】
処理室の内部に設けられた基板保持部により基板を保持させる工程と、
ノズルを支持するノズル支持アームを前記処理室内に進出させる工程と、
前記処理室内に進出したノズル支持アームのノズルにより、前記基板保持部により保持された基板に流体を供給する工程と、
アーム洗浄部により、前記ノズル支持アームが移動する際に当該ノズル支持アームの洗浄を行う工程と、
を備えたことを特徴とする液処理方法。
【請求項16】
処理室の内部に設けられた基板保持部により基板を保持させる工程と、
ノズルを支持するノズル支持アームを前記処理室内に進出させる工程と、
前記処理室内に進出したノズル支持アームのノズルにより、前記基板保持部により保持された基板に流体を供給する工程と、
アーム洗浄部により、前記ノズル支持アームが退避位置にあるときに当該ノズル支持アームの洗浄を行う工程と、
を備えたことを特徴とする液処理方法。
【請求項1】
基板を保持する基板保持部および当該基板保持部の周囲に配設されるカップが内部に設けられた処理室と、
前記基板保持部に保持された基板に対して流体を供給するためのノズルと、
前記ノズルを支持するノズル支持アームと、
前記ノズル支持アームの洗浄を行うためのアーム洗浄部と、
を備えたことを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
前記アーム洗浄部は、前記ノズル支持アームが移動する際に当該ノズル支持アームの洗浄を行うようになっていることを特徴とする請求項1記載の液処理装置。
【請求項3】
前記アーム洗浄部は、前記ノズル支持アームが退避位置にあるときに当該ノズル支持アームの洗浄を行うようになっていることを特徴とする請求項1記載の液処理装置。
【請求項4】
前記アーム洗浄部は、洗浄液が収容される収容部分を有し、
前記アーム洗浄部において、前記収容部分に収容された洗浄液に前記ノズル支持アームの一部が接触しながら当該ノズル支持アームが移動することにより前記ノズル支持アームの洗浄が行われるようになっていることを特徴とする請求項2記載の液処理装置。
【請求項5】
前記アーム洗浄部において、前記ノズル支持アームの移動方向における前記収容部分よりも前記処理室に近い前方位置および前記収容部分よりも前記処理室から遠い後方位置のうち少なくともいずれか一方の位置に吸引機構が設けられていることを特徴とする請求項4記載の液処理装置。
【請求項6】
前記アーム洗浄部は、前記ノズル支持アームの移動方向における前記収容部分よりも前記処理室から遠い後方位置に、前記ノズル支持アームに乾燥用ガスを吹き付ける乾燥ブロックを有していることを特徴とする、請求項4記載の液処理装置。
【請求項7】
前記ノズル支持アームは、前記ノズルに流体を送るための配管を内部に有し、
前記アーム洗浄部において、前記ノズル支持アームの移動方向における前記収容部分よりも前記処理室に近い前方位置および前記収容部分よりも前記処理室から遠い後方位置のうち少なくともいずれか一方の位置に、前記ノズル支持アーム内の前記配管に残留した液体を排出するための排液部分が設けられており、
前記ノズルが前記排液部分の真上に位置するよう前記ノズル支持アームが移動することにより、前記ノズル支持アーム内の前記配管に残留した液体が前記ノズルから前記排液部分に送られるようになっていることを特徴とする請求項4または5記載の液処理装置。
【請求項8】
前記処理室に隣接して設けられ、当該処理室から退避した前記ノズル支持アームが待機するためのアーム待機部を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項9】
前記アーム洗浄部は、前記処理室における前記カップと前記アーム待機部との間の領域または前記アーム待機部に位置固定で設けられていることを特徴とする請求項8記載の液処理装置。
【請求項10】
前記処理室と前記アーム待機部との間には鉛直方向に延びる壁が設けられており、
前記壁には、前記ノズル支持アームが通過可能な開口が設けられており、
前記壁に前記アーム洗浄部が取り付けられていることを特徴とする請求項8または9記載の液処理装置。
【請求項11】
前記処理室内において前記カップの周囲に配設され、上方位置と下方位置との間で昇降可能となっており、前記ノズル支持アームが通過可能な開口が設けられた円筒状のカップ外周筒を更に備え、
前記アーム洗浄部は前記カップ外周筒の外側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項12】
前記ノズル支持アームは、その長手方向に進退して、前記ノズルが前記基板保持部により保持された基板の上方に位置する進出位置と、当該進出位置から後退した退避位置をとることができるように設けられており、
前記アーム洗浄部は、洗浄ボックスと、乾燥ブロックとを有しており、
前記洗浄ボックスは、前記退避位置に位置する前記ノズル支持アームの外周を包囲するように構成され、
前記洗浄ボックスに、前記洗浄ボックス内に位置する前記ノズル支持アームに向けて洗浄液を噴射する少なくとも1つの洗浄液ノズルが設けられており、
前記乾燥ブロックは、前記洗浄ボックスに隣接して、前記ノズル支持アームの進退方向に関して前記洗浄ボックスよりも前方に設けられており、
前記乾燥ブロックは、前記ノズル支持アームの外周面に向けて乾燥用ガスを噴射するガス噴射孔を有しており、前記ノズル支持アームを前記退避位置から前記進出位置に向けて前方に移動させながら前記ガス噴射孔から乾燥用ガスを前記ノズル支持アームに噴射することにより、前記ノズル支持アームを乾燥させることができるように構成されている
ことを特徴とする請求項3記載の液処理装置。
【請求項13】
前記乾燥ブロックは、前記ガス噴射孔から噴射された乾燥用ガスが前記洗浄ボックス側に向けて流れるように構成されている、請求項12記載の液処理装置。
【請求項14】
前記洗浄ボックス内に、前記ノズル支持アームの上部に向けて洗浄液を噴射する第1の洗浄液ノズルと、前記ノズル支持アームの下部に向けて洗浄液を噴射する第2の洗浄液ノズルとが設けられている、請求項12または13記載の液処理装置。
【請求項15】
処理室の内部に設けられた基板保持部により基板を保持させる工程と、
ノズルを支持するノズル支持アームを前記処理室内に進出させる工程と、
前記処理室内に進出したノズル支持アームのノズルにより、前記基板保持部により保持された基板に流体を供給する工程と、
アーム洗浄部により、前記ノズル支持アームが移動する際に当該ノズル支持アームの洗浄を行う工程と、
を備えたことを特徴とする液処理方法。
【請求項16】
処理室の内部に設けられた基板保持部により基板を保持させる工程と、
ノズルを支持するノズル支持アームを前記処理室内に進出させる工程と、
前記処理室内に進出したノズル支持アームのノズルにより、前記基板保持部により保持された基板に流体を供給する工程と、
アーム洗浄部により、前記ノズル支持アームが退避位置にあるときに当該ノズル支持アームの洗浄を行う工程と、
を備えたことを特徴とする液処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−164957(P2012−164957A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229596(P2011−229596)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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