説明

液晶表示パネル及び液晶表示装置

【課題】検知すべき対象物の像を正確に検知する。
【解決手段】液晶表示パネル60の液晶パネル20には、液晶パネル20に入射する光の強度を検知し、当該検知によって、ペン70の像を検知する複数の光センサ素子30が配されており、光センサ素子30の光の入射面側であって、液晶パネル20の表面に、光の反射率を変化させるPNLCパネル50が配されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センシング機能を有する液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、指やペンなどで表示画面を表面を触れることにより、ユーザの入力操作を取得するタッチパネル機能付の表示装置が開発されている。そして、タッチパネル機能付の表示装置の一例として、画素内に光センサ素子を内蔵し、当該光センサ素子が、パネル表面に接触するユーザの指やペンなどの反射光を検出することにより、ユーザの入力を認識する光センサ素子内蔵液晶表示装置が開発されている。
【0003】
このような、フォトダイオードやフォトトランジスタなどからなる光センサ素子が画像表示領域内の画素毎に(あるいは複数の画素単位で)備えられた液晶表示装置としては、例えば、特許文献1に開示されているものが挙げられる。
【0004】
これについて、図5を用いて説明する。
【0005】
図5は、従来の光センサ内蔵型の液晶表示装置の概略構成を表す断面図である。
【0006】
図5に示すように、光センサ内蔵液晶表示装置300は、液晶パネル307と、液晶パネル307に光を発光するバックライト310とを備える。
【0007】
液晶パネル307は、画素駆動用のTFT素子が配されたTFT基板301と、TFT基板と対向配置されCF(カラーフィルタ)が配置されたCF基板302と、TFT基板301及びCF基板302に狭持される液晶層303とを備える。そして、TFT基板301及びCF基板302それぞれの外側表面(液晶層303が配されている側とは逆側の表面)には、それぞれ偏光板305、304が配されている。
【0008】
そして、TFT基板301の液晶層303が配されている側の表面には、受光する光の強度を検出する複数の光センサ素子305a、305b、305cが配されている。
【0009】
バックライト310から発光された光は、偏光板305方向から液晶パネル307を通過し、偏光板304を通って、液晶パネル307の外部に出射する。
【0010】
そして、ユーザが偏光板304の表面にペン320を近づけると、バックライト310から発光された光のうち、ペン320で反射された光は、ペン320の近傍に位置する光センサ素子305bに入射する。それ以外の光は、液晶パネル307を透過する。すなわち、ペン320により反射される光は、光センサ素子305a、305cには入射しない。
【0011】
このように、光センサ内蔵液晶表示装置300は、光センサ素子305a、305b、305cそれぞれに入射する光の強度差により、ペン320などの検出すべき対象物の像を検知し、センシングすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−18219号公報(2006年1月19日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、センサ素子内蔵液晶表示装置に対して指またはペンでタッチパネル入力を行う場合、指やペン先がパネル表面に接触した場合としていない場合との間で、液晶表示装置に内蔵された光センサ素子が受光する光量は大きく変化することはない。つまり、対象物の像を検知するための、複数の光センサ素子のそれぞれに入射する光の強度差が不十分である。
【0014】
そのため、指や入力ペンが表示パネルにタッチした場合と、タッチしていない場合との間の識別を明確に行うことが困難であるという問題が発生する。
【0015】
また、例えばペンなどのように、検知すべき対象物と、表示パネルとの接触面積が比較的小さい場合、上記対象物を明確に検知するための反射光の強度を十分得られず、対象物を明確に検出するための効果が不十分である。
【0016】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、検知対象物を明確に検知することができるタッチパネル機能を有する液晶表示装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る液晶パネルは、上記課題を解決するために、アクティブマトリクス基板と、当該アクティブマトリクス基板と対向配置される対向基板との間に液晶層が配置され、近傍に配置された対象物の像を検知することが可能な第1液晶パネルを備えた液晶表示パネルにおいて、上記第1液晶パネルには、上記第1液晶パネルに入射する光の強度を検知し、当該検知によって、上記対象物の像を検知する複数の光センサ素子が配されており、上記光センサ素子の光の入射面側であって、上記第1液晶パネルの表面に、光の透過率又は反射率を変化させる第2液晶パネルが配されていることを特徴とする。
【0018】
上記構成によると、例えばバックライトからの光や、周辺の外光などが、上記第1液晶パネルに入射すると、当該入射した光は、上記光センサ素子に入射する。そして、上記第1液晶パネルの近傍に対象物が配置されると、当該対象物の像によって上記光センサ素子に入射する光の強度が異なる。これにより、上記光センサ素子は、上記対象物の像を検知することが可能となる。
【0019】
さらに、上記光センサ素子の光の入射面側であって、上記第1液晶パネルの表面に、光の反射率を変化させる第2液晶パネルが配されている。言い換えると、第2液晶パネルは、光の透過率を変化させるとも表現できる。
【0020】
このため、上記第2液晶パネルのうち、上記光センサ素子が、上記対象物の像を検知すべき領域の反射率と、それ以外の領域の反射率とを変化させることにより、上記複数の光センサ素子に入射する光の強度のうち、上記対象物の像を検知するべき光の強度を変化させることができるので、上記像の検知精度を向上させることができる。
【0021】
このように、上記構成によると、検知すべき対象物の像を正確に検知することができる液晶表示パネルを提供できる。
【0022】
また、本発明の液晶表示パネルの上記第2液晶パネルは、上側基板及び当該上側基板と対向配置される下側基板と、上記上側基板及び下側基板に狭持される光散乱性液晶層と、を備えることが好ましい。
【0023】
ここで、光散乱性液晶とは、入射光を散乱させることにより、光を反射する機能を有するものであり、例えば、ポリマーネットワーク型液晶(PNLC;Polymer Network Liquid Crystal)や、ポリマー分散型液晶(PDLC;Polymer Dispersed Liquid Crystal)などを挙げることができる。
【0024】
PNLCは、液晶中に三次元の網目状の高分子ネットワークが形成された構造であり、液晶層が連続して形成されている。
【0025】
一方、PDLCは高分子中に、水滴状の液晶が分散している構造であり、液晶は高分子中に不連続な状態で存在する。
【0026】
上記光散乱性液晶は、通常の状態では、液晶分子の配向状態は不規則であり、入射する光を散乱する。そして、配向が不規則な液晶分子を制御することにより、第2液晶パネルにおける、光を散乱させる箇所と、光を透過させる箇所とを制御することができる。このため、上記光センサ素子が検出するべき対象物の像に対応する領域と、それ以外の領域とで、光センサ素子に入射させる光の強度を制御できるので、正確に像を検知できる液晶パネルを構成することができる。
【0027】
また、本発明の液晶表示パネルの上記光散乱性液晶層は、当該光散乱性液晶層に入射する光を反射させ、上記光散乱性液晶層に圧力が加わったとき、当該圧力が加わった領域の光の反射率を変化させることが好ましい。
【0028】
上記構成によると、上記光散乱性液晶層に光が入射すると、当該光散乱性液晶層に入射した光は散乱する。このため、上記光散乱性液晶層に入射した光は、当該光散乱性液晶層によって、反射されることになる。
【0029】
また、例えば、ユーザがペンなどで押下するなどして、上記光散乱性液晶層に圧力が加わったとき、上記光散乱性液晶層の圧力が加わった領域の厚さが薄くなる。すると、上記光散乱性液晶層の厚さが薄くなった領域は光の散乱性が低下する。すなわち、上記光散乱性液晶層の厚さが薄くなった領域は、光の反射率が変化する。
【0030】
つまり、上記圧力が加わった領域とは、上記光散乱性液晶層が外部から圧力を受けることにより、上記光散乱性液晶層の厚みが薄くなった領域のことである。
【0031】
これにより、上記光散乱性液晶層の厚さが薄い領域と、以外の領域とで、上記光散乱性液晶層で反射する光の強度を変化させることができる。このため、上記光散乱性液晶層に圧力が加わった領域に応じて、上記複数の光センサ素子それぞれに入射する光の強度を制御できるので、上記光センサ素子は、確実に、検知すべき対象物の像を検知することができる。
【0032】
また、本発明の液晶表示パネルの上記第2液晶パネルは、上記光散乱性液晶層に電圧を印加する電極を有し、上記光散乱性液晶層は、当該光散乱性液晶層に入射する光を透過させ、上記光散乱性液晶層に圧力が加わったとき、当該圧力が加わった領域の光の透過率を変化させることが好ましい。
【0033】
上記構成によると、上記光散乱性液晶層に電圧を印加することにより、上記光散乱性液晶層の液晶分子の配向方向を制御することができる。つまり、圧力が加えられていない状態で、上記光散乱性液晶層に入射する光を透過するように、上記光散乱性液晶層の液晶の配向方向を制御しておく。
【0034】
そして、例えば、ユーザがペンなどで押下するなどして、上記光散乱性液晶層に圧力が加わったとき、上記光散乱性液晶層の圧力が加わった領域の光散乱性液晶層の液晶の配向方向が乱れることになる。このため、上記光散乱性液晶層の圧力が加わった領域は光の散乱性が向上する。すなわち、上記光散乱性液晶層の圧力が加わった領域は光の透過率が変化する。
【0035】
これにより、上記光散乱性液晶層の圧力が加わった領域と、それ以外の領域とで、上記光散乱性液晶層が透過する光の強度を変化させることができる。このため、上記光散乱性液晶層に圧力が加わった領域に応じて、上記複数の光センサ素子それぞれに入射する光の強度を制御できるので、上記光センサ素子は、正確に、検知すべき対象物の像を検知することができる。
【0036】
また、本発明の液晶表示装置においては、上記液晶表示パネルの上記第1液晶パネルに光を照射するバックライトを備えることが好ましい。
【0037】
上記構成によると、上記光センサ素子に入射させるための光を上記バックライトから供給することができる。これにより、検知すべき対象物の像を正確に検知することができる液晶パネル及び液晶表示装置を提供できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の液晶表示パネルは、第1液晶パネルに入射する光の強度を検知し、当該検知によって、上記対象物の像を検知する複数の光センサ素子が配されており、上記光センサ素子の光の入射面側であって、上記第1液晶パネルの表面に、光の反射率を変化させる第2液晶パネルが配されている。
【0039】
このため、検知すべき対象物の像を正確に検知することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を表す断面図である。
【図2】図2(a)は、図1の液晶表示装置に対象物が非タッチ状態でのPNLCパネルを表す断面図であり、図2(b)は対象物がタッチした状態のPNLCパネルを表す断面図である。
【図3】図3は、第2の実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を表す断面図である。
【図4】図4(a)は、図3の液晶表示装置に対象物が非タッチ状態でのPNLCパネルを表す断面図であり、図4(b)は対象物がタッチした状態のPNLCパネルを表す断面図である。
【図5】従来の光センサ内蔵型の液晶表示装置の概略構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の一実施形態について図1〜図4に基づいて説明すると以下の通りである。
【0042】
本実施の形態に係る液晶表示装置は、画素に光センサが内蔵されることにより、タッチパネル機能を有するタッチパネル一体型液晶表示装置である。
【0043】
〔実施の形態1〕
図1、図2(a)(b)を用い、本発明に係る液晶表示装置の第1の実施形態について説明する。
【0044】
図1は、本発明の液晶表示装置100の概略構成を表す断面図である。
【0045】
図1に示すように、液晶表示装置100は、液晶表示パネル60と、液晶表示パネル60の背面側に配され、液晶表示パネル60に光を照射するバックライト10とを備えている。そして、液晶表示パネル60は、液晶パネル20(第1液晶パネル)と、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal;ポリマーネットワーク型液晶)パネル50(第2液晶パネル)と、偏光板40a、40bとを備えている。
【0046】
液晶パネル20は、多数の画素がマトリクス状に配列されたアクティブマトリクス基板21と、アクティブマトリクス基板21と対向配置される対向基板22との間に液晶層23が配置され、近傍に配置されたペン70(対象物)の像を検知することが可能なものである。なお、本実施の形態において、液晶パネル20の表示モードは特に限定されず、TNモード、IPSモード、VAモードなどのあらゆる表示モードを適用することができる。
【0047】
そして、液晶パネル20には、液晶パネル20に入射する光の強度を検知し、当該検知によって、ペン70の像を検知する複数の光センサ素子30が配されている。
【0048】
PNLCパネル50は、PNLCパネル50を透過する光の反射率(透過率)を変化させるものであり、光センサ素子30の光の入射面側であって、液晶パネル20の表面に配されている。
【0049】
なお、本実施の形態ではPNLCパネル50を用いて説明するが、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal;ポリマー分散型液晶)でも同様の効果を得ることができる。PNLCパネル50は、PNLCパネル50に入射する光を反射させ(図1の矢印A参照)、PNLCパネル50に圧力が加わったとき、当該圧力が加わった領域bの光の反射率を変化させることができる。これにより、図1の矢印Bに示すように、領域bに入射する光を透過させることができる。
【0050】
本実施の形態では、PNLCパネル50の厚さ(セル厚)は、約7μmまたは約28μm程度のものを用いる。なお、PNLCパネル50のセル厚はこれに限定されるものではない。
【0051】
また、PNLCパネル50の外側(液晶パネル20が配されている側とは逆側)には表側偏光板40aが設けられており、液晶パネル20の外側(PNLCパネル50が配されている側とは逆側)には裏側偏光板40bがそれぞれ設けられている。
【0052】
各偏光板40aおよび40bは、偏光子としての役割を果たす。例えば、液晶層に封入されている液晶材料が垂直配向型である場合、表側偏光板40aの偏光方向と裏側偏光板40bの偏光方向とを、互いにクロスニコルの関係になるように配置することで、ノーマリーブラックモードの液晶表示装置を実現することができる。
【0053】
また、表側偏光板として、偏光板とPNLCパネルとが一体形成されたものを用いてもよい。これにより、偏光板40aを液晶パネル20に配する工程で、偏光板とPNLCパネルを液晶パネル20に配することができる。このため、偏光板を液晶パネルに配する工程を変更する必要がない。
【0054】
そして、偏光板40aの表面がタッチ面100aであり、液晶表示装置100は、例えばペン70など、タッチ面100aにタッチした対称物の像を検知することが可能である。
【0055】
アクティブマトリクス基板21には、各画素を駆動するためのスイッチング素子であるTFT(図示せず)、配向膜(図示せず)、光センサ素子30などが設けられている。また、対向基板22には、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの色を有する着色部と、ブラックマトリクスとから構成されているカラーフィルタ層22aが形成されている。さらに、対向基板22には、対向電極(図示せず)及び配向膜(図示せず)などが形成されている。
【0056】
上記のように、本実施の形態のタッチパネル一体型の液晶表示装置100は、各画素領域に光センサ素子30が設けられており、これによりタッチ面100aにタッチした対象物の像を検知する機能(センシング機能)が実現される。
【0057】
そして、液晶表示パネル60の表面であるタッチ面100aに指やペン70(対象物)が接触(タッチ)した場合に、その位置を光センサ素子30が読み取り(検知し)、装置に対して情報を入力したり、目的とする動作を実行させたりすることができる。このように、本実施の形態の液晶表示装置100では、光センサ素子30によってタッチパネル機能を実現することができる。
【0058】
光センサ素子30は、フォトダイオードまたはフォトトランジスタで形成されており、受光した光の強度に応じた電流を流すことによって、受光量を検知する。TFTおよび光センサ素子30は、アクティブマトリクス基板21上に、ほぼ同一のプロセスによってモノリシックに形成されたものであってもよい。つまり、光センサ素子30の一部の構成部材は、TFTの一部の構成部材と同時に形成されてもよい。このような光センサ素子の形成方法は、従来公知の光センサ素子内蔵型の液晶表示装置の製造方法に準じて行うことができる。
【0059】
なお、本発明では、必ずしも光センサ素子は一画素ごとに設けられていなくてもよく、例えば、R,G,Bのうちの何れか1つのカラーフィルタを有する画素ごとに光センサが備えられている構成であってもよい。
【0060】
また、液晶表示装置100は、図示しないが、液晶パネル20に対して表示駆動を行う液晶駆動回路(不図示)や光センサ素子30の駆動制御を行ったり、受光する光の強度に対応して受光信号を出力する複数の光センサ素子30からの受光信号を受け取ったりするセンサ制御部(不図示)などが設けられている。
【0061】
図2(a)(b)に、液晶表示装置100に備えられたPNLCパネル50の構成の一例を表す。
【0062】
図2(a)は、液晶表示装置100のタッチ面100aにペン70がタッチされていない状態での、PNLCパネル50の断面図を表し、図2(b)は液晶表示装置100のタッチ面100aに、ペン70がタッチした状態のPNLCパネル50の断面図を表す。
【0063】
図2(a)に示すように、PNLCパネル50は、下側基板51と、下側基板51と対向配置される上側基板53とに狭持されたPNLC層52を備える。下側基板51及び上側基板53は、例えばプラスチックなどからなる透明フィルムである。なお、下側基板51は、透明なガラスを用いてもよい。
【0064】
PNLC層52は、通常、液晶の配向方向が不均一に配列しており、PNLC層52に入射する光は散乱する。このため、図2(a)の矢印Aに示すように、バックライト10から発光された光は、PNLC層52により反射される。そして、PNLC層52により反射せれた光は、図1に示した光センサ素子30に入射する。
【0065】
次に、図2(b)に示すようには、ユーザが、タッチ面100aにペン70を接触させる。すると、図2(b)の領域bに示すように、PNLCパネル50のペン70がタッチすることにより、圧力が加わった領域bでは、PNLCパネル50のセル厚が薄くなる。
【0066】
このため、領域b内のPNLC層52内での散乱性が低くなるので、領域b内での光の反射率が低下する。すなわち、バックライト10から発光され、PNLC層52の領域bに入射した光は、光センサ素子30側へ反射する割合が低下し、図2(b)の矢印B1、B2に示すように、PNLC層52を透過する割合が多くなる。このため、複数の光センサ素子30が検知する光のうち、領域b以外で反射される光(図2(a)の矢印A)の強度と比較して、領域bで反射される光の強度を格段に小さくすることができる。
【0067】
このため、PNLC層52に圧力が加わった領域に則して、複数の光センサ素子30それぞれに入射する光の強度を制御できるので、光センサ素子30は、確実に、検知すべき対象物であるペン70などの像を検知することができる。
【0068】
また、PNLC層52は、光を散乱する液晶分子によって、PNLC層52を反射または透過する光の強度を制御することができるので、より正確に上記対象物の像の輪郭に合せて、光の反射率を変化させることができる。このため、正確に、像を検知することが可能な液晶表示装置100を構成することができる。
【0069】
さらに、上記では、バックライト10から発光される光の反射光を、複数の光センサ素子30が受光することにより、検知すべき対象物の像を検知するものとして説明した。
【0070】
しかし、光センサ素子30は、バックライト10から発光される光ではなく、液晶表示装置100の周囲の外光を受光することにより、対象物の像を検知してもよい。この場合、外光は、図1に示すタッチ面100a側から、領域bを通って液晶表示パネル60内に入射し、光センサ素子30で受光される。また、タッチ面100a側からPNLC50に入射する外光のうち、領域b以外の領域では、PNLCパネル50によって反射される。このため、領域b以外のでPNLCパネル50を透過する外光の光センサ素子30への入射を格段に抑制することができる。これにより、検知すべき対象物を確実に検知することができる。
【0071】
〔実施形態2〕
次に、図3、図4(a)(b)を用い、本発明に係る液晶表示装置の第2の実施形態について説明する。
【0072】
図3は、本発明に係る液晶表示装置の第2の実施形態を表す断面図である。
【0073】
実施形態1で説明した液晶表示装置100と、図3に示す液晶表示装置101とでは、PNLCパネル80が異なる点で相違する。同様の部材については、同様の部材番号を付し、説明を省略する。
【0074】
図3に示すようにPNLCパネル80は、PNLCパネル80内に電圧を印加するための引き出し電極85(電極)を備える。引き出し電極85は、例えばITOなどからなり、PNLCパネル80の外部に設けられる電圧源86と接続されている。そして、電圧源86から供給される電圧がPNLC層に印加されることにより、PNLCパネル80内のPNLC層の液晶が透過状態(透明状態)となる。
【0075】
このため、PNLCパネル80は、PNLCパネル80に入射する光を透過させる(図1の矢印C)。そして、ユーザが、例えばペン70などをタッチ面101aにタッチすることにより、PNLCパネル80に圧力が加わると、PNLCパネル80の圧力が加わった領域である領域dの透過率が変化する。これにより、バックライト10から発光された光は、領域dで反射する(図1の矢印D)。このため、光センサ素子30は、タッチ面101aにタッチしたペン70の像を正確に検知することが可能となる。
【0076】
これについて、図4(a)(b)を用いて詳細に説明する。
【0077】
図4(a)は、液晶表示装置101のタッチ面101aにペン70がタッチされていない状態での、PNLCパネル80の断面図を表し、図4(b)は液晶表示装置101のタッチ面101aに、ペン70がタッチした状態のPNLCパネル80の断面図を表す。
【0078】
図4(a)に示すように、PNLCパネル80は、下側基板81と、下側基板81と対向配置される上側基板83とに狭持されたPNLC層82を備える。下側基板81、上側基板83、及びPNLC層82それぞれは、実施の形態1の下側基板51、上側基板53、及びPNLC層52と同様のものを用いることができる。
【0079】
下側基板81と、PNLC層82との間、及びPNLC層82と上側基板83との間には、PNLC層82に電圧を印加するためのITO電極84が形成されている。また、ITO電極84は、PNLCパネル80の外部に引き出される引き出し電極85を通じて、PNLCパネル80の外部に形成される電圧源86と接続されている。
【0080】
そして、PNLCパネル80に、電圧源86から引き出し電極85を介して電圧を印加する。すると、PNLC層82に含まれており、不均一に配向している液晶分子の配向方向が均一となり、透明状態となる。これにより、図4(a)の矢印Cに示すように、バックライト10から発光される光は、PNLCパネル80を透過する。
【0081】
そして、図4(b)に示すように、例えば、ユーザがペン70などでタッチ面101aを押下することにより、PNLC層82に圧力が加わったとき、PNLC層82の圧力が加わった領域、及びその近傍の領域である領域d内の液晶の配向方向が乱れることになる。
【0082】
このため、PNLC層82の領域dでは光の散乱性が向上する。すなわち、PNLC層82の領域dでは光の透過率が低下(反射率が向上)する。
【0083】
このため、バックライト10から発光され、PNLC層82の領域dに入射した光は、光センサ素子30側へ反射する割合が向上し、図4(b)の矢印Dに示すように、PNLC層52を反射する割合が多くなる。また、図4(b)の矢印Cに示すように、バックライト10から発光され、PNLC層82の領域d以外に入射した光は、ほとんど光センサ素子30側へ反射せず、PNLCパネル80を透過する。
【0084】
これにより、複数の光センサ素子30が検知する光の強度のうち、領域d以外でPNLC層82によって反射される光の強度と比較して、領域dで反射される光の強度を格段に大きくすることができる。
【0085】
従って、PNLC層82に圧力が加わった領域に則して、複数の光センサ素子30それぞれに入射する光の強度を制御できるので、光センサ素子30は、確実に検知すべき対象物であるペン70などの像を検知することができる。
【0086】
上述したように、PNLCパネル80の構成によると、PNLCパネル50と比べて、透過する光の強度が大きくなる。このため、実施の形態1で説明した液晶表示装置100と比べて、液晶表示装置101では、輝度を向上させることができる。
【0087】
また、上記では、PNLCパネル80への圧力を加えることによって、PNLC層82の液晶の配向方向を変更することについて説明したが、PNLC層82の液晶の駆動を制御する駆動回路を設け、当該駆動回路によって、タッチ面101aにタッチした対象物の接触面積と対応する領域のPNLC層82の液晶の配向を制御することにより、透過率(反射率)を変更するようにしてもよい。
【0088】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0089】
タッチパネル機能を有する液晶表示装置で、対象物のセンシング機能を向上させることができるので、センシング機能を有する表示装置に広く適応できる。
【符号の説明】
【0090】
10 バックライト
20 液晶パネル(第1液晶パネル)
21 アクティブマトリクス基板
22 対向基板
23 液晶層
30 光センサ素子
40a 偏光板
40b 偏光板
50 PNLCパネル(第2液晶パネル)
60 液晶表示パネル
70 ペン(対象物)
80 PNLCパネル(第2液晶パネル)
84 ITO電極(電極)
85 引き出し電極(電極)
86 電圧源
100 液晶表示装置
101 液晶表示装置
101a タッチ面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブマトリクス基板と、当該アクティブマトリクス基板と対向配置される対向基板との間に液晶層が配置され、近傍に配置された対象物の像を検知することが可能な第1液晶パネルを備えた液晶表示パネルにおいて、
上記第1液晶パネルには、上記第1液晶パネルに入射する光の強度を検知し、当該検知によって、上記対象物の像を検知する複数の光センサ素子が配されており、
上記光センサ素子の光の入射面側であって、上記第1液晶パネルの表面に、光の反射率を変化させる第2液晶パネルが配されていることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項2】
上記第2液晶パネルは、互いに透明である上側基板及び当該上側基板と対向配置される下側基板と、上記上側基板及び下側基板に狭持される光散乱性液晶層と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項3】
上記光散乱性液晶層は、当該光散乱性液晶層に入射する光を反射させ、上記光散乱性液晶層に圧力が加わったとき、当該圧力が加わった領域の光の反射率を変化させることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示パネル。
【請求項4】
上記第2液晶パネルは、上記光散乱性液晶層に電圧を印加する電極を有し、
上記光散乱性液晶層は、当該光散乱性液晶層に入射する光を透過させ、上記光散乱性液晶層に圧力が加わったとき、当該圧力が加わった領域の光の透過率を変化させることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示パネル。
【請求項5】
上記第1液晶パネルに光を照射するバックライトを備えることを特徴する請求項1〜4の何れか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−170058(P2010−170058A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14730(P2009−14730)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】