説明

液晶表示装置

【課題】アレイ基板上に着色層を有するCOA型液晶表示装置において、着色層上に形成するITO画素電極のエッチングに際して、発生し易いITOのエッチング残渣を抑制する。
【解決手段】着色層24を有する表示領域25の周縁領域に着色層24の延長上に遮光層27を形成し、着色層24及び遮光層27を覆う保護膜28を形成する。このとき、遮光層27の周縁端部を覆う保護膜28の断面形状は、遮光層の端部から延在し、さらに周縁部に向かうテーパ形状とする。これにより、保護膜28上に形成する画素電極30は保護膜28の急峻性に起因するレジストのエッチング残渣及びITOのエッチング残渣の発生を抑制することとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示領域周縁に遮光層を有するCOA型の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光抜け防止等の観点から、アレイ基板上に着色層を形成する、COA型液晶表示装置の製造技術が注目を浴びているが、かかる構造の場合、表示領域周縁に遮光を形成する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−241219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、COA構造において一般的に用いられる着色層上に保護膜を形成し、遮光層端とその保護膜端が面一となる構造の場合、遮光層端部に画素電極形成用レジストが残存する可能性がある。
【0005】
当該レジストが残存した場合、その後のITOのエッチングの際に、レジストの下部にあるITOが除去されきらず、基板上にITOが残り、近傍に形成される引き出し電極との間でショートが発生する問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第一基板と、前記第一基板上に形成された複数の着色層と、前記複数の着色層を覆う保護膜と、前記保護膜上に形成され、表示領域を構成する画素電極と、前記表示領域の周縁に形成された遮光層と、前記第一基板に対向して配置された第二基板と、前記第一基板と前記第二基板に挟持された液晶層と、を備える液晶表示装置であって、前記保護膜は前記遮光層を覆い、かつ、前記遮光層の端部から延在したテーパー部を有することを特徴とする液晶表示装置を提供することで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、レジスト残りによるITO残渣の発生を抑えたCOA型構造の液晶表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による実施の形態の液晶表示装置を示す斜視図である。
【図2】本発明による実施の形態の液晶表示装置を示す拡大平面図である。
【図3】図1のA‐A線近傍の拡大平面図である。
【図4】図1のA‐A線に沿い切断した拡大断面図である。
【図5(a)】本発明による実施の形態の液晶表示装置の第一の製造プロセスを示す説明図である。
【図5(b)】本発明による実施の形態の液晶表示装置の第二の製造プロセスを示す説明図である。
【図5(c)】本発明による実施の形態の液晶表示装置の第三の製造プロセスを示す説明図である。
【図5(d)】本発明による実施の形態の液晶表示装置の第四の製造プロセスを示す説明図である。
【図5(e)】本発明による実施の形態の液晶表示装置の第五の製造プロセスを示す説明図である。
【図5(f)】本発明による実施の形態の液晶表示装置の第六の製造プロセスを示す説明図である。
【図5(g)】本発明による実施の形態の液晶表示装置の第七の製造プロセスを示す説明図である。
【図5(h)】本発明による実施の形態の液晶表示装置の第八の製造プロセスを示す説明図である。
【図6】本発明による他の実施の形態を示す(実施例2)を示す平面図拡大断面図である。
【図7】本発明による他の実施の形態を示す(実施例3)を示す平面図拡大断面図である。
【図8】一般的なCOA構造の端部近傍を示す拡大断面図である。
【図9】一般的なCOA構造の場合のITO残渣を説明する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による液晶表示装置の実施の形態を図面を参照し説明する。
【0010】
本発明による液晶表示装置の実施の形態を図1から図4を参照して説明する。また同一部分は同一符号で示す。
【0011】
図1は本発明による液晶表示装置(実施例1)を示す斜視図であり、図2は図1の拡大平面図である。図3は図1の液晶表示装置のA−A線近傍の拡大平面図であり、図4は図1のA−A線に沿い切断した拡大断面図である。
【0012】
液晶表示装置は表示領域25を有するアレイ基板110と、このアレイ基板110に所定の隙間を保持して対向配置された対向基板120と、表示領域25を駆動する図示しない駆動LSIとを備え、アレイ基板110下面には光源となるLED等からなるバックライトユニット13が配置されている。
【0013】
アレイ基板110はガラス等からなる第一基板10と、この基板10上に形成された多層薄膜と図示しない配向膜を備えている。基板10上には複数本の信号線12及び走査線11が多層薄膜を介して格子状に配置されている。また各走査線11に沿って補助容量線16が配列され、補助容量線16と信号線12がなすマス目上の画素開口にほぼ対応するようIndium-Tin-Oxide(以下ITOという)等の透明導電材料からなり表示領域25を構成する画素電極30が配設されている。
【0014】
走査線11及び信号線12の各交点部分には、画素電極30を制御するためのスイッチング素子が形成され、スイッチング素子上に多層薄膜の一部である有機絶縁膜からなる着色層24と透明有機絶縁膜からなる保護膜28が皮膜されている。本実施の形態では保護膜28の膜厚は1μm〜3μmである。
【0015】
着色層24はR、G、Bのうちのいずれかのレジストによって着色され、第一着色層24a、第二着色層24b、第三着色層24cを形成している。
【0016】
各着色層24a、24b、24c上の保護膜28の上には画素電極30が配されている。画素電極30は保護膜28と各着色層24a、24b、24cに形成されたスルーホール15を介し、スイッチング素子と電気的に接続される。
【0017】
ここで、スイッチング素子はゲート電極14b、ソース電極14a、ドレイン電極14cから構成される薄膜トランジスタ14(以下TFTという)を用いる。ゲート電極14bは走査線11と、またソース電極14aは信号線12と夫々電気的に接続される。
【0018】
走査線11と接続されたゲート電極14bに電圧が印加されると、ソース電極14aとドレイン電極14c間が導通し、TFT14が一定期間オン状態になる。この期間に画像表示に必要な信号が信号線12から供給され所定のタイミングで書き込まれる。
【0019】
ドレイン電極14cは画素電極30と保護膜28及び各着色層24a、24b、24cに形成されたスルーホール15を介し電気的に接続される。
【0020】
また、画素電極30はスルーホール15を介し、第一基板上10に形成された引き出し電極40とも電気的に接続されている。
【0021】
アレイ基板110と対向基板120間の距離は柱状スペーサ31によって保持される。
【0022】
対向基板120はガラス等からなる透明な第二基板21を有し、アレイ基板110と対向に配置されている。また対向基板120はITOからなる透明電極22と配向膜を備えている。
【0023】
アレイ基板110と対向基板120とは表示領域25の周縁である額縁領域においてシール材26を用いて接合され、アレイ基板110と対向基板120とシール材26とで囲まれた領域に液晶層70が形成されている。
【0024】
シール材26は液晶層70を封止し、シール材26内側で、かつ表示領域25周縁には黒色等のレジストにより遮光層27が形成される。なお、遮光層27の厚みは、例えば3μmから7μmである。
【0025】
アレイ基板110及び対向基板120の夫々液晶層70側と反対に位置する面には図示しない偏光板が夫々配設されている。
【0026】
以下、本実施の形態の特徴である保護膜28の配置及び遮光層27の構造について図3と図4を参照し、また保護膜28及び遮光層27の製造プロセスについて図5(a)から(h)を参照し詳細に説明する。なお同一部分は同一符号で示す。
【0027】
保護膜28は上記着色層24、遮光層27、及び遮光層27端部を覆うように形成されている。換言すると、保護膜28は、図3及び図4に示すよう、遮光層27の端部から延在したテーパー部44を有している。本実施の形態では、テーパー部44は遮光層27端部から5μmから10μm延在している。
【0028】
また、テーパー部44は後述する屈曲部45を有してもよい。
【0029】
以下、製造プロセスについて説明する。
【0030】
はじめに、図5(a)で示すように、第一基板10上に、引き出し電極40、有機絶縁膜からなる各着色層24、黒色系有機絶縁膜遮光層27、を順に形成する。
【0031】
次に、図5(b)に示すように、各着色層24及び遮光層27を覆うよう保護膜28用レジストを塗布し、その後、露光マスク41を用い露光を行う。本実施例では、保護膜28用レジストはポジ型レジストを用いている。また、露光マスク41は遮光部41b及びハーフトーン部41aを備えたものを使用している。これにより、保護膜28及びテーパー部44を形成し、また、ハーフトーン部41aにより弱められた露光によって、屈曲部45を形成する。
【0032】
その後、現像を行い、焼成し、図5(c)に示すような保護膜28、テーパー部44の形状を得る。
【0033】
次に、図5(d)に示すようITOの成膜を行う。
【0034】
その後、かかるITO上に、例えばポジレジストからなるITO形成用レジスト42を塗布する。そして、図5(e)に示すよう、露光し、現像し、焼成し、
図5(f)に示すよう、ITO形成用レジスト42を成形する。
【0035】
その後、図5(g)に示すよう、成膜したITOに対し、エッチングを行い、最後に、当該レジスト42を剥離除去し、図5(h)に示すような画素電極30を得る。
【0036】
ここで、従来構造の場合の問題点を図8及び図9を用い、説明する。
【0037】
図8は一般的なCOA構造の端部近傍を示す拡大断面図であり、図9は当該部分に発生する可能性のあるITOの残渣を説明する図である。
【0038】
図8のように、遮光層27及び保護膜28の端部が面一の場合、図9で示す箇所に残渣が生じる。これは、ITO形成プロセスの際、ITO形成レジストが残り(本実施例の図5(e)のプロセス時にあたる。)、その後のITOエッチングプロセスの際(本実施例の図5(g)にあたる。)、当該ITO形成レジスト直下のITOが残るためである。
【0039】
これに対し、本発明におけるテーパー部44及び屈曲部45は、遮光層27及び保護膜28の端部上の保護膜28及びテーパー部44によってなだらかな面を作ることになり、レジスト42の残渣を防ぐことができる。
【0040】
より詳しくは、テーパー部44及び屈曲部45により、遮光層27と保護膜28の膜厚を合わせた4μm〜10μmの高さの段差を分割し、図4のα周辺をなだらかな面とする。
【0041】
上記のように、本発明の構造を用いることにより、ITO残渣を抑制し、引き出し電極40との間でのショートを防止することができる。
【0042】
以下、他の実施の形態について説明する。
【0043】
図6は本発明による他の実施の形態(実施例2)を示す、拡大断面図である。実施例1と比較すると、実施例1と同様に、保護膜28は遮光層27端部を覆うよう形成されているが、図6のβに示すよう、テーパー部44は屈曲部45を有していない。
【0044】
なお、実施例1と同様に遮光層27と保護膜28の高さを緩和し、ITOの残渣発生を抑えることができる。
【0045】
図7は本発明による他の実施の形態(実施例3)を示す、拡大断面図である。実施例1と比較すると、図7のγに示すよう、保護膜28は遮光層27の端部を覆っていない。これにより、保護膜28と遮光層27の厚さを分割し、同様ITO残渣の発生を抑える。
【0046】
なお、保護膜28は遮光層27端部から5μmから10μm程度離間され形成されている場合、より有効的にITO残渣の発生を抑えることができる。
【0047】
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…第一基板
11…走査線
12…信号線
13…バックライト
14…スイッチング素子(薄膜トランジスタ)
15…スルーホール
16…補助容量線
21…第二基板
22…透明電極(ITO電極)
24…着色層
24a…第一着色層、24b…第二着色層、24c…第三着色層
25…表示領域
26…シール材
27…遮光層
28…保護膜
30…画素電極
31…柱状スペーサ
34…配向膜
40…引き出し電極
41…第一のマスク
41a…ハーフトーン部
41b…遮光部
42…ITO形成用レジスト
43…第二のマスク
43a…遮光部
44…テーパー部
45…屈曲部
70…液晶層
110…アレイ基板
120…対向基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と、
前記第一基板上に形成された複数の着色層と、
前記複数の着色層を覆う保護膜と、
前記保護膜上に形成され、表示領域を構成する画素電極と、
前記表示領域の周縁に形成された遮光層と、
前記第一基板に対向して配置された第二基板と、
前記第一基板と前記第二基板に挟持された液晶層と、を備える液晶表示装置であって、
前記保護膜は前記遮光層を覆い、かつ、前記遮光層の端部から延在したテーパー部を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記テーパー部は少なくとも1つの屈曲部を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記テーパー部は前記遮光層の端部から5μm〜10μm延在し形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
第一基板と、
前記第一基板上に形成された複数の着色層と、
前記複数の着色層を覆う保護膜と、
前記保護膜上に形成され、表示領域を構成する画素電極と、
前記表示領域の周縁に形成された遮光層と、
前記第一基板に対向して配置された第二基板と、
前記第一基板と前記第二基板に挟持された液晶層と、を備える液晶表示装置であって、
前記保護膜は前記遮光層の端部を覆うよう形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
第一基板と、
前記第一基板上に形成された複数の着色層と、
前記複数の着色層上に形成された保護膜と、
前記保護膜上に形成され、表示領域を構成する画素電極と、
前記表示領域の周縁に形成された遮光層と、
前記第一基板に対向して配置された第二基板と、
前記第一基板と前記第二基板に挟持された液晶層と、を備える液晶表示装置であって、
前記保護膜は前記遮光層の端部から離間して形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
前記保護膜は前記遮光層の端部から5μm〜10μm離間していることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図5(c)】
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【図5(d)】
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【図5(e)】
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【図5(f)】
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【図5(g)】
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【図5(h)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−221319(P2011−221319A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91038(P2010−91038)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】