液滴塗布方法と液滴塗布装置及び電気光学装置並びに電子機器
【課題】 高さ精度を確保でき、また微細径の柱状体が得られる液滴塗布方法を提供する。
【解決手段】 液滴Lを吐出して基板Pに塗布する。吐出した液滴L1に光エネルギを付与する工程と、光エネルギを付与した液滴L1上に次の液滴L2を積み重ねて塗布する工程とを繰り返して行う。
【解決手段】 液滴Lを吐出して基板Pに塗布する。吐出した液滴L1に光エネルギを付与する工程と、光エネルギを付与した液滴L1上に次の液滴L2を積み重ねて塗布する工程とを繰り返して行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴塗布方法と液滴塗布装置及び電気光学装置並びに電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子装置の製造過程に用いられる塗布技術として、液体吐出方式の利用が拡大する傾向にある。液体吐出方式による塗布技術は、一般に、基板と液体吐出ヘッドとを相対的に移動させながら、液体吐出ヘッドに設けられた複数のノズルから液状体を液滴として吐出し、その液滴を基板上に繰り返し付着させて塗布膜を形成するものであり、スピンコート方式などの従来の塗布技術に比べて、液状体の消費に無駄が少なく、任意のパターンをフォトリソグラフィーなどの手段を用いず直接塗布することが出来るといった利点を有する。
また、液体を吐出して基板に塗布する方法として、液体を柱状に吐出し、基板への付着位置の精度向上を図ることが行われている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平4−129746号公報
【特許文献2】特開平9−101411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
例えば、液晶表示装置におけるセルギャップを定めるためのギャップ材として上記の柱状体を用いることが考えられるが、この場合、柱状体の径が微細であり、また高さの精度も求められるが、上記の塗布方法では、単に液体を柱状に吐出して基板へ付着させるだけで、基板に柱状体を形成するものではなく、従って、上述したように柱状体に求められる微細径及び高さ精度を確保することが極めて困難である。
【0004】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、高さ精度を確保でき、また微細径の柱状体が得られる液滴塗布方法と液滴塗布装置及びこの塗布方法により製造された電気光学装置並びに電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の液滴塗布方法は、複数の液滴を吐出して基板に塗布する液滴塗布方法であって、塗布した液滴に光エネルギを付与する工程と、前記光エネルギを付与した液滴上に次の液滴を積み重ねて塗布する工程とを繰り返して行うことを特徴とするものである。
【0006】
従って、本発明の液滴塗布方法では、塗布した液滴に光エネルギを付与することにより、この液滴を濡れ拡がらせずに乾燥または焼成して定着させることができる。そして、定着させた液滴上に次の液滴を塗布し、同様に光エネルギを付与して定着させることで、複数の液滴を積み上げた柱状体を得ることができる。この柱状体は、液滴直径とほぼ同じ太さになるので、微細径の柱状体とすることが可能になるとともに、積み上げる塗布液滴数に応じて所望の高さ精度を確保することが可能になる。
【0007】
前記液滴を塗布してから前記光エネルギを付与するまでの時間は、吐出した前記液滴の表面エネルギに基づいて、より詳細には、前記液滴が前記着弾部位で前記表面エネルギに応じて濡れ拡がる前に前記光エネルギを付与できる時間に設定することが好適である。
この場合、直径が小さい間に液滴を定着させることになり、微細径を有する柱状体を容易に得ることが可能になる。
また、着弾部位が親液性を有する場合でも、直径が小さい間に液滴を定着させることになるため、着弾部位の表面エネルギに依存することなく微細径を有する柱状体を形成することが可能になり、特に表面エネルギが大きく親液性の着弾部位に対して液滴を塗布することにより、基板等と柱状体との密着性を高めることができる。
【0008】
また、本発明では、前記液滴の着弾部位の材質に応じて前記光エネルギの付与量を設定することが好適である。
この場合、例えば液滴の着弾部位が基板である場合と、液滴である場合とでは光に対する反射率が異なり、同じエネルギ量で光を照射しても液滴に付与される光エネルギの量が異なるため、着弾部位の材質に応じて光エネルギの付与量を設定することで、実際に液滴に付与されるエネルギ量を一定にすることが可能になる。
【0009】
また、本発明では、積み重ねた前記液滴の頂部位置を検出する工程と、検出した前記頂部位置に基づいて、前記光エネルギの付与位置を調整する工程とを有する手順を好適に採用可能である。
これにより、液滴が積み上げられて頂部位置が変化した場合でも、適切な位置で光エネルギを付与することが可能になり、十分な乾燥または焼成を行うことができる。
頂部位置を検出する方法としては、光検出器を設置する方法、反射光の拡がりを検出する方法、回折光の分布を検出する方法等を用いることができる。
さらに、液滴の吐出数と柱状体の高さとの相関関係を予め求めておき、吐出した液滴数に応じて光エネルギの付与位置を調整することも可能である。
【0010】
また、本発明では、前記液滴をそれぞれ吐出する複数のノズルと前記基板とを相対移動させながら前記液滴を塗布する工程を有し、前記ノズルの配列ピッチに応じて、前記基板の相対移動速度と、前記液滴の吐出周波数とを同期させる構成を好適に採用可能である。
これにより、本発明では、吐出した液滴がノズルの配列ピッチに応じて基板に積み重なることになり、柱状体を形成するために、基板(またはノズル)を停止させる必要がなくなり、基板(またはノズル)加速・減速に係る時間ロスをなくして生産性を向上させることが可能になる。
【0011】
また、前記液滴をそれぞれ吐出する複数のノズルと前記基板とを相対移動させながら前記液滴を塗布する場合には、前記光エネルギの照射分布を前記相対移動方向を長手方向とする長円形状とすることが好適である。
この構成では、次の着弾位置に基板(またはノズル)が相対移動する間に液滴を乾燥または焼成することが可能になる。
【0012】
液滴としては、光熱変換材料を含有することが望ましい。
この構成では、付与された光エネルギを効果的に熱エネルギに変換することが可能になり、効率的に液滴の乾燥または焼成を行うことができる。光熱変換材料としては公知のものを使用することができ、光を効率よく熱に変換できる材料であれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、その酸化物及び/又はその硫化物よりなる金属層や、カーボンブラック、黒鉛又は赤外線吸収色素等が添加された高分子よりなる有機層等が挙げられる。赤外線吸収色素としては、アントラキノン系、ジチオールニッケル錯体系、シアニン系、アゾコバルト錯体系、ジインモニウム系、スクワリリウム系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系等が挙げられる。また、エポキシ樹脂等の合成樹脂をバインダとし、そのバインダ樹脂に前記光熱変換材料を溶解又は分散してもよい。
【0013】
一方、本発明の電気光学装置は、一対の基板間に電気光学層を挟持してなり、柱状体を用いて製造される電気光学装置であって、上記の液滴塗布方法により前記柱状体を形成することを特徴としている。
従って、本発明では、微細径で所望の高さ精度を有する柱状体を有する電気光学装置を得ることができる。
【0014】
上記柱状体としては、前記基板に設けられ絶縁部を挟む第1導電部と第2導電部とを導通させる導通部を形成するためのマスク部と、前記一対の基板の間の隙間を形成するスペーサと、画素部の周囲を囲んで設けられた隔壁との少なくとも一つとすることができる。 これにより、本発明では、微細径で所望の高さ精度を有するマスク部、スペーサ、隔壁を形成することが可能になる。
【0015】
また、上記柱状体としては、一対の電極を有し、前記電極の一方に設けられ電子を放出する突起部とすることができる。
これにより、本発明では、微細径で所望の高さ精度を有する突起部を形成することが可能になる。
【0016】
そして、本発明の電子機器は、上記の電気光学装置を表示部として備えることを特徴としている。
これにより、本発明では、表示品質に優れた電子機器を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の液滴塗布方法と液滴塗布装置及び電気光学装置並びに電子機器の実施の形態を、図1ないし図11を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明に係る液滴塗布装置について説明する。
この液滴塗布装置としては、液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して基板に塗布する液滴吐出装置(インクジェット装置)が用いられる。
【0018】
図1は、液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。
液滴吐出装置(液滴塗布装置)IJは、液滴吐出ヘッド1と、X軸方向駆動軸4と、Y軸方向ガイド軸5と、制御装置CONTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ15とを備えている。
ステージ7は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0019】
液滴吐出ヘッド1は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド1の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルからは、ステージ7に支持されている基板Pに対して、上述した導電性微粒子を含むインクが吐出される。
【0020】
X軸方向駆動軸4には、X軸方向駆動モータ2が接続されている。X軸方向駆動モータ2はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸4を回転させる。X軸方向駆動軸4が回転すると、液滴吐出ヘッド1はX軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸5は、基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、Y軸方向駆動モータ3を備えている。Y軸方向駆動モータ3はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をY軸方向に移動する。
【0021】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド1に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ2に液滴吐出ヘッド1のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ3にステージ7のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものである。クリーニング機構8には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸5に沿って移動する。クリーニング機構8の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ15は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ15の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0022】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、Y軸方向を走査方向、Y軸方向と直交するX軸方向を非走査方向とする。したがって、液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルは、非走査方向であるX軸方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図1では、液滴吐出ヘッド1は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド1の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド1の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することが出来る。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節することが出来るようにしてもよい。
【0023】
液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進してノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散してノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出してノズルから吐出させるものである。
【0024】
図2は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。
図2において、液体材料(機能液)を収容する液体室21に隣接してピエゾ素子22が設置されている。液体室21には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系23を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子22は駆動回路24に接続されており、この駆動回路24を介してピエゾ素子22に電圧を印加し、ピエゾ素子22を変形させることにより、液体室21が変形し、ノズル25から液体材料が吐出される。この場合、印加電圧の値を所定の駆動波形で変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み速度が制御される。
なお、液滴吐出方式としては、液体材料を加熱し発生した泡(バブル)により液体材料を吐出させるバブル(サーマル)方式でも採用可能であるが、ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0025】
また、本実施の形態においては、図3に示すように、液滴吐出ヘッド1の走査方向一方側に位置して光検出器11が設けられ、液滴吐出ヘッド1の走査方向他方側に位置してレーザ光源12が複数のノズル毎にそれぞれ設けられている。光検出器11は、液滴吐出ヘッド1の直下の位置に検知光を照射し、その反射光を検出することにより積み上げられた(積み重なった)液滴の頂部位置を検出するものであり、検出結果は制御装置CONTに出力される。
【0026】
なお、液滴の頂部位置検出としては、反射光の広がりを調べる方法、回折光の分布を調べる方法等を用いてもよい。さらに、液滴の吐出数と、積み上げられた液滴の頂部位置との関係を予め求めておき、吐出した液滴数に応じて頂部位置を求めることも可能である。この場合、光検出器を省略することができる。
【0027】
レーザ光源12は、制御装置CONTの制御の下、液滴吐出ヘッド1の下方に向けて斜入射でレーザ光を照射するものであり、内部にはレーザ光を集光する光学素子(図示せず)が設けられている。制御装置CONTは、光学素子の位置を調整することにより、レーザ光の焦点位置、すなわちレーザ光による光エネルギ付与位置を調整することが可能な構成となっている。なお、本実施の形態では、微小径の液滴に対して効果的に光エネルギを付与するために、図4に示すように、ビーム中心の光強度が高くなるビームプロファイルとした。
【0028】
続いて、上記の液滴吐出装置IJを用いた液滴塗布方法について説明する。
ここでは、例えば光熱変換材料を含有するインクの液滴を吐出する。インクとしては、Ag水系分散インクやAg有機分散系インクを用いることができるが、Agナノ粒子分散系有機溶剤(有機溶剤;n−テトラデカン)の液滴を吐出する。また光熱変換材料としては、例えば、アルミニウム、その酸化物及び/又はその硫化物よりなる金属層や、カーボンブラック、黒鉛又は赤外線吸収色素等が添加された高分子よりなる有機層等が挙げられる。赤外線吸収色素としては、アントラキノン系、ジチオールニッケル錯体系、シアニン系、アゾコバルト錯体系、ジインモニウム系、スクワリリウム系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系等が挙げられる。また、エポキシ樹脂等の合成樹脂をバインダとし、そのバインダ樹脂に前記光熱変換材料を溶解又は分散してもよい。
【0029】
また、レーザ光としては、YAGレーザ(YAG基本波;波長1064nm)、YAGレーザ(YAG二倍波;波長532nm)、半導体レーザ(波長808nm)、He−Cdレーザ(波長442nm)、He−Cdレーザ(波長325nm)、YVO4レーザ(波長266nm)等を用いることができるが、ここではYAGレーザ(ビーム直径が約20μmのガウシアンビーム)を用いる。そして、基板Pに対しては、インクとの密着性を高めるために、紫外線照射処理やO2プラズマ処理等により、予め親液性(高表面エネルギ)を付与している。
なお、ここでは、形成すべき柱状体の位置に応じてノズル25が、図3の紙面と垂直な方向に複数配置されているものとする。
【0030】
まず、液滴吐出ヘッド1に対して柱状体を形成すべき位置に基板Pを移動させ、位置決めする。そして、ヘッド1のノズル25から一滴目の液滴Lを吐出して基板P上に塗布する。塗布した液滴L(L1とする)は、表面張力により一旦丸い状態となるが、基板Pの表面が親液化されているため、一定の時間、または、液滴の表面エネルギーに応じた時間(例えば約20マイクロ秒)が経過した後に基板Pの表面エネルギと液滴表面エネルギーに応じた接触角になるまで濡れ拡がる。この時間は既知であるため、制御装置CONTは、液滴L1が基板Pの表面で濡れ拡がる前にレーザ光源12からレーザ光(例えば1.0W/mm2を1ミリ秒)を照射させる。レーザ光の照射により光エネルギが付与された液滴L1は、乾燥または焼成する。この液滴L1に対するレーザ光の照射は、次(二滴目)の液滴が積み重ねられればよいため、必ずしも焼成する必要はなく、表面が乾く程度のエネルギでよい。
特に、液滴Lには光熱変換材料が含まれているため、付与されたエネルギが効率的に熱に変換されるため、効果的に液滴L1に熱を付与して乾燥または焼成させることができる。
【0031】
一滴目の液滴L1が定着したら、制御装置CONTはこの液滴L1上に液滴吐出ヘッド1から二滴目の液滴L2を吐出させ、液滴L2が液滴L1上に塗布された後に、直ちにレーザ光を照射させる。このとき、レーザ光を照射すべき位置(集光位置)は、液滴L1に対してレーザ照射するときよりも高い位置になっている。そのため、制御装置CONTは、光検出器11が検出した液滴L2の頂部位置に基づいてレーザ光源12の光学素子を移動させ、レーザ光の焦点位置(光エネルギの付与位置)を液滴L2の頂部に変更する。
【0032】
また、液滴L1は基板P上に塗布されていたが、液滴L2は液滴L1上に塗布されているため、レーザ照射点における反射率が異なる。そのため、液滴L2に対して液滴L1と同等の光エネルギを付与すると、液滴L2に加わる熱が大きくて蒸発してしまう可能性がある。そのため、制御装置CONTは、二滴目以降の液滴に対しては、一滴目の液滴L1よりも小さな光エネルギ(例えば0.5W/mm2を1ミリ秒)を付与するというように、液滴の着弾部位の材質に応じて光エネルギの付与量を設定する。
このように、液滴L2に光エネルギを付与して乾燥または焼成することで、液滴L1上に液滴L2を積み重ねた状態で塗布・定着させることができる。
そして、同様の手順で液滴L2上に液滴L3以降を塗布、乾燥または焼成を順次繰り返すことにより、基板P上に高さ数百ミクロン程度の柱状体Tを形成することができる。
【0033】
以上のように、本実施の形態では、塗布した液滴に光エネルギを付与して定着させる工程と、定着した液滴上に次の液滴を積み重ねて塗布する工程とを繰り返すことにより、高さ精度が確保された柱状体Tを得ることができる。また、柱状体Tの太さ(径)は、吐出する液滴量を高精度に管理できる液滴吐出方式の液滴径となるので、微細径の柱状体Tを容易に形成することが可能である。また、本実施の形態では、液滴Lを塗布してから光エネルギを付与するまでの時間は、液滴Lの着弾部位の表面エネルギに基づき、液滴Lが濡れ拡がる前に設定されているので、着弾部位が親液性であっても、微細径の柱状体Tを形成すことができる。そのため、基板Pに対して密着性が高い柱状体Tを形成することが可能になる。
【0034】
しかも、本実施の形態では、液滴Lの着弾部位の材質に応じて光エネルギの付与量を調整するので、塗布した液滴Lが蒸発してしまう等の不都合を生じさせず、所望の柱状体Tを安定して形成することができる。加えて、本実施の形態では、光検出器11の検出結果に応じてレーザ光の焦点位置を調整するので、塗布した液滴毎に効果的に光エネルギを付与することができ、迅速、且つ確実に柱状体Tを形成することができる。さらに、本実施の形態では、液滴Lに光熱変換材料を含有させているので、光エネルギを効果的に熱エネルギに変換することが可能になり、塗布した液滴を効率的に定着させることができる。
【0035】
(第2実施形態)
続いて、本発明に係る液滴塗布方法の第2実施形態について図5を参照して説明する。
上記第1実施形態では、液滴吐出ヘッド1(ノズル25)と基板Pとの相対移動を停止させた状態で液滴Lを塗布する構成としたが、本実施の形態では、液滴吐出ヘッド1(ノズル25)と基板Pとを相対移動(図5では基板Pを右方向に移動)させながら液滴を吐出する場合について説明する。
【0036】
本実施の形態では、ノズル25は上記相対移動方向にライン状に配列されており、ノズルの配列ピッチに応じて、基板Pの相対移動速度と、液滴の吐出周波数とを同期させる。より詳細には、配列ピッチをH、基板Pの相対移動速度をVP、液滴Lの吐出周波数をfとすると、以下の式(1)を満足する相対移動速度及び吐出周波数を採用する。
H=VP/f …(1)
式(1)を満足する条件で液滴を吐出することにより、基板P上にはノズル数の液滴が積み重ねられた柱状体Tが形成されることになる。
【0037】
また、本実施の形態では、既に積み上げられた液滴数がノズル毎に既知であるため、その液滴数に応じた高さにシフトした位置にレーザ光源12が配置されている。なお、レーザ光源12の高さを変えずに光学素子の焦点位置のみを変えてもよい。
【0038】
また、このレーザ光源12は、液滴の着弾位置(基板P上または先に塗布された液滴上)がビーム端にかかるように、上記相対移動方向を長手方向とする長円形状の照射分布を有している。従って、基板Pが移動して、塗布された液滴Lが次の着弾位置に到達する間に液滴Lを乾燥または焼成して定着させることができる。
本実施の形態では、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、柱状体Tを形成する毎に基板Pを停止させる必要がないので、基板Pの加速・減速の時間ロスを排除することができ、より効率的な生産を実現することができる。
なお、本実施の形態において、複数列に柱状体Tを形成する場合には、ノズル及びレーザ光源を紙面と直交する方向に複数並べればよい。
【0039】
また、上記第1、第2実施形態では、各ノズル毎にレーザ光源を配置したが、回折格子を使ってビームスポットのアレイを形成してもよいし、光ファイバを用いてレーザ光を分配する構成としてもよい。
【0040】
(第3実施形態)
続いて、上記液滴塗布方法により製造される液晶表示装置(電気光学装置)について説明する。
まず、液晶表示装置の概略構成につき、図6及び図7を用いて説明する。図6は液晶表示装置の分解斜視図であり、図7は図6のA−A線における側面断面図である。図7に示すように、液晶表示装置(電気光学装置)101は、下基板(対向基板)70および上基板(素子基板)80により液晶層(電気光学層)102を挟持して構成されている。この液晶層102にはネマチック液晶等が採用され、液晶表示装置101の動作モードとしてツイステッドネマチック(TN)モードが採用されている。なお上記以外の液晶材料を採用することも可能であり、また上記以外の動作モードを採用することも可能である。なお以下には、スイッチング素子としてTFD素子を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示装置を例にして説明するが、これ以外のアクティブマトリクス型の液晶表示装置やパッシブマトリクス型の液晶表示装置に本発明を適用することも可能である。
【0041】
図6に示すように、液晶表示装置101では、ガラス等の透明材料からなる下基板70および上基板80が対向配置されている。上基板80の内側には、複数の走査線81が形成されている。その走査線81の側方には、ITO等の透明導電性材料からなる複数の画素電極82が、マトリクス状に配置されている。この画素電極82は、TFD素子83を介して各走査線81に接続されている。このTFD素子83は、基板表面に形成されたTaを主成分とする第1導電膜と、その第1導電膜の表面に形成されたTa2O3を主成分とする絶縁膜と、その絶縁膜の表面に形成されたCrを主成分とする第2導電膜とによって構成されている(いわゆるMIM構造)。そして、第1導電膜が走査線81に接続され、第2導電膜が画素電極82に接続されている。これによりTFD素子83は、画素電極82への通電を制御するスイッチング素子として機能する。
【0042】
一方、下基板70の内側には、ITO等の透明導電性材料からなる複数の対向電極72が形成されている。この対向電極72は、上記走査線81と直交するストライプ状に形成されている。そして、走査線81に走査信号が供給され、対向電極72にデータ信号が供給されると、対向する画素電極82および対向電極72により、液晶層に電界が印加されるようになっている。したがって、各画素電極82の形成領域により画素領域が構成されている。
【0043】
そして、隣接する画素領域からの光洩れを防止するため、下基板70の内側にはブラックマトリックスと称される遮光膜77が形成されている。この遮光膜77は、光吸収性を有する黒色の金属クロム等によって構成されている。また遮光膜77は、各画素領域に対応する複数の開口部78を備えている、この開口部78により、画像領域への光源光の入射または画像領域からの画像光の出射が可能とされている。そして、遮光膜77を覆うように、図7に示す透明な絶縁膜79が形成されている。さらに絶縁膜79の内側には、上述した対向電極72が形成されている。
【0044】
また、画素電極82および対向電極72を覆うように、配向膜74,84が形成されている。この配向膜74,84は、電界無印加時における液晶分子の配向状態を制御するものであり、ポリイミド等の有機高分子材料によって構成され、その表面にラビング処理が施されている。これにより電界無印加時には、配向膜74,84の表面付近における液晶分子が、その長軸方向をラビング処理方向に一致させて、配向膜74,84と略平行に配向されるようになっている。なお、配向膜74の表面付近における液晶分子の配向方向と、配向膜84の表面付近における液晶分子の配向方向とが、所定角度だけずれるように、各配向膜74,84に対してラビング処理が施されている。これにより、液晶層102を構成する液晶分子は、液晶層102の厚さ方向に沿ってらせん状に積層されるようになっている。
【0045】
また、両基板70,80は、熱硬化型や紫外線硬化型などの接着剤からなるシール材103によって周縁部が接合されている。そして、両基板70,80とシール材103とによって囲まれた空間に、液晶層102が封止されている。そして、液晶層102の厚さ(セルギャップ、隙間)は、両基板70,80の間に配置されたスペーサ105によって規制されている。スペーサ105は、ここではUV硬化樹脂により、上述した液滴塗布方法を用いて遮光膜77上に高さ5μm程度に形成されている。
【0046】
一方、下基板70および上基板80の外側には、偏光板(不図示)が配置されている。
各偏光板は、相互の偏光軸(透過軸)が所定角度だけずれた状態で配置されている。また入射側偏光板の外側には、バックライト(不図示)が配置されている。
そして、バックライトから照射された光は、入射側偏光板の偏光軸に沿った直線偏光に変換されて、下基板70から液晶層102に入射する。この直線偏光は、電界無印加状態の液晶層102を透過する過程で、液晶分子のねじれ方向に沿って所定角度だけ旋回し、出射側偏光板を透過する。これにより、電界無印加時には白表示が行われる(ノーマリーホワイトモード)。一方、液晶層102に電界を印加すると、電界方向に沿って配向膜74,84と垂直に液晶分子が再配向する。この場合、液晶層102に入射した直線偏光は旋回しないので、出射側偏光板を透過しない。これにより、電界無印加時には黒表示が行われる。なお、印加する電界の強さによって階調表示を行うことも可能である。
液晶表示装置101は、以上のように構成されている。
【0047】
本実施形態では、液滴塗布法により、上述したスペーサ105を下基板(以下、単に基板と呼ぶ)70の遮光膜77の表面に塗布する。本実施形態のレーザ光源としては、紫外線レーザ光(He−Cdレーザ(波長442nm)、He−Cdレーザ(波長325nm)、YVO4レーザ(波長266nm)等)を用いることができる。
【0048】
本実施形態では、スペーサとしての強度を確保するために、液滴を濡れ拡がった後に、紫外光を照射して光エネルギを付与する。
具体的には、直径が15μm程度の液滴を遮光膜77上に塗布し、液滴着弾後1ms経過後に紫外光を照射した。これにより、液滴一層で1μm程度の厚さとなった。この場合、UV照射により一旦硬化反応が始まると最後まで反応が進むので、後からキュアする必要はない。そして、液滴を5層(5滴)程度、積み重ねることで、図8に簡略的に示すように、下基板70の遮光膜77上に高さ5μm程度で精度を確保されたスペーサ105としての柱状体Tを形成することができる。
この後、液晶を液滴吐出方式で塗布し、図8に示すように、上基板80と貼り合わせることにより、正確なギャップを有する液晶表示装置101を製造することができる。
【0049】
なお、液晶表示装置においては、上記スペーサ105の他に、遮光マスク(マスク部)や液滴吐出用の隔壁としても適用可能である。
この遮光マスクは、基板に設けられ層間絶縁膜(絶縁部)を介して配設される第1、第2導電部としての上下の配線パターンを電気的に接続する場合、層間絶縁膜に導電性材料のプラグを埋め込むためのコンタクトホールを形成する際に用いられる。
具体的には、基板上にエッチング等により下層配線層を形成し、この下層配線層上のコンタクトホールと対応する位置に上記の液滴塗布方法によりマスク部としての柱状体を形成した後に下層配線層の上に層間絶縁膜を形成する。そして、エッチング等により、柱状体を除去することにより、層間絶縁膜にコンタクトホールを形成することができる。
そして、このようにしてコンタクトホールを形成した後、コンタクトホールに導電性材料を埋め込んでプラグを形成し、さらにこのプラグに接するようにして前記層間絶縁膜上に上層配線層を形成することにより、前記コンタクトホール内のプラグを介して下層配線層と上層配線層とを電気的に接続させることができる。
【0050】
また、この他に、液晶表示装置に用いるカラーフィルタの製造時、着色材を含む液滴を画素に対応した領域に塗布する際に、混色等を避けるためにバンクと称される隔壁を画素部の周囲を囲むように形成するが、この隔壁も上記液滴塗布方法により形成することが可能である。さらに、液晶表示装置以外にも、有機EL装置を製造する際に、発光層を液滴吐出方式で形成する際に用いられる隔壁にも適用可能である。
【0051】
(第4実施形態)
続いて、上記液滴塗布方法により製造される電界放出素子(電気放出素子)を備えた電気光学装置である電界放出ディスプレイ(Field Emission Display、以下FEDと称す。)について説明する。
図9は、FEDを説明するための図であって、図9(a)はFEDを構成するカソード基板とアノード基板の配置を示した概略構成図、図9(b)はFEDのうちカソード基板が具備する駆動回路の模式図である。
【0052】
図9(a)に示すようにFED(電気光学装置)200は、カソード基板200aとアノード基板200bとが対向配置された構成となっている。カソード基板200aは、図9(b)に示すようにゲート線201と、エミッタ線202と、これらゲート線201とエミッタ線202とに接続された電界放出素子203とを具備しており、すなわち、所謂単純マトリクス駆動回路となっている。ゲート線201においては、ゲート信号V1、V2、…、Vmが供給されるようになっており、エミッタ線202においては、エミッタ信号W1、W2、…、Wnが供給されるようになっている。また、アノード基板200bは、RGBからなる蛍光体を備えており、当該蛍光体は電子が当ることにより発光する性質を有する。
【0053】
図10に示すように、電界放出素子203はエミッタ線202に接続されたエミッタ電極203aと、ゲート線201に接続されたゲート電極203bとを備えた構成となっている。さらに、エミッタ電極203aは、エミッタ電極203a側からゲート電極203bに向かって小径化するエミッタティップ205と呼ばれる突起部を備えており、このエミッタティップ205と対応した位置にゲート電極203bに孔部204が形成され、孔部204内にエミッタティップ205の先端が配置されている。
【0054】
このようなFED200においては、ゲート線201のゲート信号V1、V2、…、Vm、及びエミッタ線202のエミッタ信号W1、W2、…、Wnを制御することにより、エミッタ電極203aとゲート電極203bとの間に電圧が供給され、電解の作用によってエミッタティップ205から孔部204に向かって電子210が移動し、エミッタティップ205の先端から電子210が放出される。ここで、当該電子210とアノード基板200bの蛍光体206とが当ることにより発光するので、所望にFED200を駆動することが可能になる。
【0055】
このように構成されたFEDにおいては、陰極としてのエミッタティップ205が上述した液滴塗布方法によって形成されている。吐出するインクとしては、仕事関数の低い材料(K、Ca、ITO、Ag-O-Cs、InGa/As等)を微粒子状態にして分散させたものを用いることができる。また、金属をイオン化して水溶液状態で吐出し、乾燥時にレーザで酸化させる方法も採用できる(AgとCs、InとSn等)。さらに、カーボンナノチューブを有機溶媒に溶かして塗布する方法も採用できる。
【0056】
いずれの方法においても、本発明の液滴塗布方法により液滴を積み重ねた柱状体を形成・定着させ、先端の細い陰極(エミッタティップ205)を形成することで、電子の放出を容易にできる。なお、液滴を積み重ねる際には、上部側ほどインク量(吐出液滴量)を減らして吐出する方法(例えばピエゾ素子の駆動電圧を下げたり、駆動波形を微小ドット用に変更する)を採れば、さらに先端を細くすることが可能である。しかも、液滴吐出方式によって液滴の吐出量を制御できるため、画素間のばらつきがなく、高精度に陰極を形成することができる。
【0057】
(第5実施形態)
続いて、上記実施形態に係る電気光学装置を備えた電子機器について説明する。
図11(a)〜(c)は、本発明の電子機器の実施の形態例を示している。
本例の電子機器は、本発明に係る液滴塗布方法により製造された電気光学装置(液晶表示装置や有機EL装置、FED)を表示手段として備えている。
図11(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図11(a)において、符号1000は携帯電話本体(電子機器)を示し、符号1001は上記の電気光学装置を用いた表示部を示している。
図11(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図11(b)において、符号1100は時計本体(電子機器)を示し、符号1101は上記の電気光学装置を用いた表示部を示している。
図11(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図11(c)において、符号1200は情報処理装置(電子機器)、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の電気光学装置を用いた表示部を示している。
図11(a)〜(c)に示すそれぞれの電子機器は、本発明の電気光学装置を表示手段として備えているので、微細径で所望の高さ精度を有する突起部を有し、高品質の表示特性を有する電子機器を得ることができる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0059】
例えば、本発明に係る液滴塗布方法により製造される電気光学装置としては、上記の他に、例えば面発光レーザ上に焦点距離調整のために設けるマイクロレンズを本発明の液滴塗布方法により柱状体に形成して発光角度を小さくしたり、カメラのピント調整に用いられるファインダースクリーンの突起部を本発明に係る液滴塗布方法により製造することができる。その他にも、プロジェクタスクリーンやマイクロマシンにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る液滴吐出装置の概略斜視図である。
【図2】ピエゾ方式による液状体の吐出原理を説明するための図である。
【図3】液滴吐出ヘッドの近傍に光検出器及びレーザ光源が配置された図である。
【図4】レーザ光における位置と光強度との関係を示す図である。
【図5】本発明に係る液滴塗布方法の第2実施形態を示す図である。
【図6】液晶表示装置の分解斜視図である。
【図7】図6のA−A線における側面断面図である。
【図8】上基板と下基板を貼り合わせて液晶表示装置を製造する手順を示す図である。
【図9】(a)はFEDを構成するカソード基板とアノード基板の配置を示した概略構成図、(b)はFEDのうちカソード基板が具備する駆動回路の模式図である。
【図10】FEDの概略的な構成を示す図である。
【図11】本発明の電子機器の例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
IJ…液滴吐出装置(液滴塗布装置)、 L、L1〜L3…液滴、 P…基板、 25…ノズル、 70…下基板(基板)、 80…上基板(基板)、 101…液晶表示装置(電気光学装置)、 102…液晶層(電気光学層)、 200…電界放出ディスプレイ(FED、電気光学装置)、 205…エミッタティップ(突起部)、 1000…携帯電話本体(電子機器)、 1100…時計本体(電子機器)、 1200…情報処理装置(電子機器)
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴塗布方法と液滴塗布装置及び電気光学装置並びに電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子装置の製造過程に用いられる塗布技術として、液体吐出方式の利用が拡大する傾向にある。液体吐出方式による塗布技術は、一般に、基板と液体吐出ヘッドとを相対的に移動させながら、液体吐出ヘッドに設けられた複数のノズルから液状体を液滴として吐出し、その液滴を基板上に繰り返し付着させて塗布膜を形成するものであり、スピンコート方式などの従来の塗布技術に比べて、液状体の消費に無駄が少なく、任意のパターンをフォトリソグラフィーなどの手段を用いず直接塗布することが出来るといった利点を有する。
また、液体を吐出して基板に塗布する方法として、液体を柱状に吐出し、基板への付着位置の精度向上を図ることが行われている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平4−129746号公報
【特許文献2】特開平9−101411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
例えば、液晶表示装置におけるセルギャップを定めるためのギャップ材として上記の柱状体を用いることが考えられるが、この場合、柱状体の径が微細であり、また高さの精度も求められるが、上記の塗布方法では、単に液体を柱状に吐出して基板へ付着させるだけで、基板に柱状体を形成するものではなく、従って、上述したように柱状体に求められる微細径及び高さ精度を確保することが極めて困難である。
【0004】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、高さ精度を確保でき、また微細径の柱状体が得られる液滴塗布方法と液滴塗布装置及びこの塗布方法により製造された電気光学装置並びに電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の液滴塗布方法は、複数の液滴を吐出して基板に塗布する液滴塗布方法であって、塗布した液滴に光エネルギを付与する工程と、前記光エネルギを付与した液滴上に次の液滴を積み重ねて塗布する工程とを繰り返して行うことを特徴とするものである。
【0006】
従って、本発明の液滴塗布方法では、塗布した液滴に光エネルギを付与することにより、この液滴を濡れ拡がらせずに乾燥または焼成して定着させることができる。そして、定着させた液滴上に次の液滴を塗布し、同様に光エネルギを付与して定着させることで、複数の液滴を積み上げた柱状体を得ることができる。この柱状体は、液滴直径とほぼ同じ太さになるので、微細径の柱状体とすることが可能になるとともに、積み上げる塗布液滴数に応じて所望の高さ精度を確保することが可能になる。
【0007】
前記液滴を塗布してから前記光エネルギを付与するまでの時間は、吐出した前記液滴の表面エネルギに基づいて、より詳細には、前記液滴が前記着弾部位で前記表面エネルギに応じて濡れ拡がる前に前記光エネルギを付与できる時間に設定することが好適である。
この場合、直径が小さい間に液滴を定着させることになり、微細径を有する柱状体を容易に得ることが可能になる。
また、着弾部位が親液性を有する場合でも、直径が小さい間に液滴を定着させることになるため、着弾部位の表面エネルギに依存することなく微細径を有する柱状体を形成することが可能になり、特に表面エネルギが大きく親液性の着弾部位に対して液滴を塗布することにより、基板等と柱状体との密着性を高めることができる。
【0008】
また、本発明では、前記液滴の着弾部位の材質に応じて前記光エネルギの付与量を設定することが好適である。
この場合、例えば液滴の着弾部位が基板である場合と、液滴である場合とでは光に対する反射率が異なり、同じエネルギ量で光を照射しても液滴に付与される光エネルギの量が異なるため、着弾部位の材質に応じて光エネルギの付与量を設定することで、実際に液滴に付与されるエネルギ量を一定にすることが可能になる。
【0009】
また、本発明では、積み重ねた前記液滴の頂部位置を検出する工程と、検出した前記頂部位置に基づいて、前記光エネルギの付与位置を調整する工程とを有する手順を好適に採用可能である。
これにより、液滴が積み上げられて頂部位置が変化した場合でも、適切な位置で光エネルギを付与することが可能になり、十分な乾燥または焼成を行うことができる。
頂部位置を検出する方法としては、光検出器を設置する方法、反射光の拡がりを検出する方法、回折光の分布を検出する方法等を用いることができる。
さらに、液滴の吐出数と柱状体の高さとの相関関係を予め求めておき、吐出した液滴数に応じて光エネルギの付与位置を調整することも可能である。
【0010】
また、本発明では、前記液滴をそれぞれ吐出する複数のノズルと前記基板とを相対移動させながら前記液滴を塗布する工程を有し、前記ノズルの配列ピッチに応じて、前記基板の相対移動速度と、前記液滴の吐出周波数とを同期させる構成を好適に採用可能である。
これにより、本発明では、吐出した液滴がノズルの配列ピッチに応じて基板に積み重なることになり、柱状体を形成するために、基板(またはノズル)を停止させる必要がなくなり、基板(またはノズル)加速・減速に係る時間ロスをなくして生産性を向上させることが可能になる。
【0011】
また、前記液滴をそれぞれ吐出する複数のノズルと前記基板とを相対移動させながら前記液滴を塗布する場合には、前記光エネルギの照射分布を前記相対移動方向を長手方向とする長円形状とすることが好適である。
この構成では、次の着弾位置に基板(またはノズル)が相対移動する間に液滴を乾燥または焼成することが可能になる。
【0012】
液滴としては、光熱変換材料を含有することが望ましい。
この構成では、付与された光エネルギを効果的に熱エネルギに変換することが可能になり、効率的に液滴の乾燥または焼成を行うことができる。光熱変換材料としては公知のものを使用することができ、光を効率よく熱に変換できる材料であれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、その酸化物及び/又はその硫化物よりなる金属層や、カーボンブラック、黒鉛又は赤外線吸収色素等が添加された高分子よりなる有機層等が挙げられる。赤外線吸収色素としては、アントラキノン系、ジチオールニッケル錯体系、シアニン系、アゾコバルト錯体系、ジインモニウム系、スクワリリウム系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系等が挙げられる。また、エポキシ樹脂等の合成樹脂をバインダとし、そのバインダ樹脂に前記光熱変換材料を溶解又は分散してもよい。
【0013】
一方、本発明の電気光学装置は、一対の基板間に電気光学層を挟持してなり、柱状体を用いて製造される電気光学装置であって、上記の液滴塗布方法により前記柱状体を形成することを特徴としている。
従って、本発明では、微細径で所望の高さ精度を有する柱状体を有する電気光学装置を得ることができる。
【0014】
上記柱状体としては、前記基板に設けられ絶縁部を挟む第1導電部と第2導電部とを導通させる導通部を形成するためのマスク部と、前記一対の基板の間の隙間を形成するスペーサと、画素部の周囲を囲んで設けられた隔壁との少なくとも一つとすることができる。 これにより、本発明では、微細径で所望の高さ精度を有するマスク部、スペーサ、隔壁を形成することが可能になる。
【0015】
また、上記柱状体としては、一対の電極を有し、前記電極の一方に設けられ電子を放出する突起部とすることができる。
これにより、本発明では、微細径で所望の高さ精度を有する突起部を形成することが可能になる。
【0016】
そして、本発明の電子機器は、上記の電気光学装置を表示部として備えることを特徴としている。
これにより、本発明では、表示品質に優れた電子機器を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の液滴塗布方法と液滴塗布装置及び電気光学装置並びに電子機器の実施の形態を、図1ないし図11を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明に係る液滴塗布装置について説明する。
この液滴塗布装置としては、液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して基板に塗布する液滴吐出装置(インクジェット装置)が用いられる。
【0018】
図1は、液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。
液滴吐出装置(液滴塗布装置)IJは、液滴吐出ヘッド1と、X軸方向駆動軸4と、Y軸方向ガイド軸5と、制御装置CONTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ15とを備えている。
ステージ7は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0019】
液滴吐出ヘッド1は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド1の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルからは、ステージ7に支持されている基板Pに対して、上述した導電性微粒子を含むインクが吐出される。
【0020】
X軸方向駆動軸4には、X軸方向駆動モータ2が接続されている。X軸方向駆動モータ2はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸4を回転させる。X軸方向駆動軸4が回転すると、液滴吐出ヘッド1はX軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸5は、基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、Y軸方向駆動モータ3を備えている。Y軸方向駆動モータ3はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をY軸方向に移動する。
【0021】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド1に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ2に液滴吐出ヘッド1のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ3にステージ7のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものである。クリーニング機構8には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸5に沿って移動する。クリーニング機構8の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ15は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ15の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0022】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、Y軸方向を走査方向、Y軸方向と直交するX軸方向を非走査方向とする。したがって、液滴吐出ヘッド1の吐出ノズルは、非走査方向であるX軸方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図1では、液滴吐出ヘッド1は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド1の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド1の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することが出来る。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節することが出来るようにしてもよい。
【0023】
液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進してノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散してノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出してノズルから吐出させるものである。
【0024】
図2は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。
図2において、液体材料(機能液)を収容する液体室21に隣接してピエゾ素子22が設置されている。液体室21には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系23を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子22は駆動回路24に接続されており、この駆動回路24を介してピエゾ素子22に電圧を印加し、ピエゾ素子22を変形させることにより、液体室21が変形し、ノズル25から液体材料が吐出される。この場合、印加電圧の値を所定の駆動波形で変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み速度が制御される。
なお、液滴吐出方式としては、液体材料を加熱し発生した泡(バブル)により液体材料を吐出させるバブル(サーマル)方式でも採用可能であるが、ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0025】
また、本実施の形態においては、図3に示すように、液滴吐出ヘッド1の走査方向一方側に位置して光検出器11が設けられ、液滴吐出ヘッド1の走査方向他方側に位置してレーザ光源12が複数のノズル毎にそれぞれ設けられている。光検出器11は、液滴吐出ヘッド1の直下の位置に検知光を照射し、その反射光を検出することにより積み上げられた(積み重なった)液滴の頂部位置を検出するものであり、検出結果は制御装置CONTに出力される。
【0026】
なお、液滴の頂部位置検出としては、反射光の広がりを調べる方法、回折光の分布を調べる方法等を用いてもよい。さらに、液滴の吐出数と、積み上げられた液滴の頂部位置との関係を予め求めておき、吐出した液滴数に応じて頂部位置を求めることも可能である。この場合、光検出器を省略することができる。
【0027】
レーザ光源12は、制御装置CONTの制御の下、液滴吐出ヘッド1の下方に向けて斜入射でレーザ光を照射するものであり、内部にはレーザ光を集光する光学素子(図示せず)が設けられている。制御装置CONTは、光学素子の位置を調整することにより、レーザ光の焦点位置、すなわちレーザ光による光エネルギ付与位置を調整することが可能な構成となっている。なお、本実施の形態では、微小径の液滴に対して効果的に光エネルギを付与するために、図4に示すように、ビーム中心の光強度が高くなるビームプロファイルとした。
【0028】
続いて、上記の液滴吐出装置IJを用いた液滴塗布方法について説明する。
ここでは、例えば光熱変換材料を含有するインクの液滴を吐出する。インクとしては、Ag水系分散インクやAg有機分散系インクを用いることができるが、Agナノ粒子分散系有機溶剤(有機溶剤;n−テトラデカン)の液滴を吐出する。また光熱変換材料としては、例えば、アルミニウム、その酸化物及び/又はその硫化物よりなる金属層や、カーボンブラック、黒鉛又は赤外線吸収色素等が添加された高分子よりなる有機層等が挙げられる。赤外線吸収色素としては、アントラキノン系、ジチオールニッケル錯体系、シアニン系、アゾコバルト錯体系、ジインモニウム系、スクワリリウム系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系等が挙げられる。また、エポキシ樹脂等の合成樹脂をバインダとし、そのバインダ樹脂に前記光熱変換材料を溶解又は分散してもよい。
【0029】
また、レーザ光としては、YAGレーザ(YAG基本波;波長1064nm)、YAGレーザ(YAG二倍波;波長532nm)、半導体レーザ(波長808nm)、He−Cdレーザ(波長442nm)、He−Cdレーザ(波長325nm)、YVO4レーザ(波長266nm)等を用いることができるが、ここではYAGレーザ(ビーム直径が約20μmのガウシアンビーム)を用いる。そして、基板Pに対しては、インクとの密着性を高めるために、紫外線照射処理やO2プラズマ処理等により、予め親液性(高表面エネルギ)を付与している。
なお、ここでは、形成すべき柱状体の位置に応じてノズル25が、図3の紙面と垂直な方向に複数配置されているものとする。
【0030】
まず、液滴吐出ヘッド1に対して柱状体を形成すべき位置に基板Pを移動させ、位置決めする。そして、ヘッド1のノズル25から一滴目の液滴Lを吐出して基板P上に塗布する。塗布した液滴L(L1とする)は、表面張力により一旦丸い状態となるが、基板Pの表面が親液化されているため、一定の時間、または、液滴の表面エネルギーに応じた時間(例えば約20マイクロ秒)が経過した後に基板Pの表面エネルギと液滴表面エネルギーに応じた接触角になるまで濡れ拡がる。この時間は既知であるため、制御装置CONTは、液滴L1が基板Pの表面で濡れ拡がる前にレーザ光源12からレーザ光(例えば1.0W/mm2を1ミリ秒)を照射させる。レーザ光の照射により光エネルギが付与された液滴L1は、乾燥または焼成する。この液滴L1に対するレーザ光の照射は、次(二滴目)の液滴が積み重ねられればよいため、必ずしも焼成する必要はなく、表面が乾く程度のエネルギでよい。
特に、液滴Lには光熱変換材料が含まれているため、付与されたエネルギが効率的に熱に変換されるため、効果的に液滴L1に熱を付与して乾燥または焼成させることができる。
【0031】
一滴目の液滴L1が定着したら、制御装置CONTはこの液滴L1上に液滴吐出ヘッド1から二滴目の液滴L2を吐出させ、液滴L2が液滴L1上に塗布された後に、直ちにレーザ光を照射させる。このとき、レーザ光を照射すべき位置(集光位置)は、液滴L1に対してレーザ照射するときよりも高い位置になっている。そのため、制御装置CONTは、光検出器11が検出した液滴L2の頂部位置に基づいてレーザ光源12の光学素子を移動させ、レーザ光の焦点位置(光エネルギの付与位置)を液滴L2の頂部に変更する。
【0032】
また、液滴L1は基板P上に塗布されていたが、液滴L2は液滴L1上に塗布されているため、レーザ照射点における反射率が異なる。そのため、液滴L2に対して液滴L1と同等の光エネルギを付与すると、液滴L2に加わる熱が大きくて蒸発してしまう可能性がある。そのため、制御装置CONTは、二滴目以降の液滴に対しては、一滴目の液滴L1よりも小さな光エネルギ(例えば0.5W/mm2を1ミリ秒)を付与するというように、液滴の着弾部位の材質に応じて光エネルギの付与量を設定する。
このように、液滴L2に光エネルギを付与して乾燥または焼成することで、液滴L1上に液滴L2を積み重ねた状態で塗布・定着させることができる。
そして、同様の手順で液滴L2上に液滴L3以降を塗布、乾燥または焼成を順次繰り返すことにより、基板P上に高さ数百ミクロン程度の柱状体Tを形成することができる。
【0033】
以上のように、本実施の形態では、塗布した液滴に光エネルギを付与して定着させる工程と、定着した液滴上に次の液滴を積み重ねて塗布する工程とを繰り返すことにより、高さ精度が確保された柱状体Tを得ることができる。また、柱状体Tの太さ(径)は、吐出する液滴量を高精度に管理できる液滴吐出方式の液滴径となるので、微細径の柱状体Tを容易に形成することが可能である。また、本実施の形態では、液滴Lを塗布してから光エネルギを付与するまでの時間は、液滴Lの着弾部位の表面エネルギに基づき、液滴Lが濡れ拡がる前に設定されているので、着弾部位が親液性であっても、微細径の柱状体Tを形成すことができる。そのため、基板Pに対して密着性が高い柱状体Tを形成することが可能になる。
【0034】
しかも、本実施の形態では、液滴Lの着弾部位の材質に応じて光エネルギの付与量を調整するので、塗布した液滴Lが蒸発してしまう等の不都合を生じさせず、所望の柱状体Tを安定して形成することができる。加えて、本実施の形態では、光検出器11の検出結果に応じてレーザ光の焦点位置を調整するので、塗布した液滴毎に効果的に光エネルギを付与することができ、迅速、且つ確実に柱状体Tを形成することができる。さらに、本実施の形態では、液滴Lに光熱変換材料を含有させているので、光エネルギを効果的に熱エネルギに変換することが可能になり、塗布した液滴を効率的に定着させることができる。
【0035】
(第2実施形態)
続いて、本発明に係る液滴塗布方法の第2実施形態について図5を参照して説明する。
上記第1実施形態では、液滴吐出ヘッド1(ノズル25)と基板Pとの相対移動を停止させた状態で液滴Lを塗布する構成としたが、本実施の形態では、液滴吐出ヘッド1(ノズル25)と基板Pとを相対移動(図5では基板Pを右方向に移動)させながら液滴を吐出する場合について説明する。
【0036】
本実施の形態では、ノズル25は上記相対移動方向にライン状に配列されており、ノズルの配列ピッチに応じて、基板Pの相対移動速度と、液滴の吐出周波数とを同期させる。より詳細には、配列ピッチをH、基板Pの相対移動速度をVP、液滴Lの吐出周波数をfとすると、以下の式(1)を満足する相対移動速度及び吐出周波数を採用する。
H=VP/f …(1)
式(1)を満足する条件で液滴を吐出することにより、基板P上にはノズル数の液滴が積み重ねられた柱状体Tが形成されることになる。
【0037】
また、本実施の形態では、既に積み上げられた液滴数がノズル毎に既知であるため、その液滴数に応じた高さにシフトした位置にレーザ光源12が配置されている。なお、レーザ光源12の高さを変えずに光学素子の焦点位置のみを変えてもよい。
【0038】
また、このレーザ光源12は、液滴の着弾位置(基板P上または先に塗布された液滴上)がビーム端にかかるように、上記相対移動方向を長手方向とする長円形状の照射分布を有している。従って、基板Pが移動して、塗布された液滴Lが次の着弾位置に到達する間に液滴Lを乾燥または焼成して定着させることができる。
本実施の形態では、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、柱状体Tを形成する毎に基板Pを停止させる必要がないので、基板Pの加速・減速の時間ロスを排除することができ、より効率的な生産を実現することができる。
なお、本実施の形態において、複数列に柱状体Tを形成する場合には、ノズル及びレーザ光源を紙面と直交する方向に複数並べればよい。
【0039】
また、上記第1、第2実施形態では、各ノズル毎にレーザ光源を配置したが、回折格子を使ってビームスポットのアレイを形成してもよいし、光ファイバを用いてレーザ光を分配する構成としてもよい。
【0040】
(第3実施形態)
続いて、上記液滴塗布方法により製造される液晶表示装置(電気光学装置)について説明する。
まず、液晶表示装置の概略構成につき、図6及び図7を用いて説明する。図6は液晶表示装置の分解斜視図であり、図7は図6のA−A線における側面断面図である。図7に示すように、液晶表示装置(電気光学装置)101は、下基板(対向基板)70および上基板(素子基板)80により液晶層(電気光学層)102を挟持して構成されている。この液晶層102にはネマチック液晶等が採用され、液晶表示装置101の動作モードとしてツイステッドネマチック(TN)モードが採用されている。なお上記以外の液晶材料を採用することも可能であり、また上記以外の動作モードを採用することも可能である。なお以下には、スイッチング素子としてTFD素子を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示装置を例にして説明するが、これ以外のアクティブマトリクス型の液晶表示装置やパッシブマトリクス型の液晶表示装置に本発明を適用することも可能である。
【0041】
図6に示すように、液晶表示装置101では、ガラス等の透明材料からなる下基板70および上基板80が対向配置されている。上基板80の内側には、複数の走査線81が形成されている。その走査線81の側方には、ITO等の透明導電性材料からなる複数の画素電極82が、マトリクス状に配置されている。この画素電極82は、TFD素子83を介して各走査線81に接続されている。このTFD素子83は、基板表面に形成されたTaを主成分とする第1導電膜と、その第1導電膜の表面に形成されたTa2O3を主成分とする絶縁膜と、その絶縁膜の表面に形成されたCrを主成分とする第2導電膜とによって構成されている(いわゆるMIM構造)。そして、第1導電膜が走査線81に接続され、第2導電膜が画素電極82に接続されている。これによりTFD素子83は、画素電極82への通電を制御するスイッチング素子として機能する。
【0042】
一方、下基板70の内側には、ITO等の透明導電性材料からなる複数の対向電極72が形成されている。この対向電極72は、上記走査線81と直交するストライプ状に形成されている。そして、走査線81に走査信号が供給され、対向電極72にデータ信号が供給されると、対向する画素電極82および対向電極72により、液晶層に電界が印加されるようになっている。したがって、各画素電極82の形成領域により画素領域が構成されている。
【0043】
そして、隣接する画素領域からの光洩れを防止するため、下基板70の内側にはブラックマトリックスと称される遮光膜77が形成されている。この遮光膜77は、光吸収性を有する黒色の金属クロム等によって構成されている。また遮光膜77は、各画素領域に対応する複数の開口部78を備えている、この開口部78により、画像領域への光源光の入射または画像領域からの画像光の出射が可能とされている。そして、遮光膜77を覆うように、図7に示す透明な絶縁膜79が形成されている。さらに絶縁膜79の内側には、上述した対向電極72が形成されている。
【0044】
また、画素電極82および対向電極72を覆うように、配向膜74,84が形成されている。この配向膜74,84は、電界無印加時における液晶分子の配向状態を制御するものであり、ポリイミド等の有機高分子材料によって構成され、その表面にラビング処理が施されている。これにより電界無印加時には、配向膜74,84の表面付近における液晶分子が、その長軸方向をラビング処理方向に一致させて、配向膜74,84と略平行に配向されるようになっている。なお、配向膜74の表面付近における液晶分子の配向方向と、配向膜84の表面付近における液晶分子の配向方向とが、所定角度だけずれるように、各配向膜74,84に対してラビング処理が施されている。これにより、液晶層102を構成する液晶分子は、液晶層102の厚さ方向に沿ってらせん状に積層されるようになっている。
【0045】
また、両基板70,80は、熱硬化型や紫外線硬化型などの接着剤からなるシール材103によって周縁部が接合されている。そして、両基板70,80とシール材103とによって囲まれた空間に、液晶層102が封止されている。そして、液晶層102の厚さ(セルギャップ、隙間)は、両基板70,80の間に配置されたスペーサ105によって規制されている。スペーサ105は、ここではUV硬化樹脂により、上述した液滴塗布方法を用いて遮光膜77上に高さ5μm程度に形成されている。
【0046】
一方、下基板70および上基板80の外側には、偏光板(不図示)が配置されている。
各偏光板は、相互の偏光軸(透過軸)が所定角度だけずれた状態で配置されている。また入射側偏光板の外側には、バックライト(不図示)が配置されている。
そして、バックライトから照射された光は、入射側偏光板の偏光軸に沿った直線偏光に変換されて、下基板70から液晶層102に入射する。この直線偏光は、電界無印加状態の液晶層102を透過する過程で、液晶分子のねじれ方向に沿って所定角度だけ旋回し、出射側偏光板を透過する。これにより、電界無印加時には白表示が行われる(ノーマリーホワイトモード)。一方、液晶層102に電界を印加すると、電界方向に沿って配向膜74,84と垂直に液晶分子が再配向する。この場合、液晶層102に入射した直線偏光は旋回しないので、出射側偏光板を透過しない。これにより、電界無印加時には黒表示が行われる。なお、印加する電界の強さによって階調表示を行うことも可能である。
液晶表示装置101は、以上のように構成されている。
【0047】
本実施形態では、液滴塗布法により、上述したスペーサ105を下基板(以下、単に基板と呼ぶ)70の遮光膜77の表面に塗布する。本実施形態のレーザ光源としては、紫外線レーザ光(He−Cdレーザ(波長442nm)、He−Cdレーザ(波長325nm)、YVO4レーザ(波長266nm)等)を用いることができる。
【0048】
本実施形態では、スペーサとしての強度を確保するために、液滴を濡れ拡がった後に、紫外光を照射して光エネルギを付与する。
具体的には、直径が15μm程度の液滴を遮光膜77上に塗布し、液滴着弾後1ms経過後に紫外光を照射した。これにより、液滴一層で1μm程度の厚さとなった。この場合、UV照射により一旦硬化反応が始まると最後まで反応が進むので、後からキュアする必要はない。そして、液滴を5層(5滴)程度、積み重ねることで、図8に簡略的に示すように、下基板70の遮光膜77上に高さ5μm程度で精度を確保されたスペーサ105としての柱状体Tを形成することができる。
この後、液晶を液滴吐出方式で塗布し、図8に示すように、上基板80と貼り合わせることにより、正確なギャップを有する液晶表示装置101を製造することができる。
【0049】
なお、液晶表示装置においては、上記スペーサ105の他に、遮光マスク(マスク部)や液滴吐出用の隔壁としても適用可能である。
この遮光マスクは、基板に設けられ層間絶縁膜(絶縁部)を介して配設される第1、第2導電部としての上下の配線パターンを電気的に接続する場合、層間絶縁膜に導電性材料のプラグを埋め込むためのコンタクトホールを形成する際に用いられる。
具体的には、基板上にエッチング等により下層配線層を形成し、この下層配線層上のコンタクトホールと対応する位置に上記の液滴塗布方法によりマスク部としての柱状体を形成した後に下層配線層の上に層間絶縁膜を形成する。そして、エッチング等により、柱状体を除去することにより、層間絶縁膜にコンタクトホールを形成することができる。
そして、このようにしてコンタクトホールを形成した後、コンタクトホールに導電性材料を埋め込んでプラグを形成し、さらにこのプラグに接するようにして前記層間絶縁膜上に上層配線層を形成することにより、前記コンタクトホール内のプラグを介して下層配線層と上層配線層とを電気的に接続させることができる。
【0050】
また、この他に、液晶表示装置に用いるカラーフィルタの製造時、着色材を含む液滴を画素に対応した領域に塗布する際に、混色等を避けるためにバンクと称される隔壁を画素部の周囲を囲むように形成するが、この隔壁も上記液滴塗布方法により形成することが可能である。さらに、液晶表示装置以外にも、有機EL装置を製造する際に、発光層を液滴吐出方式で形成する際に用いられる隔壁にも適用可能である。
【0051】
(第4実施形態)
続いて、上記液滴塗布方法により製造される電界放出素子(電気放出素子)を備えた電気光学装置である電界放出ディスプレイ(Field Emission Display、以下FEDと称す。)について説明する。
図9は、FEDを説明するための図であって、図9(a)はFEDを構成するカソード基板とアノード基板の配置を示した概略構成図、図9(b)はFEDのうちカソード基板が具備する駆動回路の模式図である。
【0052】
図9(a)に示すようにFED(電気光学装置)200は、カソード基板200aとアノード基板200bとが対向配置された構成となっている。カソード基板200aは、図9(b)に示すようにゲート線201と、エミッタ線202と、これらゲート線201とエミッタ線202とに接続された電界放出素子203とを具備しており、すなわち、所謂単純マトリクス駆動回路となっている。ゲート線201においては、ゲート信号V1、V2、…、Vmが供給されるようになっており、エミッタ線202においては、エミッタ信号W1、W2、…、Wnが供給されるようになっている。また、アノード基板200bは、RGBからなる蛍光体を備えており、当該蛍光体は電子が当ることにより発光する性質を有する。
【0053】
図10に示すように、電界放出素子203はエミッタ線202に接続されたエミッタ電極203aと、ゲート線201に接続されたゲート電極203bとを備えた構成となっている。さらに、エミッタ電極203aは、エミッタ電極203a側からゲート電極203bに向かって小径化するエミッタティップ205と呼ばれる突起部を備えており、このエミッタティップ205と対応した位置にゲート電極203bに孔部204が形成され、孔部204内にエミッタティップ205の先端が配置されている。
【0054】
このようなFED200においては、ゲート線201のゲート信号V1、V2、…、Vm、及びエミッタ線202のエミッタ信号W1、W2、…、Wnを制御することにより、エミッタ電極203aとゲート電極203bとの間に電圧が供給され、電解の作用によってエミッタティップ205から孔部204に向かって電子210が移動し、エミッタティップ205の先端から電子210が放出される。ここで、当該電子210とアノード基板200bの蛍光体206とが当ることにより発光するので、所望にFED200を駆動することが可能になる。
【0055】
このように構成されたFEDにおいては、陰極としてのエミッタティップ205が上述した液滴塗布方法によって形成されている。吐出するインクとしては、仕事関数の低い材料(K、Ca、ITO、Ag-O-Cs、InGa/As等)を微粒子状態にして分散させたものを用いることができる。また、金属をイオン化して水溶液状態で吐出し、乾燥時にレーザで酸化させる方法も採用できる(AgとCs、InとSn等)。さらに、カーボンナノチューブを有機溶媒に溶かして塗布する方法も採用できる。
【0056】
いずれの方法においても、本発明の液滴塗布方法により液滴を積み重ねた柱状体を形成・定着させ、先端の細い陰極(エミッタティップ205)を形成することで、電子の放出を容易にできる。なお、液滴を積み重ねる際には、上部側ほどインク量(吐出液滴量)を減らして吐出する方法(例えばピエゾ素子の駆動電圧を下げたり、駆動波形を微小ドット用に変更する)を採れば、さらに先端を細くすることが可能である。しかも、液滴吐出方式によって液滴の吐出量を制御できるため、画素間のばらつきがなく、高精度に陰極を形成することができる。
【0057】
(第5実施形態)
続いて、上記実施形態に係る電気光学装置を備えた電子機器について説明する。
図11(a)〜(c)は、本発明の電子機器の実施の形態例を示している。
本例の電子機器は、本発明に係る液滴塗布方法により製造された電気光学装置(液晶表示装置や有機EL装置、FED)を表示手段として備えている。
図11(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図11(a)において、符号1000は携帯電話本体(電子機器)を示し、符号1001は上記の電気光学装置を用いた表示部を示している。
図11(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図11(b)において、符号1100は時計本体(電子機器)を示し、符号1101は上記の電気光学装置を用いた表示部を示している。
図11(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図11(c)において、符号1200は情報処理装置(電子機器)、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の電気光学装置を用いた表示部を示している。
図11(a)〜(c)に示すそれぞれの電子機器は、本発明の電気光学装置を表示手段として備えているので、微細径で所望の高さ精度を有する突起部を有し、高品質の表示特性を有する電子機器を得ることができる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0059】
例えば、本発明に係る液滴塗布方法により製造される電気光学装置としては、上記の他に、例えば面発光レーザ上に焦点距離調整のために設けるマイクロレンズを本発明の液滴塗布方法により柱状体に形成して発光角度を小さくしたり、カメラのピント調整に用いられるファインダースクリーンの突起部を本発明に係る液滴塗布方法により製造することができる。その他にも、プロジェクタスクリーンやマイクロマシンにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る液滴吐出装置の概略斜視図である。
【図2】ピエゾ方式による液状体の吐出原理を説明するための図である。
【図3】液滴吐出ヘッドの近傍に光検出器及びレーザ光源が配置された図である。
【図4】レーザ光における位置と光強度との関係を示す図である。
【図5】本発明に係る液滴塗布方法の第2実施形態を示す図である。
【図6】液晶表示装置の分解斜視図である。
【図7】図6のA−A線における側面断面図である。
【図8】上基板と下基板を貼り合わせて液晶表示装置を製造する手順を示す図である。
【図9】(a)はFEDを構成するカソード基板とアノード基板の配置を示した概略構成図、(b)はFEDのうちカソード基板が具備する駆動回路の模式図である。
【図10】FEDの概略的な構成を示す図である。
【図11】本発明の電子機器の例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
IJ…液滴吐出装置(液滴塗布装置)、 L、L1〜L3…液滴、 P…基板、 25…ノズル、 70…下基板(基板)、 80…上基板(基板)、 101…液晶表示装置(電気光学装置)、 102…液晶層(電気光学層)、 200…電界放出ディスプレイ(FED、電気光学装置)、 205…エミッタティップ(突起部)、 1000…携帯電話本体(電子機器)、 1100…時計本体(電子機器)、 1200…情報処理装置(電子機器)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液滴を吐出して基板に塗布する液滴塗布方法であって、
塗布した液滴に光エネルギを付与する工程と、
前記光エネルギを付与した液滴上に次の液滴を積み重ねて塗布する工程とを繰り返して行うことを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項2】
請求項1記載の液滴塗布方法において、
前記液滴を塗布してから前記光エネルギを付与するまでの時間は、吐出した前記液滴の表面エネルギに基づいて設定されることを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項3】
請求項2記載の液滴塗布方法において、
前記液滴が前記着弾部位で前記表面エネルギに応じて濡れ拡がる前に、前記光エネルギを付与することを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項4】
請求項2または3記載の液滴塗布方法において、
前記液滴の着弾部位の材質に応じて前記光エネルギの付与量を設定することを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の液滴塗布方法において、
積み重ねた前記液滴の頂部位置を検出する工程と、
検出した前記頂部位置に基づいて、前記光エネルギの付与位置を調整する工程とを有することを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の液滴塗布方法において、
前記液滴をそれぞれ吐出する複数のノズルと前記基板とを相対移動させながら前記液滴を塗布する工程を有し、
前記ノズルの配列ピッチに応じて、前記基板の相対移動速度と、前記液滴の吐出周波数とを同期させることを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項7】
請求項6記載の液滴塗布方法において、
前記光エネルギの照射分布を前記相対移動方向を長手方向とする長円形状とすることを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の液滴塗布方法において、
前記液滴は、光熱変換材料を含有することを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の液滴塗布方法により、前記基板に液滴を塗布することを特徴とする液滴塗布装置。
【請求項10】
一対の基板間に電気光学層を挟持してなり、柱状体を用いて製造される電気光学装置であって、
請求項1から8のいずれかに記載の液滴塗布方法により前記柱状体を形成することを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
請求項10記載の電気光学装置において、
前記柱状体は、前記基板に設けられ絶縁部を挟む第1導電部と第2導電部とを導通させる導通部を形成するためのマスク部と、前記一対の基板の間の隙間を形成するスペーサと、画素部の周囲を囲んで設けられた隔壁との少なくとも一つであることを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項10記載の電気光学装置において、
一対の電極を有し、
前記柱状体は、前記電極の一方に設けられ電子を放出する突起部であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
請求項10から請求項12のいずれかに記載の電気光学装置を表示部として備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数の液滴を吐出して基板に塗布する液滴塗布方法であって、
塗布した液滴に光エネルギを付与する工程と、
前記光エネルギを付与した液滴上に次の液滴を積み重ねて塗布する工程とを繰り返して行うことを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項2】
請求項1記載の液滴塗布方法において、
前記液滴を塗布してから前記光エネルギを付与するまでの時間は、吐出した前記液滴の表面エネルギに基づいて設定されることを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項3】
請求項2記載の液滴塗布方法において、
前記液滴が前記着弾部位で前記表面エネルギに応じて濡れ拡がる前に、前記光エネルギを付与することを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項4】
請求項2または3記載の液滴塗布方法において、
前記液滴の着弾部位の材質に応じて前記光エネルギの付与量を設定することを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の液滴塗布方法において、
積み重ねた前記液滴の頂部位置を検出する工程と、
検出した前記頂部位置に基づいて、前記光エネルギの付与位置を調整する工程とを有することを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の液滴塗布方法において、
前記液滴をそれぞれ吐出する複数のノズルと前記基板とを相対移動させながら前記液滴を塗布する工程を有し、
前記ノズルの配列ピッチに応じて、前記基板の相対移動速度と、前記液滴の吐出周波数とを同期させることを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項7】
請求項6記載の液滴塗布方法において、
前記光エネルギの照射分布を前記相対移動方向を長手方向とする長円形状とすることを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の液滴塗布方法において、
前記液滴は、光熱変換材料を含有することを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の液滴塗布方法により、前記基板に液滴を塗布することを特徴とする液滴塗布装置。
【請求項10】
一対の基板間に電気光学層を挟持してなり、柱状体を用いて製造される電気光学装置であって、
請求項1から8のいずれかに記載の液滴塗布方法により前記柱状体を形成することを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
請求項10記載の電気光学装置において、
前記柱状体は、前記基板に設けられ絶縁部を挟む第1導電部と第2導電部とを導通させる導通部を形成するためのマスク部と、前記一対の基板の間の隙間を形成するスペーサと、画素部の周囲を囲んで設けられた隔壁との少なくとも一つであることを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項10記載の電気光学装置において、
一対の電極を有し、
前記柱状体は、前記電極の一方に設けられ電子を放出する突起部であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
請求項10から請求項12のいずれかに記載の電気光学装置を表示部として備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−35184(P2006−35184A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223000(P2004−223000)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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