説明

液状低温射出成形方法

本発明の成形方法は、外側を加熱した金型を用いる低温且つ、液相の射出成形プロセスである。この成形プロセスは、比較的低コストの金型を使用することが可能であるので、限られた量の成形品生産には理想的に適している。本発明で使用される成形材料はキャリアおよびバインダの成分と粉末状ポリエチレンの成分との混合物である。キャリアおよびバインダの成分は非常に低い密度のポリエチレン、ワセリン、蝋状の炭化水素、液状炭化水素のオイル、あるいはそれらの混合物である。粉末状ポリエチレンの成分とは、微細に細分化されたポリエチレンで、好適には、少なくとも30以下の低い融解指数を有する超高分子量のものである。キャリアおよびバインダの成分は、典型的には、成形プロセスの射出温度において30,000センチポアーズに達する攪拌状態での粘度を有する、粘稠度のある練り歯磨き状のものでチクソトロピー(揺変性)混合物を生成するのに十分な量が使用される。そのプロセスは、外側が加熱された金型を用いるので、金型中心部を最小限に加熱するよう制御可能であり、それにより、成分中の温度感応要素にダメージを与えることなく金型内において当該成分を組み込むことを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、ポリエチレン用の低温液相射出成形方法に関する。
【0002】
2.従来技術の簡単な説明
熱可塑性プラスチック、特にポリエチレンは、回転成形、ブロー成形や射出成形を含む様々な成形工程に広く用いられている。これらプロセスの全ては、たとえば、回転成形、ブロー成形では強化壁領域を有する成形品を製造することができないとか、また、数量の限定された成形品を製造するためこのプロセスの利用を排除している射出成形装置のコスト高などのようないくつかの制約がある。
【0003】
有機系ポリジイソシアン酸塩やポリオールが反応用に金型キャビティ内へ射出される反応射出成形のようないくつかの特化した成形プロセスが特定の樹脂のために開発されている。他のプロセスとして、液状シリコンゴムと触媒とが混合され金型キャビティ内へ計量されるようにした液状射出成形がある。樹脂のトランスファー成形はもう一つのプロセスであり、このプロセスは、混ぜ合わされ、さらに、通常、予備成形した繊維強化物を入れた金型キャビティ内へ射出される2構成部材のエポキシ処方を用いる。これらの特化したプロセスは、金型内で反応し、硬化する熱硬化性樹脂を用いる。これまでのところ、熱可塑性樹脂、特にポリエチレン含有樹脂の、当該樹脂を固化するべく加熱した金型内への射出を、低温且つ液相で可能にするいかなるプロセスも開発されてこなかった。
【0004】
これまでは、ポリエチレンを低温の液相で射出成形するためのいかなる方法もなかったが、そのような方法があれば、特化した小容量の製造で、しかも電子部品のような温度感応要素をカプセル化した成形品のために有用な低コストの成形装置の利用を可能にするであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、融点以下の温度にて金型内へ押し出されることが可能なポリエチレン含有の成形材料を提供することにある。
【0006】
さらに、本発明の目的は、本発明の成形材料を用いる低温液相射出成形プロセスを提供することにある。
【0007】
さらに、本発明の目的は、ポリエチレン含有の成形材料の金型内での溶融および固化のために、加熱した金型を低圧下で利用するポリエチレン用の成形プロセスを提供することにある。
【0008】
同様に、本発明の目的は、従来の高温での圧縮射出成形プロセスにおいて用いられる金型よりも簡単化された設計でさらにより製作費の安価な金型を用いたポリエチレン成形プロセスを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、温度感応要素が成形部品の中心部に成形可能な固形部品のための成形プロセスを提供することにある。
【0010】
本発明の特定の目的は、高周波識別回路を、成形されるポリエチレン部品の中に封止するための方法を提供することにある。
【0011】
他の、そして関連する目的は、本発明の以下の記載から明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にて使用される成形材料は、キャリアおよびバインダの成分と、粉末状ポリエチレンの成分との混合物である。前記キャリアおよびバインダの成分は、非常に低密度のポリエチレン、ワセリン、蝋状の炭化水素、液状炭化水素のオイル、あるいはそれらの混合物である。粉末状ポリエチレンの成分とは、微細に細分化されたポリエチレンで、好ましくは、少なくとも30以下の低い融解指数を有する超高分子量のものである。成形材料は、練り歯磨きと同程度の粘稠度を有するチクソトロピックであり、典型的には、成形プロセスの射出温度で攪拌粘度が最高で30,000センチポアーズのものである。
【0013】
本発明の成形方法は、外部加熱された金型を用いる低温液相射出成形プロセスである。ここで用いられているように、「低温」とは、外気温より高い粉末状ポリエチレンの成分の溶融温度以下の温度として定義され、また、「固形」とは、所望により金型キャビティに配置されるインサートを含む成形材料で金型キャビティを満たすことによって用意の整った製造品として定義される。この成形プロセスは、比較的低コストの金型を使用可能なため、限定した数量の成形品製造に対し理想的に適合している。このプロセスは、外部加熱した金型を使用するので、成形品中心部の加熱を最小限にするよう制御可能であり、それによって、構成部材内の温度感応要素へダメージを与えることなく当該構成部材を成形品内部に組み込むことを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の成形プロセスは、粉末状ポリエチレンの成分とキャリアおよびバインダの成分との混合物を使用する。成形材料中に使用されるキャリアおよびバインダの成分の選択とその量は用途に応じて変化する。キャリアおよびバインダの成分は、粉末状ポリエチレンの成分の物理的特性を減少させるので、用途が対象とする方法に適合する最少量のキャリアおよびバインダの成分を使用することが望ましい。大部分の用途では、キャリアおよびバインダの成分の量は、40から60の重量パーセント、そして粉末状ポリエチレンの成分の量は、60から40の重量パーセントで使用される。
【0015】
粉末状ポリエチレンの成分は、完全且つ微細に細分化した超高分子量のポリエチレンであるか、または、最大で約70重量パーセントの低〜高密度のポリエチレンとすることができる。好適な、汎用の混合では、33から67重量パーセントが超高分子量(10−35×10重量MW)のポリエチレンであり、67から33重量パーセントが低〜高密度(0.91−0.98g/cc)のポリエチレンである。成形製品に高い物理的特性、例えば高い強度や靱性を有することが重要であるような用途においては、完全に粉末状のポリエチレンの成分用として、非常に高いか、または超高分子量のポリエチレンを使用することが好ましい。そのような粉末状ポリエチレンの成分は、さらに、粒子の大きさが40メッシュ未満で、低い融解指数の30未満、好適には20未満を有するべきである。
【0016】
(キャリアおよびバインダの成分)
キャリアおよびバインダの成分は、非常に低密度のポリエチレン、ワセリン、炭化水素ワックス、あるいはそれらの混合物のような、外気温度にて固体または半固体である。キャリアおよびバインダの成分は、その混合物が、低温射出成形プロセスの射出温度において攪拌によるブルックフィールド(Brookfield)粘度が30,000センチポアーズ未満、好適には、20,000センチポアーズ未満となるように十分な量が使用される。この粘度では成形材料が練り歯磨き程度の粘稠度を与える。ここで用いられるように、「低温」とは、粉末状ポリエチレンの成分の融点以下の温度であって、典型的には、華氏約250度未満の華氏65度から225度、好適には、華氏110度から200度と定義される。
【0017】
成形材料におけるキャリアおよびバインダの成分用に適する材料の例は、以下のいくつか、すなわち、非常に低密度のポリオレフィン、ワセリン、炭化水素ワックス、あるいはこれら構成要素の組み合わせを含む。キャリアおよびバインダの成分は、粉末状ポリエチレンの成分との混合を容易にするため、炭化水素の溶媒に可溶性であるか、または、水の中で直ぐに乳化可能であるべきである。
【0018】
非常に低密度のポリエチレンは、好ましいキャリアおよびバインダの成分である。
非常に低密度のポリエチレン(密度が0.85から0.90グラム/立方センチメートル)は、選択された高分子の投入を最も多く受け入れることが可能であるので、非常に適合している。しかしながら、いくつかの用途では、成形材料を軟化させ、射出用の柔軟性を与えるためにキャリアおよびバインダの成分を最大で約50重量パーセントの量使用することができる。
【0019】
炭化水素ワックスもまたキャリアおよびバインダの成分として使用することができる。適合するワックスの例として、天然ワックス、パラフィンワックス、合成ワックス、微晶質ワックス等が含まれる。微晶質ワックスは、高いパラフィン系の石油原料からワックスを抽出するのに使用する溶媒から結晶化した石油ワックスを精製したものである。
【0020】
パラフィンワックスは、限定量の枝鎖状パラフィン、単環式および多環式パラフィンで16から38の炭素を有し、主として、n−パラフィン炭化水素から構成されている。
【0021】
合成炭化水素ワックスは、エチレンやプロピレンのような炭化水素オレフィンの重合や共重合により得られる。典型的には、これら合成ワックスは、400から約3000の分子量であって狭い分子量分布を有する。
【0022】
成形材料は、ポリエチレンとキャリアの構成部材を密に混合することで準備される。これは、ポリエチレンの構成部材の融点以下の上昇温度、典型的には華氏125度から225度に加熱し、さらにその上昇した温度で混合することでその熱せられた構成部材を融合することにより遂行される。
【0023】
一方、キャリアおよびバインダの成分は、揮発性溶媒中で溶解されるかまたは、必要に応じ、ポリマー粒子との密な混合および接触を遂行するため界面活性剤を用いて水中で乳化されることが可能である。溶媒と水は、その後、射出成形に適するキャリアおよびバインダの成分の乾燥した混合物を得るため蒸発することができる。35から85重量パーセントの固体の内容物を有する溶液と水性の乳濁液を使用することが可能である。好適には、蒸発することとなる溶媒または水の量を最小にするために、安定状態で直ぐに混合可能な最大の固形含有物を有する溶液または乳濁液が使用される。
【0024】
(他の構成部材)
成形材料はまた、最低射出温度、典型的には華氏95度から125度において所望の粘稠度を提供するため少量の炭化水素の鉱油を含むよう策定されることが可能である。
適合する鉱油の例には、液体の脂肪族炭化水素樹脂、鉱油、好適には白色鉱油、水素処理された芳香族樹脂、テルペン、およびパラフィン系オイルが含まれる。
【0025】
適合する脂肪族炭化水素樹脂の例には、外気温度でブルックフィールド粘度が15,000から45,000センチポアーズ、さらに分子量が500から900を有するC−5石油炭化水素樹脂がある。
【0026】
適合する鉱油の例として、高度に精製された揮発性の低いオイルで、飽和脂肪族と平均分子量が500から750を有する脂環式無極性炭化水素とを混合したものである。
【0027】
水素処理された芳香族樹脂の例としては、約800から1000の低分子量を有するもの、および、約15から60の軟化点をもつ石油原料の水素処理により得られるもの、がある。適合するテルペン樹脂は、軟化点が華氏70度から248度のポリ−ベータピネンから得ることが可能である。
【0028】
有用なパラフィンオイルは、華氏約500度から1000度の蒸留範囲で、65から95パーセントの飽和炭化水素および6から30パーセントの芳香族化合物を有する。
【0029】
所望するならば、成形材料の硬化を増すために、銅やアルミニウム粉末または金属でコーティングしたガラスビーズのような熱導電体を成形材料中に3から20重量パーセントの量だけ添加することができる。成形製品の高い強度を得るため、さらに、有機過酸化物のようなポリエチレン用架橋剤を、ポリエチレンの成分の0.1から5重量パーセントの量だけ添加することも可能である。
【0030】
また、固形物をより美しくするものとして種々の着色剤を使用することが可能であり、それにより所望の外観を与える。有用な着色剤には、二酸化チタン(ルチル、アナターゼ)、酸化亜鉛、黄色、黄褐色、褐色、茶色、サーモンおよびブラックのような色調の鉄酸化物、明るい黄色から赤いオレンジ色用の鉄クロム酸化物およびモリブデン酸塩、クロム酸鉛、硫酸鉛、モリブデン酸鉛、クロムイエローおよびオレンジ、黄色、オレンジ、赤、および純粋のカドミウム色または硫化バリウム(リトポン)を有するもののような栗色など様々な色のカドミウム顔料、水銀カドミウムの混合物、硫化カドミウム、硫セレン化カドミウム、ニッケルと二酸化チタンの混合物、ナトリウム、カリウム、または、フェリ−フェロシアン酸塩、群青(カオリン、ナトリウム炭酸塩、シリカ、硫黄および還元剤の混合物を加熱酸化して砕け易くしたもの)、コバルトアルミン酸塩、(コバルトブルー)、酸化クロム、アルミニウム、亜鉛、銅、ブロンズの粉末のような金属破片顔料、金属銀顔料、塩基性炭酸鉛のパーライトおよびイリジウム破片、ビスマスオキシ塩およびチタン被覆した雲母、等の無機系の顔料が含まれる。有用な、さまざまな有機系の顔料として、ベンゾイミダゾール顔料、ピラゾロン顔料、銅フタロシアニン、キナクライド、アントラキノン、圧縮顔料、四−チオロ−イソインドリーズ、カーボンブラック等のようなアゾ系顔料を含む。
【0031】
いくつかの用途においては、成形材料はさらに、1から10重量パーセントの、切断したガラス繊維のような強化繊維、カーボン、ポリエステルや、ベントナイト、シリカ等のナノメータサイズの無機増量剤を装填することが可能である。
【0032】
また、ヒンダードアミンのような紫外線安定剤が、所望により、供給側の推奨に対応して、典型的には、成形材料の0.1から約2重量パーセントの濃度で含むようにすることが可能である。
【0033】
多孔または発泡性の製品を形成するため成形材料に含有可能な他の材料には、従来から成形樹脂に使用されていた様々な化学的、物理的発泡剤が含まれ、その中には、アゾジカーボンアミド、活性のトルエンスルフォニルセミカルバジド、および他の独自仕様の吸熱性および排熱性発泡剤がある。これら発泡剤は、供給者側の推奨する、通常、成形材料の0.25から5重量パーセントの濃度で使用される。
【0034】
半固体状のキャリアおよびバインダの構成部材および添加物用に使用される材料は、成形品にキズができるのを避けるため明るい色を有すべきであり、さらに、高熱および紫外線安定性を有すべきである。
【0035】
低温射出成形プロセスにおける成形材料およびその使用は、以下の特定の例により説明される。
【実施例1】
【0036】
第1の成形材料は、30重量割合の非常に低密度のポリエチレン(0.88g/cc)と、70重量割合のポリエチレンで且つ、67割合の超高分子量のポリエチレンおよび33割合の高密度ポリエチレンの成分とを一緒に混合することにより用意される。その成形材料は、華氏180度で20,000センチポアーズの攪拌粘度を有する。
【0037】
第2の成形材料は、40重量割合の高密度のポリエチレンワックスと、60重量割合のポリエチレンで且つ、67割合の超高分子量のポリエチレンおよび33割合の高密度ポリエチレンの成分とを一緒に混合することにより用意される。その成形材料は、華氏175度で練り歯磨き程度の粘稠度を有する。
【実施例2】
【0038】
第1の成形材料は、低温射出成形プロセスにおいて使用される。金型は、厚さ0.125インチのアルミ製シートメタルから形成された2個の部分金型である。金型が閉じられ、第1の成形材料が華氏185度に加熱され金型に充填するため当該金型内へ射出される。射出口は閉じられており、金型は外部を華氏350度に加熱され数分間その温度に保持され、その後、冷却されそして、金型が開かれる。成形されたポリエチレン部品が排出され物理特性のテストがなされる。その部品は、従来の高温、高圧射出成形により用意された部品と同程度の物理特性有することが判明した。
【実施例3】
【0039】
第2の成形材料は、低温射出成形プロセスにおいて使用される。金型は、小さなブラケットに沈み彫りパターンを有するキャビティを形成するため、CNC(コンピュータ数値制御)マシーンを用いてアルミブロックを刻むことにより形成される2個の部分金型である。この金型が閉じられ、第2の成形材料で金型を充填するため、華氏190度で金型キャビティへ射出される。金型に充填されるとき、その金型は華氏365度の温度に加熱され、およそ3分間その温度に保持される。その後、金型は冷却され開かれ、成形されたポリエチレンのブラケットが排出される。
【0040】
実施例2、3で使用されるように、低温成形プロセスは、シート原料または固形のアルミ原料から製作される比較的安価な金型を用いてポリエチレン成形部品の製作を可能にし、それにより、プロトタイプの製作あるいは、テストマーケッティングや他の目的のため限定数量部品の生産工程用としてポリエチレン部品の成形を可能にするものである。
【0041】
製造可能なブラケットの実施例にはカヤック上の外部付属物として有用ないくつかのブラケットがある。これらはカヤックへベルトやストラップを装着するための平坦な溝を有するブラケット、あるいは、細紐またはケーブルを受け入れる円形のループを有するブラケットである。これらは、予備成形されたカヤックに熱融合により固着することが可能であり、あるいはまた、カヤックを製作するのに用いる回転金型の中へ挿入することが可能であり、そこでは、ブラケットはカヤックの壁の中へ融合されるようになるのである。
【実施例4】
【0042】
第2の成形材料は他の低温射出成形プロセスにおいて使用される。そのプロセスでは、温度感応要素(RFIDチップ)がポリエチレン部品の中へ成形される。このRFID回路は、熱硬化性樹脂で形成されたプラスチック製ディスクの中に包まれたチップを囲む銅のコイルからなる。RFID回路のマイクロチップにダメージを与えないでそのディスクを加熱できる最大の温度は、華氏300度である。
【0043】
射出装置は、華氏195度の制御された射出温度に調整される内部電気ヒータを有する変形された熱い接着剤射出用の銃からなる。この銃は、内側のプランジャと押出し用ノズルを備えたメタルスリーブから形成した取り外し可能なカートリッジを備えている。また、この銃は、圧縮されたエアーチャンバーと、カートリッジの含有物を押出すためカートリッジのプランジャに空気圧を加えるトリガー機構を備えている。前記装置はまた、カートリッジが格納され制御射出温度に余熱可能なキャビティを有するステージング炉を備えている。
【0044】
第2の成形材料は、内側寸法が射出装置のメタルスリーブの内側寸法に適合したダンボール製円筒容器の中へ鋳込まれる。使用時は、作業者がダンボール製容器を成形材料の円柱コアから剥がし、成形材料のコア部分を射出装置のメタルカートリッジの中へ挿入し、そして、制御された射出温度に充填されたカートリッジを予熱するためステージング炉の中へ当該カートリッジを配置する。
【0045】
製品の容器またはパレット上で融合可能である小さな円筒状プラグの中にRFIDチップを鋳込むことが望ましい。この目的のため、厚さがほぼ0.566インチで、円筒状金型キャビティを形成するため1個以上の、直径がほぼ1インチの円筒状の孔を有するベースプレートおよび中間プレートを備えた安価な金型が形成される。各々のキャビティは、中間プレートの中に加工されたベントポートを有する。各々の円筒状キャビティと連通している射出ポートを備えた頂部プレートにて金型アセンブリが整う。
【0046】
RFIDディスクは、各キャビティの中心部に配置され、3/32インチのポリエチレン立方体上に載っている。金型が閉じられ、そして、金型キャビティを充填するため、華氏190度の温度で成形材料が金型の中へ射出される。金型は、その後、壁の温度が華氏375度まで外側を加熱されそして、その温度に3分間保持され、その後、冷却され、開かれ、そして、各々が直径1インチで厚さ5/16インチの成形された円筒状プラグが回収される。プラグ内のRFID回路はテストされ、そして十分機能するものであることが判明する。
【0047】
成形プラグは、プラグと容器またはパレットとの合わせ面をポリエチレンの融点まで加熱し、それによりプラグを容器またはパレットに溶融させることによって、ポリエチレン容器またはパレットに永久固着されることが可能となる。いくつかの用途において、RFID回路を有するプラグは、容器またはパレットのようなポリエチレン製部品の製作のため回転金型内部に配置されることが可能であり、当該回転金型はその部品を回転成形している間にその部品の壁の中へ恒久的に溶融させる。そのような用途においては、プラグが回転成形プロセスの間に硬化されるので、成形プラグを予備硬化させる必要はない。
【0048】
第2の実験において、前述の実施例で用意されるバーコードラベルが上側成形プレートの内側の壁に貼り付けられ、そして、実施例の低温射出成形方法が、それらの表面に取り外せないよう貼り付けられたバーコードラベルを有する円筒状プラグを用意するために、繰り返されるのである。プラグは、その後、取り外せないように、ポリエチレン容器またはパレットに貼り付けられ、その後にバーコードおよびRFID情報を有するパレットを得るため当該実施例の処理が続くのである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン樹脂用の低温射出成形方法であって、:
a.ポリエチレンの溶融温度以下の射出温度で30,000センチポアーズ未満の攪拌粘度を与えるのに十分な65〜45重量割合の、非常に低密度のポリエチレン、ワセリン、炭化水素ワックスおよびそれら混合物からなるグループから選択されたキャリアおよびバインダの成分で混ぜ合わされている、超高分子量のポリエチレンからなる45〜65重量割合のポリエチレン粉末の成分の混合物からなる成形材料を、前記射出温度で金型へ射出する工程と、
b.前記ポリエチレン粉末の成分を溶融するために十分な時間、前記ポリエチレン粉末の成分の溶融温度以上の温度に前記金型を加熱する工程と、
c.約華氏75度〜145度の排出温度まで前記金型を冷却する工程と、
d.前記金型を開き成形されたポリエチレン部品を排出する工程とからなるポリエチレン樹脂用の低温射出成形方法。
【請求項2】
前記ポリエチレン粉末の成分はまた、70重量パーセントの低から高密度のポリエチレンである請求項1記載の低温射出成形方法。
【請求項3】
前記ポリエチレン粉末の成分は、33〜67パーセントの超高分子量のポリエチレンと、67〜33重量パーセントの低から高密度のポリエチレンとの混合である請求項2記載の低温射出成形方法。
【請求項4】
前記キャリアおよびバインダの成分は、0.5〜5重量パーセントの液状脂肪族炭化水素樹脂、鉱油、水素処理された芳香族樹脂およびテルペン、パラフィン油ならびにそれらの混合物からなるグループから選択されたキャリアである請求項1記載の低温射出成形方法。
【請求項5】
前記キャリアおよびバインダの成分は、非常に低密度のポリエチレンからなる請求項1記載の低温射出成形方法。
【請求項6】
前記キャリアおよびバインダの成分は、ワセリンからなる請求項1記載の低温射出成形方法。
【請求項7】
前記キャリアおよびバインダの成分は、炭化水素ワックスからなる請求項1記載の低温射出成形方法。
【請求項8】
前記キャリアおよびバインダの成分は、0.5〜5重量パーセントの液状脂肪族炭化水素樹脂からなる請求項1記載の低温射出成形方法。
【請求項9】
射出金型内で形成される成形ポリエチレン部品の中に温度感応要素を組み込むための低温射出成形方法であって、
a.前記金型の内部にある温度感応要素を前記金型の内壁から間隙を介した位置に配置する工程、
b.ポリエチレンの溶融温度以下の射出温度で30,000センチポアーズ未満の攪拌粘度を与えるのに十分な65〜45重量割合の、非常に低密度のポリエチレン、ワセリン、炭化水素ワックスおよびそれら混合物からなるグループから選択されたキャリアおよびバインダの成分で混ぜ合わされている、超高分子量のポリエチレンからなる45〜65重量割合のポリエチレン粉末の成分の混合物からなる成形材料を、前記射出温度で金型へ射出する工程、
b.前記ポリエチレン粉末の成分を溶融するために十分な時間、前記ポリエチレン粉末の成分の溶融温度以上の温度に前記金型を加熱する工程、
c.約華氏75度〜145度の排出温度まで前記金型の外側を冷却する工程、
d.前記金型を開き、前記温度感応要素を含む成形されたポリエチレン部品を排出する工程からなる低温射出成形方法。
【請求項10】
前記温度感応要素は電子回路である請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記電子回路は温度感応マイクロチップである請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記電子回路は高周波識別回路である請求項11記載の方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法で用意された成形品をポリエチレン対象物の表面に対向させて配置し、さらにその表面と前記成形品を、前記成形品が前記ポリエチレン対象物の表面の中へ融合するのに十分な時間、ポリエチレンの溶融温度に加熱することによって、前記高周波識別回路をポリエチレンで組み込む方法。

【公表番号】特表2009−502553(P2009−502553A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522837(P2008−522837)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/027292
【国際公開番号】WO2007/015740
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(508020616)
【Fターム(参考)】