温度補償バイアス回路、高周波増幅器及び高周波減衰器
【課題】負電圧で動作可能であり、かつ出力電圧の温度変化が大きな特性が得られる温度補償バイアス回路を提供する。
【解決手段】プラス側電圧印加端子3にドレイン端子が接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧Vth付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧Vgsが印加されるトランジスタ4と、一端がトランジスタ4のソース端子に接続し、他端が抵抗6の一端に接続するダイオード5と、一端が抵抗6の他端に接続すると共に、他端がマイナス側電圧印加端子1に接続し、トランジスタ4のゲート端子が抵抗6との接続部に接続する抵抗7と、ダイオード5と抵抗6との接続部に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子2とを備えた。
【解決手段】プラス側電圧印加端子3にドレイン端子が接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧Vth付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧Vgsが印加されるトランジスタ4と、一端がトランジスタ4のソース端子に接続し、他端が抵抗6の一端に接続するダイオード5と、一端が抵抗6の他端に接続すると共に、他端がマイナス側電圧印加端子1に接続し、トランジスタ4のゲート端子が抵抗6との接続部に接続する抵抗7と、ダイオード5と抵抗6との接続部に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子2とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温度補償バイアス回路、これを用いた高周波増幅器及び高周波減衰器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高周波増幅器では、トランジスタの特性が温度によって変動することを主要因として利得が変化するという問題がある。例えば、GaAsFET(Field effect transistor)やHEMT(High Electron Mobility Transistor)などのトランジスタを増幅素子として用いた増幅器においては温度が高くなると利得が減少する。この場合、増幅器のゲートバイアス電圧を温度に対して変化させ、具体的には温度が高くなるほどゲートバイアス電圧を高くしてドレイン電流が多く流れるバイアス条件で利得を高めることにより、温度に対する利得変化を抑えている。この利得の温度補償を高周波増幅器に適用するには、温度が高くなるにつれてゲートに印加する出力電圧が高くなる温度補償バイアス回路が必要となる。
【0003】
また、FETを用いた高周波減衰器の回路においては、温度が高くなるにしたがって、減衰量が減少する特性が求められている。直列及び並列にFETを挿入して減衰回路を構成する場合、温度の上昇に伴って直列に挿入したFETの内部抵抗が減少し、並列に挿入されたFETの内部抵抗が増加すれば、減衰量が減少する特性が得られる。したがって、減衰器に用いる温度補償バイアス回路としては、直列FETと並列FETとが温度に対して出力電圧が逆の変化をする必要がある。つまり、減衰器では、温度が高くなるにしたがってゲートに印加する出力電圧が高くなる温度補償バイアス回路だけでなく、温度の上昇に伴って出力電圧が低くなる温度補償バイアス回路が必要となる。
【0004】
例えば、特許文献1には、温度が高くなるとダイオードの端子間の電圧が低くなることを利用して、温度上昇に対して出力電圧が低くなる特性を持たせた温度補償バイアス回路(以下、従来例1と称す)が開示されている(特許文献1の第6頁〜第7頁、第7図〜第10図参照)。さらに、この特許文献1は、FETのゲートバイアス電圧が閾値電圧付近であるとき、温度上昇に伴ってドレイン電流が増加することを利用して、温度が高くなると出力電圧が低くなる特性を持たせた温度補償バイアス回路(以下、従来例2と称す)を開示している(特許文献1の第8頁〜第9頁、第11図〜第13図参照)。
【0005】
また、特許文献2に開示されるバイアス回路(以下、従来例3と称す)では、温度が高くなるとFETのゲートバイアス電圧が負に大きくなってドレイン電流を減少させる方向に変化することを利用して、温度が高くなると出力電圧が低くなる特性を得ている。さらに、特許文献2ではダイオードの温度特性を組み合わせて温度が高くなると出力電圧が低くなる特性を得ている(例えば、特許文献2の第3頁〜第6頁、第1図〜第7図参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−320242号公報
【特許文献2】特開2003−60444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の温度補償バイアス回路では、負電圧のみで動作させると出力電圧の温度変化を大きくすることができないという課題があった。具体的に説明すると、従来例1の温度補償バイアス回路では、特許文献1の第9図に示されるようにダイオードを多段化して出力電圧の温度変化を大きくしている。このようにダイオードを多段に構成すると、バイアス回路の出力電圧の設定値があまり低くない場合、ダイオードのプラス側に正電圧を印加する必要がある。つまり、負電圧のみで動作させようとすると、ダイオードの段数が制限されて出力電圧の温度変化を大きくすることができない。
【0008】
また、従来例2の温度補償バイアス回路では、上述したように閾値電圧付近のゲートバイアス電圧VgのFETが温度上昇に伴い電流が増加する特性を利用する。ここで、特許文献1の第11図に示される従来例2の回路では、FET20に流れる電流をIdsとし、分圧回路に印加する電源電圧をVg11、抵抗19の抵抗値をRとすると、その出力電圧は、Vg=Vg11+Ids×Rで与えられる。従って、出力電圧Vgは電流Idsが増えたことによる抵抗19の電圧降下分だけ高くなる。しかしながら、FET20のゲート−ソース間の電圧Vgsは、Vgs=−Ids×Rで与えられるため、上述のようにドレイン電流Idが増加すると、これに伴って電圧Vgsが深くなりドレイン電流Idsの流れが抑えられる。これにより、出力電圧Vgの温度変化を大きくすることができない。
【0009】
さらに、特許文献2の第12図に示す回路のように第11図の回路を多段に接続した場合は、従来例1と同様に第12図中の電源Vg10として正電圧を印加する必要がある。つまり、負電圧のみで動作させる構成では、FETを用いた回路の段数が制限され、その出力電圧の温度変化を大きくすることができない。
【0010】
従来例3の温度補償バイアス回路では、特許文献2の第1図〜第4図に示されるいずれの回路構成においても、FET43のドレイン電流Idsにより発生するドレイン側の抵抗47における電圧降下で出力電圧が与えられるため、温度上昇に伴ってドレイン電流Idsが減少すると出力電圧も低くなる。特に、第2図〜第4図の回路では、温度が高くなると、ダイオードの両端電圧が低くなることを利用して、温度上昇に伴ってFETのゲート−ソース間の電圧Vgsを浅くすることによりドレイン電流を増加させ、その出力電圧の温度変化を大きくしている。このように特許文献2に開示される従来例2では、その動作に負電圧を必要としていない。このため、従来例2では、特許文献2の第6図に示すように、出力電圧の温度変化が0.07V/100℃程度しか得られず、大きな温度変化を得ることはできない。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、負電圧で動作可能であり、かつ出力電圧の温度変化が大きな特性が得られる温度補償バイアス回路、これを用いた高周波増幅器及び高周波減衰器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る温度補償バイアス回路は、プラス側電圧印加端子と、マイナス側電圧印加端子と、ドレイン端子がプラス側電圧印加端子に接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧が印加される電界効果トランジスタと、電界効果トランジスタのソース端子と第1の抵抗との間で順方向になるように、一端が電界効果トランジスタのソース端子に接続し、他端が第1の抵抗の一端に接続するダイオードと、一端が第1の抵抗の他端に接続すると共に、他端がマイナス側電圧印加端子に接続し、電界効果トランジスタのゲート端子が第1の抵抗との接続部に接続する第2の抵抗と、ダイオードと第1の抵抗との接続部に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子とを備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、プラス側電圧印加端子と、マイナス側電圧印加端子と、ドレイン端子がプラス側電圧印加端子に接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧が印加される電界効果トランジスタと、電界効果トランジスタのソース端子と第1の抵抗との間で順方向になるように、一端が電界効果トランジスタのソース端子に接続し、他端が第1の抵抗の一端に接続するダイオードと、一端が第1の抵抗の他端に接続すると共に、他端がマイナス側電圧印加端子に接続し、電界効果トランジスタのゲート端子が第1の抵抗との接続部に接続する第2の抵抗と、ダイオードと第1の抵抗との接続部に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子とを備えたので、負電圧で動作可能であり、かつ出力電圧の温度変化が大きな特性が得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による温度補償バイアス回路の構成を示す回路図である。図1において、実施の形態1による温度補償バイアス回路101は、マイナス側電圧印加端子1、出力電圧端子2及びプラス側電圧印加端子3を有し、トランジスタ4、ダイオード5及び抵抗6〜9を備える。この回路において、マイナス側電圧印加端子1は、抵抗(第2の抵抗)7の一端と接続しており、抵抗7の他端は抵抗(第1の抵抗)6に接続している。また、ダイオード5は、トランジスタ4のソース端子と抵抗6の抵抗7側でない他端との間に順方向に接続され、このダイオード5と抵抗6との接続部に出力電圧端子2が接続する。
【0015】
トランジスタ4は、GaAsFETやHEMTなどが用いられ、抵抗(第4の抵抗)9とドレイン端子が接続し、ゲート端子が抵抗(第3の抵抗)8と接続している。抵抗8は、一端がトランジスタ4のゲート端子に接続し、他端が抵抗6と抵抗7との接続部に接続している。また、プラス側電圧印加端子3は、抵抗9のトランジスタ4側でない端部と接続することにより、抵抗9を介してトランジスタ4のドレイン端子と接続している。
【0016】
次に動作について説明する。
図2は、図1中のトランジスタの様々な温度におけるドレイン電流のゲート−ソース間電圧依存性を示すグラフであり、温度Tが常温での特性を実線で示しており、温度Tが低温である場合を一点破線、温度Tが高温の場合を二点破線で示している。図2に示すように、ドレイン電流Idsが多く流れるゲート−ソース間電圧Vgsの領域では温度が高くなるにつれて飽和ドレイン電流が減少するため、ドレイン電流Idsは減少する。一方、トランジスタ4の閾値電圧Vth付近のVgs領域では、温度が高くなるにつれて閾値電圧Vthが低くなることから、温度が高くなるにつれてドレイン電流Idsが増加する。つまり、図2中に破線で示した電圧を境に、ドレイン電流Idsが温度に対して増加する特性と減少する特性が切り替わる。
【0017】
そこで、本発明による温度補償バイアス回路101では、トランジスタ4の閾値電圧Vth付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧Vgsが印加されるように抵抗6の値R1aが設定される。また、抵抗7は、後述の式(1)に従って出力電圧Voutを所望の値にするために抵抗値R2aが設定され、抵抗8及び抵抗9は電圧の安定化のために抵抗値R3a,R4aが設定される。なお、本発明において、トランジスタ4に印加される閾値電圧Vth付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧Vgsは、図2に示すような温度が高くなるにつれてドレイン電流Idsが増加する傾向を示す閾値電圧Vth付近の電圧範囲である。
【0018】
温度補償バイアス回路101の出力電圧Voutは、マイナス側電圧印加端子1に印加する負電圧値をVgc1とすると、下記式(1)で与えられる。従って、トランジスタ4に流れるドレイン電流Idsは温度が高くなるにつれて増加し、出力電圧Voutが温度上昇に伴って増加する。
Vout=Vgc1+(R1a+R2a)×Ids ・・・(1)
【0019】
また、ドレイン電流Idsは、トランジスタ4の温度特性に加えて、トランジスタ4のゲート−ソース間の電圧Vgsの値にも依存する。従来例2のバイアス回路では、温度上昇に伴ってトランジスタを流れるドレイン電流が増加する特性を有するが、セルフバイアス効果によってトランジスタのゲート−ソース間電圧が深くなり、ドレイン電流Idsが抑えられ、出力電圧の大きな温度変化を得ることができなかった。
【0020】
これに対して、実施の形態1による温度補償バイアス回路101では、トランジスタ4のゲート−ソース間電圧Vgsを決定する抵抗の一部をダイオード5に置き換えている。このように、ダイオード5の端子間電圧が温度上昇に伴って低くなる特性を有するので、トランジスタ4のゲート−ソース間電圧Vgsは。温度が高くなるにつれて従来例2より浅くなり、従来例2の回路と比較してドレイン電流Idsを格段に増加させることができる。これにより、出力電圧Voutの大きな温度変化を実現できる。
【0021】
なお、温度補償バイアス回路101を負電圧のみで動作させる場合、プラス側電圧印加端子3を接地し、プラス側電圧印加端子3を介して印加される電圧値Vgs2を0Vとすればよい。この構成で、ダイオード5一つ分の端子間電圧の値をVdiodeとすると、−Vdiode以下の設定電圧であれば、出力電圧Voutとして設定可能であり、負電圧のみで温度補償バイアス回路101を実現可能である。
【0022】
図3は、図1中の温度補償バイアス回路における温度−出力電圧特性を示すグラフであり、Vgc1を−5V、Vgc2を0V(接地)、抵抗6の値R1aを1.5kΩ、抵抗7の値R2aを3.5kΩ、抵抗8の値R3aを100Ω、抵抗9の値R4aを100Ωとした場合における出力電圧Voutの温度依存性の計算結果を示している。図3に示すように、温度補償バイアス回路101では、常温での出力電圧Voutが−1.4V程度の設定になる場合、温度変化100℃あたり約+0.6Vの出力電圧Voutの変化が得られる。
【0023】
従来例1の温度補償バイアス回路を2段のダイオードで構成した場合及び従来例2の温度補償バイアス回路を、上述と同様の印加電圧とし、かつ常温での出力電圧Voutが−1.4V程度の設定電圧になるようにした場合の出力電圧の温度変化を計算した。この結果、いずれの回路構成においても、温度変化100℃あたり約+0.2V程度の出力電圧しか得ることができなかった。
【0024】
以上のように、この実施の形態1によれば、プラス側電圧印加端子3と、マイナス側電圧印加端子1と、ドレイン端子がプラス側電圧印加端子3に接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧Vth付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧Vgsが印加されるトランジスタ4と、トランジスタ4のソース端子と抵抗6との間で順方向になるように、一端がトランジスタ4のソース端子に接続し、他端が抵抗6の一端に接続するダイオード5と、一端が抵抗6の他端に接続すると共に、他端がマイナス側電圧印加端子1に接続し、トランジスタ4のゲート端子が抵抗6との接続部に接続する抵抗7と、ダイオード5と抵抗6との接続部に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子2とを備えたので、従来の温度補償バイアス回路と比較して、負電圧のみで動作可能であり、かつ出力電圧の大きな温度変化を得ることができる。
【0025】
なお、上記実施の形態1で示した図1では、トランジスタ4のドレイン端子が抵抗9を介してプラス側電圧印加端子3に接続する構成を示したが、トランジスタ4のドレイン端子がプラス側電圧印加端子3に直接接続した構成であってもよい。
【0026】
また、上記実施の形態1で示した図1では、トランジスタ4のゲート端子が抵抗8を介して抵抗6と抵抗7の間に接続する構成を示したが、トランジスタ4のゲート端子が抵抗6と抵抗7の間に直接接続した構成であってもよい。
さらに、トランジスタ4のドレイン端子をプラス側電圧印加端子3に直接接続し、トランジスタ4のゲート端子を抵抗6と抵抗7の接続部に直接接続した構成であってもよい。
【0027】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2による温度補償バイアス回路の構成を示す回路図である。図4において、実施の形態2による温度補償バイアス回路102は、マイナス側電圧印加端子1、出力電圧端子2及びプラス側電圧印加端子3を有し、トランジスタ4、ダイオード5及び抵抗10〜13を備える。この回路において、マイナス側電圧印加端子1は、抵抗(第2の抵抗)11の一端に接続しており、抵抗11の他端は抵抗(第1の抵抗)10に接続している。また、ダイオード5は、トランジスタ4のソース端子と抵抗10の抵抗11側でない他端との間に順方向に接続される。ここで、実施の形態2による温度補償バイアス回路102では、上記実施の形態1と異なり、出力電圧端子2がトランジスタ4のドレイン端子と抵抗13との接続部に接続する。
【0028】
なお、トランジスタ4には、上記実施の形態1と同様にGaAsFETやHEMTなどが用いられ、出力電圧端子2及び抵抗(第4の抵抗)13とドレイン端子とが接続し、ゲート端子が抵抗(第3の抵抗)12と接続している。抵抗12は、一端がトランジスタ4のゲート端子に接続し、他端が抵抗10と抵抗11との接続部に接続している。また、プラス側電圧印加端子3は、抵抗13のトランジスタ4側でない端部と接続することにより、抵抗13を介してトランジスタ4のドレイン端子と接続している。
【0029】
次に動作について説明する。
実施の形態2による温度補償バイアス回路102では、上記実施の形態1で示した図1の回路構成と異なり、出力電圧Voutの取り出し位置である出力電圧端子2が、トランジスタ4のドレイン端子と抵抗13との接続部になっている。このように構成することで、上記実施の形態1と同様に、温度が高くなるにつれてトランジスタ4のドレイン電流Idsが大幅に増加する特性を得ることができる。
【0030】
ただし、この構成では、トランジスタ4のドレイン端子と抵抗13との接続部を介して出力電圧Voutが出力されるため、抵抗13による電圧降下の影響を考慮する必要がある。これにより、バイアス回路102の出力電圧Voutは、プラス側電圧印加端子3に印加する正電圧値をVgc2とし、抵抗13の値をR4bとすると、下記式(2)で与えられる。下記式(2)では、トランジスタ4を流れるドレイン電流Idsが増加すると、出力電圧Voutは低くなる特性を示す。一方、上記実施の形態1と同様に、バイアス回路102の温度特性は、トランジスタ4とダイオード2で与えられるため、出力電圧Voutの大きな温度変化を得ることができる。
Vout=Vgc2−R4b×Ids ・・・(2)
【0031】
図5は、図4中の温度補償バイアス回路における温度−出力電圧特性を示すグラフであり、Vgc1を−5V、Vgc2を0V(接地)、抵抗10の値R1bを1.5kΩ、抵抗11の値R2bを0.5kΩ、抵抗12の値R3bを100Ω、抵抗13の値R4bを1.9kΩとした場合における出力電圧Voutの温度依存性の計算結果を示している。図5に示すように、バイアス回路102では、上記実施の形態1と異なり温度上昇に伴って出力電圧Voutの値が下がる特性を有し、常温での出力電圧Voutが−1.4V程度の設定になる場合、温度変化100℃あたり約−0.25Vの出力電圧Voutの変化が得られる。
【0032】
以上のように、この実施の形態2では、プラス側電圧印加端子3と、マイナス側電圧印加端子1と、一端がマイナス側電圧印加端子1に接続する抵抗10と、抵抗10の一端にゲート端子が接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧Vth付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧Vgsが印加されるトランジスタ4と、トランジスタ4のソース端子と抵抗10との間で順方向になるように、一端が抵抗10の他端に接続し、他端がトランジスタ4のソース端子に接続するダイオード5と、一端がトランジスタ4のドレイン端子に接続すると共に、他端がプラス側電圧印加端子3に接続する抵抗13と、トランジスタ4のドレイン端子に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子2とを備えたので、温度が高くなるにつれて出力電圧が下がる特性を負電圧のみで実現可能であり、かつ出力電圧の大きな温度変化を得ることができる。
【0033】
なお、上記実施の形態2で示した図4では、抵抗11を介して抵抗10とマイナス側電圧印加端子1とが接続する場合を示したが、抵抗10とマイナス側電圧印加端子1とが直接接続した構成であってもよい。
【0034】
また、上記実施の形態2で示した図4では、トランジスタ4のゲート端子が抵抗12を介して抵抗10と抵抗11の間に接続する構成を示したが、トランジスタ4のゲート端子が抵抗10と抵抗11の間に直接接続した構成であってもよい。
さらに、トランジスタ4のゲート端子が抵抗10と抵抗11の間に直接接続し、抵抗10とマイナス側電圧印加端子1を直接接続した構成であってもよい。
【0035】
実施の形態3.
この実施の形態3は、出力電圧端子や抵抗回路に設けたスイッチの切り替えにより、所望の出力電圧を選択することができる温度補償バイアス回路を示している。
図6は、この発明の実施の形態3による温度補償バイアス回路の構成を示す回路図であり、図6(a)は実施の形態3による温度補償バイアス回路の一例を示し、図6(b)は抵抗回路の他の構成例を示している。図6(a)において、実施の形態3による温度補償バイアス回路103は、マイナス側電圧印加端子1、出力電圧端子2及びプラス側電圧印加端子3を有し、トランジスタ4、ダイオード5、抵抗6,8及び抵抗回路21,22を備える。
【0036】
マイナス側電圧印加端子1は、抵抗回路21を介して抵抗6の一端に接続している。また、ダイオード5は、トランジスタ4のソース端子と抵抗6の他端との間で順方向に接続している。トランジスタ4には、上記実施の形態1と同様にGaAsFETやHEMTなどが用いられ、抵抗回路22を介してプラス側電圧印加端子3とドレイン端子とが接続し、ゲート端子が抵抗8と接続している。
【0037】
抵抗8は、一端がトランジスタ4のゲート端子に接続し、他端が抵抗6と抵抗回路21との接続部に接続している。また、スイッチ(出力切替スイッチ)20は、出力電圧端子2と接続しその接続先を切り替えるSPDT(Single Pole Double Throw)であって、オンオフ動作で選択される一方の経路がトランジスタ4のドレイン端子と接続しており、オンオフ動作で選択される他方の経路がダイオード5と抵抗6との接続部に接続している。
【0038】
抵抗回路(第1の抵抗回路)21は、直列に接続した抵抗14,15と、抵抗14に並列に接続するスイッチ18とを備え、抵抗15の抵抗14側でない端部とマイナス側電圧印加端子1とが接続しており、また抵抗14の抵抗15側でない端部と抵抗6の一端とが接続されている。抵抗回路21では、スイッチ18をオフにすることで抵抗値が(R2a1+R2a2)となり、スイッチ18をオンにすると抵抗値がR2a2となる。
【0039】
抵抗回路(第2の抵抗回路)22は、直列に接続した抵抗16,17と、抵抗16に並列に接続するスイッチ19とを備え、抵抗17の抵抗16側でない端部とプラス側電圧印加端子3とが接続しており、また抵抗16の抵抗17側でない端部とトランジスタ4のドレイン端子とが接続されている。抵抗回路22では、スイッチ19をオフにすることで抵抗値が(R4a1+R4a2)となり、スイッチ19をオンにすると抵抗値がR4a2となる。
【0040】
また、図6(b)に示す抵抗回路23は、抵抗24aと、直列に接続した抵抗24b及びスイッチ25と、が並列に接続している。抵抗回路23では、スイッチ25をオフにすることで抵抗値がRp1となり、スイッチ25をオンにすると抵抗値がRp1×Rp2/(Rp1+Rp2)となる。
【0041】
次に動作について説明する。
SPDTスイッチ20で出力電圧端子2の接続先を切り替えることにより、上記実施の形態1と同様にダイオード5と抵抗6の接続部から出力電圧を得る経路と、上記実施の形態2と同様にトランジスタ4のドレイン端子から出力電圧を得る経路とを選択することができる。
【0042】
上記実施の形態1において、図3に示す出力電圧の温度依存性を計算した温度補償バイアス回路101の好適な抵抗値の組み合わせは、抵抗6の値R1aが1.5kΩ、抵抗7の値R2aが3.5kΩ、抵抗8の値R3aが100Ω、抵抗9の値R4aが100Ωである。また、上記実施の形態2において、図5に示す出力電圧の温度依存性を計算した温度補償バイアス回路102の好適な抵抗値の組み合わせは、抵抗10の値R1bが1.5kΩ、抵抗11の値R2bが0.5kΩ、抵抗12の値R3bが100Ω、抵抗13の値R4bが1.9kΩである。
【0043】
ここで、図3及び図5では、出力電圧の常温における設定電圧は同じ値であり、また抵抗6の値R1aと抵抗10の値R1bが同じ値、抵抗8の値R3aと抵抗12の値R3bが同じ値であるが、抵抗7の値R2aは抵抗11の値R2bより大きく、抵抗9の値R4aは抵抗13の値R4bより小さく、異なる値となる。
【0044】
そこで、この実施の形態3では、抵抗値を切り替えることができる抵抗回路21へ抵抗9を置き換え、抵抗7についても、抵抗値を切り替えることができる抵抗回路22へ置き換え、SPDTスイッチ20の切り替えに併せて、抵抗回路21と抵抗回路22の抵抗値を切り替える。これによって、一つの温度補償バイアス回路103を用いるだけで、正、負の出力電圧の温度変化を実現することが可能となる。
【0045】
具体的に説明すると、正の出力電圧の温度変化を実現する場合、SPDTスイッチ20により出力電圧端子2の接続先をダイオード5と抵抗6の接続部から出力電圧を得る経路に切り替える。ここで、抵抗回路21はその抵抗値が大きくなるようにスイッチ18をオフとし(抵抗値R2a1+R2a2)、抵抗回路22の抵抗値が小さくなるようにスイッチ19をオンにする(抵抗値R4a2)。
【0046】
一方、負の出力電圧の温度変化を実現する場合、SPDTスイッチ20により出力電圧端子2の接続先をトランジスタ4のドレイン端子から出力電圧を得る経路に切り替える。ここで、抵抗回路21はその抵抗値が小さくなるようにスイッチ18をオンとし(抵抗値R2a2)、抵抗回路22の抵抗値が大きくなるようにスイッチ19をオフにする(抵抗値R4a1+R4a2)。
【0047】
このように、この実施の形態3による温度補償バイアス回路103では、出力電圧端子や抵抗回路に設けたスイッチの切替えにより、正又は負のいずれかの出力電圧の温度変化を選択することができる上、所望の出力電圧を選択することができる。
【0048】
以上のように、この実施の形態3によれば、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧Vth付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧Vgsが印加されるトランジスタ4と、トランジスタ4のソース端子と抵抗6との間で順方向になるように、一端がトランジスタ4のソース端子に接続し、他端が抵抗6の一端に接続するダイオード5と、出力電圧が取り出される出力電圧端子2に接続し、この出力電圧端子2の接続先をダイオード5と抵抗6との接続部及びトランジスタ4のドレイン端子のうちのいずれか一方に切り替えるスイッチ20と、一端が抵抗6の他端に接続し、他端がマイナス側電圧印加端子1に接続し、トランジスタ4のゲート端子が抵抗6との接続部に接続すると共に、抵抗値の大小が切り替えられる抵抗回路21と、トランジスタ4のドレイン端子に一端が接続し、プラス側電圧印加端子3に他端が接続し、抵抗値の大小が切り替えられる抵抗回路22とを備えたので、正、負の出力電圧の温度変化を一つの温度補償バイアス回路で実現することが可能であり、かつ上記実施の形態1、2で示した回路と同様に大きな出力電圧の温度変化を得ることができる。
【0049】
なお、上記実施の形態3では、抵抗値の切り替えが可能な抵抗回路として、図6(a)に示す抵抗回路21,22を用いた場合を示したが、抵抗回路21,22のうちの少なくとも一方を図6(b)に示す抵抗回路23で置き換えた回路構成としてもよい。つまり、本発明は、抵抗回路21〜23の回路構成に限定されるものではなく、抵抗値を切り替えることが可能な抵抗回路であれば、図6に示した回路以外の構成であっても構わない。
【0050】
実施の形態4.
この実施の形態4では、上記実施の形態1(図1)、上記実施の形態2(図4)及び上記実施の形態3(図6)で示した回路内のダイオード5を、複数のダイオードを多段化したユニットに置き換えた温度補償バイアス回路を示す。
【0051】
図7は、この発明の実施の形態4による温度補償バイアス回路に用いる多段化したダイオードユニットを示す図である。図7において、実施の形態4によるダイオードユニット27は、複数のダイオード26を順方向に直列に接続して構成される。このダイオードユニット27は、図1、図4及び図6にそれぞれ示した温度補償バイアス回路101,102,103内のダイオード5と置き換えられ、置換後の各回路が実施の形態4による温度補償バイアス回路となる。
【0052】
上記実施の形態1〜3に示したようなダイオードを一段とした場合と比較して、実施の形態4では、段数分だけダイオードの端子間電圧(ダイオードユニット27の端子間電圧)の温度変化が大きくなる。そのため、トランジスタ4のゲート−ソース間電圧が温度上昇に伴って浅くなり、トランジスタ4のドレイン電流Idsが増加する。
【0053】
以上のように、この実施の形態4によれば、ダイオード5の代わりに、複数のダイオード26を直列に接続してなるダイオードユニット27を設けたので、ダイオードを一段とした上記実施の形態1〜3の回路構成よりも、さらに出力電圧の温度変化を大きくすることができる。
【0054】
実施の形態5.
この実施の形態5では、上記実施の形態1(図1)、上記実施の形態2(図4)及び上記実施の形態3(図6)で示した回路内のダイオード5を、並列抵抗を組み合わせたダイオードユニットに置き換えた温度補償バイアス回路を示す。
【0055】
図8は、この発明の実施の形態5による温度補償バイアス回路に用いるダイオードユニットを示す図であり、図8(a)はダイオードユニットの構成例1を示し、図8(b)はダイオードユニットの構成例2を示し、図8(c)はダイオードユニットの構成例3を示している。図8(a)に示すダイオードユニット29は、ダイオード26と抵抗28とを1つずつ並列に接続して構成される(構成例1)。
【0056】
また、図8(b)に示すダイオードユニット30では、複数のダイオード26を順方向に直列に接続して多段化し、この直列接続されたダイオード26のうちの1つ(図示の例では末端のダイオード26)と抵抗28とを並列に接続している(構成例2)。
【0057】
図8(c)に示すダイオードユニット31では、複数のダイオード26を直列に接続して多段化した構成は図8(b)と同様であるが、多段化した全てのダイオード26と1つの抵抗28とが並列に接続される(構成例3)。ダイオードユニット29,30,31は、図1、図4及び図6に示した温度補償バイアス回路101,102,103内のダイオード5とそれぞれ置き換えられ、置換後の各回路が実施の形態5による温度補償バイアス回路となる。
【0058】
実施の形態5による温度補償バイアス回路では、上述のように並列抵抗28を設けることにより、上記実施の形態1〜4のように1つのダイオード5や多段化したダイオード27を用いた回路構成と比較してダイオードの温度特性の影響を抑えることができる。トランジスタ4のソース端子に単一のダイオード若しくは多段化したダイオードを接続する場合、ダイオードの段数に合わせて温度特性を離散的に変更することしかできなかった。これに対して、実施の形態5では、並列抵抗28の値を変えることで温度変化を連続的に調整することが可能である。
【0059】
以上のように、この実施の形態5によれば、ダイオードに並列に接続する抵抗28を備えたので、上記実施の形態1〜4の温度補償バイアス回路と比較して出力電圧の温度変化の大きさを連続的に調整することができる。
【0060】
なお、上記実施の形態5では、図8に示すダイオードユニット29〜31を用いた構成を示したが、本発明は、上述した図8の構成に限定されるものではない。例えば、図8(b)において、何段目のダイオード26に並列抵抗28を設けるか(並列抵抗の位置)、並列抵抗28の数、多段化されたダイオード26中の複数段のダイオード26に対して並列抵抗28を設ける、といったように、連続的に出力電圧の温度変化の大きさを調整可能であれば異なる回路構成のダイオードユニットであっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0061】
実施の形態6.
図9は、この発明の実施の形態6による温度補償バイアス回路に用いるダイオードの構成を示す回路図であり、図9(a)は構成例1を示し、図9(b)は構成例2を示し、図9(c)は構成例3を示す。図9(a)に示すダイオード回路32aは、FETやHEMT等のトランジスタを用い、そのソース端子とドレイン端子を接続して共通の端子を設け、もう一端をゲート端子からとっている(構成例1)。また、図9(b)に示すダイオード回路32bは、BJT(Bipolar junction transistor)やHBT(Heterojunction Bipolar Transistor)等のバイポーラトランジスタを用い、そのエミッタ端子とコレクタ端子を接続して共通の端子を設け、もう一端をベース端子からとっている(構成例2)。さらに、図9(c)に示すダイオード回路32cは、BJTやHBT等のバイポーラトランジスタを用い、そのベース端子とコレクタ端子を接続して共通の端子を設け、もう一端をエミッタ端子からとっている(構成例3)。
【0062】
上記実施の形態1で示した図1、上記実施の形態2で示した図4、上記実施の形態3で示した図6の温度補償バイアス回路、上記実施の形態4で示した多段化したダイオードを用いた温度補償バイアス回路、上記実施の形態5で示した単一のダイオード又は多段化したダイオードに並列抵抗を設けた温度補償バイアス回路のそれぞれに用いられるダイオードを、図9(a)、図9(b)及び図9(c)に示したダイオード回路に置き換えることによりそれぞれの回路が、実施の形態6による温度補償バイアス回路を構成する。
【0063】
次に動作について説明する。
図9(a)に示すダイオード回路32aは、ゲート端子がプラス側端子であり、ソース端子及びドレイン端子が接続された共通の端子がマイナス側端子であるダイオードとして動作する。同様に、図9(b)に示すダイオード回路32bでは、ベース端子がプラス側端子であり、エミッタ端子及びコレクタ端子が接続された共通の端子がマイナス側端子であるダイオードとして動作する。図9(c)に示すダイオード回路32cでは、ベース端子及びコレクタ端子が接続された共通の端子がプラス側端子であり、エミッタ端子がマイナス側端子であるダイオードとして動作する。
【0064】
以上のように、この実施の形態6によれば、電界効果トランジスタのゲート端子をプラス側の端子とし、ソース端子とドレイン端子を接続してマイナス側の共通端子とした回路32a、バイポーラトランジスタのベース端子をプラス側の端子とし、エミッタ端子とコレクタ端子を接続してマイナス側の共通端子とした回路32b、バイポーラトランジスタのベース端子とコレクタ端子を接続してプラス側の共通端子とし、エミッタ端子をマイナス側の端子とした回路32cのうちのいずれかを、ダイオード5,26として用いたので、上記実施の形態1〜5のそれぞれの効果が引き継いで得られる。
【0065】
また、上記実施の形態6では、図9(a)から図9(c)までのようにダイオードの機能をトランジスタを用いて実現しており、ダイオード回路32a,32b,32cがトランジスタの製造プロセスのみで製造可能であることから、製造上ダイオードの製造プロセスを有しないMMIC(Microwave Monolithic IC)においても、実施の形態6による温度補償バイアス回路を構成できる。これにより、増幅器や減衰器等の高周波回路と実施の形態6による温度補償バイアス回路とを同一MMIC上に構成することができる。
【0066】
実施の形態7.
図10は、この発明の実施の形態7による高周波増幅器の構成を示す回路図である。図10において、実施の形態10による高周波増幅器200は、高周波入力端子33、高周波出力端子34、ゲートバイアス電圧印加端子35及びドレインバイアス電圧印加端子36を有し、上記実施の形態1で示した温度補償バイアス回路101(図1)又は上記実施の形態3で示した温度補償バイアス回路103(図6)からゲートバイアス電圧印加端子35を介してゲートバイアス電圧が印加される。ここで、温度補償バイアス回路103は、スイッチ20によって出力電圧端子2の接続先をダイオード5と抵抗6の間に切り替えた状態とする。
【0067】
上述した温度補償バイアス回路101,103では、出力電圧印加端子2とゲートバイアス電圧印加端子35とが接続され、その出力電圧Voutがゲートバイアス電圧として高周波増幅器200に供給される。なお、温度補償バイアス回路101,103を負電圧のみで動作させる場合、プラス側電圧印加端子3を接地してVgc2の値を0Vとする。また、温度補償バイアス回路101,103には、図1や図6に示したバイアス回路のダイオード部分に上記実施の形態4〜6の構成(図7〜9に示した構成)を適用した温度補償バイアス回路も含まれるものとする。
【0068】
なお、上記温度補償バイアス回路は、プラス側電圧印加端子3を介して供給される電圧Vgs2が0V、すなわち接地されていても動作する。従って、この実施の形態7による高周波増幅器200のゲートバイアス回路には、負電圧のみを供給するだけで動作可能である。
【0069】
高周波増幅器200は、増幅素子37、入力整合回路38、出力整合回路39、バイアスフィード用インダクタ40及びバイパスコンデンサ41を有し、図10中に矢印で示すようにバイアスフィード用インダクタ40を、1/4波長線路43や抵抗44に置換可能である。増幅素子37は、GaAsFETやHEMT等のトランジスタからなり、ソース端子が接地され、ドレイン端子が出力整合回路39と接続しており、ゲート端子が入力整合回路38に接続している。
【0070】
入力整合回路38は、一端が高周波入力端子33と接続し、他端が増幅素子37のトランジスタのゲート端子に接続して、高周波入力端子33と増幅素子37との間のインピーダンスを整合させる。出力整合回路39は、一端が高周波出力端子34と接続し、他端が増幅素子37のトランジスタのドレイン端子に接続して、高周波出力端子34と増幅素子37との間のインピーダンスを整合させる。
【0071】
バイアスフィード用インダクタ40は、増幅素子37のトランジスタのゲート側とドレイン側の双方にそれぞれ設けられ、一端がバイパスコンデンサ41と直列に接続されており、増幅素子37のトランジスタのゲート側に接続する構成の場合、他端が入力整合回路38と増幅素子37との接続部に接続され、増幅素子37のトランジスタのドレイン側に接続する構成の場合、他端が出力整合回路39と増幅素子37との接続部に接続される。
【0072】
また、バイパスコンデンサ41のバイアスフィード用インダクタ40側でない端部は、グランド42に接地されており、このバイパスコンデンサ41と増幅素子37のトランジスタのゲート側に接続するバイアスフィード用インダクタ40との接続部にゲートバイアス電圧印加端子35が接続される。一方、バイパスコンデンサ41と増幅素子37のトランジスタのドレイン側に接続するバイアスフィード用インダクタ40との接続部には、ドレインバイアス電圧印加端子36が接続される。
【0073】
次に動作について説明する。
高周波入力端子33から高周波入力信号RFinが入力されると、入力整合回路38を介して増幅素子37に入力される。この後、高周波信号は増幅素子37で増幅された後、出力整合回路39を介して高周波出力信号RFoutとして高周波出力端子34より出力される。このようにして、高周波信号が増幅される。
【0074】
ここで、増幅素子37へ印加されるバイアス電圧のうち、ゲートバイアス電圧Vgは、ゲートバイアス電圧印加端子35からバイアスフィード用インダクタ40を介して増幅素子37のトランジスタのゲート端子に供給される。また、増幅素子37へ印加されるドレインバイアス電圧Vdは、ドレインバイアス電圧印加端子36からバイアスフィード用インダクタ40を介して増幅素子37のドレイン端子に供給される。
【0075】
なお、ゲートバイアス印加用のバイアスフィード用インダクタ40は、図10中に矢印で示すように、1/4波長線路43や抵抗44で代替しても構わない。また、ドレインバイアス印加用のバイアスフィード用インダクタ40についても、該インダクタ40の代わりに1/4波長線路43を用いても構わない。
【0076】
高周波増幅器200へのゲートバイアス電圧Vgは、温度補償バイアス回路101(若しくは温度補償バイアス回路103)から供給される。例えば、温度補償バイアス回路101から供給される場合、温度が高くなるとゲートバイアス電圧Vgは高くなる。また、温度補償バイアス回路103から供給される場合においても、温度が高くなると出力電圧Voutが高くなるようにスイッチの切り替え設定をしておくことで、ゲートバイアス電圧Vgは高くなる。
【0077】
上述したように、従来の高周波増幅器は、トランジスタ特性の温度変化に起因して温度が高くなるとその利得が低くなる特性を有する。一方、ゲートバイアス電圧Vgを高くすると、増幅素子37に流れる電流が増えて高周波増幅器の利得が増加する。そこで、この実施の形態6による高周波増幅器200では、ゲートバイアス電圧Vgを温度補償バイアス回路101(若しくは温度補償バイアス回路103)から供給することにより、温度が高くなるとゲートバイアス電圧Vgが高くなるため、温度上昇に伴った利得の低下を抑えることができる。
【0078】
以上のように、この実施の形態7によれば、上記実施の形態1、上記実施の形態3から6までの温度補償バイアス回路101,103と、温度補償バイアス回路101,103の出力電圧端子2と接続し、この出力電圧端子2を介してゲートバイアス電圧が供給され、入力した高周波信号を増幅する電界効果トランジスタからなる増幅素子37とを備えたので、温度上昇に伴った利得の低下を抑えた高周波増幅器を得ることができる。
【0079】
実施の形態8.
図11は、この発明の実施の形態8による高周波減衰器の構成を示す回路図である。図11において、実施の形態8による高周波減衰器300は、高周波入力端子33、高周波出力端子34及びゲートバイアス電圧印加端子48,49を有し、上記実施の形態1で示した温度補償バイアス回路101(図1)からゲートバイアス電圧印加端子49を介してゲートバイアス電圧が印加され、上記実施の形態2で示した温度補償バイアス回路102(図4)からゲートバイアス電圧印加端子48,48を介してゲートバイアス電圧が印加される。
【0080】
なお、温度補償バイアス回路101は、出力電圧印加端子2とゲートバイアス電圧印加端子49とが接続しており、その出力電圧Voutがゲートバイアス電圧として減衰器302内のトランジスタ46のゲート電極に供給される。また、温度補償バイアス回路102は、出力電圧印加端子2とゲートバイアス電圧印加端子48とが接続しており、その出力電圧Voutがゲートバイアス電圧として減衰器301内のトランジスタ45のゲート電極に供給される。
【0081】
温度補償バイアス回路101,102を負電圧のみで動作させる場合、プラス側電圧印加端子3を接地してVgc2の値を0Vとする。また、温度補償バイアス回路101,102には、図1や図4に示したバイアス回路におけるダイオード部分に、上記実施の形態4〜6の構成(図7〜9に示した構成)を適用した温度補償バイアス回路も含まれるものとする。
【0082】
高周波減衰器300は、減衰器(並列トランジスタ減衰回路)301及び減衰器(直列トランジスタ減衰回路)302を備える。減衰器301は、トランジスタ45及びゲートバイアス電圧フィード抵抗47を備え、ゲートバイアス電圧フィード抵抗47は、一端がゲートバイアス電圧印加端子48に接続しており、他端がトランジスタ45のゲート端子に接続している。
【0083】
トランジスタ45は、FETやHEMT等が用いられ、高周波入力端子33側の減衰器301でドレイン端子が高周波入力端子33と接続しており、ソース端子が接地されている。また、高周波出力端子34側の減衰器301のトランジスタ45では、ドレイン端子が高周波出力端子34と接続しており、ソース端子が接地されている。このように、高周波入力端子33側及び高周波出力端子34側の双方の減衰器301において、トランジスタ45は、高周波信号の伝達経路に並列に接続される(以降、並列のトランジスタ45を称す)。
【0084】
減衰器302は、トランジスタ46及びゲートバイアス電圧フィード抵抗47を備え、ゲートバイアス電圧フィード抵抗47はゲートバイアス電圧印加端子49と一端が接続し、他端がトランジスタ46のゲート端子に接続している。トランジスタ46は、FETやHEMT等が用いられ、そのドレイン端子が高周波入力端子33側の減衰器301内のトランジスタ45のドレイン端子と接続しており、トランジスタ46のソース端子が高周波出力端子34側の減衰器301内のトランジスタ45のドレイン端子と接続している。減衰器302におけるトランジスタ46は、高周波信号の伝達経路に直列に接続される(以降、直列のトランジスタ46を称す)。
【0085】
次に動作について説明する。
高周波入力端子33から入力された高周波入力信号は、高周波入力端子33側の減衰器301のトランジスタ45、減衰器302のトランジスタ46、高周波出力端子34側の減衰器301のトランジスタ45で減衰され、高周波出力端子34より高周波出力信号として出力される。このようにして、高周波信号が減衰される。
【0086】
並列のトランジスタ45へ印加されるゲートバイアス電圧は、ゲートバイアス電圧印加端子48からゲートバイアス電圧フィード抵抗47を介してトランジスタ45のゲート端子に供給される。また、直列のトランジスタ46へ印加されるゲートバイアス電圧は、ゲートバイアス電圧印加端子49からゲートバイアス電圧フィード抵抗47を介してトランジスタ46のゲート端子に供給される。なお、トランジスタ45のソース電極とドレイン電極はDC的には接地されているものとする。
【0087】
ここで、上記実施の形態2による温度補償バイアス回路102によって、並列のトランジスタ45へゲートバイアス電圧が供給される。このため、温度上昇に伴って、並列のトランジスタ45へ供給されるゲートバイアス電圧が低くなる。これにより、並列のトランジスタ45の内部抵抗は、温度が高くなるにつれて抵抗値が大きくなるので、温度上昇に伴って減衰器301の減衰量は小さくなる。
【0088】
一方、直列のトランジスタ46には、上記実施の形態1による温度補償バイアス回路101によってゲートバイアス電圧が供給されるため、温度上昇に伴ってゲートバイアス電圧が高くなる。これにより、直列のトランジスタ46の内部抵抗は、温度が高くなるにつれて抵抗値が小さくなるので、温度上昇に伴って減衰器302の減衰量は小さくなる。
【0089】
このように、並列トランジスタを用いた減衰器301及び直列トランジスタを用いた減衰器302の両方とも、温度が高くなると減衰量が小さくなるため、高周波減衰器300としては、温度が高くなると減衰量が小さくなる特性を実現することができる。
【0090】
以上のように、この実施の形態8によれば、高周波信号を入力する高周波入力端子33とドレイン端子が接続し、ソース端子が接地され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ45を有する減衰回路301と、減衰された高周波信号を出力する高周波出力端子34とドレイン端子が接続し、ソース端子が接地され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ45を有する減衰回路301と、高周波入力端子33とドレイン端子が接続し、高周波出力端子34とソース端子が接続され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ46を有する減衰回路302とからなり、温度補償バイアス回路102が、減衰回路301,301のトランジスタ45にゲートバイアス電圧を供給し、温度補償バイアス回路101が、減衰回路302のトランジスタ46にゲートバイアス電圧を供給するので、温度上昇に伴って減衰量が小さくなる特性を有した高周波減衰器を得ることができる。
【0091】
実施の形態9.
図12は、この発明の実施の形態9による高周波減衰器の構成を示す回路図である。図12において、高周波減衰器300は上記実施の形態8と同様の構成を有するが、並列のトランジスタ45を用いた減衰器301に対して上記実施の形態1で示した温度補償バイアス回路101がゲートバイアス電圧を供給し、直列のトランジスタ46を用いた減衰器302に対して上記実施の形態2で示した温度補償バイアス回路102がゲートバイアス電圧を供給する。
【0092】
なお、温度補償バイアス回路101は、出力電圧印加端子2とゲートバイアス電圧印加端子48とが接続しており、その出力電圧Voutがゲートバイアス電圧として減衰器301内のトランジスタ45のゲート電極に供給される。また、温度補償バイアス回路102は、出力電圧印加端子2とゲートバイアス電圧印加端子49とが接続しており、その出力電圧Voutがゲートバイアス電圧として減衰器302内のトランジスタ46のゲート電極に供給される。
【0093】
温度補償バイアス回路101,102を負電圧のみで動作させる場合、プラス側電圧印加端子3を接地してVgc2の値を0Vとする。また、温度補償バイアス回路101,102には、図1や図4に示したバイアス回路におけるダイオード部分に、上記実施の形態4〜6の構成(図7〜9に示した構成)を適用した温度補償バイアス回路も含まれるものとする。
【0094】
次に動作について説明する。
高周波入力端子33から入力された高周波入力信号は、高周波入力端子33側の減衰器301のトランジスタ45、減衰器302のトランジスタ46、高周波出力端子34側の減衰器301のトランジスタ45で減衰され、高周波出力端子34より高周波出力信号として出力される。このようにして、高周波信号が減衰される。
【0095】
並列のトランジスタ45へ印加されるゲートバイアス電圧は、ゲートバイアス電圧印加端子48からゲートバイアス電圧フィード抵抗47を介してトランジスタ45のゲート端子に供給される。また、直列のトランジスタ46へ印加されるゲートバイアス電圧は、ゲートバイアス電圧印加端子49からゲートバイアス電圧フィード抵抗47を介してトランジスタ46のゲート端子に供給される。なお、トランジスタ45のソース電極とドレイン電極はDC的には接地されているものとする。
【0096】
ここで、上記実施の形態1による温度補償バイアス回路101によって、並列のトランジスタ45へゲートバイアス電圧が供給される。このため、温度上昇に伴って、並列のトランジスタ45へ供給されるゲートバイアス電圧が高くなる。これにより、並列のトランジスタ45の内部抵抗は温度が高くなるにつれて抵抗値が小さくなるので、温度上昇に伴って減衰器301の減衰量は大きくなる。
【0097】
一方、直列のトランジスタ46には、上記実施の形態2による温度補償バイアス回路102によってゲートバイアス電圧が供給されるため、温度上昇に伴ってゲートバイアス電圧が低くなる。これにより、直列のトランジスタ46の内部抵抗は、温度が高くなるにつれて抵抗値が大きくなるので、温度上昇に伴って減衰器302の減衰量は大きくなる。
【0098】
このように、並列トランジスタを用いた減衰器301及び直列トランジスタを用いた減衰器302の両方とも、温度が高くなると減衰量が大きくなるため、高周波減衰器300としては、温度が高くなると減衰量が大きくなる特性を実現することができる。
【0099】
以上のように、この実施の形態9によれば、高周波信号を入力する高周波入力端子33とドレイン端子が接続し、ソース端子が接地され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ45を有する減衰回路301と、減衰された高周波信号を出力する高周波出力端子34とドレイン端子が接続し、ソース端子が接地され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ45を有する減衰回路301と、高周波入力端子33とドレイン端子が接続し、高周波出力端子34とソース端子が接続され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ46を有する減衰回路302とからなり、温度補償バイアス回路101が、減衰回路301,301のトランジスタ45にゲートバイアス電圧を供給し、温度補償バイアス回路102が、減衰回路302のトランジスタ46にゲートバイアス電圧を供給するので、温度上昇に伴って減衰量が大きくなる特性を有した高周波減衰器を得ることができる。
【0100】
実施の形態10.
図13は、この発明の実施の形態10による高周波減衰器の構成を示す回路図である。図13において、高周波減衰器300は上記実施の形態8と同様の構成を有するが、並列のトランジスタ45を用いた減衰器301に対して上記実施の形態3で示した温度補償バイアス回路103がゲートバイアス電圧を供給し、直列のトランジスタ46を用いた減衰器302に対しても温度補償バイアス回路103がゲートバイアス電圧を供給する。
【0101】
なお、温度補償バイアス回路103は、その出力電圧Voutがゲートバイアス電圧として減衰器301内のトランジスタ45のゲート電極、減衰器302内のトランジスタ46のゲート電極に供給される。温度補償バイアス回路103を負電圧のみで動作させる場合、プラス側電圧印加端子3を接地してVgc2の値を0Vとする。また、温度補償バイアス回路103には、図6に示したバイアス回路のダイオード部分に、上記実施の形態4〜6の構成(図7〜9に示した構成)を適用した温度補償バイアス回路も含まれるものとする。
【0102】
次に動作について説明する。
高周波入力端子33から入力された高周波入力信号は、高周波入力端子33側の減衰器301のトランジスタ45、減衰器302のトランジスタ46、高周波出力端子34側の減衰器301のトランジスタ45で減衰され、高周波出力端子34より高周波出力信号として出力される。このようにして、高周波信号が減衰される。
【0103】
並列のトランジスタ45へ印加されるゲートバイアス電圧は、ゲートバイアス電圧印加端子48からゲートバイアス電圧フィード抵抗47を介してトランジスタ45のゲート端子に供給される。また、直列のトランジスタ46へ印加されるゲートバイアス電圧は、ゲートバイアス電圧印加端子49からゲートバイアス電圧フィード抵抗47を介してトランジスタ46のゲート端子に供給される。なお、トランジスタ45のソース電極とドレイン電極はDC的には接地されているものとする。
【0104】
(1)温度上昇に伴って減衰量を大きくする場合
並列のトランジスタ45へゲートバイアス電圧を供給する、一方の温度補償バイアス回路103では、上記実施の形態3で示したようにスイッチを切り替えることにより、温度が高くなるとその出力電圧Voutが高くなるように設定しておく。これにより、温度が上昇すると並列のトランジスタ45に印加されるゲートバイアス電圧は高くなる。このため、並列のトランジスタ45の内部抵抗は温度が高くなると小さくなり、減衰器301の減衰量は大きくなる。
【0105】
一方、直列のトランジスタ46へゲートバイアス電圧を供給する、もう一方の温度補償バイアス回路103では、上述の設定とは逆に上記実施の形態3で示したようにスイッチを切り替えることにより、温度が高くなると出力電圧が低くなるように設定しておく。これにより、温度が上昇すると並列のトランジスタ45に印加されるゲートバイアス電圧は低くなる。このため、直列のトランジスタ46の内部抵抗は、温度が高くなると大きくなり、減衰器302の減衰量は大きくなる。
【0106】
このようにして、並列のトランジスタ45を用いた減衰器301及び直列のトランジスタ46を用いた減衰器302の両方とも、温度が高くなると減衰量が大きくなるため、高周波減衰器300としては、温度が高くなると減衰量が大きくなる特性を実現することができる。
【0107】
(2)温度上昇に伴って減衰量を小さくする場合
一方、2つの温度補償バイアス回路103のスイッチの切り替えを、上述の設定とは逆にすると、並列のトランジスタ45を用いた減衰器301及び直列のトランジスタ46を用いた減衰器302の両方とも、温度が高くなると減衰量が小さくなる。このため、高周波減衰器300としては、温度が高くなると減衰量が小さくなる特性を実現することができる。
【0108】
すなわち、並列のトランジスタ45へゲートバイアス電圧を供給する、一方の温度補償バイアス回路103では、上記実施の形態3で示したようにスイッチを切り替えることにより、温度が高くなるとその出力電圧Voutが低くなるように設定しておく。これにより、温度が上昇すると並列のトランジスタ45に印加されるゲートバイアス電圧は低くなる。このため、並列のトランジスタ45の内部抵抗は温度が高くなると大きくなり、減衰器301の減衰量は小さくなる。
【0109】
一方、直列のトランジスタ46へゲートバイアス電圧を供給する、もう一方の温度補償バイアス回路103では、スイッチを切り替えることにより、温度が高くなると出力電圧が高くなるように設定しておく。これにより、温度が上昇すると並列のトランジスタ45に印加されるゲートバイアス電圧は高くなる。このため、直列のトランジスタ46の内部抵抗は、温度が高くなると小さくなり、減衰器302の減衰量は小さくなる。
【0110】
このようにすることで、並列のトランジスタ45を用いた減衰器301及び直列のトランジスタ46を用いた減衰器302の両方とも、温度が高くなると減衰量が小さくなるため、高周波減衰器300としては、温度が高くなると減衰量が小さくなる特性を実現することができる。
【0111】
以上のように、この実施の形態10によれば、高周波信号を入力する高周波入力端子33とドレイン端子が接続し、ソース端子が接地され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ45を有する減衰回路301と、減衰された高周波信号を出力する高周波出力端子34とドレイン端子が接続し、ソース端子が接地され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ45を有する減衰回路301と、高周波入力端子33とドレイン端子が接続し、高周波出力端子34とソース端子が接続され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ46を有する減衰回路302とからなり、減衰回路301のトランジスタ45にゲートバイアス電圧を供給する温度補償バイアス回路103が、減衰回路302のトランジスタ46にゲートバイアス電圧を供給する温度補償バイアス回路103で出力電圧端子2の接続先がトランジスタ4のソース端子に切り替えられている場合、自回路の出力電圧端子2の接続先をダイオード5と抵抗6との間に切り替え、減衰回路302のトランジスタ46にゲートバイアス電圧を供給する温度補償バイアス回路103で出力電圧端子2の接続先がダイオード5と抵抗6との間に切り替えられている場合、自回路の出力電圧端子2の接続先をトランジスタ4のソース端子に切り替えるので、温度補償バイアス回路103のスイッチを切り替えることによって、温度に対して減衰量が大きくなる特性と小さくなる特性とを適宜選択することが可能である。
【0112】
なお、本発明による高周波減衰器として、上記実施の形態8〜10の構成を示したが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、図11及び図12に示した構成において、温度補償バイアス回路102の代わりに、温度上昇に伴って減衰量が小さくなるように設定された温度補償バイアス回路103を用いても良い。また、温度補償バイアス回路101の代わりに、温度上昇に伴って減衰量が大きくなるように設定された温度補償バイアス回路103を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】この発明の実施の形態1による温度補償バイアス回路の構成を示す回路図である。
【図2】図1中のトランジスタの様々な温度におけるドレイン電流のゲート−ソース間電圧依存性を示すグラフである。
【図3】図1中の温度補償バイアス回路における温度−出力電圧特性を示すグラフである。
【図4】この発明の実施の形態2による温度補償バイアス回路の構成を示す回路図である。
【図5】図4中の温度補償バイアス回路における温度−出力電圧特性を示すグラフである。
【図6】この発明の実施の形態3による温度補償バイアス回路の構成を示す回路図である。
【図7】この発明の実施の形態4による温度補償バイアス回路に用いる多段化したダイオードユニットを示す図である。
【図8】この発明の実施の形態5による温度補償バイアス回路に用いるダイオードユニットを示す図である。
【図9】この発明の実施の形態6による温度補償バイアス回路に用いるダイオードの構成を示す回路図である。
【図10】この発明の実施の形態7による高周波増幅器の構成を示す回路図である。
【図11】この発明の実施の形態8による高周波減衰器の構成を示す回路図である。
【図12】この発明の実施の形態9による高周波減衰器の構成を示す回路図である。
【図13】この発明の実施の形態10による高周波減衰器の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0114】
1 マイナス側電圧印加端子、2 出力電圧端子、3 プラス側電圧印加端子、4,45,46 トランジスタ、5,26 ダイオード、6〜13 抵抗(第1の抵抗、第2の抵抗、第3の抵抗、第4の抵抗)、14〜17,24a,24b,44,47 抵抗、18〜19,25 スイッチ、20 スイッチ(出力切替スイッチ)、21〜23 抵抗回路(第1の抵抗回路、第2の抵抗回路)、27,29〜31 ダイオードユニット、28 並列抵抗、32a,32b ダイオード回路、33 高周波入力端子、34 高周波出力端子、35 ゲートバイアス電圧印加端子、36 ドレインバイアス電圧印加端子、37 増幅素子、38 入力整合回路、39 出力整合回路、40 バイアスフィード用インダクタ、41 バイパスコンデンサ、42 グランド、43 1/4波長線路、48,49 ゲートバイアス電圧印加端子、101〜103 温度補償バイアス回路、200 高周波増幅器、300 高周波減衰器、301 減衰器(減衰回路、並列トランジスタ減衰回路)、302 減衰器(減衰回路、直列トランジスタ減衰回路)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、温度補償バイアス回路、これを用いた高周波増幅器及び高周波減衰器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高周波増幅器では、トランジスタの特性が温度によって変動することを主要因として利得が変化するという問題がある。例えば、GaAsFET(Field effect transistor)やHEMT(High Electron Mobility Transistor)などのトランジスタを増幅素子として用いた増幅器においては温度が高くなると利得が減少する。この場合、増幅器のゲートバイアス電圧を温度に対して変化させ、具体的には温度が高くなるほどゲートバイアス電圧を高くしてドレイン電流が多く流れるバイアス条件で利得を高めることにより、温度に対する利得変化を抑えている。この利得の温度補償を高周波増幅器に適用するには、温度が高くなるにつれてゲートに印加する出力電圧が高くなる温度補償バイアス回路が必要となる。
【0003】
また、FETを用いた高周波減衰器の回路においては、温度が高くなるにしたがって、減衰量が減少する特性が求められている。直列及び並列にFETを挿入して減衰回路を構成する場合、温度の上昇に伴って直列に挿入したFETの内部抵抗が減少し、並列に挿入されたFETの内部抵抗が増加すれば、減衰量が減少する特性が得られる。したがって、減衰器に用いる温度補償バイアス回路としては、直列FETと並列FETとが温度に対して出力電圧が逆の変化をする必要がある。つまり、減衰器では、温度が高くなるにしたがってゲートに印加する出力電圧が高くなる温度補償バイアス回路だけでなく、温度の上昇に伴って出力電圧が低くなる温度補償バイアス回路が必要となる。
【0004】
例えば、特許文献1には、温度が高くなるとダイオードの端子間の電圧が低くなることを利用して、温度上昇に対して出力電圧が低くなる特性を持たせた温度補償バイアス回路(以下、従来例1と称す)が開示されている(特許文献1の第6頁〜第7頁、第7図〜第10図参照)。さらに、この特許文献1は、FETのゲートバイアス電圧が閾値電圧付近であるとき、温度上昇に伴ってドレイン電流が増加することを利用して、温度が高くなると出力電圧が低くなる特性を持たせた温度補償バイアス回路(以下、従来例2と称す)を開示している(特許文献1の第8頁〜第9頁、第11図〜第13図参照)。
【0005】
また、特許文献2に開示されるバイアス回路(以下、従来例3と称す)では、温度が高くなるとFETのゲートバイアス電圧が負に大きくなってドレイン電流を減少させる方向に変化することを利用して、温度が高くなると出力電圧が低くなる特性を得ている。さらに、特許文献2ではダイオードの温度特性を組み合わせて温度が高くなると出力電圧が低くなる特性を得ている(例えば、特許文献2の第3頁〜第6頁、第1図〜第7図参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−320242号公報
【特許文献2】特開2003−60444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の温度補償バイアス回路では、負電圧のみで動作させると出力電圧の温度変化を大きくすることができないという課題があった。具体的に説明すると、従来例1の温度補償バイアス回路では、特許文献1の第9図に示されるようにダイオードを多段化して出力電圧の温度変化を大きくしている。このようにダイオードを多段に構成すると、バイアス回路の出力電圧の設定値があまり低くない場合、ダイオードのプラス側に正電圧を印加する必要がある。つまり、負電圧のみで動作させようとすると、ダイオードの段数が制限されて出力電圧の温度変化を大きくすることができない。
【0008】
また、従来例2の温度補償バイアス回路では、上述したように閾値電圧付近のゲートバイアス電圧VgのFETが温度上昇に伴い電流が増加する特性を利用する。ここで、特許文献1の第11図に示される従来例2の回路では、FET20に流れる電流をIdsとし、分圧回路に印加する電源電圧をVg11、抵抗19の抵抗値をRとすると、その出力電圧は、Vg=Vg11+Ids×Rで与えられる。従って、出力電圧Vgは電流Idsが増えたことによる抵抗19の電圧降下分だけ高くなる。しかしながら、FET20のゲート−ソース間の電圧Vgsは、Vgs=−Ids×Rで与えられるため、上述のようにドレイン電流Idが増加すると、これに伴って電圧Vgsが深くなりドレイン電流Idsの流れが抑えられる。これにより、出力電圧Vgの温度変化を大きくすることができない。
【0009】
さらに、特許文献2の第12図に示す回路のように第11図の回路を多段に接続した場合は、従来例1と同様に第12図中の電源Vg10として正電圧を印加する必要がある。つまり、負電圧のみで動作させる構成では、FETを用いた回路の段数が制限され、その出力電圧の温度変化を大きくすることができない。
【0010】
従来例3の温度補償バイアス回路では、特許文献2の第1図〜第4図に示されるいずれの回路構成においても、FET43のドレイン電流Idsにより発生するドレイン側の抵抗47における電圧降下で出力電圧が与えられるため、温度上昇に伴ってドレイン電流Idsが減少すると出力電圧も低くなる。特に、第2図〜第4図の回路では、温度が高くなると、ダイオードの両端電圧が低くなることを利用して、温度上昇に伴ってFETのゲート−ソース間の電圧Vgsを浅くすることによりドレイン電流を増加させ、その出力電圧の温度変化を大きくしている。このように特許文献2に開示される従来例2では、その動作に負電圧を必要としていない。このため、従来例2では、特許文献2の第6図に示すように、出力電圧の温度変化が0.07V/100℃程度しか得られず、大きな温度変化を得ることはできない。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、負電圧で動作可能であり、かつ出力電圧の温度変化が大きな特性が得られる温度補償バイアス回路、これを用いた高周波増幅器及び高周波減衰器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る温度補償バイアス回路は、プラス側電圧印加端子と、マイナス側電圧印加端子と、ドレイン端子がプラス側電圧印加端子に接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧が印加される電界効果トランジスタと、電界効果トランジスタのソース端子と第1の抵抗との間で順方向になるように、一端が電界効果トランジスタのソース端子に接続し、他端が第1の抵抗の一端に接続するダイオードと、一端が第1の抵抗の他端に接続すると共に、他端がマイナス側電圧印加端子に接続し、電界効果トランジスタのゲート端子が第1の抵抗との接続部に接続する第2の抵抗と、ダイオードと第1の抵抗との接続部に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子とを備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、プラス側電圧印加端子と、マイナス側電圧印加端子と、ドレイン端子がプラス側電圧印加端子に接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧が印加される電界効果トランジスタと、電界効果トランジスタのソース端子と第1の抵抗との間で順方向になるように、一端が電界効果トランジスタのソース端子に接続し、他端が第1の抵抗の一端に接続するダイオードと、一端が第1の抵抗の他端に接続すると共に、他端がマイナス側電圧印加端子に接続し、電界効果トランジスタのゲート端子が第1の抵抗との接続部に接続する第2の抵抗と、ダイオードと第1の抵抗との接続部に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子とを備えたので、負電圧で動作可能であり、かつ出力電圧の温度変化が大きな特性が得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による温度補償バイアス回路の構成を示す回路図である。図1において、実施の形態1による温度補償バイアス回路101は、マイナス側電圧印加端子1、出力電圧端子2及びプラス側電圧印加端子3を有し、トランジスタ4、ダイオード5及び抵抗6〜9を備える。この回路において、マイナス側電圧印加端子1は、抵抗(第2の抵抗)7の一端と接続しており、抵抗7の他端は抵抗(第1の抵抗)6に接続している。また、ダイオード5は、トランジスタ4のソース端子と抵抗6の抵抗7側でない他端との間に順方向に接続され、このダイオード5と抵抗6との接続部に出力電圧端子2が接続する。
【0015】
トランジスタ4は、GaAsFETやHEMTなどが用いられ、抵抗(第4の抵抗)9とドレイン端子が接続し、ゲート端子が抵抗(第3の抵抗)8と接続している。抵抗8は、一端がトランジスタ4のゲート端子に接続し、他端が抵抗6と抵抗7との接続部に接続している。また、プラス側電圧印加端子3は、抵抗9のトランジスタ4側でない端部と接続することにより、抵抗9を介してトランジスタ4のドレイン端子と接続している。
【0016】
次に動作について説明する。
図2は、図1中のトランジスタの様々な温度におけるドレイン電流のゲート−ソース間電圧依存性を示すグラフであり、温度Tが常温での特性を実線で示しており、温度Tが低温である場合を一点破線、温度Tが高温の場合を二点破線で示している。図2に示すように、ドレイン電流Idsが多く流れるゲート−ソース間電圧Vgsの領域では温度が高くなるにつれて飽和ドレイン電流が減少するため、ドレイン電流Idsは減少する。一方、トランジスタ4の閾値電圧Vth付近のVgs領域では、温度が高くなるにつれて閾値電圧Vthが低くなることから、温度が高くなるにつれてドレイン電流Idsが増加する。つまり、図2中に破線で示した電圧を境に、ドレイン電流Idsが温度に対して増加する特性と減少する特性が切り替わる。
【0017】
そこで、本発明による温度補償バイアス回路101では、トランジスタ4の閾値電圧Vth付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧Vgsが印加されるように抵抗6の値R1aが設定される。また、抵抗7は、後述の式(1)に従って出力電圧Voutを所望の値にするために抵抗値R2aが設定され、抵抗8及び抵抗9は電圧の安定化のために抵抗値R3a,R4aが設定される。なお、本発明において、トランジスタ4に印加される閾値電圧Vth付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧Vgsは、図2に示すような温度が高くなるにつれてドレイン電流Idsが増加する傾向を示す閾値電圧Vth付近の電圧範囲である。
【0018】
温度補償バイアス回路101の出力電圧Voutは、マイナス側電圧印加端子1に印加する負電圧値をVgc1とすると、下記式(1)で与えられる。従って、トランジスタ4に流れるドレイン電流Idsは温度が高くなるにつれて増加し、出力電圧Voutが温度上昇に伴って増加する。
Vout=Vgc1+(R1a+R2a)×Ids ・・・(1)
【0019】
また、ドレイン電流Idsは、トランジスタ4の温度特性に加えて、トランジスタ4のゲート−ソース間の電圧Vgsの値にも依存する。従来例2のバイアス回路では、温度上昇に伴ってトランジスタを流れるドレイン電流が増加する特性を有するが、セルフバイアス効果によってトランジスタのゲート−ソース間電圧が深くなり、ドレイン電流Idsが抑えられ、出力電圧の大きな温度変化を得ることができなかった。
【0020】
これに対して、実施の形態1による温度補償バイアス回路101では、トランジスタ4のゲート−ソース間電圧Vgsを決定する抵抗の一部をダイオード5に置き換えている。このように、ダイオード5の端子間電圧が温度上昇に伴って低くなる特性を有するので、トランジスタ4のゲート−ソース間電圧Vgsは。温度が高くなるにつれて従来例2より浅くなり、従来例2の回路と比較してドレイン電流Idsを格段に増加させることができる。これにより、出力電圧Voutの大きな温度変化を実現できる。
【0021】
なお、温度補償バイアス回路101を負電圧のみで動作させる場合、プラス側電圧印加端子3を接地し、プラス側電圧印加端子3を介して印加される電圧値Vgs2を0Vとすればよい。この構成で、ダイオード5一つ分の端子間電圧の値をVdiodeとすると、−Vdiode以下の設定電圧であれば、出力電圧Voutとして設定可能であり、負電圧のみで温度補償バイアス回路101を実現可能である。
【0022】
図3は、図1中の温度補償バイアス回路における温度−出力電圧特性を示すグラフであり、Vgc1を−5V、Vgc2を0V(接地)、抵抗6の値R1aを1.5kΩ、抵抗7の値R2aを3.5kΩ、抵抗8の値R3aを100Ω、抵抗9の値R4aを100Ωとした場合における出力電圧Voutの温度依存性の計算結果を示している。図3に示すように、温度補償バイアス回路101では、常温での出力電圧Voutが−1.4V程度の設定になる場合、温度変化100℃あたり約+0.6Vの出力電圧Voutの変化が得られる。
【0023】
従来例1の温度補償バイアス回路を2段のダイオードで構成した場合及び従来例2の温度補償バイアス回路を、上述と同様の印加電圧とし、かつ常温での出力電圧Voutが−1.4V程度の設定電圧になるようにした場合の出力電圧の温度変化を計算した。この結果、いずれの回路構成においても、温度変化100℃あたり約+0.2V程度の出力電圧しか得ることができなかった。
【0024】
以上のように、この実施の形態1によれば、プラス側電圧印加端子3と、マイナス側電圧印加端子1と、ドレイン端子がプラス側電圧印加端子3に接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧Vth付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧Vgsが印加されるトランジスタ4と、トランジスタ4のソース端子と抵抗6との間で順方向になるように、一端がトランジスタ4のソース端子に接続し、他端が抵抗6の一端に接続するダイオード5と、一端が抵抗6の他端に接続すると共に、他端がマイナス側電圧印加端子1に接続し、トランジスタ4のゲート端子が抵抗6との接続部に接続する抵抗7と、ダイオード5と抵抗6との接続部に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子2とを備えたので、従来の温度補償バイアス回路と比較して、負電圧のみで動作可能であり、かつ出力電圧の大きな温度変化を得ることができる。
【0025】
なお、上記実施の形態1で示した図1では、トランジスタ4のドレイン端子が抵抗9を介してプラス側電圧印加端子3に接続する構成を示したが、トランジスタ4のドレイン端子がプラス側電圧印加端子3に直接接続した構成であってもよい。
【0026】
また、上記実施の形態1で示した図1では、トランジスタ4のゲート端子が抵抗8を介して抵抗6と抵抗7の間に接続する構成を示したが、トランジスタ4のゲート端子が抵抗6と抵抗7の間に直接接続した構成であってもよい。
さらに、トランジスタ4のドレイン端子をプラス側電圧印加端子3に直接接続し、トランジスタ4のゲート端子を抵抗6と抵抗7の接続部に直接接続した構成であってもよい。
【0027】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2による温度補償バイアス回路の構成を示す回路図である。図4において、実施の形態2による温度補償バイアス回路102は、マイナス側電圧印加端子1、出力電圧端子2及びプラス側電圧印加端子3を有し、トランジスタ4、ダイオード5及び抵抗10〜13を備える。この回路において、マイナス側電圧印加端子1は、抵抗(第2の抵抗)11の一端に接続しており、抵抗11の他端は抵抗(第1の抵抗)10に接続している。また、ダイオード5は、トランジスタ4のソース端子と抵抗10の抵抗11側でない他端との間に順方向に接続される。ここで、実施の形態2による温度補償バイアス回路102では、上記実施の形態1と異なり、出力電圧端子2がトランジスタ4のドレイン端子と抵抗13との接続部に接続する。
【0028】
なお、トランジスタ4には、上記実施の形態1と同様にGaAsFETやHEMTなどが用いられ、出力電圧端子2及び抵抗(第4の抵抗)13とドレイン端子とが接続し、ゲート端子が抵抗(第3の抵抗)12と接続している。抵抗12は、一端がトランジスタ4のゲート端子に接続し、他端が抵抗10と抵抗11との接続部に接続している。また、プラス側電圧印加端子3は、抵抗13のトランジスタ4側でない端部と接続することにより、抵抗13を介してトランジスタ4のドレイン端子と接続している。
【0029】
次に動作について説明する。
実施の形態2による温度補償バイアス回路102では、上記実施の形態1で示した図1の回路構成と異なり、出力電圧Voutの取り出し位置である出力電圧端子2が、トランジスタ4のドレイン端子と抵抗13との接続部になっている。このように構成することで、上記実施の形態1と同様に、温度が高くなるにつれてトランジスタ4のドレイン電流Idsが大幅に増加する特性を得ることができる。
【0030】
ただし、この構成では、トランジスタ4のドレイン端子と抵抗13との接続部を介して出力電圧Voutが出力されるため、抵抗13による電圧降下の影響を考慮する必要がある。これにより、バイアス回路102の出力電圧Voutは、プラス側電圧印加端子3に印加する正電圧値をVgc2とし、抵抗13の値をR4bとすると、下記式(2)で与えられる。下記式(2)では、トランジスタ4を流れるドレイン電流Idsが増加すると、出力電圧Voutは低くなる特性を示す。一方、上記実施の形態1と同様に、バイアス回路102の温度特性は、トランジスタ4とダイオード2で与えられるため、出力電圧Voutの大きな温度変化を得ることができる。
Vout=Vgc2−R4b×Ids ・・・(2)
【0031】
図5は、図4中の温度補償バイアス回路における温度−出力電圧特性を示すグラフであり、Vgc1を−5V、Vgc2を0V(接地)、抵抗10の値R1bを1.5kΩ、抵抗11の値R2bを0.5kΩ、抵抗12の値R3bを100Ω、抵抗13の値R4bを1.9kΩとした場合における出力電圧Voutの温度依存性の計算結果を示している。図5に示すように、バイアス回路102では、上記実施の形態1と異なり温度上昇に伴って出力電圧Voutの値が下がる特性を有し、常温での出力電圧Voutが−1.4V程度の設定になる場合、温度変化100℃あたり約−0.25Vの出力電圧Voutの変化が得られる。
【0032】
以上のように、この実施の形態2では、プラス側電圧印加端子3と、マイナス側電圧印加端子1と、一端がマイナス側電圧印加端子1に接続する抵抗10と、抵抗10の一端にゲート端子が接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧Vth付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧Vgsが印加されるトランジスタ4と、トランジスタ4のソース端子と抵抗10との間で順方向になるように、一端が抵抗10の他端に接続し、他端がトランジスタ4のソース端子に接続するダイオード5と、一端がトランジスタ4のドレイン端子に接続すると共に、他端がプラス側電圧印加端子3に接続する抵抗13と、トランジスタ4のドレイン端子に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子2とを備えたので、温度が高くなるにつれて出力電圧が下がる特性を負電圧のみで実現可能であり、かつ出力電圧の大きな温度変化を得ることができる。
【0033】
なお、上記実施の形態2で示した図4では、抵抗11を介して抵抗10とマイナス側電圧印加端子1とが接続する場合を示したが、抵抗10とマイナス側電圧印加端子1とが直接接続した構成であってもよい。
【0034】
また、上記実施の形態2で示した図4では、トランジスタ4のゲート端子が抵抗12を介して抵抗10と抵抗11の間に接続する構成を示したが、トランジスタ4のゲート端子が抵抗10と抵抗11の間に直接接続した構成であってもよい。
さらに、トランジスタ4のゲート端子が抵抗10と抵抗11の間に直接接続し、抵抗10とマイナス側電圧印加端子1を直接接続した構成であってもよい。
【0035】
実施の形態3.
この実施の形態3は、出力電圧端子や抵抗回路に設けたスイッチの切り替えにより、所望の出力電圧を選択することができる温度補償バイアス回路を示している。
図6は、この発明の実施の形態3による温度補償バイアス回路の構成を示す回路図であり、図6(a)は実施の形態3による温度補償バイアス回路の一例を示し、図6(b)は抵抗回路の他の構成例を示している。図6(a)において、実施の形態3による温度補償バイアス回路103は、マイナス側電圧印加端子1、出力電圧端子2及びプラス側電圧印加端子3を有し、トランジスタ4、ダイオード5、抵抗6,8及び抵抗回路21,22を備える。
【0036】
マイナス側電圧印加端子1は、抵抗回路21を介して抵抗6の一端に接続している。また、ダイオード5は、トランジスタ4のソース端子と抵抗6の他端との間で順方向に接続している。トランジスタ4には、上記実施の形態1と同様にGaAsFETやHEMTなどが用いられ、抵抗回路22を介してプラス側電圧印加端子3とドレイン端子とが接続し、ゲート端子が抵抗8と接続している。
【0037】
抵抗8は、一端がトランジスタ4のゲート端子に接続し、他端が抵抗6と抵抗回路21との接続部に接続している。また、スイッチ(出力切替スイッチ)20は、出力電圧端子2と接続しその接続先を切り替えるSPDT(Single Pole Double Throw)であって、オンオフ動作で選択される一方の経路がトランジスタ4のドレイン端子と接続しており、オンオフ動作で選択される他方の経路がダイオード5と抵抗6との接続部に接続している。
【0038】
抵抗回路(第1の抵抗回路)21は、直列に接続した抵抗14,15と、抵抗14に並列に接続するスイッチ18とを備え、抵抗15の抵抗14側でない端部とマイナス側電圧印加端子1とが接続しており、また抵抗14の抵抗15側でない端部と抵抗6の一端とが接続されている。抵抗回路21では、スイッチ18をオフにすることで抵抗値が(R2a1+R2a2)となり、スイッチ18をオンにすると抵抗値がR2a2となる。
【0039】
抵抗回路(第2の抵抗回路)22は、直列に接続した抵抗16,17と、抵抗16に並列に接続するスイッチ19とを備え、抵抗17の抵抗16側でない端部とプラス側電圧印加端子3とが接続しており、また抵抗16の抵抗17側でない端部とトランジスタ4のドレイン端子とが接続されている。抵抗回路22では、スイッチ19をオフにすることで抵抗値が(R4a1+R4a2)となり、スイッチ19をオンにすると抵抗値がR4a2となる。
【0040】
また、図6(b)に示す抵抗回路23は、抵抗24aと、直列に接続した抵抗24b及びスイッチ25と、が並列に接続している。抵抗回路23では、スイッチ25をオフにすることで抵抗値がRp1となり、スイッチ25をオンにすると抵抗値がRp1×Rp2/(Rp1+Rp2)となる。
【0041】
次に動作について説明する。
SPDTスイッチ20で出力電圧端子2の接続先を切り替えることにより、上記実施の形態1と同様にダイオード5と抵抗6の接続部から出力電圧を得る経路と、上記実施の形態2と同様にトランジスタ4のドレイン端子から出力電圧を得る経路とを選択することができる。
【0042】
上記実施の形態1において、図3に示す出力電圧の温度依存性を計算した温度補償バイアス回路101の好適な抵抗値の組み合わせは、抵抗6の値R1aが1.5kΩ、抵抗7の値R2aが3.5kΩ、抵抗8の値R3aが100Ω、抵抗9の値R4aが100Ωである。また、上記実施の形態2において、図5に示す出力電圧の温度依存性を計算した温度補償バイアス回路102の好適な抵抗値の組み合わせは、抵抗10の値R1bが1.5kΩ、抵抗11の値R2bが0.5kΩ、抵抗12の値R3bが100Ω、抵抗13の値R4bが1.9kΩである。
【0043】
ここで、図3及び図5では、出力電圧の常温における設定電圧は同じ値であり、また抵抗6の値R1aと抵抗10の値R1bが同じ値、抵抗8の値R3aと抵抗12の値R3bが同じ値であるが、抵抗7の値R2aは抵抗11の値R2bより大きく、抵抗9の値R4aは抵抗13の値R4bより小さく、異なる値となる。
【0044】
そこで、この実施の形態3では、抵抗値を切り替えることができる抵抗回路21へ抵抗9を置き換え、抵抗7についても、抵抗値を切り替えることができる抵抗回路22へ置き換え、SPDTスイッチ20の切り替えに併せて、抵抗回路21と抵抗回路22の抵抗値を切り替える。これによって、一つの温度補償バイアス回路103を用いるだけで、正、負の出力電圧の温度変化を実現することが可能となる。
【0045】
具体的に説明すると、正の出力電圧の温度変化を実現する場合、SPDTスイッチ20により出力電圧端子2の接続先をダイオード5と抵抗6の接続部から出力電圧を得る経路に切り替える。ここで、抵抗回路21はその抵抗値が大きくなるようにスイッチ18をオフとし(抵抗値R2a1+R2a2)、抵抗回路22の抵抗値が小さくなるようにスイッチ19をオンにする(抵抗値R4a2)。
【0046】
一方、負の出力電圧の温度変化を実現する場合、SPDTスイッチ20により出力電圧端子2の接続先をトランジスタ4のドレイン端子から出力電圧を得る経路に切り替える。ここで、抵抗回路21はその抵抗値が小さくなるようにスイッチ18をオンとし(抵抗値R2a2)、抵抗回路22の抵抗値が大きくなるようにスイッチ19をオフにする(抵抗値R4a1+R4a2)。
【0047】
このように、この実施の形態3による温度補償バイアス回路103では、出力電圧端子や抵抗回路に設けたスイッチの切替えにより、正又は負のいずれかの出力電圧の温度変化を選択することができる上、所望の出力電圧を選択することができる。
【0048】
以上のように、この実施の形態3によれば、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧Vth付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧Vgsが印加されるトランジスタ4と、トランジスタ4のソース端子と抵抗6との間で順方向になるように、一端がトランジスタ4のソース端子に接続し、他端が抵抗6の一端に接続するダイオード5と、出力電圧が取り出される出力電圧端子2に接続し、この出力電圧端子2の接続先をダイオード5と抵抗6との接続部及びトランジスタ4のドレイン端子のうちのいずれか一方に切り替えるスイッチ20と、一端が抵抗6の他端に接続し、他端がマイナス側電圧印加端子1に接続し、トランジスタ4のゲート端子が抵抗6との接続部に接続すると共に、抵抗値の大小が切り替えられる抵抗回路21と、トランジスタ4のドレイン端子に一端が接続し、プラス側電圧印加端子3に他端が接続し、抵抗値の大小が切り替えられる抵抗回路22とを備えたので、正、負の出力電圧の温度変化を一つの温度補償バイアス回路で実現することが可能であり、かつ上記実施の形態1、2で示した回路と同様に大きな出力電圧の温度変化を得ることができる。
【0049】
なお、上記実施の形態3では、抵抗値の切り替えが可能な抵抗回路として、図6(a)に示す抵抗回路21,22を用いた場合を示したが、抵抗回路21,22のうちの少なくとも一方を図6(b)に示す抵抗回路23で置き換えた回路構成としてもよい。つまり、本発明は、抵抗回路21〜23の回路構成に限定されるものではなく、抵抗値を切り替えることが可能な抵抗回路であれば、図6に示した回路以外の構成であっても構わない。
【0050】
実施の形態4.
この実施の形態4では、上記実施の形態1(図1)、上記実施の形態2(図4)及び上記実施の形態3(図6)で示した回路内のダイオード5を、複数のダイオードを多段化したユニットに置き換えた温度補償バイアス回路を示す。
【0051】
図7は、この発明の実施の形態4による温度補償バイアス回路に用いる多段化したダイオードユニットを示す図である。図7において、実施の形態4によるダイオードユニット27は、複数のダイオード26を順方向に直列に接続して構成される。このダイオードユニット27は、図1、図4及び図6にそれぞれ示した温度補償バイアス回路101,102,103内のダイオード5と置き換えられ、置換後の各回路が実施の形態4による温度補償バイアス回路となる。
【0052】
上記実施の形態1〜3に示したようなダイオードを一段とした場合と比較して、実施の形態4では、段数分だけダイオードの端子間電圧(ダイオードユニット27の端子間電圧)の温度変化が大きくなる。そのため、トランジスタ4のゲート−ソース間電圧が温度上昇に伴って浅くなり、トランジスタ4のドレイン電流Idsが増加する。
【0053】
以上のように、この実施の形態4によれば、ダイオード5の代わりに、複数のダイオード26を直列に接続してなるダイオードユニット27を設けたので、ダイオードを一段とした上記実施の形態1〜3の回路構成よりも、さらに出力電圧の温度変化を大きくすることができる。
【0054】
実施の形態5.
この実施の形態5では、上記実施の形態1(図1)、上記実施の形態2(図4)及び上記実施の形態3(図6)で示した回路内のダイオード5を、並列抵抗を組み合わせたダイオードユニットに置き換えた温度補償バイアス回路を示す。
【0055】
図8は、この発明の実施の形態5による温度補償バイアス回路に用いるダイオードユニットを示す図であり、図8(a)はダイオードユニットの構成例1を示し、図8(b)はダイオードユニットの構成例2を示し、図8(c)はダイオードユニットの構成例3を示している。図8(a)に示すダイオードユニット29は、ダイオード26と抵抗28とを1つずつ並列に接続して構成される(構成例1)。
【0056】
また、図8(b)に示すダイオードユニット30では、複数のダイオード26を順方向に直列に接続して多段化し、この直列接続されたダイオード26のうちの1つ(図示の例では末端のダイオード26)と抵抗28とを並列に接続している(構成例2)。
【0057】
図8(c)に示すダイオードユニット31では、複数のダイオード26を直列に接続して多段化した構成は図8(b)と同様であるが、多段化した全てのダイオード26と1つの抵抗28とが並列に接続される(構成例3)。ダイオードユニット29,30,31は、図1、図4及び図6に示した温度補償バイアス回路101,102,103内のダイオード5とそれぞれ置き換えられ、置換後の各回路が実施の形態5による温度補償バイアス回路となる。
【0058】
実施の形態5による温度補償バイアス回路では、上述のように並列抵抗28を設けることにより、上記実施の形態1〜4のように1つのダイオード5や多段化したダイオード27を用いた回路構成と比較してダイオードの温度特性の影響を抑えることができる。トランジスタ4のソース端子に単一のダイオード若しくは多段化したダイオードを接続する場合、ダイオードの段数に合わせて温度特性を離散的に変更することしかできなかった。これに対して、実施の形態5では、並列抵抗28の値を変えることで温度変化を連続的に調整することが可能である。
【0059】
以上のように、この実施の形態5によれば、ダイオードに並列に接続する抵抗28を備えたので、上記実施の形態1〜4の温度補償バイアス回路と比較して出力電圧の温度変化の大きさを連続的に調整することができる。
【0060】
なお、上記実施の形態5では、図8に示すダイオードユニット29〜31を用いた構成を示したが、本発明は、上述した図8の構成に限定されるものではない。例えば、図8(b)において、何段目のダイオード26に並列抵抗28を設けるか(並列抵抗の位置)、並列抵抗28の数、多段化されたダイオード26中の複数段のダイオード26に対して並列抵抗28を設ける、といったように、連続的に出力電圧の温度変化の大きさを調整可能であれば異なる回路構成のダイオードユニットであっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0061】
実施の形態6.
図9は、この発明の実施の形態6による温度補償バイアス回路に用いるダイオードの構成を示す回路図であり、図9(a)は構成例1を示し、図9(b)は構成例2を示し、図9(c)は構成例3を示す。図9(a)に示すダイオード回路32aは、FETやHEMT等のトランジスタを用い、そのソース端子とドレイン端子を接続して共通の端子を設け、もう一端をゲート端子からとっている(構成例1)。また、図9(b)に示すダイオード回路32bは、BJT(Bipolar junction transistor)やHBT(Heterojunction Bipolar Transistor)等のバイポーラトランジスタを用い、そのエミッタ端子とコレクタ端子を接続して共通の端子を設け、もう一端をベース端子からとっている(構成例2)。さらに、図9(c)に示すダイオード回路32cは、BJTやHBT等のバイポーラトランジスタを用い、そのベース端子とコレクタ端子を接続して共通の端子を設け、もう一端をエミッタ端子からとっている(構成例3)。
【0062】
上記実施の形態1で示した図1、上記実施の形態2で示した図4、上記実施の形態3で示した図6の温度補償バイアス回路、上記実施の形態4で示した多段化したダイオードを用いた温度補償バイアス回路、上記実施の形態5で示した単一のダイオード又は多段化したダイオードに並列抵抗を設けた温度補償バイアス回路のそれぞれに用いられるダイオードを、図9(a)、図9(b)及び図9(c)に示したダイオード回路に置き換えることによりそれぞれの回路が、実施の形態6による温度補償バイアス回路を構成する。
【0063】
次に動作について説明する。
図9(a)に示すダイオード回路32aは、ゲート端子がプラス側端子であり、ソース端子及びドレイン端子が接続された共通の端子がマイナス側端子であるダイオードとして動作する。同様に、図9(b)に示すダイオード回路32bでは、ベース端子がプラス側端子であり、エミッタ端子及びコレクタ端子が接続された共通の端子がマイナス側端子であるダイオードとして動作する。図9(c)に示すダイオード回路32cでは、ベース端子及びコレクタ端子が接続された共通の端子がプラス側端子であり、エミッタ端子がマイナス側端子であるダイオードとして動作する。
【0064】
以上のように、この実施の形態6によれば、電界効果トランジスタのゲート端子をプラス側の端子とし、ソース端子とドレイン端子を接続してマイナス側の共通端子とした回路32a、バイポーラトランジスタのベース端子をプラス側の端子とし、エミッタ端子とコレクタ端子を接続してマイナス側の共通端子とした回路32b、バイポーラトランジスタのベース端子とコレクタ端子を接続してプラス側の共通端子とし、エミッタ端子をマイナス側の端子とした回路32cのうちのいずれかを、ダイオード5,26として用いたので、上記実施の形態1〜5のそれぞれの効果が引き継いで得られる。
【0065】
また、上記実施の形態6では、図9(a)から図9(c)までのようにダイオードの機能をトランジスタを用いて実現しており、ダイオード回路32a,32b,32cがトランジスタの製造プロセスのみで製造可能であることから、製造上ダイオードの製造プロセスを有しないMMIC(Microwave Monolithic IC)においても、実施の形態6による温度補償バイアス回路を構成できる。これにより、増幅器や減衰器等の高周波回路と実施の形態6による温度補償バイアス回路とを同一MMIC上に構成することができる。
【0066】
実施の形態7.
図10は、この発明の実施の形態7による高周波増幅器の構成を示す回路図である。図10において、実施の形態10による高周波増幅器200は、高周波入力端子33、高周波出力端子34、ゲートバイアス電圧印加端子35及びドレインバイアス電圧印加端子36を有し、上記実施の形態1で示した温度補償バイアス回路101(図1)又は上記実施の形態3で示した温度補償バイアス回路103(図6)からゲートバイアス電圧印加端子35を介してゲートバイアス電圧が印加される。ここで、温度補償バイアス回路103は、スイッチ20によって出力電圧端子2の接続先をダイオード5と抵抗6の間に切り替えた状態とする。
【0067】
上述した温度補償バイアス回路101,103では、出力電圧印加端子2とゲートバイアス電圧印加端子35とが接続され、その出力電圧Voutがゲートバイアス電圧として高周波増幅器200に供給される。なお、温度補償バイアス回路101,103を負電圧のみで動作させる場合、プラス側電圧印加端子3を接地してVgc2の値を0Vとする。また、温度補償バイアス回路101,103には、図1や図6に示したバイアス回路のダイオード部分に上記実施の形態4〜6の構成(図7〜9に示した構成)を適用した温度補償バイアス回路も含まれるものとする。
【0068】
なお、上記温度補償バイアス回路は、プラス側電圧印加端子3を介して供給される電圧Vgs2が0V、すなわち接地されていても動作する。従って、この実施の形態7による高周波増幅器200のゲートバイアス回路には、負電圧のみを供給するだけで動作可能である。
【0069】
高周波増幅器200は、増幅素子37、入力整合回路38、出力整合回路39、バイアスフィード用インダクタ40及びバイパスコンデンサ41を有し、図10中に矢印で示すようにバイアスフィード用インダクタ40を、1/4波長線路43や抵抗44に置換可能である。増幅素子37は、GaAsFETやHEMT等のトランジスタからなり、ソース端子が接地され、ドレイン端子が出力整合回路39と接続しており、ゲート端子が入力整合回路38に接続している。
【0070】
入力整合回路38は、一端が高周波入力端子33と接続し、他端が増幅素子37のトランジスタのゲート端子に接続して、高周波入力端子33と増幅素子37との間のインピーダンスを整合させる。出力整合回路39は、一端が高周波出力端子34と接続し、他端が増幅素子37のトランジスタのドレイン端子に接続して、高周波出力端子34と増幅素子37との間のインピーダンスを整合させる。
【0071】
バイアスフィード用インダクタ40は、増幅素子37のトランジスタのゲート側とドレイン側の双方にそれぞれ設けられ、一端がバイパスコンデンサ41と直列に接続されており、増幅素子37のトランジスタのゲート側に接続する構成の場合、他端が入力整合回路38と増幅素子37との接続部に接続され、増幅素子37のトランジスタのドレイン側に接続する構成の場合、他端が出力整合回路39と増幅素子37との接続部に接続される。
【0072】
また、バイパスコンデンサ41のバイアスフィード用インダクタ40側でない端部は、グランド42に接地されており、このバイパスコンデンサ41と増幅素子37のトランジスタのゲート側に接続するバイアスフィード用インダクタ40との接続部にゲートバイアス電圧印加端子35が接続される。一方、バイパスコンデンサ41と増幅素子37のトランジスタのドレイン側に接続するバイアスフィード用インダクタ40との接続部には、ドレインバイアス電圧印加端子36が接続される。
【0073】
次に動作について説明する。
高周波入力端子33から高周波入力信号RFinが入力されると、入力整合回路38を介して増幅素子37に入力される。この後、高周波信号は増幅素子37で増幅された後、出力整合回路39を介して高周波出力信号RFoutとして高周波出力端子34より出力される。このようにして、高周波信号が増幅される。
【0074】
ここで、増幅素子37へ印加されるバイアス電圧のうち、ゲートバイアス電圧Vgは、ゲートバイアス電圧印加端子35からバイアスフィード用インダクタ40を介して増幅素子37のトランジスタのゲート端子に供給される。また、増幅素子37へ印加されるドレインバイアス電圧Vdは、ドレインバイアス電圧印加端子36からバイアスフィード用インダクタ40を介して増幅素子37のドレイン端子に供給される。
【0075】
なお、ゲートバイアス印加用のバイアスフィード用インダクタ40は、図10中に矢印で示すように、1/4波長線路43や抵抗44で代替しても構わない。また、ドレインバイアス印加用のバイアスフィード用インダクタ40についても、該インダクタ40の代わりに1/4波長線路43を用いても構わない。
【0076】
高周波増幅器200へのゲートバイアス電圧Vgは、温度補償バイアス回路101(若しくは温度補償バイアス回路103)から供給される。例えば、温度補償バイアス回路101から供給される場合、温度が高くなるとゲートバイアス電圧Vgは高くなる。また、温度補償バイアス回路103から供給される場合においても、温度が高くなると出力電圧Voutが高くなるようにスイッチの切り替え設定をしておくことで、ゲートバイアス電圧Vgは高くなる。
【0077】
上述したように、従来の高周波増幅器は、トランジスタ特性の温度変化に起因して温度が高くなるとその利得が低くなる特性を有する。一方、ゲートバイアス電圧Vgを高くすると、増幅素子37に流れる電流が増えて高周波増幅器の利得が増加する。そこで、この実施の形態6による高周波増幅器200では、ゲートバイアス電圧Vgを温度補償バイアス回路101(若しくは温度補償バイアス回路103)から供給することにより、温度が高くなるとゲートバイアス電圧Vgが高くなるため、温度上昇に伴った利得の低下を抑えることができる。
【0078】
以上のように、この実施の形態7によれば、上記実施の形態1、上記実施の形態3から6までの温度補償バイアス回路101,103と、温度補償バイアス回路101,103の出力電圧端子2と接続し、この出力電圧端子2を介してゲートバイアス電圧が供給され、入力した高周波信号を増幅する電界効果トランジスタからなる増幅素子37とを備えたので、温度上昇に伴った利得の低下を抑えた高周波増幅器を得ることができる。
【0079】
実施の形態8.
図11は、この発明の実施の形態8による高周波減衰器の構成を示す回路図である。図11において、実施の形態8による高周波減衰器300は、高周波入力端子33、高周波出力端子34及びゲートバイアス電圧印加端子48,49を有し、上記実施の形態1で示した温度補償バイアス回路101(図1)からゲートバイアス電圧印加端子49を介してゲートバイアス電圧が印加され、上記実施の形態2で示した温度補償バイアス回路102(図4)からゲートバイアス電圧印加端子48,48を介してゲートバイアス電圧が印加される。
【0080】
なお、温度補償バイアス回路101は、出力電圧印加端子2とゲートバイアス電圧印加端子49とが接続しており、その出力電圧Voutがゲートバイアス電圧として減衰器302内のトランジスタ46のゲート電極に供給される。また、温度補償バイアス回路102は、出力電圧印加端子2とゲートバイアス電圧印加端子48とが接続しており、その出力電圧Voutがゲートバイアス電圧として減衰器301内のトランジスタ45のゲート電極に供給される。
【0081】
温度補償バイアス回路101,102を負電圧のみで動作させる場合、プラス側電圧印加端子3を接地してVgc2の値を0Vとする。また、温度補償バイアス回路101,102には、図1や図4に示したバイアス回路におけるダイオード部分に、上記実施の形態4〜6の構成(図7〜9に示した構成)を適用した温度補償バイアス回路も含まれるものとする。
【0082】
高周波減衰器300は、減衰器(並列トランジスタ減衰回路)301及び減衰器(直列トランジスタ減衰回路)302を備える。減衰器301は、トランジスタ45及びゲートバイアス電圧フィード抵抗47を備え、ゲートバイアス電圧フィード抵抗47は、一端がゲートバイアス電圧印加端子48に接続しており、他端がトランジスタ45のゲート端子に接続している。
【0083】
トランジスタ45は、FETやHEMT等が用いられ、高周波入力端子33側の減衰器301でドレイン端子が高周波入力端子33と接続しており、ソース端子が接地されている。また、高周波出力端子34側の減衰器301のトランジスタ45では、ドレイン端子が高周波出力端子34と接続しており、ソース端子が接地されている。このように、高周波入力端子33側及び高周波出力端子34側の双方の減衰器301において、トランジスタ45は、高周波信号の伝達経路に並列に接続される(以降、並列のトランジスタ45を称す)。
【0084】
減衰器302は、トランジスタ46及びゲートバイアス電圧フィード抵抗47を備え、ゲートバイアス電圧フィード抵抗47はゲートバイアス電圧印加端子49と一端が接続し、他端がトランジスタ46のゲート端子に接続している。トランジスタ46は、FETやHEMT等が用いられ、そのドレイン端子が高周波入力端子33側の減衰器301内のトランジスタ45のドレイン端子と接続しており、トランジスタ46のソース端子が高周波出力端子34側の減衰器301内のトランジスタ45のドレイン端子と接続している。減衰器302におけるトランジスタ46は、高周波信号の伝達経路に直列に接続される(以降、直列のトランジスタ46を称す)。
【0085】
次に動作について説明する。
高周波入力端子33から入力された高周波入力信号は、高周波入力端子33側の減衰器301のトランジスタ45、減衰器302のトランジスタ46、高周波出力端子34側の減衰器301のトランジスタ45で減衰され、高周波出力端子34より高周波出力信号として出力される。このようにして、高周波信号が減衰される。
【0086】
並列のトランジスタ45へ印加されるゲートバイアス電圧は、ゲートバイアス電圧印加端子48からゲートバイアス電圧フィード抵抗47を介してトランジスタ45のゲート端子に供給される。また、直列のトランジスタ46へ印加されるゲートバイアス電圧は、ゲートバイアス電圧印加端子49からゲートバイアス電圧フィード抵抗47を介してトランジスタ46のゲート端子に供給される。なお、トランジスタ45のソース電極とドレイン電極はDC的には接地されているものとする。
【0087】
ここで、上記実施の形態2による温度補償バイアス回路102によって、並列のトランジスタ45へゲートバイアス電圧が供給される。このため、温度上昇に伴って、並列のトランジスタ45へ供給されるゲートバイアス電圧が低くなる。これにより、並列のトランジスタ45の内部抵抗は、温度が高くなるにつれて抵抗値が大きくなるので、温度上昇に伴って減衰器301の減衰量は小さくなる。
【0088】
一方、直列のトランジスタ46には、上記実施の形態1による温度補償バイアス回路101によってゲートバイアス電圧が供給されるため、温度上昇に伴ってゲートバイアス電圧が高くなる。これにより、直列のトランジスタ46の内部抵抗は、温度が高くなるにつれて抵抗値が小さくなるので、温度上昇に伴って減衰器302の減衰量は小さくなる。
【0089】
このように、並列トランジスタを用いた減衰器301及び直列トランジスタを用いた減衰器302の両方とも、温度が高くなると減衰量が小さくなるため、高周波減衰器300としては、温度が高くなると減衰量が小さくなる特性を実現することができる。
【0090】
以上のように、この実施の形態8によれば、高周波信号を入力する高周波入力端子33とドレイン端子が接続し、ソース端子が接地され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ45を有する減衰回路301と、減衰された高周波信号を出力する高周波出力端子34とドレイン端子が接続し、ソース端子が接地され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ45を有する減衰回路301と、高周波入力端子33とドレイン端子が接続し、高周波出力端子34とソース端子が接続され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ46を有する減衰回路302とからなり、温度補償バイアス回路102が、減衰回路301,301のトランジスタ45にゲートバイアス電圧を供給し、温度補償バイアス回路101が、減衰回路302のトランジスタ46にゲートバイアス電圧を供給するので、温度上昇に伴って減衰量が小さくなる特性を有した高周波減衰器を得ることができる。
【0091】
実施の形態9.
図12は、この発明の実施の形態9による高周波減衰器の構成を示す回路図である。図12において、高周波減衰器300は上記実施の形態8と同様の構成を有するが、並列のトランジスタ45を用いた減衰器301に対して上記実施の形態1で示した温度補償バイアス回路101がゲートバイアス電圧を供給し、直列のトランジスタ46を用いた減衰器302に対して上記実施の形態2で示した温度補償バイアス回路102がゲートバイアス電圧を供給する。
【0092】
なお、温度補償バイアス回路101は、出力電圧印加端子2とゲートバイアス電圧印加端子48とが接続しており、その出力電圧Voutがゲートバイアス電圧として減衰器301内のトランジスタ45のゲート電極に供給される。また、温度補償バイアス回路102は、出力電圧印加端子2とゲートバイアス電圧印加端子49とが接続しており、その出力電圧Voutがゲートバイアス電圧として減衰器302内のトランジスタ46のゲート電極に供給される。
【0093】
温度補償バイアス回路101,102を負電圧のみで動作させる場合、プラス側電圧印加端子3を接地してVgc2の値を0Vとする。また、温度補償バイアス回路101,102には、図1や図4に示したバイアス回路におけるダイオード部分に、上記実施の形態4〜6の構成(図7〜9に示した構成)を適用した温度補償バイアス回路も含まれるものとする。
【0094】
次に動作について説明する。
高周波入力端子33から入力された高周波入力信号は、高周波入力端子33側の減衰器301のトランジスタ45、減衰器302のトランジスタ46、高周波出力端子34側の減衰器301のトランジスタ45で減衰され、高周波出力端子34より高周波出力信号として出力される。このようにして、高周波信号が減衰される。
【0095】
並列のトランジスタ45へ印加されるゲートバイアス電圧は、ゲートバイアス電圧印加端子48からゲートバイアス電圧フィード抵抗47を介してトランジスタ45のゲート端子に供給される。また、直列のトランジスタ46へ印加されるゲートバイアス電圧は、ゲートバイアス電圧印加端子49からゲートバイアス電圧フィード抵抗47を介してトランジスタ46のゲート端子に供給される。なお、トランジスタ45のソース電極とドレイン電極はDC的には接地されているものとする。
【0096】
ここで、上記実施の形態1による温度補償バイアス回路101によって、並列のトランジスタ45へゲートバイアス電圧が供給される。このため、温度上昇に伴って、並列のトランジスタ45へ供給されるゲートバイアス電圧が高くなる。これにより、並列のトランジスタ45の内部抵抗は温度が高くなるにつれて抵抗値が小さくなるので、温度上昇に伴って減衰器301の減衰量は大きくなる。
【0097】
一方、直列のトランジスタ46には、上記実施の形態2による温度補償バイアス回路102によってゲートバイアス電圧が供給されるため、温度上昇に伴ってゲートバイアス電圧が低くなる。これにより、直列のトランジスタ46の内部抵抗は、温度が高くなるにつれて抵抗値が大きくなるので、温度上昇に伴って減衰器302の減衰量は大きくなる。
【0098】
このように、並列トランジスタを用いた減衰器301及び直列トランジスタを用いた減衰器302の両方とも、温度が高くなると減衰量が大きくなるため、高周波減衰器300としては、温度が高くなると減衰量が大きくなる特性を実現することができる。
【0099】
以上のように、この実施の形態9によれば、高周波信号を入力する高周波入力端子33とドレイン端子が接続し、ソース端子が接地され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ45を有する減衰回路301と、減衰された高周波信号を出力する高周波出力端子34とドレイン端子が接続し、ソース端子が接地され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ45を有する減衰回路301と、高周波入力端子33とドレイン端子が接続し、高周波出力端子34とソース端子が接続され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ46を有する減衰回路302とからなり、温度補償バイアス回路101が、減衰回路301,301のトランジスタ45にゲートバイアス電圧を供給し、温度補償バイアス回路102が、減衰回路302のトランジスタ46にゲートバイアス電圧を供給するので、温度上昇に伴って減衰量が大きくなる特性を有した高周波減衰器を得ることができる。
【0100】
実施の形態10.
図13は、この発明の実施の形態10による高周波減衰器の構成を示す回路図である。図13において、高周波減衰器300は上記実施の形態8と同様の構成を有するが、並列のトランジスタ45を用いた減衰器301に対して上記実施の形態3で示した温度補償バイアス回路103がゲートバイアス電圧を供給し、直列のトランジスタ46を用いた減衰器302に対しても温度補償バイアス回路103がゲートバイアス電圧を供給する。
【0101】
なお、温度補償バイアス回路103は、その出力電圧Voutがゲートバイアス電圧として減衰器301内のトランジスタ45のゲート電極、減衰器302内のトランジスタ46のゲート電極に供給される。温度補償バイアス回路103を負電圧のみで動作させる場合、プラス側電圧印加端子3を接地してVgc2の値を0Vとする。また、温度補償バイアス回路103には、図6に示したバイアス回路のダイオード部分に、上記実施の形態4〜6の構成(図7〜9に示した構成)を適用した温度補償バイアス回路も含まれるものとする。
【0102】
次に動作について説明する。
高周波入力端子33から入力された高周波入力信号は、高周波入力端子33側の減衰器301のトランジスタ45、減衰器302のトランジスタ46、高周波出力端子34側の減衰器301のトランジスタ45で減衰され、高周波出力端子34より高周波出力信号として出力される。このようにして、高周波信号が減衰される。
【0103】
並列のトランジスタ45へ印加されるゲートバイアス電圧は、ゲートバイアス電圧印加端子48からゲートバイアス電圧フィード抵抗47を介してトランジスタ45のゲート端子に供給される。また、直列のトランジスタ46へ印加されるゲートバイアス電圧は、ゲートバイアス電圧印加端子49からゲートバイアス電圧フィード抵抗47を介してトランジスタ46のゲート端子に供給される。なお、トランジスタ45のソース電極とドレイン電極はDC的には接地されているものとする。
【0104】
(1)温度上昇に伴って減衰量を大きくする場合
並列のトランジスタ45へゲートバイアス電圧を供給する、一方の温度補償バイアス回路103では、上記実施の形態3で示したようにスイッチを切り替えることにより、温度が高くなるとその出力電圧Voutが高くなるように設定しておく。これにより、温度が上昇すると並列のトランジスタ45に印加されるゲートバイアス電圧は高くなる。このため、並列のトランジスタ45の内部抵抗は温度が高くなると小さくなり、減衰器301の減衰量は大きくなる。
【0105】
一方、直列のトランジスタ46へゲートバイアス電圧を供給する、もう一方の温度補償バイアス回路103では、上述の設定とは逆に上記実施の形態3で示したようにスイッチを切り替えることにより、温度が高くなると出力電圧が低くなるように設定しておく。これにより、温度が上昇すると並列のトランジスタ45に印加されるゲートバイアス電圧は低くなる。このため、直列のトランジスタ46の内部抵抗は、温度が高くなると大きくなり、減衰器302の減衰量は大きくなる。
【0106】
このようにして、並列のトランジスタ45を用いた減衰器301及び直列のトランジスタ46を用いた減衰器302の両方とも、温度が高くなると減衰量が大きくなるため、高周波減衰器300としては、温度が高くなると減衰量が大きくなる特性を実現することができる。
【0107】
(2)温度上昇に伴って減衰量を小さくする場合
一方、2つの温度補償バイアス回路103のスイッチの切り替えを、上述の設定とは逆にすると、並列のトランジスタ45を用いた減衰器301及び直列のトランジスタ46を用いた減衰器302の両方とも、温度が高くなると減衰量が小さくなる。このため、高周波減衰器300としては、温度が高くなると減衰量が小さくなる特性を実現することができる。
【0108】
すなわち、並列のトランジスタ45へゲートバイアス電圧を供給する、一方の温度補償バイアス回路103では、上記実施の形態3で示したようにスイッチを切り替えることにより、温度が高くなるとその出力電圧Voutが低くなるように設定しておく。これにより、温度が上昇すると並列のトランジスタ45に印加されるゲートバイアス電圧は低くなる。このため、並列のトランジスタ45の内部抵抗は温度が高くなると大きくなり、減衰器301の減衰量は小さくなる。
【0109】
一方、直列のトランジスタ46へゲートバイアス電圧を供給する、もう一方の温度補償バイアス回路103では、スイッチを切り替えることにより、温度が高くなると出力電圧が高くなるように設定しておく。これにより、温度が上昇すると並列のトランジスタ45に印加されるゲートバイアス電圧は高くなる。このため、直列のトランジスタ46の内部抵抗は、温度が高くなると小さくなり、減衰器302の減衰量は小さくなる。
【0110】
このようにすることで、並列のトランジスタ45を用いた減衰器301及び直列のトランジスタ46を用いた減衰器302の両方とも、温度が高くなると減衰量が小さくなるため、高周波減衰器300としては、温度が高くなると減衰量が小さくなる特性を実現することができる。
【0111】
以上のように、この実施の形態10によれば、高周波信号を入力する高周波入力端子33とドレイン端子が接続し、ソース端子が接地され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ45を有する減衰回路301と、減衰された高周波信号を出力する高周波出力端子34とドレイン端子が接続し、ソース端子が接地され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ45を有する減衰回路301と、高周波入力端子33とドレイン端子が接続し、高周波出力端子34とソース端子が接続され、入力された高周波信号を減衰するトランジスタ46を有する減衰回路302とからなり、減衰回路301のトランジスタ45にゲートバイアス電圧を供給する温度補償バイアス回路103が、減衰回路302のトランジスタ46にゲートバイアス電圧を供給する温度補償バイアス回路103で出力電圧端子2の接続先がトランジスタ4のソース端子に切り替えられている場合、自回路の出力電圧端子2の接続先をダイオード5と抵抗6との間に切り替え、減衰回路302のトランジスタ46にゲートバイアス電圧を供給する温度補償バイアス回路103で出力電圧端子2の接続先がダイオード5と抵抗6との間に切り替えられている場合、自回路の出力電圧端子2の接続先をトランジスタ4のソース端子に切り替えるので、温度補償バイアス回路103のスイッチを切り替えることによって、温度に対して減衰量が大きくなる特性と小さくなる特性とを適宜選択することが可能である。
【0112】
なお、本発明による高周波減衰器として、上記実施の形態8〜10の構成を示したが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、図11及び図12に示した構成において、温度補償バイアス回路102の代わりに、温度上昇に伴って減衰量が小さくなるように設定された温度補償バイアス回路103を用いても良い。また、温度補償バイアス回路101の代わりに、温度上昇に伴って減衰量が大きくなるように設定された温度補償バイアス回路103を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】この発明の実施の形態1による温度補償バイアス回路の構成を示す回路図である。
【図2】図1中のトランジスタの様々な温度におけるドレイン電流のゲート−ソース間電圧依存性を示すグラフである。
【図3】図1中の温度補償バイアス回路における温度−出力電圧特性を示すグラフである。
【図4】この発明の実施の形態2による温度補償バイアス回路の構成を示す回路図である。
【図5】図4中の温度補償バイアス回路における温度−出力電圧特性を示すグラフである。
【図6】この発明の実施の形態3による温度補償バイアス回路の構成を示す回路図である。
【図7】この発明の実施の形態4による温度補償バイアス回路に用いる多段化したダイオードユニットを示す図である。
【図8】この発明の実施の形態5による温度補償バイアス回路に用いるダイオードユニットを示す図である。
【図9】この発明の実施の形態6による温度補償バイアス回路に用いるダイオードの構成を示す回路図である。
【図10】この発明の実施の形態7による高周波増幅器の構成を示す回路図である。
【図11】この発明の実施の形態8による高周波減衰器の構成を示す回路図である。
【図12】この発明の実施の形態9による高周波減衰器の構成を示す回路図である。
【図13】この発明の実施の形態10による高周波減衰器の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0114】
1 マイナス側電圧印加端子、2 出力電圧端子、3 プラス側電圧印加端子、4,45,46 トランジスタ、5,26 ダイオード、6〜13 抵抗(第1の抵抗、第2の抵抗、第3の抵抗、第4の抵抗)、14〜17,24a,24b,44,47 抵抗、18〜19,25 スイッチ、20 スイッチ(出力切替スイッチ)、21〜23 抵抗回路(第1の抵抗回路、第2の抵抗回路)、27,29〜31 ダイオードユニット、28 並列抵抗、32a,32b ダイオード回路、33 高周波入力端子、34 高周波出力端子、35 ゲートバイアス電圧印加端子、36 ドレインバイアス電圧印加端子、37 増幅素子、38 入力整合回路、39 出力整合回路、40 バイアスフィード用インダクタ、41 バイパスコンデンサ、42 グランド、43 1/4波長線路、48,49 ゲートバイアス電圧印加端子、101〜103 温度補償バイアス回路、200 高周波増幅器、300 高周波減衰器、301 減衰器(減衰回路、並列トランジスタ減衰回路)、302 減衰器(減衰回路、直列トランジスタ減衰回路)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラス側電圧印加端子と、
マイナス側電圧印加端子と、
ドレイン端子が前記プラス側電圧印加端子に接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧が印加される電界効果トランジスタと、
前記電界効果トランジスタのソース端子と第1の抵抗との間で順方向になるように、一端が前記電界効果トランジスタのソース端子に接続し、他端が前記第1の抵抗の一端に接続するダイオードと、
一端が前記第1の抵抗の他端に接続すると共に、他端が前記マイナス側電圧印加端子に接続し、前記電界効果トランジスタのゲート端子が前記第1の抵抗との接続部に接続する第2の抵抗と、
前記ダイオードと前記第1の抵抗との接続部に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子とを備えた温度補償バイアス回路。
【請求項2】
電界効果トランジスタのドレイン端子とプラス側電圧印加端子は、第4の抵抗を介して接続することを特徴とする請求項1記載の温度補償バイアス回路。
【請求項3】
プラス側電圧印加端子と、
マイナス側電圧印加端子と、
温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧が印加される電界効果トランジスタと、
前記電界効果トランジスタのソース端子と第1の抵抗との間で順方向になるように、一端が前記電界効果トランジスタのソース端子に接続し、他端が前記第1の抵抗の一端に接続するダイオードと、
出力電圧が取り出される出力電圧端子と、
前記出力電圧端子と接続し、この出力電圧端子の接続先を前記ダイオードと前記第1の抵抗との接続部及び前記電界効果トランジスタのドレイン端子のうちのいずれか一方に切り替える出力切替スイッチと、
一端が前記第1の抵抗の他端に接続し、他端が前記マイナス側電圧印加端子に接続し、前記電界効果トランジスタのゲート端子が前記第1の抵抗との接続部に接続すると共に、抵抗値の大小が切り替えられる第1の抵抗回路と、
一端が前記電界効果トランジスタのドレイン端子に接続し、他端が前記プラス側電圧印加端子に接続し、抵抗値の大小が切り替えられる第2の抵抗回路とを備えた温度補償バイアス回路。
【請求項4】
出力切替スイッチによって出力電圧端子の接続先がダイオードと第1の抵抗との接続部に切り替えられると、第1の抵抗回路は抵抗値が大に切り替えられ、第2の抵抗回路は抵抗値が小に切り替えられ、
前記出力切替スイッチによって前記出力電圧端子の接続先が電界効果トランジスタのドレイン端子に切り替えられると、前記第1の抵抗回路は抵抗値が小に切り替えられ、前記第2の抵抗回路は抵抗値が大に切り替えられることを特徴とする請求項3記載の温度補償バイアス回路。
【請求項5】
電界効果トランジスタのゲート端子と第1の抵抗は、第3の抵抗を介して接続することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項6】
ダイオードの代わりに、複数のダイオードを直列に接続してなるダイオードユニットを設けたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項7】
ダイオードに並列に接続する第5の抵抗を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項8】
電界効果トランジスタのゲート端子をプラス側の端子とし、ソース端子とドレイン端子を接続してマイナス側の共通端子とした回路、
バイポーラトランジスタのベース端子をプラス側の端子とし、エミッタ端子とコレクタ端子を接続してマイナス側の共通端子とした回路、
バイポーラトランジスタのベース端子とコレクタ端子を接続してプラス側の共通端子とし、エミッタ端子をマイナス側の端子とした回路のうちのいずれかを、ダイオードとして用いたことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項9】
プラス側電圧印加端子と、
マイナス側電圧印加端子と、
一端が前記マイナス側電圧印加端子に接続する第1の抵抗と、
ゲート端子が前記第1の抵抗と前記マイナス側電圧印加端子との接続部に接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧が印加される電界効果トランジスタと、
前記電界効果トランジスタのソース端子と前記第1の抵抗との間で順方向になるように、一端が前記第1の抵抗の他端に接続し、他端が前記電界効果トランジスタのソース端子に接続するダイオードと、
一端が前記電界効果トランジスタのドレイン端子に接続すると共に、他端が前記プラス側電圧印加端子に接続する第4の抵抗と、
前記電界効果トランジスタのドレイン端子と前記第4の抵抗との接続部に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子とを備えた温度補償バイアス回路。
【請求項10】
マイナス側電圧印加端子と第1の抵抗は、第2の抵抗を介して接続することを特徴とする請求項9記載の温度補償バイアス回路。
【請求項11】
電界効果トランジスタのゲート端子と第1の抵抗は、第3の抵抗を介して接続することを特徴とする請求項9または請求項10記載の温度補償バイアス回路。
【請求項12】
ダイオードの代わりに、複数のダイオードを直列に接続してなるダイオードユニットを設けたことを特徴とする請求項9から請求項11のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項13】
ダイオードに並列に接続する第5の抵抗を備えたことを特徴とする請求項9から請求項12のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項14】
電界効果トランジスタのゲート端子をプラス側の端子とし、ソース端子とドレイン端子を接続してマイナス側の共通端子とした回路、
バイポーラトランジスタのベース端子をプラス側の端子とし、エミッタ端子とコレクタ端子を接続してマイナス側の共通端子とした回路、
バイポーラトランジスタのベース端子とコレクタ端子を接続してプラス側の共通端子とし、エミッタ端子をマイナス側の端子とした回路のうちのいずれかを、ダイオードとして用いたことを特徴とする請求項9から請求項13のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項15】
ゲートバイアス電圧に応じて高周波信号を増幅する電界効果トランジスタを有する増幅回路と、
前記増幅回路の電界効果トランジスタにゲートバイアス電圧を供給する請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路とを備えた高周波増幅器。
【請求項16】
ゲートバイアス電圧に応じて高周波信号を減衰する電界効果トランジスタを有する減衰回路と、
前記減衰回路の電界効果トランジスタにゲートバイアス電圧を供給する請求項1から請求項14のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路とを備えた高周波減衰器。
【請求項17】
高周波信号の伝達経路に並列に電界効果トランジスタが接続される並列トランジスタ減衰回路と、
高周波信号の伝達経路に直列に電界効果トランジスタが接続される直列トランジスタ減衰回路とを備え、
請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路は、
前記並列トランジスタ減衰回路又は前記直列トランジスタ減衰回路の電界効果トランジスタにゲートバイアス電圧を供給し、
請求項3から請求項14のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路は、
前記直列トランジスタ減衰回路又は前記並列トランジスタ減衰回路の電界効果トランジスタにゲートバイアス電圧を供給することを特徴とする請求項16記載の高周波減衰器。
【請求項1】
プラス側電圧印加端子と、
マイナス側電圧印加端子と、
ドレイン端子が前記プラス側電圧印加端子に接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧が印加される電界効果トランジスタと、
前記電界効果トランジスタのソース端子と第1の抵抗との間で順方向になるように、一端が前記電界効果トランジスタのソース端子に接続し、他端が前記第1の抵抗の一端に接続するダイオードと、
一端が前記第1の抵抗の他端に接続すると共に、他端が前記マイナス側電圧印加端子に接続し、前記電界効果トランジスタのゲート端子が前記第1の抵抗との接続部に接続する第2の抵抗と、
前記ダイオードと前記第1の抵抗との接続部に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子とを備えた温度補償バイアス回路。
【請求項2】
電界効果トランジスタのドレイン端子とプラス側電圧印加端子は、第4の抵抗を介して接続することを特徴とする請求項1記載の温度補償バイアス回路。
【請求項3】
プラス側電圧印加端子と、
マイナス側電圧印加端子と、
温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧が印加される電界効果トランジスタと、
前記電界効果トランジスタのソース端子と第1の抵抗との間で順方向になるように、一端が前記電界効果トランジスタのソース端子に接続し、他端が前記第1の抵抗の一端に接続するダイオードと、
出力電圧が取り出される出力電圧端子と、
前記出力電圧端子と接続し、この出力電圧端子の接続先を前記ダイオードと前記第1の抵抗との接続部及び前記電界効果トランジスタのドレイン端子のうちのいずれか一方に切り替える出力切替スイッチと、
一端が前記第1の抵抗の他端に接続し、他端が前記マイナス側電圧印加端子に接続し、前記電界効果トランジスタのゲート端子が前記第1の抵抗との接続部に接続すると共に、抵抗値の大小が切り替えられる第1の抵抗回路と、
一端が前記電界効果トランジスタのドレイン端子に接続し、他端が前記プラス側電圧印加端子に接続し、抵抗値の大小が切り替えられる第2の抵抗回路とを備えた温度補償バイアス回路。
【請求項4】
出力切替スイッチによって出力電圧端子の接続先がダイオードと第1の抵抗との接続部に切り替えられると、第1の抵抗回路は抵抗値が大に切り替えられ、第2の抵抗回路は抵抗値が小に切り替えられ、
前記出力切替スイッチによって前記出力電圧端子の接続先が電界効果トランジスタのドレイン端子に切り替えられると、前記第1の抵抗回路は抵抗値が小に切り替えられ、前記第2の抵抗回路は抵抗値が大に切り替えられることを特徴とする請求項3記載の温度補償バイアス回路。
【請求項5】
電界効果トランジスタのゲート端子と第1の抵抗は、第3の抵抗を介して接続することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項6】
ダイオードの代わりに、複数のダイオードを直列に接続してなるダイオードユニットを設けたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項7】
ダイオードに並列に接続する第5の抵抗を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項8】
電界効果トランジスタのゲート端子をプラス側の端子とし、ソース端子とドレイン端子を接続してマイナス側の共通端子とした回路、
バイポーラトランジスタのベース端子をプラス側の端子とし、エミッタ端子とコレクタ端子を接続してマイナス側の共通端子とした回路、
バイポーラトランジスタのベース端子とコレクタ端子を接続してプラス側の共通端子とし、エミッタ端子をマイナス側の端子とした回路のうちのいずれかを、ダイオードとして用いたことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項9】
プラス側電圧印加端子と、
マイナス側電圧印加端子と、
一端が前記マイナス側電圧印加端子に接続する第1の抵抗と、
ゲート端子が前記第1の抵抗と前記マイナス側電圧印加端子との接続部に接続し、温度が高くなるにつれてドレイン電流が増加する傾向を示す閾値電圧付近の電圧範囲のゲート−ソース間電圧が印加される電界効果トランジスタと、
前記電界効果トランジスタのソース端子と前記第1の抵抗との間で順方向になるように、一端が前記第1の抵抗の他端に接続し、他端が前記電界効果トランジスタのソース端子に接続するダイオードと、
一端が前記電界効果トランジスタのドレイン端子に接続すると共に、他端が前記プラス側電圧印加端子に接続する第4の抵抗と、
前記電界効果トランジスタのドレイン端子と前記第4の抵抗との接続部に接続して出力電圧が取り出される出力電圧端子とを備えた温度補償バイアス回路。
【請求項10】
マイナス側電圧印加端子と第1の抵抗は、第2の抵抗を介して接続することを特徴とする請求項9記載の温度補償バイアス回路。
【請求項11】
電界効果トランジスタのゲート端子と第1の抵抗は、第3の抵抗を介して接続することを特徴とする請求項9または請求項10記載の温度補償バイアス回路。
【請求項12】
ダイオードの代わりに、複数のダイオードを直列に接続してなるダイオードユニットを設けたことを特徴とする請求項9から請求項11のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項13】
ダイオードに並列に接続する第5の抵抗を備えたことを特徴とする請求項9から請求項12のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項14】
電界効果トランジスタのゲート端子をプラス側の端子とし、ソース端子とドレイン端子を接続してマイナス側の共通端子とした回路、
バイポーラトランジスタのベース端子をプラス側の端子とし、エミッタ端子とコレクタ端子を接続してマイナス側の共通端子とした回路、
バイポーラトランジスタのベース端子とコレクタ端子を接続してプラス側の共通端子とし、エミッタ端子をマイナス側の端子とした回路のうちのいずれかを、ダイオードとして用いたことを特徴とする請求項9から請求項13のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路。
【請求項15】
ゲートバイアス電圧に応じて高周波信号を増幅する電界効果トランジスタを有する増幅回路と、
前記増幅回路の電界効果トランジスタにゲートバイアス電圧を供給する請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路とを備えた高周波増幅器。
【請求項16】
ゲートバイアス電圧に応じて高周波信号を減衰する電界効果トランジスタを有する減衰回路と、
前記減衰回路の電界効果トランジスタにゲートバイアス電圧を供給する請求項1から請求項14のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路とを備えた高周波減衰器。
【請求項17】
高周波信号の伝達経路に並列に電界効果トランジスタが接続される並列トランジスタ減衰回路と、
高周波信号の伝達経路に直列に電界効果トランジスタが接続される直列トランジスタ減衰回路とを備え、
請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路は、
前記並列トランジスタ減衰回路又は前記直列トランジスタ減衰回路の電界効果トランジスタにゲートバイアス電圧を供給し、
請求項3から請求項14のうちのいずれか1項記載の温度補償バイアス回路は、
前記直列トランジスタ減衰回路又は前記並列トランジスタ減衰回路の電界効果トランジスタにゲートバイアス電圧を供給することを特徴とする請求項16記載の高周波減衰器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−55438(P2009−55438A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221346(P2007−221346)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]