説明

測定設定データ作成装置、測定設定データ作成方法及び測定設定データ作成装置用のプログラム

【課題】 ワークの寸法を測定するための測定設定データを容易に作成することができる測定設定データ作成装置を提供する。
【解決手段】 形状線の位置情報、寸法線の位置情報、並びに、寸法線に関連付けられた設計値及び公差からなる設計値情報を含む設計データを取得する設計データ取得手段と、ワークを含むマスター画像に対し、測定対象箇所及び測定種別を指定するための測定対象箇所指定手段と、指定された測定対象箇所について、マスター画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段と、抽出されたエッジに基づいて、測定対象箇所の寸法値を算出する寸法値算出手段と、算出された寸法値に近い設計値からなる設計値情報を設計データから抽出する設計値情報抽出手段と、指定された測定対象箇所及び測定種別からなる測定対象箇所情報、並びに、測定対象箇所に関連付けた設計値情報を含む測定設定データを生成する測定設定データ生成手段により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定設定データ作成装置、測定設定データ作成方法及び測定設定データ作成装置用のプログラムに係り、さらに詳しくは、ワークを撮影したワーク画像内のエッジを検出することにより、ワークの寸法を測定するための測定設定データを作成する測定設定データ作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、寸法測定装置は、ワークを撮影したワーク画像を取得し、ワーク画像内のエッジを検出することにより、ワークの寸法を測定する装置であり、画像測定器と呼ばれることもある(例えば、特許文献1から3)。通常、ワークは、X,Y及びZ軸方向に移動可能な可動ステージ上に載置される。可動ステージをZ軸方向に移動させることにより、ワーク画像のピント合わせが行われ、X,Y軸方向に移動させることにより、ワークの視野内への位置調整が行われる。
【0003】
ワーク画像は、可動ステージのZ軸方向の位置に関わらず、ワークに対して極めて正確な相似形であることから、画像上で距離や角度を判定することにより、ワーク上における実際の寸法を検知することができる。ワークの寸法測定では、ワーク画像のエッジ抽出が行われる。エッジ抽出は、ワーク画像の輝度変化を解析してエッジ点を検出し、検出した複数のエッジ点に直線や円弧などの幾何学図形をフィッティングさせることにより行われ、ワークと背景との境界を示すエッジが求められる。ワークの寸法は、この様にして求められるエッジ間の距離や角度、円形状のエッジの中心位置や直径として測定される。また、測定した寸法値と設計値との差分(誤差)を公差と比較して良否判定が行われる。
【0004】
上述したワークの寸法測定は、予め作成される測定設定データに基づいて実行される。測定設定データは、ワーク画像からワークを検出するための特徴量情報、測定対象箇所や測定種別を示す測定対象箇所情報、及び、良否判定のための設計値や公差を示す設計値情報により構成される。従来の測定設定データ作成装置では、基準物を撮影して得られたマスター画像に対して、ユーザが測定対象箇所や測定種別を指定することにより、エッジを抽出するためのエッジ検出領域が設定され、エッジ検出領域内のマスター画像からエッジを抽出して寸法値が測定される。そして、マスター画像から得られた寸法値を元にして、ユーザが、設計値や公差を入力することにより、測定設定データが得られる。このため、測定したい箇所が多数存在する場合に、これらの測定対象箇所ごとに設計値や公差を入力しなければならず、測定設定データの作成作業が極めて煩雑であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−300124号公報
【特許文献2】特開2009−300125号公報
【特許文献3】特開2010−19667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、測定設定データの作成作業を簡略化することができる測定設定データ作成装置、測定設定データ作成方法及び測定設定データ作成装置用のプログラムを提供することを目的とする。特に、ワークの寸法を測定するための測定設定データを容易に作成することができる測定設定データ作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明による測定設定データ作成装置は、ワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法を測定するための測定設定データを作成する測定設定データ作成装置であって、上記ワークの輪郭形状を示す形状線の位置情報、寸法線の位置情報、並びに、上記寸法線に関連付けられた設計値及び公差からなる設計値情報を含む設計データを取得する設計データ取得手段と、上記ワークを含むマスター画像に対し、測定対象箇所及び測定種別を指定するための測定対象箇所指定手段と、指定された測定対象箇所について、上記マスター画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段と、抽出されたエッジに基づいて、上記測定対象箇所の寸法値を算出する寸法値算出手段と、算出された寸法値に近い設計値からなる設計値情報を上記設計データから抽出する設計値情報抽出手段と、指定された上記測定対象箇所及び上記測定種別からなる測定対象箇所情報、並びに、上記測定対象箇所に関連付けた上記設計値情報を含む測定設定データを生成する測定設定データ生成手段とを備えて構成される。
【0008】
この様な構成によれば、ワークを含む所定のマスター画像からエッジを抽出して測定対象箇所の寸法値を算出し、算出した寸法値に近い設計値からなる設計値情報を設計データから抽出して測定設定データが生成されるので、測定対象箇所ごとに設計値や公差を入力する手間を省くことができる。従って、測定しようとするワークを変更するごとに、設計値や公差を入力しなくても良いので、ワークの寸法を測定するための測定設定データを容易に作成することができる。
【0009】
第2の本発明による測定設定データ作成装置は、上記構成に加え、上記設計値情報抽出手段が、上記設計データから2以上の設計値情報を抽出した場合に、指定された測定種別に基づいて、上記設計値情報の絞込みを行うように構成される。この様な構成によれば、マスター画像から得られた寸法値に設計値が近い複数の設計値情報が抽出された場合であっても、設計値や公差を測定設定データとして適切に設定することができる。
【0010】
第3の本発明による測定設定データ作成装置は、上記構成に加え、上記設計値情報抽出手段が、指定された測定対象箇所と上記寸法線の端点との距離に基づいて、上記設計値情報の絞込みを行うように構成される。この様な構成によれば、マスター画像から得られた寸法値に設計値が近く、同じ測定種別の複数の設計値情報が抽出された場合であっても、設計値や公差を測定設定データとして適切に設定することができる。
【0011】
第4の本発明による測定設定データ作成装置は、上記構成に加え、上記設計値情報抽出手段が、算出された寸法値に最も近い設計値からなる設計値情報を抽出するように構成される。
【0012】
第5の本発明による測定設定データ作成装置は、上記構成に加え、上記設計データから抽出された2以上の上記設計値情報を設計値候補として表示する設計値候補表示手段と、上記設計値候補のいずれかを指定するための設計値候補指定手段とを備え、上記測定設定データ生成手段が、指定された設計値候補を上記設計値情報として含む上記測定設定データを生成するように構成される。この様な構成によれば、マスター画像から得られた寸法値に設計値が近い複数の設計値情報が抽出された場合に、ユーザに適切な設計値情報を選択させることができる。
【0013】
第6の本発明による測定設定データ作成方法は、ワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法を測定するための測定設定データを作成する測定設定データ作成方法であって、上記ワークの輪郭形状を示す形状線の位置情報、寸法線の位置情報、並びに、上記寸法線に関連付けられた設計値及び公差からなる設計値情報を含む設計データを取得する設計データ取得ステップと、上記ワークを含むマスター画像に対し、測定対象箇所及び測定種別を指定するための測定対象箇所指定ステップと、指定された測定対象箇所について、上記マスター画像からエッジを抽出するエッジ抽出ステップと、抽出されたエッジに基づいて、上記測定対象箇所の寸法値を算出する寸法値算出ステップと、算出された寸法値に近い設計値からなる設計値情報を上記設計データから抽出する設計値情報抽出ステップと、指定された上記測定対象箇所及び上記測定種別からなる測定対象箇所情報、並びに、上記測定対象箇所に関連付けた上記設計値情報を含む測定設定データを生成する測定設定データ生成ステップとからなる。
【0014】
第7の本発明による測定設定データ作成装置用のプログラムは、ワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法を測定するための測定設定データを作成する測定設定データ作成装置用のプログラムであって、上記ワークの輪郭形状を示す形状線の位置情報、寸法線の位置情報、並びに、上記寸法線に関連付けられた設計値及び公差からなる設計値情報を含む設計データを取得する設計データ取得手順と、上記ワークを含むマスター画像に対し、測定対象箇所及び測定種別を指定するための測定対象箇所指定手順と、指定された測定対象箇所について、上記マスター画像からエッジを抽出するエッジ抽出手順と、抽出されたエッジに基づいて、上記測定対象箇所の寸法値を算出する寸法値算出手順と、算出された寸法値に近い設計値からなる設計値情報を上記設計データから抽出する設計値情報抽出手順と、指定された上記測定対象箇所及び上記測定種別からなる測定対象箇所情報、並びに、上記測定対象箇所に関連付けた上記設計値情報を含む測定設定データを生成する測定設定データ生成手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による測定設定データ作成装置、測定設定データ作成方法及び測定設定データ作成装置用のプログラムでは、ワークを含む所定のマスター画像からエッジを抽出して測定対象箇所の寸法値を算出し、算出した寸法値に近い設計値からなる設計値情報を設計データから抽出して測定設定データが生成されるので、測定対象箇所ごとに設計値や公差を入力する手間を省くことができる。従って、測定しようとするワークを変更するごとに、設計値や公差を入力しなくても良いので、ワークの寸法を測定するための測定設定データを容易に作成することができ、測定設定データの作成作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態による測定設定データ作成装置100の一構成例を示した斜視図である。
【図2】図1の測定設定データ作成装置100における測定ユニット10内の構成例を模式的に示した説明図であり、測定ユニット10の垂直面による切断面の様子が示されている。
【図3】図1の測定設定データ作成装置100の動作の一例を示したフローチャートである。
【図4】従来の測定設定データ作成装置を用いた測定設定データの作成動作を示したフローチャートである。
【図5】図1の測定設定データ作成装置100における寸法測定時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図6】図1の測定設定データ作成装置100を用いた測定設定データの作成動作の一例を示したフローチャートである。
【図7】図1の測定設定データ作成装置100における測定設定データの作成時の動作の一例を示した図であり、ワークWを含むマスター画像A1の一例が示されている。
【図8】図1の測定設定データ作成装置100における測定設定データの作成時の動作の一例を示した図であり、形状線1,2や寸法線3〜5を含むCADデータの一例が示されている。
【図9】図1の測定設定データ作成装置100における測定設定データの作成時の動作の一例を示した図であり、CADデータから抽出された複数の設計値候補の表示例が示されている。
【図10】図1の測定設定データ作成装置100における制御ユニット20の構成例を示したブロック図であり、制御ユニット20内の機能構成の一例が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<測定設定データ作成装置>
図1は、本発明の実施の形態による測定設定データ作成装置100の一構成例を示した斜視図である。この測定設定データ作成装置100は、可動ステージ12上の検出エリア13内に配置された複数のワークを異なる撮影倍率で撮影し、その撮影画像を解析して各ワークの寸法を自動測定する画像測定器であり、測定ユニット10、制御ユニット20、キーボード31及びマウス32からなる。ワークは、その形状や寸法が測定される測定対象物である。
【0018】
測定ユニット10は、ワークに検出光を照射し、その透過光又は反射光を受光して撮影画像を生成する光学系ユニットであり、ディスプレイ11、可動ステージ12、XY位置調整つまみ14a、Z位置調整つまみ14b、電源スイッチ15及び測定開始スイッチ16が設けられている。
【0019】
ディスプレイ11は、撮影画像や測定結果を表示画面11a上に表示する表示装置である。可動ステージ12は、測定対象とするワークを載置するための載置台であり、検出光を透過させる検出エリア13が設けられている。検出エリア13は、透明ガラスからなる円形状の領域である。この可動ステージ12は、検出光の光軸に平行なZ軸方向と、光軸に垂直なXYの各軸方向とに移動させることができる。
【0020】
XY位置調整つまみ14aは、可動ステージ12をX軸方向及びY軸方向に移動させるための操作部である。Z位置調整つまみ14bは、可動ステージ12をZ軸方向に移動させるための操作部である。電源スイッチ15は、測定ユニット10及び制御ユニット20の電源をオンするための操作部であり、測定開始スイッチ16は、ワークに対する測定を開始させるための操作部である。
【0021】
制御ユニット20は、測定ユニット10による撮影や画面表示を制御し、撮影画像を解析してワークの寸法を測定するコントローラであり、キーボード31及びマウス32が接続されている。電源投入後、検出エリア13内に複数のワークを適当に配置して測定開始スイッチ16を操作すれば、各ワークについてその寸法が自動的に測定される。
【0022】
<測定ユニット>
図2は、図1の測定設定データ作成装置100における測定ユニット10内の構成例を模式的に示した説明図であり、測定ユニット10を垂直面により切断した場合の切断面の様子が示されている。この測定ユニット10は、筐体40内部が、Z駆動部41、XY駆動部42、撮像素子43,44、透過照明ユニット50、リング照明ユニット60、同軸落射照明用光源71、受光レンズユニット80により構成されている。
【0023】
Z駆動部41は、制御ユニット20からの駆動信号に基づいて、可動ステージ12をZ軸方向に移動させ、ワークのZ軸方向の位置を調整するZ位置調整手段である。XY駆動部42は、制御ユニット20からのXY駆動信号に基づいて、可動ステージ12をX軸方向及びY軸方向に移動させ、ワークのXY平面内の位置を調整するXY位置調整手段である。
【0024】
透過照明ユニット50は、可動ステージ12上に載置されたワークに対し、検出光を下側から照射するための照明装置であり、透過照明用光源51、ミラー52及び光学レンズ53からなる。透過照明用光源51から出射された検出光は、ミラー52により反射され、光学レンズ52を介して出射される。この検出光は、可動ステージ12を透過し、その透過光の一部は、ワークにより遮断され、他の一部が受光レンズユニット80に入射する。
【0025】
リング照明ユニット60は、可動ステージ12上のワークに対し、検出光を上側から照射するための照明装置であり、受光レンズユニット80を取り囲むリング状の光源からなる。同軸落射照明用光源71は、可動ステージ12上のワークに対し、検出光を上側から照射するための光源であり、ワークに対する照射光の光軸とワークによる反射光の光軸とが同軸となるように、ハーフミラー72が配置されている。ワークの照明方法としては、透過照明、リング照明又は同軸落射照明のいずれかを選択的に切り替えることができる。
【0026】
受光レンズユニット80は、受光レンズ81,84,86、ハーフミラー82、絞り板83及び85からなる光学系であり、透過照明ユニット50からの透過光と、検出光のワークによる反射光とを受光して撮像素子43及び44に結像させる。受光レンズ81は、可動ステージ12側に配置された光学レンズであり、当該可動ステージ12の上面に対向させて配置されている。受光レンズ84は、撮像素子43側に配置された光学レンズであり、当該撮像素子43に対向させて配置されている。また、受光レンズ86は、撮像素子44側に配置された光学レンズであり、当該撮像素子44に対向させて配置されている。
【0027】
絞り板83及び受光レンズ84は、撮影倍率の低い低倍側結像部であり、その中心軸を光学レンズ53及び受光レンズ81と一致させて配置されている。一方、絞り板85及び受光レンズ86は、撮影倍率の高い高倍側結像部であり、ワークからの検出光はハーフミラー82を介して入射される。受光レンズ81,84及び86は、ワークの光軸方向(Z軸方向)の位置が変化しても、像の大きさを変化させない性質を有し、テレセントリックレンズと呼ばれる。
【0028】
撮像素子43は、受光レンズユニット80により形成される低倍率視野内のワークを低倍率で撮影し、低倍率画像を生成する低倍率用のイメージセンサである。撮像素子44は、受光レンズユニット80により形成される高倍率視野内のワークを高倍率で撮影し、高倍率画像を生成する高倍率用のイメージセンサである。高倍率視野は、低倍率視野よりも狭い視野であり、低倍率視野内に形成される。
【0029】
撮像素子43,44は、いずれもCCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化物半導体)などの半導体素子からなる。
【0030】
この測定設定データ作成装置100では、可動ステージ12の検出エリア13内であれば、ワークをどこに配置しても、低倍率視野で捉えられる。また、低倍率視野内に配置されたワークは、低倍率画像を解析して可動ステージ12をXY平面内で移動させることにより、高倍率視野内へ案内され、高倍率で撮影される。この測定設定データ作成装置100では、低倍率視野及び高倍率視野が略同心であり、低倍率画像と高倍率画像とを同時に取得することができる。
【0031】
<測定設定データ作成装置の動作>
図3のステップS101〜S103は、図1の測定設定データ作成装置100の動作の一例を示したフローチャートである。この測定設定データ作成装置100では、その動作が3つのプロセス、すなわち、測定設定データの作成(ステップS101)、測定の実行(ステップS102)及び測定結果の表示(ステップS103)からなる。
【0032】
測定設定データは、測定の実行に必要な情報であり、特徴量を示す特徴量情報、測定箇所や測定種別を示す情報、測定箇所ごとの設計値や公差を示す情報などからなる。特徴量情報は、ワーク画像を解析してワークの位置や姿勢を検出するための位置決め用の情報であり、マスターピースなどの基準物を撮影して取得したマスターデータに基づいて設定され、或いは、CAD(Computer Aided Design)を用いて作成された設計データに基づいて設定される。なお、特徴量情報、測定箇所や測定種別を示す情報が高倍率画像に基づいて設定されたものである場合には、その旨を示す識別情報が測定設定データとして保持される。
【0033】
測定設定データは、制御ユニット20において作成される。測定処理は、この様な測定設定データに基づいて実行される。そして、測定結果の表示処理は、測定によって得られた寸法値などをディスプレイ11上に表示することにより行われる。
【0034】
図4のステップS201〜S204は、従来の測定設定データ作成装置を用いた測定設定データの作成動作を示したフローチャートである。従来の測定設定データの作成処理は、以下に示す4つの処理手順からなる。まず、マスターデータの入力が行われる(ステップS201)。マスターデータの入力では、特徴量の設定や輪郭比較に用いるマスターデータが取得される。マスターデータは、マスターピースなどの所定の基準物を撮影した撮影画像、或いは、CADにより作成されたCADデータやCAD画像からなる。ここでは、マスターデータとして、マスターピースを撮影して得られたマスター画像を用いた場合の例を説明する。
【0035】
次に、特徴量の設定が行われる(ステップS202)。特徴量の設定ステップは、マスター画像を用いて、マスター画像全体から特徴量を抽出したり、ユーザにより特に特徴がある箇所として指定された範囲の中から特徴量を抽出するステップである。特徴量としては、例えば、画像のコントラストやエッジ強度、方向など、後述するワークの位置及び姿勢を検出可能なものであれば種々のものが利用できる。
【0036】
次に、測定対象箇所及び測定種別の指定が行われる(ステップS203)。測定対象箇所及び測定種別の指定は、ディスプレイ11上に表示されたマスター画像に対し、所望の測定対象箇所ごとにエッジ検出領域や測定種別を指定することにより行われる。
【0037】
エッジ検出領域は、領域内の撮影画像について、輝度変化を解析してエッジを抽出するための領域である。測定種別の指定は、何を測定するかの測定方法を指定するものである。例えば、線分と線分の間の寸法、角度、円の直径など、測定の対象となる測定対象箇所の何をどの様な方法で測定するかを指定する。測定対象箇所及び測定種別の指定が完了すれば、マスター画像を用いて測定が実行される。すなわち、マスター画像について、エッジ抽出を行い、測定対象箇所ごとの寸法値が測定される。寸法値の測定結果は、例えば、マスター画像上に表示される。
【0038】
次に、設計値及び公差の設定が行われる(ステップS204)。設計値及び公差の設定では、表示された測定対象箇所ごとの寸法値が必要に応じて変更され、設計値として設定される。また、設計値に関連付けて公差が設定される。この様にして作成された測定設定データは、制御ユニット20内の記憶領域に書き込まれる。
【0039】
<寸法測定>
図5のステップS301〜S306は、図1の測定設定データ作成装置100における寸法測定時の動作の一例を示したフローチャートである。寸法測定は、以下に示す6つの処理手順からなる。まず、可動ステージ12上に配置されたワークを撮影してワーク画像を取得し、測定設定データの特徴量情報に基づいてワーク画像を解析することにより、ワークの位置決めが行われる(ステップS301)。このワークの位置決めは、特徴量情報に基づくパターンマッチングなどの手法を用いて、ワーク画像内におけるワークの位置及び姿勢を検出することにより行われる。
【0040】
次に、位置及び姿勢の検出結果と測定設定データに基づいて、測定箇所を特定し(ステップS302)、ワーク画像のエッジ抽出が行われる(ステップS303)。寸法測定は、抽出された測定箇所ごとのエッジ位置と、測定設定データの測定種別情報に基づいて、距離や角度を算出することにより行われる(ステップS304)。
【0041】
次に、測定された寸法値と測定設定データの設計値との差分から誤差を求め、誤差を対応する公差と比較することにより(ステップS305)、測定箇所の良否判定やワークの良否判定が行われる(ステップS306)。
【0042】
上述したように、測定設定データを生成するには、ユーザが測定の対象となる測定対象箇所や測定種別を指定するだけでなく、各測定対象箇所の設計値や公差をいちいち設定する必要があり、非常に手間がかかる。また、寸法測定装置を製造現場で使用する場合、ユーザは測定の対象となるワークを設計したときのデータであるCADデータを保有しているケースが多い。本実施の形態では、CADデータから設計値や公差を抽出して測定設定データを生成するので、測定設定データを生成するためのユーザの手間を省くことができる。以下、設計データであるCADデータから測定設定データを生成するための構成を図6から図10に基づいて説明する。
【0043】
<測定設定データの作成>
図6のステップS401〜S413は、図1の測定設定データ作成装置100を用いた測定設定データの作成動作の一例を示したフローチャートである。この測定設定データ作成装置100では、PCなどの外部機器において作成された設計データを外部機器から取得し、取得した設計データを用いて測定設定データが作成される。
【0044】
設計データは、CADなどを用いて作成され、ワークの輪郭形状を示す形状線の位置情報と、寸法線の位置情報と、寸法線に関連付けられた設計値及び公差からなる設計値情報と、寸法種別を示す寸法種別情報を含む。
【0045】
まず、測定設定データ作成装置100は、設計データを取得し、次に、マスター画像を取得してマスター画像をディスプレイ11上に表示する(ステップS401,S402)。ディスプレイ11上に表示されたマスター画像に対し、ユーザによる所定の操作により、測定対象箇所及び測定種別が指定されれば、指定された測定対象箇所について、寸法測定を実行し、寸法値が算出される(ステップS403,S404)。具体的には、指定された測定対象箇所について、マスター画像からエッジを抽出し、抽出したエッジに基づいて測定対象箇所の寸法値が算出される。
【0046】
なお、この例では、設計データを取得した後にマスター画像を取得する場合を説明しているが、設計データ及びマスター画像を取得する順序は任意である。すなわち、マスター画像を取得してから設計データを取得するような構成であっても良い。
【0047】
次に、測定設定データ作成装置100は、算出した寸法値に近い設計値及び公差からなる設計値情報を設計データから抽出する(ステップS405)。このとき、複数の設計値情報が抽出されれば、測定種別や測定位置に基づいて、設計値情報の絞込みが行われる(ステップS406,S407)。測定位置に基づく絞込みは、指定された測定対象箇所と寸法線の端点との距離に基づいて行われる。
【0048】
なお、この例では、測定種別による絞込みの後に測定位置による絞込みを行う場合を説明しているが、これらの絞込みの順序は任意である。すなわち、測定位置による絞込みを行ってから測定種別による絞込みを行い、或いは、測定種別による絞込みと測定位置による絞込みとを同時に行うような構成であっても良い。
【0049】
次に、測定設定データ作成装置100は、測定種別及び測定位置に基づいて絞込みを行ってもなお複数の設計値情報が存在する場合に、これらの設計値情報を設計値候補としてディスプレイ11上に表示する(ステップS408,S409)。そして、測定設定データ作成装置100は、ユーザによる所定の操作により、設計値候補のいずれかが指定されれば、指定された設計値候補を測定設定データ用の設計値情報として、測定対象箇所に関連付けて記憶する(ステップS410,S411)。ステップS403からステップS411までの処理手順は、ユーザにより指定された全ての測定対象箇所について、設計値情報の関連付けが完了するまで繰り返され、その関連付けが完了すれば、測定対象箇所に関連付けた設計値情報からなる測定設定データが生成される(ステップS412,S413)。
【0050】
<マスター画像>
図7は、図1の測定設定データ作成装置100における測定設定データの作成時の動作の一例を示した図であり、ワークWを含むマスター画像A1の一例が示されている。マスター画像A1は、例えば、低倍率視野内に配置されたマスターピースを低倍率で撮影した撮影画像である。この図では、透過照明時に撮影されたマスター画像A1が示されている。また、マスターピースは、測定対象とするワークと同形状で略同サイズの基準物であり、ここでは、薄い平板状の部材からなる。
【0051】
このマスター画像A1に対して、測定対象箇所及び測定種別が指定される。測定対象箇所及び測定種別の指定は、例えば、マスター画像A1内のワークWの輪郭付近に、エッジ抽出のためのエッジ検出領域A2を設定し、さらに、そのエッジ検出領域A2に対して測定種別を指定することにより行われる。エッジ検出領域A2の設定及び測定種別の指定は、ユーザ操作に基づいて行われる。
【0052】
或いは、ユーザがマスター画像A1内のワークの輪郭付近を選択すれば、マスター画像A1からエッジ点を抽出して幾何学図形をフィッティングさせることにより、測定種別を自動設定する機能を選択することもできる。
【0053】
この様に、測定対象箇所や測定種別を指定するのに用いる画像としては、上記マスター画像A1のように、マスターピースなどの基準物を撮影した実画像であっても良いし、CADデータからワークの擬似画像を作成して用いても良い。
【0054】
<設計データ>
図8は、図1の測定設定データ作成装置100における測定設定データの作成時の動作の一例を示した図であり、形状線1,2、寸法線3〜5、設計値6及び公差7を含むCADデータの一例が示されている。このCADデータは、ワークWの設計データであり、ワークWの輪郭形状を示す形状線1,2の位置情報と、寸法線3〜5の位置情報と、寸法線3〜5に関連付けられた設計値6及び公差7からなる設計値情報と、寸法種別を示す寸法種別情報により構成される。
【0055】
形状線1は、ワークWの外縁や内縁を示す外形線であり、形状線2は、ワークWに設けられた小孔の周縁を示す外形線である。寸法線3〜5は、寸法が形状線1,2上のどの位置について何を測定したものであるのかを指し示すものである。
【0056】
寸法線3,5は、寸法を記入するのに用いる線分であり、一端に矢印などの端末記号が配置される。寸法線4は、寸法を記入するために形状線から引き出される線分であり、寸法補助線と呼ばれることもある。
【0057】
寸法種別には、長さ寸法、直径寸法、半径寸法、角度寸法、座標寸法、円弧寸法などがある。長さ寸法には、水平寸法、垂直寸法及び角度指定寸法がある。水平寸法は、図面上で水平方向の長さ(距離)を示す寸法であり、垂直寸法は、垂直方向の長さを示す寸法である。
【0058】
この例では、寸法線3,4を用いて、形状線1における平行な2つの線分間の距離(設計値「13.0」及び公差「+0.1,−0.1」と、設計値「10.0」及び公差「+0.1,−0.1」)が水平寸法として記載されている。また、寸法線3,4を用いて、形状線1上の平行な2線分間の距離(設計値「10.0」及び公差「+0.1,−0.2」と、設計値「27.0」及び公差「+0.2,−0.2」)が垂直寸法として記載されている。
【0059】
また、寸法線5を用いて、円形状の形状線2の直径(設計値「10.0」及び公差「+0.05,−0.05」)が直径寸法として記載されている。直径寸法の設計値「10.0」には、記号「φ」が付されている。記号「φ」は、寸法種別が直径であることを示す。
【0060】
測定設定データ作成装置100は、ワークを含むマスター画像A1に対して指定された測定対象箇所について、マスター画像A1からエッジを抽出し、抽出したエッジに基づいて、測定対象箇所の寸法値を算出する。そして、算出した寸法値に近い設計値及び公差からなる設計値情報を設計データから抽出することにより、測定設定データが作成される。
【0061】
<設計値候補の表示>
図9は、図1の測定設定データ作成装置100における測定設定データの作成時の動作の一例を示した図であり、CADデータから抽出された複数の設計値候補の表示例が示されている。ユーザがマスター画像A1上で指定した測定対象箇所に関連付ける設計値及び公差からなる設計値情報は、マスター画像A1からエッジを抽出して算出された寸法値A3に基づいて抽出される。
【0062】
具体的には、設計値が寸法値A3に近い設計値情報がCADデータから抽出される。例えば、寸法値A3及び設計値の差分を誤差とし、この誤差の大きさが所定の閾値以下となる設計値情報が抽出される。或いは、誤差が公差範囲内となる設計値情報が抽出される。
【0063】
この例では、寸法値「9.95」と設計値との間の誤差が公差範囲内となる3つの設計値情報、すなわち、水平寸法の設計値「10.0」及び公差「+0.1,−0.1」と、垂直寸法の設計値「10.0」及び公差「+0.1,−0.2」と、直径寸法の設計値「10.0」及び公差「+0.05,−0.05」が抽出されている。そして、これらの設計値情報は、設計値候補として、一覧表示されている。
【0064】
この例のように複数の設計値情報が抽出された場合、設計値情報の絞込みが行われる。設計値情報の絞込みは、測定種別や測定位置に基づいて行われる。例えば、測定種別として、長さ寸法が指定されていれば、長さ寸法に係る設計値情報のみに絞り込まれ、直径寸法などの設計値情報は、測定対象箇所に関連付けるべき設計値情報から除外される。
【0065】
測定位置に基づく設計値情報の絞込みは、まず、マスター画像A1上のワークWとCADデータ上の形状線1,2との位置合わせを行い、両者間の幾何学的情報を利用して行われる。例えば、マスター画像A1上で指定された測定対象箇所及び測定種別が寸法種別の水平寸法に相当する場合に、寸法種別が水平寸法である設計値情報のみに絞り込まれる。或いは、測定対象箇所と寸法線の端点との距離に基づいて絞込みが行われる。
【0066】
なお、マスター画像A1及びCADデータ間の位置合わせは、パターンサーチなどのマッチング手法を利用して自動的に行っても良く、或いは、XY位置調整つまみ14aを操作して、可動ステージ12上のワークWを所定位置に移動させることにより手動で行うものであっても良い。
【0067】
設計値候補を一覧表示する場合、設計値候補は、例えば、確度の高いものから順に配置される。具体的には、寸法値A3及び設計値間の誤差の大きさ(絶対値)により確度を規定した場合、設計値候補が、一覧表中に誤差の小さいものから順に配置される。或いは、測定対象箇所と寸法線の端点との間の距離により確度を規定した場合には、設計値候補が、距離の短いものから順に配置される。
【0068】
<制御ユニット>
図10は、図1の測定設定データ作成装置100における制御ユニット20の構成例を示したブロック図であり、制御ユニット20内の機能構成の一例が示されている。この制御ユニット20は、設計データ取得部21、設計データ記憶部22、マスター画像記憶部23、表示制御部24、測定対象箇所指定部25、エッジ抽出部26、寸法値算出部27、設計値情報抽出部28、設計値候補表示部101、設計値候補指定部102、測定設定データ生成部103及び測定設定データ記憶部104により構成される。
【0069】
設計データ取得部21は、外部機器からCADデータを取得し、設計データ記憶部22内に格納する。CADデータは、ワークの輪郭形状を示す形状線の位置情報、寸法線の位置情報、寸法線に関連付けられた設計値及び公差からなる設計値情報、並びに、寸法種別を示す寸法種別情報からなる。
【0070】
マスター画像記憶部23には、ワークWを含むマスター画像A1が格納される。表示制御部24は、マスター画像A1をディスプレイ11上に表示するための画面データを生成し、測定ユニット10へ出力する。
【0071】
測定対象箇所指定部25は、所定の操作入力に基づいて、マスター画像A1に対し、測定対象箇所及び測定種別を指定する。エッジ抽出部26は、測定対象箇所指定部25により指定された測定対象箇所について、マスター画像A1からエッジを抽出する。寸法値算出部27は、エッジ抽出部26により抽出されたエッジに基づいて、測定対象箇所の寸法値を算出し、設計値情報抽出部28へ出力する。
【0072】
設計値情報抽出部28は、寸法値算出部27により算出された寸法値に近い設計値及び公差からなる設計値情報をCADデータから抽出する。具体的には、寸法値及び設計値の差分を誤差とし、この誤差の大きさが所定の閾値以下となる設計値情報が抽出される。或いは、誤差が公差範囲内となる設計値情報が抽出される。或いは、算出された寸法値に最も近い設計値からなる設計値情報を抽出させても良い。
【0073】
設計値情報抽出部28では、CADデータから複数の設計値情報を抽出した場合に、測定対象箇所指定部25により指定された測定種別に基づいて、設計値情報の絞込みが行われる。或いは、測定対象箇所指定部25により指定された測定対象箇所と寸法線の端点との距離に基づいて、設計値情報の絞込みが行われる。
【0074】
設計値候補表示部101は、設計値情報抽出部28によりCADデータから抽出された複数の設計値情報を設計値候補として表示する。設計値候補指定部102は、所定の操作入力に基づいて、設計値候補のいずれかを指定する。
【0075】
測定設定データ生成部103は、設計値情報抽出部28により抽出され、設計値候補指定部102により指定された設計値情報を測定対象箇所に関連付け、測定対象箇所に関連付けた設計値情報と、測定対象箇所指定部25により指定された測定対象箇所及び測定種別からなる測定対象箇所情報とから測定設定データを生成する。測定設定データ記憶部104には、測定設定データ生成部103により生成された測定設定データが格納される。
【0076】
本実施の形態によれば、マスター画像A1からエッジを抽出して測定対象箇所の寸法値A3を算出し、算出した寸法値A3に近い設計値及び公差からなる設計値情報をCADデータから抽出して測定設定データが生成されるので、測定対象箇所ごとに設計値や公差を入力する手間を省くことができる。従って、測定しようとするワークを変更するごとに、設計値や公差を入力しなくても良いので、ワークの寸法を測定するための測定設定データを容易に作成することができる。
【符号の説明】
【0077】
1,2 形状線
3〜5 寸法線
6 設計値
7 公差
10 測定ユニット
11 ディスプレイ
11a 表示画面
12 可動ステージ
13 検出エリア
14a XY位置調整つまみ
14b Z位置調整つまみ
15 電源スイッチ
16 測定開始スイッチ
20 制御ユニット
21 設計データ取得部
22 設計データ記憶部
23 マスター画像記憶部
24 表示制御部
25 測定対象箇所指定部
26 エッジ抽出部
27 寸法値算出部
28 設計値情報抽出部
31 キーボード
32 マウス
40 筐体
41 Z駆動部
42 XY駆動部
43,44 撮像素子
50 透過照明ユニット
51 透過照明用光源
52 ミラー
53 光学レンズ
60 リング照明ユニット
71 同軸落射照明用光源
72 ハーフミラー
80 受光レンズユニット
81,84,86 受光レンズ
82 ハーフミラー
83,85 絞り板
100 測定設定データ作成装置
101 設計値候補表示部
102 設計値候補指定部
103 測定設定データ生成部
104 測定設定データ記憶部
A1 マスター画像
A2 エッジ検出領域
A3 寸法値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法を測定するための測定設定データを作成する測定設定データ作成装置において、
上記ワークの輪郭形状を示す形状線の位置情報、寸法線の位置情報、並びに、上記寸法線に関連付けられた設計値及び公差からなる設計値情報を含む設計データを取得する設計データ取得手段と、
上記ワークを含むマスター画像に対し、測定対象箇所及び測定種別を指定するための測定対象箇所指定手段と、
指定された測定対象箇所について、上記マスター画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段と、
抽出されたエッジに基づいて、上記測定対象箇所の寸法値を算出する寸法値算出手段と、
算出された寸法値に近い設計値からなる設計値情報を上記設計データから抽出する設計値情報抽出手段と、
指定された上記測定対象箇所及び上記測定種別からなる測定対象箇所情報、並びに、上記測定対象箇所に関連付けた上記設計値情報を含む測定設定データを生成する測定設定データ生成手段とを備えたことを特徴とする測定設定データ作成装置。
【請求項2】
上記設計値情報抽出手段は、上記設計データから2以上の設計値情報を抽出した場合に、指定された測定種別に基づいて、上記設計値情報の絞込みを行うことを特徴とする請求項1に記載の測定設定データ作成装置。
【請求項3】
上記設計値情報抽出手段は、指定された測定対象箇所と上記寸法線の端点との距離に基づいて、上記設計値情報の絞込みを行うことを特徴とする請求項2に記載の測定設定データ作成装置。
【請求項4】
上記設計値情報抽出手段は、算出された寸法値に最も近い設計値からなる設計値情報を抽出することを特徴とする請求項3に記載の測定設定データ作成装置。
【請求項5】
上記設計データから抽出された2以上の上記設計値情報を設計値候補として表示する設計値候補表示手段と、
上記設計値候補のいずれかを指定するための設計値候補指定手段とを備え、
上記測定設定データ生成手段は、指定された設計値候補を上記設計値情報として含む上記測定設定データを生成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の測定設定データ作成装置。
【請求項6】
ワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法を測定するための測定設定データを作成する測定設定データ作成方法において、
上記ワークの輪郭形状を示す形状線の位置情報、寸法線の位置情報、並びに、上記寸法線に関連付けられた設計値及び公差からなる設計値情報を含む設計データを取得する設計データ取得ステップと、
上記ワークを含むマスター画像に対し、測定対象箇所及び測定種別を指定するための測定対象箇所指定ステップと、
指定された測定対象箇所について、上記マスター画像からエッジを抽出するエッジ抽出ステップと、
抽出されたエッジに基づいて、上記測定対象箇所の寸法値を算出する寸法値算出ステップと、
算出された寸法値に近い設計値からなる設計値情報を上記設計データから抽出する設計値情報抽出ステップと、
指定された上記測定対象箇所及び上記測定種別からなる測定対象箇所情報、並びに、上記測定対象箇所に関連付けた上記設計値情報を含む測定設定データを生成する測定設定データ生成ステップとからなることを特徴とする測定設定データ作成方法。
【請求項7】
ワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法を測定するための測定設定データを作成する測定設定データ作成装置用のプログラムにおいて、
上記ワークの輪郭形状を示す形状線の位置情報、寸法線の位置情報、並びに、上記寸法線に関連付けられた設計値及び公差からなる設計値情報を含む設計データを取得する設計データ取得手順と、
上記ワークを含むマスター画像に対し、測定対象箇所及び測定種別を指定するための測定対象箇所指定手順と、
指定された測定対象箇所について、上記マスター画像からエッジを抽出するエッジ抽出手順と、
抽出されたエッジに基づいて、上記測定対象箇所の寸法値を算出する寸法値算出手順と、
算出された寸法値に近い設計値からなる設計値情報を上記設計データから抽出する設計値情報抽出手順と、
指定された上記測定対象箇所及び上記測定種別からなる測定対象箇所情報、並びに、上記測定対象箇所に関連付けた上記設計値情報を含む測定設定データを生成する測定設定データ生成手順とを実行させることを特徴とする測定設定データ作成装置用のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−37257(P2012−37257A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175052(P2010−175052)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】