説明

湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法

【課題】湿気または酸素による有機物素子の寿命短縮を抑制ないし防止することができる湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法の提供。
【解決手段】ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子を溶液状態のポリマーに均一に分散させる段階、前記粒子が均一に分散された溶液状態のポリマーを溶液キャスティング法でキャスティングし、溶媒を除去することで、ポリマーまたはプラスチックフィルムを成形する段階209、前記段階で成形されたフィルムをガラス転移温度と溶融点の間で延伸することで、前記粒子の剥離を促進させ、剥離された平板型ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子を配向させる段階211、有機コーティングによって前記フレキシブル基板の表面を平坦化する段階、前記有機膜硬化のための熱処理段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブル薄膜の製造方法に係り、より詳しくは外部から浸透する湿気または酸素による有機物素子の寿命短縮を抑制ないし防止して、フレキシブルディスプレイ基板に応用されるか、湿気または酸素による飲食物の腐敗及び酸化を防止ないし遅延して、飲食物包装材として応用されることができる湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガラスを基板として使用する液晶ディスプレイ(LCD)は60年代初期に初めて紹介されて以来、電卓、時計、携帯電話、PDA、オーディオ及びビデオ装置、コンピューター、及び自動車計器盤のような情報表示装置に広く使用されて来た。このようなガラスを基板にして製造されたLCDは幅広く使用されるにもかかわらず、いくつかの問題点が残っている。
【0003】
その問題点は基板として使用するガラスの特性によるもので、衝撃に弱くて重く、曲げ変形ができなく、使用可能なガラスの厚さに制限があるものである。このような問題点を解決することができる方法は、ガラス基板を適切なプラスチック基板に取り替えることである。
【0004】
最近には、ディスプレイ素子の発展につれて、液晶ディスプレイ素子及び有機電気発光(Organic Light Emitting Diodes;OLEDs)ディスプレイ素子に使用されるガス−バリア層をより軽量でありながら、フレキシブルディスプレイに使用できるように基板が自由に曲げられるか折られるようにする要求が現れ始めた。
【0005】
したがって、重くて、壊れやすく、しかも大面積で使いにくいガラス基板を取り替えて透明プラスチックまたは樹脂フィルム基材物質の使用が研究されている。すなわち、高度の機械的柔軟性及び優れたガスバリア特性が有機電気発光(OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)及び電子紙(e−paper;EPD)に使用可能な基板に要求されている。
【0006】
しかし、プラスチックまたは樹脂フィルム基材物質のガスバリア特性はガラス基板のガスバリア特性に比べて劣り、よって湿気や酸素が基板物質に染みこむことができ、これにより、有機ELディスプレイ素子または液晶ディスプレイ素子の寿命と質を低下させることができる。
【0007】
このような問題点を解決するために、Si、Al、In、Sn、Zn、及びTiよりなる群から選ばれる1種以上の無機酸化物薄膜をプラスチックフィルム基材物質上に形成して、ガスバリア特性に優れた透明なプラスチック基板の開発が行われている。例えば、蒸着によってプラスチックフィルム上にシリコン酸化膜が形成されたガスバリアフィルムが開示されるか、アルミニウム酸化膜が形成されたガスバリアフィルムが開示されている。しかし、この無機酸化物は一定サイズ以下の曲率半径で曲げた場合、亀裂が発生するため、ガスバリアフィルムの機械的柔軟性に対する問題解決手段となることができない。
【0008】
このように、有機ELディスプレイ及び高解像度カラー液晶ディスプレイへの実用的使用が急激に増えているが、フィルム(フレキシブル基板)のガスバリアを要求することは、湿気及び酸素が有機ELディスプレイ素子に浸透すれば、陰極層及び有機−活性層の間の界面にディスプレイ素子の劣化が著しく、発光しない部分、つまりダークスポット(dark spot)を引き起こすなどの問題が発生する。これは外部から浸透した湿気または酸素が有機分子を分解(decompositionまたはdegradation)させて有機素子の寿命を短縮させるからである。
【0009】
また、現在、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)のようなポリマー物質が飲食物包装材として使用されている。これは包装材の外部から水蒸気及び酸素の浸透を防いで包装材内部の飲食物の腐敗及び酸化を防止ないし遅延させる役目をする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明はこのような問題点を解決するためになされてもので、本発明の目的は外部から湿気及び酸素浸透率を低下させて、ディスプレイ素子の寿命を延ばすことができる湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、フレキシブル基板内にナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズのガス遮断用平板型粒子を埋め込み、整列することで、フレキシブルディスプレイ基板の製造単価を低めることができる湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、飲食物包装材外部から浸透する湿気または酸素による飲食物の腐敗及び酸化を防止ないし遅延させることができる湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の一観点による湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法は、湿気及び酸素バリアのためのフレキシブル薄膜の製造方法であって、a)ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子を溶液状態のポリマーに均一に分散させる段階;b)前記粒子が均一に分散された溶液状態のポリマーを溶液キャスティング法でキャスティングし、真空で加熱することにより溶媒を除去することで、プラスチックフィルムを成形する段階;c)前記b)段階で成形されたフィルムをガラス転移温度と溶融点の間で延伸することで、前記粒子の剥離を促進させ、剥離された平板型ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子をフィルムの表面と平行になるように配向させる段階;d)有機コーティングによって前記フレキシブル基板の表面を平坦化する段階;及びe)前記有機膜硬化のための熱処理段階を含む。
【0014】
ここで、フレキシブル基板はプラスチック材のフィルムでなり、ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子は板状構造を持つ。板状構造のナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子の例としては、モンモリロナイト(Montmorillonite)、サポナイト(Saponite)、ベントナイト(Bentonite)、雲母(mica)、及びガラス粒子を含む。また、板状構造のナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子は、Si、B、Li、Na、K、Mg、Ca、Ti、Al、Ba、Zn、Ga、Ge、Bi、及びFeの中でいずれか1種以上の元素を含む。
【発明の効果】
【0015】
したがって、本発明は、湿気及び酸素の遮断のために、ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの板状構造を持つ粒子を薄膜内に埋め込み、フィルム表面に平行に配列させ、プラスチック基板に外部の湿気または酸素が浸透することを抑制することで、基板上の有機素子を積極保護して素子の寿命延長を誘導する効果を有し、飲食物包装材の外部から内部への湿気または酸素の浸透が遮断ないし減少させて飲食物の腐敗及び酸化を防止ないし遅延させる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるフレキシブル薄膜の製造方法を説明するフローチャートである。
【図2】本発明によるプラスチックフィルムの製造方法を説明する構成図である。
【図3】本発明によって製造されたプラスチックフィルムの延伸方法を説明する図で、(A)は横方向及び縦方向に同時に延伸する方法、(B)は横方向に延伸してから縦方向に順次延伸する方法を説明する図である。
【図4】本発明によるナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子の剥離及び配向が起こる過程を説明する図である。
【図5】本発明によって製造されたフレキシブル基板薄膜構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法において、a)ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子を溶液状態のポリマーに均一に分散させる段階;b)前記粒子が均一に分散された溶液状態のポリマーを溶液キャスティング法でキャスティングし、真空で熱処理して溶媒を除去することにより、プラスチックフィルムを成形する段階;c)前記b)段階で成形されたフィルムをガラス転移温度と溶融点の間で延伸することで、前記粒子の剥離を促進させ、剥離された平板型ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子を配向させる段階;d)有機コーティングによって前記フレキシブル基板の表面を平坦化する段階;及びe)前記有機膜硬化のための熱処理段階、を含む。
【0018】
前記a)段階のポリマーにナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子の濃度は、0.1〜60wt%である。
【0019】
前記c)段階の延伸は、横方向及び縦方向に同時に延伸するか、横方向の後に縦方向に順次延伸する。
【0020】
前記延伸は熱膨張率が0.1%以下、好ましくは0.05%以下である。
【0021】
前記フレキシブル基板はプラスチック材のフィルムでなる。
【0022】
前記プラスチックフィルムの厚さが5〜1000μmであり、前記プラスチックは、ポリエステルスルホン(polyester sulfone)、ポリエチレン(polyethylene)、超高分子量ポリエチレン(ultrahigh molecular weight polyethylene)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)、硫化ポリフェニレン(polyphenylene sulfide)、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリアミド(polyamide)、アラミド(aramid)、ポリアミドイミド(polyamideimide)、ポリイミド(polyimide)、芳香族ポリイミド(aromaticpolyimide)、ポリエーテルイミド(polyetherimide)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene)、環状オレフィンコポリマー(cyclic olefin copolymer)及び塩化ポリビニル(polyvinyl chloride)の中でいずれか1種の高分子物質でなる。
【0023】
前記有機膜コーティングに用いられる有機膜物質は、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene:BCB)、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルフェノール(polyvinyl phenol:PVP)及びポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)の中でいずれか1種が使用される。
【0024】
前記ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子は板状構造を持つ。
【0025】
前記ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子の大きさが1nm〜1000μmである。
【0026】
前記ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子はモンモリロナイト(Montmorillonite)、サポナイト(Saponite)、ベントナイト(Bentonite)、雲母(mica)、及びガラス粒子の中でいずれか1種以上を含む。
【0027】
前記ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子は、Si、B、Li、Na、K、Mg、Ca、Ti、Al、Ba、Zn、Ga、Ge、Bi、及びFeの中でいずれか1種以上の元素を含む。
【0028】
以下、本発明の好ましい実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1は本発明によるフレキシブルディスプレイ基板の製造方法を説明するためのフローチャートである。図2は本発明によるプラスチック基板の製造方法を説明する構成図である。図示のように、S101段階で、フレキシブル基板の母材となるポリマーを溶媒に溶解させた後、ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子を均一に分散させる。粒子の均一な分散のためには、ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの無機物質粒子に、ポリマー母材とよく混合可能な有機分子を化学結合させて使用する。
【0030】
前記ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子201は板状構造のもので、一例としてはモンモリロナイト(Montmorillonite)、サポナイト(Saponite)、ベントナイト(Bentonite)、雲母(Mica)、またはガラス粒子を含む。本発明によるナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子の構成元素は、Si、B、Li、Na、K、Mg、Ca、Ti、Al、Ba、Zn、Ga、Ge、Bi、及びFeの中でいずれか1種以上の元素を含むことができる。前記ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子201の大きさはナノあるいはマイクロメートルサイズであるが、100nm〜100μmであることが好ましい。
【0031】
S103段階で、板状構造のナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子201が均一に分散された溶液状態のポリマー203を溶液キャスティングし205、溶媒207を除去することにより、プラスチックフィルム209を成形する。
【0032】
前記プラスチックフィルム209は、その厚さが5μm〜1000μmであり、素材としては、ポリエステルスルホン(polyestersulfone)、ポリエチレン(polyethylene)、超高分子量ポリエチレン(ultrahigh molecular weight polyethylene)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)、硫化ポリフェニレン(polyphenylene sulfide)、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリアミド(polyamide)、アラミド(aramid)、ポリアミドイミド(polyamideimide)、ポリイミド(polyimide)、芳香族ポリイミド(aromatic polyimide)、ポリエーテルイミド(polyetherimide)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene)、環状オレフィンコポリマー(cyclic olefin copolymer)及び塩化ポリビニル(polyvinyl chlorides)の中でいずれか1種の高分子物質が使用される。
【0033】
その後、S105段階に進み、前記プラスチックフィルム209を横方向及び縦方向に延伸することで211、前記粒子の剥離を促進させ、剥離された板状構造のナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子201をフィルムの表面と平行になるように配向する。これは、フィルムに機械的力を加えて高分子チェーンを秩序的に配向する過程でナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子も板状の広い面がフィルムの表面と平行になるように配列されるからである。フィルムを延伸するためには、前記プラスチックフィルム209をガラス転移温度と溶融点の間で熱処理する。
【0034】
図3はプラスチックフィルム209を横方向及び縦方向に延伸して延伸プラスチックフィルムを製造することを説明する概略図である。前記延伸プラスチックフィルム211は、溶液キャスティング法で成形されたプラスチックフィルム209を前記温度、つまりガラス転移温度と溶融点の間で横方向及び縦方向に2.0〜10.0の倍率で延伸する。よって、ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子201をフィルム延伸によってフィルムの表面とより平行になるように配向を誘導する。
【0035】
ここで、延伸は一般的に使用される方法、例えばロールによる方法またはステンターを使用する方法で実施することができ、横方向及び縦方向に同時に延伸するか211、あるいは横方向に延伸した213後、縦方向に延伸する215順次延伸方法が使用できる。よって、前記ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子201は、前記フレキシブル基板、つまりプラスチックフィルム上に図4及び図5のように平行に整列される構造に埋め込まれて配向される。
【0036】
S107段階に進み、前記ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子201が埋め込まれた延伸プラスチックフィルム211を平坦化する。前記延伸プラスチックフィルム211の表面を平坦化するために、スピンコーティング法及び蒸着法で有機膜をコートする。この際、有機コーティングに用いられる有機膜物質としては、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene)、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルフェノール(polyvinyl phenol)及びポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)などが使用できる。
【0037】
前記有機膜は、ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子が埋め込まれた延伸プラスチックフィルムの表面を平坦化するだけでなく、ガスバリア(barrier)としての役目をする。この有機膜バリアは、アレイ工程中に使用されるストリッパー(stripper)、エチャント(etchant)などの化学物質または食刻ガスなどがプラスチックフィルム211に浸透してプラスチック基板を変形させる現象を防止し、水蒸気が含まれた化学物の浸透を防止する役目もする。
【0038】
その後、S109段階で、熱処理工程を行う。これは、有機膜が硬化しながら発生するガスが外部に放出されずに有機薄膜の内部に気泡として形成されることを防ぐためのものである。よって、この工程において、有機物は溶媒に溶けて流動性の状態なので、熱処理工程によって溶媒が蒸発しながら有機物を硬化させる。
【0039】
また、熱処理工程は、有機物を硬化させるのみならず、一定時間適切な温度で進行される場合、本発明によるプラスチック基板に均一性を提供する。したがって、本発明におけるフレキシブル基板は、透湿率及び透酸素率が極めて低くて、酸素及び湿気などの外部ガスを効率的に遮断する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
前述したように、本発明による湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法は、フレキシブルディスプレイ基板内に湿気及び酸素遮断用平板型ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子を埋め込んで配向することで、外部からの湿気及び酸素の浸透率を低下させてディスプレイ素子の寿命を延ばすことができ、フレキシブルディスプレイ基板製造の容易性を高めるので、フレキシブルディスプレイ基板の市場で産業的利用価値が高い。また、本発明による透湿率及び透酸素率の低いフレキシブルディスプレイ基板の製造方法は、飲食物包装材の外部から内部への水蒸気及び酸素の浸透を防止して飲食物の腐敗及び酸化を防止ないし遅延させることにより、包装飲食物の保存期間を画期的に延ばすことができ、流通費用を低めるので、産業的利用価値が高い。
【符号の説明】
【0041】
201:ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子
203:溶液状態のポリマー
205:溶媒蒸発
207:溶媒が除去されたポリマー
209:成形されたプラスチックフィルム
211:成形されたプラスチックフィルム209を同時に横方向及び縦方向に延伸したプラスチックフィルム
213:成形されたプラスチックフィルム209を横方向に延伸したプラスチックフィルム
215:横方向に延伸プラスチックフィルム213を縦方向に延伸したプラスチックフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿気及び酸素バリアのためのフレキシブル薄膜の製造方法において、
a)ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子を溶液状態のポリマーに均一に分散させる段階;
b)前記粒子が均一に分散された溶液状態のポリマーを溶液キャスティング法でキャスティングし、真空で加熱することにより溶媒を除去することで、プラスチックフィルムを成形する段階;
c)前記b)段階で成形されたフィルムをガラス転移温度と溶融点の間で延伸することで、前記粒子の剥離を促進させ、剥離された平板型ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子をフィルムの表面と平行になるように配向させる段階;
d)有機コーティングによって前記フレキシブル基板の表面を平坦化する段階;及び
e)前記有機膜硬化のための熱処理段階;を含むことを特徴とする、湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法。
【請求項2】
前記a)段階のポリマーにナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子の濃度は、0.1〜60wt%である、請求項1に記載の湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法。
【請求項3】
前記c)段階の延伸は、横方向及び縦方向に同時に延伸するか、横方向の後に縦方向に順次延伸することを特徴とする、請求項1に記載の湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法。
【請求項4】
前記延伸は、熱膨張率が0.1%以下、好ましくは0.05%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法。
【請求項5】
前記フレキシブル基板はポリマーまたはプラスチック材のフィルムでなることを特徴とする、請求項1に記載の湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法。
【請求項6】
前記プラスチックまたはポリマーフィルムの厚さが5〜1000μmであり、前記プラスチックまたはポリマーは、ポリエステルスルホン(polyestersulfone)、ポリエチレン(polyethylene)、超高分子量ポリエチレン(ultrahigh molecular weight polyethylene)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)、硫化ポリフェニレン(polyphenylene sulfide)、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリアミド(polyamide)、アラミド(aramid)、ポリアミドイミド(polyamideimide)、ポリイミド(polyimide)、芳香族ポリイミド(aromatic polyimide)、ポリエーテルイミド(polyetherimide)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene)、環状オレフィンコポリマー(cyclic olefin copolymer)及び塩化ポリビニル(polyvinyl chloride)の中でいずれか1種の高分子物質でなることを特徴とする、請求項1に記載の湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法。
【請求項7】
前記c)段階の有機膜コーティングに用いられる有機膜物質は、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene:BCB)、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルフェノール(polyvinyl phenol:PVP)及びポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)の中でいずれか1種が使用されることを特徴とする、請求項1に記載の湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法。
【請求項8】
前記ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子は板状構造を持つことを特徴とする、請求項1に記載の湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法。
【請求項9】
前記ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子の大きさが1nm〜1000μmであることを特徴とする、請求項1に記載の湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法。
【請求項10】
前記ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子は、モンモリロナイト(Montmorillonite)、サポナイト(Saponite)、ベントナイト(Bentonite)、雲母(mica)、及びガラス粒子の中でいずれか1種以上を含むことを特徴とする、請求項1、7及び8のいずれか1項に記載の湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法。
【請求項11】
前記ナノメートルサイズまたはマイクロメートルサイズの粒子は、Si、B、Li、Na、K、Mg、Ca、Ti、Al、Ba、Zn、Ga、Ge、Bi、及びFeの中でいずれか1種以上の元素を含むことを特徴とする、請求項1、8及び9のいずれか1項に記載の湿気及び酸素バリア基板及び飲食物包装材のためのフレキシブル薄膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−148308(P2011−148308A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290840(P2010−290840)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(592045430)コリア アドヴァンスト インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (12)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】