説明

溶剤を含有する低誘電体材料を調製するための組成物

【課題】3.7以下の誘電率を有するシリカ系の材料及び膜、並びにそれを作製及び使用するための組成物及び方法を提供すること。
【解決手段】シリカ系材料を調製するための組成物であって、少なくとも1つのシリカ源と、溶剤と、少なくとも1つのポロゲンと、任意選択で触媒と、任意選択で流動添加剤とを含み、該溶剤が、90℃〜170℃の温度で沸騰し、化学式、HO−CHR8−CHR9−CH2−CHR1011(式中、R8、R9、R10及びR11は、独立して1〜4個の炭素原子のアルキル基又は水素原子であることができる);R12−CO−R13(式中、R12は3〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり;R13は1〜3個の炭素原子を有する炭化水素基である);及びそれらの混合物によって表される化合物から成る群より選択された組成物によって上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、例えば、電子デバイスでの使用に好適な材料に関する。
【背景技術】
【0002】
操作速度の改善及び電力消費の低減のために、メモリ及び論理チップなどの多層集積回路デバイスの回路密度を増加させるという、マイクロエレクトロニクス産業における継続した要望がある。集積回路上のデバイスサイズを低減し続けるためには、相互接続金属被覆の抵抗−キャパシタンス(「RC」)遅延を低減し、かつ金属被覆の異なるレベル間の容量性クロストークを防ぐよう、低誘電率を有する絶縁体を使用することが必要になっている。このような低誘電体材料が、プリメタル誘電層及びインターレベル誘電層のために望ましい。
【0003】
180nmの線幅を有するデバイス用の典型的な誘電体材料は、約3.8〜4.2の誘電率を有する材料である。線幅が減少するにつれて、誘電率もまた減少するはずである。例えば、130nmの線幅を有するデバイスでは、約2.5〜3.0の誘電率を有する材料が必要とされる。極低誘電率(「ELK」)の材料は、一般には約2.0〜2.5の誘電率を有する。90nmの線幅を有するデバイスでは、2.4未満の誘電率を有する材料が必要とされる。
【0004】
幾つかのプロセスが、低誘電率膜を調製するのに用いられている。化学気相成長法(CVD)及びスピンオン成膜(SOD)法は、絶縁層の薄膜を調製するのに典型的に用いられる。これらの技術によって堆積される様々な低k材料は一般に、純粋な無機材料、セラミック材料、シリカ系材料、純粋な有機材料、又は無機−有機ハイブリッドなどのカテゴリーに分類されている。さらに、プラズマ、電子ビーム又はUV放射を用いた材料の処理、加熱などの様々なプロセスが、これらの材料を硬化して揮発性成分を分解及び/又は除去し膜を実質的に架橋するのに用いられている。
【0005】
空気の誘電率は公称1.0であるから、材料の誘電率を低減する1つのアプローチとして、多孔性を導入することが可能である。多孔性は、様々な異なる手段を通して低誘電体材料に導入されている。誘電体膜は、多孔質にされると高密度の膜に比べてより低い誘電率を示すことができるが、膜の弾性率は一般に、多孔性が増すとともに減少する。結果として、これらの低誘電体組成物を用いることは、誘電率と弾性率を交換することになるため実用的でない場合がある。
【0006】
一般的には、材料の誘電率(k)を低減すると、材料の機械的性質、即ち、弾性率、硬度等が続いて低減されてしまう。機械的強度は、以降の処理工程、例えば、エッチング、CMP(「化学機械平坦化」)並びに付加的な層、例えば、銅のための拡散バリヤー、銅金属(「Cu」)及びキャップ層の製品上への堆積に必要とされる。これら処理のうちの幾つかにおいては、多層の温度循環のため、異なる材料間の熱膨張係数の不一致による応力が生じ、それによってクラッキング又は離層が起こる場合がある。表面の平坦性がまた必要とされ、その表面平坦性は、このような処理パラメータを膜形成プロセスの際に調節すること、さらにはCMPによって維持することができる。機械的結着性又は剛性、圧縮及びせん断強度は、CMPに耐えるのに特に重要な場合がある。
【0007】
低誘電体材料の生成及び結果として得られる膜における別の考慮すべき問題は、材料中に存在する金属不純物のレベルである。低誘電体膜が集積回路(IC)の製作に好適であるためには、膜が制御された不純物レベルを有することが望ましい。言い換えれば、膜は、マイクロエレクトロニクス素子における酸化ケイ素系の絶縁体膜に有害な場合がある不揮発性不純物の最小レベルを有する諸成分を用いて堆積されなければならない。IC産業においては、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属イオンは、金属酸化物半導体(「MOS」)のトランジスター絶縁体及び多層相互接続絶縁体として用いられる二酸化ケイ素膜から排除されるべきであることが周知である。
【0008】
低誘電体膜の生成に用いられる幾つかの商業的に入手可能な化学試薬は、アルカリ金属の不純物を含有している。これらの不純物は、化学前駆体試薬の製造に用いられる触媒の残留分に由来する場合がある。脂肪族アルコール、アルキルフェノール及び脂肪酸の塩基触媒エトキシ化においては、NaOH、KOH又はNaOCH3:アルコールは、0.005〜0.05:1のモル比でしばしば用いられる。例えば、Lynnらの「Surfactants」,Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,John Wiley & Sons,Inc.,(1997)(非特許文献1)を参照されたい。例えば、アルコール1モル当たり平均7.5モルのエトキシレートを有するアルキルフェノールエトキシレート、TRITON(登録商標)X−114の生成においてアルコール1モル当たり0.005モルのNaOHを使用すると、最終生成物中に214ppmのナトリウムをもたらす場合がある。このようなレベルの残留触媒不純物は、多くの場合、これらの化学物質の典型的な用途においてほとんど取るに足らないものである。なぜなら、界面活性剤は、多くの場合、界面活性剤によって与えられる触媒不純物が最終処方物において問題とならないような低レベルで用いられるからである。ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマーは、所望の分子量に応じて異なる触媒系を用いて生成することができる。20,000未満の分子量に関しては、塩基又はメタノール若しくはブタノールのNa+若しくはK+アルコキシドが触媒として用いられる。例えば、Glass,J.E.「Water−Soluble Polymers」,Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,John Wiley & Sons,Inc.,(1988)(非特許文献2)を参照されたい。界面活性剤と同様、溶剤もまた、残留触媒不純物を含有する場合がある。例えば、プロピレンオキシドとアルコールの反応によるプロピレングリコールプロピルエーテル(PGPE)などのエーテルの形成は、第二エーテルに比べて第一アルキルエーテルに対する高い選択性が望まれる場合にしばしば塩基触媒され、残留不純物が生じることがある。例えば、Brownらの「Glycols:Ethylene Glycol and Propylene Glycol」,Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第3版,John Wiley & Sons,N.Y.,(1980),第11巻,953頁(非特許文献3)を参照されたい。不純物の更なる供給源は、クリーンルームの外で包装又は取り扱いをするなど、細かい点に注意を払わないことから生じる場合がある。なぜなら、このような厳しい純度要件は、典型的な用途には必要とされないからである。
【0009】
集積回路用途の化学前駆体溶液に関するアルカリ金属不純物の仕様では、許容できる不純物レベルは典型的に各種類のアルカリ金属について最大約20ppb、合計で50ppb未満とされている。これらの制限を満足するため、IC産業への材料供給者は試薬を精製することが可能である。本出願の譲受人に譲渡された、参考文献、ヨーロッパ特許第1,142,832号明細書(特許文献1)では、得られる膜の誘電特性及び機械的性質が、膜形成用混合物中でポロゲンとして用いられる界面活性剤を精製することによっていかに不利に影響を受ける場合があるかについて検討されている。米国特許第6,472,079号明細書(特許文献2)では、たとえ界面活性剤が存在しなくとも、いかに得られる膜の誘電特性が試薬の精製によって不利に影響を受ける場合があるかについて検討されている。
【0010】
以下の参考文献、米国特許第6,406,794号明細書(特許文献3)、同第6,329,017号明細書(特許文献4)、同第6,495,479号明細書(特許文献5)、同第6,126,733号明細書(特許文献6)、米国特許出願第2002/0189495号明細書(特許文献7)、ヨーロッパ特許第1,123,753号明細書(特許文献8)並びにChem.Mater.2001 13,2762及び1848(非特許文献4)は、化学試薬、例えば、少なくとも1つのシリコン源、ポロゲン及び溶剤を含む誘電体膜の形成に用いられる様々な組成物を提供している。これらの参考文献は、アルカリ金属不純物を除去するための組成物への添加に先立ち、化学試薬、特にはポロゲンを精製することを開示していない。幾つかの参考文献、例えば、米国特許第6,376,634号明細書(特許文献9)及び同第6,126,733号明細書(特許文献10)は、組成物への添加に先立ち試薬を精製することを検討している。しかしながら、先に記載したように、幾つかの例においては、精製プロセスは、材料の誘電率及び/又は機械的性質に不利に影響を及ぼす場合がある。
【0011】
上記のように、溶剤は、スピンオン成膜用処方物で用いられる典型的な成分である。これらの処方物においては、基材上に膜を堆積させるのに用いられる溶剤は、適当な時間、例えば、5分未満で蒸発し、非常に均一な欠陥のない膜を提供すべきである。
【0012】
非常に均一な欠陥のない膜を生成できることは、SOD膜をIC構造にうまく組み込むのに絶対に必要である。SOD膜は、閉鎖型、半閉鎖型又は開放型のスピニング・ボウル(spinning bowl)構成によって形成することができる。閉鎖型のスピニング・ボウル構成においては、スピニング・チャンバー上に蓋があり、膜の塗布、希薄化及び乾燥の際、閉鎖したままである。この構成によって、ウェハ上の雰囲気の環境制御が可能となるため、膜を形成しかつ膜の欠陥、例えば、ウェハの筋又は厚みのばらつきを最小限に抑えるように、溶剤の蒸発プロセスを制御することがより容易になる。閉鎖型のスピニング・ボウル構成と同様、半閉鎖型のスピニング・ボウル構成にも蓋又は定盤があり、膜形成プロセスを通して調整できるが、分配又は膜形成の際、膜を環境条件にさらすこともできる。蓋又は定盤の調整により、溶剤が膜から離れるよう溶剤の乱流及び蒸発プロセスが制御され、膜形成プロセスの優れた制御を可能とする。開放型のスピニング・ボウル構成においては、プロセスツール上に蓋がない。それゆえ、溶剤の蒸発特性を変化させる代わりの物理的手段がないため、分配、塗布、希薄化及び乾燥工程は、混合物中に用いられる溶剤により左右されることになろう。
【0013】
半閉鎖型及び開放型のスピニング・ボウル構成においては、膜形成用組成物及びウェハは環境条件によりセンシティブであり、したがって、ボウル内の溶剤の蒸発速度を制御することは困難である。このため、半閉鎖型又は開放型のボウル構成で用いられる膜形成用組成物の溶剤の特性、即ち、溶剤の沸点、表面張力、粘度及び蒸発速度は、欠陥を最小限に抑えかつウェハ全体の均一性を維持するのに適切なものであることが必要とされる。溶剤の特性が適当でない場合には、膜の欠陥、例えば、筋、ホール、スワール、膜の不均質性が生じて、以降の処理の際にデバイスが破損する場合がある。
【0014】
膜形成用組成物のさらに別の関連する特性は室温での貯蔵安定性である。膜形成用溶液の安定性は、組成物が周囲条件下で貯蔵されたときに、膜形成用組成物から生成した膜の厚さ、屈折率、誘電率及び機械的性質を維持するものと規定される。室温での貯蔵安定性は、排水、フラッシング、再充填及び化学ラインの再認定を伴う場合がある予定外のツールの停止によるプロセスツールの中断時間及び冷凍貯蔵に帰するコストを低減できるのに加え、扱いやすい在庫管理を可能とする。膜形成用組成物の成分の1つ又は複数が未反応である反応系においては、貯蔵安定性は、完全に反応したポリマーを含有する組成物よりも典型的に劣っている。
【特許文献1】ヨーロッパ特許第1,142,832号明細書
【特許文献2】米国特許第6,472,079号明細書
【特許文献3】米国特許第6,406,794号明細書
【特許文献4】米国特許第6,329,017号明細書
【特許文献5】米国特許第6,495,479号明細書
【特許文献6】米国特許第6,126,733号明細書
【特許文献7】米国特許出願第2002/0189495号明細書
【特許文献8】ヨーロッパ特許第1,123,753号明細書
【特許文献9】米国特許第6,376,634号明細書
【特許文献10】米国特許第6,126,733号明細書
【非特許文献1】Lynnらの「Surfactants」,Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,John Wiley & Sons,Inc.,(1997)
【非特許文献2】Glass,J.E.「Water−Soluble Polymers」,Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,John Wiley & Sons,Inc.,(1988)
【非特許文献3】Brownらの「Glycols:Ethylene Glycol and Propylene Glycol」,Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第3版,John Wiley & Sons,N.Y.,(1980),第11巻,953頁
【非特許文献4】Chem.Mater.2001 13,2762及び1848
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
3.7以下の誘電率を有するシリカ系材料及び膜並びにそれを作製するための組成物及び方法が本明細書で記載される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
1つの態様においては、約3.7以下の誘電率を有するシリカ系材料を生成するための組成物であって、少なくとも1つのシリカ源と、溶剤と、少なくとも1つのポロゲンと、任意選択で触媒と、任意選択で流動添加剤とを含み、該溶剤が、90℃〜170℃の温度で沸騰し、化学式、HO−CHR8−CHR9−CH2−CHR1011(式中、R8、R9、R10及びR11は、独立して1〜4個の炭素原子のアルキル基又は水素原子であることができる);R12−CO−R13(式中、R12は3〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり;R13は1〜3個の炭素原子を有する炭化水素基である);及びそれらの混合物によって表される化合物から成る群より選択される、組成物が提供される。
【0017】
別の態様においては、約3.7以下の誘電率を有するシリカ系膜を形成するための組成物であって、少なくとも1つのシリカ源と、溶剤と、任意選択で少なくとも1つのポロゲンと、任意選択で触媒と、流動添加剤とを含む、組成物が提供される。
【0018】
さらに別の態様においては、3.7以下の誘電率を有するシリカ系膜を形成するための方法であって、少なくとも1つのシリカ源と、溶剤と、任意選択で少なくとも1つのポロゲンと、任意選択で少なくとも1つの触媒と、任意選択で流動添加剤とを含み、該溶剤が90℃〜170℃の温度で沸騰する組成物を提供すること;開放型のスピニング・ボウル構成及び半閉鎖型のスピニング・ボウル構成から選択されたボウル構成によって基材上に該組成物を堆積させ被覆基材を形成すること;並びに該被覆基材を硬化して該シリカ系膜を形成することを含む、方法が提供される。
【0019】
なお更なる態様においては、3.7以下の誘電率を有するシリカ系膜を形成するための方法であって、少なくとも1つのシリカ源と、少なくとも1つの溶剤と、水と、触媒とを含み、該少なくとも1つのシリカ源が部分的に加水分解して低沸点溶剤を提供する組成物を提供すること;該組成物から該低沸点溶剤の合計モル数の約20〜約75%と該水の合計モル数の20〜80%を除去して減量した組成物を提供すること;開放型のスピニング・ボウル構成及び半閉鎖型のスピニング・ボウル構成から選択されたボウル構成によって基材上に該減量した組成物を堆積させ被覆基材を形成すること;並びに該シリカ系膜を形成するのに十分な時間1つ又は複数の温度に該被覆基材を硬化することを含む、方法が提供される。
【0020】
さらに別の態様においては、3.7以下の誘電率を有するシリカ系膜を形成するための方法であって、少なくとも1つのシリカ源と、溶剤と、任意選択で少なくとも1つのポロゲンと、任意選択で触媒と、流動添加剤とを含む組成物を提供すること;連続流において行われる堆積により基材上に3ml以下の該組成物を堆積させ被覆基材を形成すること;並びに該シリカ系膜を形成するのに十分な時間1つ又は複数の温度に該被覆基材を硬化することを含む、方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
シリカ系の低誘電体材料及び膜、並びにそれを作製及び使用するための組成物及び方法が本明細書で記載される。この材料及び膜は比較的低金属含有量であり、当技術分野の他の材料と比較して容易に製造することができる。「シリコン系」及び「シリカ系」という語は、本明細書を通して区別なく用いられる。本明細書で記載される材料は膜を提供するのに特に好適であり、その生成物は主に膜として本明細書で記載されるが、それに限定されるものではない。本明細書で記載される材料は、スピンオン堆積又は他の技術によって堆積できる任意の形態、例えば、コーティング、多層アセンブリ、必ずしも平面又は薄くない他のタイプのもの、及び必ずしも集積回路で用いられない多くのものであるがそれらに限定されない任意の形態で提供することができる。本明細書で記載される材料又は膜は、例えば、電子デバイスで用いることができる。
【0022】
本明細書で記載される膜は、本明細書において膜形成用組成物と称される組成物から形成することができる。この組成物は膜を形成する前に調製することができるか、あるいはまた、この組成物は膜形成プロセスの少なくとも一部の間に形成することができる。膜形成法に応じて、組成物は流体として基材上に堆積させることができる。「流体」という語は、本明細書で用いられる場合には、組成物の液相、気相及びその組み合わせ(例えば、蒸気)を表す。「基材」という語は、本明細書で用いられる場合には、任意の好適な組成物であり、この組成物は、その上に本明細書で記載される膜を適用及び/又は形成する前に形成される。使用できる好適な基材には、ヒ化ガリウム(「GaAs」)、シリコンなどの半導体材料、並びに結晶シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、エピタキシャルシリコン、二酸化ケイ素(「SiO2」)、シリコンガラス、窒化ケイ素、溶融シリカ、ガラス、石英、ホウケイ酸塩ガラス、及びそれらの組み合わせなどのケイ素を含有する組成物があるがそれらに限定されない。他の好適な基材には、半導体、フラットパネルディスプレイ、及びフレキシブルディスプレイの用途において一般に使用される金属がある。
【0023】
膜形成用組成物は、浸漬、ロール塗、はけ塗、吹付、押出、スピンオン堆積、印刷、及びそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない様々な方法によって基材上に堆積させることができる。さらに、例示的な堆積方法には、振動非接触誘導塗布力、重力誘導塗布力、湿潤誘導塗布力、スロット押出及びそれらの組み合わせがある。
【0024】
1つの特定の実施態様においては、膜形成用組成物の堆積は、スピンオン堆積法を用いて行われる。簡単に言えば、膜形成用組成物が基材上に分配され、その中に含まれる溶剤が蒸発して被覆基材を形成する。さらに、遠心力を用いて確実に膜形成用組成物を基材上に均一に堆積させる。これらの実施態様においては、スピニング・ボウル構成は、閉鎖型、半閉鎖型又は開放型のスピニング・ボウル構成であることができる。幾つかの例においては、本明細書で記載される溶剤は、開放型又は半閉鎖型のスピニング・ボウル構成における使用に関して特に有利である。というのも、膜形成の際に環境を変化させることは比較的困難な場合があるからである。
【0025】
本明細書で記載される材料はシリカを含む。「シリカ」、「シリカ系」又は「シリカ含有」という語は、本明細書で用いられる場合には、ケイ素原子(Si)と酸素原子(O)を有し、場合によりH、B、C、P若しくはハライド原子のような他の元素、又はアルキル基若しくはアリール基のような有機基など、しかしそれらに限定されない付加的な置換基を有する材料である。幾つかの好ましい実施態様においては、この材料は、Si−C結合の全数/Si原子の全数が約20〜約80モル%又は約40〜約60モル%であるケイ素−炭素結合をさらに含むことができる。
【0026】
組成物は、少なくとも1つのシリカ源と溶剤を一般に含む。組成物は、水、少なくとも1つのポロゲン、触媒、流動添加剤及び/又はイオン添加剤など、しかしそれらに限定されない他の成分をさらに含むことができる。組成物が少なくとも1つのポロゲンを含有する実施態様においては、ポロゲンとSiO2を合わせた質量に対するポロゲンの質量比、即ち、空隙率は0.9〜0.1である。この範囲は、組成物から生成される材料の所望の誘電率に応じて変化させることができる。というのも、材料の誘電率は、ポロゲンの質量比に反比例するか又は組成物/膜の空隙率に正比例するためである。上記の比において、SiO2の質量は、シリカ源によって組成物中に導入されたケイ素の全モル数から計算される。しかしながら、これはシリカ源がSiO2に完全に転化されることを必ずしも意味するものではない。組成物がイオン添加剤を含有する実施態様においては、ポロゲンの質量に対するイオン添加剤の質量比は0.5〜0である。更なる実施態様においては、有機成分又はR基/Siのモル比は、0.2〜3、0.2〜2又は0.2〜1である。なお更なる実施態様においては、水/1つ又は複数のOR基のモル比(式中、ORは酸素原子を介してケイ素に結合した有機基である)は40〜0.1であることができる。
【0027】
幾つかの実施態様においては、組成物は、エレクトロニクス産業の要件を満たす化学物質を用いる。なぜなら、これらの化学物質は、集積回路を調製する効率を低下させる不純物を含有しないからである。ハロゲン含有無機酸、ハライド対イオンを有するカチオン界面活性剤、アルカリ金属対イオンを有するアニオン界面活性剤のような成分は組成物において回避される。なぜなら、それらは望ましくないイオンを与える場合があるからである。これらの実施態様においては、本明細書で記載される組成物に含まれる汚染金属の量は、百万分の1(「ppm」)以下、10億分の200(「ppb」)以下、又は50ppb以下である。その結果として、本発明の材料に含まれる汚染金属の量は、1ppm以下、200ppb以下、又は50ppb以下にすることができる。本明細書で記載される材料に含まれる汚染ハライドの量は、1ppm以下、750ppb以下、又は500ppb以下であることが好ましい。組成物中の化学試薬に含まれる汚染金属の量は、1ppm以下、200ppb以下、又は50ppb以下である。幾つかの実施態様においては、化学試薬が1ppmを超える汚染金属を含有する場合、化学試薬は組成物に添加する前に精製することができる。係属中の米国公開公報第2004−0048960号は、膜形成用組成物で使用できる好適な化学物質とその精製法の例を提供しており、この特許出願は、その参照により本明細書に含まれ、本出願の譲受人に譲渡されている。
【0028】
先に記載した通り、組成物は少なくとも1つのシリカ源を含む。「シリカ源」は、本明細書で用いられる場合には、ケイ素原子(Si)と酸素原子(O)を有し、場合によりH、B、C、P若しくはハライド原子のような他の元素、及びアルキル基若しくはアリール基のような有機基など、しかしそれらに限定されない付加的な置換基を有する化合物である。「アルキル」という語は、本明細書で用いられる場合には、1〜24個、1〜12個又は1〜5個の炭素原子を含有する直鎖、分枝又は環状のアルキル基を含む。この語はまた、ハロアルキル、アルカリール又はアラルキルなどの他の基に含有されるアルキル部分にも適用する。さらに「アルキル」という語は、例えば、カルボニル官能基で置換されたアルキル部分にも適用する。「アリール」という語は、本明細書で用いられる場合には、芳香族の特徴を有する6〜12員の炭素環に適用する。「アリール」という語はまた置換されたアリール部分にも適用する。シリカ源は、多数のSi−O結合を有するが、さらにSi−O−Si架橋、Si−R−Si架橋、Si−C結合、Si−H結合、Si−F結合、又はC−H結合を含むことができる材料を含むことができる。幾つかの実施態様においては、少なくとも1つのシリカ源は、誘電体材料に最低限のSi−OH結合を与える。
【0029】
以下は、本明細書で記載される組成物に使用するのに好適なシリカ源の限定的でない例である。以下に続く化学式及び本明細書を通して全ての化学式において、「独立して」という語は、対象のR基が、異なる上付き文字を有する他のR基に関して独立して選択されるだけでなく、同じR基の任意の付加的な種に関しても独立して選択されるということを意味すると解されるべきである。例えば、式RaSi(OR14-aSiにおいて、このとき「a」は2であり、2つのR基が互いに又はR1と同一である必要はない。加えて、以下の式において、「一価の有機基」という語は、一重C結合を介してSi又はOなどの所定の元素に結合した有機基、即ち、Si−C又はO−Cに関する。一価の有機基の例には、アルキル基、アリール基、不飽和アルキル基、及び/又はアルコキシ、エステル、酸、カルボニル若しくはアルキルカルボニル官能基で置換された不飽和アルキル基がある。アルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル又はペンチル基などの1〜5個の炭素原子を有する直鎖、分枝、環状のアルキル基であることができる。一価の有機基として好適なアリール基の例には、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル及びフルオロフェニルがある。幾つかの実施態様においては、アルキル基中の1つ又は複数の水素原子は、ハライド原子(即ち、フッ素)又は酸素原子などの付加的な原子で置換されて、カルボニル又はエーテル官能基を与えることができる。
【0030】
幾つかの実施態様においては、シリカ源は以下の式、即ち、RaSi(OR14-a(式中、Rは独立して水素原子、フッ素原子又は一価の有機基を表し;R1は独立して一価の有機基を表し;aは1〜2の整数である)で表すことができる。RaSi(OR14-aで表される化合物の具体的な例には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−イソ−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−イソ−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−イソ−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリ−n−プロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリ−n−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、イソプロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリイソプロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン;sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリイソプロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、tert−ブチルトリイソプロポキシシラン、tert−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、tert−ブチルトリフェノキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリ−n−プロポキシシラン、イソブチルトリイソプロポキシシラン、イソブチルトリ−n−ブトキシシラン、イソブチルトリ−sec−ブトキシシラン、イソブチルトリ−tert−ブトキシシラン、イソブチルトリフェノキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ペンチルトリイソプロポキシシラン、n−ペンチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ペンチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ペンチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ペンチルトリフェノキシシラン;sec−ペンチルトリメトキシシラン、sec−ペンチルトリエトキシシラン、sec−ペンチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ペンチルトリイソプロポキシシラン、sec−ペンチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ペンチルトリ−sec−ブトキシシラン、sec−ペンチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ペンチルトリフェノキシシラン、tert−ペンチルトリメトキシシラン、tert−ペンチルトリエトキシシラン、tert−ペンチルトリ−n−プロポキシシラン、tert−ペンチルトリイソプロポキシシラン、tert−ペンチルトリ−n−ブトキシシラン、tert−ペンチルトリ−sec−ブトキシシラン、tert−ペンチルトリ−tert−ブトキシシラン、tert−ペンチルトリフェノキシシラン、イソペンチルトリメトキシシラン、イソペンチルトリエトキシシラン、イソペンチルトリ−n−プロポキシシラン、イソペンチルトリイソプロポキシシラン、イソペンチルトリ−n−ブトキシシラン、イソペンチルトリ−sec−ブトキシシラン、イソペンチルトリ−tert−ブトキシシラン、イソペンチルトリフェノキシシラン、ネオ−ペンチルトリメトキシシラン、ネオ−ペンチルトリエトキシシラン、ネオ−ペンチルトリ−n−プロポキシシラン、ネオ−ペンチルトリイソプロポキシシラン、ネオ−ペンチルトリ−n−ブトキシシラン、ネオ−ペンチルトリ−sec−ブトキシシラン、ネオ−ペンチルトリ−ネオ−ブトキシシラン、ネオ−ペンチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、δ−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、δ−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジフェノキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジ−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジイソプロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジフェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジフェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジフェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、メチルネオペンチルジメトキシシラン、メチルネオペンチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルジメトキシシラン、n−プロピルジメトキシシラン、イソプロピルジメトキシシラン、n−ブチルジメトキシシラン、sec−ブチルジメトキシシラン、tert−ブチルジメトキシシラン、イソブチルジメトキシシラン、n−ペンチルジメトキシシラン、sec−ペンチルジメトキシシラン、tert−ペンチルジメトキシシラン、イソペンチルジメトキシシラン、ネオペンチルジメトキシシラン、ネオヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、エチルジエトキシシラン、n−プロピルジエトキシシラン、イソプロピルジエトキシシラン、n−ブチルジエトキシシラン、sec−ブチルジエトキシシラン、tert−ブチルジエトキシシラン、イソブチルジエトキシシラン、n−ペンチルジエトキシシラン、sec−ペンチルジエトキシシラン、tert−ペンチルジエトキシシラン、イソペンチルジエトキシシラン、ネオペンチルジエトキシシラン、ネオヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルジエトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリ−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブトキシシラン、トリ−tert−ブトキシシラン、トリフェノキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及び(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシランがある。上記化合物のうち、好ましい化合物は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、及びジエチルジエトキシシランである。
【0031】
シリカ源は、式Si(OR24を有する化合物であることができ、式中、R2は独立して一価の有機基を表す。Si(OR24で表される化合物の具体的な例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラアセトキシシラン、及びテトラフェノキシシランがある。上記のうち、幾つかの好ましい化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、又はテトラフェノキシシランを含むことができる。
【0032】
シリカ源は、式R3b(R4O)3-bSi−(R7)−Si(OR53-c6c(式中、R3及びR6は独立して水素原子、フッ素原子若しくは一価の有機基であり;R4及びR5は独立して一価の有機基であり;b及びcは同じか又は異なることができ、それぞれ0〜2の数であり;R7は酸素原子、フェニレン基、ビフェニル、ナフタレン基若しくは−(CH2n−で表される基であり、式中、nは1〜6の整数であり;又はそれらの組み合わせである)を有する化合物であることができる。R7が酸素原子であるこれら化合物の具体的な例には、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、ヘキサフェノキシジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、及び1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンがある。これらのうち、好ましい化合物は、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、ヘキサフェノキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン;1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンである。R7が−(CH2n−で表される基であるこれら化合物の具体的な例には、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリフェノキシシリル)メタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジメトキシフェニルシリル)メタン、ビス(ジエトキシフェニルシリル)メタン、ビス(メトキシジメチルシリル)メタン、ビス(エトキシジメチルシリル)メタン、ビス(メトキシジフェニルシリル)メタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリフェノキシシリル)エタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジメトキシフェニルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシフェニルシリル)エタン、1,2−ビス(メトキシジメチルシリル)エタン、1,2−ビス(エトキシジメチルシリル)エタン、1,2−ビス(メトキシジフェニルシリル)エタン、1,2−ビス(エトキシジフェニルシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリフェノキシシリル)プロパン、1,3−ビス(ジメトキシメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジエトキシメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジメトキシフェニルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジエトキシフェニルシリル)プロパン、1,3−ビス(メトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(エトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(メトキシジフェニルシリル)プロパン、及び1,3−ビス(エトキシジフェニルシリル)プロパンがある。これらのうち、好ましい化合物は、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジメトキシフェニルシリル)メタン、ビス(ジエトキシフェニルシリル)メタン、ビス(メトキシジメチルシリル)メタン、ビス(エトキシジメチルシリル)メタン、ビス(メトキシジフェニルシリル)メタン、及びビス(エトキシジフェニルシリル)メタンである。
【0033】
本発明の幾つかの実施態様においては、式RaSi(OR14-aのR1;式Si(OR24のR2;並びに式R3b(R4O)3-bSi−(R7)−Si(OR53-c6cのR4及び/又はR5は、それぞれ独立して以下の式、
【化1】

の一価の有機基であることができ、式中、nは0〜4の整数である。これらの化合物の具体的な例には、テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、n−プロピルトリアセトキシシラン、イソプロピルトリアセトキシシラン、n−ブチルトリアセトキシシラン、sec−ブチルトリアセトキシシラン、tert−ブチルトリアセトキシシラン、イソブチルトリアセトキシシラン、n−ペンチルトリアセトキシシラン、sec−ペンチルトリアセトキシシラン、tert−ペンチルトリアセトキシシラン、イソペンチルトリアセトキシシラン、ネオペンチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジアセトキシシラン、ジ−n−プロピルジアセトキシシラン、ジイソプロピルジアセトキシシラン、ジ−n−ブチルジアセトキシシラン、ジ−sec−ブチルジアセトキシシラン、ジ−tert−ブチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシランがある。これらの化合物のうち、テトラアセトキシシラン及びメチルトリアセトキシシランが好ましい。
【0034】
少なくとも1つのシリカ源の他の例は、米国特許第6,258,407号明細書で与えられるようなフッ素化シラン又はフッ素化シロキサンを含むことができる。
【0035】
少なくとも1つのシリカ源の別の例は、脱離によってSi−H結合を生成する化合物を含むことができる。
【0036】
少なくとも1つのシリカ源のなお更なる例は、例えば、Hayらの「Synthesis of Organic−Inorganic Hybrids via the Non−hydrolytic Sol−Gel Process」,Chem.Mater.,13,3396−3403(2001)又はHayらの「A Versatile Route to Organically−Modified Silicas and Porous Silicas via the Non−Hydrolytic Sol−Gel Process」,J.Mater.Chem.,10,1811−1818(2000)の参考文献に記載されている非加水分解化学の方法に見出される。
【0037】
シリカ源のなお他の例には、水素シルセスキオキサン(HSQ、HSiO1.5)及びメチルシルセスキオキサン(MSQ、RSiO1.5、式中、Rはメチル基)などのシルセスキオキサンがある。
【0038】
幾つかの実施態様においては、少なくとも1つのシリカ源は、好ましくはSi原子に結合した少なくとも1つのカルボン酸エステルを有することができる。これらのシリカ源の例には、テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、及びフェニルトリアセトキシシランがある。シリカ源がカルボキシレート基を結合した少なくとも1つのSi原子を有する少なくとも1つのシリカ源に加えて、組成物は、Si原子に結合したカルボキシレートを必ずしも有さない場合がある付加的なシリカ源をさらに含むことができる。
【0039】
幾つかの実施態様においては、親水性と疎水性のシリカ源の組み合わせが組成物において用いられる。「親水性」という語は、本明細書で用いられる場合には、ケイ素原子が少なくとも4つの結合を介して架橋できる化合物のことを言う。これらの実施態様においては、疎水性シリカ源/シリカ源の全量の比は、約0.2モル比よりも大きいか又は0.2〜0.8モル比である。親水性源の幾つかの例には、アルコキシ官能基を有しかつ少なくとも部分的に架橋できるアルコキシシラン、即ち、4つのメトキシ、エトキシ、プロポキシ、アセトキシ等の基を有するSi原子、又はSi原子とアルコキシドであるSi原子上の他の全ての官能基との間に炭素若しくは酸素結合を有する材料がある。Si原子が十分に架橋していない場合には、残留Si−OH基が水を吸着できる末端基として存在することができる。「疎水性」という語は、アルコキシ官能基の少なくとも1つが、加水分解後にヒドロキシルを生成しない末端のSi−C又はSi−F結合、即ち、Si−メチル、Si−エチル、Si−フェニル、Si−シクロヘキシル等で置換されている化合物のことを言う。これらの供給源においては、ケイ素は、末端基がそのままであれば、Si−OH基の加水分解及び縮合の結果として十分に架橋した場合でさえ、4つ未満の架橋で以って架橋する。幾つかの実施態様においては、疎水性シリカ源は、ケイ素原子に結合したメチル基を含有する。
【0040】
少なくとも1つのシリカ源は、加水分解及び縮合の生成物として組成物に添加することができる。シリカ源の加水分解及び縮合は、溶剤に水と任意選択で触媒を添加すること、及び一度に、断続的に又は連続的にシリカ源を添加することによって起こり、一般に−30〜100℃又は20〜100℃の温度で加水分解及び縮合反応を実施する。水及び任意選択の触媒と接触した後、少なくとも1つのシリカ源の少なくとも一部が加水分解及び縮合する。加水分解及び縮合反応の副生成物は低沸点溶剤の形成である。「低沸点溶剤」という語は、本明細書で用いられる場合には、90℃未満の温度で沸騰する水以外の溶剤である。
【0041】
シリカ源の加水分解及び縮合は、膜を形成する間の任意の時点、即ち、組成物に添加する前、組成物に添加した後、堆積の前及び/又は硬化の間等で行うことができる。例えば、少なくとも1つのシリカ源を、第1容器において溶剤、水及び界面活性剤と組み合わせ、任意選択のイオン添加剤と任意選択の触媒を第2容器で組み合わせ、第2容器の内容物を段階的に第1容器に添加して混合する。様々な異なる順序で組成物に添加できると考えられる。
【0042】
組成物はカルボキシレートを含むことができる。これらの実施態様においては、組成物に添加されるカルボキシレートは、カルボン酸、カルボキシレートアニオン、カルボン酸エステル又はそれらの組み合わせから成る群より選択することができる。カルボン酸の例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、シュウ酸、グリコール酸、グリオキサル酸又はそれらの混合物がある。カルボン酸エステル化合物の例には、酢酸エチル、無水酢酸及びエトキシ化脂肪酸がある。カルボキシレート化合物は、分離成分として添加することができ、組成物中に化学試薬を溶解することによって組成物中に形成することができるか;及び/又は少なくとも1つのカルボン酸エステルがSi原子に結合した少なくとも1つのシリカ源、例えば、テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等の一部であることができる。カルボン酸エステルは、水及び/又は触媒の存在下で反応してカルボン酸を生成することができる。幾つかの例においては、カルボキシレート化合物は、少なくとも1つのシリカ源の加水分解及び縮合に関して組成物中で触媒として作用することができる。
【0043】
触媒が添加される実施態様においては、触媒は、水の存在下でシリカ源からの置換基の加水分解、及び/又はSi−O−Si架橋を形成するための2つのシリカ源の縮合を触媒できる、任意の有機又は無機の酸又は塩基を含むことができる。触媒は、アンモニウム又はテトラメチルアンモニウムのような第四級アンモニウム塩及び第四級水酸化アンモニウム;第一級、第二級及び第三級アミンのようなアミン;又はアミンオキシドなど、しかしそれらに限定されない有機塩基であることができる。触媒はまた、硝酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、グリコール酸、グリオキサル酸又はそれらの混合物など、しかしそれらに限定されない酸であることもできる。幾つかの実施態様においては、触媒は硝酸などの酸を含有する非ハロゲン化物を含む。
【0044】
本明細書で記載される膜形成用組成物及び膜形成方法は、溶剤又はその混合物を含む。「溶剤」という語は、本明細書で用いられる場合には、以下の少なくとも1つを与える、即ち、溶解性を試薬に与え、その量は膜厚を調整できるものであり、例えば、リソグラフィーなどの後に続く処理工程のために十分な光学的透明性を与え、及び/又は硬化の際に実質的に除去することができる、任意の液体又は超臨界流体のことを言う。膜形成用組成物に有用な例示的な少なくとも1つの溶剤は、アルコール溶剤、ケトン溶剤、アミド溶剤又はエステル溶剤であることができる。溶剤はまた、ヒドロキシル、カルボニル及び/又はエステル官能基を有することもできる。幾つかの実施態様においては、溶剤は、1つ若しくは複数のヒドロキシル又はエステル官能基を有し、例えば、以下の式、即ち、HO−CHR8−CHR9−CH2−CHR1011(式中、R8、R9、R10及びR11は独立して1〜4個の炭素原子を有するアルキル基又は水素原子であることができる);R12−CO−R13(式中、R12は3〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり;R13は1〜3個の炭素原子を有する炭化水素基である);及びそれらの混合物を有する溶剤である。更なる例示的な溶剤には、4〜6個の炭素原子を有するアルコール異性体、4〜8個の炭素原子を有するケトン異性体、炭化水素が4〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の炭化水素酢酸塩、エチレン又はプロピレングリコールエーテル、エチレン又はプロピレングリコールエーテルアセテートがある。使用できる他の溶剤には、1−ペンタノール、2−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、1−プロポキシ−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1−tert−ブトキシ−2−エトキシエタン、2−メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ペンチルアセテート、1−tert−ブトキシ−2−プロパノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、1−メトキシ−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−tert−ブトキシ−2−メトキシエタン、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ペンタノール、1,2−ジエトキシエタン、1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、5−メチル−2−ヘキサノールがある。なお更なる例示的な溶剤には、乳酸塩、ピルビン酸塩、及びジオールがある。上に挙げた溶剤は、単独で又は2つ以上の溶剤と組み合わせて使用することができる。
【0045】
本明細書で記載される膜形成用組成物において好適な溶剤は、例えば、試薬に関して溶解性を示し、組成物の粘度に作用し、及び/又は基材上に堆積した組成物の表面張力に作用する任意の溶剤を含むことができる。例示的な溶剤のリストとそれに関連した様々な特性を表1に与える。これら特性の全てではないにしてもその幾つかは、組成物が例えば均質であり、分配体積が最小であり、膜が基材全体を覆い、膜に欠陥がないこと、及び/又は膜が基材又はデバイスに存在する他の膜に付着することを確実にするよう調節するために重要な場合がある。
【0046】
【表1】

【0047】
溶剤の沸点は、蒸発速度に関係する場合がある。例えば、200及び300mmのウェハ基材全体にわたって、溶剤の蒸発速度は厳しく制御されるべきである。この点について、沸点が非常に高い場合には、溶剤はゆっくりと蒸発し、膜が適切に乾燥しないのに対し、沸点が非常に低い場合には、得られた膜の筋密度が高くなる。開放型又は半閉鎖型のスピニング・ボウル構成においてスピンオン堆積が行われる実施態様に関しては、膜形成用組成物の溶剤は、約90〜約170℃又は約120〜約170℃の温度で沸騰する。
【0048】
幾つかの実施態様においては、溶剤の表面張力及び粘度は、エッジ効果、例えば、プルバック、ビーディングなく連続した膜を提供するために、また液体がスピニングプロセスの分配及び初期レベリング期間にウェハ全体にゆっくりと流れることを確実にするために重要な場合がある。これらの実施態様においては、組成物の粘度は、ニュートン挙動を示す、即ち、膜が基材全体に均一に塗布されるよう、せん断条件下の間、増粘又は希釈を実質的に示さない場合がある。表面張力と粘度の組み合わせは、光学的欠陥のない均一な膜をスピンコートするために重要である。これらの実施態様においては、少なくとも1つの溶剤の表面張力は、20〜50ダイン/cmであることができ、ウィルヘルミープレート法によって測定される。さらに、少なくとも1つの溶剤の粘度は、平行板法によって測定された場合には0.5〜7cPであることができる。
【0049】
他の実施態様においては、少なくとも1つの溶剤の合計溶解パラメータは、目に見えない沈殿物及び/又は相分離を有する膜形成用組成物を与えるために重要な場合がある。溶剤についての合計溶解パラメータは、以下の式、即ち、δt2=δd2+δp2+δh2(式中、δd2は分散力に関連した成分であり、δp2は極方向の力に関連した成分であり、δh2は水素結合の力に関連した成分である)によって記載することができる。これらの実施態様においては、合計溶解パラメータは15〜25(J/m31/2であることができる。合計溶解パラメータによって、組成物中に含まれるケイ酸塩、成長有機ケイ酸塩ポリマー及び/又はポロゲンの加水分解及び縮合から得られる低沸点溶剤と水の溶解性を説明することができる。溶剤が膜形成用組成物中のこれらの成分の全てを溶解することができない場合には、沈殿物又は相分離が生じ、それから形成された膜は、筋、ホール及び粒子を含有する場合がある。
【0050】
幾つかの実施態様においては、溶剤は、以下の利点、即ち、ICスタックの他の膜のバリヤー及びキャッピング特性を乏しいものにする可能性のある細孔の膨張を防ぐこと;厚さ及び組成の点で均一な膜を生成すること;基材又は他の膜を濡らすのを助け、例えば、酸化ケイ素、炭素をドープした酸化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化タンタル、窒化タンタル、酸窒化タンタル、酸化チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、アルミニウム及び銅のような集積回路で用いられる他の膜に対する膜の付着に不利に影響しないこと;並びに/又はフォトレジストの酸性部分を中和し、その活性を低下させる、即ち、フォトレジストを被毒する可能性のある不純物又は官能基の導入を防ぐことのうち少なくとも1つを提供することが好ましいであろう。
【0051】
幾つかの実施態様においては、組成物は、少なくとも1つのポロゲンをさらに含むことができる。「ポロゲン」は、本明細書で用いられる場合には、得られた膜中に空隙容量を生成するのに用いられる試薬である。好適なポロゲンには、不安定な有機基、溶剤、分解性ポリマー、界面活性剤、デンドリマー、高分枝ポリマー、ポリオキシアルキレン化合物、有機高分子、又はそれらの組み合わせがある。
【0052】
本発明の幾つかの実施態様においては、ポロゲンは不安定な有機基を含むことができる。幾つかの不安定な有機基が組成物中に存在する場合、この不安定な有機基は、硬化工程の際、ガス状生成物に転化するのに十分な酸素を含有することができる。不安定な有機基を含有する化合物の幾つかの例は、米国特許第6,171,945号明細書で開示されている化合物を含み、この特許はその参照により全体として本明細書に含まれる。
【0053】
本発明の幾つかの実施態様においては、少なくとも1つのポロゲンは高沸点溶剤であることができる。この点について、溶剤は、マトリックス材料の架橋の少なくとも一部の間に一般に存在する。細孔の形成を助けるのに典型的に用いられる溶剤は、比較的より高い沸点、即ち、170℃又は200℃を超える沸点を有する。本発明の組成物中でポロゲンとして使用するのに好適な高沸点溶剤は、例えば、米国特許第6,231,989号明細書で与えられている溶剤を含む。
【0054】
幾つかの実施態様においては、少なくとも1つのポロゲンは、Zhengらの「Synthesis of Mesoporous Silica Mterials with Hydroxyacetic Acid Derivatives as Templates via a Sol−Gel Process」,J.Inorg.Organomet.Polymers,10,103−113(2000)の参考文献に記載されているような小分子であることができるか、又は硝酸テトラブチルアンモニウムのような第四級アンモニウム塩であることができる。
【0055】
少なくとも1つのポロゲンはまた分解性ポリマーであることもできる。分解性ポリマーは、放射線分解性又はより好ましくは熱分解性であることができる。「ポリマー」という語は、本明細書で用いられる場合には、別段の記載がない限りオリゴマー及び/又はコポリマーという語も包含する。放射線分解性ポリマーは、放射線、例えば、紫外線、X線、電子ビーム等にさらすことによって分解するポリマーである。熱分解性ポリマーは、シリカ源材料の縮合温度に近い温度で熱分解し、架橋の少なくとも一部の間存在している。このようなポリマーは、ガラス化反応の型取りを促進でき、細孔サイズを制御かつ画定でき、及び/又は処理の適切な時点でマトリックスから分解及び拡散できるものである。これらのポリマーの例は、ブロックコポリマー、即ち、ジブロック、トリブロック及びマルチブロックコポリマー;スターブロックコポリマー;ラジアルジブロックコポリマー;グラフトジブロックコポリマー;共グラフトコポリマー;デンドリグラフトコポリマー;テーパーブロックコポリマー;及びそれらアーキテクチャーの組み合わせを含むがそれらに限定されない。分解性ポリマーの更なる例は、米国特許第6,204,202号明細書に見出され、この特許はその参照により全体として本明細書に含まれる。
【0056】
少なくとも1つのポロゲンは、高分枝ポリマー又はデンドリマーポリマーであることができる。高分枝ポリマー及びデンドリマーポリマーは一般に、低い溶液及び溶融体粘度、表面の官能性による高い化学反応性、並びにより高い分子量のときでさえ改善された溶解性を有する。好適な分解性高分枝ポリマー及びデンドリマーのうち幾つかの限定的でない例は、その参照により全体として本明細書に含まれる「Comprehensive Polymer Science」,2nd Supplement,Aggarwal,71−132頁(1996)で与えられている。
【0057】
膜形成組成物中の少なくとも1つのポロゲンはまた、ポリオキシアルキレンの非イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレンポリマー、ポリオキシアルキレンコポリマー、ポリオキシアルキレンオリゴマー、又はそれらの組み合わせなどのポリアルキレン化合物であることもできる。このようなものの例は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、及びそれらのコポリマーなど、C2〜C6のアルキル部分を含むポリアルキレンオキシドである。
【0058】
少なくとも1つのポロゲンは界面活性剤を含むこともできる。その後除去される界面活性剤の添加により多孔性が導入されるシリカ系膜については、界面活性剤の量を変えることで多孔性を変化させることができる。典型的な界面活性剤は、同時に親水性と疎水性の両方であることができることを意味する、両親媒性の性質を示す。両親媒性の界面活性剤は、水に強い親和性を有する1つ又は複数の親水性の頭部基と、親油性でかつ水をはじく長い疎水性の末端を有する。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性であることができる。界面活性剤の更なる分類には、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、及びフルオロケミカル界面活性剤がある。しかしながら、IC用途のための誘電層の形成については、非イオン性の界面活性剤が一般に好ましい。組成物での使用に好適な界面活性剤には、TRITON(登録商標)X−114、X−102、X−45、X−15などのオクチル及びノニルフェノールエトキシレート;BRIJ(登録商標)56(C1633(OCH2CH210OH)(ICI)、BRIJ(登録商標)58(C1633(OCH2CH220OH)(ICI)などのアルコールエトキシレート;及びSURFYNOLS(登録商標)465及び485(エアプロダクツ・アンド・ケミカルズ社)などのアセチレンジオールがあるがそれらに限定されない。更なる界面活性剤は、トリブロックEO−PO−EOコポリマー、PLURONIC(登録商標)L121、L123、L31、L81、L101及びP123(BASF社)などのポリマー化合物を含む。なお更なる例示的な界面活性剤には、アルコール(第一級及び第二級)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミド、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体)、又はニュージャージー州、グレンロックのManufacturers Confectioners Publishing社により出版された参考文献McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,North American Edition for the Year 2000で与えられている他の界面活性剤がある。
【0059】
先に記載した通り、組成物の金属含有量は1ppm未満であることが好ましい。組成物の金属含有量を確実に1ppm未満にするため、各化学試薬の金属含有量を1ppm未満にすることが好ましい。商業的に入手可能な未精製の界面活性剤を使用できるが、最終的な膜が、許容できるレベルをはるかに超える不純物レベルを有する場合があり、したがって界面活性剤は精製されるべきである。これら未精製の界面活性剤は、一般に約100〜1000ppmのアルカリイオン濃度を有する場合がある。幾つかの溶剤は、許容できるレベルをはるかに超える金属不純物レベルを有する場合がある。化学試薬の精製の目標は、アルカリイオンの不純物レベルを50ppb未満に低減することである。
【0060】
上記の成分に加えて、膜形成用組成物はイオン添加剤をさらに含むことができる。イオン添加剤は、例えば、金属不純物の含有量が約500ppm以下である場合に組成物に添加することができる。一般には、イオン添加剤は一般的な組成[(NR4+nn-のカチオン添加剤の群より選択された化合物であり、式中、Rは、水素原子若しくは1〜24個の炭素原子を含有する一価の有機基であることができるか、又は水素原子及び/若しくは一価の有機基の組成物であることができ、テトラメチルアンモニウム及びセチルトリメチルアンモニウムを含み、An-はアニオンであり、nはアニオンの価数である。好ましくは、An-は、ギ酸エステル、硝酸エステル、シュウ酸エステル、酢酸エステル、リン酸エステル、炭酸エステル及び水酸化物、並びにそれらの組み合わせから成る群より選択することができる。酸性媒体中において、テトラメチルアンモニウム塩、若しくはより一般的にテトラアルキルアンモニウム塩、又はテトラオルガノアンモニウム塩若しくはオルガノアミンが、界面活性剤をテンプレートとした多孔質酸化物の前駆体処方物に添加され、イオン含有量を増大させ、ポロゲンの精製中に除去されるアルカリイオン不純物(ナトリウム及びカリウム)を置換する。組成物に添加されるイオン添加剤の量は、0.1〜5000ppm、好ましくは0.1〜1000ppm、より好ましくは0.1〜250ppmである。
【0061】
あるいはまた、イオン添加剤は、酸性前駆体組成物中でイオン性アンモニウムタイプの塩を形成するアミン又はアミンオキシド添加剤であることができる。好適なアミン添加剤は、トリエチレンジアミン(TEDA);ジエタノールアミン(DELA);トリエタノールアミン(TELA);アミノプロピルジエタノールアミン(APDEA);ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM);キニクリジン(QUIN);3−キヌクリジノール;トリメチルアミン(TMA);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);テトラメチル−1,3−プロパンジアミン(TMPDA);トリメチルアミンオキシド(TMAO);PC−9、N,N,N−トリス(N’,N’−ジメチル−3−アミノプロピル)アミン;PC−77、3,3’−ビス(ジメチルアミノ)−N−メチルジプロピルアミン;CB、水酸化コリン;DMAP、4−ジメチルアミノピリジン;DPA、ジフェニルアミン;又はTEPA、テトラエチレンペンタミンから成る群より選択される。
【0062】
幾つかの実施態様においては、組成物は、1つ又は複数の流動添加剤を含み、流動添加剤を添加しない組成物と比較した場合に、組成物の表面張力、粘度及び/又は溶液の滑り特性を変更することができる。「流動添加剤」は、本明細書で用いられる場合には、シリカ源、溶剤、水、ポロゲン、触媒又はイオン添加剤以外の膜形成用組成物の成分を意味し、これは、流動添加剤のない同等の組成物の表面張力と比較した場合に、組成物の表面張力を変更することができる。これらの実施態様においては、流動添加剤は、例えば、最適でない基材の濡れ、クレーターの形成、ベナードセルの形成、浮き色、最適でない流動及び/又はエアドラフト感度(air-draft sensitivity)のような多数の欠陥を防ぐのに使用することができる。これらの欠陥の多くは、表面張力の差、基材表面の粗さ、膜厚、適用後の流動学的挙動(ゲル化の際の粘度、表面張力における変化)、溶剤の蒸発速度、温度勾配、及び濃度勾配によって生成する。記載される欠陥は、膜形成を不安定なものにすることがある2つ以上の溶剤が組成物中に存在する場合にもたらされるか又は広がる可能性がある。組成物中の流動添加剤は典型的に急激には蒸発しない。即ち、流動添加剤は、スピンプロセスの分配、塗布、レベリング及び乾燥の部分の間存在し、低温で分解して及び/又は炭素質の残留物を残さないべきである。これら流動添加剤を少量使用することで、処方物の表面張力をわずかに低減でき、より優れた表面の濡れが可能となり、分配の際の過度のスプレーから生じる凹みを低減でき、及び/又は外部の影響、例えば、ダスト、湿気、又は膜が架橋若しくは固まったときの膜自体の影響を受けにくい膜を作ることができる。例示的な流動添加剤は、過フッ素化アルキルなどの過フッ素化基を有する化合物;ポリエーテル改質ポリジメチルシロキサンなどのケイ素樹脂及びポリジメチルシロキサン;BYKCHEMIE(商標)307、331及び333などの商業的入手可能な流動添加剤;ケイ素樹脂;ポリアクリレート;並びにパラフィン系蒸留物を含むことができるがそれらに限定されない。幾つかの実施態様においては、例えば、添加剤BYKCHEMIE(商標)307の場合には、流動添加剤の添加によって、表面張力を0.001〜50%、0.001〜20%又は0.001〜15%低減することができる。
【0063】
幾つかの実施態様においては、組成物の周囲環境での貯蔵安定性を改善する方法が提供される。組成物は、膜に加工される際、特に厚さ、組成及び誘電率について高度の再現性を示すことが望ましい。処方物の貯蔵安定性は、周囲条件での貯蔵時間に応じて、膜の特性、即ち、誘電率、膜厚及び弾性率によって影響を受ける場合がある。安定性は、膜の外観、即ち、筋、ホール又は非濡れ性において何ら変化なく、初期の値から厚さにおいて3%若しくは1.5%未満の変化、誘電率において2%若しくは1%未満の変化に関係する。1つの実施態様においては、少なくとも1つのシリカ源、溶剤、少なくとも1つのポロゲン、触媒、及び任意選択で流量添加剤を含む膜形成用組成物の貯蔵安定性は、少なくとも1つのシリカ源と酸性触媒を30〜100℃の温度で予備加水分解することで改善することができる。先に記載した通り、シリカ源の加水分解及び縮合の副生成物は低沸点溶剤である。ケイ酸塩を部分的に重合すると、低沸点溶剤の副生成物、別に添加した任意の低沸点溶剤、及び/又は水が或るレベルまで除去され、減量した組成物が提供される。幾つかの実施態様においては、低沸点溶剤の合計モル数の約20〜約75%と水の合計モル数の20〜80%が初期組成物から除去され、減量した組成物が提供される。この減量した組成物によって、組成物の周囲環境での貯蔵安定性が10日以上に向上する。低沸点溶剤及び/又は水は、例えば、真空蒸留、回転蒸発器を用いたフラッシュ蒸発、又は他の手段によって除去することができる。他の実施態様においては、水及び低沸点溶剤は、真空下で25〜100℃の温度に加熱することによって除去することができる。水及び低沸点溶剤を組成物から除去した後、90℃を超える温度で沸騰する溶剤、例えば、本明細書で開示される任意の溶剤を減量した組成物に添加して厚さ及び全体的な組成物の特性を調節することができる。
【0064】
幾つかの実施態様においては、膜形成用組成物において加水分解及び縮合されたケイ酸塩種の回転半径は、オンラインの差圧粘度検出と結合した低質量用のゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される通り5nm以下又は3nm以下である。加水分解及び縮合されたケイ酸塩の回転半径が5nm以下であり、水及び低沸点溶剤が除去された場合には、組成物は、周囲条件下で長時間貯蔵することができる。先に記載したこの組成物によって、均一性、誘電率、弾性率並びにICスタック及びシリコン基材の膜に対する付着の優れた膜が生成される。
【0065】
膜がスピンオンアプローチによって形成される実施態様においては、組成物は、特に少なくとも1つのシリカ源と溶剤を含む。組成物は、少なくとも1つのポロゲン、任意選択の触媒、任意選択のイオン添加剤及び水をさらに含むことができる。幾つかの実施態様においては、組成物は流動添加剤をさらに含む。要約すると、基材上に組成物を分配し、溶剤と水を蒸発させることで膜を形成することができる。ポロゲン、残留溶剤及び水は、一般に被覆された基材を1つ又は複数の温度に低誘電体膜を生成するのに十分な時間硬化することによって除去される。
【0066】
組成物を基材上に堆積して、被覆された基材を形成することができる。幾つかの実施態様においては、組成物は、開放型又は半閉鎖型のスピニング・ボウル構成を用いたスピンオン堆積により堆積される。先に記載した通り、組成物中の溶剤の特性、蒸発速度、沸点、表面張力及び粘度は、溶剤の飽和の程度及び基材上の雰囲気の水分含有量が、周囲環境、通常、45%の相対湿度及び周囲温度で与えられる場合に、非常に均一で欠陥のない膜を調製するために重要である。幾つかの実施態様においては、膜形成用組成物は、90〜170℃又は120〜170℃の温度で沸騰し、表面張力が20〜50ダイン/cm、粘度が0.5〜7cP、合計溶解パラメータが15〜25(J/m31/2である1つ又は複数の溶剤を含む。組成物は、触媒、少なくとも1つのポロゲン、イオン添加剤及び/又は流動添加剤をさらに含むことができる。
【0067】
基材上に分配する材料の量を低減するため、シリカ源、溶剤及び任意選択の流動添加剤を含む膜形成用組成物の特性は、ウェハの縁に如何なる欠陥、例えば、クラッキング、離層、剥離及び/又は膜収縮ももたらさないで表面全体を完全に覆うのに十分なものであるべきである。堆積は、液体系組成物の連続流によって行われる。膜形成用組成物の分配量を減らすことは、ツールの所有コストを調節し、廃棄物を低減し、ボウルの洗浄用溶剤を用いてボウル面から除去する必要がある材料の量を最小限に抑えるために重要である。重要な溶剤の特性には、90〜170℃の沸点、20〜50ダイン/cmの表面張力、0.5〜7cPの粘度、及び15〜25(J/m31/2の合計溶解パラメータがある。組成物は、せん断下でニュートン挙動を有し、膜形成用組成物の分配体積の低減を助長することができる。組成物は、触媒、ポロゲン及びイオン添加剤をさらに含むことができる。均一な膜を調製するための膜形成用組成物の量を低減する付加的な方法には、押出及びスプレー堆積技術がある。
【0068】
被覆基材は、加熱又は硬化して誘電体膜を形成することができる。具体的な温度及び時間は、組成物中の成分、基材及び所望の細孔容積に応じて変化する。幾つかの実施態様においては、硬化工程は、制御された勾配又は浸漬よりはむしろ2つ以上の温度で行われる。典型的に300℃未満の第1の温度は、組成物から水及び/又は溶剤を除去し、さらに架橋反応するためのものであることができる。第2の温度は、ポロゲンを除去するためのものであるが、実質的にしかし必ずしも完全には材料を架橋するためのものではない。本発明の幾つかの好ましい実施態様においては、被覆基材は、約250〜約450℃又はより好ましくは約400℃以下の1つ又は複数の温度に加熱される。加熱又は硬化工程は、約30分以下、約15分以下又は約6分以下の時間行われる。シリカ源は、処理からの残留成分、例えば、多孔質材料の形成後に除去されなかった有機物をさらに含むことができる。
【0069】
硬化工程は、加熱板、乾燥器、炉などのような熱的方法を通して行われるのが好ましい。熱的方法に関して、被覆基材の硬化は、窒素、不活性ガス、空気若しくは他のN2/O2混合ガス(0〜21%O2)を用いた大気圧などの制御された条件下、真空又は制御された酸素濃度を有する減圧下で行うことができる。あるいはまた、硬化工程は、電子ビーム、オゾン、プラズマ、X線、紫外線又は他の手段によって行うことができる。時間、温度及び雰囲気などの硬化条件は、選択した方法に応じて変化するであろう。好ましい実施態様においては、硬化工程は、空気、窒素若しくは不活性ガス雰囲気、真空下、又は10%以下の酸素濃度を有する減圧下において熱的方法を通して行われる。
【0070】
本明細書に記載される材料及び膜は、硬化後工程、例えば、硬化後の電子ビーム、UV、X線又は他の処理にさらにさらすことができる。米国特許第6,329,017号明細書に記載されているような化学的な後処理とは異なり、これらの処理は、例えば、水を吸着するであろうサイトを減少させるヒドロキシル基を低減することにより、材料の機械的結着性を高めるか又は誘電率を低下させることができる。
【0071】
本明細書で記載される材料及び膜は、メソポーラスであることができる。「メソポーラス」という語は、本明細書で用いられる場合には、約10Å〜約500Å、約10Å〜約100Å、又は約10Å〜約50Åの細孔サイズを言う。膜は狭い細孔サイズの範囲を有し、細孔が膜全体に均質に分布していることが好ましい。幾つかの膜は、約10%〜約90%の多孔度を有することができる。膜の多孔性は、閉鎖又は開放細孔であることができる。
【0072】
本発明の幾つかの実施態様においては、膜の回折パターンは、10Åを超えるd間隔で回折ピークを示さない。膜の回折パターンは、中性子、X線、小角、微小角入射、及び反射率解析技法など、しかしそれらに限定されない様々な方法で得ることができる。例えば、通常のX線回折データは、CuKα線を用いたSiemens D5000 θ−θ回折計などの通常の回折計を用いて試料膜に関して収集することができる。試料膜はまた、例えば、回転陽極X線チューブからのCu線によるRigakuのATX−G高分解能回折システムを用いて、X線反射率(XRR)データによって分析することもできる。試料膜はまた、例えば、国立標準技術研究所の中性子科学研究センター(NIST Center for Neutron Research)で30メートルのNG7 SANS計測器などのシステムを用いて小角中性子散乱(SANS)により分析することもできる。他の実施態様においては、膜の回折パターンは、10Åを超えるd間隔で回折パターンを示す。
【0073】
本明細書で記載される材料は、膜に成形される場合に、クラッキングに耐えることができ、かつ化学的/機械的に平坦化できる機械的性質を示す。さらには、この膜は低収縮を示す。膜は一般に0.05〜約2μmの厚さを有する。膜は、約0.5〜約10GPa、一般には1.2〜6GPaの弾性率;約0.1〜約2.0GPa、一般には約0.4〜約1.2GPaの硬度値;及び633nmで測定された1.1〜1.5の屈折率を示すことができる。誘電率は約3.7以下である。
【0074】
先に記載した通り、本明細書で記載される膜及び材料は、電子デバイスでの使用に好適である。この膜は、優れた絶縁特性と比較的高い弾性率を提供する。この膜はまた、有利な膜の均一性、誘電率の安定性、クラッキング耐性、下地の基材及び/又は他の膜に対する付着、制御された細孔サイズ及び/又はナノ細孔サイズ、並びに表面硬度を提供する。一般にパーセント標準偏差としての膜の均一性は、測定される基材に関して標準偏差を膜の平均厚さで割って100掛けたものとして本明細書で規定される。幾つかの実施態様においては、膜の均一性は5%以下又は2%以下であり、それは%標準偏差を表す。本発明の膜に好適な用途には、大規模集積回路(LSI)、システムLSI、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、スタティック・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(SDRAM)、RDRAM、及びD−RDRAMなどの半導体デバイス用層間絶縁膜;半導体デバイス用表面コート膜などの保護膜;多層プリント回路基板用層間絶縁膜;並びに液晶ディスプレイデバイス用の保護又は絶縁膜がある。更なる用途には、フォトニクス、ナノスケールの機械若しくは電気デバイス、ガス分離、液体分離、又は化学センサーがある。
【実施例】
【0075】
以下の例においては、別段の記載がない限り、低い抵抗(0.01Ωcm)の単結晶シリコンウェハ基材上にスピンされ、400℃に加熱された試料膜から特性を得た。各膜の厚さ、膜屈折率、及び多孔度の値は、Sentech Instruments GmbHにより製造されている多入射角分光エリプソメータ、Model SE 800を用いて分光エリプソメトリーによって測定し、SpectraRayソフトウェアによって計算した。屈折率、膜厚及び空気比率の値は、約1以下の平均二乗誤差で400〜800nmの波長において、Bruggemannなどの様々なモデルを用いた測定をシミュレートすることにより得た。厚さの値については、シミュレートされた厚さの値と、プロファイロメトリーによって測定した実際の膜厚値との間の誤差は一般に2%未満であった。200及び300nmのウェハ全体の均一性については、標準的な49点のウェハマップを用いてRudolph Model#Focus Fe IV−D分光エリプソメータツール上で実施した。
【0076】
各試料膜の誘電率は、ASTM規格 D150−98に従って測定した。各膜のキャパシタンス−電圧は、Solartron Model SI 1260 Frequency Analyzer及びMSI Electronics Model Hg 401の単接点水銀プローブを用いて1MHzで得た。キャパシタンスの測定値と水銀電極面積(A)における誤差は1%未満であった。基材(ウェハ)キャパシタンス(CSi)、バックグラウンドキャパシタンス(Cb)及び合計キャパシタンス(CT)は+20〜−20Vで測定し、薄膜試料のキャパシタンス(CS)は式(1)によって算出した。
【数1】

各膜の誘電率は式(2)により計算し、式中、dは膜厚、Aは水銀電極面積、ε0は真空の誘電率である。
【数2】

膜誘電率の合計誤差は6%未満であると予測した。
【0077】
各膜の弾性率は、ウェハの中央から剥がし、ニューヨーク州、バレーコテージのArmco Products社によって製造されている低融解温度の接着剤、CRYSTALBOND(登録商標)を用いてアルミニウムスタブ上に取り付けた1×0.4cm2の試料から採用した。押込み試験は、その参照により全体として本明細書に含まれる、Oliverらの「An improved technique for Determining Hardness and Elastic Modulus Using Load and Displacement Sensing Indentation Experiments」,J.Material Research,1992,7[6],1564−1583頁の参考文献に記載されている連続剛性測定(「CSM」)法を用いて、ACCUTIP(商標)Berkovichダイヤモンドチップを備えた、MTS Systems Corporationにより製造されているNANOINDENTER(登録商標)Dynamic Contact Module(DCM)によって実施した。主要な荷重信号の上に小さな振動が重なるため、結果として得られた系の応答は、特定周波数増幅器を用いて分析した。励起周波数は75Hzで試験を通して一定に保ち(DCM)、励起振幅は結果として得られる変位振幅が1nmで一定のままであるように調節した(DCM)。
【0078】
各押込み試験において接触剛性Sを連続的に測定した。Sのダイナミック測定並びにヤング率及び硬度のための既定の式(ポアソン比はシリカに関して0.18、低k膜に関して0.25)を用いて、全ての個々の押込み試験において、表面針入度(surface penetration)の連続関数としてヤング率及び硬度を得た。各試料上に5〜10のくぼみを配列させ、連続したくぼみは、約20〜25μmの距離で隔てた。各押込み試験から得られた結果を吟味し、全ての「外れ値」を排除した。各試料の押込み試験の針入度に対するヤング率及び硬度についての結果を、約5nmの離散的な移動ウィンドーを用いて平均した。次いで、このウィンドーのデータを用いて、各試料の平均、標準偏差及び信頼区間を計算した。同じ統計を離散的なウィンドーの残りについて同様に計算した。硬度の結果を得て同様に平均した。硬度及びヤング率は、硬度曲線の最低点(約30〜50nm)での硬度測定値として、及びヤング率曲線の最低点(約30〜50nm)でのヤング率測定値として報告した。膜のヤング率及び硬度の誤差は10%未満であると予測される。
【0079】
膜形成用組成物の分子量分布は、低質量用のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。試料は、移動相としてTHFを用いたWaters Corporation Alliance 2690 HPLCにより1ml/分の流量によって35℃で分析され;試料は分離に先立ち新しいTHFで約0.2wt%に希釈される。試料の結果は、194〜70,000ダルトンのポリ(スチレン)較正曲線に相対的である。
【0080】
分子の重力中心からの根平均二乗距離として規定される回転半径(Rg)は、オンラインの差圧粘度検出と結合した低質量用のゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定した。Rgの計算は、ユニバーサルキャリブレーションのコンセプトを利用した分子量の測定に基づいており、オンライン粘度検出の直接的な結果である。光散乱測定は、Rg値が10nm未満のポリマー材料には一般に適用できないため、これらの膜形成用組成物に用いることはできなかった。膜形成用組成物のRgを測定するのに以下の条件を用いた。低質量用のGPCシステム:Waters Corporation Alliance Model 2690、示差屈折計検出器:Waters Model 410、差圧粘度検出器:Viscotek Model T60A、溶剤:BHTで安定化させたTHF、流量:1.0ml/分、温度:35℃、試料濃度:約1wt%、較正標準:Polymer laboratoriesのポリ(スチレン)、162〜70,000質量、内部標準:トルエン、移動相中0.1wt%。GPC較正標準と試料について差圧粘度検出器によりオンラインで固有粘度を測定することにより、分子量とRgの両方とも、ユニバーサルキャリブレーションのコンセプトを用いて計算することができる。
【0081】
膜形成用組成物の表面張力は、Kruss Digital Tensiometer#K10STによりウィルヘルミープレート法を用いて測定される。ウィルヘルミープレート法は、特に長い時間間隔で表面張力を調べるのに適した一般的な方法である。垂直プレート、典型的には既知周囲長さの白金製垂直プレートを天秤に取り付け、プレートを膜形成溶液に沈めたときに、濡れによる力をデジタル表面張力計によって測定する。
【0082】
粘度測定は、Rheometric ScientificのSR5制御ストレスレオメータを用いて実施した。全ての測定は25℃で行い、温度はPeltierヒータを用いて制御した。40mmの平行板の取付具を用いた。試料は、使い捨てのピペットを用いて底板の上に与えた。板の間隙は公称0.3mmであった。せん断応力を加え、対数目盛上の5つの均一に間隔を置いた点で100〜1000/秒のせん断速度を得た。合計45秒のセトリング時間と15秒の測定時間を各点で用いた。
【0083】
膜の表面粗さは、膜表面の筋又は他の欠陥、例えば、ホール、ダストの指標である。表面粗さ及び縁の形状は、Tencor P−2粗面計によって測定される。表面粗さを測定するために、ウェハを試料ホルダーに置き、スキャンされるべき領域を縁から約10mmに置く。スキャン長さは1mmであり、40μmごとにサンプリングされる。スキャンの最初に、2mgの力が5μmのチップに加えられる。
【0084】
[組成物を調製するための一般的なプロセス]
1つ又は複数の疎水性及び親水性のシリカ源を1つ又は複数の溶剤に加えることにより組成物を調製して溶液を得た。ポロゲンをこのケイ酸塩に加える。以下の試薬を別の容器において又はケイ酸塩に引き続き添加することにより、触媒、水(試薬によって全ての水が供給されない場合)及びイオン添加剤を添加する。触媒とイオン添加剤を混合するのに別の容器を用いる場合には、この溶液をケイ酸塩溶液に添加して組成物を得ることになろう。触媒とイオン添加剤の添加に続いて、組成物を約5分未満の間撹拌し、室温で1〜72時間熟成させる。組成物中の各化学試薬は、1ppm未満の金属不純物を含有していた。処方物中に用いられる全ての試薬は、米国公開公報第2004−0048960号で記載されている方法を用いて、充填床のイオン交換樹脂又は蒸留によりアルカリ金属が200ppb未満になるまで精製した。
【0085】
[例1]
テトラエチルオルソシリケート(TEOS)22.5gとメチルトリエトキシシラン(MTES)22.5gを1−ペンタノール100gに添加し、十分に混合した。精製した9.67gのTriton X−114をケイ酸塩溶液に添加し、撹拌して均質な溶液を得た。別のビンに、水中2.4wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)1gを0.1Mの硝酸(HNO3)24gに添加した。HNO3溶液をケイ酸塩溶液に直接添加した。組成物全体を約30分間撹拌した。
【0086】
組成物を周囲条件で12〜24時間静置した後、組成物を0.2μmのTeflonフィルターで濾過した。開放型ボウル構成内の4インチSiウェハを500rpmで7秒間回転させながら、その上に約1.2mlの組成物を分配した。分配工程の完了時に、ウェハを40秒間1800rpmに加速して蒸発プロセスを完了した。
【0087】
次いで、ウェハを空気中90℃で90秒間、180℃で90秒間及び400℃で180秒間焼成して、十分に硬化した低誘電率の有機ケイ酸塩膜を得た。焼成した膜は、誘電率が2.07、屈折率が1.1785、膜厚が4676Åであった。
【0088】
[例2〜13]
沸点、表面張力、粘度及び溶解パラメータの適切な組み合わせを有する溶剤又は50/50モル%の溶剤の混合物100gを1−ペンタノールの代わりに用いた以外は、例1で用いたのと同じ手順を繰り返した。例2〜5と12〜13は、物理的及び化学的性質が好ましい範囲にない1つ又は複数の溶剤を用いた比較用の組成物である。組成物1〜13から作製した膜の特性を表2に与える。
【0089】
【表2】

【0090】
[周囲環境での貯蔵安定性]
表3は、膜形成用組成物1と14〜24に関する周囲環境での貯蔵寿命と関連した様々なパラメータの比較を与える。表3において、厚さ安定性は厚さの変化が初期値から1.5%と規定され;誘電率安定性又はk安定性は誘電率の変化が初期値から1%と規定され;除去成分(例えば、低沸点溶剤、溶剤及び水)の%は、減量した組成物の各成分の合計モル数を初期又は減量していない組成物から得られる合計モル数で割り100掛けたものに基づいている。表3に示す通り、例示的な組成物14、17、18、19、21及び23は、10日を超えて周囲環境での貯蔵安定性を有する。残りの例は、組成物が所望の範囲にない比較例である。
【0091】
[例14]
TEOS97.3g、MTES97.3g、1−ペンタノール497.3g、触媒溶液(0.1MのHNO3103.7gと2.4wt%のTMAH4.3g)108.1gを一緒にして均一になるまで混合した。この溶液を60℃で2時間撹拌した。60℃で2時間経過した後、回転蒸発器を用い60℃で以って混合物から揮発性成分を約20wt%除去することにより溶液を濃縮した(エタノール、水及びペンタノール160gを除去した)。溶液を室温まで冷却した。1−ペンタノール160gを処方物に添加し、均一になるまで撹拌した。次いで、69.9gのTriton X−114を溶液に添加し、混合して確実に組成物を均質にした。
【0092】
室温で16〜24時間熟成した後、組成物を0.2μmのTeflonフィルターで濾過した。開放型のスピニング・ボウル構成を有するプロセスツールにおいて、500rpmで回転する8インチのSi基材上に濾過した組成物を約4ml分配し(分配時間は約8秒)、その後、25秒間1800rpmに加速して膜を乾燥した。試料のスピニング後、膜を140℃で60秒間焼成して残留溶剤を除去し、次いで400℃で180秒間焼成してポロゲンを除去した。上で処理した通り、この処方物は30日を超えて安定であった。初期の膜厚は0.4587μm、屈折率は1.1748、平均誘電率は2.45、弾性率は1.24GPaであった。
【0093】
[例15]
TEOS109.2g、MTES109.4g、PGPE557.4gを丸底フラスコに充填し、十分に混合して透明な溶液を生成した。次に、0.1MのHNO3116.4gと2.4wt%のTMAH4.9gをフラスコに添加して十分に混合した。このフラスコを回転蒸発器の上に置き、回転させながら60℃で2時間加熱した。加水分解の部分が完了した後、エタノール、水及びPGPEを初期溶液の5wt%が除去されるまで真空下でゆっくりと蒸留した。この時点で真空を解除し、溶液を蒸留プロセスの開始後合計2時間60℃で反応させた。溶液の加熱後、フラスコに蓋をして室温まで冷却した。45gのPGPEと103.6gのTriton X−114をケイ酸塩溶液に添加した。溶液が透明かつ均質になるまで組成物を混合した。
【0094】
室温で16〜24時間熟成した後、組成物を0.2μmのTeflonフィルターで濾過した。開放型のスピニング・ボウル構成を有するプロセスツールにおいて、500rpmで回転する4インチのSi基材上に濾過した組成物を1.2ml分配し(分配時間は約7秒)、その後、40秒間1800rpmに加速して膜を乾燥した。試料のスピニング後、膜を90℃で90秒間、180℃で90秒間焼成して残留溶剤を除去し、次いで400℃で180秒間焼成してポロゲンを除去した。
【0095】
[例16〜20]
蒸留中に除去される初期の溶液、典型的には低沸点溶剤、水及び溶剤のwt%が表5に示すよう変化したこと以外は、例15の場合と同じ手順を用いた。組成物に添加される溶剤の質量は、蒸留中に除去された低沸点溶剤、水及び溶剤の質量に等しい。
【0096】
[例21]
以下の試薬、TEOS109.1g、MTES109.4g、PGPE557.3g、Triton X−114 105.4g及び水195.3gを丸底フラスコに充填した。フラスコを封止し室温で1時間静置した。別の容器において、0.1MのHNO3116.5gと2.4wt%のTMAH5.0gを一緒にして十分に混合した。次いで、HNO3/TMAH溶液をケイ酸塩含有溶液に添加して十分に混合した。このフラスコを回転蒸発器の上に置き、連続的に撹拌しながら60℃で2時間加熱した。最初の加熱後、60℃約90分間の真空蒸留により、エタノール、水及びPGPEを347.4g(初期処方物の約30wt%)除去した。溶液を室温まで冷却した。溶液の合計質量を一定に保つため、PGPE347.1gを処方物に添加した。フラスコを撹拌して確実に組成物を均一にした。
【0097】
室温で16〜24時間熟成した後、組成物を0.2μmのTeflonフィルターで濾過した。開放型のスピニング・ボウル構成を有するプロセスツールにおいて、500rpmで回転する4インチのSi基材上に濾過した組成物を1.2ml分配し(分配時間は約7秒)、その後、4秒間1800rpmに加速して膜を乾燥した。試料のスピニング後、膜を90℃で90秒間、180℃で90秒間焼成して残留溶剤を除去し、次いで400℃で180秒間焼成してポロゲンを除去した。
【0098】
[例22]
以下の試薬、TEOS3.82g、MTES3.82g、PGPE33.2g、L101 1.86gを溶液が透明になるまで混合した。次に、水3.51gをケイ酸塩含有溶液に添加して短時間混合した。別の容器において、0.025MのHNO33.54gと1.2wt%のTMAH0.27gを一緒にして混合した。HNO3/TMAH溶液をケイ酸塩含有溶液に添加して、組成物が透明になるまで撹拌した。
【0099】
組成物が透明になった後、組成物を周囲条件下で12〜24時間熟成し、その後、組成物を0.2μmのTeflonフィルターで濾過した。開放型のスピニング・ボウル構成を有するプロセスツールにおいて、4インチのウェハを500rpmで7秒間回転させながら、その上に組成物を約1.2ml分配した。分配工程の完了時、ウェハを40秒間1800rpmに加速して蒸発プロセスを完了した。
【0100】
ウェハを空気中90℃で90秒間、180℃で90秒間、及び400℃で180秒間焼成してポロゲンを除去した。
【0101】
[例23]
TEOS112.5g、MTES112.55g及びPGPE575.2gを丸底フラスコに一緒にして混合した。別の容器において、0.1MのHNO3120.5gと2.4wt%のTMAH5.4gを添加し、酸−塩基の中和熱が全て散逸するまで撹拌した。触媒溶液をケイ酸塩溶液に添加し、透明な溶液が得られるまで撹拌した。溶液を連続撹拌のもと60℃に加熱し、60℃の温度で2時間維持した。ケイ酸塩を加水分解した後、生成物を60℃で真空蒸留し、エタノール、水及びPGPEを約20wt%(溶液の187.2g)除去した。60℃での蒸留は約45分で完了した。溶液を室温に約1時間冷却した。次に、PGPE187.2gとPluronic L101 54.9gを組成物に添加し、均質になるまで撹拌した。
【0102】
[例24]
TEOS101.3g、MTES101.32g、1−ペンタノール540.9g及びPluronic L31 EO−PO−EOトリブロックコポリマー52.48gを丸底フラスコに充填した。界面活性剤とケイ酸塩を一緒にして混合した後、水93.34gを添加して3〜4分間激しく撹拌した。別の容器において、0.025MのHNO393.13gと1.2wt%のTMAH7.51gを一緒にして混合した。HNO3/TMAH溶液をケイ酸塩溶液に添加した。溶液を連続撹拌のもと60℃に加熱した。溶液を60℃で2時間維持した。2時間後、溶液を60℃で真空蒸留し、エタノール、水及びペンタノールを含有する溶液を約30wt%(溶液の228.2g)除去した。溶液を室温まで冷却し、次いで0.2μmのTeflonフィルターで濾過した。次に、1−ペンタノール288.2gを組成物に添加し、溶液が透明になるまで撹拌した。
【0103】
【表3】

【0104】
[例25〜49:組成物中の流動添加剤の効果]
表4は、流動添加剤を含有する幾つかの組成物に関する表面張力と粘度のデータをまとめている。表5は、流動添加剤を含有する膜形成用組成物を用いて調製した異なる厚さの膜に関する表面粗さをまとめ、流動添加剤を用いていない比較例とそれらを比較している。プロフィロメトリーによって決定される表面粗さは、筋高さの尺度であり、膜の他の欠陥の指標である。
【0105】
[例25]
試薬を以下の順、即ち、TEOS22.5g、MTES22.5g、PGPE130.5g、0.1MのHNO340g、水8.3g、2.4wt%のTMAH7.4g、Triton X−114 11.8gで添加した。処方物の全成分を添加した後、溶液を2〜3分間十分に混合した。Byk354 2.45gを処方物に滴下し十分に混合した。組成物を12〜24時間熟成した後、0.2μmのTeflonフィルターで濾過した。
【0106】
開放型のスピニング・ボウル構成を有するプロセスツールにおいて、4インチのウェハを500rpmで7秒間回転させながら、その上に濾過した組成物を約1.2ml分配した。分配工程の完了時、ウェハを40秒間1800rpmに加速して蒸発プロセスを完了した。
【0107】
ウェハを空気中90℃で90秒間、180℃で90秒間、及び400℃で180秒間焼成して残留溶剤とポロゲンを除去した。この膜は、膜全体に約225Å高さの筋を有する。
【0108】
[例26〜35]
例26〜35は、処方物中の流動添加剤のタイプと量を表6に示すよう変更した以外は、例25と同じ添加の順序及び試薬の量である。
【0109】
[例36]
以下の試薬、即ち、TEOS15.2g、MTES15.3g、PGPE40.5g、0.1MのHNO316g及び2.4wt%のTMAH溶液0.7gをTeflonボトルに逐次的に加えた。組成物を混ぜ合わせ透明な溶液を得た。ポロゲン、Triton X−114 6.5gをケイ酸塩溶液に添加して2〜3分間混合した。組成物を十分に混合した後、20.96gアリコートを採取して別の容器に加えた。ケイ酸塩組成物を撹拌しながら、ポロゲン/ケイ酸塩組成物を含有するアリコートにISOPAR(商標)Gを添加し4〜5分間混合した。
【0110】
組成物を12〜24時間熟成した後、組成物を0.2μmのTeflonフィルターで濾過した。開放型のスピニング・ボウル構成を有するプロセスツールにおいて、4インチのウェハを500rpmで7秒間回転させながら、その上に濾過した組成物を約1.2ml分配した。分配工程の完了時、ウェハを40秒間1800rpmに加速して蒸発プロセスを完了した。
【0111】
ウェハを空気中90℃で90秒間、180℃で90秒間、及び400℃で180秒間焼成して膜から残留溶剤とポロゲンを除去した。この膜は、プロフィロメトリーによって測定された約304Å高さの筋を有していた。
【0112】
[例37〜43]
これらの例は、BYK添加剤をPGPEの0.2wt%溶液として添加した以外は、例36と同じようにして行った。表6は、溶液の表面張力を適度に又は相当に低下させる流動添加剤、即ち、Byk 331、307、333が、膜の筋を最小限に抑えることを示している。より厚い膜を生成する、即ち、溶剤のより少ない組成物中の流動添加剤の使用は、表面粗さを低下するのにより効果的な場合があることにも注目すべきである。
【0113】
[例44]
TEOS22.5g、MTES22.5g、PGPE115g、Triton X−114 16.1gをTeflonボトル内で一緒にし、流動添加剤を加えないで溶液Aを得た。別の容器において、0.1MのHNO324gと2.4wt%のTMAH溶液1gを一緒にして溶液Bを得た。溶液Aを撹拌しながら、溶液Bを溶液Aにゆっくりと添加し、15分間混合して溶液を均質にした。組成物を12〜24時間熟成させた。
【0114】
熟成後、組成物を0.2μmのTeflonフィルターで濾過した。開放型のスピニング・ボウル構成を有するプロセスツールにおいて、500rpmで8秒間回転する8インチのウェハ上に濾過した組成物を機械的に分配した。ウェハを6秒間2000rpmに加速して膜を伸ばし、1800rpmで25秒間乾燥させた。次いで、膜を140℃で90秒間及び400℃で180秒間焼成して膜からポロゲンを除去した。この膜は、プロフィロメトリーによって測定された100〜200Å高さの筋を有していた。
【0115】
[例45〜49]
例45〜49は、表5に示す適切な量の流動添加剤を加えた以外は、例44と同じ混合手順及び堆積方法に従った。表5のデータに基づいて、組成物が組成物の表面張力を低下できるものとして記載される表面流動添加剤を17ppmよりも多く含有する場合には、筋は、プロフィロメトリーによってもはや検出できず、拡大しても見ることができない。
【0116】
【表4】

【0117】
【表5】

【0118】
[例57]
水12.5gとテトラアセトキシシラン(TAS)22.5gを1−プロパノール40.1gに添加し、この溶液を1時間混合した。TAS溶液を周囲条件下で1〜24時間熟成させた。メチルトリアセトキシシラン(MTAS)23.1gと0.025MのHNO37.2gの溶液をTAS溶液に添加し、混合溶液を約1時間熟成させた。精製した1−プロパノール溶液中50wt%のTergitol 15−S−5 10.2gをケイ酸塩溶液に添加し、撹拌して均質な溶液を得た。水中1.2wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)1.4gをこの溶液に添加した。組成物全体を約1〜15分間撹拌した。
【0119】
組成物を周囲条件で12〜24時間静置した後、組成物を0.2μmのTeflonフィルターで濾過した。開放型のスピニング・ボウル構成を有するプロセスツールにおいて、4インチのSiウェハを500rpmで7秒間回転させながら、その上にこの組成物を約1.2ml分配した。分配工程の完了時、ウェハを40秒間1800rpmに加速して蒸発工程を完了した。次いで、ウェハを空気中90℃で90秒間、180℃で90秒間、及び400℃で180秒間焼成して残留溶剤とポロゲンを除去した。焼成した膜は、誘電率が2.06、屈折率が1.20、膜厚が5600Åであった。
【0120】
[例58]
テトラエチルオルソシリケート(TEOS)22.5gとメチルトリエトキシシラン(MTES)22.5gをPGPE100gに添加した。この溶液を十分に混合した。精製した9.67gのTritonX−114をケイ酸塩溶液に添加し、撹拌して均質な溶液を得た。別のビンに、水中2.4wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)1gを0.1Mの硝酸(HNO3)24gに添加した。HNO3溶液をケイ酸塩溶液に直接添加した。組成物全体を約30分間撹拌した。
【0121】
組成物を周囲温度で静置した後、開放型のスピニング・ボウル構成を有するプロセスツールにおいて、500rpmで8秒間回転する8インチのSiウェハ上に組成物を10ml分配した。分配工程の完了時、ウェハを6秒間2000rpmに加速し、15秒間1200rpmに減速し、10秒間1800rpmに加速して初期の膜の乾燥を終了した。ウェハを15秒間1200rpmに減速した際、この間にEBR溶剤、エチルアセトアセテートをウェハの縁に分配した。EBR溶剤を分配した後、ウェハを10秒間2000rpmに加速して膜の乾燥を終了した。膜を乾燥させた後、イソプロパノールの背面洗浄を開始し、ウェハの背面から如何なる粒子又は残留物も除去した。全体のコーティングプロセスが完了した後、ボウルをイソプロパノールで洗浄して、スピン用ボウルの壁又は底に堆積した如何なる材料も除去した。ボウルの洗浄は、各ウェハ又は所定の数のウェハに関して連続的であることができる。
【0122】
[例59]
開放型のボウル構成において200及び300mmのウェハ上に膜を堆積させるのに用いたスピンコーティングの処方は以下の通りであった。2000rpmで15秒間(加速率5000rpm/秒)、500rpmで8秒間(加速率1000rpm/秒、分配溶液)、2000rpmで6秒間(加速率30000rpm/秒、塗布)、1200rpmで15秒間(加速率3000rpm/秒、乾燥1)、1800rpmで10秒間(加速率30000rpm/秒、乾燥2)、1200rpmで15秒間(加速率3000rpm/秒、上部エッジビード除去(TSEBR))、及び2000rpmで10秒間(加速率1000rpm/秒、最終乾燥)。ウェハは、(自然酸化物若しくは150Aの熱酸化物を有する)被覆されていないSiであることができるか、又は半導体の製造で用いられる通常のCVD膜、例えば、BLACK DIAMOND(商標)(「BD」)、AURORA(商標)、BLOK(商標)、CORAL(商標)、シリカ、炭素をドープしたシリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素でコーティングされたSiウェハであることができる。表6に与える分配体積によって、200又は300mmのウェハ全体を何ら欠陥なく均一に覆うことができる。
【0123】
【表6】

【0124】
[例60A〜60E]
テトラエチルオルソシリケート(TEOS)22.5gと、メチルトリエトキシシラン(MTES)22.5gと、様々な量のPGPEとを含有する5つの例示的な組成物を調製し十分に混合した。以下の例においては、所与の厚さについて組成物中に存在するPGPEの量を表7に与える。次に、精製した9.67gのTriton X−114を各ケイ酸塩溶液に添加し、撹拌して均質な溶液を得た。別のビンに、水中2.4wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)1gを0.1Mの硝酸(HNO3)24gに添加した。HNO3溶液をケイ酸塩溶液に直接添加した。組成物全体を約30分間撹拌した。
【0125】
組成物を周囲条件で12〜24時間静置した後、各組成物を0.2μmのTeflonフィルターで濾過した。開放型のスピニング・ボウル構成を有するプロセスツールにおいて、4インチのSiウェハを500rpmで7秒間回転させながら、その上に溶液を約1.2ml分配した。分配工程の完了時、ウェハを40秒間1800rpmに加速して蒸発工程を完了した。
【0126】
【表7】

【0127】
[例61A〜61B]
テトラエチルオルソシリケート(TEOS)22.5gと、メチルトリエトキシシラン(MTES)22.5gと、様々な量のPGPEとを含有する5つの例示的な組成物を調製し十分に混合した。以下の例においては、所与の厚さについて組成物中に存在するPGPEの量を表8に与える。次に、精製した16.1gのTriton X−114を各ケイ酸塩溶液に添加し、撹拌して均質な溶液を得た。別のビンに、水中2.4wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)1gを0.1Mの硝酸(HNO3)24gに添加した。HNO3溶液をケイ酸塩溶液に直接添加した。組成物全体を約30分間撹拌した。
【0128】
組成物を周囲条件で12〜24時間静置した後、溶液を0.2μmのTeflonフィルターで濾過した。開放型のスピニング・ボウル構成を有するプロセスツールにおいて、4インチのSiウェハを500rpmで7秒間回転させながら、その上に組成物を約1.2ml分配した。分配工程の完了時、ウェハを40秒間1800rpmに加速して蒸発工程を完了した。
【0129】
【表8】

【0130】
[回転半径]
溶剤としてPGPEを有する3つの例示的な組成物、例60C、61C及び18を本明細書で記載されるように調製し、それぞれの例に関する回転半径(Rg)の結果を得、表9に与える。回転半径の結果は、35℃でTHFを用いたオンラインの差圧粘度検出と結合した低質量用のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって得た。ポリスチレン標準物質20,650質量、ポリエチレングリコール(PEG)2,500質量(販売業者)、PEG4,885質量(販売業者)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)4,000質量(販売業者)を含め、幾つかの標準物質を用いてこの技術及び設備を実証した後、本実験試料について回転半径を測定した。表9はまた、GPCと粘度計を結合した技術により各組成物について測定されるポリシリケートポリマーについての結果を与えている(界面活性剤が処方物中に存在する場合には、データは、GRAMS AIソフトウェアパッケージを用いて適合させ、データを分析してケイ酸塩種に関するRgを得た)。表9は、異なる処理段階の際の例示的な組成物18に関するRgの変化をさらに示している。
【0131】
【表9】

【0132】
[均一性のデータ]
例示的な膜形成用組成物1、14、18、60B及び61Cを調製し、本明細書で記載されるように、200及び300mmウェハ上での膜の均一性について分析した。200mmのウェハについては、49点のウェハマップを実施し、300mmのウェハについては、85点のウェハマップを実施した。この分析結果を表10に与える。
【0133】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
約3.7以下の誘電率を有するシリカ系材料を生成するための組成物であって、少なくとも1つのシリカ源と、溶剤と、少なくとも1つのポロゲンと、任意選択で触媒と、任意選択で流動添加剤とを含み、該溶剤が、90℃〜170℃の温度で沸騰し、化学式、
a.HO−CHR8−CHR9−CH2−CHR1011(式中、R8、R9、R10及びR11は、独立して1〜4個の炭素原子のアルキル基又は水素原子であることができる);
b.R12−CO−R13(式中、R12は3〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり;R13は1〜3個の炭素原子を有する炭化水素基である);及びそれらの混合物
によって表される化合物から成る群より選択される、組成物。
【請求項2】
イオン添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのシリカ源が、化学式、
a.RaSi(OR14-a(式中、Rは独立して水素原子、フッ素原子又は一価の有機基を表し;R1は一価の有機基を表し;aは1と2から選択された整数である);
b.Si(OR24(式中、R2は一価の有機基を表す);
c.R3b(R4O)3-bSi−R7−Si(OR53-c6c(式中、R4及びR5は同じか又は異なることができ、それぞれ一価の有機基を表し;R3及びR6は同じか又は異なることができ;b及びcは同じか又は異なることができ、それぞれ0〜3の数であり;R7は酸素原子、フェニレン基若しくは−(CH2n−で表される基であり、式中、nは1〜6の整数である);及びそれらの混合物
によって表される群より選択された、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、該組成物中のSi原子の全数に対して20〜80モル%のSi−C結合を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記溶剤が、4〜6個の炭素原子を有するアルコール異性体、4〜8個の炭素原子を有するケトン異性体、及びそれらの混合物から選択された、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記溶剤が、1−ペンタノール、2−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1−tert−ブトキシ−2−エトキシエタン、2−メトキシエチルアセテート、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、1−メトキシ−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−tert−ブトキシ−2−メトキシエタン、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ペンタノール、1,2−ジエトキシエタン、1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、5−メチル−2−ヘキサノール、及びそれらの混合物から選択された、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記溶剤の合計金属含有量が1ppm未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶剤の合計溶解パラメータが15〜25(J/m31/2である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記溶剤の表面張力が20〜50ダイン/cmである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記溶剤の粘度が、平行板法によって測定された場合に0.5〜7cPである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物の合計金属含有量が1ppm未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物中のポロゲンの質量とSiO2の質量に対するポロゲンの質量の質量比が0.9〜0.1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
触媒を含み、該触媒が酸性触媒である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
ニュートン挙動を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
流動添加剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物中の流動添加剤の量が1wt%以下である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記流動添加剤が100℃以上の温度で沸騰する、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記流動添加剤がポリジメチルシロキサンを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記流動添加剤が、ポリエーテル改質ジメチルシロキサンを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1つのシリカ源が加水分解及び縮合し、加水分解及び縮合生成物の回転半径が5nm以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
約3.7以下の誘電率を有するシリカ系膜を形成するための組成物であって、少なくとも1つのシリカ源と、溶剤と、任意選択で少なくとも1つのポロゲンと、任意選択で触媒と、流動添加剤とを含む、組成物。
【請求項22】
前記組成物中の流動添加剤の量が1wt%以下である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記流動添加剤が100℃以上の温度で沸騰する、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
前記流動添加剤がポリジメチルシロキサンを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
前記流動添加剤が、ポリエーテル改質ジメチルシロキサンを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
3.7以下の誘電率を有するシリカ系膜を形成するための方法であって、
少なくとも1つのシリカ源と、溶剤と、任意選択で少なくとも1つのポロゲンと、任意選択で少なくとも1つの触媒と、任意選択で流動添加剤とを含み、該溶剤が90℃〜170℃の温度で沸騰する組成物を提供すること;
開放型のスピニング・ボウル(spinning bowl)構成及び半閉鎖型のスピニング・ボウル構成から選択されたボウル構成によって基材上に該組成物を堆積させ被覆基材を形成すること;並びに
該被覆基材を硬化して該シリカ系膜を形成することを含む、方法。
【請求項27】
前記の堆積が開放型のスピニング・ボウル構成によって行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記の堆積が半閉鎖型のスピニング・ボウル構成によって行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記溶剤が、ヒドロキシル、カルボニル、エステル及びそれらの組み合わせから選択された1つ又は複数の官能基を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記溶剤が120〜170℃の温度で沸騰する、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記溶剤の合計溶解パラメータが15〜25(J/m31/2である、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記溶剤の表面張力が20〜50ダイン/cmである、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記溶剤の粘度が、平行板法によって測定された場合に0.5〜7cPである、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記溶剤が、化学式、
a.HO−CHR8−CHR9−CH2−CHR1011(式中、R8、R9、R10及びR11は、独立して1〜4個の炭素原子のアルキル基又は水素原子であることができる);
b.R12−CO−R13(式中、R12は3〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり;R13は1〜3個の炭素原子を有する炭化水素基である);及びそれらの混合物
によって表される化合物から成る群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記溶剤が、4〜6個の炭素原子を有するアルコール異性体、4〜8個の炭素原子を有するケトン異性体、炭化水素が4〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の炭化水素酢酸塩、エチレングリコールエーテル、プロピレングリコールエーテル、エチレングリコールエーテルアセテート、プロピレングリコールエーテルアセテート、及びそれらの混合物から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記溶剤が、1−ペンタノール、2−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、1−プロポキシ−2−プロパノール、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1−tert−ブトキシ−2−エトキシエタン、2−メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ペンチルアセテート、1−tert−ブトキシ−2−プロパノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、1−メトキシ−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−tert−ブトキシ−2−メトキシエタン、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メトキシエタノール、3−メチル−2−ペンタノール、1,2−ジエトキシエタン、1−メトキシ−2−プロパノール、1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、5−メチル−2−ヘキサノール、及びそれらの混合物から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記溶剤が、エチレングリコールエーテル、プロピレングリコールエーテル、エチレングリコールエーテルアセテート、プロピレングリコールエーテルアセテート、及びそれらの混合物から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つのシリカ源が加水分解及び縮合し、加水分解及び縮合生成物の回転半径が5nm以下である、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
請求項26に記載の方法によって形成された、シリカ系膜。
【請求項40】
Si原子の全数に対して20〜80モル%のSi−C結合を含む、請求項39に記載のシリカ系膜。
【請求項41】
500ppm以下のアミン又は水酸化物を含む、請求項39に記載のシリカ系膜。
【請求項42】
細孔を含む、請求項39に記載のシリカ系膜。
【請求項43】
前記膜が5%以下の膜均一性を示す、請求項39に記載のシリカ系膜。
【請求項44】
3.7以下の誘電率を有するシリカ系膜を形成するための方法であって、
部分的に加水分解して低沸点溶剤を提供する少なくとも1つのシリカ源と、少なくとも1つの溶剤と、水と、触媒とを含み、該溶剤が、90℃〜170℃の温度で沸騰し、化学式、
a.HO−CHR8−CHR9−CH2−CHR1011(式中、R8、R9、R10及びR11は、独立して1〜4個の炭素原子のアルキル基又は水素原子であることができる);
b.R12−CO−R13(式中、R12は3〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり;R13は1〜3個の炭素原子を有する炭化水素基である);及びそれらの混合物
によって表される化合物から成る群より選択される組成物を提供すること;
該組成物から該低沸点溶剤の合計モル数の約20〜約75%と該水の合計モル数の20〜80%を除去して減量した組成物を提供すること;
開放型のスピニング・ボウル構成及び半閉鎖型のスピニング・ボウル構成から選択されたボウル構成によって基材上に該減量した組成物を堆積させ被覆基材を形成すること;並びに
該被覆基材を硬化して該シリカ系膜を形成することを含む、方法。
【請求項45】
前記の堆積に先立ち、前記減量した組成物に溶剤を添加することをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記の除去が、30〜100℃の温度に前記組成物を加熱することによって行われる、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記の除去が真空蒸留によって行われる、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記組成物が少なくとも1つのポロゲンをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記の堆積が開放型のスピニング・ボウル構成によって行われる、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記の堆積が半閉鎖型のスピニング・ボウル構成によって行われる、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記組成物が1ppm以下の金属を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記組成物がイオン添加剤をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記減量した組成物が、10日以上の周囲温度での貯蔵安定性を有する、請求項44に記載の方法。
【請求項54】
前記少なくとも1つのシリカ源が加水分解及び縮合し、加水分解及び縮合生成物の回転半径が5nm以下である、請求項44に記載の方法。
【請求項55】
請求項44に記載の方法によって形成された、シリカ系膜。
【請求項56】
前記膜が5%以下の膜均一性を示す、請求項55に記載のシリカ系膜。
【請求項57】
3.7以下の誘電率を有するシリカ系膜を形成するための方法であって、
少なくとも1つのシリカ源と、溶剤と、任意選択で少なくとも1つのポロゲンと、任意選択で触媒と、流動添加剤とを含む組成物を提供すること;
連続流において行われる堆積により基材上に3ml以下の該組成物を堆積させ被覆基材を形成すること;並びに
該シリカ系膜を形成するのに十分な時間1つ又は複数の温度に該被覆基材を硬化することを含む、方法。
【請求項58】
前記基材が300mmのウェハを含み、該基材の平方面積に対する前記組成物の量が0.00141〜0.0170cc/cm2である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記基材が200mmのウェハを含み、該基材の平方面積に対する前記組成物の量が0.00159〜0.0255cc/cm2である、請求項57に記載の方法。

【公開番号】特開2009−91582(P2009−91582A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−286882(P2008−286882)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【分割の表示】特願2005−57689(P2005−57689)の分割
【原出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】