説明

無機イオン活性化合物

【課題】細胞表面カルシウムレセプター上で細胞外カルシウムの影響を模倣または遮断しうる化合物及びこれを用いた疾患および疾病を治療する方法を提供する。
【解決手段】下記の一般式で示される化合物が、無機イオンレセプターの1またはそれ以上の活性を調節することができる化合物であり、課題の特性を有する。


[式中、Ar1,Ar2はアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シアノ基等で置換されいてもよいフェニル又はナフチル基を、R1,R2,R3は水素又はアルキル基を、qは0〜3の整数を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は1またはそれ以上の無機イオンレセプター活性を調節しうる化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本明細書中に提供される参考文献は、本発明に対する先行技術であると認めるものではない。
【0003】
体内のある種の細胞は、化学シグナルに応答するだけでなく、細胞外カルシウムイオン(Ca2+)のようなイオンにも応答する。細胞外Ca2+は厳格なホメオスタシスの制御下にあり、血液凝固、神経および筋肉の興奮性および正しい骨形成等の種々の過程を制御する。
【0004】
カルシウムレセプター蛋白質は、ある種の特定の細胞が細胞外Ca2+濃度の変化に応答することを可能とする。例えば、細胞外Ca2+は、副甲状腺細胞からの副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を阻害し、破骨細胞による骨吸収を阻害し、C細胞からのカルシトニンの分泌を刺激する。
【0005】
PTHは血液および細胞外流体中のCa2+ホメオスタシスを調節する主たる内分泌因子である。PTHは、骨および腎細胞で作用することにより、血中のCa2+の濃度を増加させる。このCa2+の増加は、次に負のフィードバックシグナルとして作用して、PTH分泌を抑制する。Ca2+とPTH分泌との間の相互の関係は、身体のCa2+ホメオスタシスを維持する重要な機構を形成する。
【0006】
細胞外Ca2+は、副甲状腺細胞に直接作用し、PTH分泌を調節する。細胞外Ca2+の変化を検出する副甲状腺細胞表面蛋白質の存在が確認されている(Brown et al.,Nature 366:574、1993)。副甲状腺細胞において、この蛋白質、すなわちカルシウムレセプターは、細胞外Ca2+に対するレセプターとして作用し、細胞外Ca2+のイオン濃度の変化を検出し、機能的細胞応答であるPTH分泌を生じさせる。
【0007】
細胞外Ca2+は、Nemeth et al.,Cell Calcium 11:319、1990に概説されているように、異なる細胞機能に対して効果を発揮しうる。Nemeth、Cell Calcium 11:323、1990において、傍濾胞細胞(C−細胞)および副甲状腺細胞における細胞外Ca2+の役割が議論されている。これらの細胞は類似のCa2+レセプターを発現することがわかっている(Brownら、Nature 366:574、1993;Mithalら、J.Bone Miner.Res.9,Suppl.1 s282、1994;Rogersら、J.Bone Miner.Res.9,Suppl.1 s409、1994;Garrettら,Endocrinology 136:5202−5211,1995を参照のこと)。
【0008】
種々の分子がインビトロで細胞外Ca2+を模倣する能力は、Nemethら、“Calcium−Binding Proteins in Health and Disease”1987、Academic Press,Inc.,pp.33−35;Brownら、Endocrinology 128:3047、1991;Chenら、J.Bone Miner.Res.5:581、1990;Zaidiら、Biochem.Biophys.Res.Commun.167:807、1990等の文献において議論されている。
【0009】
Nemethら、PCT/US92/07175、国際公開番号WO93/04373、Nemethら、PCT/US93/01642、国際公開番号WO94/18959、およびNemethら、PCT/US94/12117、国際公開番号WO95/11211は、無機イオンレセプターの作用を調節しうる種々の化合物を記載する。
【0010】
【特許文献1】WO93/04373
【特許文献2】WO94/18959
【特許文献3】WO95/11211
【非特許文献1】Brown et al.,Nature 366:574、1993
【非特許文献2】Nemeth et al.,Cell Calcium 11:319、1990
【非特許文献3】Nemeth、Cell Calcium 11:323、1990
【非特許文献4】Mithal et al.,J.Bone Miner.Res.9,Suppl.1 s282、1994
【非特許文献5】Rogers et al.,J.Bone Miner.Res.9,Suppl.1 s409、1994
【非特許文献6】Garrett et al.,Endocrinology 136:5202−5211,1995
【非特許文献7】Nemeth et al.,“Calcium−Binding Proteins in Health and Disease”1987、Academic Press,Inc.,pp.33−35
【非特許文献8】Brown et al.,Endocrinology 128:3047、1991
【非特許文献9】Chen et al.,J.Bone Miner.Res.5:581、1990
【非特許文献10】Zaidi et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.167:807、1990
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
本発明は、無機イオンレセプターの1またはそれ以上の活性を調節することができる化合物、およびそのような化合物を用いる疾患または障害の治療方法を提供する。好ましい化合物は、細胞表面のカルシウムレセプターに対する細胞外カルシウムの作用を模倣または遮断しうる。
【0012】
無機イオンレセプター活性は、無機イオンレセプター活性化の結果として引き起こされるプロセスである。そのようなプロセスには、細胞内または細胞外メッセンジャーとして作用しうる分子の産生が含まれる。
【0013】
無機イオンレセプター調節化合物は、イオノミメティック(ionomimetic)、イオノリティック(ionolytic)、カルシミメティック(calcimimetic)およびカルシリティック(calcilytic)を包含する。イオノミメティックは、無機イオンレセプターにおいて無機イオンの作用を模倣する(すなわち、喚起または強化する)化合物である。好ましくは、該化合物は1またはそれ以上のカルシウムレセプター活性に影響を及ぼす。カルシミメティックは、1またはそれ以上のカルシウムレセプター活性に影響を及ぼすイオノミメティックである。
【0014】
イオノリティックは、無機イオンレセプターにおいて無機イオンにより誘起される1またはそれ以上の活性を遮断する(すなわち、阻害または減らす)化合物である。好ましくは、該化合物は1またはそれ以上のカルシウムレセプター活性に影響を及ぼす。カルシリティックは、細胞外カルシウムにより喚起される1またはそれ以上のカルシウムレセプター活性を遮断するイオノリティックである。
【0015】
イオノミメティックとイオノリティックは、天然無機イオンリガンドが結合するものと同じレセプター部位で結合してもよく、または異なる部位(例えば、アロステリック部位)で結合してもよい。例えば、カルシウムレセプターに結合するNPS R−467はカルシウムレセプター活性をもたらし、したがってNPS R−467はカルシミメティックであると分類される。しかしながら、NPS R−467は細胞外カルシウムとは異なる部位(すなわち、アロステリック部位)でカルシウムレセプターに結合する。
【0016】
化合物がレセプター活性を調節する効力の測定は、その化合物についてのEC50またはIC50を計算することにより決定することができる。EC50は最大模倣作用の50%を生じさせる化合物の濃度である。IC50は最大遮断作用の50%を生じさせる化合物の濃度である。カルシウムレセプターにおける化合物についてのEC50およびIC50の値は、カルシウムレセプターにおける1またはそれ以上の細胞外カルシウムの活性を検定することにより決定することができる。EC50およびIC50の値を測定するためのアッセイの例が、例えば、Nemethら、PCT/US93/01642、国際公開番号WO94/18959およびNemethら、PCT/US92/07175、国際公開番号WO93/04373(本明細書の一部としてここに引用する)および以下に記載されている。このようなアッセイは卵母細胞発現アッセイを含み、カルシウムレセプター活性による細胞内カルシウムイオン濃度([Ca2+)の増加を測定する。好ましくは、このようなアッセイは、カルシウムレセプターの活性に付随する特定のホルモンの放出または阻害を測定する。
【0017】
無機イオンレセプターを調節する化合物は、好ましくは、特定の細胞において無機イオンレセプター活性を選択的に標的とする。例えば、カルシウムレセプター活性の選択的標的化は、所定の濃度の化合物について、1の細胞型のカルシウムレセプター活性に対して別の細胞型よりもより大きな作用を発揮する化合物によって達成される。好ましくは、特異な効果は、インビボまたはインビトロで測定した場合に10倍またはそれ以上である。より好ましくは、その特異な効果をインビボで測定し、化合物の濃度は血漿中濃度または細胞外流体濃度として測定し、測定される効果は血漿中カルシトニン、副甲状腺ホルモンまたは血漿中カルシウムなどの細胞外メッセンジャーの産生である。例えば、好ましい態様において、化合物は、カルシトニン分泌物よりもPTH分泌物を選択的に標的とする。
【0018】
好ましくは、本発明の化合物は、カルシウムレセプターにおいて、後記するアッセイの1つを用いて、5μM以下、さらにより好ましくは1μM、100nM、10nMまたは1nM以下のEC50またはIC50を有するカルシミメティックまたはカルシリティックのいずれかである。より好ましくは、アッセイは、ヒト副甲状腺カルシウムレセプターを発現する核酸で形質転換され、フラ(fura)−2を負荷したHEK293細胞において細胞内Ca2+を測定する。EC50またはIC50の値が低いほど、より低濃度の化合物をインビボまたはインビトロで用いることが可能であるため、それらは低いほど有利である。低いEC50およびIC50の値を有する化合物の発見により、類似のまたは改良された効能、効力および/または選択性を有するさらなる化合物の設計および合成が可能となる。
【0019】
従って、本発明の第一の態様は式:
【化3】

[式中、Arは随意に置換されたナフチル、随意に置換されたフェニルまたは随意に置換されたヘテロ環式アリールであり、ここで五つまでの置換基が存在してもよく、および各々の置換基は独立して、アルキル、アルケニル、ハロゲン、アルコキシ、チオアルキル、メチレンジオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、OH、CHOH、CONH、CN、アセトキシ、N(アルキル)、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、α,α−ジメチルベンジル、NO、CHO、CHCH(OH)、アセチル、OCHCOOHおよびエチレンジオキシから成る群より選択される;
Arは随意に置換されたナフチル、随意に置換されたフェニルまたは随意に置換されたヘテロ環式アリールであり、ここで五つまでの置換基が存在してもよく、および各々の置換基は独立して、アルキル、アルケニル、ハロゲン、アルコキシ、チオアルキル、メチレンジオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、OH、CHOH、CONH、CN、OCHCOOH、エチレンジオキシおよびアセトキシから成る群より選択される;
qは0、1、2または3であり;
はHまたはアルキルであり;および
およびRは各々独立して、水素、アルキルであるか、または一緒になってシクロアルキルまたはシクロアルケニルである;
を有する無機イオンレセプター調節化合物およびその薬学的に許容される塩および複合体を特色としている。
【0020】
好適には、本化合物は1またはそれ以上の無機イオンレセプター活性を調節するイオノミメティックであり、より好適には本化合物はカルシミメティックである。
【0021】
”アルケニル”とは2−6の炭素および少なくとも一つの二重結合を有する炭化水素鎖を意味しており、それは直鎖でも、分岐鎖でもまたは非芳香族環式でもよい。好適には、アルケニルは2−4の炭素原子を有する。
【0022】
”アルキル”とは1−6の炭素を有する飽和炭化水素を意味しており、それは直鎖でも、分岐鎖でもまたは非芳香族環式でもよい。好適には、アルキルは1−4の炭素原子を有する。
【0023】
”アルコキシ”とは”O−アルキル”を意味しており、ここで”O”はアルキルに結合された酸素である。
【0024】
”シクロアルケニル”とは3−12の炭素および少なくとも一つの二重結合を有する非芳香族環式炭化水素鎖を意味しており、多環構造を含んでいる。好適には、シクロアルケニルは3から6の炭素原子を有する。
【0025】
”シクロアルキル”とは3−12の炭素を有する飽和環式炭化水素鎖を意味しており、多環構造を含んでいる。好適には、シクロアルキルは3から6の炭素原子を有する。
【0026】
”チオアルキル”とは”S−アルキル”を意味しており、ここで”S”はアルキルに結合された硫黄である。
【0027】
”ハロアルキル”とは少なくとも一つのハロゲンで置換されたアルキルを意味している。好適には、ハロアルキルの末端炭素のみがハロゲンで置換されており、および1から3のハロゲンが存在する。好適には、ハロゲン置換はClまたはFである。
【0028】
”ハロアルコキシ”とは”O−ハロアルキル”を意味しており、ここで”O”はハロアルキルに結合された酸素である。
【0029】
”ヘテロ環式アリール”とはヘテロ芳香族環系の環原子として1から3のヘテロ原子を有し、環原子の残りが炭素原子であるアリール環系を意味している。適したヘテロ原子には酸素、硫黄および窒素が含まれる。好適には、ヘテロ環式環系は単−または二環式である。より好適には、ヘテロ環式アリールはフラニル、チオフラニル(”チエニル”としても知られている)、ベンゾフラニルまたはベンゾチオフラニル(”ベンゾチエニル”としても知られている)である。
【0030】
本発明の別の態様は式:
【化4】

[式中、Ar、Ar、RおよびRは構造Iの化合物で定義した通りであり;
は水素、アルキルまたはフェニルであり;
は水素またはアルキルであり;
は水素、アルキルまたはフェニルである;
を有する無機イオンレセプター調節化合物およびその薬学的に許容される塩および複合体を特色としている。
【0031】
好ましくは、化合物は1またはそれ以上の無機イオンレセプター活性を調節するイオノミメティックであり、より好ましくは化合物はカルシミメティックである。
【0032】
本発明の別の観点は、本明細書に記載の無機イオンレセプター調節化合物および生理学上許容される担体からなる医薬組成物を特徴とする。「医薬組成物」は哺乳動物、好ましくはヒトに投与するのに適する組成物をいう。好ましくは、医薬組成物は、十分な量のカルシウムレセプター調節化合物を適当な医薬形態で含有し、ヒトに治療効果を発揮する。
【0033】
投与するのに適当な形態に関する考慮点は当該技術分野において知られており、毒性作用、溶解性、投与経路および維持活性を包含する。例えば、血流中に注射される医薬組成物は水溶性でなければならない。
【0034】
医薬組成物はまた、その薬学的に許容される塩(例えば、酸付加塩)および複合体として処方することができる。そのような塩の製造は、生理学的作用の発揮を妨げることなく、その物理特性を変えることにより、化合物の薬理学的使用を容易にすることができる。
【0035】
本発明の別の観点は、本明細書に記載の無機イオンレセプター調節化合物を用いることにより患者を治療する方法を特徴とする。該方法は、治療学的に有効な量の無機イオンレセプター調節化合物を含有する医薬組成物を患者に投与することを含む。好ましい態様においては、治療学的に有効な量のカルシウムレセプター調節化合物を患者に投与することにより疾患または障害を治療する。
【0036】
無機イオンレセプター調節化合物およびこのような化合物を含有する組成物を用いて、種々のタイプの患者を治療することができる。「患者」とは、無機イオンレセプターの調節が、有益な予防的効果を含む有益な効果を有するであろう哺乳動物をいう。適切な患者は、医療業専門家に知られる標準的技術を用いて診断することができる。
【0037】
好ましくは、患者は、以下の1またはそれ以上により特徴づけられる疾患または障害を有するヒトである:(1)異常な無機イオンホメオスタシス、さらに好ましくは、異常なカルシウムホメオスタシス;(2)その産生または分泌が無機イオンレセプター活性により影響を受ける、さらに好ましくはカルシウムレセプター活性により影響を受けるメッセンジャーの異常なレベル;および(3)その機能が無機イオンレセプター活性により影響を受ける、さらに好ましくはカルシウムレセプター活性により影響を受けるメッセンジャーの異常なレベルまたは活性。
【0038】
異常なカルシウムホメオスタシスにより特徴づけられる疾患は、副甲状腺機能亢進症、骨粗鬆症および他の骨およびミネラル関連障害など(例えば、“Harrison’s Principles of Internal Medicine”のような標準的な医学書に記載されている)を包含する。このような疾患は、カルシウムレセプターにおける細胞外Ca2+の1またはそれ以上の効果を模倣または遮断するカルシウムレセプター調節化合物を用いて治療される。
【0039】
「治療学的に有効な量」とは、患者において疾患または障害の1またはそれ以上の症状をある程度まで緩解する;または疾患もしくは障害に付随するまたは起因する1またはそれ以上の生理学的もしくは生化学的パラメーターを部分的または完全に正常に戻す、化合物の量を意味する。すなわち、治療学的に有効な量は、疾患または障害の罹患の見込みを予防的に減少させるのに有効な量でありうる。
【0040】
好ましい態様において、患者は、カルシウムレセプターにより制御される1またはそれ以上の成分の異常なレベルにより特徴づけられる疾患または障害を有し、化合物は、副甲状腺細胞、破骨細胞、腎傍糸球体細胞、近位尿細管細胞、遠位尿細管細胞、中枢神経系細胞、末梢神経系細胞、ヘレンわなの太い上行リムおよび/または収集管の細胞、表皮ケラチノサイト、甲状腺の傍濾胞細胞(C−細胞)、腸細胞、血小板、血管平滑筋細胞、心房細胞、ガストリン分泌細胞、グルカゴン分泌細胞、腎メサンギウム細胞、乳房細胞、ベータ細胞、脂肪細胞、免疫細胞、GI管細胞、皮膚細胞、副腎細胞、下垂体細胞、視床下部細胞および脳弓下器官の細胞からなる群より選択される細胞のカルシウムレセプターに対して活性である。
【0041】
さらに好ましくは、細胞は、副甲状腺細胞、中枢神経系細胞、末梢神経系細胞、ヘレンわなの太い上行リムおよび/または腎収集管の細胞、甲状腺の傍濾胞細胞(C−細胞)、腸細胞、GI管細胞、下垂体細胞、視床下部細胞および脳弓下器官の細胞からなる群より選択される。
【0042】
好ましい態様において、化合物は、患者の血清中の副甲状腺ホルモンのレベルを減少させる。さらに好ましくは、該レベルは血漿中Ca2+の減少を引き起こすのに十分な程度まで減少する。最も好ましくは、副甲状腺ホルモンレベルは正常な個体におけるレベルまで減少する。
【0043】
本発明により記載される化合物を用いる治療を必要とする患者は、血液または尿分析のような標準的な医療技術により診断することができる。そのような医療技術には、その産生または分泌が無機イオン濃度の変化により影響を受ける蛋白質の不足を検出すること、または無機イオンホメオスタシスに影響する無機イオンまたはホルモンの異常なレベルを検出することが含まれる。
【0044】
この出願を通して種々の例が使用される。これらの例は何ら本発明を限定するものではない。
【0045】
本発明の他の特徴および利点は、以下の図面、発明の詳細な記載、実施例および請求の範囲より明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
好ましい態様の説明
本発明は、1またはそれ以上の無機イオンレセプター活性を調節しうる化合物を特徴とする。好ましくは、化合物は、無機イオンレセプターを有する細胞に対する細胞外イオンの作用を模倣または遮断することができ、より好ましくは、細胞外イオンはCa2+であり、その作用はカルシウムレセプターを有する細胞に対するものである。最も好ましくは、化合物は、カルシウムレセプターを有する細胞に対する細胞外Ca2+の作用を模倣することができる。
【0047】
本明細書に記載される化合物は、特許請求の範囲において化合物がレセプターにおいて作用することにより効果を発揮すると明示的に記述しない限り、無機イオンレセプター、好ましくはカルシウムレセプターにおいて作用することができると考えられるが、本発明の方法をレセプター活性の調節を必要とするものに限定することを意図するものではない。むしろ、化合物は、インビボまたはインビトロで無機イオンレセプター活性を調節するその能力により特徴づけられる。
【0048】
I.カルシウムレセプター
カルシウムレセプターは種々の細胞に存在する。細胞外Ca2+に応答する以下の細胞の薬理学的効果は、カルシウムレセプターの存在と一致する;副甲状腺細胞、破骨細胞、腎傍糸球体細胞、近位尿細管細胞、遠位尿細管細胞、中枢神経系細胞、末梢神経系細胞、ヘレンわなの太い上行リムおよび/または収集管の細胞、表皮ケラチノサイト、甲状腺の傍濾胞細胞(C−細胞)、腸細胞、血小板、血管平滑筋細胞、心房細胞、ガストリン分泌細胞、グルカゴン分泌細胞、腎メサンギウム細胞、乳房細胞、膵臓における内分泌および外分泌細胞、脂肪細胞、免疫細胞、GI管細胞、皮膚細胞、副腎細胞、下垂体細胞、視床下部細胞および脳弓下器官の細胞。
【0049】
以下の細胞におけるカルシウムレセプターの存在は、物理データ、例えばカルシウムレセプターをコードする核酸とのハイブリダイゼーションを用いて確認されている:副甲状腺細胞、中枢神経系細胞、末梢神経系細胞、ヘレンわなの太い上行リムおよび/または腎収集管の細胞、甲状腺の傍濾胞細胞(C−細胞)、腸細胞、GI管細胞、下垂体細胞、視床下部細胞および脳弓下器官の細胞、および膵臓における内分泌および外分泌細胞。
【0050】
これらの異なるタイプの細胞上のカルシウムレセプターは異なっていてもよい。細胞が2以上のタイプのカルシウムレセプターを有することも可能である。カルシウムレセプターの活性と異なる細胞由来のアミノ酸配列の比較は、異なるタイプのカルシウムレセプターが存在することを示す。例えば、カルシウムレセプターは種々の二価および三価のカチオンに応答しうる。副甲状腺細胞カルシウムレセプターはカルシウムおよびGd3+に応答するが、破骨細胞はカルシウムなどの二価のカチオンに応答するが、Gd3+に応答しない。すなわち、副甲状腺細胞カルシウムレセプターは破骨細胞上のカルシウムレセプターと薬理学的に異なる。
【0051】
一方、副甲状腺細胞およびC−細胞に存在するカルシウムレセプターをコードする核酸配列は、これらのレセプターが非常に類似するアミノ酸構造を有することを示す。にもかかわらず,カルシミメティック化合物は異なる薬理作用を示し、副甲状腺細胞およびC−細胞において異なる活性を制御する。すなわち、カルシウムレセプターの薬理学的特性は、たとえカルシウムレセプターが類似または同一の構造を有しているとしても、これらが発現される細胞のタイプまたは器官に依存して有意に変わっていてもよい。
【0052】
カルシウムレセプターは、一般に、細胞外Ca2+に対して低い親和性を有する(一般に、見かけのKは約0.5mMよりも大きい)。Cooper、Bloom and Roth、“The Biochemical Basis of Neuropharmacology”、Ch.4により定義されているように、カルシウムレセプターは、遊離または結合したエフェクター機構を含んでいてもよく、したがって、細胞内カルシウムレセプター、例えば、カルモジュリンおよびトロポニンとは異なる。
【0053】
カルシウムレセプターは細胞外カルシウムレベルの変化に応答する。正確な変化は、特定のレセプターおよびそのレセプターを含有する細胞株に依存する。例えば、副甲状腺細胞中のカルシウムレセプターに対するカルシウムのインビトロ作用は、以下のものを包含する:
1.内部カルシウムの増加。増加は外部カルシウムの流入および/または内部カルシウムの移動によるものである。内部カルシウムの増加の特徴は、以下のことを包含する:
(a)1μM La3+または1μM Gd3+による阻害に対して無反応性でありイオノマイシンによる前処理により排除される迅速(ピークまでの時間、<5秒)かつ一時的な[Ca2+の増加(細胞外Ca2+の不在下);
(b)増加はジヒドロピリジンで阻害されない;
(c)一時的な増加は、10mMのフッ化ナトリウムで10分間、前処理することにより排除される;
(d)一時的な増加は、蛋白質キナーゼC(PKC)のアクチベーター、例えば、ホルボールミリスチン酸アセテート(PMA)、メゼレインまたは(−)−インドラクタムVで前処理することにより減少する。蛋白質キナーゼCアクチベーターの全体的な効果は、最大応答に影響を及ぼすことなく、カルシウムの濃度応答曲線を右側にシフトさせることである;
(e)百日咳毒素での前処理(100ng/ml、>4時間)は増加に影響を与えない;
2.イノシトール−1,4,5−トリホスフェートまたはジアシルグリセロールの形成の迅速な(<30秒)増加。百日咳毒素での前処理(100ng/ml、>4時間)はこの増加に影響しない;
3.ドーパミンおよびイソプロテレノール刺激サイクリックAMP形成の阻害。この効果は百日咳毒素での前処理(100ng/ml、>4時間)で遮断される;
4.PTH分泌の阻害。百日咳毒素での前処理(100ng/ml、>4時間)は、PTH分泌の阻害に影響を与えない。
【0054】
当該技術分野において知られている技法を用いて、異なる細胞における他のカルシウムレセプターに対するカルシウムの作用を容易に決定することができる。このような効果は副甲状腺細胞において観察される内部カルシウムの増加に関して類似しているかもしれない。しかし、その効果は、副甲状腺ホルモン以外のホルモンの放出を惹起または阻害するなどの他の態様においては異なると予測される。
【0055】
II.無機イオンレセプター調節化合物
無機イオンレセプター調節化合物は、1またはそれ以上の無機イオンレセプター活性を調節する。好ましい無機イオンレセプター調節化合物は、カルシミメティックまたはカルシリティックである。無機イオンレセプター調節化合物は、特定の活性を有することが示されている化合物(すなわち、リード化合物)をモデルとする化合物をスクリーニングすることにより同定することができる。
【0056】
カルシウムレセプター活性を測定する好ましい方法は、[Ca2+の変化を測定することである。[Ca2+の変化は、種々の方法、例えばヒト副甲状腺カルシウムレセプターを発現する核酸により形質導入され、フラ−2を負荷したHEK293を用いることにより;およびカルシウムレセプターをコードする核酸を注入したXenopus卵母細胞におけるCl 流の増加を測定することにより、測定することができる。(Nemethら、PCT/US93/01642、国際公開番号WO94/18959を参照のこと)。例えば、ポリ(A)mRNAは、副甲状腺細胞、破骨細胞、腎傍糸球体細胞、近位尿細管細胞、遠位尿細管細胞、ヘレンわなの太い上行リムおよび/または収集管の細胞、表皮ケラチノサイト、甲状腺の傍濾胞細胞(C−細胞)、腸細胞、中枢神経系細胞、末梢神経系細胞、血小板、血管平滑筋細胞、心房細胞、ガストリン分泌細胞、グルカゴン分泌細胞、腎メサンギウム細胞、乳房細胞、ベータ細胞、脂肪細胞、免疫細胞、およびGI管細胞などの、カルシウムレセプターを発現する細胞から得ることができる。好ましくは、核酸は、副甲状腺細胞、C−細胞または破骨細胞に由来する。さらに好ましくは、核酸はカルシウムレセプターをコードし、プラスミドまたはベクター上に存在する。
【0057】
他の好ましい態様において、化合物は、以下の細胞からなる群より選択されるすべてではないが1またはそれ以上の細胞において、5μM以下のEC50またはIC50を有する:副甲状腺細胞、破骨細胞、腎傍糸球体細胞、近位尿細管細胞、遠位尿細管細胞、中枢神経系細胞、末梢神経系細胞、ヘレンわなの太い上行リムおよび/または収集管の細胞、表皮ケラチノサイト、甲状腺の傍濾胞細胞(C−細胞)、腸細胞、血小板、血管平滑筋細胞、心房細胞、ガストリン分泌細胞、グルカゴン分泌細胞、腎メサンギウム細胞、乳房細胞、ベータ細胞、脂肪細胞、免疫細胞、GI管細胞、皮膚細胞、副腎細胞、下垂体細胞、視床下部細胞および脳弓下器官。さらに好ましくは、細胞は、副甲状腺細胞、中枢神経系細胞、末梢神経系細胞、ヘレンわなの太い上行リムおよび/または腎収集管の細胞、甲状腺の傍濾胞細胞(C−細胞)、腸細胞、GI管細胞、下垂体細胞、視床下部細胞および脳弓下器官の細胞からなる群より選択される。この群の細胞におけるカルシウムレセプターの存在は、インサイチオハイブリダイゼーションおよび抗体染色のような物理データにより確認されている。
【0058】
好ましくは、無機イオンレセプター調節化合物は、該化合物が治療効果を達成するように、無機イオンレセプターを有する細胞に対する細胞外イオンの効果を模倣または遮断する。無機イオンレセプター調節化合物は、異なる型の無機イオンレセプター形態を有する細胞(例えば、正常な無機イオンレセプター、正常な数の無機イオンレセプター、異常な無機イオンレセプター、および異常な数の無機イオンレセプターを有する細胞など)に対して、同じまたは異なる作用を有していてもよい。
【0059】
カルシウムレセプター調節化合物は、好ましくは、カルシウムレセプターを有する細胞における細胞外イオンの効果のすべてを模倣または遮断する。しかしながら、カルシミメティックが細胞外Ca2+のすべての生物学的活性を有する必要はない。同様に、カルシリティックは細胞外カルシウムにより引き起こされるすべての活性を遮断する必要はない。さらに、種々のカルシミメティックおよび種々のカルシリティックは、細胞外Ca2+と同じカルシウムレセプター上の部位に結合し、その効果を発揮する必要はない。
【0060】
無機イオンレセプター調節化合物は、天然リガンドと同じ程度までまたは正確に同じ様式で無機イオンレセプター活性に影響を及ぼす必要はない。例えば、カルシミメティックは、カルシウムレセプターにおいて作用するカルシウムと比較して、異なる程度で、異なる持続時間で、異なる結合部位に結合することにより、または異なる親和性を有することにより、カルシウムレセプター活性を発揮することができる。
【0061】
A.イオノミメティック
異なった化合物がNemethらによるPCT/US92/07175、国際特許公開番号WO93/04373、NemethらによるPCT/US93/01642、国際特許公開番号WO94/18959、NemethらによるPCT/US94/12117、国際特許公開番号WO95/11211およびVan WagenenらによるPCT/US95/13704に記載されている(これらの参照文献の各々は本明細書において援用される)。異なった一般群が本明細書に記載されており、好適には、これらの群は従来の国際特許出願に記載されている特定の化合物の各々を除外している(即ち、PCT/US92/07175、PCT/US93/01642、PCT/US94/12117およびPCT/US95/13704に記載されている特定の化合物は、好適には本明細書で提供された異なった一般および副一般式から除外されている)。
【0062】
1.構造Iの化合物
構造Iの化合物はカルシウムレセプター活性を調節することができ、以下の式:
【化5】

[式中、Arは随意に置換されたナフチル、随意に置換されたフェニルまたは随意に置換されたヘテロ環式アリールであり、ここで五つまでの置換基が存在してもよく、および各々の置換基は独立して、アルキル、アルケニル、ハロゲン、アルコキシ、チオアルキル、メチレンジオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、OH、CHOH、CONH、CN、アセトキシ、N(アルキル)、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、α,α−ジメチルベンジル、NO、CHO、CHCH(OH)、アセチル、OCHCOOHおよびエチレンジオキシから成る群より選択される。本発明の一つの態様において、Arは一つから四つの置換基を有する、随意に置換されたナフチルまたは置換されたフェニルであり、より好適には、Arは非置換ナフチルまたは置換フェニルであり、さらに好適には、Arは置換フェニルである;好適には各々のAr置換基はイソプロピル、CHO、CF、CHS、CFO、Br、I、Cl、FおよびCHから成る群より独立して選択される。本発明の別の態様において、Arは随意に置換されたヘテロ環式アリールである。好適なヘテロ環式アリール置換基はイソプロピル、CHO、CF、CHS、CFO、Br、I、Cl、FおよびCHから成る群より独立して選択される。好適なヘテロ環式アリールはフラニル、チオフラニル、ベンゾフラニルまたはベンゾチオフラニルである;
Arは随意に置換されたナフチル、随意に置換されたフェニルまたは随意に置換されたヘテロ環式アリールであり、ここで五つまでの置換基が存在してもよく、および各々の置換基はアルキル、アルケニル、ハロゲン、アルコキシ、チオアルキル、メチレンジオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、OH、CHOH、CONH、CN、OCHCOOH、エチレンジオキシおよびアセトキシから成る群より独立して選択される。一つの態様において、Arは一つから四つの置換基を有する、随意に置換されたナフチルまたは置換されたフェニルであり、より好適には、Arは非置換ナフチルまたは置換フェニルであり;より好適にはArはメタ位に置換基を有する置換フェニルであり、さらにより好適には、Arはメタ位に置換基を有する一置換フェニルである;好適には各々のAr置換基はイソプロピル、CHO、CHS、CFO、Br、I、Cl、F、CFおよびCHから成る群より独立して選択され、より好適にはCH0はメタ位に位置している。本発明の別の態様において、Arは随意に置換されたヘテロ環式アリールである。好適なヘテロ環式アリール置換基はイソプロピル、CHO、CF、CHS、CFO、Br、I、Cl、FおよびCHから成る群より独立して選択される。好適なヘテロ環式アリールはフラニル、チオフラニル、ベンゾフラニルまたはベンゾチオフラニルである;
qは0、1、2または3であり;別の態様においてはqは0または2である;
はHまたはアルキルであり;別の態様において、Rがアルキルである場合、アルキルはメチルであるかまたはアルキルは2以上の炭素原子を有する(好適には2から4の炭素原子);
およびRは各々独立して、水素、アルキルであるかまたは一緒になってシクロアルキルまたはシクロアルケニルであり;好適にはRおよびRは、もしRおよびRの少なくとも一つが水素でないならば各々独立して水素またはアルキルであり、好適にはRはアルキルであり、より好適にはRはメチルである;
およびその薬学的に許容される塩および複合体である。
【0063】
より好適な態様において、本化合物は以下の式を有する:
【化6】

[式中、Ar、Ar、R、RおよびRは好適な態様を含む構造Iの化合物で定義した通りである。
【0064】
さらに別の好適な態様において、本化合物は以下の式を有する:
【化7】

[式中、Ar、R、RおよびRは好適な態様を含む構造Iの化合物で定義した通りであり;
XおよびZの各々はアルキル、アルケニル、ハロゲン、アルコキシ、チオアルキル、メチレンジオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、OH、CHOH、CONH、CN、OCHCOOH、エチレンジオキシおよびアセトキシから成る群より独立して選択され;より好適には、XおよびZの各々はイソプロピル、CHO、CHS、CFO、Br、I、Cl、F、CFおよびCHから成る群より独立して選択され;
nおよびmは、もしnおよびmを一緒にしても5を超えないならば、各々独立して0、1、2または3であり;好適にはnおよびmは各々独立して0または1であり、より好適には0である。
【0065】
2.構造IIの化合物
構造IIの化合物は式:
【化8】

[式中、Ar、Ar、RおよびRは好適な態様を含む構造Iの化合物で定義した通りであり;
は水素、アルキルまたはフェニルであり;好適には水素;
は水素またはアルキルであり;好適には水素;
は水素、アルキルまたはフェニルであり;好適には水素またはアルキル;別の態様においてRがアルキルの場合、アルキルはメチルであるかまたは、アルキルは2以上の炭素原子を有する、好適には二つから四つの炭素原子;
およびその薬学的に許容される塩および複合体である。
【0066】
3.カルシミメティック活性
カルシウムレセプターにおいてCa2+の活性を模倣する化合物の能力は、当該技術分野において知られる方法、例えば、Nemethら、PCT/US93/01642、国際公開番号WO94/18959に記載される方法を用いて決定することができる。例えば、カルシミメティックは、インビトロで副甲状腺細胞について試験した場合に、以下の1またはそれ以上の、好ましくはすべての活性を有する:
1.化合物は、1μM La3+または1μM Gd3+による阻害に不反応性の細胞内カルシウム濃度の迅速(ピークまでの時間<5秒)かつ一時的な増加を引き起こす。[Ca2+の増加は細胞外Ca2+の不在下で持続するが、イオノマイシンでの前処理により排除される(細胞外Ca2+の不在下);
2.化合物は準最大濃度の細胞外Ca2+により誘起される[Ca2+の増加を強化する;
3.細胞外Ca2+により誘起される[Ca2+の増加はジヒドロピリジンにより阻害されない;
4.化合物により引き起こされる[Ca2+の一時的増加は、10mMフッ化ナトリウムで10分間前処理することにより排除される;
5.化合物により引き起こされる[Ca2+の一時的増加は、ホルボールミリスチン酸アセテート(PMA)、メゼレインまたは(−)−インドラクタムVなどの蛋白質キナーゼC(PKC)のアクチベーターで前処理することにより減少する。蛋白質キナーゼCアクチベーターの全体の効果は、最大応答に影響を与えることなく、化合物の濃度応答曲線を右側にシフトさせることである;
6.化合物は、イノシトール−1,4,5−トリホスフェートおよび/またはジアシルグリセロールの迅速な(<30秒)形成を引き起こす;
7.化合物は、ドーパミン刺激またはイソプロテレノール刺激サイクリックAMP形成を阻害する;
8.化合物は、PTH分泌を阻害する;
9.百日咳毒素での前処理(100ng/ml、>4時間)は、該化合物のサイクリックAMP形成に対する阻害効果を遮断するが、[Ca2+、イノシトール−1,4,5−トリホスフェートまたはジアシルグリセロールの増加に影響を与えず、PTH分泌を減少させない;
10.化合物は、ウシまたはヒト副甲状腺細胞由来のポリ(A)に富むmRNAを注入したXenopus卵母細胞におけるCl 流の増加を惹起するが、水または肝mRNAを注入したXenopus卵母細胞では効果がない;および
11.同様に、副甲状腺細胞由来のクローン化カルシウムレセプターを用いて、化合物は、レセプターをコードする特異的cDNAまたはmRNAを注入したXenopus卵母細胞において応答を惹起するであろう。
【0067】
利用可能な技術を用いて、種々のカルシウム活性を測定することができる。他のカルシウム応答細胞に対する、好ましくはカルシウムレセプターにおけるCa2+活性を模倣する化合物の定義は、本明細書の実施例およびNemethら、PCT/US93/01642、国際公開番号WO94/18959から明らかである。
【0068】
好ましくは、本明細書に記載のバイオアッセイにより、またはNemethら、PCT/US93/01642、国際公開番号WO94/18959により測定された化合物は、以下の活性のうち、1またはそれ以上の、好ましくはすべての活性を有する:持続時間が30秒未満の、内部カルシウムの一時的増加を誘起する(好ましくは、内部カルシウムを移動することにより);30秒以内に起こる、迅速な[Ca2+の増加を誘起する;[Ca2+の持続的増加(30秒以上)を誘起する(好ましくは外部カルシウムの流入を引き起こすことにより);イノシトール−1,4,5−トリホスフェートまたはジアシルグリセロールレベルの増加を、好ましくは60秒以内に誘起する;およびドーパミン刺激またはイソプロテレノール刺激サイクリックAMP形成を阻害する。
【0069】
[Ca2+の一時的増加は、好ましくは、細胞を10mMフッ化ナトリウムで10分間前処理することにより排除されるか、またはその一時的増加は、細胞を蛋白質キナーゼCのアクチベーター、好ましくは、ホルボールミリスチン酸アセテート(PMA)、メゼレインまたは(−)−インドラクタムVで簡単に(10分未満)前処理することにより減少する。
【0070】
B.カルシリティック
化合物がカルシウムレセプターにおいて細胞外カルシウムの活性を遮断する能力は、本明細書の開示に基づいて標準的技術を用いて測定することができる。(また、Nemethら、PCT/US93/01642、国際公開番号WO94/18959を参照のこと)。例えば、副甲状腺細胞に関して用いた場合に、細胞外カルシウムの効果を遮断する化合物は、インビトロで副甲状腺細胞で試験した場合に、以下の1またはそれ以上の、好ましくはすべての特徴を有する:
1.化合物は、部分的または完全に、高濃度の細胞外Ca2+の次の能力を遮断する:
(a)[Ca2+を増加させ、
(b)細胞内Ca2+を移動させ、
(c)イノシトール−1,4,5−トリホスフェートの形成を増加させ、
(d)ドーパミン刺激またはイソプロテレノール刺激サイクリックAMP形成を減少させ、および
(e)PHT分泌を阻害する;
2.化合物は、細胞外Ca2+またはカルシミメティック化合物により惹起された、ウシまたはヒトの副甲状腺細胞由来のポリ(A)−mRNAを注入したXenopus卵母細胞におけるCl 流の増加を遮断するが、水または肝mRNAを注入したXenopus卵母細胞では遮断しない;
3.同様に、副甲状腺細胞からのクローン化カルシウムレセプターを用いると、化合物は、細胞外Ca2+またはカルシミメティック化合物により惹起される、カルシウムレセプターをコードする特異的cDNA、mRNAまたはcRNAを注入したXenopus卵母細胞における応答を遮断するであろう。
【0071】
カルシウム応答細胞における、好ましくはカルシウムレセプターにおけるCa2+活性を遮断する化合物の定義は、本明細書に記載の実施例およびNemethら、PCT/US93/01642、国際公開番号WO94/18959から明らかである。
【0072】
III.疾患または障害の治療
無機イオンレセプター活性を調節しうる化合物を用いて治療することができる疾患または障害は、1またはそれ以上の次のタイプのものを含む:(1)異常な無機イオンホメオスタシス、好ましくはカルシウムホメオスタシスにより特徴づけられるもの;(2)その産生が無機イオンレセプター活性、好ましくはカルシウムレセプター活性により影響されうる、異常な量の細胞外または細胞内メッセンジャーにより特徴づけられるもの;(3)それ自体が無機イオンレセプター活性、好ましくはカルシウムレセプター活性により改良されうる細胞内または細胞外メッセンジャーの異常な効果(例えば、種類または程度の異なる効果)により特徴づけられるもの;および(4)無機イオンレセプター活性、好ましくはカルシウムレセプター活性の調節が有利な効果を発揮するであろう他の疾患または障害、例えば、レセプター活性により刺激される細胞内または細胞外メッセンジャーの産生が異常な量の異なるメッセンジャーを補う疾患または障害を包含する。その分泌および/または効果が無機イオンレセプター活性を調節することにより影響されうる細胞外メッセンジャーの例は、無機イオン、ホルモン、神経伝達物質、成長因子およびケモカインを包含する。細胞内メッセンジャーの例は、cAMP、cGMP、IPおよびジアシルグリセロールを包含する。
【0073】
好ましい態様において、化合物は、異常な骨およびミネラルのホメオスタシス、さらに好ましくはカルシウムのホメオスタシスにより特徴づけられる疾患または障害の治療に用いられる。細胞外Ca2+は厳重なホメオスタシスの制御下にあり、血液凝固、神経または筋肉興奮性、および適当な骨形成などの種々のプロセルを制御する。異常なカルシウムホメオスタシスは、次の1またはそれ以上の活性により特徴づけられる:(1)血清カルシウムの異常な増加または減少;(2)尿排泄におけるカルシウムの異常な増加または減少;(3)例えば、骨ミネラル密度測定により検査される骨中カルシウムレベルの異常な増加または減少;(4)食物カルシウムの異常な吸収;(5)副甲状腺ホルモンおよびカルシトニンのような、血清中カルシウム濃度に影響を及ぼすメッセンジャーの産生および/または放出の異常な増加または減少;および(6)血清中カルシウムレベルに影響を及ぼすメッセンジャーにより惹起される応答の異常な変化。カルシウムホメオスタシスのこれらの異なる態様における異常な増加または減少は、一般母集団において起こるものに対して相対的であり、一般に疾患または障害に付随する。
【0074】
異常なカルシウムホメオスタシスにより特徴づけられる疾患および障害は、不完全なカルシウムレセプター活性、カルシウムレセプターの不完全な数、またはカルシウムレセプターにより作用する不完全な細胞内蛋白質などの、種々の細胞性欠損によるものでありうる。例えば、副甲状腺細胞において、カルシウムレセプターはG蛋白質に結合しており、これはサイクリックAMP産生を阻害する。G蛋白質の欠損は、それがサイクリックAMP産生を阻害する能力に影響を及ぼしうる。
【0075】
カルシウムレセプター活性を調節することにより治療することのできる疾患または障害は当該技術分野において知られている。例えば、カルシウムレセプター活性を調節することにより治療しうる疾患または障害は、カルシウムレセプター活性により制御される細胞の機能応答に基づいて同定することができる。
【0076】
カルシウムレセプターにより制御される細胞の機能応答は当該技術分野において知られており、副甲状腺細胞によるPTH分泌、C−細胞によるカルシトニン分泌および破骨細胞による骨吸収が含まれる。そのような機能応答は、種々の疾患または障害に付随する。例えば、副甲状腺機能亢進症は血漿中PTHの高いレベルを生ずる。PTHの血漿中レベルを低下させることは、副甲状腺機能亢進症を治療する有効な手段を付与する。同様に、カルシトニンの血漿中レベルの増加は骨吸収の阻害を伴う。骨吸収の阻害は骨粗鬆症の有効な治療法である。すなわち、カルシウムレセプター活性の調節を用いて副甲状腺機能亢進症および骨粗鬆症のような障害を治療することができる。
【0077】
それらの無機イオンレセプター活性、好ましくはカルシウムレセプター活性を調節する化合物を用いて、種々の疾患または障害を患っている患者に有益な効果を付与することができる。例えば、骨粗鬆症は、骨質量の減損および骨折の危険性の増加により特徴づけられる年齢関連障害である。化合物を用いて、直接的に(例えば、破骨細胞イオノミティック化合物)または内因性カルシトニンレベルを上げることにより間接的に(例えば、C−細胞カルシミメティック)、破骨細胞性骨吸収を遮断することができる。別法として、副甲状腺細胞のカルシウムレセプターに対して活性なカルシリティックは、副甲状腺ホルモンの循環レベルを増加させ、骨形成を刺激するであろう。これら3種の方法はすべて、骨粗鬆症を患っている患者に対して有益な効果をもたらすであろう。
【0078】
さらに、PTHを断続的に低用量で投与することが、骨質量および適当な骨再造形に同化作用の効果をもたらすことが知られている。すなわち、副甲状腺ホルモンの一時的な増加を誘起する化合物および投与方法(例えば、副甲状腺細胞イオノリティックの断続的投与)は、骨粗鬆症を患っている患者の骨質量を増加させることができる。
【0079】
疾患または障害に伴う、カルシウムレセプター活性により制御されるさらなる細胞機能応答を識別することにより、さらなる疾患および障害を識別することができる。他の無機イオンレセプターを調節することにより治療しうる疾患または障害は、類似する様式で識別することができる。
【0080】
カルシウムレセプターを有する細胞を標的とすることにより、本発明によって種々の疾患を治療することができる。例えば、原発性副甲状腺機能亢進症(HPT)は、高カルシウム血症および異常に高いレベルの循環PTHにより特徴づけられる。主たる型のHPTに付随する欠損は、細胞外Ca2+による負のフィードバック制御に対する副甲状腺細胞の感受性が減少することである。すなわち、原発性HPTを患っている患者の組織においては、細胞外Ca2+についての「セットポイント」は右側にシフトし、このためPTH分泌を抑制するのに正常な濃度よりもより高い濃度の細胞外Ca2+が必要とされる。さらに、原発性HPTにおいては、高濃度の細胞外Ca2+であっても、しばしば、PTH分泌を部分的にしか抑制しない。二次性(尿毒症)HPTにおいては、たとえCa2+がPTH分泌を抑制する程度が正常であっても、細胞外Ca2+に関するセットポイントが同様に増加することが観察される。PTH分泌の変化は[Ca2+の変化と平行であり;細胞外Ca2+誘発性の[Ca2+の増加についてのセットポイントは右側にシフトし、そのような増加の程度は低下する。
【0081】
二次性HPTを患っている患者は、腎骨異形成症をも有しているかもしれない。カルシミメティックは、このような患者における異常なPTH分泌および骨異形成症の両方を治療するのに有用であると思われる。
【0082】
細胞外Ca2+の作用を模倣する化合物は、原発性および二次性HPTの両方の長期管理において有益である。このような化合物は、高カルシウム血症のみでは達することができない、PTH分泌を抑制するのに要求される起動力を付加し、このことにより高カルシウム血症を緩解する手助けとなる。細胞外Ca2+よりもより大きな効力を有する化合物は、副甲状腺の腺腫により引き起こされる原発性HPTの主たる形態において特に問題となるPTH分泌の見かけ上抑制できない成分を克服するかもしれない。別法としてまたは付加的に、慢性の高カルシウム血症がウシおよびヒトの腺腫副甲状腺組織においてpreproPTH mRNAのレベルを抑制することが知られているため、このような化合物は、PTHの合成を抑制することができる。慢性の高カルシウム血症もまた、インビトロで副甲状腺細胞の増殖を抑制し、したがって、カルシミメティックはまた、二次性HPTに特徴的な副甲状腺細胞の過形成を制限するのに効果的でありうる。
【0083】
副甲状腺細胞以外の細胞は、細胞外Ca2+濃度の生理学的変化に直接応答することができる。例えば、甲状腺の傍濾胞細胞(C−細胞)からのカルシトニン分泌は、細胞外Ca2+の濃度の変化により制御される。
【0084】
単離された破骨細胞は、部分的には、細胞内Ca2+の移動により生じる、対応する[Ca2+の増加と共に、細胞外Ca2+の濃度の増加に応答する。破骨細胞における[Ca2+の増加は骨吸収の阻害に付随する。骨形成性骨芽細胞からのアルカリ性ホスファターゼの放出は、カルシウムにより直接刺激される。
【0085】
PTH分泌と同様に、腎臓の傍糸球体細胞からのレニン分泌は、細胞外Ca2+の濃度増加により低下する。細胞外Ca2+はこれらの細胞において細胞内Ca2+の移動を引き起こす。他の腎細胞は以下のようにカルシウムに応答する:
Ca2+の増加は近位細管細胞による1,25(OH)−ビタミンDの形成を阻害し、遠位細管細胞におけるカルシウム結合蛋白質の産生を刺激し、Ca2+およびMg2+の管再吸収およびヘレンわなの太い上行リム(MTAL)上のバソプレシンの作用を阻害し、皮質収集管細胞におけるバソプレシン作用を減少させ、腎糸球体の血管における血管平滑筋細胞に影響を与える。
【0086】
カルシウムはまた、腸杯状細胞、乳房細胞および皮膚細胞の分化を促進し;心房からの心房性ナトリウム排泄増加性ペプチド分泌を阻害し;血小板におけるcAMP蓄積を減少させ;ガストリンおよびグルカゴン分泌を変化させ;血管平滑筋細胞に作用して血管作動性因子の細胞分泌を改変し;および中枢神経系および末梢神経系の細胞に影響を及ぼす。
【0087】
Ca2+は、細胞内シグナルとしてのその遍在する役割に加えて、また細胞外シグナルとして機能し、ある種の特定の細胞の応答を制御する。本発明の化合物は、これらの細胞におけるCa2+応答の混乱に伴う疾患または障害の治療に用いることができる。
【0088】
影響を受けた細胞に基づいて、治療または予防されるであろう特定の疾患および障害としてはまた、以下のものが挙げられる:発作、卒中、脳損傷、脊髄損傷、心拍停止または胎児仮死におけるような低酸素症誘発の神経系損傷、癲癇、アルツハイマー病、ハンチントン病およびパーキンソン病のような神経変性疾患、痴呆、筋肉緊張、鬱病、不安、パニック症、強迫障害、外傷後ストレス障害、精神分裂症、神経弛緩性悪性症候群およびトウレット症候群のような中枢神経系の疾患;不適当なADH分泌(SIADH)の症候群、硬変、うっ血性心不全およびネフローゼなどの、過剰量の水の再吸収が関与する疾患;高血圧症;カチオン性抗生物質(例えば、アミノグリコシド抗生物質)からの腎毒性の予防および/または減少;下痢および痙攣性結腸などの腸運動性障害;GI潰瘍疾患;サルコイドーシスなどの過剰なカルシウム吸収を伴うGI疾患;および自己免疫疾患および器官移植拒絶反応。
【0089】
本発明のカルシウムレセプター調節化合物は、典型的には、ヒト患者の治療に用いられるが、他の霊長類、ブタ、ウシおよび家禽類などの家畜動物、およびウマ、イヌおよびネコなどのスポーツ動物およびペットなどの温血動物種における類似または同一の疾患の治療に用いることもできる。
【0090】
IV.投与法
本発明に記載の化合物は、全身性および局所性投与を含む種々の投与方法用に処方することができる。技法および処方は、一般に、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Co.、ペンシルベニア州、イーストン、1990に見いだすことができる(本明細書の一部としてここに引用する)。
【0091】
適当な投与形は、部分的には、用途または投与経路、例えば、経口的、経皮的または注射(非経口)によるかに依存する。そのような投与形は、標的細胞が多細胞宿主中にあっても培養物であっても、該化合物を標的とする細胞に到達させることを可能とするものでなければならない。例えば、血流中に注射される医薬化合物または組成物は可溶性でなければならない。他の因子は当該技術分野において知られており、例えば、毒性および化合物または組成物がその効果を発揮することを遅らせる投与形などの事柄が含まれる。
【0092】
化合物はまた、薬学的に許容される塩およびその複合体として処方することもできる。薬学的に許容される塩は、投与する量および濃度において非毒性の塩である。このような塩の製造により、その生理学的効果を発揮することを妨げることなく、化合物の物理的特徴を変えることにより薬理学的使用を容易にすることができる。物理的特性の有用な変形には、融点を下げて粘膜を介する投与を容易にすること、溶解性を上げて高濃度の薬の投与を容易にすることを包含する。
【0093】
種々の化合物の薬学的に許容しうる塩は、複合体として存在していてもよい。複合体の例としては、8−クロロテオフィリン複合体(例えば、ジメンヒドリネート:ジフェンヒドラミン 8−クロロテオフィリン(1:1)複合体;ドラマミンに類似)および種々のシクロデキストリン封入複合体が挙げられる。
【0094】
薬学的に許容される塩としては、酸付加塩、例えば硫酸塩、塩酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩およびキニン酸塩を含有するものが挙げられる。薬学的に許容される塩は、塩酸、マレイン酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、フマル酸、およびキニン酸のような酸から得ることができる。
【0095】
薬学的に許容される塩にはまた、カルボン酸またはフェノール等の酸性官能基が存在する場合には、塩基性付加塩、例えばベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、アルキルアミン、および亜鉛を含有するものが含まれる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Co.、ペンシルベニア州、イーストン、p.1445、1990を参照のこと。そのような塩は、適当な対応する塩基を用いて製造することができる。
【0096】
薬学的に許容される塩は標準的な技術により調製することができる。例えば、遊離塩基の形態の化合物を適当な溶媒、例えば適当な酸を含有する水性溶液または水性アルコール溶液に溶解し、次にその溶液を蒸発させることにより単離する。他の例においては、有機溶媒中、遊離塩基を酸と反応させることにより塩を調製する。(例えばPCT/US92/03736を参照のこと。この記載を本明細書の一部としてここに引用する)。
【0097】
さらに、担体または賦形剤を用いて化合物の投与を容易にすることができる。担体および賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース、グルコースまたはシュークロースなどの種々の糖類、または種々の澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコールおよび生理学的に適合する溶媒が挙げられる。生理学的に適合する溶媒の例としては、注射用水(WFI)、食塩水およびデキストロースの無菌溶液が挙げられる。
【0098】
化合物は、静脈内、腹腔内、皮下および筋肉内、経口、局所(経皮)または経粘膜を含む種々の経路により投与することができる。全身的投与の場合、経口投与が好ましい。経口投与の場合、例えば、化合物を慣習的な経口用量形態、例えば、カプセル、錠剤、およびシロップ、エリキシルおよび濃縮ドロップ等の液体調製物に製剤化することができる。
【0099】
あるいは、注射(非経口投与)、例えば、筋肉内、静脈内、腹腔内および/または皮下注射を用いてもよい。注射の場合、本発明の化合物を液体溶液、好ましくは生理学的に適合する緩衝液、例えばハンク(Hank)溶液またはリンゲル(Ringer)溶液中で製剤化する。さらに、化合物を固体形に製剤化し、使用する直前に再溶解するかまたは懸濁させてもよい。凍結乾燥形を製造することもできる。
【0100】
全身的投与はまた、経粘膜または経皮的手段により行うことができる。経粘膜または経皮投与の場合、浸透させるバリアーに適当な浸透剤を処方に用いる。このような浸透剤は、一般に当該技術分野において知られており、例えば、経粘膜投与では、胆汁塩およびフシジン酸誘導体が含まれる。さらに、洗浄剤を用いて浸透を促進してもよい。経粘膜投与は、例えば、経鼻スプレー、頬または舌下錠、直腸座薬または膣座薬を用いて行うことができる。
【0101】
局所投与の場合、当該技術分野において一般に知られているように、本発明の化合物を軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに製剤化することができる。
【0102】
投与されるべき種々の化合物の量は、化合物のIC50、EC50、生物学的半減期、患者の年齢、サイズおよび体重、その患者に関連する疾患または障害等の因子を考慮して決定することができる。これらの因子または考慮すべき他の因子は当業者に知られている。一般に、その量は、治療されるべき動物の体重1kg当たり、約0.01と50mg/kg、好ましくは0.01と20mg/kgである。
【実施例】
【0103】
V.実施例
本発明の異なった特色および態様を例示している実施例が以下に提供される。これらの実施例は特許請求された発明を制限することを意図しているものではない。これらの実施例に含まれているものは本明細書に記載したそれぞれ異なった化合物を合成するために使用できる技術を例示した合成プロトコールである。本明細書に記載された一般式に含まれる他の化合物は標準的な技術を用いて製造できるであろう。
【0104】
実施例1.カルシウムレセプターのアッセイ
カルシウムレセプター活性を調節する異なった化合物の能力はこの実施例に記載されている。カルシウムレセプター活性を測定するために使用できる他の方法も本分野で知られている。
【0105】
カルシウムレセプターを含んでいる組換え体HEK293 4.0−7細胞はRogersら、J.Bone Miner.Res.10 Suppl.1:S483,1995(本明細書において援用される)、により記載されているように構築された。約5μMのfruo−3/AMを含む、20mM HEPESで緩衝化したダルベッコ改良イーグル培地中、室温で細胞を1時間インキュベートすることにより組換え体細胞にfura−2を取り込ませた。細胞は続いて1mM CaClおよび1mM MgClを含む20mM HEPESで緩衝化したハンクス平衡化塩溶液で洗浄した。試験されるべき化合物を次に細胞に加え、蛍光が測定された(励起および発光波長は各々340および510nm)。表Iはそれぞれ異なった化合物の結果である。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【0108】
実施例2:26D、(R,R)−N−(1−エチル−4’−ヨードフェニル)−1−(1−ナフチル)エチルアミン塩酸塩の合成
表題化合物(26D)の合成は市販品として入手可能な4’−ヨードアセトフェノンおよび(R)−ナフチル−1−エチルアミンから形成されるイミンの還元的アミノ化による1容器、2工程反応により達成された。ジアステレオ選択的なイミンの還元は以前に報告されているような条件(Tetrahedron Lett.(1985)41,6005−6011)と類似の条件下で実施された。無水EtOH(5mL)中、4’−ヨードアセトフェノン(0.25g,1.0mmol)、(R)−ナフチル−1−エチルアミン(0.17g,1.0mmol)およびTi(i−PrO)(0.38mL,1.1mmol)の混合物を18時間還流した。次にジエチル−1,4,−ジヒドロ−2,6−ジメチル−3,5−ピリジンデカルボキシレート(0.25g,1.0mmol)およびMg(ClO(0.22g,1.0mmol)を反応混合物に加え、さらに18時間還流を続けた。反応混合物は室温まで冷却し、HO(3mL)およびジエチルエーテル(10mL)を加えて混合物を遠心分離し(3000rpm)、無機の塩を除去した。デカントして上清液をペレットから分離し、減圧下で揮発成分を除去した。得られた残渣のシリカゲルクロマトグラフィーを行うと(1%MeOH/CHCl)、精製された生成物が遊離塩基として得られた。この物質はその塩酸塩に変換された。この塩をCHCl/ヘキサンから再結晶するとGC/MS的に純粋な物質が得られた。
【0109】
実施例3:26E、(R,R)−N−(1−エチル−4’−エトキシ−3’−メチルフェニル)−1−(1−ナフチル)エチルアミン塩酸塩の合成
表題化合物(26E)の合成は3工程、2容器反応で達成された。市販品として入手可能な4−ヒドロキシ−3−メチルアセトフェノンはヨウ化エチル/KCO/アセトンでO−アルキル化された。このケトンは続いてTi(i−PrO)存在下、(R)−ナフチル−1−エチルアミンと反応させてイミンを生成させた。このイミンはラネーニッケルによる触媒的水素添加により高いジアステレオ選択性収率で還元された。
【0110】
4−ヒドロキシ−3−メチルアセトフェノン(2.0g,11.2mmol)、(R)−ナフチル−1−エチルアミン(2.0g,11.2mmol)、Ti(i−PrO)(4.2mL,14.1mmol)およびEtOH(10mL)の混合物を60℃で18時間攪拌した。反応混合物をパールの水素化フラスコに移してラネーニッケル(100mg;EtOHで洗浄、3x20mL)を加え、混合物は50psig、25℃で4時間水素化した。続いて反応混合物を濾過し(セライト/フリット化ガラス)、触媒を洗浄して(EtOH、20mL)、濾液を減圧下で蒸発させると粗生成物が得られた。この物質はシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した(2%MeOH/CHCl)。遊離塩基をその塩酸塩に変換すると1.1g(27%)の白色固形物が得られた。
【0111】
実施例4:26F、(R,R)−N−(1−プロピル−4’−メトキシ−3’−メチルフェニル)−1−(1−ナフチル)エチルアミン塩酸塩の合成
表題化合物(26F)の合成は4工程、3容器反応で達成された。市販品として入手可能な3−メチル−p−アニスアルデヒドとエチルマグネシウムブロミドを反応させるとそのフェニルプロパノール誘導体が得られた。次にこのアルコールはPCCを用いる通常の様式で対応するケトンに酸化された。このケトンは続いてTi(i−PrO)存在下、(R)−ナフチル−1−エチルアミンと反応させてイミンを生成させた。このイミンはラネーニッケル存在下、触媒的水素添加により高いジアステレオ選択性収率で還元された。
【0112】
26Eの合成と同様の様式で、4−メトキシ−3−メチルプロピオフェノン(5.7g,31.7mmol)、(R)−ナフチル−1−エチルアミン(5.2mL,31.7mmol)、Ti(i−PrO)(11.8mL,39.6mmol)およびEtOH(30mL)を上記のように反応させてイミンを形成させ、続いてラネーニッケルを用い触媒的水素化条件下で還元した。粗生成物はシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した(10:1ヘキサン/EtOAcで溶出)。遊離塩基をその塩酸塩に変換すると、0.50g(4%)の白色固形物が得られた。
【0113】
実施例5:26G、(R,R)−N−(1−エチル−4’−メトキシ−3’−ブロモフェニル)−1−(1−ナフチル)エチルアミン塩酸塩の合成
表題化合物(26G)の合成は4工程、3容器反応で達成された。市販品として入手可能な3−ブロモ−4−メトキシベンズアルデヒドとメチルマグネシウムブロミドを反応させるとそのフェニルエタノール誘導体が得られた。次にこのアルコールはピリジニウム クロロクロメート(PCC)を用いる通常の様式で対応するケトンに酸化された。このケトンは続いてTi(i−PrO)存在下、(R)−ナフチル−1−エチルアミンと反応させてイミンを生成させた。このイミンはジエチル−1,4,−ジヒドロ−2,6−ジメチル−3,5−ピリジンデカルボキシレートを用いて高いジアステレオ選択性収率で還元された。
【0114】
26Dの合成と同様の様式で、無水EtOH(100mL)中、3−ブロモ−4−メトキシアセトフェノン(3.0g,13.1mmol)、(R)−ナフチル−1−エチルアミン(2.1mL,13.1mmol)およびTi(i−PrO)(4.7mL,15.7mmol)の混合物をMg(ClO存在下、ジエチル−1,4,−ジヒドロ−2,6−ジメチル−3,5−ピリジンデカルボキシレートで還元した。得られた粗生成物はその塩酸塩に変換された。塩はジエチルエーテル/ヘキサンから沈澱させることにより精製され、GC/MS的に純粋な物質が白色固形物として得られた(0.6g,11%)。
【0115】
実施例6:26H、26I、および26J、(R)−N−(3−フェニル−2−プロペニル)−1−(1−ナフチル)エチルアミン塩酸塩、(R)−N−(2−メチル−3−フェニル−2−プロペニル)−1−(1−ナフチル)エチルアミン塩酸塩および(R)−N−(2−メトキシ−3−フェニル−2−プロペニル)−1−(1−ナフチル)エチルアミン塩酸塩の合成
表題化合物の合成は2工程、1容器反応で達成された。各々市販品として入手可能なシンナムアルデヒド、2−メチル−トランス−シンナムアルデヒドおよび2−メトキシシンナムアルデヒドをTi(i−PrO)存在下、(R)−ナフチル−1−エチルアミンと反応させてイミンを生成させた。これらのイミンをシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元すると表題化合物が高い全収率で得られた。
【0116】
実施例7:物理的データ
表IIは本明細書に記載したいくつかの化合物の物理的データを示している。ガスクロマトグラフィーおよび質量スペクトルデータは5971シリーズ質量選択的検出器を備えたHewlett−Packrd 5890シリーズIIガスクロマトグラフで得られた[ウルトラ−2 ウルトラ パフォーマンス キャピラリー カラム(架橋5% PhMeシリコン);カラム長、25m、カラム内径、0.20mm、フィルム厚さ、0.33μm;He流速、60mL/分;インジェクター温度、250℃;温度プログラム、125から325℃を20℃/分で10分、続いて325℃で6分]。
【0117】
【表3】

【0118】
その他のガスクロマトグラフィーおよび質量スペクトルデータは5971シリーズ質量選択的検出器を備えたHewlett−Packrd 5890シリーズIIガスクロマトグラフで得られた[ウルトラ−2 ウルトラ パフォーマンス キャピラリー カラム(架橋5% フェニルメチルシリコン);カラム長、25m、カラム内径、0.20mm、フィルム厚、0.33μm;He流速、60mL/分;インジェクター温度、250℃;温度プログラム、125から325℃を20℃/分で10分、続いて325℃で6分]。
【0119】
【表4】

【0120】
【表5】

【0121】
【表6】

【0122】
【表7】

【0123】
【表8】

【0124】
【表9】

【0125】
【表10】

【0126】
他の態様も以下の特許請求の範囲の範囲内である。すなわち、いくつかの態様を示し記載してきたが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく種々の改変を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1は、種々のイオノミメティック化合物の化学構造を示す。
【図2】図2は、種々のイオノミメティック化合物の化学構造を示す。
【図3】図3は、種々のイオノミメティック化合物の化学構造を示す。
【図4】図4は、種々のイオノミメティック化合物の化学構造を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、Arは随意に置換されたナフチル、随意に置換されたフェニルまたは随意に置換されたヘテロ環式アリールであり、ここで五つまでの置換基が存在してもよく、および各々の置換基は独立して、アルキル、アルケニル、ハロゲン、アルコキシ、チオアルキル、メチレンジオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、OH、CHOH、CONH、CN、アセトキシ、N(アルキル)、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、α,α−ジメチルベンジル、NO、CHO、CHCH(OH)、アセチル、OCHCOOHおよびエチレンジオキシから成る群より選択される;
Arは随意に置換されたナフチル、随意に置換されたフェニルまたは随意に置換されたヘテロ環式アリールであり、ここで五つまでの置換基が存在してもよく、および各々の置換基は独立して、アルキル、アルケニル、ハロゲン、アルコキシ、チオアルキル、メチレンジオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、OH、CHOH、CONH、CN、OCHCOOH、エチレンジオキシおよびアセトキシから成る群より選択される;
qは0、1、2または3であり;
はHまたはアルキルであり;および
およびRは各々独立して、水素、アルキルであるか、または一緒になってシクロアルキルまたはシクロアルケニルである]
を有する無機イオンレセプター調節化合物およびその薬学的に許容される塩および複合体であって;
ここで前記化合物は1またはそれ以上の無機イオンレセプター活性を調節するイオノミメティックであることを特徴とする化合物。
【請求項2】
Arが前記随意に置換されたヘテロ環式アリールである請求項第1項に記載の化合物。
【請求項3】
前記随意に置換されたヘテロ環式アリールである前記Arが、フラニル、チオフラニル、ベンゾフラニルまたはベンゾチオフラニルから成る群より選択される請求項第2項に記載の化合物。
【請求項4】
およびRは、各々独立して、水素、アルキルまたは一緒になってシクロアルキルであり、ただしRおよびRの少なくとも一つは水素ではなく;ここで前記化合物は1またはそれ以上のカルシウムレセプター活性を調節するカルシミメティックである、請求項第3項に記載の化合物。
【請求項5】
が水素ではない請求項第4項に記載の化合物。
【請求項6】
およびRが両方ともメチルである請求項第5項に記載の化合物。
【請求項7】
が水素である請求項第1−5項に記載の化合物。
【請求項8】
がアルキルである請求項第1−7項に記載の化合物。
【請求項9】
前記Rアルキルが2以上の炭素原子を有する請求項第8項に記載の化合物。
【請求項10】
が水素である請求項第1−7項に記載の化合物。
【請求項11】
Arが置換フェニルである請求項第1−10項に記載の化合物。
【請求項12】
前記Ar置換フェニルが、一つから四つの独立して選択される置換基を有し、ただし少なくとも一つの置換基がメタ位に位置している、請求項第11項に記載の化合物。
【請求項13】
前記Ar置換フェニルが、イソプロピル、CHO、CHS、CFO、Br、I、Cl、F、CFおよびCHから成る群より独立して選択される一つから四つの置換基を有する請求項第11項に記載の化合物。
【請求項14】
前記Ar置換フェニルが、イソプロピル、CHO、CHS、CFO、Br、I、Cl、F、CFおよびCHから成る群より独立して選択される一つから四つの置換基を有し、だだし少なくとも一つの置換基がメタ位に位置している、請求項第11項に記載の化合物。
【請求項15】
Arが前記随意に置換されたナフチルである請求項第1−8項に記載の化合物。
【請求項16】
Arが無置換ナフチルである請求項第15項に記載の化合物。
【請求項17】
Arが置換ナフチルである請求項第15項に記載の化合物。
【請求項18】
前記Ar置換ナフチルが一つから四つの独立して選択される置換基を有する請求項第17項に記載の化合物。
【請求項19】
前記Ar置換ナフチルが、イソプロピル、CHO、CHS、CFO、Br、I、Cl、F、CFおよびCHから成る群より独立して選択される一つから四つの置換基を有する請求項第17項に記載の化合物。
【請求項20】
前記Ar置換ナフチルが、イソプロピル、CHO、CHS、CFO、Br、I、Cl、F、CFおよびCHから成る群より選択される一つの置換基を有する請求項第17項に記載の化合物。
【請求項21】
qが2である請求項第1−20項に記載の化合物。
【請求項22】
qが0である請求項第1−20項に記載の化合物。
【請求項23】
式:
【化2】

[式中、Arは随意に置換されたナフチル、随意に置換されたフェニルまたは随意に置換されたヘテロ環式アリールであり、ここで五つまでの置換基が存在してもよく、および各々の置換基は独立して、アルキル、アルケニル、ハロゲン、アルコキシ、チオアルキル、メチレンジオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、OH、CHOH、CONH、CN、アセトキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、α,α−ジメチルベンジル、NO、CHO、CHCH(OH)、N(アルキル)、アセチル、OCHCOOHおよびエチレンジオキシから成る群より選択される;
Arは随意に置換されたナフチル、随意に置換されたフェニルまたは随意に置換されたヘテロ環式アリールであり、ここで五つまでの置換基が存在してもよく、および各々の置換基は独立して、アルキル、アルケニル、ハロゲン、アルコキシ、チオアルキル、メチレンジオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、OH、CHOH、CONH、CN、OCHCOOH、エチレンジオキシおよびアセトキシから成る群より選択される;
およびRは各々独立して、水素、アルキル、アルケニルであるか、または一緒になってシクロアルキルまたはシクロアルケニルであり;
は水素、アルキルまたはフェニルであり;
は水素またはアルキルであり;
は水素、アルキルまたはフェニルである]
を有する無機イオンレセプター調節化合物およびその薬学的に許容される塩および複合体であって、
ここで前記化合物は1またはそれ以上の無機イオンレセプター活性を調節するイオノミメティックであることを特徴とする化合物。
【請求項24】
Arが前記随意に置換されたヘテロ環式アリールであり;
およびRは、各々独立して水素、アルキルまたは一緒になってシクロアルキルであり、ただしRおよびRの少なくとも一つは水素ではなく;
は水素であり;
は水素であり;および
は水素または低級アルキルであり;
ここで前記化合物は1またはそれ以上のカルシウムレセプター活性を調節するカルシミメティックである、請求項第23項に記載の化合物。
【請求項25】
が水素ではない請求項第24項に記載の化合物。
【請求項26】
およびRが両方ともメチルである請求項第25項に記載の化合物。
【請求項27】
が水素である請求項第23−25項に記載の化合物。
【請求項28】
がアルキルである請求項第23−27項に記載の化合物。
【請求項29】
前記Rアルキルが2以上の炭素原子を有する請求項第28項に記載の化合物。
【請求項30】
が水素である請求項第23−27項に記載の化合物。
【請求項31】
Arが置換フェニルである請求項第23−30項に記載の化合物。
【請求項32】
前記Ar置換フェニルが一つから四つの独立して選択される置換基を有し、ただし少なくとも一つの置換基がメタ位に位置している、請求項第31項に記載の化合物。
【請求項33】
前記Ar置換フェニルが、イソプロピル、CHO、CHS、CFO、Br、I、Cl、F、CFおよびCHから成る群より独立して選択される一つから四つの置換基を有する請求項第31項に記載の化合物。
【請求項34】
前記Ar置換フェニルが、イソプロピル、CHO、CHS、CFO、Br、I、Cl、F、CFおよびCHから成る群より独立して選択される一つから四つの置換基を有し、ただし少なくとも一つの置換基がメタ位に位置している、請求項第31項に記載の化合物。
【請求項35】
Arが前記随意に置換されたナフチルである請求項第23−30項に記載の化合物。
【請求項36】
Arが無置換ナフチルである請求項第35項に記載の化合物。
【請求項37】
Arが置換ナフチルである請求項第35項に記載の化合物。
【請求項38】
前記Ar置換ナフチルが一つから四つの独立して選択される置換基を有する請求項第37項に記載の化合物。
【請求項39】
前記Ar置換ナフチルが、イソプロピル、CHO、CHS、CFO、Br、I、Cl、F、CFおよびCHから成る群より各々選択される一つから四つの独立して選択される置換基を有する請求項第38項に記載の化合物。
【請求項40】
前記Ar置換ナフチルが、イソプロピル、CHO、CHS、CFO、Br、I、Cl、F、CFおよびCHから成る群より選択される一つの置換基を有する請求項第30項に記載の化合物。
【請求項41】
25Z、26A、26B、26C、26D、26E、26F、26G、26H、26I、26J、26K、26L、26M、26N、26O、26P、26Q、26R、26S、26T、26U、26V、26W、26X、26Y、26Z、27K、27L、27M、27N、27H、28Kおよびそれらの薬学的に許容される塩および複合体から成る群より選択されるカルシウムレセプター活性化合物。
【請求項42】
前記化合物が26A、26D、26Fおよび26Gから成る群より選択される請求項第41項に記載の化合物。
【請求項43】
請求項第1−42項の化合物および薬学的に許容される担体から成る医薬組成物。
【請求項44】
患者に治療有効量の請求項第1−42項の化合物を投与する工程から成る、そのような処置を必要としている患者の処置法。
【請求項45】
前記疾患が(1)異常なカルシウムホメオスタシス;および(2)その生成がカルシウムレセプター活性により影響されうる細胞外または細胞内メッセンジャーの異常な量;の片方または両方により特徴付けられ;かつ前記化合物がカルシミメティックである請求項第44項に記載の方法。
【請求項46】
前記疾患が、原発性および二次性副甲状腺機能亢進症、ページェット病、悪性高カルシウム血症、骨粗鬆症、高血圧症および腎性骨形成異常症から成る群より選択される請求項第44項に記載の方法。
【請求項47】
前記疾患が原発性および二次性副甲状腺機能亢進症から成る群より選択される請求項第46項に記載の方法。
【請求項48】
患者に有効量の請求項第1−42項の化合物を投与する工程から成る患者の血清PTHを減少させる方法。
【請求項49】
血漿Ca2+の減少を起こすのに十分な程度まで血清PTHレベルを減少させる請求項第48項に記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−115184(P2008−115184A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313755(P2007−313755)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【分割の表示】特願平9−539231の分割
【原出願日】平成9年4月30日(1997.4.30)
【出願人】(505166351)エヌピーエス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】NPS PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】