説明

無線タグ通信システム

【課題】 通信対象である無線タグの正確な位置を簡便に検出し得る無線タグ通信システムを提供する。
【解決手段】 所定の基準位置に対して位置固定に設けられる第1の無線タグ14と、その基準位置に対して移動可能である第2の無線タグ16と、前記第1の無線タグ14及び第2の無線タグ16との間で情報の通信を行う無線タグ通信装置12とを、含み、その無線タグ通信装置12は、前記第1の無線タグ14及び第2の無線タグ16との間で情報の通信を行うことにより、前記基準位置に対するその第1の無線タグ14の位置を判定すると共に、その第1の無線タグ14の位置に基づいて前記基準位置に対する前記第2の無線タグ16の位置を判定するものであることから、前記基準位置に対して無線タグ通信装置12が移動したとしても、前記第1の無線タグ14との相対位置関係から前記第2の無線タグ16の位置を好適に検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の無線タグとの間で非接触にて情報の通信を行う無線タグ通信システムの改良に関し、特に、通信対象である無線タグの正確な位置を検出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の情報が記憶された小型の無線タグ(応答器)から所定の無線タグ通信装置(質問器)により非接触にて情報の読み出しを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。このRFIDシステムは、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても無線タグ通信装置との通信によりその無線タグに記憶された情報を読み出すことが可能であることから、商品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
【0003】
斯かるRFIDシステムの一利用形態として、物品管理等への実用が考えられている。例えば、特許文献1に記載されたRFIDを利用する物品検索方法がそれであり、この技術によれば、管理の対象である物品それぞれに上記無線タグを貼り付け、それら無線タグとの間で情報の通信を行うことにより、好適に物品の検索乃至は管理ができるとされている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−271229号公報
【0005】
しかし、前記従来の技術では、無線タグ通信装置から送信される電波(送信信号)の指向性を変化させて目的の無線タグを検索するものであったことから、例えば、検索に用いられる無線タグ通信装置が携帯式のハンディリーダである場合等においては、そのハンディリーダが移動することにより通信対象である無線タグの相対方向が変化してしまい、検索が困難になるという弊害があった。また、物品の配設位置を管理する場合等においては、手動による登録等の作業が必要とされることが考えられ、煩雑であり実用に適さなかった。このため、通信対象である無線タグの正確な位置を簡便に検出し得る無線タグ通信システムの開発が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、通信対象である無線タグの正確な位置を簡便に検出し得る無線タグ通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、所定の無線タグとの間で非接触にて情報の通信を行う無線タグ通信システムであって、所定の基準位置に対して位置固定に設けられる第1の無線タグと、その第1の無線タグとの間で情報の通信を行う無線タグ通信装置とを、含み、その無線タグ通信装置は、前記第1の無線タグ及び第2の無線タグとの間で情報の通信を行うことにより、前記基準位置に対するその第1の無線タグの位置を判定すると共に、その第1の無線タグの位置に基づいて前記基準位置に対する前記無線タグ通信装置の位置を判定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、所定の基準位置に対して位置固定に設けられる第1の無線タグと、その第1の無線タグとの間で情報の通信を行う無線タグ通信装置とを、含み、その無線タグ通信装置は、前記第1の無線タグとの間で情報の通信を行うことにより、前記基準位置に対するその第1の無線タグの位置を判定すると共に、その第1の無線タグの位置に基づいて前記基準位置に対するその無線タグ通信装置の位置を判定するものであることから、前記基準位置に対して無線タグ通信装置が移動したとしても、前記第1の無線タグとの相対位置関係から前記無線タグ通信装置の位置を好適に検出できる。すなわち、前記無線タグ通信装置の正確な位置を簡便に検出し得る無線タグ通信システムを提供することができる。
【0009】
ここで、好適には、前記基準位置に対して移動可能であり、前記無線タグ通信装置と情報の通信を行う第2の無線タグを更に含み、その無線タグ通信装置の位置に基づいて、前記基準位置に対する前記第2の無線タグの位置を判定するものである。このようにすれば、前記第1の無線タグに対する前記第2の無線タグの相対位置を好適に検出できる。また、前記基準位置に対する第1の無線タグの位置を前記無線タグ通信装置に予め登録しておくことで、検出された第2の無線タグの位置を手動により登録するなどの煩雑な作業を行わずに済む。すなわち、通信対象である無線タグの正確な位置を簡便に検出し得る無線タグ通信システムを提供することができる。
【0010】
また、好適には、前記基準位置に対する前記第1の無線タグの位置を記憶するための記憶装置を含むものである。このようにすれば、前記基準位置に対する前記第1の無線タグの位置を実用的な態様で管理することができる。
【0011】
また、好適には、前記記憶装置は、前記基準位置に対する前記第2の無線タグの位置を記憶するものである。このようにすれば、前記基準位置に対する前記第2の無線タグの位置を実用的な態様で管理することができる。
【0012】
また、好適には、前記記憶装置は、前記基準位置に対する前記第1の無線タグの位置及び第2の無線タグの位置を相互に関連付けて記憶するものである。このようにすれば、前記基準位置に対する前記第1の無線タグ及び第2の無線タグの位置を実用的な態様で管理することができる。
【0013】
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記基準位置に対する前記第1の無線タグの位置又は第2の無線タグの位置を表示する表示部を有するものである。このようにすれば、前記基準位置に対する前記第2の無線タグの位置を視覚的に確認できる。
【0014】
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記第1の無線タグとの間の情報の通信と、前記第2の無線タグとの間の情報の通信とを交互に行うものである。このようにすれば、実用的な態様で前記第1の無線タグ及び第2の無線タグの間での通信の重畳を防止できる。
【0015】
また、好適には、前記第1の無線タグとの間で情報の通信を行うための送信信号の強度は、前記第2の無線タグとの間で情報の通信を行うための送信信号の強度よりも大きいものである。このようにすれば、前記第1の無線タグ及び第2の無線タグの間で通信範囲に区別をつけることができることに加え、複数の第1の無線タグと通信を行うことが容易とされる。
【0016】
また、好適には、前記第1の無線タグの通信可能距離は、前記第2の無線タグの通信可能距離よりも大きいものである。このようにすれば、前記第1の無線タグ及び第2の無線タグの間で通信範囲に区別をつけることができることに加え、複数の第1の無線タグと通信を行うことが容易とされる。
【0017】
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、前記無線タグからの返信信号の強度を検出する信号強度検出部を有するものであり、複数の前記第1の無線タグから返信信号が受信された場合には、それら複数の前記第1の無線タグに対応して前記信号強度検出部により検出される信号強度に基づいて前記基準位置に対する位置を判定するものである。このようにすれば、前記基準位置に対する位置を確実に検出することができる。
【0018】
また、好適には、前記無線タグ通信装置は、予め定められた関係から前記複数の前記第1の無線タグそれぞれに対応して前記信号強度検出部により検出される信号強度に基づいてそれら複数の第1の無線タグ相互間における前記第2の無線タグの位置を判定するものである。このようにすれば、前記基準位置に対する位置を実用的な態様でより正確に検出することができる。
【0019】
また、好適には、前記第1の無線タグ及び第2の無線タグは、返信信号を返信すべきコマンドがそれぞれ別個に予め定められたものである。このようにすれば、実用的な態様で前記第1の無線タグ及び第2の無線タグの間での通信の重畳を防止できる。
【0020】
また、好適には、前記第1の無線タグは、電源装置を有するアクティブタグである。このようにすれば、前記第1の無線タグの通信可能距離を延ばすことができ、第1の無線タグの設置数を少なくすることができる。
【0021】
また、好適には、前記第2の無線タグは、所定の物品を管理するためにその物品に貼り付けられて用いられるものである。このようにすれば、実用的な態様で前記物品の配設位置等を管理することができる。
【0022】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0023】
図1は、本発明の一実施例である無線タグ通信システム10(以下、通信システム10と称する)を説明する図である。この通信システム10は、無線タグ通信装置12と、その無線タグ通信装置12の通信対象である複数種類(図1では2種類)の無線タグ14、16とから構成される所謂RFID(Radio Frequency Identification)システムであり、上記無線タグ通信装置12はそのRFIDシステムの質問器として、上記無線タグ14、16は応答器としてそれぞれ機能する。すなわち、上記無線タグ通信装置12から送信信号である質問波Fが上記無線タグ14、16に向けて送信されると、その質問波Fを受信した上記無線タグ14、16において所定の情報信号(データ)によりその質問波Fが変調され、返信信号である応答波Fra、Frb(以下、特に区別しない場合には単に応答波Fと称する)として上記無線タグ通信装置12に向けて返信されることで、その無線タグ通信装置12と無線タグ14、16との間で情報の通信が行われる。ここで、上記無線タグ通信装置12は、所定の基準位置に対して移動可能に設けられてた携帯式無線タグ通信装置(ハンディリーダ)であり、利用者18は前記無線タグ通信装置12を携帯し、その画面を参照しながら前記無線タグ14、16の検出を行う。また、前記無線タグ14、16には各々異なるIDが割り付けられており、斯かるIDに基づいてそれぞれの無線タグを識別することが可能とされている。
【0024】
上記通信システム10は、上記無線タグ通信装置12の通信対象として、単数乃至は複数(図1では単数)の第1の無線タグ14と、同様に単数乃至は複数(図1では単数)の第2の無線タグ16とを含んで構成されている。この第1の無線タグ14は、好適には、所定の基準位置(例えば、本実施例の通信システム10が適用される室等)に対して位置固定に設けられて所定の場所を示す場所情報を有するタグであり、以下の説明では場所タグ14と称する。また、上記第2の無線タグ16は、好適には、所定の物品20を管理するためにその物品20に貼り付けられて用いられる、その物品20を管理するための管理情報を有するタグであり、以下の説明では物品タグ16と称する。これら場所タグ14及び物品タグ16は、返信信号を返信すべきコマンドがそれぞれ別個に予め定められたものである。また、通信システム10には、上記場所タグ14及び上記物品タグ16の情報を関連付けて記憶するための記憶装置98を備えたサーバ96が設けられており、そのサーバ96は、ネットワーク13を介して前記無線タグ通信装置12と相互に情報の遣り取りが可能とされている。
【0025】
図2は、前記無線タグ通信装置12の外観を説明する平面図であり、図3は、図2を矢印IIIの方向から見た背面図である。これらの図2及び図3に示すように、前記無線タグ通信装置12は、本体ユニット22及びその本体ユニット22に着脱可能に設けられたアンテナユニット24から成る。この本体ユニット22は、筐体26と、その筐体26の平面部に設けられた表示部28と、その平面部における表示部28の側方に設けられた操作部30と、ブザー、アラーム、或いはチャイムスピーカ等の音声発生装置32とを、備えて構成されている。上記操作部30は、所定のキー、ボタン、スイッチ、或いはパッド等の入力装置を備えており、それらの入力装置によって上記表示部28の表示や上記無線タグ14、16との通信に係わる様々な操作を行い得るようになっている。
【0026】
前記アンテナユニット24は、前記無線タグ14、16との間で非接触にて情報の通信を行うために、それら無線タグ14、16に向けて所定の質問波Fを送信すると共に、その質問波Fに応じてそれら無線タグ14、16から返信される応答波Fを受信するための送受信共用のアンテナ34がユニット基部36から左右に張り出すように設けられている。このアンテナ34は、例えば、比較的狭い指向性を有する単峰性アンテナであり、指向特性を細く絞った所謂ペンシルビーム形状とすることによりピンポイントに前記無線タグ14、16の検出を行い得るように構成されている。
【0027】
図4は、前記無線タグ通信装置12の構成を説明する図である。この図4に示すように、前記無線タグ通信装置12は、前記無線タグ14、16に所定の質問波Fを送信するための送信部(送信回路)38と、その送信部38から送信される質問波Fに応じて前記無線タグ14、16から返信される応答波Fを処理するための受信部(ホモダイン検波回路)40と、上記送信部38及び受信部40を介して通信対象である前記無線タグ14、16との間の情報通信を制御する制御部42と、その制御部42からの指令に従って前記表示部28に所定の画像を表示させる画像処理部44と、所定のネットワークを介して上記制御部42をサーバ96等に接続するための無線LAN通信部46とを、備えて構成されている。上記制御部42は、CPU、ROM、及びRAM等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータである。
【0028】
上記送信部38は、前記質問波Fの主搬送波の基準周波数を発生させる基準周波数発生部48と、その基準周波数発生部48により発生させられる基準周波数と上記制御部42からの制御信号とに基づいて主搬送波の周波数を設定するPLL(Phase Locked Loop)50と、その主搬送波の周波数をPLL50からの制御電圧に応じて制御するVCO(Voltage Controlled Oscillator)52と、そのVCO52により制御された所定の周波数の主搬送波を上記制御部42から供給される所定の制御信号TX‐ASKに基づいて変調する送信信号変調部54と、その送信信号変調部54からの出力信号を所定の制御信号TX‐PWRに基づいて増幅して上記アンテナ34に供給する送信信号増幅部56とを、備えており、その送信信号増幅部56から出力される送信信号は、送受信分離部62を介して上記アンテナ34から前記質問波Fとして前記無線タグ14、16に向けて送信される。ここで、上記送受信分離部62としては、サーキュレータ若しくは方向性結合器等が好適に用いられる。
【0029】
前記受信部40は、前記アンテナ34により受信され上記送受信分離部62を介して供給される前記無線タグ14、16からの受信信号を互いに直交するI相信号及びQ相信号に変換するI相信号変換部58及びQ相信号変換部60と、そのI相信号変換部58から出力されるI相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するI相信号BPF64と、そのI相信号BPF64から出力されるI相信号を増幅するI相信号増幅部66と、上記Q相信号変換部60から出力されるQ相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するQ相信号BPF68と、そのQ相信号BPF68から出力されるQ相信号を増幅するQ相信号増幅部70と、上記I相信号BPF64及びQ相信号BPF68から出力されるI相信号及びQ相信号の強度を検出する信号強度検出部であるRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路72とを、備えており、上記I相信号増幅部66、Q相信号増幅部70、及びRSSI回路72から出力される信号は、前記制御部42において処理されて所定の情報信号が読み出される。
【0030】
図5は、前記場所タグ14の外観を示す平面図であり、図6は、その場所タグ14の構成を説明する図である。これらの図5及び図6に示すように、前記場所タグ14は、前記無線タグ通信装置12との間で信号の送受信を行うためのダイポールアンテナ等のアンテナ部74と、そのアンテナ部74により受信された信号を処理するためのIC回路部76とを、備えて構成されている。そのIC回路部76は、上記アンテナ部74により受信された前記無線タグ通信装置12からの質問波Fを整流する整流部78と、その整流部78により整流された質問波Fのエネルギを蓄積するための電源部80と、上記アンテナ部74により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部88に供給するクロック抽出部82と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部84と、上記アンテナ部74に接続されて信号の変調及び復調を行う変復調部86と、上記整流部78、クロック抽出部82、及び変復調部86等を介して上記場所タグ14の作動を制御するための制御部88とを、機能的に含んでいる。この制御部88は、前記無線タグ通信装置12と通信を行うことにより上記メモリ部84に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部74により受信された質問波Fを上記変復調部86において上記メモリ部84に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで応答波Fとして上記アンテナ部74から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0031】
図7は、前記物品タグ16の外観を示す平面図であり、図8は、その物品タグ16の構成を説明する図である。これらの図7及び図8に示すように、前記物品タグ16は、前記無線タグ通信装置12との間で信号の送受信を行うためのダイポールアンテナ等のアンテナ部92と、そのアンテナ部92により受信された信号を処理するためのIC回路部94とを、備えて構成されている。このIC回路部94は、前述した整流部78、電源部80、クロック抽出部82、メモリ部84、変復調部86、及び制御部88を機能的に含んでおり、前記場所タグ14のIC回路部76と同様に、前記無線タグ通信装置12と通信を行うことにより上記メモリ部84に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部92により受信された質問波Fを上記変復調部86において上記メモリ部84に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで応答波Fとして上記アンテナ部92から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0032】
前記場所タグ14は、好適には、図6に示すように所定の電源装置90を外付けで備えており、前記IC回路部76は、斯かる電源装置90から電力の供給を受けるための電極を備えている。また、前記IC回路部76の電源部80は、整流部78により整流された質問波Fのエネルギの他に、その電源装置90から供給されるエネルギを電源として用い得るように構成されている。すなわち、前記場所タグ14は、好適には、所定の電源装置90を備え、その電源装置90から供給されるエネルギにより作動するセミパッシブタグ乃至はアクティブタグである。また、前記場所タグ14に備えられたアンテナ部74は、前記物品タグ16に備えられたアンテナ部92よりも大きいものとされている。これらの構成により、前記場所タグ14の通信可能距離は、前記物品タグ16の通信可能距離よりも大きいものとされている。なお、前記物品タグ16は、前記無線タグ通信装置12から送信される質問波Fを作動のためのエネルギとして用いるパッシブタグである。
【0033】
図9は、前記無線タグ通信装置12の制御部42による前記無線タグ14、16の検出制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。この制御では、先ず、図11に詳しく示すステップ(以下、ステップを省略する)SAにおいて、前記場所タグ14の読み取り制御が実行される。次に、図12に詳しく示すSBにおいて、前記物品タグ16の読み取り制御が実行される。次に、SCにおいて、SA及びSBにて読み取られた情報の関連付け制御が実行された後、本ルーチンが終了させられる。
【0034】
図10は、前記無線タグ通信装置12による前記無線タグ14、16からの情報の読み取りについて説明する図である。上述した図9及びこの図10に示すように、前記無線タグ通信装置12は、前記場所タグ14との間の情報の通信と、前記物品タグ16との間の情報の通信とを交互に行うものである。すなわち、先ず、前記場所タグ14との間で情報の通信を行うために、その場所タグ14が返信信号を返信すべきコマンドとして例えばロケーションコードを抽出するためのタグ種別フラグが「1」であるコマンドを含む質問波Fを送信して、前記場所タグ14との間で情報の通信を行った後、前記物品タグ16との間で情報の通信を行うために、その物品タグ16が返信信号を返信すべきコマンドとして例えば物品コードを抽出するためのタグ種別フラグが「0」であるコマンドを含む質問波Fを送信して、前記物品タグ16との間で情報の通信を行う。このようにすることで、前記場所タグ14と物品タグ16とで別々に通信処理を行うことができ、それら場所タグ14のデータ及び物品タグ16のデータを相互に関連付けることができる。
【0035】
図11に示す前記場所タグ14の読み取り制御では、先ず、SA1において、前記場所タグ14のIDをリストアップする「Ping(1)」処理が実行される。この処理は、タグIDの一部を指定し、指定されたIDを含む全てのタグからの返信を受ける所謂「Ping」コマンドを、タグIDの先頭が「1」であることを指定して使用するものである。この処理を用いることで、通信範囲内に複数の場所タグ14が存在する場合でも、全ての場所タグ14をリストアップすることが可能とされる。次に、SA2において、SA1にて前記場所タグ14がリストアップされたか否かが判断される。このSA2の判断が否定される場合には、それをもって図9に示すメインルーチンへ復帰させられるが、SA2の判断が肯定される場合には、SA3において、前記アンテナ34により受信された前記場所タグ14からの返信信号が前記受信部40により処理され、前記場所タグ14に記憶されたロケーションコードが抽出される。次に、SA4において、SA3にて抽出されたロケーションコードに基づいて前記場所タグ14のロケーション及び前記場所タグ14に対する無線タグ通信装置12自身のロケーションが決定された後、図9に示すメインルーチンへ復帰させられる。
【0036】
図12に示す前記物品タグ16の読み取り制御では、先ず、SB1において、前記物品タグ16のIDをリストアップする「Ping(0)」処理が実行される。この処理は、前記「Ping」コマンドを、タグIDの先頭が「0」であることを指定して使用するものである。この処理を用いることで、通信範囲内に複数の物品タグ16が存在する場合でも、全ての物品タグ16をリストアップすることが可能とされる。次に、SB2において、SB1にて前記物品タグ16がリストアップされたか否かが判断される。このSB2の判断が否定される場合には、それをもって図9に示すメインルーチンへ復帰させられるが、SB2の判断が肯定される場合には、SB3において、前記アンテナ34により受信された前記物品タグ16からの返信信号が前記受信部40により処理され、前記物品タグ16に記憶された物品コードが抽出される。次に、SB4において、SB3にて抽出された物品コードがリストアップされた後、図9に示すメインルーチンへ復帰させられる。
【0037】
前記無線タグ通信装置12は、前記場所タグ14及び物品タグ16との間で情報の通信を行うことにより、所定の基準位置に対する前記場所タグ14の位置を判定すると共に、その場所タグ14の位置に基づいて前記基準位置に対する前記無線タグ通信装置12及び物品タグ16の位置を判定する。図9のSCに示す関連付け制御は、前記基準位置に対する前記場所タグ14の位置及び物品タグ16の位置を相互に関連付ける制御であり、そのように関連付けられた情報は、前記無線LAN通信部46を介してサーバ96の記憶装置98に記憶される。
【0038】
図13は、複数の場所タグ14及び物品タグ16の相対位置関係を例示する図であり、倉庫や図書館内において物品20m、20nを管理する態様について説明している。この態様では、場所Aを示すためのロケーションコード「Loc A」が記憶された場所タグ14aがその場所Aに、場所Bを示すためのロケーションコード「Loc B」が記憶された場所タグ14bがその場所Bに、場所Cを示すためのロケーションコード「Loc C」が記憶された場所タグ14cがその場所Cにそれぞれ位置固定に設けられている。また、物品20mを管理するための物品コード「Mat M」が記憶された物品タグ16mが貼り付けられたその物品20mが上記場所Aに設置されると共に、物品20nを管理するための物品コード「Mat N」が記憶された物品タグ16nが貼り付けられたその物品20nが上記場所B及び場所Cの中ほどに設置されている。
【0039】
前記無線タグ通信装置12による検出制御では、好適には、先ず、前記場所タグ14の情報読み取り制御を行うことにより、所定の基準位置に対する前記場所タグ14の位置及び前記無線タグ通信装置12の位置を判定した後、前記物品タグ16の情報読み取り制御を行い、直前に検出された場所タグ14の位置に基づいて前記基準位置に対する前記物品タグ16の位置を判定する。ここで、好適には、複数の前記場所タグ14から返信信号が受信された場合には、信号強度検出部である前記RSSI回路72により検出される信号強度に基づいて前記基準位置に対する物品タグ16の位置を判定するものである。例えば、図14に示すように、前記場所タグ14の情報読み取り制御によりロケーションコード「Loc A」が記憶された場所タグ14aから信号強度「10」の返信があった後、前記物品タグの情報読み取り制御により「Mat M」の物品コードが読み出された場合、前記無線タグ通信装置12は場所Aに近い位置に存在し、その「Mat M」の物品コードが記憶された物品タグ16mもまた、場所Aに近い位置に配設されているものと判定される。また、前記場所タグ14の情報読み取り制御によりロケーションコード「Loc B」が記憶された場所タグ14bから信号強度「3」の返信があると共に、ロケーションコード「Loc C」が記憶された場所タグ14cから信号強度「5」の返信があった後、前記物品タグの情報読み取り制御により「Mat N」の物品コードが読み出された場合、前記無線タグ通信装置12は場所B及び場所Cの間における場所C寄りの位置に位置に存在し、その「Mat N」の物品コードが記憶された物品タグ16nもまた、場所B及び場所Cの間における場所Cよりの位置に配設されているものと判定される。このロケーション決定については、図26等を用いて後述する。
【0040】
図15は、前記無線タグ通信装置12の制御部42による前記基準位置に対する前記場所タグ14の位置及び物品タグ16の位置を相互に関連付けて記憶する登録制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。この制御では、先ず、前述した図11に詳しく示すSAにおいて、前記場所タグ14の読み取り制御が実行される。次に、前述した図12に詳しく示すSBにおいて、前記物品タグ16の読み取り制御が実行される。次に、前述したSCにおいて、SA及びSBにて読み取られた情報の関連付け制御が実行される。次に、S1aにおいて、SBでリストアップされたタグの数がnに代入され、続くS1bにおいて、 n=0であるか否かが判断される。このS1bの判断が肯定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S1bの判定が否定される場合は、S1において、リストのn番目のタグに対して、例えば、図16に示すように、SAにて読み取られたロケーションコード、SBにて読み取られた物品コード(タグID)、その物品コードに対応する物品名、及び読み取られた日時等が前記表示部28に相互に関連付けられて表示される。次に、S2において、前記操作部30等を介してスキャン操作が行われたか否かが判断される。このS2の判断が肯定される場合には、リストを作り直すためにSA以下の処理が再び実行されるが、S2の判断が否定される場合には、S3において、前記操作部30等を介して登録操作が行われたか否かが判断される。このS3の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S3の判断が肯定される場合には、S4において、SCにて相互に関連付けられた前記基準位置に対する前記場所タグ14の位置及び物品タグ16の位置等の情報が前記無線LAN通信部46等を介して前記サーバ96の記憶装置98に記憶(登録)された後、S4aにおいて、次のタグを選択する操作が行われたか否かが判断される。このS4aの判断が肯定される場合には、S4bにおいて、nから1が減算された後、S1bにおいて、リストアップされた次のタグの登録操作が行われる。S4aの判断が否定される場合は、S2以降の処理が再び実行される。以上の登録制御により、例えば、図17に示すようなデータベース100が前記サーバ96の記憶装置98に形成される。
【0041】
図18は、前記無線タグ通信装置12の制御部42による前記無線タグ14、16の検索制御、及びその検索結果の前記表示部28への表示制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。この制御では、先ず、S5において、所定の一覧から検索対象である物品(物品名)が絞り込まれる。次に、S6において、S5にて絞り込まれた物品名に対応する物品コード(タグID)が決定される。次に、S7において、前記操作部30等を介して検索の行われる登録場所が読み込まれる。次に、S8において、S7にて読み込まれた登録場所を示す画面が前記表示部28に表示される。図19は、このS8において前記表示部28に表示される画像の一例を示している。次に、前述した図11に詳しく示すSAにおいて、前記場所タグ14の読み取り制御が実行される。次に、S9において、SAにて読み取られたロケーションコードがS7にて読み込まれた登録場所を示すものであるか否かが判断される。このS9の判断が否定される場合には、SA以下の処理が再び実行されるが、S9の判断が肯定される場合には、S10において、前記無線タグ通信装置12がS7にて読み込まれた登録場所に位置することを示す「ここです報知」が前記表示部28に表示される。図20は、このS10において前記表示部28に表示される画像の一例を示しており、この画面では、「Loc A」等の登録場所を示す欄が点滅させられると共に、画面下部に「ここです!」という文字テロップが点滅させられる。次に、前述した図12に詳しく示すSBにおいて、前記物品タグ16の読み取り制御が実行される。次に、S11において、SBにて読み取られた物品コードがS6にて決定された検索対象の物品を示すものであるか否かが判断される。このS11の判断が否定される場合には、SB以下の処理が再び実行されるが、S11の判断が肯定される場合には、S12において、前記無線タグ通信装置12がS6にて決定された検索対象である物品に接近したことを示す「これです報知」が前記表示部28に表示された後、本ルーチンが終了させられる。図21は、このS11において前記表示部28に表示される画像の一例を示しており、この画面では、「物品1」等の検索対象の物品名を示す欄が点滅させられると共に、画面下部に「これです!」という文字テロップが点滅させられる。
【0042】
図22は、前記無線タグ通信装置12の制御部42による位置検出制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。この制御では、先ず、S13において、前述したようにIDをリストアップする「Ping(1)」の処理が実行される。次に、S14において、前記場所タグ14が発見されたか否か、すなわち前記場所タグ14から応答波Fの返信があったか否かが判断される。このS14の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S14の判断が肯定される場合には、S15において、発見された場所タグ14は1つであるか否か、すなわち1つの場所タグ14から応答波Fの返信があったか否かが判断される。このS15の判断が肯定される場合には、S16において、前記アンテナ34により受信された前記場所タグ14からの返信信号が前記受信部40により処理され、その場所タグ14の情報が前記サーバ96の記憶装置98等に記憶された後、本ルーチンが終了させられるが、S15の判断が否定される場合には、S17において、発見された場所タグ14は2つであるか否か、すなわち2つの場所タグ14から応答波Fの返信があったか否かが判断される。このS17の判断が否定される場合には、S17aにおいて、発見された場所タグのうちRSSI値の大きなものから2つが選択された後、SDの処理が実行される。S17の判断が肯定される場合には、図23に詳しく示すSDにおいて、ロケーション決定制御が行われる。そして、S18において、SDにて決定された場所(ロケーション)の情報が前記サーバ96の記憶装置98等に記憶された後、本ルーチンが終了させられる。
【0043】
図23に示すロケーション決定制御は、上述した図22に示す制御において、2つの場所タグ14として、ロケーションコード「Loc B」が記憶された場所タグ14b及びロケーションコード「Loc C」が記憶された場所タグ14cが選択された場合の制御を示している。この制御では、先ず、SD1において、前記RSSI回路72により検出される前記場所タグ14bからの応答波Fの受信信号強度RSSI(B)及び場所タグ14cからの応答波Fの受信信号強度RSSI(C)に基づいて、図23に示す(1)式からR(B)が、(2)式からR(C)がそれぞれ算出される。次に、SD2において、ロケーションが「B R(B) C R(C)」と決定された後、図22に示すメインルーチンへ復帰させられる。以上のようにして決定されるロケーションは、図24に示すように、2つの場所タグ14の間における位置を表現するものであり、ロケーションコード「Loc B」が記憶された場所タグ14bが設置された場所からロケーションコード「Loc C」が記憶された場所タグ14cが設置された場所までの間の位置が「B9C1」、「B8C2」、「B7C3」、・・・、「B3C7」、「B2C8」、「B1C9」の座標でそれぞれ表されるようになっている。このように、前記無線タグ通信装置12は、予め定められた関係から前記RSSI回路72により検出される2つの場所タグ14の信号強度に基づいてその無線タグ通信装置12自身乃至は物品タグ16等の詳細な位置(座標)を検出することができるのである。
【0044】
図25は、目的物(目的となる物品タグ16)を特定した場合の、前記無線タグ通信装置12の制御部42による前記無線タグ14、16の検索制御、その検索結果の前記表示部28への表示制御、及び前記基準位置に対する前記場所タグ14の位置及び物品タグ16の位置を相互に関連付けて記憶する登録制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。この制御において、前記場所タグ14との間で情報の通信を行うための送信信号の強度は、前記物品タグ16との間で情報の通信を行うための送信信号の強度よりも大きいものとされる。すなわち、先ず、S19aにおいて、目的物が特定され、続くS19bにおいて、目的物に張られている物品タグのIDとその目的物の場所を示す場所タグとして登録されている場所タグのIDが読み出される。次に、S19において、前記送信部38から送信される送信信号の強度が比較的大きい設定「POWER=HIGH」とされる。次に、前述した図11に詳しく示すSAにおいて、前記場所タグ14の読み取り制御が実行される。次に、S20において、前記送信部38から送信される送信信号の強度が比較的小さい設定「POWER=LOW」とされる。次に、前述した図12に詳しく示すSBにおいて、前記物品タグ16の読み取り制御が実行される。次に、S21において、目的の場所タグ14及び目的の物品タグ16が発見されたか否かが判断される。このS21の判断が肯定される場合には、S22において、前述した図20に示すような「ここです報知」が前記表示部28に表示され、S23において、前述した図21に示すような「これです報知」が前記表示部28に表示された後、本ルーチンが終了させられるが、S21の判断が否定される場合には、S24において、目的の場所タグ14が発見されたか否かが判断される。このS24の判断が肯定される場合には、S25において、前述した図20に示すような「ここです報知」が前記表示部28に表示された後、S19以下の処理が再び実行されるが、S24の判断が否定される場合には、S26において、目的の物品タグ16が発見されたか否かが判断される。このS26の判断が否定される場合には、S19以下の処理が再び実行されるが、S26の判断が肯定される場合には、S27において、目的場所エラーであることを示す画面が前記表示部28に表示される。図26は、このS27において前記表示部28に表示される目的場所エラー画面を例示する図である。次に、S28において、前記サーバ96の記憶装置98に記憶されたデータベース100の内容が更新される。そして、S29において、前述した図21に示すような「これです報知」が前記表示部28に表示された後、本ルーチンが終了させられる。
【0045】
このように、本実施例によれば、所定の基準位置に対して位置固定に設けられる第1の無線タグ14と、その第1の無線タグ14との間で情報の通信を行う無線タグ通信装置12とを、含み、その無線タグ通信装置12は、前記第1の無線タグ14との間で情報の通信を行うことにより、前記基準位置に対するその第1の無線タグ14の位置を判定すると共に、その第1の無線タグ14の位置に基づいて前記基準位置に対する前記無線タグ通信装置12の位置を判定するものであることから、前記基準位置に対して無線タグ通信装置12が移動したとしても、前記第1の無線タグ14との相対位置関係から前記無線タグ通信装置12の位置を好適に検出できる。すなわち、通信対象である無線タグ14の正確な位置を簡便に検出し得る無線タグ通信システム10を提供することができる。
【0046】
また、前記基準位置に対して移動可能であり、前記無線タグ通信装置12と情報の通信を行う第2の無線タグ16を更に含み、その無線タグ通信装置12の位置に基づいて、前記基準位置に対する前記第2の無線タグ16の位置を判定するものであるため、前記第1の無線タグ14に対する前記第2の無線タグ16の相対位置を好適に検出できる。また、前記基準位置に対する第1の無線タグ14の位置を前記無線タグ通信装置12に予め登録しておくことで、検出された第2の無線タグ16の位置を手動により登録するなどの煩雑な作業を行わずに済む。すなわち、通信対象である無線タグの正確な位置を簡便に検出し得る無線タグ通信システムを提供することができる。
【0047】
また、前記基準位置に対する前記第1の無線タグ14の位置を記憶するための記憶装置98を含むものであるため、前記基準位置に対する前記第1の無線タグ14の位置を実用的な態様で管理することができる。
【0048】
また、前記記憶装置98は、前記基準位置に対する前記第2の無線タグ16の位置を記憶するものであるため、前記基準位置に対する前記第2の無線16タグの位置を実用的な態様で管理することができる。
【0049】
また、前記記憶装置98は、前記基準位置に対する前記第1の無線タグ14の位置及び第2の無線タグ16の位置を相互に関連付けて記憶するものであるため、前記基準位置に対する前記第1の無線タグ14及び第2の無線タグ16の位置を実用的な態様で管理することができる。
【0050】
また、前記無線タグ通信装置12は、前記基準位置に対する前記第1の無線タグ14の位置及び第2の無線タグ16の位置を表示する表示部28を有するものであるため、前記基準位置に対する前記第2の無線タグ16の位置を視覚的に確認できる。
【0051】
また、前記無線タグ通信装置12は、前記第1の無線タグ14との間の情報の通信と、前記第2の無線タグ16との間の情報の通信とを交互に行うものであるため、実用的な態様で前記第1の無線タグ14と第2の無線タグ16との関連付けを行うことができる。
【0052】
また、前記第1の無線タグ14との間で情報の通信を行うための送信信号の強度は、前記第2の無線タグ16との間で情報の通信を行うための送信信号の強度よりも大きいものであるため、前記第1の無線タグ14及び第2の無線タグ16の間で通信範囲に区別をつけることができる。
【0053】
また、前記第1の無線タグ14の通信可能距離は、前記第2の無線タグ16の通信可能距離よりも大きいものであるため、前記第1の無線タグ14及び第2の無線タグ16の間で通信範囲に区別をつけることができる。
【0054】
また、前記無線タグ通信装置12は、前記無線タグ14、16からの返信信号の強度を検出する信号強度検出部であるRSSI回路72を有するものであり、複数の前記第1の無線タグ14から返信信号が受信された場合には、前記RSSI回路72により検出される信号強度に基づいて前記基準位置に対する位置を判定するものであるため、前記基準位置に対する位置を更に確実に検出することができる。
【0055】
また、前記無線タグ通信装置12は、予め定められた関係から前記複数の前記第1の無線タグ14それぞれに対応する前記RSSI回路72により検出される信号強度に基づいてそれら複数の第1の無線タグ14相互間における前記第2の無線タグ16の位置を判定するものであるため、前記基準位置に対する位置を実用的な態様で確実に検出することができる。
【0056】
また、前記第1の無線タグ14及び第2の無線タグ16は、返信信号を返信すべきコマンドがそれぞれ別個に予め定められたものであるため、実用的な態様でそれら第1の無線タグ14及び第2の無線タグ16の間での通信の重畳を防止できる。
【0057】
また、前記第1の無線タグ14は、電源装置90を有するアクティブタグであるため、その第1の無線タグ14の通信可能距離を前記第2の無線タグ16の通信可能距離に比べて延ばすことができる。
【0058】
また、前記第2の無線タグ16は、所定の物品20を管理するためにその物品20に貼り付けられて用いられるものであるため、実用的な態様で前記物品20の配設位置等を管理することができる。
【0059】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0060】
例えば、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、予め定められた関係から2つの場所タグ14それぞれに対応する前記RSSI回路72により検出される信号強度に基づいてそれら場所タグ14相互間における直線上の位置を判定するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、3つ以上の場所タグ14を検出することで平面的(二次元的)な位置を判定するものであってもよい。図27は、前記場所タグ14が平面的に配設された様子を例示する図であり、ロケーションコード「Loc A1」が記憶された場所タグ14a1、ロケーションコード「Loc A2」が記憶された場所タグ14a2、ロケーションコード「Loc A3」が記憶された場所タグ14a3、・・・、ロケーションコード「Loc B1」が記憶された場所タグ14b1、ロケーションコード「Loc B2」が記憶された場所タグ14b2、ロケーションコード「Loc B3」が記憶された場所タグ14b3、・・・、ロケーションコード「Loc C1」が記憶された場所タグ14c1、ロケーションコード「Loc C2」が記憶された場所タグ14c2、ロケーションコード「Loc C3」が記憶された場所タグ14c3、・・・が碁盤目状に位置固定に設けられている。この態様において、図28に示す位置に配設された物品1に貼り付けられた物品タグ16の位置を検出するには、上記場所タグ14a2、14b1、14b2それぞれに対応して前記RSSI回路72により検出される信号強度に基づいて、予め定められた関係からそれら場所タグ14相互間における平面上の位置を判定する。例えば、上記場所タグ14a2に対応する受信信号強度がA2(3)、場所タグ14b1に対応する受信信号強度がB1(1)、場所タグ14b2に対応する受信信号強度がB2(5)であった場合には、前記物品タグ16は、上記場所タグ14a2、14b1、14b2相互間において、上記場所タグ14b2に比較的近く、続いて場所タグ14a2に近く、場所タグ14b1から比較的遠い場所に位置するものと判定される。このようにすれば、前記基準位置に対する平面的な位置を実用的な態様で確実に検出することができる。また、4つ以上の場所タグ14それぞれに対応する前記RSSI回路72により検出される信号強度に基づいてそれら場所タグ14相互間における空間的(三次元的)な位置を判定する態様も考えられる。
【0061】
また、前述の実施例では、所定の基準位置に対して移動可能に設けられたハンディリーダである無線タグ通信装置12を用いた通信システム10の利用態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定の場所に対して位置固定に設けられた据置式リーダを用いた通信システムにも、本発明は好適に適用されるものである。
【0062】
また、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、前記無線タグ14、16に関する情報を表示させるための表示部28を一体的に備えたものであったが、前記無線タグ通信装置12とは別体に表示装置が備えられ、その無線タグ通信装置12との間で情報の遣り取りを行うことによりその表示装置に前記無線タグ14、16に関する情報を表示させるものであっても構わない。
【0063】
また、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、前記無線タグ14、16を発見した際に、表示部28の表示を変更することで発見したことを報知するものであったが、前記無線タグ通信装置12に備えられた音声発生装置32を用いて音声等により発見を報知するものであっても構わない。
【0064】
また、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、送受信共用のアンテナ34を備えたものであったが、前記搬送波Fを送信するための送信アンテナと、前記応答波Fを受信するための受信アンテナとを、それぞれ別個に備えたものであっても構わない。また、複数のアンテナ素子を備え、フェイズドアレイ処理等によりそれらのアンテナ素子から構成されるアンテナの指向性を制御し得る態様も考えられる。
【0065】
また、前述の実施例において、前記場所タグ14は、所定の電源装置90を有するアクティブタグであったが、斯かる電源装置90を有しないパッシブタグであってもよい。また、前記物品タグ16が電源装置を有するアクティブタグであっても構わない。
【0066】
また、前述の実施例において、前記データベース100は、前記無線タグ通信装置12とは別体として設けられたものであったが、このデータベース100は、前記無線タグ通信装置12に内蔵されたものであっても構わない。また、前記データベース100は、必ずしも設けられなくともよい。
【0067】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施例である無線タグ通信システムを説明する図である。
【図2】図1の無線タグ通信システムを構成する無線タグ通信装置の外観を説明する平面図である。
【図3】図2の無線タグ通信装置を矢印IIIの方向から見た背面図である。
【図4】図2の無線タグ通信装置の構成を説明する図である。
【図5】図1の無線タグ通信システムを構成する第1の無線タグの外観を示す平面図である。
【図6】図5の無線タグの構成を説明する図である。
【図7】図1の無線タグ通信システムを構成する第2の無線タグの外観を示す平面図である。
【図8】図7の無線タグの構成を説明する図である。
【図9】図4の無線タグ通信装置の制御部による図6の無線タグ及び図8の無線タグの検出制御を説明するフローチャートであ
【図10】図4の無線タグ通信装置による図6の無線タグ及び図8の無線タグからの情報の読み取りについて説明する図である。
【図11】図9の制御の一部である図6の無線タグの情報読み取り制御について説明するフローチャートである。
【図12】図9の制御の一部である図8の無線タグの情報読み取り制御について説明するフローチャートである。
【図13】図6の無線タグ及び図8の無線タグが複数配設された態様におけるそれら無線タグの相対位置関係を例示する図である。
【図14】図4の無線タグ通信装置によるロケーション決定制御について概念的に説明する図である。
【図15】図4の無線タグ通信装置の制御部による基準位置に対する図6の無線タグの位置及び図8の無線タグの位置を相互に関連付けて記憶する登録制御を説明するフローチャートである。
【図16】図4の無線タグ通信装置の表示部に表示される登録場所を示す画面の一例である。
【図17】図1のサーバの記憶装置に記憶されたデータベースの一例である。
【図18】図4の無線タグ通信装置の制御部による図6の無線タグ及び図8の無線タグの検索制御、及びその検索結果の表示部への表示制御を説明するフローチャートである。
【図19】図4の無線タグ通信装置の表示部に表示される画面の一例である。
【図20】図4の無線タグ通信装置の表示部に表示される「ここです報知」画面の一例である。
【図21】図4の無線タグ通信装置の表示部に表示される「これです報知」画面の一例である。
【図22】図4の無線タグ通信装置の制御部による位置検出制御を説明するフローチャートである。
【図23】図22の制御の一部であるロケーション決定制御を説明するフローチャートである。
【図24】図6の無線タグが2つ配設されている相互間の直線的な相対位置を表現する符号を説明する図である。
【図25】図4の無線タグ通信装置の制御部による図6の無線タグ及び図8の無線タグの検索制御、その検索結果の表示部への表示制御、及び基準位置に対する図6の無線タグの位置及び図8の無線タグの位置を相互に関連付けて記憶する登録制御を説明するフローチャートである。
【図26】図4の無線タグ通信装置の表示部に表示される「場所エラー報知」画面の一例である。
【図27】図6の無線タグが平面的に配設された様子を例示する図である。
【図28】図27の態様において複数の図6の無線タグ相互間に配設された図8の無線タグの平面的なロケーションの決定について概念的に説明する図である。
【符号の説明】
【0069】
10:無線タグ通信システム
12:無線タグ通信装置
14:無線タグ(場所タグ)
16:無線タグ(物品タグ)
20:物品
28:表示部
72:RSSI回路(信号強度検出部)
90:電源装置
98:記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の無線タグとの間で非接触にて情報の通信を行う無線タグ通信システムであって、
所定の基準位置に対して位置固定に設けられる第1の無線タグと、
該第1の無線タグとの間で情報の通信を行う無線タグ通信装置と
を、含み、
該無線タグ通信装置は、前記第1の無線タグとの間で情報の通信を行うことにより、前記基準位置に対する該無線タグ通信装置の位置を判定するものであることを特徴とする無線タグ通信システム。
【請求項2】
前記基準位置に対して移動可能であり、前記無線タグ通信装置と情報の通信を行う第2の無線タグを更に含み、該無線タグ通信装置の位置に基づいて、前記基準位置に対する前記第2の無線タグの位置を判定するものである請求項1の無線タグ通信システム。
【請求項3】
前記基準位置に対する前記第1の無線タグの位置を記憶するための記憶装置を含むものである請求項1又は2の無線タグ通信システム。
【請求項4】
前記記憶装置は、前記基準位置に対する前記第2の無線タグの位置を記憶するものである請求項3の無線タグ通信システム
【請求項5】
前記記憶装置は、前記基準位置に対する前記第1の無線タグの位置及び第2の無線タグの位置を相互に関連付けて記憶するものである請求項4の無線タグ通信システム。
【請求項6】
前記無線タグ通信装置は、前記基準位置に対する前記第1の無線タグの位置又は第2の無線タグの位置を表示する表示部を有するものである請求項2から5の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項7】
前記無線タグ通信装置は、前記第1の無線タグとの間の情報の通信と、前記第2の無線タグとの間の情報の通信とを交互に行うものである請求項2から6の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項8】
前記第1の無線タグとの間で情報の通信を行うための送信信号の強度は、前記第2の無線タグとの間で情報の通信を行うための送信信号の強度よりも大きいものである請求項2から7の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項9】
前記第1の無線タグの通信可能距離は、前記第2の無線タグの通信可能距離よりも大きいものである請求項2から8の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項10】
前記無線タグ通信装置は、前記無線タグからの返信信号の強度を検出する信号強度検出部を有するものであり、複数の前記第1の無線タグから返信信号が受信された場合には、それら複数の前記第1の無線タグそれぞれに対応して前記信号強度検出部により検出される信号強度に基づいて前記基準位置に対する位置を判定するものである請求項2から9の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項11】
前記無線タグ通信装置は、予め定められた関係から前記複数の前記第1の無線タグそれぞれに対応して前記信号強度検出部により検出される信号強度に基づいてそれら複数の第1の無線タグ相互間における前記第2の無線タグの位置を判定するものである請求項10の無線タグ通信システム。
【請求項12】
前記第1の無線タグ及び第2の無線タグは、返信信号を返信すべきコマンドがそれぞれ別個に予め定められたものである請求項2から11の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項13】
前記第1の無線タグは、電源装置を有するアクティブタグである請求項1から12の何れかの無線タグ通信システム。
【請求項14】
前記第2の無線タグは、所定の物品を管理するために該物品に貼り付けられて用いられるものである請求項2から13の何れかの無線タグ通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−184253(P2006−184253A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381287(P2004−381287)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】