説明

無線機管理システム

【課題】各警察署で保管している警察無線の多数の無線機2を、効率よく適正に管理する。
【解決手段】無線機2にRFタグ(ICタグ)21を取り付ける。ロッカー装置1の引出しボックス11内を仕切板13仕切って、多数の収納スペースSを形成する。引出しボックス11の底にアンテナ12を配設する。アンテナ12をRFリーダ12aに接続する。ロッカー装置1の扉1aの電気錠4の解錠をカードリーダ3から読み取るIDコードの認証により制御する。RFリーダ12a、カードリーダ3、電気錠4の錠制御部41をLANでパーソナルコンピュータ(PC)10に接続する。PC10でのIDコードの入力、カードリーダ3でのIDコードの読み取りにより、ロッカー装置1の電気錠4を解錠する。無線機2のRFタグ21の識別コードをアンテナ12、RFリーダ12aを介してPC10で認識し、PC10のデータベースに持出し・返却の履歴を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警察無線の多数の無線機を管理する無線機管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、警察無線ではきわめて多数の無線機が使用されている。すなわち、日本全国の各都道府県の各警察署にはそれぞれ多数の無線機が備えられている。この無線機は警察官が勤務中に必要に応じて所持するものであるが、警察情報の漏洩を防止する上でも適正に管理することが要求される。
【0003】
また、警察無線の無線機は、例えば要人警護などの重要警備、大規模警備を行うときなどは必要数の無線機を確保するために、複数の警察署や複数の県警から無線機を集め、この集められた無線機を警護の警察官各員に配給するような運用も行われている。
【0004】
なお、本発明に関連する文献公知発明のうち、出願人が当該特許出願時に知っているものがないので、開示すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
警察無線の無線機について現状の管理運用方法では、警察署内の責任者が無線機の数量をチェックするようにしているが、管理に手間がかかるという問題がある。特に、大規模警備などのように多量に持ち出すような場合には、貸し出した無線機の所在の確認、回収等の管理は特に煩雑になり、膨大な手間がかかってしまう。
【0006】
本発明は、警察無線のきわめて多数の無線機を性格に効率よく管理できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の無線機管理システムは、固有の識別コードを記憶したRFタグが取り付けられた警察無線用の多数の無線機を管理する無線機管理システムであって、前記無線機を収納するロッカー装置であって、ボックス内部に前記RFタグの識別コードを受信するアンテナを内蔵したロッカー装置と、個人に固有のIDコードを出力するIDコード出力手段からのIDコードを入力して、該IDコードを認証して前記ロッカー装置の扉の解錠を制御する履歴付き錠装置と、前記履歴付き錠装置からの履歴情報を入力するとともに、前記ロッカー装置の前記アンテナで受信される識別コードにより、前記無線機を管理する管理手段とを備え、前記管理手段は、前記アンテナで受信される識別コードの有無と前記履歴付き錠装置からの履歴情報とにより、前記無線機を管理することを特徴とする。
【0008】
請求項2の無線機管理システムは、請求項1に記載の無線機管理システムであって、前記管理手段は、IDコードを入力するIDコード入力処理を行い、前記履歴付き錠装置は、前記IDコード出力手段からのIDコードと該管理手段におけるIDコード入力処理で入力されたIDコードとを認証することで、前記ロッカー装置の扉の解錠を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項1の無線機管理システムにおいて、ロッカー装置には無線機が収納されるが、このロッカー装置のボックス内にはアンテナが内蔵されており、このロッカー装置に無線機を収納すると、この無線機に取り付けられたRFタグの識別コードがアンテナで受信される。また、個々の無線機はその識別コードにより特定できる。したがって、管理手段は、識別コードの有無によりロッカー装置内の無線機の有無を検出することができる。また、ロッカー装置の扉は、履歴付き錠装置により解錠が制御され、履歴付き錠装置はIDカード等のIDコード出力手段からのIDコードを認証して解錠を制御する。したがって、IDコードに応じて扉を解錠または非解錠とすることができるので、ロッカー装置から無線機の取り出しをIDコードに基づいて制限するこができる。また、管理手段は、履歴付き錠装置からのIDコードに基づいて、ロッカー装置からの無線機の持ち出しの履歴をIDコードで特定される個人とともに管理できる。
【0010】
なお、複数の無線機管理システムをネットワーク等で接続することで、全国の警察署における無線機の一括集中管理することも可能であり、また、全国にわたって個々の無線機の所在も容易に判明する。
【0011】
請求項2の無線機管理システムにおいて、パーソナルコンピュータ等の管理手段のIDコード入力処理により、IDコードを入力した場合だけ、履歴付き錠装置でロッカー装置の扉の解錠制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の無線機管理システムによれば、きわめて多数の警察無線用の無線機の管理が正確で効率良くなる。
【0013】
請求項2の無線機管理システムによれば、請求項1の効果に加えて、管理手段におけるIDコード入力処理によるIDコードの入力と、履歴付き錠装置におけるIDコードの入力とを行わなければロッカー装置からの無線機の持ち出しができないので、セキュリティ性も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の無線機管理システムの実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態の無線機管理システムの概略図である。ロッカー装置1はボックスとして上下2段の引出しボックス11,11を備えており、引出しボックス11,11の内底には、底板の略同サイズのアンテナ12,12がそれぞれ配設されている。また、引出しボックス11内には縦横の仕切板13が配設されており、これにより引出しボックス11内に多数の収容スペースSが形成されている。そして、各収納スペースS内に無線機2が収納される。
【0015】
また、ロッカー装置1の前面は両開きの扉1a,1aにより開放及び戸締まり可能となっており、片側の扉1aには、ICカードからIDコードを読み取るカードリーダ3と、両扉1a,1aの施錠及び解錠を行う電気錠4とが取り付けられている。なお、電気錠4は錠制御部41に接続されている。
【0016】
無線機2の底部の所定の位置には、図に拡大図で示したようにRFタグ(ICタグ)21が取り付けられている。そして、このRFタグ21の識別コードは、アンテナ12で受信される。アンテナ12はRFリーダ12aに接続されている。パーソナルコンピュータ10は管理手段であり、このパーソナルコンピュータ10は署内に構成されたLANに接続されている。そして、RFEリーダ12a、カードリーダ3及び錠制御部41はLANを介してパーソナルコンピュータ10に接続されている。以下、パーソナルコンピュータを「PC」ともいう。
【0017】
また、カードリーダ3はPC10に接続されている。さらに、電気錠4の錠制御部41はPC10に接続されており、PC10から錠制御部41に解錠信号が入力されると電気錠4は解錠される。なお、施錠時は扉1a,1aを閉めると電気錠4は自動的に施錠し、錠制御部41からPC10に施錠信号が出力される。これにより、カードリーダ3でIDコードが読み取られてPC10に送信され、PC10でIDコードが認証されると、電気錠4は解錠する。すなわち、カードリーダ3、電気錠4及びPC10は「履歴付き錠装置」を構成している。
【0018】
ここで、RFタグ21とアンテナ12は、例えばRFID(Radio Freqency IDdentification)システムであり、RFタグは、「ICタグ」、「電波タグ」、「無線タグ」、「RFIDタグ」等と称され、内蔵するICメモリに各種のデータを記憶することができる。そして、このデータはアンテナ12により、非接触で読み取ることができる。したがって、無線機2を収納スペースS内に入れれば、その近くに設けられアンテナ12により該RFタグ21に記憶されている識別コードを受信でき、RFリーダ12a及びPC10により識別コードを読み出すことができる。
【0019】
また、この実施形態のRFIDシステムは「アンチコリジョン(衝突防止)」の機能を有しており、アンテナ12及びRFリーダ12aは、複数のRFタグ21に対して同時にデータを正しく読み出すことができる。したがって、ロッカー装置1内に無線機2が接近して配置されても、複数の無線機21の有無を検出することができる。
【0020】
ここで、各署員の指名、所属等の情報はICカードのIDコードに対応付けてPC10のデータベースに記憶されている。また、各無線機2には署内における仮の無線機番が付与されており、無線機2は、この無線機番号、その無線機が所属する警察署名、都市名、県名等は、その無線機2に対応に取り付けられているRFタグの識別コードとそれぞれ対応つけてPC10のデータベースに記憶されている。また、署員の内で無線機の持出し及び収納が許可されている署員についてはそのIDコードがPC10のデータベースに記憶(登録)されている。
【0021】
また、ロッカー装置1の引出しボックス11(及びアンテナ12)にはそれぞれ引出番号が付与されており、この引出番号とその引出しボックス11に収納されている無線機2の無線機番号とを対応つけて記憶することにより、どの無線機2がどの引出しボックス11に収納されているかを認識することができる。なお、この実施形態の説明では1台のロッカー装置1について説明するが、複数のロッカー装置1を備えていてこれらをPC10で管理してもよい。この場合には、各ロッカー装置1ごとにロッカー番号を付与することで、どのロッカー装置のどの引出しボックスにどの無線機が収納されているかも認識できる。
【0022】
図2及び図3はPC10の制御を示す要部フローチャートであり、図2はメイン処理のフローチャート、図3は持出し・収納処理のフローチャートである。同フローチャートに基づいて動作を説明する。
【0023】
図2のメイン処理はPC10で所定のアプリケーション(管理プログラム)を開始することにより起動され、ます、ステップS1で識別コード読み取り処理を行う。この識別コード読み取り処理は、アンテナ12を駆動してロッカー装置1内に収納されている無線機2のRFタグ21から全識別コードを読み取る。次に、ステップS2でデータベース更新処理を行う。このデータベース更新処理は、RFタグ21から読み取った識別コードに対応するデータベース中の各無線機の情報として、現在時刻の記録等を行う。これにより、アプリケーションの開始時(例えば事務始業時)の無線機の有無等の情報をデータベースに記憶することができる。
【0024】
次に、ステップS3で、持出し・収納処理を実行する選択の処理が有るかを判定し、選択がなければステップS4でその他の処理を行ってステップS3に戻る。持出し・収納処理の選択があれば、ステップS4で図3の持出し・収納処理を行う。
【0025】
図3の処理では、ステップS11,S12でIDコードの入力の有無または終了の指示の有無を監視する。PC10のキーボード等からIDコードの入力があれば、ステップS13で、入力されたIDコードに基づいてデータベースを参照し、入力されたIDコードが持出し及び収納が許可されている署員のIDコードとして認証がOKであるかを判定する。認証がOKでなければ、ステップS14で「許可されてません」等の表示を行ってメインルーチンに復帰する。認証がOKであれば、ステップS15で「許可されました」等の表示を行い、ステップS16に進む。
【0026】
ステップS16,S17で、ロッカー装置1側のカードリーダ3からIDコードが一定時間内に検出されるのを監視し、一定時間内にIDコードが検出されなければ、そのままメインルーチンに復帰する。一定時間内にIDコードが検出されれば、ステップS18で、そのIDコードが直前に認証したIDコードと一致するかを判定し、一致しなければそのままメインルーチンに復帰する。一致すれば、ステップS19で錠制御部41に解錠信号を出力し、ステップS20で識別コード監視処理を行う。
【0027】
この識別コード監視処理では、ロッカー装置1内のアンテナ12を駆動して、読み取られる識別コード中から検出されなくなった識別コードが有るか、あるいは読み取られる識別コードに新たな識別コードが検出されるかを監視する。この処理はステップS21でロッカー装置1の電気錠4が施錠されるまで行う。そして、電気錠4が施錠されたら、ステップS22でデータベース更新処理を行って、メインルーチンに復帰する。このデータベース更新処理は、読み取られる識別コードの変化に対応して、無線機2が持ち出されたり、無線機2が返却(収納)された時の、日時(現在日時)の情報をデータベース中の各無線機の情報として記憶する。また、IDコードに基づいて、その操作を行った署員の情報等も記憶する。
【0028】
以上のように、PC10のデータベースは、無線機2の持ち出し時、返却時に常に更新されるので、ロッカー装置1内の無線機2の状況や持ち出し、返却の履歴等をPC10により容易に確認することができる。
【0029】
以上の実施形態では引出しボックス11内のアンテナ12は、引出しボックス11の底板を覆うような一枚のアンテナとなっているが、仕切板13によって区切られた核収容スペースSの各々に専用のアンテナを配置するようにしてもよい。このようにすると、各アンテナで検出されるRFタグ21の識別コードにより引出しボックス11内のどの収容スペースSにどの無線機2が収容されているか、あるいはどの収容スペースSが空いているかが、それぞれPC10により確認することができる。
【0030】
また、ロッカー装置1を専用の管理室内に配置しておき、この管理室の扉等にカードリーダを設け、IDカード等の認証により扉の解錠を制御するように構成してもよい。この場合もPC10で管理室への入室及び退室の履歴を管理することもできる。
【0031】
また、本発明の無線機管理システムは、一つの警察署内に設けるにとどまらず、全国の警察署に設け、これらの無線管理システムをネットワークで接続してもよい。この場合には、任意の警察署において、例えば当該警察署の無線機が全国のどこの警察署に保管されているかも容易に確認することができる。さらに、そのネットワークを介して例えば警視庁や警察庁などの中央センターで管理するようにもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態の無線機管理システムの概略図である。
【図2】実施形態におけるパーソナルコンピュータのメイン処理のフローチャートである。
【図3】実施形態におけるパーソナルコンピュータの持出し・収納処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
1 ロッカー装置
2 無線機
3 カードリーダ
4 電気錠
10 パーソナルコンピュータ
11 引出しボックス
12 アンテナ
12a RFリーダ
13 仕切板
21 RFタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有の識別コードを記憶したRFタグが取り付けられた警察無線用の多数の無線機を管理する無線機管理システムであって、
前記無線機を収納するロッカー装置であって、ボックス内部に前記RFタグの識別コードを受信するアンテナを内蔵したロッカー装置と、
個人に固有のIDコードを出力するIDコード出力手段からのIDコードを入力して、該IDコードを認証して前記ロッカー装置の扉の解錠を制御する履歴付き錠装置と、
前記履歴付き錠装置からの履歴情報を入力するとともに、前記ロッカー装置の前記アンテナで受信される識別コードにより、前記無線機を管理する管理手段と、
を備え、
前記管理手段は、前記アンテナで受信される識別コードの有無と前記履歴付き錠装置からの履歴情報とにより、前記無線機を管理することを特徴とする無線機管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線機管理システムであって、
前記管理手段は、IDコードを入力するIDコード入力処理を行い、
前記履歴付き錠装置は、前記IDコード出力手段からのIDコードと該管理手段におけるIDコード入力処理で入力されたIDコードとを認証することで、前記ロッカー装置の扉の解錠を制御することを特徴とする無線機管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−255600(P2008−255600A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96908(P2007−96908)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000170598)株式会社アルファ (433)
【出願人】(506226658)株式会社アルファロッカーシステム (39)
【Fターム(参考)】