無線通信装置
【課題】そのときの状況に適応した送信方式を採用し、電波干渉の抑圧と通信性能の維持とを、できるだけ両立させることが可能となる無線通信装置を提供する。
【解決手段】特定の周波数帯を用いた無線通信を行う無線通信装置であって、他の周波数帯を用いる無線通信システムとの電波干渉の度合が、所定基準より高くなると見込まれるエリアとして特定された、特定エリアの情報が記録されている記録部と、自機の現在位置を検出する位置検出部と、自機が前記特定エリア内に位置しているかを判断し、位置していないと判断した場合には、前記無線通信の送信方式を、所定の通常方式に設定し、位置していると判断した場合には、前記無線通信の送信方式を、通常方式より前記無線通信システムとの電波干渉の度合を低減させる干渉低減方式に設定する、送信方式設定部と、を備えた無線通信装置とする。
【解決手段】特定の周波数帯を用いた無線通信を行う無線通信装置であって、他の周波数帯を用いる無線通信システムとの電波干渉の度合が、所定基準より高くなると見込まれるエリアとして特定された、特定エリアの情報が記録されている記録部と、自機の現在位置を検出する位置検出部と、自機が前記特定エリア内に位置しているかを判断し、位置していないと判断した場合には、前記無線通信の送信方式を、所定の通常方式に設定し、位置していると判断した場合には、前記無線通信の送信方式を、通常方式より前記無線通信システムとの電波干渉の度合を低減させる干渉低減方式に設定する、送信方式設定部と、を備えた無線通信装置とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車車間通信システムに用いられる、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交通事故の抑制などを目的として、2012年頃を目処に、車車間通信のサービス開始が予定されている。車車間通信は、ITS[Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム]を構築するため、走行中の車同士で位置情報などの交換を可能とするものである。これにより、周辺の他の車の走行状況が把握されるため、衝突事故などを極力回避することが可能となる。なお、車車間通信で使用される周波数帯としては、715〜725MHzの周波数帯が予定されている。
【0003】
しかしながら車車間通信は、通信媒体として電波が用いられるため、他の無線通信システムとの電波干渉(与干渉や被干渉)が問題となり得る。なお図13に示すように、車車間通信システムの使用周波数帯の低域側は、5MHzのガードバンドを介して、地上デジタル放送システムの使用周波数帯に隣接している。また車車間通信の使用周波数帯の高域側は、5MHzのガードバンドを介して、電気通信システム(携帯電話を使う通信システム)の使用周波数帯に隣接している。
【0004】
そのため、車車間通信に用いられる無線通信装置においては、特に、これらの他のシステムとの電波干渉を低減させることが重要である。なお、使用周波数帯が隣接するシステム同士における電波干渉の低減に関する技術は、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0005】
特許文献1には、チャネル端の複数本のサブキャリアのレベルを低減し、隣接干渉を抑圧しようとするものが開示されている。また特許文献2には、複数チャネルを制御する基地局において、隣接チャネルの送信電力に基づいて送信電力を補正するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−247004号公報
【特許文献2】特開平11−196043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、無線通信における電波干渉の度合は、例えば送信電力を下げるといったような送信方式の調整により、ある程度低減させることが可能である。ただし一般的に、同じ送信方式によって電波干渉の抑圧と通信性能の維持を両立させることは難しく、一方を重視した送信方式が採用されると、他方については、その分だけ妥協を余儀なくされる。例えば、通常より送信電力を下げて電波干渉の度合を低減させる場合は、その分だけ自システムのノイズ特性および通信距離が低下し、通信性能が劣化するといった具合である。
【0008】
本発明は上述した問題点に鑑み、そのときの状況に適応した送信方式を採用し、電波干渉の抑圧と通信性能の維持とを、できるだけ両立させることが可能となる無線通信装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る無線通信装置は、特定の周波数帯を用いた無線通信を行う無線通信装置であって、他の周波数帯を用いる無線通信システムとの電波干渉の度合が、所定基準より高くなると見込まれるエリアとして特定された、特定エリアの情報が記録されている記録部と、自機の現在位置を検出する位置検出部と、自機が前記特定エリア内に位置しているかを判断し、位置していないと判断した場合には、前記無線通信の送信方式を、所定の通常方式に設定し、位置していると判断した場合には、前記無線通信の送信方式を、通常方式より前記無線通信システムとの電波干渉の度合を低減させる干渉低減方式に設定する、送信方式設定部と、を備えた構成とする。
【0010】
本構成によれば、他の無線通信システムとの電波干渉の度合が、所定基準より高くなると見込まれる状況にあるかが判断され、この判断の結果に応じて、無線通信の送信方式が通常方式、或いは干渉低減方式に設定される。そのため本構成によれば、そのときの状況に適応した送信方式を採用し、電波干渉の抑圧と通信性能の維持とを、できるだけ両立させることが可能となる。
【0011】
また上記構成において、前記特定エリアは、一つまたは複数のDTV放送局の各々について、該放送局の放送エリア内であるとともに、放送波の電力が所定値を下回っているエリアとして特定されているものであり、干渉低減方式は、通常方式に比べて、DTV放送システムへの与干渉の度合を低減させる送信方式である構成としてもよい。
【0012】
本構成によれば、DTV放送システムへの与干渉が懸念される状況にあるかを判別し、そのような状況にある場合に、当該与干渉の度合を低減させることが可能となる。なお本願における「DTV放送」の語は、UHF帯の52chを使用する地上デジタル放送のことを指す。また「DTV放送システム」は、DTV放送に係るシステムのことであり、「DTV放送局」は、DTV放送の放送局のことである。
【0013】
また上記構成において、前記特定エリアは、一つまたは複数の電気通信基地局の各々について、該基地局からの距離が所定値を下回っているエリアとして特定されているものであり、干渉低減方式は、通常方式に比べて、電気通信システムへの与干渉の度合を低減させる送信方式である構成としてもよい。
【0014】
本構成によれば、電気通信システムへの与干渉が懸念される状況にあるかを判別し、そのような状況にある場合に、当該与干渉の度合を低減させることが可能となる。
【0015】
また上記構成としてより具体的には、前記無線通信の送信動作において、OFDM変調が行われるものであり、干渉低減方式は、チャネル端側の1本または複数本のサブキャリア、或いは全てのサブキャリアについての送信電力が、通常方式による送信電力より、低減されたものである構成としてもよい。
【0016】
また上記構成において、車両に搭載され、車車間通信システムを構成する請求項1から請求項4の何れかに記載の無線通信装置であって、路側機から送信される情報を取得する情報取得部を備え、路側機から取得された情報に基づいて、前記特定エリアの情報を修正する構成としてもよい。
【0017】
本構成によれば、路側機から、特定エリアについての最新の情報や詳細な情報が取得されることにより、状況に適応した送信方式の設定を、より的確に行うことが可能となる。
【0018】
また上記構成において、車両に搭載され、車車間通信システムを構成する請求項4に記載の無線通信装置であって、路側機から送信される情報を取得する情報取得部を備え、路側機から取得された情報に基づいて、干渉低減方式の内容を修正する構成としてもよい。
【0019】
本構成によれば、路側機から、例えばその場に相応しい送信電力や、送信電力を低減させるべきサブキャリアの数などの情報が取得されることにより、状況に適応した送信方式の設定を、より的確に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
上述した通り、本発明に係る無線通信装置によれば、他の無線通信システムとの電波干渉の度合が、所定基準より高くなると見込まれる状況にあるかが判断され、この判断の結果に応じて、無線通信の送信方式が通常方式、或いは干渉低減方式に設定される。そのため本構成によれば、そのときの状況に適応した送信方式を採用し、電波干渉の抑圧と通信性能の維持とを、できるだけ両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る交通情報システムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線通信装置の構成図である。
【図3】放送エリア情報テーブルに関する説明図である。
【図4】放送エリアの構成に関する説明図である。
【図5】近隣エリア情報テーブルに関する説明図である。
【図6】送信方式の設定内容に関する説明図である。
【図7】送信方式設定処理についての流れ図である。
【図8】放送局情報テーブルに関する説明図である。
【図9】基地局情報テーブルに関する説明図である。
【図10】記憶部6の記録内容に関する説明図である。
【図11】干渉注意情報の提供状況に関する説明図である。
【図12】干渉注意情報の送信処理に関する説明図である。
【図13】車車間通信システム等の使用周波数帯に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、車車間通信や路車間通信を実現する交通情報システムを例に挙げ、以下に説明する。
【0023】
図1は、当該交通情報システムの概略的な構成図である。本図に示すように、交通情報システム100は、無線通信装置9、路側機10、および交通情報管理サーバ11などを備えている。
【0024】
無線通信装置9は、四輪自動車などの車両9aに搭載されて使用されるものであり、車車間通信、すなわち、自機を搭載した車両(自車)の走行状況等を表す自車情報の送信や、自車の近くを走行する他の車両(他車)の走行状況等を表す他車情報の受信などを実行する。
【0025】
何れかの無線通信装置9が自車情報を送信すると、他の無線通信装置9は、当該情報を他車情報として受信することになる。このように無線通信装置9は、他の無線通信装置9とともに、車車間通信システムを形成する。なお車車間通信システムの使用周波数帯は、715MHzから725MHzまでの周波数帯となっている。
【0026】
路側機10は、例えば道路沿いに所定間隔で設置されるものであり、主に、交通情報管理サーバ11と無線通信装置9における無線通信の中継局として機能する。路側機10は、その通信エリア内(電波の届く範囲)に進入した無線通信装置9に対し、交通情報管理サーバ11から与えられた各種情報を提供することになる。
【0027】
交通情報管理サーバ11は、交通管制センター等に設置されており、各種の交通情報(リアルタイムの渋滞情報や事故情報など)を管理する。また交通情報管理サーバ3は、例えばインターネットによる通信網を介して、各路側機10に接続されている。これにより交通情報管理サーバ3は、各路側機10を介して、交通情報等を無線通信装置9に伝送することが可能となっている。
【0028】
次に、無線通信装置9の構成等について、より詳細に説明する。図2は、無線通信装置9の構成図である。本図に示すように無線通信装置9は、他車情報受信部1、自車情報送信部2、演算制御部3、走行状況検出部4、情報表示部5、記憶部6、送信方式設定部7、および路車間通信部8などを備えている。
【0029】
他車情報受信部1は、アンテナを介して、外部(他車に搭載された無線通信装置)から他車情報の信号を受信する。そして当該信号に所定の処理(復調処理など)を施して、演算制御部3に伝送する。
【0030】
自車情報送信部2は、演算制御部3から受取った自車情報の信号に、OFDM[Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交波周波数分割多重]変調処理を施し、アンテナを用いて、この信号を外部(他車に搭載された無線通信装置)に向けて送信する。このようにOFDM変調がなされるため、自車情報送信部2からは、互いに周波数の異なる複数のサブキャリアが送信されることになる。自車情報の送信は、所定の送信周期に従って、繰り返し継続的に実行される。
【0031】
また自車情報送信部2において採用される送信方式の一部(電力レベルや変調方式など)は、適宜変更可能となっており、送信方式設定部7によって何らかの状態に設定されるようになっている。なお、自車情報送信部2で用いられるアンテナは、他車情報受信部1で用いられるアンテナと共通になっていても構わない。
【0032】
演算制御部3は、例えばCPUによって形成されており、各種情報に基づいた演算や、無線通信装置9における各部の制御を行う。これにより、無線通信装置9の機能を発揮するために必要な各種処理が実行される。例えば演算制御部3は、他車情報受信部1から受取った他車情報、および走行状況検出部4の検出結果に基づいて、他車や自車の走行状況等を情報表示部5に表示させる。また演算制御部3は、走行状況検出部4の検出結果に基づいて自車情報を生成し、この自車情報を自車情報送信部2に送出する。
【0033】
走行状況検出部4は、GPSシステムや加速度センサなどを備えており、演算制御部3の指示に応じて、自車の走行状況に関わる各種の情報を検出する。なお、検出される情報としては、自車の走行速度や現在位置の情報などが挙げられる。これらの情報が、自車情報に含まれることとなる。
【0034】
情報表示部5は、ディスプレイを備えており、演算制御部3の指示に応じて、自車および他車の走行状況に関わる情報を表示する。より具体的には、自車および他車の現在位置を示す地図情報や、走行速度および走行方向を示す文字情報などを表示する。これにより運転者は、例えば衝突事故のおそれがある危険な状況を、事前に察知して回避することができ、より安全な運転を行うことが可能となる。またこれらの走行状況に関わる情報が、音声等として出力されるようにしても構わない。
【0035】
記憶部6は、書換え可能な不揮発性の記憶装置(フラッシュメモリやHDDなど)によって構成されており、無線通信装置9において実行される処理に必要な、各種の情報を記憶する。なお記憶部6に初期状態から記録されている情報(製造段階などで記録されている情報)としては、放送エリア情報テーブル、および近隣エリア情報テーブルなどが挙げられる。
【0036】
放送エリア情報テーブルには、図3に示すように、全国、或いは、所定の地域に設置されているDTV放送局(以下、「中継局」も含む)ごとについての、放送エリア(放送の受信が可能な地図上の領域)の情報が含まれている。なお放送エリア情報テーブルに登録されるDTV放送局の個数は、1個であっても複数個であっても構わない。また放送エリアは更に、強電界エリア、中電界エリア、および弱電界エリアに区別されている。
【0037】
強電界エリアは、放送波の電力が比較的強い(所定の第1閾値より大きい)エリアとして、予め特定されたものである。また弱電界エリアは、放送波の電力が比較的弱い(所定の第2閾値より小さい)エリアとして、予め特定されたものである。また中電界エリアは、強電界エリアと弱電界エリアの間に位置し、放送波の電力が中程度となるエリアである。
【0038】
なお、強電界エリアに無線通信端末9が存在する状況では、放送波による被干渉のために、無線通信端末9(車車間通信システム)の正常な受信動作が、阻害されるおそれがある。一方、弱電界エリアに無線通信端末9が存在する状況では、無線通信端末9(車車間通信システム)の与干渉のために、周辺の受信機による放送波の正常な受信が、阻害されるおそれがある。このような強電界エリアおよび弱電界エリアが実現されるように、第1閾値および第2閾値が設定されている。
【0039】
放送エリアの構成を図示すれば、概ね、図4に示す通りとなる。すなわち、あるDTV放送局50について、放送波の電力が第1閾値となる境界線50aに囲まれたエリアが、強電界エリアであり、放送波の電力が第2閾値となる境界線50bに囲まれたエリア(強電界エリアを除く)が、中電界エリアであり、一般的な受信装置にて放送波の受信が可能となる境界線50cに囲まれたエリア(強電界エリアと中電界エリアを除く)が、弱電界エリアである。
【0040】
またこの弱電界エリアの更に外側は、DTV放送局50については、放送エリア外となる。これら各エリアの区分は、各地点における放送波電力の実測や、放送局の出力パワーと周辺の地形や環境などの条件に基づいた計算などによって、実現可能である。また各エリアの特定内容は、必ずしも厳密なものでなくても良く、例えば「○○県内」といったように、ある程度簡素化されていてもよい。
【0041】
また各エリアの区分は、DTV放送局からの距離に基づいて簡略的に決定されていても構わない。一例としては、出力パワーが10kWのDTV放送局については、当該放送局から半径10km内のエリアを一律に強電界エリアとみなし、同じく半径50km内のエリアを一律に中電界エリアとみなし、同じく半径100km内のエリアを一律に弱電界エリアとみなし、その他を放送エリア外とみなすようにしても構わない。
【0042】
また近隣エリア情報テーブルには、図5に示すように、全国、或いは、所定の地域に設置されている電気通信システムの基地局(電気通信基地局)ごとについての、近隣エリア(電気通信基地局から所定距離内となる地図上の領域)の情報が含まれている。なお近隣エリア情報テーブルに登録される電気通信基地局の個数は、1個であっても複数個であっても構わない。
【0043】
近隣エリアでは、上り回線(通信エリア内の通信端末から、電気通信基地局に向かう回線)の通信波の電力が相当に減衰し、弱くなっている可能性が高い。そのため、無線通信装置9が近隣エリア内に位置する場合、無線通信装置9(車車間通信システム)の与干渉のために、電気通信基地局による通信波の正常な受信が、阻害される可能性が高いと考えられる。
【0044】
なお上述したように、強電界エリアや弱電界エリア、或いは近隣エリアに無線通信装置9が位置する場合には、他の無線通信システムとの電波干渉が特に問題となる。そのため無線通信装置9は、このような場合に、干渉を低減させるような送信方式を採用することが可能となっている。この点について、詳しくは改めて説明する。
【0045】
送信方式設定部7は、自車情報送信部2における自車情報の送信方式を設定する。なお当該送信方式においては、図6に示すような、「電力レベル」、「変調方式」、「設定可能サブキャリア数」、「電力レベル(通常)の値」、および「電力レベル(低レベル)の値」の各項目が可変となっており、送信方式設定部7によって何らかの状態に設定されることになる。またこれらの各項目の内容は、次の通りである。
【0046】
「電力レベル」は、自車情報送信部2において採用される送信電力のレベルを表しており、「通常」の状態と、通常に比べて低いレベルである「低レベル」の状態の何れかに設定可能となっている。電力レベルの初期設定は「通常」となっている。「低レベル」が設定された場合は、通常の場合に比べて電波の届く距離が短くなるものの、他の無線通信システムに対する与干渉の度合を低減させることが可能となるため、与干渉対策が実現される。
【0047】
また「電力レベル」は、自車情報送信部2から送信される複数のサブキャリアのうち、「低域側」のチャネル端側の1本または複数本(後述する「設定可能サブキャリア数」で特定される)のサブキャリアと、「高域側」のチャネル端側の1本または複数本(後述する「設定可能サブキャリア数」で特定される)のサブキャリアとの、それぞれに対して別個に設定することが可能となっている。
【0048】
「低域側」が低レベルに設定されると、通常に比べて、特にDTV放送システム(使用周波数帯が、車車間通信システムの使用周波数の低域側に、5MHzのガードバンド介して隣接している)への与干渉が低減されることになる。「高域側」が低レベルに設定されると、通常に比べて、特に電気通信システム(使用周波数帯が、車車間通信システムの使用周波数の高域側に、5MHzのガードバンド介して隣接している)への与干渉が低減されることになる。
【0049】
「変調方式」は、自車情報送信部2において採用される変調方式を表しており、「通常」の手法と、「QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)」の手法の何れかに設定可能となっている。なお「通常」の手法としては、例えば、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)の手法が適用される。また変調方式の初期設定は「通常」となっている。「QPSK」が設定された場合は、通常の場合に比べて情報転送効率の面では劣るものの、ノイズの影響をより受けにくくすることが可能となるため、被干渉対策が実現される。なお、被干渉対策を実現させるための手法としては、QPSKの手法に限らず、例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying)の手法が採用されていても良い。
【0050】
また「変調方式」も、「電力レベル」の場合と同様に、自車情報送信部2から送信される複数のサブキャリアのうち、「低域側」に近い方の1本または複数本のサブキャリアと、「高域側」に近い方の1本または複数本のサブキャリアとの、それぞれに対して別個に設定することが可能となっている。
【0051】
「低域側」がQPSKに設定されると、通常に比べて、特にDTV放送システムからの被干渉が低減されることになる。「高域側」がQPSKに設定されると、通常に比べて、特に電気通信システムからの被干渉が低減されることになる。
【0052】
「設定可能サブキャリア数」は、上述した電力レベルや変調方式の設定内容が反映されるサブキャリアの本数を表しており、1本または複数本に設定される。設定可能サブキャリア数も、「低域側」の分と「高域側」の分のそれぞれについて、別個に設定可能となっている。設定可能サブキャリア数が多く設定されるほど、電力レベルや変調方式が変更されたことによる影響や効果が、より強くなる。設定可能サブキャリア数は、初期状態では、何らかの妥当な値に設定されている。なお、「設定可能サブキャリア数」の項目を設けることとせず、例えば電力レベルが「低レベル」に設定された場合は、全てのサブキャリア係る送信電力のレベルが、低レベルに設定されるようにしても構わない。
【0053】
「電力レベル(通常)の値」は、電力レベルが「通常」に設定された場合の、送信電力のレベルの具体的な値を表している。また「電力レベル(低レベル)の値」は、電力レベルが「低レベル」に設定された場合の、送信電力のレベルの具体的な値を表しており、「電力レベル(通常)の値」よりも小さい値が設定されることになる。これらの電力レベルの値は、初期状態では、一般的に適正と見込まれる何らかの値に設定されている。
【0054】
路車間通信部8は、自車が路側機10の通信エリア内に進入したときに、路側機10から無線送信される各種情報を受信する。受信された情報は、演算制御部3に伝送される。
【0055】
無線通信装置9は、上述したように車車間通信を実行するものであるとともに、この車車間通信に係る信号の送信方式が可変となっている。そして無線通信装置9は、そのときの電波状況に応じて、送信方式を適切に設定するための処理(送信方式設定処理)を行うようになっている。次に、この送信方式設定処理の内容について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0056】
送信方式設定処理が開始されると、まず無線通信装置9は、GPSを用いて、現在の自機の位置を検出する(ステップS1)。そして更に無線通信装置9は、放送エリア情報テーブル等を用いて、現在の自機の位置が、何れかのDTV放送局についての強電界エリア内であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0057】
その結果、強電界エリア内に位置していると判定された場合には(ステップS2のY)、送信方式設定部7は、低域側の電力レベルを「通常」に、低域側の変調方式を「QPSK」に、それぞれ設定する(ステップS3)。一方で、強電界エリア内に位置していないと判定された場合には(ステップS2のN)、次に無線通信装置9は、自機が、何れかのDTV放送局についての弱電界エリア内に位置しているか否かを判定する(ステップS4)。
【0058】
その結果、弱電界エリア内に位置していると判定された場合には(ステップS4のY)、送信方式設定部7は、低域側の電力レベルを「低レベル」に、低域側の変調方式を「通常」に、それぞれ設定する(ステップS5)。一方で、弱電界エリア内に位置していないと判定された場合には(ステップS4のN)、送信方式設定部7は、低域側の電力レベルを「通常」に、低域側の変調方式を「通常」に、それぞれ設定する(ステップS6)。
【0059】
なおステップS2やステップS4の処理においては、予め最寄のDTV放送局を1個或いは複数個選出しておき、選出されたDTV放送局のみについて、先述した判定がなされるようにしても構わない。ステップS3、S5、或いはS6の処理がなされたら、次に無線通信装置9は、近隣エリア情報テーブル等を用いて、現在の自機の位置が、何れかの電気通信基地局についての近隣エリア内であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0060】
その結果、近隣エリア内に位置していると判定された場合には(ステップS7のY)、無線通信装置9は、高域側の電力レベルを「低レベル」に、高域側の変調方式を「通常」に、それぞれ設定する(ステップS8)。一方で、近隣エリア内に位置していないと判定された場合には(ステップS7のN)、無線通信装置9は、高域側の電力レベルを「通常」に、高域側の変調方式を「通常」に、それぞれ設定する(ステップS9)。
【0061】
なおステップS7の処理においては、予め最寄の電気通信基地局を1個或いは複数個選出しておき、選出された電気通信基地局のみについて、先述した判定がなされるようにしても構わない。またステップS2、S4、或いはS7の処理においては、現時点では無線通信装置9が、強電界エリア内、弱電界エリア内、或いは近隣エリア内に位置していなくても、自車の進行方向などをも考慮し、一定時間内にそのエリアに進入すると見込まれる場合には、既にそのエリアに位置しているとみなすようにしても良い。
【0062】
ステップS8或いはS9の処理がなされたら、今回の送信方式設定処理は完了する。送信方式設定処理が実行されることにより、無線通信装置9は、DTV放送システムや電気通信システムに対する与干渉が懸念される状況では、この与干渉が低減される措置をとり、DTV放送システムによる被干渉が懸念される状況では、この被干渉が低減される措置をとる。また送信方式設定処理は、継続的に繰り返し実行される。これにより、自車の移動などによって周辺の電波状況が変動しても、これに追随して、送信方式を適切に設定することが可能となっている。
【0063】
なお本実施形態では、通常よりも与干渉を低減させる送信方式として、送信電力が低減される方式を例に挙げたが、他の方式が用いられても構わない。例えば、送信周期を通常より長くする方式が用いられるようにしても、通常より与干渉を低減させることが可能である。
【0064】
また無線通信装置9は、路側機10から各種の情報を受取り、この情報に従って、放送エリア情報テーブルや送信方式の設定内容などを修正するようになっている。以下、この点についてより詳細に説明する。
【0065】
各路側機10は、その地域に存在する各DTV放送局についての、最新かつ精度の高い放送エリアの情報(強電界エリアや弱電界エリアの情報も含む)を交通情報管理サーバ11から受取り、近傍の無線通信装置9に向けて配信する。無線通信装置9は当該情報を受信したとき、これに従って、一時的に(次に、別の放送エリアの情報を受信するまで)、放送エリア情報テーブルの内容を修正する。なおこのとき、一時的ではなく、恒久的に放送エリア情報テーブルが修正される(換言すれば、放送エリア情報テーブルのバージョンアップがなされる)ようになっていても良い。
【0066】
これにより、プリセットされている放送エリア情報テーブルの内容が、記憶容量の抑制等のために簡素化されている場合(例えば、放送エリアが「○○県内」といった内容の場合)や、現状とは異なる場合(新たにDTV放送局が創設されたり、廃止されたりした場合)であっても、無線通信装置9は、修正後の放送エリア情報テーブルを用いて、より現状に即した送信方式設定処理を行うことが可能となる。
【0067】
また一部の時間帯において実質的に放送エリアが消失するような場合(例えば、真夜中の時間帯に放送が停止される場合)であっても、路側機10からこのような事情を示す情報が取得されることにより、無線通信装置9は、この時間帯については通常の送信方式を採用することができる。これにより、不必要な干渉対策がなされることを回避することが可能となる。
【0068】
また各路側機10は、その近傍において適した「可変サブキャリア数」、「電力レベル(通常)の値」、および「電力レベル(低レベル)の値」の各値の情報を交通情報管理サーバ11から受取り、近傍の無線通信装置9に向けて配信する。無線通信装置9は当該情報を受信したとき、この情報に従って、一時的に(次に、別の各値の情報を受信するまで)、これらの各値を修正する。これにより、無線通信装置9は、より現状に即した送信方式設定処理を行うことが可能となっている。
【0069】
このような路側機10を利用する手法は、交通情報管理サーバ11において、各放送エリアの変動状況などが適切に管理され、正確な情報が各路側機10に伝送されることにより実現される。無線通信装置9は、記憶部6にプリセットされた情報だけでなく、路側機10から得られた情報を併用するハイブリッド方式をとることで、より現状に即した送信方式設定処理を行うことが可能となっている。
【0070】
[変形例1]
上述した無線通信装置9では、放送エリア情報テーブルや近隣エリア情報テーブルを用いて、自機が強電界エリアや弱電界エリア、或いは近隣エリアに位置しているかを判断するようになっていたが、これと同じ趣旨の動作が、別の手法によって実現されるようになっていても良い。特に、DTV放送局や電気通信基地局からの距離に着目した場合の具体例について、以下に説明する。
【0071】
記憶部6には、放送エリア情報テーブルや近隣エリア情報テーブルの代わりに、放送局情報テーブル、および基地局情報テーブルが予め記録されている。放送局情報テーブルは、図8に示すように、全国、或いは、所定の地域に設置されているDTV放送局ごとの位置、および送信パワーの情報を含むものである。また基地局情報テーブルは、図9に示すように、全国、或いは、所定の地域に設置されている電気通信基地局ごとの位置の情報を含むものである。
【0072】
また記憶部6には、図10に示すように、DTV放送局の送信パワーごとの、「強電界エリアの半径」、「中電界エリアの半径」、および「弱電界エリアの半径」の情報が予め記録されている。「強電界エリアの半径」は、DTV放送局から半径何km以内が強電界エリアであるかを表しており、「中電界エリアの半径」は、DTV放送局から半径何km以内が中電界エリアであるかを表している。また「弱電界エリアの半径」は、DTV放送局から半径何km以内が弱電界エリアであるか(換言すれば、放送エリアと放送エリア外との境界)を表している。
【0073】
上述した情報が記録されているため、無線通信装置9は、各DTV放送局から自機までの距離を算出した上で、各DTV放送局について、自機が強電界エリア内に位置しているか、および、弱電界エリア内に位置しているかを判断することが可能である。また無線通信装置9は、各電気通信基地局から所定距離内の領域を近隣エリアとみなし、自機が近隣エリア内に位置しているかを判断することも可能である。
【0074】
そこで無線通信装置9は、先述したステップS2、S4、およびS7の処理を行う代わりに、このようにして、自機が強電界エリア内、弱電界エリア内、或いは近隣エリア内に位置しているかを判断する。当該手法によれば、先述した放送エリア情報テーブルや近隣エリア情報テーブルを要することなく、送信方式設定処理を実現させることができる。
【0075】
[変形例2]
また無線通信装置9は、自機が強電界エリア、弱電界エリア、或いは近隣エリア内に位置している旨の情報を、干渉注意情報として、他の無線通信装置に無線送信するようになっていても良い。他の無線通信装置は、干渉注意情報を受信することにより、比較的近くの(無線通信ができる距離内の)無線通信装置9が、強電界エリア、弱電界エリア、或いは近隣エリア内に位置していることを把握するができる。これにより当該他の無線通信装置は、自機においても、電波干渉に注意が必要な状況であることを把握することができる。
【0076】
このようにすれば、他の無線通信装置にとっては、自機がどのようなエリアに位置しているかを検出する機能が備わっていなくても、受信した干渉注意情報を利用して、送信方式設定処理に準じた処理を実行することが可能となる。また他の無線通信装置が当該機能を備えている場合であっても、電波干渉に注意が必要な状況であるかを、必ずしも全ての無線通信装置が自ら把握することを要せず、システム全体として見れば、計算等の処理負担を軽減することが可能となる。
【0077】
この場合、無線通信装置9は、干渉注意情報を自車情報の一部として(つまり車車間通信によって)、定期的に外部に無線送信(ブロードキャスト)する。その結果、近辺に位置する(無線通信装置9の通信エリア内に位置する)他の無線通信装置は、この干渉注意情報を取得することができる。
【0078】
例えば図11に示すように、無線通信装置9が強電界エリア内に位置するときは、「無線通信装置9が強電界エリア内に位置している」旨を表す干渉注意情報が、近辺に位置する他の無線通信装置20に提供される。その結果、当該他の無線通信装置20は、自機が強電界エリア内、或いは、強電界エリアの近くに位置している(間もなく強電界エリアに進入する可能性が高いと言える)ことを把握し、その状況に応じた電波干渉対策を実行することができる。
【0079】
なお干渉注意情報は、自車情報を構成する各種情報の中でも重要なものであるため、できるだけ確実に送信されるように配慮されることが望ましい。例えば、自車情報の送信がパケット送信によってなされる場合、干渉注意情報のパケットは、他の情報のパケットよりも優先的に(例えば、他の情報のパケットよりも前の方に)付加されることが望ましい。ただし、干渉注意情報のパケットの配置はこれに限定されず、干渉注意情報のデータ数も特に限定されない。
【0080】
また、干渉注意情報の生成および送信に関しては、強電界エリア、弱電界エリア、或いは近隣エリアの範囲が、通常よりも拡大あるいは縮小して扱われるようにしても良い。例えば図12に示すように、DTV放送局50について、通常は強電界エリアと中電界エリアの境界が境界線50a、中電界エリアと弱電界エリアの境界が境界線50bのようになっている場合、干渉注意情報の生成および送信に関しては、境界線50aが境界線50a’であり、境界線50bが境界線50b’であるとして扱われるようにしても良い。
【0081】
このようにすると、無線通信装置9が強電界エリア内に位置していなくても、その近傍(境界線50a’の内側)に位置していれば、強電界エリアに係る干渉注意情報が生成され送信される。また無線通信装置9が弱電界エリア内に位置していなくても、その近傍(境界線50b’の外側)に位置していれば、弱電界エリアに係る干渉注意情報が生成され送信される。その結果、他の無線通信装置は、より余裕をもって、電波干渉対策を行うことが可能となる。なお、拡大あるいは縮小された各エリアの情報は、無線通信装置9に予め登録されるようにしても良く、先述した第1閾値や第2閾値が補正された上で、その都度算出されるようにしても良い。
【0082】
[まとめ]
上述した無線通信装置9は、特定の周波数帯(715〜725MHz)を用いた車車間通信を行うものであり、他の周波数帯を用いる無線通信システム(DTV放送システム、もしくは電気通信システム)との電波干渉の度合が、所定基準より高くなると見込まれるエリアとして特定された、特定エリア(弱電界エリア、もしくは近隣エリア)の情報が記録されている機能部(記録部)と、自機の現在位置を検出する機能部(位置検出部)と、を備えている。
【0083】
そして更に無線通信装置9は、自機が特定エリア内に位置しているかを判断し(ステップS4あるいはS7を参照)、位置していないと判断した場合には、車車間通信の送信方式を、電力レベルが「通常」である方式(通常方式)に設定し、位置していると判断した場合には、車車間通信の送信方式を、電力レベルが「低レベル」である方式(通常方式より、DTV放送システムもしくは電気通信システムとの、電波干渉の度合を低減させる干渉低減方式)に設定する機能部(送信方式設定部)を備えている。
【0084】
そのため無線通信装置9によれば、そのときの状況に適応した送信方式を採用し、電波干渉の抑圧と通信性能の維持とを、できるだけ両立させることが可能となっている。
【0085】
また上述の「特定エリア」の一部は、一つまたは複数のDTV放送局の各々についての弱電界エリア(当該放送局の放送エリア内であるとともに、放送波の電力が所定値を下回っているエリアとして特定されているもの)である。そして、ステップS4〜S6の処理によれば、無線通信装置9が弱電界エリア内に位置している場合は、位置していない場合に比べてDTV放送システムへの与干渉の度合が低減されるように、車車間通信の送信方式が設定される。
【0086】
また上述の「特定エリア」の一部は、一つまたは複数の電気通信基地局の各々についての近隣エリア(当該基地局からの距離が所定値を下回っているエリアとして特定されているもの)である。そして、ステップS7〜S9の処理によれば、無線通信装置9が近隣エリア内に位置している場合は、位置していない場合に比べて電気通信システムへの与干渉の度合が低減されるように、車車間通信の送信方式が設定される。
【0087】
また放送受信装置9は、路側機10から送信される情報を取得する機能部(情報取得部)を備えており、路側機10から取得された情報に基づいて、放送エリア情報テーブルの内容(特定エリアの情報)を修正したり、「可変サブキャリア数」、「電力レベル(通常)の値」、および「電力レベル(低レベル)の値」の各値(干渉低減方式の内容)を修正したりするようになっている。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、車車間通信を行う無線通信装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 他車情報受信部
2 自車情報送信部
3 演算制御部
4 走行状況検出部
5 情報表示部
6 記憶部
7 送信方式設定部
8 路車間通信部
9、20 無線通信装置
9a 車両
10 路側機
11 交通情報管理サーバ
50a 強電界エリアと中電界エリアとの境界線
50b 中電界エリアと弱電界エリアとの境界線
50c 弱電界エリアと放送エリア外との境界線
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車車間通信システムに用いられる、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交通事故の抑制などを目的として、2012年頃を目処に、車車間通信のサービス開始が予定されている。車車間通信は、ITS[Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム]を構築するため、走行中の車同士で位置情報などの交換を可能とするものである。これにより、周辺の他の車の走行状況が把握されるため、衝突事故などを極力回避することが可能となる。なお、車車間通信で使用される周波数帯としては、715〜725MHzの周波数帯が予定されている。
【0003】
しかしながら車車間通信は、通信媒体として電波が用いられるため、他の無線通信システムとの電波干渉(与干渉や被干渉)が問題となり得る。なお図13に示すように、車車間通信システムの使用周波数帯の低域側は、5MHzのガードバンドを介して、地上デジタル放送システムの使用周波数帯に隣接している。また車車間通信の使用周波数帯の高域側は、5MHzのガードバンドを介して、電気通信システム(携帯電話を使う通信システム)の使用周波数帯に隣接している。
【0004】
そのため、車車間通信に用いられる無線通信装置においては、特に、これらの他のシステムとの電波干渉を低減させることが重要である。なお、使用周波数帯が隣接するシステム同士における電波干渉の低減に関する技術は、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0005】
特許文献1には、チャネル端の複数本のサブキャリアのレベルを低減し、隣接干渉を抑圧しようとするものが開示されている。また特許文献2には、複数チャネルを制御する基地局において、隣接チャネルの送信電力に基づいて送信電力を補正するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−247004号公報
【特許文献2】特開平11−196043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、無線通信における電波干渉の度合は、例えば送信電力を下げるといったような送信方式の調整により、ある程度低減させることが可能である。ただし一般的に、同じ送信方式によって電波干渉の抑圧と通信性能の維持を両立させることは難しく、一方を重視した送信方式が採用されると、他方については、その分だけ妥協を余儀なくされる。例えば、通常より送信電力を下げて電波干渉の度合を低減させる場合は、その分だけ自システムのノイズ特性および通信距離が低下し、通信性能が劣化するといった具合である。
【0008】
本発明は上述した問題点に鑑み、そのときの状況に適応した送信方式を採用し、電波干渉の抑圧と通信性能の維持とを、できるだけ両立させることが可能となる無線通信装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る無線通信装置は、特定の周波数帯を用いた無線通信を行う無線通信装置であって、他の周波数帯を用いる無線通信システムとの電波干渉の度合が、所定基準より高くなると見込まれるエリアとして特定された、特定エリアの情報が記録されている記録部と、自機の現在位置を検出する位置検出部と、自機が前記特定エリア内に位置しているかを判断し、位置していないと判断した場合には、前記無線通信の送信方式を、所定の通常方式に設定し、位置していると判断した場合には、前記無線通信の送信方式を、通常方式より前記無線通信システムとの電波干渉の度合を低減させる干渉低減方式に設定する、送信方式設定部と、を備えた構成とする。
【0010】
本構成によれば、他の無線通信システムとの電波干渉の度合が、所定基準より高くなると見込まれる状況にあるかが判断され、この判断の結果に応じて、無線通信の送信方式が通常方式、或いは干渉低減方式に設定される。そのため本構成によれば、そのときの状況に適応した送信方式を採用し、電波干渉の抑圧と通信性能の維持とを、できるだけ両立させることが可能となる。
【0011】
また上記構成において、前記特定エリアは、一つまたは複数のDTV放送局の各々について、該放送局の放送エリア内であるとともに、放送波の電力が所定値を下回っているエリアとして特定されているものであり、干渉低減方式は、通常方式に比べて、DTV放送システムへの与干渉の度合を低減させる送信方式である構成としてもよい。
【0012】
本構成によれば、DTV放送システムへの与干渉が懸念される状況にあるかを判別し、そのような状況にある場合に、当該与干渉の度合を低減させることが可能となる。なお本願における「DTV放送」の語は、UHF帯の52chを使用する地上デジタル放送のことを指す。また「DTV放送システム」は、DTV放送に係るシステムのことであり、「DTV放送局」は、DTV放送の放送局のことである。
【0013】
また上記構成において、前記特定エリアは、一つまたは複数の電気通信基地局の各々について、該基地局からの距離が所定値を下回っているエリアとして特定されているものであり、干渉低減方式は、通常方式に比べて、電気通信システムへの与干渉の度合を低減させる送信方式である構成としてもよい。
【0014】
本構成によれば、電気通信システムへの与干渉が懸念される状況にあるかを判別し、そのような状況にある場合に、当該与干渉の度合を低減させることが可能となる。
【0015】
また上記構成としてより具体的には、前記無線通信の送信動作において、OFDM変調が行われるものであり、干渉低減方式は、チャネル端側の1本または複数本のサブキャリア、或いは全てのサブキャリアについての送信電力が、通常方式による送信電力より、低減されたものである構成としてもよい。
【0016】
また上記構成において、車両に搭載され、車車間通信システムを構成する請求項1から請求項4の何れかに記載の無線通信装置であって、路側機から送信される情報を取得する情報取得部を備え、路側機から取得された情報に基づいて、前記特定エリアの情報を修正する構成としてもよい。
【0017】
本構成によれば、路側機から、特定エリアについての最新の情報や詳細な情報が取得されることにより、状況に適応した送信方式の設定を、より的確に行うことが可能となる。
【0018】
また上記構成において、車両に搭載され、車車間通信システムを構成する請求項4に記載の無線通信装置であって、路側機から送信される情報を取得する情報取得部を備え、路側機から取得された情報に基づいて、干渉低減方式の内容を修正する構成としてもよい。
【0019】
本構成によれば、路側機から、例えばその場に相応しい送信電力や、送信電力を低減させるべきサブキャリアの数などの情報が取得されることにより、状況に適応した送信方式の設定を、より的確に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
上述した通り、本発明に係る無線通信装置によれば、他の無線通信システムとの電波干渉の度合が、所定基準より高くなると見込まれる状況にあるかが判断され、この判断の結果に応じて、無線通信の送信方式が通常方式、或いは干渉低減方式に設定される。そのため本構成によれば、そのときの状況に適応した送信方式を採用し、電波干渉の抑圧と通信性能の維持とを、できるだけ両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る交通情報システムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線通信装置の構成図である。
【図3】放送エリア情報テーブルに関する説明図である。
【図4】放送エリアの構成に関する説明図である。
【図5】近隣エリア情報テーブルに関する説明図である。
【図6】送信方式の設定内容に関する説明図である。
【図7】送信方式設定処理についての流れ図である。
【図8】放送局情報テーブルに関する説明図である。
【図9】基地局情報テーブルに関する説明図である。
【図10】記憶部6の記録内容に関する説明図である。
【図11】干渉注意情報の提供状況に関する説明図である。
【図12】干渉注意情報の送信処理に関する説明図である。
【図13】車車間通信システム等の使用周波数帯に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、車車間通信や路車間通信を実現する交通情報システムを例に挙げ、以下に説明する。
【0023】
図1は、当該交通情報システムの概略的な構成図である。本図に示すように、交通情報システム100は、無線通信装置9、路側機10、および交通情報管理サーバ11などを備えている。
【0024】
無線通信装置9は、四輪自動車などの車両9aに搭載されて使用されるものであり、車車間通信、すなわち、自機を搭載した車両(自車)の走行状況等を表す自車情報の送信や、自車の近くを走行する他の車両(他車)の走行状況等を表す他車情報の受信などを実行する。
【0025】
何れかの無線通信装置9が自車情報を送信すると、他の無線通信装置9は、当該情報を他車情報として受信することになる。このように無線通信装置9は、他の無線通信装置9とともに、車車間通信システムを形成する。なお車車間通信システムの使用周波数帯は、715MHzから725MHzまでの周波数帯となっている。
【0026】
路側機10は、例えば道路沿いに所定間隔で設置されるものであり、主に、交通情報管理サーバ11と無線通信装置9における無線通信の中継局として機能する。路側機10は、その通信エリア内(電波の届く範囲)に進入した無線通信装置9に対し、交通情報管理サーバ11から与えられた各種情報を提供することになる。
【0027】
交通情報管理サーバ11は、交通管制センター等に設置されており、各種の交通情報(リアルタイムの渋滞情報や事故情報など)を管理する。また交通情報管理サーバ3は、例えばインターネットによる通信網を介して、各路側機10に接続されている。これにより交通情報管理サーバ3は、各路側機10を介して、交通情報等を無線通信装置9に伝送することが可能となっている。
【0028】
次に、無線通信装置9の構成等について、より詳細に説明する。図2は、無線通信装置9の構成図である。本図に示すように無線通信装置9は、他車情報受信部1、自車情報送信部2、演算制御部3、走行状況検出部4、情報表示部5、記憶部6、送信方式設定部7、および路車間通信部8などを備えている。
【0029】
他車情報受信部1は、アンテナを介して、外部(他車に搭載された無線通信装置)から他車情報の信号を受信する。そして当該信号に所定の処理(復調処理など)を施して、演算制御部3に伝送する。
【0030】
自車情報送信部2は、演算制御部3から受取った自車情報の信号に、OFDM[Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交波周波数分割多重]変調処理を施し、アンテナを用いて、この信号を外部(他車に搭載された無線通信装置)に向けて送信する。このようにOFDM変調がなされるため、自車情報送信部2からは、互いに周波数の異なる複数のサブキャリアが送信されることになる。自車情報の送信は、所定の送信周期に従って、繰り返し継続的に実行される。
【0031】
また自車情報送信部2において採用される送信方式の一部(電力レベルや変調方式など)は、適宜変更可能となっており、送信方式設定部7によって何らかの状態に設定されるようになっている。なお、自車情報送信部2で用いられるアンテナは、他車情報受信部1で用いられるアンテナと共通になっていても構わない。
【0032】
演算制御部3は、例えばCPUによって形成されており、各種情報に基づいた演算や、無線通信装置9における各部の制御を行う。これにより、無線通信装置9の機能を発揮するために必要な各種処理が実行される。例えば演算制御部3は、他車情報受信部1から受取った他車情報、および走行状況検出部4の検出結果に基づいて、他車や自車の走行状況等を情報表示部5に表示させる。また演算制御部3は、走行状況検出部4の検出結果に基づいて自車情報を生成し、この自車情報を自車情報送信部2に送出する。
【0033】
走行状況検出部4は、GPSシステムや加速度センサなどを備えており、演算制御部3の指示に応じて、自車の走行状況に関わる各種の情報を検出する。なお、検出される情報としては、自車の走行速度や現在位置の情報などが挙げられる。これらの情報が、自車情報に含まれることとなる。
【0034】
情報表示部5は、ディスプレイを備えており、演算制御部3の指示に応じて、自車および他車の走行状況に関わる情報を表示する。より具体的には、自車および他車の現在位置を示す地図情報や、走行速度および走行方向を示す文字情報などを表示する。これにより運転者は、例えば衝突事故のおそれがある危険な状況を、事前に察知して回避することができ、より安全な運転を行うことが可能となる。またこれらの走行状況に関わる情報が、音声等として出力されるようにしても構わない。
【0035】
記憶部6は、書換え可能な不揮発性の記憶装置(フラッシュメモリやHDDなど)によって構成されており、無線通信装置9において実行される処理に必要な、各種の情報を記憶する。なお記憶部6に初期状態から記録されている情報(製造段階などで記録されている情報)としては、放送エリア情報テーブル、および近隣エリア情報テーブルなどが挙げられる。
【0036】
放送エリア情報テーブルには、図3に示すように、全国、或いは、所定の地域に設置されているDTV放送局(以下、「中継局」も含む)ごとについての、放送エリア(放送の受信が可能な地図上の領域)の情報が含まれている。なお放送エリア情報テーブルに登録されるDTV放送局の個数は、1個であっても複数個であっても構わない。また放送エリアは更に、強電界エリア、中電界エリア、および弱電界エリアに区別されている。
【0037】
強電界エリアは、放送波の電力が比較的強い(所定の第1閾値より大きい)エリアとして、予め特定されたものである。また弱電界エリアは、放送波の電力が比較的弱い(所定の第2閾値より小さい)エリアとして、予め特定されたものである。また中電界エリアは、強電界エリアと弱電界エリアの間に位置し、放送波の電力が中程度となるエリアである。
【0038】
なお、強電界エリアに無線通信端末9が存在する状況では、放送波による被干渉のために、無線通信端末9(車車間通信システム)の正常な受信動作が、阻害されるおそれがある。一方、弱電界エリアに無線通信端末9が存在する状況では、無線通信端末9(車車間通信システム)の与干渉のために、周辺の受信機による放送波の正常な受信が、阻害されるおそれがある。このような強電界エリアおよび弱電界エリアが実現されるように、第1閾値および第2閾値が設定されている。
【0039】
放送エリアの構成を図示すれば、概ね、図4に示す通りとなる。すなわち、あるDTV放送局50について、放送波の電力が第1閾値となる境界線50aに囲まれたエリアが、強電界エリアであり、放送波の電力が第2閾値となる境界線50bに囲まれたエリア(強電界エリアを除く)が、中電界エリアであり、一般的な受信装置にて放送波の受信が可能となる境界線50cに囲まれたエリア(強電界エリアと中電界エリアを除く)が、弱電界エリアである。
【0040】
またこの弱電界エリアの更に外側は、DTV放送局50については、放送エリア外となる。これら各エリアの区分は、各地点における放送波電力の実測や、放送局の出力パワーと周辺の地形や環境などの条件に基づいた計算などによって、実現可能である。また各エリアの特定内容は、必ずしも厳密なものでなくても良く、例えば「○○県内」といったように、ある程度簡素化されていてもよい。
【0041】
また各エリアの区分は、DTV放送局からの距離に基づいて簡略的に決定されていても構わない。一例としては、出力パワーが10kWのDTV放送局については、当該放送局から半径10km内のエリアを一律に強電界エリアとみなし、同じく半径50km内のエリアを一律に中電界エリアとみなし、同じく半径100km内のエリアを一律に弱電界エリアとみなし、その他を放送エリア外とみなすようにしても構わない。
【0042】
また近隣エリア情報テーブルには、図5に示すように、全国、或いは、所定の地域に設置されている電気通信システムの基地局(電気通信基地局)ごとについての、近隣エリア(電気通信基地局から所定距離内となる地図上の領域)の情報が含まれている。なお近隣エリア情報テーブルに登録される電気通信基地局の個数は、1個であっても複数個であっても構わない。
【0043】
近隣エリアでは、上り回線(通信エリア内の通信端末から、電気通信基地局に向かう回線)の通信波の電力が相当に減衰し、弱くなっている可能性が高い。そのため、無線通信装置9が近隣エリア内に位置する場合、無線通信装置9(車車間通信システム)の与干渉のために、電気通信基地局による通信波の正常な受信が、阻害される可能性が高いと考えられる。
【0044】
なお上述したように、強電界エリアや弱電界エリア、或いは近隣エリアに無線通信装置9が位置する場合には、他の無線通信システムとの電波干渉が特に問題となる。そのため無線通信装置9は、このような場合に、干渉を低減させるような送信方式を採用することが可能となっている。この点について、詳しくは改めて説明する。
【0045】
送信方式設定部7は、自車情報送信部2における自車情報の送信方式を設定する。なお当該送信方式においては、図6に示すような、「電力レベル」、「変調方式」、「設定可能サブキャリア数」、「電力レベル(通常)の値」、および「電力レベル(低レベル)の値」の各項目が可変となっており、送信方式設定部7によって何らかの状態に設定されることになる。またこれらの各項目の内容は、次の通りである。
【0046】
「電力レベル」は、自車情報送信部2において採用される送信電力のレベルを表しており、「通常」の状態と、通常に比べて低いレベルである「低レベル」の状態の何れかに設定可能となっている。電力レベルの初期設定は「通常」となっている。「低レベル」が設定された場合は、通常の場合に比べて電波の届く距離が短くなるものの、他の無線通信システムに対する与干渉の度合を低減させることが可能となるため、与干渉対策が実現される。
【0047】
また「電力レベル」は、自車情報送信部2から送信される複数のサブキャリアのうち、「低域側」のチャネル端側の1本または複数本(後述する「設定可能サブキャリア数」で特定される)のサブキャリアと、「高域側」のチャネル端側の1本または複数本(後述する「設定可能サブキャリア数」で特定される)のサブキャリアとの、それぞれに対して別個に設定することが可能となっている。
【0048】
「低域側」が低レベルに設定されると、通常に比べて、特にDTV放送システム(使用周波数帯が、車車間通信システムの使用周波数の低域側に、5MHzのガードバンド介して隣接している)への与干渉が低減されることになる。「高域側」が低レベルに設定されると、通常に比べて、特に電気通信システム(使用周波数帯が、車車間通信システムの使用周波数の高域側に、5MHzのガードバンド介して隣接している)への与干渉が低減されることになる。
【0049】
「変調方式」は、自車情報送信部2において採用される変調方式を表しており、「通常」の手法と、「QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)」の手法の何れかに設定可能となっている。なお「通常」の手法としては、例えば、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)の手法が適用される。また変調方式の初期設定は「通常」となっている。「QPSK」が設定された場合は、通常の場合に比べて情報転送効率の面では劣るものの、ノイズの影響をより受けにくくすることが可能となるため、被干渉対策が実現される。なお、被干渉対策を実現させるための手法としては、QPSKの手法に限らず、例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying)の手法が採用されていても良い。
【0050】
また「変調方式」も、「電力レベル」の場合と同様に、自車情報送信部2から送信される複数のサブキャリアのうち、「低域側」に近い方の1本または複数本のサブキャリアと、「高域側」に近い方の1本または複数本のサブキャリアとの、それぞれに対して別個に設定することが可能となっている。
【0051】
「低域側」がQPSKに設定されると、通常に比べて、特にDTV放送システムからの被干渉が低減されることになる。「高域側」がQPSKに設定されると、通常に比べて、特に電気通信システムからの被干渉が低減されることになる。
【0052】
「設定可能サブキャリア数」は、上述した電力レベルや変調方式の設定内容が反映されるサブキャリアの本数を表しており、1本または複数本に設定される。設定可能サブキャリア数も、「低域側」の分と「高域側」の分のそれぞれについて、別個に設定可能となっている。設定可能サブキャリア数が多く設定されるほど、電力レベルや変調方式が変更されたことによる影響や効果が、より強くなる。設定可能サブキャリア数は、初期状態では、何らかの妥当な値に設定されている。なお、「設定可能サブキャリア数」の項目を設けることとせず、例えば電力レベルが「低レベル」に設定された場合は、全てのサブキャリア係る送信電力のレベルが、低レベルに設定されるようにしても構わない。
【0053】
「電力レベル(通常)の値」は、電力レベルが「通常」に設定された場合の、送信電力のレベルの具体的な値を表している。また「電力レベル(低レベル)の値」は、電力レベルが「低レベル」に設定された場合の、送信電力のレベルの具体的な値を表しており、「電力レベル(通常)の値」よりも小さい値が設定されることになる。これらの電力レベルの値は、初期状態では、一般的に適正と見込まれる何らかの値に設定されている。
【0054】
路車間通信部8は、自車が路側機10の通信エリア内に進入したときに、路側機10から無線送信される各種情報を受信する。受信された情報は、演算制御部3に伝送される。
【0055】
無線通信装置9は、上述したように車車間通信を実行するものであるとともに、この車車間通信に係る信号の送信方式が可変となっている。そして無線通信装置9は、そのときの電波状況に応じて、送信方式を適切に設定するための処理(送信方式設定処理)を行うようになっている。次に、この送信方式設定処理の内容について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0056】
送信方式設定処理が開始されると、まず無線通信装置9は、GPSを用いて、現在の自機の位置を検出する(ステップS1)。そして更に無線通信装置9は、放送エリア情報テーブル等を用いて、現在の自機の位置が、何れかのDTV放送局についての強電界エリア内であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0057】
その結果、強電界エリア内に位置していると判定された場合には(ステップS2のY)、送信方式設定部7は、低域側の電力レベルを「通常」に、低域側の変調方式を「QPSK」に、それぞれ設定する(ステップS3)。一方で、強電界エリア内に位置していないと判定された場合には(ステップS2のN)、次に無線通信装置9は、自機が、何れかのDTV放送局についての弱電界エリア内に位置しているか否かを判定する(ステップS4)。
【0058】
その結果、弱電界エリア内に位置していると判定された場合には(ステップS4のY)、送信方式設定部7は、低域側の電力レベルを「低レベル」に、低域側の変調方式を「通常」に、それぞれ設定する(ステップS5)。一方で、弱電界エリア内に位置していないと判定された場合には(ステップS4のN)、送信方式設定部7は、低域側の電力レベルを「通常」に、低域側の変調方式を「通常」に、それぞれ設定する(ステップS6)。
【0059】
なおステップS2やステップS4の処理においては、予め最寄のDTV放送局を1個或いは複数個選出しておき、選出されたDTV放送局のみについて、先述した判定がなされるようにしても構わない。ステップS3、S5、或いはS6の処理がなされたら、次に無線通信装置9は、近隣エリア情報テーブル等を用いて、現在の自機の位置が、何れかの電気通信基地局についての近隣エリア内であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0060】
その結果、近隣エリア内に位置していると判定された場合には(ステップS7のY)、無線通信装置9は、高域側の電力レベルを「低レベル」に、高域側の変調方式を「通常」に、それぞれ設定する(ステップS8)。一方で、近隣エリア内に位置していないと判定された場合には(ステップS7のN)、無線通信装置9は、高域側の電力レベルを「通常」に、高域側の変調方式を「通常」に、それぞれ設定する(ステップS9)。
【0061】
なおステップS7の処理においては、予め最寄の電気通信基地局を1個或いは複数個選出しておき、選出された電気通信基地局のみについて、先述した判定がなされるようにしても構わない。またステップS2、S4、或いはS7の処理においては、現時点では無線通信装置9が、強電界エリア内、弱電界エリア内、或いは近隣エリア内に位置していなくても、自車の進行方向などをも考慮し、一定時間内にそのエリアに進入すると見込まれる場合には、既にそのエリアに位置しているとみなすようにしても良い。
【0062】
ステップS8或いはS9の処理がなされたら、今回の送信方式設定処理は完了する。送信方式設定処理が実行されることにより、無線通信装置9は、DTV放送システムや電気通信システムに対する与干渉が懸念される状況では、この与干渉が低減される措置をとり、DTV放送システムによる被干渉が懸念される状況では、この被干渉が低減される措置をとる。また送信方式設定処理は、継続的に繰り返し実行される。これにより、自車の移動などによって周辺の電波状況が変動しても、これに追随して、送信方式を適切に設定することが可能となっている。
【0063】
なお本実施形態では、通常よりも与干渉を低減させる送信方式として、送信電力が低減される方式を例に挙げたが、他の方式が用いられても構わない。例えば、送信周期を通常より長くする方式が用いられるようにしても、通常より与干渉を低減させることが可能である。
【0064】
また無線通信装置9は、路側機10から各種の情報を受取り、この情報に従って、放送エリア情報テーブルや送信方式の設定内容などを修正するようになっている。以下、この点についてより詳細に説明する。
【0065】
各路側機10は、その地域に存在する各DTV放送局についての、最新かつ精度の高い放送エリアの情報(強電界エリアや弱電界エリアの情報も含む)を交通情報管理サーバ11から受取り、近傍の無線通信装置9に向けて配信する。無線通信装置9は当該情報を受信したとき、これに従って、一時的に(次に、別の放送エリアの情報を受信するまで)、放送エリア情報テーブルの内容を修正する。なおこのとき、一時的ではなく、恒久的に放送エリア情報テーブルが修正される(換言すれば、放送エリア情報テーブルのバージョンアップがなされる)ようになっていても良い。
【0066】
これにより、プリセットされている放送エリア情報テーブルの内容が、記憶容量の抑制等のために簡素化されている場合(例えば、放送エリアが「○○県内」といった内容の場合)や、現状とは異なる場合(新たにDTV放送局が創設されたり、廃止されたりした場合)であっても、無線通信装置9は、修正後の放送エリア情報テーブルを用いて、より現状に即した送信方式設定処理を行うことが可能となる。
【0067】
また一部の時間帯において実質的に放送エリアが消失するような場合(例えば、真夜中の時間帯に放送が停止される場合)であっても、路側機10からこのような事情を示す情報が取得されることにより、無線通信装置9は、この時間帯については通常の送信方式を採用することができる。これにより、不必要な干渉対策がなされることを回避することが可能となる。
【0068】
また各路側機10は、その近傍において適した「可変サブキャリア数」、「電力レベル(通常)の値」、および「電力レベル(低レベル)の値」の各値の情報を交通情報管理サーバ11から受取り、近傍の無線通信装置9に向けて配信する。無線通信装置9は当該情報を受信したとき、この情報に従って、一時的に(次に、別の各値の情報を受信するまで)、これらの各値を修正する。これにより、無線通信装置9は、より現状に即した送信方式設定処理を行うことが可能となっている。
【0069】
このような路側機10を利用する手法は、交通情報管理サーバ11において、各放送エリアの変動状況などが適切に管理され、正確な情報が各路側機10に伝送されることにより実現される。無線通信装置9は、記憶部6にプリセットされた情報だけでなく、路側機10から得られた情報を併用するハイブリッド方式をとることで、より現状に即した送信方式設定処理を行うことが可能となっている。
【0070】
[変形例1]
上述した無線通信装置9では、放送エリア情報テーブルや近隣エリア情報テーブルを用いて、自機が強電界エリアや弱電界エリア、或いは近隣エリアに位置しているかを判断するようになっていたが、これと同じ趣旨の動作が、別の手法によって実現されるようになっていても良い。特に、DTV放送局や電気通信基地局からの距離に着目した場合の具体例について、以下に説明する。
【0071】
記憶部6には、放送エリア情報テーブルや近隣エリア情報テーブルの代わりに、放送局情報テーブル、および基地局情報テーブルが予め記録されている。放送局情報テーブルは、図8に示すように、全国、或いは、所定の地域に設置されているDTV放送局ごとの位置、および送信パワーの情報を含むものである。また基地局情報テーブルは、図9に示すように、全国、或いは、所定の地域に設置されている電気通信基地局ごとの位置の情報を含むものである。
【0072】
また記憶部6には、図10に示すように、DTV放送局の送信パワーごとの、「強電界エリアの半径」、「中電界エリアの半径」、および「弱電界エリアの半径」の情報が予め記録されている。「強電界エリアの半径」は、DTV放送局から半径何km以内が強電界エリアであるかを表しており、「中電界エリアの半径」は、DTV放送局から半径何km以内が中電界エリアであるかを表している。また「弱電界エリアの半径」は、DTV放送局から半径何km以内が弱電界エリアであるか(換言すれば、放送エリアと放送エリア外との境界)を表している。
【0073】
上述した情報が記録されているため、無線通信装置9は、各DTV放送局から自機までの距離を算出した上で、各DTV放送局について、自機が強電界エリア内に位置しているか、および、弱電界エリア内に位置しているかを判断することが可能である。また無線通信装置9は、各電気通信基地局から所定距離内の領域を近隣エリアとみなし、自機が近隣エリア内に位置しているかを判断することも可能である。
【0074】
そこで無線通信装置9は、先述したステップS2、S4、およびS7の処理を行う代わりに、このようにして、自機が強電界エリア内、弱電界エリア内、或いは近隣エリア内に位置しているかを判断する。当該手法によれば、先述した放送エリア情報テーブルや近隣エリア情報テーブルを要することなく、送信方式設定処理を実現させることができる。
【0075】
[変形例2]
また無線通信装置9は、自機が強電界エリア、弱電界エリア、或いは近隣エリア内に位置している旨の情報を、干渉注意情報として、他の無線通信装置に無線送信するようになっていても良い。他の無線通信装置は、干渉注意情報を受信することにより、比較的近くの(無線通信ができる距離内の)無線通信装置9が、強電界エリア、弱電界エリア、或いは近隣エリア内に位置していることを把握するができる。これにより当該他の無線通信装置は、自機においても、電波干渉に注意が必要な状況であることを把握することができる。
【0076】
このようにすれば、他の無線通信装置にとっては、自機がどのようなエリアに位置しているかを検出する機能が備わっていなくても、受信した干渉注意情報を利用して、送信方式設定処理に準じた処理を実行することが可能となる。また他の無線通信装置が当該機能を備えている場合であっても、電波干渉に注意が必要な状況であるかを、必ずしも全ての無線通信装置が自ら把握することを要せず、システム全体として見れば、計算等の処理負担を軽減することが可能となる。
【0077】
この場合、無線通信装置9は、干渉注意情報を自車情報の一部として(つまり車車間通信によって)、定期的に外部に無線送信(ブロードキャスト)する。その結果、近辺に位置する(無線通信装置9の通信エリア内に位置する)他の無線通信装置は、この干渉注意情報を取得することができる。
【0078】
例えば図11に示すように、無線通信装置9が強電界エリア内に位置するときは、「無線通信装置9が強電界エリア内に位置している」旨を表す干渉注意情報が、近辺に位置する他の無線通信装置20に提供される。その結果、当該他の無線通信装置20は、自機が強電界エリア内、或いは、強電界エリアの近くに位置している(間もなく強電界エリアに進入する可能性が高いと言える)ことを把握し、その状況に応じた電波干渉対策を実行することができる。
【0079】
なお干渉注意情報は、自車情報を構成する各種情報の中でも重要なものであるため、できるだけ確実に送信されるように配慮されることが望ましい。例えば、自車情報の送信がパケット送信によってなされる場合、干渉注意情報のパケットは、他の情報のパケットよりも優先的に(例えば、他の情報のパケットよりも前の方に)付加されることが望ましい。ただし、干渉注意情報のパケットの配置はこれに限定されず、干渉注意情報のデータ数も特に限定されない。
【0080】
また、干渉注意情報の生成および送信に関しては、強電界エリア、弱電界エリア、或いは近隣エリアの範囲が、通常よりも拡大あるいは縮小して扱われるようにしても良い。例えば図12に示すように、DTV放送局50について、通常は強電界エリアと中電界エリアの境界が境界線50a、中電界エリアと弱電界エリアの境界が境界線50bのようになっている場合、干渉注意情報の生成および送信に関しては、境界線50aが境界線50a’であり、境界線50bが境界線50b’であるとして扱われるようにしても良い。
【0081】
このようにすると、無線通信装置9が強電界エリア内に位置していなくても、その近傍(境界線50a’の内側)に位置していれば、強電界エリアに係る干渉注意情報が生成され送信される。また無線通信装置9が弱電界エリア内に位置していなくても、その近傍(境界線50b’の外側)に位置していれば、弱電界エリアに係る干渉注意情報が生成され送信される。その結果、他の無線通信装置は、より余裕をもって、電波干渉対策を行うことが可能となる。なお、拡大あるいは縮小された各エリアの情報は、無線通信装置9に予め登録されるようにしても良く、先述した第1閾値や第2閾値が補正された上で、その都度算出されるようにしても良い。
【0082】
[まとめ]
上述した無線通信装置9は、特定の周波数帯(715〜725MHz)を用いた車車間通信を行うものであり、他の周波数帯を用いる無線通信システム(DTV放送システム、もしくは電気通信システム)との電波干渉の度合が、所定基準より高くなると見込まれるエリアとして特定された、特定エリア(弱電界エリア、もしくは近隣エリア)の情報が記録されている機能部(記録部)と、自機の現在位置を検出する機能部(位置検出部)と、を備えている。
【0083】
そして更に無線通信装置9は、自機が特定エリア内に位置しているかを判断し(ステップS4あるいはS7を参照)、位置していないと判断した場合には、車車間通信の送信方式を、電力レベルが「通常」である方式(通常方式)に設定し、位置していると判断した場合には、車車間通信の送信方式を、電力レベルが「低レベル」である方式(通常方式より、DTV放送システムもしくは電気通信システムとの、電波干渉の度合を低減させる干渉低減方式)に設定する機能部(送信方式設定部)を備えている。
【0084】
そのため無線通信装置9によれば、そのときの状況に適応した送信方式を採用し、電波干渉の抑圧と通信性能の維持とを、できるだけ両立させることが可能となっている。
【0085】
また上述の「特定エリア」の一部は、一つまたは複数のDTV放送局の各々についての弱電界エリア(当該放送局の放送エリア内であるとともに、放送波の電力が所定値を下回っているエリアとして特定されているもの)である。そして、ステップS4〜S6の処理によれば、無線通信装置9が弱電界エリア内に位置している場合は、位置していない場合に比べてDTV放送システムへの与干渉の度合が低減されるように、車車間通信の送信方式が設定される。
【0086】
また上述の「特定エリア」の一部は、一つまたは複数の電気通信基地局の各々についての近隣エリア(当該基地局からの距離が所定値を下回っているエリアとして特定されているもの)である。そして、ステップS7〜S9の処理によれば、無線通信装置9が近隣エリア内に位置している場合は、位置していない場合に比べて電気通信システムへの与干渉の度合が低減されるように、車車間通信の送信方式が設定される。
【0087】
また放送受信装置9は、路側機10から送信される情報を取得する機能部(情報取得部)を備えており、路側機10から取得された情報に基づいて、放送エリア情報テーブルの内容(特定エリアの情報)を修正したり、「可変サブキャリア数」、「電力レベル(通常)の値」、および「電力レベル(低レベル)の値」の各値(干渉低減方式の内容)を修正したりするようになっている。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、車車間通信を行う無線通信装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 他車情報受信部
2 自車情報送信部
3 演算制御部
4 走行状況検出部
5 情報表示部
6 記憶部
7 送信方式設定部
8 路車間通信部
9、20 無線通信装置
9a 車両
10 路側機
11 交通情報管理サーバ
50a 強電界エリアと中電界エリアとの境界線
50b 中電界エリアと弱電界エリアとの境界線
50c 弱電界エリアと放送エリア外との境界線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の周波数帯を用いた無線通信を行う無線通信装置であって、
他の周波数帯を用いる無線通信システムとの電波干渉の度合が、所定基準より高くなると見込まれるエリアとして特定された、特定エリアの情報が記録されている記録部と、
自機の現在位置を検出する位置検出部と、
自機が前記特定エリア内に位置しているかを判断し、位置していないと判断した場合には、前記無線通信の送信方式を、所定の通常方式に設定し、位置していると判断した場合には、前記無線通信の送信方式を、通常方式より前記無線通信システムとの電波干渉の度合を低減させる干渉低減方式に設定する、送信方式設定部と、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記特定エリアは、
一つまたは複数のDTV放送局の各々について、該放送局の放送エリア内であるとともに、放送波の電力が所定値を下回っているエリアとして特定されているものであり、
干渉低減方式は、
通常方式に比べて、DTV放送システムへの与干渉の度合を低減させる送信方式であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記特定エリアは、
一つまたは複数の電気通信基地局の各々について、該基地局からの距離が所定値を下回っているエリアとして特定されているものであり、
干渉低減方式は、
通常方式に比べて、電気通信システムへの与干渉の度合を低減させる送信方式であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線通信の送信動作において、OFDM変調が行われるものであり、
干渉低減方式は、
チャネル端側の1本または複数本のサブキャリア、或いは全てのサブキャリアについての送信電力が、通常方式による送信電力より、低減されたものであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
車両に搭載され、車車間通信システムを構成する請求項1から請求項4の何れかに記載の無線通信装置であって、
路側機から送信される情報を取得する情報取得部を備え、
路側機から取得された情報に基づいて、前記特定エリアの情報を修正することを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
車両に搭載され、車車間通信システムを構成する請求項4に記載の無線通信装置であって、
路側機から送信される情報を取得する情報取得部を備え、
路側機から取得された情報に基づいて、干渉低減方式の内容を修正することを特徴とする無線通信装置。
【請求項1】
特定の周波数帯を用いた無線通信を行う無線通信装置であって、
他の周波数帯を用いる無線通信システムとの電波干渉の度合が、所定基準より高くなると見込まれるエリアとして特定された、特定エリアの情報が記録されている記録部と、
自機の現在位置を検出する位置検出部と、
自機が前記特定エリア内に位置しているかを判断し、位置していないと判断した場合には、前記無線通信の送信方式を、所定の通常方式に設定し、位置していると判断した場合には、前記無線通信の送信方式を、通常方式より前記無線通信システムとの電波干渉の度合を低減させる干渉低減方式に設定する、送信方式設定部と、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記特定エリアは、
一つまたは複数のDTV放送局の各々について、該放送局の放送エリア内であるとともに、放送波の電力が所定値を下回っているエリアとして特定されているものであり、
干渉低減方式は、
通常方式に比べて、DTV放送システムへの与干渉の度合を低減させる送信方式であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記特定エリアは、
一つまたは複数の電気通信基地局の各々について、該基地局からの距離が所定値を下回っているエリアとして特定されているものであり、
干渉低減方式は、
通常方式に比べて、電気通信システムへの与干渉の度合を低減させる送信方式であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線通信の送信動作において、OFDM変調が行われるものであり、
干渉低減方式は、
チャネル端側の1本または複数本のサブキャリア、或いは全てのサブキャリアについての送信電力が、通常方式による送信電力より、低減されたものであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
車両に搭載され、車車間通信システムを構成する請求項1から請求項4の何れかに記載の無線通信装置であって、
路側機から送信される情報を取得する情報取得部を備え、
路側機から取得された情報に基づいて、前記特定エリアの情報を修正することを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
車両に搭載され、車車間通信システムを構成する請求項4に記載の無線通信装置であって、
路側機から送信される情報を取得する情報取得部を備え、
路側機から取得された情報に基づいて、干渉低減方式の内容を修正することを特徴とする無線通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−15115(P2011−15115A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156620(P2009−156620)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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