説明

熱処理装置、及びこれに基板を搬送する基板搬送方法

【課題】基板搬送効率を向上できる熱処理装置を提供する。
【解決手段】複数の基板が互いに第1の間隔をあけて重なるように複数の基板を収容する基板容器が載置される容器載置部と、第1の間隔よりも狭い第2の間隔をあけて複数の基板が互いに重なるように複数の基板を保持する基板保持具と、基板支持可能な少なくとも2つの基板支持部を含み、基板保持具と基板容器との間で複数の基板を受け渡す基板搬送部であって、少なくとも2つの基板支持部が、第1の間隔で互いに重なるように配置され、基板容器に対して共に進退し、基板保持具に対して独立に進退する基板搬送部と、少なくとも2つの基板支持部のうちの下方の基板支持部が基板を支持しているときに、上方の基板支持部が動作しないように上方の基板支持部を制御する制御部とを備える熱処理装置により上記の課題が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハなどの基板を熱処理する熱処理装置、及びこれに基板を搬送する基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置の一つとして、複数のウエハを一括して加熱する縦型のバッチ式熱処理装置がある。このような熱処理装置には、例えば上下方向に間隔をあけて複数のウエハを保持するウエハボートと、複数のウエハが収容される例えばFOUP(Front-Opening Unified Pod)などキャリアとウエハボートとの間でウエハの受け渡しを行う搬送機構とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−56469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の熱処理装置では、一回のプロセスで処理するウエハの枚数を増やすため、ウエハボートに保持されるウエハの間隔を小さくすることが求められている。この場合において、ウエハボートに支持されるウエハの間隔と等しい間隔で配置される複数のウエハフォークを搬送機構に設ければ、複数のウエハをウエハボートに一度に搭載することができ、ウエハボートから複数のウエハを一度に取り出すことができる。したがって、一回のプロセスで処理するウエハ枚数の増加に加えて、ウエハ搬送時間を短くすることによってもスループットを向上させることが可能となる。
【0005】
しかし、ウエハボートのウエハ間隔に合わせるために複数のウエハフォークの間隔を小さくした場合、ウエハフォークの間隔を厳密に調整する必要が生じる。
【0006】
また、例えばウエハボートの熱膨張等によりウエハ間隔が変化すると、ウエハボートからウエハを取り出せない事態が生じ得る。
さらに、ウエハフォークとキャリアとの間でウエハを受け渡す際に、キャリアにおけるウエハ間隔とウエハフォークの間隔とを等しくしなければ、結局はウエハ搬送時間を短縮することができない。その一方で、半導体製造工場内には、例えばウエハ間隔の異なるバッチ式の半導体製造装置もあるため、特定の熱処理装置に合わせてキャリア内のウエハ間隔を変更することは不都合である。そのため、ウエハフォークにより一枚のウエハをウエハボートに搭載する手順を繰り返さざるを得ず、ウエハ搬送の効率を向上できないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて為され、基板搬送効率を向上できる熱処理装置、及びこれに基板を搬送する基板搬送方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、複数の基板が互いに第1の間隔をあけて重なるように当該複数の基板を収容する基板容器が載置される容器載置部と、前記第1の間隔よりも狭い第2の間隔をあけて複数の基板が互いに重なるように当該複数の基板を保持する基板保持具と、基板支持可能な少なくとも2つの基板支持部を含み、前記基板保持具と前記基板容器との間で前記複数の基板を受け渡す基板搬送部であって、前記少なくとも2つの基板支持部が、前記第1の間隔で互いに重なるように配置され、前記基板容器に対して共に進退し、前記基板保持具に対して独立に進退する当該基板搬送部と、前記少なくとも2つの基板支持部のうちの下方の基板支持部が前記基板を支持しているときに、上方の基板支持部が動作しないように当該上方の基板支持部を制御する制御部とを備える熱処理装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、複数の基板が互いに第1の間隔をあけて重なるように当該複数の基板を収容する基板容器から、前記第1の間隔よりも狭い第2の間隔をあけて複数の基板が互いに重なるように当該複数の基板を保持することができる基板保持具へ、前記第1の間隔で互いに重なるように配置され、基板支持可能な少なくとも2つの基板支持部を用いて複数の基板を搬送する基板搬送方法が提供される。この基板搬送方法は、前記基板容器内へ前記少なくとも2つの基板支持部を共に進入させる工程と、前記少なくとも2つの基板支持部の各々により1枚ずつの基板を受け取る工程と、前記少なくとも2つの基板支持部を前記基板容器から共に退出させる工程と、前記少なくとも2つの基板支持部のうち下方の基板支持部により、当該基板支持部が支持する第1の基板を前記基板保持具へ搬入する工程と、前記少なくとも2つの基板支持部のうち上方の基板支持部により、当該基板支持部が支持する第2の基板を、前記基板保持具における、前記下方の基板支持部により搬入された前記第2の基板の下方へ搬入する工程とを含む基板搬送方法が提供される。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、前記第1の間隔よりも狭い第2の間隔をあけて複数の基板が互いに重なるように当該複数の基板を保持する基板保持具から、複数の基板が互いに第1の間隔をあけて重なるように当該複数の基板を収容することができる基板容器へ、前記第1の間隔で互いに重なるように配置され、基板支持可能な少なくとも2つの基板支持部を用いて複数の基板を搬送する基板搬送方法が提供される。この基板搬送方法は、前記基板保持具において下方側に位置する第1の基板を、前記少なくとも2つの基板支持部のうちの上方の基板支持部により取り出す工程と、前記基板保持具において前記第1の基板があった位置よりも上に位置する第2の基板を、前記少なくとも2つの基板支持部のうちの下方の基板支持部により取り出す工程と、前記第1の基板を支持する前記上方の基板支持部、及び前記第2の基板を支持する前記下方の基板支持部が前記基板容器に共に進入する工程と、前記第1の基板及び前記第2の基板を前記基板容器内に受け渡す工程と、前記基板容器から前記上方の基板支持部及び前記下方の基板支持部を共に退出される工程とを含む基板搬送方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、基板搬送効率を向上できる熱処理装置、及びこれに基板を搬送する基板搬送方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による熱処理装置を示す概略側面図である。
【図2】本発明の実施形態による熱処理装置を示す概略上面図である。
【図3】本発明の実施形態による熱処理装置におけるウエハボート、ウエハ搬送機構、及びウエハキャリアの位置関係を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態による熱処理装置のウエハボート及びウエハ搬送機構を示す概略側面図である。
【図5】本発明の実施形態による熱処理装置のウエハ搬送機構を説明する説明図である。
【図6】本発明の実施形態による熱処理装置における基板搬送方法を説明する説明図である。
【図7】図6に引き続いて、本発明の実施形態による熱処理装置における基板搬送方法を説明する説明図である。
【図8】本発明の実施形態による熱処理装置における基板搬送方法を説明する他の説明図である。
【図9】図8に引き続いて、本発明の実施形態による熱処理装置における基板搬送方法を説明する他の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な厚さや寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定されるべきものである。
【0014】
図1は、本発明の実施形態による熱処理装置を示す概略側面図であり、図2はその概略平面図である。図示のとおり、熱処理装置10は、筐体2及び隔壁21により画成される搬入出領域S1及び処理領域S2を有している。
搬入出領域S1は、装置の手前側に位置する第1の領域S11と、その奥に位置する第2の領域S12とからなる。搬入出領域S1は、筐体2に形成された開口部により筐体2の外側の雰囲気と同じ大気雰囲気とされており、処理領域S2は、図示しないファンフィルタユニット(FFU)により、例えば窒素(N)ガスなどの不活性ガスの雰囲気又は清浄乾燥気体の雰囲気とされている。
【0015】
第1の領域S11には、所定の方向に配列され、それぞれキャリアCが載置される2つの第1の載置台24が設けられている。キャリアCには、熱処理装置10で処理される直径300mmの複数(例えば25枚)のウエハWが収容されている。キャリアC内では、隣り合うどの2枚のウエハWも第1の間隔で並んでいる。ここで、第1の間隔は、1枚のウエハWの一方の面と、隣のウエハWにおける上記の一方の面との間の距離(ウエハ間距離)に、1枚分のウエハの厚さを加えた値(ピッチ)に相当し、本実施形態においては、例えば約10mmである。また、キャリアCには、開閉可能な蓋体(図示せず)で開閉される開口が形成されており、この開口を通してウエハWが出し入れされる。具体的には、キャリアCはFOUP(Front-Opening Unified Pod)であって良い。
第2の領域S12には、容器載置部としての第2の載置台25が設けられている。また、第2の領域S12には、キャリアCを保管するキャリア保管部26と、第1の載置台24、第2の載置台25、及びキャリア保管部26の間でキャリアCを搬送するキャリア搬送機構27とが設けられている。キャリア搬送機構27は、第1の領域S11におけるキャリアCの配列方向に沿って伸びるガイドレールを備えた昇降部27aと、ガイドレールにガイドされながら左右に移動する移動部27bと、移動部27bに設けられ、キャリアCの上面のフランジ部20を保持部27dにより保持してキャリアCを水平方向に搬送する2本のアーム27cとを備えている。
【0016】
搬入出領域S1(の第2の領域S12)と処理領域S2とを区画する隔壁21には、搬入出領域S1と処理領域S2とを連通する開口部20が形成されている。また、隔壁21における処理領域S2側には、開口部20を開閉する扉28と、扉28を閉じたままでキャリアCの蓋体を開閉する蓋開閉機構29とが設けられている。扉28は、蓋開閉機構29によりキャリアCの蓋体が開かれた後、図示しない扉開閉機構により蓋開閉機構29と蓋体とを共にウエハWの搬送を阻害しないように例えば上方又は下方に退避する。また、隔壁21には、開口部20に臨んで設けられ、不活性ガスを供給する不活性ガス供給管(図示せず)と、これに対応する排気路(図示せず)とが設けられており、これらにより蓋体が開かれたキャリアC内に不活性ガス(例えば窒素ガス)が供給され、キャリアC内部の空気が不活性ガスと置換される。
【0017】
処理領域S2には、下端が開口する縦型の熱処理炉31が設けられ、熱処理炉31の下方において、複数のウエハWが所定の間隔をあけて重なるように複数のウエハWを保持するウエハボート3がキャップ32の上に載置されている。キャップ32は昇降機構33に支持されており、この昇降機構33によりウエハボート3が熱処理炉31に対して搬入あるいは搬出される。またウエハボート3と隔壁21の開口部20との間には、ウエハ搬送機構4が設けられ、ウエハ搬送機構4によりウエハボート3と第2の載置台25上のキャリアCとの間でウエハの搬送が行われる。
【0018】
ウエハボート3は、図3及び図4(a)に示すように、天板34と、底板35と、底板35に対して天板24を支持する複数(図示の例では4つ)の支柱36を備えている。支柱36には、図4(b)に示すように、第2の間隔(ウエハ間距離とウエハ厚さとの合計)で複数のスリット3sが設けられている。本実施形態においては、第2の間隔は、ウエハボート3に搭載可能なウエハWの枚数を増やすため、例えば約6mmとされている。したがって、ウエハボート3におけるウエハの間隔(第2の間隔)は、キャリアCにおけるウエハの間隔(第1の間隔)よりも狭い。また、一つの支柱36における一つのスリット3sに対して、他の支柱36の対応するスリット3sは同じ高さに形成されている。これにより、複数の支柱36の対応するスリット3sにより、第2の間隔で複数のウエハWが支持される。
【0019】
ウエハ搬送機構4は、ウエハWを保持する複数(例えば2つ)のフォークFと、これらフォークFを進退自在に支持する搬送基体5とを備えている。搬送基体5は、モータM1(図4(a))よりなる回転機構によって鉛直軸回りに回動自在であり、昇降機構52により昇降自在であり、キャリアCの配列方向に沿って伸びるガイドレール53(図2参照)に沿って移動自在である。昇降機構52は例えば上下方向に延びるガイドレール54の内部に設けられた昇降軸(図示せず)をモータM2によって回転させることによって、搬送基体5をガイドレール54に沿って昇降させる。また、モータM2はエンコーダ55に接続されている。エンコーダ55には、エンコーダのパルス数をカウントするカウンタ56が接続されている。
【0020】
フォークFは、図5(a)に示すように、ウエハWを保持し得る平面視U字型の形状を有している。フォークFは、その基端側において進退機構45に取り付けられている。進退機構45は、2つのフォークFを同時に又は独立に進退移動させる。また、フォークFには、支持するウエハWを吸引により保持するチャック機構が設けられている。具体的には、フォークFには、支持するウエハWの周縁部に対応する4つの位置に、吸引口Fsを有するパッドFpが設けられている。吸引口Fsは、フォークFの内部に形成された導管Cと、これに接続される配管Pとを介して真空ポンプなどを含む吸引機構Sに接続されており、吸引機構Sが起動すると吸引によりウエハWが保持され、吸引機構が停止すると、ウエハWは解放されて、パッドFpに支持されるのみとなる。また、上記の配管Pには、バキュームセンサVSが設けられている。バキュームセンサVSにより配管P内の圧力が測定され、測定結果に基づいて制御部7によりウエハWが支持又は保持されているかが判定される。
なお、パッドFpにより、フォークFに支持(又は保持)されるウエハWはフォークFの上面から離間している。これにより、ウエハWの裏面とフォークFの上面とが接触することにより生じ得るパーティクルの発生を低減することが可能となる。
【0021】
また、図5(b)に示すように、2つのフォークFは上下方向に配置されている。以下の説明においては、便宜上、上方のフォークFを上フォークFUといい、下方のフォークFを下フォークFDという場合がある。上フォークFU及び下フォークFDは、進退機構45によって同時に又は独立して進退し、搬送基体5により同時に上下動することが可能である。本実施形態においては、上フォークFUの下面と下フォークFDの上面との間の間隔と、上フォークFU(又は下フォークFD)の厚さとの合計(ピッチ)は、キャリアC内でのウエハの間隔(第1の間隔)に等しい約10mmである。
【0022】
下フォークFDには、発光素子61及び受光素子62から構成されるマッピングセンサ6が設けられている。具体的には、図5(a)に示すように、ほぼU字形状を有する下フォークFDの一方の先端部に発光素子61が設けられ、他方の先端部に受光素子62が設けられている。発光素子61は、例えばレーザダイオードや発光ダイオードであり、受光素子62は、発光素子61が発する光に対して受光感度を有する半導体受光素子であると好ましい。
【0023】
マッピングセンサ6は、ウエハボート3の複数のスリット3Sのうちのどのスリット3Sにウエハが支持されているかを検出する。具体的には、ウエハボートの長手方向に沿って搬送基体5を下から上へ(又は上から下へ)動かすと、ウエハボート3のスリット3Sにより支持されるウエハWのエッジにより、下フォークFDの先端に設けられた発光素子61から受光素子62に至る光ビームLが遮られることから、ウエハWが支持されていることが分かる。したがって、エンコーダ55のパルス数をカウンタ56によりカウントすることにより得られる搬送基体5の高さ情報とウエハの有無の情報とから、ウエハボート3のうちのどのスリット3SにウエハWが支持されているかが把握される。
【0024】
なお、ウエハマッピングの際には、フォークFDとウエハボート3との間の距離は、フォークFDのマッピングセンサ6の発光素子61から受光素子62に至る光ビームLを、ウエハボート3に支持されるウエハWのエッジが遮ることができ、かつ、下フォークFDの先端がウエハWに接しないように設定される。具体的には、搬送基体5を調整することにより、ウエハWに接しない程度にフォークFU,FDをウエハボート3から離して位置させた後に、搬送基体5を下から上へ動かしながら、マッピングセンサ6によりウエハWを検出する(スキャンする)。ここで、一枚のウエハも検出できないときは、フォークFDをウエハボート3に近づけ、再びスキャンする。これを所定の回数繰り返すことにより、ウエハマッピングを行うことが可能となる。所定回数のスキャンによっても、ウエハWを検出できないときは、エラー警報を発するようにしても良い。
【0025】
再び図1を参照すると、熱処理装置10には、熱処理装置10の全体の動作を制御する制御部7が設けられている。制御部7は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等で形成されたプロセッサを備え、熱処理装置10の各部を制御するプロセスコントローラ7aと、ユーザインターフェース部7bと、記憶部7cとを有している。また、制御部7は、キャリア搬送機構27、ウエハ搬送機構4(モータM1,M2、チャック機構)、昇降機構33などの熱処理装置10の各部と電気的に接続され、後述する制御プログラムの制御の下で、各部に制御信号を送信する。
【0026】
ユーザインターフェース部7bは、工程管理者が成膜装置を管理するためにコマンドの入力操作を行うキーボードや、熱処理装置10の稼働状況を表示するディスプレイ等から構成される。
【0027】
記憶部7cには、熱処理装置10で実行される各種処理をプロセスコントローラ7aの制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウェア)や処理条件データ等が記憶されたレシピが格納される。そして、必要に応じて、ユーザインターフェース部7bからの指示等により任意のレシピを記憶部7cから呼び出してプロセスコントローラ7aに実行させることにより、プロセスコントローラ7aの制御下で、熱処理装置10に所望の機能を実行させて所望の熱処理を行わせる。つまり、プログラムは、コンピュータに熱処理装置10での熱処理に関する機能を実現させたり、コンピュータに熱処理装置10での熱処理に関する手順を実行させたり、コンピュータを熱処理装置10での熱処理を実行する手段として機能させるように熱処理装置10を制御する。また、制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータで読み取り可能なプログラム記録媒体7d(例えば、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスク等)に格納され、プロセスコントローラ7aにインストールされる。また、制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、他の装置から、例えば専用回線を介してプロセスコントローラ7aにインストールしても良い。
【0028】
次に、既に参照した図面に加えて図7から図9までを参照しながら、上述の構成を有する熱処理装置10において行われる熱処理方法を説明する。この熱処理方法は、本発明の実施形態による基板搬送方法を含んでいる。また、以下の説明においては、ウエハボート3の上部と下部に複数(図中では便宜上2枚)のダミーウエハDWが予め搭載されており、その間に半導体集積回路(IC)製造用のウエハWが搬送されるものとする。
【0029】
まず、熱処理装置10の操作者又は所定の自動搬送ロボット(図示せず)によりキャリアCが第1の載置台24(図1及び図2)に載置される。次いで、キャリア搬送機構27によりキャリアCが第2の載置台25に搬送され、キャリアCは隔壁21の開口部20に気密に当接される。なお、キャリアCは、一旦キャリア保管部26に収納された後、第2の載置台25に搬送される場合もある。
【0030】
この後、蓋開閉機構29によりキャリアCから蓋体が取り外され、続いて図示しないガス供給管から不活性ガス例えば窒素ガスがキャリアC内に向けて吹き出されて、キャリアC内及びキャリアCと扉28との間の空間が窒素ガスにより置換される。その後、扉28、蓋開閉機構29及び蓋体が例えば上昇して開口部20から退避し、キャリアC内と処理領域S2とが連通する。以下、キャリアCからウエハボート3へ複数のウエハWが搬送される。
【0031】
まず、2つのフォークFのキャリアCに対する上下方向位置が調整される。すなわち、2つのフォークFが、キャリアC内のウエハWの隙間に入るように位置が調整される。この調整のため、フォークF(進退機構45)の基準位置とキャリアCの載置位置との関係が予め把握されており、フォークF(進退機構45)が基準位置に位置することにより、調整が完了する。なお、フォークFDに設けられたマッピングセンサ6により、キャリアC内のウエハWをマッピングすることにより、ウエハWの位置を把握し、その結果に基づいてフォークFの位置を調整しても良い。
【0032】
上下方向の位置調整が終了した後、図6(a)に示すように、2つのフォークFがキャリアC内に同時に進入する。このとき、2つのフォークFの間隔は、キャリアC内のウエハWの間隔と等しいため、2つのフォークFの両方が、キャリアC内のウエハWの間に進入することができる。次いで、フォークFが例えば7.0mm上昇すると、2つのフォークFのそれぞれにウエハWが載置され、フォークFのチャック機構によりウエハWが保持される。続けて、2つのフォークFがキャリアCから退出することにより、キャリアCから2枚のウエハWが取り出される(図6(b))。
次に、搬送基体5(図4)が回動し、2つのフォークFがウエハボート3を臨む位置に位置する。この後、図6(c)に示すように、2つのフォークFの基準位置とウエハボート3の位置との関係に基づいて、ウエハボート3の空のスリット(ウエハWを支持していないスリット)3sのうちの最上スリット3sに、下フォークFDにより支持されるウエハWが挿入されるように、進退機構45の上下方向位置が調整される。次いで、図6(d)に示すように、ウエハボート3内にウエハWが収まるように下フォークFDがウエハボートに向かって移動する。下フォークFDのチャック機構を停止した後、進退機構45が例えば4.0mm下降すると、ウエハボート3のスリット3sによりウエハWが支持され、下フォークFDが元の位置に戻る(図6(e))。
【0033】
続けて、図7(f)に示すように進退機構45が下降し、下フォークFDからのウエハWが支持されるスリット3sの一つ下のスリット3sに、上フォークFUにより支持されるウエハWが挿入されるように、進退機構45の上下方向位置が調整される(図7(g))。具体的には、フォークピッチ10mmとボートピッチ6mmとの合計から、上述の下降距離4mmを減算した値に等しい距離だけ、進退機構45が下降する。
【0034】
次いで、ウエハボート3内にウエハWが収まるように上フォークFUがウエハボート3に向かって移動し(図7(h))、チャック機構が停止した後に、進退機構45が例えば4.0mm下降することにより、一つ下のウエハボート3のスリット3sによりウエハWが支持され、下フォークFDが元の位置に戻る(図7(i))。
【0035】
以下、2つのフォークFによって、キャリアCから2枚のウエハを取り出し、ウエハボート3に一枚ずつウエハWを搭載するという手順が繰り返され、一つのキャリア内のウエハのすべてがウエハボート3に搭載される。続けて、他のキャリアCに対しても同様の手順が繰り返されて、ウエハボート3にすべてのウエハWが搭載される。
【0036】
この後、ウエハボート3が熱処理炉31内に挿入される。次に、熱処理炉31を取り囲むように配置されるヒータ(図示せず)によりウエハボート3に搭載される複数のウエハWが所定の温度に加熱される。図示しないガス供給管から熱処理炉31内に所定のガスが供給され、ガスに応じた熱処理がウエハWに対して行われる。
【0037】
熱処理が終了した後、ウエハボート3を熱処理炉31から下げて、熱処理炉31の下方に待機させ(図1参照)、ウエハボート3及びこれに搭載される複数のウエハWを冷却する。冷却後、ウエハボート3に搭載される複数のウエハWがウエハ搬送機構4によりキャリアCへ搬送される。具体的には、図8(a)に示すように、ダミーウエハDWを除いた処理対象のウエハWのうちの最も下のウエハWの下方に、上フォークFUが進入できるように、進退機構45の上下方向位置が調整される。
【0038】
次に、図8(b)に示すように、上フォークFUが最も下のウエハWの下方に進入し、進退機構45が例えば4.0mm上昇することにより、そのウエハWが上フォークFUにより受け取られる。上フォークFUのチャック機構が起動し、ウエハWを保持しつつ元の位置に戻る(図8(c))。続けて、図8(d)に示すように、上フォークFUが取り出したウエハWがあった位置の一つの上の位置にあるウエハWの下方に下フォークFDが進入できるように、進退機構45の上下方向位置が調整される。その後、図9(e)に示すように、下フォークFDがそのウエハWの下方に進入し、昇降機構45が例えば14mm上昇することにより、そのウエハWが上フォークFUにより受け取られる。下フォークFDのチャック機構が起動し、ウエハWを保持しつつ、元の位置に戻る(図9(f))。
【0039】
次いで、搬送基体5(図4)が回動し、それぞれウエハWを保持する2つのフォークFがキャリアCを臨む位置に位置する(図9(g))。その後、2つのフォークFがキャリアC内に進入し(図9(h))、ウエハWをキャリアCに受け渡して元の位置に戻る(図9(i))。以降、図8(a)から図9(h)までを参照しながら説明した手順が繰り返され、ウエハボート3に保持されていたすべてのウエハWがキャリアC内へ搬送される。
【0040】
以上のとおり、本発明の実施形態による基板搬送方法によれば、キャリアC内のウエハ間隔と、ウエハボート3のウエハ間隔とが異なるために、キャリアCとウエハボート3との間で、複数のフォークFにより複数のウエハWを一括して搬送することができない場合であっても、キャリアCからウエハWを取り出すときには2つのフォークFが同時に進退し、それぞれ1枚ずつ、合計2枚のウエハを取り出し、ウエハボート3に対しては、上フォークFUと下フォークFDが独立に進退してウエハを1枚ずつ搭載するため、例えば1つのフォークの場合に比べて、ウエハボートにウエハを短時間で搭載することができる。例えば、本発明者らの検討の結果によれば、150枚のウエハWをキャリアCからウエハボート3へ搬送するのに要する時間は、本発明の実施形態による熱処理装置10及び基板搬送方法によれば、約45分であった。比較のため、一つのフォークのみで同じ枚数のウエハWをキャリアCからウエハボート3へ搬送したところ、約59分かかった。すなわち、本発明の実施形態による熱処理装置10及び基板搬送方法では、一つのフォークの場合に比べて約15分の時間短縮が可能であることが分かった。
【0041】
また、上述のとおり、フォークFの間隔(第1の間隔)とウエハボート3におけるウエハ間隔(第2の間隔)との相違は、フォークFからウエハボート3のスリット3sへウエハWを挿入する前にフォークF(進退機構45)の上下方向位置を調整することにより、相殺される。すなわち、モータM2、エンコーダ55、及びカウンタ56を用いることにより、精度良く簡便に上下方向位置調整を行うことができ、したがって、ウエハWを所定の位置に確実に挿入することが可能となる。
【0042】
また、上述の基板搬送方法によれば、キャリアCからウエハボート3へウエハWを搬送するときには、下フォークFDが、ウエハボート3の空のスリット3sの高い方へウエハWを挿入し、次いで、そのウエハWの下のスリット3sに上フォークFUからウエハWが挿入される。また、ウエハボート3からキャリアCへウエハWを搬送するときには、下側のウエハWが上フォークFUにより取り出され、次いで、その上のウエハWが下フォークFDにより取り出される。すなわち、下フォークFDがウエハWを支持しているときには、上フォークFUは動作しない。これは、例えば下フォークFDのチャック機構(吸引口Fs、導管C、配管P、吸引機構S、バキュームセンサVS)を利用して、下フォークFDによりウエハWが保持されているかどうかを制御部7が監視することにより、実現され得る。具体的には、下フォークFDのチャック機構のバキュームセンサVSにより下フォークFDによりウエハWが保持されていると判定されたときには、熱処理装置10に基板搬送方法を実施させるプログラムに基づいて、上フォークFUを動作させる信号を制御部7から発しないようにすれば良い。
【0043】
このようにすれば、下フォークFDにより保持されるウエハWの半導体集積回路(チップ)が形成される面(チップ形成面)の上方において、上フォークFUや上フォークFUに保持されるウエハWが移動したりすることはない。仮に、下フォークFDにより支持されるウエハの上方において、上フォークFUが、例えばチャック機構によるウエハWの保持又は解放といった動作を行うと、下フォークFDにより支持されるウエハWのチップ形成面にパーティクルが落下するおそれがある。しかし、本発明の実施形態による基板搬送方法によれば、ウエハWの上方を、上フォークFUやウエハWが通過することがないため、ウエハWのチップ形成面にパーティクルが落下する心配がない。
【0044】
上述の実施形態においては、フォークF内部の導管Cに接続する配管PにバキュームセンサVSを設け、バキュームセンサVSにより配管P内の圧力を測定することにより、フォークFに保持されるウエハWの有無を判断するようにしたが、他の実施形態においては、フォークFの上面に静電センサを設けることにより、フォークFに保持(又は支持)されるウエハWの有無を判断するようにしても良い。
【0045】
また、吸引式のチャック機構の代わりに静電チャックを用いても良い。この場合においては、静電チャックへの電圧の印加に基づいて、フォークFに保持(又は支持)されるウエハWの有無を判断するようにしても良い。
【0046】
上述の実施形態においては、下フォークFDにマッピングセンサ6を設けたが、他の実施形態においてはマッピングセンサ6を上フォークFUに設けても良い。
【0047】
上フォークFUがキャリアCから一枚のウエハを取り出して静止した後に、下フォークFDがキャリアCから他のウエハを取り出すために動き出すという手順で無い限り、上フォークFUと下フォークFDの動作は必ずしも同時でなくても良い。
【0048】
また、ウエハボート3に保持されるIC製造用のウエハWに対して所定の熱処理が正常に行われたかを確認するため、例えば25枚のウエハWと他の25枚のウエハWとの間に一枚のモニターウエハを挿入する場合がある、この場合において、ウエハボート3からそのモニターウエハを取り出すときには、マッピングセンサ6を備えるフォークFを用いることが好ましい。これは、マッピングセンサ6を用いることにより、モニターウエハの位置を正確に把握できるためである。
【0049】
なお、本発明の実施形態による熱処理装置には、シリコンウエハ表面に熱拡散により酸化シリコン膜を形成する熱酸化装置や、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、又はアモルファスシリコン膜などの薄膜を基板上に成膜する成膜装置、基板に不純物を拡散する熱拡散装置などが含まれる。
【符号の説明】
【0050】
10・・・熱処理装置、2・・・筐体、3・・・ウエハボート、4・・・ウエハ搬送機構、5・・・搬送基体、6・・・マッピングセンサ、7・・・制御部、20・・・開口部、21・・・隔壁、24・・・第1の載置台、25・・・第2の載置台、26・・・キャリア保管部、27・・・キャリア搬送機構、28・・・扉、31・・・熱処理炉、33・・・昇降機構、36・・・支柱、45・・・進退機構、S1・・・搬入出領域、S2・・・処理領域、C・・・キャリア、M1,M2・・・モータ、F(FU,FD)・・・フォーク、Fp・・・パッド、Fs・・・吸引口、W・・・ウエハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板が互いに第1の間隔をあけて重なるように当該複数の基板を収容する基板容器が載置される容器載置部と、
前記第1の間隔よりも狭い第2の間隔をあけて複数の基板が互いに重なるように当該複数の基板を保持する基板保持具と、
基板支持可能な少なくとも2つの基板支持部を含み、前記基板保持具と前記基板容器との間で前記複数の基板を受け渡す基板搬送部であって、前記少なくとも2つの基板支持部が、前記第1の間隔で互いに重なるように配置され、前記基板容器に対して共に進退し、前記基板保持具に対して独立に進退する当該基板搬送部と、
前記少なくとも2つの基板支持部のうちの下方の基板支持部が前記基板を支持しているときに、上方の基板支持部が動作しないように当該上方の基板支持部を制御する制御部と
を備える熱処理装置。
【請求項2】
前記下方の基板支持部が、当該下方の基板支持部により支持される基板の有無を検出する検出器を備える、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記検出器により検出された、前記下方の基板支持部により支持される基板の有無に基づいて、前記上方の基板支持部が動作可能であるか否かを判断する、請求項2に記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つの基板支持部の一方の基板支持部に、前記基板保持具に保持される前記基板を検出するセンサ部が設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項5】
複数の基板が互いに第1の間隔をあけて重なるように当該複数の基板を収容する基板容器から、前記第1の間隔よりも狭い第2の間隔をあけて複数の基板が互いに重なるように当該複数の基板を保持することができる基板保持具へ、前記第1の間隔で互いに重なるように配置され、基板支持可能な少なくとも2つの基板支持部を用いて複数の基板を搬送する基板搬送方法であって、
前記基板容器内へ前記少なくとも2つの基板支持部を共に進入させる工程と、
前記少なくとも2つの基板支持部の各々により1枚ずつの基板を受け取る工程と、
前記少なくとも2つの基板支持部を前記基板容器から共に退出させる工程と、
前記少なくとも2つの基板支持部のうち下方の基板支持部により、当該基板支持部が支持する第1の基板を前記基板保持具へ搬入する工程と、
前記少なくとも2つの基板支持部のうち上方の基板支持部により、当該基板支持部が支持する第2の基板を、前記基板保持具における、前記下方の基板支持部により搬入された前記第2の基板の下方へ搬入する工程と
を含む基板搬送方法。
【請求項6】
前記第1の間隔よりも狭い第2の間隔をあけて複数の基板が互いに重なるように当該複数の基板を保持する基板保持具から、複数の基板が互いに第1の間隔をあけて重なるように当該複数の基板を収容することができる基板容器へ、前記第1の間隔で互いに重なるように配置され、基板支持可能な少なくとも2つの基板支持部を用いて複数の基板を搬送する基板搬送方法であって、
前記基板保持具において下方側に位置する第1の基板を、前記少なくとも2つの基板支持部のうちの上方の基板支持部により取り出す工程と、
前記基板保持具において前記第1の基板があった位置よりも上に位置する第2の基板を、前記少なくとも2つの基板支持部のうちの下方の基板支持部により取り出す工程と、
前記第1の基板を支持する前記上方の基板支持部、及び前記第2の基板を支持する前記下方の基板支持部が前記基板容器に共に進入する工程と、
前記第1の基板及び前記第2の基板を前記基板容器内に受け渡す工程と、
前記基板容器から前記上方の基板支持部及び前記下方の基板支持部を共に退出される工程と
を含む基板搬送方法。
【請求項7】
前記下方の基板支持部が前記基板を支持しているかを検出する工程と、
前記検出する工程における検出の結果に基づいて、前記下方の基板支持部が前記基板を支持しているか否かを判定する工程と、
前記判定する工程において前記下方の基板支持部が前記基板を支持していると判定されたときに、前記上方の基板支持部が動作しないよう当該上方の基板支持部を制御する工程と
を更に含む請求項5又は6に記載の基板搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−30701(P2013−30701A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167428(P2011−167428)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】