説明

熱化学気相成長プロセスにおけるルテニウム金属層の堆積

【課題】 熱化学気相成長プロセスにおけるルテニウム金属層の堆積を提供することである。
【解決手段】 基板にRu金属層を堆積させる方法は、示される。方法は、処理チャンバに基板を提供することと、キャリヤガス、ルテニウム-カルボニルプリカーサ、および水素を含むプロセスガスを処理チャンバに導入することとを含む。方法は、熱化学気相成長プロセスによって基板にRu金属層を堆積させることを更に含む。本発明の1つの実施形態では、ルテニウム-カルボニルプリカーサは、Ru3(CO)12を含むことができる。および、Ru金属層は、主にRu(002)結晶方位を有しているRu金属層をもたらす基板温度で堆積されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年9月27日に出願の米国特許出願第10/949,803号に基づき、および、その利点を有するものである。そして、その全体の内容は、参照によってこの本願明細書に引用したものとする。
【0002】
本発明は、半導体プロセスに関し、より詳しくは、熱化学気相成長プロセスにおけるルテニウム金属層を堆積させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路(IC)の製造に対して多層配線方式への銅(Cu)金属の導入は、Cu層の密着性と成長を促進するために、および、誘電体材料へのCuの拡散を防止するために、拡散バリア/ライナの使用を必要とし得る。誘電体材料上へ堆積されるバリア/ライナは、Cuに対し非反応性で、非混合性で、および低抵抗率を提供することができるルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、および、タンタル(Ta)のような高融点材料を含むことができる。Cuメタライゼーションおよび誘電体材料を集積化する現在のインテグレーション方式は、約400℃と、約500℃との間の基板温度またはそれを下回る温度で、バリア/ライナ堆積プロセスを必要とし得る。
【0004】
熱化学気相成長(Thermal chemical vapor deposition:TCVD)は、半導体業界において、基板上に薄膜層を形成するための特に魅力的な方法であり、なぜなら、この方法が、薄膜層の組成の制御を容易にし、基板のコンタミネーションまたはダメージ無しで薄膜層を形成する能力を有するからである。TCVDは、また、穴、トレンチ、および、他のステップが付けられた構造に所望の薄膜層を堆積させるために使用されることができる。どこでも均等な(conformal)薄膜層堆積が必要である状況において、蒸着およびスパッタリング技術は、均等な薄膜層を形成するのに使用することができないという理由から、TCVDは、堆積の好適な方法であることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
TCVDプロセスは、デバイス製造のために十分に高堆積速度で層を堆積させるためにTCVD処理チャンバに、それらの蒸気の急速な移送を可能にするために十分に揮発性である適切なプリカーサを必要とする。プリカーサは、所望の基板温度で高純度層を堆積させるために、相対的に安定しているべきで、および、処理チャンバの基板にきれいに(cleanly)分解するべきである。金属層の場合、金属層の応力、モホロジ、および抵抗率が結晶方位の機能(function)であることができるという理由から、堆積される金属層の結晶方位の制御は必要であることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
広くここで記載されているように、本発明の実施形態は、熱化学気相成長プロセスにおいて基板上への薄いRu金属層を堆積させる方法を提供する。
【0007】
本発明の1つの実施形態では、方法は、処理チャンバに基板を提供すること、キャリヤガス、ルテニウム-カルボニルプリカーサ、および水素ガスを含むプロセスガスを処理チャンバに導入することとを具備する。方法は、さらに、熱化学気相成長プロセスによって基板にRu金属層を堆積させることを具備する。本発明の1つの実施形態では、ルテニウム-カルボニルプリカーサは、Ru3(CO)12を含むことができる。
【0008】
本発明の1つの実施形態では、堆積は、主に(predominantly)Ru(002)結晶方位を有するRu金属層をもたらす基板温度で起こる。
【0009】
本発明の別の実施形態では、方法は、パターニングされた基板上へRu金属層を堆積させるために提供される。方法は、処理チャンバに、1つ以上のビア、トレンチ、またはそれらの組合せを含むパターニングされた基板を提供することと、処理チャンバに、キャリヤガス、ルテニウム-カルボニルプリカーサ、および水素ガスを含むプロセスガスを導入することと、熱化学気相成長プロセスによってパターニングされた基板上にRu金属層を堆積させることとを含む。
【0010】
本発明の一実施形態に係るパターニングされた基板は、Wバリア層を含むことができ、および、Ru金属層は、Wバリア層上に堆積されることができる。
【0011】
他の本発明の態様は、その記載に従って明細書から、および明細書に添付された図面から、明瞭とされる。
【0012】
本発明の実施形態は、実施例の方法によって、添付の図面を参照することによって、記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の各種実施形態について説明する。適切な所で、類似の参照番号は、似た形態を参照するのに使用される。当業者によって理解されるように、ここで示される実施形態は、単に本発明の範囲内で意図される多種多様な実施形態の典型的なものだけを対象とする。したがって、本発明は、単に示される実施形態だけに、限定されるものではない、しかし、また、本願発明は、何らかのまたは全ての変更形態を包含し、それは、当業者によって理解される。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る基板にRu金属層を堆積させるための処理システムの簡略化された構成図である。処理システム100は、上部チャンバセクション1aと、下部チャンバセクション1bと、排気チャンバ23とを含む処理チャンバ1を具備する。円形開口22は、下部チャンバセクション1bの中央に形成され、ここで、下部セクション1bは、排気チャンバ23に接続する。
【0015】
処理チャンバ1の内部に、処理される基板(ウェハ)50を水平に保持するための基板ホルダ2が提供された。基板ホルダ2は、排気チャンバ23の下部の中心から上方へ延びる円筒状サポート部材3で支えられる。基板ホルダ2上の基板50の位置決めのためのガイドリング4は、基板ホルダ2の端上に提供される。さらにまた、基板ホルダ2は、電源6によって制御されるヒータ5を含み、基板50を加熱するために使用される。ヒータ5は、抵抗ヒータ、または、このような目的に適している何らかのヒータ、例えばランプヒータを含むことができる。
【0016】
プロセスの間、加熱された基板50は、熱的にルテニウム-カルボニルプリカーサ55を分解することができ、基板50上にRu金属層の堆積を可能にすることができる。本発明の1つの実施形態に係るルテニウム-カルボニルプリカーサ55は、Ru3(CO)12を含むことができる。当業者ならば周知のように、他のルテニウム-カルボニルプリカーサは、本発明の範囲内において、使用されることができる。
【0017】
基板ホルダ2は、基板50上へ所望のRu金属層を堆積させることに適している所定の温度まで加熱される。ヒータ(図示せず)は、チャンバ壁を所定の温度に加熱するために処理チャンバ1の壁に埋め込まれる。ヒータ5は、処理チャンバ1の壁の温度を、約40℃から約80℃までに維持することができる。
【0018】
図1に示すように、処理チャンバ1の上部チャンバセクション1aがシャワーヘッド10を含み、このシャワーヘッド10は、底部に配置されたシャワーヘッドプレート10aを有する。シャワーヘッドプレート10aは、基板50より上に位置づけられるプロセスゾーン60にルテニウム-カルボニルプリカーサ55を含むプロセスガスを供給するための複数のガス送出穴10bを含む。
【0019】
上部チャンバセクション1aは、ガス分配コンパートメント10dにガスライン12からのプロセスガスを導入するための開口10cを含む。シャワーヘッド10内部でルテニウム-カルボニルプリカーサ55の分解を防止するために、同一中心のクーラントフローチャネル10eは、シャワーヘッド10の温度を制御するために提供される。冷却剤流体、例えば水は、シャワーヘッド10の温度を約20℃から約100℃までに制御するために、クーラント流体ソース10fからクーラントフローチャネル10eに供給されることができる。
【0020】
プリカーサ送出システム300は、ガスライン12を介して処理チャンバ1に結合される。プリカーサ送出システム300は、とりわけ、プリカーサ容器13と、プリカーサヒータ13aと、ガス供給源15と、マスフローコントローラ(MFCs)16、20と、ガスフローセンサと、ガスコントローラ40とを含む。プリカーサ容器13は、固体のルテニウム-カルボニルプリカーサ55を含み、プリカーサヒータ13aは、ルテニウム-カルボニルプリカーサ55の所望の蒸気圧を発生する温度でルテニウム-カルボニルプリカーサ55を維持するためにプリカーサ容器13を加熱するために提供される。
【0021】
ルテニウム-カルボニルプリカーサ55は、処理チャンバ1にプリカーサの送出を高めるためにキャリヤガスを使用して処理チャンバ1に供給されることができる。ガスライン14は、ガス供給源15からプリカーサ容器13までキャリヤガスを提供することができ、マスフローコントローラ(MFC)16は、キャリアガスフローを制御するように使用されることができる。キャリヤガスは、固体のルテニウム-カルボニルプリカーサ55を通って、浸透するために、プリカーサ容器13の下部に導入されることができる。代わりとして、キャリヤガスは、プリカーサソース13内に導入されることができ、固体の金属-カルボニルプリカーサ55の上部全体に渡って分配されることができる。
【0022】
センサ45は、プリカーサ容器13からのトータルガスフローを測定するために提供される。センサ45は、たとえば、MFCを含むことができ、処理チャンバ1に供給されるルテニウム-カルボニルプリカーサ55の量は、センサ45およびマスフローコントローラ16を使用して決定されることができる。代わりとして、センサ45は、処理チャンバ1へのガスフロー内のルテニウム-カルボニルプリカーサの濃度を測定するために、光吸収センサを含むことができる。
【0023】
バイパスライン41は、センサ45から下流に位置づけられ、ガスライン12を排気ライン24に接続する。バイパスライン41は、ガスライン12を排気するために、および処理チャンバ1へのルテニウム-カルボニルプリカーサ55の供給を安定させるために提供される。加えて、バルブ42は、ガスライン12の分岐から下流に位置づけられ、バイパスライン41に提供される。
【0024】
ヒータ(図示せず)は、独立してガスライン12、14、および41に提供される。このように、ガスラインの温度は、ガスライン12、14、41のルテニウム-カルボニルプリカーサ55の凝縮を回避するために制御されることができる。ガスライン12、14、41の温度は、約20°Cから約100°Cまで、いくつかの場合があるが、制御されることができ、25℃から約60℃までの温度に制御することは、十分であり得る。
【0025】
希釈ガスは、ガス供給源19からガスライン18を使用してガスライン12へ供給されることができる。希釈ガスは、プロセスガスを希釈するかまたはプロセスガス分圧(又は複数の分圧)を調整するために使用されることができる。ガスライン18は、マスフローコントローラ(MFC20)およびバルブ21を含む。MFCs16および21と、バルブ16、17、および42とは、コントローラ40によって制御され、このコントローラ40は、キャリヤガス、金属-カルボニルプリカーサガス、および希釈ガスの供給、シャットオフ、およびフローを制御する。センサ45は、また、コントローラ40に接続され、センサ45のアウトプットに基づいて、コントローラ40は、処理チャンバ1に所望のルテニウム-カルボニルプリカーサ流量を得るためにマスフローコントローラ16を介してキャリヤガスフローを制御することができる。
【0026】
還元ガスは、ガス供給源61から処理チャンバ1まで、ガスライン64、MFC63、およびバルブ62を使用して供給されることができる。本発明の一実施態様において、還元ガスは、水素(H2)であることができる。パージガスは、ガス供給源65から処理チャンバ1まで、ガスライン64、MFC67、およびバルブ66を使用して供給されることができる。コントローラ40は、還元ガス、およびパージガスの供給、シャットオフ、およびフローを制御することができる。
【0027】
排気ライン24は、排気チャンバ23を真空排気システム400に接続する。真空排気システム400は、自動圧力コントローラ(APC)59、トラップ57、および真空ポンプ25を含む。真空ポンプは、所望の真空度に処理チャンバ1を排気し、プロセスの間、処理チャンバ1からガス種を除去するために使用される。APC59、およびトラップ57は、真空ポンプ25と直列に使用されることができる。真空ポンプ25は、1秒あたり5000リットル(および、より高い)までの排気速度が可能なターボ分子ポンプ(TMP)を含むことができる。代わりとして、真空ポンプ25は、ドライポンプを含むことができる。
【0028】
プロセスの間、プロセスガスは、処理チャンバ1に導入されることができ、チャンバ圧力は、APC59によって調整されることができる。APC59は、バタフライ形式バルブまたは何らかの適切なバルブ、例えばゲートバルブを含むことができる。トラップ57は、処理チャンバ1から反応していないプリカーサ材料、および、副生成物を収集することができる。
【0029】
処理チャンバ1に注目すると、3つの基板リフトピン26(単に2つだけが、示されている)は、基板50を保持し、持ち上げ、および降下させるために提供される。基板リフトピン26は、プレート27に固定され、基板ホルダ2の上面の下方位置まで降ろされることができる。たとえば、エアーシリンダを利用している駆動機構28は、プレート27を上下させるために構成されることができる。基板50は、ロボット移送システム(図示せず)を介してゲートバルブ30、および、チャンバフィードスルー通路29を介して処理チャンバ1との間で移送されることができ、基板リフトピン26によって受けられることができる。一旦基板50が移送システムから受けられると、それは、基板リフトピン26を降下させることによって基板ホルダ2の上面まで降ろされることができる。
【0030】
処理システム100は、処理システムコントローラ500によって制御されることができる。特に、プロセスシステムコントローラ500は、マイクロプロセッサ、メモリ、および処理システム100と通信し、処理システム100からのモニター出力と同様に処理システム100の入力をアクティブにするために十分な制御電圧を生成することが可能なデジタルI/Oポートを含む。さらに、プロセスシステムコントローラ500は、処理チャンバ1、コントローラ40およびプリカーサヒータ13aを含むプリカーサ送出システム300、真空排気システム400、電源6、およびクーラント流体ソース10fと接続され、情報を交換することができる。
【0031】
真空排気システム400において、システムコントローラ500は、処理チャンバ1の圧力を制御するための自動圧力コントローラ(APC)59に接続され、情報を交換する。メモリに格納されたプログラムは、保存されたプロセスレシピによって、処理システム100の前記コンポーネントを制御するために利用される。処理システムコントローラ500の1つの実施例は、テキサス州、ダラス、デル社から入手可能なデルプレシジョンワークステーション610(登録商標)である。
【0032】
Ru金属層の形成のための処理システムは、図1に概略的に示され、記載されているように、枚葉ウェハ処理チャンバ1を含むことができる。代わりとして、処理システムは、同時に、複数の基板(ウェハ)50が処理可能なバッチ型処理チャンバを含むことができる。半導体基板50(例えばSiウェハ)に加えて、基板は、たとえば、LCD基板、ガラス製基板、または化合物半導体基板を含むことができる。処理チャンバ1は、たとえば、何らかのサイズの基板、例えば200mm基板、300mm基板、またはより大きい基板でさえ処理することができる。当業者にとって、図1の記載に対して選ばれた処理システム100に、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくされる変更態様は明確である。
【0033】
ルテニウム-カルボニルプリカーサ55の熱分解および次の基板50上へのRu金属堆積は、基板50からのCO除去のよって、およびCO副生成物の脱離によって主に進行すると考えられる。Ru金属層へのCO副生成物の取込みは、ルテニウム-カルボニルプリカーサ55の不完全な分解、Ru金属層からCO副生成物の不完全な除去、およびRu金属層の上のプロセスゾーン60からのCO副生成物の再吸着から生じることができる。処理チャンバ圧力の低下は、基板50より上のプロセスゾーン60内のガス種(例えばルテニウム-カルボニルプリカーサ、反応副生成物、キャリヤガス、および希釈ガス)のより短い滞留をもたらし、それは、次に、基板50に堆積されたRu金属層の低いCO不純物レベルをもたらすことができる。
【0034】
本発明の実施形態は、パターニングされていない基板上への、および、ビア(穴)、トレンチ、および他の構造を含んでパターニングされた基板上への薄いRu金属層を堆積させるために、好適である。均等な薄いRu金属層堆積が高アスペクト比構造に渡って必要である状況において、本発明の実施形態に記載されているTCVDプロセスは、堆積の好適な方法であることができる。
【0035】
本発明の実施形態に係る、図2Aは、概略的に、その上に堆積された薄いRu金属層202を含んでいる基板200を記載する。1つの実施形態に係る金属層202の厚さは、約300オングストローム(A)未満であることができる。代わりとして、他の実施形態は、約200A未満の厚さを意図し、またはさらに約100A未満を意図する。
【0036】
図2Bは、概略的には、本発明の実施形態に係る、その上に堆積された薄いRu金属層214を含んでいるパターニングされた基板210である。パターニングされた基板210も、たとえば、ビア、トレンチ、または別の構造であり得る開口216を含む。薄いRu金属層214は、たとえば、パターニングされた基板210、第1の金属層212、および、開口216内に堆積された第2の金属層の間のバリア層であることができる。他の例では、薄いRu金属層214は、プレーティング工程(plating process)によって開口216内にCuの次の堆積のためのシード層であることができる。さらに別の例では、概略的に、図2Cに示されて、薄いRu金属層220(シード層)は、別の材料(例えばW)を含むバリア層218上に堆積され、その後、開口216内に堆積されたCuである。
【0037】
本願の発明者は、ルテニウム-カルボニルプリカーサ、キャリヤガス、および、水素ガスを含むプロセスガスを利用して、TCVDプロセスにて、基板上に滑らかなRu金属層を堆積させるのに使用されることができることを実現した。加えて、水素ガスは、堆積されたRu金属層のRu(002)結晶方位の量を、Ru(101)結晶方位に対して増加させる。
【0038】
本発明の実施形態に係る図3は、Ru層を堆積させるプロセスのためのフローチャートを記載する。作業250において、プロセスは、始まられる。ステップ252において、基板は、処理チャンバ内に提供される。
【0039】
作業254において、プロセスガスは、処理チャンバにおいて導入され、ここで、プロセスガスは、キャリヤガス、ルテニウム-カルボニルプリカーサ、および水素ガスを含む。本発明の一実施形態に係るルテニウムを含有するプリカーサは、Ru3(CO)12を含むことができる。
【0040】
作業256において、Ru金属層は、熱化学気相成長プロセスによって基板に堆積される。本発明の一実施形態に係る堆積させることは、主にRu(002)結晶方位を有するRu金属層をもたらす基板温度で実行される。
【0041】
図3で示したように、Ru金属層の堆積の後、プロセスは、作業258にて終了する。TCVDプロセスのためのプロセスパラメータ空間は、約20mTorrと、約500mTorrとの間の処理チャンバ圧力を利用する。代わりとして、処理チャンバ圧力は、約100mTorrと、約300mTorrとの間のあることができ、および、約170mTorrであることができる。キャリヤガス流量は、毎分標準状態で約100立方センチメートル(sccm)と、約5,000sccmとの間にあることができる。代わりとして、キャリヤガス流量は、約500sccmと、約2,000sccmとの間にあることができる。水素ガス流量は、約10sccmと、約1000sccmとの間にあることができる。代わりとして、水素ガス流量は、約100sccmと、約500sccmとの間にあることができる。キャリヤガスは、Ar、He、Ne、Kr、Xe、および、N2、またはそれらの2つ以上の何らかの組合せから選ばれる不活性ガスを含むことができる。基板温度は、約300℃と、600℃との間にあることができ、代わりとして基板温度は約350℃と、約450℃との間にあることができる。
【0042】
実施例
実施例として、Ru金属層は、Ru3(CO)12プリカーサ、Arキャリヤガス、およびH2ガスを使用して、TCVDプロセスで、300℃および400℃の基板温度でSi基板上へ堆積された。比較のためのRu金属層は、H2ガスを用いずに堆積された。
【0043】
堆積されたRu金属膜の結晶方位は、X線回折(XRD)を使用して測定され、プロセス条件に対して検討され、全ての回折線はRu金属および下層のSi基板にアサインされ得た。特に、Ru(002)結晶方位に対応する42.3度でのXRD強度方位、およびRu(101)結晶方位に対応する44.1度でのXRD強度は、測定された。Ru金属のような六角形の密集した(hexagonal close-packed:hcp)構造のために、最も熱力学的に安定した面は、(002)である。
【0044】
第1の実施例において、Ru金属層は、170mTorrの処理チャンバ圧力、1,000sccmのArキャリヤガス流量、および、200sccmのH2ガス流量で堆積された。プリカーサ容器の温度は、40℃であった。約420Aの厚さを有するRu金属層は、400°Cの温度基板で堆積され、13.9μohm−cmの抵抗率、および、Ru(002)/Ru(101)XRD比率は、80.33であった。7.1μohm−cmのバルク抵抗率と比較してとき、この抵抗率値は、半導体デバイスへのRu金属層のインテグレーションにとって適当である。比較するために、約470Aの厚さを有するRu金属は、300℃の基板温度で堆積され、182μohm−cmの抵抗率を有した。測定されたRu(002)/、Ru(101)XRD比率は、2.59であった。
【0045】
第2の実施例において、Ru金属層は、140mTorrの処理チャンバ圧力、1,000sccmのArキャリヤガス流量で堆積された。H2ガスは、使用されなかった。400°Cで堆積された451Aの厚さのRu金属層は、14.2μohm−cmの抵抗率を有し、Ru(002)/Ru(101)XRD比率は、21.21であった。比較するために、基板温度300℃で堆積された445Aの厚さのRu金属層は、173μohm−cmの抵抗率を有した。測定されたRu(002)/Ru(101)XRD比率は、2.78であった。
【0046】
結果として、約300℃より上の基板温度に対して、Ru3(CO)12プリカーサおよびArキャリヤガス含むプロセスガスへのH2ガスの追加は、Ru(101)方位に対して、Ru(002)結晶方位の重要な増加をもたらした。それ故、プロセスガスへのH2ガスの追加は、主にRu(002)結晶方位を有する薄いRu金属層の堆積を許容する。特に、本発明の一実施形態に係るRu金属層は、Ru(002)/Ru(101)XRD比率が約3を超えるRu金属層をもたらす基板温度で堆積された。
【0047】
本発明のさらにもう一つの実施形態に係るRu金属層は、Ru(002)/Ru(101)XRD比率約20を超えるRu金属層をもたらす基板温度で堆積された。さらにまた、H2ガスのプロセスガスへの追加は、改良された表面モホロジを有する薄いRu金属膜、特に低表面粗さを有する滑らかなRu金属膜の堆積をもたらした。
【0048】
他の例では、Ru/W/Si膜構造は、形成された。図2Cにて図示するように、Ru/W層は、Cuメタライゼーション方式のためのシード/バリア層として使用されることができる。最初に、薄いW核生成層は、Si基板上へ堆積された。W核生成層は、500mTorrの処理チャンバ圧力、400℃の基板温度、およびArキャリヤガスおよびW(CO)プリカーサを含むプロセスガスを使用して、60秒の曝す時間で、Si基板に堆積された。
【0049】
次に、Wバリア層は、60mTorrの処理チャンバ圧力で、Arキャリヤガス、W(CO)プリカーサ、およびH2ガスを含むプロセスガスを使用して、W核生成層上へ堆積された。Arキャリヤガス流量は、50sccmであり、H2ガス流量は、100sccmであった。W(CO)プリカーサ容器の温度は、35℃であった。
【0050】
その後、Ru金属層(シード層)は、Arキャリヤ、Ru3(CO)12、およびH2ガスを含むプロセスガスを使用して、170mTorrの処理チャンバ圧力、400℃の基板温度でWバリア層上へ堆積された。Ru金属層の厚さは約250Aであり、W(CO)プリカーサ容器の温度は、40℃であった。
【0051】
Ru/W/Si膜構造のRu金属層の抵抗率は、W/Si膜構造の測定された抵抗率をRu/W/Si膜構造から減算することによる約50μohm−cmであることは、算出された。比較するために、別のRu/W/Si膜構造は、Ru金属層の堆積において、H2ガスを使用せずに準備された。Ru/W/Si膜構造のRu金属層の抵抗率は、約132μohm−cmであることが算出された。
【0052】
結果として、Ru/W/Si膜構造におけるRu金属層の堆積のH2ガスの使用は、Ru/W/Si膜構造の重要な減少した抵抗率を示した。
【0053】
本発明のさまざまな修正変更が本発明を実施する際に使用されることができると理解されるべきである。従って、添付の請求の範囲内で、ここで特に記載されているより別の方法で本発明は、実施されることができると理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態に係る基板へRu金属層を堆積させるための処理システムの簡略化された構成図である。
【図2A】本発明の実施形態に係る堆積された薄いRu金属層を含んでいる基板を概略的に示す図である。
【図2B】本発明の実施形態に係る堆積された薄いRu金属層を含んでいる基板を概略的に示す図である。
【図2C】本発明の実施形態に係る堆積された薄いRu金属層を含んでいる基板を概略的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る金属層を堆積させるためのフローチャートを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上のRu金属層を堆積させる方法であって、
処理チャンバに基板を提供することと;
前記処理チャンバにキャリヤガス、ルテニウム-カルボニルプリカーサ、および水素ガスを含むプロセスガスを導入することと;
熱化学気相成長プロセスによって前記基板にRu金属層を堆積させることとを具備する方法。
【請求項2】
前記堆積させることは、主にRu(002)結晶方位を有するRu金属層をもたす基板温度で実行される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記堆積させることは、約3を超えるRu(002)/Ru(101)XRD比率を有するRu金属層をもたらす基板温度で実行される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記堆積させることは、約20を超えるRu(002)/Ru(101)XRD比率を有するRu金属層をもたらす基板温度で実行される請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記基板の温度は、約300℃と、約600℃との間である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板の温度は、約350℃と、約500℃との間である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ルテニウム-カルボニルプリカーサは、Ru3(CO)12を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記キャリヤガスのフローは、約100sccmと、約5,000sccmとの間である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記キャリヤガスのフローは、約500sccmと、約2000sccmとの間である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記キャリヤガスは、Ar、He、Ne、Kr、Xe、もしくはN、またはそれらの2つ以上の組合せを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記水素ガスの流量は、約10sccmと、約1000sccmとの間である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記水素ガスの流量は、約100sccmと、約500sccmとの間である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記プロセスガスは、希釈ガスを更に含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記希釈ガスは、Ar、He、Ne、Kr、Xe、もしくはN、またはそれらの2つ以上の組合せを含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基板は、半導体基板、LCD基板、ガラス製基板、またはそれらの2つ以上の組合せのうちの少なくとも1つを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記Ru金属層の厚さは、約300A未満である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記Ru金属層の厚さは、約200A未満である請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記Ru金属層の厚さは、約100A未満である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
パターニングされた基板にRu金属層を堆積させる方法であって、
処理チャンバに、1つ以上のビア、トレンチ、またはそれらの組合せを含むパターニングされた基板を提供することと;
前記処理チャンバに、キャリヤガス、ルテニウム-カルボニルプリカーサ、および水素ガスを含むプロセスガスを導入することと;
熱化学気相成長プロセスによって前記パターニングされた基板にRu金属層を堆積させることとを具備する方法。
【請求項20】
前記堆積させることは、主にRu(002)結晶方位を有するRu金属層をもたらす基板温度で実行される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記堆積させることは、約3を超えるRu(002)/Ru(101)XRD比率を有するRu金属層をもたらす基板温度で実行される請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記堆積させることは、約20を超えるRu(002)/Ru(101)XRD比率を有するRu金属層をもたらす基板温度で実行される請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記基板の温度は、約300℃と、約600℃との間である請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記基板の温度は、約350℃と、約500℃との間である請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記ルテニウム-カルボニルプリカーサは、Ru3(CO)12を含んでいる請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記キャリヤガスのフローは、約100sccmと、約5,000sccmとの間である請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記キャリヤガスのフローは、約500sccmと、約2000sccmとの間である請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記キャリヤガスは、Ar、He、Ne、Kr、Xe、もしくはN、またはそれらの2つ以上の組合せを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記水素ガスの流量は、約10sccmと、約1000sccmとの間である請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記水素ガスの流量は、約100sccmと、約500sccmとの間である請求項19に記載の方法。
【請求項31】
前記プロセスガスは、希釈ガスを更に含んでいる請求項19に記載の方法。
【請求項32】
前記希釈ガスは、Ar、He、Ne、Kr、Xe、もしくはN、またはそれらの2つ以上の組合せを含んでいる請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記基板は、半導体基板、LCD基板、ガラス製基板、またはそれらの2つ以上の組合せのうちの少なくとも1つを含んでいる請求項19に記載の方法。
【請求項34】
前記Ru金属層の厚さは、約300A未満である請求項19に記載の方法。
【請求項35】
前記Ru金属層の厚さは、約200A未満である請求項19に記載の方法。
【請求項36】
前記Ru金属層の厚さは、約100A未満である請求項19に記載の方法。
【請求項37】
前記パターニングされた基板は、バリア層を更に備え、
前記堆積させることは、前記バリア層上に前記Ru金属層を堆積させることを含む請求項19に記載の方法。
【請求項38】
前記バリア層は、Wを含んでいる請求項37に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−514814(P2008−514814A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533690(P2007−533690)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/034348
【国際公開番号】WO2006/036865
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】