説明

燃料電池システム

【課題】燃料電池システムの簡素化、軽量化、コストダウンを図る。
【解決手段】燃料電池システムの燃料供給流路上に配置された減圧弁とその下流に配置された放出弁6を備え、放出弁6は、導入路12と導出路13を備えるボディ10に第1バルブ31と第2バルブ32を内包し、第1バルブ31は、ボディ10に形成された弁シート15と、弁シート15に当接して導入路12と導出路13との連通を遮断する第1バルブ弁体16と、第1バルブスプリング19とを備え、第2バルブ32は、第1バルブ弁体16に貫通形成された圧抜き通路22と、第1バルブ弁体16に当接して圧抜き通路22を遮断する第2バルブ弁体17と、第2バルブ弁体17を一端に備えたプランジャ18と、第2バルブスプリング20と、第1バルブスプリング19を包囲するように配置されたコイル24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料電池システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高圧の燃料供給源(例えば、燃料タンク)から燃料電池に燃料を供給して発電を行う燃料電池システムでは、一般に、燃料供給源と燃料電池との間の燃料ガス流路上に減圧弁を設け、燃料供給源から供給される高圧の燃料ガスを減圧弁で減圧して燃料電池に供給している。また、減圧弁の調圧機能が失陥した場合の対策として、減圧弁の下流に、燃料ガス流路内のガス圧力により作動するリリーフ弁を設置し、減圧弁よりも下流の燃料ガス流路内のガス圧力が所定圧以上になるとリリーフ弁が自動的に開いて燃料ガスを排出し、燃料ガス流路内のガス圧力を低減する燃料電池システムが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
また、減圧弁のシール性が低下した場合には、減圧弁よりも下流の燃料ガス流路内のガス圧力が燃料電池の停止中に徐々に上昇していき、燃料電池に許容圧力以上の圧力が作用するという不具合が生じる。これを防止するために、燃料電池を停止する前に、減圧弁よりも上流の燃料ガス流路に設置されている遮断弁を閉じることにより燃料供給源からの燃料ガス供給を停止した状態で、燃料電池の発電を継続し、燃料ガス流路中に残留する水素ガスを消費することにより燃料ガス流路内のガス圧力を前記許容圧力以下まで低下させてから燃料電池を停止する燃料電池システムも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−134139号公報
【特許文献2】特開2005−332648号公報
【特許文献3】特開2007−165263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、本出願人は、減圧弁のシール性が低下して下流のガス圧力が上昇した場合にも、減圧弁よりも下流であって燃料電池よりも上流の燃料ガス流路上に配置されたデバイス(以下、中圧デバイスと言う)の作動を確保するために、減圧弁よりも下流の燃料ガス流路に電磁駆動式の圧抜き弁を設けた燃料電池システムを考えている。この燃料電池システムでは、減圧弁のシール性低下により燃料ガスが微小リークし、燃料電池の停止中に減圧弁よりも下流のガス圧力が、中圧デバイスの常用最大圧力よりも上昇した場合に、燃料電池システム起動時に前記圧抜き弁を開弁させることにより、燃料ガス流路内のガス圧力を中圧デバイスの常用最大圧力よりも低下させ、中圧デバイスを確実に作動させるようにしている。
【0006】
ところで、前記リリーフ弁は減圧弁の故障対策としてのデバイスであり、圧抜き弁は減圧弁のシール不良による微小リーク対策としてのデバイスであり、それぞれ目的が異なるため、圧抜き弁の作動圧(開弁圧)およびガス流量をリリーフ弁の作動圧(開弁圧)およびガス流量よりも小さくしたいという要求がある。
しかしながら、減圧弁と中圧デバイスとの間の燃料ガス流路に圧抜き弁とリリーフ弁をそれぞれ別々に設けると、燃料電池システムが複雑になり、重量増大、コストアップを招く。
【0007】
そこで、この発明は、減圧弁とその下流で圧力を減ずる弁を有しながら、システムの簡素化、軽量化、コストダウンを図ることができる燃料電池システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る燃料電池システムでは、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、燃料電池(例えば、後述する実施例における燃料電池スタック1)と、燃料供給源(例えば、後述する実施例における水素タンク2)と、前記燃料供給源から前記燃料電池に燃料を供給する燃料供給流路(例えば、後述する実施例における水素供給流路3)と、前記燃料供給流路上に配置された減圧弁(例えば、後述する実施例における減圧弁5)と、前記減圧弁よりも下流の前記燃料供給流路上に配置された放出弁(例えば、後述する実施例における放出弁6)と、を備える燃料電池システムであって、
前記放出弁は、導入路(例えば、後述する実施例における導入路12)と導出路(例えば、後述する実施例における導出路13)を備えるボディ(例えば、後述する実施例におけるボディ10)と、前記ボディに内包された第1バルブ(例えば、後述する実施例における第1バルブ31)と、前記ボディに内包され開弁時の流量が前記第1バルブの開弁時における流量よりも少ない第2バルブ(例えば、後述する実施例における第2バルブ32)と、を有し、
前記第1バルブは、前記ボディに形成され前記導入路に連なる開口(例えば、後述する実施例における開口14)の周縁に形成された弁シート(例えば、後述する実施例における弁シート15)と、前記弁シートに対して当接離反可能に配置され前記弁シートに当接することで前記導入路と前記導出路との連通を遮断する第1バルブ弁体(例えば、後述する実施例における第1バルブ弁体16)と、前記第1バルブ弁体を前記弁シートに接近する方向に付勢する第1バルブスプリング(例えば、後述する実施例における第1バルブスプリング19)と、を備え、
前記第2バルブは、前記第1バルブ弁体に貫通形成され前記開口よりも開口径の小さい圧抜き通路(例えば、後述する実施例における圧抜き通路22)と、前記第1バルブ弁体に対して当接離反可能に配置され前記第1バルブ弁体に当接することで前記圧抜き通路を遮断する第2バルブ弁体(例えば、後述する実施例における第2バルブ弁体17)と、前記第2バルブ弁体を一端に備えたプランジャ(例えば、後述する実施例におけるプランジャ18)と、前記第2バルブ弁体を前記第1バルブ弁体に接近する方向へ付勢する第2バルブスプリング(例えば、後述する実施例における第2バルブスプリング20)と、前記第1バルブスプリングを包囲するように配置され通電時に前記プランジャを前記第1バルブ弁体から離反する方向に移動させる電磁的吸引力を発生するコイル(例えば、後述する実施例におけるコイル24)と、を備えることを特徴とする燃料電池システムである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記プランジャは前記第1バルブスプリングの内側に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、前記弁シートと前記第1バルブ弁体と前記第1バルブスプリングと前記プランジャと前記第2バルブスプリングと前記コイルが同心上に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、第1バルブを、減圧弁の調圧機能が失陥した場合に燃料供給流路内の燃料を逃がして燃料供給流路内の圧力を低減するリリーフ弁として機能させることができ、第2バルブを、減圧弁のシール性が低下した場合に燃料供給流路内の燃料を逃がして燃料供給流路内の圧力を低減する圧抜き弁として機能させることができる。つまり、1つの放出弁がリリーフ弁と圧抜き弁の2つの機能を有するので、燃料電池システムの構成を簡素化することができ、その結果、燃料電池システムの軽量化、コストダウンを図ることができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、放出弁を小型にすることができる。
請求項3に係る発明によれば、放出弁をさらに小型にすることができるとともに、圧力バランスに優れた放出弁を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明に係る燃料電池システムの概略構成図である。
【図2】前記燃料電池システムに設置される放出弁の断面図である。
【図3】前記放出弁の第2バルブが開弁した状態を示す断面図である。
【図4】前記放出弁の第1バルブが開弁した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明に係る燃料電池システムの実施例を図1から図4の図面を参照して説明する。
図1は、燃料電池システムの概略構成図であり、この実施例1における燃料電池システムは、燃料電池車両に搭載されて駆動源としてのモータ等に電力を供給する態様である。
図1において符号1は、燃料としての水素と酸化剤としての酸素が供給されて発電をする燃料電池スタック(燃料電池)を示している。燃料電池スタック1は、例えば固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)であり、MEA(Membrane Electrode Assembly、膜電極接合体)をセパレータ(図示しない)で挟持してなる単セルが複数積層されて構成されている。
【0015】
燃料電池スタック1には、高圧の水素を貯蔵する水素タンク(燃料供給源)2から水素供給流路(燃料供給流路)3を介して所定圧力および所定流量の水素が供給されるとともに、図示しない空気供給装置を介して酸素を含む空気が所定圧力および所定流量で供給される。
水素タンク2は、長手方向の両端が略半球状の筒状をなし、その長手方向の一端の開口部2aに主止弁4が取り付けられており、開口2aは主止弁4によって塞がれている。主止弁4は水素タンク2の内部と水素供給流路3とを連通・遮断する弁である。
【0016】
水素供給流路3には、その上流側から、減圧弁5、放出弁6、中圧デバイス7が設けられている。水素タンク2から放出される高圧(例えば、35MPaあるいは70MPa等)の水素は、主止弁4および減圧弁5によって所定の圧力(例えば、1MP以下)に減圧されて中圧デバイス7に供給される。ここで、中圧デバイス7とは、減圧弁5と燃料電池スタック1との間に配置されるデバイスの総称であり、エゼクタ、インジェクタ、加湿器などが含まれる。エゼクタは、燃料電池スタック1から排出される水素オフガスを循環利用するために水素オフガスを再び水素供給流路3に戻すデバイスであり、インジェクタは燃料電池スタック1に供給する水素流量を調整するデバイスであり、加湿器は燃料電池スタック1に供給される水素を加湿するデバイスである。中圧デバイス7としていずれのデバイスが組み込まれるかは燃料電池システムの全体構成により決定される。
水素供給流路3には、減圧弁5よりも上流側と、減圧弁5とリリーフ弁6との間に、それぞれ圧力センサ8,9が設けられている。
【0017】
次に、放出弁6について図2から図4の図面を参照して詳述する。なお、以下の説明において、上下方向は図2から図4における図中上下方向とする。
放出弁6はボディ10を備え、ボディ10の内部には円筒状のバルブ収納孔11が形成されている。ボディ10の下面にはバルブ収納孔11に連なりバルブ収納孔11よりも小径の内径を有する断面円形の導入路12が開口し、ボディ10の上面にはバルブ収納孔11に連なりバルブ収納孔11よりも小径の内径を有する断面円形の導出路13が開口している。導入路12は、燃料電池システムにおいて減圧弁5と中圧デバイス7との間の水素供給流路3に接続され、導入路12には減圧弁5よりも下流の水素ガスの圧力が導通する。
バルブ収納孔11における下端面には導入路12に連なる断面円形の開口14が形成されており、この開口14の周縁は弁シート15となっている。
【0018】
バルブ収納孔11には、第1バルブ弁体16と、一端に第2バルブ弁体17を有するプランジャ18と、第1バルブスプリング19と、第2バルブスプリング20とが収容されている。
第1バルブ弁体16は円柱状をなし、弁シート15に当接離反可能に収容されていて、バルブ収納孔11の上端面との間に配置された第1バルブスプリング19によって、弁シート15に接近する方向に付勢されている。第1バルブ弁体16はその下面に開口14の全てを覆うことができる大きさのシール部材21を備えている。図2に示すようにシール部材21が弁シート15に当接したときに開口14が塞がれて、導入路12とバルブ収納孔11との連通が遮断され、その結果、導入路12と導出路13との連通が遮断される。一方、図4に示すようにシール部材21が弁シート15から離反したときに開口14が開かれ、開口14を介して導入路12とバルブ収納孔11とが連通し、その結果、導入路12と導出路13とが連通する。第1バルブ弁体16には、その上面からシール部材21の下面に貫通する圧抜き通路22が形成されている。圧抜き通路22の内径は、開口14の内径よりも十分に小さい。
なお、導出路13内には、ボディ10の一部として、図2において紙面に直交する方向に梁10aが架け渡され、第2バルブスプリング20の一端がこの梁10aに接することで、ちょうどバルブ収納孔11の上端面で前記一端が止められている。
【0019】
プランジャ18は円柱状をなし、第1バルブ弁体16の上側であって第1バルブスプリング19の内側に配置されている。プランジャ18の下部は第2バルブ弁体17となっていて、第2バルブ弁体17はその下面に圧抜き通路22全体を覆うことができる大きさのシール部材25を備えている。プランジャ18および第2バルブ弁体17は、第1バルブ弁体16に接近離反可能に配置され、ボディ10の梁10aとの間に配置された第2バルブスプリング20によって、第1バルブ弁体16に接近する方向に付勢されている。図1に示すようにシール部材25が第1バルブ弁体16に当接したときに圧抜き通路22が塞がれる。一方、図3に示すようにシール部材25が第1バルブ弁体16から離反したときに圧抜き通路22の上端開口が開かれ、導入路12とバルブ収納孔11とが圧抜き通路22を介して連通し、その結果、導入路12と導出路13とが連通する。
なお、プランジャ18および第2バルブ弁体17は、シール部材25を除いて磁性体で構成されている。
【0020】
また、ボディ10の外周部であってバルブ収納孔11の外側には、コイル収容凹部23が環状に形成されており、このコイル収容凹部23には、第1バルブスプリング19を包囲するように、ソレノイドを構成するコイル24が配置されている。
なお、この実施例では、バルブ収納孔11、導入路12、導出路13、開口14、弁シート15、第1バルブ弁体16、第2バルブ弁体17、プランジャ18、第1バルブスプリング19、第2バルブスプリング20、圧抜き通路22、コイル24は、全て同心上に配置されている。
また、この実施例において、開口14、弁シート15、第1バルブ弁体16、第1バルブスプリング19により第1バルブ31が構成され、第2バルブ弁体17、プランジャ18、第2バルブスプリング20、圧抜き通路22、コイル24により第2バルブ32が構成されており、第1バルブ31と第2バルブ32はボディ10に内包されていると言える。
【0021】
このように構成された放出弁6は、前述したリリーフ弁の機能と圧抜き弁の機能を備えている。
初めに、放出弁6が圧抜き弁として機能する場合を、図3の図面を参照して説明する。
今、減圧弁5のシール性が低下したため、燃料電池システムの停止中に燃料ガスが減圧弁5の上流側から下流側に微小リークしているものとする。
この燃料電池システムでは、システム起動時に圧力センサ9により減圧弁5の下流のガス圧力を検出する。そして、この検出圧力が、中圧デバイス7の常用最大圧力よりも大きいときには、図示しない制御装置が放出弁6のコイル24に電流を流す。すると、コイル24への通電により発生する電磁的吸引力により、第2バルブ32のプランジャ18が第2バルブスプリング20の付勢力に抗して上方に引き付けられる。これにより、第2バルブ弁体17が第1バルブ弁体16から離反し、第2バルブ弁体17のシール部材25により塞がれていた第1バルブ弁体16の圧抜き通路22が開通する。その結果、導入路12が、圧抜き通路22およびバルブ収納孔11を介して導出路13に連通し、導出路13に接続されたリリーフ配管50を介して、水素供給流路3内の水素ガスが排出される。これにより、減圧弁5よりも下流の水素供給流路3内のガス圧力を中圧デバイス7の常用最大圧力よりも低下させることができ、中圧デバイス7を確実に作動させることができる。つまり、放出弁6の第2バルブ32が圧抜き弁として機能する。
【0022】
ここで、減圧弁5よりも下流の水素供給流路3内のガス圧力を中圧デバイス7の常用最大圧力よりも低下させるための水素ガス排出流量は、大流量を必要としないので、内径の小さい圧抜き通路22でも十分に流量を確保することができる。
なお、コイル24に電流を流したときに発生する電磁的吸引力では第1バルブ弁体16が上方に引き付けられないように、予めコイル24や第1バルブスプリング19が設計されている。
また、リリーフ配管50から排出された水素ガスは図示しない処理装置によって希釈あるいは燃焼等される。
【0023】
次に、放出弁6がリリーフ弁として機能する場合を、図4の図面を参照して説明する。
減圧弁5の調圧機能が失陥した場合には、減圧弁5の下流の水素供給流路3内のガス圧力が上昇し、中圧デバイス7の常用最大圧力よりも大きくなる。
そして、この大きなガス圧力が放出弁6の導入路12を介して第1バルブ弁体16に印加されると、第1バルブ弁体16と第2バルブ弁体17が一体となって、第1バルブスプリング19および第2バルブスプリング20の付勢力に抗して上方に押し上げられる。これにより、第1バルブ弁体16のシール部材21が弁シート15から離反し、第1バルブ弁体16によって塞がれていたボディ10の開口14が開かれる。その結果、導入路12が開口14およびバルブ収納孔11を介して導出路13に連通し、導出路13に接続されたリリーフ配管50を介して、水素供給流路3内の水素ガスが排出される。つまり、放出弁6の第1バルブ31がリリーフ弁として機能する。
【0024】
なお、減圧弁5の調圧機能が失陥したときには、前述した減圧弁5のシール性低下時に水素ガスを排出する場合に比較して、大流量の水素ガスを一気に排出する必要があるが、開口径の大きな開口14を通して排出しているので十分に流量を確保することができる。
【0025】
この実施例の燃料電池システムでは、放出弁6の第1バルブ31がリリーフ弁として機能し、放出弁6の第2バルブ32が圧抜き弁として機能し、つまり、1つの放出弁6がリリーフ弁と圧抜き弁の機能を有するので、燃料電池システムの構成を簡素化することができる。その結果、燃料電池システムの軽量化、コストダウンを図ることができる。
【0026】
また、第2バルブ32のプランジャ18を第1バルブ31の第1バルブスプリング19の内側に配置しているので、放出弁6を小型にすることができる。
また、第1バルブ31の弁シート15、第1バルブ弁体16、第1バルブスプリング19と、第2バルブ32のプランジャ18、第2バルブスプリング20、コイル24を全て同心上に配置しているので、放出弁6をさらに小型にすることができるとともに、圧力バランスに優れた放出弁6を実現することができる。
【0027】
〔他の実施例〕
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、燃料電池システムは車両用に限るものではなく、定置用であってもよい。また、燃料供給源は水素タンクに限るものではなく、水素製造装置(燃料ガス改質装置)であってもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 燃料電池スタック(燃料電池)
2 水素タンク(燃料供給源)
3 水素供給流路(燃料供給流路)
5 減圧弁
6 放出弁
10 ボディ
12 導入路
13 導出路
14 開口
15 弁シート
16 第1バルブ弁体
17 第2バルブ弁体
18 プランジャ
19 第1バルブスプリング
20 第2バルブスプリング
21 圧抜き通路
24 コイル
31 第1バルブ
32 第2バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、燃料供給源と、前記燃料供給源から前記燃料電池に燃料を供給する燃料供給流路と、前記燃料供給流路上に配置された減圧弁と、前記減圧弁よりも下流の前記燃料供給流路上に配置された放出弁と、を備える燃料電池システムであって、
前記放出弁は、導入路と導出路を備えるボディと、前記ボディに内包された第1バルブと、前記ボディに内包され開弁時の流量が前記第1バルブの開弁時における流量よりも少ない第2バルブと、を有し、
前記第1バルブは、前記ボディに形成され前記導入路に連なる開口の周縁に形成された弁シートと、前記弁シートに対して当接離反可能に配置され前記弁シートに当接することで前記導入路と前記導出路との連通を遮断する第1バルブ弁体と、前記第1バルブ弁体を前記弁シートに接近する方向に付勢する第1バルブスプリングと、を備え、
前記第2バルブは、前記第1バルブ弁体に貫通形成され前記開口よりも開口径の小さい圧抜き通路と、前記第1バルブ弁体に対して当接離反可能に配置され前記第1バルブ弁体に当接することで前記圧抜き通路を遮断する第2バルブ弁体と、前記第2バルブ弁体を一端に備えたプランジャと、前記第2バルブ弁体を前記第1バルブ弁体に接近する方向へ付勢する第2バルブスプリングと、前記第1バルブスプリングを包囲するように配置され通電時に前記プランジャを前記第1バルブ弁体から離反する方向に移動させる電磁的吸引力を発生するコイルと、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記プランジャは前記第1バルブスプリングの内側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記弁シートと前記第1バルブ弁体と前記第1バルブスプリングと前記プランジャと前記第2バルブスプリングと前記コイルが同心上に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−185978(P2012−185978A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47607(P2011−47607)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】