説明

物品搬送装置

【課題】簡略化した構造のロボットハンドを使用しても、容器に物品を刺身重ね状に綺麗に載置することが可能な物品搬送装置を提供する。
【解決手段】容器搬送コンベヤ4は、幅方向Yで水平面に対し傾斜した載置面16aに容器3を載置して搬送する第一搬送部15と、第一搬送部15で物品1が載置された容器3を受渡部18に搬送する際に容器3を傾斜状態から略水平状態に変換する第一姿勢変換部17と、受渡部18,22で容器3を略水平状態から第一搬送部15とは逆向きに傾斜させる第二姿勢変換部23と、容器3を略水平状態に戻して搬送する搬送ベルト21とを備えている。ロボットは、載置面16aに傾斜姿勢で載置された容器3に複数の物品1を載置する際に、第一搬送部15で水平面に対し物品1のなす角度を、搬送ベルト21にて略水平姿勢にある容器3内で各物品1が水平面に対しなす角度より小さくして、各物品1を刺身重ね状に容器3に載置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に物品を供給する物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベヤ上の物品をロボットハンドによって箱やトレイ等の容器に移載する技術が知られている。例えば、下記の特許文献1には、ロボットハンドの各吸着具の間隔を複数の物品の間隔に合わせて、各吸着具により複数の物品をまとめて吸着し、該吸着した物品の間隔を狭めて、各物品が部分的に重なる刺身重ね状に複数の物品をまとめ、一つの容器内に載置することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−32089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、複数の物品を容器内に刺身重ね状に載置するためには、ロボットハンドに夫々の物品の間隔をまとめて狭める間隔調節手段が必要となるため、間隔調節手段によってロボットハンドが複雑な構造になり、或いは、高価になってしまう問題があった。
【0005】
この発明は、簡略化した構造のロボットハンドを使用しても、容器に物品を刺身重ね状に綺麗に載置することが可能な物品搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る物品搬送装置は、物品(1)を搬送する物品搬送コンベヤ(2)と、容器(3)を搬送する容器搬送コンベヤ(4)と、該物品搬送コンベヤ(2)上の物品(1)を該容器搬送コンベヤ(4)上の容器(3)に移載するロボット(9)を備えている。前記容器搬送コンベヤ(4)は、容器搬送方向(X)に交差する幅方向(Y)で水平面(H)に対し傾斜した載置面(16a)を有し、該載置面(16a)に容器(3)を載置して搬送する第一搬送部(15)と、該物品(1)が載置された容器(3)を略水平状態で搬送する第二搬送部(21)と、該第一搬送部(15)と第二搬送部(21)の間で容器(3)の姿勢を傾斜状態から略水平状態に変換する姿勢変換部(17)を備えている。前記ロボット(9)は、前記容器搬送コンベヤ(4)の第一搬送部(15)にて載置面(16a)に傾斜姿勢で載置された容器(3)に複数の物品(1)を載置する際に、それぞれの物品(1)が部分的に重なるよう物品(1)を順次積み重ねて、刺身重ね状に容器(3)に載置するよう構成されている。
【0007】
請求項1の発明では、容器搬送コンベヤ(4)の第一搬送部(15)にて載置面(16a)に傾斜姿勢で載置された容器(3)に、物品搬送コンベヤ(2)上の物品(1)を、ロボット(9)によってそれぞれの物品(1)が部分的に重なるよう前記幅方向(Y)へ順次積み重ねて、該容器(3)を水平姿勢にすることによって物品(1)を載置することができる。このため、物品(1)を吸着する吸着具(29)の間隔調整を行う装置を用いることなく、物品(1)を刺身重ね状に載置することができ、装置全体の軽量化、或は、部品点数やコストの削減等を図ることができ、ロボット(9)の構造の簡略化を可能にする。また、吸着具(29)の間隔調整機能を有すロボット(9)を用いる場合には、本実施形態のように、容器(3)に物品(1)を複数列同時に刺身重ね状に載置する等、間隔調整機能を別の用途で使用することができる。
【0008】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記容器搬送コンベヤ(4)の第一搬送部(15)は、前記物品搬送コンベヤ(2)の隣に並設され、容器(3)の上部に設けた開口(3c)が該物品搬送コンベヤ(2)側に向く傾斜姿勢で容器(3)を搬送する。
【0009】
請求項2の発明では、容器(3)の開口(3c)が物品搬送コンベヤ(2)側に向いていることから、物品(1)を物品搬送コンベヤ(2)から開口(3c)まで運ぶ距離が短くなり、処理能力を高めることができる。
【0010】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記容器搬送コンベヤ(4)は、前記第一搬送部(15)及び姿勢変換部(17)を有する第一コンベヤ(5)と、前記第二搬送部(21)を有し、該第一コンベヤ(5)に並設されて第一コンベヤ(5)とは逆向きに容器(3)を搬送する第二コンベヤ(6)と、該第一コンベヤ(5)の姿勢変換部(17)より下流で該第二コンベヤ(6)に容器(3)を受け渡す受渡手段(18,22)を備えている。
【0011】
請求項3の発明では、第一搬送部(15)及び姿勢変換部(17)を有する第一コンベヤ(5)と、第二搬送部(21)を有する第二コンベヤ(6)とを受渡手段(18,22)を介して接続したことから、物品搬送装置をコンパクトに構成することができる。
【0012】
請求項3の発明を前提とする請求項4の発明において、前記受渡手段(18,22)は、第一コンベヤ(5)と第二コンベヤ(6)の間の受渡経路で容器(3)を水平面(H)に対し第一搬送部(15)とは逆向きに傾斜させる第二姿勢変換部(23)を有している。
【0013】
請求項4の発明では、物品(1)の性状等によって第一コンベヤ(5)上で物品(1)が容器(3)の底部(3a)に支持され難い場合においては、容器(3)の底部(3a)を第一搬送部(15)とは逆向きに傾斜させ、容器(3)の底部(3a)を逆向きに傾けることで、物品(1)が揺すられるため、物品(1)が容器(3)内で整然と並べられ、容器(3)の底部(3a)に支持され易くなる。
【0014】
請求項3または請求項4の発明を前提とする請求項5の発明において、前記受渡手段(18,22)は、第一コンベヤ(5)の姿勢変換部(17)より下流に搬送された容器(3)を第二コンベヤ(6)に送り出すプッシャ(24)を有している。
【0015】
請求項5の発明では、プッシャ(24)により容器(3)を第一コンベヤ(5)から第二コンベヤ(6)に容易に送り出すことができる。
請求項3〜5のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項6の発明において、前記受渡手段(18,22)は、前記第一コンベヤ(5)の姿勢変換部(17)より下流で容器搬送方向に向けて移動中の容器(3)に当接し、該容器(3)の移動を規制するストッパ(20)、或いは、第二コンベヤ(6)に向けて移動中の容器(3)に当接し、該容器(3)の移動を規制するストッパ(25)を有している。
【0016】
請求項6の発明では、容器(3)をストッパ(20,25)に当接させることにより、容器(3)の移動方向を容易に変更することができると共に、容器(3)内で物品(1)が揺れるため、物品(1)を整然と並べることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、簡略化した構造のロボットハンドを使用しても、容器に物品を刺身重ね状に綺麗に載置することが可能な物品搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る物品搬送装置を概略的に示す部分平面図。
【図2】上記物品搬送装置を概略的に示す部分正面図。
【図3】上記物品搬送装置を概略的に示す部分側面図。
【図4】(a)は容器搬送コンベヤにおいて容器の傾きの変化を概略的に示す部分側面図、(b)(c)は夫々容器への物品載置状態を示す部分断面図。
【図5】(a)は一つの容器への物品載置途中状態を示す斜視図、(b)は同じく物品載置完了状態を示す斜視図。
【図6】(a)は複数の容器への物品載置途中状態を示す斜視図、(b)は同じく物品載置完了状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、物品1を搬送する物品搬送コンベヤ2と、容器3を搬送する容器搬送コンベヤ4とが並設されている。容器搬送コンベヤ4は、物品搬送方向Xに直交する幅方向Yに、物品搬送コンベヤ2の隣に並設された第一コンベヤ5と、第一コンベヤ5の隣に並設された第二コンベヤ6と、第二コンベヤ6の隣に並設された第三コンベヤ7を備えている。これらのコンベヤ2,4の上方には、第三コンベヤ7上から第一コンベヤ5上へ容器3を供給する容器移載手段8(図3参照)の移載部8Aと、物品搬送コンベヤ2から第一コンベヤ5上の容器3へ物品1を移載するロボット9(図2参照)のハンド9Aとが配備されている。物品1が載置された容器3は第一コンベヤ5から第二コンベヤ6へ搬送される。なお、図1,2中の白抜き矢印は各コンベヤ2,5,6,7の搬送向きを示している。
【0020】
前記物品搬送コンベヤ2においては、図2の如く、無端索体10の外周に所定間隔で支持体11が配設され、各支持体11は物品搬送方向Xの下流側が該無端索体10に接近するよう傾斜する載置面11aを有している。物品搬送コンベヤ2の上流端の上方には物品供給ベルト12が配設されている。物品供給ベルト12は、無端索体10の回転に伴い順次接近する各支持体11の載置面11aの傾斜角度に合わせて傾斜する物品吸引面12aを有している。物品吸引面12aには順次供給される物品1が吸着されて待機する。不図示の物品検出手段等による物品供給ベルト12から物品搬送コンベヤ2への物品1の受渡しに関連する情報に基づき、支持体11が順次一つずつ回転して物品供給ベルト12の下流端側に位置すると、物品1が載置面11aに対し物品搬送方向Xに傾いた傾斜姿勢で搬入される。各支持体11に搬入された物品1は物品搬送コンベヤ2の下流端に向けて搬送される。
【0021】
前記第一コンベヤ5においては、図3の如く、無端索体13の外周に所定間隔で送り爪14が配設され、無端索体13の上方に無端索体13の上流端から下流端にわたり載置板16を有する第一搬送部15が設けられている。第一搬送部15上の上流端と下流端は夫々物品搬送コンベヤ2上の下流端と上流端に隣接し、物品搬送コンベヤ2上の各支持体11と第一コンベヤ5上の各送り爪14は互いに逆向きに移動する。載置板16は、図3における容器搬送方向Xに交差する幅方向Yで水平面Hに対し物品搬送コンベヤ2側へ傾斜した載置面16aと、載置面16aを幅方向Yで二分割する通路16bと、載置面16aの下端縁で立ち上がる側面16cを有している。各送り爪14は載置板16から上方に突出した状態で通路16bを移動する。載置板16の載置面16a及び側面16cによって容器3が支持される。容器3は、図4〜6に示すように底部3aと底部3aの外周に設けられた側部3bと底部3aの上方に設けられた開口3cを有し、載置面16a及び側面16cによって、図4(a)に示す開口3cが物品搬送コンベヤ2側に向く傾斜姿勢を維持しつつ、送り爪14によって搬送される。
【0022】
また、前記第一コンベヤ5においては、第一搬送部15より下流に隣接して第一姿勢変換部17が設けられ、第一姿勢変換部17より下流に隣接して第一コンベヤ5上の下流端には平坦な載置面18aを有する受渡部18(第二搬送部の受渡手段)が設けられている。第一姿勢変換部17は、多数の棒状のローラ19からなるコンベヤであり、容器3が載置板16の載置面16aから受渡部18の載置面18aへ搬送されるに従い容器3の姿勢が傾斜状態から略水平状態に変換されるよう、多数の棒状のローラ19がその傾斜角度を次第に小さくするよう並設されている。受渡部18には第一姿勢変換部17より下流に搬送された容器3を停止させるストッパ20が設けられている。
【0023】
前記第二コンベヤ6においては、その上流端から下流端にわたり平坦な載置面21aを有する搬送ベルト21が第二搬送部として掛け渡され、第一コンベヤ5の下流端に隣接する搬送ベルト21の上流端で受渡部22(第二搬送部の受渡手段)が設けられている。第二コンベヤ6は第一コンベヤ5が容器3を搬送する向きとは逆の向きに容器3を搬送する。図4(a)に示すように、その受渡部22の載置面21aは第一コンベヤ5の受渡部18の載置面18aより少し低くなっており、それらの載置面18a,21a間には段差状をなす第二姿勢変換部23が設けられている。それらの受渡部18,22間には容器3を載置面18aから載置面21aに送り出すプッシャ24が幅方向Yへ往復動可能に設けられている。受渡部22にはプッシャ24により送り出された容器3を停止させるストッパ25が設けられている。容器3は、それらの受渡部18,22間の受渡経路で載置面18aから載置面21aに搬送される際に、第二姿勢変換部23で水平面Hに対し載置面21a側に少し傾斜する。
【0024】
前記第三コンベヤ7は、無端状の搬送ベルト26が掛け渡され、その搬送ベルト26と、搬送ベルト26の下流端に直列状に配列された二つのベルトコンベヤ27を備えており、容器3を同じ向きに搬送する各ベルトコンベヤ27では、不図示の容器検出手段による検知情報に基づき、搬送ベルト26が搬送する際の容器3の間隔より広がるように各ベルトコンベヤ27の速度制御が行なわれると共に、各ストッパ27aが搬送路に進退可能とされて、その各ストッパ27aの出現により後続の容器3と非接触状態とされる。
【0025】
前記容器移載手段8の移載部8Aは、第三コンベヤ7の各ベルトコンベヤ27上で待機する容器3の側部3bの各四箇所を把持する把持腕28を有しており、各把持腕28で把持した各容器3を同時に上昇させて、第一コンベヤ5の載置板16上に移動させた後に、その位置で各容器3を載置面16aの近くまで降下させてから、把持腕28による把持状態を解除することで、夫々の送り爪14の間に各容器3を同時に落下させて載置する。なお、移載部8Aには二つの容器3を把持した状態で両容器3の間に位置する仕切板8Bが配設されており、各容器3を載置面16aに落下させる際にこの仕切板8Bを送り爪14の直上に位置させることにより、容器3が送り爪14上に落下することを防止している。
【0026】
前記ロボット9は、三次元の自由度を有するパラレルリンクロボットであって、不図示のサーボモータを駆動することによって、例えば雌雄ねじ機構やラック及びピニオンなどにより、互いに間隔を変更することができる複数の吸着具29を有するハンド9Aを備えている。各吸着具29は、物品搬送コンベヤ2の所定の各支持体11の斜面に対応して傾けられて取着されており、各支持体11に支持された物品1を同時に吸着して第一コンベヤ5上の容器3に搬送する。
【0027】
このように構成された物品搬送装置においては、先ず、第一コンベヤ5上の第一搬送部15に容器3が複数個載置され、第一コンベヤ5が待機している状態で、ロボット9は、物品搬送コンベヤ2への物品1の受け入れ情報とエンコーダ等のパルス等による物品搬送コンべヤ2の駆動情報によって、物品1が物品搬送コンベヤ2上に所定個数載置されている際に、物品搬送コンベヤ2の下流側の物品1とその物品1の隣りの物品1の位置に各吸着具29が位置し得るようハンド9Aを移動させると共に吸着具29の間隔調整を行ってそれらの物品1を同時に吸着する。
【0028】
物品吸着後、第一搬送部15のエンコーダ等のパルス等による駆動情報に基づき、第一搬送部15上の最下流側に載置された先頭の容器3に物品1を載置し得るようハンド9Aをその容器3に向けて直線的に移動させると共に吸着具29の間隔調整を行って容器3内に物品1を載置する。
【0029】
なお、各容器3は、図4(a)に示すように、第一搬送部15の載置板16の載置面16a及び側面16cに支持されて、開口3cが物品搬送コンべヤ2側に向く傾斜姿勢になっており、ハンド9Aは、載置板16の側面16cに当接した容器3の側部3bの上端と底部3aの二箇所で物品1が支持されるよう、図4(b)のIの物品1の如く、吸着した物品1を上方から二個同時に一つ容器3内に載置する。
【0030】
容器3へIの物品1が切り離されると、ハンド9Aは、物品搬送コンベヤ2の下流側の物品1とその物品1に隣接する次の物品1の位置に向けて直線的に移動して同様に各吸着具29の間隔を調整し、各物品1を同時に吸着した後、第一搬送部15上のIの物品1が載置された容器3の上方に向けて直線的に移動して、図4(b)のIIの物品1の如く、物品1を上方から二個同時にIの物品1に部分的に重なるように刺身重ね状に載置する。
【0031】
第4(b)のIIIの物品1についても、ロボット9は、IIの物品1を載置するときと同様の処理を行い、先頭の容器3内に計6個の物品1を載置する。
そして、先頭の容器3への物品1の載置が完了すると、その容器3の隣りの容器3に計6個の物品1が同様に載置される。
【0032】
二つの容器3への物品1の載置が完了すると、これらの容器3は第一姿勢変換部17に押送されるよう第一搬送部15が駆動される。
二つの容器3が押送されると、その押送に関する第一搬送部15の駆動情報に基づき、第一搬送部15の上方位置で二つの容器3を把持して待機していた容器移載手段8が、第一搬送部15の上流の夫々の送り爪14の間に新たな容器3を二つ同時に載置した後、ベルトコンべヤ27側に移動し、ベルトコンべヤ27上の容器3を把持して、再度、第一搬送部15の上方位置で待機する。即ち、以上のようなロボット9及び容器移載手段8の動作は、第一搬送部15上の二つの容器3に物品1が載置される毎に繰り返される。
【0033】
物品1の載置が完了した容器3は、第一姿勢変換部17にて傾斜姿勢から序々に水平状態となり、受渡部18の載置面18aに到達すると、水平状態(図4(c)の状態)とされる。
【0034】
受渡部18のストッパ20に当接した容器3を検知する不図示の検知手段が配設されており、その検知情報に基づきプッシャ24が作動して容器3がストッパ25に向けて送り出される。
【0035】
ストッパ25に当接した容器3は受渡部18より低い位置に配設された受渡部22に載置され、搬送ベルト21によって図5(b)の状態で搬送される。
図5(b)の状態では、I乃至IIの物品1は、一部重なるように吸着具29の間隔を狭めて、容器3内に載置されることにより、I乃至IIIの夫々の物品1同士で刺身重ね状に載置され、また、IからIIIの物品1の列並びにおいても、刺身重ね状に載置されている。
【0036】
なお、図4及び図5(a)には、容器3の底部3aに形成された突起3dが説明の便宜を図るために示されている。この突起3dは、容器3が水平状態になり水平面Hに対し物品1のなす角度がαからβ(α<β)に変化する際等に、物品1の端部に当接して物品1の位置ずれを規制するものであり、容器3または物品1の性状等によって物品1が滑り易く、刺身重ね状態を維持し難い場合に採用することが好ましい。
【0037】
本実施形態においては、物品1または容器3の性状等が要因となって、第一姿勢変換部17で容器3を水平状態に変換した後、物品1を容器3内に整然と並べるために、その容器3の搬送方向に対し前方に置かれたストッパ20及びストッパ25に容器3を当接させて、容器3に対して、物品1を前後左右に揺するように構成されている。
【0038】
さらに、図4(a)の如く、受渡部18,22間の受渡経路に配設された第二姿勢変換部23によっても、容器3を水平面Hに対し第一搬送部15とは逆向きに傾斜させることから物品配列方向に物品1を揺すって容器3内に物品1を整然と並べるよう構成されている。
【0039】
本実施形態は以下の効果を有する。
(1) 第一コンベヤ5の第一搬送部15にて載置面16aに第一搬送部15の幅方向Yに傾斜姿勢で載置された容器3に、物品搬送コンベヤ2上の物品1を、水平面Hに対する物品1のなす角度が搬送ベルト21における角度βより小さい角度αで、ロボット9によって幅方向Yへ順次積み重ねて、該容器3を水平姿勢にすることによって、物品1を刺身重ね状に容器3に載置することができる。このため、物品1を吸着する吸着具29の間隔調整を行う装置を用いることなく、物品1を刺身重ね状に載置することができ、装置全体の軽量化、或は、部品点数やコストの削減等を図ることができる。また、吸着具29の間隔調整機能を有すロボット9を用いる場合に、本実施形態のように、容器3に物品1を複数列同時に順次積み重ねることで、物品1を刺身重ね状に載置する等、間隔調整機能を別の用途で使用することができる。
【0040】
(2) 第一搬送部15の載置面16aにて容器3の開口3cが物品搬送コンベヤ2側に向いていることから、物品1を物品搬送コンベヤ2から開口3cまで運ぶ距離が短くなり、処理能力を高めることができる。
【0041】
(3) 第一搬送部15及び第一姿勢変換部17を有する第一コンベヤ5と、第一コンベヤ5とは逆向きに容器3を搬送するよう第二搬送部としての搬送ベルト21を有する第二コンベヤ6とを受渡部18,22を介して接続したことから、物品搬送装置をコンパクトに構成することができる。
【0042】
(4) 容器3は、第一搬送部15の載置面16aにて開口3cが物品搬送コンベヤ2側に向く傾斜姿勢で載置された状態で物品1が載置された後に、第一姿勢変換部17により傾斜状態から受渡部18で略水平状態に戻され、次いで、第二姿勢変換部23により第一搬送部15とは少し逆向きに傾斜された後に、受渡部22で再び略水平状態に戻されて第二搬送部としての搬送ベルト21により搬出される。このような容器3の姿勢変換により、物品配列方向に物品1を揺すって、各物品1を刺身重ね状に整然と並べて容器3に載置することができる。
【0043】
(5) 第一コンベヤ5の姿勢変換部17より下流で、第一コンベヤ5の容器搬送方向に向けて移動中の容器3に当接し、該容器3の容器搬送方向への移動を規制するストッパ20と、第二コンベヤ6の容器搬送方向に向けて移動中の容器3に当接し、該容器3の容器搬送方向への移動を規制するストッパ25により、容器3を移動させる方向を容易に変更することができる。また、ストッパ20,25に容器3を当接させることにより、物品1を前後左右に揺らすことができるため、物品1の性状等によって第一コンベヤ5上で物品1を容器3の底部3aに支持させ難い場合など、特に、物品1を容器3内に刺身重ね状に整然と並べて容器3に載置することができる。
【0044】
本発明の趣旨に反しない範囲で前記実施形態以外にも適宜変更可能であり、例えば下記のような構成を採用することができる。
・ 各吸着具29が吸着した物品搬送コンべヤ2上の前後の二つの物品1を容器3に載置する際に、吸着具29の間隔を広げて、図6の如く、第一コンべヤ5上の下流で隣り合う二つの容器3に物品1を一個ずつ上方から同時に載置する処理を繰り返して、傾斜姿勢の容器3に物品1を刺身重ね状に載置するようにしてもよい。
【0045】
・ 物品搬送コンベヤ2または容器搬送コンベヤ4としては、搬送される物品1または容器3の間隔が一定であることが好ましいが、物品1または容器3が搬送されるタイミング等が判れば、物品1または容器3がランダムに搬送されるコンベヤであってもよい。
【0046】
・ ロボット9のハンド9Aにおいて、吸着具29の間隔調節手段を省略してもよい。
・ 容器搬送コンベヤ4の第一搬送部15は、容器3の開口3cが物品搬送コンベヤ2に対する反対側に向く傾斜姿勢で容器3を搬送することも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…物品、2…物品搬送コンベヤ、3…容器、3c…開口、4…容器搬送コンベヤ、5…第一コンベヤ、6…第二コンベヤ、9…ロボット、9A…ロボットのハンド、15…第一搬送部、16…載置板、16a…載置面、17…第一姿勢変換部、18,22…受渡部(受渡手段)、20,25…ストッパ、21…搬送ベルト(第二搬送部)、23…第二姿勢変換部、24…プッシャ、X…容器搬送方向、Y…幅方向、H…水平面、α,β…角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する物品搬送コンベヤと、容器を搬送する容器搬送コンベヤと、該物品搬送コンベヤ上の物品を該容器搬送コンベヤ上の容器に移載するロボットを備え、
前記容器搬送コンベヤは、
容器搬送方向に交差する幅方向で水平面に対し傾斜した載置面を有し、該載置面に容器を載置して搬送する第一搬送部と、
該物品が載置された容器を略水平状態で搬送する第二搬送部と、
該第一搬送部と第二搬送部の間で容器の姿勢を傾斜状態から略水平状態に変換する姿勢変換部を備え、
前記ロボットは、前記容器搬送コンベヤの第一搬送部にて載置面に傾斜姿勢で載置された容器に複数の物品を載置する際に、それぞれの物品が部分的に重なるよう物品を順次積み重ねて、刺身重ね状に容器に載置するよう構成されている
ことを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記容器搬送コンベヤの第一搬送部は、前記物品搬送コンベヤの隣に並設され、容器の上部に設けた開口が該物品搬送コンベヤ側に向く傾斜姿勢で容器を搬送することを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記容器搬送コンベヤは、
前記第一搬送部及び姿勢変換部を有する第一コンベヤと、
前記第二搬送部を有し、該第一コンベヤに並設されて第一コンベヤとは逆向きに容器を搬送する第二コンベヤと、
該第一コンベヤの姿勢変換部より下流で該第二コンベヤに容器を受け渡す受渡手段
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記受渡手段は、第一コンベヤと第二コンベヤの間の受渡経路で容器を水平面に対し第一搬送部とは逆向きに傾斜させる第二姿勢変換部を有していることを特徴とする請求項3に記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記受渡手段は、第一コンベヤの姿勢変換部より下流に搬送された容器を第二コンベヤに送り出すプッシャを有していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の物品搬送装置。
【請求項6】
前記受渡手段は、前記第一コンベヤの姿勢変換部より下流で容器搬送方向に向けて移動中の容器に当接し、該容器の移動を規制するストッパ、或いは、第二コンベヤに向けて移動中の容器に当接し、該容器の移動を規制するストッパを有していることを特徴とする請求項3〜5のうちいずれか一つに記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−86828(P2013−86828A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228151(P2011−228151)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】