説明

物質の調整及び/又は取扱システム、装置及び方法

物質を収容する容器に角度回転の振動をさせることにより、物質を分離し得る。意外なことに、より高密度又はより重い物質は回転軸に相対的に近くに集まり、より低密度又はより軽い物質は回転軸から相対的に遠くに集まり得る。アーチ状経路に沿う振動は、高い溶解効率を提供する。代替的に、マイクロモータが容器に取り外し可能に収容された羽根車を駆動し得る。溶解はバッチ式、流通停止又はセミバッチ式、又は、連続流通式で行い得る。溶解の効率を高めるために、溶解用粒子物質を溶解すべき物質又は溶解された物質よりも多くし、及び/又は、空気をチャンバーから実質的に除去し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、例えば、懸濁液中の粒子などの物質の分離に関連する。本出願は、溶解(lysing)及び特に、溶解用粒子物質を用いて溶解すべき物質の溶解を行うためのシステム、装置及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
例えば、懸濁液中の粒子や他の物質など、物質の分離を必要とする多くの用途が存在する。相対的に重い物質を相対的に軽い物質から分離するために遠心分離器を用いることは1つの一般的な手法である。遠心分離器は、典型的には、物質を保持する容器、モータを含む駆動システム及び固定された回転軸の周りで容器を回転させるように結合された伝達系又はリンクを含む。容器中の物質は、求心方向への加速下での密度に基づいて分離し、より高密度又はより重い物質は回転軸から相対的に離れた周辺に集まる傾向があり、より低密度又はより軽い物質は回転軸の相対的に近くに集まる傾向がある。
【0003】
遠心分離は、粒子、液体、ガス及びこれらの組み合わせなどの多様な物質に使用され得る。遠心分離は、例えば、タンパク質、リピド、核酸等の特定の生体物質の組成を個別に又は複合的に分析するためのサンプルの準備において、生体物質を分離するためにしばしば使用される。遠心分離は、ある細胞器官核(organelles nuclei)、ミトコンドリア、リソソーム、葉緑体及び/又は内部原形質網(endoplasmic reticulum)を単離するために使用され得る。
【0004】
細胞溶解など、生体物質の溶解は、タンパク質、リピド及び核酸などの特定の生体物質の組成を個別に又は複合的に分析するために使用される。細胞膜が溶解されると、ある細胞器官核、ミトコンドリア、リソソーム、葉緑体及び/又は内部原形質網を単離し得る。これらは、PCR、電子顕微鏡法、ウェスタンブロット法又は他の分析技術を用いて分析し得る。
【0005】
溶解を行う手法は多数存在する。例えば、酵素法は、細胞破壊の準備又はプロトプラストの準備において適切な酵素を用いて細胞壁を除去するために使用され得る。他の手法は、細胞膜を物理的に破壊するために洗浄剤を使用する。これらの化学的な手法は、放出される生体生成物を劣化させるなど、結果としての生成物に不利に作用し得る。したがって、化学的な手法は、いくつかの場合には、実際的でないことがある。
【0006】
他の手法は、細胞を破壊するためのキャビテーション及び衝撃を生成するために超音波を用いる。このような手法は、多くの用途で必要とされ、又は、所望されるほどの高い溶解効率を達成しない場合がある。
【0007】
更に他の手法は、例えばボルテックスミキサーによって攪拌されるビーズ(例えば、ガラス又はセラミックス)を用いる。このような手法は、化学溶解の手法において生じる問題をうまく対処できるが、この手法における更なる改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ジタエ キム(Jitae Kim)等著、「マイクロ流体CD(コンパクトディスク)の細胞溶解(Cell lysis on a microfluidic CD (compact disk))」、ラブチップ(Lab Chip)、2004年、4、516−522
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
物質を分離するための他の手法に対するニーズが存在する。そのような手法は、より迅速な分離、より完全な分離を提供する場合があり、又は、従来の手法とは異なる態様で物質を分離する場合がある。
【0010】
現在の溶解装置よりもより効率的なビーズを用いた溶解装置及び方法へのニーズも存在する。これは、サンプル(溶解すべき物質)の処理に要する時間を減少させ、及び/又は、処理量を増加させる場合がある。これは、溶解のレベル又は完全性を増加させ、所与のサンプルサイズからより多くの溶解された物質を生成する場合もある。従来の溶解装置と比較して相対的に小さい(例えば、10マイクロリットル)サンプルサイズに対して動作する溶解装置及び方法へのニーズも存在する。これは、比較的少量のサンプルしか入手できない状況での溶解を可能化し、及び/又は、コストを低減し得る。これは、コスト低減をも提供しつつ、必要な溶解用粒子物質(lysing particulate material)の量をも減少させ得る。これは、より高周波数での振動を可能にし、これにより、適切な寿命又は疲労特性を維持しつつ、効率を増加させ得る。例えば胞子などの典型的には溶解が困難な物質を効率的に及び確かに溶解することのニーズも存在する。流通式溶解(flow through lysing)を行う能力に対する更なるニーズが存在する。これは、例えば、長時間(例えば、日、週、月及び/又は数年)に渡って分毎に採取される少量のサンプルを処理するなど、長時間に渡って少量のサンプルを大量に処理することを可能にし得る。小さく、したがって、可搬であり、移動や厳しい動作環境に耐えるに十分な頑丈さを有しつつ比較的高価でない溶解装置へのニーズも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
溶解すべき物質の溶解を行うシステムは、溶解すべき物質と溶解用粒子物質を少なくとも一時的に保持する容器を少なくとも一時的に取り付ける取付場所を有するアームと、駆動力を提供するように動作し得るモータと、前記モータの前記駆動力をアーチ状経路に沿って前記アームの前記取付位置の振動に変換するように結合された駆動機構を含むものと要約し得る。前記アームは、前記アーチ状経路に沿った前記アームの前記取付位置の前記振動による負荷の下で撓まない剛性のアームであり得る。前記アームは、前記アーチ状経路に沿った前記アームの前記取付位置の前記振動による負荷の下で撓む可撓性のアームであり得る。
【0012】
この溶解を行うシステムは、前記取付位置にホルダーを更に有し、前記ホルダーが前記容器を取り外し可能に保持し得る。このシステムは、前記容器と、前記粒子物質とを更に有し得る。いくつかの実施形態では、前記容器は、前記取付位置に少なくとも隣接して取り外し不能に前記アームに固定され得る。前記容器は、第1開口及び前記第1開口から離間した少なくとも第2開口を有する少なくとも1のチャンバーを有し、前記第1及び前記第2開口が、前記チャンバーの外部から内部への流体伝達を提供し得る。前記容器は、前記チャンバー内に配置された第1フィルターと、前記第1フィルターから離間して前記チャンバー内に配置された第2フィルターとを有して、それらの間に粒子保有領域を形成し、前記粒子保有領域は、前記第1及び前記第2開口の間に位置し、前記第1及び前記第2フィルターがそれぞれ、実質的に前記溶解すべき物質を通過させ、前記粒子物質を遮るサイズの複数の孔を有し得る。前記第1フィルター、前記第2フィルター及び前記粒子物質は、前記チャンバー内で選択的に取り替え可能なカートリッジを形成し得る。前記複数のビーズは、セラミックスビーズ、ガラスビーズ、ジルコニウムビーズ、金属ビーズ、プラスチックビーズ及び砂の少なくとも1つを含み、前記複数のビーズが約10ミクロンから約600ミクロンの範囲の直径を有し得る。使用時に、前記粒子物質の体積が、溶解すべき物質の体積より大きい場合がある。使用時に、チャンバー内に実質的に空気が存在しない場合がある。
【0013】
このシステムは、前記チャンバーを通して前記溶解すべき物質を汲み入れるポンプを更に有し得る。前記ポンプは、前記チャンバーを通して前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れるように構成され得る。前記溶解すべき物質は、前記チャンバー内において、規定された溶解のレベルを達成するために十分であり得る滞留時間を有し得る。前記ポンプは、前記チャンバーを通して、前記溶解すべき物質を連続的に汲み入れ得る。前記チャンバーの所与の長さ及び体積に対して、前記ポンプの流速は、規定の溶解のレベルを達成するために、十分な時間(すなわり、所望の又は規定の滞留時間)を前記溶解すべき物質が前記チャンバーを前記第1開口から前記第2開口へ横断するのに費やすものであり得る。
【0014】
このシステムは、前記溶解すべき物質の前記第1開口への流体伝達を提供するように前記第1開口に結合した第1チューブと、前記溶解された物質の前記第2開口からの流体伝達を提供するように結合した第2チューブを更に有し得る。前記第1及び前記第2チューブの少なくとも1つの端部が強化され得る。前記第1及び前記第2チューブの少なくとも1つの端部が前記チューブの前記端部に同心の追加的なチューブにより強化され得る。前記第1及び前記第2チューブの少なくとも1つの長さが、前記取付位置の前記振動を制限しないものであり得る。前記第1及び前記第2チューブの少なくとも1つの前記長さとその取付手段が、前記第1及び前記第2チューブの少なくとも1つがアーチ状経路に沿った前記アームの前記取付位置の前記振動に応答して共振しないものであり得る。前記第1及び前記第2チューブのそれぞれの長さが、前記取付位置の前記振動を制限しないように十分に長く、使用中に前記第1及び前記第2チューブが共振しないように十分に短いものであり得る。
【0015】
前記駆動機構が、モータにより駆動され、接続ロッドとして機能する第2バーにヒンジにより接続された第1バーを含む4節リンクから構成され得る。第3,第4バーは、それらの間の固定の角度を保って中央の固定軸の周りでともに旋回する。接続ロッドとして機能する第2バーの端部は、ヒンジによって第3バーに接続され、第3バーの長さは、第3、第4バーの回転角度を規定する。第4バーの長さは、第4バーに結合又は接続する溶解チャンバーのアーチ状運動の曲率半径である。
【0016】
溶解すべき物質を溶解する方法は、溶解用粒子物質を収容したチャンバーに溶解すべき物質を受容するステップと、前記溶解すべき物質及び溶解用粒子物質を収容する前記チャンバーをアーチ状経路に沿って振動させて溶解された物質を生成するステップと、前記チャンバーから前記溶解された物質を取り除くステップとを有するものと要約し得る。
【0017】
この方法は、前記チャンバーに前記溶解すべき物質を汲み入れるステップを更に有し得る。
【0018】
この方法は、前記チャンバーを振動させつつ、前記チャンバーに前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れるステップを更に有し得る。前記チャンバーを振動させつつ、前記チャンバーに前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れる前記ステップは、所望の溶解のレベルを達成するのに十分な時間を前記溶解すべき物質が前記チャンバー内で費やすように前記チャンバーに前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れるステップを含み得る。前記チャンバーを振動させつつ、前記チャンバーに前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れる前記ステップは、前記断続的な汲み入れの各サイクルの間に、前記チャンバーの前記溶解された物質が完全に汲み出されるように、前記チャンバーに前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れるステップを含み得る。前記チャンバーにより多くの溶解すべき物質を汲み入れることにより、前記断続的な汲み入れの各サイクルの間に、前記チャンバーの前記溶解された物質は完全に汲み出され得る。
【0019】
この方法は、前記チャンバーを振動させつつ、前記チャンバーに前記溶解すべき物質を連続的に汲み入れるステップを更に有し得る。この方法は、前記チャンバーの長さ及び容積に基づいて前記チャンバーに前記溶解すべき物質を汲み入れる流速を調整するステップを更に有する場合があり、前記ポンプの流速が、所望の溶解のレベルを達成するのに十分な時間(すなわち、滞留時間)を前記溶解すべき物質が前記チャンバー内で費やすものであり得る。
【0020】
この方法は、前記チャンバーから取り除かれた前記溶解された物質を少なくとも1の分析装置に送るステップを更に有し得る。この方法は、不活性流体を用いて前記チャンバーを空にするステップを更に有し得る。
【0021】
溶解すべき物質を溶解する方法は、溶解用粒子物質及び溶解すべき物質を収容するチャンバーを有する第1カートリッジを受容するステップと、前記溶解すべき物質及び前記溶解用粒子物質を収容する前記チャンバーを有する前記第1カートリッジをアーチ状経路に沿って振動させて溶解された物質を生成するステップとを有するものと要約し得る。
【0022】
この方法は、前記第1カートリッジに代えて、溶解用粒子物質及び溶解すべき物質を収容するチャンバーを有する第2カートリッジを受容するステップと、前記溶解すべき物質及び前記溶解用粒子物質を収容する前記チャンバーを有する前記第2カートリッジをアーチ状経路に沿って振動させて溶解された物質を生成するステップを更に有し得る。第1カートリッジを受容する前記ステップは、アームの取付位置の据付ブラケットに前記第1カートリッジを受容するステップを含み得る。前記第1カートリッジを振動させる前記ステップは、前記第1カートリッジが据え付けられた剛性のアームを振動させるステップを含み得る。前記第1カートリッジを振動させる前記ステップは、前記第1カートリッジが据え付けられた可撓性のアームを振動させるステップを含み得る。
【0023】
溶解すべき物質の流通式溶解を行う物品は、第1開口及び前記第1開口から離間した少なくとも第2開口を有する少なくとも1のチャンバーを形成する少なくとも1の壁であって、前記第1及び前記第2開口が外部から前記チャンバー内への流体伝達を提供する、前記壁と、前記チャンバーに受容され、溶解すべき物質を溶解できるサイズの複数の粒子を含む溶解用粒子物質と、前記チャンバー内で前記第1開口と前記粒子物質の間に受容され、実質的に前記溶解すべき物質を通過させ、前記粒子物質を保持するサイズの複数の孔を有する第1フィルターと、前記チャンバー内で前記第2開口と前記粒子物質の間に受容され、実質的に前記溶解すべき物質を通過させ、前記粒子物質を保持するサイズの複数の孔を有する第2フィルターとを有し、前記第1及び前記第2フィルターが、その間に、粒子保持領域を形成するものと要約し得る。
【0024】
この物品は、前記第1開口の近傍に取付構造を更に有し得る。この物品は、前記第1開口に第1チューブを取り付けるための第1取付構造と、前記第2開口に第2チューブを取り付けるための第2取付構造とを更に有し得る。
【0025】
この物品は、前記第1開口に第1チューブを取り付けるための第1ニップルと、前記第2開口に第2チューブを取り付けるための第2ニップルとを更に有し得る。前記少なくとも1の壁は、細長く、第1端部と前記第1端部に対向する第2端部を有し得る。前記第1開口は前記第1端部にあり、前記第2開口は前記第2端部にあり得る。前記少なくとも1の壁は円筒管状であり得る。
【0026】
前記粒子物質は複数のビーズであり得る。前記複数のビーズは、セラミックスビーズ、ガラスビーズ、ジルコニウムビーズ、金属ビーズ、プラスチックビーズ及び砂の少なくとも1つを含み得る。前記複数のビーズは約100ミクロンの範囲の直径を有し得る。前記複数のビーズは、50ミクロン〜150ミクロンの範囲の直径を有し得る。使用時に、前記粒子物質の体積が溶解すべき物質の体積よりも大きい場合がある。使用時に、チャンバー内に実質的に空気が存在しない場合がある。前記チャンバーは、60μl未満の前記溶解すべき物質を保持する体積を有し得る。前記チャンバーは、約10μl〜約40μlの前記溶解すべき物質を保持する体積を有し得る。前記第1及び前記第2のフィルターは、前記壁に固定され得る。
【0027】
溶解を行うためのシステムは、溶解すべき物質及び溶解用粒子物質を保持する少なくとも1のチャンバーであって、外部から前記チャンバー内への流体伝達を提供するための第1開口及び少なくとも第2開口を有する前記チャンバーを有する容器と、前記容器の前記チャンバーに受容される多数の羽根を有する羽根車と、前記羽根車を回転させるように結合したマイクロモータとを有するシステム。前記第1開口が溶解すべき物質の入口を提供し、前記第2開口が溶解された物質の出口を提供し得る。
【0028】
前記チャンバーが第3開口を有し、前記マイクロモータの少なくとも1部が前記第3開口により受容されて前記第3開口を封止し得る。前記マイクロモータは、前記第3開口に取り外し可能に受容され得る。前記マイクロモータは使い捨て可能であり得る。
【0029】
前記容器は、流路における前記出口の前に位置する少なくとも第1フィルターを更に含み、前記第1フィルターは、溶解された物質を実質的に通過させ、溶解用物質を実質的に遮るサイズの複数の孔を有し得る。前記容器は、流路における前記入口の後に位置する少なくとも第2フィルターを更に含み、前記第2フィルターは、溶解すべき物質を実質的に通過させ、溶解用物質を実質的に遮るサイズの複数の孔を有し得る。
【0030】
前記マイクロモータは脈動し得る。前記マイクロモータは、液体及び複数のビーズを含む前記溶解用粒子物質の存在下で、10,000RPMよりも大きい速度で前記羽根車を駆動し得る。前記マイクロモータは、液体及び複数のビーズを含む前記溶解用粒子物質の不存在下で、約50,000の速度で前記羽根車を駆動し得る。
【0031】
溶解を行うシステムの方法は、溶解用粒子物質を保持する容器の少なくとも1のチャンバーの入口を介して溶解すべき物質を受容するステップと、マイクロモータによって、前記容器の前記チャンバーに受容された多数の羽根を有する羽根車を駆動するステップと、前記容器の前記チャンバーから出口を介して溶解された物質を取り出すステップとを有するものと要約し得る。
【0032】
出口を介して溶解された物質を取り出す前記ステップは、流路における前記出口の前に位置する第1フィルターを介して前記溶解された物質を取り出すステップを含み、前記第1フィルターは、前記溶解された物質を実質的に通過させ、前記溶解用粒子物質を実質的に遮るサイズの複数の孔を有し得る。入口を介して溶解すべき物質を受容する前記ステップは、前記流路における前記入口の後に位置する第2フィルターを介して前記溶解すべき物質を受容するステップを含み、前記第2フィルターは、前記溶解すべき物質を実質的に通過させ、前記溶解用粒子物質を実質的に遮るサイズの複数の孔を有し得る。
【0033】
この溶解を行うシステムの方法は、前記入口を介して、前記少なくとも1のチャンバーに前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れるステップを更に有し得る。この方法は、前記入口を介して、前記少なくとも1のチャンバーに前記溶解すべき物質を連続的に汲み入れるステップを更に有し得る。
【0034】
羽根車を駆動する前記ステップは、前記羽根車を脈動させるステップを含み得る。羽根車を駆動する前記ステップは、複数のビーズ及び液体を含む前記溶解用粒子物質の存在下で、10,000RPMよりも大きい速度で前記羽根車を駆動するステップを含み得る。前記マイクロモータを新しいマイクロモータに取り替えるステップを更に有し得る。前記マイクロモータを廃棄するステップを更に有し得る。
【0035】
溶解を行うシステムは、溶解すべき物質及び溶解用粒子物質を保持する少なくとも1のチャンバーであって、外部から前記チャンバー内への流体伝達を提供する単一の開口を有する前記チャンバーを有する第1容器と、前記第1容器の前記チャンバーに受容された多数の羽根を有する羽根車と、前記羽根車を回転させるように結合されたマイクロモータとを有し、前記マイクロモータの少なくとも1部は、使用時に、前記第1容器の前記単一の開口に受容されて前記単一の開口を封止するものと要約し得る。前記マイクロモータは使い捨て可能であり得る。前記マイクロモータは、前記第1容器の前記単一の開口から取り外された後に、第2容器の単一の開口に取り外し可能に受容され得る。前記マイクロモータは脈動し得る。前記マイクロモータは、複数のビーズ及び液体を含む前記溶解用粒子物質の存在下で、10,000RPMよりも大きい速度で前記羽根車を駆動し得る。
【0036】
溶解を行うシステムを動作させる方法は、溶解用粒子物質を保持する第1容器の少なくとも1のチャンバーの入口を介して溶解すべき物質を受容するステップと、前記入口を介して前記第1容器の前記チャンバーに羽根車を配置するステップと、前記羽根車を駆動するように結合したマイクロモータで前記第1容器の前記入口を閉鎖するステップと、前記第1容器の前記チャンバー内の前記溶解すべき物質及び前記溶解用粒子物質を回転させるように前記羽根車を駆動するステップを有するものと要約し得る。
【0037】
この方法は、前記第1容器の前記入口から前記マイクロモータを取り外すステップと、前記第1容器の前記入口を介して溶解された物質を取り出すステップを更に有し得る。前記第1容器の前記入口を介して溶解された物質を取り出す前記ステップは、ピペットを用いて前記溶解された物質を引き出すステップを含み得る。前記羽根車を駆動する前記ステップは、前記羽根車を脈動させるステップを含み得る。この方法は、第2容器において前記マイクロモータを再使用するステップを更に有し得る。この方法は、前記マイクロモータを廃棄するステップを更に有し得る。
【0038】
物質を分離するシステムは、ベースと、前記ベースに結合し、駆動力を提供するように選択的に動作可能なアクチュエータと、前記ベースに結合し、前記モータの前記駆動力を、相対的により高密度の物質が相対的により低密度の物質よりも回転軸に相対的により近くに集まるのに十分に高い周波数での前記回転軸の周りでの容器の角度回転の振動に変換するように結合した駆動機構を有するものと要約し得る。前記アクチュエータは電気モータであり得る。
【0039】
この物質を分離するシステムは、前記駆動機構による運動のために前記駆動機構に結合し、取り外し可能に前記容器を保持するよう構成されたホルダーを更に有し得る。
【0040】
このシステムは、前記容器を更に有し、前記容器が前記分離すべき物質を保持する内部を有し得る。
【0041】
このシステムは、前記容器を更に有し、前記容器が前記分離すべき物質を保持する内部を有し、前記容器が前記駆動機構に取り外し不能に固定され得る。
【0042】
このシステムは、前記容器を更に有し、前記容器は、前記分離すべき物質を保持する内部と、前記容器の前記内部とその外部の間の流体伝達を提供する少なくとも1の内側ポートを有し、前記少なくとも1の内側ポートは、前記容器の前記回転軸から最も外側の部分の振動運動により規定される円弧に対して、前記回転軸に相対的に近接して配置され得る。
【0043】
このシステムは、前記容器を更に有し、前記容器は、前記分離すべき物質を保持する内部と、前記容器の前記内部とその外部の間の流体伝達を提供する少なくとも1の内側ポートを有し、前記少なくとも1の内側ポートが、前記容器の内側周縁に配置され得る。
【0044】
このシステムは、前記容器を更に有し、前記容器は、前記分離すべき物質を保持する内部と、前記容器の前記内部とその外部の間の流体伝達を提供する少なくとも1の外側ポートを有し、前記少なくとも1の外側ポートが、前記容器の前記回転軸から比較的遠位に配置され得る。
【0045】
このシステムは、前記容器を更に有し、前記容器は、前記分離すべき物質を保持する内部と、前記容器の前記内部とその外部の間の流体伝達を提供する少なくとも1の外側ポートを有し、前記少なくとも1の外側ポートが、前記容器の外側周縁に配置され得る。
【0046】
このシステムは、前記容器を更に有し、前記容器は、前記分離すべき物質を保持する内部と、前記容器の前記内部とその外部の間の流体伝達を提供する少なくとも1の内側ポートと、前記容器の前記内部とその外部の間の流体伝達を提供する少なくとも1の外側ポートを有し、前記少なくとも1の内側ポートが、前記少なくとも1の外側ポートに対して、前記回転軸への間隔が相対的により近接し得る。前記容器は、前記内側又は前記外側ポートの1つに近接した少なくとも1のフィルターを含み得る。前記容器において、前記少なくとも1のフィルターが選択的に取り替え可能であり得る。
【0047】
このシステムは、前記容器を通して前記分離すべき物質を汲み入れるためのポンプを更に有し得る。前記ポンプは、前記容器を通して前記物質を断続的に汲み入れるように構成され得る。前記回転軸は、前記容器を通過し得る。前記容器は、前記回転軸から離間し得る。前記駆動機構は、第1部材、第2部材、第3部材及び第4部材を含む4節リンクを有し、前記第2部材が前記第1部材と結合し、前記第1部材は、前記第2部材の第1端部を円運動させるように偏心的に駆動するようにモータによって回転駆動され、前記第3部材が前記第2部材の第2端部に旋回可能に接続され、前記第3部材が旋回点において前記第4部材に接続され、前記第2部材の運動の振幅及び前記第3部材の長さが前記第3及び前記第4部材の運動の角度を規定し、前記第4部材の長さがアーチ状運動の距離を規定し得る。このシステムは、前記容器の前記角度回転の振動の周波数を制御し、相対的に高密度の物質が、相対的に低密度の物質よりも、前記回転軸から相対的に遠くに集まるのに十分に低い周波数に前記周波数を設定するように選択的に動作可能なコントローラを更に有し得る。
【0048】
物質を分離する方法は、容器に分離すべき物質を受容するステップと、高周波数で前記容器に角度回転の振動をさせるステップと、分離された物質の少なくとも1部を前記容器から取り出すステップとを有するものと要約し得る。
【0049】
この方法は、前記容器に前記分離すべき物質を汲み入れるステップを更に有し得る。この方法は、前記容器を振動させつつ、前記容器に前記分離すべき物質を断続的に汲み入れるステップを更に有し得る。この方法は、前記容器から取り出された前記分離された物質の少なくとも1部を少なくとも1の分析装置に送るステップを更に有し得る。この方法は、不活性流体を用いて前記容器を空にするステップを更に有し得る。この方法は、分離の間に前記物質中の粒子が動く方向が変化するように、前記角度回転の振動の速度を変化させるステップを更に有し得る。
【0050】
このような装置及び方法は、予期しない結果をもたらしうる。例えば、通常の遠心分離器とは対照的に、このような装置及び方法は、より高密度又はより重い物質を回転軸の比較的近くに集合させ、その一方で、より低位都度又はより軽い物質を回転軸から遠くに集合させ得る。追加的に又は代替的に、このような装置及び方法は、装置の速度を変化させることで物質の集積の方向(回転軸に対して内向き又は外向き)を選択することを可能にする。このような装置及び方法は、分離した物質の結合にさえ使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図面においては、同一の参照番号は類似の要素又は行為を特定する。図におけるサイズ及び相対的な位置は必ずしも寸法通りに描かれていない。例えば、種々の要素の形状及び角度は寸法通りではなく、図の見易さを改善するためにこれらの要素のいくつかは任意に拡大され、配置されている。更に、要素の特定の形状は、その特定の要素の実際の形状に関する何らの情報をも与えることが意図されておらず、図面における認識の容易さの為だけに選択されている。
【図1】図1Aは、例示的な1実施形態に従う物質分離及び/又は溶解を行う装置の前方立面図。図1Bは、図1Aの装置の前方、右側、頂部等角投影図。図1Cは、図1Aの装置の前方、左側、底部等角投影図。
【図2】図2Aは、1実施形態に従う前方カバーが取り除かれた図1Aの装置の前方立面図。図2Bは、図2Aの装置の前方、右側、頂部等角投影図。図2Cは、図2Aの装置の前方、右側、底部等角投影図。
【図3】図3は、図1A−2Cの装置のモータ及び駆動機構の前方、右側等角投影図。
【図4】図4は、例示的な1実施形態に従う物質分離及び/又は溶解を行う装置、分離及び/又は溶解すべき物質を供給する上流側サブシステム、分離及び/又は溶解された物質を分析する下流側サブシステム及び制御サブシステムを含む流通式処理を行うシステムの概要図。
【図5】図5は、流通式溶解に特に有用な例示的な1実施形態に従う、溶解すべき物質、溶解用粒子物質及び溶解された物質を収容するチャンバーを有する容器の断面図。
【図6】図6は、図1A−4の装置のような溶解を行う装置を操作する方法のフローダイアグラム
【図7】図7は、図4のように例示的な1実施形態に従う流通式溶解システムで溶解すべき物質を汲み入れる方法のフローダイアグラム。
【図8】例示的な他の実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムで溶解すべき物質を汲み入れる方法のフローダイアグラム。
【図9】例示的な更に他の実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムで溶解すべき物質を汲み入れる方法のフローダイアグラム。
【図10】例示的な更に他の実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムで溶解すべき物質を汲み入れる方法のフローダイアグラム。
【図11】例示的な1実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムで溶解された物質を汲み出す方法のフローダイアグラム。
【図12】例示的な他の実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムで溶解された物質を汲み出す方法のフローダイアグラム。
【図13】例示的な更なる実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムで溶解すべき物質を汲み入れる方法のフローダイアグラム。
【図14】例示的な更なる実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムで溶解すべき物質を汲み入れる方法のフローダイアグラム。
【図15】例示的な1実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムを溶解された物質を分析するために操作する方法のフローダイアグラム。
【図16】例示的な他の実施形態に従う溶解装置の分解等角投影図。
【図17】例示的な他の実施形態に従う、溶解装置、溶解すべき物質を供給する上流側サブシステム、溶解された物質を分析する下流側サブシステム及び制御サブシステムを含む溶解システムの概要図。
【図18】例示的な1実施形態に従う溶解装置及びピペットの前方立面図
【図19】例示的な1実施形態に従う図16,17のような溶解装置を操作する方法のフローダイアグラム。
【図20】例示的な他の実施形態に従う図16,17のような溶解装置の操作においてチャンバーから溶解された物質を汲み出す方法のフローダイアグラム。
【図21】例示的な他の実施形態に従う図16,17のような溶解装置の操作においてチャンバーに溶解すべき物質を収容する方法のフローダイアグラム。
【図22】例示的な他の実施形態に従う図16,17のような溶解装置の操作においてチャンバーに溶解された物質を汲み入れる方法のフローダイアグラム。
【図23】例示的な他の実施形態に従う図16,17のような溶解装置の操作においてチャンバーに溶解された物質を汲み入れる方法のフローダイアグラム。
【図24】例示的な他の実施形態に従う図16,17,18のような溶解システムの羽根車を操作する方法のフローダイアグラム。
【図25】例示的な1実施形態に従う図16,17,18のような溶解システムの羽根車を操作する方法のフローダイアグラム。
【図26】例示的な1実施形態に従う図16,17,18のような溶解システムのマイクロモータを交換する方法のフローダイアグラム。
【図27】例示的な1実施形態に従う図18のような溶解装置を操作する方法のフローダイアグラム。
【図28】例示的な1実施形態に従う図18のような溶解装置を操作する方法のフローダイアグラム。
【図29】例示的な1実施形態に従う図18のような溶解装置のチャンバーから溶解された物質を取り出す方法のフローダイアグラム。
【図30】例示的な他の実施形態に従う図18のような溶解装置のマイクロモータを再使用する方法のフローダイアグラム。
【図31】図31は、図4の装置に類似する装置を用いて溶解時間の関数で溶解の効率を示すデータを示すグラフ。
【図32】図32は、振動の周波数への溶解効率の依存性を示すグラフ。
【図33】図33は、図16の実施形態の装置に類似の装置についての溶解時間の関数として胞子の溶解を示すグラフ。
【図34】例示的な他の実施形態に従う物質分離装置の等角投影図。
【図35】図35Aは、例示的な1実施形態に従う分離すべき物質を保持する容器の平面図。図35Bは、図6Aの容器の側面図。
【図36】図36Aは、例示的な他の実施形態に従う分離すべき物質を保持する容器の平面図。図36Bは、図7Aの容器の側面図。
【図37】図37Aは、例示的な他の実施形態に従う分離すべき物質を保持する容器の平面図。図37Bは、図8Aの容器の側面図。
【図38】図38Aは、例示的な他の実施形態に従う分離すべき物質を保持する容器の平面図。図38Bは、図9Aの容器の側面図。
【図39】図39Aは、例示的な他の実施形態に従う分離すべき物質を保持する容器の平面図。図39Bは、図10Aの容器の側面図。
【図40】図40Aは、例示的な他の実施形態に従う分離すべき物質を保持する容器の平面図。図40Bは、図11Aの容器の側面図。
【図41】図41は、例示的な1実施形態に従う物質を分離するシステムを操作する方法のフローダイアグラム。
【図42】図42は、例示的な他の実施形態に従う物質を分離するシステムを操作する方法のフローダイアグラム。
【図43】図43は、例示的な他の実施形態に従う物質を分離するシステムを操作する方法のフローダイアグラム。
【図44】図44は、例示的な他の実施形態に従う物質を分離するシステムを操作する方法のフローダイアグラム。
【図45】図45は、例示的な他の実施形態に従う物質を分離するシステムを操作する方法のフローダイアグラム。
【図46】ビーズの軌道、直線的振動を示すグラフ。
【図47】一定距離b/w隣接ビーズを示すグラフ。
【図48】図48は、流体よりもより高密度又はより重い粒子が、予測されていたように遠ざかっていくのではなく、回転軸に向かってどのように移動するかを示すグラフ。
【図49】図49は、より大きいストーク数、したがって、より小さい抵抗の効果を示すグラフ。
【図50】図50は、隣接するビーズの集合を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下の説明では、種々の開示された実施形態の完全な理解を提供するためにある特定の詳細が説明される。しかし、当業者は、1以上のこれらの特定の詳細が無くても、又は、他の方法、要素、物質等を用いてこれらの実施形態を実施し得ることを認識する。他の場合には、実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、マイクロモータ、モータコントローラを含むコントローラ、プログラムされた一般用途用計算システムなどの制御システムなどに関連する周知の構造は示されず、又は、詳細には説明されない。
【0053】
文脈から他の解釈が必要とされない限り、「有する(comprise)」及び「comprises」、「comprising」などのその変形形態は開放的で非限定的な意味、すなわち、「〜を含むがこれに限定されない」と解釈されるべきである。
【0054】
本明細書を通じて「1実施形態」又は「ある実施形態」との言及は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このように、本明細書の種々の箇所における「1実施形態において」又は「ある実施形態において」は必ずしも同じ実施形態に言及したものではない。更に、特定の特徴、構造、特性は、1以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わされ得る。
【0055】
本明細書及び添付請求の範囲に使用される限り、「a」、「an」、「the」の単一形式は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り複数の指示物を含む。また、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、「又は」は一般的に「及び/又は」を含む意味で用いられることにも留意すべきである。
【0056】
本明細書における見出し及び開示の要約は、利便性のみのためのものであり、実施形態の範囲や意味を解釈するものではない。
【0057】
本明細書には、物質を分離するための装置及びシステムの多くの実施形態が記載される。物質分離装置及びシステムは、例えば、懸濁液中の粒子物質など、分離すべき物質の分離を行い、分離された物質又は分離済物質を生成する。分離すべき物質は、典型的には液状媒体に懸濁する、例えば、細胞、胞子(spore)、組織、イースト菌、細菌、植物、バクテリアなどの生体物質の形態を取り得る。例えば、物質は、細胞器官核、ミトコンドリア、リソソーム、葉緑体、内部原形質網等の形態を取り得る。物質は、例えば、ビーズなどの溶解用粒子物質を含み得る。
【0058】
本明細書には、溶解装置及びシステムの多数の実施形態が開示される。溶解装置及びシステムは、溶解用粒子物質を用いて溶解すべき物質の溶解を行い、溶解された物質又は溶解済物質を生成する。溶解すべき物質は、例えば、細胞、胞子、組織、イースト菌、細菌、植物、バクテリアなどの生体物質の形態を取り得る。溶解用粒子物質は多様な形態を取り得る。本明細書では、一般的にビーズの名称を用いるが、ビーズの語は、サイズや形状について限定することを意味しない。ビーズは、例えば、セラミックスビーズ、ガラスビーズ、ジルコニウムビーズ、ジルコニウム/シリカビーズの形態を取り得る。溶解すべき物質も同様に、例えば、細胞器官核、ミトコンドリア、リソソーム、葉緑体、内部原形質網等の多様な形態を取り得る。
【0059】
物質分離及び/又は溶解装置及びシステムの種々の実施形態は、例えば、1)バッチ式、2)流通停止(flow-through stop)又はセミバッチ式、3)連続流通(continuous flow-through)式などで動作し得る。バッチ式では、容器は分離又は溶解すべき物質のサンプルを保持するチャンバーを有し、これは、ホルダー中に位置して振動される。容器は十分な振動及び分離及び/又は溶解された物質が回収された後で除去される。流通停止又はセミバッチ式では、分離又は溶解すべき物質のサンプルがチャンバーを満たすように流入する。その後、容器は十分に分離及び/又は溶解されるまで振動される。チャンバーから分離及び/又は溶解された物質が取り出される。流通式では、分離及び/又は溶解すべき物質のサンプルは、チャンバー内での所望の又は規定された滞留時間を提供する所望の流速で振動する間、容器のチャンバーを通って流れる。流通停止又はセミバッチ式では、サンプルは、不混和性の液体又はガスに隣接し、チャンバーは、液体又はガスなどの流体の吹き付けによって空にされ得る。
【0060】
少なくとも1部の実施形態は、生体サンプルの破壊に寄与する力は振動周波数の2乗で計られ、比較的小さいサンプルサイズを採用することで、本明細書の種々の実施形態は、商業的に入手可能な装置よりも比較的高い周波数を達成でき、これにより、高速で効率的な溶解を行うことができることの理解を利用している。以下、種々の特定の実施形態を説明する。
【0061】
少なくとも1部の実施形態は、最近特定された、十分高い周波数(この周波数は粒子の種々の特性によって決まる)で振動したときに「逆遠心(anti-centrifugal)」力を受ける物質の特性を利用する。これは、粒子の動きの方向を変化させ、又は、従来達成不能と考えられていた分離の方向を達成するために好適に採用される。これは、多様な物質に採用でき、溶解に制限又は限定されない。
【0062】
図1A−1C及び2A−2Cは、例示的な1実施形態に従う容器12に収容された分離及び/又は溶解すべき物質の分離及び/又は溶解を行うように動作可能な装置10を示す。いくつかの実施形態では、PCR又はエッペンドルフチューブなど、特別あつらえではないガラス容器及びチューブが、分離及び/又は溶解すべき物質の試料及び溶解用粒子物質又は他の物質を保持する容器12として採用され得る。図1A−1C及び2A−2Cではバッチ式が示されているが、分離及び/又は溶解装置10は、図4に示すように流通停止又はセミバッチ式又は連続式で使用し得る。
【0063】
容器12はホルダー16を介して取り外し可能にアーム14に取り付けられ得る。ホルダー16は多様な形態を取り得る。例えば、ホルダー16はU形状のクランプ又は他の部材の形態を取り得る。ホルダー16は、ホルダー16を容器固定形態に固定するように動作可能なファスナー(例えば、スクリューやボルトなど)16aを含み得る。代替的には、ホルダー16は、弾性を有し、容器固定形態に付勢され得る。
【0064】
アーム14は、容器12がアーチ状の経路20に沿って振動するように、軸18の周りで旋回するように取り付けられ得る。アーチ状の経路20に沿う振動は、強い粒子の流れ場(flow field)及び液体溶液又はスラリー中のビーズ間での大きい剪断速度(shear rate)を提供する角加速度により、閉じ込められた周期的な流れ場を実現する。出願人による実験では、小型化された寸法で、高い周波数(例えば、約100Hz以上)の適用により、優れた溶解を提供できることが示された。液体中の非中性密度(non-neutral density)のビーズへの相対的な力は、ωを角速度、rを回転中心からのビーズの距離として、ωrに従って大きくなるため、角速度の僅かな増加によって、実質的にサイズを低減して同様の性能を得ることを可能にする。直線的な振動の動きは、高い周波数であっても、生体サンプルの僅かな溶解しか生じないが、アーチ状の動きの振動は、商業的に入手可能なビーズを用いた溶解装置よりも優れた溶解を実現し得る。高速撮影では、直線的な動作は、周期的なビーズの集中と、それに続くビーズ同士の拡散を生じるが、動作の軸に沿わない相対的なビーズの動きは相対的に僅かであることが明確に示される。これに対して、容器がアーチ状に振動する場合は、あたかも強い渦巻きが誘導されたように、ビーズはより高い密度に圧縮され、たいへん効率的な溶解を生じることが観察される。懸濁したビーズの相対的な動きにより提供される衝突と剪断は、溶解の高い効率に貢献する。
【0065】
アーム14は、剛性のアーム、すなわち、溶解すべき物質及び溶解用粒子物質を収容する容器に予測される負荷に少なくとも概ね等価な重量を有する負荷を有する振動の間に容易にわかる程度には曲がらないアームであり得る。代替的には、アーム14は、可撓性のアーム、すなわち、分離及び/又は溶解すべき物質及び任意的に溶解用粒子物質を収容する容器に予測される負荷に少なくとも概ね等価な重量を有する負荷を有する振動の間に容易にわかる程度に曲がるアームであり得る。
【0066】
カバープレート24が取り外された図2A−2C,3に最も良く示されるように、アーム14は、モータ22と4節リンクの形態を取り得る駆動機構26によって駆動され得る。特に、モータ22のシャフト28が、ここでは偏心カム30の形態のバーなどの第1部材を駆動する。偏心カム30は第2部材又は接続アーム34の孔32に収容される。接続アーム34は、揺動アーム36の軸18によりホルダー16を駆動するように結合する。駆動機構26は、アーチ状経路20に沿う高い周波数での振動運動を実現する低コストで信頼できる機構を提供する。このような周波数は、例えば、回転装置又は超音波装置などの他のタイプの装置では高いとは考えられないかもしれないが、このような周波数は高振動タイプの装置と考えられる。
【0067】
図4は、例示的な1実施形態に従う流通式分離及び/又は溶解システム400を示す。本明細書により詳細に説明されるように、流通式分離及び/又は溶解システム400は、流通停止又はセミバッチ式又は連続流通式で動作し得る。
【0068】
流通システム400は、上記実施形態で説明したものと類似し得る分離及び/又は溶解装置410及び容器412を含む。例えば、分離及び/又は溶解装置410は、アーム414と、軸418の周りで旋回的に振動する容器412を保持するホルダー416を含む。
【0069】
流通分離及び/又は溶解システム400は、分離及び/又は溶解すべき物質を運ぶ上流サブシステム438を含み得る。例えば、上流サブシステム438は、分離及び/又は溶解すべき物質を容器412に汲み上げ、さもなければ運ぶように動作可能なポンプ440を含み得る。上流サブシステム438は、分離及び/又は溶解すべき物質を保持するリザバー442をも含み得る。
【0070】
上流サブシステム438は、追加的に又は代替的に、例えば、サンプリング装置439などの分離及び/又は溶解すべき物質を収集する機構を含み得る。サンプリング装置439は、手動で操作され、又は、自動的であり得る。サンプリング装置439は、例えば、空気、大気、水、流体、土又は他の 固体など、周囲の環境を採取し得る。サンプリング装置439は、サンプルを抽出するために、真空室又は陰圧を生成する機構を含み得る。サンプリング装置439は、例えば、サンプルを回収するためのシャベル又はブラシを有するアームなどのアクチュエータを含み得る。サンプリング装置は、例えば、サンプルを採取するためのニードルやシリンジなどのアクチュエータを含み得る。
【0071】
分離及び/又は溶解すべき物質は、例えば、チューブ444aなどの1以上の導管を介して容器412の入口446aに運ばれ得る。チューブ444aは、例えば、同心に配された複数層のチューブ448aで補強されるなど、1端又は両端が補強され得る。チューブ444aは、容器412及びアーム414の振動を許容できるに十分に長く、チューブ内での共振を防ぐに十分に短い長さLを有し得る。長さLは、チューブ内を運ばれる分離及び/又は溶解すべき任意の物質の密度、重量及び/又は剛性とともに、チューブ444aの密度、剛性又はその取付方法により決定され得る。
【0072】
流通分離及び/又は溶解システム400は、更に、下流分析サブシステム449を含み得る。下流分析システムは、1以上の下流分析装置450を含み得る。下流分析装置500は任意の多様な形態を取り得る。例えば、下流分析装置450は、核酸増幅器具、電子顕微鏡、ウェスタンブロット装置、マススペクトルメーター、ガスクロマトグラフ等を含み得る。
【0073】
下流分析サブシステム449は、下流分析装置450と通信可能に接続した計算システム452を更に含み得る。計算システム452は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)、及び/又は、無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)などの1以上のネットワーク453に接続され得る。計算システム452は、ネットワークを介して分離及び/又は溶解された物質について行われた分析の結果についての情報を提供し得る。例えば、計算システム452は、分析の結果に基づいて警報又は他のメッセージを自動的に提供し得る。これは、例えば、毒性のある、又は、危険な物質又は状態が検知されたときに警報を提供することに使用し得る。
【0074】
下流分析装置450は、例えばチューブ444bなどの1以上の導管を介して容器412の出口446bと流体伝達的に接続され得る。チューブ444bは、1端又は両端が、例えば、1以上の同心に配された、ある長さのチューブ448bにより補強され得る。チューブ444bは、容器412及びアーム414の自由な振動を許容するに十分長く、その一方で、チューブ444bの共振を防ぐに十分に短い長さLを有する。長さLは、チューブ内を運ばれる物質の密度、質量及び/又は剛性とともに、チューブ444bの密度、剛性又はその取付方法に基づき得る。
【0075】
流通分離及び/又は溶解システム400は、更に1以上の制御システム454を含み得る。制御システム454は、1以上のモータコントローラ及び/又は計算システムの形態を取り得る。制御システム454は、流通システム400を流通停止又はセミバッチ式及び/又は連続流通式で動作させるように構成され得る。制御システム454は、分離及び/又は溶解装置410及び/又はポンプ440を制御するように通信可能に接続され得る。
【0076】
流通システム400は、バッチベースの装置に対して多くの利点を提供する。例えば、あるタイプのビーズは、溶解で放出されるある生体生成物に対する親和性を有し、そのため、細胞成分の一部がビーズ表面での吸着により「喪失」し得る。流通式のデザインは、吸着された生体分子を好適に自動的に溶出させる。更に、バッチ式の構成では必要であり得るチャンバーを空にする困難又は追加的な行為が不要になる。例えば、流通式の実施形態は、チャンバーから分離及び/又は溶解された物質を除去するために空気などの流体でチャンバーを吹き付ける必要性を解消させ得る。
【0077】
図5は、例示的な1実施形態に従う容器512を示す。
【0078】
容器512は、容器の外部560から容器512のチャンバー562への流体伝達を提供するための入口546aを有し得る。容器512は、外部560と容器512のチャンバー562の間の流体伝達を提供する出口546bを有し得る。第1チューブ544aは、溶解すべき物質564を入口546aを介してチャンバー562に供給するように容器512に接続され得る。上記したように、チューブ544aは、例えば、同心に配置された複数層のチューブ548aによって補強され得る。第2チューブ544bは、溶解された物質566を出口546bを介して除去するように出口546bを介して容器512に接続され得る。いくつかの実施形態では、容器512は、チューブ544a,544bを取り付け、さもなければ接続し、又は、固定するための取付構造を含み得る。例えば、容器512は、入口546aのリブ付けされたニップル568a及び/又は出口546b又はその近傍のリブ付けされたニップル568bを含み得る。
【0079】
容器は、溶解用物質570を含む。溶解用物質580は、例えば、複数のビーズなどの多様な形態を取り得る。ビーズは、1以上のセラミックスビーズ、ガラスビーズ、ジルコニウムビーズ、ジルコニウム/シリカビーズ、金属ビーズ、プラスチックビーズ及び/又は砂を含む多様な形態を取り得る。ビーズは、例えば、約10μmと600μmの間などの多様な直径を有し得る。
【0080】
流通式の実施形態では、容器512は、入り口546aの比較的近くに位置する第1フィルター572aと、出口546bの比較的近くに位置する第2フィルター572bを含み得る。第1、第2フィルター572a,572bは、溶解用粒子物質570が保持される粒子保持領域574を形成する。特に、フィルター572a,572bは、粒子溶解用物質570を遮りつつ、溶解すべき物質564及び溶解された物質566をそれぞれ実質的に通過させるサイズの複数の開口を有し得る。容器512は、例えば、第1、第2フィルター572a,572bを決まった位置に保持するためのタブ又は円環状のリング576a,576bなどの1以上の構造を含み得る。これらのフィルターは、例えば、ナイロン又はステンレススチールのメッシュフィルターの形態を取り得る。
【0081】
図1A−5の実施形態は、非常に高い充填密度を好適に許容し得る。これらの実施形態では、粒子物質の体積は、溶解すべき物質の体積を好適に上回る場合があり、溶解された物質の体積を好適に上回る場合がある。追加的に又は代替的に、これらの実施形態は、好適なことに、チャンバー内に実質的に空気を有さない場合がある。本明細書では、空気を有さないとは、チャンバー内に意図せずにトラップされ得る小さな泡以外には空気を有さないことを意味する。これは、溶解の効率を増大させ、液体−空気接触線運動に関連する摩擦によるシステムの好ましくない加熱を防ぎ得る。
【0082】
図6は、例示的な1実施形態に従う図1A−4に示したような物質を溶解する装置の操作方法を示す。
【0083】
602において、溶解すべき物質は容器のチャンバーに受け入れられる。チャンバーは、溶解用粒子物質を事前に保持し得る。604において、容器はアーチ状経路に沿って振動される。この振動が、個々の溶解用粒子物質の間での運動に大きな多様性をもたらす。このような多様性は並進又は回転運動におけるよりも顕著である。606において、溶解された物質が容器のチャンバーから除去される。
【0084】
図7は、例示的な1実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムで溶解すべき物質を汲み入れる方法700を示す。
【0085】
702において、溶解すべき物質は、容器のチャンバーに汲み入れられる。
【0086】
図8は、例示的な1実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムで溶解すべき物質を汲み入れる方法800を示す。
【0087】
802において、容器を振動させながら、溶解すべき物質は、断続的に容器のチャンバーに汲み入れられる。これは、流通停止又はセミバッチ式に適している。
【0088】
図9は、例示的な他の実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムで溶解すべき物質を汲み入れる方法900を示す。
【0089】
902において、溶解すべき物質がチャンバー内で所望の溶解のレベルを達成するのに十分な時間を費やすように、溶解すべき物質は、断続的に容器のチャンバーに汲み入れられる。したがって、30秒の振動で所望の溶解の水準を達成できると判断されたなら、ポンプは、約30秒毎に溶解すべき物質をチャンバーに装荷するように断続的に操作され得る。数秒又は10分の数秒の振動時間が適切であり得る。このような操作は、流通停止又はセミバッチ式に適している。
【0090】
図10は、例示的な他の実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムで溶解すべき物質を汲み入れる方法1000を示す。
【0091】
1002において、断続的な汲み入れの各サイクルの間に、チャンバーから溶解された物質が完全に汲み出されるように、溶解すべき物質が断続的にチャンバーに汲み入れられる。これは、流通停止又はセミバッチ式に適している。
【0092】
図11は、例示的な他の実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムで溶解された物質を汲み出す方法1100を示す。
【0093】
1102において、より多くの溶解すべき物質をチャンバーに汲み入れることで、断続的な汲み入れの各サイクルの間に、チャンバーの溶解された物質は汲み出される。これは、流通停止又はセミバッチ式に適している。
【0094】
図12は、例示的な他の実施形態に従う図4に示したような流通式溶解システムを操作する方法1200を示す。
【0095】
1202において、断続的な汲み入れのサイクル毎に、チャンバーに不活性流体を汲み入れることで、チャンバーの溶解された物質が汲み出される。不活性物質は、液体又はガスであり得、溶解すべき物質又は溶解された物質に対して不混和性であり得る。これは、流通停止又はセミバッチ式に適している。
【0096】
図13は、例示的な1実施形態に従う流通式溶解システムを操作する方法1300を示す。
【0097】
1302において、容器を振動させながら、溶解すべき物質は、容器のチャンバーに連続的に汲み入れられる。これは、流通連続式に適している。
【0098】
図14は、例示的な他の実施形態に従う流通式溶解装置を操作する方法1400を示す。
【0099】
1402において、溶解すべき物質が、所望の溶解のレベルを達成するに十分な時間(すなわち、所望の又は規定の滞留時間)をチャンバーで費やすように、少なくとも部分的にチャンバーの長さ及び自由体積に基づいて、溶解すべき物質の汲み入れの流速が調整される。これは、流通連続式に適している。
【0100】
図15は、例示的な他の実施形態に従う図4に示したような流通式溶解装置を操作する方法1500を示す。
【0101】
1502において、容器のチャンバーから除去された溶解された物質は、少なくとも1の分析装置に送られる。1504において、溶解された物質が分析される。分析は、例えば、電子顕微鏡、ウェスタンブロット、マススペクトルメーター、ガスクロマトグラフなどを用いた分析など、多様な形態を取り得る。これは、すべての方式、特に、流通式に適している。
【0102】
図16は、例示的な他の実施形態に従う流通式溶解装置1600を示す。以下により詳細に説明されるように、流通式溶解システム1600は、流通停止又はセミバッチ式又は連続流通式で操作し得る。
【0103】
流通式溶解装置1600は、チャンバー1604を有する容器1602と、羽根車1608を駆動するように接続されたマイクロモータ1606を含む。
【0104】
図示のように、チャンバー1604は、容器1602の外部1610からチャンバー1604への流体伝達を提供する入口として機能する第1開口1604aを有し得る。同じく図示のように、チャンバー1604は、チャンバー1604から外部1610への流体伝達を提供する出口として機能する第2開口1604bを有し得る。容器1602は、更に、羽根車1608を受容し、マイクロモータ1606の外側部分に封止するように係合するサイズの第3開口1604cを有し得る。いくつかの実施形態は、マイクロモータ1606と第3開口1604cの封止を形成又は強化するためのはめ輪又はO−リングを含み得る。
【0105】
第1カプラ1610aは、チャンバー1604への流体伝達を提供し、開口1604aを封止するように受容されるサイズのステム1612aを含み得る。ステム1612aは、相補的なねじ山を有する穴1604aにねじ込まれ得る。第1カプラ1610aは、例えば、チューブ1616aを固定し、チャンバー1604への溶解すべき物質の流れを供給するリブ付けされたニップル1614aなどの取付構造を含み得る。O−リング又は類似の構造が、第1カプラ1610aのフランジと容器1602の間の封止を強化し得る。
【0106】
第2カプラ1610bは、チャンバー1604への流体伝達を提供し、開口1604bを封止するように受容されるサイズのステム1612bを含み得る。ステム1612bは、相補的なねじ山を有する穴1604bにねじ込まれ得る。第2カプラ1610bは、例えば、チューブ1616bを固定し、チャンバー1604への溶解すべき物質の流れを供給するリブ付けされたニップル1614bなどの取付構造を含み得る。O−リング又は類似の構造が、第2カプラ1610aと容器1602の間の封止を強化し得る。
【0107】
フィルター1619a,1619bが、これらの間に溶解用粒子物質を保持するようにチャンバー内に配置され得る。フィルター1610a,1610bは、例えば、適切な固定部材に取り付けられた50ミクロンの開口を有するナイロンメッシュフィルターの形態を取り得る。
【0108】
マイクロモータ1606は、例えば、4mmの径を有し、液体及びビーズが無いときに、例えば、約50,000RPMの高速で羽根車を駆動し得るマイクロモータの形態を取り得る。羽根車1608は、多くの翼板を有するナイロン又はアクリルの羽根車であり得る。翼板は、物質の動きが主として円周状(circumferential)であるように、直線的で、湾曲や取付角度の無いものであり得る。例えば、流通式の場合(例えば、図16,17)の場合のように、チャンバーを通る物質の軸方向/水平方向の動きが望ましい場合は、そのような軸方向又は流れの動きは、羽根車の回転によってではなく汲み入れによって生じる。これは、物質がチャンバー内に滞留し、したがって溶解に晒される時間の長さのより正確な制御を可能にする。翼板は、動きの大きさは小さいが、例えば、図1A−4の実施形態のおよそ5倍の周波数で周期的な流れを生じさせ得る。
【0109】
溶解装置1600は、更に、マイクロモータ1606を制御するように接続されたコントローラ1620を含み得る。コントローラ1620は、例えば、モータコントローラ及び/又はプログラムされた一般用途計算システム、特定用途コンピュータ、専用集積回路(ASIC)及び/又はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を含み得る。コントローラ1620は、例えば、モータに脈動を生じさせるようにプログラムされ、又は、構成され得る。脈動は溶解の効率性を増大させる。
【0110】
図17は、例示的な1実施形態に従う流通式溶解システム1700を示す。本明細書により詳細に説明されるように、流通式溶解システム1700は、流通停止又はセミバッチ式又は連続流通式で操作し得る。
【0111】
流通溶解システム1700は、チャンバー(図17には示されていない)を有する容器1702、開口1704a,1704c(2つのみが示されている)、羽根車(図17には示されていない)に結合したマイクロモータ1704を含む。開口又は入口1704は、リザバー1722から第1導管又はチューブ1716aを介して溶解すべき物質を運ぶポンプに流体伝達可能に接続され得る。第2開口又は出口は、チューブ1716bなどの1以上の導管を介して溶解された物質を1以上の下流側分析装置1724に運び得る。上記したように、下流側分析装置は、例えば、核酸増幅、電気泳動、ウェスタンブロット、マススペクトルメーター、ガスクロマトグラフ等の多様な形態を取り得る。下流側分析装置1724は、1以上の計算システム1726と通信可能に接続し得る。流通式溶解システム1700は、マイクロモータ1706及び/又はポンプ1720を制御し得る1以上の制御システム1728をも含み得る。制御システム1728は、例えば、流通停止又はセミバッチ式を行うために、例えば、汲み入れと振動を同期し得る。制御システム1728は、例えば、連続流通式を行うために、例えば、所望の又は規定のレベルの溶解を達成するための所望の又は規定の物質の滞留時間を得るために汲み入れを制御し得る。
【0112】
図16又は17の実施形態は、非常に高い充填密度を好適に許容し得る。これらの実施形態では、粒子物質の体積は、溶解すべき物質の体積を好適に上回る場合があり、溶解された物質の体積を好適に上回る場合がある。追加的に又は代替的に、これらの実施形態は、好適なことに、チャンバー内に実質的に空気を有さない場合がある。本明細書では、空気を有さないとは、チャンバー内に意図せずにトラップされ得る小さな泡以外には空気を有さないことを意味する。これは、溶解の効率を増大させ、液体−空気接触線運動に関連する摩擦によるシステムの好ましくない加熱を防ぎ得る。
【0113】
図18は、例示的な他の実施形態に従う溶解システム1800を示す。溶解システム1800は、バッチ式の溶解操作に特に適している。
【0114】
溶解システム1800は、容器1802の外部との流体伝達を提供する単一の開口1804aを有するチャンバー1804を有する容器1802を含む。装置1800は、チャンバー1804に受容される羽根車1808を駆動するように接続されたマイクロモータ1806を含む。マイクロモータ1806の一部は、開口1804aを封止するように容器1804と封止係合を形成するサイズとされている。いくつかの実施形態は、封止を確実にするために、1以上のはめ輪又はO−リングを含み得る。
【0115】
最初に、溶解すべき物質及び溶解用粒子物質がチャンバー1804に充填される。十分な長さの時間に渡って羽根車1808を回転した後では、チャンバーは、溶解された物質及び溶解用粒子物質を含む。マイクロモータ1806及び羽根車1808はその後取り除かれて、溶解された物質が、例えば、ピペットを用いて抽出される。バッチ式の実施形態のチャンバーは、溶解された物質を取り出すための余裕が必要であり得るために、連続式の実施形態程には高密度に充填されない場合がある。
【0116】
いくつかの実施形態では、PCR又はエッペンドルフチューブなど、特別あつらえではないガラス容器及びチューブが、溶解すべき物質及び溶解用粒子物質の試料を保持する容器1802として採用され得る。
【0117】
図18の実施形態は、非常に高い充填密度を許容し得る。これらの実施形態では、粒子物質の体積は、溶解すべき物質の体積を好適に上回る場合があり、溶解された物質の体積を好適に上回る場合がある。この実施形態は、ピペットなどの取り出し器具を受容するための空間が必要であり得るため、実質に空気を有さないことは、より不確実となる。しかし、可能な場合は、チャンバー内の空気を無くすことで、溶解の効率を増大させ、液体−空気接触線運動に関連する摩擦によるシステムの好ましくない加熱を防ぎ得る。
【0118】
図19は、例示的な1実施形態に従う流通式溶解装置及び/又はシステムの操作の方法1900を示す。これは、流通停止又はセミバッチ式又は連続流通式で有用であり得る。
【0119】
1902において、溶解すべき物質は、入口を介して容器のチャンバーに受容される。チャンバーは、溶解用粒子物質を保持済であり得る。1904において、マイクロモータは、溶解用粒子物質に溶解すべき物質を溶解させるように羽根車を駆動する。1906において、溶解された物質は、出口を介して容器のチャンバーから取り出される。
【0120】
図20は、例示的な1実施形態に従うチャンバーからの溶解された物質を汲み出す方法2000を示す。
【0121】
2002において、溶解された物質は、装置又はシステムを通る物質の流路における出口の手前に位置する第1フィルターを介して汲み出され得る。
【0122】
図21は、例示的な他の実施形態に従うチャンバーに溶解すべき物質を収容する方法2100を示す。
【0123】
2102において、溶解すべき物質は、装置又はシステムを通る流路においてチャンバーの入口の後に位置する第2フィルターを介して収容される。
【0124】
図22は、例示的な他の実施形態に従う入口を介してチャンバーに溶解すべき物質を汲み入れる方法2200を示す。
【0125】
2202において、溶解すべき物質は、入口を介してチャンバーに断続的に汲み入れられる。これは、流通停止又はセミバッチ式の動作に特に適している。
【0126】
図23は、例示的な1実施形態に従うチャンバーに溶解すべき物質を汲み入れる方法2300を示す。
【0127】
2302において、所望の又は規定のレベルの溶解を達成するために十分に長い時間に渡るチャンバー内での溶解すべき物質の滞留時間を提供する流速で、溶解すべき物質は、入口を介して容器のチャンバーに連続的に汲み入れられる。マイクロモータは、物質を溶解するために羽根車を連続的に駆動し得る。これは、連続流通式での動作に特に適している。
【0128】
図24は、例示的な1実施形態に従う溶解システムの羽根車を操作する方法2400を示す。
【0129】
2402において、マイクロモータは、脈動させるように、羽根車を駆動する。脈動は、マイクロモータに伝達される電圧又は電流を変化させることで達成し得る。脈動は、溶解のより高い効率を達成し、これにより、処理量を増大させ、又は、所望の又は規定の溶解のレベルの達成に必要な時間を短縮し得る。
【0130】
図25は、例示的な1実施形態に従う溶解システムの羽根車を操作する方法2500を示す。
【0131】
2502において、マイクロモータは、液体及びビーズの存在下で10,000RPM以上で羽根車を駆動する。比較的高速での羽根車の駆動は、所望の又は規定の溶解のレベルを達成する。
【0132】
図26は、例示的な1実施形態に従う溶解システムのマイクロモータの交換の方法2600を示す。
【0133】
2602において、マイクロモータは、新しいマイクロモータに置換され得る。2604において、古いマイクロモータは、廃棄又はリサイクルされ得る。これは、高速マイクロモータの内部部品(例えば、ローターやステーター)を周辺環境への露出から封止することが困難であり、したがって、マイクロモータが他の実施形態又は環境よりもより頻繁に故障し得るために、特に有用である。
【0134】
図27は、例示的な1実施形態に従うバッチ式溶解装置を操作する方法2700を示す。方法2700は、図18の実施形態の使用に特に好適である。
【0135】
2702において、溶解すべき物質は、入口を介して第1容器のチャンバーに収容される。チャンバーは、溶解用粒子物質を既に保持していても良く、溶解用物質は、溶解すべき物質と共に又はその後でチャンバーに供給されても良い。
【0136】
2704において、第1容器のチャンバー内に羽根車が配置される。2706において、第1容器への入口がマイクロモータにより閉鎖又は封止される。2708において、マイクロモータは、羽根車を駆動し、溶解すべき物質及び溶解用粒子物質を回転させる。マイクロモータは、所望の又は規定のレベルの溶解が生じるまで十分な速度で十分な長さの時間羽根車を駆動する。
【0137】
図28は、例示的な1実施形態に従う溶解装置を操作する方法2800を示す。方法2800は、図18の実施形態の使用に特に有用である。
【0138】
2802において、マイクロモータは、第1容器の入口から取り除かれ得る。2804において、溶解された物質は、出口を介して第1容器のチャンバーから取り除かれ得る。
【0139】
図29は、例示的な1実施形態に従う溶解された物質を取り除く方法2900を示す。
【0140】
2902において、溶解された物質は、ピペットを用いて吸い出され得る。
【0141】
図30は、例示的な1実施形態に従う溶解装置を操作する方法3000を示す。
【0142】
3002において、マイクロモータは、1以上の追加的な容器に再使用され得る。マイクロモータは、特に高速で動作するときは、溶解すべき物質、溶解用粒子物質又は溶解された物質から特に良好には保護されない場合があることに留意すべきである。したがって、マイクロモータは磨損し得る。多くの用途において、マイクロモータは、故障するまでに複数のサンプルを溶解するために用いられ得る。
【0143】
図31は、図4の装置に類似する装置を用いた溶解の効率のデータを示す。
【0144】
第1の曲線3102は、図4に示したと類似の実施形態を用いて測定された振動時間に対する蛍光を示す。蛍光は細胞から放出された核酸の量に比例する。第2の曲線3105は、オクラホマ州バートルズビルのバイオスペックプロダクツ インコーポレーテットから商業的に入手可能な「MINI−BEADBEATER−1」の製品を用いて測定された振動時間に対する蛍光を示す。第1,第2の曲線3102,3105の比較から分かるように、図4の実施形態は、商業的に入手可能な製品よりもより効率的に細胞組成の放出を生じさせる。
【0145】
図32は、周波数に対する溶解の効率の依存性を示す。
【0146】
曲線3202は、一定時間に印加される電圧の変化により制御される周波数に対する溶解の程度がほぼ二次関数的な依存性を示すようである。
【0147】
図33は、図16,17に示されたと類似の実施形態についての時間に対す得る胞子の溶解を示すデータを示す。
【0148】
曲線3302,3304は、飽和までの時間が図4の実施形態に匹敵するが、ピーク効率が80%しかないことを示す。この効率に必要な電力はわずか400Wであり、これは、種々の他の実施形態に使用された電力よりも少ない。
【0149】
図34は、例示的な1実施形態に従う物質分離装置3410を示す。
【0150】
物質分離装置3410は、ベース3412を有する。物質分離装置3410は、電気モータ3414の形態のアクチュエータと、ベース3412に接続された伝達又は駆動機構3416を含む。電気モータ3414は、双頭矢印3422で示されるように、回転軸3420の周りで駆動機構3416を振動的な角度回転(すなわち、振動的な旋回)をさせるように選択的に駆動可能である。本実施形態に特徴的なのは、回転軸3420が容器3418の一部を通過していることである。容器3418は、物質3426を保持する内部3424を有する、物質3426は、第1の時には分離されるべき物質であり、第2の時には分離された物質である。
【0151】
駆動機構3426は、モータ3414の駆動シャフト3432により回転される第1駆動部材3430を有する。第2駆動部材3434は、第2駆動部材が容器3418を偏心回転させるように接続ロッド又は部材3436を介して第1駆動部材3430に結合し得る。例えば、電気ギア又はカムなどの他の部材を採用し得る。第2駆動部材3434は、容器3418が取り外し可能に取り付けられ、又は、恒久的に固定されたホルダー3436に結合し得る。
【0152】
図35A,35Bは、例示的な1実施形態に従う容器3500を示す。
【0153】
図示のように、容器3500は、楕円又は円形の外側周縁を有し得る。容器3500は、双頭矢印3504に示されるように回転軸3502の周りで角度回転の振動をするように回転軸3502に対して同心的に取り付けられ得る。このように、回転軸3502は、容器3500の一部を通過する。
【0154】
容器3500は、容器3500の内部3508と外部3510の間で物質を移送する少なくとも1のポート3506を含み得る。容器3500は、例えば、ナイロン又はステンレススチールのメッシュフィルターの形態を取り得る1以上のフィルター(不図示)を含み得る。集合的に3506で示す1以上のポートは、バルブ及び/又はフィルターを含み得る。
【0155】
図36A,36Bは、例示的な1実施形態に従う容器3600を示す。
【0156】
図示のように、容器3600は、矩形又は正方形の外側周縁を有し得る。容器3600は、双頭矢印3604に示されるように回転軸3602の周りで角度回転の振動をするように回転軸3602に対して同心的に取り付けられ得る。このように、回転軸3602は、容器3600の一部を通過する。
【0157】
容器3600は、容器3600の内部3608と外部3610の間で物質を移送する少なくとも1のポート3606を含み得る。容器3600は、例えば、ナイロン又はステンレススチールのメッシュフィルターの形態を取り得る1以上のフィルター(不図示)を含み得る。集合的に3606で示す1以上のポートは、バルブ及び/又はフィルターを含み得る。
【0158】
図37A,37Bは、例示的な1実施形態に従う容器3700を示す。
【0159】
図示のように、容器3700は、楕円又は円形の外側周縁3700aと楕円又は円形の内側周縁3700bとを有する円環状の断面を有し得る。容器3700は、双頭矢印3704に示されるように回転軸3702の周りで角度回転の振動をするように回転軸3702に対して同心的に取り付けられ得る。このように、回転軸3702は、容器3700の一部を通過する。
【0160】
容器3700は、容器3700の内部3708と外部3710の間で物質を移送する多数の外側ポート3706a,3706bを含み得る。特に、外側ポート3706a,3706bは、容器3700の外側周縁3700aに形成され得る。容器3700は、容器3700の内部3708と外部3710の間で物質を移送する多数の内側ポート3706c,3706dを含み得る。特に、内側ポート3706c,3706dは、容器3700の内側周縁3700bに形成され得る。容器3700は、例えば、ナイロン又はステンレススチールのメッシュフィルターの形態を取り得る1以上のフィルター(不図示)を含み得る。集合的に3706で示す1以上のポートは、バルブ及び/又はフィルターを含み得る。
【0161】
図38A,38Bは、例示的な1実施形態に従う容器3800を示す。
【0162】
図示のように、容器3800は、楕円又は円形の外側周縁3800aと楕円又は円形の内側周縁3800bとを有する円環状の断面を有し得る。容器3800は、双頭矢印3804に示されるように回転軸3802の周りで角度回転の振動をするように回転軸3802に対して同心的に取り付けられ得る。このように、回転軸3802は、容器3800の一部を通過する。
【0163】
容器3800は、容器3800の内部3808と外部3810の間で物質を移送する多数の外側ポート3806a,3806bを含み得る。特に、外側ポート3806a,3806bは、容器3800の外側周縁3800aに形成され得る。容器3800は、容器3800の内部3808と外部3810の間で物質を移送する多数の内側ポート3806c,3806dを含み得る。特に、内側ポート3806c,3806dは、容器3800の内側周縁3800bに形成され得る。容器3800は、例えば、ナイロン又はステンレススチールのメッシュフィルターの形態を取り得る1以上のフィルター(不図示)を含み得る。集合的に3806で示す1以上のポートは、バルブ及び/又はフィルターを含み得る。
【0164】
図39A,39Bは、例示的な1実施形態に従う容器3900を示す。
【0165】
図示のように、容器3900は、楕円又は円形の外側周縁3900aと楕円又は円形の内側周縁3900bとを有する楕円又は円形の断面を有し得る。容器3900は、双頭矢印3904に示されるように回転軸3902の周りで角度回転の振動をするように取り付けられ得る。このように、回転軸3902は、容器3900どの部分も通過しない。
【0166】
容器3900は、容器3900の内部3908と外部3910の間で物質を移送する多数の外側ポート3906aを含み得る。容器3900は、容器3900の内部3908と外部3910の間で物質を移送する多数の内側ポート3906bを含み得る。特に、外側ポート3906aは、内側ポート3906bよりも、回転軸3902から比較的遠くに離間し得る。容器3900は、例えば、ナイロン又はステンレススチールのメッシュフィルターの形態を取り得る1以上のフィルター(不図示)を含み得る。集合的に3906で示す1以上のポートは、バルブ及び/又はフィルターを含み得る。
【0167】
図40A,40Bは、例示的な1実施形態に従う容器4000を示す。
【0168】
図示のように、容器4000は、楕円又は円形の外側周縁4000aと楕円又は円形の内側周縁4000bとを有する楕円又は円形の断面を有し得る。容器4000は、双頭矢印4004に示されるように回転軸4002の周りで角度回転の振動をするように取り付けられ得る。このように、回転軸4002は、容器4000どの部分も通過しない。
【0169】
容器4000は、容器4000の内部4008と外部4010の間で物質を移送する多数の外側ポート4006aを含み得る。容器4000は、容器4000の内部4008と外部4010の間で物質を移送する多数の内側ポート4006bを含み得る。特に、外側ポート4006aは、内側ポート4006bよりも、回転軸4002から比較的遠くに離間し得る。容器4000は、例えば、ナイロン又はステンレススチールのメッシュフィルターの形態を取り得る1以上のフィルター(不図示)を含み得る。集合的に4006で示す1以上のポートは、バルブ及び/又はフィルターを含み得る。
【0170】
図41は、例示的な1実施形態に従う物質を分離する装置を操作する方法4100を示す。
【0171】
4102において、分離すべき物質は、容器に収容される。この物質は、例えば、懸濁液中の粒子物質を含み得る。
【0172】
4105において、容器は、容器は、高周波数で角度回転の振動を行う。これは、容器に結合した駆動機構を駆動するモータに電力を供給することで実施し得る。
【0173】
4106において、容器から分離された物質の少なくとも1部が除去される。例えば、比較的より高密度又はより重い物質が除去され得る。比較的より高密度又はより重い物質は、容器の内側の他の部分よりも、容器の内側の回転軸に比較的より近い部分に集まり得る。したがって、より高密度又はより重い物質は、例えば、容器の内側ポートを介して除去され得る。また、例えば、比較的より低密度又はより軽い物質が除去され得る。比較的より低密度又はより軽い物質、容器の内側の他の部分よりも、容器の内側の回転軸から比較的より遠い部分に集まり得る。したがって、このようなより低密度又はより軽い物質は、例えば、容器の外側ポートを介して除去され得る。分離された物質は、物質を更に分離するために1以上のフィルターを通過し得る。
【0174】
図42は、例示的な1実施形態に従う物質を分離する装置を操作する方法4200を示す。
【0175】
4202において、分離すべき物質は、容器に汲み入れられる。
【0176】
図43は、例示的な1実施形態に従う物質を分離する装置を操作する方法4300を示す。
【0177】
4302において、分離すべき物質は、容器を振動させつつ容器に断続的に汲み入れられる。
【0178】
図44は、例示的な1実施形態に従う物質を分離する装置を操作する方法4400を示す。
【0179】
4402において、容器から除去された分離された物質の少なくとも1部は、少なくとも1の分析装置に送られる。これは、自然流下、ポンプ、バルブ等によって達成され得る。
【0180】
図45は、例示的な1実施形態に従う物質を分離する装置を操作する方法4500を示す。
【0181】
4502において、容器の分離された物質は、不活性物質を用いて容器から汲み出される。例えば、容器は、不活性ガス又は液体によって流され得る。これにより、容器は次の試料、サンプル又は分離すべき物質のバッチのために準備され得る。
【0182】
要約すると、装置及び方法は、流体の容器に角度振動を与えることにより、流体懸濁液中の粒子(例えば、細胞、生体分子等)の分離を生じさせ、これは、本質的に振動性の剛体回転を受ける。流体と密度の異なる粒子は、遠心分離と同様に、径方向に分離される。しかし、粒子の運動及び集積の方向は、意外にも、通常の遠心分離とは反対であり得る。したがって、比較的より重い又はより高密度を回転軸の近くに集めることができ、一方で、比較的より軽い又はより低密度の粒子は回転軸から遠ざけられる。対照的に、通常の遠心分離では、流体より高密度の粒子は回転軸から遠ざかる。
【0183】
ここに教示したように、通常の遠心分離と同様に一定方向に回転するのではなく、容器が高周波数で、純粋に振動性の角度回転を受ける場合には、高密度又は比較的重い粒子を回転軸に向けて移動させ、一方で、軽い又は比較的低密度の粒子を回転軸から遠ざけるように移動させることができる。
【0184】
このように、これは、遠心分離と類似の態様で、粒子密度の相違に基づいて(しかし、そのサイズにも依存して)粒子を分離する手法を提供する。しかし、粒子の移動方向は、(例えば、振動の周波数を変化させることで)通常の遠心分離において期待される方向とは反対に操作することができる。これは、潜在的には、赤血球と白血球又は他の生体粒子又は他の生体分子の分離に適用され得る。粒子の分離及び濃縮に加えて、これを、通常の遠心分離で一旦分離された粒子の再懸濁化に使用することも考え得る。例えば、重い粒子は外方に遠心分離されるが、その後、通常の一定方向への回転ではなく、容器を振動性の角度回転モードにすることで、再懸濁化される。
【0185】
実施に際しては、粒子懸濁液は、容器(例えば、正方形の断面と、薄い側壁と、頂部カバーを有するチャンバー)に導入されて完全に容器を満たし、容器は、容器の中央線に垂直な軸(例えば、正方形断面の中心)の周りでの振動性の角度回転を受ける。振動の周波数及び振幅は変化させ得る。粒子は径方向に移動し、その密度及びサイズに依存して回転軸の近く又は側壁の近くに集まる。
【0186】
上記手法は、以下に述べる粒子運動の理論的分析に基づく。理論的分析は、重要度が低いと見なされる幾つかの効果(例えば、粒子間及び粒子と壁の間の流体相互作用とともに、粒子への揚力及びバセット履歴−内力)を無視している。これらの効果が顕著であり、現在の予測を変更することもあり得る。実験的な検証が予定されている。
【0187】
出願人は、直線的なスライド動は、胞子の溶解においては、本明細書及びその全体が本明細書に組み込まれる2008年1月9日に出願された米国仮出願番号61/020072号に開示された「揺り動かし」乃至振動的動作ほどには効果的でないことを観測した。
【0188】
ビーズの運動方程式は、
【数1】

を含む。
ここで、等号の後の第1項は圧力ストレスを示し、第2項は加えられた質量を示し、第3項は粘性抵抗を示し、第4項は重力を示すが、無視し得る。
【0189】
カートリッジの変位が
【数2】

で表され、流体の加速度が
【数3】

で表される場合、ビーズの運動方程式は、
【数4】

となる。ここで、
【数5】

が初期条件である。
【0190】
移動するフレームで無次元では、方程式は、
【数6】

と表される。ここで、
【数7】

であり、初期条件は、
【数8】

である。
【0191】
解は、
【数9】

で与えられる。
【0192】
図46は、ビーズの軌道、直線的振動を示す。
図47は、一定距離B/W隣接ビーズを示す。
【0193】
振動的な回転運動は、
【数10】

で表される。
そして、流体加速は、
【数11】

で表される。
運動の方程式は、
【数12】

で表される。
【0194】
回転するフレームで無次元では、運動の方程式は、
【数13】

となる。ここで、パラメータは、
【数14】

である。
【0195】
図48は、流体より高密度又はより重い粒子が、予測されていたように遠ざかっていくのではなく、回転軸に向かってどのように移動するかを示す。
【0196】
図49は、より大きいストークス数、したがって、より小さい抵抗の効果を示す。
【0197】
図50は、隣接するビーズの集束を示す。平均化の方法により近似を行い得る。β<√αであれば、粒子はより速く内側に移動し、β>√αであれば、粒子はより速く外側に移動する。
【0198】
上記した多様な実施形態は、更なる実施形態を提供するように組み合わされ得る。本明細書で言及され、出願データシートにリストされたすべての米国特許、米国出願公開、米国出願、外国特許、外国特許出願及び非特許文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。種々の特許、出願、公開のコンセプトを採用して更なる実施形態を提供するために必要であれば、実施形態の特徴点が修正され得る。
【0199】
上記説明に照らして実施形態に対して様々な変更を行い得る。一般に、添付請求の範囲は、使用される用語は、請求の範囲を明細書に記載の実施形態に限定するように解釈されるべきでなく、請求の範囲に与えられた等価物の範囲全体とともに、すべての可能な実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、請求の範囲は明細書により限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解すべき物質の溶解を行うシステムであって、
溶解すべき物質と溶解用粒子物質を少なくとも一時的に保持する容器を少なくとも一時的に取り付ける取付位置を有するアームと、
駆動力を提供するように動作可能なモータと、
前記モータの前記駆動力を前記アームの前記取付位置のアーチ状経路に沿った振動に変換するように結合した駆動機構とを有するシステム。
【請求項2】
前記アームが、前記アーチ状経路に沿った前記アームの前記取付位置の前記振動による負荷の下で撓まない剛性のアームである請求項1のシステム。
【請求項3】
前記アームが、前記アーチ状経路に沿った前記アームの前記取付位置の前記振動による負荷の下で撓む可撓性のアームである請求項1のシステム。
【請求項4】
前記取付位置にホルダーを更に有し、前記ホルダーが前記容器を取り外し可能に保持する請求項1のシステム。
【請求項5】
前記容器と、前記粒子物質とを更に有する請求項4のシステム。
【請求項6】
前記容器を更に有し、
前記容器が、前記取付位置に少なくとも隣接して取り外し不能に前記アームに固定されている請求項1のシステム。
【請求項7】
前記容器を更に有し、
前記容器が、第1開口及び前記第1開口から離間した少なくとも第2開口を有する少なくとも1のチャンバーを有し、前記第1及び前記第2開口が、前記チャンバーの外部から内部への流体伝達を提供する請求項1のシステム。
【請求項8】
前記容器が、
前記チャンバー内に配置された第1フィルターと、前記第1フィルターから離間して前記チャンバー内に配置された第2フィルターとを有して、それらの間に粒子保有領域を形成し、
前記粒子保有領域は、前記第1及び前記第2開口の間に位置し、
前記第1及び前記第2フィルターがそれぞれ、実質的に前記溶解すべき物質を通過させ、前記粒子物質を遮るサイズの複数の孔を有する請求項7のシステム。
【請求項9】
前記第1フィルター、前記第2フィルター及び前記粒子物質が、前記チャンバー内で選択的に取り替え可能なカートリッジを形成する請求項8のシステム。
【請求項10】
前記複数のビーズが、セラミックスビーズ、ガラスビーズ、ジルコニウムビーズ、金属ビーズ、プラスチックビーズ及び砂の少なくとも1つを含み、前記複数のビーズが約10ミクロンから約600ミクロンの範囲の直径を有する請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
使用時に、前記粒子物質の体積が、溶解すべき物質の体積より大きい請求項10のシステム。
【請求項12】
使用時に、チャンバー内に実質的に空気が存在しない請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記チャンバーを通して前記溶解すべき物質を汲み入れるポンプを更に有する請求項8のシステム。
【請求項14】
前記ポンプは、前記チャンバーを通して前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れるように構成されている請求項13のシステム。
【請求項15】
前記溶解すべき物質が、前記チャンバー内において、規定された溶解のレベルを達成するために十分な滞留時間を有する請求項14のシステム。
【請求項16】
前記ポンプが、前記チャンバーを通して、前記溶解すべき物質を連続的に汲み入れる請求項13のシステム。
【請求項17】
前記チャンバーの所与の長さ及び体積に対して、前記ポンプの流速が、規定の溶解のレベルを達成するために十分な時間を前記溶解すべき物質が前記チャンバーを前記第1開口から前記第2開口へ横断するのに費やすものである請求項16のシステム。
【請求項18】
前記溶解すべき物質の前記第1開口への流体伝達を提供するように前記第1開口に結合した第1チューブと、
前記溶解された物質の前記第2開口からの流体伝達を提供するように結合した第2チューブを更に有する請求項8のシステム。
【請求項19】
前記第1及び前記第2チューブの少なくとも1つの端部が強化されている請求項18のシステム。
【請求項20】
前記第1及び前記第2チューブの少なくとも1つの端部が前記チューブの前記端部に同心の追加的なチューブにより強化されている請求項18のシステム。
【請求項21】
前記第1及び前記第2チューブの少なくとも1つの長さが、前記取付位置の前記振動を制限しないものである請求項18のシステム。
【請求項22】
前記第1及び前記第2チューブの少なくとも1つの前記長さとその取付手段が、前記第1及び前記第2チューブの少なくとも1つがアーチ状経路に沿った前記アームの前記取付位置の前記振動に応答して共振しないものである請求項21のシステム。
【請求項23】
前記第1及び前記第2チューブのそれぞれの長さが、前記取付位置の前記振動を制限しないように十分に長く、使用中に前記第1及び前記第2チューブが共振しないように十分に短い請求項18のシステム。
【請求項24】
前記駆動機構が、第1部材、第2部材、第3部材及び第4部材を含む4節リンクを有し、
前記第2部材が前記第1部材に接続され、
前記第1部材が、前記第2部材の第1端部を円運動させるように偏心的に駆動するようにモータにより駆動され、
前記第3部材が前記第2部材の第2端部に旋回可能に接続され、
前記第3部材が旋回点において前記第4部材に接続され、
前記第2部材の運動の強度及び前記第3部材の長さが前記第3及び前記第4部材の運動の角度を規定し、前記第4部材の長さがアーチ状運動の距離を規定する請求項18のシステム。
【請求項25】
溶解すべき物質を溶解する方法であって、
溶解用粒子物質を収容したチャンバーに溶解すべき物質を受容するステップと、
前記溶解すべき物質及び溶解用粒子物質を収容する前記チャンバーをアーチ状経路に沿って振動させて溶解された物質を生成するステップと、
前記チャンバーから前記溶解された物質を取り除くステップとを有する方法。
【請求項26】
前記チャンバーに前記溶解すべき物質を汲み入れるステップを更に有する請求項25の方法。
【請求項27】
前記チャンバーを振動させつつ、前記チャンバーに前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れるステップを更に有する請求項25の方法。
【請求項28】
前記チャンバーを振動させつつ、前記チャンバーに前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れる前記ステップが、所望の溶解のレベルを達成するのに十分な時間を前記溶解すべき物質が前記チャンバー内で費やすように前記チャンバーに前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れるステップを含む、請求項27の方法。
【請求項29】
前記チャンバーを振動させつつ、前記チャンバーに前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れる前記ステップが、前記断続的な汲み入れの各サイクルの間に、前記チャンバーの前記溶解された物質が完全に汲み出されるように、前記チャンバーに前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れるステップを含む、請求項27の方法。
【請求項30】
前記チャンバーにより多くの溶解すべき物質を汲み入れることにより、前記断続的な汲み入れの各サイクルの間に、前記チャンバーの前記溶解された物質が完全に汲み出される、請求項29の方法。
【請求項31】
前記チャンバーを振動させつつ、前記チャンバーに前記溶解すべき物質を連続的に汲み入れるステップを更に有する請求項25の方法。
【請求項32】
前記チャンバーの長さ及び容積に基づいて前記チャンバーに前記溶解すべき物質を汲み入れる流速を調整するステップを更に有し、
前記ポンプの流速が、所望の溶解のレベルを達成するのに十分な時間を前記溶解すべき物質が前記チャンバー内で費やすものである、請求項31の方法。
【請求項33】
前記チャンバーから取り除かれた前記溶解された物質を少なくとも1の分析装置に送るステップを更に有する請求項25の方法。
【請求項34】
不活性流体を用いて前記チャンバーを空にするステップを更に有する請求項25の方法。
【請求項35】
溶解すべき物質を溶解する方法であって、
溶解用粒子物質及び溶解すべき物質を収容するチャンバーを有する第1カートリッジを受容するステップと、
前記溶解すべき物質及び前記溶解用粒子物質を収容する前記チャンバーを有する前記第1カートリッジをアーチ状経路に沿って振動させて溶解された物質を生成するステップとを有する方法。
【請求項36】
前記第1カートリッジに代えて、溶解用粒子物質及び溶解すべき物質を収容するチャンバーを有する第2カートリッジを受容するステップと、
前記溶解すべき物質及び前記溶解用粒子物質を収容する前記チャンバーを有する前記第2カートリッジをアーチ状経路に沿って振動させて溶解された物質を生成するステップを更に有する請求項35の方法。
【請求項37】
第1カートリッジを受容する前記ステップが、アームの取付位置の据付ブラケットに前記第1カートリッジを受容するステップを含む請求項35の方法。
【請求項38】
前記第1カートリッジを振動させる前記ステップが、前記第1カートリッジが据え付けられた剛性のアームを振動させるステップを含む請求項35の方法。
【請求項39】
前記第1カートリッジを振動させる前記ステップが、前記第1カートリッジが据え付けられた可撓性のアームを振動させるステップを含む請求項35の方法。
【請求項40】
溶解すべき物質の流通式溶解を行う物品であって、
第1開口及び前記第1開口から離間した少なくとも第2開口を有する少なくとも1のチャンバーを形成する少なくとも1の壁であって、前記第1及び前記第2開口が外部から前記チャンバー内への流体伝達を提供する、前記壁と、
前記チャンバーに受容され、溶解すべき物質を溶解できるサイズの複数の粒子を含む溶解用粒子物質と、
前記チャンバー内で前記第1開口と前記粒子物質の間に受容され、実質的に前記溶解すべき物質を通過させ、前記粒子物質を保持するサイズの複数の孔を有する第1フィルターと、
前記チャンバー内で前記第2開口と前記粒子物質の間に受容され、実質的に前記溶解すべき物質を通過させ、前記粒子物質を保持するサイズの複数の孔を有する第2フィルターとを有し、
前記第1及び前記第2フィルターが、その間に、粒子保持領域を形成する、物品。
【請求項41】
前記第1開口の近傍に取付構造を更に有する請求項40の物品。
【請求項42】
前記第1開口に第1チューブを取り付けるための第1取付構造と、前記第2開口に第2チューブを取り付けるための第2取付構造とを更に有する請求項40の物品。
【請求項43】
前記第1開口にニップルを更に有する請求項40の物品。
【請求項44】
前記第1開口に第1チューブを取り付けるための第1ニップルと、
前記第2開口に第2チューブを取り付けるための第2ニップルとを更に有する請求項40の物品。
【請求項45】
前記少なくとも1の壁が細長く、第1端部と、前記第1端部に対向する第2端部を有する、請求項40の物品
【請求項46】
前記第1開口が前記第1端部にあり、前記第2開口が前記第2端部にある請求項45の物品。
【請求項47】
前記少なくとも1の壁が、円筒管状である、請求項45の物品。
【請求項48】
前記粒子物質が複数のビーズである、請求項40の物品。
【請求項49】
前記複数のビーズが、セラミックスビーズ、ガラスビーズ、ジルコニウムビーズ、金属ビーズ、プラスチックビーズ及び砂の少なくとも1つを含む、請求項40の物品。
【請求項50】
前記複数のビーズが約100ミクロンの範囲の直径を有する、請求項40の物品。
【請求項51】
前記複数のビーズが、50ミクロン〜150ミクロンの範囲の直径を有する、請求項40の物品。
【請求項52】
使用時に、前記粒子物質の体積が溶解すべき物質の体積よりも大きい、請求項40の物品。
【請求項53】
使用時に、チャンバー内に実質的に空気が存在しない、請求項52の物品。
【請求項54】
前記チャンバーが、60μl未満の前記溶解すべき物質を保持する体積を有する、請求項52の物品。
【請求項55】
前記チャンバーが、約10μl〜約40μlの前記溶解すべき物質を保持する体積を有する、請求項52の物品。
【請求項56】
前記第1及び前記第2のフィルターが、前記壁に固定されている、請求項40の物品。
【請求項57】
溶解を行うためのシステムであって、
溶解すべき物質及び溶解用粒子物質を保持する少なくとも1のチャンバーであって、外部から前記チャンバー内への流体伝達を提供するための第1開口及び少なくとも第2開口を有する前記チャンバーを有する容器と、
前記容器の前記チャンバーに受容される多数の羽根を有する羽根車と、
前記羽根車を回転させるように結合したマイクロモータとを有するシステム。
【請求項58】
前記第1開口が溶解すべき物質の入口を提供し、前記第2開口が溶解された物質の出口を提供する、請求項57のシステム。
【請求項59】
前記チャンバーが第3開口を有し、前記マイクロモータの少なくとも1部が前記第3開口により受容されて前記第3開口を封止する、請求項58のシステム。
【請求項60】
前記マイクロモータが、前記第3開口に取り外し可能に受容される請求項59のシステム。
【請求項61】
前記マイクロモータが使い捨て可能である、請求項60のシステム。
【請求項62】
前記容器が、流路における前記出口の前に位置する少なくとも第1フィルターを更に含み、前記第1フィルターが、溶解された物質を実質的に通過させ、溶解用物質を実質的に遮るサイズの複数の孔を有する、請求項57のシステム。
【請求項63】
前記容器が、流路における前記入口の後に位置する少なくとも第2フィルターを更に含み、前記第2フィルターが、溶解すべき物質を実質的に通過させ、溶解用物質を実質的に遮るサイズの複数の孔を有する、請求項62のシステム。
【請求項64】
前記マイクロモータが脈動する、請求項57のシステム。
【請求項65】
前記マイクロモータが、液体及び複数のビーズを含む前記溶解用粒子物質の存在下で、10,000RPMよりも大きい速度で前記羽根車を駆動する、請求項57のシステム。
【請求項66】
前記マイクロモータが、液体及び複数のビーズを含む前記溶解用粒子物質の不存在下で、約50,000の速度で前記羽根車を駆動する、請求項57のシステム。
【請求項67】
溶解を行うシステムの方法であって、
溶解用粒子物質を保持する容器の少なくとも1のチャンバーに入口を介して溶解すべき物質を受容するステップと、
マイクロモータによって、前記容器の前記チャンバーに受容された多数の羽根を有する羽根車を駆動するステップと、
前記容器の前記チャンバーから出口を介して溶解された物質を取り出すステップとを有する方法。
【請求項68】
出口を介して溶解された物質を取り出す前記ステップが、流路における前記出口の前に位置する第1フィルターを介して前記溶解された物質を取り出すステップを含み、
前記第1フィルターが、前記溶解された物質を実質的に通過させ、前記溶解用粒子物質を実質的に遮るサイズの複数の孔を有する、請求項67の方法。
【請求項69】
入口を介して溶解すべき物質を受容する前記ステップが、前記流路における前記入口の後に位置する第2フィルターを介して前記溶解すべき物質を受容するステップを含み、
前記第2フィルターが、前記溶解すべき物質を実質的に通過させ、前記溶解用粒子物質を実質的に遮るサイズの複数の孔を有する、請求項68の方法。
【請求項70】
前記入口を介して、前記少なくとも1のチャンバーに前記溶解すべき物質を断続的に汲み入れるステップを更に有する請求68の方法。
【請求項71】
前記入口を介して、前記少なくとも1のチャンバーに前記溶解すべき物質を連続的に汲み入れるステップを更に有する請求68の方法。
【請求項72】
羽根車を駆動する前記ステップが、前記羽根車を脈動させるステップを含む、請求項67の方法。
【請求項73】
羽根車を駆動する前記ステップが、複数のビーズ及び液体を含む前記溶解用粒子物質の存在下で、10,000RPMよりも大きい速度で前記羽根車を駆動するステップを含む、請求67の方法。
【請求項74】
前記マイクロモータを新しいマイクロモータに取り替えるステップを更に有する請求項67の方法。
【請求項75】
前記マイクロモータを廃棄するステップを更に有する請求項74の方法。
【請求項76】
溶解を行うシステムであって、
溶解すべき物質及び溶解用粒子物質を保持する少なくとも1のチャンバーであって、外部から前記チャンバー内への流体伝達を提供する単一の開口を有する前記チャンバーを有する第1容器と、
前記第1容器の前記チャンバーに受容された多数の羽根を有する羽根車と、
前記羽根車を回転させるように結合されたマイクロモータとを有し、
前記マイクロモータの少なくとも1部が、使用時に、前記第1容器の前記単一の開口に受容されて前記単一の開口を封止する、システム。
【請求項77】
前記マイクロモータが使い捨て可能である、請求項76のシステム。
【請求項78】
前記マイクロモータが、前記第1容器の前記単一の開口から取り外された後に、第2容器の単一の開口に取り外し可能に受容される、請求項76のシステム。
【請求項79】
前記マイクロモータが脈動する、請求項76のシステム。
【請求項80】
前記マイクロモータが、複数のビーズ及び液体を含む前記溶解用粒子物質の存在下で、10,000RPMよりも大きい速度で前記羽根車を駆動する、請求項76のシステム。
【請求項81】
溶解を行うシステムを動作させる方法であって、
溶解用粒子物質を保持する第1容器の少なくとも1のチャンバーの入口を介して溶解すべき物質を受容するステップと、
前記入口を介して前記第1容器の前記チャンバーに羽根車を配置するステップと、
前記羽根車を駆動するように結合したマイクロモータで前記第1容器の前記入口を閉鎖するステップと、
前記第1容器の前記チャンバー内の前記溶解すべき物質及び前記溶解用粒子物質を回転させるように前記羽根車を駆動するステップを有する方法。
【請求項82】
前記第1容器の前記入口から前記マイクロモータを取り外すステップと、
前記第1容器の前記入口を介して溶解された物質を取り出すステップを更に有する請求項81のシステム。
【請求項83】
前記第1容器の前記入口を介して溶解された物質を取り出す前記ステップが、ピペットを用いて前記溶解された物質を引き出すステップを含む請求項81の方法。
【請求項84】
前記羽根車を駆動する前記ステップが、前記羽根車を脈動させるステップを含む、請求項81の方法。
【請求項85】
第2容器において前記マイクロモータを再使用するステップを更に有する、請求項81の方法。
【請求項86】
前記マイクロモータを廃棄するステップを更に有する、請求項85の方法。
【請求項87】
物質を分離するシステムであって、
ベースと、
前記ベースに結合し、駆動力を提供するように選択的に動作可能なアクチュエータと、
前記ベースに結合し、前記モータの前記駆動力を、相対的により高密度の物質が相対的により低密度の物質よりも回転軸に相対的により近くに集まるのに十分に高い周波数での前記回転軸の周りでの容器の角度回転の振動に変換するように結合した駆動機構を有するシステム。
【請求項88】
前記アクチュエータが電気モータである、請求項87のシステム。
【請求項89】
前記駆動機構による運動のために前記駆動機構に結合したホルダーを更に有し、
前記ホルダーが、取り外し可能に前記容器を保持するよう構成されている、請求項87のシステム。
【請求項90】
前記容器を更に有し、前記容器が前記分離すべき物質を保持する内部を有する、請求項89のシステム。
【請求項91】
前記容器を更に有し、前記容器が前記分離すべき物質を保持する内部を有し、前記容器が前記駆動機構に取り外し不能に固定されている、請求項87のシステム。
【請求項92】
前記容器を更に有し、前記容器は、前記分離すべき物質を保持する内部と、前記容器の前記内部とその外部の間の流体伝達を提供する少なくとも1の内側ポートを有し、前記少なくとも1の内側ポートは、前記容器の前記回転軸から最も外側の部分の振動運動により規定される円弧に対して、前記回転軸に相対的に近接して配置されている、請求項87のシステム。
【請求項93】
前記容器を更に有し、前記容器は、前記分離すべき物質を保持する内部と、前記容器の前記内部とその外部の間の流体伝達を提供する少なくとも1の内側ポートを有し、前記少なくとも1の内側ポートが、前記容器の内側周縁に配置されている、請求項87のシステム。
【請求項94】
前記容器を更に有し、前記容器は、前記分離すべき物質を保持する内部と、前記容器の前記内部とその外部の間の流体伝達を提供する少なくとも1の外側ポートを有し、前記少なくとも1の外側ポートが、前記容器の前記回転軸から比較的遠位に配置されている、請求項87のシステム。
【請求項95】
前記容器を更に有し、前記容器は、前記分離すべき物質を保持する内部と、前記容器の前記内部とその外部の間の流体伝達を提供する少なくとも1の外側ポートを有し、前記少なくとも1の外側ポートが、前記容器の外側周縁に配置されている、請求項87のシステム。
【請求項96】
前記容器を更に有し、前記容器は、前記分離すべき物質を保持する内部と、前記容器の前記内部とその外部の間の流体伝達を提供する少なくとも1の内側ポートと、前記容器の前記内部とその外部の間の流体伝達を提供する少なくとも1の外側ポートを有し、前記少なくとも1の内側ポートが、前記少なくとも1の外側ポートに対して、前記回転軸への間隔が相対的により近接している、請求項87のシステム。
【請求項97】
前記容器が、前記内側又は前記外側ポートの1つに近接した少なくとも1のフィルターを含む、請求項96のシステム。
【請求項98】
前記容器において、前記少なくとも1のフィルターが選択的に取り替え可能である、請求項97のシステム。
【請求項99】
前記容器を通して前記分離すべき物質を汲み入れるためのポンプを更に有する請求項96のシステム。
【請求項100】
前記ポンプが前記容器を通して前記物質を断続的に汲み入れるように構成されている、請求項99のシステム。
【請求項101】
前記回転軸が前記容器を通過している、請求項87のシステム。
【請求項102】
前記容器が前記回転軸から離れている、請求項87のシステム。
【請求項103】
前記駆動機構が、第1部材、第2部材、第3部材及び第4部材を含む4節リンクを有し、
前記第2部材が前記第1部材と結合し、前記第1部材は、前記第2部材の第1端部を円運動させるように偏心的に駆動するようにモータによって回転駆動され、前記第3部材が前記第2部材の第2端部に旋回可能に接続され、前記第3部材が旋回点において前記第4部材に接続され、前記第2部材の運動の振幅及び前記第3部材の長さが前記第3及び前記第4部材の運動の角度を規定し、前記第4部材の長さがアーチ状運動の距離を規定する、請求項87のシステム。
【請求項104】
前記容器の前記角度回転の振動の周波数を制御し、相対的に高密度の物質が、相対的に低密度の物質よりも、前記回転軸から相対的に遠くに集まるのに十分に低い周波数に前記周波数を設定するように選択的に動作可能なコントローラを更に有する請求項87のシステム。
【請求項105】
物質を分離する方法であって、
容器に分離すべき物質を受容するステップと、
高周波数で前記容器に角度回転の振動をさせるステップと、
分離された物質の少なくとも1部を前記容器から取り出すステップとを有する方法。
【請求項106】
前記容器に前記分離すべき物質を汲み入れるステップを更に有する請求項105の方法。
【請求項107】
前記容器を振動させつつ、前記容器に前記分離すべき物質を断続的に汲み入れるステップを更に有する請求項105の方法。
【請求項108】
前記容器から取り出された前記分離された物質の少なくとも1部を少なくとも1の分析装置に送るステップを更に有する請求項105の方法。
【請求項109】
不活性流体を用いて前記容器を空にするステップを更に有する請求項105の方法。
【請求項110】
分離の間に前記物質中の粒子が動く方向が変化するように、前記角度回転の振動の速度を変化させるステップを更に有する請求項105の方法。

【図1】
image rotate

【図1B−2B−3】
image rotate

【図1C−2C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate


【公表番号】特表2011−511934(P2011−511934A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542379(P2010−542379)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/030622
【国際公開番号】WO2009/089466
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(504016293)ケック グラデュエイト インスティテュート (1)
【Fターム(参考)】