説明

状態表示方法、及び状態表示装置

【課題】電子機器における複数の状態の識別表示を、優れた省スペース性をもって実現する。
【解決手段】相互に異なる波長を有する複数の光源13を、相互に近接させて設けるとともに、前記複数の光源13からの照射光を臨むひとつの窓15を設け、前記複数の光源13のそれぞれを、電子機器における複数の状態毎に関連付けて点灯又は消灯させ、この点灯又は消灯している1又は複数の光源13からの照射光を、前記窓15を介して一括視認させることにより、前記複数の状態を識別表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリンタ、複写機、ファクシミリ、スキャナ、デジタル複合機などの電子機器における複数の状態を識別表示するための状態表示方法に係り、特に、複数の状態の識別表示を、優れた省スペース性をもって実現可能な状態表示方法、及び状態表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタ、複写機、ファクシミリ、スキャナ、デジタル複合機などの電子機器には、各種の状態表示を行うための表示部が設けられている。例えば、ファクシミリ機能などの周辺機能を装備し、複数の節電状態を有するデジタル複合機において、操作パネルに設けた状態遷移表示部に電源を常時供給し、それぞれの節電状態の遷移に伴って現在の節電状態を示す状態名などを視認可能に表示する技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、上記従来技術によれば、現在の節電状態を表示するために相応のスペースが必要であり、省スペース性の要請に応えることはできない。
【0004】
【特許文献1】特開2002−278378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、電子機器における複数の状態の識別表示を、優れた省スペース性をもって実現することはできなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題に着目し、電子機器における複数の状態の識別表示を、優れた省スペース性をもって実現することを目的として、電子機器における複数の状態を識別表示するための状態表示方法であって、相互に異なる波長を有する複数の光源を、相互に近接させて設けるとともに、前記複数の光源からの照射光を臨むひとつの窓を設け、前記複数の光源のそれぞれを、前記複数の状態毎に関連付けて点灯又は消灯させ、この点灯又は消灯している1又は複数の光源からの照射光を、前記窓を介して一括視認させることにより、前記複数の状態を識別表示することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る状態表示方法によれば、相互に異なる波長を有する複数の光源を、相互に近接させて設けるとともに、前記複数の光源からの照射光を臨むひとつの窓を設け、前記複数の光源のそれぞれを、前記複数の状態毎に関連付けて点灯又は消灯させ、この点灯又は消灯している1又は複数の光源からの照射光を、前記窓を介して一括視認させることにより、前記複数の状態を識別表示するので、従って、ユーザは、ひとつの窓から照射されてくる単色若しくは混色光を視認することを通じて、電子機器における複数の状態を識別することが可能となる結果として、電子機器における複数の状態の識別表示を、優れた省スペース性をもって実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
電子機器における複数の状態の識別表示を、優れた省スペース性をもって実現するといった目的を、相互に異なる波長を有する複数の光源を、相互に近接させて設けるとともに、前記複数の光源からの照射光を臨むひとつの窓を設け、前記複数の光源のそれぞれを、電子機器における複数の状態毎に関連付けて点灯又は消灯させ、この点灯又は消灯している1又は複数の光源からの照射光を、前記窓を介して一括視認させることにより、前記複数の状態を識別表示する状態表示方法により実現した。
【実施例】
【0009】
以下、本発明に係る状態表示方法、及び状態表示装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下において、本発明を、携帯電話機に適用した例をあげて説明してゆく。
【0010】
[携帯電話機に搭載された状態表示装置]
図1は、本発明の一実施例に係る状態表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、携帯電話機に搭載された状態表示装置11は、光の3原色(赤:R・緑:G・青:B)からなる3原色LED群(本発明の「複数の光源」に相当)13を備えている。3原色LED群13は、赤色発光をするR−LED13a、緑色発光をするG−LED13b、及び青色発光をするB−LED13cを含み、これらを各別に正三角形の頂点位置に均等配置して構成されている。3原色LED群13の光照射方向には、ひとつの透過窓15(本発明の「窓」に相当)が、3原色LED群13から照射されてきた光を外部から臨み得るように設けられている。
【0012】
3原色LED群13a,13b,13cにおける各アノード端子は、抵抗群19a,19b,19cを介して直流電源17に接続される一方、その各カソード端子は、トランジスタ群21a,21b,21cを介して接地されている。
【0013】
トランジスタ群21a,21b,21cにおける各ベース端子は、第1,第2,第3制御部23a,23b,23cにそれぞれ接続されている。これにより、第1,第2,第3制御部23a,23b,23cから送信されてくる制御信号に従って、トランジスタ群21a,21b,21cがそれぞれオンオフ制御されて、かかるオンオフ制御に従って、3原色LED群13a,13b,13cが、点灯又は消灯するように構成されている。
【0014】
第1〜第3制御部23は、格別に設けられたCPU(不図示)に固有のプログラムに従って、相互に独立した系統の動作を行うように構成されている。具体的には、例えば、第1制御部23aは電話着信機能制御を担当し、第2制御部23bはメール送受信機能制御を担当し、第3制御部23cはマナーモードの表示を含むその他の機能制御を担うように構成されている。
【0015】
次に、上述のように構成された状態表示装置11の動作について説明すると、電話着信があった場合には、第1制御部23aは、第1トランジスタ21a宛に制御信号を送信することでこれをオンさせ、これを受けてR−LED13aは点灯する。このとき、透過窓15を介して照射されてきた赤色光を視認することを通じて、ユーザは電話着信があった旨を知ることができる。なお、電話着信があった場合において、R−LED13aを消灯させる(この場合、電話着信なしのときには点灯)か、又は、点灯と消灯を交互に繰り返す(この場合、電話着信なしのときには消灯)ように制御してもよい。かかる点灯と消灯を交互に繰り返す態様は、本発明の「点灯又は消灯」の概念に含まれる(以下、同様)。
【0016】
また、電子メール受信があった場合には、第2制御部23bは、第2トランジスタ21b宛に制御信号を送信することでこれをオンさせ、これを受けてG−LED13bは点灯する。このとき、透過窓15を介して照射されてきた緑色光を視認することを通じて、ユーザは電子メール受信があった旨を知ることができる。なお、電子メール受信があった場合において、G−LED13bを消灯させる(この場合、電子メール受信なしのときには点灯)か、又は、点灯と消灯を交互に繰り返す(この場合、電子メール受信なしのときには消灯)ように制御してもよい。
【0017】
さらに、携帯電話機がマナーモードに設定されている場合には、第3制御部23cは、第3トランジスタ21c宛に制御信号を送信することでこれをオンさせ、これを受けてB−LED13cは点灯する。このとき、透過窓15を介して照射されてきた青色光を視認することを通じて、ユーザはマナーモードに設定されている旨を知ることができる。なお、マナーモードに設定されている場合において、B−LED13cを消灯させる(この場合、マナーモードに設定されていないときには点灯)か、又は、点灯と消灯を交互に繰り返す(この場合、マナーモードに設定されていないときには消灯)ように制御してもよい。
【0018】
次に、携帯電話機がマナーモードに設定されている場合に、電話着信があった場合には、上述したように、B−LED13c、及びR−LED13aの両者が点灯することになる。このとき、透過窓15を介して照射されてきた青色光と赤色光の混色光であるマゼンタ(M)色を視認することを通じて、ユーザはマナーモードに設定されているときに電話着信があった旨を知ることができる。
【0019】
一方、携帯電話機がマナーモードに設定されている場合に、電子メール受信があった場合には、上述したように、B−LED13c、及びG−LED13bの両者が点灯することになる。このとき、透過窓15を介して照射されてきた青色光と緑色光の混色光であるシアン(C)色を視認することを通じて、ユーザはマナーモードに設定されているときに電子メール受信があった旨を知ることができる。
【0020】
また、電話着信があった場合において、さらに電子メール受信があった場合には、上述したように、R−LED13a、及びG−LED13bの両者が点灯することになる。このとき、透過窓15を介して照射されてきた赤色光と緑色光の混色光である黄(Y)色を視認することを通じて、ユーザは電話着信と電子メール受信の双方があった旨を知ることができる。
【0021】
[実施例の効果]
以上説明したように、本発明に係る状態表示装置11によれば、ひとつの透過窓15から照射されてきた単一光又は混色光を一括視認することを通じて、ユーザが携帯電話機における複数の状態を識別して認識することが可能となる結果として、携帯電話機における複数の状態の識別表示を、優れた省スペース性をもって実現することができる。
【0022】
また、本発明に係る状態表示装置11では、3原色LED群13として、R−LED13a、G−LED13b、及びB−LED13cを各ひとつづつ採用しているので、赤、緑、青、マゼンダ(赤+青)、黄(赤+緑)、シアン(青+緑)、白(赤+青+緑)、及び全て消灯の、8通りの色が表示できる。従って、本発明に係る状態表示装置11によれば、少なくとも8通りの携帯電話機における状態を、ひとつの窓からの照射光を介して、ユーザに識別表示することができる。
【0023】
[他の実施例]
次に、本発明に係る他の実施例について、図2を参照して説明する。図2は、本発明の他の実施例に係る状態表示装置の要部を示す。なお、図2に示すLED群は、図1に示すLED群13と基本構成が共通であるため、その重複した説明を省略し、両者の相違点について言及する。すなわち、図1に示す3原色LED群13では、R−LED13a、G−LED13b、及びB−LED13cを各別に正三角形の頂点位置に均等配置しているのに対し、図2に示す3原色LED群25では、R−LED25a、R−LED25b、G−LED25c、及びB−LED25dを各別に正四角形の頂点位置に均等配置して構成してある。本発明の他の実施例に係る状態表示装置11によれば、携帯電話機における複数の状態の識別表示を、さらに優れた省スペース性をもって実現することができる。すなわち、本発明の他の実施例に係る状態表示装置11では、3原色LED群25として、R−LED25a、R−LED25b、G−LED25c、及びB−LED25dを各ひとつづつ採用しているので、3原色LED群13における8通りに、濃い赤(赤2つ点灯)、赤みがかったマゼンダ(赤2つ+青)、オレンジ(赤2つ+緑)、薄い赤(赤2つ+緑+青)を加えて、都合12通りの色が表示できる。従って、本発明の他の実施例に係る状態表示装置11によれば、少なくとも12通りの携帯電話機における状態を、ひとつの窓からの照射光を介して、ユーザに識別表示することが可能となる結果として、携帯電話機における複数の状態の識別表示を、さらに優れた省スペース性をもって実現することができる。
【0024】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う状態表示方法、及び状態表示装置もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【0025】
すなわち、本発明実施例において、第1〜第3制御部23は、格別に設けられたCPUに固有のプログラムに従って、相互に独立した系統の動作を行う例をあげて説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、例えば、第1〜第3制御部を、一つのCPUに固有のプログラムに従って総括的な動作を行うものとして構成してもよい。
【0026】
また、本発明実施例において、複数の光源として、3原色LED群を例示して説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、二以上の、相互に異なる波長を有する光源であれば、本発明の複数の光源として採用可能である。
【0027】
最後に、本発明実施例において、本発明を、携帯電話機に適用した例をあげて説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、例えば、携帯型音楽プレイヤーを含む携帯情報端末、バーコードリーダ、カーナビゲーション装置、各種デジタル家電、自動車、航空機、工作機械、ロボットなどの、電子機器を搭載した広範囲にわたる製品における各種状態を表示する用途に適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例に係る状態表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の別の実施例に係る状態表示装置の要部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0029】
11 状態表示装置
13 3原色LED群(複数の光源)
15 透過窓(窓)
17 電源
19 抵抗群
21 トランジスタ群
23 第1,第2,第3制御部(制御手段)
25 別の実施例に係る3原色LED群(複数の光源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器における複数の状態を識別表示するための状態表示方法であって、
相互に異なる波長を有する複数の光源を、相互に近接させて設けるとともに、前記複数の光源からの照射光を臨むひとつの窓を設け、
前記複数の光源のそれぞれを、前記複数の状態毎に関連付けて点灯又は消灯させ、この点灯又は消灯している1又は複数の光源からの照射光を、前記窓を介して一括視認させることにより、前記複数の状態を識別表示する
ことを特徴とする状態表示方法。
【請求項2】
請求項1記載の状態表示方法であって、
前記複数の光源は、光の三原色からなる
ことを特徴とする状態表示方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の状態表示方法であって、
前記複数の光源は、相互にほぼ等しい光強度とされる
ことを特徴とする状態表示方法。
【請求項4】
電子機器における複数の状態を識別表示するための状態表示装置であって、
相互に異なる波長を有するとともに、相互に近接させて設けられる複数の光源と、
前記複数の光源からの照射光を臨むように設けられるひとつの窓と、
前記複数の光源のそれぞれを、前記複数の状態毎に関連付けて点灯又は消灯させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段の動作によって点灯又は消灯している1又は複数の光源からの照射光を、前記窓を介して一括視認させることにより、前記複数の状態を識別表示する
ことを特徴とする状態表示装置。
【請求項5】
請求項4記載の状態表示装置であって、
前記制御手段は、前記複数の各光源毎に独立して設けられる
ことを特徴とする状態表示装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の状態表示装置であって、
前記複数の光源は、光の三原色からなる
ことを特徴とする状態表示装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の状態表示装置であって、
前記複数の光源は、相互にほぼ等しい光強度とされる
ことを特徴とする状態表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−160538(P2008−160538A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347804(P2006−347804)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】