説明

現像装置の制御方法、現像装置の制御装置、及び画像形成装置

【課題】現像剤の無駄な消費を抑制したトナーリフレッシュ動作を実現する。
【解決手段】所定のタイミングにて測定用パッチ画像を形成させる工程と、測定用パッチ画像の画像濃度を測定する工程と、画像濃度を、所定の画像生成条件で形成した許容限度の品質を有する測定用パッチ画像の画像濃度である基準パッチ画像濃度と比較する工程と、測定用パッチ画像を、基準パッチ画像の形成における画像生成条件で形成し、比較の結果、前記画像濃度が前記基準画像濃度以下である場合は現像剤の強制消費動作を実行させる工程とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置で用いられる現像装置の制御方法等に関し、特に、現像装置の現像剤の強制消費の制御等の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式、インクジェット記録方式、熱転写記録方式等の種々の画像形成装置が研究、開発されているが、特に、電子写真方式は、高速化、普通紙化が可能であるため近年益々製品開発が進められ、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の製品が数多く発売されている。
【0003】
さらに、昨今、複写機、プリンタ、Faxといった出力端末をすべてかね備えた複合機が市場で広く受け入れられるようになってきている。このようなネットワーク対応の出力端末として電子写真プロセスを用いた画像形成装置が広く受け入れられており、このような装置は、長期間にわたって機能を維持することが求められている。
【0004】
図10に、従来のモノクロ画像を形成する画像形成装置の一例を示す。画像形成装置100は、その中央に画像形成機構が設けられている。画像形成機構は、感光体ドラム110、感光体ドラム110の周囲に配設されている帯電装置120、露光装置111、現像装置130、転写ローラ112、クリーニングブレード113、クリーニングローラ114、除電器(図示せず)、を備えている。また、感光体ドラム110の用紙搬送方向下流側には定着装置115が配設されている。定着装置115のさらに用紙搬送方向下流側には複数の排紙ローラ141を有する搬出装置140が配設されている。画像形成機構の下部には給紙部151が設けられており、給紙部151の給紙方向の下流側には複数の給紙ローラ152が配設されており、給紙部151及び給紙ローラ152は搬入装置150を構成する。
【0005】
帯電装置120は、感光体ドラム110の上方に設置されており、感光体ドラム110を一様に帯電させる装置であり、帯電ローラ121,電圧印加手段122から構成される。電圧印加手段122は、帯電ローラ121に、直流電圧と交流電圧とを重畳させたバイアス電圧を帯電用電圧として印加するように接続されている。
【0006】
露光装置111は、画像データ入力部160から入力された画像データに基づいて、感光体ドラム1上に静電潜像を露光形成するための装置である。
【0007】
転写ローラ112は、感光体ドラム110上に形成されたトナー像を用紙等の転写材に転写するための手段である。
【0008】
また現像装置130は、現像容器131と、現像容器131内に設けられた現像剤担持体、層厚規制手段、及びスパイラルとから構成される。
【0009】
現像剤担持体は、円筒状の回転可能な現像ローラ132と、現像ローラ132の内部に設けられた現像ローラ132と非接触であり固定配置された磁界発生部材133a〜133eとを備え、各磁界発生部材133a〜133eは軸部材134を中心として放射状に設けられた円筒状の外形を有し、現像ローラ132は、軸部材134を中心として回転する。また現像ローラ132は図示しない電圧印加手段より現像バイアスを印加され、これにより帯電したトナーを感光体ドラム110へ飛翔させる。
【0010】
層厚規制手段は、軸135、軸135の中心に取り付けられた磁界発生部材136、及び磁界発生部材136と軸135とを収納するように設けられた中空のスリーブ形状の形状保持部材137とを備えた円筒状の形状を有し、現像剤担持体Aと平行に配置される。磁界発生部材136において、磁界発生部材136は磁極子(永久磁石)として実現される。なお、磁界発生部材136は形状保持部材137は非接触となるように構成され、磁界発生部材136は形状保持部材137を介して現像ローラ132と対向するため、その表面にトナーが直接付着することはない。
【0011】
スパイラルCは、軸138aと軸138aの周囲に形成された螺旋状羽根138bとから構成され、軸138aを中心に回転することにより、現像容器131内に収納されているトナーを攪拌する。
【0012】
また、クリーニングブレード113は、感光体ドラム110に残留した残留現像剤などの付着物をクリーニングする手段である。クリーニングローラ114は、感光体ドラム110の表面に当接して、その表面を摺擦したり、トナーを回収したり吐き出したりするバッファの機能を有している。
【0013】
定着装置115は、転写されたトナー像を用紙に定着させるための装置である。
【0014】
また、画像データ入力部160は光学読み取り機構やPC等の外部装置からデータの入力を受けるインタフェースとして実現され、露光装置111が生成する静電潜像の元となる画像データを得る手段である。
【0015】
また、画像条件設定手段170は、外部からユーザ入力を受け付けるインタフェースであって、画像データ入力部160,露光装置111及び現像装置130の制御手段139に対し、記録媒体上に転写される画像の拡大、縮小、濃淡といったパラメータを設定するための手段である。
【0016】
また、電源装置180は、感光体ドラム110、帯電装置120、露光装置111、現像装置130、転写ローラ112、定着装置115、除電器、搬出装置140、搬入装置150、画像データ入力部160及び画像条件設定手段170に電力を供給する手段であり、図示しない電力供給線及び制御信号線により上記各手段、装置と接続されている。
【0017】
以上のような構成を有する画像形成装置では、現像装置130内に現像剤としてトナーとキャリアからなる二成分現像剤とが内包されており、トナーとキャリアとの摩擦混合によりトナーが所定極性に摩擦帯電され(キャリアはトナーと逆極性に帯電されている)、帯電トナーが電気的吸引力によりキャリアに保持されている。
【0018】
現像剤中のトナーは現像されることで消費され、トナーカートリッジから補給され、画像を出力することで、現像剤中のトナーは入れ替わっていくことになるが、所謂印字率の低い、したがって消費するトナー量が少ない画像を連続して出力し続けた場合、現像装置130内におけるトナーの入れ替わりはわずかずつしか行われず、結果として1つのトナーが現像装置130中に存在する時間が長くなり、長期に渡って現像容器131内でキャリアと摩擦混合される。
【0019】
このようにして長期的に摺擦、撹拌を繰り返された現像剤中のトナーは、形状が不規則になったり、粒径の分布に偏りを生じたり、また、現像剤に流動性を向上させる目的で別途添加さている酸化チタン粒子等の外添剤がトナー表面に埋め込まれたりしていく。その結果、現像剤の流動性が低下する等の劣化が生じ、所望の画質を保った画像が得られなくなることがある。
【0020】
特に、低印字の画像を長期間印刷する場合においては、トナー粒径が小さい帯電量の高いトナーが現像容器131内に残留しがちになり、画像濃度が低下し、高画質の画像を維持できなくなること、及びトナー消費量が少なくなるため、現像装置内のトナーもストレスを受けやすくなる。
【0021】
このような低印字率の画像を印字する場合の不具合の対策としては、所定のタイミングで現像機内のトナーを強制消費し、新たなトナーを補充する、いわゆるトナーリフレッシュ動作を行うことにより、トナーの粒度分布を適正に戻すようにしたものが知られている。
【0022】
ここでトナーリフレッシュ動作を行わせる所定のタイミングとは、低印字率の画像が形成される場合を想定して求められるものであり、具体的には、以下のような手法が提案されている。すなわち、出力画像1枚当たりのビデオ積算値を計測し、これに基づき算出したトナー消費量を予め定めた基準値と比較することにより、当該基準値を下回ったときにトナーリフレッシュ動作を行うもの(例えば、特許文献1を参照)。また現像剤担持体の移動距離当たりの面積率を検知し、これを予め定めた基準値と比較するようにして、トナーリフレッシュ動作実行のトリガーとした技術も知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2004−29209号公報
【特許文献2】特開2005−43388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、上記従来の現像装置のトナーリフレッシュ動作においては以下のような課題があった。
【0024】
上述したトナーリフレッシュ動作は、いずれも現像装置内のトナーが長期間滞留し、過帯電する原因である低印字率の画像の形成のタイミングに着目したものであるが、トナーリフレッシュ動作が必要か否かの判断において本来必要とされる情報は、現像装置130内に収納されている現像剤のトナーの劣化の程度である。トナーの劣化は現像容器131内に長期間現像剤が滞留することにより生ずるからであり、通常の画像形成時には、適量の現像剤が吐出され、それに対応してトナーカートリッジから新たな現像剤が供給されることによって現像容器131内の現像剤が交換されるのに対し、低印字率の画像形成においては、そのようなサイクルが阻害されるからである。
【0025】
印字率等のパラメータ算出は、吐出される現像剤の量を間接的に推定するために行われているが、入力される画像データや画像面積率によって一意に定まる。これに対し、トナーの劣化の程度は、画像形成装置の個体差や置かれた環境の差、すなわち現像剤担持体等の構成部品の特性の差、画像形成条件のばらつき、温度や湿度の影響による現像剤の品質のばらつき、といった原因から変動する。
【0026】
このとき、上記各方法により算出された印字率等が基準値を下回ったとしても、実際に現像装置から吐出されるトナーの劣化の程度が、算出された印字率が対応する値よりも小さい場合があり、これは実質的な印字率がトナーリフレッシュ動作が不要な程度に大きい値となるにも関わらず、一意に算出された印字率は過剰に低く見積もられることと同義である。かかる判断が継続すると、結果として、トナーリフレッシュ動作は、実際に必要な回数より過剰な回数行われることとなってしまう。そのような過剰なトナーリフレッシュ動作は、現像剤の消費量を無駄にすることとなっていた。
【0027】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、現像剤の無駄な消費を抑制したトナーリフレッシュ動作を実現できる現像装置の制御方法、現像装置の制御装置、及び画像形成装置等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記の目的を達成するために、第1の本発明は、所定のタイミングにて測定用現像剤画像を形成させる工程と、
前記測定用現像剤画像の画像濃度を測定する工程と、
前記画像濃度を、所定の画像生成条件で形成した、許容限度の品質を有する基準現像剤画像の画像濃度である基準画像濃度と比較する工程と、
前記比較の結果、前記画像濃度が前記基準画像濃度以下である場合は前記現像剤の強制消費動作を実行させる工程とを備え、
前記測定用現像剤画像は、前記基準現像剤画像の形成における画像生成条件で形成したものである、現像装置の制御方法である。
【0029】
また、第2の本発明は、前記所定のタイミングは、前記画像形成装置が画像を予め設定した枚数形成した時点、又は前記現像装置が所定時間駆動した時点である、第1の本発明の現像装置の制御方法である。
【0030】
また、第3の本発明は、前記所定のタイミングは、前記画像形成装置が形成する画像に関する印字率の計測に基づき定められる、第1の本発明の現像装置の制御方法である。
【0031】
また、第4の本発明は、前記強制消費動作において消費される現像剤の量を、前記基準画像濃度と前記画像濃度とに基づき定める、第1の本発明の現像装置の制御方法である。
【0032】
また、第5の本発明は、前記所定の画像形成条件は、外部から前記画像形成装置に対し設定可能なパラメータによる条件である、第1の本発明の現像装置の制御方法である。
【0033】
また、第6の本発明は、前記所定の画像形成条件は、前記画像形成装置の製造時に設定された条件である、第1又は第5の本発明の現像装置の制御方法である。
【0034】
また、第7の本発明は、前記所定のタイミングを、前記現像装置近傍の温度及び/又は湿度に応じて補正する、第1の本発明の現像装置の制御方法である。
【0035】
また、第8の本発明は、前記基準画像濃度又は前記画像濃度を、前記現像装置近傍の温度及び/又は湿度に応じて補正する、第1の本発明の現像装置の制御方法である。
【0036】
また、第9の本発明は、前記印字率の計測に、前記現像装置近傍の温度及び/又は湿度に応じた値を用いる、第3の本発明の現像装置の制御方法である。
【0037】
また、第10の本発明は、所定量の画像を形成するのに要する期間を計測する工程と、
前記計測により得られた計測期間が予め定めた所定期間以下かどうかを比較する工程と、
前記比較の結果、前記計測期間が前記所定期間より大きい場合は、前記強制消費の動作を行わせない工程とをさらに備えた、第1の本発明の現像装置の制御方法である。
【0038】
また、第11の本発明は、前記所定値を、前記現像装置近傍の温度及び/又は湿度に応じて補正する、第10の本発明の現像装置の制御方法である。
【0039】
また、第12の本発明は、像担持体と、前記像担持体上に現像剤画像を形成する現像装置とを有する画像形成装置の前記現像装置の動作を制御する現像装置の制御装置であって、
前記現像剤画像の画像濃度を測定する画像濃度測定手段と、
前記画像濃度手段が測定した前記画像濃度に基づき前記現像装置の動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
所定のタイミングにて前記現像装置に測定用現像剤画像を形成させる制御と、
前記画像濃度測定手段が前記測定用現像剤画像の画像濃度を測定する制御と、
前記画像濃度を、所定の画像生成条件で形成した、許容限度の品質を有する測定用現像剤画像の画像濃度である基準画像濃度と比較し、前記比較の結果、前記画像濃度が前記基準画像濃度以下である場合は前記現像剤の強制消費動作を実行する制御とを行い、
前記現像装置による測定用現像剤画像の形成において、前記測定用現像剤画像を、前記基準現像剤画像の形成における画像生成条件で形成する、現像装置の制御装置である。
【0040】
また、第13の本発明は、像担持体と、前記像担持体上に現像剤画像を形成する現像装置と、前記現像剤画像の画像濃度を測定する画像濃度測定手段とを有する画像形成装置の、前記画像濃度手段が測定した前記画像濃度に基づき前記現像装置の動作を制御する現像装置の制御装置であって、
所定のタイミングにて前記現像装置に測定用現像剤画像を形成させる制御と、
前記画像濃度測定手段が前記測定用現像剤画像の画像濃度を測定する制御と、
前記画像濃度を、所定の画像生成条件で形成した、許容限度の品質を有する測定用現像剤画像の画像濃度である基準画像濃度と比較し、前記比較の結果、前記画像濃度が前記基準画像濃度以下である場合は前記現像剤の強制消費動作を実行する制御とを行い、
前記現像装置による測定用現像剤画像の形成において、前記測定用現像剤画像を、前記基準現像剤画像の形成における画像生成条件で形成する、現像装置の制御装置である。
【0041】
また、第14の本発明は、所定量の画像を形成するのに要する期間を計測する計測手段をさらに備え、
前記計測により得られた計測期間が予め定めた所定期間以下かどうかを比較し、その結果、前記計測期間が前記所定期間より大きい場合は、前記強制消費の動作を行わせない制御する、第12又は第13の本発明の現像装置の制御装置である。
【0042】
また、第15の本発明は、像担持体と、
前記像担持体上に転写用の現像剤画像を形成する現像装置と、
前記現像剤画像の濃度を測定する画像濃度測定手段と、
第12の本発明の現像装置の制御装置とを備えた画像形成装置である。
【0043】
また、第16の本発明は、像担持体と、
前記像担持体上に転写用の現像剤画像を形成する現像装置と、
第13の本発明の現像装置の制御装置とを備えた画像形成装置である。
【0044】
また、第17の本発明は、第1の本発明の現像装置の制御方法の、所定のタイミングにて測定用現像剤画像を形成させる工程と、前記測定用現像剤画像の画像濃度を測定する工程と、前記画像濃度を、所定の画像生成条件で形成した許容限度の品質を有する測定用現像剤画像の画像濃度である基準画像濃度と比較する工程と、前記測定用現像剤画像を、前記基準現像剤画像の形成における画像生成条件で形成し、前記比較の結果、前記画像濃度が前記基準画像濃度以下である場合は前記現像剤の強制消費動作を実行させる工程とをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0045】
また、第18の本発明は、第17の本発明のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0046】
以上のような本発明によれば、現像剤の無駄な消費を抑制したトナーリフレッシュ動作を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0048】
(実施の形態1)
図1に本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の構成図を示す。本実施の形態の画像形成装置200は、図10に示す従来例とは、感光体ドラム110の表面の画像濃度を測定する反射画像濃度センサ210と、従来の制御手段139に代えて、反射画像濃度センサ210から測定データを取得して、これに基づき現像装置130を制御する制御手段220とを備えた点が異なる。また制御手段220は図示しないタイマ及びメモリを有する。
【0049】
なお、上記の構成において、画像形成装置200は本発明の画像形成装置に相当し、制御手段220は本発明の制御手段に相当する。また反射画像濃度センサ210は本発明の画像濃度測定手段に相当し、制御手段220と反射画像濃度センサ210により本発明の現像装置の制御装置が構成される。また感光体ドラム110は本発明の像担持体に相当する。
【0050】
以上のような構成を有する画像形成装置200の動作について説明するとともに、これにより、本発明の現像装置の制御装置の動作及び現像装置の制御方法の一実施の形態について説明を行う。
【0051】
従来のトナーリフレッシュ動作は、感光体ドラム上に形成される現像剤画像の印字率を、現像剤画像の元となる画像データの画像面積率に基づいて算出するものであったが、背景技術にて説明したように、本来リフレッシュ動作の可否に必要なパラメータは、現像装置130内における現像剤のトナーの劣化の程度であり、印字率はこれを間接的に把握するためのパラメータに過ぎない。しかし印字率の算出は、入力される画像データや画像面積率によって一意に定まるのに対し、実際のトナーの劣化の程度は、画像形成装置の個体差や環境に応じて変動するため、現実にトナーリフレッシュ動作のタイミングを適切に反映したものとはならず、主に無駄なトナーリフレッシュ動作が実行される原因となっていた。
【0052】
本発明はこの点に着目し、トナーの劣化の程度を、現像剤の吐出先である感光体ドラムに実際に形成される現像剤画像の濃度として直接的に求め、これに基づきトナーリフレッシュ動作のタイミングを設定したことを特徴とする。これにより、画像形成装置の個体差や環境に依らず、常に正確な現像剤の吐出量を把握して、適切なタイミングでトナーリフレッシュ動作を実行することが可能となる。
【0053】
はじめに準備として、画像形成装置は、その製造工程等(完成直後、出荷直前等であって、画像形成装置が通常動作することが可能な状態)において、画像形成機構を動作させ、帯電装置120、露光装置111、現像装置130によって、感光体ドラム110上に所定面積の現像剤画像を生成し、これをパッチ画像とする。パッチ画像は感光体ドラム110の全面に形成する必要はなく、反射画像濃度センサ210が濃度検知するのに必要な面積があればよい。
【0054】
このとき、制御手段220は、内蔵された(図示しない)メモリに、パッチ画像形成時における画像形成装置各部の動作状態を記憶しておく。具体的には、帯電装置120においては電圧印加手段122のバイアス電圧値(直流成分、交流成分毎)、露光装置111においてはレーザダイオードへの印加電圧値、また現像バイアスの値(直流成分、交流成分毎にそれぞれ)記憶する。また、パッチ画像作成時に用いた画像条件設定手段170に設定されている各パラメータ(画像の拡大/縮小率、濃淡)も初期条件として記憶する。また、画像形成装置はリセット指示がなされた時には画像形成条件を初期状態(工場出荷時の状態)に戻せるようにしておく。なお、リセット指示とは画像条件設定手段170を介してユーザから入力させた全てのパラメータの初期条件への復帰であり、また電圧印加手段112等、画像形成装置内の、全ての各部の動作状態の初期状態化であって、後者はエンジニアによる画像形成装置のメンテナンス等において実施される。
【0055】
これら基本的な動作条件及び画像条件設定手段170から、外部から画像形成装置に対し設定可能なパラメータを記憶しておくことにより、後に初期状態と同一の条件で、パッチ画像を再製することができるようにしておく。
【0056】
次に、感光体ドラム110上に形成されたパッチ画像の濃度を、反射画像濃度センサ210により測定する。測定結果は、上述した画像形成装置の初期条件と対の情報として、メモリに記録される。この初期条件下で作成されたパッチ画像を基準パッチ画像とし、基準パッチ画像の濃度を、基準画像濃度Cとする。以上で準備が完了し、画像形成装置は通常動作可能な状態となる。
【0057】
以下、図2のフローチャートを参照して詳細な説明を行う。画像形成装置200は通常動作状態にあるものとして、現像装置130の制御手段220は、内蔵するタイマによって、画像形成時間の動作時間を常時観測している。画像形成装置が、所定のタイミングとして、予め定めた一定期間動作状態にあるか否かを判定し(Step1)、一定期間以上動作していると判定した場合は、メモリから初期条件を読み出して、画像形成装置の各部状態を初期条件に設定してから、パッチ画像を作成する制御を行う(Step2)。このとき作成されるパッチ画像は、基準パッチ画像を作成した初期状態を再現した状態、すなわち基準パッチ画像作成時におけるものと、内部各部が同一の基本的動作条件、及び画像条件設定手段170に設定されたパラメータと同一パラメータ下で作成されたものとなり、トナーの劣化がない場合は、初期状態の基準パッチ画像の再現となるべきものである。以下これを測定用パッチ画像とする。
【0058】
次に、測定用パッチ画像が感光体ドラム110上に形成されると反射画像濃度センサ210によって測定用パッチ画像の濃度測定が行われる(Step3)。測定用パッチ画像の測定結果は制御手段220へ転送され、制御手段220はこれを画像濃度Cとして取得すると先にメモリした基準画像濃度Cとの比較を行う(Step4)。
【0059】
基準画像濃度Cは、現像剤画像の許容限度の品質を与える画像濃度として定義され、測定用パッチ画像の画像濃度Cがこれ以下を示す場合は画像に劣化が生じていることとなる。測定用パッチ画像は、基準パッチ画像と同一の画像形成装置の基本的動作条件、同一パラメータにて形成されているため、これらの設定に依らない濃度低下の原因として現像剤のトナー劣化が推定されることになる。
【0060】
Step4の判断の結果、測定用パッチ画像の画像濃度Cが基準画像濃度C以下と判断された場合は、トナーの劣化が生じているとして、制御手段220はトナーリフレッシュ動作を実行する(Step5)。トナーリフレッシュ動作が終了すると(Step6)、画像形成装置は通常動作としての現像、画像形成動作に復帰する。次の所定期間が来るまで通常動作は継続される。
【0061】
一方、測定用パッチ画像の画像濃度Cが基準画像濃度Cより大きいと判断された場合は、トナーの劣化は生じていないとしてStep1に戻り、次の所定期間が来るまで通常の動作が行われる。
【0062】
このように、本実施の形態によれば、トナーリフレッシュ動作を何時実行させるかについて、予め好適条件としての初期条件下で作成した基準パッチ画像と、画像形成装置200を所定期間動作させた後に、同一条件下で形成した測定用パッチ画像とでその濃度同士を比較させることにより、現像剤中のトナーの劣化を画像の濃度変化として直接的に検出するようにしている。
【0063】
これにより、画像形成装置の個体差や置かれた環境の差、すなわち現像剤担持体等の構成部品の特性の差、温度や湿度の影響による現像剤の品質のばらつきに左右されず、適切なタイミングでトナーリフレッシュ動作を実行させることができる。
【0064】
なお、上記の説明においては、Step2の実行トリガーとなる所定期間として、制御手段220に内蔵したタイマに基づく時間計測を例としたが、画像形成装置が画像形成した画像の枚数(一回の画像形成動作を一枚とする)を計測して、所定枚数に達した時点でStep2を実行させるようにしてもよい。
【0065】
また、上記の動作において、Step6からStep1ではなくStep2へ移行するフローを設けて、一旦トナーリフレッシュ動作が終了した後も、さらに測定用パッチ画像を作成して再度濃度を測定、比較して、トナーリフレッシュ動作の必要の可否の判定を行わせるようにしてもよい。これは、トナーの帯電が過剰である場合、1回のトナーリフレッシュ動作だけでは排出しきれなくなるトナーが生ずることを防ぐ効果がある。
【0066】
さらに、Step4にて比較した基準画像濃度Cと画像濃度Cとの差分に基づいて、トナーリフレッシュ動作時におけるトナーの強制排出量を設定するようにしてもよい。本実施の形態は濃度の差分としてトナーの劣化の程度を判断できるため、1回のトナーリフレッシュ動作の動作効率をより高めることが可能となる。
【0067】
基準画像濃度Cと画像濃度Cとの差分が大きければ大きいほど排出させるトナー量は多い方がいいが、一例としては、基準画像濃度Cを1.30として、画像濃度Cとの差分が0.15未満である場合は感光体ドラム110の周方向の幅が10mmの帯状(感光体ドラム110の軸方向の幅は画像形成可能な限り大きく取る)のベタ画像、0.15以上0.3未満で在れば20mm、0.3以上で在れば30mm等々と大きくすることが望ましい。
【0068】
(実施の形態2)
図3に示す本発明の実施の形態2による画像形成装置300は、図1に示す実施の形態1とは、画像データ入力部160から画像データを入力して印字率を計算する周知の印字率計測手段230を備え、また現像装置130の制御手段220が印字率計測手段230から印字率データ231を取得して動作する点が異なる。なお図3において同一または相当部には、同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0069】
以下、図4のフローチャートを参照して詳細な説明を行う。
【0070】
画像形成装置300は画像データ入力部160から画像データの入力を受けることにより、露光装置111による感光体ドラム110上の露光潜像生成、現像装置130以下の画像形成機構の各部が動作する。このとき、従来例と同様、印字率計測手段230は、画像形成装置300が(ユーザ設定により)予め定めた所定枚数の画像形成を行うと、当該画像形成枚数分の入力画像データから印字率を計測し(Step11)、これを印字率データ231として現像装置130の制御手段220へ出力する。これが所定のタイミングとなる。
【0071】
制御手段220は印字率データ231を取得すると、これが予め定められた所定値以下かどうかの判断を行う(Step12)。このとき、所定値は任意に定めた値としてよいが、一例としては約3%とすることが望ましい。
【0072】
印字率が所定値より大きい場合は、ステップ11以前に戻り、通常動作を継続する。
【0073】
印字率が所定値以下である場合は、制御手段220は、測定用パッチ画像の形成動作に移行し(Step13)、以下、実施の形態1と同様にして、測定用パッチ画像の濃度測定、及びその基準画像濃度との比較に基づき、トナーリフレッシュ動作の可否の判断及びそれに基づく動作を実行する(Step14〜17)。なお、実施の形態2のStep13〜17の各ステップが、それぞれ実施の形態1のStep2〜6に対応する。
【0074】
このように、本実施の形態によれば、所定のタイミングとしてのトナーリフレッシュ動作のトリガーとなる測定用パッチ画像の形成動作を何時行わせるかについて、印字率を測定し、この判断結果をトリガーとするようにしている。従来の印字率測定の動作を組み合わせることにより、従来の印字率測定による判断における正確なタイミング判断の阻害要因となっていた、画像形成装置の個体差や置かれた環境の差を取り除き、例え印字率測定が誤りを含む物であっても、適切なタイミングでトナーリフレッシュ動作を実行させることができる。また、先に印字率測定を行うことにより、動作期間、画像形成枚数の設定によって無駄に測定パッチ画像が作成されることを防止することができ、より的確なトナーリフレッシュ動作の判断が可能となる。
【0075】
なお、上記の説明においては印字率の計測は画像形成の所定枚数当たりのデータ量としたが、感光体ドラム110の移動距離当たりの画像面積率等のデータを用いてもよい。
【0076】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3の画像形成装置の画像形成機構近傍の拡大図である。本実施の形態の現像装置は、その近傍に設けられ、その周囲の湿度を測定する湿度センサ240、及び周囲の温度を測定する、バイメタル、感温磁性体、半導体等を利用した温度センサ250を更に備えた点を特徴とする。
【0077】
現像装置近傍の環境は現像剤のトナーに影響を与える。絶対湿度(空気中の水分量)が適正値より高くなると水分のためトナーの帯電電荷が抜けがちになり、画像濃度が必要以上に濃くなったり所謂かぶりが発生しがちになる。また絶対湿度が適正値より低い非常に乾燥した状態では、トナーが過剰に帯電しやすくなり、画像濃度の低下といった現象が引き起こされる場合がある。
【0078】
一方で、このような現像装置近傍の環境による現像剤画像への影響は、トナーリフレッシュ動作を要請するストレス、磁化等に基づくトナーの劣化とは結びつかないので、上述した絶対湿度の変化によって現像剤画像の劣化が生じた場合、反射画像濃度センサ210の測定する測定用パッチ画像の画像濃度が変動し、画像濃度とトナーの劣化程度との関係の正確性が失われる。
【0079】
そこで本実施の形態の現像装置の制御装置は、パッチ画像作成時には、湿度センサ240、温度センサ250が感光体ドラム近傍の湿度を測定する。なお、湿度センサ240は相対湿度を測定するものであり、上記の絶対湿度は温度センサ250が測定した温度とその時の温度センサ250が測定した温度との関係として得られていることになる。
【0080】
制御手段220がそれぞれの測定結果を図示しないメモリに蓄積する。すなわち、基準パッチ画像作成時において初期条件の一として温度センサ250及び湿度センサ240の各測定値(例えば温度が23℃、湿度が60%)を記憶し、測定用パッチ画像測定時にも、同様に湿度センサ240及び温度センサ250の測定値を記憶し、両測定値を基準パッチ画像作成時の各測定値と比較する。なお、基準パッチ画像の作成は、画像形成装置が好適動作する温度、湿度条件下で行うことが望ましい。
【0081】
このとき、基準パッチ画像作成時の温度及び湿度に比して測定用パッチ画像作成時の温度及び湿度が大きい(例えば温度が30℃、湿度が80%)場合は、制御手段220は、その大きさの程度(差分、比率等)に応じて測定用パッチ画像の画像濃度を補正する。例として、実施の形態1のStep4の動作において、現像装置130近傍の温度、湿度が大きい場合は、測定用パッチ画像の画像濃度Cはトナーの帯電電荷が低下することにより適正時における濃度よりも大きな値となるが、制御手段220は濃度CをC′=αC(α:0<α≦1を満たす数)に補正し、この補正値C′と基準画像濃度Cとの比較により、トナーリフレッシュ動作の実行の適否を判断する。なお、定数αは初期条件における温度、湿度と測定用パッチ画像測定時における温度、湿度との関係から導かれる補正係数である。
【0082】
このように、本実施の形態によれば、画像形成装置の配置場所等に応じて、現像装置130近傍の温度、湿度が大きくなった場合でも、測定用パッチ画像の濃度を補正して、トナーリフレッシュ動作の実行の判断を適切に行うことができる。
【0083】
なお、上記の動作においては、測定用パッチ画像の画像濃度Cと基準画像濃度Cとの比較において、画像濃度Cを補正するものとして説明を行ったが、画像濃度Cを固定値として、基準画像濃度Cを補正するようにしてもよい。この場合、基準パッチ画像を作成した初期条件の温度、湿度のほうが、画像濃度Cの作成時の温度、湿度に比して小さいと見なされることになるため、基準画像濃度Cを、より大きな値C′=βC(β:β<1を満たす数)である基準画像濃度C′に補正する。
【0084】
また、検出した温度、湿度を用いて、実施の形態1のStep1の所定期間(画像形成枚数)の補正を行ってもよい。温度、湿度が高い場合は所定期間を長くとり、低い場合は短く取るようにする。
【0085】
また、実施の形態2の印字率の計測における画像形成の所定枚数の補正に用いてもよい。温度、湿度が高い場合は所定期間を長くとり、低い場合は短く取るようにする。さらに計測した印字率の比較値の補正に用いてもよい。温度、湿度が高い場合は所定値を大きくとり、低い場合は小さく取るようにする。
【0086】
さらに、補正に代えて、湿度、温度に応じて複数個の所定期間、所定値を設定するようにしてもよい。
【0087】
(実施の形態4)
図6に本発明の実施の形態4の画像形成装置の構成を示す。実施の形態2の図3と同一または相当部には、同一符号を付し、詳細な説明は省略する。また計測手段260は現像装置130が形成する現像剤画像の枚数を計測する手段であり、本発明の計測手段に相当する。
【0088】
本実施の形態の現像装置130の動作は、印字率の計測において、所定の印字量の画像を形成するのに要する期間という加重要件をさらに備えたことを特徴とする。
【0089】
上述した実施の形態2のStep11にて計測した印字率は、従来例と同様、画像形成装置300(現像装置130)が予め定めた所定枚数の画像を形成した後に、印字率計測手段230が当該所定枚数画像分当たりの画像データ量から計測することで求められるものであった。
【0090】
しかしながら、このような印字率計測においても、通常は問題なく適切な制御が実行できるものの、特殊な使用環境においては、更なる補正が必要となる場合も出てくる。
【0091】
具体的には、一週間に5000枚印刷する、すなわち5000枚分の画像を形成する動作を行うのが平均的な画像形成装置において、一週間に500枚しか印刷しないといった、例外的に画像形成枚数が著しく少なくなる動作を行うことがある場合には、たとえその間の平均した印字率が判断のための所定値を下回っていてもトナーリフレッシュ動作を行う必要が無い。その理由は、印刷間隔が長いと、その間にトナー粒子の持っている電荷が徐々に放出され、高帯電が原因の濃度低下が引き起こされにくくなるからである。
【0092】
本実施の形態は、このような例外的な場合をも考慮して、画像形成装置の動作状態に応じた具体的で精密なトナーリフレッシュ動作を行うか否かの判断が実現できるように、所定の印字量の画像を形成するのに要する期間をトナーリフレッシュ動作の可否の判断要件に加えたものである。
【0093】
以下図7のフローチャートを参照して説明を行うとともに、これにより、本発明の現像装置の現像剤の強制消費の制御装置及び制御方法の一実施の形態を説明する。
【0094】
はじめに、画像形成装置が通常使用により画像形成動作を継続する間、計測手段260は印字枚数を計測し(Step21)、制御手段220は、画像形成が所定枚数(一例として1000枚)に達したか否かの判断を行わう(Step22)。なお印字枚数の計測は現像装置130の駆動時間から算出してもよい。
【0095】
所定枚数に達した場合、制御手段220は、当該所定枚数の画像形成に要した時間Pを内蔵タイマにより算出する(Step23)。
【0096】
次いで制御手段220は、算出した時間Pが所定期間P(一例として1日)より長いか否かを判断する(Step24)。
【0097】
算出した期間Pが所定期間P以下であれば、トナーリフレッシュ動作の可否の判断基準となる印字率の所定値を通常と同じ3.0%に設定し(Step25)、実施の形態2のStep11へ移動し、以後、Step17まで実施の形態2と同様の動作を行う(Step26)。
【0098】
一方、所定期間Pより長ければ、所定期間P(一例として1週間)より長いか否かを判断する(Step27)。算出した期間が所定期間P以下であれば、トナーリフレッシュ動作の可否の判断基準となる印字率の所定値を通常より小さい2.0%に設定し(Step28)、実施の形態2のStep11へ移動し、以後、Step17まで実施の形態2と同様の動作を行う(Step26)。
【0099】
さらに、算出した期間が所定期間Pより長ければ、さらに所定期間P(一例として2週間)より長いか否かを判断する(Step29)。算出した期間が所定期間P以下であれば、トナーリフレッシュ動作の可否の判断基準となる印字率の所定値を通常よりさらに小さい1.0%に設定し(Step30)、実施の形態2のStep11へ移動し、以後、Step17まで実施の形態2と同様の動作を行う(Step26)。一方、算出した期間Pが所定期間Pより長ければ、この時点でのトナーリフレッシュ動作の必要はないと判断し、Step21以前の状態に復帰する。
【0100】
以上のステップにおいて、印字量を基準として印字に要した期間を用いることとしたが、代わりに印字に要した期間を基準として、単位時間当たりの印字量に基づき比較、制御を行うようにしてもよい。また、測定すべき量として、印字量に代えて現像装置の通算駆動時間を用いてもよい。上記の動作の場合は1000枚の印字量に相当する現像装置の駆動時間の長短によってトナーリフレッシュ動作の可否と、印字率の基準とが判断されることになる。
【0101】
このように、本実施の形態によれば、印字率計測手段230が、所定の印字量の画像を形成するのに要する期間を計算し、これが所定量より大きい場合はトナーリフレッシュ動作を実行させないことにより、無意味なトナーリフレッシュ動作を削減し、現像剤の消費を抑制することが可能となる。
【0102】
また、所定の印字量の画像を形成するのに要する期間の程度に応じて、トナーリフレッシュ動作の判断基準となる印字率も適宜変更するようにしている。これにより、従来の印字率を利用したトナーリフレッシュ動作においても、画像形成装置の使用状態に即して具体的で精密な判断を行うことが可能となる。
【0103】
また、実施の形態3の湿度センサ240及び温度センサ250と組み合わせて、測定温度、測定湿度に応じて印字量計測の基礎となる所定枚数の補正、比較用の所定値の補正を行わせるようにしてもよい。
【0104】
(実施の形態5)
上記各実施の形態において、画像形成装置はモノクロ画像を形成するものであるとしたが、本発明の現像装置130は、カラー画像を形成する画像形成装置においても実現することが可能である。
【0105】
図8は、本発明の実施の形態5の画像形成装置の構成図である。ただし図1と同一または相当部には、同一符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施の形態の画像形成装置400は、実施の形態1の現像装置130に代えて、4色の現像剤を供給する現像装置310及び現像剤画像を転写する転写装置320を備えている。
【0106】
現像装置310は、ロータリラック311と、複数の現像器312Y,312M,312C,312Kとを備えている。ロータリラック311は、図示しない回転手段により軸313を中心に回転しながら複数の現像器312Y,312M,312C,312Kを感光体ドラム1に対向する現像位置に順に移動させて現像を行わせるものである。複数の現像器のうち、イエロー現像器312Y、マゼンタ現像器312M、シアン現像器312C、ブラック現像器312Kは、Y,M,C,Kの色順にロータリラック311の回転の周方向に並べて保持され、隣接する現像器は周方向に約90度の間隔で配置される。
【0107】
転写装置320は、感光体ドラム1の現像剤画像を用紙等の転写材に転写するための装置であって、中間転写ベルト321、一次転写ローラ322、駆動ローラ323、二次転写対向ローラ324、二次転写ローラ325を備えている。中間転写ベルト321は、一次転写ローラ112、駆動ローラ323、二次転写対向ローラ324にエンドレス状に巻きかけられ、駆動ローラ323によって駆動されており、感光体ドラム110に形成された現像剤画像が転写され一時的に保持される転写体の役割を果たす。二次転写ローラ325は、中間転写ベルト321の外周面において二次転写対向ローラ324に対向する位置に配置され、転写材に現像剤画像を転写する。
【0108】
このような画像形成装置においては、画像形成は各現像器312Y〜312K毎に行われ、中間転写ベルト321上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像剤画像を転写ベルト上に重ねて転写し、これを一枚の転写材の上に転写することによりカラー現像剤画像を形成する。
【0109】
したがって現像剤画像の生成が各色毎、すなわち各現像器毎に行われるため、トナーリフレッシュ動作も各現像器毎に行う必要がある。
【0110】
そこで制御手段220は、各現像器312Y,312M,312C,312K毎に上記実施の形態1〜4と同様の制御を行う。すなわち、基準パッチ画像の形成及び画像濃度測定、測定用パッチ画像の形成及び画像濃度測定、印字率データの計測、現像装置130近傍の温度、湿度の測定、印字率データの単位時間当量への換算の動作、及び動作条件は、各現像器312Y,312M,312C,312K毎に独立して行われる。
【0111】
また、カラー画像形成装置は中間転写ベルト321上の領域上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像剤画像をそれぞれ転写するが、このとき各現像剤画像の濃淡が適正に調整されている必要があるため、現像剤画像の画像濃度を測定するための反射画像濃度センサが本来的に備えられている。
【0112】
本実施の形態の現像装置130はこの反射画像濃度センサからのデータを取得して、基準パッチ画像及び測定用パッチ画像の画像濃度を測定することができる。この場合、本発明の制御装置は別途画像濃度測定手段を有さない構成として実現できる利点がある。なお、反射画像濃度センサの配置は、図8に示す中間転写ベルト321の面上に向けられた反射画像濃度センサ330のようにしてもよいし、感光体ドラム110の主面上に向けられた反射画像濃度センサ340のような配置としてもよい。
【0113】
また、図9は、中間転写ベルト321上に各色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)に対応する画像形成機構が縦列配置された、いわゆるタンデム型の画像形成装置の模式図である。画像形成機構は、主に各色毎に設けられた感光体ドラム340a〜340d、帯電装置341a〜341d、現像装置342a〜342dから構成されるが、制御手段220は各画像形成機構の、中間転写ベルト321の進行方向(図中矢印)前方に設けられた反射画像濃度センサ350a〜350dから画像濃度情報を取得して、トナーリフレッシュ動作の可否を判断する。この画像形成装置においては本発明を実施することで、基準パッチ画像の形成を各現像装置毎に同時に行うことができ、湿度、温度の外部環境を含む初期条件を現像装置毎に揃えることができるという利点がある。
【0114】
なお、上記の形態に限らず、反射画像濃度センサは最下流側の350aの位置に一個だけ設けるようにしてもよい。各画像は中間点転写ベルト321の進行により最下流に移動したときにその画像濃度が測定されることになる。この場合センサの個数を減らしてコストを削減することができる。
【0115】
なお、上記の各実施の形態の画像形成装置はプリンタや、FAX他の情報処理装置といった機器として用いることができる。要するに、現像剤画像を転写して複写画像を得る機器であれば、本発明の現像装置の制御装置、及び画像形成装置は、いかなる用途の装置において組み込まれた構成であっても、又は実施されてもよい。
【0116】
また、本発明は、上述した本発明の現像装置の制御方法の全部または一部の工程の動作をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムとしてもよい。
【0117】
なお、本発明の一部の工程は、それらの複数の工程の内の、幾つかの工程を意味し、あるいは、一つの工程の内の、一部の動作を意味するものである。
【0118】
また、本発明のプログラムを記録した、コンピュータに読みとり可能な記録媒体も本発明に含まれる。
【0119】
また、本発明のプログラムの一利用形態は、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0120】
また、本発明のプログラムの一利用形態は、伝送媒体中を伝送し、コンピュータにより読みとられ、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0121】
また、記録媒体としては、ROM等も含まれる。
【0122】
また、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。
なお、以上説明した様に、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明にかかる現像装置の制御方法、現像装置の制御装置、及び画像形成装置は、現像剤の無駄な消費を抑制したトナーリフレッシュ動作を実現できるという格別の効果を有し、複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の形態1の画像形成装置の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1の現像装置の制御手段による制御フローチャートを示す図
【図3】本発明の実施の形態2の画像形成装置の構成を示す図
【図4】本発明の実施の形態1の現像装置の制御手段による制御フローチャートを示す図
【図5】本発明の実施の形態3の画像形成装置における現像装置近傍の拡大図
【図6】本発明の実施の形態4の画像形成装置の構成を示す図
【図7】本発明の実施の形態4の現像装置の制御手段による制御フローチャートを示す図
【図8】本発明の実施の形態5の画像形成装置の構成例を示す図
【図9】本発明の実施の形態5の画像形成装置の他の構成例を示す図
【図10】従来の技術による画像形成装置の一例を示す図
【符号の説明】
【0125】
110 感光体ドラム
111 露光装置
120 帯電装置
130 現像装置
140 搬出装置
150 搬入装置
160 画像データ入力部
170 画像条件設定手段
180 電源装置
210 反射画像濃度センサ
220 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のタイミングにて測定用現像剤画像を形成させる工程と、
前記測定用現像剤画像の画像濃度を測定する工程と、
前記画像濃度を、所定の画像生成条件で形成した、許容限度の品質を有する基準現像剤画像の画像濃度である基準画像濃度と比較する工程と、
前記比較の結果、前記画像濃度が前記基準画像濃度以下である場合は前記現像剤の強制消費動作を実行させる工程とを備え、
前記測定用現像剤画像は、前記基準現像剤画像の形成における画像生成条件で形成したものである、現像装置の制御方法。
【請求項2】
前記所定のタイミングは、前記画像形成装置が画像を予め設定した枚数形成した時点、又は前記現像装置が所定時間駆動した時点である、請求項1に記載の現像装置の制御方法。
【請求項3】
前記所定のタイミングは、前記画像形成装置が形成する画像に関する印字率の計測に基づき定められる、請求項1に記載の現像装置の制御方法。
【請求項4】
前記強制消費動作において消費される現像剤の量を、前記基準画像濃度と前記画像濃度とに基づき定める、請求項1に記載の現像装置の制御方法。
【請求項5】
前記所定の画像形成条件は、外部から前記画像形成装置に対し設定可能なパラメータによる条件である、請求項1に記載の現像装置の制御方法。
【請求項6】
前記所定の画像形成条件は、前記画像形成装置の製造時に設定された条件である、請求項1又は5に記載の現像装置の制御方法。
【請求項7】
前記所定のタイミングを、前記現像装置近傍の温度及び/又は湿度に応じて補正する、請求項1に記載の現像装置の制御方法。
【請求項8】
前記基準画像濃度又は前記画像濃度を、前記現像装置近傍の温度及び/又は湿度に応じて補正する、請求項1に記載の現像装置の制御方法。
【請求項9】
前記印字率の計測に、前記現像装置近傍の温度及び/又は湿度に応じた値を用いる、請求項3に記載の現像装置の制御方法。
【請求項10】
所定量の画像を形成するのに要する期間を計測する工程と、
前記計測により得られた計測期間が予め定めた所定期間以下かどうかを比較する工程と、
前記比較の結果、前記計測期間が前記所定期間より大きい場合は、前記強制消費の動作を行わせない工程とをさらに備えた、請求項1に記載の現像装置の制御方法。
【請求項11】
前記所定値を、前記現像装置近傍の温度及び/又は湿度に応じて補正する、請求項10に記載の現像装置の制御方法。
【請求項12】
像担持体と、前記像担持体上に現像剤画像を形成する現像装置とを有する画像形成装置の前記現像装置の動作を制御する現像装置の制御装置であって、
前記現像剤画像の画像濃度を測定する画像濃度測定手段と、
前記画像濃度手段が測定した前記画像濃度に基づき前記現像装置の動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
所定のタイミングにて前記現像装置に測定用現像剤画像を形成させる制御と、
前記画像濃度測定手段が前記測定用現像剤画像の画像濃度を測定する制御と、
前記画像濃度を、所定の画像生成条件で形成した、許容限度の品質を有する測定用現像剤画像の画像濃度である基準画像濃度と比較し、前記比較の結果、前記画像濃度が前記基準画像濃度以下である場合は前記現像剤の強制消費動作を実行する制御とを行い、
前記現像装置による測定用現像剤画像の形成において、前記測定用現像剤画像を、前記基準現像剤画像の形成における画像生成条件で形成する、現像装置の制御装置。
【請求項13】
像担持体と、前記像担持体上に現像剤画像を形成する現像装置と、前記現像剤画像の画像濃度を測定する画像濃度測定手段とを有する画像形成装置の、前記画像濃度手段が測定した前記画像濃度に基づき前記現像装置の動作を制御する現像装置の制御装置であって、
所定のタイミングにて前記現像装置に測定用現像剤画像を形成させる制御と、
前記画像濃度測定手段が前記測定用現像剤画像の画像濃度を測定する制御と、
前記画像濃度を、所定の画像生成条件で形成した、許容限度の品質を有する測定用現像剤画像の画像濃度である基準画像濃度と比較し、前記比較の結果、前記画像濃度が前記基準画像濃度以下である場合は前記現像剤の強制消費動作を実行する制御とを行い、
前記現像装置による測定用現像剤画像の形成において、前記測定用現像剤画像を、前記基準現像剤画像の形成における画像生成条件で形成する、現像装置の制御装置。
【請求項14】
所定量の画像を形成するのに要する期間を計測する計測手段をさらに備え、
前記計測により得られた計測期間が予め定めた所定期間以下かどうかを比較し、その結果、前記計測期間が前記所定期間より大きい場合は、前記強制消費の動作を行わせない制御する、請求項12又は13に記載の現像装置の制御装置。
【請求項15】
像担持体と、
前記像担持体上に転写用の現像剤画像を形成する現像装置と、
前記現像剤画像の濃度を測定する画像濃度測定手段と、
請求項12に記載の現像装置の制御装置とを備えた画像形成装置。
【請求項16】
像担持体と、
前記像担持体上に転写用の現像剤画像を形成する現像装置と、
請求項13に記載の現像装置の制御装置とを備えた画像形成装置。
【請求項17】
請求項1に記載の現像装置の制御方法の、所定のタイミングにて測定用現像剤画像を形成させる工程と、前記測定用現像剤画像の画像濃度を測定する工程と、前記画像濃度を、所定の画像生成条件で形成した、許容限度の品質を有する基準現像剤画像の画像濃度である基準画像濃度と比較する工程と、前記比較の結果、前記画像濃度が前記基準画像濃度以下である場合は前記現像剤の強制消費動作を実行させる工程とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−147782(P2007−147782A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339345(P2005−339345)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】