説明

現像装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】トナー担持体と像担持体との間のリーク発生を抑制すると共に画像濃度の低下を防止可能な現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像ローラ23には、Vslv(DC)及びVslv(AC)を印加する第1バイアス回路30、磁気ローラ22には、Vmag(DC)及びVmag(AC)を印加する第2バイアス回路31が接続されている。第1バイアス回路30及び第2バイアス回路31には電圧可変装置33が接続され、第1バイアス回路30にはリーク検知装置35が接続されている。リーク検知装置35によるDS間のリーク検知結果が所定値Vs0以上のとき、連続印字時の所定印字数量Qs以降のVslv(DC)及びVmag(DC)の少なくともいずれかを可変して、MS間DCを印字開始時と略同じにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に搭載される現像装置及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に、磁性キャリアとトナーとから成る二成分現像剤を使用し、現像ローラに帯電したトナーのみを保持させて像担持体上の静電潜像を現像する現像装置の駆動制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを用いた画像形成装置における乾式トナーを用いた現像方式としては、キャリアを用いない一成分現像方式と、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる二成分現像剤を使用し、現像ローラ上に形成されたトナー及びキャリアから成る磁気ブラシにより像担持体(感光体)上の静電潜像を現像する二成分現像方式とが知られている。
【0003】
一成分現像方式は、磁気ブラシによって像担持体上の静電潜像が乱されることがなく高画質化に適している反面、トナーをチャージローラで帯電させ、弾性規制ブレードで現像ローラ上の層厚を規制するため、トナーの添加剤がチャージローラに付着して帯電能力が低下し、トナーの帯電量を安定して維持することが困難であった。また、規制ブレードにトナーが付着し、層形成が不均一になって画像欠陥をきたすことがあった。
【0004】
また、色重ねを行うカラー印刷の場合、カラートナーに透過性が要求されるため、非磁性トナーである必要がある。そこで、フルカラー画像形成装置においてはキャリアを用いてトナーを帯電及び搬送する二成分現像方式を採用する場合が多い。しかし、二成分現像方式は安定した帯電量を長期間維持できトナーの長寿命化に適している反面、前述した磁気ブラシによる影響のため画質の面で不利であった。
【0005】
これらの問題を解決する手段の一つとして、磁気ローラ(トナー供給部材)を用いて現像剤を像担持体に対して非接触に設置した現像ローラ(トナー担持体)上に移行させる際に、磁気ローラ上に磁性キャリアを残したまま現像ローラ上に非磁性トナーのみを転移させてトナー薄層を形成し、交流電界によって像担持体上の静電潜像にトナーを付着させる現像方式が提案されている。
【0006】
また、現像ローラ表面とトナーとの付着力を低減させるために、現像ローラ表面をウレタン系樹脂等の樹脂層で被覆する方法が知られている。しかし、樹脂は電気抵抗が高いため、導電材を含有させるなどして樹脂層の電気抵抗を適度な値に調整する必要があるが、電気抵抗が低過ぎると、現像ローラ表面と感光体との間で電流リークが発生し、高過ぎると、トナーの現像性が低下する場合がある。
【0007】
そこで、例えば特許文献1には、現像剤担持体(トナー担持体)の少なくとも基体及び該基体表面に、ウレタン樹脂、導電性物質及び鉄粉に対して正帯電性の第4級アンモニウム塩化合物を少なくとも有することにより、トナーの過剰帯電を防止し且つトナーの帯電量を高めに保持し、現像剤担持体上へのトナーの融着の発生を抑制して、画像濃度の低下等を防止する方法が開示されている。
【0008】
一方、現像ローラと感光体の間でのリークによるノイズの発生と画像濃度ムラの発生が問題となっていた。これは、現像領域で現像ローラに印加する現像バイアスの交流成分を高くし過ぎると、感光体の表面電位と交流電圧のピーク値との電位差が大きくなって感光体と現像ローラとの間にリークが発生し、逆に交流成分を低くし過ぎると、感光体の表面電位と交流電圧のピーク値との電位差が小さくなり、現像ローラから感光体上へトナーが十分に飛翔せず画像濃度ムラが発生するためである。
【0009】
そのため、上記の不具合が発生しないように現像バイアスの交流電圧を選択する必要があるが、実際には現像ローラの成形精度や取り付け精度、感光体と現像ローラとの隙間(現像ギャップ)を決定するスペーサの摩耗等によって現像ギャップや現像ローラの抵抗値が変化するため、現像装置毎に、或いは同じ現像装置であっても経時的にリークの発生し易さが異なってくる。また、リークの発生し易さは装置の使用環境によっても変化するため、一律に同じ交流電圧を選択すると、リークの発生する場合や画像濃度ムラが発生する場合があった。
【0010】
そこで、例えば特許文献2には、像担持体(感光体)とトナー担持体(現像ローラ)との間にリークを発生させるリーク発生手段と、像担持体とトナー担持体との間に流れる電流に基づいてリークの発生を検知するリーク検知手段とを備え、故意にリークを発生させたときのリーク発生電圧に基づいてリークや画像濃度ムラの発生しない最適な交流電圧を選択可能とした現像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−249414号公報
【特許文献2】特開2003−287942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に示すように、現像ローラ表面の電気抵抗を適度に高くすることにより、感光体と現像ローラとの間でリークを発生し難くすることはできる。しかし、現像ローラ表面の電気抵抗を高くした場合、該ローラ表面には電荷が溜まり易くなる。このため、現像バイアスにより現像ローラ表面に電荷が注入されると、該ローラ表面には飽和に達するまで経時的に徐々に電荷が蓄積される。
【0013】
一方、特許文献2では、現像ローラに印加する交流電圧を、リークが発生しない範囲で大きく設定することができる。しかし、交流電圧を大きくした場合、現像ローラ表面には経時的に電荷が溜まる。特に、特許文献1に示すような現像ローラを用いた場合、リークが発生し難くなるため、交流電圧を高くすることができる一方、その分電荷が溜まり易くなる。
【0014】
このように、現像ローラ表面に電荷が溜まり易いと、連続印字中に飽和に達するまで経時的に徐々に電荷が蓄積され、該ローラ表面の電位が上昇し、現像ローラと磁気ローラとの間の直流電位差(実効電位)が小さくなる。その結果、上記した二成分現像方式においては、連続印字中に磁気ローラから現像ローラに供給されるトナー量が経時的に減少し、画像濃度が低下する場合がある。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑み、トナー担持体と像担持体との間のリーク発生を抑制すると共に画像濃度の低下を防止可能な現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、像担持体にトナーを供給するためのトナー担持体と、該トナー担持体上に磁気ブラシを用いてトナー層を形成するトナー供給部材と、前記トナー担持体及びトナー供給部材に直流電圧及び交流電圧を印加可能な電圧印加手段と、を有する現像装置において、前記電圧印加手段により前記トナー担持体に印加される交流電圧を変化させて前記像担持体と前記トナー担持体との間にリークを発生させるリーク発生手段と、該リーク発生手段により発生させたリークを検知するリーク検知手段と、該リーク検知手段の検知結果に基づいて前記像担持体−前記トナー担持体間に印加される交流電圧を設定する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記トナー担持体に印加される交流電圧が所定値以上であるとき、連続印字の所定印字数量以降において前記トナー担持体及び前記トナー供給部材の少なくともいずれかに印加される直流電圧を可変することを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記制御手段は、前記連続印字の前記所定印字数量以降において前記トナー担持体に印加される直流電圧を、前記印字開始時よりも小さくして、前記実効電位を前記印字開始時と略同じにすることを特徴としている。
【0018】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記制御手段は、前記連続印字の前記所定印字数量以降において前記トナー供給部材に印加される直流電圧を、前記印字開始時よりも大きくして、前記実効電位を前記印字開始時と略同じにすることを特徴としている。
【0019】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記トナー担持体及び前記トナー供給部材の少なくともいずれかに印加される直流電圧を、前記印字開始時から前記所定印字数量まで段階的に可変することを特徴としている。
【0020】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記像担持体上に形成されたトナー量を検知する検知手段と、前記トナー担持体及び前記トナー供給部材に印加される直流電圧の所定の基準値を記憶する記憶手段と、が設けられ、前記制御手段は、前記像担持体上に形成された基準トナー像に対する前記検知手段の検知結果と前記基準値とに基づいて前記直流電圧の補正を実行可能であり、前記トナー担持体に印加される交流電圧が所定値以上であるとき、前記所定印字数量に到達する直前の印字終了後に前記補正を実行すると共に前記所定印字数量以降の前記実効電位を前記印字開始時と略同じにすることを特徴としている。
【0021】
また本発明は、上記構成の現像装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の構成によれば、像担持体−トナー担持体間のリーク検知結果によってトナー担持体に印加される交流電圧が所定値よりも大きい場合、それに応じて連続印字の所定印字数量以降におけるトナー担持体及びトナー供給部材の少なくともいずれかに印加される直流電圧を可変することにより、トナー担持体―トナー供給部材間の実効電圧を印字開始時と略同じにすることが可能となる。
【0023】
これにより、トナー担持体に電荷が溜まり易く、現像の繰り返しによりトナー担持体の表面電位が低下し易い場合であっても、実効電位を印字開始時と略同じにすることができる。従って、像担持体−トナー担持体間でのリーク発生を抑制するのみならず、トナー供給部材からトナー担持体へのトナー供給量の低下を防止して画像濃度の低下を防止することができる。
【0024】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の現像装置において、制御手段が、連続印字の所定印字数量以降においてトナー担持体に印加される直流電圧を、印字開始時よりも小さくして、上記実効電位を印字開始時と略同じにすることにより、複雑な制御を行うことなく、画像濃度の低下を防止することができる。
【0025】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1の構成の現像装置において、制御手段が、連続印字の所定印字数量以降においてトナー供給部材に印加される直流電圧を、印字開始時よりも大きくして、上記実効電位を印字開始時と略同じにすることにより、複雑な制御を行うことなく、画像濃度の低下を防止することができる。
【0026】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1〜第3のいずれかの構成の現像装置において、トナー担持体若しくはトナー供給部材の少なくともいずれかに印加される直流電圧を、印字開始時から所定印字数量まで段階的に可変することにより、連続印字中にトナー担持体上に溜まる電荷量に応じてより詳細に画像濃度の低下を防止することができる。
【0027】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1〜第4のいずれかの構成の現像装置において、像担持体上に形成されたトナー量を検知する検知手段と、トナー担持体及びトナー供給部材に印加される直流電圧の所定の基準値を記憶する記憶手段と、を設け、制御手段が、像担持体上に形成された基準トナー像に対する検知手段の検知結果と基準値とに基づいて前記直流電圧の補正を実行可能であり、トナー担持体に印加される交流電圧が所定値以上であるとき、所定印字数量に到達する直前の印字終了後に上記補正を実行すると共に実効電位を印字開始時と略同じにすることができる。
【0028】
これにより、基準トナー像を用いた補正によりトナー担持体及びトナー供給部材に印加される直流電圧を適正にすると共に、実効電位を印字開始時と略同じにすることができるため、より精度良く画像濃度の低下を防止することができる。
【0029】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1〜第5のいずれかの構成の現像装置を備えた画像形成装置とすることにより、像担持体−トナー担持体間でのリークによる画像不良を効果的に防止すると共に画像濃度の低下を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の全体構成を示す概略断面図
【図2】本実施形態の現像装置の構成を示す側面断面図
【図3】現像ローラ及び磁気ローラに印加されるバイアス波形の一例を示す図
【図4】連続印字中における実効電位(MS間DC)の経時的な変化を示す図
【図5】本実施形態の現像装置を備えた画像形成装置の第1制御例におけるMS間DCの制御手順を示すフローチャート
【図6】本実施形態の現像装置を備えた画像形成装置の第2制御例におけるMS間DCの制御手順を示すフローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラー画像形成装置について示している。カラー画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0032】
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転し、各画像形成部に隣接して移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラ9において転写紙P上に一度に転写され、さらに、定着部7において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0033】
トナー像が転写される転写紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラ9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナ19が配置されている。
【0034】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光ユニット4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
【0035】
ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0036】
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、中間転写ローラ(一次転写ローラ)6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。
【0037】
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラ10と、下流側の駆動ローラ11とに掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラ12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部7へと搬送される。
【0038】
定着部7に搬送された転写紙Pは、定着ローラ対13により加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
【0039】
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した転写紙Pは分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラ9に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
【0040】
図2は、本実施形態の現像装置の構成を示す側面断面図である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0041】
図2に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤と呼ぶ)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画され、第1及び第2攪拌室20b、20cには図示しないトナーコンテナから供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
【0042】
そして、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向に搬送され、仕切壁20aに形成された現像剤通過路(図示せず)を介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。図示の例では、現像容器20は左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第2攪拌スクリュー21bの上方には磁気ローラ22が配置され、磁気ローラ22の左斜め上方には現像ローラ23が対向配置されている。そして、現像ローラ23は現像容器20の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1aに対向しており、磁気ローラ22及び現像ローラ23は図中時計回りに回転する。
【0043】
なお、現像容器20には、第1攪拌スクリュー21aと対面してトナー濃度センサ(図示せず)が配置されており、トナー濃度センサで検知されるトナー濃度に応じて補給装置からトナー補給口20dを介して現像容器20内にトナーが補給される。
【0044】
磁気ローラ22は、非磁性の回転スリーブ22aと、回転スリーブに内包される複数の磁極(ここでは5極)を有する固定マグネットローラ体22bで構成されている。現像ローラ23は、非磁性の現像スリーブから構成されており、磁気ローラ22と現像ローラ23とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。
【0045】
また、現像容器20には穂切りブレード25が磁気ローラ22の長手方向(図2の紙面表裏方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード25は、磁気ローラ22の回転方向(図中時計回り)において、現像ローラ23と磁気ローラ22との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード25の先端部と磁気ローラ22表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
【0046】
現像ローラ23には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)を印加する第1バイアス回路30が接続されており、磁気ローラ22には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)を印加する第2バイアス回路31が接続されている。また、第1バイアス回路30及び第2バイアス回路31は共通のグランドに接地されている。
【0047】
前述のように、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環してトナーを帯電させ、第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が磁気ローラ22に搬送される。そして、磁気ローラ22上に磁気ブラシ(図示せず)を形成する。磁気ローラ22上の磁気ブラシは穂切りブレード25によって層厚規制された後、磁気ローラ22と現像ローラ23との対向部分に搬送され、磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)と現像ローラ23に印加されるVslv(DC)との電位差(実効電位)、及び固定マグネットローラ体22bとの間の磁界によって現像ローラ23上にトナー薄層を形成する。
【0048】
現像ローラ23上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラ22と現像ローラ23との回転速度差等によっても変化するが、磁気ローラ22と現像ローラ23との間(以下、MS間という)の実効電位(以下、MS間DCという)によって制御することができる。MS間DCを大きくすると現像ローラ23上のトナー層は厚くなり、MS間DCを小さくすると薄くなる。現像時におけるMS間DCの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
【0049】
図3は、現像ローラ23及び磁気ローラ22に印加されるバイアス波形の一例を示す図である。図3(a)に示すように、現像ローラ23には、Vslv(DC)にピークツーピーク値がVpp1である矩形波のVslv(AC)を重畳した合成波形Vslv(実線)が第1バイアス回路30から印加される。また、磁気ローラ22には、Vmag(DC)にピークツーピーク値がVpp2であり、且つVslv(AC)と位相の異なる矩形波のVmag(AC)を重畳した合成波形Vmag(破線)が第2バイアス回路31から印加される。
【0050】
従って、MS間に印加される電圧は、図3(b)に示すようなVpp(max)とVpp(min)を有する合成波形Vmag−Vslvとなる。なお、Vmag(AC)はVslv(AC)よりもDuty比が大きくなるように設定される。実際には図3で示すような完全な矩形波ではなく、一部が歪んだ形状の交流電圧が印加される。
【0051】
磁気ブラシによって現像ローラ23上に形成されたトナー薄層は、現像ローラ23の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラ23との対向部分に搬送される。現像ローラ23にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
【0052】
現像に用いられずに残ったトナーは、再度現像ローラ23と磁気ローラ22との対向部分に搬送され、磁気ローラ22上の磁気ブラシによって回収される。そして、磁気ブラシは固定マグネットローラ体22bの同極部分で磁気ローラ22から引き剥がされた後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤として磁気ローラ22上に磁気ブラシを形成し、穂切りブレード25へ搬送される。
【0053】
また、第1バイアス回路30及び第2バイアス回路31には電圧可変装置33が接続されており、現像ローラ23に印加されるVslv(DC)、Vslv(AC)及び磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)、Vmag(AC)を可変できるようになっている。さらに、第1バイアス回路30にはリーク検知装置35が接続されている。感光体ドラム1aと現像ローラ23との間(以下、DS間という)でリークが発生した場合、第1バイアス回路30に流れる電流が急激に増加するため、第1バイアス回路30に流れる電流をモニタリングすることでリークの発生を検知することができる。
【0054】
また、各感光体ドラム1a〜1dの回転方向において現像装置3a〜3dの下流側端部には、感光体ドラム1a〜1dと対向して濃度検知センサ41が配置されている(図2参照)。濃度検知センサ41としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサが用いられる。
【0055】
感光体ドラム1a〜1d上のトナー付着量を測定する際、発光素子から感光体ドラム1a〜1d上に形成された各基準トナー像に対し測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、及びドラム表面によって反射される光として受光素子に入射する。なお、基準トナー像としては、一般的な略矩形状のパッチ画像を形成することができる。
【0056】
トナーの付着量が多い場合には、ドラム表面からの反射光がトナーによって遮光されるので、受光素子の受光量が減少する。一方、トナーの付着量が少ない場合には、逆にドラム表面からの反射光が多くなる結果、受光素子の受光量が増大する。従って、受光した反射光量に基づく受光信号の出力値により各色の基準トナー像の濃度(トナー量)を検知し、予め定められた基準濃度と比較して現像バイアスの特性値などを調整することにより、各色について画像濃度補正が行われる。
【0057】
かかる画像濃度補正において、Vmag(DC)及びVslv(DC)については、基準トナー像の濃度検知結果と基準濃度に対応する電圧値(以下、基準値という)と比較して、Vmag(DC)及びVslv(DC)を補正することができる。なお、濃度検知センサ41は、画像形成装置100において現像装置3a〜3dの外側に配置することもでき、例えば、感光体ドラム1a〜1dの回転方向に対し現像装置3a〜3dの上流側且つ転写ローラ6a〜6dの下流側に配置することもできる。
【0058】
また、濃度検知センサ41は、中間転写ベルト8に転写されたトナー像を検知することもできる。また、その他、画像形成装置100が、感光体ドラム1a〜1dに形成されたトナー像を搬送ベルトにより搬送された転写紙Pに直接転写する直接転写方式の画像形成装置の場合、用紙P上に転写された基準トナー像や、搬送ベルト上に転写された基準トナー像を検知することもできる。
【0059】
記憶部37は、例えば読み書き自在のRAM(Random Access Memory)から成り、制御部39により使用される制御プログラムの他、リーク検知装置35の検知結果に基づいて設定されたDS間に印加される交流電圧のピークツーピーク値(以下、DS間Vppという)や、DS間Vppの所定値Vs0等が記憶されている。加えて、所定印字数量Qs、Vslv(DC)の設定値V1、Vmag(DC)の設定値V2、Vslv(DC)の変化量ΔV1、可変後のVslv(DC)の設定値V3、紙間画像濃度補正後のVmagの設定値V4等の、MS間DCの制御に必要となるデータが記憶される。
【0060】
さらに、RAMには、濃度検知センサ41の出力値とトナー付着量との関係がトナー付着量データとして記憶されており、トナー付着量から決定されるトナー濃度と、Vslv(DC)及びVmag(DC)の基準値Vs1、Vs2等の、画像濃度補正に用いる各パラメータ値とを関連づけて記憶した濃度補正テーブルが格納されている。また、連続印字中に濃度補正を行う場合に用いられる、基準値Vs2の変化量ΔVs1も記憶される。
【0061】
制御部39は、電圧可変装置33に制御信号を送信して第1バイアス回路30及び第2バイアス回路31から印加されるVslv(DC)、Vslv(AC)及びVmag(DC)、Vmag(AC)を制御する。また、Vslv(AC)を変化させてDS間にリークを発生させ、リーク検知装置35によりリークが検知されたときのDS間電位差(以下、リーク発生電圧という)に基づいて、DS間Vppをリークの発生しない範囲に設定する。
【0062】
また、制御部39は、印字数量nを計数する機能、DS間Vppが所定値以上か否かを判断する機能、DS間Vppが所定値以上のとき、印字開始1枚目の印字終了後、例えば印字数量が1枚増えるごとに略等電位間隔ΔV1ずつ段階的にVslv(DC)をV1から小さくし、所定印字数量Qsに到達したときにV3となるように可変する機能を有している。
【0063】
また、制御部39は、操作パネル(不図示)のキー操作等によりキャリブレーションモードが設定されると、濃度検知センサ41からの出力信号を受信し、記憶部37に記憶されたトナー付着量データに基づいてトナー付着量の算出を行う機能、算出されたトナー付着量に基づいてVslv(DC)及びVmag(DC)を決定し、予め定められた基準値Vs1、Vs2と比較してVslv(DC)及びVmag(DC)を調整することにより、各色について画像濃度補正を行う機能を有している。かかるキャリブレーションモードは、装置の電源ON時や、所定枚数の連続した画像形成処理(ジョブ)間に設定することができる(ジョブ間画像濃度補正)。
【0064】
さらに制御部39は、上記キャリブレーションモード以外にも、連続印字の所定印字数量Qsの直前の印字終了後に一旦連続印字を停止して、画像濃度補正(後述する紙間画像濃度補正)を実行する機能を有している。また、DS間Vppが所定値以上のとき、かかる連続印字中の印字間における画像濃度補正時において、Vmag(DC)の基準値Vs2を、これよりも大きいVs3(=Vs2+ΔVs1)に可変する機能を有している。
【0065】
また、濃度補正後、所定印字数量Qs以降におけるVmag(DC)を、印字開始時のV1から、基準値Vs3を用いた画像濃度補正によって設定されたV4に可変して、連続印字を再開する機能も有している。なお、記憶部37及び制御部39は、画像形成装置100全体の制御部及び記憶部と兼用しても良いし、現像装置3a〜3dを制御するために独立して配置しても良い。
【0066】
本発明においては、DS間のリーク検知結果に基づいてDS間Vppを設定するとともに、DS間Vppが所定値以上のとき、連続印字の所定印字数量Qs以降のMS間DCを可変して印字開始時と略同じにすることを特徴としている。図4は、連続印字中における実効電位(MS間DC)の経時的な変化を示す。
【0067】
図4に示すように、印字開始時のMS間DCは約250Vであった。しかし、連続印字において、印字開始時から印字経過と共に現像ローラ23上に電荷が溜まり、これに応じて現像ローラ23の表面層の電位が上昇するため、MS間DCが印字経過と共に低下する。また、かかるMS間DCの低下分だけ現像ローラ23上に担持されるトナー量が減少するため、画像濃度の低下が生じる。
【0068】
従って、連続印字の途中においてMS間DCを大きくし、印字開始時と略同じになるように設定することにより、現像ローラ23上に担持されるトナー量の低下を防止し、画像濃度の低下を防止する。なお、上記した図4は、MS間DCの変化を示す一例であり、MS間DCの絶対値や、経時的な変化の程度は、装置構成等に応じて変化するのは言うまでもない。
【0069】
具体的には、電圧可変装置33及びリーク検知装置35を用いてDS間におけるリークの発生及び検知を行い、リーク発生電圧を測定する。そして、測定されたリーク発生電圧を超えない範囲でDS間Vppを設定し、DS間VppからVslv(AC)を設定するとともに、設定されたDS間Vppを記憶部37に記憶しておく。その後、DS間Vppが所定値Vs0以上のとき、現像ローラ23表面に溜まった電荷が多いと判断し、例えば以下に示す制御例に従って、Vslv(DC)若しくはVmag(DC)を可変することにより、MS間DCを可変する。
【0070】
本発明の第1制御例について説明する。本実施形態では、DS間Vppが所定値Vs0以上のとき、連続印字において、印字開始時にはVslv(DC)をV1、Vmag(DC)をV2に設定して連続印字を開始する。そして、印字数量n(nは自然数)が所定印字数量Qsに到達したら、Qs以降の印字についてはVslv(DC)をV1よりも小さいV2に設定して印字を行う。
【0071】
図5は、本発明の現像装置を備えた画像形成装置における第1制御例でのMS間DCの制御手順を示すフローチャートである。先ず、制御部39からの制御信号によりリークの発生及び検知が指示されると(ステップS1)、電圧可変装置33によりVslv(AC)を可変する(ステップS2)。そして、リーク検知装置35によりDS間のリーク検知が行われ(ステップS3)、リークが検知されたときはリーク発生電圧を測定する。そして、測定されたリーク発生電圧を超えない範囲でDS間Vpp値を設定し、記憶部37に記憶する(ステップS4)。リークが検知されないときにはステップS2に戻る。
【0072】
次に、印字数量等が設定され、印字を開始すると(ステップS5)、Vslv(DC)をV1、Vmag(DC)をV2に設定する(ステップS6)。なお、本制御例においては、連続印字の開始から終了時まで、VmagはV2に維持される。そして、DS間Vpp値が所定値Vs0以上か否かが判断され(ステップS7)、Vs0よりも小さい場合は、Vslv(DC)をV1のまま設定を変更することなく印字を行う(ステップS8)。
【0073】
一方、所定値Vs0以上の場合は、印字数量nが所定印字数量Qsに到達した(n≧Qs)か否かが判断される(ステップS9)。所定印字数量Qsに到達していない場合には、Vslv(DC)をV1−(n−1)×ΔV1に設定して印字を行う(ステップS10)。一方、所定印字数量Qsに到達している(n≧Qs)場合には、Vslv(DC)をV3に設定して印字を行う(ステップS11)。
【0074】
すなわち、印字開始後2枚目の印字からV1を略一定量ΔV1ずつ段階的に下げ、印字数量nが所定印字数量Qsに到達したときにVslv(DC)がV3となるように設定する。例えば、感光体ドラム1a〜1dのドラム線速を250mm/sec、ドラム表面電位を310V、現像剤中のトナー帯電量Q/mを25μC/g、トナー体積平均粒径を6μm、キャリア重量平均粒径を45μmとし、現像装置3a〜3dでVslv(DC)及びVmag(DC)を同様に設定することとする。
【0075】
そして、V1を70V、V3を60V、所定印字数量Qsを4とし、DC間Vppが150V(Vs0)以上のとき、Vslv(DC)を、2枚目の印字時に67V、3枚目の印字時には64V、そして4枚目の印字時には60Vと設定することができる。このように、ΔV1=(V1−V3)/(n−1)とし、かかる計算結果を適宜四捨五入等して用いることができる。
【0076】
そして、印字数量nがステップS5の設定数量に到達して印字終了するか否かが判断され(ステップS12)、設定数量に到達していない場合は、ステップS7に戻り、ステップS7〜S11の操作を繰り返す。一方、印字数量に到達した場合には、Vslv(DC)の設定値をV1に戻した後、印字終了する(ステップS13)。なお、ステップS8からステップS12に移行した場合には、Vslv(DC)をV1のままにして印字終了する。そして印字終了後、次にACキャリブが実行されるまで、ステップS5に戻って以後、同様の制御を繰り返す。
【0077】
なお、本発明の制御は、本制御例に特に限定されるものではなく、例えばその他、ブラック用現像装置3dとカラー用現像装置3a〜3cとでVslv(DC)やVmag(DC)を異なる設定にすることもできる。また、ここではVslv(DC)を段階的に可変したが、所定印字数量Qs以降のVslv(DC)を、V1から直接V3へと可変することもできる。
【0078】
また、Vslv(DC)の代わりにVmag(DC)を可変することもでき、両方可変することもできる。また、連続印字中に画像濃度補正を行い、かかる補正時に用いられるVslv(DC)やVmag(DC)の基準値Vs1、Vs2を可変することによってMS間DCを可変することもできる。
【0079】
次に、本発明の第2制御例について説明する。本実施形態では、DS間Vppが所定値Vs0以上のとき、連続印字において、印字開始時にはVslv(DC)及びVmag(DC)をV1、V2に設定し、画像濃度補正におけるVslv(DC)及びVmag(DC)の基準値をVs1、Vs2に設定して連続印字を開始する。そして、印字数量nが所定印字数量Qsの直前の印字数量(直前印字数量)Qs−1に到達したとき、画像濃度補正を行う(紙間画像濃度補正)。
【0080】
かかる紙間画像濃度補正の際、Vmag(DC)の基準値をVs2からVs3=Vs2+ΔVs1に変更する。ΔVs1は、Vmag(DC)の設定値をV3からこれよりも大きいV4に可変することができ、且つ当該設定値をV4に可変したときのMS間DCが印字開始時と略同じになるような値に設定されている。そして、紙間画像濃度補正実行後、連続印字を再開し、所定印字数量Qs以降においてはVmag(DC)をV4に設定して印字を行う。
【0081】
図6は、本発明の現像装置を備えた画像形成装置の第2制御例におけるMS間DCの制御手順を示すフローチャートである。先ず、上記と同様、制御部39からの制御信号によりリークの発生及び検知が指示されると(ステップS1)、電圧可変装置33によりVslv(AC)を可変する(ステップS2)。そして、リーク検知装置35によりDS間のリーク検知が行われ(ステップS3)、リークが検知されたときはリーク発生電圧を測定する。そして、測定されたリーク発生電圧を超えない範囲でDS間Vpp値を設定し、記憶部37に記憶する(ステップS4)。
【0082】
次に、印字数量等が設定され、印字を開始すると(ステップS5)、Vslv(DC)及びVmag(DC)をV1、V2に設定し、紙間画像濃度補正時におけるVslv(DC)及びVmag(DC)の基準値をVs1、Vs2に設定する(ステップS6)。なお、本制御例においては、紙間画像濃度補正により、Vslv(DC)は基準値Vs1に基づき補正され、Vmag(DC)は、後述するようにVs2を可変したVs3に基づき補正される。
【0083】
次に、DS間Vpp値が所定値Vs0以上か否かが判断され(ステップS7)、Vs0よりも小さい場合は、Vslv(DC)及びVmag(DC)をV1、V2のまま設定を変更することなく印字を行い、直前印字数量Qs−1に到達したときには、Vslv(DC)及びVmag(DC)の基準値をVs1、Vs2のまま紙間画像濃度補正を実行し、該補正後のVslv(DC)及びVmag(DC)により印字を行う(ステップS8)。
【0084】
一方、所定値Vs0以上の場合は、印字数量nが直前印字数量Qs−1に到達した(n=Qs−1)か否かが判断される(ステップS9)。直前印字数量Qs−1に到達していない場合には、紙間画像濃度補正を実行せず、Vslv(DC)及びVmag(DC)をV1、V2のまま印字を行う(ステップS10)。直前印字数量Qs−1に到達した場合には、連続印字を一旦停止し、Vslv(DC)の基準値Vs1はそのまま、Vmag(DC)の基準値をVs2からVs3=Vs2+ΔVs1に可変して紙間画像濃度補正を行う(ステップS11)。
【0085】
すなわち、直前印字数量Qs−1の印字終了後、Vmag(DC)の基準値をVs2からVs3に可変して紙間画像濃度補正を行うことにより、Vslv(DC)及びVmag(DC)の補正を行うと共に、Vmag(DC)をV2からV4に可変することができる。これにより、所定印字数量Qs以降の印字においてMS間DCを印字開始時と略同じにすることができる。
【0086】
例えば、ブラック用現像装置3dとカラー用現像装置3a〜3cとでVslv(DC)及びVmag(DC)の設定を異なることとし、所定印字数量Qsとして印字開始から5分経過したときの印字数量を直前印字数量Qs−1とする以外は、上記第1制御例と同様の条件に設定する。そして、DC間Vppが100V以上のとき、ブラック用現像装置3dにおけるVmag(DC)の基準値を、180V(Vs2)から、180V+20V(ΔVs1)=200V(Vs3)に可変して紙間画像濃度補正を行う。
【0087】
また、カラー用現像装置3a〜3cにおけるVmag(DC)の基準値を、260V(Vs2)から、260V+10V(ΔVs1)=270V(Vs3)に可変して紙間画像濃度補正を行う。これにより、ブラック及びカラー用現像装置3a〜3dにおけるVmag(DC)を、V2よりも大きいV4に可変することができる。
【0088】
紙間画像濃度補正終了後、所定印字数量Qs以降は、Vmag(DC)をV4に設定して連続印字を再開する(ステップS12)。なお、連続印字の途中、印字間で紙間画像濃度補正を実行する際には第1及び第2バイアス回路30、31が作動しており、連続印字の開始から終了まで現像ローラ23及び磁気ローラ22にはVslv(DC)、Vmag(DC)が印加されている。
【0089】
そして、印字数量nがステップS5の設定数量に到達して印字終了するか否かが判断され(ステップS13)、設定数量に到達していない場合は、ステップS7に戻り、以降の操作を繰り返す。設定数量に到達した場合には、Vmag(DC)をV2、Vmag(DC)の基準値をVs2に戻して印字終了する(ステップS14)。
【0090】
なお、ステップS8、S10からステップS13に移行した場合には、Vmag(DC)をV2、Vmag(DC)の基準値をVs2のままにして終了する。そして、印字終了後、次にACキャリブが実行されるまで、ステップS5に戻って以後、同様の制御を繰り返す。
【0091】
なお、本制御例では、画像濃度補正と共に所定印字数量Qs以降のMS間DCを可変したが、上記第1制御例と同様にして、印字開始時から所定印字数量Qsに到達するまで段階的にVmag(DC)が高くなるよう可変すると共に、直前印字数量Qs−1の印字終了後の紙間画像濃度補正時に基準値Vs2を可変することもできる。これにより、現像ローラ23上に溜まる電荷量に応じてより詳細に画像濃度の低下を防止することができる。
【0092】
また、本制御例では、ブラック用現像装置3dとカラー用現像装置3a〜3cとでVmag(DC)、Vmag(DC)の基準値を異なる設定としたため、より詳細に精度良く画像濃度の低下を防止することができる。また、本制御例では、紙間画像濃度補正時におけるVmag(DC)の基準値Vs2を可変したが、その他、Vs2は可変することなく、Vslv(DC)のVs1を可変することも、両方同時に可変することもできる。
【0093】
また、上記した連続印字中の紙間画像濃度補正に加え、前述したように、ジョブ間画像濃度補正を行うこともできる。かかる場合には、一のジョブの終了と共にVslv(DC)、Vmag(DC)が停止するため、現像ローラ23上の電荷が放出される。よって、Vslv(DC)及びVmag(DC)の基準値をVs1、Vs2のまま、ジョブ間画像濃度補正を行えばよい。これにより、連続印字開始時のVslv(DC)及びVmag(DC)を適切に設定することができる。
【0094】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態に示した所定値Vs0、設定値V1、V2、V3、V4、基準値Vs1、Vs2、Vs3、変化量ΔV1、ΔVs1、所定印字数量Qs等は、上記実施形態に特に限定されるものではなく、装置構成等に応じて適宜設定することができる。また、所定印字数量Qsは、印字枚数や時間等、印字開始時からの経過を表すことが可能であれば、適宜設定することができる。
【0095】
また、例えば、上記各実施形態では帯電方向が正(プラス側)である正帯電トナーを用い、感光体表面の露光部にトナーを飛翔させる反転現像方式を例に挙げて説明したが、帯電方向が負(マイナス側)である負帯電トナーを用いる現像装置や、感光体表面の未露光部にトナーを飛翔させる正転現像方式の現像装置にも全く同様に適用可能である。
【0096】
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンタに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、モノクロプリンタ及びロータリー現像式のカラープリンタ及びカラー複写機、ファクシミリ等、現像装置を備えた種々の画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、像担持体にトナーを供給するためのトナー担持体と、該トナー担持体上に磁気ブラシを用いてトナー層を形成するトナー供給部材と、前記トナー担持体及びトナー供給部材に直流電圧及び交流電圧を印加可能な電圧印加手段と、を有する現像装置において、前記電圧印加手段により前記トナー担持体に印加される交流電圧を変化させて前記像担持体と前記トナー担持体との間にリークを発生させるリーク発生手段と、該リーク発生手段により発生させたリークを検知するリーク検知手段と、該リーク検知手段の検知結果に基づいて前記像担持体−前記トナー担持体間に印加される交流電圧を設定する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記トナー担持体に印加される交流電圧が所定値以上であるとき、連続印字の所定印字数量以降において前記トナー担持体及び前記トナー供給部材の少なくともいずれかに印加される直流電圧を可変するものである。
【0098】
これにより、像担持体−トナー担持体間でのリーク発生を抑制するのみならず、トナー供給部材からトナー担持体へのトナー供給量の低下を防止して画像濃度の低下を防止することができる。また、制御手段が、連続印字の所定印字数量以降においてトナー担持体に印加される直流電圧を、印字開始時よりも小さくして、上記実効電位を印字開始時と略同じにすることにより、複雑な制御を行うことなく、画像濃度の低下を防止することができる。
【0099】
また、制御手段が、連続印字の所定印字数量以降においてトナー供給部材に印加される直流電圧を、印字開始時よりも大きくして、上記実効電位を印字開始時と略同じにすることにより、複雑な制御を行うことなく、画像濃度の低下を防止することができる。また、トナー担持体若しくはトナー供給部材の少なくともいずれかに印加される直流電圧を、印字開始時から所定印字数量まで段階的に可変することにより、連続印字中にトナー担持体上に溜まる電荷量に応じてより詳細に画像濃度の低下を防止することができる。
【0100】
また、像担持体上に形成されたトナー量を検知する検知手段と、トナー担持体及びトナー供給部材に印加される直流電圧の所定の基準値を記憶する記憶手段と、を設け、制御手段が、像担持体上に形成された基準トナー像に対する検知手段の検知結果と基準値とに基づいて前記直流電圧の補正を実行可能であり、トナー担持体に印加される交流電圧が所定値以上であるとき、所定印字数量に到達する直前の印字終了後に上記補正を実行すると共に実効電位を印字開始時と略同じにすることにより、より精度良く画像濃度の低下を防止することができる。
【0101】
また、上記構成の現像装置を備えた画像形成装置とすることにより、像担持体−トナー担持体間でのリークによる画像不良を効果的に防止すると共に画像濃度の低下を効果的に防止することができる。
【符号の説明】
【0102】
1a〜1d 感光体ドラム(像担持体)
3a〜3d 現像装置
21a 第1攪拌スクリュー
21b 第2攪拌スクリュー
22 磁気ローラ(トナー供給部材)
23 現像ローラ(トナー担持体)
25 穂切りブレード
30 第1バイアス回路(電圧印加手段)
31 第2バイアス回路(電圧印加手段)
33 電圧可変装置(リーク発生手段)
35 リーク検知装置(リーク検知手段)
37 記憶部(記憶手段)
39 制御部(制御手段)
41 濃度検知センサ(検知手段)
100 画像形成装置
Pa〜Pd 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体にトナーを供給するためのトナー担持体と、該トナー担持体上に磁気ブラシを用いてトナー層を形成するトナー供給部材と、前記トナー担持体及びトナー供給部材に直流電圧及び交流電圧を印加可能な電圧印加手段と、を有する現像装置において、
前記電圧印加手段により前記トナー担持体に印加される交流電圧を変化させて前記像担持体と前記トナー担持体との間にリークを発生させるリーク発生手段と、
該リーク発生手段により発生させたリークを検知するリーク検知手段と、
該リーク検知手段の検知結果に基づいて前記像担持体−前記トナー担持体間に印加される交流電圧を設定する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記トナー担持体に印加される交流電圧が所定値以上であるとき、連続印字の所定印字数量以降において前記トナー担持体及び前記トナー供給部材の少なくともいずれかに印加される直流電圧を可変することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記連続印字の前記所定印字数量以降において前記トナー担持体に印加される直流電圧を、前記印字開始時よりも小さくして、前記実効電位を前記印字開始時と略同じにすることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記連続印字の前記所定印字数量以降において前記トナー供給部材に印加される直流電圧を、前記印字開始時よりも大きくして、前記実効電位を前記印字開始時と略同じにすることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記トナー担持体及び前記トナー供給部材の少なくともいずれかに印加される直流電圧を、前記印字開始時から前記所定印字数量まで段階的に可変することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記像担持体上に形成されたトナー量を検知する検知手段と、
前記トナー担持体及び前記トナー供給部材に印加される直流電圧の所定の基準値を記憶する記憶手段と、が設けられ、
前記制御手段は、前記像担持体上に形成された基準トナー像に対する前記検知手段の検知結果と前記基準値とに基づいて前記直流電圧の補正を実行可能であり、前記トナー担持体に印加される交流電圧が所定値以上であるとき、前記所定印字数量に到達する直前の印字終了後に前記補正を実行すると共に前記所定印字数量以降の前記実効電位を前記印字開始時と略同じにすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の現像装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−231150(P2010−231150A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81502(P2009−81502)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】